(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】除害装置、除害装置の配管部の交換方法及び除害装置の配管の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/46 20060101AFI20220823BHJP
B08B 3/10 20060101ALI20220823BHJP
B08B 9/032 20060101ALI20220823BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20220823BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20220823BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20220823BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220823BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B01D53/46 ZAB
B08B3/10 Z
B08B9/032 321
B01D53/58
B01D53/68 200
B01D53/68 220
B01D53/78
B01D53/14 200
B01D53/18 150
(21)【出願番号】P 2018193042
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲田 高典
(72)【発明者】
【氏名】駒井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 哲郎
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-185353(JP,A)
【文献】特許第4012818(JP,B2)
【文献】特開昭52-138768(JP,A)
【文献】特開2004-261777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00 - 9/46
B08B 3/00 - 3/14
F16L 51/00 - 55/48
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/34 - 53/85
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、
前記流路の一部を形成する第1の配管と、
前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する
散水部を有する交換可能な、配管部と、
前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に
繋がる第2の配管と、
前記散水部よりも上流側に位置し、前記散水部よりも上流側の前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する上流散水部と、
を備える、
除害装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除害装置において、
前記内壁を加熱するヒータを、さらに備える、
除害装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の除害装置において、
前記配管部は、耐食金属からなる、
除害装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の除害装置において、
前記内壁のうち前記第2の配管の部分が、PFAコーティングされている、
除害装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の除害装置において、
前記配管部と、前記第1の配管又は前記第2の配管と、の繋目を密封するOリングと、
前記繋目において、前記配管部と、前記第1の配管又は前記第2の配管とを密着させるクランプと、
をさらに備える、
除害装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の除害装置において、
前記散水部よりも上流側の前記流路内の圧力を計測する圧力センサを、さらに備え、
前記散水部は、前記圧力センサが予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に散水し、
前記上流散水部は、前記流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水をする、
除害装置。
【請求項7】
請求項6に記載の除害装置において、
前記上流散水部は、前記除害装置の前段又は後段に設けられた装置からプロセスガス停止信号を受信した時を、前記固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなして、散水する、
除害装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の除害装置において、
前記上流散水部は、前記配管部に含まれている、
除害装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の除害装置において、
前記散水部は、洗浄水を散水していないときに、乾燥気体を噴出し続ける、
除害装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の除害装置において、
前記乾燥気体の噴出は、前記洗浄水の散水終了後の一定時間の間には、一定の第1の流量で行われ、前記一定時間の経過後には、前記第1の流量よりも少ない第2の流量で行わ
れる、
除害装置。
【請求項11】
請求項
9又は請求項
10に記載の除害装置において、
前記乾燥気体は、不活性ガスである、
除害装置。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1項に記載の除害装置において、
洗浄液を供給する液体供給路を有するファンスクラバーと、
前記散水部よりも下流に位置し、前記液体供給路に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水するスプレーと、
をさらに備える、
除害装置。
【請求項13】
請求項
12の除害装置において、
前記ファンスクラバーは、ファンと、前記ファンを回転させるキャンドモータと、を有する、
除害装置。
【請求項14】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁と、
