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特許7129021シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/06 20060101AFI20220825BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220825BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B65H35/06
G03G15/00 460
B65H5/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018050430
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019163102
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】米山 史晴
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 智道
(72)【発明者】
【氏名】日高 信
(72)【発明者】
【氏名】坂野 広樹
(72)【発明者】
【氏名】國枝 晶
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-071095(JP,U)
【文献】特開平11-301914(JP,A)
【文献】特開2001-341932(JP,A)
【文献】特開2007-022070(JP,A)
【文献】特開2017-109322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 35/00-35/10
B65H 37/00-37/06
B41J 11/66-11/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物と前記刃物に対向する対向部材との間でシートを挟み込んで前記シートに所定の処理を施すシート処理部と、
前記シートを狭持しながら前記シート処理部へ搬送する第一搬送手段と、
前記シート処理部を通過してきた前記シートを狭持しながら搬送する第二搬送手段とを備えたシート処理装置において、
少なくとも前記第二搬送手段が、前記第二搬送手段に駆動力を伝達する駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成されており、
前記シート処理部により前記シートに所定の処理を行う前のシート搬送制御として、前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を停止した後、前記第二搬送手段に駆動力を伝達する駆動伝達部材を所定時間逆回転させて、前記第二搬送手段を前記駆動伝達部材に対して相対的に回転させた後、前記第一搬送手段を所定時間逆回転させる制御を行うことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処理装置において、
前記駆動伝達部材は、前記第二搬送手段を支持する支持軸であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート処理装置において、
前記第二搬送手段には、回転方向に延びる溝部を有し、
前記第二搬送手段を支持する支持軸には、前記溝部に入り込む突起部を有することを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記シート処理部が前記シートに施す処理が、部分切断処理であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記シートが、カットシートであることを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理手段とを備えた画像形成装置において、
前記シート処理手段として、請求項1乃至5いずれか一項に記載のシート処理装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置として、請求項1乃至5いずれか一項に記載のシート処理装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刃物と刃物に対向する対向部材との間でシートを挟み込んでシートに所定の処理を施すシート処理部と、シートを狭持しながらシート処理部へ搬送する第一搬送手段と、シート処理部を通過してきたシートを狭持しながら搬送する第二搬送手段とを備えたシート処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート処理装置として、第二搬送手段のシートの搬送を停止した後、第一搬送手段のシート搬送を停止し、シートを刃物と対向部材とで挟み込んでシートにミシン目を形成するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート処理装置においては、シートに処理を施す位置が狙いの位置からずれる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、刃物と前記刃物に対向する対向部材との間でシートを挟み込んで前記シートに所定の処理を施すシート処理部と、前記シートを狭持しながら前記シート処理部へ搬送する第一搬送手段と、前記シート処理部を通過してきた前記シートを狭持しながら搬送する第二搬送手段とを備えたシート処理装置において、少なくとも前記第二搬送手段が、前記第二搬送手段に駆動力を伝達する駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成されており、前記シート処理部により前記シートに所定の処理を行う前のシート搬送制御として、前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を停止した後、前記第二搬送手段に駆動力を伝達する駆動伝達部材を所定時間逆回転させて、前記第二搬送手段を前記駆動伝達部材に対して相対的に回転させた後、前記第一搬送手段を所定時間逆回転させる制御を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートの所望の位置に処理を施すことができ、かつ、シートの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図。
図2】画像形成システムのシステム構成の他の例を示す図。
図3】画像形成装置について説明する図。
図4】ミシン目形成装置について説明する図。
図5】ミシン目形成部の概略構成図。
図6】押圧機構の斜視図。
図7】ミシン目形成装置におけるシート搬送について説明する図。
図8】ミシン目形成部のミシン目形成動作を説明する説明図。
図9】従来におけるミシン目形成動作について説明する図。
図10】実施例1におけるミシン目形成処理前のシート搬送制御について説明する図。
図11】入口ローラ対を駆動する駆動装置の概略構成図。
図12】実施例2のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図13】実施例3のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図14】実施例4のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図15】実施例5のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図16】薄紙のときのミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図17】厚紙のときのミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図18】二回目のミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図。
図19】駆動装置の変形例を示す図。
