(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/06 20060101AFI20220830BHJP
B65H 45/30 20060101ALI20220830BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B65H37/06
B65H45/30
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2018202474
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018050378
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】米山 史晴
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
(72)【発明者】
【氏名】國枝 晶
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 智道
(72)【発明者】
【氏名】日高 信
(72)【発明者】
【氏名】坂野 広樹
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055951(JP,A)
【文献】特開2015-231907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00-37/06
B65H 45/00-45/30
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持され、シートの折り部を押圧する押圧部が回転方向の所定の範囲
に配置されるとともに、
前記回転方向における前記押圧部が配置されていない所
定の範囲外の非押圧領域を備えた押圧手段と、
前記押圧手段に対向する対向ガイド部材とを備えたシート処理装置において、
前記押圧手段の少なくとも回転軸方向の一端に設けられ、前記対向ガイド部材に
当接する当接部材を備え、
前記対向ガイド部材は、前記押圧部または前記当接部材に当接する当接位置と、
当接位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されており、
前記当接部材が、前記押圧手段に対して回転可能で
あり、
ジャム処理時は、前記当接部材の前記対向ガイド部材に当接する当接部が前記対
向ガイド部材と対向しない位置に位置させた後、前記押圧手段を前記当接部材に
対して相対的に回転させて、前記押圧手段の
前記非押圧領域を前記対向ガイド部
材に対向させ
、前記対向ガイド部材を、前記当接位置から前記退避位置に移動さ
せることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処理装置において、
前記当接部材は、回転軸方向に突出する突起部を有し、
前記押圧手段の少なくとも回転軸方向一端に、前記突起部が入り込み、前記突起
部が前記回転方向に所定の範囲で移動可能な突起部収容部を有することを特徴と
するシート処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート処理装置において、
前記突起部が、突起部収容部の前記回転方向の一端に当接しているとき、前記当
接部材の前記対向ガイド部材に当接する当接部が、
前記非押圧領域に位置するこ
とを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項2乃至
3いずれか一項に記載のシート処理装置において、
シート処理時は、前記当接部材の前記対向ガイド部材に当接する当接部が、
前記
非押圧領域に位置した状態で、前記当接部材と前記押圧手段とが一体的に回転す
ることを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記対向ガイド部材を、前記押圧部または前記当接部材に当接する当接位置と、
当接位置から退避した退避位置との間で移動可能に保持する移動部材と、
前記対向ガイド部材が当接位置に位置した状態で、移動部材をロックするロック
手段とを有することを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記回転方向において、前記押圧部と前記当接部材とがともに前記対向ガイド部
材に当接する領域を有していることを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記当接部材の前記対向ガイド部材に当接する当接部の外径が、前記押圧部の外
径と同一であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記当接部材は、通紙範囲外に配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記当接部材と前記押圧手段とが別体であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至
9いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記押圧部は、前記回転軸方向の所定の範囲にわたって配置され、かつ、前記回
転方向の位置が前記回転軸方向に応じて異なるように配置されていることを特徴
とするシート処理装置。
【請求項11】
請求項
10に記載のシート処理装置において、
前記押圧部は、前記押圧手段の回転軸方向中央を基準として対称となるように配
置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至
11いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記対向ガイド部材と前記押圧手段との間に、フィルム部材を配置したことを特
徴とするシート処理装置。
【請求項13】
請求項
12に記載のシート処理装置において、
前記フィルム部材と前記当接部材とを、非接触にしたことを特徴とするシート処
理装置。
【請求項14】
請求項1乃至
13いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記当接部材は、前記対向ガイド部材に当接する当接部と、前記対向ガイド部材
に当接しない非当接部と、前記当接部と前記非当接部とを連結する連結部とを有
し、
前記連結部が、前記非当接部の接線であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項15】
請求項
14に記載のシート処理装置において、
前記連結と当接部との連結箇所をR形状にしたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項16】
請求項1乃至
15いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記当接部材と径方向から対向する対向面または前記当接部材と回転軸方向から
対向する対向面に前記当接部材を押し当てる、若しくは、前記当接部材に前記対
向面を押し当てる押し当て手段を設けたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項17】
請求項
16に記載のシート処理装置において、
前記対向面と前記当接部材との間の静止摩擦力が、前記対向ガイド部材の押し上
げに必要な力よりも弱いことを特徴とするシート処理装置。
【請求項18】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにお
いて、
前記シート処理装置として、請求項1乃至
17いずれか一項に記載のシート処理
装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能に支持され、シートの折り部を押圧する押圧部が回転方向の所定の範囲に配置された押圧手段と、押圧手段に対向する対向ガイド部材とを備えたシート処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート処理装置において、騒音を抑制する目的で、回転方向において、押圧手段たる増し折りローラの押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域に、対向ガイド部材に当接する当接部を設けたものが記載されている。この当接部は、増し折りローラの両端に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート処理装置においては、ジャム処理作業が容易に行なえないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、回転可能に支持され、シートの折り
部を押圧する押圧部が回転方向の所定の範囲に配置されるとともに、前記回転方
向における前記押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域を備えた押
圧手段と、前記押圧手段に対向する対向ガイド部材とを備えたシート処理装置に
おいて、前記押圧手段の少なくとも回転軸方向の一端に設けられ、前記対向ガイ
ド部材に当接する当接部材を備え、前記対向ガイド部材は、前記押圧部または前
記当接部材に当接する当接位置と、当接位置から退避した退避位置との間で移動
可能に構成されており、前記当接部材が、前記押圧手段に対して回転可能であり、
ジャム処理時は、前記当接部材の前記対向ガイド部材に当接する当接部が前記対
向ガイド部材と対向しない位置に位置させた後、前記押圧手段を前記当接部材に
対して相対的に回転させて、前記押圧手段の前記非押圧領域を前記対向ガイド部
材に対向させ、前記対向ガイド部材を、前記当接位置から前記退避位置に移動さ
せることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ジャム処理作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図。
【
図2】実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置の概略構成図。
【
図3】実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置の概略構成図。
【
図4】実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置の概略構成図。
【
図5】本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図。
【
図6】(a)~(f)は、本折り処理装置の重ね合わせ部によるシートの重ね合わせ動作について説明する図。
【
図7】(a)~(d)は、折り処理部によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図9】(a)~(f)は、増し折り部により増し折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図10】(a)、(b)は、増し折り部Cのジャム処理動作について説明する図。
【
図11】(a)~(c)は、増し折り動作中の騒音発生のメカニズムについて説明する図。
【
図13】増し折りローラと、カム部材との寸法関係について説明する図。
【
図14】カム部材の当接部のガイド板当接開始位置近傍と、ガイド板当接終了位置近傍の形状について説明する図。
【
図15】(a)~(c)は、本実施形態における増し折り動作中の騒音の防止について説明する図。
【