前記流路の一部を形成する第1の配管と、
前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する
散水部を有する交換可能な、配管部と、
前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、
前記散水部よりも上流側に位置し、前記散水部よりも上流側の前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する上流散水部と、
を備える除害装置を用い、
前記配管部を交換する工程を、有する、
除害装置の配管部の交換方法。
【請求項15】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、
前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する
散水部と、
前記散水部よりも上流側に位置し、
前記散水部よりも上流側の前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する
上流散水部と、
前記散水部よりも上流側の前記流路内の圧力を計測する圧力センサと、
を備える除害装置を用い、
前記圧力センサが予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に、
前記散水部が散水する工程と、
前記流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に、
前記上流散水部が散水をする工程と、
を有する、
除害装置の配管の洗浄方法。
【請求項16】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、
前記流路の一部を形成する第1の配管と、
前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する散水部を有する交換可能な、配管部と、
前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、
を備え、
前記内壁のうち前記第2の配管の部分が、PFAコーティングされている、
除害装置。
【請求項17】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、
前記流路の一部を形成する第1の配管と、
前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する散水部を有する交換可能な、配管部と、
前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、
を備え、
前記散水部は、洗浄水を散水していないときに、乾燥気体を噴出し続ける、
除害装置。
【請求項18】
処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、
前記流路の一部を形成する第1の配管と、
前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する散水部を有する交換可能な、配管部と、
前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、
洗浄液を供給する液体供給路を有するファンスクラバーと、
前記散水部よりも下流に位置し、前記液体供給路に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水するスプレーと、
を備え、
除害装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除害装置、除害装置の配管部の交換方法及び除害装置の配管の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ装置は、半導体、液晶、太陽光パネル、LED等の製造設備の一つとして広く使用されている。これらの製品の製造工程では、真空ポンプは真空チャンバに接続され、真空チャンバ内の処理ガスを真空引きする。真空ポンプが真空引きする処理ガスには、シランガス(SiH4)、ジクロロシランガス(SiH2Cl2)、アンモニア(NH3)等の有害可燃性ガス、又はNF3、ClF3,SF6,CHF3,C2F6,CF4等のハロゲン系難分解性ガスが含まれる場合がある。この場合には、真空ポンプが真空引きする処理ガスをそのまま大気中に放出することができない。そのため、真空ポンプの後段には除害装置が設けられており、除害装置は真空引きした処理ガスの無害化処理をする。処理ガスの無害化処理としては、処理ガスを液体と接触させて異物や水溶性成分等を除去する湿式のものや、処理ガスを燃焼させる燃焼式のもの等が知られている。
【0003】
また、真空ポンプから排気される処理ガスには、真空チャンバ内での反応等によって固形化した物質又は固形化しやすい物質が反応副生成物として混入している場合がある。こうした生成物が除害装置に侵入すると、配管及び除害装置の詰まり、又は、除害装置の処理効率の低下を招くおそれがある。このため、真空ポンプ装置と除害装置との間に、異物を取り除くための異物除去機構が設けられる場合がある。
【0004】
異物除去機構の一例として、ファンスクラバーが知られている。ファンスクラバーは、処理ガスを撹拌するファンと、ファンを駆動するモータと、液体を噴出するノズルと、を備える。ファンスクラバーは、ノズルから噴出する液体によって異物を捕捉する。ファンスクラバーは、異物除去機構として機能すると共に湿式除害装置としても機能する。
【0005】
ここで、処理ガスには、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、ケイ酸テトラエチル(TEOS)等が含まれる場合がある。これらの処理ガスは常温での蒸気圧が低いため、温度が降下する除害装置の配管の内部でこれらの処理ガスから固体生成物が生成される。そして、この固体生成物が、配管の壁面に付着することで、配管を塞いでしまうおそれがある。また、処理ガスには、Al配線のエッチングに用いられるBCl3、ポリシリコンをCl系ガスでエッチングした場合に排出されるSiCl4等が含まれる場合がある。これらの処理ガスは水と反応して固体生成物を生じるため、除害装置の内部が湿っている場合、この固体生成物が、配管を塞いでしまうおそれがある。そこで、配管の壁面に付着した固体生成物を除去する必要があり、配管の壁面に付着した固体生成物を除去する機能を有する除害装置が知られている。
【0006】
