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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】回転コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20220825BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
H01R35/04 F
B60R16/027 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019039467
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020145022
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】平井 秀治
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 博文
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170752(WO,A1)
【文献】特許第5065508(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/047581(WO,A1)
【文献】特開2015-109144(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170650(WO,A1)
【文献】特開平10-064646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと、
前記第1ケースとの間に環状の収容空間が形成されるように、前記第1ケースの内側に位置した状態で当該第1ケースに相対回転可能に取り付けられる第2ケースと、
前記収容空間に収容され、前記第1ケースに設けられた第1コネクタと、前記第2ケースに設けられた第2コネクタと、を電気的に接続するケーブルと、
を備え、
前記第1ケース及び前記第2ケースから構成されるケーブルハウジングの外部空間と、前記収容空間と、を接続する隙間が、前記第1ケースと前記第2ケースとの間に形成され、
前記第1ケースにおいて、前記収容空間の径方向外側に、周方向に延びる溝部が形成され、
前記溝部は、前記隙間及び前記収容空間にそれぞれ接続されており、
前記第1ケースにおいて、前記溝部の径方向外側の壁部に排出孔が形成され、
前記排出孔は、前記溝部と、前記ケーブルハウジングの外部空間と、を接続することを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転コネクタであって、
前記溝部は、前記排出孔と接続する位置から半周以上にわたって連続して形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転コネクタであって、
前記排出孔は、複数形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の回転コネクタであって、
前記排出孔は、スリット状に形成されていることを特徴とする回転コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のステアリングハンドルとステアリングコラムのように、相対回転する部材同士を電気的に接続するために回転コネクタが利用されている。特許文献1は、この種の回転コネクタを開示する。
【0003】
特許文献1の回転コネクタ装置は、回転側リング板及び内周筒部を有するロテータと、固定側リング板及び外周筒部を有するステータと、を備える。前記ロテータと前記ステータとは、相対回動可能に嵌合されている。そして、前記ロテータの回転側リング板と前記ステータと外周筒部との間に、隙間が設けられている。また、前記ロテータ側と前記ステータ側とを電気的に接続するケーブルが、前記ロテータと前記ステータとにより構成される収容空間に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5065508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成においては、水等の液体が、回転コネクタ装置の外部空間から、ロテータとステータとの間に設けられた隙間を通って回転コネクタ装置の収容空間に浸入する可能性がある。前記ステータにはガイド突出片等が備えられているので、液体が前記収容空間にいったん入ると排出されにくい。