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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】テープセット
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20180101AFI20220829BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220829BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220829BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20220829BHJP
   A61F 13/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
C09J7/00
C09J201/00
G09F3/00 E
G09F3/02 M
A61F13/02 310A
A61F13/02 310T
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018001493
(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公開番号】P2019119817
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 龍太郎
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-512770(JP,A)
【文献】特開2009-293028(JP,A)
【文献】実開昭51-020065(JP,U)
【文献】特開2011-174957(JP,A)
【文献】特開2012-093643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J,G09F,A61F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1テープ及び第2テープを少なくとも1つずつ含むテープセットであって、
前記第1テープ及び前記第2テープは、両側縁が一の底点から頂点を経由して二の底点に至る外向き凸状をなす基本構成部を1以上有する波形部を備え、前記波形部同士が隣接するように前記長手方向と直交する幅方向に並べられており、
前記第1テープは、前記波形部の一端縁に連なるとともに、前記第2テープの前記波形部の一端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第1-1切片をさらに備え、
前記第2テープは、前記波形部の他端縁に連なるとともに、前記第1テープの前記波形部の他端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-1切片をさらに備え、
前記第1テープ及び前記第2テープが単一の剥離フィルムに貼着されたテープセット。
【請求項2】
前記第1-1切片における前記第2テープ側の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部の側縁のうち、頂点から一端側の底点に至る勾配部に隣接し、
前記第2-1切片における前記第1テープ側の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部の側縁のうち、頂点から他端側の底点に至る勾配部に隣接する、請求項1に記載のテープセット。
【請求項3】
前記第1-1切片と前記第2-1切片とは同形状である請求項1又は2に記載のテープセット。
【請求項4】
前記第1-1切片と前記第2-1切片とは、それぞれ両側縁が外向きに延びる請求項3に記載のテープセット。
【請求項5】
一端側の前記底点を通り幅方向に延びる一端側底点線、前記頂点を通り幅方向に延びる頂点線、及び他端側の前記底点を通り幅方向に延びる他端側底点線を境界として、前記基本構成部を、前記一端側底点線と前記頂点線との間の一端側領域と、前記頂点線と前記他端側底点線との間の他端側領域とに区分した場合に、
前記第1-1切片と、前記第1テープの前記基本構成部における他端側領域とは、同形状であり、
前記第2-1切片と、前記第2テープの前記基本構成部における一端側領域とは、同形状である、請求項4に記載のテープセット。
【請求項6】
前記第1テープは、前記第1-1切片の先端縁に連なる第1-2切片と、前記波形部の他端縁に連なる第1-3切片とをさらに備え、
前記第2テープは、前記第2-1切片の先端縁に連なり、前記第1-3切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-2切片と、前記波形部の一端縁に連なり、前記第1-2切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-3切片とをさらに備え、
前記第1-2切片、前記第1-3切片、前記第2-2切片、及び前記第2-3切片は、それぞれ両側縁が内向きに延びる、請求項5に記載のテープセット。
【請求項7】
前記第1-2切片と前記第2-2切片とは同形状であり、
