(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】PV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20220823BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20220823BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G06Q50/06
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2018242198
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-08-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年 電気学会 電力・エネルギー部門大会 講演論文集 発行日 平成30年8月31日 平成30年 電気学会 電力・エネルギー部門大会 開催日 平成30年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】520242399
【氏名又は名称】九州電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 篤
(72)【発明者】
【氏名】門倉 真二
(72)【発明者】
【氏名】野原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小島 健輔
(72)【発明者】
【氏名】下村 義隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩幸
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108475(JP,A)
【文献】特開2014-157457(JP,A)
【文献】特開2012-023816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域における過去日の日射量分布の情報、前記過去日の太陽光発電出力の測定結果及び前記太陽光発電出力の予測に用いる複数の予測モデル毎の前記過去日における予測結果を格納する格納部と、
予測対象日の日射量分布の情報を取得し、前記過去日のうち所定期間に含まれる選択対象日の中から前記予測対象日に類似する前記日射量分布を有する類似日を抽出する抽出部と、
前記測定結果及び前記予測モデル毎の前記予測結果を基に、前記抽出部により抽出された前記類似日における前記予測モデル毎の予測誤差を取得する予測誤差取得部と、
前記予測誤差取得部が取得した各前記予測誤差を、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測の各前記予測モデルの予測誤差として通知する通知部と
を備えたことを特徴とするPV出力予測支援装置。
【請求項2】
前記日射量分布を基に前記過去日を複数のグループに分類する分類部と、
前記グループ毎の前記予測モデル毎の前記予測結果を取得し、各前記グループについて前記予測モデル毎の前記予測誤差を算出する予測誤差算出部とをさらに備え、
前記予測誤差取得部は、前記抽出部により抽出された前記類似日が属する前記グループについて前記予測誤差算出部により算出された前記予測モデル毎の前記予測誤差を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のPV出力予測支援装置。
【請求項3】
前記予測誤差算出部は、前記過去日の前記測定結果及び前記予測結果を基に、誤差評価関数を用いて前記予測誤差を求めることを特徴とする請求項2に記載のPV出力予測支援装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記選択対象日の日射量分布を基に前記選択対象日のそれぞれが属する前記グループを特定し、前記予測対象日の日射量分布を基に各前記グループについて前記予測対象日との誤差を求め、誤差が少ない所定数の前記グループに属する前記選択対象日から類似日を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載のPV出力予測支援装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記予測対象日及び各前記選択対象日の日射量分布を基に前記予測対象日及び各前記選択対象日の所定気象の状態を求め、前記予測対象日及び各前記選択対象日の前記日射量分布及び前記所定気象の状態を基に前記類似日を抽出することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のPV出力予測支援装置。
【請求項6】
前記抽出部は、
前記予測対象日の日射量分布と各前記選択対象日の日射量分布とのそれぞれの第1差分を算出する第1差分算出部と、
前記予測対象日の日射量分布から前記予測対象日の雲域の移動速度を求め、各前記選択対象日の日射量分布から各前記選択対象日の雲域の移動速度を求め、前記予測対象日の雲域の移動速度と各前記選択対象日の雲域の移動速度とのそれぞれの第2差分を算出する第2差分算出部と、
前記予測対象日の日射量分布を基に前記予測対象日の雲分布を求め、各前記選択対象日の日射量分布を基に各前記選択対象日の前記雲分布を求め、前記予測対象日と各前記選択対象日との前記雲分布の差分を算出する雲分布差分取得部と、
各前記選択対象日及び前記予測対象日の相対湿度を取得し、各前記選択対象日と前記予測対象日との前記相対湿度の差分を算出する湿度差分取得部と、
前記第1差分及び前記第2差分を基に、前記選択対象日から前記雲分布の差分が第1所定値より大きい日及び前記相対湿度の差分が第2所定値より大きい日を除いた中から前記類似日を抽出する類似日抽出部と
を備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のPV出力予測支援装置。
【請求項7】
前記予測誤差取得部が取得した各前記予測誤差を基に、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測に用いる使用モデルを前記予測モデルの中から決定する使用予測モデル決定部をさらに備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のPV出力予測支援装置。
【請求項8】
対象地域における過去日の日射量分布の情報、前記過去日の太陽光発電出力の測定結果及び太陽光発電出力の予測に用いる複数の予測モデル毎の前記過去日における予測結果を格納する格納部と、
予測対象日の日射量分布の情報を取得し、前記過去日のうち所定期間に含まれる選択対象日の中から前記予測対象日に類似する日射量分布を有する類似日を抽出する抽出部と、
前記測定結果及び前記予測モデル毎の前記予測結果を基に、前記抽出部により抽出された前記類似日における前記予測モデル毎の予測誤差を求める予測誤差取得部と、
前記予測誤差取得部が取得した予測誤差を基に、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測に用いる使用モデルを前記予測モデルの中から決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記使用モデルを用いて太陽光発電出力を予測する予測部と
を備えたことを特徴とするPV出力予測装置。
【請求項9】
対象地域における過去日の日射量分布の情報、前記過去日の太陽光発電出力の測定結果及び太陽光発電出力の予測に用いる複数の予測モデル毎の前記過去日における予測結果を取得し、
予測対象日の日射量分布の情報を取得し、前記過去日のうち所定期間に含まれる選択対象日の中から前記予測対象日に類似する日射量分布を有する類似日を抽出し、
前記過去日における前記測定結果及び前記予測モデル毎の前記予測結果を基に、抽出した前記類似日における前記予測モデル毎の予測誤差を求め、
求めた各前記予測誤差を、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測の各前記予測モデルの予測誤差として通知する
ことを特徴とするPV出力予測支援方法。
【請求項10】
対象地域における過去日の日射量分布の情報、前記過去日の太陽光発電出力の測定結果及び太陽光発電出力の予測に用いる複数の予測モデル毎の前記過去日における予測結果を取得し、
予測対象日の日射量分布の情報を取得し、前記過去日のうち類似する日射量分布を有する類似日を抽出し、
前記過去日における前記測定結果及び前記予測モデル毎の前記予測結果を基に、選択した前記類似日における前記予測モデル毎の予測誤差を求め、
求めた各前記予測誤差を、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測の各前記予測モデルの予測誤差として通知する
ことを特徴とするPV出力予測支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現やエネルギーの効率的な利用に向け、今後太陽光発電(PV:Photovoltaics)や蓄電池などのエネルギー機器を活用する需要家が増加していくことが想定される。特に、FIT(Feed In Tariff)施行以降、配電系統への太陽光発電システム(Photovoltaics)の導入が急速に進んでいる。
【0003】
電力会社の電力系統に太陽光発電が大量に導入されると、その出力変動により電力会社の需給運用に大きな影響を及ぼすことが懸念される。このような状況で、安定した需給運用を行うためには、電力系統全体の広域レベルから配電用変電所単位の地区レベルまで、様々な規模のエリアにおける太陽光発電の出力を即時且つ正確に予測することが求められる。以下では、太陽光発電の出力を「PV出力」と言う。
【0004】
PV出力の予測に用いる日射量は日々の気象変化によって変動する。そのため、日射量はPV出力の予測における大きな誤差要因となり得る。例えば、前線に対する時間的及び空間的な予測誤差は、日射量やその変化のタイミングに大きなずれを発生させ、需給運用に大きな影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
