(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム粉末
(51)【国際特許分類】
C01B 21/072 20060101AFI20220826BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220826BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220826BHJP
C09K 5/14 20060101ALN20220826BHJP
【FI】
C01B21/072 G
C08L101/00
C08K3/013
C09K5/14 E
(21)【出願番号】P 2018223471
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 晃匡
(72)【発明者】
【氏名】金近 幸博
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/093488(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/131239(WO,A1)
【文献】特開平3-37106(JP,A)
【文献】特開平2-102109(JP,A)
【文献】特開平6-227868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/00
C08L
C08K
C09K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1~10μmの窒化アルミニウム粒子が相互に融着して形成された不定形の凝集体を含み、タップ嵩密度(ρ
t)が0.4g/cm
3以下であり、且つ、初期嵩密度(ρ
0)に対するタップ嵩密度(ρ
t)の比(ρ
t/ρ
0)が1を超え、1.2以下であることを特徴とする窒化アルミニウム粉末。
【請求項2】
前記窒化アルミニウム粉末に占める凝集体の割合が、走査型電子顕微鏡にて撮影された画像における面積割合で40%以上である請求項1に記載の窒化アルミニウム粉末。
【請求項3】
樹脂用フィラーである、請求項1又は2記載の窒化アルミニウム粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な窒化アルミニウム粉末を提供するものである。詳しくは、比較的小径の窒化アルミニウム粒子が相互に融着した不定形の凝集体を含むことにより、樹脂、特に液状樹脂に充填、硬化して得られる窒化アルミニウム-樹脂複合体に高い熱伝導性を付与することが可能な窒化アルミニウム粉末を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
放熱シートや放熱グリースとして各種電子機器に広く利用される放熱材料として、シリコーンゴムやシリコーングリースに、熱伝導性フィラーを充填した組成物が使用されている。上記熱伝導性フィラーとして、電気絶縁性に優れており且つ高熱伝導性を有していることから、窒化アルミニウムが注目されている。
【0003】
放熱材料の熱伝導率を向上させるには、高熱伝導性を有したフィラーを高充填することが重要であると考えられていた。そのため、放熱材料のフィラーとしての窒化アルミニウム粉末を構成する粒子としては、球状であり、数10~数100μm程度の幅広い粒径分布とすることにより細密な充填構造を採ることが好ましいとされている(特許文献1参照)。
【0004】
上記細密な充填構造を達成するために、比較的小径の窒化アルミニウム粒子を併用することが行われているが、上記混合物を均一に維持することは困難であり、混合物をホッパー等に投入時、ホッパーでの貯留時、樹脂への充填時更には充填後に小径粒子の偏りが発生することが懸念される。特に、樹脂が液状樹脂である場合、該樹脂への充填時あるには充填後に粒子の沈降性の差により、小径粒子の偏りが発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際出願番号 WO2011/093488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、小粒径の窒化アルミニウム粒子を含むにも拘わらず、大粒径の粒子との混合においても偏りが無く、樹脂、特に液状樹脂への充填において、高い熱伝導性の付与を可能とした窒化アルミニウム粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の製造方法によって比較的小径の窒化アルミニウム粒子が相互に融着して形成された不定形の凝集体を含む窒化アルミニウム粉末を得ることに成功し、かかる凝集体は、樹脂に充填した場合、窒化アルミニウム粒子の相互の融着により適度な強度を有し、且つ、粒子間に高い熱伝導パスを形成し、得られる成形体に高い熱伝導性を付与し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、平均粒子径が1~10μmの窒化アルミニウム粒子が相互に融着して形成された不定形の凝集体を含み、タップ嵩密度(ρt)が0.4g/cm3以下であり、且つ、初期嵩密度(ρ0)に対するタップ嵩密度(ρt)の比(ρt/ρ0)が1を超え、1.2以下であることを特徴とする窒化アルミニウム粉末が提供される。
【0009】
