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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20220825BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220825BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20220825BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20220825BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20220825BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A61F13/535 100
A61F13/15 210
A61F13/47 100
A61F13/53 300
A61F13/535 200
A61F13/539
A61F13/56 110
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019121743
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2019162526
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 なるみ
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】内田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】渡子 直紀
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-68813(JP,A)
【文献】特開2019-92651(JP,A)
【文献】特開2006-280753(JP,A)
【文献】特開2011-212211(JP,A)
【文献】特開2012-179182(JP,A)
【文献】特開2019-170625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、
前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、
前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少なく、
前記吸収体は、熱融着性繊維を有しており、
前記熱融着性繊維は、前記上層吸収体及び前記下層吸収体のうち、前記下層吸収体のみに配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、
前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、
前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少なく、
前記延出領域は、前記上層吸収体側に配置された第1領域と、前記吸収性物品の外縁側に配置された第2領域と、を有し、
前記第1領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記第2領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも多い、吸収性物品。
【請求項3】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、
前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、
前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少なく、
前記上層吸収体と前記下層吸収体が接着材によって接合された吸収接合部を有し、
前記吸収性物品は、前記幅方向に延びる一対の折り目を基点に折り畳まれており、
前記上層吸収体は、前記折り目よりも前記長手方向の外側に配置された外側領域を有し、
前記吸収接合部は、前記外側領域に重ならない領域に設けられている、吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収接合部は、前記一対の折り目と重ならない領域に設けられている、請求項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、
前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、
前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少なく、
前記上層吸収体と前記下層吸収体が接着材によって接合された吸収接合部と、前記吸収性物品の非肌対向面を着用物品に接合するための粘着剤が設けられた粘着部と、を有し、
前記吸収接合部及び前記粘着部のいずれも厚み方向に重ならない非重畳部が設けられている、吸収性物品。