このような予測誤差を低減するために、複数のPV出力の予測モデルを組み合わせることで、予測精度の向上を試みる技術が提案されている。PV出力は実際の日射量が分かれば求めることが可能であるので、PV出力の予測モデルは、言い換えれば実際の日射量の予測モデルと考えることもできる。この技術により、PV出力の上振れや下振れの出力変動を考慮して予測が可能となる。加えて、各予測モデルや予測結果の過去から現在までのバラつきから、予測結果の信頼性の評価が可能となる。
【0006】
ここで、天候情報の予測技術として、関連付けられた天候情報及び特徴情報を基に衛星画像をグループ化し、予測対象衛星画像の特徴情報から類似するグループを特定してそのグループに関連付けられた天候情報により将来の天候を予測する従来技術がある(特許文献1)。また、PV出力の予測技術として、予測対象日の類似日のデータに対して所定の換算式を用いて現時点のPV出力を推定する従来技術がある(特許文献2)。他にも、過去の各時間帯の気象実績と気象予報とを取得して類似時間帯に分類し、類似時間帯の発電量実績及び大気外日射量に基づいて、気象実績の種類における予測対象時間帯の大気外日射量から予測発電量を算出する予測式を求める従来技術がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-205930号公報
【文献】特開2014-200167号公報
【文献】国際公開第2017/026010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の複数の予測モデルを扱う技術では、PV出力の予測モデル間で予測結果のバラつきが大きい場合、需給運用にどのモデルを選択するかが重要であるが、現在は予測を行う運用者の経験などから選択が行われている。運用者の経験に基づく選択では選択ミスなどにより、PV出力の予測結果の精度が低下するおそれがある。
【0009】
また、上述した従来技術では、いずれも複数のPV出力の予測モデルの取り扱いは考慮されておらず、適切なモデル選択によるPV出力の予測の精度の向上は困難である。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、PV出力の予測の精度を向上させるPV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示するPV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラムの一つの態様において、格納部は、対象地域における過去日の日射量分布の情報、前記過去日の太陽光発電出力の測定結果及び前記太陽光発電出力の予測に用いる複数の予測モデルを用いた場合の前記過去日における各予測結果を格納する。抽出部は、予測対象日の日射量分布の情報を取得し、前記過去日のうち所定期間に含まれる選択対象日の中から前記予測対象日に類似する前記日射量分布を有する類似日を抽出する。予測誤差取得部は、前記測定結果及び各前記予測結果を基に、前記抽出部により抽出された前記類似日における前記予測モデル毎の予測誤差を取得する。通知部は、前記予測誤差取得部が取得した各前記予測誤差を、前記予測対象日の太陽光発電出力の予測の各前記予測モデルの予測誤差として通知する。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面では、本発明は、PV出力の予測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、PV出力予測支援システムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係るPV出力予測装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、クラスタリングに基づく分類結果を表す図である。
【
図4】
図4は、各予測モデルの誤差評価結果を表す一例の図である。
【
図5】
図5は、各グループの評価結果をまとめた図である。
【
図6】
図6は、選択対象日を説明するための図である。
【
図7】
図7は、選択対象日のグループ判定を説明するための図である。
【
図8】
図8は、予測対象日の日射量分布と各グループの日射量分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。
【
図9】
図9は、予測対象日の日射量分布と比較対象日の日射量分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。
【
図10】
図10は、予測対象日の日射量差分分布と比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。
【
図11】
図11は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び予測対象日の日射量の平均値を用いた予測対象日の日射量の標準偏差の算出を説明するための図である。
【
図12】
図12は、標準偏差による解析時の積雲の判定方法を説明するための図である。
【
図13】
図13は、対象地域の気象官署の観測点を示す図である。
【
図14A】
図14Aは、日射量の予測結果の情報提供を行うWebページの第1ページを示す図である。
【
図14B】
図14Bは、Webページの第1ページの日射量予測結果を示す図である。
【
図15】
図15は、PV出力予測結果の情報提供を行うWebページの第2ページを示す図である。
【
図16】
図16は、実施例1に係るPV出力予測装置による各予測モデルの予測誤差の通知処理のフローチャートである。
【
図17】
図17は、類似日の抽出処理のフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施例2に係るPV出力予測装置のブロック図である。
【
図19】
図19は、実施例3に係るPV出力予測装置が提供するWebページの一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施例3に係るPV出力予測装置が提供する他のWebページの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、PV出力予測装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示するPV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示するPV出力予測支援装置、PV出力予測装置、PV出力予測支援方法及びPV出力予測支援プログラムが限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、PV出力予測支援システムの全体構成図である。
図1に示すように、本実施例に係るPV出力予測支援システムは、PV出力予測装置1、気象データ配信システム2、端末装置3を有する。
【0016】
気象データ配信システム2は、例えば、ひまわり8号により撮像された気象衛星画像を取得する。そして、気象データ配信システム2は、取得した気象衛星画像を蓄積する。
【0017】
PV出力予測装置1は、気象衛星画像を気象データ配信システム2から取得する。そして、PV出力予測装置1は、取得した気象衛星画像から日射量分布を算出し、算出した日射量分布を用いてPV出力の予測に用いる予測モデルの選択を支援する情報を生成する。その後、PV出力予測装置1は、生成した予測モデルの選択を支援する情報を端末装置3へ提供する。PV出力予測装置1は、例えば、30分間隔で予測モデルの選択を支援する情報を提供する。
【0018】
ここで、PV出力予測装置1は、予測モデルの選択を支援する情報を端末装置3へ直接送らなくてもよい。予測モデルの選択を支援する情報の提供方法としては、例えば、PV出力予測装置1は、予測モデルの選択を支援する予測支援情報を載せたページを端末装置3からアクセス可能なWebサーバ上に閲覧可能に作成してもよい。この場合、PV出力予測装置1は、Webページの情報を例えば30分間隔で更新する。
【0019】
端末装置3は、電力会社などに配置される。端末装置3は、予測支援情報をPV出力予測装置1から取得する。そして、端末装置3は、予測支援情報をモニタなどの出力装置へ出力することで利用者に提供する。利用者は、予測支援情報をモニタなどで確認して複数存在する予測モデルの中で、現時点で予測を行う際にいずれの予測モデルが適切かを判定する。そして、利用者は、最適な予測モデルを選択して現時点でのPV出力の予測を行う。
【0020】
以下にPV出力予測装置1による選択支援情報の作成について詳細に説明する。本実施例では、PV出力予測装置1は、予測開始時刻から30分間隔で3時間後まで、すなわち6つの時間帯のPV出力を予測する場合について説明する。以下では、PV出力予測装置1が予測を行う日を「予測対象日」という。すなわち、予測対象日は、PV出力予測装置1が予測を行う当日を指す。また、予測を開始する時刻を「予測開始時刻」といい、予測の対象とする時間帯を「予測対象時間帯」という。本実施例では、予測対象時間帯は、9時30分を予測開始時刻とし12:30分を予測終了時刻とする30分毎の時間帯を含むとして説明する。また、以下の説明では、予測モデルとして3つの異なる予測モデルを用いる場合で説明する。そして各予測モデルを、第1~第3予測モデルとする。さらに、PV出力の予測の対象とする地域を「対象地域」という。本実施例では、一例として対象地域を九州本土を含む地域とする。
【0021】
図2は、実施例1に係るPV出力予測装置のブロック図である。
図2に示すように、PV出力予測装置1は、日射量分布推定部11、格納部12、分類部13、予測誤差算出部14、抽出部15、予測誤差取得部16、通知部17及びPV出力予測部18を有する。
【0022】
日射量分布推定部11は、気象データ配信システム2から日々の気象衛星画像を取得する。本実施例では、予測対象日、予測対象日までの当年の日、並びに、前年及び一昨年の全ての日の時間毎の気象衛星画像を取得する。以下では、予測対象日までの当年の日、並びに、前年及び一昨年の全ての日を「過去日」という。
【0023】