図17】(a)は、カム部材の増し折りローラの端部と対向する側の正面図であり(b)は、カム部材の側面図。
【
図18】増し折り動作時におけるカム部材と、増し折りローラとの関係について説明する図。
【
図19】ジャム処理時におけるカム部材の当接部をガイド板から離間させる動作について説明する図。
【
図20】ジャム処理時における増し折りローラの非押圧領域をガイド板に対向させる動作について説明する図。
【
図21】カム部材を増し折りローラに押し当てる一例を示す図。
【
図23】カム部材を押圧ローラ部の端面に押し当てる構成の、カム部材の当接部がガイド板から離間させた後のジャム処理時の動作を示す図。
【
図24】径方向に対向する対向面とカム部材とを押し当てる構成の一例を示す図。
【
図27】(a)~(h)は、変形例の折り処理によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システム4のシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置3の後段に、シート処理装置である折り処理装置1と、後処理装置2とが順に設けられている。
【0009】
画像形成装置3は、入力された画像データまたは読み取った画像の画像データに基づいて、シートに画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置3は、例えば電子写真方式や液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでも良い。なお、本実施形態においては、電子写真方式の複写機を用いている。
【0010】
後処理装置2としては、例えば、シートにパンチ孔を開けるパンチ穿孔装置、ステープラ等によりシート束を綴じるシート綴じ装置、画像形成済みシートを複数の排出トレイへ仕分けして排出する仕分排出装置などが挙げられる。
【0011】
図2は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置3の概略構成図である。
画像形成装置本体400は、画像形成部の下部に、記録媒体であるシートを収納する給送カセットが配置されている。給送カセットに収納されたシートは、それぞれ、給送ローラ414a,414bによって給送された後、所定の搬送路に沿って上方へ搬送され、レジストローラ対413へ到達する。
【0012】
画像形成部は、像担持体としての感光体ドラム401と、帯電装置402と、露光装置410と、現像装置404と、転写装置405と、クリーニング装置406とを備えている。
【0013】
帯電装置402は、感光体ドラム401の表面を一様に帯電する帯電手段である。露光装置410は、画像読取装置100で読み取った画像情報に基づいて感光体ドラム401上に静電潜像を形成する潜像形成手段である。現像装置404は、感光体ドラム401上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化する現像手段である。転写装置405は、感光体ドラム401上のトナー画像をシートに転写する転写手段である。クリーニング装置406は、転写後の感光体ドラム401上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0014】
また、画像形成部のシート搬送方向下流側には、トナー画像をシートに定着する定着手段としての定着装置407が配置されている。
【0015】
露光装置410は、制御部の制御の下で画像情報に基づくレーザー光を発射するレーザーユニット411と、レーザーユニット411からのレーザー光を感光体ドラム401の回転軸方向(主走査方向)に走査するポリゴンミラー412を具備する。
【0016】
また、画像読取装置100の上部には、自動原稿搬送装置500が接続されている。この自動原稿搬送装置500は、原稿テーブル501、原稿分離給送ローラ502、搬送ベルト503、原稿排紙トレイ504を具備している。
【0017】
原稿テーブル501に原稿がセットされて読み取り開始指示を受けると、自動原稿搬送装置500では、原稿テーブル501上の原稿が原稿分離給送ローラ502により1枚ずつ送り出される。そして、その原稿は搬送ベルト503によりプラテンガラス309上に案内され、一時停止する。
【0018】
そして、プラテンガラス309上に一時停止した原稿は、画像読取装置100によりその画像情報が読み取られる。その後、搬送ベルト503が原稿の搬送を再開し、その原稿は原稿排紙トレイ504に排出される。
【0019】
次に、画像読取動作と画像形成動作について説明する。
自動原稿搬送装置500によりプラテンガラス309上に原稿が搬送されるか、ユーザーによりプラテンガラス309上に原稿が載置されて、操作パネルにコピー開始操作がなされると、第一走行体303上の光源301が点灯する。また、これとともに、第一走行体303及び第二走行体306を、ガイドレールに沿って移動させる。
【0020】
そして、プラテンガラス309上の原稿に光源301からの光が照射され、その反射光が、第一走行体303上のミラー302、第二走行体306上のミラー304,305、レンズ307に案内されて、CCD308で受光される。これにより、CCD308は原稿の画像情報を読み取り、その画像情報はA/D変換回路によってアナログデータからデジタルデータに変換される。この画像情報は、情報出力部から画像形成装置本体400の制御部へ送られる。
【0021】
一方、画像形成装置本体400は、感光体ドラム401の駆動を開始し、感光体ドラム401が所定速度で回転したら、帯電装置402により感光体ドラム401の表面を一様に帯電させる。そして、この帯電した感光体ドラム401の表面に、画像読取装置で読み取った画像情報に基づいた静電潜像が露光装置410により形成する。
【0022】
その後、感光体ドラム401の表面上の静電潜像は、現像装置404により現像されてトナー画像となる。また、給送カセットに収納されたシートは、給送ローラ414a,414bによって給送され、レジストローラ対413で一時停止させる。
【0023】
そして、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像の先端部分が転写装置405と対向する転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対413により転写部に送り込まれる。転写部をシートが通過する際、転写電界の作用によって感光体ドラム401の表面に形成されたトナー像がシート上に転写される。
【0024】
その後、トナー像を載せたシートは、定着装置407に搬送され、定着装置407により定着処理を受けた後、後段の折り処理装置1に排出される。なお、転写部においてシートに転写されることなく感光体ドラム401の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置406により除去される。
【0025】
図3は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置2の概略構成図である。
後処理装置2は、折り処理装置1からシートが導入される導入経路201、導入経路201からは、上トレイ205へシートを排出するための第一排出経路202、シフトトレイ206へシートを排出するための第二搬出経路203および綴じ処理部230へシートを搬送する搬送路204と分岐している。導入経路201には、シートにパンチ穴を施す穿孔部210が配置されている。穿孔部210は、折り処理装置1から排出された、折られたシート、重ね折りされたシート束、および、折り処理されずに搬送されてきた一枚のシートの所定の位置にパンチ穴を施す。
【0026】
搬送路204には、重ね合わせ部220が配置されている。重ね合わせ部220には、3つの搬送路220a、220b、220cを有しており、搬送されてきたシートを各搬送路へ振り分けて、各搬送路で一時待機させることで、最大3枚までシートを重ね合わせて搬送することが可能となっている。
【0027】
綴じ処理部230には、処理トレイ233、処理トレイ233の複数のシート(シート束)に対して整合処理を行なうジョガーフェンス234、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行うステイプラユニット231および綴じ処理されたシート束を、シフトトレイ206へ向けて搬送する搬送ベルト232などを主に備えている。
【0028】
折り処理が施されたシートや、折り処理されていないシートが、所定枚数処理トレイ233へ搬送されたら、処理トレイ233のシート束に対して整合処理を行なう。そして、ステイプラユニット231で、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行った後、搬送ベルト332により綴じられたシート束を搬送し、シフトトレイ206へ排出する。
【0029】
図4は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置1の概略構成図である。
図4に示すように、折り処理装置1は、画像形成装置3から受け入れたシートを搬送する入口ローラ対10が設けられている。この入口ローラ対10の下流で、シートの搬送経路が、折り処理を行なうときにシートを搬送する折り処理搬送経路W2と、折り処理を行なわないときにシートを搬送するスルー搬送経路W1とに分岐している。折り処理搬送経路W2とスルー搬送経路W1との分岐部には、シートをスルー搬送経路W1または折り処理搬送経路W2へ案内する第一分岐爪11が設けられている。
【0030】
折り処理搬送経路W2には、複数枚のシートの重ね合わせを行なう重ね処理部A、1枚のシートまたは重ね処理部Aで重ね合わせたシートを折る折り処理部B、折れたシートの折り部を増し折りする増し折り部Cなどを主に有している。
【0031】
重ね処理部Aは、レジストローラ対15と、後述する折り機構17の第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bとで構成された第一搬送ローラ対117aと、シートをレジストローラ対15に向けて搬送する搬送ローラ対12とを備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2から分岐し、レジストローラ対15により逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートが搬送されるスイッチバック搬送路W3と、このスイッチバック搬送路W3に配置されたスイッチバック搬送ローラ対13も備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部に設けられ、逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートをスイッチバック搬送路W3へ案内するための第二分岐爪14も有している。
【0032】
重ね処理部Aの下流には、折り処理部Bが配置されている。折り処理部Bは、上記レジストローラ対15と、折り機構17と、第二搬送ローラ対18とで構成されている。折り機構17は、第一折りローラ17bと、第一折りローラ17bに当接し、シートをスイッチバック搬送するための第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bに当接して第一折りニップB1を形成する第二折りローラ17cと、第二折りローラ17cに当接して第二折りニップB2を形成する第二押圧ローラ17dとで構成されている。折り機構17を構成する複数のローラのうちのひとつに駆動力が伝達され、他のローラは、従動回転する。
【0033】