従って、前記収容部空間で絶縁不良が発生し易く、改善が望まれていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、内部空間に浸入した水等の液体を確実にかつ速やかに排出することができる回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の回転コネクタが提供される。即ち、この回転コネクタは、第1ケースと、第2ケースと、ケーブルと、を備える。前記第2ケースは、前記第1ケースとの間に環状の収容空間が形成されるように、前記第1ケースの内側に位置した状態で当該第1ケースに相対回転可能に取り付けられる。前記ケーブルは、前記収容空間に収容される。前記ケーブルは、前記第1ケースに設けられた第1コネクタと、前記第2ケースに設けられた第2コネクタと、を電気的に接続する。前記第1ケース及び前記第2ケースから構成されるケーブルハウジングの外部空間と、前記収容空間と、を接続する隙間が、前記第1ケースと前記第2ケースとの間に形成される。前記第1ケースにおいて、前記収容空間の径方向外側に、周方向に延びる溝部が形成される。前記溝部は、前記隙間及び前記収容空間にそれぞれ接続されている。前記第1ケースにおいて、前記溝部の径方向外側の壁部に排出孔が形成される。前記排出孔は、前記溝部と、前記ケーブルハウジングの外部空間と、を接続する。
【0009】
これにより、排出孔が下部に位置するように回転コネクタを設置することで、第1ケースと第2ケースとの間の隙間から水等の液体が回転コネクタの内部に浸入した場合でも、その液体を溝部へ優先的に導いた後に、排出孔を用いて確実にかつ速やかに排出することができる。従って、回転コネクタにおける絶縁不良を防止することができる。
【0010】
前記の回転コネクタにおいては、前記溝部は、前記排出孔と接続する位置から半周以上にわたって連続して形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、周方向で隙間の様々な場所から液体が浸入した場合でも、溝部を通じて排出孔から排出することができる。
【0012】
前記の回転コネクタにおいては、前記排出孔は、複数形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、液体を円滑に排出することができる。
【0014】
前記の回転コネクタにおいては、前記排出孔は、スリット状に形成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、異物が排出孔を通じて回転コネクタの内部空間に浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るステアリングロールコネクタの全体的な構成を示す側面図。
図2図1のA-A断面矢視図。
図3図2の一部拡大図。
図4】ステータの一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るステアリングロールコネクタ1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、図1のA-A断面矢視図である。図3は、図2の一部拡大図である。図4は、ステータ11の一部断面図である。
【0018】
図1に示す回転コネクタとしてのステアリングロールコネクタ1は、例えば、車体のステアリングコラムの適宜の位置に設けられる。ステアリングロールコネクタ1は、図2に示すように、前記ステアリングコラムのカバーに備えられたステアリングロアカバー3とコラムカバー5との間に設置される。ステアリングロールコネクタ1は、主としてコラムカバー5内に位置している。
【0019】
ステアリングロールコネクタ1は、ケーブルハウジング13を備えている。ケーブルハウジング13は、ステータ(第1ケース)11と、ロテータ(第2ケース)12と、を備える。ステータ11とロテータ12は、互いに相対回転可能である。ステータ11は、車体側の適宜の部材、例えば前記ステアリングコラムのコンビネーションブラケットスイッチ(図略)に固定される。
【0020】
ケーブルハウジング13は、円形に形成されている。ケーブルハウジング13の中心部には、差込孔19が形成されている。差込孔19は、ケーブルハウジング13をその軸方向に貫通するように設けられている。差込孔19には、ステアリングコラムに支持された図略のステアリングシャフトが挿入される。ステアリングロールコネクタ1の筐体の全体がケーブルハウジング13として構成されても良いし、筐体の一部がケーブルハウジング13として構成されても良い。
【0021】
