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特許7130127荷電粒子ビーム装置内のウェーハを熱調節するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム装置内のウェーハを熱調節するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20220826BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
H01J37/20 E
H01J37/22 502H
H01J37/22 502Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021521500
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019078514
(87)【国際公開番号】W WO2020094371
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/756,483
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン フーメン,マーティン,ペトルス,クリスチアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ゴーセン,ジェロエン,ジェラルド
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-229188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0022694(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
H01J 37/22
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム装置であって、
ウェーハ温度を予め調節するように構成された熱調節ステーションと、
ウェーハステージ上のウェーハの1つ又は複数の画像を生成するための粒子ビーム撮像ツールと、
前記粒子ビーム撮像ツールを用いて前記ウェーハをスキャンして前記ウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性を分析することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の前記分析に基づいて前記ウェーハの温度特性を決定することと
前記温度特性に基づいて前記熱調節ステーションを調整することと
を前記荷電粒子ビーム装置に実施させるための回路を有するコントローラと
を含む、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記コントローラが前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
前記ウェーハの前記1つ又は複数の画像を取得することと、
前記1つ又は複数の画像に基づいて前記ウェーハの前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性を基準データにおける前記複数の構造の対応する1つ又は複数の特性と比較することと
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性は、前記複数の構造の位置を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性は、前記複数の構造間の距離を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記基準データはグラフィックスデザインシステム(GDS)データであり、前記GDSデータは前記ウェーハの既知の温度に関連付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記基準データは、予め分析されたウェーハの決定された温度特性を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
前記ウェーハの第1の画像を時系列に第1の時点で取得することと、
前記ウェーハの第2の画像を前記時系列に第2の時点で取得することと、
前記第1の画像に基づいて第1の組の前記1つ又は複数の特性を測定することと、
前記第2の画像に基づいて第2の組の前記1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の前記第1の組と前記第2の組とを比較することと
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性は、前記複数の構造の位置を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性は、前記複数の構造間の距離を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
前記ウェーハの第3の画像を前記時系列に第3の時点で取得することと、
前記第3の画像に基づいて第3の組の前記1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の前記第1の組、前記第2の組、及び前記第3の組に基づいて外挿プロセスを行うことと
を更に含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記外挿は、指数外挿を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記熱調節ステーションは、装填ロックユニットを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記ウェーハのアライメント特性を局所的レベルで特定することと、
前記熱調節ステーションを調整する必要があるかどうかを判定することと
を更に実施する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
荷電粒子ビーム装置を使用して、複数の構造を含む、ウェーハの温度特性を決定するための方法であって、
前記荷電粒子ビーム装置を用いて前記ウェーハをスキャンして前記ウェーハ上の前記複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性を分析することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の前記分析に基づいて前記温度特性を決定することと、
ウェーハ温度を予め調節するように構成された熱調節ステーションを、前記温度特性に基づいて調整することと
を含む前記方法をコントローラに実施させるように前記コントローラの1つ又は複数のプロセッサにより実行可能である1組の命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
荷電粒子ビーム装置を使用して、複数の構造を含む、ウェーハの温度特性を決定するための方法であって、
前記荷電粒子ビーム装置を用いて前記ウェーハをスキャンして前記ウェーハ上の前記複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性を分析することと、
前記複数の構造の前記1つ又は複数の特性の前記分析に基づいて前記温度特性を決定することと、
ウェーハ温度を予め調節するように構成された熱調節ステーションを、前記温度特性に基づいて調整することと
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年11月6日に出願された米国特許出願第62/756,483号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、荷電粒子ビーム検査装置、より詳細には、ウェーハの温度を予め調節するための熱調節ステーションを含む粒子ビーム検査装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、製造プロセスの間にウェーハ又はマスク上にパターン欠陥又は招かれざる粒子(残留物)が不可避的に発生し、それによって歩留まりが低下する。例えば、招かれざる粒子は、ICチップの一段とより高度化した性能要件を満たすために採用されてきた、重要フィーチャ寸法がより小さなパターンにとって、問題となり得る。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールを使用して、欠陥又は招かれざる粒子を検出してきた。これらのツールは通常、走査電子顕微鏡(SEM)を採用している。SEMでは、比較的高いエネルギーを有する一次電子のビームを減速させて、比較的に低いランディングエネルギーでサンプルに入射させ、集束させてサンプル上にプローブスポットを形成する。一次電子のこの集束したプローブスポットに起因して、表面から二次電子が生成される。二次電子には、一次電子とサンプルとの相互作用から生じる、後方散乱電子、二次電子、又はオージェ電子が含まれることがある。サンプル表面にわたってプローブスポットをスキャンさせ二次電子を収集することにより、パターン検査ツールはサンプル表面の画像を取得することができる。
【0005】
