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特許7129173骨付き肢肉の骨肉分離装置及び骨付き肢肉の骨肉分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】骨付き肢肉の骨肉分離装置及び骨付き肢肉の骨肉分離方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 17/00 20060101AFI20220825BHJP
   A22C 17/02 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A22C17/00
A22C17/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018024036
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019136003
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 もえ美
(72)【発明者】
【氏名】小泉 陽
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/112489(WO,A1)
【文献】特開2013-046636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 17/00
A22C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨付き肢肉の胴体側端部骨頭に付着した肉部を分離するための骨付き肢肉の骨肉分離装置であって、
前記骨付き肢肉を搬送経路に沿って搬送するための複数のクランプ部と、
前記搬送経路に設けられ、前記骨付き肢肉の搬送方向上流側に開放端が向けられたV形のガイド空間を形成するガイド部と、
前記ガイド空間の搬送方向下流側端に設けられたカッタと、
前記ガイド部及び前記カッタの下方で前記肉部を把持する把持部と、
を備え、
前記骨付き肢肉の前記肉部を前記カッタで前記胴体側端部骨頭から切断する際に、前記把持部で前記肉部を把持するように構成するとともに、
前記カッタは前記ガイド部の下方で前記ガイド部に隣接して配置される
ことを特徴とする骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記搬送経路上で左右対称に配置される第1ガイド部及び第2ガイド部とで構成され、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の少なくとも一方は、前記搬送経路に対して進退可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項3】
前記カッタは、前記第1ガイド部材又は前記第2ガイド部材のうち前記搬送経路に対して進退可能に構成されたガイド部材と一体に設けられることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、
前記ガイド空間を区画するように水平方向に沿って配置されたガイド棒と、
該ガイド棒と一体に水平方向に沿って設けられ、前記ガイド空間の外側に延在するガイド板と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項5】
前記カッタは、
前記ガイド棒及び前記ガイド板の下方で前記ガイド棒及び前記ガイド板に隣接して水平方向に沿って配置され、円弧状の刃先を有する板状刃体で構成されることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項6】
前記把持部は、前記肉部を両側から把持するように構成された一対の把持部材を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項7】
前記一対の把持部材を軸中心に前記骨付き肢肉の搬送方向に沿って同一回転角で回動させると共に、前記肉部を把持する把持位置と把持解除位置とに動作させる第1駆動部を備えることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項8】
前記第1駆動部は、
軸中心に回動可能なアームと、
前記アームの一端側に接続された第1エアシリンダと、
前記アームの他端側に取り付けられた支持フレームと、
前記支持フレームに回動可能に取り付けられ、前記一対の把持部材の各々が取り付けられた一対の回動軸と、
前記一対の回動軸の各々に取り付けられ、互いに噛み合う一対の歯車と、
前記一対の把持部材を前記一対の回動軸を中心に前記把持位置及び前記把持解除位置に回動させる第2エアシリンダと、
を備えることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項9】
前記複数のクランプ部の各々に対応して複数の把持部を備え、
前記複数の把持部の各々は、前記クランプ部の移動と同期して前記搬送経路に沿って移動するように構成されることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項10】
