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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
A61B6/00 300D
A61B6/00 300X
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019180016
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053188
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 晃一
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175872(JP,A)
【文献】特開昭62-183746(JP,A)
【文献】特開2008-245726(JP,A)
【文献】特開平10-225450(JP,A)
【文献】特開2004-073356(JP,A)
【文献】特表2012-525899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する照射部と、
前記照射部と、前記照射部から照射され被写体を透過した前記放射線を受ける受像部とを対向する姿勢で保持することが可能なアームと、
前記アームを支持する支持部と、
前記アームを支持部に対して変位させる変位機構と、
前記アームが変位する方向とは逆向きの摩擦力を前記アームに対して作用させる第1状態と、前記アームに作用させる前記摩擦力を前記第1状態よりも低減する第2状態に切り替え可能な摩擦機構とを備えており、
前記第1状態及び前記第2状態は、どちらも前記摩擦力に抗して前記アームを変位させる動作を許容する状態であり、
前記変位機構は、前記アームを回転させる回転機構であり、
前記アームには、前記受像部が着脱可能であり、
前記受像部が前記アームから取り外されているか否かを検知する着脱検知部と、
前記着脱検知部において、前記受像部が前記アームから取り外されていることを検知している場合は、前記摩擦機構を前記第1状態にし、かつ、前記受像部が前記アームに取り付けられていることを検知している場合は、前記摩擦機構を前記第2状態にする制御を行う制御部と、
を備えている、
放射線撮影装置。
【請求項2】
前記第1状態における前記摩擦力は、前記アームに取り付け可能な前記受像部の最大重量より大きい、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記回転機構による前記アームの回転をロックする電磁ブレーキを有する、請求項1または2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記アームの回転に伴って回転する回転軸を有しており、
前記摩擦機構は、摩擦軸と、前記摩擦軸に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部と、前記回転軸と前記摩擦軸との連結と非連結とを切り替えることにより、前記第1状態と前記第2状態とを切り替えるクラッチと、を備えている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記アームの回転に伴って回転する回転軸を有しており、
前記電磁ブレーキは、前記回転軸に連結されている、
請求項3又は請求項3を引用する請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記アームは、側面視で円弧形状とされており、
前記回転機構は、前記支持部に設けられ、前記円弧形状に沿って前記アームを移動可能に支持する軌道部と、前記アームの外周部に形成され、前記軌道部と嵌合する嵌合部と、前記回転軸としての第1回転軸と、を備える第1回転機構を含み、
前記アームは、前記軌道部に対して移動することにより、前記円弧形状の中心を回転中心とする軌道回転が可能である、
請求項4又は5に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記回転機構は、さらに、
一端が、前記アームの前記照射部が設けられる端部側に固定され、他端が、前記アームの前記受像部が設けられる端部側に固定されたベルトを有しており、
前記ベルトは、前記第1回転軸に巻き掛けられている、
請求項4を引用する請求項6に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記回転機構は、一端が前記アームに固定された前記回転軸としての第2回転軸と、前記支持部に設けられた軸受け部と、を備える第2回転機構を含み、
前記アームは、前記軸受け部に対して前記第2回転軸の軸回りに回転することにより、前記照射部と前記受像部の前記被写体に対する位置を反転させることが可能である、
請求項4~7のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記アームとは独立に設けられ、前記変位機構に対して前記アームを変位させる操作力を手動操作によって入力可能な操作ハンドルを有している、請求項1~8のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記摩擦力発生部は、摩擦面同士の接触により摩擦力を発生する複数の摩擦板と、前記摩擦板の摩擦面同士を押し付ける方向に付勢する付勢部と、を備えている、請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記付勢部は、複数の皿ばねと、複数の前記皿ばねの、前記摩擦軸における軸方向外側にそれぞれ配置された一対の緩衝板と、前記摩擦軸の軸方向の一端に設けられたナットと、を備え、
前記ナットの締め付け力を調整することにより、前記第1状態における摩擦力と、前記第2状態における摩擦力と、が調整される、請求項10に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記操作ハンドルは、前記支持部に支持されている、請求項9に記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
前記摩擦機構による前記第1状態と前記第2状態の切り替えを行う操作部を備えている、請求項1~12の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項14】
前記アームの変位操作は、手動操作のみによって可能である、請求項1~13の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項15】
前記アームとは独立に設けられ、前記変位機構に対して前記アームを変位させる操作力を手動操作によって入力可能な操作ハンドルを有している、請求項13又は14に記載の放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの端部を有し、放射線を照射する照射部(X線管)が一端に設けられ、照射部から照射された放射線を受ける受像部(受像装置)が他端に設けられたアームを持つ放射線撮影装置(X線装置)が知られている。このアームは、放射線撮影装置の本体部に対して回転自在に支持されており、アームが回転することによって照射部及び受像部が相対位置を保った状態で被写体の周囲で任意の姿勢にポジショニング可能とされている。また、特許文献1に記載の放射線撮影装置では、アームの回転操作を手動操作によって行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-070918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アームを手動操作する場合の操作力の負荷は、小さい方がよい場合と大きい方がよい場合がある。例えば、放射線撮影装置を手術の際に使用する場合を考えると、手術前のポジショニングの段階ではアームの操作力の負荷は小さい方がよいし、手術開始後においては人の接触などによってアームが不用意に回転しない方がよい。
【0005】
特に、照射部と受像部の両方を保持するアームの場合、照射部だけを保持するアームと比較して重量が重いため、手動操作による操作力の負荷を軽減する必要性が大きい。一方で、操作力の負荷を常に軽くしてしまうと、不用意な回転が生じやすく、好ましくない。特許文献1においては、こうした課題及び対策について開示も示唆もない。このため、こうした課題を解決するための対策が要望されていた。
【0006】
本開示に係る技術は、アームの手動操作力による負荷を変化させることが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する照射部と、照射部と、照射部から照射され被写体を透過した放射線を受ける受像部とを対向する姿勢で保持することが可能なアームと、アームを支持する支持部と、アームを支持部に対して変位させる変位機構と、アームが変位する方向とは逆向きの摩擦力をアームに対して作用させる第1状態と、アームに作用させる摩擦力を第1状態よりも低減する第2状態とを切り替え可能な摩擦機構と、を備えている。
【0008】
上記構成によれば、アームを変位させる変位機構と、アームが変位する方向とは逆向きの摩擦力をアームに対して作用させる第1状態と、アームに作用させる摩擦力を第1状態よりも低減する第2状態と、を切り替え可能な摩擦機構と、を備えている。このため、摩擦機構の第1状態と第2状態を切り替えることで、アームの手動操作力による負荷を変化させることができる。
【0009】
本開示の第2態様に係る放射線撮影装置は、第1態様に係る放射線撮影装置において、摩擦機構による第1状態と第2状態の切り替えを行う操作部を備えている。
【0010】
上記構成によれば、操作者の任意で摩擦力の切り替えを行うことができる。例えば、手術前は、軽い力でポジショニングを行うために摩擦力を小さくし、かつ、手術中は、操作者がアームに衝突する等、意図しない外力がアームに加わってアームが不用意に回転することを防止するために摩擦力を大きくすることができる。
【0011】
本開示の第3態様に係る放射線撮影装置は、第1態様又は第2態様に係る放射線撮影装置において、アームの変位操作は、手動操作のみによって可能である。
【0012】
上記構成によれば、アームの変位操作を、電動によらずに手動操作のみによって可能としている。そのため、放射線撮影装置全体の小型軽量化が可能である。また、電動でアームを変位させる機構は、放射線撮影装置自体が大型である場合が多く、大型の装置では電動機構など複雑な機構を通じてアームの操作力の制御等を実現する場合が多い。
【0013】
ここで、本開示の技術に係る摩擦機構は、アームの変位操作を手動操作のみにすることによって装置を小型軽量化した場合でも、アームの操作力を比較的簡単な構造で切り替えることが可能になる。そのため、本開示の技術は、アームの変位操作が手動操作のみの小型軽量化した装置に対して特に有効である。
【0014】
本開示の第4態様に係る放射線撮影装置は、第1態様~第3態様のいずれか1つの態様に係る放射線撮影装置において、変位機構は、アームを回転させる回転機構である。
【0015】
上記構成によれば、アームを水平方向にスライドさせる操作と比較して、回転させる回転操作は、負荷がかかるため、摩擦力の切り替えが可能な摩擦機構を回転機構と組み合わせた場合に、特に有効である。
【0016】
本開示の第5態様に係る放射線撮影装置は、第4態様に係る放射線撮影装置において、アームには、受像部が着脱可能である。
【0017】
上記構成によれば、アームが回転する場合、受像部が着脱可能であると、受像部の取り外し時に重量バランスが大きく変化することにより、不用意な回転が生じやすい。そのため、例えば、受像部の取り外し時には摩擦力を大きくしておくことで、不用意な回転を抑制することができる。
【0018】
本開示の第6態様に係る放射線撮影装置は、第5態様に係る放射線撮影装置において、受像部がアームから取り外されているか否かを検知する着脱検知部と、着脱検知部において、受像部がアームから取り外されていることを検知している場合は、摩擦機構を第1状態にし、かつ、受像部がアームに取り付けられていることを検知している場合は、摩擦機構を第2状態にする制御を行う制御部と、を備えている。
【0019】
アームから受像部が取り外されると、アームの重量バランスが変化し、アームが不用意に回転してしまうことがある。ここで、上記構成によれば、受像部の取り外しに連動して、摩擦力を大きくすることで、受像部が取り外された場合でも、アームが不用意に回転することを抑制することができる。
【0020】