また、前記窒化アルミニウム粉末において、前記凝集体の占める割合は、走査型電子顕微鏡にて撮影された画像における面積割合で40%以上であることが好ましい。
【0010】
更に、本発明の窒化アルミニウム粉末は、樹脂用フィラーとして好適であり、特に、樹脂との混合時に高いシェアを必要としない液状樹脂との混合において前記小径粒子の融着部分を維持し、高い機能を発揮するため、窒化アルミニウム粉末に硬化性液状樹脂を含浸せしめた後、該硬化性液状樹脂を硬化させることにより窒化アルミニウム-樹脂複合体を製造する方法に適している。
【0011】
前記本発明の窒化アルミニウム粉末の好適な製造方法としては、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含み、上記硫黄成分が硫黄元素換算で、アルミナ粉末100質量部に対して20質量部を超える量で存在する原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で1500~2000℃の温度で加熱し、上記アルミナ粉末を還元窒化する方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の窒化アルミニウム粉末は、前記比較的小径の窒化アルミニウム粒子が相互に融着して強固に結合して形成された不定形の凝集体を含むことにより、樹脂、特に液状樹脂と混合するか、液状樹脂を含浸させることにより充填し、これを硬化して得られる窒化アルミニウム-樹脂複合体は、前記凝集体の窒化アルミニウム粒子の融着により形成された熱伝導パスと、凝集体同士の高い密着性により、これを充填した複合体に高い熱伝導性を付与することが可能である。
【0013】
また、本発明の窒化アルミニウム粉末が、前記凝集体と共に、窒化アルミニウム粒子を含む場合でも、凝集体は窒化アルミニウム粒子との界面において凝集状体を適度に維持しながら密着し、同様に複合体に高い熱伝導性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の代表的な窒化アルミニウム粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の窒化アルミニウム粉末は、平均粒子径が1~10μm、好ましくは、1~7μm、特に、1~4μmの比較的小径の窒化アルミニウム粒子が相互に融着して形成された不定形の凝集体を含むことを特徴とする。
【0016】
尚、本発明において、窒化アルミニウム粉末の平均粒子径は、500倍のSEM写真の画像より求めたものである。
【0017】
本発明において前記凝集体は、
図1に示される画像に示されるように、隣り合う窒化アルミニウムの粒子間で部分的に融着して凝集構造を形成していることが確認される。また、その凝集体の形状は不定形を成し、また、前記SEMで撮影された画像によれば、その大きさは約1000μm
2以上の様々な大きさのものが存在し、大きい凝集体は、90000μm
2にも達する場合がある。かかる大きい凝集体は、ネック部分が存在するものが多く、取り扱い時、或いは樹脂への配合においてその部分で壊れ易いが、凝集体の形態を維持する限り、本発明における不定形の凝集体として機能することができる。
【0018】
また、前記凝集体は、前記SEMで撮影された画像において、窒化アルミニウム粉末の全面積に対して、40%以上、好ましくは、50%以上、特に、60~95%の面積割合で存在することが好ましい。
【0019】
上記凝集粒子以外の窒化アルミニウム粒子としては、特に制限されるものではないが、後述の製造方法により得られる窒化アルミニウム粉末中には、平均粒子径10~80μm程度の窒化アルミニウム粒子が存在する場合が多い。また、上記窒化アルミニウム粒子以外の窒化アルミニウム粉末を更に混合することも可能であり、その場合には、平均粒子径が1~80μm程度の窒化アルミニウム粉末を前記凝集体の存在割合を満足する範囲で混合することが好ましい。
【0020】
更に、本発明の窒化アルミニウム粉末は、前記粒子の融着による比較的強い凝集体を含むことにより、タップ嵩密度(ρt)が0.4g/cm3以下と高い空隙を有し、また、初期嵩密度(ρ0)に対するタップ嵩密度(ρt)の比(ρt/ρ0)が1を超え、1.2以下とその変化が小さい。これらの値は不定形の形状による粒子の流動性の低さと粒子間の凝集が壊れ難いという特性に起因するものと推定される。
【0021】
それ故、本発明の窒化アルミニウム粉末は、樹脂と混合においても粒子間の高い接合強度により粒子の解砕が起こり難く、粒子間の熱伝導パスを高度に維持することが可能である。
【0022】
尚、本発明において、窒化アルミニウム粉末の初期嵩密度(ρ0)、タップ嵩密度(ρt)は、タップ嵩密度測定装置(セイシン企業株式会社製)を使用し測定した値である。
【0023】
本発明の窒化アルミニウム粉末は、前記凝集体を含むことにより、粉末中に空隙が形成されやすく、高い吸油量を示す。具体的には、50cc/100g以上、特に、70~200cc/100gの吸油量を達成することが可能である。
【0024】
本発明の窒化アルミニウム粒子は、前記したように、特徴的な凝集体を含むものであり、フィラーとしての用途において、樹脂との混合時に過度に強いシェアがかからないように行うことが、凝集粒子を維持するために好ましい。好適には、樹脂として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の液状の樹脂を使用して小さいシェアで混合して成形するか、或いは窒化アルミニウム粉末を型に充填して成形後、上記液状樹脂を含浸させ、上記樹脂を硬化させて成形体を得る方法が推奨される。勿論、メルトフローレートの高い熱可塑性樹脂に配合して混練し、成形することも可能である。