【請求項6】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、
前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、
前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少なく、
前記高吸収性ポリマーは、前記下層吸収体内に配置されずに、前記上層吸収体に配置され、
前記上層吸収体から零れた前記高吸収性ポリマーが前記延出領域に配置されている、吸収性物品。
【請求項7】
前記上層吸収体は、前記親水性繊維及び前記高吸収性ポリマーを含むエアレイド不織布である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記上層吸収体において、前記親水性繊維は、前記下層吸収体側の面に少なくとも配置され、前記高吸収性ポリマーは、前記下層吸収体側の面に配置された前記親水性繊維よりも肌対向面側に少なくとも配置されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記上層吸収体と前記下層吸収体が接着材によって接合された吸収接合部を有し、
前記吸収接合部は、前記長手方向及び前記幅方向の一方に延び、かつ前記長手方向及び前記幅方向の他方に間隔を空けて複数設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティライナー、軽失禁パッド等、下着に装着して使用する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下着に装着し、おりもの、汗、尿などの体液を吸収する吸収性物品が用いられている。特許文献1の吸収性物品は、表面シートと、裏面シートと、表面シートと裏面シートの間に配置され、高吸収性ポリマーを有する吸収性コアと、を有する。特許文献1の吸収性コアは、高吸収性ポリマーを主体として構成されており、吸収性コアの平面の全域に亘って高吸収性ポリマーが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-105962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性コアは、高吸収性ポリマーを主体として構成されており、体液の保持性が優れている。しかし、吸収性コアの平面全域に亘って高吸収性ポリマーが配置されているため、体液を一旦吸収すると、高吸収性ポリマーがゲル化してゲルブロッキングが生じ易い。ゲルブロッキングが生じると、体液を吸収し続け難く、漏れが発生したり、体液が表面上に残ることによる装着感が悪化したりすることがあった。
【0005】
よって、ゲルブロッキングを抑制し、体液を吸収し続け易い吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吸収性物品の肌対向面側から見た平面図である。
図2】実施形態に係る吸収性物品の非肌対向面側から見た平面図である。
図3図1に示す吸収性物品のA-A断面に沿った模式断面図である。
図4図1に示す吸収性物品のB-B断面に沿った模式断面図である。
図5】上層吸収体と下層吸収体の接合部を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置され、少なくとも親水性繊維と高吸収性ポリマーを有する吸収体と、を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、少なくとも前記親水性繊維を有する上層吸収体と、前記上層吸収体よりも非肌対向面側に配置された下層吸収体と、を有し、前記下層吸収体は、前記上層吸収体よりも前記長手方向及び前記幅方向において延出した延出領域を有し、前記上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記延出領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも少ない。
【0009】
本態様によれば、上層吸収体は、親水性繊維を有しており、当該親水性繊維によって体液を迅速に引き込むことができる。上層吸収体によって引き込まれた体液は、上層吸収体内を拡散しつつ,下層吸収体に導かれる。このとき、上層吸収体の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量が比較的少ないため、上層吸収体の肌対向面におけるゲルブロッキングを抑制でき、上層吸収体内に体液を引き込み続けることができる。また、下層吸収体の延出領域の高吸収性ポリマーの坪量が比較的多く、上層吸収体から側方に染み出した体液を延出領域の高吸収性ポリマーで保持し、横漏れを抑制できる。延出領域は、体液が排出される吸収性物品の中央よりも外側にずれている。そのため、延出領域の高吸収性ポリマーによるゲルブロッキングが発生しても、体液を保持し続けることができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記上層吸収体は、前記親水性繊維及び前記高吸収性ポリマーを含むエアレイド不織布であってよい。
【0011】
