(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220830BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/02 103
(21)【出願番号】P 2018139944
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】守永 睦貴
(72)【発明者】
【氏名】平山 裕士
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 直幸
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 隆介
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331539(JP,A)
【文献】特開2015-148789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0135328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の帯電電圧が印加されることで像担持体の表面を帯電させる帯電部材に対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段が検知した電流量を用いて前記帯電部材の交換時期を予測する予測手段とを有する画像形成装置において、
前記予測手段は、前記帯電部材に印加した印加電圧と前記電流検知手段が検知した電流量とから前記像担持体の静電容量を算出し、算出した静電容量と、前記電流検知手段が検知した電流量とを用いて、前記帯電部材の交換時期を予測する予測処理を実行する
ものであって、
前記予測処理では、前記電流検知手段が検知する電流量と像担持体の表面電位との関係式を用いて、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加した時に前記電流検知手段が検知した帯電電流量から、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加して帯電される前記像担持体の表面電位を推定するとともに、算出した静電容量に応じて閾値を設定し、推定した表面電位の絶対値が、設定した閾値以下である場合に、前記帯電部材が交換時期であると予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像形成装置において、
環境情報を取得する環境取得手段を有し、
前記予測処理では、前記算出した静電容量のほか、前記環境取得手段が取得した環境情報にも応じて、前記閾値を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の画像形成装置において、
前記予測処理では、前記帯電部材に印加した印加電圧と前記電流検知手段が検知した電流量との一次関係式の傾きから、前記像担持体の静電容量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記電流検知手段が検知した電流量及び算出した静電容量の少なくとも一方を記憶する記憶手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の帯電電圧が印加されることで像担持体の表面を帯電させる帯電部材に対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段が検知した電流量を用いて前記帯電部材の交換時期を予測する予測手段とを有する画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、非画像形成時に、周波数の異なる2種類以上の交流バイアス(印加電圧)を帯電部材に対して順次印加し、このときの各々の周波数に対応した実効電流値(電流量)を検知し、これらの実効電流値に基づいて帯電部材の交換時期を予測する画像形成装置が開示されている。具体的には、検知した実効電流値から帯電部材の電気抵抗値を算出し、算出した電気抵抗値が107Ωを越えている場合に、当該帯電部材が交換時期であると判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように、検知した帯電電流量に基づいて算出される帯電部材の電気抵抗値が所定の閾値(107Ω)を超えた場合に帯電部材が交換時期であると予測する方法では、その予測精度が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、所定の帯電電圧が印加されることで像担持体の表面を帯電させる帯電部材に対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段が検知した電流量を用いて前記帯電部材の交換時期を予測する予測手段とを有する画像形成装置において、前記予測手段は、前記帯電部材に印加した印加電圧と前記電流検知手段が検知した電流量とから前記像担持体の静電容量を算出し、算出した静電容量と、前記電流検知手段が検知した電流量とを用いて、前記帯電部材の交換時期を予測する予測処理を実行するものであって、前記予測処理では、前記電流検知手段が検知する電流量と像担持体の表面電位との関係式を用いて、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加した時に前記電流検知手段が検知した帯電電流量から、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加して帯電される前記像担持体の表面電位を推定するとともに、算出した静電容量に応じて閾値を設定し、推定した表面電位の絶対値が、設定した閾値以下である場合に、前記帯電部材が交換時期であると予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、帯電部材に対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を用いて、帯電部材の適切な交換時期を予測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。
