(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法並びに該組成物の硬化物を用いた部品及び構造体
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20220830BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220830BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20220830BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20220830BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20220830BHJP
C09J 183/06 20060101ALI20220830BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220830BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220830BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K3/36
C08K3/20
C08K3/26
C08K5/5415
C09J183/06
C09J11/04
C09J11/06
C09K3/10 G
(21)【出願番号】P 2019101432
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆文
(72)【発明者】
【氏名】藤原 晃嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 美早紀
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-263255(JP,A)
【文献】特開2019-048957(JP,A)
【文献】特開2006-316150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 3/00-3/36
C08K 5/5415
C09J 183/06
C09J 11/04
C09J 11/06
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃における粘度が100~500,000mPa・sであり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基又はオルガノオキシシリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有する加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1~30質量部、
(C)
粉砕シリカ(石英粉末)、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤:
15~300質量部、
(D)白金又はその化合物:(A)成分に対して白金の質量換算で1~200ppm、及び
(E)(B)成分以外のシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~15質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)、及び(E)成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に(D)成分を混合して均一な組成物を調製する工程を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項2】
(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物が、下記一般式(I)で示されるものであり、
(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(II)で示されるものである、請求項1に記載の製造方法。
【化1】
(式中、R
2は、非置換又はハロゲン原子で置換された一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、bは0又は1である。)
【化2】
(式中、R
3はヘテロ原子を有する官能性基を有する炭素数1~20の一価炭化水素基であり、R
4はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、cは1又は2である。)
【請求項3】
(C)無機充填材が粉砕シリカ(石英粉末)及び炭酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
(A)25℃における粘度が100~500,000mPa・sであり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基又はオルガノオキシシリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有する加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1~30質量部、
(C)
粉砕シリカ(石英粉末)、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及び炭酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤:
15~300質量部、
(D)白金又はその化合物:(A)成分に対して白金の質量換算で1~200ppm、及び、
(E)シランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~15質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)、及び(E)成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に(D)成分を混合して均一な組成物を調製する工程と、
該組成物を室温で硬化する工程と
を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物の製造方法。
【請求項5】
(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物が、下記一般式(I)で示されるものであり、(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(II)で示されるものである、請求項
4に記載の硬化物の製造方法。
【化3】
(式中、R
2は、非置換又はハロゲン原子で置換された一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、bは0又は1である。)
【化4】
(式中、R
3はヘテロ原子を有する官能性基を有する炭素数1~20の一価炭化水素基であり、R
4はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、cは1又は2である。)
【請求項6】
(C)無機充填材が粉砕シリカ(石英粉末)及び炭酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、請求項4又は5に記載の硬化物の製造方法。
【請求項7】
請求項1
~3のいずれか1項に記載の製造方法により得られる電気・電子部品用接着剤。
【請求項8】
請求項
4~6のいずれか1項に記載の方法により得られる硬化物を有する電気・電子部品。
【請求項9】
請求項1
~3のいずれか1項に記載の製造方法により得られる建築用シーリング剤。