エアレイド不織布は、液体の引き込み性が高く、また引き込んだ液体の放出性が高い。そのため、上層吸収体上に排出された体液を迅速に引き込むとともに、下層吸収体に体液を迅速に導くことができる。また、エアレイド不織布は、平面方向の拡散性が高いため、上層吸収体内に引き込んだ体液を広い範囲に拡散できる。よって、上層吸収体における広い面積で体液を保持できるともに、下層吸収体の延出領域にも体液を導き易い。よって、上層吸収体おける局所的な体液の吸収によるゲルブロッキングを抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記上層吸収体において、前記親水性繊維は、前記下層吸収体側の面に少なくとも配置され、前記高吸収性ポリマーは、前記下層吸収体側の面に配置された前記親水性繊維よりも肌対向面側に少なくとも配置されてよい。
【0013】
本態様によれば、上層吸収体の高吸収性ポリマーにおいて吸収しきれなかった体液を、高吸収性ポリマーよりも非肌対向面側に位置する親水性繊維によって引き込むことができる。上層吸収体内において非肌対向面側に体液を引き込むことにより、円滑に下層吸収体に向けて体液を導くことができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記吸収体は、熱融着性繊維を有しており、前記熱融着性繊維は、前記上層吸収体及び前記下層吸収体のうち、前記下層吸収体のみに配置されてよい。
【0015】
熱融着性繊維は、製造過程で加熱されることにより、熱融着部が形成される。下層吸収体に熱融着部が形成されることにより、繊維同士の結合力が強くなり、下層吸収体がよれ難くなる。これにより、吸収性物品全体がよれ難くなり、身体に対向して適切に配置され続けることができ、漏れを抑制したり、違和感を抑制したりできる。また、熱融着性繊維は、上層吸収体に配置されていないため、上層吸収体には、熱融着部が形成されない。繊維同士の結合力が強くなることに起因して高吸収性ポリマーの膨らみが阻害されず、高吸収性ポリマーが膨潤し易くなり、吸収性能を維持できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記延出領域は、前記上層吸収体側に配置された第1領域と、前記吸収性物品の外縁側に配置された第2領域と、を有し、前記第1領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量は、前記第2領域の肌対向面に露出する高吸収性ポリマーの坪量よりも多くてよい。
【0017】
本態様によれば、第1領域の高吸収性ポリマーの坪量が多いため、吸収性物品の平面視における内側に位置する第1領域で体液をより保持できる。吸収性物品の外縁に体液が到達し難くなり、横漏れを抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記上層吸収体と前記下層吸収体を接合する接着材が設けられた吸収接合部を有し、前記吸収接合部は、前記長手方向及び前記幅方向の一方に延び、かつ前記長手方向及び前記幅方向の他方に間隔を空けて複数設けられてよい。
【0019】
接着材が設けられた吸収接合部は、体液を透過させ難く、接着材が設けられていない非吸収接合部は、体液を透過させ易い。本態様によれば、上層吸収体で吸収した体液を、吸収接合部同士の間隔である非吸収接合部において一方の方向に拡散でき、広い面積で体液を吸収できる。非吸収接合部によって体液を拡散する一方、非吸収接合部の両側に配置された吸収接合部によって他方の方向への拡散を抑制できる。上層吸収体と下層吸収体との間で体液が拡散しすぎることに起因して、上層吸収体と下層吸収体の剥離部分における液溜まりを抑制し、下層吸収体側への体液の引き込みを持続できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記上層吸収体と前記下層吸収体が接着材によって接合された吸収接合部を有し、前記吸収性物品は、前記幅方向に延びる一対の折り目を基点に折り畳まれており、前記上層吸収体は、前記折り目よりも前記長手方向の外側に配置された外側領域を有し、前記吸収接合部は、前記外側領域に重ならない領域に設けられてよい。
【0021】
上層吸収体の外側領域は、下層吸収体に接合されてなく、製造過程の折り畳み時や装着過程の展開時に移動し易い。外側領域の移動に伴って、上層吸収体内の高吸収性ポリマーが拡散し易くなり、吸収体の広い範囲で体液を保持できる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記吸収接合部は、前記一対の折り目と重ならない領域に設けられてよい。
【0023】
吸収接合部と折り目が重なると、折り癖がより強く形成され、折り目と重なる領域における上層吸収体の剛性が高くなる。しかし、吸収接合部と折り目が重ならないため、上層吸収体の剛性が局所的に高くなることを抑制できる。上層吸収体の剛性が局所的に高くなることに起因して高吸収性ポリマーの膨らみが阻害されず、高吸収性ポリマーが膨潤し易くなり、吸収性能を維持できる。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記上層吸収体と前記下層吸収体が接着材によって接合された吸収接合部と、前記吸収性物品の非肌対向面を着用物品に接合するための粘着剤が設けられた粘着部と、を有し、前記吸収接合部及び前記粘着部のいずれも厚み方向に重ならない非重畳部が設けられてよい。
