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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】粘着組成物および無基材粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20220829BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220829BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20220829BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J7/38
C09J7/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020563966
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2019008556
(87)【国際公開番号】W WO2020013624
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0081725
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ・スン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヘ・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ジュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
【審査官】河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-231556(JP,A)
【文献】特開2011-184582(JP,A)
【文献】特開2003-003136(JP,A)
【文献】特開2016-011338(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104312500(CN,A)
【文献】特開2018-050239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎖状アルキル基のみを含有する(メタ)アクリレート単量体と;シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含む環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体と;極性基含有(メタ)アクリレート単量体と;下記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体と;を含む単量体混合物が共重合されたアクリル系共重合体と熱硬化剤とを含む粘着組成物であって、
前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体は、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有(メタ)アクリレート単量体、および窒素含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含み、
前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して3重量部以上7重量部以下であり、
前記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、800,000以上3,000,000以下である、粘着組成物
【化1】

化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、xは、0または1であり、yは、2~13の整数であり、nは、2~4の整数である。
【請求項2】
前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体と前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、7:1~2:1である、請求項1に記載の粘着組成物。
【請求項3】
前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して5重量部以上35重量部以下である、請求項1または2に記載の粘着組成物。
【請求項4】
前記鎖状アルキル基のみを含有する(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して50重量部以上75重量部以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項5】
前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項6】
前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体を含み、
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体と前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、1:1.5~1:2.5である、請求項1からのいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項7】
前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、-55℃以上-35℃以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項8】
離型フィルムと、
前記離型フィルムの一面上に具備され、請求項1からのいずれか一項に記載の粘着組成物の硬化物を含む粘着層と、を含む無基材粘着テープ。
【請求項9】
被着体に前記粘着層を付着させた後、90度の角度および2.4m/minの速度で前記粘着層を引張時、前記粘着層の破断距離が40mm以下である、請求項に記載の無基材粘着テープ。
【請求項10】
前記粘着層は、85℃における剪断強度が7kgf/in以上12kgf/in以下である、請求項またはに記載の無基材粘着テープ。
【請求項11】
