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特許7128038デュラムバイタルグルテン含有たこ焼き及びお好み焼き
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】デュラムバイタルグルテン含有たこ焼き及びお好み焼き
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20220823BHJP
【FI】
A23L35/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018111741
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019213471
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】野村 早紀
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-304912(JP,A)
【文献】特開昭51-123846(JP,A)
【文献】特開2002-125635(JP,A)
【文献】特開2003-000164(JP,A)
【文献】特開2001-000153(JP,A)
【文献】特開2002-191306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 35/00
A23L 7/00-7/25
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉とデュラムバイタルグルテンとを含む、好み焼き用小麦粉組成物であって、デュラムバイタルグルテンに含まれる蛋白質の含有量が、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、3.5~7質量%となるようにデュラムバイタルグルテンを含む、前記組成物
【請求項2】
さらに水を含み、バッターの形態である、請求項1載の小麦粉組成物。
【請求項3】
請求項記載の小麦粉組成物を含む生地を焼成してなる、好み焼き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュラムバイタルグルテンを含有する、たこ焼き又はお好み焼き用小麦粉組成物、及び、該小麦粉組成物を使用したたこ焼き又はお好み焼きに関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きやお好み焼きは、柔らかな食感と歯切れのよさがその特徴であり、広く好んで食される食品である。また、これらの焼き物はふっくらとしたボリュームのある外観が好まれる。しかし、柔らかな食感を実現すると保型性が損なわれ、焼成後しぼんでしまいボリュームが損なわれてしまうという問題がある。焼成済みのたこ焼き又はお好み焼きをチルド又は冷凍保存した後、再加熱した場合には、さらにその傾向が強まることも問題である。
ボリュームを出すための方法としては、ミックス粉中に増粘剤、植物性蛋白等を使用する方法、又は、加水量を減量する方法がある。しかし、いずれの方法でも、柔らかな食感と歯切れのよさを実現することは困難である。
例えば、特開平9-299069号公報(特許文献1)には、主として小麦粉からなる穀粉類;アセチル化ワキシー澱粉、架橋処理ワキシー澱粉、アセチル化し且つ架橋処理したワキシー澱粉、アセチル化タピオカ澱粉、架橋処理タピオカ澱粉、及びアセチル化し且つ架橋処理したタピオカ澱粉から選ばれる1種又は2種以上の澱粉;並びにキサンタンガムを含有する、お好み焼き又はたこ焼き用組成物が記載されている。当該組成物を用いてお好み焼き又はたこ焼きを製造すると、保形性に優れ、しかもふっくらとしていて、口当たりが良く、ジューシー感のある良好な食感を得ることができるとされているが、その効果は十分とはいえない。
また、特開2001-000153号公報(特許文献2)には、お好み焼き生地において、澱粉50~90部、小麦粉5~30部、グルテン、大豆蛋白、卵白から選択される1種又は2種以上が1~15部、グアガム、キサンタンガム、ローカストビンガム、タマリンドガムから選ばれる1種又は2種以上が0.05~5部、合わせて100重量部を配合するお好み焼きの製造方法が記載されている。前記方法により、口当たり良くもちもちした食感のお好み焼きを得ることができるとされているが、柔らかい食感で且つボリュームを出すことはできない。
特開2003-24019号公報(特許文献3)には、平均粒子径が20μm以下の微粉末が、平均粒子径が20μm以上のコアとなる粉末に付着している粉末を含有するたこ焼き、お好み焼き用品質改良剤が記載されている。しかし、特殊な複合粉末を使用する必要がある上、このような複合粉末を使用しても、ボリュームを出しつつ、柔らかい食感及び歯切れのよさを実現することは困難である。
なお、特開2002-191306号公報(特許文献4)には、デュラム小麦蛋白濃縮物を有効成分とする品質改良剤が記載されており、パスタや麺類に弾力やコシという良好な食感を与えるとしているが、たこ焼きやお好み焼きの柔らかさ、歯切れ、ボリュームの改良効果について記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-299069号公報
