(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】記録装置、読取装置、記録方法、記録プログラム、読取方法、読取プログラム、及び磁気テープ
(51)【国際特許分類】
G06F 16/13 20190101AFI20220826BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20220826BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20220826BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
G06F16/13 200
G06F16/13 100
G06F3/06 303G
G11B20/10 311
G11B20/10 321Z
G11B27/00 C
(21)【出願番号】P 2020507839
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011474
(87)【国際公開番号】W WO2019181949
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2018054858
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019032548
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 理貴
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053895(JP,A)
【文献】特開2015-041389(JP,A)
【文献】特開2018-010398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0060895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 3/06
G11B 20/10
G11B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ及び前記データに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ
少なくとも1つの前記オブジェクトを記録した後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する記録部を備え、
記録済の前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記記録部は、少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データを前記可搬型記録媒体に記録し、
前記可搬型記録媒体は、リファレンスパーティション及び前記オブジェクトが記録されるデータパーティションを含み、
前記記録部は、前記第1集合データ及び前記第2集合データを前記データパーティションに記録し、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを、前記リファレンスパーティションに記録する
記録装置。
【請求項2】
前記記録部は、前記可搬型記録媒体に記録済みの前記第2集合データのサイズが所定のサイズ以下の場合で、かつ前記オブジェクトを前記可搬型記録媒体に記録する場合に、前記第2集合データに上書きして記録する
請求項
1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを前記リファレンスパーティションに記録する場合、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを削除せずに前記リファレンスパーティションに記録する
請求項
1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記メタデータは、システム固有の識別情報、及び前記メタデータが含まれるオブジェクト固有の識別情報を含む
請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記可搬型記録媒体は、磁気テープである
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
リファレンスパーティションと、データ及び前記データに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体の前記データパーティションに記録されたオブジェクトの前記可搬型記録媒体上の位置を、前記リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、前記データパーティションに記録された前記第2集合データ、前記データパーティションに記録された第1集合データ、及び前記データパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定する特定部と、
前記特定部により特定された位置に記録されたオブジェクトを読み取る読取部と、
を備え、
前記データパーティションには、少なくとも1つの前記オブジェクトの後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データが記録され、
記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記可搬型記録媒体において、少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データが記録され、
前記第1集合データ及び前記第2集合データが前記データパーティションに記録され、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合に、前記データパーティションに記録された前記第2集合データが、前記リファレンスパーティションに記録される、
読取装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、前記データパーティションに記録された前記第2集合データ、前記データパーティションに記録された第1集合データ、及び前記データパーティションに記録されたメタデータの順番で参照して前記位置を特定する
請求項
6に記載の読取装置。
【請求項8】
データ及び前記データに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ
少なくとも1つの前記オブジェクトを記録した後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する処理であって、記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である処理
をコンピュータが実行する記録方法
であって、
前記可搬型記録媒体は、リファレンスパーティション及び前記オブジェクトが記録されるデータパーティションを含み、
前記処理は、
少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データを前記可搬型記録媒体に記録し、