次に、日射量分布推定部11は、各日の各時間帯の気象衛星画像から対象地域の所定単位領域毎における雲アルベドを求める。ここで、所定単位領域は、例えば、1km2である。さらに、日射量分布推定部11は、求めた雲アルベドを用いて地表面アルベドを算出する。その後、日射量分布推定部11は、算出した雲アルベド及び地表面アルベドに対して、快晴時の大気の補正係数、雲の種類を考慮するための補正係数、エアマスの影響を考慮するための補正係数及び大気上端の水平な単位面積に入射する水平面日射量を用いて全天日射量を算出する。そして、日射量分布推定部11は、対象地域における全天日射量をまとめたものを、PV出力予測に用いる日射量分布とする。その後、日射量分布推定部11は、各過去日の各時間帯における日射量分布を日射量分布データベース122へ格納する。
【0024】
また、予測は10分間隔で継続して行われ、日射量分布推定部11は、予測開始時刻にも気象衛星画像を取得する。そこで、日射量分布推定部11は、予測対象日の予測開始時刻における日射量分布も日射量分布データベース122へ格納する。
【0025】
ここで、日射量分布推定部11は、日射量分布の推定を定期的に予め行っておき、PV出力予測処理を行うタイミングで、日射量分布の推定が行われていない日時について新たに日射量分布の推定を行って日射量分布データベース122に追加してもよい。
【0026】
格納部12は、相対湿度データ121、日射量分布データベース122、PV出力実績データ123及びPV出力予測結果データ124を有する。日射量分布データベース122は、日射量分布推定部11により日射量分布が登録される。
【0027】
相対湿度データ121は、気象庁の気象官署から取得した対象領域内の所定地点における、予測対象日及び過去日の時間帯毎の相対湿度が登録される。
【0028】
PV出力実績データ123は、過去日の時間帯毎の対象地域におけるPV出力の計測値の情報が登録される。PV出力予測結果データ124は、後述するPV出力予測部18が実施するPV出力の予測の予測結果を格納する。すなわち、PV出力予測結果データ124は、過去日の時間帯毎の対象地域におけるPV出力の予測モデル毎の予測値の情報が登録される。そして、PV出力予測結果データ124には、各過去日の各時間帯について、3つの予測結果が登録される。また、PV出力予測結果データ124は、予測日の予測結果も格納される。また、PV出力予測結果データ124は、日射量分布の予測結果も登録される。
【0029】
分類部13は、過去日の予測対象時間帯毎の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。次に、分類部13は、学習なしの階層クラスタリングを用いて、過去日の予測対象日の時間帯毎の日射量分布を16個のグループに分類する。以下に具体的なクラスタリング方法を説明する。
【0030】
分類部13は、大気外日射量で各日射量を規格化する。次に、分類部13は、各時間帯のデータのスムージングを実施する。次に、分類部13は、各過去日間の同時間帯の日射量の空間分布の相関係数σを総当たりで算出する。次に、分類部13は、1から相関係数σを2乗した値を減算したもの、すなわち「1-σ2」のσを1.0から0.001刻みで閾値として表した値をデータ間の近さの指標Dとする。次に、分類部13は、相関係数が高いペアを組み合わせる。次に、分類部13は、組み合わせたペアで平均日射量を算出する。分類部13は、ペアの作成を相関係数が閾値を超えない限度まで繰り返す。ここで、閾値は、例えば、σ=0.3(D=0.91)である。
【0031】
このクラスタリングにより、分類部13は、過去日を
図3の分類131に示すような16個のグループに分類することができる。
図3は、クラスタリングに基づく分類結果を表す図である。16個のグループ分類は、規格された日射量分布である。ここで、
図3では、各グループの単位領域毎の規格化された日射量に大気外日射量を乗算することで日射量を求め、日射量の大きさに応じて色分けすることで作成した図で各グループのそれぞれを表した。図において、濃い色の部分は雲が多い領域であり、色が薄い部分は雲が少ない領域である。次に、分類部13は、分類132に示すように、作成した各グループを雲が多くなる順番になるように順番を入れ替える。これにより、分類部13は、分類132に示すグループ#1~#16を決定する。
【0032】
すなわち、分類部13により生成された各グループ#1~#16の規格化された日射量分布に特定の日時の大気外日射量を乗算した分布は、
図3における分類132の各画像で示される日射量分布にあたる。以下では、グループ#1~#16の規格化された日射量分布に特定の日時の大気外日射量を乗算した日射量分布を、単に「グループ#1~#16の日射量分布」という。
【0033】
その後、分類部13は、分類結果を予測誤差算出部14及び抽出部15の選択対象日絞込部151へ出力する。分類結果には、各グループ#1~#16のそれぞれに属する過去日の情報が含まれる。さらに、分類部13は、各グループ#1~#16のそれぞれの代表日射量分布を選択対象日絞込部151へ出力する。
【0034】
予測誤差算出部14は、分類結果の入力を分類部13から受ける。次に、予測誤差算出部14は、各過去日の予測対象時間帯毎のPV出力の測定結果をPV出力実績データ123から取得する。また、予測誤差算出部14は、各過去日の予測対象時間帯毎のPV出力の予測結果をPV出力予測結果データ124から取得する。
【0035】
次に、予測誤差算出部14は、平均二乗誤差の平方根であるRMSE(Root Mean Squared Error)を用いて各グループにおける各予測モデルの誤差評価を実施する。すなわち、予測誤差算出部14は、次の数式(1)を用いて誤差評価を実施する。ここでは、予測対象日が含まれる対象月の前後1ヶ月を加えた3ヶ月を誤差評価に用いる対象期間とする。ここで、対象期間を対象月の前後1ヶ月を加えた3ヶ月に絞った理由は、予測対象日に近い日でなければ、季節などの違いから予測結果に大きな差が発生することが考えられるためである。RMSEが、「誤差評価関数」の一例にあたる。
【0036】
【0037】
ここで、PVmodelは、PV出力の予測結果である。また、PVobsは、PV出力の測定結果である。ここで、誤差評価を行うグループに属する対象期間内の日の数のPVmodelとPVobsとの差の2乗が算出され、算出結果の総和が求められる。また、Nは、誤差評価を行うグループに属する対象期間内の日数である。
【0038】
すなわち、予測誤差算出部14は、対象期間の各日のPV出力の予測結果とPV出力の測定結果の差分を2乗した値の総和を対象期間の日数で割った値の平方根を取ることで、PV出力の予測値とPV出力の実測値とのRMSEを求める。そして、予測誤差算出部14は、算出したRMSEを用いて各予測モデルの誤差評価結果を表す予測誤差グラフを作成する。ただし、本実施例では、予測誤差算出部14は、誤差評価を行うサンプル数が3つ以下の場合には、適切な誤差評価の実施が困難であるので誤差評価を行わない。
【0039】
予測誤差算出部14は、上述した各予測モデルの誤差評価を予測対象時間帯毎に行う。すなわち、本実施例では、予測開始時刻である9時30分から180分先の12時30分までに含まれる6つの時間帯の各予測モデルの誤差評価を行う。予測誤差算出部14は、
図4に例示する予測誤差グラフを作成する。
【0040】
図4は、各予測モデルの誤差評価結果を表す一例の図である。予測誤差グラフ41及び42は、グループ#1~#16のいずれか2つにおける誤差評価結果を表す。予測誤差グラフ41及び42は、縦軸でREMSの値を表し、横軸で時間帯を表す。予測誤差グラフ41及び42における線分21が、第1予測モデルの各時間帯の誤差を表す。線分22が、第2予測モデルの各時間帯の誤差を表す。線分23が、第3予測モデルの各時間帯の誤差を表す。RMSEは、値が小さいほど誤差が小さいことを表すので、予測誤差グラフ41では、線分22で表される第2予測モデルが最も誤差が少ない。また、予測誤差グラフ42では、線分23で表される第3モデルが最も誤差が少ない。
【0041】
さらに、予測誤差算出部14は、予測誤差グラフ41及び42に予測開始時刻と分類番号を表すClaster Mapを記載する。加えて、予測誤差算出部14は、予測誤差グラフ41で表されるグループに属する対象期間内の日数、すなわち、誤差評価に用いたサンプル数を記載する。ここで、本実施例では、予測誤差算出部14は、サンプル数が10未満の場合を、サンプル数が少なく誤差評価の評価結果の精度が低くなるおそれがある場合として、サンプル数が少ないことを通知するための強調表示24を行う。
【0042】
図5は、各グループの評価結果をまとめた図である。予測誤差算出部14は、グループ#1~#16毎に上述した予測モデル毎の誤差評価を行い、予測誤差グラフ201~216を生成する。ここで、予測誤差グラフ201~216は、それぞれグループ#1~#16に対する評価結果である。予測誤差グラフ203、207、210及び212~216に示すように、グループ#3、#7、#10及び#12~#16についてはサンプル数が少ないため、誤差評価が行われていない。このように、予測対象日の季節に応じて、発生しないもしくは発生が稀なグループが存在する。
【0043】
抽出部15は、予測対象日に日射量分布及び雲分布や相対湿度などの気象状態が類似する類似の過去日からの抽出を行う。抽出部15は、選択対象日絞込部151、第1差分算出部152、第2差分算出部153、相対湿度差分算出部154、雲分布算出部155及び類似日抽出部156を有する。
【0044】
選択対象日絞込部151は、
図6に示すように過去日の中から予測対象日と同日の前後45日及び予測対象日の前45日を選択対象日として特定する。
図6は、選択対象日を説明するための図である。日31が予測対象日である。予測対象日と同日の前後45日及び予測対象日の前45日が、「所定期間」の一例にあたる。そして、日32が、1年前の予測対象日と同日の日である。また、日33が、2年前の予測対象日と同日の日である。選択対象日絞込部151は、期間D1、D2及びD3に含まれる日を選択対象日として特定する。
【0045】
次に、選択対象日絞込部151は、選択対象日の予測開始時刻の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。また、選択対象日絞込部151は、分類結果の入力を分類部13から受ける。そして、選択対象日絞込部151は、各選択対象日の予測開始時刻の日射量分布がグループ#1~#16のいずれに属するかを判定する。ここでは、特定の日における予測開始時刻の日射量分布が属するグループを「特定の日のグループ」という。
