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特許7129414光ファイバ用被覆材料、被覆光ファイバ、及び被覆光ファイバの製造方法
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  • 特許-光ファイバ用被覆材料、被覆光ファイバ、及び被覆光ファイバの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】光ファイバ用被覆材料、被覆光ファイバ、及び被覆光ファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/40 20060101AFI20220825BHJP
   C03C 25/1065 20180101ALI20220825BHJP
   C03C 25/36 20060101ALI20220825BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
C03C25/40
C03C25/1065
C03C25/36
G02B6/44 301A
G02B6/44 331
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019537908
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2018012794
(87)【国際公開番号】W WO2019038977
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2017161399
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】須山 健一
(72)【発明者】
【氏名】新子谷 悦宏
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0318882(US,A1)
【文献】特開2013-107293(JP,A)
【文献】特開2014-156522(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128325(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 25/00 - 25/70
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型樹脂と、
シランカップリング剤と、
光の照射によって酸を発生する光酸発生剤及び熱によって酸を発生する熱酸発生剤と、
エポキシ基を有する化合物と、
を含むことを特徴とする光ファイバ用被覆材料。
【請求項2】
前記光酸発生剤の量は、前記光ファイバ用被覆材料に対して0.01wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項3】
前記熱酸発生剤の量は、前記光ファイバ用被覆材料に対して0.01wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項4】
前記エポキシ基を有する化合物の量は、前記光ファイバ用被覆材料に対してエポキシ基濃度が0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下となる量であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項5】
前記紫外線硬化型樹脂の重合を開始させる光重合開始剤をさらに含み、
前記光ファイバ用被覆材料に含まれる前記光酸発生剤及び前記熱酸発生剤の量は、前記光重合開始剤の量以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項6】
前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる光の波長領域と、前記光酸発生剤に前記酸を発生させる光の波長領域との少なくとも一部が重複していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項7】
前記光酸発生剤は、オニウム塩系光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項8】
前記光酸発生剤とは異なる波長領域の光を吸収する光増感剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項9】
前記熱酸発生剤が前記酸を発生する温度は、60℃以上200℃以下であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項10】
前記熱酸発生剤は、オニウム塩系熱酸発生剤を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料。
【請求項11】
ガラス光ファイバと、
前記ガラス光ファイバを被覆する被覆層と、
を備え、
前記被覆層を構成する少なくとも一層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の光ファイバ用被覆材料からなることを特徴とする被覆光ファイバ。
【請求項12】
前記被覆層は2層からなり、前記ガラス光ファイバを直接被覆するプライマリ層のヤング率は0.2MPa以上3.0MPa以下であることを特徴とする請求項11記載の被覆光ファイバ。
【請求項13】
ガラス光ファイバを線引きする工程と、
前記ガラス光ファイバに、紫外線硬化型樹脂、シランカップリング剤、光の照射によって酸を発生する光酸発生剤及び熱によって酸を発生する熱酸発生剤、並びにエポキシ基を有する化合物を含む被覆材料を被覆する工程と、
前記被覆材料が被覆された前記ガラス光ファイバに紫外線を照射することによって、前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる工程と、
前記光酸発生剤及び前記熱酸発生剤に前記酸を発生させる工程と、
を含むことを特徴とする被覆光ファイバの製造方法。
【請求項14】
前記被覆材料を加熱する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の被覆光ファイバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ用被覆材料、該被覆材料を含む被覆光ファイバ、及び該被覆光ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、一般的にプリフォーム(光ファイバ母材ともいう)から線引きされたガラス光ファイバの外周に紫外線硬化型樹脂を被覆し、紫外線照射により硬化させることによって製造される。光ファイバの被覆層は、導波路であるガラス光ファイバの破断を防止すること、ホコリなどのゴミや湿気の進入を防止すること、及び光ファイバ外部から加わる力でガラス光ファイバが微小変形(マイクロベンド)を起こして生じる光の伝送損失を防止することを目的とする。これらの目的を達成するためには、ガラス光ファイバと被覆層との間に高い界面密着力が要求される。
【0003】
光ファイバは屋外を含む様々な環境で用いられる。そのため、ガラス光ファイバと被覆層との間の界面密着力は高湿度雰囲気下でも保たれることが望ましい。しかしながら、光ファイバの被覆層に適した紫外線硬化型樹脂は、そのままではガラスの表面に強く接着しない。さらに、被覆層に水分が入り込むと、ガラス光ファイバと被覆層との間の接着力が著しく低下してしまう。
【0004】
ガラス光ファイバと被覆層との間の界面密着力を向上させるために、例えば特許文献1、2に記載の技術は、紫外線硬化型樹脂を含む被覆材料にシランカップリング剤を添加する。シランカップリング剤は、加水分解反応及び脱水縮合反応によってガラス光ファイバの表面と反応又は相互作用し、界面密着力を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭59-92947号公報
【文献】特表2005-504698号公報
【文献】特開2013-91575号公報
【文献】特表2003-531799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応の反応速度は、一般的に酸又は塩基の環境下で上昇することが知られている。そこで、シランカップリング剤の反応を促進して界面密着力を向上させるために、被覆材料として用いられる樹脂組成物を酸性又は塩基性とする方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、樹脂組成物を酸性にすると粘度が非常に高くなり、ガラス光ファイバに均一に塗布できない。また、樹脂組成物を塩基性にするとガラス光ファイバがダメージを受けるため、ガラス光ファイバの強度が低下する。さらに、樹脂組成物を酸性又は塩基性にすると、保管時にシランカップリング剤の反応が自然と進行し、樹脂組成物が白濁する。すなわち、樹脂組成物を酸性又は塩基性とする方法では、樹脂組成物自体の保存安定性や性能に著しい変化が生じ、樹脂組成物の取り扱いが難しいため、被覆光ファイバの製造が従来よりも難しくなるという問題がある。
