(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】負荷駆動回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/10 20060101AFI20220829BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20220829BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20220829BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220829BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220829BHJP
H01L 21/8236 20060101ALI20220829BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220829BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H03K17/10
H03K17/687 A
G05F1/56
H01L27/088 A
H01L27/088 F
H01L27/088 311A
H01L27/04 H
H01L27/04 P
(21)【出願番号】P 2018160138
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 賢一
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-003514(JP,A)
【文献】特開平10-229639(JP,A)
【文献】米国特許第05545909(US,A)
【文献】特開2004-031980(JP,A)
【文献】特開2017-189066(JP,A)
【文献】特開2001-224135(JP,A)
【文献】特開2013-201660(JP,A)
【文献】特開2011-150675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
G05F 1/56
H01L 21/8234
H01L 21/8236
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが接地端子に接続されゲートが制御端子に接続されたNchDMOSFETからなる第1トランジスタと、ソースが出力端子に接続されドレインが前記第1トランジスタのドレインに接続されたNchDMOSFETからなる第2トランジスタとを備えた負荷駆動回路において、
ドレインが前記第2トランジスタのゲートに接続されソースが前記第2トランジスタのソースに接続されたNchMOSFETからなる第3トランジスタと、
ゲートとソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第4トランジスタと、
ゲートとソースが前記第3トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第5トランジスタと、
電源端子と前記第4トランジスタのドレインの間に、前記電源端子がアノードとなり前記第4トランジスタのドレインがカソードとなるように接続された第3ダイオードと、
前記接地端子と前記第5トランジスタのドレインの間に、前記接地端子がアノードとなり前記第5トランジスタのドレインがカソードとなるように接続された第4ダイオードと、
前記第1トランジスタのゲートとソース間に接続された第1抵抗と、
前記第2トランジスタのゲートとソース間に接続された第2抵抗と、
前記第3トランジスタのゲートとソース間に接続された第3抵抗と、
をさらに備え、前記第1乃至第5トランジスタのすべてが共通のP型半導体基板上に形成されていることを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項2】
ドレインが出力端子に接続されゲートが制御端子に接続されソースがP型半導体基板に接続されたNchDMOSFETからなる第1トランジスタと、ドレインが接地端子に接続されソースが前記第1トランジスタのソースに接続されたNchDMOSFETからなる第2トランジスタとを備えた負荷駆動回路において、
ドレインが前記第2トランジスタのゲートに接続されソースが前記第2トランジスタのソースに接続されたNchMOSFETからなる第3トランジスタと、
ゲートとソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されドレインが電源端子に接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第4トランジスタと、
ドレインが前記接地端子に接続されゲートとソースが前記第3トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第5トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートとソース間に接続された第1抵抗と、
前記第2トランジスタのゲートとソース間に接続された第2抵抗と、
前記第3トランジスタのゲートとソース間に接続された第3抵抗と、