前記第1-3切片と前記第2-3切片とは同形状である請求項6に記載のテープセット。
【請求項8】
前記第1-2切片の側縁は、前記第1-1切片の側縁に滑らかに連続するものとされ、 前記第2-2切片の側縁は、前記第2-1切片の側縁に滑らかに連続するものとされ、 前記第1-3切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁に滑らかに連続するものとされ、
前記第2-3切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁に滑らかに連続するものとされる、請求項7に記載のテープセット。
【請求項9】
前記第1テープは、前記第1-1切片の先端縁に連なる第1-2切片と、前記波形部の他端縁に連なる第1-3切片とをさらに備え、
前記第2テープは、前記第2-1切片の先端縁に連なり、前記第1-3切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-2切片と、前記波形部の一端縁に連なり、前記第1-2切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-3切片とをさらに備え、
前記第1-2切片及び前記第2-2切片は、両側縁が内向きに延びており、
前記第1-3切片及び前記第2-3切片は、両側縁が外向きに延びており、
前記第1-2切片と前記第2-3切片とは側縁同士が隣接し、前記第1-3切片と前記第2-2切片とは側縁同士が隣接する、請求項5に記載のテープセット。
【請求項10】
前記第1-2切片と前記第2-2切片とは同形状であり、
前記第1-3切片と前記第2-3切片とは同形状である請求項9に記載のテープセット。
【請求項11】
前記第1-2切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁と同一の勾配とされ、
前記第1-3切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁と同一の勾配とされ、
前記第2-2切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁と同一の勾配とされ、
前記第2-3切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁と同一の勾配とされる、請求項10に記載のテープセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のテープを有するテープセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のテープが剥離フィルムに貼着されたテープセットが使用されており、例えば特許文献1には、商品情報が各テープに印刷されたテープセットが開示されている。特許文献1のテープセットでは、各テープが長方形とされている。
【0003】
また、上記テープセットの1種として、例えば睡眠時における口呼吸を抑制するテープがあり、図11は、従来の口呼吸抑制テープ10を示している。口呼吸抑制テープ10は、不織布等からなる複数のテープTが剥離フィルムFに貼り付けられたものであり、剥離フィルムFから剥がしたテープTを唇に貼り付けることで、睡眠時における口呼吸を抑制することができる。この口呼吸抑制テープ10では、テープTを伸びやすいものとするため、またテープTを唇から剥がれにくいものとするために、テープTの両側縁が波形とされている。図示の例では、テープTの側縁の波形は、4つの基本波形縁Cが連なったものであり、各基本波形縁Cは、一の底点Pから頂点Qを経由して二の底点Pに至る外向き湾曲凸状をなしている。各テープTでは、長手方向の一端と、長手方向一端側から数えてN番目の波形の頂点Qとの間の距離Lが同一とされる(図11では、長手方向の一端と、長手方向一端側から数えて2番目の波形の頂点Qとの間の距離Lや、長手方向の一端と、長手方向一端側から数えて4番目の波形の頂点Qとの間の距離Lを例として示している)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-33822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テープセットの製造時には、剥離フィルムに貼り付けられた原紙を打ち抜くことで複数のテープを並んだ状態に成形することができる。この際、材料コストを抑えるために、原紙の取り分(テープとして使用される部分)を多くすることが求められる。この点に関して、特許文献1のようにテープが長方形とされる場合には、原紙の取り分を多くするために、例えば、テープの長さ分の幅を有する原紙を準備し、テープの幅分の間隔をあけた複数の位置で直線状の打ち込み線に沿って原紙を打ち抜くことで、各テープが原紙の全幅に延びて(原紙の幅が各テープの長さとなり)、隣り合う2つのテープの短辺同士が隣接するように、テープを成形できる。
【0006】