前記第1集合データ及び前記第2集合データを前記データパーティションに記録し、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを、前記リファレンスパーティションに記録する
ことを含む、記録方法。
【請求項9】
データ及び前記データに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ
少なくとも1つの前記オブジェクトを記録した後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する処理であって、記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である処理
をコンピュータに実行させるための記録プログラム
であって、
前記可搬型記録媒体は、リファレンスパーティション及び前記オブジェクトが記録されるデータパーティションを含み、
前記処理は、
少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データを前記可搬型記録媒体に記録し、
前記第1集合データ及び前記第2集合データを前記データパーティションに記録し、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを、前記リファレンスパーティションに記録する
ことを含む、記録プログラム。
【請求項10】
コンピュータに記録処理を実行させるプログラムを記憶した持続性の記憶媒体であって、前記記録処理が、
データ及び前記データに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ
少なくとも1つの前記オブジェクトを記録した後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行
し、
記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データを前記可搬型記録媒体に記録し、
前記可搬型記録媒体は、リファレンスパーティション及び前記オブジェクトが記録されるデータパーティションを含み、
前記第1集合データ及び前記第2集合データを前記データパーティションに記録し、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを、前記リファレンスパーティションに記録する ことを含む、記憶媒体。
【請求項11】
リファレンスパーティションと、データ及び前記データに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体の前記データパーティションに記録されたオブジェクトの前記可搬型記録媒体上の位置を、前記リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、前記データパーティションに記録された前記第2集合データ、前記データパーティションに記録された第1集合データ、及び前記データパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定し、
特定した位置に記録されたオブジェクトを読み取
る
処理をコンピュータが実行する読取方法であって、
前記データパーティションには、少なくとも1つの前記オブジェクトの後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データが記録され、
記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記可搬型記録媒体において、少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データが記録され、
前記第1集合データ及び前記第2集合データが前記データパーティションに記録され、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合に、前記データパーティションに記録された前記第2集合データが、前記リファレンスパーティションに記録される、
読取方法。
【請求項12】
リファレンスパーティションと、データ及び前記データに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体の前記データパーティションに記録されたオブジェクトの前記可搬型記録媒体上の位置を、前記リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、前記データパーティションに記録された前記第2集合データ、前記データパーティションに記録された第1集合データ、及び前記データパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定し、
特定した位置に記録されたオブジェクトを読み取
る
処理をコンピュータに実行させるための読取プログラムであって、
前記データパーティションには、少なくとも1つの前記オブジェクトの後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データが記録され、
記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記可搬型記録媒体において、少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データが記録され、
前記第1集合データ及び前記第2集合データが前記データパーティションに記録され、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合に、前記データパーティションに記録された前記第2集合データが、前記リファレンスパーティションに記録される、
読取プログラム。
【請求項13】
コンピュータに読取処理を実行させるプログラムを記憶した持続性の記憶媒体であって、前記読取処理が、
リファレンスパーティションと、データ及び前記データに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体の前記データパーティションに記録されたオブジェクトの前記可搬型記録媒体上の位置を、前記リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、前記データパーティションに記録された前記第2集合データ、前記データパーティションに記録された第1集合データ、及び前記データパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定し、
特定した位置に記録されたオブジェクトを読み取る
ことを含み、
前記データパーティションには、少なくとも1つの前記オブジェクトの後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データが記録され、
記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記可搬型記録媒体において、少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データが記録され、