【0008】
特許文献3に記載の技術は、樹脂組成物自体を酸性とするのではなく、ガラス光ファイバの表面に酸性付与物質を塗布することによって、シランカップリング剤の反応を促進させる。しかしながら、この方法では、酸性付与物質の塗布工程が増加するだけでなく、酸性付与物質によって設備が劣化しやすく、また酸性付与物質の塗布量のコントロールが難しいため、やはり被覆光ファイバの製造が従来よりも難しくなるという問題が生じる。
【0009】
また、特許文献4に記載の技術は、被覆組成物においてポリ(アルコキシ)シラン等の成分とともに、放射光に暴露したときに陽子を発生してその成分を加水分解する触媒化合物を含ませる。
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載される触媒化合物のような光酸発生剤がシランカップリング剤の反応を促進するとしても、発生した酸自体は、ガラス光ファイバと被覆層との界面の相互作用には関与しない。特許文献4に記載の技術において、ガラス光ファイバと被覆層との間の界面密着力は、被覆組成物に含まれるシランカップリング剤の種類や量に依存することになる。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ガラス光ファイバと被覆層との間の界面密着力を向上させることができ、かつ容易に被覆できる光ファイバ用被覆材料、並びに該被覆材料を含む被覆光ファイバ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、光ファイバ用被覆材料であって、紫外線硬化型樹脂と、シランカップリング剤と、光の照射によって酸を発生する光酸発生剤及び熱によって酸を発生する熱酸発生剤の少なくとも一方と、エポキシ基を有する化合物と、を含む。
【0013】
本発明の第2の態様は、被覆光ファイバであって、ガラス光ファイバと、前記ガラス光ファイバを被覆する被覆層と、を備え、前記被覆層を構成する少なくとも一層が、上記光ファイバ用被覆材料からなる。
【0014】
本発明の第3の態様は、被覆光ファイバの製造方法であって、ガラス光ファイバを線引きする工程と、前記ガラス光ファイバに、紫外線硬化型樹脂、シランカップリング剤、光の照射によって酸を発生する光酸発生剤及び熱によって酸を発生する熱酸発生剤の少なくとも一方、並びにエポキシ基を有する化合物を含む被覆材料を被覆する工程と、前記被覆材料が被覆された前記ガラス光ファイバに紫外線を照射することによって、前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる工程と、前記光酸発生剤及び前記熱酸発生剤の少なくとも一方に前記酸を発生させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガラス光ファイバと被覆層との間の界面密着力を向上させることができ、かつ光ファイバ用被覆材料を容易に被覆できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る被覆光ファイバの断面図である。
図2】第1の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法に用いる製造装置の模式図である。
図3】第1の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法のフローチャートを示す図である。
図4】第2の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法に用いる製造装置の模式図である。
図5】第2の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法に用いる製造装置の模式図である。
図6】第2の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法に用いる製造装置の模式図である。
図7】第2の実施形態に係る被覆光ファイバの製造方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る被覆光ファイバ10の断面図である。図1に示すように、被覆光ファイバ10は、ガラス光ファイバ11と、ガラス光ファイバ11の外周に被覆された軟質層であるプライマリ層12(1次被覆層)及び硬質層であるセカンダリ層13(2次被覆層)を含む2層の被覆層14とを有する。
【0019】
プライマリ層12は、0.2MPa以上3.0MPa以下のヤング率、好ましくは0.3MPa以上1.5MPa以下のヤング率を有する柔軟な軟質層である。一方、セカンダリ層13は、500MPa以上2500MPa以下のヤング率、好ましくは800MPa以上1800MPa以下のヤング率を有する比較的硬い硬質層である。プライマリ層12及びセカンダリ層13は、それぞれ紫外線硬化型樹脂を含む光ファイバ用被覆材料に紫外線を照射して硬化させることによって形成される層からなり、ガラス光ファイバ11を保護する機能を有している。
【0020】
被覆光ファイバ10は、図1に示した構成に限定されない。例えば、被覆層14は、0.2MPa以上1500MPa以下のヤング率、好ましくは30MPa以上1000MPa以下のヤング率を有する単層からなってよい。また、被覆層14は、3層以上の層を含んでもよい。また、被覆光ファイバ10は、被覆層14の外周に被覆された着色層をさらに有する光ファイバ心線の形態をとってよい。また、被覆光ファイバ10は、複数の被覆光ファイバ10を束ねる一括被覆層をさらに有する光ファイバテープ心線の形態をとってよい。
【0021】
ガラス光ファイバ11の直径は、通常80μm以上150μm以下であり、124μm以上126μm以下であることが一般的である。プライマリ層12の厚さは、通常5μm以上50μm以下である。また、セカンダリ層13の厚さは、通常5μm以上50μm以下である。また、被覆光ファイバ10の直径(すなわち、セカンダリ層13の外径)は、通常245μm以上255μm以下である。
【0022】
本実施形態に係る光ファイバ用被覆材料は、被覆層14の被覆材料として用いられ、被覆層14を構成する少なくとも一層が本実施形態に係る光ファイバ用被覆材料からなる。本実施形態に係る光ファイバ用被覆材料は、好適には、例えば、プライマリ層12の被覆材料、単層からなる被覆層14等のガラス光ファイバ11と接触する被覆層の被覆材料として用いられる。以下、本実施形態に係る光ファイバ用被覆材料として、被覆層14の被覆材料について詳述する。「被覆層14の被覆材料」とは、被覆層14がプライマリ層12及びセカンダリ層13を含む場合におけるプライマリ層12の被覆材料を意味することができ、また、被覆層14が単層からなる場合における当該被覆層14の被覆材料を意味することができる。
【0023】
被覆層14の被覆材料は、紫外線硬化型樹脂を含む。光ファイバ用被覆材料に含まれる紫外線硬化型樹脂は、光によって重合可能なものであれば特に限定されるものではない。紫外線硬化型樹脂は、例えば光ラジカル重合などにより重合可能なものである。紫外線硬化型樹脂は、例えば、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートのようなウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの紫外線で重合及び硬化するエチレン性不飽和基などの重合性不飽和基を有する紫外線硬化型樹脂であり、重合性不飽和基を少なくとも2つ有するものであることが好ましい。紫外線硬化型樹脂における重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合を有する基、プロパルギル基などの不飽和三重結合を有する基などが挙げられる。これらの中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基が重合性の面で好ましい。紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射により重合を開始して硬化するモノマー、オリゴマー又はポリマーでありうるが、好ましくはオリゴマーである。なお、オリゴマーとは、重合度が2~100の重合体である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。