【0046】
例えば、
図7を例に選択対象日絞込部151による選択対象日のグループ判定について説明する。
図7は、選択対象日のグループ判定を説明するための図である。選択対象日の予測開始時刻の日射量分布の中に、
図7に示す8つの日射量分布51~58が含まれている場合で説明する。選択対象日絞込部151は、分類部13から取得した分類結果から日射量分布51がグループ#4に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布52がグループ#7に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布53がグループ#16に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布54がグループ#6に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布55がグループ#8に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布56がグループ#16に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布57がグループ#15に属すると判定する。また、選択対象日絞込部151は、日射量分布58がグループ#15に属すると判定する。このように、選択対象日絞込部151は、全ての選択対象日の予測開始時刻の日射量分布について判定を繰り返す。
【0047】
次に、選択対象日絞込部151は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。また、選択対象日絞込部151は、各グループ#1~#16の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。そして、選択対象日絞込部151は、対の数式(2)を用いて、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と各グループ#1~#16の日射量分布との間のRMSEを求める。
【0048】
【0049】
図8は、予測対象日の日射量分布と各グループの日射量分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。ここで、
図8におけるRMSEは、上述した数式2により求められる。予測対象日の予測開始時刻の日射量分布は、所定単位領域毎の日射量のデータを有する。
図8の日射量分布
図61は、予測対象日の予測開始時刻の対象領域における日射量分布を表す図である。日射量分布
図61における格子状に並んだ各点62が所定単位領域毎の日射量を表す。他小領域内に所定単位領域が列方向に321個並び行方向に553個並ぶ、すなわち、対象領域内には、321×535後の所定単位領域が含まれるが、
図8では対象領域内に所定単位領域が列方向に9個並び行方向に9個並ぶ。ここでは、9×9個の所定単位領域が含まれる場合を例に説明する。
【0050】
日射量分布
図61の図に向かって左上下端の点を原点として行が上がる毎に番号が1つ増えるように各行に番号を振る。また、列が右へ移動する毎に番号が1つ増えるようにかく列に番号を振る。以下では、各列の番号をi(i≧1)で表す。また、各行の番号をj(j≧1)で表す。すなわち、日射量分布
図61の各点62は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
図8では、対象領域内に所定単位領域が列方向に9個並び行方向に9個並ぶ。すなわち、対象領域内には、9×9個の所定単位領域が含まれる。
【0051】
また、グループ#k(1≦k≦16)の日射量分布も、所定単位領域毎の日射量のデータを有する。
図8の日射量分布
図63は、グループ#k(1≦k≦16)の日射量分布を表す図である。日射量分布
図63における格子状に並んだ各点64が所定単位領域毎の日射量を表す。この場合も、日射量分布
図63の各点64は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0052】
そして、選択対象日絞込部151は、上述した数式(2)を用いて予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と各グループ#1~#16の日射量分布との間のRMSEを求める。
【0053】
ここで、予測対象日(i,j)は、日射量分布
図61における(i,j)と表される点62の日射量である。また、グループ#k(i,j)は、日射量分布
図63における(i,j)と表される点64の日射量である。そして、nx*nyは、日射量分布
図61に含まれる点62の数である。すなわち、nxは、jの最大値であり、nyはiの最大値である。ここでは、nx*nyは9×9である。
【0054】
すなわち、選択対象日絞込部151は、日射量分布
図61における各点62と日射量分布
図63における各点64との差分を2乗した値を全ての(i,j)の組み合わせについて求める。そして、選択対象日絞込部151は、求めた結果の総和を対象領域に含まれる所定単位領域の数で除算した値の平方根を求めて、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と各グループ#1~#16の代表日射量分との間の平均二乗誤差であるRMSEを算出する。
【0055】
次に、選択対象日絞込部151は、数式(2)を用いて算出されたRMSEの中で値の小さい順に3つのRMSEを有するグループを予測対象日の予測開始時刻に類似する日射量分布を有するグループを類似グループとして選択する。例えば、選択対象日絞込部151は、グループ#6,7,4を類似グループとして選択する。ここで、本実施例では、3つのグループを選択したが、このグループの数は3つに限らない。選択対象日絞込部151は、以降の類似日の選択処理を軽くするには、より少ない数のグループを選択すればよく、類似日の選択処理の精度を向上させるには、より多くの数のグループを選択することが好ましい。
【0056】
次に、選択対象日絞込部151は、事前に判定した各選択対象日が属するグループの情報を用いて、選択した類似グループに含まれる選択対象日を特定する。以下では、選択対象日絞込部151により特定された選択対象日を、「比較対象日」という。
【0057】
その後、選択対象日絞込部151は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を第1差分算出部152へ出力する。また、選択対象日絞込部151は、比較対象日及び予測対象日の情報を第2差分算出部153へ出力する。また、選択対象日絞込部151は、比較対象日及び予測対象日の情報を相対湿度差分算出部154へ出力する。さらに、選択対象日絞込部151は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を雲分布算出部155へ出力する。
【0058】
第1差分算出部152は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布の入力を選択対象日絞込部151から受ける。そして、第1差分算出部152は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を用いて、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量分布との間のRMSEを算出する。具体的には、第1差分算出部152は、次の数式(3)を用いて予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量分布との間のRMSEを算出する。
【0059】
【0060】
以下に、
図9を参照して、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量分布との間のRMSEの算出について詳細に説明する。
図9は、予測対象日の日射量分布と比較対象日の日射量分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。
【0061】
図9の日射量分布
図71は、対象領域における予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を表す。日射量分布
図71における格子状に並んだ各点72が所定単位領域毎の日射量を表す。ここで、日射量分布
図71の各点72は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0062】
また、
図9の日射量分布
図73は、対象領域における比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を表す。日射量分布
図73における格子状に並んだ各点74が所定単位領域毎の日射量を表す。この場合も、日射量分布
図73の各点74は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0063】
そして、第1差分算出部152は、上述した数式(3)を用いて予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量分布との間のRMSEを求める。
【0064】
ここで、予測対象日(i,j)は、日射量分布
図71における(i,j)と表される点72の日射量である。また、比較対象日(i,j)は、日射量分布
図73における(i,j)と表される点74の日射量である。そして、nx*nyは、日射量分布
図71に含まれる点72の数である。ここでは、nx*nyは9×9である。
【0065】
すなわち、第1差分算出部152は、日射量分布
図71における各点72と日射量分布
図73における各点74との差分を2乗した値を全ての(i,j)の組み合わせについて求める。そして、第1差分算出部152は、求めた結果の総和を対象領域に含まれる所定単位領域の数で除算した値の平方根を求めて、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量分布との間のRMSEを算出する。第1差分算出部152は、全ての比較対象日についての日射量分布のRMSEを算出する。