前記粘着層の厚さは、10μm以上80μm以下である、請求項から10のいずれか一項に記載の無基材粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年7月13日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0081725号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、粘着組成物およびその硬化物を含む粘着層を含む無基材粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には多様な部材が粘着剤によって付着する。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルムおよび輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材が粘着剤によって付着される。最近、電子機器の厚さが薄くなるにつれ、電子機器内の部材を付着させるための粘着層の厚さを薄くしながらも優れた耐久性を実現するための試みが続いている。
【0003】
粘着層の厚さを薄くするために無基材形態の粘着テープが研究されている。ただし、基材を用いない場合、粘着層の高温剪断特性、粘着力などが低下する問題が発生しうる。また、連続工程を利用して電子機器を製造しており、このような無基材粘着テープを連続工程に適用するためには、別の打ち抜き工程が必要であった。これによって、連続工程の効率が低下する問題がある。
【0004】
そこで、優れた高温剪断特性、粘着力を有し、連続工程に適した無基材粘着テープを実現できる技術が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粘着物性に優れ、連続工程に適した無基材粘着テープおよびこれを実現できる粘着組成物を提供しようとする。
【0006】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体;シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含む環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体;極性基含有(メタ)アクリレート単量体;および下記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体;を含む単量体混合物が共重合されたアクリル系共重合体を含む粘着組成物を提供する:
【0008】
【化1】
【0009】
化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、xは、0または1であり、yは、2~13の整数であり、nは、2~4の整数である。
【0010】
本発明の他の実施態様は、離型フィルムと、前記離型フィルムの一面上に備えられ、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層と、を含む無基材粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、連続工程に適した剪断物性および優れた粘着力を有する粘着層を実現することができる。
【0012】
本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープは、連続工程に適した剪断特性を有し、粘着力に優れるという利点がある。
【0013】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープを示す図である。
図2】本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープを用いたロールトゥセル連続工程を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施態様に係る無基材転写テープの粘着層の破断距離を測定する過程を示す図である。
図4】本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープの粘着層の高温剪断強度を測定する方法を示す図である。
図5】本発明の一実施態様に係る粘着層の破断面の品質評価基準を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本願明細書全体において、単位「重量部」は、各成分間の重量の割合を意味することができる。
【0018】
本願明細書全体において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを通称する意味で使われる。
【0019】
本願明細書全体において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびB、またはAまたはB」を意味する。
【0020】
本願明細書全体において、用語「単量体単位(monomer unit)」は、重合体内で単量体が反応した形態を意味することができ、具体的には、その単量体が重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している形態を意味することができる。
【0021】
本願明細書全体において、ある化合物の「重量平均分子量」および「数平均分子量」は、その化合物の分子量と分子量分布を利用して計算される。具体的には、1mlのガラス瓶にテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)と化合物を入れて、化合物の濃度が1wt%のサンプル試料を用意し、標準試料(ポリスチレン、polystryere)とサンプル試料をフィルタ(ポアサイズが0.45μm)を通して濾過した後、GPCインジェクタ(injector)に注入して、サンプル試料の溶離(elution)時間を標準試料のキャリブレーション(calibration)曲線と比較して化合物の分子量および分子量分布を得ることができる。この時、測定機器としてInfinity II 1260(Agilient社)を用いれば良く、流速は1.00mL/min、カラム温度は40.0℃に設定可能である。
【0022】
本願明細書全体において、「ガラス転移温度(Glass Temperature、Tg)」は、示差走査熱計量法(Differnetial Scanning Analysis、DSC)を利用して測定することができ、具体的には、DSC(Differential Scanning Calorimeter、DSC-STAR3、METTLER TOLEDO社)を利用して、試料を-60℃~150℃の温度範囲で加熱速度5℃/minに昇温し、前記区間で2回(cycle)の実験を進めて、熱変化量がある地点で作成されたDSC曲線の中間点を測定してガラス転移温度が求められる。
【0023】
本願明細書全体において、化合物の粘度は、25℃の温度でブルックフィールド粘度計で測定した値であってもよい。
【0024】
本願明細書全体において、無基材粘着テープは、基材を含まない粘着テープであって、無基材形態の粘着テープを意味することができる。
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0025】