これに対し、従来のテープセット(口呼吸抑制テープ10)は、各テープTにおける、長手方向の一端とN番目の頂点Qとの間の距離Lが同一とされている。このため図12に示すように、各テープTが原紙Gの長手方向における略全幅に延びるように原紙Gを打ち抜く場合には、各テープTのN番目の頂点Qが幅方向の同一直線上に位置することになる(上記の長手方向はテープTの長手方向であり、上記の幅方向はテープTの長手方向と直交する方向である)。このため、隣り合う2つのテープT,Tの側縁同士を隣接させることができず、上記2つのテープT,Tの間に隙間V(テープTとして使用されない原紙Gの部分V)が生じる。このため原紙Gにおけるテープの取り分が少なくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、テープの成形時に、テープとして使用される原紙の部分(取り分)を多くすることの可能なテープセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のテープセットは、長手方向に延びる第1テープ及び第2テープを少なくとも1つずつ含むテープセットであって、前記第1テープ及び前記第2テープは、両側縁が一の底点から頂点を経由して二の底点に至る外向き凸状をなす基本構成部を1以上有する波形部を備え、前記波形部同士が隣接するように前記長手方向と直交する幅方向に並べられており、前記第1テープは、前記波形部の一端縁に連なるとともに、前記第2テープの前記波形部の一端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第1-1切片をさらに備え、前記第2テープは、前記波形部の他端縁に連なるとともに、前記第1テープの前記波形部の他端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-1切片をさらに備える。
【0009】
好ましくは、前記第1-1切片における前記第2テープ側の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部の側縁のうち、頂点から一端側の底点に至る勾配部に隣接し、前記第2-1切片における前記第1テープ側の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部の側縁のうち、頂点から他端側の底点に至る勾配部に隣接する。
【0010】
好ましくは、前記第1-1切片と前記第2-1切片とは同形状である。
【0011】
好ましくは、前記第1-1切片と前記第2-1切片とは、それぞれ両側縁が外向きに延びる。
【0012】
好ましくは、一端側の前記底点を通り幅方向に延びる一端側底点線、前記頂点を通り幅方向に延びる頂点線、及び他端側の前記底点を通り幅方向に延びる他端側底点線を境界として、前記基本構成部を、前記一端側底点線と前記頂点線との間の一端側領域と、前記頂点線と前記他端側底点線との間の他端側領域とに区分した場合に、前記第1-1切片と、前記第1テープの前記基本構成部における他端側領域とは、同形状であり、前記第2-1切片と、前記第2テープの前記基本構成部における一端側領域とは、同形状である。
【0013】
好ましくは、前記第1テープは、前記第1-1切片の先端縁に連なる第1-2切片と、前記波形部の他端縁に連なる第1-3切片とをさらに備え、前記第2テープは、前記第2-1切片の先端縁に連なり、前記第1-3切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-2切片と、前記波形部の一端縁に連なり、前記第1-2切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-3切片とをさらに備え、前記第1-2切片、前記第1-3切片、前記第2-2切片、及び前記第2-3切片は、それぞれ両側縁が内向きに延びる。
【0014】
好ましくは、前記第1-2切片と前記第2-2切片とは同形状であり、前記第1-3切片と前記第2-3切片とは同形状である。
【0015】
好ましくは、前記第1-2切片の側縁は、前記第1-1切片の側縁に滑らかに連続するものとされ、前記第2-2切片の側縁は、前記第2-1切片の側縁に滑らかに連続するものとされ、前記第1-3切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁に滑らかに連続するものとされ、前記第2-3切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁に滑らかに連続するものとされる。
【0016】
好ましくは、前記第1テープは、前記第1-1切片の先端縁に連なる第1-2切片と、前記波形部の他端縁に連なる第1-3切片とをさらに備え、前記第2テープは、前記第2-1切片の先端縁に連なり、前記第1-3切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-2切片と、前記波形部の一端縁に連なり、前記第1-2切片の先端縁と前記幅方向に延びる同一直線上に先端縁が位置する第2-3切片とをさらに備え、前記第1-2切片及び前記第2-2切片は、両側縁が内向きに延びており、前記第1-3切片及び前記第2-3切片は、両側縁が外向きに延びており、前記第1-2切片と前記第2-3切片とは側縁同士が隣接し、前記第1-3切片と前記第2-2切片とは側縁同士が隣接する。
【0017】
好ましくは、前記第1-2切片と前記第2-2切片とは同形状であり、前記第1-3切片と前記第2-3切片とは同形状である。
【0018】