【0024】
ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートとは、ポリエーテル骨格を有するポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、の反応物のように、ポリエーテルセグメント、(メタ)アクリレート及びウレタン結合を有する化合物である。また、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートとは、ポリエステル骨格を有するポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物のように、ポリエステルセグメント、(メタ)アクリレート及びウレタン結合を有する化合物である。
【0025】
さらに、紫外線硬化樹脂は、オリゴマー及び光重合開始剤に加えて、例えば希釈モノマー、光増感剤、連鎖移動剤及び各種添加剤を含んでもよい。希釈モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレートが用いられる。ここで、希釈モノマーとは、紫外線硬化樹脂を希釈するためのモノマーを意味する。
【0026】
希釈モノマーとしての単官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレートには、以下のものを挙げることができる。例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレートなどのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の多官能(メタ)アクリレート;前記(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0027】
上記希釈モノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。希釈モノマーの添加量は、得られる塗膜である被覆層14の耐摩耗性を考慮して、オリゴマー100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、10~70質量部であることがより好ましい。
【0028】
また、被覆層14の被覆材料は、加水分解及び脱水縮合によりガラス光ファイバ11の表面と相互作用するシランカップリング剤、及びエネルギーの付与によりルイス酸やブレンステッド酸などの酸を発生する酸発生剤を含む。酸発生剤から発生した酸により、シランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合が促進され、被覆層14に含まれる樹脂とガラス光ファイバ11との間の密着力が向上する。
【0029】
エネルギーの付与により酸を発生する酸発生剤は、具体的には、光の照射によって酸を発生する光酸発生剤、熱によって酸を発生する熱酸発生剤である。被覆層14の被覆材料は、光酸発生剤及び熱酸発生剤の少なくとも一方を含む。被覆層14の被覆材料は、光酸発生剤及び熱酸発生剤の両方を含むこともできる。以下、被覆層14の被覆材料に含まれる光酸発生剤及び熱酸発生剤について順次説明する。
【0030】
[光酸発生剤]
光酸発生剤は、照射された光(通常は紫外線)を吸収し、次いで分解して、溶媒又は光酸発生剤自身から水素を引き抜くことで、酸を発生する。光酸発生剤が吸収する光は、光酸発生剤の種類によって異なるが、例えば約10nm以上405nm以下の波長領域の紫外線である。被覆層14の被覆材料に含まれる紫外線硬化型樹脂を硬化させる光の波長領域と、光酸発生剤に酸を発生させる光の波長領域との少なくとも一部が重複していることが好ましい。これにより、一種類の光源からの光によって紫外線硬化型樹脂の硬化と光酸発生剤による酸の発生とを同時に行うことができる。
【0031】
被覆層14の被覆材料に使用できる光酸発生剤は、光の照射によって酸を発生するものであれば特に限定されない。光酸発生剤は、オニウム塩系光酸発生剤と非イオン性光酸発生剤とに大別できる。本実施形態ではオニウム塩系光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤の少なくとも一方が用いられるが、それ以外の種類の光酸発生剤が用いられてもよい。
【0032】
被覆層14の被覆材料に使用できるオニウム塩系光酸発生剤としては、特に限定されないが、例えば、有機スルホニウム塩化合物、有機ヨードニウム塩化合物、有機オキソニウム塩化合物、有機アンモニウム塩化合物、有機ホスホニウム塩化合物であって、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ヘキサクロロアンチモネートアニオン、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン、又はフルオロスルフォン酸イオンなどのカウンターアニオンを有するものが挙げられる。カウンターアニオンは、具体的には、例えば、B(C 、SbF 、SbF 、AsF 、PF 、BF 、CFSO などである。これらは1種のみで用いられてよく、あるいは2種以上を混合して用いられてよい。
【0033】
オニウム塩系光酸発生剤の市販品としては、例えば、IRGACURE(登録商標、以下省略) 250、IRGACURE 270、IRGACURE PAG 290、GSID26-1(以上、BASF社製、商品名)、WPI-113、WPI-116、WPI-169、WPI-170、WPI-124、WPAG-336、WPAG-367、WPAG-370、WPAG-469、WPAG-638(以上、和光純薬工業株式会社製、商品名)、B2380、B2381、C1390、D2238、D2248、D2253、I0591、N1066、T1608、T1609、T2041、T2042(以上、東京化成工業株式会社製、商品名)、CPI-100、CPI-100P、CPI-101A、CPI-200K、CPI-210S、IK-1、IK-2、CPI-310B、CPI-410S(以上、サンアプロ株式会社製、商品名)、SP-056、SP-066、SP-130、SP-140、SP-150、SP-170、SP-171、SP-172(以上、ADEKA株式会社製、商品名)、CD-1010、CD-1011、CD-1012(以上、サートマー社製、商品名)、PI2074(ローディアジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0034】
被覆層14の被覆材料に使用できる非イオン性光酸発生剤としては、特に限定されないが、例えば、フェナシルスルホン型光酸発生剤、o-ニトロベンジルエステル型光酸発生剤、イミノスルホナート型光酸発生剤、N-ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル型光酸発生剤などが挙げられる。これらは1種のみで用いられてよく、あるいは2種以上を混合して用いられてもよい。非イオン性光酸発生剤の具体的な化合物としては、例えば、スルホニルジアゾメタン、オキシムスルホネート、イミドスルホネート、2-ニトロベンジルスルホネート、ジスルホン、ピロガロールスルホネート、p-ニトロベンジル-9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネート、N-スルホニル-フェニルスルホンアミド、トリフルオロメタンスルフォン酸-1,8-ナフタルイミド、ノナフルオロブタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド、パーフルオロオクタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド、ノナフルオロブタンスルホン酸-1,3,6-トリオキソ-3,6-ジヒドロ-1H-11-チア-アザシクロペンタアントラセン-2-イルエステル、ノナフルオロブタンスルホン酸-8-イソプロピル-1,3,6-トリオキソ-3,6-ジヒドロ-1H-11-チア-2-アザシクロペンタアントラセン-2-イルエステル、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸ナトリウム、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸ナトリウム、1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸ナトリウム、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸カリウム、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸カリウム、1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸カリウム、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸メチル、1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸メチルなどが挙げられる。
