(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】車両用ランプ及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220829BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220829BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220829BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20220829BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20220829BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20220829BHJP
F21S 41/176 20180101ALI20220829BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220829BHJP
F21S 43/16 20180101ALI20220829BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220829BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220829BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20220829BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20220829BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20220829BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20220829BHJP
F21W 103/30 20180101ALN20220829BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220829BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/22
G02B5/02 A
F21V9/32
F21V9/08 100
F21S41/143
F21S41/176
F21S43/14
F21S43/16
F21W102:10
F21W103:00
F21W103:10
F21W102:30
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:30
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020568415
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2019014565
(87)【国際公開番号】W WO2020091444
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0132918
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】チョンヘン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドク・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・クン・イ
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-169345(JP,A)
【文献】特開2009-086468(JP,A)
【文献】特開2007-266356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0112846(US,A1)
【文献】特開平11-087784(JP,A)
【文献】特開2011-208109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 5/22
G02B 5/02
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部基板、
蛍光フィルム、及び
カラーフィルタ、
が順次積層された構造を有する車両用ランプであって、
前記蛍光フィルム及び前記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサンを含
み、
前記下部基板と前記蛍光フィルムとの間に備えられた光拡散層をさらに含み、前記光拡散層は、ポリジメチルシロキサンを含むものである、車両用ランプ。
【請求項2】
前記下部基板は、
基板、
第1電極、
発光素子を含む第1絶縁膜、及び
第2電極を含む第2絶縁膜、
が順次積層された構造を有するものであって、
前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜と接する面の反対面と前記蛍光フィルムの前記カラーフィルタと接する面の反対面とが互いに接するものである、請求項