好ましくは、前記第1-2切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁と同一の勾配とされ、前記第1-3切片の側縁は、前記第1テープの前記基本構成部における一端側領域の側縁と同一の勾配とされ、前記第2-2切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁と同一の勾配とされ、前記第2-3切片の側縁は、前記第2テープの前記基本構成部における他端側領域の側縁と同一の勾配とされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のテープセットによれば、テープの成形時に、テープとして使用される原紙の部分(取り分)を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るテープセットを示す平面図である。
図2図1のテープセットが備えるテープを示す平面図である
図3】テープの原紙を打ち抜くために使用されるパンチを示す平面図である。
図4】パンチによって打ち込みが行われた直後の原紙の状態を示す平面図である。
図5】本発明の変形例に係るテープセットを示す平面図である。
図6図5のテープセットが備えるテープを示す平面図である
図7】本発明の変形例に係るテープセットを示す平面図である。
図8】本発明の変形例に係るテープセットを示す平面図である。
図9】本発明の変形例に係るテープセットを示す平面図である。
図10】本発明の変形例に係るテープセットを示す平面図である。
図11】従来のテープセットを示す平面図である。
図12】従来のテープセットを成形するために打ち込みの行われた原紙の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係るテープセット1を示す平面図である。
【0022】
図1に示すテープセット1は、長手方向に延びるテープT1及びテープT2が剥離フィルムFに貼り付けられたものである。テープセット1は、剥離フィルムFから剥がしたテープT1,T2を唇に貼り付けることで、睡眠時における口呼吸を抑制することができる。
【0023】
剥離フィルムFは、プラスチック或いは紙などから形成される。剥離フィルムFは、矩形を呈しており、剥離フィルムFの長手方向の略全幅に亘ってテープT1,T2が延びている。
【0024】
テープT1及びテープT2は、不織布、和紙、或いは多数の通気孔が形成された樹脂シートなどから形成されている。テープT1及びテープT2の裏面には粘着剤が塗布されており、この粘着剤によってテープT1,T2を剥離フィルムFや唇に貼り付けることができる。上記の粘着剤として、例えば、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤またはアクリル系粘着剤を使用することができる。なお、口呼吸抑制テープとして使用する場合には、皮膚刺激等の観点からシリコン系粘着剤を使用することが好ましい。
【0025】
テープT1及びテープT2を延びやすいものとするため、またテープT1及びテープT2を唇から剥がれにくいものとするために、テープT1及びテープT2には波形部Wが形成されている。波形部Wは、1又は複数(図示例では3つ)の基本構成部Kから構成されており、各基本構成部Kの側縁は、一の底点Pから頂点Qを経由して二の底点Pに至る外向き湾曲凸状をなしている。なお、「外向き」とは、テープTの幅方向の長さが次第に大きくなるように両側縁が延びることを意味する。テープT1及びテープT2は、波形部W同士が隣接するように長手方向と直交する幅方向に並べられる。なお図1では、テープT2の両側にテープT1が隣接するように2つのテープT1と1つのテープT2とを剥離フィルムFに貼り付ける例を示しているが、テープセット1に含まれるテープT1,T2の数は、テープT1,T2を交互に並べた状態で、テープT1,T2を剥離フィルムFに貼り付け可能な1組以上の数にすることができる。
【0026】
図2は、隣り合うテープT1,T2のみを抽出して示す平面図である(図2では、説明の便宜のため、各テープ間で対応する同形状の部分を同一色で示している)。図2に示す直線B1は、一端側の底点P1を通り幅方向に延びる仮想線(以下、一端側底点線B1)である。図2に示す直線B2は、頂点Qを通り幅方向に延びる仮想線(以下、頂点線B2)である。図2に示す直線B3は、他端側の底点P2を通り幅方向に延びる仮想線(以下、他端側底点線B3)である。図2のR1は、基本構成部Kにおける一端側底点線B1と頂点線B2との間の一端側領域を示す。図2のR2は、基本構成部Kにおける頂点線B2と他端側底点線B3との間の他端側領域を示す。テープT1とテープT2との波形部Wの側縁同士を隣接させた状態では、一方の頂点Qと他方の底点Pとが突き合わされ、一方の底点Pと他方の頂点Qとが突き合わされることで、テープT1,T2の波形部Wの位置が長手方向にずれる。このため、テープT1は、波形部Wの他端側領域R2が、テープT2の波形部Wの他端よりも突き出て、テープT2は、波形部Wの一端側領域R1が、テープT1の波形部Wの一端よりも突き出る。
【0027】
テープT1は、上記突き出たテープT2の一端側領域R1の側方に位置する部分として、切片T1-1を備えている。テープT2は、上記突き出たテープT1の他側領域R2の側方に位置する部分として、切片T2-1を備えている。以下、切片T1-1及び切片T2-1について説明する。
【0028】