【
図3】同複写機における帯電ローラの交換時期を予測する予測処理に関するブロック図である。
【
図5】ある環境情報(λ=固定値)において、感光体ドラムの静電容量の違いに応じた一次関係式の違いを示す説明図である。
【
図6】感光体ドラムの表面電位Vd(x)と電流量Idc(x)との関係式の一例を示すグラフである。
【
図7】静電容量2(感光体ドラムの膜厚30μmに対応する静電容量)における環境情報ごとの寿命閾値Aを示すグラフである。
【
図8】静電容量3(感光体ドラムの膜厚40μmに対応する静電容量)における環境情報ごとの寿命閾値Aを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の像担持体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という。)の一実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る複写機1の概略構成図である。
図2は、本実施形態に係る複写機1の制御部10の概略構成図である。
複写機1は、記録材の一例としての用紙にトナー像を定着させることにより画像を形成する。
図1に示すように、複写機1は、制御部10、画像読取部11、作像部12、給紙部13、転写部14、定着部15、排紙部16、及び表示・操作部17等を有している。
【0010】
制御部10は、
図2に示すように、予測手段としてのCPU(Central Processing Unit)1011、メインメモリ(MEM-P)1012、ノースブリッジ(NB)1013、サウスブリッジ(SB)1014、AGP(Accelerated Graphics Port)バス1015、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1016、ローカルメモリ(MEM-C)1017、HD(Hard Disk)1018、HDD(Hard Disk Drive)1019、ネットワークI/F102を有している。
【0011】
CPU1011は、メインメモリ1012に記憶されたプログラムに従って、データを加工・演算したり、画像読取部11、作像部12、給紙部13、転写部14、定着部15、排紙部16の動作を制御したりするものである。メインメモリ1012は、制御部10の記憶領域であり、ROM(Read Only Memory)1012a、RAM(Random Access Memory)1012bを有している。ROM1012aは、制御部10の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリである。ROM1012aに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、FD、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0012】
RAM1012bは、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いる。ノースブリッジ1013は、CPU1011と、メインメモリ1012、サウスブリッジ1014、及びAGPバス1015とを接続するためのブリッジである。サウスブリッジ1014は、ノースブリッジ1013とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。AGPバス1015は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。
【0013】
ASIC1016は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC1016の中核をなすアービタ(ARB)、ローカルメモリ1017を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)からなる。このASIC1016は、PCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースに接続されている。
【0014】
ローカルメモリ1017は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD1018は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDD1019は、CPU1011の制御にしたがってHD1018に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。ネットワークI/F102は、通信ネットワークを介して情報処理装置等の外部機器と情報を送受信する。
【0015】