前記第1集合データ及び前記第2集合データが前記データパーティションに記録され、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合に、前記データパーティションに記録された前記第2集合データが、前記リファレンスパーティションに記録される、
記憶媒体。
【請求項14】
リファレンスパーティション及びデータパーティションを含み、
データ及び前記データに関するメタデータを含む複数のオブジェクトが記録され、
少なくとも1つの前記オブジェクトが記録された後に、前記少なくとも1つのオブジェクトに含まれる前記メタデータの集合である第1集合データが記録される処理が、所定のタイミング毎に実行される磁気テープであって、記録済みの前記第1集合データが存在する場合、新たに記録される前記第1集合データのそれぞれは、当該新たに記録される前記第1集合データの直前の記録済みの前記第1集合データの記録後であって、当該新たに記録される第1集合データの記録前に記録された少なくとも1つの前記オブジェクトに含まれる前記メタデータの集合であ
り、
前記処理は、
少なくとも1つの前記第1集合データを記録した後に、記録済みの前記第1集合データの集合である第2集合データを前記磁気テープに記録し、
前記第1集合データ及び前記第2集合データを前記データパーティションに記録し、かつ前記データパーティションに記録された前記第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、前記データパーティションに記録された前記第2集合データを、前記リファレンスパーティションに記録する
ことを含む、磁気テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録装置、読取装置、記録方法、記録プログラム、読取方法、読取プログラム、及び磁気テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気テープ等の可搬型記録媒体を用いるファイルシステムとして、LTFS(Linear Tape File System)が知られている。
【0003】
このファイルシステムに関する技術として、特開2016-4413号公報には、複数のファイルを、1つの結合ファイルとなるように連続してテープに書き込む技術が開示されている。この技術では、テープ上の結合ファイルの開始位置及びサイズを含む第1のインデックスをテープに書き込んだ後、テープ上の結合ファイル中の複数のファイルの各々についての開始位置及びサイズを含む第2のインデックスをテープに書き込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図17に示すように、前述したLTFSでは、磁気テープの記録領域は、インデックスパーティション及びデータパーティションに分割される。文書データ及び画像データ等のユーザが保存対象とするデータは、磁気テープのデータパーティションの先頭から記録される。そして、例えば、記録されたデータのサイズの合計が所定のサイズを超えた場合に、記録されたデータ各々の磁気テープ上の位置を表す情報を含むインデックス(
図17中のindex1)がデータパーティションに記録される。
【0005】
また、インデックスが記録された後にデータが所定のサイズを超えて記録されると、新たなインデックス(
図17中のindex2)が記録される。このインデックスには、磁気テープの先頭から記録された全てのデータ各々の磁気テープ上の位置を表す情報が含まれる。
【0006】
従って、磁気テープに多数のデータが記録されるほどインデックスのサイズも大きくなり、磁気テープの実効容量が低下してしまう、という問題点がある。なお、ここでは、実効容量とは、磁気テープにおけるユーザが保存対象とするデータを記録できる容量を意味する。
【0007】
特開2016-4413号公報に記載の技術では、多数の小サイズのデータを磁気テープに記録する場合のデータ転送速度については考慮されているものの、前述したインデックスのサイズの増大に伴う磁気テープの実効容量の低下については考慮されていない。なお、上記問題点は、磁気テープに限らず、インデックスが記録される時点までに記録された全てのデータの記録位置を表す情報がインデックスに含まれることによってインデックスが肥大化する方式を適用した他の可搬型記録媒体でも発生し得るものである。
【0008】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、可搬型記録媒体の実効容量の低下を抑制することができる記録装置、読取装置、記録方法、記録プログラム、読取方法、読取プログラム、及び磁気テープを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の記録装置は、データ及びデータに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ少なくとも1つのオブジェクトを記録した後に、オブジェクトに含まれるメタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する記録部を備え、第1集合データのそれぞれは、直前の記録済みの第1集合データの記録後に記録されたオブジェクトに含まれるメタデータの集合である。
【0010】
なお、本開示の記録装置は、記録部は、少なくとも1つの第1集合データを記録した後に、記録済みの第1集合データの集合である第2集合データを可搬型記録媒体に記録してもよい。
【0011】
また、本開示の記録装置は、記録部が、可搬型記録媒体に記録済みの第2集合データのサイズが所定のサイズ以下の場合で、かつオブジェクトを可搬型記録媒体に記録する場合に、第2集合データに上書きして記録してもよい。
【0012】
また、本開示の記録装置は、可搬型記録媒体が、リファレンスパーティション及びオブジェクトが記録されるデータパーティションを含み、記録部が、第1集合データ及び第2集合データをデータパーティションに記録し、かつデータパーティションに記録された第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、データパーティションに記録された第2集合データを、リファレンスパーティションに記録してもよい。
【0013】
また、本開示の記録装置は、記録部が、データパーティションに記録された第2集合データをリファレンスパーティションに記録する場合、データパーティションに記録された第2集合データを削除せずにリファレンスパーティションに記録してもよい。
【0014】
また、本開示の記録装置は、メタデータが、システム固有の識別情報、及びメタデータが含まれるオブジェクト固有の識別情報を含んでもよい。
【0015】
また、本開示の記録装置は、可搬型記録媒体が、磁気テープであってもよい。
【0016】
本開示の読取装置は、リファレンスパーティションと、データ及びデータに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体のデータパーティションに記録されたオブジェクトの可搬型記録媒体上の位置を、リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第1集合データ、及びデータパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定する特定部と、特定部により特定された位置に記録されたオブジェクトを読み取る読取部と、を備えている。