切片T1-1は、テープT1の波形部Wの一端縁に連なる。切片T1-1は、両側縁が外向きに延びており、切片T1-1の一端側の先端縁と、テープT2の波形部Wの一端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。
【0029】
切片T1-1は、テープT1の基本構成部Kにおける他端側領域R2と同形状とされており、切片T1-1におけるテープT2側の側縁は、テープT2の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから一端側の底点P1に至る勾配部に隣接する。
【0030】
なお本発明において「同形状」とは、テープT1,T2における2つの部分が下記の条件(1)~(3)を満たすことを意味する。
(1)長手方向の長さが同一であること。
(2)幅が同一である長手方向の端縁を有すること。
(3)幅が同一である長手方向の端縁から延びる側縁の向きが、いずれも内向き或いは外向きであること。
【0031】
なお、テープT1,T2における2つの部分が「同形状」であることには、2つの部分の形状が完全同一である場合の他に、2つの部分が点対称である場合や、2つの部分の両側縁のうち、一方の側縁の勾配が同一であるものの、他方の側縁の勾配が異なる場合も包含される。
【0032】
切片T2-1は、テープT2の波形部Wの他端縁に連なる。切片T2-1は、両側縁が外向きに延びており、切片T2-1の他端側の先端縁と、テープT1の波形部Wの他端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。
【0033】
切片T2-1は、テープT2の基本構成部Kにおける一端側領域R1と同形状とされている。これにより、切片T2-1におけるテープT1側の側縁を、テープT1の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから他端側の底点P2に至る勾配部に隣接させ、且つ、切片T1-1と切片T2-1とを同形状にすることができる。
【0034】
さらに、テープT1は、波形部Wや切片T1-1に加えて、切片T1-1の一端側の先端縁に連なる切片T1-2と、波形部Wの他端縁に連なる切片T1-3とを備えている。また、テープT2は、波形部Wや切片T2-1に加えて、切片T2-1の他端側の先端縁に連なる切片T2-2と、波形部Wの一端縁に連なる切片T2-3とをさらに備えている。
【0035】
切片T1-2、切片T1-3、切片T2-2、及び切片T2-3は、これらの両側縁が内向きに延びて一続きとなるものである。なお、「内向き」とは、テープTの幅方向の長さが次第に小さくなるように両側縁が延びることを意味する。
【0036】
切片T1-2の一端側の先端縁と、切片T2-3の一端側の先端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。切片T1-3の他端側の先端縁と、切片T2-2の他端側の先端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。テープT1,T2の全体を同形状にするために、切片T1-2と切片T2-2とは同形状とされ、切片T1-3と切片T2-3とは同形状とされている。
【0037】
好ましくは、切片T1-2の側縁は、切片T1-1の側縁に滑らかに連続するものとされ、切片T2-2の側縁は、切片T2-1の側縁に滑らかに連続するものとされる。このようにすることで、切片T1-2や切片T2-2の側縁は、切片T1-1や切片T2-1の側縁に連続する波形の側縁を構成するものとなる。
【0038】
また好ましくは、切片T1-3の側縁は、テープT1の他端側領域R2の側縁に滑らかに連続するものとされ、切片T2-3の側縁は、テープT2の一端側領域R1の側縁に滑らかに連続するものとされる。このようにすることで、切片T1-3や切片T2-3の側縁は、波形部Wの側縁に連続する波形の側縁を構成するものとなる。
【0039】
上述したテープセット1は、以下の工程1~3を順次実施することで製造される。
工程1:剥離フィルムFに貼り付けられた原紙Gを用意する。
工程2:パンチEを用いて原紙Gを打ち抜く。
工程3:テープTとして使用されない原紙Gの部分を取り除く。
【0040】
図3は、テープTの原紙Gを打ち抜くために使用されるパンチEを示す平面図である。図4は、パンチEによって打ち込みが行われた原紙Gを示す平面図である。
【0041】
図3に示すパンチEは、テープT1を成形するための環状体J1(以下、第1環状体J1)と、テープT2を成形するための環状体J2(第2環状体J2)とが交互に並んだものであり、隣り合う第1環状体J1及び第2環状体J2は波状壁Jaを介して連なっている(つまり、隣り合う第1環状体J1及び第2環状体J2は、これらの一部として波状壁Jaを共有している)。波状壁Jaは、テープT1,T2における波形の側縁を成形するために設けられており、隣り合う第1環状体J1及び第2環状体J2によって、波形の側縁同士が隣接するテープT1及びテープT2が成形される(図4参照)。上記の「波形の側縁同士」には、「テープT1,T2の波形部Wの側縁同士」や、「テープT1の他端側領域R2の側縁と切片T1-1の側縁」や、「テープT2の一端側領域R1の側縁と切片T2-1の側縁」が含まれる。
【0042】