【0025】
(窒化アルミニウム粒子の製造方法)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は特に制限されないが、代表的な製造方法を例示すれば、以下の方法が挙げられる。
【0026】
即ち、本発明の窒化アルミニウム粉末は、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含み、上記硫黄成分が硫黄元素換算で、アルミナ粉末100質量部に対して20質量部を超える量で存在する原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で1500~2000℃の温度で加熱し、上記アルミナ粉末を還元窒化することにより製造することができる。
【0027】
以下、上記方法を詳細に説明する。
【0028】
(出発原料)
<アルミナ粉末>
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、原料の一成分であるアルミナは、α-アルミナ、γ-アルミナ等の公知のものが何等制限なく使用できるが、通常α-アルミナが好適に使用される。その純度は99.0質量%以上、好ましくは99.5質量%以上が好ましい。また、平均粒子径としては、0.5~10μmのものが好適である。基材となるアルミナは、顆粒状のものも制限なく使用できる。
【0029】
<カーボン粉末>
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元剤として作用するカーボン粉末は、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等の公知のものが何等制限なく使用できる。その平均粒子径は、100nm以下、好適には50nm以下のものを用いるのが好適である。また、そのBET比表面積は、窒素吸着法で20~200m2/g、好ましくは40m2/g以上が好適である。さらに、DBP吸油量が、50~150cm3/100g、好ましくは70~130cm3/100gのものが好適である。
【0030】
また、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂縮合物や、ピッチ、タール等の炭化水素化合物や、セルロース、ショ糖、でんぷん、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレン等の有機化合物などをカーボン源として利用してもよい。
【0031】
<硫黄成分>
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、硫黄成分としては、例えば、硫黄単体や、硫化アルミニウム、硫化窒素、チオ尿酸等の硫黄化合物を挙げることができる。また、上記硫黄成分は、単独で或いは複数のものを混合して使用してもよい。また、硫黄成分は、元々前記カーボン粉末に含まれる場合があり、かかる硫黄成分も、本発明の硫黄成分の一部として使用される。
【0032】
(原料混合工程)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、カーボン粉末の使用量は、前記基材となるアルミナ粉末を完全に還元窒化させることができる量であれば特に制限されないが、好適には前記アルミナ粉末100質量部に対して、好ましくは36~250質量部、より好ましくは50~200質量部の範囲とするのが好適である。
【0033】
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、前記遷移金属成分の使用量は、前記アルミナ粉末100質量部に対して、元素換算で、0.05~5質量部、好ましくは0.1~3質量部であることが好ましい。
【0034】
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、前記硫黄成分の使用量は、アルミナ粉末100質量部に対して20質量部を超える量、好ましくは、21~25質量部であることが、微細な一次粒子を生成せしめ、且つ、これらの粒子が一部融着した凝集体を生成するために好ましい。即ち、本発明の還元窒化反応において、上記範囲で使用される硫黄成分は融着材としても作用し、前記凝集体を生成するものと推定される。
【0035】
前記硫黄成分の使用量は、前記カーボン粉末に含まれる硫黄の量、及び原料混合物中に添加する硫黄粉末及び/又は硫黄化合物の量を勘案し、それらの量を適宜調整することにより硫黄成分の上記範囲を満足させることができる。前記カーボン粉末に含まれる硫黄の量を勘案して上記範囲を満足させる場合、上記範囲内になるようにカーボン粉末の使用量を調整してもよいし、硫黄含有量の多いカーボン粉末と硫黄含有量の少ないカーボン粉末とを使用し、上記範囲内になるようにこれらの混合割合を調整してもよい。
【0036】
本発明において、前記出発原料を混合し前記原料混合物を得る方法としては、前記出発原料を均一に混合することが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ドラムミキサー等の一般的な混合機を使用する方法が挙げられる。なお、前記出発原料を上記混合機に投入し混合する際、乾式により混合してもよいし、前記出発原料に溶媒を添加して湿式により混合してもよい。