前記カッタによる前記肉部の切断時に前記把持部を前記クランプ部から離れる方向へ移動させる第2駆動部を備えることを特徴とする請求項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項11】
前記一対の把持部材の間に設けられ、前記胴体側端部骨頭から切断された前記肉部を受けるシュートを備えることを特徴とする請求項乃至10の何れか一項に記載の骨付き肢肉の骨肉分離装置。
【請求項12】
骨付き肢肉の胴体側端部骨頭に付着した肉部を分離するための骨付き肢肉の分離方法であって、
前記骨付き肢肉を複数のクランプ部によって把持し、搬送経路に沿って搬送する搬送ステップと、
ガイド部によって形成されるガイド空間であって、前記骨付き肢肉の搬送方向上流側に開放端が向けられたV形のガイド空間に前記骨付き肢肉を案内する案内ステップと、
前記ガイド部の下方で前記ガイド部に隣接して位置するように前記ガイド空間の前記搬送方向の下流側端に設けられたカッタで、前記ガイド空間に案内された前記骨付き肢肉の前記胴体側端部骨頭から前記肉部を切断する肉部切断ステップと、
前記カッタによる前記肉部の切断時に、前記肉部を把持部によって把持して前記肉部の揺動を抑える肉部把持ステップと、
を含むことを特徴とする骨付き肢肉の骨肉分離方法。
【請求項13】
前記把持ステップにおいて、前記把持部によって前記肉部に前記胴体側端部骨頭から離れる方向へ引張力を付加する引張力付与ステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の骨付き肢肉の骨肉分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨付き肢肉の骨肉分離装置及び骨肉分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の食品工場では、鶏など食鳥の解体処理及び骨肉分離工程の自動化が進められ、作業員は手作業による重労働から開放されつつある。骨付き腿肉など骨付き肢肉の脱骨処理では、ほぼ全工程で自動化が可能になってきている。
特許文献1には、骨付き腿肉の脱骨工程において、大腿骨の骨頭に付着した肉部を骨部から最終分離する工程を自動化した装置が開示されている。この自動化装置は、クランパで把持した骨付き腿肉をY型誘導ガイドが形成するY形のガイド空間に導き、該ガイド空間の下流側端に設けられたカッタで大腿骨骨頭から肉部を切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4367952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置は、骨付き腿肉を上記Y形のガイド空間に導き、Y型誘導ガイドに当接させて位置決めすることで、大腿骨骨頭と肉部との間をカッタで切断可能にしているが、自由端の大腿骨骨頭が揺動したり、Y型誘導ガイドに乗り上げた大腿骨骨頭の位置がずれて、切断位置がずれる場合がある。この場合、肉部が大腿骨骨頭に残り、肉部の歩留まりが低下する虞がある。
また、大腿骨骨頭付近には商品価値のあるオイスタミートが付着しており、オイスタミートが大腿骨から分離されず、大腿骨に残ってしまうという問題がある。
【0005】
一実施形態は、上記課題に鑑み、骨付き肢肉の骨部と肉部とを分離する脱骨工程の最終段階で、胴体側端部骨頭から肉部を切断する際に、分離された肉部の歩留まりを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一実施形態に係る骨付き肢肉の骨肉分離装置は、
骨付き肢肉の胴体側端部骨頭に付着した肉部を分離するための骨付き肢肉の骨肉分離装置であって、
前記骨付き肢肉を搬送経路に沿って搬送するための複数のクランプ部と、
前記搬送経路に設けられ、前記骨付き肢肉の搬送方向上流側に開放端が向けられたV形のガイド空間を形成するガイド部と、
前記ガイド空間の搬送方向下流側端に設けられたカッタと、
前記ガイド部及び前記カッタの下方で前記肉部を把持する把持部と、
を備え、
前記骨付き肢肉の前記肉部を前記カッタで前記胴体側端部骨頭から切断する際に、前記把持部で前記肉部を把持するように構成する。
ここで、「胴体側端部骨頭」とは、骨付き肢肉の胴体付け根部において、胴体側の骨部に接続する骨付き肢肉側の骨部の骨頭を言う。
【0007】
上記(1)の構成において、クランプ部によって搬送される骨付き肢肉が上記ガイド空間に進入すると、ガイド部に当接してガイド空間の下流側端に案内され、カッタの切断位置に位置決めされる。クランプ部とカッタとの間隔は、ガイド空間に進入した骨付き肢肉の胴体側端部骨頭がガイド空間内に位置し、ガイド空間の下流側端でガイド部の上面に乗り上げ可能なように予め調整される。
骨付き肢肉の肉部をカッタで胴体側端部骨頭から切断する際に、カッタによる切断時に、上記把持部で骨付き肢肉の肉部を把持するため、骨付き肢肉の揺動を抑制し、所定の切断位置に安定して位置決めできる。これによって、胴体側端部骨頭と肉部との間を正確に切断できるので、切断後の肉部の歩留まりを向上できると共に、オイスタミートも骨部から同時に切断できる。