本開示の第7態様に係る放射線撮影装置は、第6態様に係る放射線撮影装置において、第1状態における摩擦力は、アームに取り付け可能な受像部の最大重量より大きい。
【0021】
上記構成によれば、第1状態における摩擦力が受像部の重量より大きいため、受像部が取り外された際のアームの重量バランスの変化を摩擦力によって吸収することができ、アームが不用意に回転することをより抑制することができる。
【0022】
本開示の第8態様に係る放射線撮影装置は、第4態様~第7態様のいずれか1つの態様に係る放射線撮影装置において、回転機構によるアームの回転をロックする電磁ブレーキを有する。
【0023】
上記構成によれば、摩擦機構に加えて、アームの回転をロックする電磁ブレーキを有しているため、電磁ブレーキによりアームの回転をロックしておくことで、必要に応じてアームの回転を禁止することができる。
【0024】
本開示の第9態様に係る放射線撮影装置は、第4態様~第8態様のいずれか1つの態様に係る放射線撮影装置において、回転機構は、アームの回転に伴って回転する回転軸を有しており、摩擦機構は、摩擦軸と、摩擦軸に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部と、回転軸と摩擦軸との連結と非連結とを切り替えることにより、第1状態と第2状態とを切り替えるクラッチと、を備えている。
【0025】
上記構成によれば、回転機構の構成要素と摩擦機構の構成要素とを連動させることにより、回転機構と摩擦機構とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0026】
本開示の第10態様に係る放射線撮影装置は、第8態様又は第8態様を引用する第9態様に係る放射線撮影装置において、回転機構は、アームの回転に伴って回転する回転軸を有しており、電磁ブレーキは、回転軸に連結されている。
【0027】
上記構成によれば、回転機構の構成要素と電磁ブレーキを連結することにより、回転機構と電磁ブレーキとをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0028】
本開示の第11態様に係る放射線撮影装置は、第9態様又は第10態様に係る放射線撮影装置において、アームは、側面視で円弧形状とされており、回転機構は、支持部に設けられ、円弧形状に沿ってアームを移動可能に支持する軌道部と、アームの外周部に形成され、軌道部と嵌合する嵌合部と、回転軸としての第1回転軸と、を備える第1回転機構を含み、アームは、軌道部に対して移動することにより、円弧形状の中心を回転中心とする軌道回転が可能である。
【0029】
上記構成によれば、アームが円弧形状に沿った軌道回転が可能であるため、照射部及び受像部を被写体の体軸回りに回転させることができる。
【0030】
本開示の第12態様に係る放射線撮影装置は、第9態様を引用する第11態様に係る放射線撮影装置において、回転機構は、さらに、一端が、アームの照射部が設けられる端部側に固定され、他端が、アームの受像部が設けられる端部側に固定されたベルトを有しており、ベルトは、第1回転軸に巻き掛けられている。
【0031】
上記構成によれば、軌道回転においても、回転機構の構成要素と摩擦機構の構成要素とを連動させることができ、回転機構と摩擦機構とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0032】
また、軌道回転の回転機構の変形例としては、ベルトの代わりに、ラックアンドピニオン方式、チェーンとスプロケットを組み合わせる方式も考えられるが、ベルトを用いることで、これらに比べて軽量化が可能である。
【0033】
本開示の第13態様に係る放射線撮影装置は、第9態様~第12態様のいずれか1つの態様に係る放射線撮影装置において、回転機構は、一端がアームに固定された回転軸としての第2回転軸と、支持部に設けられた軸受け部と、を備える第2回転機構を含み、アームは、軸受け部に対して第2回転軸の軸回りに回転することにより、照射部と受像部の被写体に対する位置を反転させることが可能である。
【0034】
上記構成によれば、アームが回転軸周りに回転可能とされているため、照射部が受像部より上に配置されたオーバーチューブ姿勢と、照射部が受像部より下に配置されたアンダーチューブ姿勢とに切り替えることができる。
【0035】
本開示の第14態様に係る放射線撮影装置は、第1態様~第13態様のいずれか1つの態様に係る放射線撮影装置において、アームとは独立に設けられ、変位機構に対してアームを変位させる操作力を手動操作によって入力可能な操作ハンドルを有している。
【0036】
上記構成によれば、操作ハンドルにより、アーム自体を直接操作することなく、アームを操作することが可能となる。また、変位機構を介してアームを変位させるため、アーム自体を直接操作する場合と比べて、アームの変位量の調整がしやすい。
【0037】
すなわち、操作ハンドルの操作量とアームの変位量との関係については、例えば、変位機構内部のギア比の設定を通じて行うことが可能である。そのため、操作ハンドルの変位量に対するアームの変位量を小さくする設定が比較的簡単である。このような操作ハンドルによって、アームの変位量の微調整がしやすい。
【0038】
また、照射部及び受像部を保持するアームは手術中に用いられる場合が多い。このようなアームとは独立に操作ハンドルが設けられることにより、術者が操作する操作部位と補助者が操作する操作部位とを分けることが可能になる。このため、術者との接触によって汚染された操作部位を避けて、補助者がアームを回転させる、といった使い方も可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本開示に係る技術によれば、アームの手動操作力による負荷を変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1実施形態に係る放射線撮影装置を示す全体斜視図である。
図2A】第1実施形態に係る放射線撮影装置の側面図である。
図2B図2Aに示す放射線撮影装置のアームを矢印M1方向に回転させた状態を示す側面図である。
図2C図2Aに示す放射線撮影装置のアームを矢印M2方向に回転させた状態を示す側面図である。
図3A】第1実施形態に係る放射線撮影装置の正面図である。
図3B図3Aに示す放射線撮影装置のアームを矢印N1方向に回転させた状態を示す正面図である。
図3C図3Aに示す放射線撮影装置のアームを矢印N2方向に180°回転させた状態を示す正面図である。
図4】第1実施形態の放射線撮影装置の摩擦機構を示す全体側面図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
図6】第1実施形態に係る放射線撮影装置の摩擦機構を示す斜視図である。
図7図6に示す摩擦機構の平面図である。
図8A】第2実施形態に係る放射線撮影装置の受像部を示す部分斜視図である。
図8B図8Aに示す受像部の断面図である。
図9】第2実施形態に係る放射線撮影装置の摩擦機構及び電磁ブレーキを示す斜視図である。
図10図9に示す摩擦機構及び電磁ブレーキの平面図である。
図11】第2実施形態に係る放射線撮影装置の制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図12】第2実施形態に係る放射線撮影装置の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図13】第3実施形態の放射線撮影装置の摩擦機構を示す全体側面図である。
図14】第3実施形態に係る放射線撮影装置の摩擦機構を示す斜視図である。
図15図14に示す摩擦機構の平面図である。
図16】第3実施形態に係る放射線撮影装置の制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図17】変形例に係る放射線撮影装置の操作ハンドルを示す斜視図である。
図18図17に示す操作ハンドルの平面図である。
図19】変形例に係る放射線撮影装置の変位機構を示す側面図である。
図20A】変形例に係る放射線撮影装置の受像部を示す部分斜視図である。
図20B図20Aに示す受像部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示の第1~第3実施形態に係る放射線撮影装置について、図面を参照して順に説明する。なお、図中において、矢印Xは放射線撮影装置の前後方向、矢印Yは放射線撮影装置の幅方向、矢印Zは鉛直方向を指す。
【0042】
<第1実施形態>
まず、本開示の第1実施形態に係る放射線撮影装置について、図1図7を用いて説明する。
【0043】
(放射線撮影装置の全体構成)
図1に示す本実施形態の放射線撮影装置10は、被写体Hの放射線画像を撮影する装置である。放射線撮影装置10は、例えば、被写体Hの動画撮影および静止画撮影が可能である。動画撮影は、例えば、手術の際に被写体Hの処置対象部位を動画で表示する場合(透視撮影などとも呼ばれる)に行われる。動画撮影においては、例えば、放射線撮影装置10とは別に設置された図示しないモニタに被写体Hの動画が表示される。もちろん、撮影した動画のデータを放射線撮影装置10のメモリ内に保存することも可能である。また、静止画撮影の場合も、撮影した静止画をモニタに表示したり、放射線撮影装置10内のメモリ内に保存することが可能である。
【0044】
図1に示すように、放射線撮影装置10は、側面形状がC字形状(円弧形状)とされたアーム12(Cアーム等と呼ばれる)と、接続部14が取り付けられる本体部16と、を有している。なお、以下において、放射線撮影装置10におけるアーム12が設けられている側を放射線撮影装置10の前方、本体部16が設けられている側を放射線撮影装置10の後方とする。
【0045】
(アームの構成)
アーム12は2つの端部を有しており、アーム12の一端部には照射部18が設けられ、他端部には受像部20が設けられている。アーム12は、照射部18と受像部20とを対向する姿勢で保持することが可能である。照射部18と受像部20との間には被写体H及び被写体Hが仰臥される寝台Sを挿入可能な間隔が確保されている。なお、以下、アーム12の側面視(図1においてY方向から見る方向)にて、アーム12を基準として照射部18及び受像部20が設けられている方向をアーム12の前方、かつ、アーム12側をアーム12の後方と呼ぶことがある。
【0046】
アーム12は、手動操作によって回転操作が可能である。具体的には、図2Aに示すように、アーム12は、変位機構の一例としての第1回転機構21によって、接続部14に対して軸線M(Y軸と平行な軸線)を中心として軌道回転可能となっている。また、アーム12は、変位機構の一例としての第2回転機構23によって、本体部16に対して軸線N(X軸と平行な軸線)を中心として軸回転可能となっている。本実施形態では、接続部14又は本体部16が、アーム12を支持する「支持部」に相当する。
【0047】
第1回転機構21は、接続部14に設けられた軌道部22Bと、アーム12の外周面に形成され、軌道部22Bと嵌合する嵌合部22Aと、を備えている。なお、第1回転機構21は、後述する第1回転軸としてのプーリ軸48と、ベルト46と、をさらに備えている。
【0048】
嵌合部22Aは、アーム12の形状に沿った円弧形状をしている。また、軌道部22Bは、アーム12の円弧と同じ半径を持つ円弧形状であり、円弧形状に沿ってアーム12を移動可能に支持する。図5に示すように、軌道部22Bは、例えば溝形状であり、凸状の嵌合部22Aが嵌合する。なお、軌道部22Bと嵌合部22Aとの間には、軌道部22Bに対する嵌合部22Aの摺動を補助する図示しないローラーが介在している。
【0049】
アーム12に形成された嵌合部22Aが接続部14に形成された軌道部22Bに沿って摺動することにより、アーム12は、アーム12の円弧中心の軸線Mを回転中心として、接続部14及び本体部16に対して軌道回転可能とされている。
【0050】
すなわち、図2B及び図2Cに示すように、アーム12を軸線M回りに矢印M1方向(図2Bにおける反時計回り)及び矢印M2方向(図2Cにおける時計回り)にそれぞれ軌道回転させることが可能とされている。これにより、アーム12の両端に設けられた照射部18及び受像部20を被写体H(図1参照)の体軸(Y軸と平行な軸)回りに回転させることができる。
【0051】
図2Aに示すように、第2回転機構23は、一端がアーム12に固定された第2回転軸としての支持軸24と、本体部16に設けられた軸受け部25と、を備えている。支持軸24は、放射線撮影装置10の前後方向(X方向)に延びており、他端が軸受け部25を介して本体部16に支持されている。
【0052】