[0005] 検査ツールの動作中、ウェーハは通常、ウェーハステージにより保持される。検査ツールは、ウェーハステージ及びウェーハを電子ビームに対して位置決めするためのウェーハ位置決めデバイスを含むことがある。このウェーハ位置決めデバイスは、ウェーハ上のターゲットエリア、例えば、検査すべきエリアを電子ビームの動作範囲内に位置決めするために使用されることがある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書で提供される実施形態は、荷電粒子ビーム検査装置、より詳細には、ウェーハの温度を予め調節するための熱調節ステーションを含む粒子ビーム検査装置を開示する。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム装置を使用してウェーハの温度特性を決定するための方法が提供される。ウェーハは、複数の構造を含むことがある。方法は、荷電粒子ビーム装置を用いてウェーハをスキャンしてウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することを含むことがある。方法はまた、複数の構造の1つ又は複数の特性を分析することを含むことがある。方法は、複数の構造の1つ又は複数の特性の分析に基づいて温度特性を決定することを更に含むことがある。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、熱調節ステーションを備えた荷電粒子ビーム装置を調整するための方法が提供される。方法は、荷電粒子ビーム装置を用いてウェーハステージ上のウェーハをスキャンしてウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、複数の構造の1つ又は複数の特性を分析することとを含むことがある。方法はまた、複数の構造の1つ又は複数の特性の分析に基づいてウェーハの温度特性を決定することを含むことがある。方法は、温度特性に基づいて熱調節ステーションを調整することを更に含むことがある。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム装置は、ウェーハ温度を予め調節するように構成された熱調節ステーションと、ウェーハステージ上のウェーハの1つ又は複数の画像を生成するための粒子ビーム撮像ツールとを含むことがある。荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビーム装置に様々なステップを実施させるための回路を有するコントローラを更に含むことがある。ステップは、粒子ビーム撮像ツールを用いてウェーハをスキャンしてウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、複数の構造の1つ又は複数の特性を分析することとを含むことがある。ステップはまた、複数の構造の1つ又は複数の特性の分析に基づいてウェーハの温度特性を決定することと、温度特性に基づいて熱調節ステーションを調整することとを含むことがある。
【0010】
[0010] 本発明の他の利点が、添付の図面と併せて解釈される以下の説明から明らかになるであろう。添付の図面には、図示及び例示の目的で、本発明の特定の実施形態が記載されている。
【0011】
[0011] 本開示の上記の及び他の態様が、添付の図面と併せて解釈される例示的な実施形態の説明により、一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】[0012]荷電粒子ビーム検査システムでの例示的なウェーハ変形効果を図示する概略図である。
図1B】[0013]本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
図1C】[0014]本開示の実施形態と一致した、図1Bの荷電粒子ビーム検査システムでの例示的なウェーハ装填シーケンスを図示する概略図である。
図2】[0015]本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3】[0016]荷電粒子ビーム検査システムにおけるウェーハ温度の経時変化を示す例示的なグラフである。
図4】[0017]本開示の実施形態と一致した、熱調節ステーションを備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システムの概略図である。
図5】[0018]本開示の実施形態と一致した、熱調節プロセスの温度セットポイントに関連するウェーハ温度の経時変化を示す例示的なグラフである。
図6】[0018]本開示の実施形態と一致した、熱調節プロセスの温度セットポイントに関連するウェーハ温度の経時変化を示す例示的なグラフである。
図7】[0019]本開示の実施形態と一致した、複数の構造を備えたウェーハの例示的な画像を図示する概略図である。
図8】[0019]本開示の実施形態と一致した、複数の構造を備えたウェーハの例示的な画像を図示する概略図である。
図9】[0020]本開示の実施形態と一致した、ウェーハの温度を調節するための例示的な方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0021] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0014】
[0022] デバイスの物理的大きさの小型化と同時に、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることにより、電子デバイスの向上した演算能力を達成することができる。例えば、親指の爪の大きさである、スマートフォンのICチップは、20億個を超えるトランジスタを含むことがあり、各トランジスタの大きさは、人間の髪の毛の1/1000よりも小さい。したがって、当然ながら、半導体ICの製造は、数百にのぼる個別ステップを含む、複雑で時間がかかるプロセスである。たった1つのステップでの誤差が、最終製品の機能に大きな影響を及ぼす可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」がデバイス障害の原因となる可能性がある。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。例えば、75%の歩留まりを得るための50ステップのプロセスの場合、各個別のステップは99.4%よりも高い歩留まりを有さなければならず、個別ステップの歩留まりが95%の場合、プロセス全体の歩留まりは7%まで低下する。
【0015】
[0023] ICチップ製造設備では高いプロセス歩留まりが望ましいが、1時間当たりのウェーハ処理枚数として定義される、高いウェーハスループットを維持することも不可欠である。高いプロセス歩留まり及び高いウェーハスループットは、特に欠陥を観察するためにオペレータの介入が必要な場合、欠陥の存在により影響を受ける可能性がある。したがって、高歩留まり及び低コストを維持するためには、検査ツール(SEMなど)によりミクロ及びナノサイズの欠陥を高スループットで検出及び特定することが不可欠である。
【0016】
[0024] SEMは、電子の集束ビームを用いてウェーハの表面をスキャンする。電子はウェーハと相互作用し、二次電子を生成する。電子ビームを用いてウェーハをスキャンすることにより、且つ検出器を用いて二次電子を捕捉することにより、SEMは、検査されるウェーハのエリアの内部デバイス構造を示すウェーハの画像を生成する。
【0017】
[0025] 従来の検査システムに関する問題の1つは、スキャンされているウェーハの形状又はサイズがスキャンの進行中に変化し得ることである。例えば、ウェーハが検査プラットフォーム上に配置されたときに、ウェーハの温度は、プラットフォームの温度と異なる可能性がある。この温度差によりウェーハの温度ドリフト(例えば、ウェーハの温度が、通常は検査システムの温度付近の、安定点に向かって徐々に且つ連続的に変化する)が発生することがあり、それによって、ウェーハの形状又はサイズの変化がもたらされる。ウェーハの温度が上昇するとウェーハが膨張し、ウェーハの温度が低下するとウェーハが収縮する。こうしたウェーハの形状又はサイズの変化は、不正確な検査結果の原因となる可能性がある。
【0018】
[0026] それゆえ、従来の粒子ビーム検査システムを使用してウェーハを検査しているオペレータは、検査を開始する前に、ウェーハの温度が安定化されるのを待つ必要がある。この温度安定化が必要となるのは、温度が変化するにつれてウェーハのサイズが変化し、これによって、ウェーハが膨張又は収縮するときにウェーハ上の要素が移動するからである。例えば、図1Aは、温度変化に起因してウェーハ160が膨張したときに、要素180、182、184、及び186が新たな位置170、172、174、及び178に移動する可能性があることを示している。また、ウェーハを検査する精度がナノメートル単位である場合、この位置の変化は重要である。よって、オペレータがウェーハ上の要素の位置を的確に特定して検査するために、オペレータは、ウェーハ温度が安定するまで待たなければならない。それゆえ、高スループット検査の場合、新たな検査システムのいくつかは、ウェーハを検査プラットフォーム上に配置する前にウェーハの熱調節を実施する。ウェーハをウェーハステージ上に配置する前にウェーハ温度をウェーハステージの温度に近づけることにより、検査が、かなり少ない遅延で開始することができる。それゆえ、オペレータは、所与の期間内により多くのウェーハを検査することができ、それによって、スループットの向上を達成する。
【0019】
[0027] 検査システムがウェーハの実際の温度を使用できる場合には、熱調節プロセスを更に最適化することができる。しかしながら、実際のウェーハ温度を測定することは困難である。ウェーハ上に温度計を配置することにより、検査環境が不所望の粒子(例えば、埃)で汚染される可能性があり、これによって、ウェーハ検査の精度が低下する可能性がある。赤外線(IR)温度センサのような、非接触温度計により、汚染問題が回避されることがあるが、IRセンサの精度は、この目的にはまだ低すぎる。