1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(PC、Polycarbonate)、ポリイミド(PI、polyimide)、ポリエチレンナフタレート(PEN、polyethylene naphthalate)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、polyether ether ketone)、ポリアリレート(PAR、polyarylate)、多環式オレフィン(PCO、polycyclic olefin)、ポリノルボルネン(polynorbornene)、ポリエーテルスルホン(PES、polyethersulphone)及びシクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)からなる群より選択されるものである、請求項
2に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
前記カラーフィルタの厚さは、50μm以上150μm以下である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の車両用ランプ。
【請求項5】
前記蛍光フィルムの厚さは、100μm以上1000μm以下である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の車両用ランプ。
【請求項6】
前記カラーフィルタは、顔料を含み、
前記ポリジメチルシロキサン100重量部を基準に、前記顔料0.5重量部~2重量部を含むものである、請求項1から
5のいずれか一項に記載の車両用ランプ。
【請求項7】
前記蛍光フィルムは、蛍光物質を含み、
前記ポリジメチルシロキサン100重量部を基準に、前記蛍光物質5重量部~50重量部を含むものである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の車両用ランプ。
【請求項8】
下部基板を準備するステップ、
前記下部基板の一面に蛍光フィルムを形成するステップ、及び
前記蛍光フィルムの前記下部基板が接する面の反対面にカラーフィルタを形成するステップ、
を含む車両用ランプの製造方法であって、
前記蛍光フィルム及び前記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサンを含
み、
前記下部基板と前記蛍光フィルムとの間に備えられた光拡散層をさらに含み、前記光拡散層は、ポリジメチルシロキサンを含むものである、車両用ランプの製造方法。
【請求項9】
前記下部基板を準備するステップは、
基板を準備するステップ、
前記基板の一面に第1電極を形成するステップ、
前記第1電極の前記基板が接する面の反対面に発光素子を含む第1絶縁膜を形成するステップ、及び
前記第1絶縁膜の前記第1電極が接する面の反対面に第2電極を含む第2絶縁膜を形成するステップ、
を含むものである、請求項
8に記載の車両用ランプの製造方法。
【請求項10】
前記カラーフィルタを形成するステップは、
ポリジメチルシロキサン及び顔料を含むカラーフィルタ組成物を形成するステップ、及び
前記カラーフィルタ組成物を前記蛍光フィルムの一面に直接コーティングするステップ、
を含むものである、請求項
8または
9に記載の車両用ランプの製造方法。
【請求項11】
前記カラーフィルタ組成物は、無溶剤型である、請求項
10に記載の車両用ランプの製造方法。
【請求項12】
前記直接コーティングは、バーコーティング又はコンマコーティング工程である、請求項
10または
11に記載の車両用ランプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月1日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0132918号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み含まれる。
【0002】
本出願は、車両用ランプ及びこれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、照明機能や信号機能を有する多様な車両用ランプを備えている。一般に、ハロゲンランプやガス放電式ランプが主に使用されてきたが、最近は、発光ダイオード(LED; Light Emitting Diode)が車両用ランプの光源として注目されている。
【0004】
発光ダイオードの場合、サイズを最小化することによりランプのデザイン自由度を高めるだけでなく、半永久的な寿命によって経済性も備えているが、現在大半がパッケージ形態で生産されている。パッケージではない発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)自体は、電流を光に変換させる半導体発光素子であって、情報通信機器をはじめとする電子装置の表示画像用光源として開発中である。
【0005】
車両用ランプとしてマイクロLED技術を適用した製品において、上板は、通常、光拡散層/蛍光層/カラーフィルタ層で構成される。このとき、光拡散層及び蛍光層は、PDMSの材料を使用し、カラーフィルタ層は、輝度損失を最小化するために顔料を分散して使用する。
【0006】
このとき、分散のために溶媒を含むことにより粘度が低くなり、光拡散層と蛍光層をコーティングすることができるコンマコーターが使用できなくなり、スロットダイ(slot die)などの他の種類のコーターを使用しなければならず、硬化時間も長くなって、工程上のコスト上昇と時間遅延の問題が発生するようになる。また、光拡散層、蛍光層、カラーフィルタ層が異なる種類のバインダーを含むようになって、反りや歪みなどの変形が起きる可能性が高いという問題点が発生する。
【0007】
したがって、同一のコーターで作製可能であり、層間で同一のバインダーを使用して、反りや歪みなどの変形に有利な車両用ランプの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