をさらに備え、前記第1乃至第5トランジスタのすべてが共通の前記P型半導体基板上に形成されていることを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の負荷駆動回路において、
アノードが前記第2トランジスタのソースに接続されカソードが前記第2トランジスタのゲートに接続された第1ダイオードと、
アノードが前記第3トランジスタのソースに接続されカソードが前記第3トランジスタのゲートに接続された第2ダイオードと、
をさらに備えることを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項4】
請求項
2に記載の負荷駆動回路において、
前記電源端子と前記第4トランジスタのドレインの間に、前記電源端子がアノードとなり前記第4トランジスタのドレインがカソードとなるように挿入接続された第3ダイオードとをさらに備えることを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、
ゲートとソースが共通接続され前記第4トランジスタに直列接続されるNchデプレッション型DMOSFETからなる第6トランジスタをさらに備えることを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、
前記第1及び第2トランジスタをディスクリートトランジスタに置き換えたことを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、
前記第3トランジスタを前記P型半導体基板と絶縁されたP型ウエル内に形成したことを特徴とする負荷駆動回路。
【請求項8】
請求項
3に記載の負荷駆動回路において、
前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードを前記P型半導体基板と絶縁された共通のP型ウエル内に形成し、又は異なるP型ウエル内に形成したことを特徴とする負荷駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力端子から接地端子に引き込む電流を駆動信号に応じて制御するロウサイドの負荷駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを大電流駆動する場合や、有線ネットワークI/O装置のノイズおよびサージ耐量を確保する場合は、駆動用トランジスタとして、DMOSFET(Double Diffused MOSFET)が低損失かつ高耐圧の特徴を生かして広く用いられている。
【0003】
しかし、DMOSFETにはソースとドレイン間にボディダイオードが存在し、またDMOSFETを半導体集積回路に内蔵した場合は半導体基板とドレイン間に寄生ダイオードが形成される。このため、インダクタ負荷やサージ電圧により、出力端子の電圧が負電圧になった際に、接地端子と出力端子間の耐圧を十分に確保できない問題がある。
【0004】
そこで、負荷駆動用トランジスタのドレイン側に逆流防止用ダイオードを直列接続して、出力端子が負電圧になった際の電流の逆流を阻止する方法が知られている(非特許文献1の
図11)。
【0005】
しかし、非特許文献1のようにダイオードを挿入すると、負荷駆動用トランジスタのみの場合と比較して、負荷駆動用トランジスタがONして電流を出力端子から吸い込む際の出力端子と接地端子間の電圧が、ダイオードの順方向電圧分だけ高くなり、電力損失が増加する。また有線ネットワークI/O装置として見れば、ロウレベル信号の電圧値が十分に下がらない状態となる。
【0006】
この問題の解決策として、負荷駆動用トランジスタのドレインに直列接続した逆流防止用ダイオードをDMOSFETに置き換えて、そのDMOSFETのゲートの電位を制御することで逆流防止を行うことが考えられる(特許文献1の
図2)。
【0007】
図7にその回路を示す。
図7において、2は出力端子(特許文献1ではドレイン端子)、3は制御端子(特許文献1ではゲート端子)、4は接地端子(特許文献1ではソース端子)であり、NchDMOSFETからなる負荷駆動用トランジスタQ21にドレイン耐圧を持たせるために、NchDMOSFETからなる逆流防止用トランジスタQ22をトランジスタQ21と出力端子2の間に挿入接続し、そのトランジスタQ22のON/OFFを制御するために、NchDMOSFETからなる制御用トランジスタQ23を接続したものである。D21、D22、D23はそれぞれトランジスタQ21、Q22、Q23のゲート保護用ダイオード、BD21、BD22、BD23はそれぞれトランジスタQ21、Q22、Q23のボディダイオード、D24はダイオード列、R21、R22、R23は抵抗である。
【0008】
この回路では、制御端子3に接地端子4の電位よりも高い正の電圧が印加されたときは、トランジスタQ21、Q22がONして、出力端子2と接地端子4の間が導通する。また、制御端子3の電圧が接地端子4の電位と同じときは、トランジスタQ21がOFFし、出力端子2と接地端子4の間が遮断される。
【0009】
出力端子2に接地端子4の電位に対して負の電圧が印加されたときは、接地端子4からトランジスタQ21のボディダイオードBD21、抵抗R21、R22を経由して出力端子2に電流が流れる。そして、この電流により抵抗R21に発生する電圧によってトランジスタQ23がONする。このため、トランジスタQ22のゲート・ソース間が短絡して、そのトランジスタQ22がOFFして逆流を阻止する。
【0010】
ところが、