【文献】特開2001-000153号公報
【文献】特開2003-024019号公報
【文献】特開2002-191306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ボリュームを保ちつつ、柔らかな食感と歯切れのよさを有するたこ焼き又はお好み焼き用小麦粉組成物、及び、該小麦粉組成物を使用したたこ焼き又はお好み焼きを提供することにある。
本発明の他の目的は、焼成済みのたこ焼き又はお好み焼きをチルド又は冷凍保存した後、再加熱した場合にも、ボリュームを保ちつつ、柔らかな食感と歯切れのよさを有するたこ焼き又はお好み焼きを製造することができる、たこ焼き又はお好み焼き用小麦粉組成物、及び、該小麦粉組成物を使用したたこ焼き又はお好み焼きを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、デュラムバイタルグルテン(デュラム小麦を製粉した粉より抽出した小麦蛋白質)を含む小麦粉組成物を使用してたこ焼き又はお好み焼きを調製すると、焼成後の表皮のふやけ感を抑えボリュームを保ちつつ、柔らかな食感と歯切れのよさを実現することができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]小麦粉とデュラムバイタルグルテンとを含む、たこ焼き又はお好み焼き用小麦粉組成物。
[2]デュラムバイタルグルテンの含有量が、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、1~10質量%である、[1]記載の小麦粉組成物。
[3]さらに水を含み、バッターの形態である、[1]又は[2]記載の小麦粉組成物。
[4][3]記載の小麦粉組成物を含む生地を焼成してなる、たこ焼き又はお好み焼き。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、たこ焼き及びお好み焼きにおいて、ボリュームを保ちつつ、柔らかな食感と歯切れのよさを実現することができる。また、焼成済みのたこ焼き又はお好み焼きをチルド又は冷凍保存した後、再加熱した場合にも、同様の効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き用小麦粉組成物は、小麦粉とデュラムバイタルグルテンとを含んでいる。
【0009】
小麦粉の種類は、特に制限されず、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、全粒粉、これらの混合物などから選択される。
【0010】
デュラムバイタルグルテンとは、デュラム小麦由来のバイタルグルテン(小麦グルテンの蛋白としての性質を変えないように小麦グルテンを抽出したもの)である。デュラムバイタルグルテンは、デュラム小麦を製粉した粉(デュラム小麦粉)からグルテンを採取することにより得られる。グルテンの採取方法は、一般に小麦粉からグルテンを採取する方法を適用できる。
例えば、デュラムバイタルグルテンは、デュラム小麦粉と水を混合(又は混捏)し、該混合物(又は生地)を水洗して乾燥粉末化して得られるデュラム小麦蛋白濃縮物である。
デュラムバイタルグルテン中の蛋白質含量は特に制限なく、例えば、60質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、70~85質量%)である。
デュラムバイタルグルテンの含有量は、特に制限されないが、効果を十分に発現することができ、且つ、粘度が高くなり過ぎず火通りを良くして歯切れのよさを得る点から、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、0.5~15質量%(蛋白質量として0.35~10.5質量%)であるのが好ましく、ボリュームの点から、1~10質量%(蛋白質量として0.7~7質量%)であるのがより好ましく、5~10質量%(蛋白質量として3.5~7質量%)であるのが最も好ましい。
【0011】
小麦粉組成物は、さらに澱粉を含んでいてもよい。澱粉は、特に限定なく使用でき、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、緑豆澱粉などの生澱粉;生澱粉を物理的、化学的、酵素的に処理した化工澱粉;これら二種以上の組み合わせを使用できる。
澱粉の含有量は、特に制限されず、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、例えば、1~30質量部であり、好ましくは5~25質量部である。
【0012】
小麦粉組成物は、よりふっくらとした食感を得るため、さらに増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤は、特に限定なく使用でき、例えば、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、これらの二種以上の組み合わせなどを使用できる。
増粘剤の含有量は、特に制限されず、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、例えば、5質量部以下であり、好ましくは0.5~1質量部である。
【0013】