画像読取部11は、用紙に記載されている画像を光学的に読み取ることにより、画像情報を生成するものである。具体的には、用紙に光を当てて、その反射光をCCD(Charge Coupled Devices)、または、CIS(Contact Image Sensor)等の読取センサで受光することによって画像情報を読み取る。なお、画像情報とは、用紙等の記録材に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示されたものである。
【0016】
画像読取部11は、
図1に示すように、コンタクトガラス111、読取センサ112等を有している。コンタクトガラス111は、画像が記載されている用紙が載置されるものである。読取センサ112は、コンタクトガラス111に載置されている用紙に記載されている画像の画像情報を読み取るものである。
【0017】
作像部12は、画像読取部11によって読み取られた画像情報、またはネットワークI/F102によって受信された画像情報に基づいて転写部14のトナー付着部材としての中間転写ベルト143の表面にトナーを付着させて画像(トナー像)を形成するものである。
【0018】
作像部12は、シアン(C)色のトナーを有する現像剤を用いてトナー像を形成するトナー像形成手段としての画像形成ユニット120C、マゼンタ(M)色のトナーを用いてトナー像を形成する画像形成ユニット120M、イエロー(Y)色のトナーを用いてトナー像を形成する画像形成ユニット120Y、ブラック(K)色のトナーを用いてトナー像を形成する画像形成ユニット120K、及びクリア(T)トナーを用いてトナー像を形成する画像形成ユニット120Tを備えている。
なお、以下の説明ではC色トナー、M色トナー、Y色トナー、K色トナーのいずれか一以上のトナーを有色トナーという。それぞれの有色トナーは、顔料や染料等の色材を含有した帯電性をもった樹脂粒子である。
【0019】
また、クリアトナーとは、無色透明のトナーであり、記録材に付着した有色トナーに付着されるとその有色トナーを視認できるように構成された樹脂粒子である。また、クリアトナーは記録材に付着されるとその記録材を視認できる樹脂粒子である。クリアトナーは、例えば、低分子量のポリエステル樹脂に二酸化ケイ素(SiO2)や二酸化チタン(TiO2)を外添することによって生成される。なお、クリアトナーは記録材または記録材上に付着された有色トナーを視認できる程度の量であれば、色材を含んでいてもよい。以下の説明では、画像形成ユニット120C、画像形成ユニット120M、画像形成ユニット120Y、画像形成ユニット120K、画像形成ユニット120Tのうち任意の画像形成ユニットを「画像形成ユニット120」と表す。
【0020】
画像形成ユニット120Cは、現像剤収容部121C、像担持体としての感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、及び清掃部127Cを備えている。
【0021】
現像剤収容部121Cは、C色のトナーを収容しており、現像部125Cに対してC色のトナーを供給するものである。現像剤収容部121Cに収容されているトナーは、現像剤収容部121C内の搬送スクリューが駆動することによって所定の量だけ現像部125Cに供給される。
【0022】
感光体ドラム122Cは、帯電部123Cにより表面が一様に帯電され、制御部10から受け取った画像情報に基づき、露光部124Cによって表面に静電潜像が形成されるものである。また、感光体ドラム122Cは、静電潜像が形成された表面に、現像部125Cがトナーを付着させることによってトナー像が形成される。また、感光体ドラム122Cは、トナー付着部材としての中間転写ベルト143に接するように設けられ、中間転写ベルト143との接点で中間転写ベルト143の移動方向と同じ方向に回転するように設けられている。
【0023】
帯電部123Cは、感光体ドラム122Cの表面を一様に帯電させる。露光部124Cは、帯電部123Cによって帯電された感光体ドラム122Cの表面に、制御部10によって決定されたC色の網点面積率に基づいて光を照射して静電潜像を形成する。現像部125Cは、露光部124Cによって感光体ドラム122Cの表面に形成された静電潜像に対して現像剤収容部121Cに収容されているC色のトナーを付着させることによって現像し、トナー像を形成する。
【0024】
除電部126Cは、中間転写ベルト143に画像が転写された後の感光体ドラム122Cの表面を除電する。清掃部127Cは、除電部126Cによって除電された感光体ドラム122Cの表面に残った転写残トナーを除去する。
【0025】
画像形成ユニット120Mは、現像剤収容部121M、感光体ドラム122M、帯電部123M、露光部124M、現像部125M、除電部126M、及び清掃部127Mを備えている。現像剤収容部121Mは、M色のトナーを収容している。感光体ドラム122M、帯電部123M、露光部124M、現像部125M、除電部126M、清掃部127Mは、それぞれ感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、清掃部127Cと同様の機能であるため、それらの説明を省略する。
【0026】
画像形成ユニット120Yは、現像剤収容部121Y、感光体ドラム122Y、帯電部123Y、露光部124Y、現像部125Y、除電部126Y、及び清掃部127Yを備えている。現像剤収容部121Yは、Y色のトナーを収容している。感光体ドラム122Y、帯電部123Y、露光部124Y、現像部125Y、除電部126Y、清掃部127Yは、それぞれ感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、清掃部127Cと同様の機能であるため、それらの説明を省略する。
【0027】