また、レジストローラ対15の下流には、シートを、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとのニップまたは第一折りニップB1に案内する第三分岐爪16が設けられている。
【0034】
折り処理部Bの下流には、増し折り部Cが配置されている。増し折り部Cは、増し折りローラ20を備えている。増し折りローラ20は、押圧凸部を有しており、この押圧凸部が、シートの折り部を押圧し、シートの折り部が増し折りされる。
【0035】
図5は、本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図である。
折り処理装置1を制御する制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、折り処理装置1内に配置された用紙検知センサなどの各種センサを制御するセンサコントローラ44、折り処理装置1のシートを搬送する複数の搬送モータを制御する第一モータコントローラ45、増し折りローラ20の駆動する増し折りモータ49を制御する第二モータコントローラ46、通信インターフェース48などを備えている。
【0036】
これらの各構成要素はアドレスバス、データバス等のバスライン47を介して相互に電気的に接続されている。通信インターフェース48は
図1の画像形成装置3及び後処理装置2と通信を行い、制御に必要なデータのやり取りを行なう。ROM42にはCPU41が実行するデータやプログラム等が記憶されている。CPU41はROM42に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することにより、折り処理装置1を制御する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際に一時的にデータ等を記憶する。
【0037】
図6(a)~(f)は、本折り処理装置1の重ね処理部Aによるシートの重ね合わせ動作について説明する図である。
図6(a)に示すように、一枚目のシートP1を折り処理搬送経路W2に搬送する。折り処理搬送経路W2に搬送されてきた一枚目のシートP1は、先端がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正される。なお、このスキュー補正は、行なわなくてもよい。
【0038】
次に、レジストローラ対15と、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送部材たる第一搬送ローラ対117aとにより、一枚目のシートP1を正搬送(所定方向に搬送)する。次に、一枚目のシートP1後端が折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けたら、シートの搬送を停止する。次に、第二分岐爪14を図中時計回りに回転させ、シートをスイッチバック搬送路W3へガイドする姿勢に切り替える。次に、
図6(b)に示すように、レジストローラ対15、第一搬送ローラ対117a、および、スイッチバック搬送ローラ対13を逆回転させる。これにより、一枚目のシートP1が逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)され、一枚目のシートP1がスイッチバック搬送路W3へ搬送される。一枚目のシートP1の正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、スイッチバック搬送路W3に搬送されたら、スイッチバック搬送ローラ対13のシート搬送を停止する。停止後、
図6(c)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対13により一枚目のシートP1を正搬送(所定方向に搬送)し、一枚目のシートの先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機させる。
【0039】
このように、先行のシートP1をスイッチバック搬送路W3へ搬送し、折り処理搬送経路W2から退避させることで、先行のシートP1が後続シートの搬送を邪魔することがなく、良好に後続シートP2を搬送することができる。
【0040】
次に、二枚目のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てる。
図6(d)に示すように、後続のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てた後も搬送ローラ対12による後続シートP2のシート搬送を続け、後続シートを撓ませ、スキュー補正を行う。後続シートが所定の撓み量となる所定時間経過したら、
図6(e)に示すようにレジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対13、および、第一搬送ローラ対117aを回転させて、レジストローラ対15により一枚目のシートP1と二枚目のシートP2とを重ね合わせて搬送する(
図6(f))。
【0041】
ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、折り処理部Bによる重ね折り処理へ移行する。一方、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、重ね合わせシートの後端が分岐爪を抜けたタイミングで逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してスイッチバック搬送路W3へ退避させる。重ね合わせる枚数に応じて以上の動作を繰り返すことで用紙重ねを行うことができる。
【0042】
本実施形態においては、上述したように、後続シートP2のスキュー補正において、搬送ローラ対12の回転を停止せず、後続シートP2の撓み量が所定量となったら、レジストローラ対15の回転を開始することで、生産性を落とさずに、先行シートと後続シートとの重ね合わせを行なうことができる。
【0043】
また、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たない枚数の重ね合わせ処理は、レジストローラ対15によるスキュー補正を行わない重ね合わせ処理とし、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する際の重ね合わせ処理は、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理としてもよい。なお、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した状態で待機し、後続のシートをレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した後に重ね合わせてシートを搬送する処理である。一方、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をスイッチバック搬送路W3に退避した状態で待機させる。そして、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングでスイッチバック搬送路W3に退避した先行シート(シート束)もレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する処理である。
【0044】
図7(a)~(d)は、折り処理部BによりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
レジストローラ対15により搬送されてきた重ね合わせ処理されたシート束Ptの先端は、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとからなる第一搬送ローラ対117aに進入する。次に、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ1搬送されたら、折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させる。このときの突出量は、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0045】
折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させることで、第一搬送ローラ対117aに挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)される。これにより、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間のシート束部分に撓みが形成される(
図7(a))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ17bと第二折りローラ17cとからなる第一折りローラ対117bのニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ17bのニップを通過した第一折り部は、第二搬送部材としての第二搬送ローラ対18に向けて搬送される。
【0046】
そして、シート束Ptの第一折り部は、第二搬送ローラ対18のニップに進入し、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ2搬送されたら、第二搬送ローラ対18を逆回転させ、第二搬送ローラ対18に挟まれたシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する。このときの搬送量Δ2も、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0047】
第二搬送ローラ対18に挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されることで、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みが形成される。そして、
図7(b)に示すように、この撓み部分(折り返し部分)が第二折りローラ17cと第二押圧ローラ17dとからなる第二折り部材たる第二折りローラ対117cのニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0048】
第二折りローラ対117cのニップを通過した2つの折り部が形成されたシート束Ptは、
図7(c)に示すように、中間搬送ローラ対19により増し折りローラ20に向けて搬送される。
図7(d)に示すように、第二折り部が増し折りローラ20と対向位置に到達したら、シート束Ptの搬送を停止する。次に、増し折りローラ20を回転させ、第二折り部の折り目を強化した後、シート束Ptの搬送を再開し、第一折り部が増し折りローラ20と対向したら、シート束Ptの搬送を停止する。そして、増し折りローラ20により第一折り部の折り目を強化したら、シート束Ptの搬送を再開し、搬送ローラ対21,22によりシート束Ptを搬送し、後処理装置へ排出する。
【0049】
なお、上記では、重ね合わせ処理されたシート束Ptを折る場合について説明したが、シート一枚を折る場合の折り処理動作も同様である。また、上記では、Z折りについて説明したが、上記搬送量Δ1及び上記搬送量Δ2を適宜変更することで、Z折り処理と同様の動作によりシートに対して内三つ折り、外三つ折りを行なうことができる。二つ折り処理については、第三分岐爪16を図中時計回りに回転し、シートを第一折りローラ対117bへガイドする姿勢にし、レジストローラ対15から搬送されてきたシートを第一折りローラ対117bへ搬送する。そして、上記第二折り部を形成する動作と同様の動作で、シートの搬送方向中央に折り部を形成することで、二つ折りを行うことができる。