【0017】
なお、本開示の読取装置は、特定部が、リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第1集合データ、及びデータパーティションに記録されたメタデータの順番で参照して上記位置を特定してもよい。
【0018】
本開示の記録方法は、データ及びデータに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ少なくとも1つのオブジェクトを記録した後に、オブジェクトに含まれるメタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する処理であって、第1集合データのそれぞれは、直前の記録済みの第1集合データの記録後に記録されたオブジェクトに含まれるメタデータの集合である処理をコンピュータが実行するものである。
【0019】
本開示の記録プログラムは、データ及びデータに関するメタデータを含む複数のオブジェクトを可搬型記録媒体に記録し、かつ少なくとも1つのオブジェクトを記録した後に、オブジェクトに含まれるメタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する処理であって、第1集合データのそれぞれは、直前の記録済みの第1集合データの記録後に記録されたオブジェクトに含まれるメタデータの集合である処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0020】
本開示の読取方法は、リファレンスパーティションと、データ及びデータに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体のデータパーティションに記録されたオブジェクトの可搬型記録媒体上の位置を、リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第1集合データ、及びデータパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定し、特定した位置に記録されたオブジェクトを読み取る処理をコンピュータが実行するものである。
【0021】
本開示の読取プログラムは、リファレンスパーティションと、データ及びデータに関するメタデータを含むオブジェクトが記録されるデータパーティションとを含む可搬型記録媒体のデータパーティションに記録されたオブジェクトの可搬型記録媒体上の位置を、リファレンスパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第2集合データ、データパーティションに記録された第1集合データ、及びデータパーティションに記録されたメタデータの少なくとも1つを用いて特定し、特定した位置に記録されたオブジェクトを読み取る処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0022】
本開示の磁気テープはデータ及びデータに関するメタデータを含む複数のオブジェクトが記録され、少なくとも1つのオブジェクトが記録された後に、オブジェクトに含まれるメタデータの集合である第1集合データが記録される処理が、所定のタイミング毎に実行される磁気テープであって、第1集合データのそれぞれは、直前の記録済みの第1集合データの記録後に記録されたオブジェクトに含まれるメタデータの集合であるものである。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、可搬型記録媒体の実効容量の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】各実施形態に係る記録読取システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】各実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】各実施形態に係る情報処理装置のオブジェクトを記録する場合の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】各実施形態に係る磁気テープの初期状態の一例を示す図である。
【
図5】各実施形態に係る磁気テープの記録状態の一例を示す図である。
【
図6】各実施形態に係る磁気テープの記録状態の一例を示す図である。
【
図7】各実施形態に係る磁気テープの記録状態の一例を示す図である。
【
図8】各実施形態に係る磁気テープの記録状態の一例を示す図である。
【
図9】各実施形態に係る磁気テープの記録状態の一例を示す図である。
【
図10】各実施形態に係る記録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】各実施形態に係る情報処理装置のオブジェクトを読み取る場合の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】各実施形態に係るメタデータ記憶処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】各実施形態に係るオブジェクト読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第2実施形態に係る磁気テープを他のシステムで使用する場合の一例を示す模式図である。
【
図15】第2実施形態に係るメタデータに含める識別情報を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態に係るオブジェクト固有の識別情報が重複した場合を説明するための図である。
【
図17】LTFSにおけるインデックスの記録処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る記録読取システム10の構成を説明する。
図1に示すように、記録読取システム10は、情報処理装置12及びテープライブラリ14を含む。テープライブラリ14は、情報処理装置12に接続される。また、情報処理装置12と複数台の端末16とは、ネットワークNに接続され、ネットワークNを介して通信が可能とされる。
【0027】
テープライブラリ14は、複数のスロット(図示省略)及び複数のテープドライブ18を備え、各スロットには磁気テープTが格納される。磁気テープTは、シーケンシャルアクセスによりデータの書き込み又は読み取りが行われる可搬型記録媒体の一例である。なお、磁気テープTの例としては、LTO(Linear Tape-Open)テープが挙げられる。
【0028】
情報処理装置12により磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りを行う場合、書き込み又は読み取り対象の磁気テープTがスロットから所定のテープドライブ18にロードされる。テープドライブ18にロードされた磁気テープTに対する情報処理装置12による書き込み又は読み取りが完了すると、磁気テープTは、テープドライブ18から元々格納されていたスロットにアンロードされる。