画像形成ユニット120Kは、現像剤収容部121K、感光体ドラム122K、帯電部123K、露光部124K、現像部125K、除電部126K、及び清掃部127Kを備えている。現像剤収容部121Kは、K色のトナーを収容している。感光体ドラム122K、帯電部123K、露光部124K、現像部125K、除電部126K、清掃部127Kは、それぞれ感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、清掃部127Cと同様の機能であるため、それらの説明を省略する。
【0028】
画像形成ユニット120Tは、現像剤収容部121T、感光体ドラム122T、帯電部123T、露光部124T、現像部125T、除電部126T、及び清掃部127Tを備えている。現像剤収容部121Tは、クリアトナーを収容している。感光体ドラム122T、帯電部123T、露光部124T、現像部125T、除電部126T、清掃部127Tは、それぞれ感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、清掃部127Cと同様の機能であるため、それらの説明を省略する。
【0029】
なお、以下の説明では、現像剤収容部121C、現像剤収容部121M、現像剤収容部121Y、現像剤収容部121K、現像剤収容部121Tのうち任意の現像剤収容部を「現像剤収容部121」と表す。また、感光体ドラム122C、感光体ドラム122M、感光体ドラム122Y、感光体ドラム122K、感光体ドラム122Tのうち任意の感光体ドラムを「感光体ドラム122」と表す。また、帯電部123C、帯電部123M、帯電部123Y、帯電部123K、帯電部123Tのうち任意の帯電部を「帯電部123」と表す。また、露光部124C、露光部124M、露光部124Y、露光部124K、露光部124Tのうち任意の露光部を「露光部124」と表す。また、現像部125C、現像部125M、現像部125Y、現像部125K、現像部125Tのうち任意の現像部を「現像部125」と表す。また、除電部126C、除電部126M、除電部126Y、除電部126K、除電部126Tのうち任意の除電部を「除電部126」と表す。また、清掃部127C、清掃部127M、清掃部127Y、清掃部127K、清掃部127Tのうち任意の清掃部を「清掃部127」と表す。
【0030】
給紙部13は、転写部14に対して用紙を供給するものである。給紙部13は、用紙収容部131、給紙ローラ132、記録材搬送部材としての給紙ベルト133、及びレジストローラ134を備えている。用紙収容部131は、トナー付着部材としての記録材の一例である用紙を収容している。給紙ローラ132は、用紙収容部131に収容されている用紙Pを給紙ベルト133の方へ移動させるために回転するように設けられている。このように設けられている給紙ローラ132は、収容されている用紙Pのうち最上段にある用紙Pを1枚ずつ取り出し、給紙ベルト133に載置する。
【0031】
給紙ベルト133は、給紙ローラ132によって取り出された用紙Pを転写部14に搬送する。レジストローラ134は、後述する中間転写ベルト143のトナー像が形成されている部分が転写部14に到達されるタイミングで給紙ベルト133によって搬送された用紙Pを送り出すものである。
【0032】
転写部14は、作像部12によって感光体ドラム122に形成された画像を中間転写ベルト143に1次転写し、中間転写ベルト143に転写された画像を用紙Pに2次転写するものである。
【0033】
転写部14は、駆動ローラ141、従動ローラ142、中間転写ベルト143、1次転写ローラ144C,144M,144Y,144K,144T、2次転写ローラ145、2次対向ローラ146を備えている。駆動ローラ141は、従動ローラ142とともに中間転写ベルト143を掛け渡すものである。駆動ローラ141が駆動し回転することによって、掛け渡されている中間転写ベルト143が移動する。従動ローラ142は、駆動ローラ141とともに中間転写ベルト143を掛け渡すものである。従動ローラ142は、駆動ローラ141が回転し、中間転写ベルト143が移動するとともに回転する。
【0034】
中間転写ベルト143は、駆動ローラ141及び従動ローラ142に掛け渡され、駆動ローラ141の回転とともに感光体ドラム122に接しながら移動するものである。中間転写ベルト143が感光体ドラム122に接しながら移動することによって、感光体ドラム122に形成された画像が中間転写ベルト143の表面に転写される。
【0035】
1次転写ローラ144C,144M,144Y,144K,144Tは、中間転写ベルト143を挟んで、それぞれ感光体ドラム122C,122M,122Y,122K,122Tと対向して備えられ、中間転写ベルト143を移動させるように回転する。2次転写ローラ145は、2次対向ローラ146との間に中間転写ベルト143と用紙を挟みこんで回転する。2次対向ローラ146は、2次転写ローラ145との間に中間転写ベルト143と用紙を挟みこんで回転する。
【0036】
定着部15は、転写部14によって用紙に転写されたトナーを定着させる。定着とは、トナーに熱と圧力を同時に加えることによってトナーの樹脂成分を用紙に溶着させることである。転写部14によって用紙に転写されたトナーに定着処理が行われることによって、用紙上のトナーの状態は安定したものとなる。
【0037】
定着部15は、搬送ベルト151、定着ベルト152、定着ローラ153、定着ベルト搬送ローラ154、定着対向ローラ155、発熱部156を有している。搬送ベルト151は、転写部14によってトナーが転写された用紙を定着ローラ153、定着対向ローラ155に向けて搬送する。定着ベルト152は、定着ローラ153と定着ベルト搬送ローラ154とに掛け渡され、それらのローラが回転することによって移動する。定着ローラ153は、対向して設置されている定着対向ローラ155との間で、搬送ベルト151に搬送された用紙Pを挟みこんで、用紙を加熱、加圧する。