例えば、配管内の固体生成物を除去する機能を有する除害装置を含むシステムの一例として、特許文献1に記載された排気ガス処理システムが挙げられる。特許文献1に記載された排気ガス処理システムは、半導体製造装置と、半導体製造装置からガス(処理ガス)を排出するための真空ポンプと、湿式排ガス処理装置と、真空ポンプと湿式排ガス処理装置とを接続する第2の管と、第2の管に設けられた固体生成物除去装置と、を備える。この固体生成物除去装置は、第2の管内に位置する先端開口を有し、先端開口から洗浄水を第2の管の内面に供給する洗浄水導入管を備えることを特徴としている。これにより、ガス(処理ガス)が管内の水分と反応して第2の管の内面に固体生成物が付着した場合に、固体生成物除去装置は、この固体生成物を先端開口から供給される洗浄水で洗い落すこと
ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に記載された排気ガス処理システムは、洗浄水を用いて、配管の壁面に付着した固体生成物を除去している。したがって、配管の壁面は、固体生成物の除去を行っているときには、洗浄水によって湿潤する。他方、固体生成物の除去を行っていないときには、配管の壁面は、乾燥する。このため、洗浄水が流れる配管の壁面の部分、すなわち洗浄水を供給する先端開口近傍の部分では、配管の壁面の濡れ乾きが頻繁に発生する。つまり、洗浄水を供給する先端開口近傍の部分では、配管の壁面の濡れ乾きに起因する腐食が、他の配管の部分と比較して多く発生するおそれがある。腐食が発生した状態で、除害装置を使用すると、装置の性能低下や装置全体の故障が発生するおそれがある。
【0009】
また、濡れ乾きが頻繁に発生する配管の壁面の部分がPFAコーティングされていれば、当該部分の腐食を抑えることができるとも考えられる。しかし、洗浄水を供給するための先端開口は、第2の管の内面に設けられた洗浄水を流すための孔である。このため、先端開口から繰り返し洗浄水を流すことで、先端開口の縁を起点としてコーティングが剥離してしまうおそれがある。そして、この剥離した部分から配管の壁面の腐食が発生するおそれがある。つまり、PFAコーティングの有無にかかわらず、洗浄水を供給する開口近傍の部分の腐食は、他の配管の部分と比較して早く発生するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を鑑み、配管の壁面の腐食に起因する装置の性能低下や装置全体の故障を抑制できる除害装置、除害装置の配管部の交換方法及び除害装置の配管の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(形態1)
形態1に係る除害装置は、処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、前記流路の一部を形成する第1の配管と、前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する一段目散水部を有する交換可能な、配管部と、前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、を備える。
形態1に係る除害装置において、一段目散水部は、交換可能な配管部に含まれている。したがって、内壁に付着した固体生成物の除去に起因して、一段目散水部近傍の部分が腐食した場合でも、配管部を交換することで、容易に当該腐食した部分を交換することができる。このため、配管の壁面に腐食がない状態を維持することができ、除害装置は、配管の壁面の腐食に起因する装置の性能低下や装置全体の故障を抑制できる。
【0012】
(形態2)
形態2に係る除害装置は、形態1に記載の除害装置において、前記内壁を加熱するヒータを、さらに備える。
形態2に係る除害装置は、ヒータにより内壁を加熱することで、内壁に固体生成物が付着することを抑制できる。
【0013】
(形態3)
形態3に係る除害装置は、形態1又は形態2に記載の除害装置において、前記配管部は、耐食金属からなる。
形態3に係る除害装置によれば、腐食に比較的強い耐食金属が配管部に用いられると、配管部の交換が必要となる頻度を下げることができる。
【0014】
(形態4)
形態4に係る除害装置は、形態1から3のいずれか1つに記載の除害装置において、前記内壁のうち前記第2の配管の部分が、PFAコーティングされている。
形態4に係る除害装置によれば、内壁のうち第2の配管の部分がPFAコーティングされている。このため、第2の配管の内壁の腐食を抑制できる。
【0015】
(形態5)
形態5に係る除害装置は、形態1から4のいずれか1つに記載の除害装置において、前記配管部と、前記第1の配管又は前記第2の配管と、の繋目を密封するOリングと、前記繋目において、前記配管部と、前記第1の配管又は前記第2の配管とを密着させるクランプと、をさらに備える。
形態5に係る除害装置では、配管部と第1の配管又は第2の配管とは、をOリング及びクランプを用いた単純な構成で繋がれている。これにより、クランプが取り外されることで、配管部は容易に取り外される。また、交換後に取り付けられる新たな配管部は、クランプにより容易に固定される。
【0016】
(形態6)
形態6に係る除害装置は、形態1から5のいずれか1つに記載の除害装置において、前記一段目散水部よりも上流側に位置し、前記一段目散水部よりも上流側の前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する二段目散水部を、さらに備える。
除害装置において、一段目散水部が洗浄水を散水すると、一段目散水部が散水した洗浄水が飛び散ることで、一段目散水部よりも上流に固体生成物が生成され得る。形態6に係る除害装置は、二段目散水部を用いることで、一段目散水部の散水によって付着した固体生成物を除去することができる。
【0017】
(形態7)
形態7に係る除害装置は、形態6に記載の除害装置において、前記一段目散水部よりも上流側の前記流路内の圧力を計測する圧力センサを、さらに備え、前記一段目散水部は、前記圧力センサが予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に散水し、前記二段目散水部は、前記流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水をする。
除害装置の配管の壁面に固体生成物が付着することで配管内の処理ガスが流れる流路が狭まると、流路内の圧力が上昇する。形態7に係る除害装置によれば、圧力センサが、流路内の圧力の上昇を計測し、一段目散水部が必要に応じて、固体生成物を除去することができる。また、二段目散水部は、流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水をするため、除害装置は、前段に設けられた装置の所定のプロセス終了時に定期的に、一段目散水部の散水により付着した固体生成物を除去することができる。