図20】駆動装置のさらなる変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システム4のシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置3の後段に、シート処理装置であるミシン目形成装置1と、後処理装置2とが順に設けられている。
【0009】
画像形成装置3は、入力された画像データまたは読み取った画像の画像データに基づいて、シートに画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置3は、例えば電子写真方式や液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでも良い。なお、本実施形態においては、電子写真方式の複写機を用いている。
【0010】
後処理装置2としては、例えば、シートにパンチ孔を開けるパンチ穿孔装置、ステープラ等によりシート束を綴じるシート綴じ装置、画像形成済みシートを複数の排出トレイへ仕分けして排出する仕分排出装置などが挙げられる。
【0011】
図2は、画像形成システム4のシステム構成の他の例を示す図である。
この図2に示す画像形成システム4は、画像形成装置3の胴内にミシン目形成装置1を配置したものであり、ミシン目形成装置1を備えた画像形成装置3と後処理装置2とで、画像形成システムが構成されている。また、後処理装置2にミシン目形成装置を設けてもよい。
【0012】
図3は、画像形成装置3について説明する図である。
画像形成装置本体400は、画像形成部の下部に、記録媒体であるシートを収納する給送カセットが配置されている。給送カセットに収納されたシートは、それぞれ、給送ローラ414a,414bによって給送された後、所定の搬送路に沿って上方へ搬送され、レジストローラ対413へ到達する。
【0013】
画像形成部は、像担持体としての感光体ドラム401と、帯電装置402と、露光装置410と、現像装置404と、転写装置405と、クリーニング装置406とを備えている。
【0014】
帯電装置402は、感光体ドラム401の表面を一様に帯電する帯電手段である。露光装置410は、画像読取装置100で読み取った画像情報に基づいて感光体ドラム401上に静電潜像を形成する潜像形成手段である。現像装置404は、感光体ドラム401上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化する現像手段である。転写装置405は、感光体ドラム401上のトナー画像をシートに転写する転写手段である。クリーニング装置406は、転写後の感光体ドラム401上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0015】
また、画像形成部のシート搬送方向下流側には、トナー画像をシートに定着する定着手段としての定着装置407が配置されている。
【0016】
露光装置410は、制御部の制御の下で画像情報に基づくレーザー光を発射するレーザーユニット411と、レーザーユニット411からのレーザー光を感光体ドラム401の回転軸方向(主走査方向)に走査するポリゴンミラー412を具備する。
【0017】
また、画像読取装置100の上部には、自動原稿搬送装置500が接続されている。この自動原稿搬送装置500は、原稿テーブル501、原稿分離給送ローラ502、搬送ベルト503、原稿排紙トレイ504を具備している。
【0018】
原稿テーブル501に原稿がセットされて読み取り開始指示を受けると、自動原稿搬送装置500では、原稿テーブル501上の原稿が原稿分離給送ローラ502により1枚ずつ送り出される。そして、その原稿は搬送ベルト503によりプラテンガラス309上に案内され、一時停止する。
【0019】
そして、プラテンガラス309上に一時停止した原稿は、画像読取装置100によりその画像情報が読み取られる。その後、搬送ベルト503が原稿の搬送を再開し、その原稿は原稿排紙トレイ504に排出される。
【0020】
次に、画像読取動作と画像形成動作について説明する。
自動原稿搬送装置500によりプラテンガラス309上に原稿が搬送されるか、ユーザーによりプラテンガラス309上に原稿が載置されて、操作パネルにコピー開始操作がなされると、第一走行体303上の光源301が点灯する。また、これとともに、第一走行体303及び第二走行体306を、ガイドレールに沿って移動させる。
【0021】
そして、プラテンガラス309上の原稿に光源301からの光が照射され、その反射光が、第一走行体303上のミラー302、第二走行体306上のミラー304,305、レンズ307に案内されて、CCD308で受光される。これにより、CCD308は原稿の画像情報を読み取り、その画像情報はA/D変換回路によってアナログデータからデジタルデータに変換される。この画像情報は、情報出力部から画像形成装置本体400の制御部へ送られる。
【0022】
一方、画像形成装置本体400は、感光体ドラム401の駆動を開始し、感光体ドラム401が所定速度で回転したら、帯電装置402により感光体ドラム401の表面を一様に帯電させる。そして、この帯電した感光体ドラム401の表面に、画像読取装置で読み取った画像情報に基づいた静電潜像が露光装置410により形成する。
【0023】
その後、感光体ドラム401の表面上の静電潜像は、現像装置404により現像されてトナー画像となる。また、給送カセットに収納されたシートは、給送ローラ414a,414bによって給送され、レジストローラ対413で一時停止させる。
【0024】
そして、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像の先端部分が転写装置405と対向する転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対413により転写部に送り込まれる。転写部をシートが通過する際、転写電界の作用によって感光体ドラム401の表面に形成されたトナー像がシート上に転写される。
【0025】
その後、トナー像を載せたシートは、定着装置407に搬送され、定着装置407により定着処理を受けた後、後段のミシン目形成装置1に排出される。なお、転写部においてシートに転写されることなく感光体ドラム401の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置406により除去される。
【0026】
図4は、ミシン目形成装置1について説明する図である。
図4に示すように、ミシン目形成装置1は、搬送路14に沿って入口側から入口ローラ対11、揺動ガイド板13、ミシン目形成部20、排紙ローラ対12を備えている。
【0027】
入口ローラ対11は、ミシン目形成装置1の入口に位置し、画像形成装置3の排紙ローラ408によって排紙されるシートを受け取り、ミシン目形成部20に搬入する機能を有する。
入口ローラ対11の後段には、揺動ガイド板13が配置されている。揺動ガイド板13は、搬送方向下流側端部を支点にして揺動可能に設けられている。シートを搬送するときは、図4に示すガイド位置に位置し、ミシン目形成部20によりミシン目を形成するときは、図中反時計回りに揺動し、退避位置に位置する。
排紙ローラ対12は、ミシン目形成装置1の最後段の出口直前に位置し、シートの排出を行う機能を有する。
【0028】
図5は、ミシン目形成部20の概略構成図であり、(a)は、ミシン目形成部20をシート幅方向から見た図であり、(b)は、ミシン目形成部20をシート搬送方向上流側から見た図である。また、図6は、押圧機構30の斜視図である。
図5に示すようにミシン目形成部20は、主に複数の刃41aが形成された刃物41と、シートを刃物41に押圧する押圧機構30とを備えている。押圧機構30は、両端がミシン目形成装置1の側板1aに支持され、シート搬送方向に並べて設けられた一対のガイドレール38にシート幅方向(図5(b)の左右方向)に移動可能に支持されている。
【0029】
また、ミシン目形成部20には、押圧機構30をシート幅方向(図5(b)の左右方向)に移動させるための駆動装置50を備えている。駆動装置50は、駆動モータ54と、駆動モータ54の駆動力がタイミングベルト55を介して伝達される駆動プーリ53と、駆動プーリ53が配置された側と反対側に配置された従動プーリ51と、駆動プーリ53と従動プーリ51とに張架された移動用タイミングベルト52とを主に備えている。押圧機構30は、この移動用タイミングベルト52に取り付けられている。