【0035】
非イオン性光酸発生剤の市販品としては、例えば、WPAG-145、WPAG-149、WPAG-170、WPAG-199(以上、和光純薬工業株式会社製、商品名)、D2963、F0362、M1209、M1245(以上、東京化成工業株式会社製、商品名)、SP-082、SP-103、SP-601、SP-606(以上、ADEKA株式会社製、商品名)、SIN-11(株式会社三宝化学研究所製、商品名)、NT-1TF(サンアプロ株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0036】
[熱酸発生剤]
熱酸発生剤は、熱潜在性カチオン開始剤としてエポキシ樹脂の熱硬化などに使用され、所定の温度以上に加熱されると分解し、酸を発生する。本実施形態で用いる熱酸発生剤の酸発生温度(分解温度)は、熱酸発生剤の種類によって異なるが、被覆光ファイバ10への影響を低減するために、60℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上150℃以下であることが特に好ましい。
【0037】
被覆層14の被覆材料に使用できる熱酸発生剤は、熱分解によって酸を発生するものであれば特に限定されない。例えば熱酸発生剤として、カチオン成分とアニオン成分とが対になった有機オニウム塩化合物などのオニウム塩系熱酸発生剤が用いられる。熱酸発生剤のカチオン成分としては、例えば、有機スルホニウム塩化合物、有機オキソニウム塩化合物、有機アンモニウム塩化合物、有機ホスホニウム塩化合物、有機ヨードニウム塩化合物などの各種オニウム塩系化合物などが挙げられる。また、熱酸発生剤のアニオン成分としては、例えば、B(C 、SbF 、SbF 、AsF 、PF 、BF 、CFSO などが挙げられる。また、例えば、アルミニウムキレート錯体、鉄-アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール-アルミニウム錯体などの有機金属錯体、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤なども熱酸発生剤として機能する。これらは1種のみで用いられてよく、あるいは2種以上を混合して用いられてよい。
【0038】
熱酸発生剤の市販品としては、例えば、K-PURE(登録商標、以下省略) CXC-1612、K-PURE CXC-1613、K-PURE CXC-1614、K-PURE CXC-1738、K-PURE CXC-2700、K-PURE TAG-2689、K-PURE TAG-2681、K-PURE TAG-2685、K-PURE TAG-2690、K-PURE TAG-2712、K-PURE TAG-2713(以上、KING INDUSTRIES社製、商品名)、サンエイドSI-45L、サンエイドSI-60L、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L、サンエイドSI-110L、サンエイドSI-150L、サンエイドSI-300、サンエイドSI-360、サンエイドSI-B2A、サンエイドSI-B3A、サンエイドSI-B3、サンエイドSI-B4、サンエイドSI-B5、サンエイドSI-B7(以上、三新化学工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0039】
上述したエネルギーの付与により酸を発生する酸発生剤である光酸発生剤及び熱酸発生剤の添加量は、それぞれ以下のように設定することができる。
【0040】
光酸発生剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に対して好ましくは0.01wt%以上、より好ましくは0.1wt%以上である。これよりも光酸発生剤が少ない場合には、光酸発生剤から発生する酸の量が少ないためにシランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応の進行速度が低下し、被覆層14とガラス光ファイバ11との間の密着性発現に時間を要する。なお、「wt%」とは、重量パーセント濃度を示している(以下、同じ)。
【0041】
また、光酸発生剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に含まれる後述の光重合開始剤の添加量以下であることが好ましく、光重合開始剤の添加量よりも少ないことがより好ましい。光酸発生剤を光重合開始剤よりも多く添加する場合には、同じく紫外線を吸収してラジカル種を発生する光重合開始剤の反応を阻害するため、被覆層14の硬化性が低下して弾性率が低下するおそれがある。具体的には、光酸発生剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に対して好ましくは10wt%以下、より好ましくは5wt%以下である。このような添加量で光酸発生剤を添加することにより、光重合開始剤を十分に反応させることができ、プライマリ層12について十分な硬化性を得ることができる。なお、プライマリ層12の十分な硬化性とは、被覆光ファイバ10が特性及び機能を保持するために、プライマリ層12が硬化後に0.2MPa以上3.0MPa以下のヤング率、好ましくは0.3MPa以上1.5MPa以下のヤング率を有する状態をいう。
【0042】
熱酸発生剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に対して好ましくは0.01wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.1wt%以上5wt%以下である。この範囲よりも少ないと発生する酸の量が少ないためシランカップリング剤の加水分解及び重縮合反応の促進効果が低く、被覆層14(プライマリ層12)とガラス光ファイバ11との間の密着性発現に時間を要する。この範囲よりも多いと被覆材料の保存安定性が低下するおそれがある。
【0043】
上述した光酸発生剤及び熱酸発生剤は、互いに併用してもよい。過剰の光酸発生剤の添加は、同じく紫外線を吸収しラジカル種を発生する後述の光重合開始剤の反応を阻害する場合がある。そこで、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用することにより、光重合開始剤の反応の阻害を抑制しつつ、光酸発生剤の効果を補填することができる。
【0044】
なお、被覆層14の被覆材料における酸発生剤の添加量は、光重合開始剤の添加量以下であることが好ましく、光重合開始剤の添加量よりも少ないことがより好ましい。なお、ここにいう酸発生剤の添加量とは、光酸発生剤及び熱酸発生剤のうちの光酸発生剤を単独で添加する場合の光酸発生剤の添加量、及び光酸発生剤及び熱酸発生剤のうちの熱酸発生剤を単独で添加する場合の熱酸発生剤の添加量を意味する。さらに、ここにいう酸発生剤の添加量とは、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用する場合の光酸発生剤及び熱酸発生剤の添加量の総量を意味する。光酸発生剤の単独での添加量については、上述のとおりである。熱酸発生剤の単独での添加量については、保管中に酸が発生しシランカップリング剤の重縮合反応を促進して被覆材料の長期保存安定性を低下させるおそれがあるためである。また、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用する場合は、これら光酸発生剤及び熱酸発生剤の光重合開始剤に対する影響を低減するため、光酸発生剤及び熱酸発生剤の添加量の総量を光重合開始剤の添加量以下とすることが好ましい。
【0045】
本実施形態では、被覆層14の被覆材料に光酸発生剤及び熱酸発生剤の少なくとも一方を添加するため、光ファイバの製造時に光及び熱の少なくとも一方を加えることによってシランカップリング剤の反応を促進させることができる。さらに、発生した酸により、エポキシ化合物のエポキシ基の反応を進行させることができる。光及び熱を加えていない状態では光酸発生剤及び熱酸発生剤から酸がほとんど発生しないため被覆材料の取り扱いが容易である。
【0046】