【0038】
定着ベルト搬送ローラ154は、定着ローラ153とともに定着ベルト152を掛け渡すものであり、定着ベルト搬送ローラ154が回転することによって定着ベルト152を移動させる。定着対向ローラ155は、定着ローラ153に対向して設置されるものであり、定着ローラ153との間に搬送された用P紙を挟みこむ。発熱部156は、定着ローラ153の内部に設置され、発熱するものであり、定着ローラ153を介して用紙Pを加熱する。
【0039】
排紙部16は、定着部15でトナーが定着された用紙Pを複写機1から排出するものであり、排紙ベルト161、排紙ローラ162、排紙口163、及び用紙収容部164を有している。排紙ベルト161は、定着部15によって定着処理された用紙Pを排紙口163に向けて搬送する。排紙ローラ162は、排紙ベルト161によって搬送された用紙を排紙口163から排出し、用紙収容部164に収容する。用紙収容部164は、排紙ローラ162によって排出された用紙Pを収容する。
【0040】
表示・操作部17は、パネル表示部171及び操作部172を有している。パネル表示部171には、設定値や選択画面等が表示される。また、パネル表示部171は、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等である。操作部172は、画像形成にかかる諸条件を受け付けるテンキー、複写開始指示を受け付けるスタートキー等のユーザが入力をするために操作を行うものである。
【0041】
次に、本発明の特徴部分である帯電部123の帯電部材の交換時期を予測する予測処理について説明する。
なお、ここでは、帯電部123の帯電部材が、感光体ドラム122の表面に接触した状態で回転する接触式帯電部材としての帯電ローラを用い、帯電ローラに帯電電源から所定の帯電電圧を印加して感光体ドラム122の表面を一様に所望電位に帯電させる場合について説明する。ただし、帯電ブラシなどの他の接触式帯電部材や、感光体ドラム122の表面に非接触の状態で電荷を付与する帯電チャージャ等の非接触式帯電部材であっても適用可能である。
【0042】
本実施形態の複写機1における画像濃度安定性や異常画像抑制のために、帯電部123の帯電ローラには、感光体ドラム122の表面に対して、所望の電荷量を均一に付与することが要求される。しかしながら、帯電ローラが経時劣化すると、感光体ドラム122の表面に対して、所望の電荷量を均一に付与することが困難となり、帯電ローラの交換が必要になる。詳しくは、帯電ローラそれ自体が経時劣化することで、帯電ローラの電気抵抗値が上昇し、帯電ローラに同じ電圧を印加しても感光体ドラムの表面に供給される電荷が減るので、帯電性能が低下し、画像濃度安定性や地汚れが悪化する。また、帯電ローラにトナーや潤滑剤等の異物が局所的に付着することで、感光体ドラム122の表面に対して均一に電荷を供給できなくなり、縦スジが発生する。
【0043】
一般的な画像形成装置では、帯電ローラの帯電性能が低下したりトナー等の異物によって帯電ローラが汚染されたりする交換時期に到達するまでの平均的な印刷枚数を予め設定しておき、設定された印刷枚数に達したら、一律に、帯電ローラを交換するという方法が知られている。しかしながら、帯電ローラの帯電性能が低下したり帯電ローラが汚染されたりする本来の交換時期に到達するまでの印刷枚数は、それまでの使用方法(印刷時の画像面積率、使用環境など)によって大きく異なってくる。そのため、予め決められた印刷枚数に達する時期を帯電ローラの交換時期とすると、実際には本来の交換時期に達していない帯電ローラを交換することになったり、先に本来の交換時期に達してしまって画像濃度安定性の悪化や異常画像が発生してしまったりするといった問題がある。
【0044】
一方で、帯電ローラに対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を検知し、検知した電流量を用いて帯電ローラの交換時期を予測する方法も知られている。この方法は、前記特許文献1に記載の画像形成装置のように、検知した電流量から帯電ローラの電気抵抗値を特定し、特定した値を、予め決められた閾値と比較して、帯電ローラの交換時期を予測するというものである。
【0045】
帯電ローラに対して電圧を印加した時に流れる電流量は、帯電ローラの状態(電気抵抗値、トナーや潤滑剤等の異物の付着量など)だけでなく、感光体ドラム122の静電容量にも大きく影響を受ける。感光体ドラム122は、通常、経時使用によって表面の膜が削られていき、これに伴い、感光体ドラム122の表面電位の大きさを確保するための電荷を蓄積するのに必要な静電容量が徐々に変化していく。その結果、同じ劣化状態の帯電ローラであっても、感光体ドラム122の状態の違い(膜削れ量の違い等)によって、帯電ローラに対して電圧を印加した時に流れる電流量は異なってくる。
【0046】
上述した従来の予測方法では、帯電ローラに対して電圧を印加した時に流れる電流量を変動させる他の要因である感光体ドラム122の静電容量が全く考慮されていない。そのため、従来の予測方法では、検知した電流量から帯電ローラの状態を適切に把握することはできず、帯電ローラが交換時期であることを適切に予測することはできない。
【0047】