ステータ11は、前記ステアリングシャフトに対して相対回転可能に取り付けられる。ロテータ12は、前記ステアリングシャフトとともに一体的に回転するように構成される。なお、前記ステアリングシャフトには、ステアリングホイールが固定されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、ロテータ12は、ステータ11の内側に位置した状態でステータ11に相対回転可能に取り付けられている。ロテータ12は、ステータ11に対して、前記ステアリングシャフトの回転軸と同一の軸線を中心にして回転することができる。
【0023】
ステータ11は、環状の固定側リング板21と、この固定側リング板21の外周縁部に設けられた筒状の外周筒部(外周部)31と、を備えている。ロテータ12は、環状の回転側リング板22と、この回転側リング板22の内周縁部に設けられた筒状の内周筒部32と、を備えている。
【0024】
本実施形態において、固定側リング板21及び回転側リング板22は、それぞれ、円環形状を有する。外周筒部31及び内周筒部32は、それぞれ、円筒形状を有する。そして、固定側リング板21、回転側リング板22、外周筒部31及び内周筒部32は、それぞれの軸方向がケーブルハウジング13の軸方向と同じとなるように配置されている。以下、これらの軸方向を単に軸方向と呼ぶことがある。また、この軸方向と直交する方向を径方向と呼ぶことがある。
【0025】
ステータ11には、図1に示すように、第1コネクタ41が取り付けられている。ロテータ12には、第2コネクタ42が取り付けられている。第2コネクタ42は、ロテータ12の回転に伴って一体的に回転する。第1コネクタ41及び第2コネクタ42には、外部の電気回路(例えば、ホーンスイッチ、エアバッグモジュール、電源等)から引き出された図略のケーブルをそれぞれ接続することができる。
【0026】
第1コネクタ41は、固定側リング板21に設けられている。第2コネクタ42は、回転側リング板22に設けられている。そして、第1コネクタ41と第2コネクタ42とが、ケーブルハウジング13の内部(後述する収容空間15の内部)に配置されたフレキシブルフラットケーブル(ケーブル)14によって相互に電気的に接続されている。
【0027】
固定側リング板21は、その厚み方向が軸方向を向くように配置されている。回転側リング板22は、その厚み方向が固定側リング板21と同じ方向を向くように配置されている。回転側リング板22は、本実施形態では、固定側リング板21の外径よりも若干小さい外径を有する。回転側リング板22と固定側リング板21とは、それぞれ、軸方向において互いに対向するように所定距離だけ離れた位置に配置されている。
【0028】
外周筒部31は、固定側リング板21の外周縁部から軸方向一方に延びている。内周筒部32は、回転側リング板22の内周縁部から軸方向他方に延びている。内周筒部32は、外周筒部31の内径よりも小さい外径を有する。外周筒部31は、内周筒部32の径方向外側に位置している。外周筒部31と内周筒部32とは、径方向で互いに対向するように所定距離だけ離れた位置に配置されている。
【0029】
これにより、ケーブルハウジング13において、ステータ11と当該ステータ11に取り付けられたロテータ12との間に、収容空間15が形成されている。収容空間15は、軸方向において互いに対向する固定側リング板21及び回転側リング板22と、径方向において互いに対向する外周筒部31及び内周筒部32と、によって囲まれた環状の空間である。
【0030】
収容空間15には、図2及び図3に示すように、フレキシブルフラットケーブル14が収容されている。フレキシブルフラットケーブル14は、収容空間15内に適宜巻かれた状態で収容されている。
【0031】
図3は、図2の下側の一部を拡大したものである。図3に示すように、外周筒部31は、径方向において、軸方向一方の端部51が回転側リング板22の外周縁部53と対向するように配置されている。外周筒部31の軸方向一方の端部51と回転側リング板22の外周縁部53とは、それぞれ、径方向において所定間隔を隔てて配置されている。こうして、これらの間に、第1隙間(隙間)55が形成されている。
【0032】
第1隙間55は、軸方向一方に開口する。第1隙間55は、外周筒部31及び回転側リング板22の周方向に延びている。第1隙間55は、ケーブルハウジング13の外縁部の近傍に、円環状に形成される。第1隙間55は、ステアリングロールコネクタ1(ケーブルハウジング13)の外部空間57と収容空間15とを接続している。本実施形態では、第1隙間55は、外周筒部31と回転側リング板22との間に形成された通過路59を介して、ケーブルハウジング13の外部空間57と収容空間15とを互いに接続している。
【0033】