【0025】
非重畳部は、吸収接合部及び粘着部のいずれとも重ならず、通気性及びドライ性を確保できる。非重畳部を有することにより、吸収性物品全体の蒸れを低減し、装着感を向上できる。
【0026】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0027】
吸収性物品は、パンティライナーである。なお、本発明に係る吸収性物品は、下着に装着して使用する吸収性物品であればよく、例えば、軽失禁パッドであってもよい。図1は、本実施形態に係る吸収性物品1の肌対向面側から見た平面図である。図2は、図1に示す吸収性物品の非肌対向面側から見た平面図である。図3は、図1に示す吸収性物品のA-A断面に沿った模式断面図である。図4は、図1に示す吸収性物品のB-B断面に沿った模式断面図である。
【0028】
吸収性物品1は、互いに直交する長手方向L及び幅方向Wを有する。長手方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、長手方向Lは、展開された吸収性物品1において前後に延びる方向である。また、吸収性物品1は、長手方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚み方向Tを有する。厚み方向Tは、着用者側に向かう肌対向面側T1と、肌対向面側T1と反対側の非肌対向面側T2と、に延びる。
【0029】
吸収性物品1は、表面シート10と、裏面シート20と、吸収体30と、を少なくとも有する。表面シート10は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような液透過性のシートによって構成されていてよい。表面シート10は、複数のシートが積層されて構成されてもよいし、セカンドシートを有してもよい。例えば、コットン繊維を含むコットンシートと、レーヨンとポリエチレンからなるシートと、の積層シートによって表面シート10を構成してもよいし、当該積層シートと、エアスルー不織布によるセカンドシートと、によって表面シート10を構成してもよい。本実施の形態の表面シート10は、エアスルー不織布によって構成されている。また、エアスルー不織布より肌対向面側T1にコットンシートを有してもよい。着用者の肌にコットンシートが触れるため、肌触りを向上できる。
【0030】
裏面シート20は、例えば、プラスチックフィルムのような液不透過性のシートによって構成されてよい。裏面シート20は、通気性を有してもよい。通気性を有する裏面シート20によれば、尿や汗の吸収時に裏面シート20を介して湿気を吸収性物品外に排出し易い。よって、蒸れを低減して装着感を向上できる。表面シート10及び裏面シート20は、吸収性物品1の外縁1Eまで到達している。本実施の形態において、外側縁は、幅方向Wの外側端であり、前端縁は、前側の縁であり、後端縁は、後側の縁である。また、外縁は、外側縁、前端縁及び後端縁を含む外周全体の縁である。
【0031】
図2に示すように、裏面シート20の非肌対向面には、吸収性物品1を下着に接合するための粘着部50が配置されている。粘着部50は、吸収性物品1を下着に接合する粘着材が設けられた部分である。粘着部50は、幅方向Wに延び、長手方向Lに間隔を空けて複数設けられている。粘着部50は、後述する外縁接合部40に到達してなくてよい。すなわち、粘着部50と外縁接合部40は、平面視にて離間していてもよい。粘着部50と外縁接合部40の間に、着用物品に接合されてなく(粘着部に重ならず)、シート同士が接合されてない(外縁接合部40に重ならない)部分が設けられる。当該粘着部50と外縁接合部40の間の部分は、高吸収性ポリマー32が膨張した際に厚さが厚くなり易い。高吸収性ポリマーの膨らみが阻害されず、高吸収性ポリマーが膨潤し易くなり、吸収性能を維持できる。
【0032】
使用者によっては、吸収性物品1を装着する際に、外縁接合部40を把持することがある。外縁接合部40に粘着部50が到達していないことにより、装着時に外縁接合部40を掴んでも、粘着部50に触れることがなく、着用物品に貼り付け易く、また着用物品から外し易い。加えて、着用時に吸収性物品1の幅方向の外縁は、着用物品のクロッチ部の縫い目近傍に配置され、着用者の動きによって変形し易い。外縁接合部40に粘着部50が到達していないことにより、吸収性物品の側縁が着用物品の動きにダイレクトに追従せず、吸収性物品の変形を抑制できる。また、粘着部50は、吸収性物品の使用前に図示しない被覆シートによって覆われていてよい。なお、変形例において、粘着部50は、長手方向Lに延び、幅方向Wに間隔を空けて複数設けられてよいし、外縁接合部40に到達していてもよい。
【0033】
吸収体30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収体30は、少なくとも親水性繊維31と高吸収性ポリマー(SAP)32を有する。本実施の形態の吸収性物品1は、パンティライナーとして長期間に亘って使用されるものである。繊維によっておりものや汗などの体液を吸収するとともに、高吸収性ポリマー32によって軽失禁による体液をも吸収できる。吸収体30については、後述にて詳細に説明する。