本実施形態のテープセット1によれば、テープT1,T2の波形部Wの側縁同士が隣接するようにテープT1,T2が幅方向に並べられることで、テープT1,T2の波形部Wの間に隙間(テープTとして使用されない原紙Gの部分)を生じることなく、テープT1,T2を成形できる。
【0043】
さらに、テープT1の切片T1-1の側縁が、テープT2の波形部Wの一端部をなす一端側領域R1の側縁に隣接し、テープT2の切片T2-1の側縁が、テープT1の波形部Wの他端部をなす他端側領域R2の側縁に隣接する。このため、テープT1,T2は、波形部Wが隣接する範囲のみならず、波形部Wの一端部や他端部の側方においても、隙間(テープTとして使用されない原紙Gの部分)を生じることなく、成形できる。
【0044】
さらに、切片T1-2の一端側の先端縁と、切片T2-3の一端側の先端縁とが、幅方向に延びる同一直線上に位置し、切片T1-3の他端側の先端縁と、切片T2-2の他端側の先端縁とが、幅方向に延びる同一直線上に位置することで、テープT1,T2に応じた長手方向の長さを有する原紙Gを用いて、テープT1,T2を成形できる。
【0045】
以上の理由から、本実施形態のテープセット1によれば、原紙Gの取り分を多くすることができる(テープとして使用されずに、廃棄される原紙Gの部分を少なくすることができる)。
【0046】
またテープT1やテープT2では、波形部Wの側縁以外に、切片T1-1,T1-2,T1-3,T2-1,T2-2,T2-3の側縁も、波形の側縁を構成する。このため、テープT1,T2の側縁の全体が、波形となる。したがって、伸びやすさや、唇からの剥がれにくさ等のテープT1,T2の性能(以下、テープT1,T2の伸びやすさ等の性能)を向上させることができる。
【0047】
また本実施形態では、テープT1やテープT2の波形部W同士が同形状、切片T1-1と切片T2-1とが同形状、切片T1-2と切片T2-2とが同形状、切片T1-3と切片T2-3とが同形状である。このため、テープT1とテープT2とは全体が同形状になる。したがって、テープT1,T2の伸びやすさ等の性能を、均一にすることができる。
【0048】
また、切片T1-2,T1-3,T2-2,T2-3の両側縁が内向きに延びることで、これら切片の基端を構成する波形部Wや切片の角が、めくれにくいものとなる(例えば、切片T1-2の両側縁が内向きに延びることで、切片T1-2の基端を構成する切片T1-1の角がめくれにくいものとなる)。このため、テープT1,T2が剥離フィルムFや唇に貼り付いた状態を安定して維持できる。
【0049】
なお本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0050】
例えば本発明のテープセットは、図5に示すように変更され得る。図5は、本発明の変形例に係るテープセット2を示す平面図である。また図6は、図5のテープセット2が備えるテープT1,T2を示す平面図である(図6では、説明の便宜のため、各テープ間で対応する同形状の部分を同一色で示している)。
【0051】
図5に示すテープセット2は、図1に示すテープセット1から、切片T1-3や切片T2-3の形状を変更したものである。このテープセット2では、切片T1-3と切片T2-3は、これらの両側縁が外向きに延びるものとされて、同形状とされる。切片T1-3の他端側の先端縁と切片T2-2の他端側の先端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。また、切片T2-3の一端側の先端縁と切片T1-2の一端側の先端縁とは、幅方向に延びる同一直線上に位置する。
【0052】
上記のテープセット2によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することに加えて、切片T1-3及び切片T2-3の側縁が外向きであることで、切片T1-2と切片T2-3との間の隙間や、切片T1-3と切片T2-2との間の隙間(テープに使用されない原紙Gの部分)が小さくなる。このため原紙Gの取り分をより一層多くすることができる。
【0053】
なお好ましくは、切片T1-3の側縁は、テープT1の一端側領域R1の側縁と同一の勾配とされ、切片T2-2の側縁は、テープT2の他端側領域R2の側縁と同一の勾配とされる。また切片T1-2の側縁は、テープT1の一端側領域R1の側縁と同一の勾配とされ、切片T2-3の側縁は、テープT2の他端側領域R2の側縁と同一の勾配とされる。以上のようにすることで、切片T1-3の側縁と切片T2-2の側縁とを隣接させ、切片T1-2の側縁と切片T2-3の側縁とを隣接させることができる。このため原紙Gの取り分をより一層多くすることができる。
【0054】
また基本構成部Kの両側縁は上記実施形態に示す湾曲凸状に限定されず、図7及び図8に示すように三角凸状にすることができる。
【0055】
図7のテープセット3は、図1のテープセット1の変形例である。図8のテープセット4は、図5のテープセット2の変形例である。図7図8に示すテープセット1では、基本構成部Kの数が2とされ、基本構成部Kの側縁が外向き三角凸状とされている。
【0056】