この移動用タイミングベルト52が駆動モータ54の正逆回転によって無端移動することで、押圧機構30がシート幅方向に往復駆動される。
【0030】
押圧機構30は、図5(a)、図6に示すように、対向部材としてのローラ部材32と、ローラ部材32を回転可能かつシートの垂直方向に揺動可能に支持する支持部材としてのホルダ33と、ホルダ33を回転可能に支持し、一対のガイドレール38にスライド可能に支持されたスライダ34と、加圧手段としてのコイルスプリング37とを主に備えている。
【0031】
ローラ部材32の回転軸方向(シート搬送方向)中央には、溝32aが形成されている。この溝32aは、刃物41と対向している。ローラ部材32は、ホルダ33のローラ支持部33cに取り付けられた軸32bに回転自在に支持されている。また、ローラ部材32の回転中心に回転軸方向に突出するボス部を設け、このボス部をホルダ33のローラ支持部33cに回転自在に支持してもよい。
【0032】
ホルダ33は、スライダ34に取り付けられた支持軸33bに回転自在に支持されている。これにより、この支持軸33bを支点にしてシートの垂直方向に揺動可能にローラ部材32が支持される。また、ホルダ33にボス部を設けて、このボス部をスライダ34に回転自在に支持してもよい。また、ホルダ33は、コイルスプリング37の一端を受けるバネ受け台33aを有している。
【0033】
スライダ34は、シート搬送方向両端に貫通孔34aを有し、これら貫通孔34aにガイドレール38が貫通している。これにより、スライダ34は、シート幅方向にスライド可能にガイドレール38に支持される。また、スライダ34は、ホルダ33のバネ受け台33aと対向し、コイルスプリング37の他端を受けるバネ受け台34bを有している。コイルスプリング37は、スライダ34にネジで固定され、ホルダ33を刃物41側へ付勢している。これにより、ホルダ33に支持されているローラ部材32が、刃物側へ付勢され、シートを刃物41に押圧することができる。
【0034】
また、図5(b)に示すように、刃物41の両端よりも外側の通紙領域外には、退避した押圧機構30のローラ部材32が乗り上げる退避台42が設けられている。
【0035】
図7は、ミシン目形成装置1におけるシート搬送について説明する図である。
図7(a)に示すように、シートPが画像形成装置3の排紙ローラ408によって画像形成装置から排紙されたシートPを入口ローラ対11が受け取り、ミシン目形成部20へシートPを搬送する。このとき、揺動ガイド板13はガイド位置に位置している。入口ローラ対11により搬送されてきたシートPは、揺動ガイド板13にガイドされてミシン目形成部20に搬送される。
【0036】
図7(a)に示すように、揺動ガイド板13がガイド位置にあるとき、揺動ガイド板13の先端は、刃物41の刃41aの刃先よりも押圧機構30側(図中上側)に位置している。そのため、揺動ガイド板13にガイドされたシートPは、刃41aの上空を通過し、シートが刃物の刃41aに引っ掛ることなく、搬送することができる。これにより、ジャムの発生やスキューの発生を抑制することができる。
【0037】
図7(b)に示すように、シートPの先端が排紙ローラ対12に到達し、シートPが入口ローラ対11と排紙ローラ対12とに狭持搬送される。そして、シートPのミシン目位置が刃物41に対向したら、入口ローラ対11、排紙ローラ対12の回転を停止する。
【0038】
次に、揺動ガイド板13を図中反時計回りに回転させ、揺動ガイド板13を図7(c)に示す退避位置に位置させる。揺動ガイド板13が退避位置に位置したら、押圧機構30をシート幅方向へ移動させ、押圧機構30によりシートPを刃物41に押し付けて、シートPの所定の位置にミシン目を形成する。
【0039】
ミシン目形成部20でシートPの所定の位置にミシン目を形成したら、揺動ガイド板13を退避位置からガイド位置へ揺動させる。この揺動ガイド板13が退避位置からガイド位置へ揺動する途中で、揺動ガイド板13がシートPに当接し、シートPを持ち上げる。これにより、シートPに突き刺さった刃41aをシートから離すことができる。このように、本実施形態においては、揺動ガイド板13が、シートを刃物から離間させる離間手段としての機能を有している。
【0040】
次に、揺動ガイド板13がガイド位置に位置したら、図7(b)に示すように、入口ローラ対11および排紙ローラ対12の回転を再開し、シートの搬送を再開する。揺動ガイド板13によりシートPに突き刺さった刃41aをシートPから離してから、シートを搬送するので、シートPが突き刺さった刃41aにより引き千切られたり、突き刺さった刃41aに引っ掛ってジャムが発生したりするのを防止することができる。
【0041】
次に、ミシン目形成部20のミシン目形成動作について説明する。
図8は、ミシン目形成部20のミシン目形成動作を説明する説明図である。
図8(a)に示すように、ミシン目形成動作前は、押圧機構30は退避位置に位置しており、ローラ部材32が退避台42に乗り上げている。シートPが所定の位置で停止したら、駆動モータ54の駆動を開始し、押圧機構30をシート幅方向一端側(図中左端)から他端側へ移動させる。すると、ローラ部材32が、刃先の上を転がりながら、図中矢印D方向へ移動する。
【0042】
押圧機構30が図中矢印D方向へ移動していくと、図8(b)に示すように、ローラ部材32がシートPに当接し、シートPがローラ部材32と刃物41とに挟まれる。ローラ部材32は、ホルダ33を介してコイルスプリング37により刃物側へ付勢されている。よって、ローラ部材32によりシートPが刃物41に押圧され、刃物41の刃41aがシートPに突き刺ささってシートを貫通し、ミシン目が形成される。本実施形態においては、図5(a)に示すように、ローラ部材32の刃物41と対向箇所に溝32aを設けている。これにより、ローラ部材32がシートと接触した際に、この溝32aとシートとの間には隙間が形成される。よって、刃41aが確実にシートPを貫通し、良好にミシン目を形成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、ホルダ33は、ローラ部材32をシートの垂直方向に揺動可能に支持している。これにより、刃物41の刃先の凹凸に追随することができ、刃物刃に引っ掛るのを抑制し、スムーズに押圧機構30をシート幅方向へ移動させることができる。また、製造誤差による押圧力の増減を抑制することができ、良好にシートにミシン目を形成することができる。
【0044】
また、シート上を移動する移動部材たるローラ部材32は、回転しながらシート上を移動するので、移動の抵抗を低減することができ、スムーズに押圧機構30をシート幅方向に移動させることができる。
【0045】
このように、押圧機構30を図中矢印D方向へ移動させながら、シートPにミシン目を形成していき、最終的に押圧機構30が、図8(d)に示すように、図中右端の退避位置まで移動し、ローラ部材32が図中右側の退避台42に乗り上げたら、ミシン目形成動作が終了する。そして、次のシートに対してミシン目を形成するときは、図8とは、反対方向へ移動させミシン目を形成する。また、ミシン目が形成されたシートの後端が刃物41の対向箇所を抜けたら、押圧機構30を図8とは、反対方向へ移動させ、図中左側の退避位置へ移動させて、シートに対してミシン目を形成するときの移動方向を、図8に示す方向に限定してもよい
【0046】
図9は、従来におけるミシン目形成動作について、説明する図である。
従来においては、図9(a)に示すように、シートが排紙ローラ対12と入口ローラ対11との狭持され、シートPのミシン目形成位置が刃物41に対向したら、図9(b)に示すように、排紙ローラ対12の回転を停止してから、所定時間経過して入口ローラ対11の回転を停止する。そのため、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間でシートに撓みWが生じている。そして、図9(c)示すように、シートに撓みWが生じた状態で、ローラ部材32を刃の並び方向に移動させて、ミシン目を形成していた。しかしながら、ミシン目形成処理時にシートにたわみが生じていることから、刃41aに対するシートPの接触位置はばらつきやすい。その結果、シートの規定の位置にミシン目を形成できないおそれがあった。