【0029】
本実施形態では、磁気テープTに記録するデータのフォーマットとして、文書データ及び画像データ等のユーザが保存対象とするデータと、そのデータに関するメタデータとを含むオブジェクトを適用した形態例を説明する。なお、このオブジェクトを取り扱うストレージシステムは、オブジェクトストレージシステムと称される。
【0030】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12のハードウェア構成を説明する。
図2に示すように、情報処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、情報処理装置12は、液晶ディスプレイ等の表示部23、キーボードとマウス等の入力部24、ネットワークNに接続されるネットワークI/F(InterFace)25、及びテープライブラリ14が接続される外部I/F26を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、表示部23、入力部24、ネットワークI/F25、及び外部I/F26は、バス27に接続される。
【0031】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、記録プログラム30及び読取プログラム32が記憶される。CPU20は、記憶部22から記録プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した記録プログラム30を実行する。また、CPU20は、記憶部22から読取プログラム32を読み出してからメモリ21に展開し、展開した読取プログラム32を実行する。なお、情報処理装置12の例としては、サーバコンピュータ等が挙げられる。また、情報処理装置12が、磁気テープTにオブジェクトを記録する記録装置の一例である。また、情報処理装置12は、磁気テープTに記録されたオブジェクトを読み取る読取装置の一例でもある。
【0032】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の磁気テープTにオブジェクトを記録する場合の機能的な構成について説明する。
図3に示すように、情報処理装置12は、受付部40及び記録部42を含む。CPU20が記録プログラム30を実行することにより、受付部40及び記録部42として機能する。また、記憶部22の所定の記憶領域には、データキャッシュ44及びメタデータデータベース(DB)46が記憶される。データキャッシュ44及びメタデータDB46は磁気テープT毎に用意される。
【0033】
受付部40は、オブジェクトを取り扱うためのAPI(Application Programming Interface)を用いて端末16から送信されたデータ及びそのデータに関するメタデータを、ネットワークI/F25を介して受け付ける。そして、受付部40は、受け付けたデータをデータキャッシュ44に記憶し、メタデータをメタデータDB46に記憶する。なお、端末16から送信されたメタデータには、対応するデータのデータ名等の識別情報、データのサイズ、及びタイムスタンプ等のデータの属性を示す属性情報が含まれる。また、受付部40は、受け付けたデータ及びメタデータを含むオブジェクト固有の識別情報をメタデータに追加する。
【0034】
図4に、データキャッシュ44にデータが記憶され、メタデータDB46にメタデータが記憶された状態の一例を示す。また、
図4では、磁気テープTはフォーマットされた直後で、まだオブジェクトが記録されていない状態である。
【0035】
図4に示すように、データキャッシュ44にはデータが記憶され、メタデータDB46にはデータに対応付けてメタデータが記憶される。また、本実施形態に係る磁気テープTは、フォーマットされる際に、リファレンスパーティションRPと、オブジェクトが記録されるデータパーティションDPとの2つのパーティションに分割される。また、リファレンスパーティションRP及びデータパーティションDPは、複数本のラップを含んで構成されるガードラップスGWによって区分される。また、リファレンスパーティションRP及びデータパーティションDPそれぞれの先頭には、ラベルが記録される。このラベルには、磁気テープTの識別情報、及び磁気テープTへのデータの書き込み形式に関するフォーマット情報等が含まれる。
【0036】
記録部42は、テープライブラリ14を制御し、オブジェクトの記録対象の磁気テープTを所定のテープドライブ18にロードする。また、記録部42は、データキャッシュ44に記憶されたデータ、及びメタデータDB46に記憶された対応するメタデータを含むオブジェクトを、ロードした磁気テープTのデータパーティションDPに記録する。この際、記録部42は、メタデータに、対応するオブジェクトが記録される磁気テープTの識別情報、及び磁気テープT上の記録位置を表す情報等のオブジェクトを管理するための管理情報を追加する。
図5に、2つのオブジェクトがデータパーティションDPに記録された状態の一例を示す。
【0037】
また、記録部42は、所定のタイミング毎に、記録したオブジェクトのメタデータの集合をデータパーティションDPに記録する。なお、以下では、このメタデータの集合を「第1集合データ」という。本実施形態では、記録部42は、記録したオブジェクトのサイズの合計が所定のサイズを超える毎に、記録したオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データをデータパーティションDPに記録する。この際、記録部42は、すでにデータパーティションDPに記録済みの第1集合データが存在する場合は、直前の第1集合データの後に記録されたオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データをデータパーティションDPに記録する。すなわち、記録部42は、少なくとも1つのオブジェクトを記録した後に、オブジェクトに含まれるメタデータの集合である第1集合データを記録する処理を、所定のタイミング毎に実行する。そして、記録部42は、第1集合データのそれぞれが、直前の記録済みの第1集合データの記録後に記録されたすべてのオブジェクトに含まれるメタデータの集合となるように上記処理を実行する。従って、第1集合データのそれぞれは、直前の第1集合データと自身との間に記録されたすべてのオブジェクトのメタデータの集合となる。以上の処理は、この第1集合データよりも前に記録されたオブジェクトは正常に書き込まれたことを保証するコミット処理に相当する。なお、この場合における上記所定のサイズは、例えば、このコミット処理が長時間行われないことを防止するための値として予め定められている。また、例えば、この場合における上記所定のサイズは、磁気テープTの記録容量に所定の割合を乗算して得られたサイズ等、磁気テープTの記録容量、磁気テープTの使用環境又は使用条件等に応じて実験的に決めたり変更したりしてもよい。
【0038】