熱酸発生剤は、紫外線硬化型樹脂の硬化時の光源からの熱や樹脂自身の反応熱により、特別な工程を追加する必要なく酸を発生しうる。また、熱酸発生剤から酸を発生させるための加熱工程を別途設定してよい。その場合は、後述の加熱エージングのように、紫外線硬化型樹脂の硬化後に光ファイバ心線を加熱する装置を紫外線照射装置の後ろに設置したり、製造後に光ファイバ心線を恒温槽に入れたりして加熱エージングを行う。これにより、被覆層14とガラス光ファイバ11との間の密着性の向上を加速できる。
【0047】
加熱による紫外線硬化型樹脂への影響を低減する点から、熱酸発生剤の酸発生温度(分解温度)は、上述のように、60~200℃が好ましく、80~150℃が特に好ましい。
【0048】
なお、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用する場合であっても、光酸発生剤及び熱酸発生剤は、それぞれ上述した範囲の添加量で添加することができる。ただし、過剰な熱酸発生剤の添加は、発生した酸によりシランカップリング剤の単独重合を促進し紫外線硬化型樹脂の保存安定性を損ねる場合がある。このため、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用する場合は、熱酸発生剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に対して10wt%以下であることが好ましく、光酸発生剤の添加量よりも少ないことがより好ましい。
【0049】
[エポキシ化合物]
また、被覆層14の被覆材料は、酸触媒反応を行うエポキシ基を有する化合物であるエポキシ化合物を含む。エポキシ化合物では、光酸発生剤又は熱酸発生剤から発生した酸を触媒としたエポキシ基の開環反応が起こり、水酸基が生成される。エポキシ基の開環反応により生成された水酸基は、例えば、ガラス光ファイバ11の表面の水酸基と共有結合や水素結合を形成して、ガラス光ファイバ11の表面と相互作用する。その結果、被覆層14(プライマリ層12)に含まれる樹脂とガラス光ファイバ11との間の密着力が向上する。
【0050】
エポキシ化合物は、酸触媒により反応を行うエポキシ基とは別に、紫外線硬化型樹脂と反応又は相互作用する化学構造、官能基を有する化合物であることが好ましい。例えば、エポキシ化合物は、ラジカル重合反応やエン-チオール反応によって紫外線硬化型樹脂中に取り込まれる化合物であることが好ましい。
【0051】
また、エポキシ化合物は、光重合性官能基を有し、紫外線の照射によって光重合開始剤から発生したラジカルによりラジカル重合する化合物であることが好ましい。光重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、スチリル基、無水マレイン酸残基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方又は両方を意味する。
【0052】
エポキシ化合物は、光重合性官能基を有することで、ラジカル重合により前記の紫外線硬化型樹脂のオリゴマーと反応してポリマー鎖に取り込まれる。これにより、光酸発生剤から発生した酸によるエポキシ化合物のエポキシ基同士の反応が、例えば立体障害などで抑制され、その結果、エポキシ基に由来する水酸基とガラス光ファイバ11の表面との相互作用が優先的に起こる。
【0053】
エポキシ化合物としては、特に限定されないが、エポキシ基と光重合性官能基とを有する化合物であることが好ましく、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4-メチル-4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5-メチル-5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、N-(3,5-ジメチル-4-グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6-トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6-トリグリシジルオキシメチルスチレンなどが挙げられる。
【0054】
また、エポキシ化合物としては、モノマーのみならず、相溶性を損なわない範囲でポリマーやオリゴマーを用いてもよい。このようなポリマーやオリゴマーとしては、例えば、光重合性官能基を有するエポキシ基化合物のモノマーと各種ビニルモノマーとの共重体が挙げられ、具体的には、市販品として、例えば、マープルーフG-0115S、マープルーフG-0130S、マープルーフG-0250S、マープルーフG-0150M、マープルーフG-1005S、マープルーフG01010S、マープルーフG-1005SA、マープルーフG-01100(以上、日油株式会社製、商品名)、ARUFON UG-4010、ARUFON UG-4035、ARUFON UG-4040、ARUFON UG-4070(以上、東亞合成株式会社製、商品名)、エポフレンドAT501、エポフレンドCT310(以上、株式会社ダイセル製、商品名)などが挙げられる。
【0055】
エポキシ化合物の添加量は、被覆層14の被覆材料に対してエポキシ基濃度が0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下となる量であることが好ましく、エポキシ基濃度が0.2mmol/g以上2.5mmol/g以下となる量であることがより好ましい。この範囲よりもエポキシ化合物の添加量が少ない場合には、エポキシ基の酸触媒反応量が少なく被覆層14とガラス光ファイバ11との間の密着性が低下したり、密着性の発現に時間を要したりする。この範囲よりもエポキシ化合物の添加量が多い場合には、エポキシ基同士の反応が懸念され、紫外線硬化型樹脂の反応性が低下する可能性や、設計どおりの重合性が得られない可能性がある。なお、本明細書において、「エポキシ基濃度」とは、エポキシ化合物が有するエポキシ基のmmol(ミリモル)数を、被覆材料樹脂組成物のグラム(g)数で除した値を意味する。
【0056】
エポキシ化合物の添加量は、被覆層14の被覆材料に対してエポキシ基濃度が上記範囲となるように決定されうるものである。具体的には、エポキシ化合物の添加量は、被覆層14の被覆材料100wt%に対して0.5wt%以上80wt%以下であることが好ましく、1.0wt%以上20wt%以下であることがより好ましい。エポキシ化合物の添加量は、目的とする被覆層14の物性に応じて調整することができる。この範囲よりもエポキシ化合物の添加量が少ない場合には、エポキシ基の開環反応により生成される水酸基量が少なくなるため、被覆層14とガラス光ファイバ11との間の密着性の発現に時間を要する。この範囲よりもエポキシ化合物の添加量が多い場合にはエポキシ基同士の反応が懸念される。
【0057】
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤としては、本発明の効果の妨げにならないものであれば、公知公用のものを含め任意のものを用いることができる。シランカップリング剤の添加量は、実験等によって適宜決定される。シランカップリング剤の具体的な化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0058】
シランカップリング剤の添加量は、被覆層14に対して0.1wt%以上10wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以上5.0wt%以下であることがより好ましい。上記範囲であると、ガラス光ファイバ11と被覆層14との密着力が十分となり、且つ被覆材の保存安定性に優れる。
【0059】
さらに、被覆層14の被覆材料は、希釈モノマー、光重合開始剤、光増感剤、連鎖移動剤及び各種添加剤を含んでもよい。希釈モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレートが用いられる。希釈モノマーとは、紫外線硬化型樹脂を希釈するためのモノマーである。
【0060】
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、紫外線照射装置から発せられる波長領域の光を吸収し、ラジカルを発生することによって紫外線硬化型樹脂に重合を開始させる。光重合開始剤の種類は、特に限定されず、適切に選択することができる。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルケタール系光重合開始剤、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α-アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族ケトエステル系光重合開始剤、安息香酸エステル系光重合開始剤などを用いることができる。