【0050】
図8は、増し折りローラ20の斜視図である。
増し折りローラ20は、押圧ローラ部20aの周回面上に、凸形状の押圧部20bが増し折りローラの回転軸20cと一定の角度差をもって配置されている。また、押圧部20bは、増し折りローラ20の主走査方向における中心を基準として対称となるようにV字状に配置されている。本実施形態に係る増し折りローラ20は、このように構成されることで、押圧部20bの一部が2か所同時にシートの折り部に接触するようになっている。押圧部20bは、押圧ローラ部20aの周回面上の回転方向半分以下の領域に配置されている。
【0051】
上記のように押圧部20bを構成することで、増し折りローラ20が回転駆動されると、増し折りローラ20の押圧部20bがシートPの折り部を主走査方向の中央から両端部に向かって順次押圧する。これにより、増し折り処理の際、主走査方向全域にわたって押圧力が分散されるといったことがなく、押圧部20bによる集中的な押圧力を折り部全域にわたってかけることができる。よって、増し折りローラにかかる荷重が少なくてもシートの折り部に所望の押圧力を付与することができ、増し折り処理の際、主走査方向全域にわたって押圧するものに比べて、増し折りローラ20への負荷を低減させることができる。
【0052】
また、押圧ローラを、主走査方向一端から他端へ移動させて、主走査方向に順次折り部を押圧するものに比べて、短時間で主走査方向に順次折り部を押圧することができる。これにより、生産性の低下を抑制して折り部に対して十分な押圧力を与えることができる。
【0053】
図9(a)~(f)は、増し折り部Cにより増し折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
図9(a)に示すように、増し折り部Cは、増し折りローラ20と対向するガイド板51とガイド板51を増し折りローラ20側へ付勢するスプリング52とを有している。ガイド板51は、シート搬送方向下流側の支点部51aを支点にして、回転自在に支持されており、スプリング52は、ガイド板51のシート搬送方向上流側端部に当接している。
【0054】
図9(a)に示すように、待機時において、増し折りローラ20は、押圧部20bが形成されてない領域がガイド板51と対向し、ガイド板51との間に隙間を有している。折り処理部Bにより折り処理されたシートPの第一折り部O1と第二折り部O2のうち、シート搬送方向下流側の折り部(この例では、第二折り部O2)が増し折り位置(増し折りローラの回転軸20cの直下)に到達したら、シートPの搬送を一旦停止する(
図9(a),
図9(b))。
図9に示すように、増し折り部Cの手前には、用紙センサ53が設けられており、この用紙センサ53がシートPの先端を検知して規定時間経過したら、中間搬送ローラ対19など、シートPを狭持搬送している搬送ローラ対の回転を一時停止する。
【0055】
次に、第二モータコントローラ46により増し折りモータ49を制御して、増し折りローラ20の回転駆動を開始する。これにより、シートPの第二折り部O2が、増し折りローラ20の押圧部20bとガイド板51とに挟まれる形で、主走査方向の中央から両方向に向かって順次押圧され、シートPの第二折り部O2が増し折りされる(
図9(c))。
【0056】
また、この動作例では、シートが停止してから、増し折りローラ20の回転を開始しているが、シートPが停止したタイミングで、増し折りローラ20の押圧部20bがシートの折り部に当接するように、シートの停止を待たずに増し折りローラ20の回転を開始してもよい。このように、増し折りローラ20の回転を制御することで、増し折り処理時間の短縮化を図ることができ、生産性を高めることができる。
【0057】
増し折りローラ20がシートPから離間するタイミングで、再度、中間搬送ローラ対19によりシートPを搬送させる(
図9(d))。このように、本実施形態では、増し折りローラ20の停止を待たずに、増し折りローラ20がシートから離間した時点でシートの搬送を開始することで、増し折り処理時間の短縮化を図ることができ、生産性を高めることができる。
【0058】
シートPの第一折り部O1が増し折り位置に到達すると、シートPの搬送を一旦停止し、シートPの第一折り部O1を、増し折りローラの押圧部20bで主走査方向の中央から両方向に向かって順次押圧する(
図9(e))。そして、増し折りローラ20がシートから離間するタイミングで、中間搬送ローラ対19によりシートPを搬送させる(
図9(f))。以上の一連の動作が、本実施形態における増し折り部CによるシートPの折り部の増し折り動作の基本動作である。
【0059】
図10(a)、(b)は、増し折り部Cのジャム処理動作について説明する図である。
ジャム処理などのときに、増し折りローラ20の押圧部20bと当接する当接位置から増し折りローラ20から離間した退避位置へガイド板51を移動させる移動部材としてのガイド退避部材55を有している。ガイド板51は、一部品(ガイド板51に加圧力を加えるスプリング52を固定する役割の板金部材)を介してガイド退避部材55に回転可能に取り付けられている。このガイド退避部材55の搬送方向下流側端部(図中左側端部)が、支持軸55aに回転自在に支持されている。また、このガイド退避部材55の増し折り位置よりもシート搬送方向上流側には、シートを増し折り位置へガイドするガイド部55bを有している。
【0060】
また、ガイド退避部材55には、ガイド板51が当接位置に位置する状態で、ガイド退避部材55をロックするロック部材61が所定角度回転可能に取り付けられている。また、このロック部材61と同軸上にロック部材61と一体で所定角度回転するレバー部材63が取り付けられている。ロック部材61にはフック部61bが設けられており、このフック部61bを折り処理装置の側板に設けられたカシメピン62に引っ掛けることで、
図10(a)に示すように、ガイド板51が当接位置に位置する状態で、ガイド退避部材55をロックする。これにより、ガイド板51が当接位置でロックされる。
【0061】
ジャム処理を行なうときは、ユーザーは、レバー部材63を図中矢印R方向に所定角度回転させ、フック部61bをカシメピン62から外す。レバー部材63を所定角度回転した後も、図中上側(増し折りローラから離間する側)へレバー部材63を操作することで、ガイド退避部材55が支持軸55aを支点にして、図中反時計回りに回動する。これにより、ガイド退避部材55に保持されているガイド板51が、当接位置から
図10(b)に示す退避位置へ移動する。これにより、増し折りローラ20とガイド板51との間が大きく開き、容易にジャム紙を取り除くことができる。
【0062】
ジャム紙を取り除いた後は、ガイド退避部材55が支持軸55aを支点にして図中時計回りに回転させ、ガイド板51を退避位置から当接位置へ移動させた後、カシメピン62にロック部材61のフック部61bを引っ掛けて、ガイド板51を当接位置でロックする。
【0063】
増し折り動作中に、衝撃音が発生する場合があった。
図11(a)~(c)は、増し折り動作中の騒音発生のメカニズムについて説明する図である。
図11(a)に示すように、待機中のときは、増し折りローラ20の押圧部20bが形成されていない非押圧領域20eをガイド板51に対向させて停止している。このとき、ガイド板51の突き当て部51bが、ガイド退避部材55に設けられたストッパ部57に突き当たっており、スプリング52の付勢力による増し折りローラ側への移動を規制している。これにより、ガイド板51と増し折りローラ20との間に所定の隙間が形成され、シートを通紙可能にしている。
【0064】
また、増し折りローラ20とガイド板51との間には、フィルム部材56が配置されている。フィルム部材56としては、シートの摩擦係数よりも低い部材で構成されている。また、フィルム部材56は、ガイド板51との対向位置における増し折りローラの表面移動方向と反対側(図中右側)の端部が、折り処理装置に接着剤などにより固定されている。
【0065】
フィルム部材56がない場合、増し折りローラ20を回転させながら押圧部20bを停止したシートの折り部に押し当てることになる。よって、押圧部20bがシートに対してシート搬送方向に摺動しながらシートの折り部を押圧するような形となる。このとき、シートと増し折りローラ20との間の摩擦力によりシートが増し折りローラ20とともに、増し折りローラ20の回転方向へ移動してしまい、シートの折り部が増し折り位置から外れ、良好に折り部を増し折りできないおそれがある。
【0066】
一方、増し折りローラ20とガイド板51との間にフィルム部材56を配置することで、増し折りローラ20は、フィルム部材56と摺動することになる。一方、フィルム部材56は固定されているので、シートには、増し折りローラ20の回転方向への力が加わらない。これにより、シートが、増し折り中に移動してしまうのを防止することができ、良好にシートの折り部を増し折りすることができる。
【0067】
図11(a)に示すように、シートの折り部が増し折り位置の到達して、シートが一時停止したら、増し折りローラ20を回転させる。このとき、ガイド板51は、押圧部20bにより押圧されているときよりも、増し折りローラ側に位置している。そのため、
図11(b)に示すように、増し折りローラ20の押圧部20bがガイド板51に突き当たる。増し折りローラ20は、ポリアセタール(POM)樹脂からなり、比較的硬いものである。また、ガイド板51は板金からなりこちらも硬いものとなっている。このように、硬いもの同士が衝突するため、増し折りローラの押圧部20bがガイド板51に突き当たる増し折り動作開始直後に衝撃音が発生してしまう。
【0068】
また、押圧部20bがガイド板51に突き当たった後、押圧部20bがシートの折り部を挟んでガイド板51を押圧する。これにより、ガイド板51は、スプリング52の付勢力に抗して、支点部51aを支点して図中反時計回りに回転する。その結果、ガイド板51の突き当て部51bがストッパ部57から離間する。
【0069】
その後、押圧部20bによりシートの折り部を主走査方向に順次押圧していき、
図11(c)に示すように、押圧部20bの回転方向の他端(主走査方向両端の押圧部)がシートから離間し、増し折りローラ20の非押圧領域20eを対向させて、増し折り動作が終了する。しかし、増し折り動作が終了直前の押圧部20bの回転方向の他端(主走査方向両端の押圧部)がシートから離間した後にも衝撃音が発生する。
【0070】
増し折り動作終了直前の押圧部20bの回転方向の他端(主走査方向両端の押圧部)がシートから離間すると、ガイド板51を押圧する部材がなくなる。その結果、ガイド板51がスプリング52の付勢力により図中時計回りに回動し、ガイド板51の突き当て部51bがストッパ部57に突き当たる。このように、ガイド板51の突き当て部51bがストッパ部57に突き当たることで、増し折り動作終了直前にも衝撃音が発生するのである。
【0071】
かかる衝撃音の発生を抑制するために、本実施形態においては、増し折りローラ20の非押圧領域20eがガイド板51と対向するときに、ガイド板51を押圧する当接部材としてのカム部材71を、増し折りローラ20の両端に設けている。
【0072】
図12は、本実施形態の増し折りローラ20を示す図であり、(a)は、斜視図であり、(b)は、軸方向から見た図であり、(c)は、シート搬送方向から見た図である。
【0073】
図12に示すように、当接部材たるカム部材71は、増し折りローラ20の両端に設けられている。
図12(c)に示すように、増し折りローラ20の両端のカム部材71は、折り処理装置1の通紙範囲Xの外側に配置される。
【0074】