【0034】
吸収性物品1は、使用前に幅方向Wに延びる一対の折り目FLを基点に折り畳まれていてよい。一対の折り目FLは、第1折り目FLと、第1折り目FL1と長手方向Lに間隔を空けて配置された第2折り目FL2と、を有する。
【0035】
少なくとも表面シート10と裏面シート20が接合された外縁接合部40が吸収性物品1の外縁1Eに沿って設けられてよい。外縁接合部40は、少なくとも表面シート10と裏面シート20が接合されていればよく、吸収体30も接合されていてもよい。外縁接合部40は、吸収性物品1の外縁1Eに到達してよい。外縁接合部40は、熱溶着、超音波溶着、エンボス加工のいずれかによって形成されてよい。本実施の形態の外縁接合部40は、表面シート10、裏面シート20、及び後述する下層吸収体36がエンボス加工によって接合されている。エンボス加工による外縁接合部40が吸収性物品1の外縁1Eに設けられていることにより、吸収性物品1の外縁に体液が到達しても、密度が高い外縁接合部40内で体液を保持し、横漏れを抑制できる。さらに、外縁接合部40の外縁が吸収性物品1の外縁と一致する場合は、外縁接合部40よりも内側の領域(シート同士、及び下層吸収体が接合されていない領域)を広く確保できるので、高吸収性ポリマー32の膨張を妨げることを抑制できる。なお、外縁接合部40は、図1及び図2において示す、便宜上、図3及び図4の断面図において省略している。
【0036】
次いで、吸収体30について、詳細に説明する。吸収体30は、上層吸収体35と、上層吸収体35よりも非肌対向面側T2に配置された下層吸収体36と、を有する。下層吸収体36の面積は、上層吸収体35の面積よりも大きい。下層吸収体36は、平面視にて上層吸収体35よりも延出した延出領域R10を有する。延出領域R10は、図5において斜線を付した領域である。下層吸収体36は、吸収性物品1全体に配置されており、下層吸収体36の外縁は、吸収性物品の外縁に一致している。上層吸収体35は、平面視にて矩形であり、吸収性物品1の幅方向Wの中心及び長手方向Lの中心を跨いでいる。上層吸収体35の外側縁は、吸収性物品1の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置する。長手方向Lにおいて、上層吸収体35の外端縁は、吸収性物品1の外端縁よりも内側に位置する。よって、延出領域R10は、上層吸収体35よりも長手方向Lの外側と、上層吸収体35よりも幅方向Wの外側と、のそれぞれに設けられている。延出領域R10は、上層吸収体35の外縁と吸収性物品の外縁1Eとの間の領域である。
【0037】
延出領域R10は、上層吸収体35側に配置された第1領域R11と、吸収性物品の外縁側に配置された第2領域R12と、を有してよい。第1領域R11は、延出領域R10を長手方向L又は幅方向Wに2等分した領域のうち上層吸収体35側に配置された領域である。図5において、第1領域R11と第2領域R12の境界を一点鎖線で示す。本実施の形態における第1領域R11と第2領域R12の境界は、上層吸収体35の外縁と吸収性物品1の外縁の中間点を繋いだ線である。
【0038】
上層吸収体35は、少なくとも親水性繊維31を有する。上層吸収体35の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32の坪量は、下層吸収体36の延出領域R10の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32の坪量よりも少ない。上層吸収体35の肌対向面及び下層吸収体36の肌対向面は、各吸収体の肌対向面側T1の面であり、表面シートに向かう面である。なお、下層吸収体36の延出領域R10の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32が、上層吸収体35の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32よりも多く配置されていればよく、上層吸収体35の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32が存在しなくてもよい。また、上層吸収体35及び下層吸収体36内に高吸収性ポリマー32が配置されずに、上層吸収体35の肌対向面上及び下層吸収体36の肌対向面上に高吸収性ポリマー32が配置されていてもよい。本実施の形態では、上層吸収体35内に高吸収性ポリマー32が配置され、この高吸収性ポリマー32の一部が上層吸収体35の肌対向面に露出している。また、下層吸収体36内に高吸収性ポリマー32が配置されずに、上層吸収体35から零れた高吸収性ポリマー32が下層吸収体36の延出領域R10において露出している。なお、吸収性物品の外縁まで下層吸収体36が延在する場合30は、吸収性物品1の外縁1Eから高吸収性ポリマー32が零れることを防ぐために、吸収体の側縁部に高吸収性ポリマー32が配置されていないことが好ましく、より好適には、下層吸収体36内に高吸収性ポリマー32が配置されていないことが好ましい。なお、吸収体30の外縁部に高吸収性ポリマー32が配置されていない(吸収体の中央部のみに高吸収性ポリマー32が配置されている)場合には、吸収性物品全体の保水量を確保するために、下層吸収体36内に高吸収性ポリマー32が配置されていてもよい。