【0008】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記カッタは前記ガイド部の下方で前記ガイド部に隣接して配置される。
上記(2)の構成によれば、骨付き肢肉の胴体側端部骨頭がガイド空間の下流側端でガイド部の上面に乗り上げたとき、ガイド部の下方でガイド部に隣接して配置されるカッタは、胴体側端部骨頭と胴体側端部骨頭に付着した肉部との間の高さに位置することができる。そのため、カッタによって胴体側端部骨頭と肉部との間の所定部位を正確に切断でき、切断された肉部の歩留まりを向上できる。
【0009】
(3)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記ガイド部は、前記搬送経路上で左右対称に配置される第1ガイド部及び第2ガイド部とで構成され、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の少なくとも一方は、前記搬送経路に対して進退可能に構成される。
上記(3)の構成によれば、カッタによる骨付き肢肉の切断後、第1ガイド部材及び第2ガイド部材の少なくとも一方を搬送経路から退避させることができるので、クランプ部に把持された骨部や骨部から分離された肉部がガイド空間の下流側端で詰まったり、あるいは骨部の下流側への搬送が妨げられたりすることを抑制できる。
【0010】
(4)一実施形態では、前記(3)の構成において、
前記カッタは、前記第1ガイド部材又は前記第2ガイド部材のうち前記搬送経路に対して進退可能に構成されたガイド部材と一体に設けられる。
上記(4)の構成によれば、肉部の切断後、ガイド部材の一方とカッタとを同時に退避させることができるので、クランプ部に把持された骨部や骨部から分離された肉部がガイド空間の下流側端で詰まったり、あるいは骨部の下流側への搬送が妨げられたりすることを効果的に抑制できる。
【0011】
(5)一実施形態では、前記(1)~(4)の何れかの構成において、
前記ガイド部は、
前記ガイド空間を区画するように水平方向に沿って配置されたガイド棒と、
該ガイド棒と一体に水平方向に沿って設けられ、前記ガイド空間の外側に延在するガイド板と、
を含む。
【0012】
上記(5)の構成によれば、ガイド部を構成するガイド棒及びガイド板が水平方向に沿って配置されるため、上記ガイド空間は水平方向に沿って形成される。従って、クランプ部で把持され鉛直方向に吊下された骨付き肢肉はガイド空間に容易に進入できる。また、ガイド棒及びガイド板が水平方向に沿って配置されるため、骨付き肢肉の胴体側端部骨頭がガイド空間の下流側端で容易にガイド部に乗り上げることができる。従って、骨付き肢肉の切断部を切断位置へ容易に案内できる。
なお、ここで「水平方向に沿って」とは、ガイド棒及びガイド板が水平方向又は水平方向に対して30°以内の傾斜角で配置されることを意味する。
【0013】
(6)一実施形態では、前記(5)の構成において、
前記カッタは、
前記ガイド棒及び前記ガイド板の下方で前記ガイド棒及び前記ガイド板に隣接して水平方向に沿って配置され、円弧状の刃先を有する板状刃体で構成される。
上記(6)の構成によれば、カッタは、円弧状の刃先を有する板状刃体で構成され、かつ水平方向に沿って配置されるため、水平方向に沿って配置されるガイド棒及びガイド板に隣接した位置において、高さ方向の配置の自由度が広がるため、カッタを所望の切断位置に容易に配置できる。
【0014】
(7)一実施形態では、前記(1)~(6)の何れかの構成において、
前記把持部は、前記肉部を両側から把持するように構成された一対の把持部材を備える。
上記(7)の構成によれば、把持部は、肉部を両側から把持するように構成された一対の把持部材を備えるため、一対の把持部材の間隔を変えることで、骨付き肢肉を把持する把持位置及び把持解除位置への切り替えが容易にできる。
【0015】
(8)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記一対の把持部材を軸中心に前記骨付き肢肉の搬送方向に沿って同一回転角で回動させると共に、前記肉部を把持する把持位置と把持解除位置とに動作させる第1駆動部を備える。
【0016】
上記(8)の構成によれば、上記第1駆動部により、一対の把持部材を骨付き肢肉の搬送方向と同一方向へ同時に移動させながら、カッタによる切断時に一対の把持部材を把持位置に動作させて肉部を把持する。これによって、骨付き肢肉の揺動や位置ずれを抑制して安定した位置決めが可能になり、分離された肉部の歩留まりを向上できる。また、切断後に一対の把持部材を把持解除位置に戻し、かつ搬送方向上流側へ戻すことができるので、1台の把持部で複数の骨付き肢肉の切断に対応できる。
また、一対の把持部材は軸中心に回動するため、切断位置の上流側から切断位置に進むにつれてクランプ部から離れる方向へ円弧運動する。従って、カッタによる切断時に骨付き肢肉に引張力を付与でき、これによって、骨付き肢肉の揺動を抑制し、所定の切断位置に安定して位置決めできる。従って、胴体側端部骨頭と肉部との間を正確に切断できるので、切断後の肉部の歩留まりを向上できる。