【0047】
従来とは逆に、入口ローラ対11の回転を停止してから所定時間経過して排紙ローラ対12の回転を停止して、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間でシートを張った状態で、ミシン目形成処理を行うことで、シートの規定の位置にミシン目を形成することができる。しかしながら、ミシン目形成処理時は、ローラ部材32によりシートPが刃物41に向けて押圧されることから、シートが刃物41側に引っ張られる。その結果、張った状態のシートにさらに張力が加わるため、シートに過度な張力が加わり、シートが破れるおそれがあった。
【0048】
そこで、本実施形態では、ミシン目形成処理時にシートが刃物41側に引っ張られた際に、シートがミシン目形成部20側へ移動して、シートに過度な張力が加わらないようにした。以下、具体的に説明する。
【0049】
[実施例1]
図10は、実施例1におけるミシン目形成処理前のシート搬送制御について説明する図であり、図11は、入口ローラ対11を駆動する駆動装置110の概略構成図である。
図11に示すように、ミシン目形成位置に隣接する位置でシートを搬送するローラである入口ローラ対11の各入口ローラ11a,11bに、搬送モータ112の駆動力が伝達される。第一入口ローラ11aの第一ローラ軸111aの一端に、モータギヤ112aと噛み合う第一ギヤ101が、第一ローラ軸111aと一体的に回転するように第一ローラ軸111aに取り付けられている。また、第二入口ローラ11bの第二ローラ軸111bの一端に、第一ギヤ101と噛み合う第二ギヤ102が、第二ローラ軸111bと一体的に回転するように第二ローラ軸111bに取り付けられている。
【0050】
これにより、搬送モータ112の駆動力が各入口ローラ11a,11bに伝達され、第一入口ローラ11aと第二入口ローラ11bが回転駆動する。このように、第一入口ローラ11a、第二入口ローラ11bいずれも回転駆動することで、厚紙を良好に搬送することができる。排紙ローラ対12を駆動する駆動装置についても、入口ローラ対11と同様であり、各排紙ローラ12a,12bに駆動力が伝達され回転駆動する。
【0051】
また、各ローラ軸111a,111bには、入口ローラ11a,11bに駆動力を伝達する駆動伝達部材たる駆動ピン8がそれぞれ設けられている。各入口ローラ11a,11bは、ローラ軸111a,111bに回転自在に支持されており、各入口ローラ11a,11bのフランジ部には、空転溝部7が回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられている。空転溝部7は、図10に示すように扇形状をしており、その空転溝部7に駆動ピン8が入り込んでいる。
【0052】
上記構成により、各入口ローラ11a,12bは、駆動伝達部材たる駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対的に回転可能となり、駆動連結が解除可能な構成となっている。
【0053】
図10(a)に示すように、各入口ローラ11a,11bが回転駆動しているときは、駆動ピン8が、空転溝部7の回転方向端部の回転方向に垂直な端面に突き当たることで、駆動ピン8から搬送モータ112の駆動力が伝達され、各入口ローラ11a,11bが回転駆動する。
【0054】
製造誤差などで入口ローラ対11のシート搬送速度が、排紙ローラ対12のシート搬送速度よりも僅かながら速くなっているなどの要因で、図10(a)に示すように、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間でシートPに撓みWが発生している場合がある。また、排紙ローラ対12にシートの先端を突き当てた状態で入口ローラ対でシートを搬送し、シートのスキュー補正を行ってから、排紙ローラ対12の駆動を開始するようにした場合においても、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間でシートPに撓みWが発生する。
【0055】
このような撓みWのある状態で、ミシン目形成処理を行うと、上述したように、シートPの狙いの位置にミシン目を形成できないおそれがある。そのため、実施例1では、まず、入口ローラ対11の回転駆動を停止する。そして、所定時間経過したら、排紙ローラ対12の回転駆動を停止する。
【0056】
このように、入口ローラ対11の回転駆動のみを停止すると、入口ローラ対11に狭持されたシートの部分は搬送されず、排紙ローラ対12に狭持された部分が搬送される。その結果、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の撓みWが解消され、図10(b)に示すように入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間のシートPが直線状となる。
【0057】
入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の撓みWが解消されてた後も、排紙ローラ対12の回転駆動は継続される。すると、シートPが、入口ローラ11a,11bを引っ張り、各入口ローラ11a,11bが、駆動伝達部材たる駆動ピン8(ローラ軸111a,111b)に対して相対的に回転する。その結果、駆動ピン8が、空転溝部7の端面から離れ、入口ローラ11a,11bと、駆動ピン8との駆動連結が解除される。そして、駆動ピン8が、空転溝部7の回転方向に位置するタイミングで、排紙ローラ対12の回転駆動が停止される。
【0058】
排紙ローラ対12の回転駆動が停止したらミシン目形成動作を実行し、図10(c)に示すように、ローラ部材32をシート幅方向一端側から他端側へ移動させて、シートPにミシン目を形成する。このとき、シートPは撓んでいないため、刃41aに対するシートPの接触位置はばらつくことがなく、シートPのミシン目形成位置にミシン目を形成することができ、ミシン目形成の位置精度を高めることができる。
【0059】
また、ミシン目形成動作において、ローラ部材32でシートPを刃物側へ押圧するため、シートPが刃物側撓み、シートPの入口ローラ対11に狭持されている箇所、排紙ローラ対12に狭持されている箇所が、それぞれ、ミシン目形成部20側へ引っ張られる。
【0060】
排紙ローラ対12においては、駆動連結が解除されていないので、この排紙ローラ対12を回転させるためには、排紙ローラ対12の駆動力を伝達するギヤや、搬送モータなども回転させる必要があり、大きな力が必要となる。そのため、排紙ローラ対12が、シートにより引っ張られても回転することがない。
【0061】
一方、入口ローラ対11は、駆動ピン8が、空転溝部7の端面から離れており、駆動ピン8との駆動連結が解除されている。従って、入口ローラ対11の駆動力を伝達するギヤや、モータなどを回転させずに、入口ローラ対11を回転させることができ、小さい力で入口ローラ対11を回転させることができる。その結果、ミシン目形成動作において、入口ローラ対11が、シートに引っ張られると、入口ローラ対11が回転して、シートPがミシン目形成部20に向けて繰り出される。これにより、ミシン目形成動作時に、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の張力が緩和され、シートPに過度な張力がかかることがなく、シートが破れるなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0062】
[実施例2]
図12は、実施例2のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
この実施例2は、ミシン目形成位置に隣接する位置でシートを搬送するローラであり、シート搬送方向においてミシン目形成位置のすぐ後にシートに接触する排紙ローラ対12の各排紙ローラ12a,12bのフランジ部に空転溝部7を設け、駆動伝達部材たる駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対的に回転可能に構成したものである。