【0066】
その後、第1差分算出部152は、数式(3)を用いて算出した各比較対象日についての日射量分布のRMSEを類似日抽出部156へ出力する。ここで、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と比較対象日の予測開始時刻の日射量との間のRMSEは、比較対象日の予測開始時刻の日射量分布が予測対象日の予測開始時刻の日射量分布とどの程度異なっているかを表す。すなわち、RMSEが小さいほど、比較対象日の予測開始時刻の日射量分布と予測対象日の予測開始時刻の日射量分布とが似ているといえる。
【0067】
第2差分算出部153は、予測対象日及び比較対象日の情報の入力を選択対象日絞込部151から受ける。そして、第2差分算出部153は、予測対象日の予測開始時刻の1時間前の時間帯の日射量分布及び比較対象日の予測開始時刻の1時間前及び1時間後の時間帯の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。また、第2差分算出部153は、予測対象日の予測開始時刻の1時間後の時間帯の日射量分布をPV出力予測結果データ124から取得する。ここで、予測対象日の予測開始時刻の1時間後の時間帯の日射量分布は、PV出力予測部18による予測値である。ここで、第2差分算出部153は、過去の予測精度が高いので過去も含めて計算するように1時間前及び1時間後の日射量分布を用いて日射量差分分布を求めるが、予測開始時刻近傍の日射量の変化を得られる時間帯であれば他の時間帯を使用してもよい。例えば、予測計算の精度が高い場合は、第2差分算出部153は、予測開始時刻の0時間前及び2時間後の時間帯を日射量分布の算出に使用してもよい。
【0068】
次に、第2差分算出部153は、予測対象日の予測開始時刻の1時間後の日射量分布から予測対象日の予測開始時刻の1時間前の日射量分布を減算して、予測対象日の日射量差分分布を生成する。また、第2差分算出部153は、比較対象日の予測開始時刻の1時間後の日射量分布から比較対象日の予測開始時刻の1時間前の日射量分布を減算して、比較対象日の日射量差分分布を生成する。
【0069】
第2差分算出部153は、予測対象日の日射量差分分布及び各比較対象日の日射量差分分布を用いて、予測対象日の日射量差分分布と各比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEを算出する。具体的には、第2差分算出部153は、次の数式(4)を用いて予測対象日の日射量差分分布と各比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEを算出する。
【0070】
【0071】
以下に、
図10を参照して、予測対象日の日射量差分分布と比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEの算出について詳細に説明する。
図10は、予測対象日の日射量差分分布と比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEの算出を説明するための図である。
【0072】
図10の日射量差分分布
図81は、対象領域における予測対象日の日射量差分分布を表す。日射量差分分布
図81における格子状に並んだ各点82が所定単位領域毎の予測開始時刻の1時間後と1時間前と日射量の差分を表す。ここで、日射量差分分布
図81の各点82は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0073】
また、
図10の日射量差分分布
図83は、対象領域における比較対象日の日射量差分分布を表す。日射量差分分布
図83における格子状に並んだ各点84が所定単位領域毎の予測開始時刻と1時間前の時間帯の日射量の差分を表す。この場合も、日射量差分分布
図83の各点84は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0074】
そして、第2差分算出部153は、上述した数式(4)を用いて予測対象日の日射量差分分布と各比較対象日の日射量差分分布との間のRMSEを求める。
【0075】
ここで、予測対象日差分(i,j)は、日射量差分分布
図81における(i,j)と表される点82の日射量差分である。また、比較対象日差分(i,j)は、日射量差分分布
図83における(i,j)と表される点84の日射量である。そして、nx*nyは、日射量差分分布
図81に含まれる点82の数である。ここでは、nx*nyは9×9である。
【0076】
すなわち、第2差分算出部153は、日射量差分分布
図81における各点82と日射量差分分布
図83における各点84との差分を2乗した値を全ての(i,j)の組み合わせについて求める。そして、第2差分算出部153は、求めた結果の総和を対象領域に含まれる所定単位領域の数で除算した値の平方根を求めて、予測対象日の日射量差分分布と比較対象日の日射量差分分布との間の平均二乗誤差であるRMSEを算出する。第2差分算出部153は、全ての比較対象日についての日射量差分分布のRMSEを算出する。
【0077】
その後、第2差分算出部153は、算出した各比較対象日についての日射量差分分布のRMSEを類似日抽出部156へ出力する。ここで、日射量の差分を求めることは、雲の動きを求めることにあたる。そこで、日射量差分分布を用いて、予測対象日に雲の動きが似ている比較対象日を特定することができる。すなわち、RMSEが小さいほど、比較対象日の雲の動きが予測対象日の雲の動きと似ているといえる。
【0078】
雲分布算出部155は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布の入力を選択対象日絞込部151から受ける。次に、雲分布算出部155は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を用いて予測対象日の予測開始時刻の日射量の平均値を算出する。また、雲分布算出部155は、比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を用いて、比較対象日の予測開始時刻の日射量の平均値を算出する。
【0079】
次に、雲分布算出部155は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び予測対象日の日射量の平均値を用いて予測対象日の日射量の標準偏差を求める。また、雲分布算出部155は、各比較対象日の予測開始時刻の日射量分布及び各比較対象日の日射量の平均値を用いて予測対象日の日射量の標準偏差を求める。
【0080】
予測対象日及び比較対象日の何れにおいても日射量の標準偏差の求め方は同様である。そこで、以下に、
図11を参照して、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び予測対象日の日射量の平均値を用いた予測対象日の日射量の標準偏差の算出について詳細に説明する。
図11は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布及び予測対象日の日射量の平均値を用いた予測対象日の日射量の標準偏差の算出を説明するための図である。
【0081】
図11の日射量分布
図91は、対象領域における予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を表す。日射量分布
図91における格子状に並んだ各点92が所定単位領域毎の日射量を表す。ここで、日射量分布
図91の各点92は、紙面に向かって左下端の点を(1,1)として(i,j)と表される。
【0082】
雲分布算出部155は、日射量分布
図91の各点92の値を合計して日射量分布
図91に含まれる点92の数で除算することで、予測対象日の予測開始時刻の日射量の平均値を求める。
【0083】
そして、雲分布算出部155は、次の数式(5)を用いて予測対象日の日射量の標準偏差を求める。
【0084】
【0085】
ここで、予測対象日(i,j)は、日射量分布
図91における(i,j)と表される点92の日射量である。また、予測対象日平均は、予測対象日の日射量の平均値である。そして、nx*nyは、日射量分布
図91に含まれる点92の数である。ここでは、nx*nyは9×9である。
【0086】
すなわち、雲分布算出部155は、日射量分布
図91における各点92と日射量の平均値との差分を2乗した値を全ての(i,j)の組み合わせについて求める。そして、雲分布算出部155は、求めた結果の総和を対象領域に含まれる所定単位領域の数で除算した値の平方根を求めて、予測対象日の日射量の標準偏差を算出する。第2差分算出部153は、各比較対象日についても同様に日射量の標準偏差を算出する。
【0087】
その後、雲分布算出部155は、算出した予測対象日及び各比較対象日についての日射量の標準偏差を類似日抽出部156へ出力する。ここで、日射量の標準偏差は、対象領域の各地点における日射量の平均からのずれをまとめた値といえる。すなわち、標準偏差が大きいほど、多くの点で平均からの日射量のずれが大きくなっているといえ、細かな雲が多く発生した状態といえる。これに対して、標準偏差が小さいほど、ほとんどの点で平均と同じ日射量となっており、雲が無い状態といえる。すなわち、日射量の標準偏差を用いて、晴れの時の細かな積雲の存否の判定を行うことができる。
【0088】
図12は、標準偏差による解析時の積雲の判定方法を説明するための図である。例えば、画像101は、標準偏差が小さい場合の画像である。すなわち、画像101は、雲がほぼ存在しない場合を表す。一方、画像102は、標準偏差が大きい場合の画像である。すなわち、画像102は、細かな積雲が多く発生している状態を表す。これと比較する状態として画像103~105で表される状態があるとして説明する。この場合、画像103~105で表される比較状態は、標準偏差が小さい。そして、画像103~105で分かるように雲がほぼ存在していない。一方、画像106~108で表される状態は標準偏差が大きい。そして、画像106~108で分かるように雲が多く発生している。すなわち、標準偏差から、画像106~108の状態は積雲の状態が画像101に似ていない状態と判定できる。また、標準偏差から、画像103~105の状態は積雲の状態が画像102に似ていない状態と判定できる。