支持軸24が軸受け部25に対して軸線Nを中心に回転することにより、図3A図3Cに示すように、支持軸24の軸線Nを回転中心として、アーム12及び接続部14が本体部16に対して軸回転可能とされている。
【0053】
すなわち、図3B及び図3Cに示すように、アーム12を軸線N回りに矢印N1方向(図3Bにおける反時計回り)又は矢印N2方向(図3Cにおける時計回り)に軸回転させることが可能とされている。これにより、アーム12の両端に設けられた照射部18及び受像部20の被写体H(図1参照)に対する上下方向(Z軸方向)の位置を反転させることができる。
【0054】
ここで、図3Aに示す照射部18が受像部20より上に配置されたアーム12の姿勢は、照射部18に含まれる放射線管32(図1参照)が被写体Hの上方に位置するため、オーバーチューブ姿勢などと呼ばれる。一方、図3Cに示す照射部18が受像部20より下に配置されたアーム12の姿勢は、放射線管32が被写体Hの下方に位置するため、アンダーチューブ姿勢と呼ばれる。
【0055】
オーバーチューブ姿勢は、アンダーチューブ姿勢と比較して、照射部18と被写体H(図1参照)との間の距離を広くとることができるため、比較的広範な領域を撮影することが可能である。このため、オーバーチューブ姿勢は、主に被写体Hの静止画撮影時に用いられる。一方、アンダーチューブ姿勢は、照射部18から照射される放射線が寝台S等によって一部遮蔽されるため、被写体H(図1参照)の周囲にいる術者や操作者等(図示せず)の被ばく量を低減することができる。このため、アンダーチューブ姿勢は、放射線の継続的な照射が行われる、被写体Hの動画撮影時に用いられる。
【0056】
(本体部の構成)
図1に示すように、放射線撮影装置10の本体部16は、下部に複数のキャスター26が取り付けられており、操作者が手で押すことによって例えば手術室内や病棟内等で走行可能とされている。すなわち、本実施形態の放射線撮影装置10は、移動型とされている。
【0057】
また、本体部16は、照射部18等の放射線撮影装置10の各部を制御する制御部28と、例えばタッチパネル式の操作パネル30と、を有している。本体部16は、その他、放射線撮影装置10の電源スイッチ等の図示しない各種のスイッチ、放射線撮影装置10の各部に電力を供給する電源回路、及びバッテリ等を備えている。
【0058】
操作パネル30は、放射線撮影装置10の各部に操作指示を入力することで各部を操作する操作部として機能するとともに、例えば警告メッセージ、及び受像部20から出力された放射線画像等の各種の情報を表示する表示部として機能する。
【0059】
(制御部の構成)
制御部28は、後述する照射部18の放射線管32に制御信号を送信することで、放射線管32の管電圧、管電流、及び放射線の照射時間等を制御する。管電圧を制御することにより、放射線のエネルギーが制御され、管電流及び照射時間を制御することにより、放射線の線量が制御される。実際には、放射線管32に対しては高電圧が印加されるため、制御部28は、図示しない高電圧発生装置を通じて放射線管32を制御する。撮影に際しては、操作パネル30を通じて、管電圧、管電流及び照射時間などを含む撮影条件が設定される。制御部28は、設定された撮影条件に基づいて照射部18を動作させる。
【0060】
制御部28は、照射部18から放射線を継続的に照射させる動画撮影用照射を照射部18に実行させることで、被写体Hの動画撮影を可能とする。動画撮影に際しては、制御部28は、照射部18の動画撮影用照射に同期して、後述する受像部20の検出器を動作させる。動画撮影の場合は撮影条件として、基本的に、照射時間は設定されず、動画撮影の開始及び終了の指示は、操作パネル30を通じて行われる。制御部28は、動画撮影の開始の指示が入力されると、予め設定された撮影条件で照射部18から放射線の照射が開始される。
【0061】
動画撮影において、動画撮影用照射が行われている間、検出器は、予め設定されたフレームレートで画像検出動作を繰り返す。検出器が出力する画像は、制御部28に送信される。制御部28は、受信した画像を、順次、図示しないモニタに出力する。これにより、モニタに被写体Hの動画が表示される。
【0062】
また、制御部28は、動画撮影用照射よりも短時間の間、照射部18から放射線を照射させる静止画撮影用照射を照射部18に実行させることで、被写体Hの静止画撮影を可能とする。
【0063】
静止画撮影において、制御部28は、照射部18の静止画用照射の照射タイミングに同期して、受像部20の検出器を動作させる。静止画撮影の指示は、例えば、制御部28に接続された図示しない照射スイッチを通じて行われる。静止画撮影の場合、照射時間は、例えば、数十ミリ秒から数百ミリ秒のオーダである。制御部28は、静止画撮影の指示が入力されると、予め設定された撮影条件に基づいて照射部18を動作させる。静止画撮影の場合は、撮影条件において照射時間が設定されているため、設定された照射時間が経過すると照射部18の照射は終了する。
【0064】
検出器は、照射が終了すると、検出した画像の出力を開始する。検出器が出力する画像は、制御部28に送信される。制御部28は、図示しないメモリに静止画のデータを保存する。そして、保存した静止画が、図示しないモニタに表示される。これにより、モニタに被写体Hの静止画が表示される。また、撮影直後に撮影した静止画を確認するために、操作パネル30に静止画を表示してもよい。
【0065】
(照射部の構成)
照射部18は、放射線源31と照射野限定器34とを備えている。放射線源31は、放射線を発生する放射線管32を備えている。放射線は例えばX線である。放射線管32は、陰極から発生する電子をターゲット(陽極)に衝突させることにより、放射線を発生する。ターゲットにおいて電子が衝突する位置が、放射線が放射される焦点となる。
【0066】
また、放射線源31の下方には照射野限定器34が設けられている。照射野限定器34(コリメータ等とも呼ばれる)は、矩形状の照射開口34Aを有している。放射線管32で発生した放射線は、照射開口34Aを通って被写体Hへ照射される。照射野限定器34は、照射開口34Aの開口面積を調整することができる。照射野限定器34は、例えば放射線を遮蔽する図示しない4枚の遮蔽板を有している。4枚の遮蔽板は、それぞれの一辺が照射開口34Aの各辺に対応しており、照射開口34Aを画定する。この遮蔽板の位置を変えることにより、照射開口34Aの開口面積が調整され、照射部18から照射される放射線の照射野が変更される。
【0067】
また、照射部18は、放射線撮影装置10の幅方向(図1においてY方向)に延びる回転軸36の軸線を回転中心として、アーム12に対して回転可能とされている。具体的には、アーム12の一端には、一対の取付板38(図1には一方のみ図示)が固定されている。
【0068】
一対の取付板38は、照射部18の幅方向の両側を挟み込むように配置され、照射部18の幅方向の両側面と連結される。各取付板38に対向する照射部18の各側面には、回転軸36がそれぞれ突設されており、この回転軸36は図示しない軸受けを介して一対の取付板38にそれぞれ支持されている。これにより、回転軸36の軸線を回転中心として、照射部18が取付板38に対して回転可能となり、照射部18の照射開口34Aの向きをアーム12の前後方向に変化させることが可能となる。照射開口34Aの向きを変化させることにより、放射線の照射方向を変化させることができる。
【0069】
なお、照射部18には、制御信号を送信するための信号線、及び電力供給用の電源線が配線された複数のケーブル40の一端が接続されている。図5に示すように、ケーブル40は、アーム12内に形成された中空部42に配設されており、アーム12に沿って延びている。なお、ケーブル40の他端は、図1に示す本体部16の制御部28及び図示しない電源回路等に接続されている。
【0070】
(受像部の構成)
図1に示すように、受像部20は、照射部18と対向する位置である、アーム12の他端部に設けられている。受像部20は、アーム12に固定された筐体内に検出器が着脱不能に内蔵されたものである。受像部20は、照射部18から照射され被写体Hを透過した放射線を受ける受像面20Aを備えている。受像面20Aには、被写体Hの情報が担持された放射線が入射する。
【0071】
検出器は、例えば、デジタルラジオグラフィ(DR;Digital Radiography)方式のフラットパネルディテクタ(FPD;flat panel detector)である。FPDは、複数の画素を2次元に配列した検出面と、画素を駆動するための図示しない薄膜トランジスタ(TFT;thin film transistor)パネルと、を有している。受像面20Aを通じて検出器の検出面に放射線が入射する。検出器は、入射した放射線を電気信号に変換し、変換された電気信号に基づいて被写体Hを示す放射線画像を出力する。検出器としては、例えば、放射線をシンチレータによって可視光に変換し、変換された可視光を電気信号に変換する間接変換型が使用される。なお、検出器としては、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型でもよい。また、受像部20としては、FPDを用いる構成以外でもよく、例えば、イメージインテンシファイア(I.I;Image Intensifier)とカメラを組み合わせた構成を採用することも可能である。
【0072】
また、受像部20は、制御信号を送信するための信号線、及び電力供給用の電源線が配線された図示しないケーブルによって、本体部16の制御部28及び図示しない電源回路等に接続されている。
【0073】
(摩擦機構の構成)
図4に示すように、放射線撮影装置10の接続部14には、アーム12が変位する方向とは逆向きの摩擦力をアーム12に対して作用させる摩擦機構44が設けられている。
【0074】
具体的には、アーム12の両端には、第1回転機構21を構成するベルト46の両端がそれぞれ固定されている。アーム12は、内部に空洞を有する筒状体で構成されている。図5に示すように、アーム12の内部の中空部42には、ベルト46及びケーブル40が配設されている。中空部42において、アーム12の前方側の内側面には、アーム12の円弧に沿って延びる溝42Aが形成されている。ベルト46は、この溝42Aに収容された状態でアーム12の円弧に沿って延びている。これにより、アーム12の中空部42内おいて、ケーブル40とベルト46とが干渉することを抑制することができる。
【0075】
図6及び図7に示すように、接続部14には、第1回転機構21を構成するプーリ軸48が設けられている。図7に示すように、プーリ軸48は、軸受け部50を介して接続部14のフレーム52に回転可能に支持されている。また、プーリ軸48には、プーリ54が同軸回転可能に固定されており、このプーリ54にベルト46が巻き掛けられている。
【0076】
図6に示すように、ベルト46は、複数の歯46Aが形成されたタイミングベルトである。一方、プーリ54は、外周面に複数の溝54Aが形成されたタイミングプーリであり、プーリ54の溝54Aにベルト46の歯46Aが噛み合うことで、ベルト46とプーリ54が連動する。
【0077】
また、図4に示すように、接続部14におけるプーリ54の鉛直方向(Z方向)上側及び鉛直方向(Z方向)下側には、アイドラ56がそれぞれ設けられている。ベルト46は、一対のアイドラ56によって所定の張力に保たれた状態でガイドされ、プーリ54に巻き掛けられている。
【0078】
軌道部22Bに対してアーム12が軌道回転した場合、ベルト46は、アーム12の移動に追随する。例えば、アーム12の一端が接続部14(軌道部22B)から離れる方向に移動すると、ベルト46は、図7における矢印P方向、すなわち一端が接続部14から離れる方向に移動する。このとき、ベルト46に噛み合っているプーリ54も、ベルト46の移動に追随して矢印Q方向(図7における時計回り)に回転する。
【0079】
また、プーリ軸48には、第1ギア58がプーリ54と同軸回転可能に固定されている。第1ギア58には、第2ギア60が噛み合っており、この第2ギア60に摩擦機構44が連結されている。摩擦機構44は、摩擦軸62と、摩擦軸62に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部64と、プーリ軸48と摩擦軸62との連結と非連結とを切り替えるクラッチ66と、を有している。
【0080】
図7に示すように、摩擦軸62は、軸受け部68を介して接続部14のフレーム52に回転可能に支持されている。また、摩擦軸62は、側板70に形成された軸穴70Aに挿通されている。側板70は、フレーム52に対して摩擦軸62の軸方向(図7におけるY方向)に間隔をあけてフレーム52に固定されている。
【0081】