【0020】
[0028] 本開示の一態様は、検査環境を汚染する可能性のある、温度計などの、コンポーネントを全く使用せずに、ウェーハの温度特性を間接的に且つ適切な精度で測定できるシステム及び方法を含む。図1Aに関して先に説明したように、ウェーハ温度が変化しているときにウェーハのサイズが変化する(例えば、ウェーハが膨張又は収縮する)可能性がある。それゆえ、ウェーハサイズの変化は、ウェーハ温度の変化と密接に関係している。ウェーハの複数の画像を取得してウェーハ上のいくつかの構造の位置を比較することにより、ウェーハの温度特性を所要の精度で且つ汚染を全く生じさせずに決定することができる。
【0021】
[0029] 図面における構成要素の相対的な寸法は、理解しやすいように誇張されていることがある。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。本明細書で使用する場合、特段の断りが無い限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、データベースはA、又はB、又はA及びBを含むことがある。第2の例として、データベースがA、B、又はCを含むことがあると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、データベースはA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことがある。
【0022】
[0030] ここで図1Bを参照すると、図1Bは本開示の実施形態と一致した、例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である。図1Bに示すように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含むことがある。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内部に配置されることがある。説明及び図面は電子ビームに関係しているが、実施形態は、本発明を特定の荷電粒子に制限するために使用されるのではないことが、理解されよう。更に、電子ビームツール40は、単一の電子ビームを利用する単一ビームツール、又は複数の電子ビームを利用するマルチビームツールとすることができることが理解されよう。
【0023】
[0031] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含むことがある。EFEM30は、追加の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取ることがある。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(例えば、図1Cに示すロボットアーム11)が、ウェーハを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0024】
[0032] 装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されることがあり、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填ロックチャンバ20内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(例えば、図1Cに示すロボットアーム12)がウェーハを装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10に運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール40による検査にかけられる。
【0025】
[0033] コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の電子ビームツール40又は他の任意の部分に電子的に接続されることがある。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであることがある。コントローラ50はまた、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路を含むことがある。図1Bでは、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ50はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。本開示は、電子ビーム検査ツールを収容するメインチャンバ10の例を提供しているが、最も広い意味での本開示の態様は、電子ビーム検査ツールを収容するチャンバに限定されないことに、留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用され得ることが理解されよう。
【0026】
[0034] ここで、本開示の実施形態と一致した、図1Bの荷電粒子ビーム検査システム100での例示的なウェーハ装填シーケンスを図示する概略図である、図1Cを参照する。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム検査システム100は、EFEM30内に位置するロボットアーム11と、メインチャンバ10内に位置するロボットアーム12とを含むことがある。いくつかの実施形態では、EFEM30はまた、ウェーハを装填ロックチャンバ20に移送する前にウェーハを正確に位置決めするように構成されたプリアライナ60を含むことがある。
【0027】
[0035] いくつかの実施形態では、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、ウェーハを収容するウェーハFOUP(front opening unified pods)を受け取ることがある。EFEM30内のロボットアーム11は、ウェーハを装填ポートの何れかから、位置決めを補助するためのプリアライナ60に移送することがある。プリアライナ60は、機械的又は光学的位置合わせ方法を使用して、ウェーハを位置決めすることがある。プリアライメント後に、ロボットアーム11は、ウェーハを装填ロックチャンバ20に移送することがある。
【0028】
[0036] ウェーハが装填ロックチャンバ20に移送された後に、装填ロック真空ポンプ(図示せず)は、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように装填ロックチャンバ20内のガス分子を除去することがある。第1の圧力に達した後に、ロボットアーム12は、ウェーハを装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10内の電子ビームツール40のウェーハステージ80に移送することがある。メインチャンバ10は、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内のガス分子を除去する、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第2の圧力に達した後に、ウェーハは、電子ビームツールによる検査を受けることがある。
【0029】
[0037] いくつかの実施形態では、メインチャンバ10は、検査前にウェーハを一時的に保管するように構成された留置ステーション70を含むことがある。例えば、第1のウェーハの検査が完了したときに、第1のウェーハは、ウェーハステージ80から搬出されることがあり、次いで、ロボットアーム12は、第2のウェーハを留置ステーション70からウェーハステージ80に移送することがある。その後、ロボットアーム12は、第3のウェーハを装填ロックチャンバ20から、第2のウェーハの検査が終了するまで第3のウェーハを一時的に保管する留置ステーション70に移送することがある。
【0030】
[0038] いくつかの実施形態では、検査システムの全体的スループットを向上させるために、荷電粒子ビーム検査システム100は、ウェーハをウェーハステージ80上に装填する前にウェーハの熱調節を実行することがある。この検査前の熱調節は、プリアライナ60、装填ロックチャンバ20、留置ステーション70、又はウェーハをウェーハステージ80に移動させる前にウェーハを熱調節するのに好適な他の任意の場所で行われることがある。
【0031】
[0039] ここで、本開示の実施形態と一致した、図1B及び図1Cの荷電粒子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な検査システム200を図示する概略図である、図2を参照する。検査システム200は、電子ビームツール40とコントローラ50とを含むことがある。
【0032】
[0040] 電子ビームツール40は、(図1Cのウェーハステージ80と同様の)電動ウェーハステージ201を含むことがある。電子ビームツール40はまた、検査すべきウェーハ203を保持するために電動ウェーハステージ201によって支持されたウェーハホルダ202を含むことがある。電子ビームツール40は、複合対物レンズ204と、電子検出器206(電子センサ表面を含む)と、対物アパーチャ208と、集光レンズ210と、ビーム制限アパーチャ212と、銃アパーチャ214と、アノード216と、カソード218とを更に含むことがあり、これらの1つ又は複数は、電子ビームツール40の光軸217と位置合わせされることがある。いくつかの実施形態では、検出器206は、軸217から外れて配置されることがある。