【請求項10】
請求項
4~6のいずれか1項に記載の方法により得られる硬化物を有する構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法等に関する。具体的には、硬化前は押出し性(作業性)に優れ、硬化後は、各種基材に対する接着性に優れると共に、自己消炎性(難燃性)に優れ、かつその自己消炎性が安定で、経時的に変化することが殆どないシリコーンゴム硬化物を与えることができる、保存安定性にも優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、並びに該製造方法によって得られる組成物を接着剤及びシーリング剤として用いた部品及び構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中の湿気により室温(23℃±15℃)にて縮合反応により架橋(硬化)してシリコーンゴム硬化物を与えることのできる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は種々の優れた性質を有しており、土木、建築、一般工業、電気・電子用等各種分野で使用されている。しかし、これらの室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は一般に自己消炎性に乏しいという欠点があった。そのため、これらの組成物に、結晶性シリカ、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、カーボンブラック等の自己消炎性を付与する無機質充填剤や膨張性黒鉛などを配合することにより、その自己消炎性を向上する試みがなされている。また、これらの組成物に自己消炎性(難燃性)付与剤として白金もしくはその化合物を配合する試みもなされているが、いずれも安定した自己消炎性を得るには不十分であった。更に、これらの組成物は自己消炎性を付与する無機質充填剤を大量に配合するため、いずれも組成物の流動性が極端に低下することから作業性に劣り、特に容器からの押出し性が悪いという致命的な欠点があった。
【0003】
上記の欠点の解消手段として、特許文献1及び2では、水酸化アルミニウムと炭酸カルシウムを併用した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。また、特許文献3及び4では、表面処理された水酸化アルミニウムと炭酸カルシウムを併用した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。しかし、これらの組成物では、保存安定性、及び作業性は良好であるものの、自己消炎性が製造ロット間でバラツキ、安定した自己消炎性は得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-198365号公報
【文献】特開平5-125285号公報
【文献】特開2003-327632号公報
【文献】特開2007-284687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、硬化前は押出し性(作業性)に優れ、硬化後は、各種基材に対する接着性に優れると共に、自己消炎性(難燃性)に優れ、かつその自己消炎性(難燃性)が製造ロット間でバラツクことがなく、経時的に変化することが殆どないシリコーンゴム硬化物を与えることができる、保存安定性にも優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、並びに該製造方法によって得られる組成物を接着剤及びシーリング剤として用いた部品及び構造体等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造する際に、従来から自己消炎性(難燃性)付与剤として用いられている白金又はその化合物を除く全成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に白金又はその化合物を最後に配合して均一な組成物を製造することにより、該組成物は、自己消炎性(難燃性)に関して製造ロット間のバラツキが無く、安定した自己消炎性を示すシリコーンゴム硬化物を与えることのできることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明は、下記の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、並びに該組成物の硬化物を用いた部品及び構造体等を提供するものである。
【0008】
[1]
(A)25℃における粘度が100~500,000mPa・sであり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基又はオルガノオキシシリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有する加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1~30質量部、
(C)無機質充填剤:10~300質量部、
(D)白金又はその化合物:(A)成分に対して白金の質量換算で1~200ppm、及び
(E)(B)成分以外のシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~15質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)、及び(E)成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に(D)成分を混合して均一な組成物を調製する工程を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[2]
(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物が、下記一般式(I)で示されるものであり、
(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(II)で示されるものである、[1]に記載の製造方法。
【化1】
(式中、R
2は、非置換又はハロゲン原子で置換された一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、bは0又は1である。)
【化2】
(式中、R
3はヘテロ原子を有する官能性基を有する炭素数1~20の一価炭化水素基であり、R
4はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、cは1又は2である。)
[3]
(A)25℃における粘度が100~500,000mPa・sであり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基又はオルガノオキシシリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有する加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1~30質量部、
(C)無機質充填剤:10~300質量部、
(D)白金又はその化合物:(A)成分に対して白金の質量換算で1~200ppm、及び、
(E)シランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01~15質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)、及び(E)成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に(D)成分を混合して均一な組成物を調製する工程と、
該組成物を室温で硬化する工程と
を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物の製造方法。
