(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ウレア結合を有する構造単位を有するポリマーを含むレジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20220824BHJP
C08F 220/36 20060101ALI20220824BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C08F220/36
H01L21/30 563
(21)【出願番号】P 2018566092
(86)(22)【出願日】2018-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2018003449
(87)【国際公開番号】W WO2018143359
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2017018938
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 登喜雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
(72)【発明者】
【氏名】孫 軍
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/178235(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/088039(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/069712(WO,A1)
【文献】特開平11-109640(JP,A)
【文献】特開2012-108480(JP,A)
【文献】特開2009-108315(JP,A)
【文献】特開2009-255495(JP,A)
【文献】特開2004-302371(JP,A)
【文献】特開2009-307230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08F 220/36
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位を有する共重合体、架橋剤、有機酸触媒及び溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化1】
(式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、R
3は単結合又はメチレン基を表し、Aは置換基を有してもよい炭素原子数1乃至12の直鎖状の、分岐鎖状の、もしくは環状構造を有する脂肪族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6乃至16の芳香族基もしくは複素環基を表し、Prは保護基を表す。)
【請求項2】
前記共重合体は、前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位に加えて、下記式(3)で表される構造単位を有する、請求項1に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化2】
(式中、R
1は前記式(1)における定義と同義であり、R
4は少なくとも1つの水素原子がフルオロ基で置換され、更に置換基として少なくとも1つのヒドロキシ基を有してもよい炭素原子数1乃至12の直鎖状の、分岐鎖状の、又は環状構造を有する脂肪族基を表す。)
【請求項3】
前記式(1)で表される構造単位は下記式(1a)乃至式(1j)で表される構造単位のいずれかである、請求項1又は請求項2に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化3】
(式中、R
1、R
2及びR
3は前記式(1)における定義と同義であり、X
1及びX
2はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ基で置換されていてもよいメチル基を表し、Yは水素原子、メチル基又はエチ
ル基を表し、Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフルオロ基又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至3の直鎖状の又は分岐鎖状のアルキル基を表し、mは0乃至2の整数を表す。)
【請求項4】
前記式(2)で表される構造単位は下記式(2a)で表される構造単位、下記式(2b)で表される構造単位、下記式(2c)で表される構造単位又は下記式(2d)で表される構造単位である、請求項1又は請求項2に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化4】
(式中、R
1及びR
2は前記式(1)における定義と同義であり、2つのR
5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R
6はメチル基又はエチル基を表し、bは0乃至3の整数を表し、R
7は炭素原子数1乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素原子数1乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシアルキル基を表し、R
8は炭素原子数1乃至6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、R
9は水素原子、又は炭素原子数2乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を表す。)
【請求項5】
前記共重合体の重量平均分子量は1500乃至20000である、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布しベークして厚さ1nm乃至25nmのレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジスト溶液を塗布し加熱してレジスト膜を形成する工程、フォトマスクを介して前記レジスト膜をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー及び極端紫外線からなる群から選択される放射線により露光する工程、及び前記露光後に現像液によって前記レジスト膜を現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関し、特にレジストパターンとの密着性を向上させたレジスト下層膜を形成するための組成物に関し、更に、薄い膜厚(例えば25nm以下)のレジスト下層膜を形成する場合であっても基板への塗布性に優れたレジスト下層膜形成組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ArF液浸リソグラフィーや極端紫外線(EUV)リソグラフィーにおいては、レジストパターン線幅の加工寸法の微細化が求められている。このような微細なレジストパターンの形成においては、レジストパターンと下地基板との接触面積が小さくなることによって、レジストパターンのアスペクト比(レジストパターンの高さ/レジストパターンの線幅)が大きくなり、レジストパターンの倒壊が生じやすくなることが懸念される。そのため、レジストパターンと接触するレジスト下層膜又は反射防止膜においては、前記倒壊が生じないように、レジストパターンとの高い密着性が要求されている。