また、例えば、この場合における上記所定のサイズは、一度の記録指示によってオブジェクトをまとめてデータパーティションDPに記録する場合にかかる時間(以下、「記録時間」という)の上限値に応じて定められてもよい。例えば、システムの要求性能としての記録時間の上限値が35秒の場合で、かつ磁気テープTへのデータの記録速度が300MB/secの場合、記録対象のオブジェクトのサイズの合計値が10GB以下であれば、記録時間が35秒以下になる。従って、この場合、上記所定のサイズを10GBとすればよい。
【0039】
また、記録部42は、少なくとも1つの第1集合データをデータパーティションDPに記録した後に、データパーティションDPに記録済みの第1集合データの集合をデータパーティションDPに記録する。なお、以下では、この第1集合データの集合を「第2集合データ」という。この際、記録部42は、すでにデータパーティションDPに第2集合データが存在する場合は、直前の第1集合データの集合の後に記録された第1集合データの集合である第2集合データをデータパーティションDPに記録する。従って、第2集合データのそれぞれは、直前の第2集合データと自身との間に記録されたすべての第1集合データの集合となる。
【0040】
なお、本実施の形態では、記録されたすべてのオブジェクトのメタデータを集合データとして記録する場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、記録容量の低下防止や記録の効率化、不必要な情報の削減という目的においては、必ずしも記録されたすべてのオブジェクトのメタデータを記録の対象とする必要はない。
【0041】
データパーティションDPに第1集合データが記録されていない場合、
図6に示すように、データパーティションDPの先頭から記録済みのメタデータの集合である第1集合データがデータパーティションDPに記録される。また、データパーティションDPに第2集合データが記録されていない場合、データパーティションDPの先頭から記録済みの第1集合データの集合である第2集合データがデータパーティションDPに記録される。なお、
図6では、第1集合データを「第1集合」と表記し、第2集合データを「第2集合」と表記している。また、この表記は、後述する
図7~
図9でも同様である。
【0042】
また、
図6に示すように、記録部42は、第1集合データ及び第2集合データをデータパーティションDPに記録する場合、第1集合データの前後及び第2集合データの前後にファイルマークを記録する。このファイルマークを用いることによって、データパーティションDPに記録済みの第1集合データ及び第2集合データを探索することができる。
【0043】
また、データパーティションDPに第1集合データが記録されている場合、
図7に示すように、直前の第1集合データの後に記録されたオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データがデータパーティションDPに記録される。また、データパーティションDPに第2集合データが記録されている場合、直前の第2集合データの後に記録された第1集合データの集合である第2集合データがデータパーティションDPに記録される。すなわち、本実施形態では、データパーティションDPに記録された複数の第1集合データにメタデータが重複して含まれないため、磁気テープTの実効容量の低下を抑制することができる。また、本実施形態では、データパーティションDPに記録された複数の第2集合データに第1集合データが重複して含まれないため、磁気テープTの実効容量の低下を抑制することができる。
【0044】
また、記録部42は、オブジェクトをデータパーティションDPに記録する場合、直前の第2集合データのサイズが所定のサイズ以下の場合は、その第2集合データにオブジェクトを上書きして記録する。
図7では、
図6の第2集合データが上書きされた例を示している。なお、この場合における上記所定のサイズは、例えば、磁気テープTの記録速度に応じて予め定められている。また、例えば、この場合における上記所定のサイズは、磁気テープTの記録容量に所定の割合を乗算して得られたサイズ等、磁気テープTの記録容量、磁気テープTの使用環境又は使用条件等に応じて実験的に決めたり変更したりしてもよい。
【0045】
また、
図8に示すように、記録部42は、データパーティションDPに記録した第2集合データのサイズが所定のサイズを超える場合は、その第2集合データを削除せずにリファレンスパーティションRPに記録(コピー)する。この際、記録部42は、リファレンスパーティションRPの第2集合データの前後にもファイルマークを記録する。
【0046】
また、
図9に示すように、記録部42は、データキャッシュ44に記憶されたデータのデータパーティションDPへの記録が完了し、磁気テープTをアンロードする場合も、同様に第1集合データ及び第2集合データをデータパーティションDPに記録する。この場合、記録部42は、第2集合データをリファレンスパーティションRPにも記録する。
【0047】
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の磁気テープTにオブジェクトを記録する場合の作用を説明する。CPU20が記録プログラム30を実行することによって、
図10に示す記録処理が実行される。
図10に示す記録処理は、例えば、受付部40により端末16から送信されたデータ及びメタデータが受け付けられ、データ及びメタデータがそれぞれデータキャッシュ44及びメタデータDB46に記憶された後に実行される。なお、ここでは、記録対象の磁気テープTは、テープドライブ18にロードされているものとする。
【0048】
図10のステップS10で、記録部42は、データキャッシュ44に記憶されたデータ、及びメタデータDB46に記憶された対応するメタデータを取得する。本ステップS10が繰り返し実行される際は、記録部42は、それまでに取得していないデータ及びメタデータを取得する。
【0049】
ステップS12で、記録部42は、磁気テープTのデータパーティションDP上のオブジェクトの記録位置の直前に第2集合データが記録され、かつその第2集合データのサイズが所定のサイズ以下であるか否かを判定する。この判定が肯定判定となった場合は、処理はステップS16に移行し、否定判定となった場合は、処理はステップS14に移行する。
【0050】
ステップS14で、記録部42は、ステップS10の処理により取得されたデータ及びメタデータを含むオブジェクトをデータパーティションDPの第2集合データを削除せずに記録する。一方、ステップS16で、記録部42は、ステップS10の処理により取得されたデータ及びメタデータを含むオブジェクトを、所定のサイズ以下の第2集合データに上書きして記録する。
【0051】
ステップS18で、記録部42は、ステップS10からステップS16までの繰り返し処理によりデータパーティションDPに記録されたオブジェクトのサイズの合計が所定のサイズを超えたか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS10に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS20に移行する。
【0052】