【0018】
(形態8)
形態8に係る除害装置は、形態7に記載の除害装置において、前記二段目散水部は、前記除害装置の前段又は後段に設けられた装置からプロセスガス停止信号を受信した時を、前記固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなして、散水する。
形態8に係る除害装置によれば、当該除害装置の前段にある装置から出力されるプロセスガス停止信号又は当該除害装置の後段にある装置からのプロセス停止信号を受信した時
を、固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなしている。このため、この除害装置は、前段に設けられた装置からの処理ガスの供給が停止した時に定期的に、一段目散水部の散水により付着した固体生成物を除去することができる。
【0019】
(形態9)
形態9に係る除害装置は、形態6から8のいずれか1つに記載の除害装置において、前記二段目散水部は、前記配管部に含まれている。
形態9に係る除害装置によれば、二段目散水部が配管部に含まれているため、二段目散水部によって二段目散水部近傍が腐食した場合でも、容易に当該腐食した部分を交換できる。
【0020】
(形態10)
形態10に係る除害装置は、形態1から9のいずれか1つに記載の除害装置において、前記一段目散水部は、洗浄水を散水していないときに、乾燥気体を噴出し続ける。
形態10に係る除害装置によれば、一段目散水部が乾燥気体を噴出するため、洗浄水を散水していないときに、一段目散水部に処理ガスが入り込むことを防止できる。
【0021】
(形態11)
形態11に係る除害装置は、形態10に記載の除害装置において、前記乾燥気体の噴出は、前記洗浄水の散水終了後の一定時間の間には、一定の第1の流量で行われ、前記一定時間の経過後には、前記第1の流量よりも少ない第2の流量で行われる。
形態11に係る除害装置によれば、洗浄水の散水終了後の一定時間の間に一段目散水部から噴出される乾燥気体の流量は、一定時間経過後に一段目散水部から噴出される乾燥気体の流量よりも多い。これにより、この除害装置は、散水終了後により早く、洗浄水で湿った壁面を乾燥できる。
【0022】
(形態12)
形態12に係る除害装置は、形態10又は形態11に記載の除害装置において、前記乾燥気体は、不活性ガスである。
形態12に係る除害装置では、取得の容易な不活性ガスを乾燥気体として用いることができる。
【0023】
(形態13)
形態13に係る除害装置は、形態1から12のいずれか1つに記載の除害装置において、洗浄液を供給する液体供給路を有するファンスクラバーと、前記一段目散水部よりも下流に位置し、前記液体供給路に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水するスプレーと、をさらに備える。
形態13に係る除害装置において、スプレーが液体供給路に向かって洗浄水を散水すると、洗浄水は、その水流によって液体供給路に付着した固体生成物を除去する。このとき、洗浄水の一部は水滴となって、スプレーの近傍の内壁の部分に付着してしまう。そして、洗浄水の流量が少ない部分では、水滴は、その場に留まり処理ガスと反応する。これにより、水滴と反応した処理ガスは、流路を大きく塞ぐ固体生成物を生成してしまうおそれがある。形態13に係る除害装置は、スプレーよりも上流に位置する一段目散水部を備えている。これにより、この除害装置は、スプレーによって生成された固体生成物を一段目散水部が散水する洗浄水を用いることで除去することができる。
【0024】
(形態14)
形態14に係る除害装置は、形態13の除害装置において、前記ファンスクラバーは、ファンと、前記ファンを回転させるキャンドモータと、を有する。
形態14に係る除害装置によれば、ファンスクラバーのファンを回転させるモータがキ
ャンドモータであるため、洗浄水のキャンドモータへの浸水に起因する、キャンドモータの故障が発生しにくい。
【0025】
(形態15)
形態15に係る除害装置の配管部の交換方法は、処理ガスが流れる流路を形成する内壁と、前記流路の一部を形成する第1の配管と、前記流路の一部を形成し、前記第1の配管よりも前記流路の下流側に位置して前記第1の配管に繋がり、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する一段目散水部を有する交換可能な、配管部と、前記流路の一部を形成し、前記配管部よりも前記流路の下流側に位置して前記配管部に繋がる第2の配管と、を備える除害装置を用い、前記配管部を交換する工程を、有する、除害装置の配管部の交換方法。
形態15に係る除害装置の配管部の交換方法によれば、内壁に付着した固体生成物の除去に起因して、一段目散水部近傍の部分が腐食した場合でも、配管部を交換することで、容易に当該腐食した部分を交換することができる。このため、配管の壁面に腐食がない状態を維持することができ、配管の壁面の腐食に起因する装置の性能低下や装置全体の故障を抑制できる。
【0026】
(形態16)
形態16に係る除害装置の配管の洗浄方法は、処理ガスが流れる流路を形成する内壁を有する除害装置であって、前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する一段目散水部と、前記一段目散水部よりも上流側に位置し、前記一段目散水部よりも上流側の前記内壁に付着した固体生成物を除去する洗浄水を散水する二段目散水部と、前記一段目散水部よりも上流側の前記流路内の圧力を計測する圧力センサと、を備える除害装置を用い、前記圧力センサが予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に、前記一段目散水部が散水する工程と、前記流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に、前記二段目散水部が散水をする工程と、を有する。
形態16に係る除害装置の配管の洗浄方法によれば、流路のつまりを圧力を用いて間接的に検知することで、一段目散水部は、固体生成物によって一段目散水部よりも下流側の配管が詰まることを確実に防止できる。また、二段目散水部は、流路を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水をするため、除害装置は、前段に設けられた装置の所定のプロセス終了時に定期的に、一段目散水部の散水により付着した固体生成物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態である除害装置を備えるガス処理システムのブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態である除害装置の構成を示す断面図である。