摩擦力発生部64は、摩擦面同士の接触により摩擦力を発生する二組の摩擦板72A、72Bと、摩擦板72A、72Bの摩擦面同士を押し付ける方向に付勢する付勢部74と、を備えている。摩擦板72A、72Bは、側板70における摩擦軸62の軸方向の両端面にそれぞれ一組ずつ設けられている。
【0082】
摩擦板72A、72Bには、図示しない軸穴がそれぞれ形成されており、この軸穴に摩擦軸62が挿通されることにより、摩擦板72A、72Bは、摩擦軸62の軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。なお、側板70とフレーム52の間に配置されている一組の摩擦板72A、72Bは、摩擦軸62に固定された規制板76によって摩擦軸62の軸方向の移動が規制されている。
【0083】
また、側板70の端面に接する摩擦板72Aは、図示しない回転止めによって固定されており、摩擦軸62の回転に関わらず回転しない固定摩擦板となっている。一方、側板70に対して摩擦板72A(固定摩擦板)よりも摩擦軸62の軸方向外側に設けられた摩擦板72Bは、摩擦軸62の回転に伴って回転する回転摩擦板となっている。
【0084】
付勢部74は、摩擦軸62の軸方向の一端と側板70との間に設けられている。付勢部74は、皿ばねユニット78と、一対の緩衝板80と、摩擦軸62の軸方向の一端に設けられたナット82と、を備えている。
【0085】
皿ばねユニット78は、複数の皿ばね78Aで構成されている。皿ばね78Aは、一方の面が凸面で他方の面が凹面である円盤形状のばねである。複数の皿ばね78Aは、摩擦軸62の軸方向に沿って積み重ねて配列されている。
【0086】
また、皿ばねユニット78の摩擦軸62における軸方向外側には、それぞれ緩衝板80が配置されている。一方の緩衝板80は、皿ばねユニット78と摩擦板72Bとの間に配置されている。また、他方の緩衝板80は、皿ばねユニット78とナット82との間に配置されている。なお、緩衝板80及び皿ばね78Aには、図示しない軸穴がそれぞれ形成されており、この軸穴に摩擦軸62が挿通されることにより、緩衝板80及び皿ばね78Aは、摩擦軸62の軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。
【0087】
皿ばねユニット78の端面を一方の緩衝板80に当接させた状態で、ナット82を締め付けると、皿ばねユニット78が一方の緩衝板80を押し付ける方向に移動する。皿ばねユニット78が移動すると、緩衝板80を介して各組の摩擦板72A、72Bに押し付け力が加わる。ナット82をさらに締め付けて、皿ばねユニット78が移動限界に達すると、皿ばね78Aが弾性変形して皿ばねユニット78が摩擦軸62の軸方向に収縮する。皿ばねユニット78は、弾性に基づいて、摩擦板72A、72Bの摩擦面同士を押し付ける方向に付勢する。
【0088】
このように、付勢部74の作用により、摩擦板72A、72Bの摩擦面同士が接触し、かつ摩擦面に垂直抗力が生じる。このため、摩擦軸62が回転しようとすると、摩擦板72A、72Bの摩擦面には、摩擦軸62の回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。
【0089】
摩擦軸62の軸方向の他端には、クラッチ66が取り付けられている。本実施形態では、クラッチ66は電磁クラッチであり、図示しない電磁石が内蔵されたハウジング84と、摩擦軸62に固定された軸固定部86と、を備えている。ハウジング84と軸固定部86は、互いに離間している。また、ハウジング84と軸固定部86との間には、ハウジング84と軸固定部86とを互いに離れる方向に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。
【0090】
ハウジング84は、第2ギア60に固定されている。ハウジング84及び第2ギア60には、摩擦軸62が挿通される軸穴60A、84Aがそれぞれ形成されており、摩擦軸62の外周面と軸穴60A、84Aの内周面との間には、隙間が形成されている。すなわち、ハウジング84及び第2ギア60は、摩擦軸62に対して非連結となっている。
【0091】
クラッチ66は、第2ギア60と摩擦軸62の連結と非連結とを切り替えることにより、プーリ軸48と摩擦軸62との連結と非連結とを切り替える。具体的には、クラッチ66へ通電すると、ハウジング84に内蔵された電磁石に磁力が生じ、軸固定部86が図示しない付勢部材の付勢力に抗って電磁石側に引き寄せられる。これにより、ハウジング84と軸固定部86とが密着して連結する。
【0092】
ハウジング84と軸固定部86とが連結している状態(第1状態に相当)において、プーリ軸48が回転すると、第1ギア58、第2ギア60、及びクラッチ66のハウジング84がプーリ軸48の回転に伴って回転する。また、ハウジング84に連結されたクラッチ66の軸固定部86、及び軸固定部86が固定された摩擦軸62も、プーリ軸48の回転に伴って回転する。
【0093】
上述したように、摩擦軸62には回転方向とは逆向きの摩擦力が作用しているため、プーリ軸48の回転に伴って摩擦軸62が回転することにより、プーリ軸48に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。プーリ軸48には、プーリ54が固定されており、プーリ54には、図4に示すアーム12の両端に固定されたベルト46が巻き掛けられている。
【0094】
このため、プーリ軸48に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用することにより、アーム12が軌道部22B(図4参照)に対して軌道回転する際に、アーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力がアーム12に対して作用する。
【0095】
一方、クラッチ66の非通電時には、第2ギア60に固定されたハウジング84と、摩擦軸62に固定された軸固定部86とが、図示しない付勢部材によって付勢されることで離間している。このため、ハウジング84と軸固定部86とが非連結となり、第2ギア60と摩擦軸62とが非連結となる。
【0096】
ハウジング84と軸固定部86とが非連結の状態(第2状態に相当)において、プーリ軸48が回転すると、第1ギア58、第2ギア60、及びクラッチ66のハウジング84がプーリ軸48の回転に伴って回転する。しかし、クラッチ66の軸固定部86及び摩擦軸62は回転しない。このため、プーリ軸48が回転する際に摩擦軸62に作用する摩擦力は作用せず、クラッチ66への通電時と比較して、アーム12が軌道回転する際に、アーム12に作用する摩擦力が低減される。
【0097】
上述した摩擦機構44の第1状態と第2状態との切り替えは、操作者が操作部としての操作パネル30(図1参照)を操作することによって行われる。例えば、操作者が操作パネル30に摩擦機構44を第1状態にする操作指示を入力すると、制御部28(図1参照)は、クラッチ66に駆動信号を送信することで、クラッチ66へ通電する。これにより、クラッチ66のハウジング84と軸固定部86とが連結することで、摩擦機構44は、摩擦力をアーム12に対して作用させる第1状態となる。
【0098】
一方、操作者が操作パネル30に摩擦機構44を第2状態にする操作指示を入力すると、制御部28(図1参照)は、クラッチ66への通電を遮断する。これにより、クラッチ66のハウジング84と軸固定部86とが非連結となり、摩擦機構44は、摩擦力をアーム12に対して作用させない第2状態となる。
【0099】
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置10によれば、アーム12を接続部14に対して回転させる第1回転機構21(変位機構の一例)と、第1回転機構21によってアーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力をアーム12に対して作用させる摩擦機構44と、を備えている。
【0100】
また、摩擦機構44は、アーム12が変位する方向とは逆向きの摩擦力をアーム12に対して作用させる第1状態と、アーム12に作用させる摩擦力を第1状態よりも低減する第2状態と、を切り替え可能である。このため、摩擦機構44の第1状態と第2状態とを切り替えることで、アーム12を手動で回転操作する際の、アーム12の手動操作力による負荷を変化させることができる。
【0101】
特に本実施形態によれば、アーム12の回転操作は、電動によらずに手動操作のみによって可能となっている。そのため、放射線撮影装置10全体の小型軽量化が可能である。また、電動でアームを変位させる機構は、放射線撮影装置自体が大型である場合が多く、大型の装置では電動機構など複雑な機構を通じてアームの操作力の制御等を実現する場合が多い。
【0102】
ここで、本実施形態によれば、摩擦機構44は、アーム12の回転操作を手動操作のみにすることによって放射線撮影装置10を小型軽量化した場合でも、アーム12の操作力を比較的簡単な構造で切り替えることが可能になる。このため、本実施形態の技術は、アーム12の回転操作が手動操作のみの小型軽量化した放射線撮影装置10に対して特に有効である。
【0103】
また、本実施形態によれば、第1回転機構21は、アーム12の回転に伴って回転するプーリ軸48を有している。そして、摩擦機構44は、摩擦軸62と、摩擦軸62に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部64と、プーリ軸48と摩擦軸62との連結と非連結とを切り替えることにより、第1状態と第2状態とを切り替えるクラッチ66と、を備えている。
【0104】
このように、第1回転機構21の構成要素と摩擦機構44の構成要素とを連動させることにより、第1回転機構21と摩擦機構44とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0105】
特に本実施形態によれば、第1回転機構21は、プーリ54が固定されたプーリ軸48と、両端がアーム12の両端に固定され、プーリ54に巻き掛けられたベルト46と、を有している。このように、プーリ軸48に固定されたプーリ54にアーム12の両端に固定されたベルト46を巻き掛けることで、アーム12の軌道回転においても、第1回転機構21の構成要素と摩擦機構44の構成要素とを連動させることができる。
【0106】
また、第1回転機構21の変形例としては、ベルト46の代わりに、ラックアンドピニオン方式、チェーンとスプロケットを組み合わせる方式も考えられるが、ベルト46を用いることで、これらに比べて軽量化が可能である。
【0107】
また、アーム12を変位させる変位機構としては、第1回転機構21及び第2回転機構23の他、例えばアーム12を本体部16に対して水平方向(X方向)にスライド移動させるスライド機構が考えられる。しかし、一般的に、アーム12を回転させる回転操作は、アーム12を水平方向にスライドさせる操作と比較して、負荷がかかる。このため、摩擦力の切り替えが可能な本実施形態の摩擦機構44は、第1回転機構21又は第2回転機構23と組み合わせた場合に特に有効である。
【0108】
すなわち、摩擦機構44を第1状態にすることにより、アーム12が不用意に回転することを防止することができる。一方、摩擦機構44を第2状態に切り替えることにより、アーム12を手動で回転操作する際の負荷を低減することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、摩擦機構44による第1状態と第2状態の切り替えは、操作者が操作部としての操作パネル30を操作することによって行われる。すなわち、操作者の任意で摩擦力の切り替えを行うことができる。
【0110】
このため、例えば、手術の際に放射線撮影装置10を使用して動画撮影などを行う場合において、手術前の準備段階では、摩擦力を小さくすることによって、軽い力でポジショニングを行えるようにし、かつ、手術中は、摩擦力を大きくすることで、操作者がアーム12に衝突する等、意図しない外力がアーム12に加わってアーム12が不用意に回転することを防止することができる。
【0111】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る放射線撮影装置について、図8図12を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、かつ、差異点を中心に説明する。
【0112】