本発明の一実施態様は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体;シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含む環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体;極性基含有(メタ)アクリレート単量体;および下記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体;を含む単量体混合物が共重合されたアクリル系共重合体を含む粘着組成物を提供する:
【0026】
【化2】
【0027】
化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、xは、0または1であり、yは、2~13の整数であり、nは、2~4の整数である。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、連続工程に適した剪断物性および優れた粘着力を有する粘着層を実現することができる。具体的には、前記粘着組成物は、ロールトゥセル(roll to cell)方式などの連続工程への適用に適した剪断物性を有する粘着層を提供することができる。また、前記粘着組成物は、高温でも優れた粘着力を保有する粘着層を提供することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記単量体混合物に含まれるアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体、極性基含有(メタ)アクリレート単量体、および前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の間の共重合反応により前記アクリル系共重合体が形成される。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体に由来するアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体単位、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体単位、前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する極性基含有(メタ)アクリレート単量体単位、および前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体に由来する単量体単位を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して50重量部以上75重量部以下であってもよい。具体的には、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して50重量部以上70重量部以下、55重量部以上70重量部以下、58重量部以上70重量部以下、50重量部以上62重量部以下、60重量部以上70重量部以下、または62重量部以上65重量部以下であってもよい。前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層のバルク(bulk)特性を示し得るガラス転移温度(Glass Temperature、Tg)を適切に制御することができ、前記粘着層の界面特性を示し得る濡れ性を向上させることができ、前記粘着層の粘着性をより向上させることができる。
【0032】
本明細書において、「アルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない鎖状炭化水素構造を含むものを意味することができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル-5-(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、および2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して5重量部以上20重量部以下であってもよい。具体的には、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して7重量部以上18重量部以下、9重量部以上15重量部以下、または12重量部以上17重量部以下であってもよい。前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層の粘着力を効果的に向上させることができる。具体的には、前記粘着層は、低い表面エネルギーを有する被着体に対する粘着力に優れることができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体および前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含むことができる。具体的には、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、少なくとも前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体を含むことができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体を含み、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体と前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、1:1.5~1:2.5であってもよい。具体的には、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、1:1.7~1:2.3、1:1.9~1:2.1、1:1.6~1:1.8、または1:2.0~1:2.4であってもよい。前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比が前述した範囲内の場合、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層のガラス転移温度(Tg)を向上させることができ、前記粘着層の高温における剪断強度を向上させることができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在せず、炭素以外の異種元素が含まれた環構造を含むことができ、炭素数2~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロピラニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、およびサイクリックトリメチロールプロパンホルマルアクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができ、炭素数3~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、およびt-ブチルシクロヘキシルメタクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、下記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体を含むことにより、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層の凝集力を向上させることができ、前記粘着層のガラス転移温度(Tg)を適切に制御することができ、前記粘着層の被着体に対する粘着力を容易に保持させることができる。また、前記粘着層の高温耐久性を向上させることができる。