【0017】
(9)一実施形態では、前記(8)の構成において、
前記第1駆動部は、
軸中心に回動可能なアームと、
前記アームの一端側に接続された第1エアシリンダと、
前記アームの他端側に取り付けられた支持フレームと、
前記支持フレームに回動可能に取り付けられ、前記一対の把持部材の各々が取り付けられた一対の回動軸と、
前記一対の回動軸の各々に取り付けられ、互いに噛み合う一対の歯車と、
前記一対の把持部材を前記一対の回動軸を中心に前記把持位置及び前記把持解除位置に回動させる第2エアシリンダと、
を備える。
【0018】
上記(9)の構成において、一対の把持部材を支持する支持フレームの搬送方向への動きを上記第1エアシリンダで行い、一対の把持部材の把持位置及び把持解除位置への動きを上記第2エアシリンダで行う。従って、第1エアシリンダ及び第2エアシリンダの動作を制御することで、一対の把持部材の搬送方向への動きと、把持位置及び把持解除位置間の動作(以下「開閉動作」とも言う。)とのタイミングを同期させることができる。
【0019】
(10)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記複数のクランプ部の各々に対応して複数の把持部を備え、
前記複数の把持部の各々は、前記クランプ部の移動と同期して前記搬送経路に沿って移動するように構成される。
上記(10)の構成によれば、複数の把持部の各々はクランプ部と共に移動しながらカッタによる肉部の切断時に肉部を把持するため、該把持部の一対の把持部材は開閉動作を行う必要がない。従って、最終分離工程の所要時間を短縮でき、処理能力を高めることができる。さらに、一対の把持部材を軸中心に搬送方向にそって回動動作させるための上記第1エアシリンダを含む駆動部が不要になる。
【0020】
(11)一実施形態では、前記(10)の構成において、
前記カッタによる前記肉部の切断時に前記把持部を前記クランプ部から離れる方向へ移動させる第2駆動部を備える。
上記(11)の構成によれば、上記第2駆動部を備えることで、肉部の切断時に骨付き肢肉に引張力を付与できるため、切断時に骨付き肢肉をガイド部に安定して支持させ、所定位置に位置決めできる。これによって、胴体側端部骨頭と肉部との間を正確に切断できるため、回収可能な肉部の歩留まりをさらに向上できる。
【0021】
(12)一実施形態では、前記(8)~(11)の何れかの構成において、
前記一対の把持部材の間に設けられ、前記胴体側端部骨頭から切断された前記肉部を受けるシュートを備える。
上記(12)の構成によれば、カッタで切断された肉部は上記シュートに沿わすことで、所望の位置(例えば、肉部を搬出する搬出コンベア)に落とすことができる。
【0022】
(13)一実施形態に係る骨付き肢肉の骨肉分離方法は、
骨付き肢肉の胴体側端部骨頭に付着した肉部を分離するための骨付き肢肉の分離方法であって、
前記骨付き肢肉を複数のクランプ部によって把持し、搬送経路に沿って搬送する搬送ステップと、
ガイド部によって形成されるガイド空間であって、前記骨付き肢肉の搬送方向上流側に開放端が向けられたV形のガイド空間に前記骨付き肢肉を案内する案内ステップと、
前記ガイド空間の前記搬送方向の下流側端に設けられたカッタで、前記ガイド空間に案内された前記骨付き肢肉の前記胴体側端部骨頭から前記肉部を切断する肉部切断ステップと、
前記カッタによる前記肉部の切断時に、前記肉部を把持部によって把持して前記肉部の揺動を抑える肉部把持ステップと、
を含む。
【0023】
上記(13)の方法によれば、上記カッタによる切断時に、上記把持部で骨付き肢肉の肉部を把持することで、骨付き肢肉の揺動や位置ずれを抑制し、ガイド部によって案内される所定位置に位置決めできる。これによって、胴体側端部骨頭と肉部との間を正確に切断できるので、回収可能な肉部の歩留まりを向上できると共に、オイスタミートも骨部から同時に切断できる。
【0024】
(14)一実施形態では、前記(13)の方法において、
前記把持ステップにおいて、前記把持部によって前記肉部に前記胴体側端部骨頭から離れる方向へ引張力を付加する引張力付与ステップをさらに含む。
上記(14)の方法によれば、肉部の切断時に骨付き肢肉に引張力を付与できるため、切断時に骨付き肢肉をガイド部に安定して支持させながら所定位置への位置決めが可能になる。これによって、胴体側端部骨頭と肉部との間を正確に切断できるため、回収される肉部の歩留まりをさらに向上できる。
【発明の効果】
【0025】
一実施形態によれば、骨付き肢肉の骨部と肉部とを分離する脱骨工程の最終段階で、胴体側端部骨頭から肉部を切断する際に、回収される肉部の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(A)は一実施形態に係る骨肉分離装置による骨肉分離方法を処理ステップ順に示す平面図であり、(B)は同じく正面図である。
図2】一実施形態に係る把持部の側面図である。
図3】(A)は一実施形態に係る骨肉分離装置による骨肉分離方法を処理ステップ順に示す平面図であり、(B)は同じく正面図である。