図12(b)に示すように、カム部材71は、増し折りローラ20の非押圧領域20eに位置し、ガイド板51に当接する当接部71aと、増し折りローラ20の押圧部20bが形成された押圧領域に位置する非当接部71bと、これらを連結する連結部71cとを有している。
【0075】
図13は、増し折りローラ20と、カム部材71との寸法関係について、説明する図である。
増し折りローラ20の押圧部20bの外径M1とカム部材71の当接部71aの外径C1は、同径となっている。これにより、カム部材71と押圧部20bとの間のガイド板当接の受け渡しの際に、ガイド板51が押圧部20bやカム部材71の当接部71aに突き当たるのを防止することができ、衝撃音が発生しないようにできる。
【0076】
また、増し折りローラの押圧ローラ部20aの外径M2と、カム部材71の非当接部71bの外径C2の外径も同径となっている。なお、カム部材71の非当接部71bの外径C2は、増し折りローラ20の押圧部20bの外径M1の外径未満であればよい。また、カム部材71の連結部71cは、直線状となっており非当接部71bの接線となっている。連結部71cは、押圧部20bの外径未満であればよく、直線状に限らず、曲線状であってもよい
【0077】
また、カム部材71の当接部71aの範囲(円周方向長さ)θ2は、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲(円周方向長さ)θ1と同範囲としている。
カム部材71の当接部71aの範囲(円周方向長さ)θ2が、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲(円周方向長さ)θ1よりも狭いと、ガイド板51に押圧部20bが突き当たったり、ガイド板51の突き当て部51bがストッパ部57に突き当たったりするおそれがあり、衝撃音の発生を防止できないおそれがある。
【0078】
一方、カム部材71の当接部71aの範囲(円周方向長さ)θ2が、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲(円周方向長さ)θ1よりも広いと、以下の問題が生じるおそれがある。カム部材71の当接部71aの範囲(円周方向長さ)θ2が、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲(円周方向長さ)θ1よりも広い場合、カム部材71の当接部71aの一部が、押圧部20bの回転方向一端に該当する主走査方向中央(
図13(a)の押圧部20bの右側端部)に重なったり、カム部材の当接部71aの一部が、押圧部20bの回転方向他端に該当する主走査方向端部(
図13(a)の押圧部20bの左側端部)に重なったりする。
【0079】
カム部材の当接部71aの一部が、押圧部20bの回転方向一端側に該当するV字状の押圧部の主走査方向中央(
図13(a)の押圧部20bの右側端部)に重なっていると、シートの主走査方向中央の折り目を押圧部20bで押圧するとき、主走査方向両端に設けられたカム部材71もガイド板51に当接することになり、押圧力が分散してしまう。その結果、シートの主走査方向中央の折り目を良好に増し折りできないおそれがある。同様に、カム部材の当接部の一部が、押圧部20bの回転方向他端側に該当する主走査方向端部(
図13(a)の押圧部20bの左側端部)に重なっていると、シートの主走査方向両端の折り目を良好に増し折りできないおそれがある。このように、カム部材71の当接部71aの一部が、押圧部20bに重なっていると、良好に増し折りができないという問題が生じるおそれがある。
従って、カム部材71の当接部71aの範囲(円周方向長さ)θ2は、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲(円周方向長さ)θ1と同範囲とするのが好ましい。
【0080】
また、増し折りローラの押圧ローラ部20aが通紙範囲よりも長く、押圧部20bの両端がシートの折り目に接触しない場合は、
図13(b)の+αで示すように、カム部材の当接部71aの範囲を、図中左側に延ばし、カム部材の当接部71a一部を押圧部20bの両端にオーバーラップさせてもよい。また、押圧部20bの回転方向一端側に該当するV字状の押圧部の主走査方向中央から、回転方向に真直ぐ延びる押圧部を設けて、この部分とカム部材の当接部71aとをオーバーラップさせてもよい。オーバーラップさせることで、ガイド板に押圧部が突き当たったり、ガイド板51の突き当て部51bがストッパ部57に突き当たったりするのを確実に防止することができ好ましい。なお、
図13(a)に示す符号20gは、増し折りローラの押圧領域を示している。増し折りローラ20の押圧領域20gと非押圧領域20eの範囲は、装置の構成により適宜決めればよい。
【0081】
図14は、カム部材71の当接部71aのガイド板当接開始位置D1近傍と、ガイド板当接終了位置D2近傍の形状について説明する図である。
図14に示すように連結部71cと当接部71aとの間71eをR形状としている。このように、R形状とすることで、例えば、製造誤差などによりカム部材71の当接部71aの外径が押圧部の外径よりも大きくなったとき、ガイド板がこのR形状に案内されて、徐々に押圧部に近づいて押圧部と当接することになり、衝撃音の発生を、抑制することができる。また、連結部71cと当接部71aとの間71eを、連結部71cと当接部71aの端部の接線とのなす角度よりも小さい角度の直線形状としてもよい。
【0082】
図15(a)~(c)は、本実施形態における増し折り動作中の騒音の防止について説明する図である。
図15(a)に示すように、待機中の増し折りローラ20の非押圧領域20eがガイド板51と対向しているときは、カム部材71の当接部71aがガイド板に当接して、ガイド板51を押圧している。上述したように、カム部材71は、通紙領域側に設けているので、カム部材71がシートの通紙を邪魔することがない。
【0083】
なお、フィルム部材56の主走査方向(軸方向)長さは、増し折りローラ20と同一長となっており、増し折りローラ20の端部に設けられたカム部材71とは、非接触となっている。フィルム部材56がカム部材71と接触する構成とすると、増し折りローラ20の非押圧領域20eをガイド板51と対向させ、シート通紙可能な状態にしているとき、フィルム部材56がカム部材71によりガイド板51に押し付けた状態となっている。その結果、シートをフィルム部材56とガイド板51との間に通紙できないおそれがあるからである。また、本実施形態では、フィルム部材56の主走査方向(軸方向)長さを増し折りローラ20と同一長としてカム部材71と非接触としているが、フィルム部材56のカム部材71と対向する箇所に穴を開けて、カム部材71と非接触にしてもよい。
【0084】
そして、
図15(b)に示すように、シートの折り部が増し折り位置に到達し、増し折りローラを回転させていくと、カム部材71の当接部71aがガイド板51から離間する。本実施形態では、上述したように、カム部材71の当接部71aの範囲を、増し折りローラ20の非押圧領域20eの範囲と同一にしている。よって、カム部材71の当接部71aがガイド板51から離間した直後に押圧部20bがシートを介してガイド板51と当接する。また、当接部71aの外径C1を、押圧部20bの外径M1とを同径としているので、カム部材71の当接部71aから押圧部20bへガイド板を押圧するものが切り替わったときに、ガイド板51が回動することもない。よって、押圧部20bがガイド板51に突き当たることがなく、増し折り開始直後に衝撃音が発生するのを防止することができる。
【0085】
また、
図15(c)に示すように、増し折り終了直前において、押圧部20bがガイド板51から離間した直後にカム部材71の当接部71aがガイド板51に当接してガイド板51を押圧する。これにより、ガイド板51がスプリング52の付勢力により回動して、突き当て部51bがストッパ部57に突き当たることがない。よって、増し折り終了直前に衝撃音が発生するのを防止することができる。
【0086】
しかしながら、かかる構成では、常にガイド板51は、当接位置において押圧部20bまたはカム部材71の当接部71aにより押圧された状態である。従って、
図10(b)に示すように、ガイド板51を退避位置へ位置させてジャム処理を行った後、ガイド板51を当接位置に戻して、ロック部材61のフック部61bをカシメピン62に引っ掛ける際、ガイド板51は、カム部材71により、増し折りローラ20から離間する方向へ押圧される。その結果、ガイド退避部材55を強く増し折りローラ側へ押し込まないと、ロック部材61のフック部61bをカシメピン62に引っ掛けることができず、ジャム処理作業が困難となるという課題が生じる。
【0087】
そこで、本実施形態では、カム部材71を増し折りローラ20に対して回転可能に構成し、カム部材71の当接部71aを回転方向において、非押圧領域20e領域から退避できるようにした。
【0088】
図16は、増し折りローラ20の端部を示す概略構成図であり、
図17(a)は、カム部材71の増し折りローラの端部と対向する側の正面図であり、
図17(b)は、カム部材71の側面図である。
図16および
図12(a)に示ように、増し折りローラの両端部には、突起部収容部たる切り欠き部20fが形成されている。切り欠き部20fの回転方向の範囲θ3は、カム部材の当接部71aの範囲θ2(
図13(b)参照)半分+カム部材71の突起部71d(
図17参照)の直径よりも広くなっている。
【0089】
カム部材71は、
図17に示すように、増し折りローラ20の回転軸20cに回転自在に支持される支持孔71fと、切り欠き部20fに入り込んで、増し折りローラ20と一体的に回転するための突起部71dとを有している。
【0090】
図18は、増し折り動作時におけるカム部材71と、増し折りローラ20との関係について説明する図である。
図18(a)は、軸方向中央側から見た、増し折りローラ20の切り欠き部20fの箇所の断面図であり、
図18(b)は、増し折りローラ20を軸方向端部側から見た図である。
図18に示すように、増し折りを行なうために、増し折りローラ20を図中矢印F1方向に正回転させると、
図18(a)に示すように、切り欠き部20fの正回転方向下流側端面にカム部材71の突起部71dが当接し、カム部材71は、増し折りローラ20と一体的に回転する。また、切り欠き部20fの正回転方向上流側の端面20faにカム部材71の突起部71dが当接しているとき、カム部材71の当接部71aが、増し折りローラ20の非押圧領域20eに位置する。よって、
図15を用いて説明したように、衝撃音の発生を防止することができる。
【0091】
図19、
図20は、ジャム処理時の動作について説明する図である。
図19,
図20の(a)は、軸方向中央側から見た、増し折りローラ20の切り欠き部20fの箇所の断面図であり、
図19,
図20の(b)は、増し折りローラ20を軸方向端部側から見た図である。
【0092】
ジャムが発生したとき、増し折りローラ20を図中矢印F1方向に正回転させる。すると、切り欠き部20fの正回転方向上流側の端面20faがカム部材71の突起部71dを押し込み、カム部材71が増し折りローラ20とともに矢印F1方向に回転する。そして、
図19に示すように、カム部材71の当接部71aがガイド板51から離間したら、増し折りローラ20の回転を一時停止する。
【0093】
次に、増し折りローラ20を逆回転(
図20の矢印F2方向)させる。すると、増し折りローラ20のみ逆回転(増し折りローラ20がカム部材71に対して相対的に回転)し、増し折りローラ20の押圧部20bがガイド板51から離間し、
図20に示すように、非押圧領域20eがガイド板51と対向し、ガイド板51と対向する箇所に、押圧部当接部および押圧部いずれも存在しない領域を形成する。そして、