【0037】
(還元窒化工程)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元窒化工程は、前記原料混合物を必要に応じて乾燥した後、窒素ガス雰囲気下で加熱することにより実施される。この場合、窒化温度、処理時間は、一般に窒化アルミニウムが得られる条件とすることができ、例えば、1500~2000℃の温度範囲で3~20時間である。
【0038】
本発明の還元窒化工程は、反応雰囲気制御の可能な公知の装置を使用して行うことができる。例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御型高温炉が挙げられ、バッチ炉の他、プッシャー式トンネル炉、竪型炉等の連続窒化反応炉も使用可能である。
【0039】
(酸化工程)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元窒化反応後の窒化アルミニウム粒子は余剰のカーボン粉末を含んでいるため、必要に応じて、酸化処理により余剰カーボン粉末を除去することが好ましい。酸化処理を行う際の酸化性ガスとしては、空気、酸素、二酸化炭素など、炭素を除去できるガスならば制限なく採用できる。また、処理温度は一般的に500℃~900℃が好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
尚、実施例において、各種測定は以下の方法により行った。
【0042】
(1)タップ嵩密度及び初期嵩密度
タップ嵩密度測定装置(セイシン企業株式会社製)を用い、初期嵩密度は、秤量した窒化アルミニウム粉末を100cm3セル中にフィーダーにて圧密せず投入した際の値から確認した。タップ嵩密度は、タップ高さ50mm、タップ回数500回に設定して得られた値から確認した。
【0043】
(2)SEM観察
倍率100倍のSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、TM3030)写真を撮影し、の窒化アルミニウム粒子が相互に融着して形成された不定形の凝集体の割合を面積割合から確認した。
【0044】
(3)成形体の熱伝導率
樹脂組成物を、試験片に成形し、熱拡散率、密度、及び比熱から、下記式に基づき求めた。
【0045】
熱伝導率=熱拡散率×密度×比熱
なお、熱拡散率は、レーザーフラッシュ法にて、密度は、アルキメデス法にて、また、比熱は、DSC法にてそれぞれ測定を行った。
【0046】
実施例1
アルミナ粉末100質量部及びカーボン粉末50質量部からなる混合物に、該混合物内の硫黄成分量が上記アルミナ粉末100質量部に対し22質量部となるように硫黄粉末を添加し、これらが均一に混合されるまで振動式攪拌機により混合し、原料混合物を得た。
【0047】
得られた原料混合物を、反応炉を用い、窒素ガス雰囲気において1750℃10時間の条件で還元窒化処理した。次いで大気雰囲気において670℃で加熱処理して未反応のカーボン粉末を燃焼除去して、窒化アルミニウム粉末を得た。
【0048】
尚、得られた窒化アルミニウム粉末は、粒子同士が相互に融着して形成された不定形凝集体を形成していることを確認した。また、得られた窒化アルミニウム粒子のSEM写真を
図1に示す。
【0049】
写真より確認できるように、得られた窒化アルミニウム粉末中の窒化アルミニウム凝集体は、平均粒子径2μmの粒子が凝集したものであり、視野範囲において、面積割合で60%であった。また、タップ嵩密度は、0.38g/cm3、タップ嵩密度の比(ρt/ρ0)は1.13であり、不定形粒子の流動性の低さと粒子間の凝集が壊れ難いことが確認できた。
【0050】
また、上記窒化アルミニウム粉末を、エポキシ樹脂100質量部に対して408質量部となるように配合し、硬化して得られた成形体の熱伝導率は、6.1W/m・Kであった。
【0051】
実施例2
実施例1の製造方法において、カーボン粉末質量部を38質量部に代えた以外は同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
【0052】
得られた窒化アルミニウム粉末中の窒化アルミニウム凝集体は、平均粒子径3μmの粒子が凝集したものであり、視野範囲において、面積割合で67%であった。また、タップ嵩密度は、0.33g/cm3、タップ嵩密度の比(ρt/ρ0)は1.06であった。
【0053】
また、上記窒化アルミニウム粉末を、エポキシ樹脂100質量部に対して408質量部となるように配合し、硬化して得られた成形体の熱伝導率は、6.5W/m・Kであった。
【0054】
比較例1
実施例1の原料混合物において、硫黄添加量を10質量部に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、窒化アルミニウム粉末を得た。
【0055】
得られた窒化アルミニウム粉末のSEM観察から、粒子同士が相互に融着して形成された不定形凝集体は面積割合で20%しか存在せず、タップ嵩密度の比(ρt/ρ0)は1.38であった。また、上記窒化アルミニウム粉末を、エポキシ樹脂100質量部に対して408質量部となるように配合し、硬化して得られた成形体の熱伝導率は、4.9W/m・Kであった。