図4】一実施形態に係る把持部の斜視図である。
図5】一実施形態に係る把持部の側面図である。
図6】一実施形態に係る骨肉分離装置の正面図である。
図7】一実施形態に係る骨肉分離方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0028】
図1図6は、幾つかの実施形態に係る骨付き肢肉の骨肉分離装置10(10A、10B、10C)を示す。図1は骨肉分離装置10(10A)による骨付き肢肉Mbの最終分離工程を示す。図2は骨肉分離装置10(10A)の把持部18(18a)の側面図である。図3は骨肉分離装置10(10B)の最終分離工程を示す。図4及び図5は骨肉分離装置10(10A)の駆動部を示す。図6は骨肉分離装置10(10C)を示す。骨付き肢肉Mbは例えば鶏、七面鳥等の食鳥の骨付き腿肉である。
【0029】
最終分離工程は、骨付き肢肉Mbの骨部と肉部とを分離する脱骨工程において、前段の脱骨工程で脱骨処理がなされ、最後に骨付き肢肉Mbの胴体側端部骨頭hに付着した肉部mを分離する工程である。胴体側端部骨頭hは、例えば、骨付き腿肉では胴体側骨部に接続する大腿骨骨頭であり、牛、豚、羊等の骨付き腕肉では胴体側骨部に接続する上腕骨骨頭である。
【0030】
骨肉分離装置10(10A~10C)において、複数のクランプ部12が設けられ、各クランプ部12は、骨付き肢肉Mbを予め定められた搬送経路Rに沿って搬送する。例えば、搬送経路R上にチェーンコンベアなどのコンベアが設けられ、該コンベアに複数のクランプ部12が等間隔で取り付けられる。例えば、該コンベアは等速度で動き、クランプ部12を搬送経路R上で等速度で移動させる。クランプ部12に把持された骨付き肢肉Mbは矢印a方向に搬送される。クランプ部12は例えば肢首部nを把持し、骨付き肢肉Mbを鉛直方向へ吊下しながら骨付き肢肉Mbを搬送する。
【0031】
搬送経路Rにガイド部14が設けられ、ガイド部14は搬送方向上流側に開放端が向けられたV形のガイド空間Syを形成する。また、ガイド空間Syの搬送方向下流側端にカッタ16が設けられ、ガイド部14及びカッタ16の下方に骨付き肢肉Mbの肉部mを把持する把持部18(18a、18b、18c)が設けられる。
【0032】
上記構成において、搬送経路Rを移動してガイド空間Syに進入した骨付き肢肉Mbはガイド部14に当接して案内され、ガイド空間Syの下流側端に到達する。クランプ部12とガイド部14との間隔は、胴体側端部骨頭h付近の骨部がガイド空間Syに位置するように調整される。従って、ガイド空間Syに進入した骨付き肢肉Mbは、ガイド部14の内側に当接し、ガイド空間Syの下流側端に案内される。骨付き肢肉Mbは、ガイド空間Syの下流側端でガイド部14の上面に乗り上げやや傾斜する。そして、胴体側端部骨頭hは所定の切断位置に到達する。この時、胴体側端部骨頭hに付着した肉部mはガイド空間Syより下方に垂下している。この切断位置にある骨付き肢肉Mbの胴体側端部骨頭hと肉部mとの間にカッタ16を入れることで、胴体側端部骨頭hから肉部mが切断される。カッタ16による切断時に、肉部mは把持部18(18a~18c)で把持される。
【0033】
上記構成によれば、カッタ16による切断時に、把持部18で骨付き肢肉Mbの肉部mを把持することで、ガイド空間Syの下流側端で骨付き肢肉の揺動を抑制し安定して所定位置に位置決めできる。これによって、カッタ16により胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断できるので、肉部mの歩留まりを向上できると共に、オイスタミートも骨部から同時に切断できる。
【0034】
一実施形態では、図1及び図3に示すように、カッタ16はガイド部14の下方でガイド部14に隣接して配置される。
この実施形態によれば、骨付き肢肉Mbの胴体側端部骨頭hがガイド空間Syの下流側端でガイド部14の上面に乗り上げたとき、ガイド部の下方にガイド部に隣接して配置されるカッタ16は、胴体側端部骨頭hと胴体側端部骨頭hに付着した肉部mとの間の高さに位置することができる。そのため、カッタ16によって胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断でき、切断された肉部mの歩留まりを向上できる。
【0035】
一実施形態では、ガイド部14は、搬送経路R上で左右対称に配置される第1ガイド部材14a及び第2ガイド部材14bとで構成され、第1ガイド部材14a及び第2ガイド部材14bの少なくとも一方は、搬送経路Rに対して進退可能に構成される。
この実施形態によれば、カッタ16による骨付き肢肉Mbの切断後、第1ガイド部材14a及び第2ガイド部材14bの少なくとも一方を搬送経路Rから退避させることで、クランプ部12に把持された骨部や骨部から分離された肉部mがY形のガイド空間Syの下流側端で詰まったり、あるいは骨部の下流側への搬送が妨げられるのを抑制できる。
【0036】
一実施形態では、カッタ16は、第1ガイド部材14a又は第2ガイド部材14bのうち搬送経路Rに対して進退可能に構成されたガイド部材と一体に設けられる。