【0061】
ベンジルケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。
【0062】
α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンが挙げられる。
【0063】
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-2-モルフォリノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-エチルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ブチルフェニル)-2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ジメチルアミノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォルニル)フェニル]-1-ブタノンが挙げられる。
【0064】
アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0065】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルブタン-1,2-ジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパン-1,2,3-トリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1-[4-[4-(カルボキシフェニル)チオ]フェニル]プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチル)オキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチル)オキシム、1-[9-エチル-6-[2-メチル-4-[1-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルオキシ]ベンゾイル]-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチル)オキシムが挙げられる。
【0066】
アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、1,7-ビス(アクリジン-9-イル)-n-ヘプタンが挙げられる。
【0067】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、ジベンジルケトン、フルオレノンが挙げられる。
【0068】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,3-ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、4-アジドベンザルアセトフェノンが挙げられる。
【0069】
芳香族ケトエステル系光重合開始剤としては、例えば、2-フェニル-2-オキシ酢酸メチルが挙げられる。
【0070】
安息香酸エステル系光重合開始剤としては、例えば、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(2-エチル)ヘキシル、4-ジエチルアミノ安息香酸エチル、2-ベンゾイル安息香酸メチルが挙げられる。
【0071】
光重合開始剤の市販品としては、IRGACURE(登録商標、以下省略)651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379、IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、IRGACURE MBF、IRGACURE 754(以上、BASF社製、商品名)、アデカアークルズ(登録商標)NCI-831(株式会社ADEKA製、商品名)などが挙げられる。
【0072】
光重合開始剤の添加量は、実験等によって適宜決定しうるが、被覆層14の被覆材料に対して0.01wt%以上10wt%以下であることが好ましく、0.1wt%以上8wt%以下であることがより好ましい。光重合開始剤の添加量が過小である場合には、得られる樹脂組成物のラジカル重合の反応速度、すなわち硬化速度が低くなって硬化に時間を要したり、硬化特性が低下したりする傾向がある。一方、光重合開始剤の添加量が過大である場合には、過剰量の光重合開始剤が樹脂層の深部硬化性を低下させることがある。
【0073】
[光増感剤]
光増感剤は、光酸発生剤の感光性を向上させる目的で被覆層14の被覆材料に添加される。光増感剤は、光酸発生剤とは異なる波長領域の光を吸収するものであることが好ましい。光増感剤は、光酸発生剤では吸収できない波長領域の光を吸収することによって、光酸発生剤の感光性を向上させる。そのため、光増感剤の吸収波長域と光酸発生剤の吸収波長域とは異なっており、それらの重なりが少ないほど好ましい。
【0074】
光増感剤の添加量は、被覆層14の被覆材料に対して0.1wt%以上10wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。光増感剤の添加量が0.1wt%以上であると、所望の感度が得やすく、また、10wt%以下であると、被膜の透明性を確保しやすい。
【0075】
被覆層14の被覆材料に使用できる光増感剤としては、特に限定されないが、例えば、アントラセン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾイン誘導体などが挙げられる。
【0076】
光増感剤の具体的な化合物としては、特に限定されないが、例えば、9,10-ジアルコキシアントラセン、2-アルキルチオキサントン、2,4-ジアルキルチオキサントン、2-アルキルアントラキノン、2,4-ジアルキルアントラキノン、p,p′-ジアミノベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-アルコキシベンゾフェノン、ベンゾインエ-テル、アントロン、アントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9-エトキシアントラセン、ピレン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンゾイル安息香酸ブチル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン-i-ブチルエーテル、9-フルオレノン、アセトフェノン、p,p′-テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p′-テトラエチルアミノベンゾフェノン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、フェノチアジン、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン-T、2-ニトロフルオレン、5-ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2-クロロ-4-ニトロアニリン、N-アセチル-p-ニトロアニリン、p-ニトロアニリン、N-アセチル-4-ニトロ-1-ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、3-メチル-1,3-ジアザ-1,9-ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2-ナフトキノン、3,3′-カルボニル-ビス(5,7-ジメトキシカルボニルクマリン)、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンなどが挙げられる。これらは1種のみで用いられてよく、あるいは2種以上を混合して用いられてよい。
【0077】
上述した酸発生剤から発生した酸によるシランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合や、エポキシ基の酸触媒反応は、熱により促進される。そこで、後述するように、樹脂硬化後に被覆光ファイバ又は光ファイバ心線を加熱する加熱装置を紫外線照射装置の後段に設置してその加熱装置により加熱エージングを行うことができる。また、製造後に光ファイバ心線を恒温槽にいれて加熱エージングを行ったりすることができる。これにより、被覆層14とガラス光ファイバ11との間の密着性の向上を加速することができる。