韓国特許公開公報第10-2018-0086282号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、車両用ランプ及びこれの製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願の一実施態様は、下部基板;蛍光フィルム;及びカラーフィルタが順次積層された構造を有する車両用ランプであって、上記蛍光フィルム及び上記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)を含むものである、車両用ランプを提供する。
【0011】
また別の一実施態様は、下部基板を準備するステップ;上記下部基板の一面に蛍光フィルムを形成するステップ;及び上記蛍光フィルムの上記下部基板が接する面の反対面にカラーフィルタを形成するステップを含む車両用ランプの製造方法であって、上記蛍光フィルム及び上記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)を含むものである、車両用ランプの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、蛍光フィルム及びカラーフィルタがポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)の同一のバインダーを含むことにより、溶媒及び分散剤を使用することなく蛍光フィルム上にカラーフィルタを直接コーティングすることができ、製造工程上の有利な特徴を有する。
【0013】
また、本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、光拡散層、蛍光フィルム及びカラーフィルタに含まれる材料が同一であって、最終積層体の反りや歪みなどの変形に有利な特徴を有するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本出願の一実施態様に係る車両用ランプを示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様に係る車両用ランプを示す図である。
【
図3】本出願の実施例1、実施例2及び比較例1に係る主波長を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0016】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0017】
本出願の一実施態様は、下部基板;蛍光フィルム;及びカラーフィルタが順次積層された構造を有する車両用ランプであって、上記蛍光フィルム及び上記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS,Polydimetylsiloxane)を含むものである、車両用ランプを提供する。
【0018】
本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、蛍光フィルム及びカラーフィルタが、ポリジメチルシロキサン(PDMS,Polydimetylsiloxane)の同一のバインダーを含むことにより、カラーフィルタは溶媒及び分散剤を使用することなく顔料を使用することができ、蛍光フィルム上にカラーフィルタを直接コーティングすることができ、製造工程上の有利な特徴を有する。
【0019】
特に、本出願に係る車両用ランプは、蛍光フィルム及びカラーフィルタに含まれる材料が同一であって、最終積層体の反りや歪みなどの変形に有利な特徴を有するようになる。すなわち、既存のカラーフィルタ層は、輝度損失を最小化するために顔料を分散して使用し、カラーフィルタ層としてアクリル系バインダーを使用し、分散のために溶媒を含むことにより粘度が低く、工程上のコスト上昇の問題が発生し、カラーフィルタ層としてアクリル系バインダーを使用するため蛍光フィルムと材料が同一でなく、反りや歪みなどの変形が起きる可能性が高いという問題点が発生したが、本出願に係る車両用ランプは、カラーフィルタとしてポリジメチルシロキサン(PDMS,Polydimetylsiloxane)を含むことにより、上記の問題点を解決することができた。
【0020】
本出願の一実施態様において、上記下部基板は、基板;第1電極;発光素子を含む第1絶縁膜;及び第2電極を含む第2絶縁膜が順次積層された構造を有するものであって、上記第2絶縁膜の上記第1絶縁膜と接する面の反対面と上記蛍光フィルムの上記カラーフィルタと接する面の反対面とが互いに接するものである、車両用ランプを提供する。本出願の一実施態様において、上記基板は、第1電極が配置される配線基板であってもよい。上記第1電極は、陽極であってもよく、上記第1電極は、陰極であってもよい。
【0021】
本出願の一実施態様において、上記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(PC、Polycarbonate)、ポリイミド(PI、polyimide)、ポリエチレンナフタレート(PEN、polyethylene naphthalate)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、polyether ether ketone)、ポリアリレート(PAR、polyarylate)、多環式オレフィン(PCO、polycyclic olefin)、ポリノルボルネン(polynorbornene)、ポリエーテルスルホン(PES、polyethersulphone)及びシクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)からなる群より選択されることができる。
【0022】
上記基板は、フレキシブル(flexible)光源部を実現するために、ガラスやポリイミド(PI)を含むことができる。また、上記基板は、薄型金属であってもよい。その他、絶縁性があり、柔軟性のある材質であれば、いずれのものでも使用されることができる。また、上記基板は、透明な材質又は不透明な材質のいずれであってもよい。