【0042】
【化3】
【0043】
化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、xは、0または1であり、yは、2~13の整数であり、nは、2~4の整数である。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~4の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、yは、2~11の整数、3~9の整数、または4~7の整数であってもよい。具体的には、前記化学式1において、yは、整数2であってもよい。また、前記化学式1において、nは、2~4の整数であってもよく、具体的には、nは、整数2であってもよい。さらに、前記化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~3の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であってもよく、具体的には、Rは、水素であるか、炭素数1~2のアルキル基であってもよい。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記R、x、yおよびnが前述した範囲を満たす前記化学式1で表される化合物を含む前記粘着組成物は、凝集力および粘着力が効果的に向上した粘着層を実現することができる。また、前記化学式1で表される化合物を含む粘着組成物は、連続工程に適した破断特性を有する粘着層を実現することができる。具体的には、前記化学式1で表される化合物を用いることにより、800,000(g/mol)以上3,000,000(g/mol)以下の重量平均分子量を有するアクリル系共重合体を容易に形成することができ、前記粘着組成物の優れたコーティング性を確保することができる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体は、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(化学式1において、Rがエチル基、xが0、nが2、yが2)、2-(2-エトキシエトキシ)メタアクリレート(化学式1において、Rがエチル基、xが1、nが2、yが2)、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(化学式1において、Rが水素、xが0、nが3、yが6;Bisomer社のPPA6)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(化学式1において、Rが水素、xが0、nが2、yが6;Bisomer社のPEA6)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(化学式1において、Rがメチル基、xが0、nが2、yが3;新中村化学工業社のAM30G)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(化学式1において、Rがメチル基、xが0、nが2、yが4;新中村化学工業社のAM-40G)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(化学式1において、Rがメチル基、xが0、nが2、yが9;新中村化学工業社のAM-90G)、およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート(化学式1において、Rがメチル基、xが0、nが2、yが13;新中村化学工業社のAM-130G)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して5重量部以上35重量部以下であってもよい。具体的には、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して6重量部以上35重量部以下、10重量部以上35重量部以下、10重量部以上30重量部以下、7重量部以上32重量部以下、15重量部以上30重量部以下、13重量部以上25重量部以下、15重量部以上20重量部以下、5重量部以上11重量部以下、14重量部以上21重量部以下、または25重量部以上30重量部以下であってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層の凝集力および粘着力を効果的に向上させることができる。具体的には、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量が前記範囲内の場合、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層のガラス転移温度(Tg)を低下させる一方、凝集力が低下することを抑制して、粘着層の優れた粘着力を保持させることができる。また、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着層の高温における粘着保持力を効果的に向上させることができる。さらに、前述した範囲の含有量で前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体が含まれた粘着組成物は、組成物の自己凝集力が向上し、連続工程に適した破断特性を有する粘着層を実現することができる。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して3重量部以上7重量部以下であってもよい。具体的には、前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量は、前記単量体混合物100重量部に対して3.5重量部以上7重量部以下、5重量部以上7重量部以下、または5重量部以上6重量部以下であってもよい。前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記粘着組成物は、連続工程に適した破断物性および高温で優れた粘着保持力を有する粘着層を実現することができる。また、前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、最適な架橋度を有する粘着層を実現して前記粘着層の破断時の距離を減少させることができ、これによって、連続工程に適した粘着層を提供することができる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有モノマーは、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、および窒素含有モノマーのうちの少なくとも1つを含むことができる。