【0089】
相対湿度差分算出部154は、比較対象日及び予測対象日の情報の入力を選択対象日絞込部151から受ける。そして、相対湿度差分算出部154は、比較対象日及び予測対象日の所定の観測点における予測開始時刻の相対湿度RHを相対湿度データ121から取得する。
【0090】
ここで、本実施例で用いる、対象地域の相対湿度を観測している気象官署の観測点は、
図13に示す地点111~118の8地点である。
図13は、対象地域の気象官署の観測点を示す図である。本実施例では、相対湿度差分算出部154は、地点111~118における比較対象日及び予測対象日の予測開始時刻の相対湿度を取得する。
【0091】
次に、相対湿度差分算出部154は、比較対象日及び予測対象日の相対湿度RH(Relative Humidity)の2乗平均誤差であるRMSEを次の数式(6)を用いて算出する。
【0092】
【0093】
ここで、RH対象日時刻(r)は、比較対象日における8つの地点r(1≦r≦8)のそれぞれの相対湿度RHである。また、RH予測対象日(r)は、予測対象日における8つの地点r(1≦r≦8)のそれぞれの相対湿度RHである。そして、RH比較対象日(r)とRH予測対象日(r)の差分の2乗は、それぞれの8地点について求められ合計される。また、Mは、観測点の数である。本実施例では、M=8である。
【0094】
すなわち、相対湿度差分算出部154は、各地点111~118における予測対象日の相対湿度RHと比較対象日の相対湿度RHとの差分を2乗した値を全ての観測点について求める。そして、相対湿度差分算出部154は、求めた結果の総和を観測点の数で除算した値の平方根を求めて、比較対象日と予測対象日との間の相対湿度RHのRMSEを算出する。相対湿度差分算出部154は、全ての比較対象日について相対湿度RHのRMSEを算出する。
【0095】
その後、相対湿度差分算出部154は、算出した比較対象日と予測対象日との間の相対湿度のRMSEを類似日抽出部156へ出力する。ここで、相対湿度のRMSEは、値が大きいほど、比較対象日と予測対象日との間の湿度状態が異なることを表す。すなわち、相対湿度RHのRMSEが大きい比較対象日は、湿度状態が予測対象日と大きく異なっていることが分かる。
【0096】
類似日抽出部156は、数式(3)を用いて算出された各比較対象日についての日射量分布のRMSEの入力を第1差分算出部152から受ける。また、類似日抽出部156は、数式(4)を用いて算出された各比較対象日についての日射量差分分布のRMSEの入力を第2差分算出部153から受ける。また、類似日抽出部156は、数式(5)を用いて算出された予測対象日及び各比較対象日についての日射量の標準偏差の入力を雲分布算出部155から受ける。さらに、類似日抽出部156は、数式(6)を用いて算出された比較対象日と予測対象日との間の相対湿度のRMSEの入力を相対湿度差分算出部154から受ける。
【0097】
次に、類似日抽出部156は、比較対象日毎に、日射量分布のRMSEと日射量差分分布のRMSEとの積を求める。そして、類似日抽出部156は、計算結果の値が小さい順に順位を決定する。すなわち、類似日抽出部156は、日射量分布と雲の移動状態がより似ている比較対象日の順位が高くなるように順位付けを行う。
【0098】
次に、類似日抽出部156は、各比較対象日について予測対象日との日射量の標準偏差の差を求める。そして、類似日抽出部156は、予測対象日の標準偏差に対して比較対象日の標準偏差が予め指定された範囲外の比較対象日を、順位付けした比較対象日から除く。すなわち、類似日抽出部156は、順位づけられた比較対象日の中から、積雲の状態が予測対象日と大きく異なる日を除く。
【0099】
例えば、晴れの条件で、類似日抽出部156は、以下のような予測対象日の除外処理を行う。類似日抽出部156は、予測対象日の規格化された日射量の標準偏差が0.05未満であれば、±0.015の範囲外の比較対象日を除く。また、類似日抽出部156は、予測対象日の規格化された日射量の標準偏差が0.05以上で0.01未満であれば、±0.030の範囲外の比較対象日を除く。また、類似日抽出部156は、予測対象日の規格化された日射量の標準偏差が0.0.10以上であれば、±0.050の範囲外の比較対象日を除く。
【0100】
次に、類似日抽出部156は、相対湿度RHのRMESの指定された値よりも大きい比較対象日を順位付けした比較対象日から除く。すなわち、類似日抽出部156は、順位づけられた比較対象日の中から、湿度の状態が予測対象日と大きく異なる日を除く。
【0101】
例えば、本実施例では、類似日抽出部156は、相対湿度のRMSEが10%より大きい比較対象日を順位付けした比較対象日から除く。ただし、この条件は得られる比較対象日の数に依存して変更することが好ましい。例えば、使用する比較対象日のサンプル数が20事例以上であることを条件とする場合、相対湿度のRMSEが10%より大きい比較対象日を除外日とした場合に条件を満たさなければ、RMSEの閾値を20%や30%として比較対象日から除く条件を緩めることが好ましい。ただし、閾値を変更する場合も、閾値の最大値を決定することが好ましく、例えば、閾値の最大値を30%などと決めることが好ましい。
【0102】
次に、類似日抽出部156は、残された比較対象日について、除いた比較対象日分の順位を繰り上げて、順位を決定する。その後、類似日抽出部156は、上位3つの比較対象日を類似日として抽出する。そして、類似日抽出部156は、抽出した類似日の情報を予測誤差取得部16へ出力する。
【0103】
予測誤差取得部16は、予測対象日に対する類似日の情報の入力を抽出部15の類似日抽出部156から受ける。そして、予測誤差取得部16は、指定された類似日が属するグループの各予測モデルの誤差評価結果を予測誤差算出部14から取得する。その後、予測誤差取得部16は、取得した各類似日における各予測モデルの誤差評価の結果を通知部17へ出力する。
【0104】
PV出力予測部18は、PV出力の予測に用いる第1~第3予測モデルを予め有する。そして、PV出力予測部18は、予測に必要な情報を気象データ配信システム2から取得する。そして、PV出力予測部18は、各予測モデルを用いて、それぞれの場合の予測対象日の各予測対象時間帯におけるPV出力の予測を行う。そして、PV出力予測部18は、各予測モデルを用いた場合のPV出力の予測結果を通知部17へ出力する。PV出力予測部18は、PV出力の予測の計算に算出される日射量予測分布を日射量分布データベース122へ格納する。日射量予測分布は、予測後に同時刻の日射量分布推定部11の日射量分布で上書きされる。
【0105】
通知部17は、各類似日における各予測モデルの誤差評価の結果の入力を予測誤差取得部16から受ける。また、通知部17は、抽出した類似日の予測対象開始時刻の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。また、通知部17は、類似日におけるPV出力の測定結果をPV出力実績データ123から取得する。また、通知部17は、類似日における各予測モデルを用いた場合のPV出力の予測結果をPV出力予測結果データ124から取得する。さらに、通知部17は、各予測モデルを用いた場合の予測対象日のPV出力の予測結果の入力をPV出力予測部18から受ける。そして、通知部17は、類似日の予測対象開始時刻の日射量分布、類似日におけるPV出力の測定結果及び各予測モデルをPV出力の予測結果、類似日における各予測モデルの誤差評価の結果及び各予測モデルを用いた場合の予測対象日のPV出力の予測結果を端末装置3へ送信して利用者に通知する。
【0106】
以下に、
図14A、14B及び15を参照して、Webベージを使用した場合の、通知部17による情報提供の一例について説明する。
図14Aは、日射量の予測結果の情報提供を行うWebページの第1ページを示す図である。また、
図14Bは、Webページの第1ページの日射量予測結果を示す図である。また、
図15は、PV出力予測結果の情報提供を行うWebページの第2ページを示す図である。
【0107】
図14Aに示すように、Webページ220には、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を表す画像221が表示される。さらに、Webページ220には、3つの類似日のそれぞれの予測開始時刻の日射量分布を表す画像222~224が表示される。さらに、Webページ220には、予測対象日の平均日射量及び予測モデル毎の日射量の予測結果を表す画像225が表示される。
【0108】
画像225には、他にも、例えば、
図14Bに示すように、観測結果、予測開始時刻の前10分平均の観測値に基づく持続モデル、快晴時を仮定した快晴モデル、10分間隔で実施する予測値、10分間隔で実施する予測値の過去実績及び降水短時間予報に基づく予測値などを表示させてもよい。
図14Bは、10分間隔で最大6時間先までの予測計算を実施した例を示す画像225を表す。グラフ2251は観測結果を表す。また、グラフ2252の実線部分は推定値を表し、破線部分は前10分平均の推定値に基づく持続モデルを表す。グラフ2253は、快晴時を仮定した快晴モデルを表す。また、グラフ2254は、30分間隔の予測値を表す。また、グラフ2255は、気象庁の降水時短時間予報に基づく予測値である。
【0109】
類似日222~223に関しては、類似日の日射量及び予測モデル毎の日射量の予測結果を表す画像226~228が表示される。他にも、Webページ220には、予測開始日の予測開始時間帯に類似するグループ#1~#16の情報を表示させてもよい。
【0110】
利用者は、端末装置3に表示されたWebページ220を参照して、予測対象日と各類似日との日射量分布の類似度合いを画像221~224から判断できる。また、利用者は、端末装置3に表示されたWebページ220を参照して、予測対象日の対象地域内の8つの気象官署における日射量の平均の予測がどのようになっているかを画像225~228から把握できる。さらに、利用者は、各類似日において過去の予測では各予測モデルの日射量の予測結果が実際に測定結果とどの程度ずれていたかを画像225~228から把握できる。
【0111】
さらに、利用者が、第2ページの表示を選択することで、端末装置3には、