【0078】
図2は、本実施形態に係る被覆光ファイバ10の製造方法に用いる製造装置20の模式図である。光ファイバ母材21は、例えば石英系のガラスからなり、VAD法、OVD法、MCVD法など周知の方法で製造される。光ファイバ母材21の端部は、光ファイバ母材21の周囲に配置された加熱装置であるヒータ22によって加熱されて溶融し、線引きされてガラス光ファイバ23(すなわち、図1のガラス光ファイバ11)が引き出される。
【0079】
ヒータ22の下方には、ガラス光ファイバ23の外周に紫外線硬化型樹脂を塗布する樹脂塗布装置24(ダイス)が設けられる。樹脂塗布装置24には、プライマリ層12用の被覆材料(プライマリ層材料ともいう)とセカンダリ層13用の被覆材料(セカンダリ層材料ともいう)とが別々に保持される。ここで、少なくともプライマリ層材料は、上述のシランカップリング剤、光酸発生剤及び熱酸発生剤の少なくとも一方及びエポキシ化合物を含む本実施形態に係る光ファイバ用被覆材料である。セカンダリ層材料は上述の構成に限られず、例えばシランカップリング剤、光酸発生剤、熱酸発生剤及びエポキシ化合物を含まなくてよい。光ファイバ母材21から引き出されたガラス光ファイバ23には、樹脂塗布装置24によってプライマリ層材料とセカンダリ層材料とが一括して塗布される。
【0080】
樹脂塗布装置24の下方には、プライマリ層材料及びセカンダリ層材料が被覆されたガラス光ファイバ25に対して紫外線を照射する紫外線照射装置26が設けられる。紫外線照射装置26は、半導体発光素子、水銀ランプなどの任意の紫外線光源を備える。樹脂塗布装置24によって紫外線硬化型樹脂が塗布されたガラス光ファイバ25は、紫外線照射装置26に入り、紫外線が照射される。その結果、ガラス光ファイバ25の外周に被覆された2層の紫外線硬化型樹脂は硬化され、該2層の紫外線硬化型樹脂はプライマリ層12及びセカンダリ層13になる。
【0081】
本実施形態では、被覆層14(特にプライマリ層12)に用いる被覆材料が、光酸発生剤及び熱酸発生剤の少なくとも一方を含む。被覆材料が光酸発生剤を含む場合、紫外線照射装置26による紫外線照射により、被覆材料に含まれる光酸発生剤から酸を発生させる。被覆材料が熱酸発生剤を含む場合、紫外線照射装置26に含まれる光源からの熱や樹脂自身の反応熱により、被覆材料に含まれる熱酸発生剤から酸を発生させる。熱酸発生剤の種類に応じてより高い温度が必要な場合には、紫外線照射装置26内にヒータなどの熱源を設け、紫外線照射と同時に加熱を行ってもよい。
【0082】
外周にプライマリ層12とセカンダリ層13が形成されたガラス光ファイバ(すなわち、被覆光ファイバ10)は、ガイドローラ27にガイドされ、巻取り装置28に巻き取られる。
【0083】
本実施形態に係る被覆光ファイバ10の製造方法は、プライマリ層12及びセカンダリ層13を1つのダイスで塗布して硬化させるWet-On-Wet法を用いているが、プライマリ層12及びセカンダリ層13を別々のダイスで塗布して硬化させるWet-On-Dry法を用いてもよい。
【0084】
図3は、本実施形態に係る被覆光ファイバ10の製造方法のフローチャートを示す図である。まず、ユーザは製造装置20に光ファイバ母材21を設置する(ステップS11)。次に、ヒータ22は光ファイバ母材21を加熱し、ガラス光ファイバ23の線引きを開始する(ステップS12)。
【0085】
樹脂塗布装置24は、線引きされたガラス光ファイバ23にプライマリ層材料を被覆し(ステップS13)、次いでセカンダリ層材料を被覆する(ステップS14)。紫外線照射装置26は、プライマリ層材料及びセカンダリ層材料が被覆されたガラス光ファイバ25に対して紫外線を照射するとともに、加熱を行う(ステップS15)。紫外線の照射によって、プライマリ層材料及びセカンダリ層材料が硬化し、プライマリ層12とセカンダリ層13を備える被覆光ファイバ10が形成される。
【0086】
紫外線照射装置26による紫外線照射により、被覆材料に含まれる光酸発生剤から酸が発生し、また、紫外線照射装置26に含まれる光源からの熱や樹脂自身の反応熱によって被覆材料に含まれる熱酸発生剤から酸が発生する。すなわち、本実施形態では、紫外線照射装置26により紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂を硬化させる工程が、光酸発生剤から酸を発生させ、また、熱酸発生剤から酸を発生させる工程としても機能している。こうして、光酸発生剤又は熱酸発生剤から発生した酸により、シランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合が促進されるとともに、エポキシ化合物のエポキシ基の開環反応が進行する。このように、本実施形態では、加熱工程が紫外線照射工程に含まれている。
【0087】
本実施形態に係る被覆光ファイバ10の被覆層14(特にプライマリ層12)に用いる被覆材料は、光酸発生剤及び熱酸発生剤の少なくとも一方を含む。被覆材料が光酸発生剤を含む場合、光酸発生剤は紫外線照射によって初めて酸を発生するため、被覆材料の紫外線硬化と同時に酸が発生する。被覆材料が熱酸発生剤を含む場合、熱酸発生剤は加熱によって初めて酸を発生するため、被覆材料の紫外線硬化時の反応熱や紫外線照射後の加熱により酸が発生する。発生した酸によってシランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応の進行が促進される。加えて、発生した酸が触媒となり、エポキシ化合物のエポキシ基の開環反応により水酸基が生成し、生成した水酸基がガラス光ファイバ11の表面と相互作用する。これらの結果、ガラス光ファイバ11と被覆層14との高い密着性が得られる。
【0088】
また、光酸発生剤は、紫外線硬化型樹脂を硬化させるために紫外線照射装置26から照射される紫外線を吸収して分解することにより酸を発生する。このため、被覆材料が光酸発生剤を含む場合には、製造工程を追加したり変更したりする必要がない。また、熱酸発生剤は、紫外線照射装置26に含まれる光源からの熱や樹脂自身の反応熱により分解して酸を発生しうる。このため、被覆材料が熱酸発生剤を含む場合であっても、必ずしも製造工程を追加したり変更したりする必要がない。
【0089】
従来の光ファイバ心線において、浸水によって光損失が増すことが少なからず報告されている。光ファイバ心線が長期間浸水した場合、浸水により例えばガラス光ファイバ/プライマリ層界面の密着力が低下して部分的な剥離が生じ、それにより形成された空間に水が溜まってさらに剥離が拡大する。ガラス光ファイバ/プライマリ層界面に剥離が発生し、水が溜まるとガラス光ファイバに側圧を与えるため、マイクロベンドによる光損失増加が発生する。本実施形態に係る被覆光ファイバ10を用いた光ファイバ心線では、ガラス光ファイバ/プライマリ層界面の密着性が向上しているため、光ファイバ心線の浸水による光損失増加を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る被覆光ファイバ10ではガラス光ファイバ/プライマリ層界面の密着性が向上しているため、ガラス光ファイバ11の破断強度の耐久性(動疲労特性で表される)を長期間にわたって安定的に維持できる。
【0091】
シランカップリング剤の反応を促進するために被覆材料を予め酸性又は塩基性にするような構成では、保管時にシランカップリング剤の反応が自然と進行するという問題がある。それに対して、本実施形態に係る被覆材料では、暗所で保管すれば光酸発生剤からほとんど酸が発生しない。また、本実施形態に係る被覆材料では、冷暗所で保管すれば熱酸発生剤からほとんど酸が発生しない。このため、本実施形態に係る被覆材料は、保存安定性が良好である。
【0092】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では紫外線照射工程と加熱工程とが同一工程であったが、本実施形態では紫外線照射工程とは別の加熱工程を行う。加熱工程は、熱酸発生剤を分解して酸を発生させる。加熱工程は、被覆材料を加熱できればよく、ガラス光ファイバに紫外線樹脂を塗布する被覆工程から硬化のための紫外線照射工程の前後を含むいずれかのタイミングで行われる。例えば、被覆工程、加熱工程及び紫外線照射工程をこの順に行ってよく、それらの順番を入れ替えてよい。また、被覆工程、加熱工程及び紫外線照射工程の全部又は一部が繰り返されてもよい。また、被覆工程及び加熱工程を同時に行ってよく、あるいは加熱工程及び紫外線照射工程を同時に行ってよい。
【0093】
図4~6は、本実施形態に係る被覆光ファイバ10の製造方法に用いる製造装置20の模式図である。図4~6の製造装置20は、被覆材料を加熱する加熱装置29の位置が互いに異なる。