【0033】
[0041] 複合対物レンズ204は、いくつかの実施形態では、ポールピース204aと、制御電極204bと、偏向器又は1組の偏向器204cと、励起コイル204dとを含み得る、変更スイング対物レンズ遅延液浸レンズ(SORIL)を含むことがある。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、追加的に、ウェーハ上の材料を特徴付けるためにエネルギー分散型X線スペクトロメータ(EDS)検出器(図示せず)を含むことがある。
【0034】
[0042] 一次電子ビーム220は、アノード216とカソード218との間に電圧を印加することによりカソード218から放出されることがある。一次電子ビーム220は、銃アパーチャ214及びビーム制限アパーチャ212を通過することがあり、銃アパーチャ214とビーム制限アパーチャ212の両方は、ビーム制限アパーチャ212の下にある、集光レンズ210に入射する電子ビームの電流を決定することがある。集光レンズ210は、複合対物レンズ204に入射する前に電子ビームの電流を設定するために、一次電子ビーム220が対物アパーチャ208に入射する前に一次電子ビーム220を集束させることがある。
【0035】
[0043] 複合対物レンズ204は、検査のために一次電子ビーム220をウェーハ203上に集束させることがあり、ウェーハ203の表面上にプローブスポット222を形成することができる。偏向器204cは、ウェーハ203上のプローブスポット222をスキャンするために、一次電子ビーム220を偏向させることがある。例えば、スキャンプロセスでは、偏向器204cは、ウェーハ203の異なる部分の画像再構成のためのデータを提供するために、ウェーハ203の上面の異なる場所に異なる時点で一次電子ビーム220を順次偏向させるように制御されることがある。その上、いくつかの実施形態では、偏向器204cはまた、特定の場所におけるウェーハ構造の立体画像再構成のためのデータを提供するために、異なる時点でその場所におけるウェーハ203の異なる側面に一次電子ビーム220を偏向させるように制御されることがある。更に、いくつかの実施形態では、アノード216及びカソード218は、複数の一次電子ビーム220を生成するように構成されることがあり、且つ電子ビームツール40は、ウェーハ203の異なる部分/側面に複数の一次電子ビーム220を同時に投射するための複数の偏向器204cを含むことがある。
【0036】
[0044] 励起コイル204dに電流が印加されたときに、軸対称(すなわち、光軸217に対して対称)の磁界が、ウェーハ表面エリアに生成されることがある。一次電子ビーム220によりスキャンされるウェーハ203の一部は、磁界に浸されることがある。いくつかの実施形態では、ウェーハ表面付近に軸対称遅延電界を発生させるために、ウェーハ203、ポールピース204a、及び制御電極204bに異なる電圧が印加されることがある。電界は、ビームの電子がウェーハ203と衝突する前にウェーハの表面付近で衝突する一次電子ビーム220のエネルギーを低減することがある。ポールピース204aから電気的に絶縁された制御電極204bは、ウェーハのマイクロアーク放電を防止し且つウェーハ表面での適切なビーム集束を確実にするために、軸対称磁界と共にウェーハ上の軸対称電界を制御し得る。
【0037】
[0045] 一次電子ビーム220を受け取ると、二次電子ビーム230がウェーハ203の一部から放出されることがある。二次電子ビーム230は、一次電子とウェーハ203との相互作用から生じる、後方散乱電子、二次電子、又はオージェ電子を含むことがある。二次電子ビーム230は、電子検出器206のセンサ表面に受け取られることがある。いくつかの実施形態では、電子検出器206は、二次電子ビーム230の強度を表す信号(例えば、電圧、電流など)を生成することがあり、電子検出器206と通信するコントローラ50に信号を提供することがある。二次電子ビーム230の強度は、ウェーハ203の外部構造又は内部構造に応じて異なることがあり、したがって、ウェーハ203が欠陥を含むかどうかを示し得る。その上、上述したように、異なる強度の二次電子ビーム230を生成するために、一次電子ビーム220が、ウェーハ203の上面の異なる場所に、又は特定の場所におけるウェーハ203の異なる側面に投射されることがある。それゆえ、二次電子ビーム230の強度をウェーハ203のエリアにマッピングすることにより、コントローラ50の画像処理回路は、ウェーハ203の内部構造及び/又は外部構造の特性を反映する画像を再構成することがある。
【0038】
[0046] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、画像取得器(図示せず)と、ストレージ(図示せず)とを含む画像処理システムを含むことがある。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含むことがある。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、個人用コンピュータ、任意の種類の携帯コンピュータ装置など、又はそれらの組み合わせを含むことがある。画像取得器は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバーケーブル、携帯型記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、無線ネットワーク、無線通信、又はそれらの組み合わせなどの、媒体を介して、電子ビームツール40の電子検出器206に通信可能に結合されることがある。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出器206から信号を受け取ることがあり、画像を構築することがある。画像取得器は、このようにウェーハ203の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭線を生成すること、インジケータを取得画像に重ね合わせることなど、様々な後処理機能も実施することがある。画像取得器は、取得画像の輝度及びコントラストなどの調節を実施するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の種類のコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器に結合されることがあり、スキャンされた生の画像データを元画像として保存し、且つ処理後の画像を保存するために使用されることがある。
【0039】
[0047] いくつかの実施形態では、画像取得器は、検出器206から受け取った撮像信号に基づいて、ウェーハ203の1つ又は複数の画像を取得することがある。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するためのスキャン動作に対応していることがある。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。この単一の画像は、ストレージ内に記憶されることがある。この単一の画像は、複数の領域に分割することができる元画像であり得る。これらの領域の各々は、ウェーハ203のフィーチャを包含する1つの撮像エリアを含むことがある。取得画像は、時系列に複数回サンプリングされた、ウェーハ203の単一の撮像エリアの複数の画像を含むことがある。この複数の画像は、ストレージ270内に記憶されることがある。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、ウェーハ203の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成されることがある。
【0040】
[0048] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検出された二次電子の分布を取得するための測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含むことがある。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する一次電子ビーム220の対応するスキャンパスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構成することができる。再構成された画像を使用して、ウェーハ203の内部構造又は外部構造の様々なフィーチャを明らかにすることができ、それによって、再構成された画像を使用して、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0041】
[0049] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、ウェーハアライメントプロセスを実施することがある。アライメントプロセスは、基準画像に関してウェーハ203の1つ又は複数の画像を分析することを含むことがある。ウェーハ画像は、ウェーハ上の1つ若しくは複数の構造又はパターンを示すことがあり、構造又はパターンは、半導体製造プロセス中にウェーハに埋め込まれる。コントローラ50は、ウェーハ画像を分析して、1つ又は複数の構造の位置を基準画像内の構造の位置と比較することがある。コントローラ50は、システム構成を調整して、ミスアライメント量を補正することがある。
【0042】