【
図3】
図2で示した除害装置の第1の配管、第2の配管及び配管部の周辺を示す拡大断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態である除害装置の配管部の周辺を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0029】
[第1実施形態]
<構成>
図1は、本発明の第1実施形態である除害装置を備えるガス処理システムのブロック図である。
図1を参照するとガス処理システム500は、製造装置501、ドライポンプ502、除害装置100、第2除害装置503及び排気ダクト504を備える。製造装置5
01、ドライポンプ502、除害装置100、第2除害装置503及び排気ダクト504は、この順に配管で繋がれている。
ドライポンプ502は、製造装置501で所定の処理を行う場合に、製造装置501から処理ガスを吸引し、当該処理ガスを除害装置100へ供給する。除害装置100及び第2除害装置503は、処理ガスを無害化する機能を有する。また、排気ダクト504は、第2除害装置503から流れ込んだ処理ガスを排気する。つまり、ガス処理システム500では、製造装置501から排出された処理ガスを無害化して排気できる。
また、製造装置501は、製造装置501の後段に設けられたドライポンプ502、除害装置100及び第2除害装置503と電気的に接続されている。さらに、除害装置100は、ドライポンプ502、及び第2除害装置503と電気的に接続されている。これにより、ガス処理システム500では、製造装置501、除害装置100は、ドライポンプ502、及び第2除害装置503は、電気通信を行い、互いに協同して動作する。
【0030】
図2は、除害装置100の構成を示す断面図である。
図2を参照すると、除害装置100は、ファンスクラバー110、第1の配管130、第2の配管150、配管部170及びスプレー190を備える。除害装置100は、気体吸入口101から吸入した処理ガスを無害化して、この無害化された処理ガスを気体吐出口102から吐出する機能を有する。除害装置100は、例えば半導体、液晶、太陽光パネル、LED等の製造設備に利用できる。
【0031】
以下、除害装置100の各構成要素について分説する。
ファンスクラバー110は、ケーシング111、ファン112、液体供給路113、ノズル114及びキャンドモータ115を備える。ファンスクラバー110は、ノズル114から噴出される洗浄液によって異物を捕捉する機能と、処理ガスを洗浄液と接触させることにより処理ガスを無害化する機能と、を有する。
ケーシング111は、一例として、処理ガスを吸入する配管接続口111a、処理ガスを吐出する気体吐出口111b及び処理ガスの無害化に用いられた洗浄液を廃液として吐出する液体排出口111cを有する。ケーシング111は、ファン112を覆い、処理ガスの流路を画定している。
ファン112は、一例として、対抗する2枚の円盤と、この円盤の間に設けられた複数の羽根を有している。ファン112は、円盤の中心を中心として回転することで、処理ガスをケーシング111の内部で撹拌する機能を有する。
液体供給路113は、一例として、配管接続口111aからファン112の回転軸(キャンドモータ115の主軸116)に向かって延び、その一部が、第2の配管150の近傍にある。液体供給路113の端部には、ノズル114が取り付けられており、液体供給路113は、図示しない圧送機構とノズル114とを連通する。液体供給路113は、圧送機構から供給される洗浄液をノズル114に供給する。
ノズル114には、複数の噴出口が形成されている。ノズル114は、ファン112の内側でファン112の回転軸(キャンドモータ115の主軸116)に対向して設けられる。ノズル114は、複数の噴出口からファン112の内部に洗浄液を噴出する。洗浄液としては、水や、洗浄に用いられる公知の液体等を用いることができる。
【0032】
キャンドモータ115は、主軸116、ロータ117、ロータ117の外周に配置されたステータ118、モータケーシング119、及び、キャン120、を有する。モータケーシング119は、ロータ117とステータ118とを収容している。キャン120は、モータケーシング119内でロータ117が配置されるロータ室とステータ118が配置されるステータ室とを区画する。キャンドモータ115の主軸116は、ファン112とつながっている。このため、キャンドモータ115が回転することで、ファン112は回転できる。また、モータケーシング119とケーシング111とが直接に連結されている。このため、除害装置100は、ケーシング111とキャンドモータ115との間に、処
理ガスがケーシング111及びキャンドモータ115の内部から外部に漏れることを防止する磁性流体シールを有する必要がない。すなわち、除害装置100は、磁性流体シールを備える場合に起こる磁性流体シールの部分の漏れを防止することができる。また、処理ガスが主軸116を伝ってケーシング111の内部からキャンドモータ115の内部に侵入した場合でも、ステータ118がキャン120によって区画されているため、処理ガスはステータ118に接触しない。すなわち、除害装置100は、ケーシング111の内部の処理ガスによって、キャンドモータ115が破損することを抑制できる。
【0033】
図3は、
図2で示した除害装置100の第1の配管130、第2の配管150及び配管部170の周辺を示す拡大断面図である。
図3を参照して、第1の配管130、第2の配管150及び配管部170の部分についてより詳細に説明する。
図3を参照すると、除害装置100は、さらに、ヒータ210、Oリング230及びクランプ250を備える。
第1の配管130、第2の配管150及び配管部170は、一体となって、処理ガスが流れる流路103を形成している。別言すると、第1の配管130、第2の配管150及び配管部170は、処理ガスが流れる流路103を形成する内壁104をそれぞれ有している。流路103は、
図3に示すように、上下方向に延び、上流が下流よりも重力方向の上側に位置している。
第1の配管130は、一例として、パイプ状の本体131と、本体131の両端に位置しているフランジ132及びフランジ133とを有している。第1の配管130は、流路103の一部を形成している。フランジ132は、図示しない処理ガスを吐出する装置に繋がれている。
【0034】