図7の回路では、トランジスタQ21のOFF時にその制御端子3は接地端子4と同じ電位であり、一方、出力端子2は電源電圧とほぼ等しい電位となっているため、出力端子2と制御端子3の間の耐圧を確保するため、特別にダイオードD24と抵抗R23を挿入する必要がある。
【0011】
しかし、ダイオードD24と抵抗R23を挿入すると、トランジスタQ21をONするために制御端子3の電圧を高くしても、ダイオードD24、抵抗R23による電圧降下によって、トランジスタQ22のゲートにはトランジスタQ21のゲートより低い電圧しか印加できず、トランジスタQ22のON抵抗が十分に下がらない問題がある。
【0012】
そこで、
図8(特許文献1の
図4)に示すように、トランジスタQ22のゲート電圧を高めるために、ダイオードD24をトランジスタQ23のドレインとトランジスタQ22のゲートの間に挿入する場合は、負電圧印加時にトランジスタQ22がOFFする負電圧値がダイオードD24に印加する電圧だけ大きくなり、負電圧印加時に
図7で示した回路に比較して大きな逆流電流が流れてしまう。
【0013】
さらに、
図8では半導体基板との間に形成される寄生ダイオードによりクランプされないよう、ダイオードD24には半導体基板と絶縁された多結晶シリコンダイオードを使用しているが、一般的に多結晶シリコンダイオードはシリコン結晶中に形成したダイオードと比較してリーク電流が大きくかつ耐圧が低いので、DMOSFETと同等の耐圧を得るためには多数のダイオードを直列に接続することが必要となる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】TI製TIOL111データシート、11ページ、
図11、2017年10月。
【文献】特許第3485655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、通常動作時の電力損失を小さくし、出力端子の電圧が負電圧になった際に十分な耐圧を発揮できるようにした負荷駆動回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、ソースが接地端子に接続されゲートが制御端子に接続されたNchDMOSFETからなる第1トランジスタと、ソースが出力端子に接続されドレインが前記第1トランジスタのドレインに接続されたNchDMOSFETからなる第2トランジスタとを備えた負荷駆動回路において、ドレインが前記第2トランジスタのゲートに接続されソースが前記第2トランジスタのソースに接続されたNchMOSFETからなる第3トランジスタと、ゲートとソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第4トランジスタと、ゲートとソースが前記第3トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第5トランジスタと、電源端子と前記第4トランジスタのドレインの間に、前記電源端子がアノードとなり前記第4トランジスタのドレインがカソードとなるように接続された第3ダイオードと、前記接地端子と前記第5トランジスタのドレインの間に、前記接地端子がアノードとなり前記第5トランジスタのドレインがカソードとなるように接続された第4ダイオードと、前記第1トランジスタのゲートとソース間に接続された第1抵抗と、前記第2トランジスタのゲートとソース間に接続された第2抵抗と、前記第3トランジスタのゲートとソース間に接続された第3抵抗と、をさらに備え、前記第1乃至第5トランジスタのすべてが共通のP型半導体基板上に形成されていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、ドレインが出力端子に接続されゲートが制御端子に接続されソースがP型半導体基板に接続されたNchDMOSFETからなる第1トランジスタと、ドレインが接地端子に接続されソースが前記第1トランジスタのソースに接続されたNchDMOSFETからなる第2トランジスタとを備えた負荷駆動回路において、ドレインが前記第2トランジスタのゲートに接続されソースが前記第2トランジスタのソースに接続されたNchMOSFETからなる第3トランジスタと、ゲートとソースが前記第2トランジスタのゲートに接続されドレインが電源端子に接続 されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第4トランジスタと、ドレインが前記接地端子に接続されゲートとソースが前記第3トランジスタのゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなる第5トランジスタと、前記第1トランジスタのゲートとソース間に接続された第1抵抗と、前記第2トランジスタのゲートとソース間に接続された第2抵抗と、前記第3トランジスタのゲートとソース間に接続された第3抵抗と、をさらに備え、前記第1乃至第5トランジスタのすべてが共通の前記P型半導体基板上に形成されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の負荷駆動回路において、アノードが前記第2トランジスタのソースに接続されカソードが前記第2トランジスタのゲートに接続された第1ダイオードと、アノードが前記第3トランジスタのソースに接続されカソードが前記第3トランジスタのゲートに接続された第2ダイオードと、をさらに備えることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