この実施形態によれば、肉部mの切断後、ガイド部材14a、14bの一方とカッタ16とを搬送経路Rから同時に退避させることで、クランプ部12に把持された骨部や骨部から分離された肉部mがY形のガイド空間Syの下流側端で詰まったり、あるいは骨部の下流側への搬送が妨げられたりするのを抑制できる。
【0037】
図1に示す骨肉分離装置10(10A)では、カッタ16は第1ガイド部材14aと一体に設けられ、かつカッタ16及び第1ガイド部材14aは搬送経路Rから退避する方向(矢印b方向)へ移動可能に構成される。
これによって、搬送経路R上で広い空間を確保でき、クランプ部12に把持された骨部や骨部から分離された肉部mの詰まりなどを抑制できる。
【0038】
一実施形態では、ガイド部14はガイド棒20とガイド板22とで構成される。ガイド棒20はガイド空間Syを区画するように水平方向に沿って配置される。ガイド棒20とガイド板22とは一体に形成され、ガイド板22はガイド空間Syの外側に延在する。
この実施形態によれば、ガイド部14をガイド棒20及びガイド板22とで構成することで、ガイド部14をコンパクト化できると共に、クランプ部12から鉛直方向に吊下された骨付き肢肉Mbはガイド空間Syに容易に進入できる。また、ガイド棒20及びガイド板22は水平面内に配置されるため、ガイド部14に隣接して配置されるカッタ16の配置が容易になり、クランプ部12から吊下される骨付き肢肉Mbに対して所望の切断位置を選択できる。
【0039】
なお、ガイド棒20及びガイド板22は水平方向に対して30°以内の傾斜角で配置される。例えば、ガイド棒20及びガイド板22を骨付き肢肉Mbの搬送方向上流側に向かって下方に傾斜するように配置することで、ガイド空間Syの下流側端において胴体側端部骨頭hをガイド板22の上面に容易に乗り上げることができる。これによって、骨付き肢肉Mbの切断部位をカッタ16による切断位置に容易に位置決めできる。
【0040】
一実施形態では、カッタ16は、円弧状の刃先を有する板状刃体で構成され、ガイド棒20及びガイド板22の下方でガイド棒20及びガイド板22に隣接して水平方向に沿って配置される。
この実施形態によれば、カッタ16が水平方向に沿って配置される板状刃体で構成されるため、水平方向に沿って配置されるガイド棒20及びガイド板22に隣接配置する場合に、配置の自由度が広がるため、カッタ16を所望の切断位置に容易に配置できる。
【0041】
一実施形態では、図1及び図3に示すように、カッタ16は外形が円形の板状刃体で構成され、円形の外周に刃先が形成される。この丸刃カッタは中心軸16aを中心として回転可能に構成され、回転する板状刃体の外周に形成された刃先で骨付き肢肉Mbを切断する。中心軸16aに動力伝達部17が接続され、駆動部(不図示)から動力伝達部17を介して丸刃カッタを回転させる駆動力が伝達される。
かかる構成の丸刃カッタを用いることで、カッタ16の配置の自由度が広がり、所望の切断位置に配置できる。
【0042】
一実施形態では、把持部18は、肉部を両側から把持するように構成された一対の把持部材24a及び24bを備える。
この実施形態によれば、把持部18は、一対の把持部材24a及び24bで肉部mを両側から把持するように構成されるので、一対の把持部材間の間隔を替えることで、把持及び把持解除の切り替えが容易にできる。
【0043】
一実施形態では、一対の把持部材24a及び24bの各々はL型のアームで構成され、互いに対面する先端部で両側から骨付き肢肉Mbを把持するように構成される。
一実施形態では、互いに対面する該先端部には骨付き肢肉Mbを収容する凹部26が形成されている。把持時に凹部26に骨付き肢肉Mbを収容することで、一対の把持部材24a及び24bによる骨付き肢肉Mbの把持力を高めることができる。
【0044】
図1及び図2に示す骨肉分離装置10(10A)は第1駆動部27を備える。把持部18(18a)は、第1駆動部27によって、一対の把持部材24a及び24bが軸中心に骨付き肢肉Mbの搬送方向(矢印a方向)に沿って同一回転角で回動可能であり、かつ肉部mを把持する把持位置と把持解除位置とに動作する。
一対の把持部材24a及び24bを骨付き肢肉Mbの搬送方向と同一方向へ同時に移動させながら、カッタ16による切断時に一対の把持部材24a及び24bを把持位置に動作させて肉部mを把持する。これによって、骨付き肢肉Mbの揺動や位置ずれを抑制して所定の切断位置に安定して位置決めできるため、切断された肉部mの歩留まりを向上できる。また、切断後に一対の把持部材24a及び24bを把持解除位置に戻し、かつ搬送方向上流側の元の位置に戻すことができるので、1台の把持部18(18a)で複数の骨付き肢肉Mbの切断に対応できる。
【0045】
骨肉分離装置10(10A)では、当初把持解除位置にあった一対の把持部材24a及び24bは、カッタ16による切断ステップの直前で把持位置に動作し、切断ステップ後、把持解除位置に動作する。
【0046】