そこで、本実施形態においては、帯電ローラに電圧を印加したときに流れる電流量を電流検知手段により検知し、その印加電圧と電流量との関係から、感光体ドラム122の静電容量を算出(推定)することとし、電流検知手段が検知した電流量だけでなく、算出した静電容量も用いて、帯電ローラの交換時期を予測する。以下、詳細に説明する。
【0048】
本実施形態では、所定の電圧を帯電ローラに印加した時の感光体ドラム122の表面電位を予測指標値として用い、この感光体ドラム122の表面電位が所定の閾値(寿命閾値)以下である場合に、帯電ローラが交換時期であると予測する予測処理を行う。詳しくは、所定の印加電圧xを帯電ローラに印加した時の感光体ドラム122の表面電位をVd(x)とし、寿命閾値をAとしたとき、以下の式(1)を満たす場合には、帯電ローラの交換時期であると予測する。
|Vd(x)| ≦ A ・・・(1)
ただし、寿命閾値Aは、正の値であって、印加電圧xの絶対値よりも小さい値である。
【0049】
この予測処理の中で、感光体ドラム122の静電容量を用いることにより、感光体ドラム122の静電容量を考慮に入れて帯電ローラの交換時期を予測する。具体的には、前記式(1)における寿命閾値Aを、感光体ドラム122の静電容量に応じて変化させるようにする。
【0050】
また、複写機1が使用される環境条件(温度、湿度等)も、帯電ローラに対して電圧を印加した時に流れる電流量を変動させる要因となり得る。そのため、感光体ドラム122の静電容量だけでなく、環境条件も考慮にいれて、帯電ローラの交換時期を予測するのが好ましい。本実施形態では、環境条件も考慮にいれて、帯電ローラの交換時期を予測する。具体的には、前記式(1)における寿命閾値Aを、環境条件に応じて変化させるようにする。
【0051】
ここで、帯電ローラは、感光体ドラム122の表面を所望の電位に帯電させることを目的とするものであるため、帯電ローラの劣化状態(交換時期)は、本実施形態のように、帯電ローラによって帯電された感光体ドラム122の表面電位の結果を用いて判断(予測)するのが適切である。感光体ドラム122の表面電位を得るにあたり、感光体ドラム122の表面電位を測定する電位センサを設置すれば、電位センサの測定結果を用いればよい。しかしながら、近年の画像形成装置では、このような電位センサを設置しない場合が多いため、電位センサを用いずに、感光体ドラム122の表面電位を推定する技術が求められる。本実施形態の複写機1には電位センサが設けられていないため、本実施形態では、電位センサを用いずに感光体ドラム122の表面電位を推定する処理を行う。
【0052】
図3は、本実施形態における帯電ローラの交換時期を予測する予測処理に関するブロック図である。
図4は、本実施形態における帯電ローラの交換時期を予測する予測処理のフローチャートである。
【0053】
本実施形態においては、帯電ローラ123aの交換時期を予測する予測処理の開始タイミングになったら、制御部10は、所定の予測処理プログラムを実行し、まず、環境センサ22から環境情報を取得する(S1)。この環境情報は、帯電ローラ123aが搭載されている複写機1の環境を示す情報であり、例えば、温度や湿度(相対湿度又は絶対湿度)の情報である。次に、制御部10は、帯電部123の帯電電源123bを制御して帯電ローラ123aに対して2以上の異なる印加電圧Vcを印加し、それぞれの印加時に流れる電流量Idcを電流量検知手段としての電流センサ21によって検知する(S2)。
【0054】
これにより、制御部10は、下記の式(2)に示すような印加電圧Vcと電流量Idcとの一次関係式を特定することができる(S3)。なお、「C」は感光体ドラム122の静電容量であり、「λ」は環境情報に応じて決まる係数である。
Idc = C×λ × ΔV
= C×λ × (Vc-Vr) ・・・(2)
【0055】
図5は、ある環境情報(λ=固定値)において、感光体ドラム122の静電容量Cの違い(静電容量1,静電容量2,静電容量3)に応じた一次関係式の違いを示す説明図である。
図5に示すように、印加電圧Vcと電流量Idcとの一次関係式は、感光体ドラム122の静電容量Cの違いによって傾きが変化する。ここで、感光体ドラム122は、上述のとおり、経時使用によって表面の膜が削られていき、膜厚が徐々に薄くなっていく。感光体ドラム122の膜厚と感光体ドラム122の静電容量Cとの間には高い相関関係があるため、感光体ドラム122の静電容量Cは、
図5に示すように、経時使用により膜厚が薄くなるに従って変化(上昇)する。
【0056】
このように経時的に変化する感光体ドラム122の静電容量Cは、予め実験等によって環境情報と係数λとの関係を把握しておくことにより、印加電圧Vcと電流量Idcとの一次関係式の傾きから算出することができる。そこで、本実施形態においては、制御部10のROM1012a等に、予め実験等によって環境情報と係数λとの関係(環境テーブルデータ)を記憶しておく。そして、制御部10は、ROM1012a等の環境テーブルデータを参照して、処理ステップS1で取得した環境情報から係数λを特定し、そのうえで、処理ステップS3で算出した一次関係式(前記式(2))の傾きから、感光体ドラム122の静電容量Cを算出する(S4)。
【0057】
次に、制御部10は、処理ステップS1で取得した環境情報と、処理ステップS4で算出した感光体ドラム122の静電容量Cと、所定の印加電圧x(帯電ローラ123aの状態判定に用いる帯電ローラ123aへの印加電圧)とから、所定の印加電圧x印加時の電流量Idc(x)と感光体ドラム122の表面電位Vd(x)との関係式を特定する(S5)。
【0058】