の負荷駆動回路において、前記電源端子と前記第4トランジスタのドレインの間に、前記電源端子がアノードとなり前記第4トランジスタのドレインがカソードとなるように挿入接続された第3ダイオードとをさらに備えることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、ゲートとソースが共通接続され前記第4トランジスタに直列接続されるNchデプレッション型DMOSFETからなる第6トランジスタをさらに備えることを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、前記第1及び第2トランジスタをディスクリートトランジスタに置き換えたことを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の負荷駆動回路において、前記第3トランジスタを前記P型半導体基板と絶縁されたP型ウエル内に形成したことを特徴とする。
請求項8にかかる発明は、請求項3に記載の負荷駆動回路において、前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードを前記P型半導体基板と絶縁された共通のP型ウエル内に形成し、又は異なるP型ウエル内に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御端子の電圧で第1トランジスタがON/OFF制御される通常動作では、第2トランジスタがONに制御されそのON抵抗が小さいので電力損失を小さくすることができる。また、出力端子に負電圧が印加した際は第3トランジスタがONすることで第2トランジスタがOFFに制御されるので大電流の逆流を阻止することができる。このときONする第3トランジスタはそのドレインが第2トランジスタのゲートに、ソースが第2トランジスタのソース接続されているので、負電圧印加時に第2トランジスタがOFFする負電圧値が大きくなることはない。また、第3トランジスタや第1及び第2ダイオードをP型半導体基板と絶縁された共通のP型ウエル内に形成することで、リーク電流を小さく且つ耐圧を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例の負荷駆動回路の回路図である。
【
図2】本発明の第2実施例の負荷駆動回路の回路図である。
【
図3】本発明の第3実施例の負荷駆動回路の回路図である。
【
図4】本発明の第4実施例の負荷駆動回路の回路図である。
【
図5】第1乃至第4実施例のトランジスタQ3の半導体構造の断面図である。
【
図6】第1乃至第4実施例のダイオードD1の半導体構造の断面図である。
【
図8】従来の別の例の負荷駆動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施例>
図1に第1実施例に係る負荷駆動回路を示す。1は電圧VINが入力する電源端子、2は電圧VOUTが出力する出力端子、3は図示しない制御回路が接続される制御端子、4は接地端子である。
【0020】
Q1はソースが接地端子4に接続されゲートが制御端子3に接続されたNchDMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ1は例えばプッシュプル出力回路のロウサイドの負荷駆動用素子等として働く。
【0021】
Q2はソースが出力端子2に接続されドレインがトランジスタQ1のドレインに接続されたNchDMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ2は負電圧印加時の逆流防止用として働く。
【0022】
Q3はドレインがトランジスQ2のゲートに接続されソースがトランジスタQ2のソースに接続されたNchMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ3はトランジスタQ2のON/OFF用として働く。
【0023】
Q4はゲートとソースがトランジスタQ2のゲートに接続されたNchデプレッション型MOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ4は10μA程度の定電流供給用として働く。
【0024】
Q5はゲートとソースがトランジスタQ3のゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ5も10μA程度の定電流供給用として働く。
【0025】
R1はトランジスタQ1のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗、R2はトランジスタQ2のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗、R3はトランジスタQ3のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗である。
【0026】
D1はアノードがトランジスタQ2のソースに接続されカソードがトランジスタQ2のゲートに接続されたダイオードである。このダイオードD1はトランジスタQ2のゲート保護クランプ用として働く。
【0027】
D2はアノードがトランジスタQ3のソースに接続されカソードがトランジスタQ3のゲートに接続されたダイオードである。このダイオードD2はトランジスタQ3のゲート保護クランプ用として働く。
【0028】