第1実施形態の放射線撮影装置10では、受像部20がアーム12の他端に固定されていた。これに対し、図8Aに示すように、本実施形態の放射線撮影装置100では、受像部102は、アーム12に対して着脱可能に取り付けられた可搬型とされている。なお、受像部102は、第1実施形態と同様に、筐体内に検出器が着脱不能に内蔵されたものである。このような可搬型の受像部102は、電子カセッテなどと呼ばれる。
【0113】
(受像部の構成)
具体的には、受像部102は、アーム12の他端に設けられた台座104上に着脱可能に取り付けられている。台座104はアーム12の他端の上面に設けられており、この台座104の上には、嵌合凸部106が立設されている。台座104及び嵌合凸部106は、それぞれ直方体形状であり、嵌合凸部106の幅(Y方向の長さ)は台座104の幅(Y方向の長さ)よりも狭くなっている。
【0114】
一方、受像部102は、扁平な直方体形状であり、受像部102の下面には、嵌合凸部106に嵌合される嵌合凹部108が形成されている。嵌合凹部108は、直方体形状であり、短手方向の長さ(図8AにおけるY方向の長さ)は、嵌合凸部106の幅より広く、かつ、台座104の幅より狭くなっている。また、嵌合凹部108の高さは、嵌合凸部106の高さと略同じ高さとなっている。
【0115】
さらに、嵌合凹部108の長手方向の長さ(図8AにおけるX方向の長さ)は、台座104及び嵌合凸部106の長さ(X方向の長さ)より長くなっており、嵌合凹部108の長手方向の一端は、受像部102の一側面まで延びている。嵌合凹部108の一端が受像部102の一側面に位置することにより、受像部102の一側面の一部がに開口している。
【0116】
受像部102をアーム12に取り付ける場合、受像部102を水平方向(X方向)に移動させ、台座104上に立設された嵌合凸部106を、受像部102の一側面に形成された開口から嵌合凹部108内に挿入する。これにより、嵌合凹部108に嵌合凸部106が嵌合された状態で、受像部102の下面が台座104の上面に当接する。
【0117】
ここで、嵌合凹部108の長手方向の他端面には、嵌合凹部108の内側に突出する一対の位置決めピン110が設けられている。一方、嵌合凹部108に嵌合した際に、嵌合凹部108の長手方向の他端面に対向する嵌合凸部106の一側面には、位置決めピン110が挿入される一対のピン孔112が形成されている。
【0118】
受像部102の嵌合凹部108を嵌合凸部106に嵌合させた際に、一対の位置決めピン110が一対のピン孔112にそれぞれ挿入されることにより、受像部102が台座104上、すなわちアーム12の他端に位置決めされて取り付けられる。
【0119】
また、台座104の上面には、鉛直方向(Z方向)に延びる貫通孔114が形成されており、アーム12の他端における貫通孔114の下には、ソレノイド116が設けられている。そして、受像部102の下面にも、貫通孔114と略同じ径の挿入孔118が形成されている。ここで、図8Bに示すように、受像部102の挿入孔118は、受像部102が台座104上に位置決めされて取り付けられた際に、台座104の貫通孔114に連通する位置に形成されている。
【0120】
ソレノイド116は、貫通孔114に挿入された可動鉄芯116Aを備えており、ソレノイド116の通電状態及び非通電状態を切り替えることにより、可動鉄芯116Aが伸縮可能とされている。
【0121】
具体的には、ソレノイド116へ通電すると、可動鉄芯116Aがソレノイド116の本体側に吸引され、図8Aに示すように、可動鉄芯116Aの先端部が台座の貫通孔114内に位置する。この状態では、可動鉄芯116Aが受像部102の挿入孔118に挿入されていないため、受像部102は台座104、すなわちアーム12に対して着脱可能となっている。
【0122】
一方、受像部102の挿入孔118と台座104の貫通孔114とが連通している状態、すなわち受像部102がアーム12の他端に位置決めされて取り付けられている状態では、図4Bに示すように、可動鉄芯116Aを受像部102の挿入孔118に挿入することが可能である。
【0123】
このため、受像部102がアーム12の他端に位置決めされて取り付けられている状態で、ソレノイド116への通電を遮断すると、可動鉄芯116Aの先端部が挿入孔118内に挿通されて受像部102内に達する。この状態では、ソレノイド116の可動鉄芯116Aが受像部102の挿入孔118にも挿入されているため、台座104、すなわちアーム12に対して受像部102の取り外しが規制される。このように、ソレノイド116は、受像部102がアーム12に取り付けられている状態において、アーム12に対する受像部102の不用意な着脱を規制する着脱規制機構を構成する。
【0124】
また、台座104には、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを検知する着脱検知部としてのフォトセンサ120が設けられている。フォトセンサ120は、例えば、図示しない発光素子が光を発する発光窓と、図示しない受光素子が光を受光する受光窓と、が同一面に配列された反射型センサである。フォトセンサ120は、受像部102が台座104に取り付けられていない状態では、発光窓及び受光窓が外部に露出する一方、受像部102が台座104に取り付けられた状態では、発光窓及び受光窓が受像部102によって覆われる位置に設けられている。例えば、本例のフォトセンサ120は、台座104において、図8Aにおける上面を向いた姿勢で配置されている。
【0125】
例えば、フォトセンサ120において、台座104が受像部102に取り付けられた状態では、発光窓から発する光が受像部102で反射することによって、受光窓を通じた受光量が多くなる。一方、受像部102から台座104から取り外されることにより、受像部102が発光窓及び受光窓の前面から退避した状態では、受像部102での光の反射が無いため、受光窓を通じた受光量が少なくなる。
【0126】
このように、フォトセンサ120は、発光窓から発光されて受光素子で受光された光の変化を検知することにより、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを検知することができる。
【0127】
フォトセンサ120は、受像部20がアーム12に取り付けられていることを検知している状態においては検知信号としてオン信号を図11に示す制御部126に出力し、受像部20がアーム12から取り外されていることを検知している状態においては検知信号としてオフ信号を図11に示す制御部126に出力する。
【0128】
なお、可搬型の受像部102は、例えば図示しないバッテリ及び無線通信部を有しており、本体部16に設けられた制御部126(図11参照)等と無線で通信可能とされている。無線通信部を使用した場合には、受像部102はバッテリからの電力で駆動され、いわゆるケーブルレスで使用することができる。これにより、受像部102は、アーム12から取り外した状態で使用可能とされている。
【0129】
一方、受像部102がアーム12に取り付けられた状態では、図8Aに示す受像部102の嵌合凹部108に設けられた端子122Aと、アーム12の嵌合凸部106に設けられた端子122Bとが接触し、受像部102と台座104とが電気的に接続される。台座104は、制御信号を送信するための信号線、及び電力供給用の電源線が配線された図示しないケーブルによって、本体部16の制御部126(図11参照)及び図示しない電源回路等に接続されている。これにより、受像部102がアーム12に取り付けられた状態では、受像部102は図示しないケーブルを介して制御部126及び図示しない電源回路等に接続される。
【0130】
(接続部の構成)
図9及び図10に示すように、放射線撮影装置100の接続部14には、第1実施形態と同様に、第1回転機構21を構成するベルト46及びプーリ軸48と、摩擦機構44と、が設けられている。プーリ軸48には、プーリ54が同軸回転可能に固定されており、このプーリ54にベルト46が巻き掛けられている。
【0131】
摩擦機構44は、第1実施形態と同様の構成であり、摩擦力をアーム12に対して作用させる第1状態と、摩擦力をアーム12に対して作用させない第2状態と、を切り替え可能である。ここで、本実施形態では、摩擦機構44が第1状態の場合において、摩擦機構44がアーム12に対して作用させる摩擦力は、少なくともアーム12に取り付け可能である受像部102の最大重量よりも大きい値に設定されている。
【0132】
また、本実施形態では、放射線撮影装置100の接続部14に、摩擦機構44の他に、第1回転機構21によるアーム12の回転をロックする電磁ブレーキ124が設けられている。電磁ブレーキ124は、第1回転機構21を構成するプーリ軸48に連結されている。
【0133】
電磁ブレーキ124は、例えば無励磁作動形であり、非通電時に回転がロックされ、通電時に回転のロックが解除される。電磁ブレーキ124として、非通電時に回転がロックされる無励磁作動形を用いることで、停電時等に電磁ブレーキ124への通電が遮断された場合にアーム12の回転がロックされるため、アーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
【0134】
具体的には、電磁ブレーキ124は、図示しない電磁石が内蔵されたハウジング124Aを備えており、ハウジング124A内に設けられた図示しないロータを介して、プーリ軸48がハウジング124Aに取り付けられている。ハウジング124Aは、接続部14に回転不能に固定されており、ロータ及びプーリ軸48はハウジング124Aに対して回転可能となっている。
【0135】
図示を省略するが、電磁石とロータとはプーリ軸48の周囲に配置されており、電磁石とロータとはプーリ軸48の軸方向において対向している。さらに、ハウジング124A内において、電磁石とロータとの間には、プーリ軸48の軸方向に移動可能な可動鉄片が設けられている。可動鉄片は、電磁石と離間して配置されているとともに、図示しない付勢部材によってロータ側に付勢されており、ロータをハウジング124Aの内壁面に押し付けている。
【0136】
電磁ブレーキ124の非通電時には、可動鉄片によってロータがハウジング124Aの内壁面に押し付けられて密着しているため、ロータのハウジング124Aに対する回転がロックされる。そして、ロータのハウジング124Aに対する回転がロックされることにより、ロータに固定されたプーリ軸48、及びプーリ軸48に固定されたプーリ54の回転がロックされ、プーリ54に噛み合うベルト46の移動もロックされる。
【0137】
図11に示すように、ベルト46は、両端がアーム12の両端に固定されているため、ベルト46の移動がロックされることにより、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転がロックされる。
【0138】
一方、電磁ブレーキ124へ通電すると、ハウジング124Aに内蔵された電磁石に磁力が生じ、可動鉄片が付勢部材の付勢力に抗って電磁石側に引き寄せられる。これにより、可動鉄片によるロータのハウジング124Aの内壁面への押し付けが解除され、ロータはハウジング124Aに対して回転可能となる。すなわち、ロータの回転ロックが解除される。
【0139】
また、ロータの回転ロックが解除されることにより、プーリ軸48及びプーリ54の回転ロックも解除され、プーリ54に噛み合うベルト46が移動可能となる。これにより、図11に示すアーム12の軌道部22Bに対する軌道回転のロックが解除される。
【0140】
(制御部の構成)
図11に示すように、放射線撮影装置100の制御部126は、アーム12の他端に設けられたソレノイド116を制御する。
【0141】
具体的には、ソレノイド116によって受像部102のアーム12に対する着脱が規制されている状態において、操作パネル30(図1参照)を介して着脱規制の解除操作が行われた場合には、制御部126は、ソレノイド116に駆動信号を送信し、ソレノイド116へ通電する。これにより、ソレノイド116によって図8Bに示す可動鉄芯116Aが吸引され、受像部102がアーム12に対して取り外し可能となる。
【0142】
一方、操作パネル30(図1参照)を介して着脱規制の指示が入力された場合には、制御部126は、ソレノイド116への通電を遮断する。この場合、受像部102がアーム12に取り付けられている状態では、図8Bに示すように、受像部102の挿入孔118と台座104の貫通孔114とが連通している。このため、可動鉄芯116Aが受像部102の挿入孔118に挿入されることによって、受像部102のアーム12に対する着脱が規制される。
【0143】
なお、着脱規制の指示が入力された場合であっても、受像部102がアーム12に取り付けられていない場合、すなわち受像部102の挿入孔118と台座104の貫通孔114とが連通していない場合には、可動鉄芯116Aを挿入孔118に挿入することができない。このため、受像部102のアーム12に対する着脱は規制されない。