【0039】
高吸収性ポリマー32の坪量の比較は、色水を垂らし、上層吸収体35の高吸収性ポリマー32と延出領域R10の高吸収性ポリマー32が水分を吸収した状態で、色の違いの目視にて確認する。単位面積あたりの色が濃い領域、又は単位面積あたりの色が変化した面積が大きい領域は、高吸収性ポリマー32の坪量が大きい領域とする。高吸収性ポリマー32の坪量の比較の他の方法としては、色水に30分程度浸水させ、色水の吸収によって膨張した高吸収性ポリマー32の個数を測定し、高吸収性ポリマー32の坪量を比較できる。
【0040】
この構成によれば、上層吸収体35の親水性繊維31によって体液を迅速に引き込むことができる。上層吸収体35によって引き込まれた体液は、上層吸収体35内を拡散しつつ、下層吸収体36に導かれる。このとき、上層吸収体35の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32の坪量が比較的少ないため、上層吸収体35の肌対向面におけるゲルブロッキングを抑制でき、上層吸収体35内に体液を引き込み続けることができる。また、下層吸収体36の延出領域R10の高吸収性ポリマー32の坪量が比較的多く、上層吸収体35から側方に染み出した体液を延出領域R10の高吸収性ポリマー32で保持し、横漏れを抑制できる。延出領域R10は、体液が排出される吸収性物品1の中央よりも外側にずれている。そのため、延出領域R10の高吸収性ポリマー32によるゲルブロッキングが発生しても、体液を保持し続けることができる。
【0041】
延出領域R10の第1領域R11の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32の坪量は、第2領域R12の肌対向面に露出する高吸収性ポリマー32の坪量よりも多くてよい。第1領域R11の高吸収性ポリマー32の坪量が比較的多いため、吸収性物品1の平面視における内側の第1領域R11で体液をより保持できる。吸収性物品1の外縁1Eに体液が到達し難くなり、横漏れを抑制できる。第2領域R12は、排泄部から離れた汗をかきやすい領域に当接する。第2領域R12によって排泄物よりも水分排出量の少ない汗を確実に吸収できる。また、第2領域R12の高吸収性ポリマー32の坪量が低いため、高吸収性ポリマー32が膨張したときの凹凸による肌への違和感を低減できる。
【0042】
上層吸収体35は、親水性繊維31及び高吸収性ポリマー32を含むエアレイド不織布であってよい。エアレイド不織布は、液体の引き込み性が高く、また引き込んだ液体の放出性が高い。そのため、上層吸収体35上に排出された体液を迅速に引き込むとともに、下層吸収体36に迅速に体液を導くことができる。また、エアレイド不織布は、平面方向の拡散性が高いため、上層吸収体35内に引き込んだ体液を広い範囲に拡散できる。よって、上層吸収体35における広い面積で体液を保持できるともに、下層吸収体36の延出領域R10にも体液を導き易い。よって、上層吸収体35おける局所的な体液の吸収によるゲルブロッキングを抑制できる。
【0043】
下層吸収体36の外縁は、吸収性物品1の外縁に一致してよい。下層吸収体36の面積を広く設け、吸収容量を確保できる。また、延出領域R10に露出した高吸収性ポリマー32によって体液を保持し、吸収性物品1の外縁1Eに体液が到達することを抑制できる。すなわち、下層吸収体36による吸収容量を確保しつつ、吸収性物品の外縁1Eからの横漏れを抑制できる。
【0044】
上層吸収体35において、親水性繊維31は、下層吸収体36側の面に少なくとも配置され、高吸収性ポリマー32は、下層吸収体36側の面に配置された親水性繊維31よりも肌対向面側T1に少なくとも配置されている。上層吸収体35の高吸収性ポリマー32において吸収しきれなかった体液を、高吸収性ポリマー32よりも非肌対向面側T2に位置する親水性繊維31によって引き込んで吸収できる。上層吸収体35内において非肌対向面側T2に体液を引き込むことにより、円滑に下層吸収体36に体液を導くことができる。
【0045】
吸収体30内において高吸収性ポリマー32の密度は、一定であってもよいし、異なっていてもよい。図3に示すように、上層吸収体35は、上層吸収体35の厚み方向の中心を含む中央領域35RCと、中央領域35RCよりも厚さ方向の外側に位置する表面側領域35RSと、を有する。中央領域35RCと表面側領域35RSの境界は、上層吸収体35を厚み方向に三等分する境界である。中央領域35RCの高吸収性ポリマー32の密度は、表面側領域35RSの高吸収性ポリマー32の密度よりも高くてよい。中央領域35RCにおける高吸収性ポリマー32の密度が高いため、体液の吸収時に中央領域35RCが膨張し易い。よって、体液の吸収容量を確保できる。また、表面側領域35RSにおける高吸収性ポリマー32の密度が低く、体液の吸収時にゲルブロッキングが生じ難く、体液の引き込み性を維持できる。なお、当該密度の測定方法としては、吸収体を厚み方向に沿った断面で切断し、当該断面を電子顕微鏡で撮影し、各領域において同面積に含まれる高吸収性ポリマー32の個数を計測し、個数が多いほど密度が高くなるものとして測定できる。また、高吸収性ポリマー32の個数を計測の他の方法としては、色水に30分程度浸水させ、色水の吸収によって膨張した高吸収性ポリマー32の個数を計測し、個数が多いほど密度が高くなるものとして測定できる。