【0023】
本出願の一実施態様において、上記基板は、ポリイミド(PI)を含むことができる。
本出願の一実施態様において、上記第1絶縁膜は、複数の発光素子を含むことができる。
【0024】
図1は、本出願の一実施態様に係る車両用ランプの側面図を示すものである。具体的に、上記発光素子9は、上記第1絶縁膜5に備えられ、具体的に、上記発光素子は、上記第1絶縁膜の内部にパターン形式で備えられることができる。
【0025】
本出願の一実施態様において、上記第2絶縁膜は、複数の第2電極を含むことができる。
図1は、本出願の一実施態様に係る車両用ランプの側面図を示すものである。具体的に、上記第2電極8は、上記第2絶縁膜4に備えられ、具体的に、上記第2電極は、上記第2絶縁膜の内部にパターン形式で備えられることができる。
【0026】
本出願の一実施態様において、上記複数の発光素子の一面中の一部に複数の第2電極の一面が位置することができ、上記複数の第2電極は、上記複数の発光素子と電気的に連結された形態を有する。
【0027】
本出願の一実施態様において、上記第1絶縁膜及び第2絶縁膜は、シリコンオキサイド(SiOx)などを含む透明絶縁膜であってもよい。また別の一実施態様において、上記絶縁膜には、電極間のショートを防止するための構造として、絶縁特性に優れ光吸収の少ないエポキシもしくはメチル、フェニル系シリコーンなどの高分子物質、又はSiN、Al2O3などの無機物質が使用されることができる。
【0028】
上記第1絶縁膜及び上記第2絶縁膜は、上記第1電極及び上記第2電極間のショートを防止する役割を果たすことができる。
上記第2電極は、陰極であってもよく、上記第2電極は、陽極であってもよい。
【0029】
上記陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属又は導電性高分子などを使用することができる。上記陽極材料の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属又はこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:Al又はSnO2:Sbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0030】
上記陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物又は導電性高分子などを使用することができる。上記陰極材料の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ及び鉛などの金属又はこれらの合金;LiF/Al又はLiO2/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0031】
本出願の一実施態様において、上記下部基板と上記蛍光フィルムとの間に備えられた光拡散層をさらに含む車両用ランプを提供する。
【0032】
図2は、本出願の一実施態様に係る車両用ランプの側面図を示す図である。上記車両用ランプに上記光拡散層3を追加で備えた形態を確認することができ、この場合、第2電極8の一面に光拡散層3の一面を接して備えられることができる。
【0033】
上記光拡散層は、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)を含むことができる。
【0034】
本出願の一実施態様に係る車両用ランプが、上記光拡散層を含む場合、上記光拡散層は、上記発光素子と上記蛍光フィルムとの間に備えられて、上記発光素子と上記蛍光フィルムとの間にギャップ(gap)を生じさせ、上記発光素子自体の隠蔽力を向上することができる特性を有するようになる。
【0035】
上記発光素子の隠蔽力が良くない場合、上記車両用ランプから発生した光がカラーフィルタまで透過した後の様子で、面発光のような様子が見られず、個別の発光素子の区別が可能になる。
【0036】
本出願の一実施態様において、上記光拡散層の厚さは、100μm以上1000μm以下であってもよい。
【0037】
また別の一実施態様において、上記光拡散層の厚さは、100μm以上1000μm以下、好ましくは200μm以上800μm以下、より好ましくは400μm以上600μm以下であってもよい。
【0038】
上記光拡散層の厚さが上記範囲を満足する場合、上記発光素子の隠蔽力が向上する特徴を有するようになり、透明な材料を使用して、色変換又は輝度損失を防止することができる特性を有するようになる。
【0039】
本出願の一実施態様において、上記蛍光フィルムは、ポリジメチルシロキサン及び蛍光物質を含むことができる。
上記蛍光フィルムは、上記第2絶縁膜の一面に形成されることができる。
【0040】
上記蛍光フィルムは、蛍光物質が含まれていて、上記発光素子から発光された光の一部を吸収して、吸収した光と異なる所定の色の光を発光する役割を果たすようになる。
【0041】
例えば、発光素子は、青色(B)光を発光する青色半導体発光素子であり、このような青色(B)光を他の色に変換するための蛍光フィルムが備えられることができる。上記蛍光フィルムは、青色光を赤色(R)光に変換することができる赤色蛍光物質、青色光を緑色(G)光に変換することができる緑色蛍光物質、又は青色光を白色(W)光に変換することができる白色蛍光物質を備えることができる。
【0042】
本出願の一実施態様において、上記緑色蛍光物質は、シリケート系、ナイトライド系、又はサルファイド系蛍光体であってもよい。
【0043】
本出願の一実施態様において、上記赤色蛍光物質は、ナイトライド系、サルファイド系、又はフルオライド系蛍光体であってもよい。
【0044】