【0063】
この実施例2におけるミシン目形成動作前のシート搬送制御は、まず、図12(a)に示すように、入口ローラ対11、排紙ローラ対12を同時に停止する。次に、図12(b)に示すように、排紙ローラ対12を駆動する駆動装置の搬送モータを逆回転させる。すると、駆動ピン8(ローラ軸)が、排紙ローラ12a,12bに対して相対的に回転する。駆動ピン8が、シート搬送時とは反対側の空転溝部7の端面に突き当たるまで、排紙ローラ対12を駆動させる駆動装置の搬送モータを逆回転させる。
【0064】
次に、図12(c)に示すように、入口ローラ対11を駆動させる駆動装置の搬送モータを逆回転させ、入口ローラ対11を逆回転させる。これにより、シートの後端側が逆送され、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の撓みWが解消され、シートが真直ぐになる。入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の撓みが解消されてた後も、入口ローラ対の11の逆回転を継続する。すると、シートPが、排紙ローラ12a,12bを引っ張り、各排紙ローラ12a,12bが、駆動伝達部材たる駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対的に回転する。その結果、駆動ピン8が、空転溝部7の端面から離れ、排紙ローラ12a,12bと、駆動ピン8との駆動連結が解除される。そして、駆動ピン8が、空転溝部7の回転方向に位置するタイミングで、入口ローラ対11の逆回転駆動が停止される。入口ローラ対11の回転駆動が停止したらミシン目形成動作を実行し、シートPにミシン目を形成する。
【0065】
この実施例2においても、撓みのないシートPに対してミシン目を形成するので、シートPのミシン目形成位置にミシン目を形成することができ、ミシン目形成の位置精度を高めることができる。
【0066】
また、ミシン目形成動作において、ローラ部材32の押圧力でシートPが刃物側撓んだ際は、駆動連結が解除され、単独で回転可能となっている排紙ローラ対12が回転することで、シートPの先端側がミシン目形成部20に向けて繰り出される。これにより、ミシン目形成動作時に、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の張力が緩和され、シートPに過度な張力がかかることがなく、シートが破れるなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0067】
実施例1では、ミシン目形成位置に隣接する位置でシートを搬送するローラであり、シート搬送方向においてミシン目形成位置のすぐ前でシートに接触する入口ローラ11a,11bが、駆動伝達部材に対して相対的に回転可能な構成のため、入口ローラ対に突き当ててスキュー補正を行う場合、シートの先端が入口ローラ11aに突き当たったとき、入口ローラが空転してシートを搬送してしまう。そのため、入口ローラ対でスキュー補正は行えず、スキュー補正を行う場合は、排紙ローラ対にシートの先端を突き当てて、スキュー補正することなる。その結果、入口ローラ対と排紙ローラとの間の撓み量が大きくなるという不具合がある。
【0068】
一方、実施例2では、入口ローラ対に突き当てて、スキュー補正をすることができるので、入口ローラ対と排紙ローラとの間の撓み量が少ないというメリットがある。
【0069】
しかしながら、実施例2では、シートを逆送させるため、ミシン目形成動作前のシート搬送制御の時間が実施例1よりも長くなり、生産性が低下するというデメリットがある。また、実施例1では、排紙ローラ対と入口ローラ対とで駆動停止のタイミングを変えるだけであり、簡単制制御で、撓みの解消と、駆動連結の解除とを行なうことができる。
【0070】
[実施例3]
図13は、実施例3のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
この実施例3は、シート搬送方向においてミシン目形成位置のすぐ前でシートに接触する入口ローラ対11の各入口ローラ11a,11bと、シート搬送方向においてミシン目形成位置のすぐ後にシートに接触する排紙ローラ対12の各排紙ローラ12a,12bとに空転溝部7を設け、ミシン目形成位置に隣接する位置でシートを搬送するローラである入口ローラ対11、排紙ローラ対12の両方を、駆動伝達部材たる駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対的に回転可能に構成したものである。
【0071】
この実施例3におけるミシン目形成動作前のシート搬送制御は、まず、実施例1と同様に、入口ローラ対11を回転駆動させる駆動装置の搬送モータの回転を停止し、シートPの撓みWを解消するとともに、駆動ピン8を空転溝部7の回転方向の中央に位置するように、入口ローラ11a,11bを駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対回転させ、入口ローラ11a,11bの駆動連結を解除する(図13(a),図13(b))。
【0072】
次に、排紙ローラ対12を駆動させる駆動装置の搬送モータを逆回転させ、排紙ローラ12a,12bに対して駆動ピン8(ローラ軸)を相対的に回転させ、駆動ピン8を空転溝部7の回転方向の中央に位置させて、排紙ローラ12a,12bとの駆動連結を解除する(図13(c))。そして、排紙ローラ対12を駆動させる駆動装置の搬送モータの逆転駆動が停止したら、ミシン目形成動作を実行し、シートPにミシン目を形成する。
【0073】
この実施例3においても、撓みのないシートPに対してミシン目を形成することができ、シートPのミシン目形成位置にミシン目を形成することができる。
【0074】
また、ミシン目形成動作において、ローラ部材32の押圧力でシートPが刃物側撓んだ際は、駆動連結が解除され、単独で回転可能となっている排紙ローラ12a,12bと入口ローラ11a,11bが回転することで、シートPの先端側がミシン目形成部20に向けて繰り出される。これにより、ミシン目形成動作時に、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の張力が緩和され、シートPに過度な張力がかかることがなく、シートが破れるなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0075】
[実施例4]
図14は、実施例4のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
この実施例4は、ワンウェイクラッチ9を用いて、シート搬送方向においてミシン目形成位置のすぐ前でシートに接触する入口ローラ11a,11bをローラ軸に対して空回りさせるようにしたものである。第一入口ローラ11aに設けられたワンウェイクラッチ9は、ローラ軸111aが第一入口ローラ11aに対して図中時計回り方向に相対回転するときは駆動連結し、ローラ軸111aから駆動力が第一入口ローラ11aに伝達される。一方、ローラ軸111aが第一入口ローラ11aに対して図中反時計回り方向に相対回転するときは駆動連結が解除される。
【0076】
第二入口ローラ11bに設けられたワンウェイクラッチ9は、ローラ軸111bが第二入口ローラ11bに対して図中時反計回り方向に相対回転するときは駆動連結し、ローラ軸111bから駆動力が第二入口ローラ11bに伝達される。一方、ローラ軸111bが第二入口ローラ11bに対して図中時計回り方向に相対回転するときは駆動連結が解除される。
【0077】
この実施例4におけるミシン目形成動作前のシート搬送制御は、実施例1と同様、入口ローラ対11の回転駆動を停止する。そして、所定時間経過したら、排紙ローラ対12の回転駆動を停止する。
【0078】
排紙ローラ対12よりも先に入口ローラ対の回転駆動を停止することで、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間のシートの撓みWが解消される。実施例4では、実施例1とは異なり、シートの撓みが解消されるタイミングで排紙ローラ対12の回転駆動を停止する。これは、ワンウェイクラッチ9を用いることで、シートの撓みWが解消後も排紙ローラ対12を回転駆動させて、入口ローラ11a,11bを駆動伝達部材に対して相対的に回転して駆動ピンを空転溝部の端面から離さずとも、駆動連結が解除されるからである。