外周筒部31には、排出孔61が形成されている。排出孔61は、径方向においてケーブルハウジング13の外方に向かって開口する。即ち、排出孔61は、ケーブルハウジング13において第1隙間55とは別の開口部であり、第1隙間55の開口方向とは異なる方向に開口している。排出孔61は、ケーブルハウジング13の外部空間57と第1溝部(溝部)71の内部空間とを互いに接続している。
【0034】
次に、排出孔61について詳細に説明する。図4は、ステータ11の一部断面側面図である。
【0035】
図2図3及び図4に示すように、外周筒部31は、本実施形態では2重構造となっている。外周筒部31は、円筒状の外側外周筒部(壁部、外側壁部)63と、円筒状の内側外周筒部(内側壁部)65と、を有する。内側外周筒部65は、外側外周筒部63の内径よりも小さい外径を有し、外側外周筒部63の径方向内側に設けられている。外側外周筒部63と内側外周筒部65とは、それぞれ径方向において互いに対向するように所定距離だけ離れた位置に配置されるとともに、同軸上に配置されている。
【0036】
そして、外側外周筒部63の軸方向途中部と、内側外周筒部65の軸方向途中部とが、連結部67により連結されている。連結部67は、外側外周筒部63と内側外周筒部65との間に形成される空間を、軸方向で2つに区画する。これにより、外側外周筒部63と内側外周筒部65との間に、第1溝部71及び第2溝部72が形成されている。
【0037】
第1溝部71は、連結部67の軸方向一方側に配置されている。第2溝部72は、連結部67の軸方向他方側に配置されている。第1溝部71は、その開口部分が第1隙間55に臨むように、軸方向一方に開口する。第1溝部71は、外側外周筒部63及び内側外周筒部65に沿って延びている。第1溝部71は、少なくとも外周筒部31の周方向長さの半分程度の周方向長さを有する。
【0038】
第1溝部71は、ステアリングロールコネクタ1の内部に浸入した砂等の異物を内部に留めておく砂塵溜まりとして機能する。第1溝部71は、第1隙間55を介して、ケーブルハウジング13の外部空間57と接続している。また、第1溝部71は、通過路59を介して、収容空間15とも接続している。
【0039】
排出孔61は、外側外周筒部63に形成されている。排出孔61は、径方向において、外側外周筒部63を径方向に貫通する。これにより、排出孔61は、外周筒部31の周方向に途切れることなく延びる第1溝部71の内部空間を、ケーブルハウジング13の外部空間57に接続している。
【0040】
排出孔61は、軸方向において、外側外周筒部63のうち、連結部67との連結部分よりも軸方向一方側(第1溝部71側)に配置されている。排出孔61は、第1溝部71の最も深い部分(底部87の部分)に接続するように配置されている。また、排出孔61は、外周筒部31の周方向において、ステアリングロールコネクタ1を設置した場合に第1溝部71のうち最下部付近に位置するように配置されている。
【0041】
ステータ11には、第1溝部71を周方向で区画する隔壁は特に形成されていない。従って、第1溝部71の内部は、排出孔61が配置される最下部と、この最下部と位相が180°異なる部分(最上部に位置する部分)と、の間で、円弧状に長く連続した空間となっている。
【0042】
こうして、排出孔61は、ステアリングロールコネクタ1の設置時には、図2に示すように、ケーブルハウジング13の外部空間57のうち、コラムカバー5の内部空間75に臨むようになっている。このとき、排出孔61の軸方向一方の端部分77は、軸方向において、コラムカバー5の内部空間75、又はコラムカバー5の下側端部79と対向する位置に配置される。また、本実施形態において、排出孔61は、スリット形状を有している。
【0043】
図2には、ステアリングロールコネクタ1が前記ステアリングコラムの所定位置に設けられた様子が示されている。この状態で、ステアリングロアカバー3とコラムカバー5の間に生じる隙間のうち上側の隙間(第2隙間82)から、水等の液体が内部に入り込んだ場合を考える。この液体は、ステアリングロールコネクタ1の外周の上部付近に掛かる。この液体の一部が第1隙間55を介してステアリングロールコネクタ1(ケーブルハウジング13)の内部空間に浸入する可能性がある。
【0044】
しかし、円環状の第1隙間55の近傍には、当該第1隙間55に沿うように形成された第1溝部71の開口端が位置している。従って、第1溝部71が形成されている(少なくとも半周以上の)範囲では、第1隙間55のどの位置から液体が浸入した場合でも、殆どの場合に当該液体は第1溝部71に入って、第1溝部71に沿って最下端部まで流れる。図4には、第1隙間55の最上端部に浸入した液体が第1溝部71に沿って最下端部に流れる様子が示されている。
【0045】