本出願の一実施態様において、上記白色蛍光物質は、上記緑色及び赤色蛍光物質を効率的に混合して好適に使用することができる。
【0045】
本出願の一実施態様において、上記蛍光フィルムの厚さは、100μm以上1000μm以下であってもよい。
【0046】
また別の一実施態様において、上記蛍光フィルムの厚さは、100μm以上1000μm以下、好ましくは100μm以上800μm以下、より好ましくは100μm以上650μm以下であってもよい。
【0047】
上記蛍光フィルムが上記厚さ範囲を有することによって、発光素子から発生する発光光を他の色に変換するのに適した特徴を有するようになり、また蛍光フィルムの厚さが上記厚さ範囲を有することによって、上記発光素子の隠蔽力が向上する特徴を有するようになる。
【0048】
上記発光素子から発光された光を、蛍光物質が含まれた上記蛍光フィルムが所望の色の光に変換し、すべての光が所望の光に変換されるためには、蛍光フィルムに含まれる蛍光物質の含量及び蛍光フィルムの厚さを調節しなければならず、特に上記蛍光フィルムが上記厚さ範囲を有することにより、輝度損失を最小化すると共に最大限多くの光を所望の色に変換することができる特徴を有するようになる。
【0049】
本出願の一実施態様において、上記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)及び顔料を含むことができる。
【0050】
本出願の一実施態様において、上記ポリジメチルシロキサンは、光透過性に優れ、光に対する耐久性に優れており、コーティング後の硬化速度が速いものであって、Dow社のEI-1184又はSylgard 184、Shinetsu社のKE-106、KE-109などの市販の製品を使用することができる。
【0051】
上記カラーフィルタは、上記蛍光フィルムに積層されて、蛍光フィルムから発光された所定の色の光を選択的に透過させる役割を果たすことができる。
【0052】
既存のカラーフィルタは、輝度損失を最小化するために、カラーフィルタに含まれる顔料を分散後、アクリル系バインダーを適用して使用した。このとき、分散のために溶媒を含むようになり、これによって粘度が低くなって、蛍光フィルム上に直接コーティングしにくいため、基材フィルムにコーティング後に適用するという問題があった。
【0053】
本出願に係るカラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)材料を含むことにより、蛍光フィルム上に直接コーティングが可能であり、溶媒や分散剤を使用することなく顔料を分散して使用することができる特徴を有するようになる。
【0054】
本出願の一実施態様において、上記顔料は、赤色染料の単独あるいは赤色と黄色染料を混合して使用することができる。含まれる顔料は、最終車両用ランプの所望の発光色によって適切な染料を選択してカラーフィルタに含まれることができ、具体的に、C.I.ピグメントレッド-a(a:1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279のうち1種)、C.I.ピグメントイエロー-b(b:1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214のうち1種)から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
本出願の一実施態様において、上記カラーフィルタの厚さは、50μm以上150μm以下である車両用ランプを提供する。
【0056】
また別の一実施態様において、上記カラーフィルタの厚さは、50μm以上150μm以下、より好ましくは60μm以上130μm以下、さらに好ましくは80μm以上110μm以下であってもよい。
【0057】
上記カラーフィルタの厚さによってカラーフィルタの透過度が変化するようになり、最終的にカラーフィルタを透過した光の輝度、主波長及び色純度を決定する重要な役割を果たすようになる。すなわち、上記カラーフィルタの厚さが上記範囲を満足する場合、主波長と色純度の値を満足させると共に、最高輝度を得ることができる特徴を有するようになる。
【0058】
本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、上記光拡散層、蛍光フィルム及びカラーフィルタの材料が同一であって、最終車両用ランプ積層体の反りや歪みなどの変形に有利な特徴を有するようになる。
【0059】
具体的に、本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、上記光拡散層、蛍光フィルム及びカラーフィルタに使用される高分子の材料が同一であり、上記高分子は、メチル又はフェニル系のシリコーン高分子であってもよく、上記メチル又はフェニル系のシリコーン高分子は、上述したポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0060】
本出願の一実施態様において、上記カラーフィルタは、顔料を含み、上記ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)100重量部を基準に、上記顔料0.5重量部~2重量部を含む、車両用ランプを提供する。
【0061】
また別の一実施態様において、上記カラーフィルタは、顔料を含み、上記ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)100重量部を基準に、上記顔料0.5重量部~2重量部、より好ましくは0.5~1.5重量部、さらに好ましくは0.5~1.0重量部を含むことができる。
【0062】