[4]
(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物が、下記一般式(I)で示されるものであり、
(E)成分のシランカップリング剤が、下記一般式(II)で示されるものである、[3]に記載の硬化物の製造方法。
【化3】
(式中、R
2は、非置換又はハロゲン原子で置換された一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、bは0又は1である。)
【化4】
(式中、R
3はヘテロ原子を有する官能性基を有する炭素数1~20の一価炭化水素基であり、R
4はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、cは1又は2である。)
[5]
[1]又は[2]に記載の製造方法により得られる電気・電子部品用接着剤。
[6]
[3]又は[4]に記載の製造方法により得られる硬化物を有する電気・電子部品。
[7]
[1]又は[2]に記載の製造方法により得られる建築用シーリング剤。
[8]
[3]又は[4]に記載の製造方法により得られる硬化物を有する構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法及び難燃性向上方法によれば、硬化前は押出し性(作業性)に優れ、硬化後は、各種基材に対する接着性に優れると共に、自己消炎性(難燃性)に優れ、かつその自己消炎性(難燃性)が製造ロット間でバラツクことがなく、経時的に変化することが殆どないシリコーンゴム硬化物を与えることができる、保存安定性にも優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が得られる。したがって、この組成物は、電気・電子部品や、建築用構造体の接着剤及びシーリング材として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0011】
(A)成分
(A)成分の25℃における粘度が100~500,000mPa・sであり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)又はオルガノオキシシリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)である。(A)成分は、分子鎖両末端が水酸基(シラノール基)又はオルガノオキシシリル基で封鎖されていることが必要である。このようなジオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(1)及び(2)で表されるα,ω-ジヒドロキシ(又はα,ω-ビスオルガノオキシシリル)封鎖-ジオルガノポリシロキサンが例示される。
【0012】
【化5】
(式中、Rは独立に同一又は異種の炭素数1~10の非置換又はハロゲン原子若しくはシアノ基で置換された一価炭化水素基であり、nは10以上の数であり、一般式(1)及び(2)で表されるジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100~500,000mPa・s、好ましくは、500~100,000mPa・sの範囲にする数である。)
【化6】
(式中、R及びnは上記の通りであり、Xは独立に酸素原子又は炭素数2~5のアルキレン基であり、mは独立に0又は1である。)
【0013】
上記各式中、Rは炭素数1~12、特に1~6のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、キセニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、β-フェニルエチル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をシアノ基やハロゲン原子で置換した基、例えばβ-シアノエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基のような有機基等で置換された基が挙げられ、特にメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が好ましい。
【0014】
Rはそれぞれ同一のものばかりでもよく、異種のものが混在してもよい。これらの中でも、合成の容易さ、硬化後の機械的性質と未硬化の組成物の粘性のバランス等の観点から、Rの90モル%以上又は全部がメチル基であり、メチル基以外の基がある場合はビニル基又はフェニル基であることが好ましい。
【0015】
(A)成分の粘度は、25℃において、100~500,000mPa・s、好ましくは500~100,000mPa・sの範囲である。100mPa・s未満だと、硬化後のシリコーンゴム硬化物の伸張性が小さくなりすぎて実用に耐えることができず、500,000mPa・sを超えると、硬化前の組成物の押出し性(作業性)が低下する。
また、上記と同様の理由により、(A)成分の主鎖を構成する(SiR2O2/2)で示される2官能性のジオルガノシロキサン単位の繰り返し数n(又は重合度)は、好ましくは30~2,000、より好ましくは50~1,200、更に好ましくは100~800程度の数であることが好ましい。
25℃における粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定することができる。また、(A)成分の主鎖を構成する(SiR2O2/2)で示される2官能性のジオルガノシロキサン単位の繰り返し数n(又は重合度)は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。(A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサンは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明の組成物中、(A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、20~90質量%含有することが好ましく、25~85質量%含有することがより好ましく、30~80質量%含有することがさらに好ましい。
【0017】
(B)成分
(B)成分は、ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上有する加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物であり、本発明の組成物の架橋剤(硬化剤)として作用する。なお、本発明において「部分加水分解縮合物」とは、加水分解性(オルガノ)シラン化合物を部分的に加水分解・縮合して生成する、分子中に残存加水分解性基を少なくとも2個、好ましくは3個以上有する(オルガノ)シロキサンオリゴマーを意味する。
【0018】
(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物としては、下記一般式(3)で示されるものが例示される。
【化7】
【0019】
上記式中、R2は炭素数1~10の、非置換又はハロゲン原子で置換された一価炭化水素基であり、上記のRと同様の基が例示され、特に炭素数1~4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ビニル基、フェニル基が好ましい。Xは加水分解性基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、ハロゲン原子置換アルコキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、アセトキシ基、プロピオノキシ基等のアシルオキシ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基等が例示され、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基が好ましい。bは0又は1である。