前記極性官能基含有モノマーとしてカルボキシ基含有モノマーを用いる場合、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、前記環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体、および前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体との架橋効率および前記粘着層の粘着力を効果的に向上させることができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記ヒドロキシ基含有モノマーは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、およびマレイン酸のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記窒素含有モノマーは、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、および4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体と前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、7:1~2:1であってもよい。具体的には、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体と前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比は、6:1~2:1、5:1~2:1、5.5:1~2.5:1、または4:1~3:1であってもよい。
【0055】
前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体と前記極性基含有(メタ)アクリレート単量体との重量比が前述した範囲内の場合、前記粘着層の凝集力が過度に高くなるのを防止することができ、前記粘着層は容易に破断して連続工程への適用が容易であり得る。また、前記重量比を前述した範囲内に調節することにより、前記粘着層の高温における粘着保持力を効果的に向上させることができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、当業界で用いられる共重合反応を利用して、前記アクリル系共重合体を製造することができる。例えば、前記単量体混合物を熱重合または光重合して、前記アクリル系共重合体を製造することができる。具体的には、熱重合方法を利用して、前記アクリル系共重合体を製造することができる。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記単量体混合物に溶剤を添加して組成物を製造し、これを用いて前記アクリル系共重合体を製造することができる。また、前記溶剤の含有量を前記単量体混合物100重量に対して、150重量部以上300重量部以下に調節することができる。前記溶剤の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記アクリル系共重合体の製造過程で前記単量体混合物の粘度が増加することを効果的に抑制することができる。これによって、前記アクリル系共重合体の製造過程で前記単量体混合物を効果的に撹拌することができ、前記アクリル系共重合体の重合反応を効果的に行うことができる。具体的には、前記溶剤の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記単量体と溶剤とを含む単量体混合物の固形分を25%~40%に制御することができる。前記単量体混合物の固形分含有量を前述した範囲のように適切に調節することにより、前記アクリル系共重合体の重合反応を効果的に行うことができる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記溶剤として、当業界で用いられるものを制限なく使用することができ、例えば、前記溶剤は、エチルアセテート、ブチルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンのうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、前記溶剤の種類を前述したものに限定するわけではない。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、800,000(g/mol)以上3,000,000(g/mol)以下であってもよい。具体的には、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、950,000(g/mol)以上2,500,000(g/mol)以下、1,000,000(g/mol)以上2,000,000(g/mol)以下、1,000,000(g/mol)以上1,500,000(g/mol)以下、1,000,000(g/mol)以上1,300,000(g/mol)以下、900,000(g/mol)以上1,200,000(g/mol)以下であってもよい。前記アクリル系共重合体の重量平均分子量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着層を被着体に付着させた後、加工時に発生しうる剥離現象を防止することができ、前記粘着層の低温施工性を向上させることができる。また、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記粘着層は、硬化収縮によって発生するガラスパネルなどの被着体との接着不良を防止可能であり、温度または湿度などによって施工面が収縮または変形する場合などでも、前記粘着層は優れた耐久性を有することができる。さらに、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量を前述した範囲に調節することにより、前記粘着層の高温安定性を向上させることができ、粘着層の破断距離を短く実現することができる。これによって、連続工程への適用が容易な粘着層を提供することができる。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、-55℃以上-35℃以下であってもよい。具体的には、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、-50℃以上-38℃以下、-48℃以上-40℃以下、または-48℃以上-45℃以下であってもよい。前記アクリル系共重合体のガラス転移温度が前述した範囲内の場合、前記粘着組成物の凝集力が向上する。