ステップS20で、記録部42は、前述したように、前回のステップS20で記録された直前の第1集合データの後に記録されたオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データをデータパーティションDPに記録する。ステップS22で、記録部42は、前述したように、前回のステップS22で記録された直前の第2集合データの後にデータパーティションDPに記録された第1集合データの集合である第2集合データをデータパーティションDPに記録する。
【0053】
ステップS24で、記録部42は、ステップS22の処理により記録された第2集合データのサイズが所定のサイズを超えているか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS28に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS26に移行する。ステップS26で、記録部42は、ステップS22の処理により記録された第2集合データをリファレンスパーティションRPに記録(コピー)する。
【0054】
ステップS28で、記録部42は、データキャッシュ44に記憶された全てのデータをデータパーティションDPに記録したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS10に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS30に移行する。ステップS30で、記録部42は、第1集合データ及び第2集合データをデータパーティションDPに記録し、かつ第2集合データをリファレンスパーティションRPに記録する。
【0055】
ステップS32で、記録部42は、テープライブラリ14を制御し、磁気テープTをテープドライブ18からアンロードする。ステップS32の処理が終了すると、記録処理が終了する。
【0056】
次に、
図11を参照して、以上説明したようにオブジェクトが記録された磁気テープTからオブジェクトを読み取る場合の情報処理装置12の機能的な構成について説明する。
図11に示すように、情報処理装置12は、読取部50、受付部52、特定部54、及び送信部56を含む。CPU20が読取プログラム32を実行することにより、読取部50、受付部52、特定部54、及び送信部56として機能する。
【0057】
障害からの復旧時等に、情報処理装置12の管理者は、磁気テープTをテープドライブ18にロードさせる。磁気テープTがテープドライブ18にロードされると、読取部50は、以下に示すように、メタデータをメタデータDB46に記憶する。すなわち、この場合、読取部50は、ロードされた磁気テープTのリファレンスパーティションRPに記録された第2集合データ、データパーティションDPに記録された第2集合データ、データパーティションDPに記録された第1集合データ、及びデータパーティションDPに記録されたメタデータの順番で参照してメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0058】
具体的には、読取部50は、リファレンスパーティションRPに記録された第2集合データを読み取り、読み取った第2集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。また、読取部50は、リファレンスパーティションRPに第2集合データが存在しない場合は、データパーティションDPに記録された第2集合データを読み取り、読み取った第2集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0059】
また、読取部50は、リファレンスパーティションRP及びデータパーティションDPに第2集合データが存在しない場合は、データパーティションDPに記録された第1集合データを読み取り、読み取った第1集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0060】
また、読取部50は、リファレンスパーティションRP及びデータパーティションDPに第2集合データ及び第1集合データが存在しない場合は、データパーティションDPに記録されたメタデータを読み取り、読み取ったメタデータをメタデータDB46に記憶する。なお、読取部50は、磁気テープT上に記録されているメタデータを読み取る際に、ハッシュ値等の比較によりすでにメタデータDB46に存在するメタデータは読み取らなくてもよい。
【0061】
また、読取部50は、後述する特定部54により特定された磁気テープT上の位置に記録されたオブジェクトを読み取る。
【0062】
受付部52は、端末16からネットワークNを介して送信されたオブジェクトの読み取り指示を、ネットワークI/F25を介して受け付ける。この読み取り指示には、オブジェクト固有の識別情報が含まれる。
【0063】
特定部54は、メタデータDB46を参照し、受付部52により受け付けられた識別情報を含むメタデータを用いて、その識別情報が示すオブジェクトの磁気テープT上の位置を特定する。
【0064】
送信部56は、読取部50により読み取られたオブジェクトを、ネットワークI/F25を介して端末16に送信する。
【0065】
次に、
図12及び
図13を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の磁気テープTからオブジェクトを読み取る場合の作用を説明する。CPU20が読取プログラム32を実行することによって、
図12に示すメタデータ記憶処理、及び
図13に示すオブジェクト読取処理が実行される。
図12に示すメタデータ記憶処理は、例えば、磁気テープTがテープドライブ18にロードされた場合に実行される。また、
図13に示すオブジェクト読取処理は、例えば、端末16からネットワークNを介して送信されたオブジェクトの読み取り指示を情報処理装置12が受信した場合に実行される。
【0066】
図12のステップS40で、読取部50は、ロードされた磁気テープTのリファレンスパーティションRPに、第2集合データが存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS44に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS42に移行する。ステップS42で、読取部50は、リファレンスパーティションRPに記録された第2集合データを読み取り、読み取った第2集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0067】
ステップS44で、読取部50は、ロードされた磁気テープTのデータパーティションDPに、第2集合データが存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS48に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS46に移行する。ステップS46で、読取部50は、データパーティションDPに記録された第2集合データを読み取り、読み取った第2集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0068】