【0144】
このように、制御部126は、ソレノイド116への通電を制御することにより、受像部102のアーム12に対する着脱が許可された状態と、受像部102のアーム12に対する着脱が規制された状態とを切り替える。
【0145】
また、図11に示すように、制御部126は、アーム12に設けられたフォトセンサ120からの検知信号に基づいて、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを判定する。
【0146】
すなわち、図8Bに示すように、受像部20がアーム12に取り付けられている場合には、制御部126は、フォトセンサ120から検知信号としてオン信号を受信する。制御部126は、フォトセンサ120からオン信号を受信している間、受像部102がアーム12に取り付けられていると判定する。
【0147】
一方、図8Aに示すように、受像部102がアーム12から取り外されている場合には、制御部126は、フォトセンサ120から検知信号としてオフ信号を受信する。制御部126は、フォトセンサ120からオフ信号を受信している間、受像部102がアーム12から取り外されていると判定する。
【0148】
また、制御部126は、操作パネル30からの操作指示に応じて、接続部14に設けられた摩擦機構44を制御する。すなわち、制御部126は、操作パネル30を通じて摩擦力の切り替え指示が入力されると、第1実施形態と同様に、図9に示す摩擦機構44のクラッチ66に駆動信号を送信することによってクラッチ66へ通電することで、摩擦機構44を第1状態にする。一方、制御部126は、クラッチ66への通電を遮断することで、摩擦機構44を第2状態にする。
【0149】
さらに、制御部126は、接続部14に設けられた電磁ブレーキ124を制御する。すなわち、制御部126は、電磁ブレーキ124への通電を遮断することにより、図9に示す電磁ブレーキ124のハウジング124Aに対するプーリ軸48及びプーリ54の回転をロックすることで、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転をロックする。
【0150】
一方、制御部126は、電磁ブレーキ124に駆動信号を送信することで、電磁ブレーキ124へ通電する。これにより、図9に示すハウジング124Aに対するプーリ軸48の回転ロックを解除する。これにより、プーリ54の回転ロックを解除することで、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転のロックを解除する。
【0151】
(放射線撮影装置の制御方法)
次に、本実施形態に係る放射線撮影装置100の制御方法について、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0152】
まず、ステップ500において、図示しない電源スイッチの操作によって電源が入れられた場合(ステップ500がY)、制御部126は放射線撮影装置100の制御を開始する。制御部126による制御が開始されると、操作パネル30を通じた撮影条件の入力の受付などが可能となる。
【0153】
ステップ502において、制御部126は、受像部102がアーム12から取り外されているか否か判定する。そして、受像部102がアーム12から取り外されていると判定した場合(ステップ502でY)は、制御部126は、摩擦機構44を第1状態にする(ステップ504)。すなわち、図9に示す摩擦機構44のクラッチ66へ通電してハウジング84と軸固定部86とを連結する。
【0154】
ステップ502において、受像部102がアーム12に取り付けられていると判定した場合(ステップ502でN)は、制御部126は、摩擦機構44を第2状態にする(ステップ506)。すなわち、図9に示す摩擦機構44のクラッチ66への通電を遮断してハウジング84と軸固定部86とを非連結とする。
【0155】
ステップ508で、制御部126は、操作者が図示しない電源スイッチを操作することにより、放射線撮影装置100の電源が切られたか否か判定する。そして、放射線撮影装置100の電源が切られていない場合(ステップ508がN)、ステップ502に戻る。一方、放射線撮影装置100の電源が切られた場合(ステップ508がY)、制御部126は、放射線撮影装置100の制御を終了する。
【0156】
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置100によれば、第1実施形態の放射線撮影装置10と同様に、アーム12を接続部14に対して回転させる第1回転機構21に摩擦機構44が連結されている。このため、摩擦機構44の第1状態と第2状態を切り替えることで、アーム12の手動操作力による負荷を変化させることができる。
【0157】
また、本実施形態の放射線撮影装置100は、受像部102がアーム12に対して着脱可能に取り付けられている。一般的に、アーム12が回転する場合、受像部102が着脱可能であると、受像部102の取り外し時に重量バランスが大きく変化することにより、不用意な回転が生じやすい。このため、本実施形態の摩擦機構44は、受像部102がアーム12に対して着脱可能である放射線撮影装置100に対して特に有効である。
【0158】
さらに、本実施形態の放射線撮影装置100は、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを検知する着脱検知部の一例としてフォトセンサ120を備えている。そして、制御部126は、フォトセンサ120において、受像部102がアーム12から取り外されていることを検知している場合は、摩擦機構44を第1状態にし、かつ、受像部102がアーム12に取り付けられていることを検知している場合は、摩擦機構44を第2状態にする制御を行う制御部126と、を備えている。
【0159】
このように、受像部102の取り外しに連動して摩擦機構44を第1状態にする、すなわちアーム12に作用する摩擦力を大きくすることで、受像部102が取り外された場合でも、アーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
【0160】
また、本実施形態によれば、摩擦機構44がアーム12に対して作用させる摩擦力は、少なくともアーム12に取り付け可能である受像部102の最大重量よりも大きい値に設定されている。このように、摩擦機構44の第1状態における摩擦力を受像部102の重量より大きくすることで、受像部102が取り外された際のアーム12の重量バランスの変化を摩擦力によって吸収することができ、アーム12が不用意に回転することをより抑制することができる。
【0161】
また、本実施形態によれば、第1回転機構21によるアーム12の回転をロックする電磁ブレーキ124をさらに備えており、電磁ブレーキ124はプーリ軸48に連結されている。
【0162】
このように、摩擦機構44に加えて電磁ブレーキ124を設けることにより、電磁ブレーキ124によってアーム12の回転をロックすることで、必要に応じてアーム12の回転を禁止することができる。また、第1回転機構21の構成要素と電磁ブレーキ124を連結することにより、第1回転機構21と電磁ブレーキ124とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0163】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態に係る放射線撮影装置について、図13図16を用いて説明する。なお、第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、かつ、差異点を中心に説明する。
【0164】
第2実施形態の放射線撮影装置100では、第1回転機構21を構成するプーリ軸48に摩擦機構44及び電磁ブレーキ124が連結されていた。これに対し、図13に示すように、本実施形態の放射線撮影装置200では、第2回転機構23を構成する支持軸24に摩擦機構202及び電磁ブレーキ204が連結されている。
【0165】
(本体部の構成)
図14及び図15に示すように、摩擦機構202及び電磁ブレーキ204は、放射線撮影装置200の本体部16にそれぞれ設けられている。本体部16において、支持軸24の外周面には、第3ギア206が同軸回転可能に固定されており、この第3ギア206には、第4ギア208が噛み合っている。
【0166】
摩擦機構202は、摩擦軸210と、摩擦軸210に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部212と、支持軸24と摩擦軸210との連結と非連結とを切り替えるクラッチ214と、を有している。
【0167】
摩擦軸210は、図示しない軸受け部を介して本体部16のフレーム216に支持されている。また、摩擦軸210の軸方向の一端に摩擦力発生部212が取り付けられている。本実施形態では、摩擦力発生部212は、例えばロータリーダンパーで構成されている。
【0168】
具体的には、摩擦力発生部212は、摩擦軸210の軸方向の一端に固定された図示しないロータと、ロータが収容されるハウジング212Aと、ロータとハウジング212Aとの間に充填されたオイル等からなる図示しない粘性体と、を備えている。
【0169】
摩擦軸210が回転すると、摩擦軸210に固定されたロータがハウジング212A内で回転する。このとき、ハウジング212A内に充填された粘性体の粘性抵抗により、ロータの外周面に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。すなわち、摩擦軸210に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。
【0170】
また、摩擦軸210の軸方向の他端には、クラッチ214が取り付けられている。クラッチ214は、例えば電磁クラッチであり、第1及び第2実施形態のクラッチ66と同様の構成である。すなわち、第4ギア208に固定されたハウジング218と、摩擦軸210に固定された軸固定部220と、を備えている。
【0171】
クラッチ214へ通電すると、ハウジング218と軸固定部220が連結され(第1状態に相当)、摩擦軸210に作用する回転方向とは逆向きの摩擦力が、第4ギア208及び第3ギア206を介して支持軸24に作用する。これにより、図13に示すアーム12が軸回転する際に、アーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力がアーム12に対して作用する。
【0172】
一方、クラッチ214への通電を遮断すると、ハウジング218と軸固定部220が非連結となり(第2状態に相当)、摩擦軸210に作用する摩擦力は支持軸24には作用しない。これにより、クラッチ214への通電時と比較して、図13に示すアーム12が軸回転する際に、アーム12に作用する摩擦力が低減される。
【0173】
電磁ブレーキ204は、支持軸24の他端に取り付けられている。電磁ブレーキ204は、第2実施形態の電磁ブレーキ124と同様の構成である。すなわち、電磁ブレーキ204は、本体部16に回転不能に固定されたハウジング204Aを備えており、ハウジング204A内に設けられたロータを介して支持軸24がハウジング204Aに対して回転可能に取り付けられている。
【0174】
電磁ブレーキ204の非通電時には、図示しない可動鉄片によってロータがハウジング204Aの内壁面に押し付けられて密着しているため、ロータのハウジング204Aに対する回転がロックされる。そして、ロータのハウジング204Aに対する回転がロックされることにより、ロータに固定された支持軸24の回転がロックされる。支持軸24の回転がロックされることにより、図13に示すアーム12の軸受け部25に対する軸回転がロックされる。
【0175】
一方、電磁ブレーキ204へ通電すると、ハウジング204Aに内蔵された図示しない電磁石に磁力が生じ、図示しない可動鉄片が電磁石側に引き寄せられる。これにより、可動鉄片によるロータのハウジング204Aの内壁面への押し付けが解除され、ロータはハウジング204Aに対して回転可能となる。すなわち、ロータの回転ロックが解除される。
【0176】
また、ロータの回転ロックが解除されることにより、支持軸24の回転ロックも解除される。これにより、図13に示すアーム12の軸受け部25に対する軸回転のロックが解除される。
【0177】
(制御部の構成)
図16に示すように、制御部222は、第2実施形態と同様に、ソレノイド116への通電を制御することにより、受像部102のアーム12に対する着脱が許可された状態と、受像部102のアーム12に対する着脱が規制された状態とを切り替える。