そして図7図8に示すテープセット3,4では、切片T1-1をテープT2の波形部Wに隣接させるために、切片T1-1の側縁の勾配が、テープT1の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから他端側の底点P2に至る勾配部と同一とされている。また切片T2-1をテープT1の波形部Wに隣接させるために、切片T2-1の側縁の勾配が、テープT2の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから一端側の底点P1に至る勾配部と同一とされている。
【0057】
また図7に示すテープセット3では、テープT1の波形の側縁を長くするために、切片T1-2の側縁の勾配が、テープT1の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから一端側の底点P1に至る勾配部と同一とされている。またテープT2の波形の側縁を長くするために、切片T2-2の側縁の勾配が、テープT2の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから他端側の底点P2に至る勾配部と同一とされている。
【0058】
また図8に示すテープセット4では、テープT1の波形の側縁を長くするために、切片T1-2や切片T1-3の側縁の勾配が、テープT1の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから一端側の底点P1に至る勾配部と同一とされている。またテープT2の波形の側縁を長くするために、切片T2-2や切片T2-3の側縁の勾配が、テープT2の基本構成部Kの側縁のうち、頂点Qから他端側の底点P2に至る勾配部と同一とされている。そして上記のように切片T1-2,T1-3,T2-2,T2-3の側縁の勾配が調整されることで、切片T1-2の側縁と切片T2-3の側縁とが隣接し、切片T1-3の側縁と切片T2-2の側縁とが隣接している。
【0059】
図7に示すテープセット3によれば、上記実施形態に示すテープセット1(図1)と同様の効果を奏し、図8に示すテープセット4によれば、図5のテープセット2と同様の効果を奏する。
【0060】
さらに図7図8に示すテープセット3,4は、図9に示すように変更可能である。図9に示すテープセット5は、図7図8に示すテープセット3,4から切片T1-2,T1-3,T2-2,T2-3を省略したものである。
【0061】
図9のテープセット5によれば、上記実施形態と同様、テープT1,T2の波形部W,W同士が隣接し、テープT1の切片T1-1の側縁が、テープT2の波形部Wの一端部の側縁に隣接し、テープT2の切片T2-1の側縁が、テープT1の波形部Wの他端部の側縁に隣接する。また切片T1-1の一端側の先端縁が、テープT2の波形部Wの一端縁と幅方向に延びる同一直線上に位置し、切片T2-1の他端側の先端縁が、テープT1の波形部Wの他端縁と幅方向に延びる同一直線上に位置する。このため、テープT1,T2に応じた長手方向の長さを有する原紙Gを用いて、テープT1,T2を成形できる。以上の理由から、原紙Gの取り分を多くすることができる。
【0062】
さらに図9に示すテープセット5は、図10に示すように変更可能である。図10のテープセット6は、図9のテープセット5から、切片T1-1の側縁を、テープT2の波形部Wの一端部の側縁に隣接させず、切片T2-1の側縁を、テープT1の波形部Wの他端部の側縁に隣接させないようにしたものである。
【0063】
図10のテープセット6によれば、上記実施形態と同様、テープT1,T2の波形部W,W同士が隣接するようにテープT1,T2が幅方向に並べられる。さらに図9のテープセット5と同様、切片T1-1の一端側の先端縁が、テープT2の波形部Wの一端縁と幅方向に延びる同一直線上に位置し、切片T2-1の他端側の先端縁が、テープT1の波形部Wの他端縁と幅方向に延びる同一直線上に位置する。このためテープT1,T2に応じた長手方向の長さを有する原紙Gを用いて、テープT1,T2を成形できる。以上の理由から、原紙Gの取り分を多くすることができる。
【0064】
また図1図5~8に示すテープセット1,2,3,4,5,6では、必ずしも、切片T1-1と切片T2-1とは同形状にされなくてもよく、切片T1-2と切片T2-2とは同形状にされなくてもよく、切片T1-3と切片T2-3とは同形状にされなくてもよい。
【0065】
また上記の例では、本発明のテープセットを口呼吸抑制テープに適用する例を示したが、本発明のテープセットは、波形の側縁を有する2つ以上のテープが並べられる様々な物品に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3,4,5,6 テープセット
B1 一端側底点線
B2 頂点線
B3 他端側底点線
F 剥離フィルム
K 基本構成部
P1 一端側の底点
P2 他端側の底点
Q 頂点
R1 一端側領域
R2 他端側領域
T1 テープ(第1テープ)
T2 テープ(第2テープ)
T1-1 切片(第1-1切片)
T1-2 切片(第1-2切片)
T1-3 切片(第1-3切片)
T2-1 切片(第2-1切片)
T2-2 切片(第2-2切片)
T2-3 切片(第2-3切片)
W 波形部
図1
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図3
図4
図5
図6
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