配管部170は、一例として、パイプ状の本体171と、本体171の両端に位置しているフランジ172及びフランジ173とを有している。配管部170は、流路103の一部を形成し、第1の配管130よりも流路103の下流側に位置している。また、配管部170は、耐食金属から構成されている。これにより、腐食に比較的強い耐食金属が配管部170に用いられることとなり、配管部の交換が必要となる頻度を下げることができる。なお、耐食金属は、インコネルや、SUS316や、配管に用いられる耐食に強い金属材料等が含まれる。インコネルは、SUS316と比較して腐食に強い。このため、配管部170がインコネルである場合、配管部170がSUS316である場合と比較して、配管部170の交換が必要となる頻度を下げることができる。他方、配管部170がSUS316である場合、配管部170がインコネルである場合よりも、配管部170の材料は安価なものとなる。配管部170のフランジ172と第1の配管130のフランジ133とは、クランプ250によって固定されている。このクランプ250によって固定される繋目の間には、Oリング230が配置されている。これにより、配管部170と、第1の配管130と、の繋目はクランプ250により密着され、Oリング230により密封されている。また、配管部170は、一例として、
図3の上下方向(重力方向)に延びて配置されている。そして、配管部170は、上方向を上流側とし、下方向を下流側としている。さらに、配管部170は、散水部174(一段目散水部)を有する。散水部174は、一例として、パイプ状の本体171の内壁104に位置し、内壁104の接線方向に延びる貫通孔である。散水部174は、配管部170の長手方向と垂直な面上であって、交換部170の内壁104の円周方向に等間隔に4個設けられている。別言すると、複数の散水部174は、
図3の上下方向において、配管部170の内壁104の同一の高さの位置の円周上に等間隔に設けられている。また、配管部170の外周には、封止リング270が巻きつけられた状態で固定されている。封止リング270の断面形状は、U字形状をしている。これにより、封止リング270と配管部170の外周との間に空洞105が形成されている。空洞105は、配管部170における孔(散水部174)を覆っている。すなわち、封止リング270によって形成される空洞105と、孔(散水部174)とは、連通している。また、洗浄水を供給する洗浄水導入管(図示省略)が、空洞105に
繋がっている。洗浄水導入管が、空洞105に洗浄水を供給することで、散水部174は、空洞105を介して供給された洗浄水を散水する。そして、散水部174が洗浄水を散水する場合、洗浄水は、内壁104を伝って、流路103の下流方向へと流れる。このため、洗浄水は、内壁104に付着した固体生成物を洗い流すことができる。別言すれば、散水部174は、洗浄水を散水することで、内壁104に付着した固体生成物を除去できる。なお、洗浄水として、一例として、水が用いられるが、洗浄用の薬液でもよい。また、除害装置100では散水部174は上述したような構成を有するが、散水部174は洗浄水を流路103へ散水できればよく、上述した構成を有さなくてもよい。例えば、散水部174は、流路103の内部に配置されるノズル状のものでもよい。
【0035】
また、散水部174は、洗浄水を散水していないときに、乾燥気体を噴出し続ける。より詳細には、散水部174の乾燥気体の噴出は、洗浄水の散水終了後の一定時間の間には、一定の第1の流量で行われ、一定時間の経過後には、第1の流量よりも少ない第2の流量で行われる。乾燥気体としては、不活性ガスが用いられる。より具体的には、乾燥気体として窒素が用いられる。
【0036】
第2の配管150は、一例として、パイプ状の本体151と、本体151の両端に位置しているフランジ152及びフランジ153とを有している。また、第2の配管150の内壁104は、PFA
(ペルフルオロアルコキシアルカン)コーティング154が施されている。これにより、第2の配管150の内壁104の腐食を抑制できる。また、固体生成物が第2の配管150の内壁104に付着しにくくでき、洗浄水を流した後に洗浄水が第2の配管150の内壁104に残留しにくくできる。第2の配管150は、流路103の一部を形成し、配管部170よりも流路103の下流側に位置している。第2の配管150のフランジ152と配管部170のフランジ173とは、クランプ250によって固定されている。このクランプ250によって固定される繋目の間には、Oリング230が配置される。これにより、配管部170と、第2の配管150との繋目は、クランプ250により密着され、Oリング230により密封されている。すなわち、クランプ250及びOリング230は、配管部170と第2の配管150とを、単純な構成で繋ぐことができる。フランジ153は、ファンスクラバー110のフランジ121(
図2参照)に繋がっている。
【0037】
除害装置100は上述したような構成を有するため、第1の配管130の気体吸入口101から吸入した処理ガスは、第1の配管130、配管部170及び第2の配管150をこの順に通ってファンスクラバー110の配管接続口111aへと供給される(
図2参照)。
【0038】
スプレー190は、流路103において散水部174よりも下流側であって、液体供給路113(
図2参照)に向かって散水が可能な位置に配置されている。より詳細には、スプレー190は、散水部174が散水した洗浄水が流れる内壁104における部分の近傍に配置されている。除害装置100では、一例として、スプレー190は、第2の配管150の内部に配置されている。スプレー190は、洗浄水を液体供給路113へ向かって散水することで、液体供給路113に付着した固体成形物を除去することができる。
【0039】
ヒータ210は、第1の配管130、第2の配管150及び配管部170の外壁に巻きつけられている。ヒータ210は、内壁104を予め設定した温度に加熱する。なお、予め設定した温度は、除害装置100が処理をする処理ガスに応じて定められ、処理ガスから固体形成物が形成されにくい温度である。別言すると、内壁104が予め設定した温度である場合、内壁104に固体形成物が形成されにくい。
【0040】
<固体生成物の除去動作について>
次に除害装置100の固体生成物の除去動作について再び
図2を参照して説明する。
除害装置100では、上述したように、ファンスクラバー110のノズル114から洗浄液が噴出されている。この洗浄液は、液体供給路113から供給されている。そのため、液体供給路113の外面の温度が低下し、液体供給路113の外壁に固体生成物が付着しやすい。そこで、スプレー190が、液体供給路113の外面に向け洗浄水を散水することで、液体供給路113の外壁に付着した固体生成物を除去している。
ここで、スプレー190は、洗浄水を拡散しながら散水している。このため、洗浄水の一部は水滴となって、スプレー190の近傍の内壁104の部分に付着してしまう。そして、スプレー190が散水した洗浄水の流量が多い部分では、この散水された洗浄水が、水滴となって内壁104に付着した洗浄水を洗い流している。このため、洗浄水の流量の多い部分では、充分な大きさの固体生成物が生成される前に付着した洗浄水の水滴が洗い流されてしまうため、処理ガスから生成される固体生成物は付着しない。他方、スプレー190が散水した洗浄水の流量の少ない部分では、水滴となって内壁104に付着した洗浄水は、充分に洗い流されない。このため、スプレー190が散水した洗浄水の流量の少ない部分では、水滴と反応した処理ガスは、流路を大きく塞ぐ固体生成物(例えば、