【0003】
レジスト下層膜においては、レジストパターンとの高い密着性を発現するために、ラクトン構造を含むレジスト下層膜形成組成物を用いることにより、得られるレジストパターンに対して密着性が向上することが報告されている(特許文献1)。すなわち、ラクトン構造のような極性部位を含むレジスト下層膜形成組成物を用いることにより、レジストパターンへの密着性が向上し、微細なレジストパターンにおいてもレジストパターンの倒壊を防止することが期待される。
【0004】
しかしながら、ArF液浸リソグラフィー、極端紫外線(EUV)リソグラフィーのような、より微細なレジストパターンの作製が要求されるリソグラフィープロセスにおいては、レジスト下層膜形成組成物としてラクトン構造を含むだけでは、レジストパターンの倒壊を防止するためには十分と言えない。
【0005】
レジスト下層膜とレジストパターンとの高い密着性を実現するために、特許文献2には、レジスト下層膜の表面状態を塩基性状態に改質させ、レジストパターンの裾形状がアンダーカット形状となることを抑制できる、レジスト下層膜形成組成物用添加剤が記載されている。一方、特許文献3には、レジスト下層膜の表面近傍に添加剤成分を偏析させることにより、レジストパターンの裾形状がフッティング形状となることを抑制できる、レジスト下層膜形成組成物用添加剤が記載されている。
【0006】
特許文献4には、レジスト下層膜の表面状態を疎水性に改質させ、レジストパターンを現像及び純水でリンスする際のラプラス力を低減させ、当該レジストパターンの前記レジスト下層膜との密着性が改善できる、レジスト下層膜形成組成物用添加剤が記載されている。一方、特許文献5には、レジスト膜を溶解し得る溶剤を用いて当該レジスト膜の未露光部を除去し、当該レジスト膜の露光部をレジストパターンとして残すレジストパターン形成方法において、レジスト下層膜の表面近傍の酸性度を調整することにより、レジストパターンの断面形状をストレート形状にすると同時に当該レジストパターンの前記レジスト下層膜との密着性が改善できる、レジスト下層膜形成組成物用添加剤が記載されている。
【0007】
特許文献6には、スルホ基を末端に導入した構造単位を有する共重合体、架橋剤、並びに溶剤を含む、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物が記載されている。そして、特許文献6に記載の発明は、レジスト下層膜を形成する際に架橋触媒成分に由来する昇華物の発生が抑制される効果を奏し、下部に裾引き形状をほとんど有さない良好な形状のレジストパターンを形成することができるレジスト下層膜を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第03/017002号
【文献】国際公開第2013/058189号
【文献】国際公開第2010/074075号
【文献】国際公開第2015/012172号
【文献】国際公開第2015/146443号
【文献】特開2010-237491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
側鎖にウレア結合(-NH-C(=O)-NH-)を有するポリマーを採用することで、従来よりも架橋性を飛躍的に向上させたレジスト下層膜形成組成物を提供することを目的とする。さらに、レジスト下層膜とレジストパターンとの密着性を改善するため、レジスト材料の成分と架橋するレジスト下層膜形成組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、ウレア結合を有し、かつ保護基によりブロックされたイソシアネート基を有する共重合体を、レジスト下層膜形成組成物に採用した。すなわち、本発明の第1の態様は、下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位を有する共重合体、架橋剤、有機酸触媒及び溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。
【化1】
(式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、R
3は単結合又はメチレン基を表し、Aは置換基を有してもよい炭素原子数1乃至12の直鎖状の、分岐鎖状の、もしくは環状構造を有する脂肪族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6乃至16の芳香族基もしくは複素環基を表し、Prは保護基を表す。)
【0011】
前記共重合体は前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位に加えて、下記式(3)で表される構造単位を有してもよい。
【化2】
(式中、R
1は前記式(1)における定義と同義であり、R
4は少なくとも1つの水素原子がフルオロ基で置換され、更に置換基として少なくとも1つのヒドロキシ基を有してもよい炭素原子数1乃至12の直鎖状の、分岐鎖状の、又は環状構造を有する脂肪族基を表す。)
【0012】
前記式(1)で表される構造単位は、例えば、下記式(1a)乃至式(1j)で表される構造単位のいずれかである。
【化3】
(式中、R
1、R
2及びR
3は前記式(1)における定義と同義であり、X
1及びX
2はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ基で置換されていてもよいメチル基を表し、Yは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフルオロ基又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至3の直鎖状の又は分岐鎖状のアルキル基を表し、mは0乃至2の整数を表す。)
【0013】
前記式(2)で表される構造単位は、例えば、下記式(2a)で表される構造単位、下記式(2b)で表される構造単位、下記式(2c)で表される構造単位又は下記式(2d)で表される構造単位である。
【化4】
(式中、R
1及びR
2は前記式(1)における定義と同義であり、2つのR
5はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R
6はメチル基又はエチル基を表し、bは0乃至3の整数を表し、R
7は炭素原子数1乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素原子数1乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシアルキル基を表し、R
8は炭素原子数1乃至6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を表し、R
9は水素原子、又は炭素原子数2乃至6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を表す。)
【0014】
前記共重合体の重量平均分子量は、例えば1500乃至20000、好ましくは3000乃至15000である。重量平均分子量が1500より小さいと、前記共重合体を含むレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜の溶剤耐性が得られず、一方、重量平均分子量が20000よりも大きいと、レジスト下層膜形成組成物を調製する際に、前記共重合体の溶剤への溶解性が悪化することが懸念される。
【0015】
本発明の第2の態様は、本発明の第1態様のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布しベークして厚さ1nm乃至25nmのレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジスト溶液を塗布し加熱してレジスト膜を形成する工程、フォトマスクを介して前記レジスト膜をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー及び極端紫外線からなる群から選択される放射線により露光する工程、及び前記露光後に現像液によって前記レジスト膜を現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法である。
【0016】
本発明の第3の態様は、下記式(a)、式(b)、式(c)、式(d)、式(e)、式(f)、式(g)、式(h)、式(i)又は式(j)で表されるモノマーである。
【化5】
(式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、R
3は単結合又はメチレン基を表し、X
1及びX
2はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、又は少なくとも1つの水素原子がフルオロ基で置換されていてもよいメチル基を表し、Yは水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフルオロ基又はヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至3の直鎖状の又は分岐鎖状のアルキル基を表し、mは0乃至2の整数を表す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るレジスト下層膜形成組成物をリソグラフィープロセスに適用することによって、当該レジスト下層膜形成組成物に含まれる共重合体は、前記式(1)で表される構造単位に由来するウレア結合を有するため、レジスト下層膜形成組成物の架橋性の向上が期待できる。さらに、前記レジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜の表面に、前記共重合体の前記式(2)で表される構造単位に由来する、保護基によりブロックされたイソシアネート基が存在する。前記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する際の加熱時に、前記保護基が脱保護されることにより生成したイソシアネート基(-N=C=O)が、レジスト材料の成分と化学結合する。それゆえ、前記レジスト下層膜とレジストパターンとの密着性が改善し、その結果レジストパターンの倒れを防止することができる。また、本発明に係るレジスト下層膜形成組成物を薄膜に塗布することで、EUVリソグラフィープロセスのような、超薄膜でのレジスト下層膜の使用が要求されるプロセスでも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[モノマー]
本発明のレジスト下層膜形成組成物に使用される共重合体は、下記式(1´)で表される化合物及び下記式(2´)で表される化合物を含む原料モノマーを重合して得られる。当該式(1´)で表される化合物はウレア結合を有する。
【化6】
(式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、R
3は単結合又はメチレン基を表し、Aは置換基を有してもよい炭素原子数1乃至12の直鎖状の、分岐鎖状の、もしくは環状構造を有する脂肪族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6乃至16の芳香族基もしくは複素環基を表し、Prは保護基を表す。)
上記置換基がハロゲノ基である場合、該ハロゲノ基として、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基が挙げられる。
【0019】
前記式(1´)で表される化合物として、例えば、下記式(a-1)及び式(a-2)、式(b-1)乃至式(b-8)、式(c-1)及び式(c-2)、式(d-1)及び式(d-2)、式(e-1)乃至式(e-4)、式(f-1)及び式(f-2)、式(g-1)及び式(g-2)、式(h-1)及び式(h-2)、式(i-1)乃至式(i-10)、及び式(j-1)乃至式(j-4)で表される化合物が挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0020】
[共重合体]
本発明のレジスト下層膜形成組成物に使用される共重合体は、前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位を有し、さらに前記式(3)で表される構造単位を有してもよい。
【0021】
前記式(1)で表される構造単位として、例えば、下記式(1a-1)及び式(1a-2)、式(1b-1)乃至式(1b-8)、式(1c-1)及び式(1c-2)、式(1d-1)及び式(1d-2)、式(1e-1)乃至式(1e-4)、式(1f-1)及び式(1f-2)、式(1g-1)及び式(1g-2)、式(1h-1)及び式(1h-2)、式(1i-1)乃至式(1i-10)、及び式(1j-1)乃至式(1j-4)で表される構造単位が挙げられる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0022】