小麦粉組成物は、必要に応じて、さらに副資材(例えば、膨張剤、油脂、糖類、卵、食塩、香辛料、着色料、調味料等)を配合することができる。
【0014】
本発明の小麦粉組成物は、さらに水を含み、バッターの形態であってもよい。水の含有量は、小麦粉とデュラムバイタルグルテンの合計質量に対して、例えば、300~500質量部であり、好ましくは350~450質量部である。なお、上記水の含有量は、卵などの副資材に由来する水を含まない量である。
【0015】
バッターの20℃における粘度は、特に制限されないが、火通りが良く良好な食感を得る点から、100~1,000mPa・sであるのが好ましく、300~700mPa・sであるのがより好ましい。
上記粘度は、慣用の方法、例えば、No.4ローターを装着したC型粘度計(東京計器社製のCVR-20形粘度計)を使用して、20℃の温度条件下、回転速度20rpmで1分間回転後の指示値を読み取る方法により測定される。
【0016】
本発明のたこ焼き又はお好み焼きは、小麦粉とデュラムバイタルグルテンと水とを含む上記小麦粉組成物(バッター)を含む生地を焼成してなる。焼成温度は、特に制限されないが、例えば、150~250℃であってもよい。
【0017】
焼成済みたこ焼き又はお好み焼きは、冷蔵(もしくはチルド)又は冷凍されてもよい。冷蔵温度は、例えば1~10℃であり、冷凍温度は、例えば-40℃~-15℃である。
【0018】
上記冷蔵又は冷凍のお好み焼きは、再加熱されてもよい。再加熱方法としては、特に制限されず、電子レンジ処理(例えば、500~1500Wの出力による熱処理)、油ちょうなどが挙げられる。本発明では、再加熱しても、ボリュームを保ちつつ、柔らかな食感と歯切れのよさを得ることができる。
【実施例
【0019】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0020】
<デュラムバイタルグルテンの調製>
デュラム小麦粉100質量部に対して水55質量部を加え混捏し、形成された生地玉を20分間、30℃の湯浴中にて放置した後、水中にて水洗し、澱粉を洗い出して、デュラム小麦蛋白濃縮物を得た。次いで、得られた生のデュラム小麦蛋白濃縮物を真空乾燥機にて乾燥後粉砕して粉末状とし、蛋白質含量70質量%の乾燥されたデュラム小麦蛋白濃縮物(デュラムバイタルグルテン)を得た。該デュラムバイタルグルテンを以下の試験例で使用した。
【0021】
<試験例1:デュラムバイタルグルテン配合量>
下記の表2の配合(質量部で表示)をミキサー(ホバート社、N‐50)に投入し、室温で2分間混合してたこ焼き用バッターを得た。190℃に予熱した焼成機の凹部(直径50mm×深さ40mm)にたこ焼き用バッター約30gとタコ約3gを投入し、190℃で9分間焼成した。
焼成後室温で10分間放冷した後、10名の熟練パネラーにより表1の評価基準に従って官能評価を行った。
チルド品は、焼成後室温で20分間放冷し粗熱をとり、ラップフィルムで覆い5℃の冷蔵庫内に24時間保管した。電子レンジで600W、2分間加熱し、室温で10分間放冷した後、10名の熟練パネラーにより表1の評価基準に従って官能評価を行った。
冷凍品は、焼成後室温で20分間放冷し粗熱をとり、ラップフィルムで覆い-35℃の急速冷凍機内で30分間冷凍した後、-18℃の冷凍庫内で24時間保管した。電子レンジで600W、6分間加熱し、室温で10分間放冷した後、10名の熟練パネラーにより表1の評価基準に従って官能評価を行った。
【0022】
【表1】
【0023】
なお、グルテンや増粘剤を添加せず、小麦粉と澱粉と副資材とを混合して焼成したたこ焼きの食感を3点、ボリュームを1点として評価した。
【0024】
試験例1の結果を表2に示す。
【表2】
*バッターの物性(粘度)を他の実施例と合わせるために水量を調整した。
【0025】
たこ焼き用バッター中のデュラムバイタルグルテンの含有量が高くなるにつれ、製造されたたこ焼きの外観のボリュームについての評価は高くなった。実施例4では、外観のボリュームについての効果は得られたものの、食感がやや固くなったが、たこ焼きとしては満足できるものであった。実施例5は増粘剤を用いない例であるが、増粘剤を用いなくても、食感も良く、外観のボリューム評価も高いたこ焼きを製造することができた。
デュラムバイタルグルテンを含まない比較例1は、食感については許容できるものであったが、外皮にしわが多く、外観のボリュームについては非常に悪い評価であった。
実施例の焼成済みのたこ焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、チルドあるいは冷凍保存する前と比べると食感も外観のボリュームも若干低下したが、デュラムバイタルグルテンを用いない比較例1と比較すると、いずれも食感の柔らかさや歯切れの良さ、外観のボリュームのバランスを維持することができた。
【0026】
<試験例2:たこ焼き用バッター:バイタルグルテンの種類の検討>
下記の表3の配合(質量部で表示)で、試験例1と同様にたこ焼き用バッターを調製し、たこ焼きを焼成し、官能評価を行った。なお、バイタルグルテンの質量は、蛋白質量として等しくなるように調整した。
チルド品及び冷凍品についても、試験例1と同じ条件で試験を行い、評価した。
【0027】
試験例2の結果を表3に示す。