[0050] 更に、図2は電子ビームツール40が単一の一次電子ビームを使用することを示しているが、電子ビームツール40はまた、複数の一次電子ビームを使用する複数のビーム検査ツールであり得ることが理解されよう。本開示は、電子ビームツール40で使用される一次電子ビームの数を制限するものではない。
【0043】
[0051] ここで、荷電粒子ビーム検査システムについてのウェーハ温度の経時変化を示す例示的なグラフである、図3を参照する。縦軸は温度変化を表し、横軸は時間の経過を表す。グラフは、ウェーハがウェーハ装填シーケンスの複数の段階で処理される間にウェーハ温度が経時変化することを示している。時間330では、ウェーハが装填ロックチャンバに装填される。時間340では、ウェーハが移送されてウェーハステージに装填される。時間345では、ウェーハ検査が開始する。時間350では、ウェーハ検査が終了し、ウェーハがウェーハステージから搬出される。期間320中には、ウェーハは、ウェーハステージ上に留まる。
【0044】
[0052] 図3に示す例示的なデータによれば、時間330においてウェーハが装填ロックチャンバに装填されたときに、ウェーハの温度はおよそ22度である(312と符号が付されている)。ウェーハが装填ロックチャンバに移送された後に、ウェーハ温度は、温度312から温度314に急激に降下する。例示的なデータは、装填ロックチャンバが真空になるまでポンプダウンされたときに起こる、この温度降下がおよそ1度~2度であり得ることを示している。この急激な温度降下は、ポンプダウン効果と称される。
【0045】
[0053] 次に、時間340においてウェーハが移送されてウェーハステージ(例えば、図1Cのウェーハステージ80)上に装填されたときに、ウェーハ温度(314と符号が付されている)とウェーハステージ温度(図示しないが、平衡温度310付近である)とは、異なる温度であることがある。例示的なデータは、この差が最大でおよそ3度であり得ることを示している。
【0046】
[0054] ウェーハとウェーハステージとのこの温度差により、ウェーハステージ温度に向かうウェーハ温度ドリフトが発生する。例えば、図3のグラフは、期間320中にウェーハ温度が変化することを示している。そのような状況下では、ウェーハとウェーハステージとの間で熱伝達が起こり、それによって、ウェーハ(又はウェーハステージ)の変形(例えば、図1Aに示す熱膨張)がもたらされる。ウェーハステージ又はウェーハが熱変形している間には、ターゲットエリアの検査は、可能でないことがあるか、又は精度が低下することがある。したがって、より正確な検査を実施するために、システムは、時間345において検査が開始できる前にウェーハ温度が平衡温度310で安定するまでのかなりの期間(待機期間325)にわたって待機する。それゆえ、待機期間325を短縮することにより、検査システムのスループットが向上することがある。いくつかの実施形態では、ウェーハは、温度差360を小さくするために予め熱調節されることがあり、それによって、より短い待機期間325をもたらす。
【0047】
[0055] より迅速な温度安定化のためのウェーハステージの例は、参照により全体が組み込まれる、「PARTICLE BEAM APPARATUS」という名称の、2018年5月28日に出願された、欧州特許出願第18174642.1号に見出されることがある。この長い安定化時間に対処する別の方法は、ウェーハがウェーハステージ上に装填される前に、ウェーハステージの温度と一致するようにウェーハを予熱又は予冷することにより、ウェーハ温度を調節することである。そのような実施形態の例は、参照により全体が組み込まれる、「PARTICLE BEAM INSPECTION APPARATUS」という名称の、2018年7月17日に出願された、米国特許出願第62699643号に見出されることがある。
【0048】
[0056] ここで、本開示の実施形態と一致した、熱調節ステーション410を備えた例示的な荷電粒子ビーム検査システム400を示す、図4を参照する。いくつかの実施形態では、検査システム400は、熱調節ステーション410と、メインチャンバ490と、コントローラ450と、ヒータ/クーラ460とを含むことがある。メインチャンバ490は、ウェーハ480(現時点で検査中のウェーハ)の画像を取得するための電子ビームツール(図示しないが、図2の電子ビームツール40など)を含むことがある。ウェーハ480の検査の進行中に、熱調節ステーション410は、検査ステップの準備としてウェーハ420の温度を変化させるためにウェーハ420(ウェーハ480の検査が完了した後に検査すべき一列に並んだウェーハ)の熱調節を実施することがある。
【0049】
[0057] いくつかの実施形態では、熱調節ステーション410は、複数の支持構造425と、ウェーハ420に熱を伝達するように構成された調節板415とを含むことがある。他の実施形態では、調節板415は追加的又は代替的に、ウェーハ420からの熱を伝達するように構成されることがある。調節板415に結合された、支持構造425は、ウェーハ420と調節板415との間に空間が生じるようにウェーハ420を支持することがある。ウェーハ420が調節板415のより近傍に位置決めされるにつれて、より効率的な熱伝達が達成され得ることが理解されるが、いくつかの実施形態では、ロボットアームがウェーハ420を持ち上げるか又は移送するための空間を提供するために、ウェーハ420と調節板415との間に十分な距離を有することが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、ウェーハ420と調節板415との間の距離は、ウェーハを持ち上げるか又は移送する際にロボットアームの様々なサイズを収容する空間を提供するために、1.5mm~10mmの範囲であることがある。いくつかの実施形態では、ウェーハ420と調節板415との間の距離は、ロボットアームでの移送のための特別な処理を必要とせずに、より効率的な熱伝達をもたらす一方で、ある種のロボットアームを収容する空間を提供するために、3mm~5mmの範囲であることがある。いくつかの実施形態では、ウェーハ420を持ち上げるための特別な機構が使用されることがあり、距離をより狭めることを可能にする。
【0050】
[0058] 更に、図3Aに2つの支持構造425が示されているとしても、熱調節ステーション410は任意の数の支持構造425を含み得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、ウェーハ420は、任意の能動結合手段(例えば、静電クランプ)なしに、支持構造425の上に受動的に配置されることがある。他の実施形態では、ウェーハ420は、静電クランプなどの、能動保持手段を使用して、支持構造425上に保持されることがある。
【0051】
[0059] いくつかの実施形態では、プリアライナ(図1Cのプリアライナ60など)は、熱調節ステーション410として機能することがある。いくつかの実施形態では、留置ステーション(図1Cの留置ステーション70など)は、熱調節ステーション410として機能することがある。
【0052】
[0060] いくつかの実施形態では、装填ロックチャンバ(図1Cの装填ロックチャンバ20など)は、熱調節ステーション410として機能することがある。そのような実施形態では、装填ロックチャンバ(すなわち、熱調節ステーション410)は、大気圧と真空との間で内圧を変化させるように構成されることがある。ターボポンプ(図示せず)などの、ポンプは、ウェーハ420の温度を調節するのに適切なレベルに真空レベルを維持するために、装填ロックチャンバに接続されることがある。ポンプは、装填ロックチャンバ内に真空を作るのに好適である限り、ターボポンプと異なる種類のポンプであり得ることが理解されよう。
【0053】
[0061] いくつかの実施形態では、調節板415は、ウェーハ420の温度に影響を及ぼす、調節板415の温度を変化させるように構成された伝熱要素440を含むことがある。伝熱要素440は、ヒータ/クーラ460に結合されることがある。いくつかの実施形態では、ヒータ/クーラ460は、熱調節ステーション410の外に配置されることがある。他の実施形態では、ヒータ/クーラ460は、熱調節ステーション410内に配置されることがある。
【0054】
[0062] コントローラ450は、ウェーハ420の温度に影響を及ぼす、調節板415の温度を変化させるために、制御信号434により、ヒータ/クーラ460又は伝熱要素440を調整するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、コントローラ450は、複数のデータ入力に基づいて(例えば、通信チャネル431、432、及び433を介して)様々な分析を実施して熱調節プロセスについての温度セットポイントを調整し、それによって、制御信号434によりヒータ/クーラ460又は伝熱要素440を制御することがある。
【0055】
[0063] いくつかの実施形態では、コントローラ450は、メインチャンバ490内のウェーハステージ495の温度に関するステージ温度データを受信することがある。例えば、コントローラ450は、通信チャネル431を介して、ウェーハステージ495の温度を測定するように構成された温度センサ496からのステージ温度データを搬送する電気信号を受信することがある。そのような実施形態では、コントローラ450は、ウェーハステージ495の受信したステージ温度データに基づいて熱調節プロセスの温度セットポイントを調整してヒータ/クーラ460を制御し、調整された温度セットポイントに従って調節板415の温度を調整することがある。
【0056】