上記カラーフィルタに含まれる上記顔料の含量によって、車両用ランプの透過度が変化するようになり、上記カラーフィルタに含まれる上記顔料が上記重量部を有する場合、上記顔料粒子に起因する適正水準のヘイズが発生して、輝度には影響を与えないと共に、上記発光素子から発生した光を散乱させて、それぞれの発光素子に対する隠蔽力向上の特性を有するようになる。
【0063】
本出願の一実施態様において、上記ヘイズ値は、30%以上60%以下の値であってもよい。
本出願の一実施態様において、上記蛍光フィルムは、蛍光物質を含み、上記ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)100重量部を基準に、上記蛍光物質5重量部~50重量部を含む、車両用ランプを提供する。
【0064】
また別の一実施態様において、上記蛍光フィルムは、蛍光物質を含み、上記ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)100重量部を基準に、上記蛍光物質5重量部~50重量部、好ましくは10重量部~50重量部、より好ましくは20重量部~50重量部を含むことができる。
【0065】
上記発光素子から発光された光を、蛍光物質が含まれた蛍光フィルムが所望の色の光に変換させ、すべての光が所望の色の光に変換されるためには、蛍光物質の含量及び厚さによって変化する。すなわち、上記蛍光フィルムが、上記含量部の蛍光物質を含むことによって、輝度損失を最小化すると共に、最大限多くの光を所望の色の光に変換することができる特徴を有するようになる。上記蛍光フィルムの厚さ範囲は、上述した通りである。
【0066】
本出願の一実施態様において、下部基板を準備するステップ;上記下部基板の一面に蛍光フィルムを形成するステップ;及び上記蛍光フィルムの上記下部基板が接する面の反対面にカラーフィルタを形成するステップを含む車両用ランプの製造方法であって、上記蛍光フィルム及び上記カラーフィルタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)を含むものである、車両用ランプの製造方法を提供する。
【0067】
本出願の一実施態様において、上記下部基板を準備するステップは、基板を準備するステップ;上記基板の一面に第1電極を形成するステップ;上記第1電極の上記基板が接する面の反対面に発光素子を含む第1絶縁膜を形成するステップ;及び上記第1絶縁膜の上記第1電極が接する面の反対面に第2電極を含む第2絶縁膜を形成するステップを含むものである、車両用ランプの製造方法を提供する。
【0068】
本出願の一実施態様において、上記カラーフィルタを形成するステップは、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)及び顔料を含むカラーフィルタ組成物を形成するステップ;及び上記カラーフィルタ組成物を上記蛍光フィルムの一面に直接コーティングするステップを含むものである、車両用ランプの製造方法を提供する。
【0069】
上記カラーフィルタ組成物は、ポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)及び顔料を含み、カラーフィルタに使用されることができる物質は、制限なく含まれることができる。
【0070】
本出願の一実施態様において、上記カラーフィルタ組成物は、溶媒を含まない無溶剤型であってもよい。
【0071】
本出願に係るカラーフィルタは、ポリジメチルシロキサンを使用して、顔料の分散のために溶媒を含まず、粘度が高くなるので、これによって追加の基材上にカラーフィルタを形成し、これを適用する複雑な工程なしに、蛍光フィルム上に上記カラーフィルタ組成物を直接適用することができる特徴を有するようになる。
【0072】
本出願の一実施態様において、上記直接コーティングは、バーコーティング又はコンマコーティング工程である、車両用ランプの製造方法を提供する。
【0073】
本出願に係るカラーフィルタは、ポリジメチルシロキサンを使用して、カラーフィルタと蛍光フィルムとを同一のコーターで作製可能な特徴を有するようになる。すなわち、既存のカラーフィルタは、アクリルバインダーを含み、アクリルバインダーの場合、蛍光フィルムに含まれるポリジメチルシロキサンとの粘度差が大きいため、同一のコーターでの作製が不可能であって、工程上不利な点があった。これに対し、本発明に係るカラーフィルタは、ポリジメチルシロキサンを含むことにより、上記問題点を解決することができた。
【0074】
本明細書において説明される車両用ランプには、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯、車幅灯、霧灯、方向指示灯、制動灯、ハザードランプ、テールランプなどが含まれることができる。ところが、本明細書に記載の実施例に係る構成は、今後開発される新しい製品の形態であっても、ディスプレイが可能な装置には適用されることができる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。ところが、本発明は種々の異なる形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0076】
<製造例>
<製造例1-車両用ランプ用積層体の形成>
光拡散層のコーティング
PET基材にPDMS(Shinetsu社、KE-106)をバーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後の光拡散層の最終厚さが400μmである光拡散層を形成した。
【0077】
蛍光フィルムのコーティング
硬化が完了した上記製造された光拡散層の上部にPDMS(Shinetsu社、KE-106)と上記PDMS100重量部を基準に蛍光物質50重量部を混合して、バーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後の蛍光フィルムの最終厚さが100μmである光拡散層/蛍光フィルム積層体を形成した。