図2における固体生成物106)を生成してしまうおそれがある。しかし、除害装置100は、スプレー190の上流に散水部174を備える。このため、散水部174が洗浄水を散水することで、洗浄水は内壁104を伝って、鉛直方向下向きに流れる。そして、洗浄水が固体生成物の付着した部分を流れることで、散水部174は、この付着した固体生成物を除去することができる。なお、散水部174が洗浄水を散水する時間や間隔は、処理ガスの成分や流路の大きさ及び長さ等に応じて任意に定められている。
また、散水部174は、洗浄水の散水終了後の一定時間の間には、第1の流量で乾燥空気を噴出する。一定時間の経過後には、散水部174は、第2の流量で乾燥空気を噴出する。これにより、除害装置100は、洗浄水の散水終了後に、第2の流量よりも多い流量である第1の流量で乾燥気体を散水部174に噴出させることで、洗浄水で湿った内壁104をより早く乾燥することができ、洗浄水導入後に内壁104に残留する洗浄水による新たな固体生成物の付着を防止することができる。また、除害装置100は、散水部174から洗浄水を散水しないときに、常に散水部174から乾燥空気を噴出させることで、散水部174に処理ガスが入ることを防止している。また、ヒータ210は、内壁104を加熱している。このことからも、内壁104は、より早く乾燥される。
【0041】
<配管部の交換方法>
次に配管部170の交換方向について、
図3を参照して説明する。
上述したように、除害装置100は散水部174から洗浄水の散水を行うため、散水部174の近傍の内壁104の部分において、洗浄水による濡れ及び乾きが頻繁に発生する。これにより、この部分が腐食してしまう場合がある。
散水部174の近傍の内壁104の部分が腐食した場合、まず、腐食した配管部170の両端のクランプ250をそれぞれ取り外す。次に、腐食した配管部170を、第1の配管130及び第2の配管150から取り外す。その後、腐食していない配管部170を、第1の配管130及び第2の配管150の間に挟み、この配管部170の両端をそれぞれクランプ250によって固定する。
このように、除害装置100では、腐食しやすい配管部170のみを部分的に交換することができる。このため、除害装置100では、配管部170のみを交換することにより、腐食しやすい散水部174の近傍の部分を腐食がない状態に維持することができる。つまり、除害装置100は、管の内壁104の腐食に起因する装置の性能低下や装置全体の故障を抑制できる。
【0042】
<変形例>
本実施形態では、除害装置100は、処理ガスを処理するファンスクラバー110を備えていた。除害装置100は、処理ガスを処理する機構を備えていればよく、ファンスクラバー110を備えていなくともよい。
また、除害装置100では、ヒータ210は、第1の配管130、第2の配管150及び配管部170の外壁の全体に巻きつけられている。しかし、ヒータ210は、外壁の全体に巻きつける必要はなく、加熱することが必要な部分にのみに配置されてもよい。
【0043】
[第2実施形態]
<構成>
本発明の第2実施形態である除害装置は、配管部及び圧力センサの構造が異なる以外、第1実施形態の除害装置100と同様の構造を有する。
図4は、本発明の第2実施形態である除害装置の配管部の周辺を示す拡大断面図である。
図4を参照して、第2実施形態に係る除害装置300について詳細に説明する。
除害装置300は、第1の配管330、第2の配管350、配管部370、ヒータ410、Oリング430、クランプ450、スプレー390及び圧力センサ490を備える。ここで、第1の配管330、第2の配管350、ヒータ410、Oリング430、クランプ450及びスプレー390は、第1実施形態で説明したものと同じである。
【0044】
配管部370は、第1実施形態で説明した配管部170の構成要素を全て有しており、かつ、配管部370は、一段目散水部374(第1実施形態で説明した散水部174の構成を有するもの)の上流側に二段目散水部375を有する。
二段目散水部375は、一段目散水部374と同様に、パイプ状の本体371の内壁304に位置し、内壁304の接線方向に延びる貫通孔である。二段目散水部375は、配管部370の長手方向と垂直な面上であって、配管部370の内壁304の円周方向に等間隔に4個設けられている。別言すると、複数の一段目散水部374は、
図4の上下方向において、配管部370の内壁304の同一の高さの位置の円周上に等間隔に設けられている。二段目散水部375の部分においても、封止リング470が一段目散水部374と同様に巻きつけられており、二段目散水部375は、洗浄水を散水できる。二段目散水部375が洗浄水を散水する場合、洗浄水は、内壁304を伝って、流路303の下流方向へと流れる。また、二段目散水部375は、一段目散水部374よりも上流側に位置している。このため、二段目散水部375は、洗浄水を散水することで、一段目散水部374よりも上流側の内壁304に付着した固体生成物を除去できる。なお、二段目散水部375も、洗浄水を流路303へ散水できればよく、第1実施形態で説明した散水部174と同様に上述した構成を有さなくてもよい。
このように、除害装置300では、二段目散水部375が配管部370に含まれている。このため、二段目散水部375によって二段目散水部375の近傍が腐食した場合でも、配管部370を交換することで容易に当該腐食した部分を交換できる。
【0045】
圧力センサ490は、一段目散水部374よりも上流側の流路303の内部の圧力を計測するできる位置に配置されて、一段目散水部374より上流側の流路の圧力を計測する。
また、除害装置300では、一段目散水部374及び二段目散水部375の散水のタイミングが定められている。除害装置300は、一段目散水部374及び二段目散水部375の散水のタイミングを制御する制御部(図示省略)を備えている。具体的には、一段目散水部374は、圧力センサ490が予め定めた閾値よりも高い圧力を計測した時に散水する。他方、二段目散水部375は、流路303を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水する。特に除害装置300は、除害装置300の前段に設けられた製造装置501からプロセスガス停止信号を受信した時を、固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなす(