【0178】
また、制御部222は、第2実施形態と同様に、受像部102内に設けられたフォトセンサ120からの検知信号に基づいて、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを判定する。
【0179】
また、制御部222は、本体部16に設けられた摩擦機構202を制御する。すなわち、制御部222は、第2実施形態と同様に、摩擦機構202のクラッチ214に駆動信号を送信することによってクラッチ214へ通電することにより、摩擦機構202を第1状態にする。一方、制御部222は、クラッチ214への通電を遮断することで、摩擦機構202を第2状態にする。
【0180】
さらに、制御部222は、本体部16に設けられた電磁ブレーキ204を制御する。すなわち、制御部222は、第2実施形態と同様に、電磁ブレーキ204に駆動信号を送信することで、電磁ブレーキへ通電する。これにより、図14に示す電磁ブレーキ204のハウジング204Aに対する支持軸24の回転をロックすることで、アーム12の軸受け部25に対する軸回転をロックする。
【0181】
一方、制御部222は、電磁ブレーキ204への通電を遮断することにより、図14に示すハウジング204Aに対する支持軸24の回転ロックを解除する。これにより、アーム12の軸受け部25に対する軸回転のロックを解除する。
【0182】
本実施形態の制御部222の制御フローは、第2実施形態の制御部126の制御フローと同様の手順にて実行される。すなわち、図12に示すように、制御部222は、ステップ502において、受像部102がアーム12から取り外されているか否かを判定し、受像部102がアーム12から取り外されていると判定した場合(ステップ502でY)は、制御部222は、摩擦機構202を第1状態にする。ステップ502において、受像部102がアーム12に取り付けられていると判定した場合(ステップ502がN)は、制御部222は、摩擦機構202を第2状態にする。
【0183】
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置200によれば、アーム12を本体部16に対して軸回転させる第2回転機構23と、第2回転機構23によってアーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力をアーム12に対して作用させる摩擦機構202と、を備えている。このため、第2実施形態の放射線撮影装置100と同様に、摩擦機構202の第1状態と第2状態を切り替えることで、アーム12の手動操作力による負荷を変化させることができる。
【0184】
また、本実施形態によれば、摩擦機構202が、第2回転機構23を構成する支持軸24に連結されている。このように、アーム12の軸回転においても、第2回転機構23の構成要素と摩擦機構202の構成要素とを連動させることで、第2回転機構23と摩擦機構202とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0185】
また、本実施形態によれば、第2回転機構23によるアーム12の回転をロックする電磁ブレーキ204をさらに備えており、電磁ブレーキ204は支持軸24に連結されている。
【0186】
このように、摩擦機構202に加えて電磁ブレーキ204を設けることにより、電磁ブレーキ204によってアーム12の回転をロックしておくことで、必要に応じてアーム12の回転を禁止することができる。また、第2回転機構23の構成要素と電磁ブレーキ204を連結することにより、第2回転機構23と電磁ブレーキ204とをそれぞれ独立に構成する場合と比べて、各機構をコンパクトにすることができる。
【0187】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態の一例について記述したが、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。また、上記の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能である。
【0188】
例えば、第1実施形態では、アーム12を軌道回転させる第1回転機構21に摩擦機構44が連結されていたが、アーム12を軸回転させる第2回転機構23に摩擦機構44を連結する構成としてもよい。さらに、第1回転機構21及び第2回転機構23の双方に摩擦機構44をそれぞれ連結する構成としてもよい。
【0189】
また、第1~第3実施形態では、第1回転機構21又は第2回転機構23に摩擦機構44、202が連結されており、第1回転機構21又は第2回転機構23を介して摩擦機構44、202の摩擦力をアーム12に作用させていた。しかし、アーム12自体に摩擦機構44、202を取り付けることにより、摩擦機構44、202の摩擦力をアーム12に直接作用させる構成としてもよい。
【0190】
同様に、第2及び第3実施形態では、第1回転機構21又は第2回転機構23に電磁ブレーキ124、204が連結されており、第1回転機構21又は第2回転機構23をロックすることでアーム12の回転をロックしていた。しかし、アーム12自体に電磁ブレーキ124、202を取り付けることにより、電磁ブレーキ124、202によってアーム12の回転を直接ロックする構成としてもよい。
【0191】
また、図17及び図18に変形例として示すように、第2実施形態の放射線撮影装置100の接続部14に、摩擦機構44及び電磁ブレーキ124に加えて、一対の操作ハンドル224を設ける構成としてもよい。一対の操作ハンドル224は、図11に示すアーム12とは独立に設けられており、第1回転機構21に対してアーム12を変位させる操作力を手動操作によって入力可能である。
【0192】
具体的には、一対の操作ハンドル224は、同一の構成であり、把持部226と、把持部226に同軸回転可能に固定されたハンドル軸228と、を備えている。把持部226は、操作者が手で握って操作ハンドル224を操作する部位であり、本変形例では、ハンドル軸228よりも外径が大きい円柱形状となっている。
【0193】
図18に示すように、ハンドル軸228は、第1回転機構21を構成するプーリ軸48に平行に配置されており、図示しない軸受け部を介して接続部14の側面壁229に回転可能、かつ軸方向に移動可能に支持されている。なお、一対の操作ハンドル224のハンドル軸228同士は、互いに同一軸線上に配置されている。
【0194】
また、操作ハンドル224のハンドル軸228の一端は、接続部14の側面壁229から接続部14の外部に露出しており、このハンドル軸228の一端に把持部226が設けられている。すなわち、一対の操作ハンドル224の把持部226が、接続部14の両側面にそれぞれ突設されている。このため、操作者は、接続部14の両側からそれぞれ把持部226を握って操作ハンドル224を操作することが可能である。
【0195】
接続部14内に位置するハンドル軸228の他端には、操作ハンドル224から第1回転機構21への操作力の入力を有効にする有効状態と、無効にする無効状態と、を切り替える切り替え機構230が設けられている。
【0196】
切り替え機構230は、一対のハンドル軸228の軸方向の他端にそれぞれ同軸回転可能に固定された一対のギア232と、コイルばね等からなる付勢部材234と、を備えている。
【0197】
一対のギア232は、ハンドル軸228の軸方向において、互いに隙間をあけて対向している。また、ハンドル軸228の軸方向において、一対のギア232の間には、プーリ軸48に固定された第1ギア58が位置しており、ギア232がハンドル軸228の軸方向他端側に移動した際に、この第1ギア58とギア232とが噛み合う。
【0198】
付勢部材234は、一対のギア232間に設けられており、付勢部材234によってギア232同士が、離間する方向、すなわち軸部の軸方向一端側へ付勢されている。また、ギア232と接続部14の側面壁229との間には、スペーサ236が設けられている。スペーサ236は、ハンドル軸228が挿通された円筒部材であり、このスペーサ236によってギア232の側面壁229側への移動、すなわちハンドル軸228の軸方向一端側への移動が規制されている。
【0199】
操作ハンドル224を操作する場合には、接続部14の両側面に突設された一対の把持部226のうちの一方を操作者が手で握り、把持部226を接続部14の内部側、すなわちハンドル軸228の軸方向他端側へ押し込む。このとき、ハンドル軸228の軸方向端部に固定された切り替え機構230のギア232は、付勢部材234によってハンドル軸228の軸方向一端側へ付勢されている。このため、操作者は、この付勢部材234の付勢力に抗って把持部226を押し込む。
【0200】
一方の操作ハンドル224の把持部226を押し込むと、ハンドル軸228が軸方向他端側へ移動し、ハンドル軸228の他端に固定されたギア232も軸方向他端側へ移動する。このとき、他方の操作ハンドル224のギア232は、スペーサ236によって軸方向一端側への移動が規制されているため、軸方向に移動せず、一方のギア232が付勢部材234の付勢力に抗って他方のギア232に近づく。これにより、ギア232間に配置された第1ギア58と一方のギア232とが噛み合う。
【0201】
第1ギア58と一方のギア232が噛み合った状態で、把持部226を回転させると、把持部226の回転に伴ってハンドル軸228及びギア232が回転し、ギア232に噛み合っている第1ギア58が回転する。そして、第1ギア58が回転することで、プーリ軸48及びプーリ軸48に固定されたプーリ54が回転する。プーリ54には、図11に示すアーム12の両端に固定されたベルト46が巻き掛けられているため、プーリ54が回転することで、アーム12が軌道回転する。すなわち、操作ハンドル224を操作することにより、アーム12を回転させることが可能となる。
【0202】
なお、他方の操作ハンドル224の場合も、一方の操作ハンドル224の場合と同様に、他方の操作ハンドル224の把持部226を押し込んで他方のギア232と第1ギア58とを噛み合わせることにより、他方の操作ハンドル224を操作することによってアーム12を回転させることができる。
【0203】
本変形例によれば、操作ハンドル224により、アーム12自体を直接操作することなくアーム12を操作することが可能となる。また、第1回転機構21を介してアーム12を変位させるため、アーム12自体を直接操作する場合と比べて、アーム12の変位量の調整がしやすい。
【0204】
すなわち、操作ハンドル224の回転量とアーム12の回転量との関係については、例えば、第1回転機構21のギア比の設定を通じて行うことが可能である。そのため、操作ハンドル224の回転量に対するアーム12の回転量を小さくする設定が比較的簡単である。このような操作ハンドル224によって、アーム12の回転量の微調整がしやすい。
【0205】
また、照射部18及び受像部102を保持するアーム12は手術中に用いられる場合が多い。このようなアーム12とは独立に操作ハンドル224が設けられることにより、術者が操作する操作部位と補助者が操作する操作部位とを分けることが可能になる。このため、術者との接触によって汚染された操作部位を避けて、補助者がアーム12を回転させる、といった使い方も可能となる。
【0206】
また、上記実施形態では、アーム12を変位させる変位機構が、アーム12を回転させる回転機構(第1回転機構21及び第2回転機構23)であった。しかし、アーム12を変位させる変位機構は、回転機構には限らず、例えば図19に示すように、アームをスライド移動させるスライド機構240でもよい。
【0207】
具体的には、スライド機構240は、一端がアーム12に固定されたラック242と、本体部16に設けられたピニオン244と、を備えている。ラック242は、下面に複数の歯242Aが形成されており、本体部に16対して水平方向(X方向)に移動可能に取り付けられている。一方、ピニオン244は、外周面に複数の歯244Aが形成された円形歯車であり、本体部16に軸回りに回転可能に固定されている。
【0208】
ラック242の歯242Aにピニオン244の歯244Aが噛み合うことにより、ラック242とピニオン244が連動している。このため、アーム12を本体部16に対して手動にてスライド移動させると、ラック242が矢印R方向にスライド移動し、ラック242に噛み合っているピニオン244が回転する。
【0209】
また、ピニオン244には、図示しないギアが噛み合っており、このギアに摩擦機構44が連結されている。摩擦機構44は、第1実施形態と同様の構成であり、クラッチ66(図6参照)によってギアへの連結及び非連結状態が切り替え可能となっている。