D3はアノードが電源端子1に接続されカソードがトランジスタQ4のドレインに接続されたダイオード、D4はアノードが接地端子4に接続されカソードがトランジスタQ5のドレインに接続されたダイオードである。これらのダイオードD3、D4は逆流防止用として働く。
【0029】
以上のトランジスタQ1~Q5は、接地端子4と同電位である共通のP型半導体基板上に形成されている。抵抗R2とR3はそのP型半導体基板とは誘電体層により絶縁された多結晶シリコン抵抗、または金属薄膜抵抗で形成されている。
【0030】
図5にトランジスタQ3の半導体構造の断面を示す。21はP型半導体基板、22はN型埋込層、23はN型エピタキシャル層、24はP型ウエル、25はN型高濃度領域、26はゲート電極、27はN型高濃度領域、28はP型高濃度領域、29はドレイン電極、30はゲート電極、31はソース電極、32はバックゲート電極、33はP型分離拡散層である。
【0031】
このように、トランジスタQ3をP型半導体基板21とはN型半導体層(N型埋込層22とN型エピタキシャル層23)を介して絶縁されたP型ウェル24内に形成することで、リーク電流を小さく且つ耐圧をDMOSFETと同等に高くすることができる。
【0032】
図6にダイオードD1の半導体構造を示す。41はN型埋込層、42はN型エピタキシャル層、43はP型ウエル、44はN型高濃度領域、45はP型高濃度領域、46はカソード電極、47はアノード電極である。このダイオードD1はP型ウェル43をアノードとし、N型高濃度領域44をカソードとして形成されている。このように、ダイオードD1はP型半導体基板21とはN型半導体層(N型埋込層41とN型エピタキシャル層42)を介して絶縁されたP型ウェル43に形成されている。図示しないがダイオードD2も同様な構造で形成されている。なお、これらダイオードD1、D2は、トランジスタQ3と同じ構造の素子を利用してソースをカソードとし、ゲートとドレインをP型ウェルと短絡してアノードとする構造で形成してもよい。さらに、ダイオードD1、D2は共通のN型ウエルに形成してもよい。
【0033】
このように、ダイオードD1をP型半導体基板21とはN型半導体層(N型埋込層41とN型エピタキシャル層42)を介して絶縁されたP型ウェル43に形成し、ダイオードD2も同様に形成することで、多結晶シリコンでそのダイオードD1、D2を形成する場合と比較し、リーク電流を小さく且つ耐圧をDMOSFETと同等に高くすることができるので、多数のダイオードを直列接続する必要がない。
【0034】
BD1、BD2、BD4、BD5はそれぞれトランジスタQ1、Q2、Q4、Q5のボディダイオードであり、アノードがソース側、カソードがドレイン側となっている。
【0035】
また、トランジスタQ1~Q5とP型半導体基板21の間や、P型半導体基板21と接地端子4との間に寄生ダイオードPD1~PD5、PDxが形成されている。寄生ダイオードPD1はカソードがトランジスタQ1のドレインに接続されている。寄生ダイオードPD2はカソードがトランジスタQ2のドレインに接続されている。寄生ダイオードPD4はカソードがトランジスタQ4のドレインに接続され、寄生ダイオードPD5はカソードがトランジスタQ5のドレインに接続されている。そして、それら寄生ダイオードPD1、PD2、PD4、PD5のアノードはP型半導体基板と同電位である接地端子4に接続されている。また、トランジスタQ3の寄生ダイオードPD3、P型半導体基板21と接地端子4間の寄生ダイオードPDxは、
図1、
図5に示したように、カソードが共通接続の反直列に接続されている。
【0036】
次に、第1実施例に係る負荷駆動回路の各状態における動作について説明する。まず、負荷駆動回路がOFF状態においては、制御端子3の電位はロウレベルであり、トランジスタQ1はそのゲートが抵抗R1を介して接地端子4に接続されていることから、OFF状態となり、ドレイン・ソース間は導通していない。また出力端子2からダイオードD2または抵抗R3を経由してトランジスタQ5とダイオードD4を介して接地端子4に至る経路では、ダイオードD4が逆バイアスされることから導通せず、この経路でも電流は流れない。
【0037】
したがって、出力端子2から接地端子4に電流は流れず、出力端子2の先に負荷が接続され、負荷の先に電源が接続されていれば、出力端子2の電位は負荷が接続された電源電圧とほぼ等しい電圧となる。
【0038】
次に、負荷駆動回路がON状態においては、制御端子3の電位がハイレベルであり、トランジスタQ1はONとなり、ドレイン・ソース間が導通する。これによりトランジスタQ4による定電流I4が抵抗R2とトランジスタQ2のボディダイオードBD2を経由してトランジスタQ1に流れ、トランジスタQ2のゲート電位はトランジスタQ2のソース電位より「R2×I4」だけ高い電位となる。
【0039】
例えば、I4=10μA、R2=500kΩとすると、トランジスタQ2のゲート・ソース間電圧は5Vとなり、トランジスタQ2の閾値電圧が1Vであるとすれば、トランジスタQ2は十分に低いON抵抗で導通した状態となり、負荷駆動回路は出力端子2からトランジスタQ2、Q1を経由して接地端子4に電流を吸い込む。
【0040】
この際の出力端子2に流れる負荷電流をIL、トランジスタQ1のON抵抗をRon1、トランジスタQ2のON抵抗をRon2とすると、出力端子2の電圧は「(Ron1+Ron2)×(IL+I4)」となるが、通常「IL>>I4」であることから、その電圧は「(Ron1+Ron2)×IL」と近似できる。例としてRon1=Ron2=0.5Ω、IL=0.1Aとすると、出力端子2の電圧は0.1Vとなる。