また、一対の把持部材24a及び24bは軸中心に回動するため、切断位置の上流側から切断位置に進むにつれてクランプ部12から離れる方向へ円弧運動する。従って、カッタ16による切断時に骨付き肢肉Mbに引張力を付与でき、これによって、骨付き肢肉Mbの揺動を抑制し、所定の切断位置に安定して位置決めできる。従って、胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断できるので、骨部から分離された肉部mの歩留まりを向上できる。
【0047】
一実施形態に係る骨肉分離装置10(10A)では、図4及び図5に示すように、第1駆動部27は、軸28に回動可能に設けられたアーム30を備え、アーム30の一端側に第1エアシリンダ32が接続され、アーム30の多端側に支持フレーム33が取り付けられている。支持フレーム33には、一対の回動軸34及び36が回動可能に取り付けられている。回動軸34及び36の各々には歯車38及び40(図5参照)が取り付けられ、歯車38及び40は互いに噛み合っている。一対の把持部材24a及び24bの各々は、第2エアシリンダ42によって回動軸34及び36を中心に把持位置及び把持解除位置に回動可能に構成されている。
【0048】
上記構成において、一対の把持部材24a及び24bを支持する支持フレーム33の搬送方向(矢印a方向)への動きを第1エアシリンダ32で行い、一対の把持部材24a及び24bの把持位置及び把持解除位置への動きを第2エアシリンダ42で行う。従って、第1エアシリンダ32及び第2エアシリンダ42の動作を制御することで、一対の把持部材24a及び24bの搬送方向への動きと開閉動作とのタイミングを同期させることができる。
【0049】
一実施形態では、図4に示すように、第1エアシリンダ32及び第2エアシリンダ42の作動を制御する制御部44を設ける。制御部44によって第1エアシリンダ32及び第2エアシリンダ42の動作を制御することで、一対の把持部材24a及び24bの搬送方向への動きと開閉動作とのタイミングを同期させることができる。
例えば、搬送方向上流側の回動始点で肉部mを把持し、その状態で骨付き肢肉Mbの移動に同期して搬送方向下流側に回動し、カッタ16による肉部mの切断後、回動終点で一対の把持部材24a及び24bを把持解除位置に切り替えると共に、一対の把持部材24a及び24bを回動始点に戻す動作を繰り返すようにする。
【0050】
一実施形態では、図4において、制御部44は、第1エアシリンダ32に加圧空気を吸排する空気吸排器46及び第2エアシリンダ42に加圧空気を吸排する空気吸排器48の作動を制御することで、第1エアシリンダ32及び第2エアシリンダ42の作動を制御する。
一実施形態では、軸28は基部50に支持され、第1エアシリンダ32は基部52に支持される。
【0051】
図3に示す骨肉分離装置10(10B)では、複数のクランプ部12の各々に対応して複数の把持部18(18b)を備える。複数の把持部18(18b)の各々は、各クランプ部12の下方に配置され、各クランプ部12の移動と同期して搬送経路Rに沿って移動するように構成される。また、把持部18(18a)と同様に、一対の把持部材24a及び24bの開閉動作を行うための第2エアシリンダ42を含む駆動部を備える。
この実施形態によれば、複数の把持部18(18b)の各々は、クランプ部12と共に移動しながらカッタ16による肉部mの切断時に肉部mを把持するため、該把持部の一対の把持部材24a及び24bは開閉動作を行う必要がない。従って、最終分離工程の所要時間を短縮でき、処理能力を高めることができる。さらに、一対の把持部材24a及び24bを軸中心に搬送方向にそって回動動作させるための第1エアシリンダ32を含む駆動部が不要になる。
【0052】
骨肉分離装置10(10B)では、当初把持解除位置にあった一対の把持部材24a及び24bは、ガイド部14に到達する前に把持位置に動作する。その後、カッタ16による切断ステップの後で、把持解除位置に動作する。
【0053】
一実施形態では、図3に示すように、一対の把持部材24a及び24bは、上記把持位置に位置するとき、把持部材24a及び24bに形成された凹部26は胴体側端部骨頭hが通過できない把持空間sを形成する。この実施形態では、一対の把持部材24a及び24bは胴体側端部骨頭hの下方で肉部mのみを把持する。
【0054】
別な実施形態では、一対の把持部材24a及び24bで胴体側端部骨頭hより上方で胴体側端部骨頭hをもつ骨部(例えば、大腿骨、上腕骨等)を把持する。この実施形態では、一対の把持部材24a及び24bの凹部26で形成される把持空間sは胴体側端部骨頭hが通過可能な大きさとなるように、一対の把持部材24a及び24bの間隔を制御する。そして、クランプ部12によって骨付き肢肉Mbを搬送しながら上昇させる。これによって、胴体側端部骨頭hを把持空間sを通過させ、胴体側端部骨頭hの下方に位置する肉部mを把持空間sで把持し、胴体側端部骨頭hから肉部mを切断するようにする。
【0055】
一実施形態では、図6に示す骨肉分離装置10(10C)は把持部18(18c)を備える。把持部18(18c)は、基本的に把持部18(18b)と同様の構成を有する。即ち、複数のクランプ部12の各々に対応して複数の把持部を備え、複数の把持部の各々は、各クランプ部12の下方に配置され、各クランプ部12の移動と同期して搬送経路Rに沿って移動するように構成される。