ステップS48で、読取部50は、ロードされた磁気テープTのデータパーティションDPに、第1集合データが存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS52に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS50に移行する。ステップS50で、読取部50は、データパーティションDPに記録された第1集合データを読み取り、読み取った第1集合データに含まれるメタデータをメタデータDB46に記憶する。
【0069】
ステップS52で、読取部50は、データパーティションDPに記録されたメタデータを読み取り、読み取ったメタデータをメタデータDB46に記憶する。ステップS42、ステップS46、ステップS50、又はステップS52の処理が終了すると、メタデータ記憶処理が終了する。
【0070】
図13のステップS60で、受付部52は、前述したように、端末16からネットワークNを介して送信されたオブジェクトの読み取り指示を、ネットワークI/F25を介して受け付ける。ステップS62で、特定部54は、メタデータDB46を参照し、ステップS60の処理により受け付けられた識別情報を含むメタデータを用いて、その識別情報が示すオブジェクトの磁気テープT上の位置を特定する。
【0071】
ステップS64で、読取部50は、ステップS62の処理により特定された磁気テープT上の位置に記録されたオブジェクトを読み取る。ステップS66で、送信部56は、ステップS64の処理により読み取られたオブジェクトを、ネットワークI/F25を介して端末16に送信する。ステップS68で、読取部50は、テープライブラリ14を制御し、磁気テープTをテープドライブ18からアンロードする。ステップS68の処理が終了すると、オブジェクト読取処理が終了する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、磁気テープTの実効容量の低下を抑制することができる。また、本実施形態によれば、メタデータが、リファレンスパーティションRP内の第2集合データと、データパーティションDP内の第2集合データ、第1集合データ、及びメタデータとに記録されているため、耐障害性を高めることができる。また、本実施形態によれば、第1集合データ間のメタデータの重複、及び各パーティション内の第2集合データ間のメタデータの重複を避けることによって、第1集合データ及び第2集合データのサイズの増大を抑制している。従って、磁気テープTへの第1集合データ及び第2集合データの記録に費やされる時間の増大を抑制することができる結果、実効記録速度の低下を抑制することができる。更に、本実施形態によれば、第2集合データが所定のサイズを超えないように分割している。このため、一回に記録される第1集合データ及び第2集合データのサイズの増大が抑制される結果、実効記録速度の低下を抑制することができる。なお、ここでいう実効記録速度とは、ユーザが記録対象とするデータを磁気テープTに記録を開始してから終了するまでの記録速度(すなわち、メタデータの記録も含む記録速度)を意味する。また、この実効記録速度は、ユーザが記録対象とするデータのサイズを、そのデータを磁気テープTに記録を開始してから終了するまでの時間で除算することにより求められる速度である。
【0073】
[第2実施形態]
開示の技術の第2実施形態を説明する。なお、本実施形態に係る記録読取システム10及び情報処理装置12の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、本実施形態に係る情報処理装置12の作用も、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、
図14に示すように、情報処理装置12によりオブジェクトが記録された磁気テープTを輸送し、他のシステムで使用することを想定する。第1実施形態では、メタデータにオブジェクト固有の識別情報を含めたが、この場合、システム内で固有の識別情報だと、他のシステムでも同一の識別情報を使用していることが考えられる。なお、
図14では、オブジェクト固有の識別情報を「ObjectID」と表記している。
【0075】
そこで、本実施形態では、
図15に示すように、情報処理装置12は、端末16から送信されたデータ及びメタデータを含むオブジェクトを生成する際に、オブジェクト固有の識別情報に加えて、システム固有の識別情報をメタデータに含める。なお、
図15では、オブジェクト固有の識別情報を「ObjectID」と表記し、システム固有の識別情報を「SystemID」と表記している。
【0076】
図16に示すように、メタデータにシステム固有の識別情報も含めることにより、情報処理装置12によりオブジェクトが記録された磁気テープTを他のシステムで使用する場合に、以下に示すようにオブジェクトを識別することができる。すなわち、この場合、オブジェクトの識別情報が重複している場合でも、オブジェクト固有の識別情報に加えて、システム固有の識別情報も用いることにより、オブジェクトを識別することができる。
【0077】
なお、上記各実施形態では、記録したオブジェクトのサイズの合計が所定のサイズを超える毎に、記録したオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データをデータパーティションDPに記録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、記録したオブジェクトの数が所定数を超える毎に、記録したオブジェクトのメタデータの集合である第1集合データをデータパーティションDPに記録する形態としてもよい。また、例えば、最後にオブジェクトを記録してから所定の時間が経過したタイミングで、第1集合データをデータパーティションDPに記録する形態としてもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、可搬型記録媒体として磁気テープを適用した場合について説明したが、これに限定されない。可搬型記録媒体として磁気テープ以外の可搬型の記録媒体を適用する形態としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を実行することにより実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各種処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0080】
また、上記実施形態では、記録プログラム30及び読取プログラム32が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。記録プログラム30及び読取プログラム32は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の持続性の(non-transitory)記憶媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、記録プログラム30及び読取プログラム32は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0081】
本願は2018年3月22日出願の日本出願第2018-054858号、及び2019年2月26日出願の日本出願第2019-0325438号の優先権を主張すると共に、その全文を参照により本明細書に援用する。