【0079】
ミシン目形成動作において、ローラ部材32の押圧力でシートPが刃物側撓んだ際は、シートに引っ張られて入口ローラ11a,11bが回転しようとする。このとき、停止したローラ軸111a,111bの入口ローラ11a,11bに対する相対的な回転方向が、シート搬送時と逆方向となる。従って、駆動が繋がらず入口ローラが単独で回転する。よって、シートの引っ張り力で入口ローラが回転し、シートPがミシン目形成部20に向けて繰り出される。これにより、ミシン目形成動作時に、入口ローラ対11と排紙ローラ対12との間の張力が緩和され、シートPに過度な張力がかかることがなく、シートが破れるなどの不具合が発生するのを防止することができる。
【0080】
[実施例5]
図15は、実施例5のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
この実施例5の構成は、実施例1と同様な構成であるが、ミシン目形成動作前のシート搬送制御において、排紙ローラ対の搬送速度に対して、入口ローラ対の搬送速度を遅くすることで、撓みの解消と、入口ローラの駆動連結を解除するものである。
【0081】
図15(a)に示すように、所定のタイミングで入口ローラを回転駆動させる駆動装置の搬送モータの回転速度を落とし、入口ローラの回転速度をV2からV1へ減速させる。その結果、排紙ローラ対におけるシート搬送速度と、入口ローラ対におけるシート搬送速度との間に速度差が生じ、図15(b)に示すように、入口ローラ対と排紙ローラ対との間の撓みWが解消されていく。シートの撓みが解消された後も、上記速度差でシートの搬送を続けると、入口ローラが、シートに引っ張られ、排紙ローラの回転速度V2で回転する。その結果、回転速度V1(V2>V1)で回転しているローラ軸に対して入口ローラが相対的に回転し、駆動ピンが空転溝部の端面から離間し、駆動連結が解除される。そして、図15(c)に示すように、駆動ピンが空転溝部の回転方向中央に位置したら、排紙ローラ対と入口ローラ対との回転駆動を停止する。
【0082】
これにより、図10(b)に示した実施例1と同様な状態で、ミシン目形成動作を行うことができ、ミシン目形成位置のずれを抑制し、かつ、シートの破れを抑制することができる。
【0083】
この実施例5においては、停止した入口ローラを引っ張って回転させる実施例1に比べて、シートにかかる負荷を低減することができる。しかし、撓みが解消され、かつ、入口ローラの駆動連結が解除されるまでのシート搬送量が多くなり、実施例1に比べてミシン目形成可能範囲が狭まるというデメリットがある。従って、シートのミシン目形成位置が比較的先端側にあるときは、実施例1のシート搬送制御を行い、シートのミシン目形成位置が比較的後端側にあるときは、実施例5のシート搬送制御を行うようにしてもよい。
【0084】
[実施例6]
図16図17は、実施例6のミシン目形成装置における、ミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
この実施例6は、シートの種類に基づいて、ミシン目形成動作前のシート搬送制御を変更するものである。
図16は、薄紙のときのミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図であり、図17は、厚紙のときのミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
図16(a)に示すように、薄紙はコシが弱いため、普通紙に比べて、撓みが大きくなる。よって、薄紙のときの制御を普通紙のときと同じ搬送制御とすると、撓みが解消されなかったり、駆動ピンが空転溝部の端面から離間せず、駆動連結が解除されなかったりするおそれがある。そのため、薄紙のときは、普通紙のときに比べて、入口ローラ対の回転駆動を停止するタイミングを早めて、入口ローラ対の回転駆動を停止してから排紙ローラ対の回転を停止するまでの時間を長くする。これにより、薄紙のときも、撓みが解消され、かつ、駆動ピンが空転溝部の端面から離間して駆動連結を解除することができる。
【0085】
一方、厚紙は、図17(a)に示すようにコシが強く普通紙に比べて、撓みが小さくなる。薄紙のときの制御を普通紙のときと同じ搬送制御とすると、駆動ピンが空転溝部の一端面から他端面へ移動し、入口ローラが逆転駆動するおそれがある。入口ローラが逆転駆動すると、シートに過度な張力が加わりシートが破損するおそれがある。また、入口ローラが逆転駆動することで、排紙ローラ対に狭持された箇所が、排紙ローラに対して滑り、シート全体が逆送し、シートのミシン目形成位置が、刃物との対向位置からずれてしまい、所望の箇所にミシン目を形成できないおそれもある。
【0086】
そのため、厚紙のときは、普通紙のときに比べて、入口ローラ対の回転駆動を停止するタイミングを遅くし、入口ローラ対の回転駆動を停止してから排紙ローラ対の回転を停止するまでの時間を短くする。これにより、厚紙のときに、シートが破損したり、ミシン目が所望の位置からずれてしまうのを抑制することができる。
【0087】
次に、シートに複数のミシン目を形成するとときのミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する。
図18は、二回目のミシン目形成動作前のシート搬送制御について説明する図である。
一回目のミシン目形成動作の前のシート搬送制御は、実施例1と同様である。図18(a)に示すように、第一のミシン目形成位置M1にミシン目を形成した後は、ミシン目形成時に入口ローラ11a,11bが駆動ピン8(ローラ軸)に対して相対的回転することで、ミシン目形成動作前は、空転溝部7の回転方向中央に位置していた駆動ピン8は、空転溝部の端部側に寄っている。また、ミシン目形成動作時に、シートの後側が、ミシン目形成部20へ向けて繰り出されているので、入口ローラ対と排紙ローラ対の間のシートは、若干撓んでいる。
【0088】
第一のミシン目形成位置M1にミシン目を形成するミシン目形成動作が終了したら、排紙ローラ対と入口ローラ対とを同時に回転駆動させるとともに、同速度で回転駆動させる。入口ローラと駆動ピンとの駆動連結が解除されており、入口ローラ対と排紙ローラ対の間のシートは、若干撓んでいる。よって、この撓みが解消されるまでは、入口ローラの回転は停止しており、駆動ピン(ローラ軸) が、相対的に入口ローラに対して回転する。
【0089】
図18(b)に示すように、駆動ピンが空転溝部の回転方向中央に位置したタイミングで、シートの撓みが解消され、入口ローラは、シートによって、駆動ピンの回転速度と同速度で回転する。第二のミシン目形成位置が、刃物と対向したら、排紙ローラ対と入口ローラ対の駆動を同時に停止する。そして、図18(c)に示すように、ミシン目形成動作を実行し、第二のミシン目形成位置にミシン目を形成する。
【0090】
このように、2回目以降においては、入口ローラ対11と排紙ローラ対の間で撓みがなく、入口ローラと駆動ピンとの駆動連結が解除された状態でシートが搬送される。よって一回目とは異なり入口ローラ対を、排紙ローラよりも先に停止して入口ローラ対11と排紙ローラ対のの間で撓み解消と、入口ローラと駆動ピンとの駆動連結の解除を行なう必要がない。従って、1回目以降のミシン目形成動作の前のシート搬送制御では、入口ローラ対と排紙ローラ対との駆動を同時に停止させ、一回目のミシン目形成動作の前のシート搬送制御と異ならせる。
【0091】
図19は、駆動装置110の変形例を示す図である。
この変形例は、入口ローラ11a,11bを、ローラ軸111a,111bと一体的に回転するようにローラ軸111a,111bに取り付け、ローラ軸とローラ軸に駆動力を伝達するギヤとの間を相対的に回転可能に構成したものである。具体的には、第一ギヤ101、第二ギヤ102とに空転溝部7を設け、各ローラ軸の駆動ピン8を、ギヤの空転溝部7に入り込ませる。
【0092】