図1参照)。なお、除害装置300は、除害装置300の前段に設けられたドライポンプ502又は除害装置300の後段に設けられた第2除害装置503からプロセスガス停止信号を受信した時を、処理ガスの流れが停止した時とみなしてもよい(
図1参照)。また、除害装置300は、流路303の内部の風速を計測し、当該風速が一定の閾値以下となった時を、固体生成物の発生に起因する処理ガスが
停止した時とみなしてもよい。
【0046】
<固体生成物の除去動作について>
次に除害装置300の固体生成物の除去動作について説明する。
除害装置300においても、上述した除害装置100と同様に、スプレー390が散水した洗浄水が第2の配管350の内壁304の部分に付着する場合があるため、第2の配管350の内壁304の部分に固体生成物が付着する場合がある。そして、内壁304に付着した固体生成物は、時間の経過とともに成長する。この場合、処理ガスが流れる流路303が狭まる。このため、処理ガスが流れにくくなり、固体生成物の付着した第2の配管350の上流側の圧力が上昇する。圧力センサ490は、この上昇した圧力を計測する。そして、一段目散水部374は、圧力センサ490が予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に散水する。これにより、ある程度の固体生成物が内壁304に付着したときに、一段目散水部374は洗浄水の散水を行う。つまり、一段目散水部374は、内壁304に付着した固体生成物の量を圧力により推定して固体生成物の除去を行うことができるために、固体生成物によって配管が詰まることを確実に防止できる。なお、一段目散水部374が散水を開始する圧力の閾値は、処理ガスが流れるのに必要な流量に基づいて任意に決定されている。
【0047】
また、一段目散水部374が洗浄水を散水すると、洗浄水が水滴となって一段目散水部374の近傍に飛び散り、飛び散った洗浄水の水滴が一段目散水部374よりも上流側に付着する場合がある。これにより、一段目散水部374よりも上流側に付着した水滴が処理ガスと反応することで、一段目散水部374よりも上流側に固体生成物が生成される。この固体生成物は、一段目散水部374よりも上流側に位置しているため、一段目散水部374の洗浄水の散水では除去されにくい。そこで、本実施形態では、除害装置300は、二段目散水部375を備えている。このため、二段目散水部375が洗浄水を散水することで、二段目散水部375は、二段目散水部375よりも下流側の一段目散水部374の近傍の固体生成物を除去することができる。つまり、除害装置300は、二段目散水部375を用いることで、一段目散水部374の散水によって付着した固体生成物を除去することができる。
【0048】
なお、除害装置300では、二段目散水部375は、流路303を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水をする。ここで、流路303を流れる処理ガスの流れは、除害装置300の前段に設けられた装置からの処理ガスの供給が停止した時にあわせて停止することとなる。すなわち、除害装置300は、前段に設けられた装置からの処理ガスの供給が停止した時に、二段目散水部375の散水により付着した固体生成物を除去することができる。一般的には、処理ガスを供給する装置は、所定のプロセス終了時に処理ガスの供給を停止する。このことから、除害装置300は、前段に設けられた装置の所定のプロセス終了時に定期的に固体生成物を除去することができる。特に、前述したように、除害装置300は、除害装置300の前段に設けられた製造装置501からプロセスガス停止信号を受信した時を、固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなしている。このため、前段に設けられた装置であるドライポンプ502からの処理ガスの供給が停止した時に定期的に、一段目散水部374の散水により付着した固体生成物を除去することができる。
【0049】
<除害装置の配管の洗浄方法>
次に除害装置300の配管の洗浄方法について説明する。
除害装置300の前段に設けられた製造装置501が所定のプロセスを行う場合、ドライポンプ502は、除害装置300に処理ガスを供給する。そして、処理ガスは、流路303を流れる。この時、処理ガスは、水と反応して内壁304に固体生成物を生成する。これにより、圧力センサ490が検知する圧力が上昇する。そして、圧力センサ490が
予め定めた閾値よりも高い圧力を検知した時に、一段目散水部374が散水する。このため、一段目散水部374は、一段目散水部374よりも下流側が固体生成物によって詰まることを確実に防止できる。また、製造装置501の所定のプロセスの終了時に、製造装置501は、除害装置300にプロセスガス停止信号を送信する。除害装置300は、このプロセスガス停止信号を受信した時を、固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時とみなす。そして、二段目散水部375は、洗浄水を散水する。このため、除害装置300は、製造装置501の所定のプロセス終了時に定期的に、一段目散水部374の散水により付着した固体生成物を除去することができる。
【0050】
<変形例>
除害装置300では、二段目散水部375は流路303を流れる固体生成物の発生に起因する処理ガスが停止した時に散水を開始していたが、二段目散水部375が散水を開始するタイミングはこの時に限られず任意に決定してもよい。例えば、前段に設けられた装置から所定の信号を受信した時に、二段目散水部375は散水を開始してもよい。より具体的には、除害装置300の前段に設けられた装置が半導体製造装置である場合に、散水を開始するタイミングを、デポジッション工程が終了した時と一致させてもよい。なお、デポジッション工程とは、所定の不純物濃度をシリコン表面に付着させる工程のことをいう。このため、除害装置300は、デポジッション工程が終了した時に固体生成物を除去することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 除害装置
101 気体吸入口
102 気体吐出口
103 流路
104 内壁
110 ファンスクラバー
111 ケーシング
112 ファン
113 液体供給路
115 キャンドモータ
130 第1の配管
150 第2の配管
154 PFAコーティング
170 配管部
174 散水部
190 スプレー
210 ヒータ
230 Oリング
250 クランプ
300 除害装置
303 流路
304 内壁
330 第1の配管
350 第2の配管
370 配管部
374 一段目散水部
375 二段目散水部
390 スプレー
410 ヒータ
430 Oリング
450 クランプ
490 圧力センサ