これによって、耐久性に優れた粘着層を実現することができる。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、熱硬化剤をさらに含んでもよい。前記熱硬化剤として、当業界で用いられる熱硬化剤を制限なく使用可能である。例えば、前記熱硬化剤として、アジリジン系熱硬化剤を使用することができる。具体的には、前記アジリジン系熱硬化剤は、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリ-1-アジリジニルホスフィンオキシド、およびN,N’-ビスメチレンイミノイソフタルアミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記熱硬化剤の含有量は、前記アクリル系共重合体の固形分100重量部に対して0.01重量部以上1重量部以下、具体的には0.03重量部以上0.5重量部以下、より具体的には0.1重量部以上0.5重量部以下であってもよい。前記熱硬化剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記粘着層内の架橋密度が適切に調節されて、凝集力および耐熱性を適切な水準で実現させることができ、前記粘着層の粘着力も向上させることができる。
【0063】
本明細書において、前記「固形分」は、溶液全体において溶剤を除いた溶質または固形物を意味することができ、具体的には、アクリル系共重合体の固形分は、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体、極性基含有(メタ)アクリレート単量体、および前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体の間の重合反応により形成されたものを意味することができる。
【0064】
本発明の他の実施態様は、離型フィルムと、前記離型フィルムの一面上に具備され、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着層と、を含む無基材粘着テープを提供する。
【0065】
本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープは、連続工程に適した剪断特性を有し、粘着力に優れるという利点がある。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記無基材粘着テープは、基材を含まないものであり、無基材転写テープであってもよい。
【0067】
図1は、本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープを示す図である。具体的には、図1は、離型フィルム200と、離型フィルム200の一面上に具備された粘着層100とを含む無基材粘着テープを示すものである。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体;シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1つを含む環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体;極性基含有(メタ)アクリレート単量体;および下記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体;を含む単量体混合物が共重合されたアクリル系共重合体を含むことができる。
【0069】
【化4】
【0070】
化学式1において、Rは、水素であるか、炭素数1~5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であり、xは、0または1であり、yは、2~13の整数であり、nは、2~4の整数である。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記離型フィルムは、前記無基材粘着テープの使用時に除去されるものであってもよい。具体的には、前記離型フィルムは、前記無基材粘着テープが最終製品に付着する前まで、前記粘着層を保護するものであってもよく、前記粘着層を最終製品に付着させるために除去されるものであってもよい。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記離型フィルムの厚さは、10μm以上80μm以下、または25μm以上75μm以下であってもよい。前記離型フィルムの厚さを前述した範囲に調節することにより、前記離型フィルムを粘着層から剥離する時に離型フィルムが破れるのを防止することができる。これによって、剥離効率が低下することを抑制することができる。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層の厚さは、10μm以上80μm以下であってもよい。具体的には、前記粘着層の厚さは、20μm以上80μm以下、20μm以上70μm以下、または30μm以上70μm以下であってもよい。前記粘着層の厚さを前述した範囲に調節することにより、連続工程時に自然な破断と離型安定性が実現される無基材粘着テープを提供することができる。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、被着体に前記粘着層を付着させた後、90度の角度および2.4m/minの速度で前記粘着層を引張時、前記粘着層の破断距離が40mm以下であってもよい。具体的には、前記粘着層の破断距離は、35mm以下、または30mm以下であってもよい。
【0075】
本発明の一実施態様に係る前記無基材粘着テープの粘着層は、前記のように短い破断距離を有するので、引張力を加えた時、切れずに伸びる現象が最小化できる。このような特性を利用して、別の打ち抜き工程なしに引張による粘着層の破断を誘導して、別の打ち抜き工程なしに連続工程を行う時、粘着層が切れながら収縮する現象が最小化されて安定して連続工程を行えるという利点がある。前記無基材粘着テープは、ロールトゥセル(roll to cell)方式などの連続工程に適用可能である。
【0076】
図2は、本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープを用いたロールトゥセル連続工程を概略的に示す図である。具体的には、図2(A)は、搬送ロール510を用いて無基材粘着テープを搬送し、搬送される無基材粘着テープの粘着層100上にセル400を位置させるステップを示すものである。また、図2(B)は、2つの貼り合わせロール520を用いて無基材粘着テープの粘着層100上にセル400を貼り合わせることを示すものであり、図2(C)は、セル400が貼り合わされた無基材粘着テープを別の打ち抜き工程なしに引っ張って、セル400の下面に粘着層100を具備させることを示すものである。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層の破断距離は、被着体に前記粘着層を付着させた後、被着体に付着しない無基材転写テープを90度の角度で2.4m/minの速度で引張して、粘着層が切れた時の、粘着層の伸びる長さを意味することができる。