【0020】
これら加水分解性(オルガノ)シラン化合物及びその部分加水分解縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、テトラ(β-クロロエトキシ)シラン、テトラ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)シラン、プロピルトリス(δ-クロロブトキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のアルコキシシラン類、メチルポリシリケート、エチルポリシリケート、ジメチルテトラメトキシジシロキサン等のアルコキシシロキサン類、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチル(ジエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン等のケトオキシムシラン類、メチルトリス(シクロヘキシルアミノ)シラン、ビニルトリス(n-ブチルアミノ)シラン等のアミノシラン類、メチルトリス(N-メチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N-ブチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N-シクロヘキシルアセトアミド)シラン等のアミドシラン類、メチルトリス(N,N-ジエチルアミノキシ)シラン等のアミノキシシラン類、メチルトリ(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリ(イソプロペノキシ)シラン等のアルケノキシシラン類、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシランが例示される。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
なお、(B)成分の加水分解性(オルガノ)シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物は、ケイ素原子に結合する一価炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基を有しないものである点において、後述する(E)成分のシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物とは明確に区別されるものである。
【0021】
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し0.1~30質量部、好ましくは0.2~15質量部である。(B)成分の配合量が少なすぎると、組成物が十分硬化せずゴム物性に優れたシリコーンゴム硬化物を与えることができない場合があり、配合量が多すぎると、硬化物(シリコーンゴム)の自己消炎性が低下する場合がある。
【0022】
(C)成分
(C)成分は、無機質充填剤であり、本発明の組成物に自己消炎性(難燃性)を付与するために必須とされる成分である。(C)成分の無機質充填剤としては、例えば、粉砕シリカ(石英粉末)、非晶質シリカ(ヒュームドシリカ、溶融シリカ、沈降シリカ、ゾルゲルシリカ等)、けいそう土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化チタンなどの補強性又は非補強性の無機質充填剤や、それらの表面が疎水化処理されたもの等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、本発明の(C)成分としての無機質充填剤にはカーボンブラック等の顔料は含まない。
【0023】
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、10~300質量部、好ましくは15~250質量部である。(C)成分の配合量が、10質量部未満だと硬化物(シリコーンゴム)の自己消炎性が低下したり、300質量部を超えると硬化前の組成物の押出し性(作業性)が悪くなる場合がある。
【0024】
(D)成分
(D)成分は、白金又はその化合物であり、本発明の組成物に自己消炎性(難燃性)を付与するために必須とされる成分である。本発明の組成物を製造する際に、予め(D)成分以外の全ての構成成分を混合して均一な混合物を調製した後、該混合物に(D)成分を最後に混合して均一な組成物を調製することによって、自己消炎性に優れたシリコーンゴム硬化物を与える、保存安定性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができる。このような(D)成分としては白金微粉末;アルミナ、シリカゲル、アスベスト等の担体に白金粉末を担持させたもの;塩化白金酸あるいは塩化白金酸とアルコール、エーテル、アルデヒドあるいはビニルシロキサン等との錯体などが例示される。この白金又はその化合物は組成物中への分散を良くするためにイソプロパノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒あるいはオルガノポリシロキサンオイルに溶解又は分散させた形態で使用してもよい。
【0025】
(D)成分の配合量は、(A)成分に対して白金の質量換算で1~200ppm、好ましくは10~100ppmである。(D)成分の配合量が、1ppm未満では自己消炎性を付与できず、200ppmを超しても自己消炎性は改善されず経済的に不利益となる。
【0026】
(E)成分
(E)成分は、シランカップリング剤(即ち、分子中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアジニル基を除く)を含有する一価炭化水素基(炭素官能性基)と、少なくとも2個、好ましくは3個のアルコキシ基等の加水分解性基とを有する、いわゆるカーボンファンクショナルシラン化合物)及び/又はその部分加水分解縮合物であり、本発明の組成物に接着性を付与するための成分(接着性付与剤)である。
【0027】
(E)成分のシランカップリング剤としては、下記一般式(II)で示されるものが例示される。
【化8】
【0028】
式(II)中、R3はヘテロ原子を有する官能性基を有する、炭素数1~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数5~12の一価炭化水素基であり、R4はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、cは1又は2である。
【0029】
このような(E)成分の具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のメタクリロキシ基含有アルコキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート基含有アルコキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、β-シアノエチルトリメトキシシランや、これらの部分加水分解縮合物などが例示できる。
なお、(E)成分のシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物は、ケイ素原子に結合する一価炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基を有するものである点において、前述の(B)成分の加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とは明確に区別されるものである。
【0030】