【0041】
この電圧値は、トランジスタQ2の代わりにダイオードを使う従来の回路(非特許文献1)ではトランジスタQ1での電圧降下とそのダイオードの順方向電圧約0.7Vの和となるので、ほぼ0.75Vとなることと比較して、十分に低い値となっている。
【0042】
次に、出力端子2が負電圧となった場合においては、前記したように寄生ダイオードPD1~PD5が接続されているので、出力端子2の負電圧値が小さいうちは、トランジスタQ5による定電流で抵抗R3に生じる電圧降下は小さく、トランジスタQ3はOFFのままである。
【0043】
また、トランジスタQ4による定電流は抵抗R2を経由して出力端子2に流れ、抵抗R2にはトランジスタQ2をONさせるのに十分な電圧降下が生じて、トランジスタQ2はONしており、接地端子4からトランジスタQ1のボディダイオードBD1または寄生ダイオードPD1を経由した電流が出力端子2に流れる。しかし、接地端子4と出力端子2間の電位差は小さいので負荷駆動回路や負荷が故障する程の大電流は流れない。
【0044】
出力端子2の電位が負方向にさらに大きくなると、トランジスタQ5の定電流により生じた抵抗R3での電圧降下によりトランジスタQ3がONして、トランジスタQ4の定電流がそのトランジスタQ3を流れる。このため、トランジスタQ2はOFFし、接地端子4からトランジスタQ1のボディダイオードBD1または寄生ダイオードPD1を経由して出力端子2に流れていた電流は遮断される。
【0045】
出力端子2にはトランジスタQ4の定電流とトランジスタQ5の定電流のみが流れ、トランジスタQ5の定電流をトランジスタQ4と同様10μAとすると、出力端子2から流入する電流ILは20μAとなり、この電流値は負荷駆動回路や出力端子2に接続された負荷を故障に至らせるような電流ではない。
【0046】
なお、本実施例において、トランジスタQ1とQ2を、他のトランジスタQ3~Q5と共通のP型半導体基板21の上に形成せず、ディスクリートのDMOSFETを用いてもよい。この場合、P型半導体基板21との寄生ダイオードを含めた構成は、寄生ダイオードPD1とPD2を削除した構成となるが、この寄ダイオードPD1、PD2と同極性で並列接続のトランジスタQ1のボディダイオードBD1が存在しているため、回路としての動作は本実施例と同様となる。
【0047】
<第2実施例>
図2に第2実施例に係る負荷駆動回路を示す。第1実施例とは、トランジスタQ4のソースとトランジスタQ3のドレイン間に、トランジスタQ4と同一構造で同一サイズのNchデプレション型DMOSFETからなるトランジスタQ6が挿入されている点が異なる。トランジスタQ6のドレインはトランジスタQ4のゲートとソースに接続され、トランジスタQ6のゲートとソースは、トランジスタQ3のドレインに接続されている。トランジスタQ6はトランジスタQ4と同様に定電流素子として機能する。
【0048】
第2実施例の負荷駆動回路は第1実施例の負荷駆動回路と同様に動作するが、出力端子2の電圧が負電圧になった際の耐圧は、接地端子4と出力端子2間はトランジスタQ2、Q5によって確保される。また、電源端子1と出力端子2間の耐圧は、トランジスタQ4、Q6によって確保されている。トランジスタQ2、Q5、Q4、Q6は共通のP型半導体基板21の上に形成した素子であるため、構造的に得られる最大の耐圧も同等である。
【0049】
ところで、電源端子1の電圧VINは接地端子1の電位よりも高いので、第1実施例のようにトランジスタQ6が無いと、負荷駆動回路の負電圧耐圧は電圧VINとトランジスタQ4の耐圧によって制限される。仮にVIN=20VでトランジスタQ4の耐圧が50Vとすると、負電圧耐圧は-30Vとなってしまう。
【0050】
しかし、トランジスタQ6を挿入することで、大きな負電圧時には、
図2のようにトランジスタQ6のドレインが寄生ダイオードPD6により接地端子4にクランプされるため、電源端子1と接地端子4間の電圧をトランジスタQ4が受け持ち、接地端子4と出力端子2間の負電圧をトランジスタQ6が受け持つことになり、負電圧耐圧を素子耐圧と同等の-50Vに拡大できる。
【0051】
一方で、電源端子1の電圧VINが低い場合は、負電圧耐圧を拡大できる利点が減り、逆に負荷駆動回路のON時にトランジスタQ6の動作電圧分だけ、トランジスタQ2のゲート・ソース間電圧が低下し、トランジスタQ2のON抵抗が上昇することにはなる。
【0052】
なお、本実施例において、トランジスタQ1とQ2を、他のトランジスタQ3~Q6と共通のP型半導体基板21の上に形成せず、ディスクリートのDMOSFETを用いてもよい。この場合、P型半導体基板21との寄生ダイオードを含めた構成は、寄生ダイオードPD1とPD2を削除した構成となるが、この寄ダイオードPD1、PD2と同極性で並列接続のトランジスタQ1のボディダイオードBD1が存在しているため、回路としての動作は本実施例と同様となる。
【0053】
<第3実施例>
図3に第3実施例に係る負荷駆動回路を示す。本実施例が第1の実施形態と大きく異なる点は、負荷駆動用トランジスタを出力端子2側に接続し、逆流防止用トランジスタを接地端子側に接続した点と、P型半導体基板21が接地端子4と異なる電位となっている点である。
【0054】