図20に示すように、非押圧領域20eがガイド板51と対向し、ガイド板51が、増し折りローラ20、カム部材71いずれにも当接していない状態となったら、増し折りローラ20の逆回転駆動を停止する。
【0094】
図20に示すような状態にして、ジャム処理を行なうので、ガイド板51を退避位置へ位置させてジャム処理を行った後、ガイド板51を当接位置に戻したときに、ガイド板51は、増し折りローラ20から離間する方向へ押圧力を受けない。よって、ロック部材61のフック部61bをカシメピン62に容易に引っ掛けることができ、ジャム処理作業を容易に行なうことができる。
【0095】
ジャム処理動作が終了したら、増し折りローラ20を逆回転させる。すると、切り欠き部20fの逆回転方向上流側の端面がカム部材71の突起部71dを押し込み、カム部材71が増し折りローラ20とともに逆回転し、カム部材71の当接部71aを、ガイド板51に当接させ、カム部材の姿勢を
図18に示す状態に戻す。次に、増し折りローラを正回転させて、切り欠き部20fの正回転方向上流側の端面20faがカム部材71の突起部71dに接触するまで、増し折りローラ20をカム部材71に対して相対的に回転させる。そして、切り欠き部20fの正回転方向上流側の端面20faがカム部材71の突起部71dに接触するタイミングで、増し折りローラの正回転を停止すると、増し折りローラの非押圧領域20eがガイド板と対向し、先の
図18に示す状態に戻すことができる。
【0096】
ジャム処理動作が終了したら、増し折りローラ20を正回転させて、カム部材71を増し折りローラ20とともに略一周正回転させて、カム部材71の当接部71aをガイド板51に当接させてもよい。
【0097】
本実施形態では、増し折りローラ20の端部に切り欠き部を設け、この切り欠き部にカム部材71の突起部71dを入りこませているが、増し折りローラ20の端部に、回転方向に延びる溝部を設け、この溝部の突起部71dを入り込ませてもよい。
【0098】
上述の構成においては、カム部材71は、増し折りローラ20の回転軸20cに回転自在に支持されているだけであり、容易に増し折りローラ20に対して相対的に回転してしまう。そのため、
図20に示したジャム処理時に衝撃等によりカム部材71が増し折りローラ20に対して相対的に回転し(
図20(a)の反時計回り、
図20(b)の時計回り)、カム部材71の当接部71aがガイド板51に当接する当接位置へ移動するおそれがある。このように、ジャム処理時にカム部材71の当接部71aがガイド板51に当接する当接位置へ移動してしまうと、上述したジャム処理後のガイド板51を当接位置でロックする作業が困難となるおそれがある。
【0099】
そこで、カム部材71を増し折りローラ20に押し当てて容易に増し折りローラ20に対して相対的に回転しないようにするのが好ましい。
【0100】
図21は、カム部材71を増し折りローラ20に押し当てる一例を示す図であり、
図22は、
図21の点線Eで囲んだ部分の拡大図である。
図21,
図22に示すように、増し折りローラ20の回転軸20cの端部には、押し当て手段としてのコイルスプリング81と、バネ受け82とが設けられている。コイルスプリング81の一端は、バネ受け82に当接し、他端は、カム部材71に当接し、カム部材71を押圧ローラ部20a側へ付勢している。これにより、カム部材71が、コイルスプリング81の付勢力により、カム部材71と軸方向から対向する対向面である押圧ローラ部20aの端面20hに押し当たる。
【0101】
このように、カム部材71が、押圧ローラ部20aの端面20hに押し当たることで、カム部材71と端面20hとの間に所定の摩擦力が発生し、カム部材71が増し折りローラ20に対して容易に回転しなくなる。よって、ジャム処理時に衝撃等が発生した際に、カム部材71が増し折りローラ20に対して回転するのを抑制することができ、カム部材71の当接部71aがガイド板51に当接する当接位置へ移動するのを抑制できる。その結果、ジャム処理後のガイド板51を当接位置でロックする作業が困難となるのを抑制することができる。
【0102】
また、カム部材71と端面20hとの摩擦力は、ガイド板51を押し上げるのに必要な力(ガイド板51を増し折りローラ20側へ付勢するスプリング52の付勢力)よりも弱くしている。
【0103】
図23は、カム部材71を押圧ローラ部20aの端面20hに押し当てる構成の、カム部材71の当接部71aがガイド板51から離間させた(
図19に示す動作)後のジャム処理時の動作を示す図である。
図23(a1),(a2)に示すように、カム部材71の当接部71aがガイド板51から離間させた後、増し折りローラ20を逆回転(図中矢印F2)させると、カム部材71と押圧ローラ部20aの端面20hとの静止摩擦力によりカム部材71は、増し折りローラ20とともに逆回転する(図中矢印F3)。
【0104】
カム部材71が増し折りローラ20とともに逆回転していくと、図中Gに示すように、当接部71aの回転方向一端がガイド板51と当接する。
上述したように、カム部材71と端面20hとの摩擦力(静止摩擦力)は、ガイド板51を押し上げるのに必要な力(スプリング52の付勢力)よりも弱くしている。従って、当接部71aの回転方向一端がガイド板51と当接すると、ガイド板51の反力がカム部材71と端面20hとの静止摩擦力に勝り、カム部材71の逆回転が規制される。その結果、カム部材71が端面20hに相対的に摺動し、増し折りローラ20のみが逆回転する。これにより、
図23(b1),(b2)に示すように、非押圧領域20eがガイド板51と対向させ、かつ、カム部材71の当接部71aをガイド板から退避させた状態にすることができる。
【0105】
この例では、カム部材71の当接部71aがガイド板51に当接しているが、ガイド板51を押し上げていないので、上述したジャム処理後のガイド板51を当接位置でロックする作業が困難となることがない。
【0106】
また、上述では、カム部材71を軸方向に付勢してカム部材71と軸方向から対向する対向面にカム部材71を押し当てているが、例えば、径方向に対向する対向面とカム部材とを押し当てる構成としてもよい。
【0107】
図24は、径方向に対向する対向面とカム部材とを押し当てる構成の一例を示す図である。
図24に示すように、一箇所切り欠いて拡径可能に構成された筒状の押し当て部材85が、カム部材71の支持孔71fと、回転軸20cとの間に挿入されている。また、回転軸20cに切り欠いて平面状にしたバネ保持部86を180°の間隔をあけて2個設け、各バネ保持部の面と、押し当て部材85との間にそれぞれバネ84を設け、押し当て部材85を径方向へ付勢している。これにより、押し当て部材85がバネ84の付勢力で拡径し、対向面としての押し当て部材85外周面が、カム部材71の支持孔71fの内周面に押し当たる。
【0108】
かかる構成としても、押し当て部材85の外周面と支持孔71fの内周面との摩擦力によりカム部材71が増し折りローラ20に対して容易に回転しなくなる。よって、ジャム処理時に衝撃等が発生した際に、カム部材71が増し折りローラ20に対して回転するのを抑制することができ、カム部材71の当接部71aがガイド板51に当接する当接位置へ移動するのを抑制できる。その結果、ジャム処理後のガイド板51を当接位置でロックする作業が困難となるのを抑制することができる。
【0109】
図25は、増し折りローラ20の変形例を示す斜視図である。
この変形例の増し折りローラ20は、複数個の押圧部材20dが、増し折りローラの回転軸20cの回転方向に互いに一定の角度差をもって回転軸の周囲に主走査方向に一定間隔で配置されて構成される。
【0110】
各押圧部材20dは、回転軸20cに固定するための固定部123と、板バネ部122と、主走査方向に貫く軸に回転自在に支持された押圧コロ121とで構成されている。この変形例1の増し折りローラ20は、主走査方向における中心を基準として対称となるように、回転軸20cの回転方向に互いに一定の角度差をもって回転軸20cの周囲に主走査方向に一定間隔で配列された押圧部材群を2つ有している。一つ目の押圧部材群は、図中1組目~8組目の押圧部材で構成されており、二つ目の押圧部材群は、9組目~15組目の押圧部材で構成されている。また、ひとつめの押圧部材群の押圧部材の間に、2つの目の押圧部材群の押圧部材が配置されている。
【0111】
この変形例においても、押圧部としての押圧コロ121が、回転方向に互いに一定の角度差をもって回転軸の周囲に主走査方向に一定間隔で配置されているので、シートPの折り部を主走査方向の中央から両端部に向かって順次押圧して、折り部を増し折りすることができる。
【0112】
図26は、変形例の折り処理装置を示す概略構成図である。
変形例の折り処理装置も、折り処理せずに後段の後処理装置2へ搬送するためのスルー搬送経路W1を備えている。また、スルー搬送経路W1から分岐していて、シートPを折り処理して後段の後処理装置2へシートPを搬送するための折り処理搬送経路W2を備えている。
【0113】
画像形成装置からシートPを受け入れるスルー搬送経路W1の入口側(図中右側)には、第一搬送手段としての入口ローラ対611が配置されている。この入口ローラ対611は、回転部材である押圧ローラ611aと対向部材である駆動ローラ611bとから構成されており、駆動ローラ611bは駆動源でありDCモータである入口モータ611mの駆動力によって回転駆動する。また、スルー搬送経路W1の出口側(図中左側)には、第一折りローラ612と、第一折りローラ612に当接配置された第一正逆転ローラ613と、第一正逆転ローラ613に当接配置された押し当てローラ614とが設けられている。第一折りローラ612と第一正逆転ローラ613とのニップを通過することで、シートPはスルー搬送経路W1から折り処理搬送経路W2へ移動することができる。また、第一正逆転ローラ613と押し当てローラ614とのニップを通過することで、スルー搬送経路W1を介して後段の後処理ユニット2cへシートPを搬送することができる。
【0114】
更に、折り処理搬送経路W2の出口側には、第一正逆転ローラ613に当接配置された第二折りローラ615が設けられている。また、この折り処理搬送経路W2には、スルー搬送経路W1からのシートPが進入する第一折りローラ612と第一正逆転ローラ613とのニップを挟んで、第二折りローラ615の反対側に第二正逆転ローラ対616が設けられている。この第二正逆転ローラ対616は、回転部材である押圧ローラ616aと対向部材である駆動ローラ616bとから構成されており、駆動ローラ616bは駆動源である正逆転モータ616mの駆動力によって回転駆動する。
【0115】
第一正逆転ローラ613は、駆動源としてDCモータである折りモータ613mの駆動力により正逆転可能に回転駆動することができる。この第一正逆転ローラ613に当接配置されている第一折りローラ612、押し当てローラ614及び第二折りローラ615は、いずれも第一正逆転ローラ613の回転に伴って従動回転する従動ローラである。
【0116】
また、第二正逆転ローラ対616を構成する駆動ローラ616bは、駆動源として正逆転モータ616mの駆動力により正逆転可能に回転駆動することができる。第二正逆転ローラ対616を構成する押圧ローラ616aは、駆動ローラ616bの回転に伴って従動回転する従動ローラである。
【0117】
すべての従動ローラは、それぞれ、付勢手段としての加圧スプリング611s,612s,614s,615s,616sによってローラ軸が付勢されており、これにより対向するローラとの間にニップが形成されるようになっている。
【0118】