【0078】
カラーフィルタのコーティング
硬化が完了した上記製造された光拡散層/蛍光フィルム積層体の蛍光フィルムの上部にPDMS(Shinetsu社、KE-106)と上記PDMS100重量部を基準に顔料0.9重量部を混合して、バーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後のカラーフィルタの最終厚さが100μmである車両用ランプ用積層体を形成した。
【0079】
<製造例2-車両用ランプ用積層体の形成>
蛍光フィルムのコーティング
PET基材にPDMS(Shinetsu社、KE-106)と上記PDMS100重量部を基準に蛍光物質10重量部を混合して、バーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後の蛍光フィルムの最終厚さが500μmである蛍光フィルムを形成した。
【0080】
カラーフィルタのコーティング
硬化が完了した上記製造された蛍光フィルムの上部にPDMS(Shinetsu社、KE-106)と上記PDMS100重量部を基準に顔料0.9重量部を混合して、バーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後のカラーフィルタの最終厚さが100μmである車両用ランプ用積層体を形成した。
【0081】
<製造例3-車両用ランプ用積層体の形成>
カラーフィルタのコーティング
PET基材に顔料ミルベースが含まれたアクリルバインダーをスロットダイ(slot die)コーティングした後、150℃で20分間乾燥し、乾燥後の最終厚さが10μmであるカラーフィルタを形成した。
【0082】
蛍光フィルムのコーティング
上記製造されたカラーフィルタの上部にPDMS(Shinetsu社、KE-106)と上記PDMS100重量部を基準に蛍光物質50重量部を混合して、バーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後の蛍光フィルムの最終厚さが100μmであるカラーフィルタ/蛍光フィルム積層体を形成した。
【0083】
光拡散層のコーティング
硬化が完了した上記カラーフィルタ/蛍光フィルム積層体の蛍光フィルムの一面にPDMS(Shinetsu社、KE-106)をバーコーティング又はコンマコーティングした後、150℃で5分~10分間硬化し、硬化後の光拡散層の最終厚さが400μmである光拡散層を形成した。
【0084】
<実験例>
1.透過された光の輝度及び色の評価
上記製造例1~3で製造した車両用ランプ用積層体について、Topcon社のSR-UL2装備を使用して、発光素子から発光されて最終カラーフィルタまで透過した光を測定し、測定結果を下記表1に記載する。
【0085】
【0086】
上記表1から分かるように、車両用ランプにカラーフィルタとしてPDMSを適用しても、既存のアクリル材料に比べて主波長と色純度が変わることなく同等な水準の輝度性能を示すことを確認することができた。
図3は、本出願の実施例1、実施例2及び比較例1に係る主波長を示す図である。
図3から分かるように、カラーフィルタとしてPDMSを適用したときにも、既存のアクリル材料に比べ主波長及び色純度は変わることなく同じ水準の輝度性能を示し、本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、蛍光フィルム及びカラーフィルタがポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)の同一のバインダーを含むことにより、溶媒及び分散剤を使用することなく蛍光フィルム上にカラーフィルタを直接コーティングすることができて、製造工程上の有利な特徴を有することを確認することができた。
【0087】
2.ヘイズ及び透過率の評価
上記製造例1~3で製造した車両用ランプ用積層体について、製造されたカラーフィルタに対するヘイズメーターNDH-5000SPを用いて、ASTM(American Society of testing materials)方式でヘイズ及び透過率を測定し、それぞれの測定結果を下記表2に記載する。
【0088】
【0089】
上記表2から分かるように、カラーフィルタとしてPDMSを適用する場合、既存のアクリル系に比べて高いヘイズ値を示すことを確認することができた。ヘイズが高い場合、内部で光を散乱させて、車両用ランプ発光素子の隠蔽力の向上に有利である。ヘイズ値が高過ぎる場合、輝度低下を起こすことがあるが、上記表1の結果から分かるように、光性能には影響を与えず、隠蔽力の向上にのみ助けになることを確認することができた。
【0090】
特に、上記実施例2のように、カラーフィルタにPDMS物質を使用することによって、光拡散層を除去し、蛍光層の厚さを増加させた場合にも同様に、同等な光性能と車両用ランプ発光素子隠蔽力を示すことができる特徴を見せた。
【0091】
すなわち、本出願に係る車両用ランプは、蛍光フィルム及びカラーフィルタがポリジメチルシロキサン(PDMS, Polydimetylsiloxane)の同一のバインダーを含むことにより、溶媒及び分散剤を使用することなく蛍光フィルム上にカラーフィルタを直接コーティングすることができて、アクリル系を使用した場合に比べて、製造工程上の有利な特徴を有すると共に、本出願の一実施態様に係る車両用ランプは、光拡散層、蛍光フィルム及びカラーフィルタに含まれる材料が同一であって、最終積層体の反りや歪みなどの変形に有利な特徴を有するようになり、光性能にも優れていることを確認することができた。
【符号の説明】
【0092】
1:カラーフィルタ
2:蛍光フィルム
3:光拡散層
4:第2絶縁膜
5:第1絶縁膜
6:第1電極
7:基板
8:第2電極
9:発光素子
10:下部基板