【0078】
また、前記粘着層の破断距離を測定するために、被着体として、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ABS(acrylonitrile-butadiene-styrene)、およびポリカーボネート(polycarbonate、PC)などの多様な基材を用いることができる。
【0079】
図3は、本発明の一実施態様に係る無基材転写テープの粘着層の破断距離を測定する過程を示す図である。具体的には、図3は、粘着層100を被着体300に付着させた後、粘着層100に引張力を加えて、粘着層100を破断させた時の、粘着層の破断距離の測定方法を示すものである。図3では離型フィルムは省略した。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、85℃における剪断強度が7kgf/in以上12kgf/in以下であってもよい。具体的には、85℃における前記粘着層の剪断強度は、7kgf/in以上11.5kgf/in以下、7.5kgf/in以上11kgf/in以下、または8.5kgf/in以上10kgf/in以下であってもよい。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記無基材粘着テープの粘着層は、優れた高温剪断強度を保有しているので、最終製品に付着して高温信頼性に優れるという利点がある。
【0082】
図4は、本発明の一実施態様に係る無基材粘着テープの粘着層の高温剪断強度を測定する方法を示す図である。図4は、ASTM D1002に基づいて粘着層の剪断強度を測定することを示すもので、図4(A)は、粘着層の剪断強度測定のために用意された試験片を示すものであり、図4(B)は、ASTM D1002に基づいて粘着層の剪断強度を測定することを示すものである。より具体的には、離型フィルムおよび粘着層を含む無基材粘着テープを25mm×25mmの大きさに裁断してサンプルを製造し、エチルアセテート(ethyl acetate)で表面を2回綺麗に洗浄した基材を2つ(ステンレススチール、SUS)用意する。この後、サンプルの粘着層全体領域を前記1つの基材に付着させ、サンプルから離型フィルムを除去して、露出した粘着層全体領域を前記他の1つの基材に付着させ、2kgのゴムローラで3回往復して付着を完了する。この後、基材に付着したサンプルを80℃の恒温チャンバで3kgの力(force)で30分間加圧した後、常温で1時間熟成(aging)して、粘着層の高温剪断強度を測定するための試験片を製造する。この後、試験片を85℃の恒温チャンバで1時間保管した後、1つの基材を固定し、他の1つの基材を6mm/minの速度で移動させる過程を5回繰り返し粘着層の破損する力を測定し、測定された力の平均値を計算して粘着層の高温剪断強度を求める。
【実施例
【0083】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0084】
粘着組成物の製造
実施例1
2-エチルヘキシルアクリレート(LG化学社)60重量部、イソボルニルアクリレート(Solay社)10重量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(M150、Miwon Specialty社)5重量部、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(M170、Miwon Specialty社)20重量部、アクリル酸(LG化学社)5重量部を含む単量体混合物を、5口の2L反応器に投入した。この後、単量体混合物100重量部に対して、エチルアセテート225.8重量部を投入し、常温で1時間以上窒素置換し、65℃まで昇温した後、温度を維持した。この後、アゾ系の熱開始剤であるAIBN(2,2’-azo-bis-isobutyrylnitrile)を、1時間あたり350ppmずつ4回にわたって投入(計1400ppm)し、変換率が95%以上になるまで窒素雰囲気を維持し、アクリル系共重合体を製造した。製造されたアクリル系共重合体の重量平均分子量は約110万、ガラス転移温度(Tg)は-45.9℃であり、アクリル系共重合体の固形分は30.7%、粘度は25℃/63番スピンドルで3,671cPsであった。
【0085】
この後、アクリル系共重合体の固形分100重量部に対して、熱硬化剤としてN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)(LG化学社)0.01重量部を添加し、メチルエチルケトンを添加して、固形分の含有量が約21%である粘着組成物を製造した。
【0086】
実施例2~実施例15
下記表1のように単量体混合物を用意したことを除き、前記実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。製造された粘着組成物の測定された物性は下記表2に示した。
下記表1中、第1単量体はアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、第2単量体は環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体、第3単量体は前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体、第4単量体は極性基含有(メタ)アクリレート単量体を意味する。
【0087】
また、下記表1中、2EHAは2-エチルヘキシルアクリレート(LG化学社)、BAはブチルアクリレート(LG化学社)、IBOAはイソボルニルアクリレート(Solay社)、IBOMAはイソボルニルメタクリレート(Solay社)、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート(旭化成社)、TMCHAはトリメチルシクロヘキシルアクリレート(Miwon Specialty社)、THFAはテトラヒドロフルフリルアクリレート(M150、Miwon Specialty社)、THFMAはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(M151、Miwon Specialty社)、EOEOEAは2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(M170、Miwon Specialty社)、AAはアクリル酸(LG化学社)を意味する。なお、下記表1における単量体の含有量の単位は重量部である。
【0088】
【表1】
【0089】
下記表2中、Tgはアクリル系共重合体のガラス転移温度、Mwはアクリル系共重合体の重量平均分子量を意味し、粘度と固形分は重合された溶剤型アクリル系共重合体の測定された値である。
【0090】
【表2】