ここで、感光体ドラム122の表面電位Vd(x)と電流量Idc(x)との関係式は、下記の式(3)に示すように、感光体ドラム122の静電容量Cと環境情報(例えば温度や湿度)Temとを含む関数Fによって表すことができる。そして、この関数Fは、予め実験等により特定でき、制御部10のROM1012a等に記憶されている。例えば、環境情報Temが、温度23℃、湿度50%であり、感光体ドラムの静電容量Cが静電容量2(感光体ドラムの膜厚30μmに対応する静電容量)であり、所定の印加電圧xが700Vであるときの関数Fは、
図6に示すような関係となる。
Vd(x) = F(Idc(x),C,Tem) ・・・(3)
【0059】
よって、制御部10は、処理ステップS1で取得した環境情報Temと、処理ステップS4で算出した感光体ドラム122の静電容量Cと、所定の印加電圧xとに基づいて、感光体ドラム122の表面電位Vd(x)と電流量Idc(x)との関数Fを、ROM1012a等から読み出す。そして、制御部10は、所定の印加電圧xを印加した時に電流センサ21によって検知された電流量Idc(x)を取得し、この電流量Idc(x)から、前記関数Fにより、所定の印加電圧xを印加した時の感光体ドラム122の表面電位Vd(x)を算出する(S7)。
【0060】
なお、印加電圧x時の電流量Idc(x)は、上述した処理ステップS2において用いる印加電圧Vcの中に、所定の印加電圧xを含めておけば、処理ステップ2での電流測定結果を、処理ステップS6で用いることができる。
【0061】
このようにして、所定の印加電圧xを印加した時の感光体ドラム122の表面電位Vd(x)を算出(推定)したら、制御部10は、この表面電位Vd(x)が寿命閾値A以下であるか否かを判断する(S8)。
【0062】
図7は、静電容量2(感光体ドラムの膜厚30μmに対応する静電容量)における環境情報ごとの寿命閾値Aを示すグラフである。
図8は、静電容量3(感光体ドラムの膜厚40μmに対応する静電容量)における環境情報ごとの寿命閾値Aを示すグラフである。
【0063】
寿命閾値Aは、環境情報や感光体ドラム122の静電容量によって変動する。
例えば、
図7や
図8に示すように、高温高湿環境(27℃80%)では、帯電ローラ123aの電気抵抗値が下がるため、表面電位Vd(x)が比較的高い場合でも、帯電ローラ123aが劣化している可能性がある。そのため、寿命閾値Aは比較的高く設定される。一方、低温低湿環境(10℃15%)では、帯電ローラ123aの電気抵抗値が上がるため、表面電位Vd(x)が比較的低い場合でも、帯電ローラ123aが劣化していないと評価できる。そのため、寿命閾値Aは比較的低く設定される。
【0064】
また、例えば、感光体ドラム122の膜厚が大きい場合(初期に近い場合)は、感光体ドラム122の静電容量Cが小さく、比較的少ない帯電電圧であっても感光体ドラム122の表面が帯電しやすい。そのため、表面電位Vd(x)が比較的高い場合でも、帯電ローラ123aが劣化している可能性がある。よって、
図7と
図8とを比較してわかるとおり、感光体ドラム122の膜厚が大きい場合の寿命閾値Aは、比較的高く設定される。一方、感光体ドラム122の膜厚が小さい場合(経時使用によって膜が削れた場合)は、感光体ドラム122の静電容量Cが大きくなり、感光体ドラム122を帯電させるには大きな電荷量が必要となる。そのため、表面電位Vd(x)は比較的低い値をとりやすいので、表面電位Vd(x)が比較的低い場合でも、帯電ローラ123aが劣化していないと評価できる。よって、
図7と
図8とを比較してわかるとおり、感光体ドラム122の膜厚が小さい場合の寿命閾値Aは、比較的低く設定される。
【0065】
以上のようにして決定される寿命閾値Aを用いて、制御部10は、処理ステップS7で算出した感光体ドラム122の表面電位Vd(x)が寿命閾値Aを超えていると判断した場合(S8のNo)、帯電ローラ123aは寿命(交換時期)に達するほど劣化しておらず帯電ローラ123aの交換時期ではないと判定する(S9)。一方、表面電位Vd(x)が寿命閾値A以下であると判断した場合(S8のYes)、帯電ローラ123aは寿命(交換時期)に達するほど劣化していると推測されるので、帯電ローラ123aの交換時期であると判定する(S10)。これらの判定結果は、制御部10により、例えば、パネル表示部171に表示される。
【0066】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
所定の帯電電圧が印加されることで像担持体(例えば感光体ドラム122)の表面を帯電させる帯電部材(例えば帯電部123)に対して所定の印加電圧Vcを印加した時に流れる電流量Idcを検知する電流検知手段(例えば電流センサ21)と、前記電流検知手段が検知した電流量を用いて前記帯電部材の交換時期を予測する予測手段(例えば制御部10)とを有する画像形成装置(例えば複写機1)において、前記予測手段は、前記帯電部材に印加した印加電圧Vcと前記電流検知手段が検知した電流量Idcとから前記像担持体の静電容量Cを算出し、算出した静電容量Cと、前記電流検知手段が検知した電流量Idcとを用いて、前記帯電部材の交換時期を予測する予測処理を実行することを特徴とする。
帯電部材に対して電圧を印加した時に流れる電流量は、帯電部材の状態(電気抵抗値、トナーや潤滑剤等の異物の付着量など)だけでなく、像担持体の静電容量にも大きく影響を受ける。像担持体は、通常、経時使用によって表面の膜が削られていき、これに伴い、像担持体の表面電位の大きさを確保するための電荷を蓄積するのに必要な静電容量が徐々に変化していく。その結果、同じ劣化状態の帯電部材であっても、像担持体の状態の違い(像担持体の膜削れ量の違い等)によって、帯電部材に対して電圧を印加した時に流れる電流量は異なってくる。