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.01~15質量部であり、好ましくは0.1~10質量部である。(E)成分の配合量が0.01質量部未満では、硬化物(シリコーンゴム硬化物)が各種基材に対して十分な接着性能を示さないものとなり、15質量部を超えて配合すると、硬化後のゴム強度が低下したり、硬化性が低下したりする場合がある。
【0031】
任意成分
本発明の組成物には、任意成分として、更に必要に応じて(A)成分と(B)成分の硬化を促進するための触媒(硬化促進剤)を配合することができる。その代表的なものとしては、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルジメトキシシラン、ジブチル鉛(II)-エチルオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫(II)-エチルヘキソエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ブチル錫トリ-2-エチルヘキソエート、ジブチル錫アセチルアセトナート、鉄(II)-エチルヘキソエート、コバルト(II)-エチルヘキソエート、マンガン(II)-エチルヘキソエート、ブチル錫;カプリル酸第1錫、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸チタン等の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩や、オレイン酸錫の不飽和脂肪族モノカルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラ-2-エチルヘキシルチタネート、テトラオクタデシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、エチレングリコールチタネート等のチタネート;オルガノシロキシチタン化合物、β-ジカルボニルチタン化合物等のチタン化合物;ヘキシルアミン、ドデシルアミン等のアミン化合物;酢酸ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン塩;ベンジルトリメチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、酢酸カリウム等のアルカリ金属の塩が挙げられる。
【0032】
上記触媒(硬化促進剤)を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して0.001~10質量部が好ましく、特に、0.01~5質量部が好ましい。
【0033】
本発明の組成物は、これら(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の必須成分と、必要に応じて上記の硬化促進剤(任意成分)等を配合することによって得られるが、本発明においては更に必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分以外の、各種有機溶剤、非反応性シリコーンオイル(即ち、縮合硬化反応に関与しないジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン等の非反応性シリコーンオイル)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック等)等の顔料、炭酸マンガンやアゾビスイソブチロニトリル等の難燃化剤、水酸化セリウムや酸化セリウムのような熱安定剤等、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の添加剤として従来公知とされる添加剤を任意成分として配合してもよい。ただし、これらの各種任意成分を組成物に添加する際は、上記(D)成分を配合する前に添加するものである。
【0034】
[オルガノポリシロキサン組成物の製造方法]
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、(D)成分の白金又はその化合物を組成物に最後に配合して均一な組成物を調製することを除いて、その他の必須成分である(A)、(B)、(C)、(E)成分及び各種の任意成分の配合順序、調製方法等は特に限定されず、(D)成分以外の上記各成分は予め所定量を常法に準じて混合した後に、(D)成分は、添加する必要がある。
また、上記オルガノポリシロキサン組成物は、室温(23℃±15℃)で静置することにより硬化するが、その成形方法、硬化条件などは、組成物の種類に応じた公知の方法、条件を採用することができる。
【0035】
本発明の組成物は、様々な用途に用いることができ、特に、発熱や発火の危険性がある電気・電子部品の接着剤としてや、難燃性が必要な建築用構造体のシーリング剤として有用である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例中において、「部」とあるのは質量部を意味し、「室温」は25℃を意味し、「粘度」は25℃における回転粘度計による測定値である。
【0037】
[実施例1]
粘度5,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、デンカブラック(デンカ(株)製、アセチレンブラック)0.3部、タイペークR-820(石原産業(株)製、酸化チタン)1.4部、クリスタライト((株)龍森製、結晶性シリカ)25部、アエロジルR972(日本アエロジル(株)製、表面疎水化処理ヒュームドシリカ)15部を、室温で順次混合し、更に減圧下で均一になるまで混合して均一な混合物を調製した。この均一混合物に、フェニルトリイソプロペノキシシラン8部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン1部、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部を室温で添加し、減圧下で均一になるまで混合して均一混合物を調製した後、該均一混合物に上記ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で40ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液を室温で最後に添加し、湿気遮断下で均一になるまで混合して均一な組成物(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)を製造した。これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0038】
[実施例2]
実施例1において、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造し、これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0039】
[比較例1]
実施例1において、粘度5,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、該ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で40ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液を混合して、(D)成分の混合順序を変えた以外は、実施例1と同様の方法で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造し、これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0040】
[比較例2]
実施例1において、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造し、これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0041】