把持部18(18c)を構成する複数の把持部は、把持部18(18b)の構成に加えて、さらに、カッタ16による肉部mの切断時に一対の把持部材24a及び24bをクランプ部12から離れる方向へ移動させる第2駆動部60を備える。
この実施形態によれば、第2駆動部60を備えることで、肉部mの切断時に骨付き肢肉Mbに引張力を付与できるため、切断時に骨付き肢肉Mbをガイド部14に安定して支持させ位置決めができる。これによって、胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断できるため、回収可能な肉部mの歩留まりをさらに向上できる。
【0056】
一実施形態では、図1図6に示す把持部18(18a~18c)は、一対の把持部材24a及び24bが骨付き肢肉Mbの搬送方向(矢印a方向)と直交する方向に沿って開閉動作を行うように構成されている。なお、図3(B)は、わかりやすく説明するため、図3(A)中のA矢視方向から視た図としている。
【0057】
一実施形態では、図3に示す把持部18(18b)及び図6に示す把持部18(18c)は、一対の把持部材24a及び24bの下部がケース62に収容され、ケース62はクランプ部12と同一速度で搬送方向へ移動するように構成されている。
【0058】
一実施形態では、骨肉分離装置10(10A~10C)は、一対の把持部材24a及び24bの間に設けられるシュート54(54a、54b)を備える。シュート54によって胴体側端部骨頭hから切断された肉部mはシュート54で受け止められ、シュート54を滑らすことで、所望の位置(例えば、肉部を搬出する搬出コンベア上)に落下させることができる。
【0059】
図2に示す骨肉分離装置10(10A)では、シュート54(54a)は傾斜した底面56と底面56の両側に側板58とを有する。側板58によって底面56を滑り落ちる肉部mが両側から落下するのを防止できる。
【0060】
一実施形態に係る骨付き肢肉Mbの骨肉分離方法は、骨付き肢肉Mbの骨部と肉部とを分離する脱骨工程において、前段の脱骨工程で脱骨処理され、骨付き肢肉Mbの胴体側端部骨頭hに付着した肉部mを最終分離する工程である。
図7に示すように、まず、骨付き肢肉Mbを複数のクランプ部12によって把持し、搬送経路Rに沿って搬送する(搬送ステップS10)。次に、ガイド部14によって形成されるY形のガイド空間Syに骨付き肢肉Mbを案内する(案内ステップS12)。ガイド空間Syに案内された骨付き肢肉Mbは、ガイド空間Syの搬送方向下流側端に設けられたカッタ16で胴体側端部骨頭hから前記肉部を切断される(肉部切断ステップS14)。カッタ16による肉部mの切断時に、肉部mを把持部18によって把持して肉部mの揺動を抑える(肉部把持ステップS16)。
【0061】
上記方法によれば、カッタ16による切断時に、把持部18で骨付き肢肉Mbの肉部mを把持することで、骨付き肢肉Mbの揺動や位置ずれを抑制し、ガイド部14によって案内される所定位置に位置決めできる。これによって、胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断できるので、回収可能な肉部mの歩留まりを向上できると共に、オイスタミートも骨部から同時に切断できる。
【0062】
一実施形態では、肉部把持ステップS16において、把持部18によって肉部mに胴体側端部骨頭hから離れる方向へ引張力を付加する(引張力付与ステップS18)。
この実施形態によれば、肉部mの切断時に骨付き肢肉Mbに引張力を付与できるため、切断時に骨付き肢肉Mbをガイド部14に安定して支持させながら所定位置への位置決めができる。これによって、胴体側端部骨頭hと肉部mとの間を正確に切断できるため、肉部mの歩留まりをさらに向上できる。
引張力付与ステップS18は、骨肉分離装置10(10A、10C)によって実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
一実施形態によれば、骨付き肢肉の胴体側端部骨頭に付着した肉部を胴体側端部骨頭から分離する最終分離工程において、回収される肉部の歩留まりを向上できる。なお、上記幾つかの実施形態は、食鳥の骨付き腿肉以外に、牛、豚、羊等家畜類の骨付き肢肉の脱骨工程にも適用できる。
【符号の説明】
【0064】
10(10A、10B、10C) 骨肉分離装置
12 クランプ部
14 ガイド部
16 カッタ
18(18a、18b、18c) 把持部
20 ガイド棒
22 ガイド板
24a、24b 把持部材
26 凹部
27 第1駆動部
28 軸
30 アーム
32 第1エアシリンダ
33 支持フレーム
34、36 回動軸
38、40 歯車
42 第2エアシリンダ
44 制御部
46、48 空気吸排器
50、52 基部
54(54a、54b) シュート
56 底面
58 側板
60 第1駆動部
62 ケース
Mb 骨付き肢肉
R 搬送経路
h 胴体側端部骨頭
m 肉部
n 肢首部
s 把持空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7