【0210】
クラッチ66へ通電してギアと摩擦機構44とを連結すると(第1状態に相当)、摩擦機構44の摩擦力が、ピニオン244に作用する。この場合、ラック242をスライド移動させてピニオン244を回転させると、ラック242の移動方向とは逆向きの摩擦力がラック242に作用する。これにより、アーム12に対して摩擦力を作用させることができる。
【0211】
一方、クラッチ66への通電を遮断してギアと摩擦機構44とを非連結とすると(第2状態に相当)、摩擦機構44の摩擦力はピニオン244に作用しない。この場合、ラック242をスライド移動させてピニオン244を回転させても、摩擦機構44の摩擦力はラック242及びアーム12には作用しない。このように、アーム12のスライド移動に対しても、摩擦機構44による摩擦力を作用させることが可能となる。
【0212】
また、第2実施形態では、アーム12に対して着脱可能に取り付けられた受像部102が、筐体内に着脱不能に内蔵された検出器で構成されていた。しかし、図20A及び図20Bに変形例として示すように、アーム12に対して着脱可能に取り付けられた受像部246を、検出器248と収容部250とによって構成してもよい。
【0213】
具体的には、検出器248は、収容部250に対して着脱可能に収容されており、収容部250は、アーム12に対して着脱可能に取り付けられている。検出器248が収容部250に対して着脱可能であるというのは、検出器248がアーム12に対して着脱可能と同義であるため、こうした構成により、アーム12に取り付ける検出器248のサイズを変えることができる。
【0214】
また、収容部250も、アーム12に対して着脱可能である。こうすることで、検出器248のサイズを変更した場合において、アーム12の重量バランスを保ちやすい。アーム12の一例として示すCアームは、両端においてそれぞれ保持する照射部18(図11参照)と受像部246の重量バランスを取ることで、不用意な軌道回転を防止し、任意の回転位置で静止できるようになっている。
【0215】
より具体的には、アーム12の軌道回転の回転中心(図2Aにおいて軸線Mと一致する)と、照射部18及び受像部246を含めたアーム12全体の重心とを一致させることで、アーム12の重量バランスの作用によって、アーム12を任意の回転位置で静止させることが可能である。
【0216】
検出器248のサイズを変更すると、受像部246の重量が変化するため、アーム12の重心も軌道回転の回転中心から外れてしまう。そのため、検出器248に加えて収容部250もアーム12に対して着脱可能とすることで、検出器248の重量変化を収容部250の変更によって補うことができる。収容部250としては、例えば、重量調整用のバラストなどを変更することにより、重量が異なるものが複数種類用意される。これら複数種類の収容部250を使い分けることで、検出器248のサイズ変更による重量変化分を補うことができる。
【0217】
これにより、検出器248のサイズを変更した場合でも、それに合わせて収容部250を変更することにより、照射部18と受像部246の重量バランスを保ち、アーム12の重心を軌道回転の中心に一致させることが可能となる。
【0218】
受像部246を構成する検出器248は、第1及び第2実施形態の検出器と同様に、例えばフラットパネルディテクタ等からなり、図1に示す照射部18から照射され被写体Hを透過した放射線を受像面248Aで受けることにより、被写体Hの放射線画像を検出する。本実施形態においては、検出器248が可搬型の電子カセッテとして機能する。
【0219】
受像部246を構成する収容部250は、扁平な直方体形状の箱体であり、下面に形成された嵌合凹部252と、検出器248が収容される収容凹部254と、を有している。嵌合凹部252は、第2実施形態の受像部102の下面に形成された嵌合凹部108と同様の構成であり、アーム12の他端に設けられた嵌合凸部106と嵌合凹部252とが嵌合することで、収容部250がアーム12に着脱可能に取り付けられる。
【0220】
また、第2実施形態と同様に、アーム12には、収容部250のアーム12に対する着脱を規制するソレノイド116、及び着脱検知部としてのフォトセンサ120が設けられている。本実施形態では、フォトセンサ120は、収容部250がアーム12から取り外されているか否か、すなわち、受像部246を構成する収容部250及び検出器248の双方がアーム12から取り外されているか否かを検知する。
【0221】
図20Aに示すように、収容部250の4つの側面のうちの1つには、検出器248を収容凹部254内に収容するための開口254Aが形成されている。また、照射部18の照射開口34A(図1参照)と対向する収容部250の上面にも、収容凹部254と連通する正方形状の開口254Bが形成されている。
【0222】
検出器248が収容凹部254に収容された状態では、図20Bに示すように、検出器248の受像面248Aが収容部250の上面に形成された開口254Bから露出する。これにより、検出器248が収容部250、すなわちアーム12に取り付けられた状態であっても、照射部18(図1参照)から照射される放射線を検出器248の受像面248Aで受けることが可能となっている。
【0223】
また、収容部250には、検出器248が収容部250から取り外されているか否かを検知するフォトセンサ256が設けられている。フォトセンサ256は、収容凹部254内における収容部250の開口254Aが形成されている側面とは反対側の側面に設けられている。
【0224】
フォトセンサ256は、フォトセンサ120と同様の構成であり、発光素子から発光されて受光素子で受光された光の光量の変化を検知することにより、収容凹部254内における検出器248の有無を検知することができる。なお、検出器248が収容部250から取り外されているか否かを検知するセンサは、フォトセンサ256に限らず、例えば、圧電素子を利用した接触センサ、又はマイクロスイッチ等でもよい。
【0225】
また、収容凹部254内には、フォトセンサ256の他、検出器248を収容凹部254内に固定して検出器248の脱落を防止し、かつこれを解除する図示しない着脱規制機構を設けてもよい。
【0226】
一般的に、収容部250がアーム12に取り付けられ、かつ、検出器248が収容部250から取り外されている状態では、収容部250及び検出器248の双方がアーム12から取り外されている状態と比較して、アーム12の重量バランスの変化は小さい。
【0227】
ここで、本変形例では、例えばフォトセンサ120によって収容部250がアーム12に取り付けられていることが検知されており、かつ、フォトセンサ256によって検出器248が収容部250から取り外されたことが検知されている場合に、摩擦機構44を第1状態にする。すなわち、検出器248の取り外しに連動してアーム12に作用する摩擦力を大きくすることで、検出器248が取り外された場合にアーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
【0228】
なお、アーム12に受像部246(すなわち検出器248及び収容部250)が取り付けられている場合、アーム12に収容部250のみが取り付けられている場合、及びアーム12に受像部246が取り付けられていない場合の3段階で摩擦機構44の摩擦力を変化させる構成としてもよい。この場合、アーム12の重量バランスの変化の大きさに応じてアーム12に作用する摩擦力を調整することが可能となる。
【0229】
また、上記実施形態では、アーム12の変位操作(回転操作)が手動でのみ操作可能であったが、電動操作でアーム12を回転させてもよく、手動操作と電動操作とを切り替え可能であってもよい。
【0230】
また、上記実施形態では、第1回転機構21が、接続部14に設けられた軌道部22B及びプーリ軸48と、アーム12に形成された嵌合部22Aと、アーム12の両端に固定されたベルト46と、によって構成されていた。しかし、アーム12を支持部としての接続部14に対して軌道回転させることができる構成であれば、第1回転機構21はどのような構成とされていてもよい。
【0231】
例えば、接続部14に設けられた図示しない回転軸に同軸回転可能に固定されたピニオンと、アーム12の外周面に設けられ、ピニオンに噛み合う複数の歯が形成された図示しないラックと、によって第1回転機構を構成することも可能である。
【0232】
また、上記実施形態では、摩擦機構44の「第2状態」が、摩擦軸62の摩擦力がアーム12に作用しない状態(作用する摩擦力が0の状態)であった。しかし、摩擦機構44の「第2状態」は、少なくともアーム12に作用する摩擦力が「第1状態」より低減されていればよく、摩擦力が0の状態には限らない。例えば図7に示すナット82による締め付け力を調整して摩擦軸62に作用する摩擦力を「第1状態」より低減させることにより、摩擦機構44を「第2状態」としてもよい。
【0233】
また、上記実施形態では、摩擦機構44が「第1状態」の場合の摩擦力がアーム12に取り付け可能である受像部102の最大重量よりも大きかった。しかし、摩擦機構44が「第1状態」の場合の摩擦力はアーム12に取り付け可能である受像部102の最大重量よりも小さくてもよい。
【0234】
この場合、アーム12から受像部102を取り外した際にアーム12が回転するが、摩擦力と重量の差が小さければ、回転する勢いを小さくすることは可能であり、その場合でもアーム12が回転する勢いを低減するという効果は得られる。
【0235】
また、上記実施形態では、摩擦機構44を構成するクラッチ66として電磁クラッチを用いていたが、クラッチ66は電磁クラッチには限らず、例えばパウダークラッチ等、他の公知のクラッチを用いることが可能である。
【0236】
また、上記各実施形態において、アーム12として、軌道回転及び軸回転が可能なアーム(Cアーム)を例に説明したが、軸回転のみが可能なアーム(例えば側面形状がU字形状のUアーム)でもよい。Uアームも、Cアームと同様に、照射部18と受像部20、102等を対向する姿勢で保持することが可能である。
【0237】
なお、放射線としてX線を例に説明したが、X線に限らず、γ線等であってもよい。
【0238】
上記各実施形態において、制御部28といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0239】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0240】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0241】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0242】
10、100、200 放射線撮影装置
12 アーム
14 接続部
16 本体部
18 照射部
20、102、246 受像部
20A 受像面
21 第1回転機構
22A 嵌合部
22B 軌道部
23 第2回転機構
24 支持軸
25、50、68 軸受け部
26 キャスター
28、126、222 制御部
30 操作パネル
31 放射線源
32 放射線管
34 照射野限定器
34A 照射開口
36 回転軸
38 取付板
40 ケーブル
42 中空部
42A 溝
44、202 摩擦機構
46 ベルト
46A、242A、244A 歯
48 プーリ軸
52、216 フレーム
54 プーリ
54A 溝
56 アイドラ
58 第1ギア
60 第2ギア
60A、70A、84A 軸穴
62、210 摩擦軸
64、212 摩擦力発生部
66、214 クラッチ
70 側板
72A、72B 摩擦板
74 付勢部
76 規制板
78 皿ばねユニット
78A 皿ばね
80 緩衝板
82 ナット
84、124A、204A、218、212A ハウジング
86、220 軸固定部
104 台座
106 嵌合凸部
108、252 嵌合凹部
110 ピン
112 ピン孔
114 貫通孔
116 ソレノイド
116A 可動鉄芯
118 挿入孔
120 フォトセンサ(着脱検知部の一例)
122A、122B 端子
124、204 電磁ブレーキ
206 第3ギア
208 第4ギア
224 操作ハンドル
226 把持部
228 ハンドル軸
229 側面壁
230 機構
232 ギア
234 付勢部材
236 スペーサ
240 スライド機構
242 ラック
244 ピニオン
248 検出器
250 収容部
254 収容凹部
256 フォトセンサ
H 被写体
S 寝台
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B