Q11はドレインが出力端子2に接続されソースがP型半導体基板21に接続されゲートが制御端子3に接続されたNchDMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ11は例えばプッシュプル出力回路のロウサイドの負荷駆動用素子等として働く。
【0055】
Q12はドレインが接地端子2に接続されソースがP型半導体基板21に接続されたNchDMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ12は逆流防止用として働く。
【0056】
Q13はドレインがトランジスタQ12のゲートに接続されソースがトランジスタQ12のソースに接続されたNchMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ13はトランジスタQ12のON/OFF用として働く。
【0057】
Q14はゲートとソースがトランジスタQ12のゲートに接続されたNchデプレッション型MOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ14は10μA程度の定電流供給用として働く。
【0058】
Q15はゲートとソースがトランジスタQ13のゲートに接続されたNchデプレッション型DMOSFETからなるトランジスタである。このトランジスタQ15は10μA程度の定電流供給用として働く。
【0059】
R11はトランジスタQ11のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗、R12はトランジスタQ12のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗、R13はトランジスタQ13のゲートとソース間に接続されたバイアス用抵抗である。
【0060】
D11はアノードがトランジスタQ12のソースに接続されカソードがトランジスタQ12のゲートに接続されたダイオードである。このダイオードD11はトランジスタQ12のゲート保護クランプ用として働く。
【0061】
D12はアノードがトランジスタQ13のソースに接続されカソードがトランジスタQ13のゲートに接続されたダイオードである。このダイオードD12はトランジスタQ13のゲート保護クランプ用として働く。
【0062】
D13はアノードが電源端子1に接続されカソードがトランジスタQ14のドレインに接続されたダイオードである。このダイオードD13は逆流防止用として働く。
【0063】
以上のトランジスタQ11~Q15、ダイオードD11~D13、抵抗R11~R13は、接地端子4と異なった電位である共通のP型半導体基板21上に形成されている。なお、この実施例では、抵抗R12、R13の構造に関する制限はなく、トランジスタQ13、ダイオードD12、D13を形成するP型半導体層も、P型半導体基板21に対して絶縁されていなくてもよい。
【0064】
BD11、BD12、BD14、BD15はそれぞれトランジスタQ11、Q12、Q14、Q15のボディダイオードであり、アノードがソース側、カソードがドレイン側となっている。
【0065】
また、トランジスタQ11~Q14とP型半導体基板21との間に寄生ダイオードPD11~PD14が形成されている。寄生ダイオードPD11はカソードがトランジスタQ11のドレインに接続されている。寄生ダイオードPD12はカソードが接地端子4に接続され、寄生ダイオードPD13はカソードがトランジスタQ13のドレインに接続され、寄生ダイオードPD14はカソードがトランジスタQ14のドレインに接続されている。そして、それら寄生ダイオードPD11、PD12、PD13、PD14のアノードはP型半導体基板21に接続されている。
【0066】
次に、第3実施例に係る負荷駆動回路の各状態における動作について説明する。まず、負荷駆動回路がOFF状態において、制御端子3の電位はロウレベルであり、トランジスタQ11はそのゲートが抵抗R11を介してソースに接続されていることからOFFとなり、ドレイン・ソース間は導通せず出力端子2を介して負荷から電流を吸い込まない。したがって、ダイオードD12と抵抗R13に電流は流れず、トランジスタQ13はOFFしている。
【0067】
一方、電源端子1からはトランジスタQ14により定電流が供給され、この電流は抵抗R12を流れることでトランジスタQ12のゲート・ソース間に電圧を発生させる。仮にトランジスタQ14による定電流I4を10μA、抵抗R12の抵抗値を500kΩ、トランジスタQ12の閾値電圧を1Vとすると、トランジスタQ12はONしてドレイン・ソース間は導通状態となっている。トランジスタQ11はOFFしているので、トランジスタQ12のソース・ドレイン間に流れる電流は、トランジスタQ14による10μA程度の電流のみであるから、P型半導体基板21の電位は接地端子4とほぼ等しい電圧になる。
【0068】
次に、負荷駆動回路がON状態においては、制御端子3はハイレベルであり、トランジスタQ11はONとなり、ドレイン・ソース間が導通する。このときトランジスタQ12も前記の負荷駆動回路OFF時と同様にONしており、トランジスタQ11が出力端子2を介して負荷から吸い込んだ電流はトランジスタQ12を経由して接地端子4に流れる。
【0069】
なお、トランジスタQ12と並列してダイオードD12または抵抗R13を経由してトランジスタQ15のボディダイオードBD15から接地端子4に至る経路があるが、仮に、トランジスタQ12のON抵抗Ron2を0.5Ω、負荷電流ILを0.1Aとすると、P型半導体基板21と接地端子4間の電位差は0.05Vであり、負荷電流ILのほとんどはトランジスタQ15ではなくトランジスタQ12を経由して流れ、トランジスタQ13はOFF状態に保たれる。