[0064] コントローラ450は追加的又は代替的に、電子ビームツールからの情報を使用して熱調節ステーション410を調整することがある。ウェーハ480は、検査のためにウェーハステージ495に移送される前に、熱調節ステーション410において既に熱調節されていることがある。それゆえ、既に熱調節されているウェーハ480の温度特性を取得して処理することにより、コントローラ450は、熱調節プロセスの有効性を決定して、パイプライン内のウェーハ(例えば、ウェーハ420及びFOUP内の他のウェーハ)をより効率的に処理するように熱調節ステーション410を再構成することがあり、それによって、荷電粒子ビーム検査システム400の全体的スループットを向上させる。例えば、コントローラ450は、ウェーハ480の温度特性に基づいて熱調節プロセスの温度セットポイントを調整することがある。
【0057】
[0065] ウェーハ480の温度特性を決定するために、コントローラ450は、通信チャネル433を介して、ウェーハ480のいくつかの測定された特性を受信することがある。ウェーハ480のこれらの特性は、ウェーハ上の構造の位置又は構造間の距離を含むことがある。
【0058】
[0066] ウェーハ480の温度特性は、いくつかの実施形態では、ウェーハ480の温度に関する情報であることがある。ウェーハ480の温度情報は、(例えば、接触又は非接触式温度センサを使用する)直接測定又は(例えば、ウェーハ480の物理的特性を分析する)間接測定により取得されることがある。ウェーハ480の温度情報を間接的に測定する方法の1つは、ウェーハ480のアライメントデータを使用することである。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ450は、通信チャネル433を介してウェーハ480の1つ又は複数の画像(図7のウェーハ画像710及び760又は図8のウェーハ画像810、820、及び830など)を受信することがある。1つ又は複数の画像は、ウェーハ480の1つ又は複数の部分の画像であることがある。他の実施形態では、コントローラ450は、メインチャンバ490内の電子ビームツールからスキャンデータを受信して、複数のウェーハ画像又はウェーハの部分の複数の画像を構築することがある。次いで、コントローラ450は、ウェーハ480の画像を分析してウェーハ480の温度特性を特定することがある。この間接測定プロセスについては、図7及び図8に関して以下のセクションで更に詳細に説明する。
【0059】
[0067] いくつかの実施形態では、コントローラ450は、通信チャネル432を介して、ヒータ/クーラ460の出力の温度に関するヒータ温度データを受信することがある。そのような実施形態では、コントローラ450は、フィードバック情報(受信したヒータ温度データ)に基づいて制御信号434を用いてヒータ/クーラ460を動的に調整して、調節板415の温度を制御することがある。例えば、いくつかの実施形態では、ヒータ/クーラ460は、温水器又は冷水器であることがある。そのような実施形態では、温水又は冷却水は、調節板415内の伝熱要素440を通って流れ、コントローラ450は、ヒータ/クーラ460の出力における水の温度に関するヒータ温度データを受信することがある。コントローラ450は、水温に基づいてヒータ/クーラ460を調整することがある。コントローラ450は、通信チャネル432を介して、水の温度を測定するように構成された温度センサ465からのヒータ温度データを搬送する電気信号を受信することがある。いくつかの実施形態では、コントローラ450は、受信したヒータ温度データを使用して、熱調節プロセスの温度セットポイントを調整することがある。
【0060】
[0068] いくつかの実施形態では、通信チャネル431、432、及び433、並びに制御信号434は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバーケーブル、可搬型記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、無線ネットワーク、無線機、又はこれらの組み合わせなどの、媒体を含むことがある。いくつかの実施形態では、コントローラ450は、追加の温度センサを用いて更に最適化されることがある。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、ウェーハ420、ウェーハ480、又は調節板415の温度を測定するように構成された1つ又は複数のセンサを追加的に含むことがある。
【0061】
[0069] 図5は、熱調節プロセスの温度セットポイントに関連する、熱調節ステーション(図4の熱調節ステーション410など)におけるウェーハ温度の経時変化を示す例示的なグラフを示している。熱調節プロセスは、時間530において開始する。ウェーハの温度は、ウェーハに熱が伝達されるにつれて、平衡温度510に徐々に近づく。熱調節プロセスは、ウェーハの温度がほぼ平衡温度510で安定する、時間540まで継続することがある。熱調節ステーションは、温度セットポイント520を用いてコントローラ(図4のコントローラ450など)により制御されることがある。図5に示すように、いくつかの実施形態では、コントローラは、温度セットポイント520を一定値にすることがある。
【0062】
[0070] 図6は、ウェーハ温度調節中のウェーハ温度の経時変化を示す別の例示的なグラフを示している。図5の実施形態と同様に、熱調節プロセスは、時間630において開始し、ウェーハの温度がほぼ平衡温度610で安定する、時間640において終了する。本実施形態では、コントローラは、温度セットポイント620をリアルタイムに動的に調整して、熱調節に必要な時間を短縮することがある。例えば、温度セットポイント620は、ウェーハの温度を迅速に変化させるために最初は高く設定され、次いで、ウェーハ温度が平衡温度610に近づくにつれて徐々に下げられることがある。
【0063】
[0071] ここで、本開示の実施形態と一致した、複数の構造を備えたウェーハの例示的な画像を図示する概略図である、図7を参照する。いくつかの実施形態では、検査中のウェーハ(図4のウェーハ480など)のアライメントデータは、ウェーハの温度特性(例えば、ウェーハの温度情報)を決定するために使用されることがある。例えば、図4に関して説明したように、コントローラ(図4のコントローラ450など)は、ウェーハの1つ又は複数の画像を受信することがある。1つ又は複数の画像は、ウェーハの1つ又は複数の部分の画像であることがある。次いで、コントローラは、ウェーハ又はウェーハの部分の受信した画像を分析してウェーハの温度特性を決定することがある。コントローラは、温度特性を使用して熱調節ステーション(図4の熱調節ステーション410など)の温度セットポイントを調整することがある。
【0064】
[0072] 図7に示すように、いくつかの実施形態では、ウェーハ画像710は、ウェーハの相対的サイズを決定するために、基準ウェーハ画像760と比較されることがある。ウェーハの相対的サイズに基づいて、ウェーハの温度特性が決定されることがある。例えば、ウェーハ(ウェーハ画像710に示す)が基準画像よりも小さい場合、ウェーハの温度は、対応する基準温度よりも低いことがある。ウェーハが基準画像よりも大きい場合、ウェーハの温度は、対応する基準温度よりも高いことがある。
【0065】
[0073] そのような実施形態では、コントローラ(図4のコントローラ450など)は、ウェーハ上の1つ若しくは複数の構造又はパターンを示す、ウェーハ画像710(又はウェーハの部分の画像)を受信することがあり、構造又はパターンは、半導体製造プロセス中にウェーハに埋め込まれる。ウェーハ画像710(又はウェーハの一部分の画像)は、基準における対応する構造に対するウェーハ上の既知の構造の相対位置を見出すことができるように、基準と比較されることがある。同様の技術を使用して、ウェーハ及び基準における複数の構造の位置が決定されることがあり、また、SEMスキャンに基づいてそれらの間の距離が決定されることがある。例えば、ウェーハ画像710は、位置730、732、734、及び736における4つのそのような構造を示している。コントローラは、ウェーハ画像710を分析してウェーハ上の構造の位置を決定することがある。コントローラはまた、位置732及び736における構造間の距離742、並びに位置734及び730における構造間の距離744などの、構造間の距離を決定することがある。
【0066】
[0074] いくつかの実施形態では、ウェーハのこれらの測定された特性は、基準データにおけるウェーハの予測した特性と比較されることがある。基準データは、グラフィックスデザインシステム(GDS)レイアウトデータを含むことがある。例えば、基準ウェーハ画像760は、構造が位置770、772、774、及び776に見られることが予測されることを示している。よって、予測位置772と776との間の距離782、及び予測位置774と770との間の距離784などの、構造の予測位置間の距離が取得されることがある。そのような実施形態では、コントローラは、距離742、744をそれぞれ距離782、784と比較することがある。コントローラは、測定距離742及び744と予測距離782及び784とに基づく以下の式を使用して、ウェーハ変倍率(scaling factor)を決定することがある。
【数1】
【0067】
[0075] 式1は、ウェーハ変倍率が2つの測定距離と2つの予測距離との比較に基づいて決定され得ることを示しているが、ウェーハ変倍率は、1つ又は複数の測定距離と対応する予測距離との比較に基づいて決定され得ることが理解されよう。
【0068】
[0076] いくつかの実施形態では、ウェーハの既知の温度は、基準ウェーハ画像760に関連付けられることがある。そのような実施形態では、コントローラは、以下の式を使用して、ウェーハ画像710に対応する実際のウェーハ温度を推定することがある。