また、入口ローラ対611のシート搬送方向上流側(スルー搬送経路W1入口側)には、シートPの端部を検知するシート端部検知手段としての入口センサ217が設けられている。この入口センサ217は、その検知領域にミシン目形成ユニット2aから搬送されてくるシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このような入口センサ217としては、公知のセンサを広く利用することができる。
【0119】
また、第一正逆転ローラ613と押し当てローラ614とで構成される第二シート搬送手段のシート搬送方向下流側(スルー搬送経路W1の出口側)に、シートPの先端を検知するシート先端検知手段としてのシート検知センサ618が設けられている。このシート検知センサ618は、その検知領域にスルー搬送経路W1を搬送されてきたシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このようなシート検知センサ618は、上述した入口センサ617と同様、公知のセンサを広く利用することができる。
【0120】
また、第二正逆転ローラ対616のシート搬送方向下流側(折り処理搬送経路W2の出口側とは反対側)に、シートPの先端を検知するシート検知センサ619が設けられている。このシート検知センサ619は、その検知領域にスルー搬送経路W1から折り処理搬送経路W2へ送り込まれたシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このようなシート検知センサ619は、上述した入口センサ617やシート検知センサ618と同様、公知のセンサを広く利用することができる。
【0121】
第一正逆転ローラ613と押し当てローラ614とで第二搬送手段が構成され、第一折りローラ612と第一正逆転ローラ613とで第一折り部形成手段620aが構成されている。また、本実施形態では、第一正逆転ローラ613と第二折りローラ615とで、第二折り部形成手段620bが構成されている。
【0122】
第二搬送手段としては、このようなローラ対の構成ではなく、粘着ローラや吸着ベルトの構成を採用してもよい。また、第二搬送手段を構成する第一正逆転ローラ613と折り部形成手段を構成する第一正逆転ローラ613や第二折りローラ615とが共通のローラである。しかしながら、別々のローラを用いて第二搬送手段と折り部形成手段とを別個独立した構成としてもよい。
【0123】
第二折り部形成手段620bのシート搬送方向下流側(折り処理搬送経路W2の出口側)には、シートPの折り部を押圧して増し折りを行なう増し折り手段680が配置されている。増し折り手段680は、実施形態の増し折り部Cと同様の構成である。
【0124】
図27(a)~(h)は、変形例の折り処理によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。画像形成装置から搬送されてくるシートPの先端は、まず、入口センサ217に検知される。これにより、入口センサ217から出力される先端検知信号を受信した制御部は、入口モータ611mを制御して、入口ローラ対611の回転を開始させる(
図27(a)、
図27(b))。その後、シートPの先端が入口ローラ対611のニップに進入すると、シートPは、入口ローラ対611からも搬送力が付与されてスルー搬送経路W1をその出口側に向けて搬送される。
【0125】
スルー搬送経路W1を搬送されるシートPの先端は、第一正逆転ローラ613と押し当てローラ614とのニップに進入し、このニップを通過した後にシート検知センサ618に検知される。これを検知したシート検知センサ618からの先端検知信号を受信した制御部は、次のような制御を行なう。すなわち、第一正逆転ローラ613と押し当てローラ614とのニップ位置から、シートPが予め決められた搬送量Δ1だけ搬送されたところで(
図27(c))、折りモータ613mを制御して第一正逆転ローラ613の回転を停止させる。また、これとともに、入口モータ611mを制御して入口ローラ対611の駆動ローラ611bの回転を停止させる。
【0126】
このときの搬送量Δ1は、シートPのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。シートPの搬送量Δ1は、例えば、シート検知センサ618から出力される先端検知信号の受信タイミングと、押し当てローラ614の回転量とから把握することができる。
【0127】
その後、折りモータ613mを制御して、シートPをスルー搬送経路W1の入口側へ戻す方向に第一正逆転ローラ613の逆回転を開始させるとともに、入口ローラ対611の回転を開始させる。これにより、入口ローラ対611と第一正逆転ローラ613との間のシート部分に撓みが形成される(
図27(d))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ612と第一正逆転ローラ613との間のニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ612と第一正逆転ローラ613との間のニップを通過した第一折り部は、折り処理搬送経路W2に進入し(
図27(e))、折り処理搬送経路W2を第二正逆転ローラ対616に向けて搬送される。
【0128】
そして、シートPの第一折り部は、第二正逆転ローラ対616のニップに進入し、このニップを通過した後にシート検知センサ619に検知される。これを検知したシート検知センサ619からの先端検知信号を受信した制御部は、次のような制御を行なう。すなわち、第二正逆転ローラ対616のニップ位置から、シートPが予め決められた搬送量Δ2搬送されたところで(
図27(f))、折りモータ613mを制御して第一正逆転ローラ613の回転を停止させる。また、これとともに、第二正逆転ローラ対616及び入口ローラ対611の回転を停止させる。このときの搬送量Δ2も、シートPのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。シートPの第一折り部の搬送量Δ2は、例えば、シート検知センサ619から出力される先端検知信号の受信タイミングと、第二正逆転ローラ対616の回転量とから把握することができる。
【0129】
その後、正逆転モータ616mを制御して、シートPを折り処理搬送経路W2の出口側へ向かわせる方向に第二正逆転ローラ対616の逆回転を開始するとともに、第一正逆転ローラ613の逆回転及び入口ローラ対611の回転を再開させる。これにより、第一正逆転ローラ613と第二正逆転ローラ対616との間のシート部分に撓みが形成される(
図27(g))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一正逆転ローラ613と第二折りローラ615との間のニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0130】
第一正逆転ローラ613と第二折りローラ615との間のニップを通過した第二折り部は、折り処理搬送経路W2の出口側に向けて搬送される(
図23(h))。そして、このように2つの折り部が形成されたシートPは、第一正逆転ローラ613からの搬送力を受けて、増し折り手段680へ搬送される。そして、増し折り手段680により実施形態とどうようにして折り部を増し折りされた後、後処理装置2へ搬送される。
【0131】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
回転可能に支持され、折られたシートの折り部を押圧する押圧部20bが回転方向の所定の範囲に配置された増し折りローラ20などの押圧手段と、押圧手段の対向部に位置するガイド板51などの対向ガイド部材とを備えた折り処理装置1などのシート処理装置において、押圧手段の少なくとも回転軸方向一端に設けられ、対向ガイド部材に当接するカム部材71などの当接部材を備え、当接部材が、押圧手段に対して回転可能である。
ジャムが生じたときは、通常ロックされている対向ガイド板のロックを解除して押圧部または当接部に当接する当接位置から退避位置へ対向ガイド部材を移動させ、対向ガイド部材と押圧手段との間を大きく開いてジャム処理を行なう。そして、ジャム処理が終了したら、対向ガイド部材を退避位置から当接位置へ戻し、対向ガイド部材が退避位置へ移動しないように対向ガイド部材をロックする。
このジャム処理後に対向ガイド部材を当接位置へ戻すにあたり、上記特許文献1に記載のシート処理装置においては、当接部または押圧部に押圧される当接位置へ対向ガイド部材を戻す。このため、ロックの際には、当接部または押圧部に対向ガイド部材を押圧しながらロックすることになり、対向ガイド部材のロックがし難く、ジャム処理作業が容易に行なえない。
これに対し、態様1では、当接部材を押圧手段に対して回転可能にしているので、当接部材を押圧手段に対して相対的に回転させることで、回転方向において、当接部材の対向ガイド部材と当接する当接部および押圧部いずれも存在しない領域を形成することができる。そして、形成した当接部および押圧部いずれも存在しない上記領域を、対向ガイド部材と対向するように位置させることで、対向ガイド部材が押圧されることなく、対向ガイド部材をロックすることができ、容易に、ジャム処理作業を行なうことができる。
なお、本実施形態では、上述したように、ジャムが発生したときに、当接部材を対向ガイド部材に当接しない位置に位置させた後、押圧手段の押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域が対向ガイド板と対向するように、押圧手段を当接部材に対して相対的に回転させることで、対向ガイド部材に当接部および押圧部いずれも存在しない領域を形成するとともに、この領域を、対向ガイド部材と対向するように位置させている。また、例えば、ジャムが発生したときに、当接部材が対向ガイド部材と当接する位置で、押圧手段の回転を停止し、ロックの際にユーザーが当接部材を押圧手段に対して相対的に回転させることで、当接部および押圧部いずれも存在しない領域を形成するとともに、この領域を、対向ガイド部材と対向するように位置させてもよい。
対向ガイド部材を当接位置でロックしたら、当接部材を押圧手段に対して相対的に回転させて、当接部および押圧部いずれも存在しない領域に当接部材の当接部を位置させた後、当接部材と押圧手段とが一体で回転するように当接部材と押圧手段とを係合する。これにより、増し折りの際は、当接部材と押圧手段とを一体的に回転させて、押圧部でシートの折り部を押圧することができる。また、対向ガイド部材との対向する箇所が、非押圧領域から押圧部が配置された所定の範囲である押圧領域に切り替わるときに、押圧部が対向ガイド部材に突き当たるのを抑制することができ、騒音の発生を抑制することができる。
【0132】
(態様2)
態様1において、カム部材71などの当接部材には、回転軸方向に突出する突起部71dを有し、増し折りローラ20などの押圧手段の少なくとも回転軸方向一端には、突起部71dが入り込み、突起部71dが回転方向に所定の範囲で移動可能な切り欠き部20fなどの突起部収容部を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、突起部71dが切り欠き部20fなどの突起部収容部の回転方向の上流側端部に突き当たることで、カム部材71などの当接部材と増し折りローラなどの押圧手段とを一体で回転させることができる。これにより、シート処理中は、非押圧領域20eに当接部材の対向ガイド部材と当接する当接部71aを位置させた状態で、カム部材と押圧手段とを一体的に回転させることができ、衝撃音が発生するのを抑制することができる。
また、突起部収容部は、突起部71dが回転方向に所定の範囲で移動可能に構成しているので、突起部収容部の回転方向の上流側端部に突き当たった突起部71dが、突起部収容部の回転方向の下流側端部に突き当たるまでの所定の範囲、当接部材を押圧手段に対して相対的に回転させることができる。これにより、当接部および押圧部いずれも存在しない領域を形成することができる。