図15に示すWebページ230が表示される。Webページ230には、各類似日の評価結果を示す画像231~233が表示される。また、Webページ230には、各類似日におけるPV出力の測定結果と予測結果とを示す画像234~236が表示される。
【0112】
利用者は、画像231~233を参照することで、予測対象日の予測時間帯と類似した日時においてどの予測モデルが最も適切な予測を行う可能性が高いかを判断することができる。また、利用者は、画像234~236を参照することで、予測対象日の予測時間帯と類似した日時においてどの予測モデルが実際にどの程度の精度でPV出力の予測を行ったかを確認することができる。すなわち、利用者は、Webページ220及び230を参照することで、予測対象日の予測時間帯において最も精度の良いと考えられる予測モデルを選択することが可能となる。
【0113】
次に、
図16を参照して、本実施例に係るPV出力予測装置1による各予測モデルの予測誤差の通知処理の流れについて説明する。
図16は、実施例1に係るPV出力予測装置による各予測モデルの予測誤差の通知処理のフローチャートである。
【0114】
分類部13は、日射量分布データベース122から過去日の予測時間帯の日射量分布を取得する。そして、分類部13は、階層クラスタリングを実施して過去日を16個のグループ1~#16に分類する(ステップS1)。
【0115】
予測誤差算出部14は、過去日の予測対象時間帯のPV出力の測定結果をPV出力実績データ123から取得し、また、過去日の予測対象時間帯の各予測モデル毎のPV出力の予測結果をPV出力予測結果データ124から取得する。次に、予測誤差算出部14は、分類部13が生成したグループ#1~#16毎に各予測モデルの誤差を評価し、過去日の予測対象時間帯における予測モデル毎の予測誤差を算出する(ステップS2)。
【0116】
抽出部15は、過去日に含まれる選択対象日から比較対象日を抽出する。そして、抽出部15は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻及び1時間前後の日射量分布、並びに、予測対象日及び比較対象日の相対湿度を用いて類似日の抽出処理を実行する(ステップS3)。
【0117】
予測誤差取得部16は、抽出部15により抽出された類似日の予測誤差を予測誤差算出部14から取得する(ステップS4)。
【0118】
通知部17は、予測誤差取得部16により取得された類似日の予測誤差を端末装置3へ出力して利用者に通知する(ステップS5)。この際、通知部17は、PV出力の各予測モデルを用いた場合の予測結果などを出力してもよい。
【0119】
次に、
図17を参照して、抽出部15による類似日の抽出処理の流れについて説明する。
図17は、類似日の抽出処理のフローチャートである。
【0120】
選択対象日絞込部151は、日射量分布の分類結果及び各グループの日射量分布を分類部13から取得する。また、選択対象日絞込部151は、選択対象日の予測開始時刻の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。さらに、選択対象日絞込部151は、過去日の中から予測対象日と同日の前後45日を選択対象日として選択する。次に、選択対象日絞込部151は、分類部13から取得した分類結果から、各選択対象日の予測開始時刻の日射量分布が属するグループを特定する(ステップS101)。
【0121】
次に、選択対象日絞込部151は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。そして、選択対象日絞込部151は、予測対象日の予測開始時刻の日射量分布と各グループの日射量分布との間のRMSEを算出する(ステップS102)。
【0122】
次に、選択対象日絞込部151は、日射量分布のRMSEが小さい上位3つのグループを類似グループとする。そして、選択対象日絞込部151は、類似グループに属する選択対象日を比較対象日とし、比較対象日の絞り込みを行う(ステップS103)。
【0123】
第1差分算出部152は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を選択対象日絞込部151から取得する。そして、第1差分算出部152は、数式(3)を用いて予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻との間の日射量分布のRMSEを算出する(ステップS104)。
【0124】
第2差分算出部153は、予測対象日及び比較対象日の情報を選択対象日絞込部151から取得する。そして、第2差分算出部153は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の1時間前後の時間帯の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。ここで、予測対象日の予測開始時刻の1時間後の日射量分布は予測値である。次に、第2差分算出部153は、予測開始時刻及び比較対象日のそれぞれの予測開始時刻の1時間前の時間帯の日射量分布と1時間後の時間帯の日射量分布とを差分を求めて日射量差分分布を求める。次に、第2差分算出部153は、数式(4)を用いて予測対象日の日射量差分分布と各に各対象日の日射量差分分布との間のRMSEを算出し、雲域の移動速度の差分を算出する(ステップS105)。
【0125】
雲分布算出部155は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布を選択対象日絞込部151から取得する。次に、雲分布算出部155は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布から予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の日射量の平均値を算出する。次に、雲分布算出部155は、数式(5)に予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の日射量分布及び日射量の平均値を用いて、予測対象日及び比較対象日のそれぞれにおける日射量の標準偏差を求めることで、それぞれの雲分布を求める(ステップS106)。
【0126】
相対湿度差分算出部154は、予測対象日及び比較対象日の情報を選択対象日絞込部151から取得する。次に、相対湿度差分算出部154は、予測対象日及び比較対象日の予測開始時刻の所定の観測点のそれぞれにおける相対湿度RHを相対湿度データ121から取得する。そして、相対湿度差分算出部154は、数式(6)を用いて予測対象日の測開始時刻の相対湿度RHと比較対象日の測開始時刻の相対湿度RHとの間のRMSEを算出する(ステップS107)。
【0127】
類似日抽出部156は、各比較対象日についての日射量分布のRMSEの入力を第1差分算出部152から受ける。また、類似日抽出部156は、各比較対象日についての日射量差分分布のRMSEの入力を第2差分算出部153から受ける。また、類似日抽出部156は、予測対象日及び各比較対象日についての日射量の標準偏差の入力を雲分布算出部155から受ける。さらに、類似日抽出部156は、比較対象日と予測対象日との間の相対湿度のRMSEの入力を相対湿度差分算出部154から受ける。そして、類似日抽出部156は、比較対象日毎に、日射量分布のRMSEと日射量分布のRMSEとの積を求める。そして、類似日抽出部156は、計算結果の値が小さい順に順位を決定する。すなわち、類似日抽出部156は、日射量分布と雲の移動状態がより似ている比較対象日の順位が高くなるように順位付けを行う(ステップS108)。
【0128】
次に、類似日抽出部156は、各比較対象日について予測対象日との日射量の標準偏差の差を求める。そして、類似日抽出部156は、求めた予測対象日の標準偏差に対して値の差が大きい比較対象日を除外日として確定する。また、類似日抽出部156は、相対湿度のRMSEの値が大きい比較対象日も除外日として確定する。そして、類似日抽出部156は、順位付けした比較対象日から除外日を除く(ステップS109)。すなわち、類似日抽出部156は、順位づけられた比較対象日の中から、積雲の状態が予測対象日と大きく異なる日及び湿度の状態が予測対象日と大きく異なる日を除く。
【0129】
類似日抽出部156は、除外日を除いた比較対象日の順位を上から順に降り直し順位を確定する。そして、類似日抽出部156は、確定した順位の上位3つの比較対象日を予測対象日の類似日と決定する(ステップS110)。
【0130】
その後、類似日抽出部156は、決定した類似日を予測誤差取得部16に通知する(ステップS111)。
【0131】
以上に説明したように、本実施例に係るPV出力予測装置は、日射量分布から過去日を共通の特徴を有するグループに分類し、グループ毎に各予測モデルの予測誤差を算出する。そして、予測対象日に類似する日射環境を有する類似日を特定し、その類似日が属するグループの各予測モデルの予測誤差を利用者に通知する。これにより、利用者は、経験に頼るのではなく、合理的な計算により求められた予測誤差からPV出力の予測に用いる予測モデルを決定することができる。すなわち、本実施例に係るPV出力予測装置は、PV出力の予測精度の向上に寄与することができる。
【0132】
また、本実施例に係るPV出力予測装置は、日射環境として、日射量分布、雲の移動状態、雲分布及び相対湿度RHを用いて類似日の特定を行う。このように、PV出力に影響を与える多くの条件を網羅して類似日の特定を行うことで、PV出力が予測対象日と類似する類似日の特定の精度を向上させることができ、よりPV出力の予測精度を向上させることができる。
【0133】
さらに、本実施例に係るPV出力予測装置は、類似日の特定にあたって、過去日の中から予測対象日と同じ季節の選択対象日を抽出し、さらに、その選択対象日の中から日射量分布が予測日に類似するグループに属する比較対象日に絞り込む。これにより、類似日を特定の際の比較対象を少なくすることができ、処理負荷を軽減して高速に類似日の特定を行うことができる。
【0134】
さらに、本実施例に係るPV出力予測装置は、予測対象日及び類似日の日射量分布、日射量予測結果、予測モデル毎の誤差評価結果及びPV出力の予測結果などの多数の情報を利用者に提供する。これにより、利用者は、様々な角度から予測モデルの評価を行うことができ、より適切な予測モデルの選択が可能となる。すなわち、提供する情報の種類の点からも、本実施例に係るPV出力予測装置は、PV出力の予測精度の向上に寄与することができる。