【0070】
次に、出力端子2が負電圧となった場合であるが、出力端子2の負電圧値が小さいうちは、トランジスタQ15による定電流で抵抗R13に生じる電圧も小さく、トランジスタQ13はOFFのままとなる。よって、トランジスタQ14による定電流は抵抗R12を経由し、さらにトランジスタQ11または寄生ダイオードPD11を経由して出力端子2に流れる。このため、抵抗R12にはトランジスタQ12をONさせるのに十分な電圧降下が生じてそのトランジスタQ12はONしており、接地端子4からトランジスタQ12を経由してトランジスタQ11または寄生ダイオードPD11を経由した電流が出力端子2に流れる。しかし、接地端子4と出力端子2間の電位差は小さいので、負荷駆動回路や負荷が故障する程の大電流は流れない。
【0071】
出力端子2の電位が、さらに負方向に大きくなると、トランジスタQ15の定電流により生じた抵抗R13での電圧降下によりトランジスタQ13がONして、トランジスタQ14の定電流が流れるため、トランジスタQ12はOFFし、接地端子4から出力端子2に流れていた電流は遮断される。
【0072】
出力端子2にはトランジスタQ14とQ15の定電流のみが流れ、トランジスタQ14とQ15の定電流をそれぞれ10μAとすると、出力端子2に流入する電流は20μAとなり、この電流値は負荷駆動回路や負荷を故障に至らせるような電流ではない。
【0073】
なお、本実施例において、トランジスタQ11とQ12を、他のトランジスタQ13~Q15と共通のP型半導体基板21上に形成せず、ディスクリートのDMOSFETを用いてもよい。この場合、P型半導体基板21との寄生ダイオードを含めた構成は、寄生ダイオードPD11とPD12を削除した構成となるが、この寄ダイオードPD11、PD12と同極性で並列接続のトランジスタQ11のボディダイオードBD11が存在しているため、回路としての動作は本実施例と同様となる。
【0074】
<第4実施例>
図4に第4実施例に係る負荷駆動回路を示す。第3実施例とは、トランジスタQ14のソースとトランジスタQ13のドレイン間に、トランジスタQ14と同一構造で同一サイズのNchデプレション型DMOSFETからなるトランジスタQ16が挿入されている点が異なる。トランジスタQ16のドレインはトランジスタQ14のゲートとソースに接続され、トランジスタQ16のゲートとソースは、トランジスタQ13のドレインに接続されている。トランジスタQ16はトランジスタQ14と同様に定電流素子として機能する。
【0075】
第4実施例の負荷駆動回路は第3実施例の負荷駆動回路と同様に動作するが、出力端子2の電圧が負電圧になった際の耐圧は、接地端子4と出力端子2間はトランジスタQ12、Q15により確保される。また、電源端子1と出力端子2間の耐圧は、トランジスタQ14、Q16によって確保されている。トランジスタQ12、Q15、Q14、Q16は共通のP型半導体基板21の上に形成した素子であるため、構造的に得られる最大の耐圧も同等である。
【0076】
ところで、電源端子1の電圧VINは接地端子4の電位よりも高いので、第3実施例のようにトランジスタQ16が無いと、負荷駆動回路の負電圧耐圧は電圧VINとトランジスタQ14又は寄生ダイオードPD14の耐圧によって制限されるが、一般的にはトランジスタQ14のようにDMOSFETの素子耐圧よりもP型半導体基板21との寄生ダイオードPD14の耐圧の方が高いので、トランジスタQ14の耐圧で制限されるとみなせる。仮にVIN=20VでトランジスタQ14の耐圧が50V、寄生ダイオードPD14の耐圧が80Vとすると、負電圧耐圧は-30Vとなってしまう。
【0077】
しかし、
図4のようにトランジスタQ16を挿入することで、トランジスタQ14とQ16にそれぞれ等しい電圧が印加されることになり、負電圧耐圧を寄生ダイオードPD14で制限される-60Vまで拡大できる。
【0078】
一方で、電源端子1の電圧VINが低い場合は、負電圧耐圧を拡大できる利点が減り、逆に負荷駆動回路のON時にトランジスタQ16の動作電圧分だけ、トランジスタQ12のゲート・ソース間電圧が低下し、トランジスタQ12のON抵抗が上昇することにはなる。
【0079】
なお、本実施例において、トランジスタQ11とQ12を、他のトランジスタQ13~Q16と共通のP型半導体基板21の上に形成せず、ディスクリートのDMOSFETを用いてもよい。この場合、P型半導体基板21との寄生ダイオードを含めた構成は、寄生ダイオードPD11とPD12を削除した構成となるが、この寄ダイオードPD11、PD12と同極性で並列接続のトランジスタQ11のボディダイオードBD11が存在しているため、回路としての動作は本実施例と同様となる。
【符号の説明】
【0080】
1:電源端子、2:出力端子、3:制御端子、4:接地端子
21:P型半導体基板、22:N型埋込層、23:N型エピタキシャル層、24:P型ウエル、25:N型高濃度領域、26:ゲート電極、27:N型高濃度領域、28:P型高濃度領域、29:ドレイン電極、30:ゲート電極、31:ソース電極、32:バックゲート電極、33:P型分離拡散層、41:N型埋込層、42:N型エピタキシャル層、43:P型ウエル、44:N型高濃度領域、45:P型高濃度領域、46:カソード電極、47:アノード電極