【0133】
(態様3)
態様2において、前記突起部71dが、切り欠き部20fなどの突起部収容部の回転方向の一端に当接しているとき、当接部材のガイド板51などの対向ガイド部材に当接する当接部71aが前記押圧手段の回転方向における前記押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域20eに位置する。
これによれば、実施形態で説明したように、非押圧領域20eに当接部材の対向ガイド部材と当接する当接部71aを位置させた状態で、カム部材と押圧手段とを一体的に回転させることができ、衝撃音が発生するのを抑制することができる。
【0134】
(態様4)
態様2または3において、ジャム処理時は、カム部材71などの当接部材のガイド板51などの対向ガイド部材に当接する当接部71aが対向ガイド部材と対向しない位置にくるまで当接部材と増し折りローラ20などの押圧手段とを一体的に回転させた後、押圧手段を当接部材に対して相対的に回転させて、回転方向における前記押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域20eを対向ガイド部材に対向させる。
これによれば、実施形態で説明したように、ガイド板51などの対向ガイド部材が、増し折りローラから離間される側に押圧されない状態にしてジャム処理を行なうことができ、ジャム処理後、対向ガイド板を当接位置で容易にロックすることができ、ジャム処理作業を容易に行なうことができる。
【0135】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、シート処理時は、カム部材71などの当接部材のガイド板51などの対向ガイド部材に当接する当接部71aが、前記押圧手段の回転方向における前記押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域20eに位置した状態で、当接部材と増し折りローラ20などの押圧手段とが一体的に回転する。
これによれば、実施形態で説明したように、増し折り動作開始直後に、押圧部20bがガイド板51などの対向ガイド部材に突き当たったり、増し折り動作終了直前に、対向ガイド部材の回動を規制するストッパに突き当たったりするのを抑制することができ、増し折り動作中の騒音の発生を抑制することができる。
【0136】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、ガイド板51などの対向ガイド部材を、押圧部20bまたはカム部材71などの当接部材に当接する当接位置と、当接位置から退避した退避位置との間で移動可能に保持するガイド退避部材55などの移動部材と、
前記対向ガイド部材が当接位置に位置した状態で、移動部材をロックするロック部材61などのロック手段とを有する
これによれば、ジャムが生じたときは、ロック部材61などのロック手段のロックを解除し、ガイド退避部材55などの移動部材によりガイド板51などの対向ガイド部材を当接位置から退避位置へ移動させる。これにより、ガイド板51と増し折りローラ20などの押圧手段との間を大きく開くことができ、ジャム紙を容易に除去することができる。
また、対向ガイド部材が押圧されていない状態で、ジャム処理後にロック手段により移動部材をロックすることが可能となり、容易にロック手段により移動部材をロックすることができる。
【0137】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、回転方向において、前記押圧部20bとカム部材71などの当接部材とがともに前記対向ガイド部材に当接する領域を有している。
これによれば、実施形態で説明したように、増し折り動作時に、確実にカム部材71または押圧部20bにより対向ガイド部材などガイド板51を押圧することができ、増し折り動作中に衝撃音が発生するのを確実に抑制することができる。
【0138】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、カム部材71などの当接部材のガイド板51などの対向ガイド部材に当接する当接部71aの外径C1が、押圧部20bの外径M1と同一である。
これによれば、実施形態で説明したように、ガイド板51などの対向ガイド部材の当接が、押圧部とカム部材などの当接部材の当接部との間で切り替わるときに、対向ガイド部材に突き当たるのを抑制することができ、増し折り動作中に衝撃音が発生するのを抑制することができる。
【0139】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、カム部材71など当接部材は、通紙範囲外に配置されている。
これにより、カム部材71など当接部材がガイド板51などの対向ガイド部材に当接しているとき、当接部材がシートの通紙を妨げることがない。
【0140】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、カム部材71など当接部材と増し折りローラ20などの押圧手段とが別体である。
これによれば、カム部材71など当接部材を増し折りローラ20などの押圧手段に対して回転可能に構成することができる。
【0141】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、押圧部20bは、回転軸方向所定の範囲にわたって配置され、かつ、回転方向の位置が前記回転軸方向に応じて異なるように配置されている。
これによれば、実施形態で説明したように、増し折り処理の際、回転軸方向全域にわたって押圧力が分散されるといったことがなく、押圧部による集中的な押圧力を折り部全域にわたってかけることができる。よって、増し折り部材にかかる荷重が少なくてもシートの折り部に所望の押圧力を付与することができ、増し折り処理の際、軸方向全域にわたって押圧するものに比べて、押圧手段への負荷を低減させることができる。
【0142】
(態様12)
態様11において、押圧部20bは、増し折りローラ20などの押圧手段の回転軸方向中央を基準として対称となるように配置されている。
これによれば、実施形態で説明したように、押圧部20bがシートPの折り部を回転軸方向の中央から両端部に向かって順次押圧することができ、押圧部20bがシートPの折り部を回転軸方向の一端から他端に向かって順次押圧するものに比べて、効率よく増し折りすることができる。
【0143】
(態様13)
態様1乃至12いずれかにおいて、ガイド板51などの対向ガイド部材と増し折りローラなどの押圧手段との間に、フィルム部材56を配置した。
これによれば、実施形態で説明したように、押圧手段の押圧部がフィルム部材56とすることになり、シートが移動して折り部が、増し折り位置からずれてしまうのを抑制することができる。
【0144】
(態様14)
態様13において、フィルム部材56とカム部材71などの当接部材とを、非接触にした。
これによれば、実施形態で説明したように、カム部材など71の当接部材がガイド板51などの対向ガイド部材に当接しているときに、シートをフィルム部材56と対向ガイド部材との間に通紙することができる。
【0145】
(態様15)
態様1乃至14いずれかにおいて、カム部材71など当接部材は、ガイド板51などの対向ガイド部材に当接する当接部71aと、対向ガイド部材に当接しない非当接部71bと、当接部71aと非当接部71bとを連結する連結部71cとを有し、傾斜部が、非当接部の接線である。
これによれば、連結部71cを、ガイド板51などの対向ガイド部材に当接しないようにすることができる。
【0146】
(態様16)
態様15において、連結部71cと当接部71aとの連結箇所をR形状にした。
これによれば、実施形態で説明したように、例えば、製造誤差などによりカム部材71などの当接部材の当接部71aの外径が押圧部20bの外径よりも大きくなったとき、ガイド板51などの対向ガイド部材がこのR形状に案内されて、徐々に押圧部20bに近づいて押圧部20bと当接することになり、衝撃音の発生を、抑制することができる。
【0147】
(態様17)
態様1乃至16いずれかにおいて、カム部材71などの当接部材と径方向から対向する対向面(
図24に示す押し当て部材85の外周面)または当接部材と回転軸方向から対向する対向面(
図22の増し折りローラの端面20h)に当接部材を押し当てる、若しくは、当接部材に対向面を押し当てる押し当て手段(コイルスプリング81やバネ84)を設けた。
これによれば、実施形態で説明したように、対向面と当接部材との間で所定の摩擦力が発生し、ジャム処理時に、カム部材71などの当接部材が増し折りローラ20などの押圧手段に対して相対的に回転するのを抑制し、当接部材の当接部が、ガイド板51などの対向ガイド部材と対向する位置へ移動するのを抑制することができる。これにより、対向ガイド部材をロックするのが困難となるのを確実に抑制することができる。
【0148】
(態様18)
態様17において、対向面とカム部材71などの当接部材との間の静止摩擦力が、ガイド板51などの対向ガイド部材の押し上げに必要な力よりも弱い。
これによれば、実施形態で説明したように、当接部材の当接部の回転方向一端が対向ガイド部材に当接することで、押圧手段を当接部材に対して相対的に回転させることができる。これにより、押圧手段の押圧部が配置されていない所定の範囲外の非押圧領域が対向ガイド板と対向させ、かつ、当接部材が対向ガイド部材を押し上げない位置に退避させることができる。
【0149】
(態様19)
シートに画像を形成する画像形成装置と、シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、シート処理装置として、態様1乃至18いずれか一項に記載のシート処理装置を用いた。
これによれば、処理中の騒音を抑制しかつ、ジャム処理を容易に行なうことができる。
【符号の説明】
【0150】
1 :折り処理装置
2 :後処理装置
3 :画像形成装置
4 :画像形成システム
10 :入口ローラ対
11 :第一分岐爪
12 :搬送ローラ対
13 :スイッチバック搬送ローラ対
14 :第二分岐爪
15 :レジストローラ対
16 :第三分岐爪
17 :折り機構
17a :第一押圧ローラ
17b :第一折りローラ
17c :第二折りローラ
17d :第二押圧ローラ
18 :第二搬送ローラ対
19 :中間搬送ローラ対
20 :増し折りローラ
20a :押圧ローラ部
20b :押圧部
20c :回転軸
20d :押圧部材
20e :非押圧領域
20f :切り欠き部
20fa :正回転方向上流側の端面
20g :押圧領域
21 :搬送ローラ対
40 :制御部
51 :ガイド板
51a :支点部
51b :突き当て部
52 :スプリング
53 :用紙センサ
55 :ガイド退避部材
55a :支持軸
55b :ガイド部
56 :フィルム部材
57 :ストッパ部
61 :ロック部材
61b :フック部
62 :カシメピン
63 :レバー部材
71 :カム部材
71a :当接部
71b :非当接部
71c :連結部
71d :突起部
71f :支持孔
81 :コイルスプリング
82 :バネ受け
84 :バネ
85 :押し当て部材
86 :バネ保持部
A :重ね処理部
B :折り処理部
B1 :第一折りニップ
B2 :第二折りニップ
C :増し折り部
C1 :当接部の外径
M1 :押圧部の外径
W1 :スルー搬送経路W1
W2 :折り処理搬送経路
W3 :スイッチバック搬送路
X :通紙範囲
Δ1 :搬送量
Δ2 :搬送量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0151】