この構成においては、排紙ローラ対よりも先に入口ローラ対の駆動を停止すると、ローラ軸が入口ローラと一体的に回転し、駆動ピンがギヤの空転溝部の端面から離間し、ローラ軸とギヤとの駆動連結が解除される。
【0093】
一般的に、シートを搬送する搬送ローラ対は、ローラ軸に複数のローラが所定の間隔を開けて設けられたものである。このため、先の図11に示した構成では、軸方向に所定の間隔を開けて設けた複数のローラそれぞれに、空転溝部と駆動ピンとからなる空転機構を設ける必要がある。よって、部品点数が増加し、装置のコストアップに繋がる。
【0094】
一方、図19に示す構成では、ローラ軸に対して一つ、合計2つの空転機構を設ければよく、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0095】
なお、図19に示す構成では、ローラ軸とともに、入口ローラを回転させる必要があり、入口ローラのみを回転させる場合に比べて、回転に必要な力が大きくなる。よって、ミシン目形成動作時のシートにかかる張力を、十分に低減できないおそれがある。よって、入口ローラをローラ軸に対して相対的に回転可能に構成にするか、ローラ軸を、ギヤに対して相対的に回転可能な構成にするかは、装置構成などにより適宜決めればよい。
【0096】
図20は、駆動装置110のさらなる変形例を示す図である。
図20に示すように、第二ギヤ102を、第一ローラ軸111aと一体で回転するように第一ローラ軸に取り付けられた中継ギヤ103に噛み合せる。かかる構成とすることで、第一ギヤ101に設けた空転溝部7と、第一ローラ軸111aに設けた駆動ピン8とで、各入口ローラ11a,11bの駆動連結を解除することができ、さらなる装置のコストダウンを図ることができる。
【0097】
また、上述では、空転溝部7と駆動ピン8とからなる空転機構や、ワンウェイクラッチ9で、ローラと駆動伝達部材の駆動連結を解除しているが、電磁クラッチを用いて、ローラと駆伝達部材との駆動連結を解除してもよい。
【0098】
また、上述では部分切断処理として、ミシン目処理について説明したが、例えば、シートの幅方向の両端あるいは一端に切れ込みを入れるような処理でもよい。また、刃物41として、シートが切断されない程度に丸みを帯びた刃物を用い、押圧ローラと、の間でシートを押圧し、クリース(筋付け)処理をおこなうものでもよい。
【0099】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
刃物41と、刃物41に対向するローラ部材32などの対向部材とを有し、シートを刃物と対向部材との間で挟み込んでシートに所定の処理(本実施形態では、ミシン目形成処理)を施すミシン目形成部20などのシート処理部と、前記シートを狭持しながら前記シート処理部へ搬送する入口ローラ対11などの第一搬送手段と、シート処理部を通過してきたシートを狭持しながら搬送する排紙ローラ対12などの第二搬送手段とを備えたミシン目形成装置1などのシート処理装置において、第一搬送手段および第二搬送手段の少なくとも一方の搬送手段を、当該少なくとも一方の搬送手段に駆動力を伝達する駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成した。
上記特許文献1に記載のシート処理装置においては、刃物と対向部材とでシートを挟み込むのに先だって、搬送方向下流側の第二搬送手段を停止した状態で第一搬送手段の搬送を継続した後に、第一搬送手段を停止する。これにより、両搬送手段間のシートを下方に垂らし、両搬送手段間の搬送経路よりも下方に配置した刃物にシートを接触させている。このため、刃物の当たるシート上の位置がばらつき、シートの所望の位置に処理を施せないおそれがある。
そこで、シートの所望の位置に所定の処理を施すために、第一搬送手段と第二搬送手段との間でシートを張った状態でシートに所定の処理を行うことが考えられる。しかし、シートを張った状態でシートに所定の処理を行うと、以下の不具合が発生するおそれがある。すなわち、張った状態のシートを刃物と対向部材とで挟み込んだとき、対向部材によりシートが刃物側へ押圧されることで、張った状態のシートにさらに張力が加わる。その結果、シートが張力に耐えられず破れるおそれがあるという不具合である。
よって、態様1では、第一搬送手段および第二搬送手段の少なくとも一方を、当該搬送手段に駆動力を伝達する駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成した。これにより、シートを刃物と対向部材とで挟み込んでシートに張力が加わると、その張力により搬送手段が駆動伝達部材に対して相対的に回転し、シートの搬送手段に狭持されている箇所がシート処理部へ向けて繰り出される。その結果、シートにかかる張力が減少し、シートが破れるのを抑制することができる。
これにより、シートの所望の位置に所定の処理を施すことができ、かつ、処理時のシートの破損を抑制することができる。
【0100】
(態様2)
態様1において、駆動伝達部材は、搬送手段を支持するローラ軸などの支持軸である。
これによれば、実施形態で説明したようにローラ軸などの支持軸とローラなどの搬送手段が一体的に回転可能に構成し、支持軸が、ギヤなどの駆動伝達部材に相対的に回転可能にしたものに比べて、回転に必要な力を低減することができる。これにより、シートに所定の処理を行うときに、搬送手段を確実に回転させることができ、シートにかかる張力を確実に低減することができる。
【0101】
(態様3)
態様1または2において、入口ローラ対11などの第一搬送手段が、駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成されており、ミシン目形成部20などのシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御として、排紙ローラ対12などの第二搬送手段よりも先に第一搬送手段の搬送を停止する制御を行う。
これによれば、実施例1で説明したように、生産性を低下させずに、入口ローラ対11などの第一搬送手段と、排紙ローラ対12など第二搬送手段との間のシートの撓みを解消することができる。これにより、シートの狙いの位置に所定の処理を行うことができる。
また、駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に第一搬送手段を回転させて、駆動伝達部材と第一搬送手段との係合(当接)を解除して、駆動伝達部材と第一搬送手段との駆動連結を解除することができる。これにより、ミシン目形成部20などのシート処理部でシートに所定の処理を施しているときに、シートが第一搬送手段を引っ張ると、第一搬送手段が駆動伝達部材に対して相対的に回転し、シートをシート処理部へ繰り出し、シートの張力を低減することができる。これにより、シートが破損するのを抑制することができる。
また、第一搬送手段の停止のタイミングと、第二搬送手段の停止のタイミングを制御するだけでよく、簡単な制御で、撓みの解消と、駆動伝達部材と第一搬送手段との駆動連結の解除を行なうことができる。
【0102】
(態様4)
態様3において、入口ローラ対11などの第一搬送手段にワンウェイクラッチ9を設けた。
これによれば、実施例4で説明したように、生産性を低下させずに、入口ローラ対11などの第一搬送手段と、排紙ローラ対12など第二搬送手段との間のシートの撓みを解消することができる。また、第一搬送手段の停止のタイミングと、第二搬送手段の停止のタイミングを制御するだけでよく、簡単な制御で、撓みの解消と、駆動伝達部材と第一搬送手段との駆動連結の解除を行なうことができる。
【0103】
(態様5)
態様1または2において、排紙ローラ対12などの第二搬送手段が、駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成されており、ミシン目形成部20などのシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御として、入口ローラ対11などの第一搬送手段および第二搬送手段の搬送を停止した後、前記第二搬送手段に駆動力を伝達する駆動ピン8などの駆動伝達部材を所定時間、逆回転させた後、前記第一搬送手段を所定時間逆回転させる制御を行う。