得られた各室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物について、押出し性、硬化後のゴム物性、接着性、自己消炎性(未保存;組成物を硬化してから1週間後、保存;未硬化のまま6ヶ月間保存した組成物を硬化してから1週間後)を測定した。これらの結果を表2及び3に示す。
【0042】
各種特性の測定は次の試験方法に従って測定した。
押出し性(作業性)
プラスチック製カートリッジに室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填し、2kg/cm2の圧力で押出した時の吐出量(g/5秒)を測定した。
ゴム物性
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を室温で7日間硬化させ、厚さ2mmのシリコーンゴムシートを作製し、次いでこのシリコーンゴムシートの物理特性(硬さ、伸び、引張強さ)をJIS K6249に従って測定した。
接着性
実施例、比較例で調製した各組成物について、幅25mm、長さ50mmの上下2枚の被着体(ガラス、アルミニウム、ナイロン製)の間に、被着体との接触面積が2.5cm2(25mm×10mm)で厚さが1mmとなる様に挿入した各組成物を23±2℃、50±5%RHで7日間硬化させ、上下それぞれの被着体(前記と同様)との接着面積2.5cm2、接着厚さ1mmのシリコーンゴム硬化物層を形成して、せん断接着試験体を作製した。この各試験体を用いて被着体(前記と同様)に対するせん断接着力をJIS K 6249に規定する方法に準じて測定した。
自己消炎性(難燃性試験)
上記室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化してから1週間後、及び、未硬化のまま6ヶ月間保存した上記室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化してから1週間後に、UL-94の難燃性試験の方法に従った。室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、23±2℃、50±5%RHで7日間硬化させて得た厚さ0.8mmのシリコーンゴムシートを長さ127mm、幅12.7mmに切断して試験片とした。この試験片を無風下に垂直につるし、下から1000BTU/ft3のガスバーナーの炎を10秒間ずつ2回あて、それぞれの炎が消えるまでの時間(秒)を測定した。試験片5本について各々2回の接炎を行ない、表1に示す判定基準に基づいて評価した。
【0043】
【0044】
【0045】
[実施例3]
粘度20,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、タイペークR-820(石原産業(株)製、酸化チタン)1.4部、炭酸亜鉛(東邦亜鉛(株)製)25部、アエロジルR972(日本アエロジル(株)製、表面疎水化処理ヒュームドシリカ)15部を、室温で順次混合し、更に減圧下で均一になるまで混合して均一な混合物を調製した。この均一混合物に、フェニルトリメトキシシラン8部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン1部、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン1.5部、ジオクチルスズジラウレート0.6部を室温で添加し、減圧下で均一になるまで混合して均一混合物を調製した後、該均一混合物に上記ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で50ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液を室温で最後に添加し、湿気遮断下で均一になるまで混合して均一な組成物(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)を製造した。これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0046】
[比較例3]
実施例3において、粘度20,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、該ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で50ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液を室温で混合して、(D)成分の混合順序を変えた以外は、実施例3と同様の方法で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造し、これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0047】
[比較例4]
粘度5,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、デンカブラック(デンカ(株)製、アセチレンブラック)0.3部、タイペークR-820(石原産業(株)製、酸化チタン)1.4部、クリスタライト((株)龍森製、結晶性シリカ)25部、アエロジルR972(日本アエロジル(株)製、表面疎水化処理ヒュームドシリカ)15部、フェニルトリイソプロペノキシシラン8部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン1部、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部、ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で40ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液を、全て一括で室温にて添加し、湿気遮断下で均一になるまで混合して均一な組成物(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)を製造したが、ゲル状物が発生し、外観不良となった。
【0048】
[比較例5]
粘度5,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシ封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、ジメチルポリシロキサンに対し白金の質量換算で40ppmの塩化白金酸の2-エチルヘキサノール溶液、デンカブラック(デンカ(株)製、アセチレンブラック)0.3部、タイペークR-820(石原産業(株)製、酸化チタン)1.4部、クリスタライト((株)龍森製、結晶性シリカ)25部、アエロジルR972(日本アエロジル(株)製、表面疎水化処理ヒュームドシリカ)15部を、室温で順次混合し、更に減圧下で均一になるまで混合して均一な混合物を調製した。この均一混合物に、フェニルトリイソプロペノキシシラン8部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン1部、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部を室温で添加し、減圧下で均一になるまで混合して均一混合物を調製した。これをプラスチック製カートリッジに入れて密封した。
【0049】
得られた各室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物について、押出し性、硬化後のゴム物性、接着性、自己消炎性(未保存;組成物を硬化してから1週間後、保存;未硬化のまま6ヶ月間保存した組成物を硬化してから1週間後)を測定した。各種特性の測定は上記と同様に測定した。これらの結果を表3に示す。
【0050】