前記式(2)で表される構造単位は、保護基によりブロックされたイソシアネート基を有し、当該保護基は加熱により脱保護され、イソシアネート基が生成する。このような構造単位としては、例えば、下記式(2a-1)、式(2a-2)、式(2b-1)、式(2b-2)、式(2c-1)乃至式(2c-14)、式(2d-1)及び式(2d-2)で表される構造単位が挙げられる。
【化15】
【化16】
【0023】
前記式(3)で表される構造単位としては、例えば、下記式(3-1)乃至式(3-6)で表される構造単位が挙げられる。前記式(3)で表される構造単位は、当該構造単位を有する共重合体を含む組成物から作製した膜を疎水性にする役割、及び当該組成物の塗布性を改善する役割がある。
【化17】
【0024】
[架橋剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、架橋剤をさらに含むものである。当該架橋剤としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:POWDERLINK1174)、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(ブトキシメチル)尿素、及び1,1,3,3-テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。前記架橋剤の含有割合は、前記共重合体に対し、例えば1質量%乃至30質量%である。
【0025】
[有機酸触媒]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに有機酸触媒を含むものである。当該有機酸触媒は、架橋反応を促進する触媒成分であり、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホナート、ピリジニウム-p-ヒドロキシベンゼンスルホナート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-フェノールスルホン酸、4-フェノールスルホン酸メチル、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等の、スルホン酸化合物及びカルボン酸化合物が挙げられる。これらの有機酸触媒は1種単独で含有してもよいし、2種以上の組み合わせで含有することもできる。前記有機酸触媒の含有割合は、前記架橋剤に対し、例えば0.1質量%乃至20質量%である。
【0026】
[溶剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに溶剤を含むものである。前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、及びこれらの溶剤から選択された2種以上の混合物が挙げられる。前記溶剤の割合は、前記レジスト下層膜形成組成物に対し、例えば50質量%乃至99.5質量%である。
【0027】
[その他の添加物]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、必要に応じて界面活性剤をさらに含有してもよい。界面活性剤は、基板に対する前記レジスト下層膜形成組成物の塗布性を向上させるための添加物であり、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のような公知の界面活性剤を用いることができる。前記界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-40、同R-40-LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は1種単独で含有してもよいし、2種以上の組合せで含有することもできる。前記レジスト下層膜形成組成物が界面活性剤を含有する場合、前記界面活性剤の割合は、前記共重合体に対し、例えば0.1質量%乃至5質量%であり、好ましくは0.2質量%乃至3質量%である。
【実施例】
【0028】
本明細書の下記合成例4乃至合成例7に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用いた。また、本明細書の下記合成例に示す分散度は、測定された重量平均分子量、及び数平均分子量から算出される。
【0029】
[原料モノマーの合成]
<合成例1>
【化18】
2-イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI)15.00g及びテトラヒドロフラン(以下、本明細書ではTHFと略称する。)75.00gを仕込み、30℃未満で5-ノルボルネン-2-メチルアミン(東京化成工業(株)製)11.91gとTHF75.00gとを混合した溶液を加えた。25℃で1時間撹拌し、得られた反応溶液を濃縮し、さらに乾燥させることにより、上記式(a-1)で表されるウレア結合を有する化合物を固体として26.79g得た(収率99.6%)。
【0030】
<合成例2>
【化19】
2-イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI)10.00g及びTHF50.00gを仕込み、30℃未満でベンジルアミン(東京化成工業(株)製)6.92gとTHF50.00gとを混合した溶液を加えた。25℃で1時間撹拌し、得られた反応溶液を濃縮し、さらに乾燥させることにより、上記式(b-1)で表されるウレア結合を有する化合物を固体として16.62g得た(収率98.3%)。
【0031】
<合成例3>
【化20】
2-イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI)10.00g及びTHF50.00gを仕込み、30℃未満で4-フルオロベンジルアミン(東京化成工業(株)製)8.07gとTHF50.00gとを混合した溶液を加えた。25℃で2時間撹拌し、得られた反応溶液を濃縮し、さらに乾燥させることにより、上記式(b-3)で表されるウレア結合を有する化合物を固体として18.00g得た(収率99.6%)。
【0032】
[共重合体の合成]
<合成例4>
メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル5.80g(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI-BM)、合成例1で得られた化合物4.00g、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル2.26g(東京化成工業(株)製))及び1-ドデカンチオール0.48g(東京化成工業(株)製)にプロピレングリコールモノメチルエーテル32.50gを加えた後、フラスコ内を窒素にて置換し70℃まで昇温した。重合開始剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル19.27gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.39gを前記フラスコ内に窒素加圧下添加し、24時間反応させ、下記式(1a-1)で表される構造単位、下記式(2a-2)で表される構造単位及び下記式(3-4)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液が得られた。得られた共重合体を含む溶液に対しGPC分析を行ったところ、当該溶液中の共重合体は、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量7600、分散度は2.10であった。
【化21】
【0033】
<合成例5>
メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル6.16g(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI-BM)、合成例2で得られた化合物4.00g、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル2.40g(東京化成工業(株)製))及び1-ドデカンチオール0.51g(東京化成工業(株)製)にプロピレングリコールモノメチルエーテル33.51gを加えた後、フラスコ内を窒素にて置換し70℃まで昇温した。重合開始剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.45gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.41gを前記フラスコ内に窒素加圧下添加し、24時間反応させ、下記式(1b-1)で表される構造単位、下記式(2a-2)で表される構造単位及び下記式(3-4)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液が得られた。得られた共重合体を含む溶液に対しGPC分析を行ったところ、当該溶液中の共重合体は、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量6200、分散度は3.28であった。
【化22】
【0034】
<合成例6>
メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル5.76g(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI-BM)、合成例3で得られた化合物4.00g、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル2.25g(東京化成工業(株)製))及び1-ドデカンチオール1.53g(東京化成工業(株)製)にプロピレングリコールモノメチルエーテル32.38gを加えた後、フラスコ内を窒素にて置換し70℃まで昇温した。重合開始剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル19.14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.39gを前記フラスコ内に窒素加圧下添加し、24時間反応させ、下記式(1b-3)で表される構造単位、下記式(2a-2)で表される構造単位及び下記式(3-4)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液が得られた。得られた共重合体を含む溶液に対しGPC分析を行ったところ、当該溶液中の共重合体は、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量5480、分散度は2.61であった。
【化23】
【0035】
<合成例7>
メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル18.33g(昭和電工(株)製、商品名:カレンズ〔登録商標〕MOI-BM)、アダマンチルメタクリレート10.00g(大阪有機工業(株)製)、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル7.14g(東京化成工業(株)製)及び1-ドデカンチオール1.53g(東京化成工業(株)製)にプロピレングリコールモノメチルエーテル92.11gを加えた後、フラスコ内を窒素にて置換し70℃まで昇温した。重合開始剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル60.87gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.24gを前記フラスコ内に窒素加圧下添加し、24時間反応させ、下記式(2a-2)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位及び下記式(3-4)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液が得られた。得られた共重合体を含む溶液に対しGPC分析を行ったところ、当該溶液中の共重合体は、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量6070、分散度は1.98であった。
【化24】
【0036】
<合成例8>
テレフタル酸ジグリシジルエステル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコール〔登録商標〕EX711)20.00g、5-ヒドロキシイソフタル酸(東京化成工業(株)製)12.54g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(シグマアルドリッチ社製)1.28gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル135.27gに加え溶解させた。反応容器を窒素置換後、135℃で4時間反応させ、下記式(5)で表される構造単位及び下記式(6)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液を得た。当該溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する溶解性は良好である。得られた共重合体を含む溶液に対しGPC分析を行ったところ、当該溶液中の共重合体は、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量6758、分散度は1.64あった。
【化25】
【0037】
<実施例1>