【表3】
A:強力小麦粉由来小麦バイタルグルテン(グリコ栄養食品株式会社、A-グルWP)蛋白質82.3質量%
B:中力小麦粉由来小麦バイタルグルテン(マニルドラ社、バイタルウィートグルテン)蛋白質78質量%
【0028】
デュラムバイタルグルテンを使用する実施例2では、食感、外観のボリュームとも優れていた。これに対し、強力小麦粉由来の小麦バイタルグルテンを使用する比較例2については食感の柔らかさが損なわれ、中力小麦粉由来の小麦バイタルグルテンを使用する比較例3については食感の口どけ感が損なわれ悪い評価であった。
実施例2の焼成済みのたこ焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、チルドあるいは冷凍保存する前と比べると食感も外観のボリュームも若干低下したが、食感の柔らかさや歯切れの良さ、外観のボリュームのバランスを維持できた。
一方、比較例2及び比較例3の焼成済みのたこ焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、食感の柔らかさあるいは口溶け感が損なわれたままであった。
【0029】
<試験例3:お好み焼き用バッター:デュラムバイタルグルテン配合量の検討>
下記の表5の配合(質量部で表示)をミキサー(ホバート社、N-50)に投入し、室温で2分間混合してお好み焼き用バッターを得た。お好み焼き用バッター35質量部に卵25質量部、5mm角にカットしたキャベツ100質量部、天かす4.5質量部を混合しお好み焼き生地を調製した。お好み焼き生地165gを190℃に予熱した鉄板に投入し、途中適宜上下反転しながら蓋をして14分間焼成した。
焼成後直ちに10名の熟練パネラーにより表4の評価基準に従って官能評価を行った。
チルド品は、焼成後室温で20分間放冷し粗熱をとり、ラップフィルムで覆い5℃の冷蔵庫内に24時間保管した。電子レンジで600W、3分間加熱した後、10名の熟練パネラーにより表4の評価基準に従って官能評価を行った。
冷凍品は、焼成後室温で20分間放冷し粗熱をとり、ラップフィルムで覆い-35℃の急速冷凍機内で30分間冷凍した後、-18℃の冷凍庫内で24時間保管した。電子レンジで600W、7分間加熱した後、10名の熟練パネラーにより表4の評価基準に従って官能評価を行った。
【0030】
【表4】
【0031】
なお、デュラムバイタルグルテンを添加せず焼成したお好み焼きの内層の食感を3点、表皮の歯切れ感を2点、ボリュームを3点として評価した。
【0032】
試験例3の結果を表5に示す。
【表5】
【0033】
お好み焼き用バッター中のデュラムバイタルグルテンの含有量が高くなるにつれ、製造されたお好み焼きの内層の食感についての評価が高くなった。実施例8では内層の食感についての評価は高かったものの、外皮がやや固くなり、表皮の歯切れ感が実施例6、実施例7よりもやや劣っていたが、お好み焼きとしては十分に満足できるものであった。
比較例4では内層の食感は許容できるものであったが、表皮のふやけ感が強く、表皮の歯切れ感については好ましくない評価であった。
実施例6~8の焼成済みのお好み焼きを、チルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、チルドあるいは冷凍保存する前と比べると若干低下したが、内層の食感、歯切れ感及びボリュームを高く維持できた。
一方、比較例4の焼成済みのお好み焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、表皮の歯切れ感はより一層低下し、全体の評価はより低くなった。
【0034】
<試験例4:お好み焼き用バッター:バイタルグルテンの種類の検討>
下記の表6の配合(質量部で表示)で、試験例3と同様にお好み焼き用バッターを調製し、お好み焼きを焼成し、官能評価を行った。なお、バイタルグルテンの質量は、蛋白質量として等しくなるように調整した。
チルド品及び冷凍品についても、試験例3と同じ条件で試験を行い、評価した。
【0035】
試験例4の結果を表6に示す。
【表6】
A:強力小麦粉由来小麦バイタルグルテン(グリコ栄養食品株式会社、A-グルWP)蛋白質82.3質量%
B:中力小麦粉由来小麦バイタルグルテン(マニルドラ社、バイタルウィートグルテン)蛋白質78質量%
【0036】
デュラムバイタルグルテンを使用した実施例7のお好み焼きでは、内層の食感、表皮の歯切れ感及びボリュームとも非常に優れていた。これに対し、強力小麦粉由来の小麦バイグルを使用する比較例5のお好み焼きでは、ボリュームは比較的良好であったが、内層の口どけが悪く、表皮は固く歯切れ感が損なわれ、非常に悪い評価であった。中力小麦粉由来の小麦バイグルを使用する比較例6のお好み焼きについても、ボリュームは比較的良好であったが、内層の口どけが悪く、表皮は固く歯切れ感が損なわれた。
実施例7の焼成済みのお好み焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、チルドあるいは冷凍保存する前と比べると若干低下したが、内層の食感、歯切れ感及びボリュームを高く維持できた。
一方、比較例5及び6の焼成済みのお好み焼きをチルドあるいは冷凍保存した後、再加熱した場合には、内層の口どけと表皮の歯切れ感が一層低下し、全体の評価はより低くなった。