これによれば、実施例2で説明したように、入口ローラ対11などの第一搬送手段と、排紙ローラ対12など第二搬送手段との間のシートの撓みを解消することができる。これにより、シートの狙いの位置に所定の処理を行うことができる。
また、駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に第二搬送手段を回転させて、駆動伝達部材と第二搬送手段との係合(当接)を解除して、駆動伝達部材と第二搬送手段との駆動連結を解除することができる。これにより、ミシン目形成部20などのシート処理部でシートに所定の処理を施しているときに、シートが第一搬送手段を引っ張ると、第一搬送手段が駆動伝達部材に対して相対的に回転し、シートをシート処理部へ繰り出し、シートの張力を低減することができる。これにより、シートが破損するのを抑制することができる。
また、第一搬送手段にシートを突き当ててスキュー補正を行うことができ、第二搬送手段にシートを突き当ててスキュー補正を行うものに比べて、第一搬送手段と第二搬送手段との間のシートの撓みを低減することができる。
【0104】
(態様6)
態様1または2において、入口ローラ対11などの第一搬送手段が、駆動ピン8などの駆動伝達部材に対して相対的に回転可能に構成されており、ミシン目形成部20などのシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御として、所定時間、第一搬送手段よりも排紙ローラ対12などの第二搬送手段の搬送速度を速くした後、第一搬送手段および第二搬送手段の搬送を停止する制御を行う。
これによれば、実施例5で説明したように、生産性を低下させずに、入口ローラ対11などの第一搬送手段と、排紙ローラ対12など第二搬送手段との間のシートの撓みを解消することができる。また、撓みが解消された後は、第一搬送手段が、駆動ピンなどの駆動伝達部材に対して相対的に回転し、駆動伝達部材と第二搬送手段との係合(当接)を解除して、駆動伝達部材と第二搬送手段との駆動連結を解除することができる。これにより、ミシン目形成部20などのシート処理部でシートに所定の処理を施しているときに、シートが第一搬送手段を引っ張ると、第一搬送手段が駆動伝達部材に対して相対的に回転し、シートをシート処理部へ繰り出し、シートの張力を低減することができる。よって、シートが破損するのを抑制することができる。
また、停止している第一搬送手段を、シートを介して第二搬送手段の搬送力で、駆動伝達部材に対して相対的に回転させる場合に比べて、シートにかかる負担を低減することができる。
【0105】
(態様7)
態様3、5または6において、入口ローラ対11などの第一搬送手段および排紙ローラ対12などの第二搬送手段の少なくとも一方の搬送手段には、回転方向に延びる空転溝部7などの溝部を有し、搬送手段を支持するローラ軸などの支持軸には、前記溝部に入り込む駆動ピン8などの突起部を有する。
これによれば、簡単な構成で、入口ローラ対11などの第一搬送手段を、駆動伝達部材たる支持軸に対して相対的に回転させることができる。
【0106】
(態様8)
態様3乃至7いずれかにおいて、シートの種類に基づいて、ミシン目形成部20などのシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御を変更する。
これによれば、実施例6を用いて説明したように、シートの撓み方に対応したシート搬送制御を行なうことができ、確実にシートの撓みを解消できる。
【0107】
(態様9)
態様3乃至8いずれかにおいて、シートの複数個所に所定の処理を行うとき、一回目のシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御と、2回目以降のシート処理部によりシートに所定の処理を行う前のシート搬送制御とを異ならせる。
これによれば、図18を用いて説明したように、1回目の所定処理前においては、上述したシート搬送制御を行って、撓みの解消と、駆動伝達部材と第一搬送手段および第二搬送手段のいずれか一方の駆動連結を解除する必要があるが、1回目の所定処理後は、第一搬送手段と第二搬送手段を同時に搬送し、かつ同速度で搬送を行なうだけで、撓みがない状態でシートを搬送できる。また、駆動連結が解除された状態を維持してシートを搬送することができる。
よって、1回目の所定処理後は、簡単な制御でシート搬送を行なうことができる。
【0108】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、前記シート処理部が前記シートに施す処理が、ミシン目形成処理などの部分切断処理である。
これによれば、狙いの位置に部分切断を施すことができ、また、ミシン目形成時にシートは破損するのを抑制することができる。
【0109】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、シートが、カットシートである。
これによれば、カットシートに所定の処理を施すことができる。
【0110】
(態様12)
刃物41と刃物41に対向するローラ部材32などの対向部材との間ででシートを挟み込んでシートに所定の処理を施すミシン目形成部20などのシート処理部と、前記シートを狭持しながら前記シート処理部へ搬送する入口ローラ対11などの第一搬送手段と、シート処理部を通過してきたシートを狭持しながら搬送する排紙ローラ対12などの第二搬送手段と、第一搬送手段に駆動力を伝達する第一駆動伝達手段と、第二搬送手段に駆動力を伝達する第二駆動伝達手段とを備えたミシン目形成装置1などのシート処理装置において、シート処理部によりシートに所定の処理を行うとき、第一駆動伝達手段と第一搬送手段の駆動連結および第二駆動伝達手段と第二搬送手段の駆動連結の少なくとも一方を解除する。
これによれば、実施形態で説明したように、シート処理部によりシートに所定の処理を行うときにシートが対向部材により刃物側に押されて、シートの張力が高まったときに、駆動連結が解除されている搬送手段が、駆動伝達手段に対して空回りして、シートをシート処理部に繰り出して、シートにかかる張力を弱めることができる。これにより、シートが破損するのを抑制することができる。
【0111】
(態様13)
シートに画像を形成する画像形成部などの画像形成手段と、シートに所定の処理を施すミシン目形成装置1などのシート処理手段とを備えた画像形成装置において、シート処理手段として、態様1乃至12いずれかのシート処理装置を用いた。
これによれば、狙いの位置に所定の処理を行うことができ、また、シート処理時におけるシートの破損を抑制することができる。
【0112】
(態様14)
シートに画像を形成する画像形成装置3と、シートに所定の処理を施すミシン目形成装置1などのシート処理装置とを備えた画像形成システム4において、シート処理装置として、態様1乃至12いずれかのシート処理装置を用いた。
これによれば、狙いの位置に所定の処理を行うことができ、また、シート処理時におけるシートの破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 :ミシン目形成装置
1a :側板
2 :後処理装置
3 :画像形成装置
4 :画像形成システム
7 :空転溝部
8 :駆動ピン
9 :ワンウェイクラッチ
11 :入口ローラ対
12 :排紙ローラ対
13 :揺動ガイド板
14 :搬送路
20 :ミシン目形成部
30 :押圧機構
32 :ローラ部材
32a :溝
32b :軸
33 :ホルダ
33a :バネ受け台
33b :支持軸
33c :ローラ支持部
34 :スライダ
34a :貫通孔
34b :バネ受け台
37 :コイルスプリング
38 :ガイドレール
41 :刃物
41a :刃
42 :退避台
101 :第一ギヤ
102 :第二ギヤ
103 :中継ギヤ
110 :駆動装置
111a :第一ローラ軸
111b :第二ローラ軸
112 :搬送モータ
112a :モータギヤ
M1 :第一のミシン目形成位置
P :シート
W :撓み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【文献】特開平11-226899号公報
図1
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