帯電部材に対して所定の印加電圧を印加した時に流れる電流量を用いて当該帯電部材の交換時期を予測する従来の方法では、前記特許文献1に記載の画像形成装置のように、検知した電流量(実効電流値)から帯電部材の状態(電気抵抗値)を算出し、算出した値を、予め決められた閾値と比較して、帯電部材の交換時期を予測している。この方法では、当該電流量を変動させる他の要因である像担持体の静電容量が全く考慮されないため、帯電部材が交換時期であることを適切に予測することはできない。
そこで、本態様においては、帯電部材に印加した印加電圧と電流検知手段が検知した電流量とから像担持体の静電容量を算出することとし、電流検知手段が検知した電流量だけでなく、算出した静電容量も用いて、帯電部材の交換時期を予測する。したがって、像担持体の静電容量を考慮して、電流検知手段が検知した電流量から帯電部材の状態を判断することができ、帯電部材の交換時期を適切に予測することが可能となる。
【0067】
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記予測処理では、算出した静電容量Cに応じて前記電流検知手段が検知する電流量Idc(x)と像担持体の表面電位Vd(x)との関係式(例えば式(3))を特定し、特定した関係式を用いて、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧xを印加した時に前記電流検知手段が検知した帯電電流量Idc(x)から、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧xを印加して帯電される前記像担持体の表面電位Vd(x)を推定し、推定した表面電位の絶対値が所定の閾値(例えば寿命閾値A)以下である場合に、前記帯電部材が交換時期であると予測することを特徴とする。
これによれば、像担持体の表面電位を測定する電位センサを備えていなくても、像担持体の表面電位Vd(x)を、帯電部材の交換時期を予測するための指標値として用いることができ、帯電部材の交換時期を適切に予測することが可能となる。
【0068】
(態様C)
前記態様Bにおいて、環境情報Temを取得する環境取得手段(例えば環境センサ22)を有し、前記予測処理では、前記算出した静電容量Cのほか、前記環境取得手段が取得した環境情報Temにも応じて、前記関係式を特定することを特徴とする。
これによれば、環境情報も考慮して、帯電部材の交換時期を、より適切に予測することが可能となる。
【0069】
(態様D)
前記態様A~Cのいずれかにおいて、前記予測処理では、前記電流検知手段が検知する電流量と像担持体の表面電位との関係式を用いて、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加した時に前記電流検知手段が検知した帯電電流量から、前記帯電部材に前記所定の帯電電圧を印加して帯電される前記像担持体の表面電位を推定するとともに、算出した静電容量に応じて閾値を設定し、推定した表面電位の絶対値が、設定した閾値以下である場合に、前記帯電部材が交換時期であると予測することを特徴とする。
これによれば、像担持体の表面電位を測定する電位センサを備えていなくても、像担持体の表面電位Vd(x)を、帯電部材の交換時期を予測するための指標値として用いることができ、帯電部材の交換時期を適切に予測することが可能となる。
【0070】
(態様E)
前記態様Dにおいて、環境情報Temを取得する環境取得手段(例えば環境センサ22)を有し、前記予測処理では、前記算出した静電容量のほか、前記環境取得手段が取得した環境情報にも応じて、前記閾値を設定することを特徴とする。
これによれば、環境情報も考慮して、帯電部材の交換時期を、より適切に予測することが可能となる。
【0071】
(態様F)
前記態様A~Eのいずれかにおいて、前記予測処理では、前記帯電部材に印加した印加電圧Vcと前記電流検知手段が検知した電流量Idcとの一次関係式(例えば式(2))の傾きから、前記像担持体の静電容量Cを算出することを特徴とする。
これによれば、像担持体の静電容量Cを適切に算出することができる。
【0072】
(態様G)
前記態様Fにおいて、環境情報Temを取得する環境取得手段(例えば環境センサ22)を有し、前記予測処理では、前記環境取得手段が取得した環境情報に応じて、前記傾きを変更することを特徴とする。
これによれば、環境情報も考慮して、帯電部材の交換時期を、より適切に予測することが可能となる。
【0073】
(態様H)
前記態様A~Gのいずれかにおいて、前記電流検知手段が検知した電流量及び算出した静電容量の少なくとも一方を記憶する記憶手段(例えばメインメモリ1012)を有することを特徴とする。
これによれば、電流検知手段が検知した電流量及び算出した静電容量の少なくとも一方を、後の別処理ステップにも利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 :複写機
10 :制御部
11 :画像読取部
12 :作像部
13 :給紙部
14 :転写部
15 :定着部
16 :排紙部
17 :操作部
21 :電流センサ
22 :環境センサ
120 :画像形成ユニット
121 :現像剤収容部
122 :感光体ドラム
123 :帯電部
123a :帯電ローラ
123b :帯電電源
124 :露光部
125 :現像部
126 :除電部
127 :清掃部
140 :転写部
171 :パネル表示部
172 :操作部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】