前記合成例4で得られた共重合体0.06gを含む溶液0.96gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK1174)0.039g及びピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.0049gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.05g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.94gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0038】
<実施例2>
前記合成例5で得られた共重合体0.16gを含む溶液1.01gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK1174)0.039g及びピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.0049gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.94gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0039】
<実施例3>
前記合成例6で得られた共重合体0.16gを含む溶液1.01gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK1174)0.039g及びピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.0049gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.04g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.94gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0040】
<比較例1>
前記合成例7で得られた共重合体0.16gを含む溶液0.92gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK1174)0.039g及びピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.0049gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.94gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0041】
<比較例2>
前記合成例8で得られた共重合体0.16gを含む溶液0.98gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK1174)0.039g、5-スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0039g及びR-30(DIC(株)製)0.00078gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.03g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.94gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0042】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1乃至実施例3及び比較例1で調製されたリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、スピナーにより、半導体基板であるシリコンウェハー上に塗布した。そのシリコンウェハーをホットプレート上に配置し、205℃で1分間ベークし、膜厚20nm乃至22nmのレジスト下層膜を形成した。これらのレジスト下層膜を、プロピレングリコールモノメチルエーテル70質量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量%から成る溶剤に浸漬し、その溶剤に不溶であるか否かの確認実験を行った。その結果を下記表1に示した。実施例1乃至実施例3で調製されたレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜は、比較例1で調製されたレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜と比較して、十分な溶剤耐性が得られることが確認できた。
【0043】
【0044】
(フォトレジストパターンの形成及びレジストパターンの密着性試験)
実施例1乃至実施例3及び比較例2で調製されたリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、スピナーにより、シリコンウェハーに塗布した。そのシリコンウェハーをホットプレート上に配置し、205℃で1分間ベークし、膜厚5nmのレジスト下層膜を形成した。これらのレジスト下層膜の上に、EUVリソグラフィープロセス向けのフォトレジストをスピナーにより塗布し、ホットプレート上で110℃にて60秒間加熱してフォトレジスト膜(膜厚35nm)を形成した。
【0045】
次いで、(株)エリオニクス製の電子線描画装置(ELS-G130)を用い、前記フォトレジスト膜にラインアンドスペースパターン(以下、L/Sと略称する。)を描画した。描画後のフォトレジスト膜を、ホットプレート上、110℃で60秒間加熱し、冷却後、工業規格の60秒シングルパドル式工程にて、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像した。以上の過程を経て、シリコンウェハー上にレジストパターンを形成した。実施例1乃至実施例3及び比較例2のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜上のフォトレジスト膜について、L/Sの形成可否の結果を表2に示す。目的のL/Sが形成された場合を「良好」と表した。
【0046】
また、前記電子線描画装置を用いたL/Sの描画時間を、最適描画時間から段階的に増加させることにより、L/Sのスペース部に照射される電子線の照射時間が増す結果として、形成されるL/Sの線幅を徐々に細らせた。その際、ラインパターンの倒れが発生する一つ前段階のラインパターンの線幅を最少倒壊前寸法とし、レジストパターンの密着性の指標とした。表2にその結果を示す。この最少倒壊前寸法の値が小さいほど、レジスト下層膜とレジストパターンとの密着性が高いことを示唆している。特にレジストパターンの線幅が微細な場合、1nmの差は重大である。そのため、当該最少倒壊前寸法は1nmでも小さい方が極めて好ましい。
【表2】