【0094】
図4の製造装置20では、第1の実施形態の構成に加えて、紫外線照射装置26の下方に筒状の加熱装置29が設けられる。加熱装置29は、紫外線照射装置26から紫外線が照射された後のガラス光ファイバ25が内部を通過する際に加熱を行う。
【0095】
図5の製造装置20では、第1の実施形態の構成に加えて、樹脂塗布装置24の側方を取り囲むように加熱装置29が設けられる。加熱装置29は樹脂塗布装置24のダイスを加熱することによって被覆材料を加熱し、樹脂塗布装置24は加熱された状態の被覆材料をガラス光ファイバ23に被覆する。
【0096】
図6の製造装置20では、第1の実施形態の構成に加えて、樹脂塗布装置24と紫外線照射装置26との間に筒状の加熱装置29が設けられる。加熱装置29は、樹脂塗布装置24によって被覆材料が被覆された後のガラス光ファイバ25が内部を通過する際に加熱を行う。
【0097】
図4~6の加熱装置29は、テープヒータ、リボンヒータ、ラバーヒータ、オーブンヒータ、セラミックヒータ、赤外線照射ユニット、紫外線照射ユニット、電熱線ヒータ、カーボンヒータ、ハロゲンヒータなどの任意の熱源を備える。加熱装置29による加熱温度は、被覆光ファイバ10へのダメージを抑制するために、60℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上150℃以下であることが特に好ましい。
【0098】
図7は、図4の製造装置20を用いた被覆光ファイバ10の製造方法のフローチャートを示す図である。ステップS11~S15は第1の実施形態と同様である。ステップS15において紫外線を照射した後、加熱装置29は、被覆光ファイバ10(すなわち被覆層14の被覆材料)を所定の温度で加熱する(ステップS16)。
【0099】
図5の製造装置20を用いる場合には、図7のフローチャートにおいて加熱工程(ステップS16)は被覆工程(ステップS13~S14)と同時に行われる。また、図6の製造装置20を用いる場合には、図7のフローチャートにおいて加熱工程(ステップS16)は被覆工程(ステップS13~S14)と紫外線照射工程(ステップS15)との間に行われる。本実施形態では被覆工程、紫外線照射工程及び加熱工程が一度ずつ行われているが、それらのうち少なくとも一部が2回以上繰り返されてもよい。
【0100】
本実施形態によれば、被覆材料が熱酸発生剤を含む場合において、紫外線照射工程の温度では熱酸発生剤の分解温度に達しないときであっても、加熱工程において被覆材料を熱酸発生剤の分解温度まで加熱して酸を発生させる。これにより、シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応を促進させるとともに、エポキシ化合物のエポキシ基の開環反応を進行させる。また、光酸発生剤や熱酸発生剤から発生した酸によるシランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合や、エポキシ基の酸触媒反応は、加熱工程において熱により促進される。こうして、本実施形態によれば、ガラス光ファイバ11と被覆層14との高い密着性を得ることができる。
【0101】
また、被覆光ファイバ10の製造後に加熱工程を行ってもよい。具体的には、第1の実施形態に係る製造方法により被覆光ファイバ10を製造した後に、被覆光ファイバ10を所定の温度に設定された恒温槽に入れることによって加熱を行ってよい。これにより、製造装置20を第1の実施形態から変更することなく、加熱による界面密着力の向上効果を得ることができる。
【0102】
(実施例)
1.被覆材料の配合
被覆材料の紫外線硬化型樹脂として、紫外線硬化型のポリエーテル系ウレタンアクリレート系樹脂を使用した。オリゴマー中のポリエーテル部分の分子量、希釈モノマー及び反応性モノマーの種類及び配合量を変えることによって、ヤング率が1.0MPaになるように調整した。光重合開始剤としてLucirin(登録商標)TPO(BASF社製、商品名)3.0wt%を使用し、シランカップリング剤としてKBM-5103(信越化学工業株式会社製、商品名)1.5wt%を使用した。
【0103】
被覆材料に添加する光酸発生剤として、4-イソブチルフェニル(4-メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート(BASF社製、商品名IRGACURE 250)を使用した。また、被覆材料に添加する熱酸発生剤として、1-ナフチルメチルメチル-p-ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(三新化学工業株式会社製、商品名サンエイドSI-60L、分解温度60℃)を使用した。IRGACURE 250の添加量は、単独で使用する場合は0.3wt%、SI-60Lと併用する場合は0.2wt%とした。一方、SI-60Lの添加量は、単独で使用する場合は0.3wt%、IRGACURE 250と併用する場合は0.1wt%とした。
【0104】
被覆材料に添加するエポキシ化合物として、グリシジルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)を使用した。
【0105】
各実施例及び比較例において、被覆材料に添加した酸発生剤の種類及び量は後述の表1のように様々に設定した。また、被覆材料に添加したエポキシ化合物の量は、エポキシ基濃度が表1に示す値になるように設定した。
【0106】
2.フィルムの作製
板状のガラス基材に各実施例及び比較例に係る被覆材料を100μmの厚さでスピンコートした。作製された試料をパージボックスに入れて窒素雰囲気にし、コンベヤ型紫外線照射装置にて積算光量500mJ/cm(測定波長365nm、無電極UVランプ、Dバルブ)になるように照度及び速度を調整して紫外線を照射した。これにより硬化された被覆材料を各実施例及び比較例に係るフィルムとした。
【0107】
3.ヤング率の測定
被覆材料の硬化性の判定のために、フィルムのヤング率(引張弾性率)を用いた。各実施例及び比較例に係るフィルムをガラス基材より剥がし、6mm幅に切断して短冊状にし、それの2.5%モジュラスをJIS K7161に準拠して測定した。
【0108】
4.ガラス密着力の測定
被覆材料とガラス基材との界面密着力の判定のために、ガラス密着力を用いた。各実施例及び比較例に係るフィルムを10mm幅に切り、常温にて50mm/minでガラス基材の表面から90°の方向に引っ張ってガラス基材より剥がした際の力をガラス密着力として測定した。測定は、フィルム作製から1日後、3日後、14日後の3条件で行った。
【0109】
各実施例及び比較例の条件及び測定結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
実施例1~6では、光酸発生剤とエポキシ化合物とを併用することにより、光酸発生剤及びエポキシ化合物の両者が添加されていない比較例1、並びにいずれか一方が添加されていない比較例2~3と比較して、ガラス密着力が向上することが確認された。さらに、実施例1~6では、エポキシ化合物の添加量の増加に伴いガラス密着力が増加する傾向にあることも確認された。
【0112】
また、実施例7~8では、光酸発生剤に代えて熱酸発生剤を添加しても、光酸発生剤を添加した場合と同様の効果が得られることが確認された。この場合、熱酸発生剤は、紫外線照射時の樹脂の反応熱と照射装置からの熱で酸を発生している。
【0113】
また、実施例9では、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用しても、いずれか一方を添加した場合と同様の効果が得られることが確認された。
【0114】
一方、比較例1では、酸発生剤及びエポキシ化合物のいずれも添加しないと、シランカップリング剤の作用によりある程度のガラス密着力が発現するものの、その発現までに時間が要することが確認された。
【0115】
また、比較例2では、光酸発生剤を添加すると、ガラス密着力発現が速くなり、比較例1と比較してガラス密着力が向上するが、エポキシ化合物をも添加した各実施例よりもガラス密着力が小さいことが確認された。
【0116】
また、比較例3では、エポキシ化合物だけ添加しても、ガラス密着力がみられないことが確認された。これは、酸のような触媒がなく、エポキシ基が反応しにくいためである。
【0117】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 被覆光ファイバ
11 ガラス光ファイバ
12 プライマリ層
13 セカンダリ層
14 被覆層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7