第1溝部71の最下端部においては、第1溝部71の底部87の近くに排出孔61が位置している。従って、第1溝部71の最下端部に到達した液体は、当該最下端部に殆ど溜まることなく、排出孔61を介して排出される。第1溝部71の下部に液体が溜まらないので、第1溝部71の下部で液面が上昇して収容空間15へ当該液体が溢れるように浸入することもない。従って、収容空間15に配置されているフレキシブルフラットケーブル14の心線溶接部分の1次モールドに水等の液体が掛からないので、絶縁不良を防止することができる。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態のステアリングロールコネクタ1は、ステータ11と、ロテータ12と、フレキシブルフラットケーブル14と、を備える。ロテータ12は、ステータ11との間に環状の収容空間15が形成されるように、ステータ11の内側に位置した状態でステータ11に相対回転可能に取り付けられる。フレキシブルフラットケーブル14は、収容空間15に収容される。フレキシブルフラットケーブル14は、ステータ11に設けられた第1コネクタ41と、ロテータ12に設けられた第2コネクタ42と、を電気的に接続する。ステータ11及びロテータ12から構成されるケーブルハウジング13の外部空間57と、収容空間15と、を接続する第1隙間55が、ステータ11とロテータ12との間に形成される。ステータ11において、収容空間15の径方向外側に、周方向に延びる第1溝部71が形成される。第1溝部71は、第1隙間55及び収容空間15にそれぞれ接続されている。ステータ11において、第1溝部71の径方向外側の外側外周筒部63に排出孔61が形成される。排出孔61は、第1溝部71と、ケーブルハウジング13の外部空間57と、を接続する。
【0047】
これにより、排出孔61が下部に位置するようにステアリングロールコネクタ1を設置することで、ステータ11とロテータ12との間の第1隙間55から水等の液体が内部に浸入した場合でも、その液体を第1溝部71へ優先的に導いた後に、排出孔61を用いて確実にかつ速やかに排出することができる。従って、ステアリングロールコネクタ1における絶縁不良を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態のステアリングロールコネクタ1において、第1溝部71は、排出孔61と接続する位置から半周以上にわたって連続して形成されている。
【0049】
これにより、周方向で第1隙間55の様々な場所(例えば、ステアリングロールコネクタ1の上部付近)から液体が浸入した場合でも、第1溝部71を通じて、ステアリングロールコネクタ1の下部付近の排出孔61から排出することができる。
【0050】
なお、排出孔61は、1つだけでなく、複数形成することもできる。
【0051】
排出孔61を複数形成した場合、液体を円滑に排出することができる。
【0052】
また、本実施形態のステアリングロールコネクタ1において、排出孔61は、スリット状に形成されている。
【0053】
これにより、異物が排出孔61を通じてステアリングロールコネクタ1の内部に浸入することを防止できる。
【0054】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0055】
上記の実施形態では、排出孔61をスリット状に形成しているが、排出孔61の形状は任意であり、例えば丸状、正方形状等とすることができる。
【0056】
排出孔61が、第1溝部71の開口に近い側の外側外周筒部63の端部を開放させる切欠状に形成されても良い(排出のための切欠も排出孔に含まれる)。
【0057】
排出孔61が外側外周筒部63を貫通して形成される向きは、上述の実施形態のように径方向であっても良いし、径方向から傾いた向きであっても良い。
【0058】
排出孔61を複数形成する場合は、最下部付近に集中して複数形成しても良いし、周方向に広い範囲で並べて複数形成しても良い。
【0059】
第1溝部71は、上述したように半周以上にわたって連続して形成することが好ましいが、半周未満であっても良い。
【0060】
前述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0061】
1 ステアリングロールコネクタ(回転コネクタ)
11 ステータ(第1ケース)
12 ロテータ(第2ケース)
13 ケーブルハウジング
14 フレキシブルフラットケーブル(ケーブル)
15 収容空間
31 外周筒部(外周部)
41 第1コネクタ
42 第2コネクタ
55 第1隙間(隙間)
57 外部空間
61 排出孔
63 外側外周筒部(壁部)
71 第1溝部(溝部)
図1
図2
図3
図4