【数2】

ここで、αウェーハは、ウェーハ材料の線膨張係数であり(例えば、シリコンでは、αsi≒2.56・10-6・K-1)、T基準は、ウェーハ画像760に関連する既知のウェーハ温度である。ウェーハ材料のいくつかの例としては、中でもとりわけ、ゲルマニウム、ガリウムヒ素が挙げられる。
【0069】
[0077] 決定されたウェーハ温度(Tウェーハ)は、熱調節ステーション(図4の熱調節ステーション410など)の温度セットポイントを調整するためにコントローラに提供されることがある。
【0070】
[0078] ここで、本開示の実施形態と一致した、複数の構造を備えたウェーハの例示的な画像を図示する概略図である、図8を参照する。いくつかの実施形態では、ウェーハレベルアライメントステップが、ウェーハの複数の画像を生成するために時系列に数回実施されることがある。コントローラ(図4のコントローラ450など)は、それらの複数のウェーハ画像を分析して、ウェーハの温度特性を取得することがある。
【0071】
[0079] 図8に示すように、ウェーハ画像810、820、及び830は、時系列に異なる時点で生成されることがある。図3に関して説明するように、検査中のウェーハ(図4のウェーハ480など)の温度がウェーハステージ(図4のウェーハステージ495など)の温度と異なる場合、ウェーハ温度は、徐々にウェーハステージの温度になることがあり、それによって、ウェーハの変形(例えば、図1Aに示す熱膨張)をもたらす。時系列に撮られた複数のウェーハ画像を用いて、コントローラは、ウェーハ温度の経時変化と相関し得る、変形の特性(例えば、膨張率又は膨張速度)を特定することがある。
【0072】
[0080] 例えば、それぞれ時間t、t、及びtにおいて取得された、ウェーハ画像810、820、及び830は、ウェーハ上の複数の構造の移動を示している。換言すれば、構造は、それぞれ、時間tにおける位置811、812、813、814から、時間tにおける位置821、822、823、824を通って、最終的に時間tにおける位置831、832、833、834に移動する。
【0073】
[0081] この温度ドリフトは、以下のプロファイルを有することがある。
【数3】

ここで、Tウェーハ(t)はウェーハ温度であり、tは時間であり、Tウェーハ(0)は、ウェーハがウェーハステージに装填されたときのt=0のウェーハ温度であり、Tウェーハステージはウェーハステージの温度であり、τは熱時定数である。
【数4】

ここで、Cウェーハはシリコンの熱容量であり、Mウェーハはウェーハの質量であり、hは、ウェーハとウェーハステージとの間の熱伝達係数であり、Aウェーハはウェーハの有効表面積である。
【0074】
[0082] ウェーハ上の構造の特性の複数回の測定では、いくつかの時間ステップ(例えば、t、t、及びt)での相対的ウェーハ温度は、ウェーハ変倍率の式(式1)を使用して決定されることがある。いくつかの時間ステップでのこれらの相対的ウェーハ温度に基づいて、Tウェーハ(0)-Tウェーハステージ(すなわち、ウェーハがウェーハステージに装填されたときのt=0のウェーハとウェーハステージとの温度差)は、フィッティングプロセスで決定されることがある。例えば、コントローラは、式3に基づいて指数外挿プロセスを実施して、Tウェーハ(0)-Tウェーハステージを決定することがある。
【0075】
[0083] 決定されたTウェーハ(0)-Tウェーハステージは、熱調節ステーションの温度セットポイントを調整してウェーハの温度ドリフトを最小限に抑えるためにコントローラに提供されることがある。
【0076】
[0084] ここで、本開示の実施形態と一致した、熱調節ステーションを備えた荷電粒子ビーム装置を調整するための例示的な方法を図示するフローチャートである、図9を参照する。方法は、荷電粒子ビーム検査システム400(図4の荷電粒子ビーム検査システム400など)により実施することがある。
【0077】
[0085] ステップ910では、検査システムは、検査のためにウェーハをメインチャンバ内のウェーハステージ(図4のメインチャンバ490内のウェーハステージ495など)に装填する。ウェーハは、熱調節ステーション(図4の熱調節ステーション410など)において予め熱調節されていることがある。いくつかの実施形態では、ウェーハ(図4のウェーハ480など)がウェーハステージに移送された後に、メインチャンバ内での第1のウェーハの検査の進行中に、別のウェーハ(図4のウェーハ420など)が熱調節ステーションに装填されることがある。検査のためにウェーハをウェーハステージに移送する前のこの熱調節は、図3に関して更に詳細に説明するように、ウェーハの温度ドリフトにより生じるウェーハの変形を最小限に抑えることにより検査システムの全体的スループットを向上させることがある。
【0078】
[0086] ステップ920では、検査システムは、ウェーハをスキャンして、いくつかのウェーハ特性を測定し、測定されたウェーハ特性は、熱調節ステーションを調整するためにコントローラ(図4のコントローラ450など)に提供することができる。例えば、検査システムは、ウェーハをスキャンしてウェーハの1つ又は複数の画像(図7のウェーハ画像710及び760、又は図8のウェーハ画像810、820、及び830など)を生成することがある。これらのウェーハ画像は、ウェーハ上の複数の構造又はパターンを示すことがあり、構造又はパターンは、半導体製造プロセス中にウェーハに埋め込まれる。検査システムは、ウェーハ画像を分析して構造の特性を測定することがある。例えば、構造の位置又は構造間の距離は、分析を通じて特定されることがある。
【0079】
[0087] ステップ930では、検査システムは、構造の特定された特性を分析してウェーハの温度特性を決定する。いくつかの実施形態では、図7に関して詳細に説明するように、検査システムのコントローラは、構造の測定された位置を基準データにおける構造の対応する位置と比較して、ウェーハの温度特性を決定することがある。いくつかの実施形態では、図8に関して詳細に説明するように、検査システムは、複数のウェーハ画像を時系列に異なる時点で生成し、これらの複数の画像内の構造の特性を比較して、ウェーハの温度特性を決定することがある。
【0080】
[0088] ステップ940では、検査システムのコントローラは、構造の位置及び構造間の距離を含む、構造の測定された特性に基づいてウェーハの温度特性を決定する。いくつかの実施形態では、ウェーハの温度特性は、ウェーハの実際の温度を含むことがある。他の実施形態では、ウェーハの温度特性は、ウェーハとウェーハステージとの初期温度差(例えば、検査のためにウェーハが最初にウェーハステージ上に装填されたときの温度差)を含むことがある。
【0081】
[0089] ステップ950では、コントローラは、ウェーハの決定された温度特性に基づいて熱調節ステーションを調整する。例えば、コントローラは、パイプライン内のウェーハ(例えば、図4のウェーハ420及びFOUP内の他のウェーハ)に対する熱調節の効率を向上させるために、熱調節ステーションの温度セットポイントを調整することがある。
【0082】
[0090] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
条項1.
荷電粒子ビーム装置を使用して、複数の構造を含む、ウェーハの温度特性を決定するための方法であって、
上記荷電粒子ビーム装置を用いて上記ウェーハをスキャンして上記ウェーハ上の上記複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記分析に基づいて上記温度特性を決定することと
を含む、方法。
条項2.
上記ウェーハの上記温度特性は、上記ウェーハの温度を含む、条項1に記載の方法。
条項3.
上記1つ又は複数の特性を基準データにおける対応する1つ又は複数の特性と比較することを更に含む、条項1又は2に記載の方法。
条項4.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項3に記載の方法。
条項5.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項3に記載の方法。
条項6.
上記基準データは、GDSレイアウトデータを含む、条項3~5の何れか一項に記載の方法。
条項7.
上記基準データは、荷電粒子ビーム装置によるスキャンデータを含む、条項3~5の何れか一項に記載の方法。
条項8.
上記基準データは、上記ウェーハの既知の温度に関連付けられる、条項3~7の何れか一項に記載の方法。
条項9.
上記基準データは、予め分析されたウェーハの決定された温度特性を含む、条項3~8の何れか一項に記載の方法。
条項10.
上記複数の構造の第1の組の上記1つ又は複数の特性を時系列に第1の時点で測定することと、
上記複数の構造の第2の組の上記1つ又は複数の特性を上記時系列に第2の時点で測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組と上記第2の組とを比較することと
を更に含む、条項1又は2に記載の方法。
条項11.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項10に記載の方法。
条項12.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項10に記載の方法。
条項13.
上記温度特性を上記荷電粒子ビーム装置のコントローラに提供することと、
検査すべき次のウェーハを予め熱調節するように熱調節ステーションを調整することと
を更に含む、条項1~12の何れか一項に記載の方法。
条項14.