【0046】
吸収体30は、熱融着性繊維33を有してよい。熱融着性繊維33は、上層吸収体35及び下層吸収体36のうち、下層吸収体36のみに配置されてよい。すなわち、熱融着性繊維33は、上層吸収体35に配置されてなくてよい。熱融着性繊維33は、製造過程で加熱されることにより、熱融着部が形成される。下層吸収体36に熱融着部が形成されることにより、繊維同士の結合力が強くなり、下層吸収体36がよれ難くなる。よって、吸収性物品全体がよれ難くなり、身体に対向して適切に配置され続けることができ、漏れを抑制したり、違和感を抑制したりできる。また、熱融着性繊維33は、上層吸収体35に配置されていないため、上層吸収体35には、熱融着部が形成されない。繊維同士の結合力が強くなることに起因して高吸収性ポリマー32の膨らみが阻害されず、高吸収性ポリマー32が膨潤し易くなり、吸収性能を維持できる。
【0047】
本実施の形態の上層吸収体35は、親水性繊維31、バインダ(結合材)、親水剤、及び高吸収性ポリマー32を有するエアレイド不織布であり、下層吸収体36は、バインダ(結合材)、親水剤、熱融着性繊維33を有するエアレイド不織布である。下層吸収体36は、高吸収性ポリマー32を有していない。
【0048】
吸収性物品1は、上層吸収体35と下層吸収体36が接合された吸収接合部70を有する。図5は、上層吸収体35と下層吸収体36の吸収接合部70を示した平面図である。吸収接合部70は、長手方向L及び幅方向Wの一方に延び、かつ長手方向L及び幅方向Wの他方に間隔を空けて複数設けられてよい。本実施の形態の吸収接合部70は、幅方向Wに延びており、長手方向Lに間隔を空けて複数設けられてよい。なお、変形例において、吸収接合部70は、長手方向Lに延びており、幅方向Wに間隔を空けて複数設けられてよい。また、吸収接合部70は、粘着部50と同じ方向に延び、また、粘着部50と同じ方向において間隔を空けて配置されてよい。
【0049】
接着材が設けられた吸収接合部70は、体液を透過させ難く、接着材が設けられていない非吸収接合部は、体液を透過させ易い。非吸収接合部は、吸収接合部70以外の部分である。本態様によれば、上層吸収体35で吸収した体液を、吸収接合部70同士の間隔の非吸収接合部で一方の方向に拡散でき、広い面積で体液を吸収できる。非吸収接合部によって体液を幅方向Wに拡散する一方、非吸収接合部に対する長手方向Lの両側に配置された吸収接合部70によって拡散を抑制できる。上層吸収体35と下層吸収体36との間で体液が拡散しすぎることに起因して、上層吸収体35と下層吸収体36の剥離部分における液溜まりを抑制し、下層吸収体36側への体液の引き込みを持続できる。
【0050】
吸収接合部70は、吸収性物品1の一対の折り目FLと重ならない領域に設けられてよい。吸収接合部70と折り目FLが重なると、折り癖がより強く形成され、折り目FLと重なる領域における上層吸収体35の剛性が高くなる。しかし、吸収接合部70と折り目FLが重ならないため、上層吸収体35の剛性が局所的に高くなることを抑制できる。上層吸収体35の剛性が局所的に高くなることに起因して高吸収性ポリマー32の膨らみが阻害されず、高吸収性ポリマー32が膨潤し易くなり、吸収性能を維持できる。
【0051】
上層吸収体35は、一対の折り目FLの少なくとも一方と重なってよい。図5に示すように、上層吸収体35は、折り目FLよりも長手方向Lの外側に配置された外側領域R15を有している。本実施の形態では、上層吸収体35の長手方向Lの一端は、第1折り目FL1よりも長手方向Lの外側に位置し、上層吸収体35の長手方向Lの他端は、第2折り目FL2に一致している。よって、上層吸収体35の外側領域R15は、第1折り目FL1よりも長手方向Lの外側に設けられている。外側領域R15は、下層吸収体36に接合されてなく、製造過程の折り畳み時や装着過程の展開時に移動し易い。外側領域R15の移動に伴って、上層吸収体35内の高吸収性ポリマー32が拡散し易くなり、吸収体の広い範囲で体液を保持できる。
【0052】
図4に示すように、吸収性物品1には、吸収接合部70及び粘着部50のいずれも厚み方向Tに重ならない非重畳部R20が設けられている。非重畳部R20は、吸収接合部70及び粘着部50のいずれとも重ならず、通気性及びドライ性を確保できる。吸収性物品全体の蒸れを低減し、装着感を向上できる。
【0053】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、ゲルブロッキングを抑制し、体液を吸収し続け易い吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0055】
1 :吸収性物品
1E :外縁
10 :表面シート
20 :裏面シート
30 :吸収体
31 :親水性繊維
32 :高吸収性ポリマー
33 :熱融着性繊維
35 :上層吸収体
36 :下層吸収体
50 :粘着部
70 :吸収接合部
L :長手方向
T :厚み方向
T1 :肌対向面側
T2 :非肌対向面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5