【0091】
比較例1~比較例4
下記表3のように単量体混合物を用意したことを除き、前記実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。製造された粘着組成物の測定された物性は下記表4に示した。
【0092】
比較例5
2-エチルヘキシルアクリレート(LG化学社)60重量部、イソボルニルアクリレート(Solay社)10重量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(M150、Miwon Specialty社)5重量部、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(M170、Miwon Specialty社)20重量部、アクリル酸(LG化学社)5重量部を含む単量体混合物を、5口の2L反応器に投入した。この後、単量体混合物100重量部に対して、エチルアセテート300重量部、分子量調節剤である1-ドデカンチオールを0.05重量部投入し、常温で1時間以上窒素置換し、65℃まで昇温した後、温度を維持した。この後、アゾ系の熱開始剤であるAIBN(2,2’-azo-bis-isobutyrylnitrile)を1時間あたり350ppmずつ4回にわたって投入(計1400ppm)し、変換率が95%以上になるまで窒素雰囲気を維持し、アクリル系共重合体を製造した。製造されたアクリル系共重合体の重量平均分子量は約52万、ガラス転移温度(Tg)は-45.9℃であり、アクリル系共重合体の固形分は24.2%、粘度は25℃/63番スピンドルで1,410cPsであった。
【0093】
この後、アクリル系共重合体の固形分100重量部に対して、熱硬化剤としてN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)(LG化学社)0.01重量部を添加し、メチルエチルケトンを添加して、固形分の含有量が約21%の粘着組成物を製造した。
【0094】
比較例6~比較例9
下記表3のように単量体混合物を用意したことを除き、前記比較例5と同様の方法で粘着組成物を製造した。製造された粘着組成物の測定された物性は下記表4に示した。
下記表3中、第1単量体はアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、第2単量体は環状置換基含有(メタ)アクリレート単量体、第3単量体は前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体、第4単量体は極性基含有(メタ)アクリレート単量体を意味する。
【0095】
また、下記表3中、2EHAは2-エチルヘキシルアクリレート(LG化学社)、IBOAはイソボルニルアクリレート(Solay社)、THFAはテトラヒドロフルフリルアクリレート(M150、Miwon Specialty社)、EOEOEAは2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(M170、Miwon Specialty社)、AAはアクリル酸(LG化学社)を意味する。また、下記表3における単量体の含有量の単位は重量部である。
【0096】
【表3】
【0097】
下記表4中、Tgはアクリル系共重合体のガラス転移温度、Mwはアクリル系共重合体の重量平均分子量を意味し、粘度と固形分は重合された溶剤型アクリル系共重合体の測定された値である。
【0098】
【表4】
【0099】
無基材粘着テープの製造
本発明の実施例1~実施例15および比較例1~9で製造された粘着組成物それぞれをシリコーンで離型処理されたPETフィルムに塗布し、100℃のオーブンで3分間乾燥させて50μmの厚さの粘着層をPETフィルム上に形成した。この後、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を施して無基材粘着テープを製造した。
【0100】
[実験例]
粘着層の破断距離の測定
実施例1~実施例15および比較例1~比較例9で製造された無基材粘着テープの粘着層の破断距離を測定するために、下記のような実験を行った。
製造された無基材粘着テープの粘着層の一方の端面の約70mmをPET基材に付着させた後、Texture Analyzer(TA)装置(モデル:TA.XTplus、製造会社:stable microsystems)を用いて、PET基材に対して90度の角度および2.4m/minの速度で無基材粘着テープを引張った時の、粘着層の破断距離を5回測定し、その平均値を求めた。その結果を下記表5に示した。
【0101】
粘着層の破断面の品質の評価
前記粘着層の破断距離測定実験により破断された粘着層の破断面を観察して、破断面の粘着層が巻かれた場合にはNGと評価し、破断面の粘着層が巻かれていない場合にはOKと評価した。
図5は、本発明の一実施態様に係る粘着層の破断面の品質の評価基準を示す図である。具体的には、図5(A)は、粘着層の破断面において粘着層が巻かれた場合を撮影したものであり、図5(B)は、粘着層の破断面において粘着層が巻かれていない場合を撮影したものである。
【0102】
粘着層の高温剪断強度の測定
実施例1~実施例15および比較例1~比較例9で製造された無基材粘着テープの粘着層の高温粘着保持力を測定するために、前述のように、ASTM D1002に基づいて粘着層の剪断強度を測定した。
【0103】
【表5】
【0104】
前記表5を参照すれば、実施例1~実施例15で製造された無基材粘着テープの破断距離は40mm以下で、比較例1~比較例9で製造された無基材粘着テープの破断距離より非常に短いことを確認した。また、実施例1~実施例15で製造された無基材粘着テープの破断面の品質は、比較例1~比較例9で製造された無基材粘着テープの破断面の品質より優れていることを確認した。さらに、実施例1~実施例15で製造された無基材粘着テープは、高温剪断強度に優れていることを確認した。これに対し、単量体混合物内の極性基含有(メタ)アクリレート単量体の含有量が7重量部を超える比較例1および比較例2の無基材粘着テープの粘着層は、破断距離が長く、破断面の品質に劣ることを確認した。また、アクリル系共重合体の重量平均分子量が低い比較例5~比較例9で製造された無基材粘着テープの粘着層は、高温剪断強度に劣り、破断距離が長いことを確認した。なお、前記化学式1で表される(メタ)アクリレート単量体を含まない比較例3および比較例4で製造された無基材粘着テープの粘着層は、破断距離が長く、破断面の品質に劣り、高温剪断強度にやや劣ることを確認した。
【0105】
したがって、本発明の一実施態様に係る粘着組成物は、高温剪断強度に優れ、破断距離が短く、破断面の品質に優れた粘着層を実現できることが分かる。これによって、前記粘着層を含む無基材粘着テープは、連続工程への使用に適していることが分かる。
【符号の説明】
【0106】
100:粘着層
200:離型フィルム
300:被着体
400:セル
510:搬送ロール
520:貼り合わせロール
図1
図2
図3
図4
図5