荷電粒子ビーム装置を使用して、複数の構造を含む、ウェーハの温度特性を決定するための方法であって、
上記荷電粒子ビーム装置を用いて上記ウェーハをスキャンして上記ウェーハ上の上記複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記分析に基づいて上記温度特性を決定することと
を含む上記方法をコントローラに実施させるように上記コントローラの1つ又は複数のプロセッサにより実行可能である1組の命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
条項15.
上記ウェーハの上記温度特性は、上記ウェーハの温度を含む、条項14に記載のコンピュータ可読媒体。
条項16.
上記1組の命令は、
上記1つ又は複数の特性を基準データにおける対応する1つ又は複数の特性と比較すること
を上記コントローラに更に実施させるように上記コントローラの上記1つ又は複数のプロセッサにより実行可能である、条項14又は15に記載のコンピュータ可読媒体。
条項17.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項16に記載のコンピュータ可読媒体。
条項18.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項16に記載のコンピュータ可読媒体。
条項19.
上記基準データは、GDSレイアウトデータを含む、条項16~18の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項20.
上記基準データは、荷電粒子ビーム装置によるスキャンデータを含む、条項16~18の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項21.
上記基準データは、上記ウェーハの既知の温度に関連付けられる、条項16~20の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項22.
上記基準データは、予め分析されたウェーハの決定された温度特性を含む、条項16~21の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項23.
上記1組の命令は、
上記複数の構造の第1の組の上記1つ又は複数の特性を時系列に第1の時点で測定することと、
上記複数の構造の第2の組の上記1つ又は複数の特性を上記時系列に第2の時点で測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組と上記第2の組とを比較することと
を上記コントローラに更に実施させるように上記コントローラの上記1つ又は複数のプロセッサにより実行可能である、条項14又は15に記載のコンピュータ可読媒体。
条項24.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項23に記載のコンピュータ可読媒体。
条項25.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項23に記載のコンピュータ可読媒体。
条項26.
上記1組の命令は、
上記温度特性を上記荷電粒子ビーム装置のコントローラに提供することと、
検査すべき次のウェーハを予め熱調節するように熱調節ステーションを調整することと
を上記コントローラに更に実施させるように上記コントローラの上記1つ又は複数のプロセッサにより実行可能である、条項14~25の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
条項27.
熱調節ステーションを備えた荷電粒子ビーム装置を調整するための方法であって、
上記荷電粒子ビーム装置を用いてウェーハステージ上のウェーハをスキャンして上記ウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記分析に基づいて上記ウェーハの温度特性を決定することと、
上記温度特性に基づいて上記熱調節ステーションを調整することと
を含む、方法。
条項28.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することは、
上記ウェーハの1つ又は複数の画像を取得することと、
上記1つ又は複数の画像に基づいて上記ウェーハの上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を基準データにおける上記複数の構造の対応する1つ又は複数の特性と比較することと
を含む、条項27に記載の方法。
条項29.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項28に記載の方法。
条項30.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項28に記載の方法。
条項31.
上記基準データは、上記ウェーハの既知の温度に関連付けられる、条項28~30の何れか一項に記載の方法。
条項32.
上記基準データは、予め分析されたウェーハの決定された温度特性を含む、条項28~31の何れか一項に記載の方法。
条項33.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することは、
上記ウェーハの第1の画像を時系列に第1の時点で取得することと、
上記ウェーハの第2の画像を上記時系列に第2の時点で取得することと、
上記第1の画像に基づいて第1の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記第2の画像に基づいて第2の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組と上記第2の組とを比較することと
を含む、条項27に記載の方法。
条項34.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項33に記載の方法。
条項35.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項33に記載の方法。
条項36.
上記ウェーハの第3の画像を上記時系列に第3の時点で取得することと、
上記第3の画像に基づいて第3の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組、上記第2の組、及び上記第3の組に基づいて外挿プロセスを行うことと
を更に含む、条項33~35の何れか一項に記載の方法。
条項37.
上記外挿は、指数外挿を含む、条項36に記載の方法。
条項38.
上記熱調節ステーションは、装填ロックユニットを含む、条項27~37の何れか一項に記載の方法。
条項39.
上記ウェーハのアライメント特性を局所的レベルで特定することと、
上記熱調節ステーションを調整する必要があるかどうかを判定することと
を更に含む、条項27~38の何れか一項に記載の方法。
条項40.
荷電粒子ビーム装置であって、
ウェーハ温度を予め調節するように構成された熱調節ステーションと、
ウェーハステージ上のウェーハの1つ又は複数の画像を生成するための粒子ビーム撮像ツールと、
上記粒子ビーム撮像ツールを用いて上記ウェーハをスキャンして上記ウェーハ上の複数の構造の1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を分析することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記分析に基づいて上記ウェーハの温度特性を決定することと、
上記温度特性に基づいて上記熱調節ステーションを調整することと
を上記荷電粒子ビーム装置に実施させるための回路を有するコントローラと
を含む、荷電粒子ビーム装置。
条項41.
上記コントローラが上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
上記ウェーハの上記1つ又は複数の画像を取得することと、
上記1つ又は複数の画像に基づいて上記ウェーハの上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性を基準データにおける上記複数の構造の対応する1つ又は複数の特性と比較することと
を含む、条項40に記載の装置。
条項42.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項41に記載の装置。
条項43.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項41に記載の装置。
条項44.
上記基準データは、上記ウェーハの既知の温度に関連付けられる、条項41~43の何れか一項に記載の装置。
条項45.
上記基準データは、予め分析されたウェーハの決定された温度特性を含む、条項41~44の何れか一項に記載の装置。
条項46.
上記コントローラが上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
上記ウェーハの第1の画像を時系列に第1の時点で取得することと、
上記ウェーハの第2の画像を上記時系列に第2の時点で取得することと、
上記第1の画像に基づいて第1の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記第2の画像に基づいて第2の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組と上記第2の組とを比較することと
を含む、条項40に記載の装置。
条項47.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造の位置を含む、条項46に記載の装置。
条項48.
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性は、上記複数の構造間の距離を含む、条項46に記載の装置。
条項49.
上記コントローラが上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の分析を実施することは、
上記ウェーハの第3の画像を上記時系列に第3の時点で取得することと、
上記第3の画像に基づいて第3の組の上記1つ又は複数の特性を測定することと、
上記複数の構造の上記1つ又は複数の特性の上記第1の組、上記第2の組、及び上記第3の組に基づいて外挿プロセスを行うことと
を更に含む、条項46~48の何れか一項に記載の装置。
条項50.
上記外挿は、指数外挿を含む、条項49に記載の装置。
条項51.
上記熱調節ステーションは、装填ロックユニットを含む、条項40~50の何れか一項に記載の装置。
条項52.
上記コントローラは、
上記ウェーハのアライメント特性を局所的レベルで特定することと、
上記熱調節ステーションを調整する必要があるかどうかを判定することと
を更に実施する、条項40~51の何れか一項に記載の装置。
【0083】
[0091] ウェーハ調節システムのコントローラは、ソフトウェアを使用して、上記で説明した機能を制御できることが理解されよう。例えば、コントローラは、ウェーハの複数の画像を生成することがある。コントローラは、ウェーハの画像を分析してウェーハの温度特性を決定することがある。コントローラは、ヒータ/クーラ(図4のヒータ/クーラ460など)に命令を送信して、伝熱要素の温度を調整することがある。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されることがある。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、クラウドストレージ、FLASH-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0084】
[0092] 開示される実施形態について、好ましい実施形態に関係して説明してきたが、以降で特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9