【0135】
ここで、本実施例では、PV出力予測部18を有するPV出力予測装置1として説明したが、PV出力予測部18の機能を別の装置に持たせ、類似日抽出や類似日の予測誤差の取得といった残りの機能を有するPV出力予測支援装置としてもよい。その場合も、PV出力予測支援装置は、類似日の予測誤差を利用者に提供することで、PV出力の予測精度の向上に寄与できる。すなわち、PV出力予測装置1が、「PV予測支援装置」の一例にあたる。
【0136】
さらに、本実施例では、PV出力予測装置1が日射量分布推定部11を有したが、日射量分布推定部11の機能を他の装置に持たせ、その装置が求めた日射量分布の情報をPV出力予測装置1が取得して利用する構成でもよい。
【実施例2】
【0137】
図18は、実施例2に係るPV出力予測装置のブロック図である。本実施例に係るPV出力予測装置1は、実施例1の各部に加えて、使用予測モデル決定部19を有する。本実施例に係るPV出力予測装置1は、PV出力の予測に使用する予測モデルを自動的に決定することが実施例1と異なる。以下の説明では、特に説明のない限り、
図2と同じ符号を有する各部は同じ機能を有するものとして説明を省略する。
【0138】
使用予測モデル決定部19は、類似日及び各類似日における予測モデルの誤差評価の結果を予測誤差取得部16から取得する。次に、使用予測モデル決定部19は、誤差評価の結果を用いて各類似日の予測時間帯毎に各予測モデルの順位を決定する。すなわち、使用予測モデル決定部19は、ある時間帯において誤差評価の結果が良い予測モデルから順に高い順位とする。
【0139】
次に、使用予測モデル決定部19は、上位3つの比較対象日である各類似日の各予測モデルの順位に得点を与える。得点は、誤差評価の結果の高い順位程高く与える。また、上位の比較対象日に重みを付けて上位3つの比較対象日における各予測モデルの得点の合計値を算出する。そして、使用予測モデル決定部19は、算出した特定の合計値の値が最も高い予測モデルを使用予測モデルと決定する。その後、使用予測モデル決定部19は、決定した使用予測モデルを通知部17に通知する。
【0140】
通知部17は、使用予測モデルの通知を使用予測モデル決定部19から受ける。また、そして、通知部17は、指定された使用予測モデルを用いて実施された、予測対象日の予測開始時刻のPV出力の予測結果をPV出力予測結果データ124から取得する。そして、通知部17は、使用予測モデルを用いて実施された、予測対象日の予測開始時刻のPV出力の予測結果を端末装置3へ送信して利用者に通知する。
【0141】
ここで、本実施例では、PV出力予測装置1は、決定した使用予測モデルを用いた予測結果を利用者に通知したが、これに加えて、他の予測モデルを用いた予測結果を参考として通知してもよい。
【0142】
以上に説明したように、本実施例に係るPV出力予測装置は、誤差評価の結果から予測に使用する予測モデルを決定し、決定した予測モデルを用いたPV出力の予測結果を利用者に提供する。これにより、本実施例に係るPV出力予測装置は、合理的に選択された予測モデルを利用したPV出力の予測結果を取得することができ、PV出力の予測精度を向上させることができる。また、利用者は、合理的に選択された適切と考えられる予測モデルを利用したPV出力の予測結果を取得することができ、PV出力の制御などを適切に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0143】
次に、実施例3について説明する。本実施例に係るPV出力予測装置は、予測モデルの選択のためのさらなる情報提供を行うことが実施例1と異なる。本実施例に係るPV出力予測装置も
図2のブロック図で表される。以下の説明では、特に説明のない限り、
図2と同じ符号を有する各部は同じ機能を有するものとして説明を省略する。
【0144】
通知部17は、予測対象日及び類似日の予測開始時刻の前後3時間に含まれる各時間帯の日射量分布を日射量分布データベース122から取得する。通知部17は、
図19に示すように、予測対象日及び類似日の予測開始時刻の日射量分布を表す画像303を表示するWebページを生成する。
図19は、実施例3に係るPV出力予測装置が提供するWebページの一例を示す図である。
【0145】
また、通知部17は、生成したWebページに予測時開始時刻の前後の決められた時間の画像を表示させる時刻選択ボタン301を表示させる。さらに、通知部17は、時刻を連続して変更させるためのスライドバー302をWebページに表示させる。そして、通知部17は、生成したWebページを端末装置3に表示させ利用者に情報を提供する。
【0146】
そして、利用者が端末装置3の入力機器を用いて時刻選択ボタン301のいずれかを選択した場合、通知部17は、選択された時刻選択ボタン301に応じた時間帯の日射量分布図を画像303として表示させる。利用者が端末装置3の入力機器を用いてスライドバー302により特定の時刻からの連続した時刻を選択した場合、通知部17は、選択された時刻に応じた時間帯の日射量分布から連続する時間帯の日射量分布へと画像303を切り替えて表示させる。
【0147】
また、通知部17は、端末装置3の入力機器を用いた予測モデル選択のためのより詳細な情報の提供の指示の入力を受けた場合、予測時間帯を含む所定期間の各時間帯における類似日の抽出を抽出部15に依頼する。その後、通知部17は、抽出部15から所定期間の各時間帯における類似日の情報及び各類似日が属するグループの情報を抽出部15から取得する。そして、通知部17は、
図20に示すように、所定期間の各時間帯における類似日の情報を表す類似日情報311及び各類似日が属するグループの情報を表すグループ情報312を表示するWebページを端末装置3に表示させて利用者に提供する。
図20は、実施例3に係るPV出力予測装置が提供する他のWebページの一例を示す図である。
【0148】
利用者は、時刻選択ボタン301やスライドバー302を用いることで、予測時間帯近辺の日射量分布の変化を把握でき、さらに、日射量分布の変化から雲の動きを確認することができる。これにより、利用者は、予測時間帯付近の雲の動きから天候の変化を予測して予測モデルの選択に利用することで、より適切な予測モデルの選択を行うことができる。
【0149】
また、利用者は、予測時間帯を含む所定期間の各時間帯における類似日及びそれらの類似日が属するグループの情報を取得することで、予測時間帯近辺の類似日の出現率やグループの出現率を把握することができ、各類似日やグループの予測対象日に対する類似率を確認でき、より適切な予測モデルの選択を行うことができる。
【0150】
以上に説明したように、本実施例に係るPV出力予測装置は、予測時間帯近辺の雲の動きや類似日及びグループの出現状況を利用者に通知する。これにより、利用者がより適切な予測モデルの選択を行うことができるようになるので、本実施例に係るPV出力予測装置は、PV出力の予測精度の向上に寄与することができる。
【0151】
(ハードウェア構成)
次に、
図21を参照して、以上の各実施例で説明したPV出力予測装置1のハードウェア構成について説明する。
図21は、PV出力予測装置のハードウェア構成図である。
【0152】
PV出力予測装置1は、
図21に示すように、CPU(Central Processing Unit)901、メモリ902、ハードディスク903及びネットワークインタフェース904を有する。CPU901は、メモリ902、ハードディスク903及びネットワークインタフェース904とバスで接続される。
【0153】
ハードディスク903は、補助記憶装置であり格納部12の機能を実現する。また、ハードディスク903は、
図2、18及び21に例示した、日射量分布推定部11、分類部13、予測誤差算出部14、抽出部15、予測誤差取得部16、通知部17、PV出力予測部18及び使用予測モデル決定部19の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを格納する。また、ネットワークインタフェース904は、気象データ配信システム2及び端末装置3との通信のためのインタフェースである。
【0154】
CPU901は、ハードディスク903から各種プログラムを読み出しメモリ902上に展開して実行することで、
図2、18及び21に例示した、日射量分布推定部11、分類部13、予測誤差算出部14、抽出部15、予測誤差取得部16、通知部17、PV出力予測部18及び使用予測モデル決定部19の機能を実現する。
【0155】
なお、上記した各実施例の日射量分布推定部11、分類部13、予測誤差算出部14、抽出部15、予測誤差取得部16、通知部17、PV出力予測部18及び使用予測モデル決定部19の各機能を実現するためのプログラムについては、必ずしも最初からハードディスク903に記憶させなくてもよい。
【0156】
例えば、PV出力予測装置1に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD、光磁気ディスク、IC(Integrated Circuit)カードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、PV出力予測装置1がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0157】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを介してPV出力予測装置1に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、PV出力予測装置1がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1 PV出力予測装置
2 気象データ配信システム
3 端末装置
11 日射量分布推定部
12 格納部
13 分類部
14 予測誤差算出部
15 抽出部
16 予測誤差取得部
17 通知部
18 PV出力予測部
19 使用予測モデル決定部
121 相対湿度データ
122 日射量分布データベース
123 PV出力実績データ
124 PV出力予測結果データ
151 選択対象日絞込部
152 第1差分算出部
153 第2差分算出部
154 相対湿度差分算出部
155 雲分布算出部
156 類似日抽出部