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特許7131640逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤および水処理方法
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  • 特許-逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤および水処理方法 図1
  • 特許-逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤および水処理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤および水処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 65/08 20060101AFI20220830BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B01D65/08
C02F1/44 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021003797
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108669
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(74)【代理人】
【識別番号】100067839
【弁理士】
【氏名又は名称】柳原 成
(72)【発明者】
【氏名】川勝 孝博
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-535711(JP,A)
【文献】特開2006-089402(JP,A)
【文献】特開2015-181983(JP,A)
【文献】特開2007-260532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271565(US,A1)
【文献】特開2020-039993(JP,A)
【文献】特開2014-221450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
A01N 1/00-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンナムアルデヒドと、
テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびt-ブチルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つの溶媒と
を含む、逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤
を被処理水に間欠的に添加すること、および
被処理水の逆浸透膜処理を行うこと
を含み、
前記バイオファウリング抑制剤の被処理水への添加を行っている各時間における、逆浸透膜処理を行う直前の被処理水のバイオファウリング抑制剤の濃度が20~200mg/Lである、
水処理方法。
【請求項2】
前記バイオファウリング抑制剤は、シンナムアルデヒドの質量分率が15~70質量%である、請求項1に記載の水処理方法
【請求項3】
前記バイオファウリング抑制剤を被処理水に添加を行っている時間の合計が、1日当たり2時間以下である、請求項1または2に記載の水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤および水処理方法に関する。より詳細に、本発明は、逆浸透膜が劣化するリスクおよび健康被害を生じさせるリスクがなく、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成を防止できる、バイオファウリング抑制剤および水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜は、液体濃縮、脱塩、純水製造その他の水処理などに使用されている。水処理装置の原水としては、例えば、工業用水、市水、井水、河川水、湖沼水、海水、かん水、工場廃水などが用いられる。逆浸透膜に用いられる膜としては、酢酸セルロース系膜、ポリエーテル系膜、ポリアミド系膜などが知られている。
【0003】
ところで、微生物の繁殖条件が整っている水を処理する場合は、逆浸透膜において、微生物が繁殖してスライムが形成され、逆浸透膜が閉塞(バイオファウリング)することがある。スライム形成やバイオファウリングを抑制するために、スライムコントロール剤やバイオファウリング抑制剤を使用することがある。
【0004】
バイオファウリング抑制剤は、例えば、特許文献1、2または3などにおいて開示されている。バイオファウリング抑制剤として、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、過炭酸などの酸化剤が知られている。しかし、酸化剤は逆浸透膜を劣化させるリスクがあると言われている。また、バイオファウリング抑制剤として、クロラミン、クロロスルファミン酸、ブロモスルファミン酸などの結合ハロゲン系薬剤が知られている。結合ハロゲン系薬剤は、バイオファウリング抑制の効果を奏する微生物種が限定される。あるいは、バイオファウリング抑制剤として、イソチアゾリン系のような有機殺菌剤が知られている。しかし、海水淡水化などの飲料水の製造に係わるものには使用することができない。
【0005】
ところで、シンナムアルデヒドの用途として、香料、農薬、防錆剤などが知られている。そして、シンナムアルデヒドを概念的に包含する化学物質群を用いた製剤が種々提案されている。
【0006】
特許文献4は、カテコ-ル、ピロガロ-ル、没食子酸のうちの1以上の化合物、酢酸イソアミル、α-ピネン、シンナムアルデヒドのうち1つ以上の化合物、酒石酸、マレイン酸等の有機酸から選択される1以上の化合物、青色1号などの食品添加物用色素、トリフェニルメタン系色素及びオキサジン系色素から選択される色素、更に、無水硫酸マグネシウムを含有することを特徴とする車両用トイレ汚水処理消臭剤を開示している。
特許文献5は、少なくとも1つの揮発性アルデヒド;25℃で約0.01~約13の蒸気圧を有する酸触媒;を含む、悪臭制御組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO 2016/158633 A
【文献】特開平10-202066号公報
【文献】特開2020-28865号公報
【文献】特開平5-138153号公報
【文献】特開2013-513457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景技術のもと、本発明の目的は、逆浸透膜が劣化するリスクおよび健康被害を生じさせるリスクがなく、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成を防止できる、バイオファウリング抑制剤および水処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために検討した結果、以下の実施形態を包含する本発明を完成するに至った。
【0010】
〔1〕 シンナムアルデヒドと、 テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびt-ブチルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つの溶媒とを含む、逆浸透膜処理におけるバイオファウリング抑制剤。
【0011】
〔2〕 シンナムアルデヒドの質量分率が20~60質量%である、〔1〕に記載のバイオファウリング抑制剤。
【0012】
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載のバイオファウリング抑制剤を被処理水に間欠的に添加すること、および被処理水の逆浸透膜処理を行うことを含む、水処理方法。
【0013】
〔4〕 前記バイオファウリング抑制剤を被処理水に添加を行っている時間の合計が、1日当たり2時間以下である、〔3〕に記載の水処理方法。
〔5〕 前記バイオファウリング抑制剤の被処理水への添加を行っている各時間における、逆浸透膜処理を行う直前の被処理水のバイオファウリング抑制剤の濃度が20~200mg/Lである、〔3〕または〔4〕に記載の水処理方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバイオファウリング抑制剤は、逆浸透膜が劣化するリスクおよび健康被害を生じさせるリスク(例えば、膜透過水に有機溶媒が混入するリスクなど)がなく、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成を防止できる。本発明の方法によると、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成および逆浸透膜自体の損傷を効果的に抑制しつつ、水処理することができる。本発明の水処理方法は、逆浸透膜の使用可能期間を延ばし、逆浸透膜の交換若しくは洗浄の頻度を減らすことができる。本発明のバイオファウリング抑制剤および水処理方法は、海水淡水化などの飲料水の製造に係わるものにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例2-1と比較例2-1における透過流束の経時変化を示す図である。
図2】実施例2-2と比較例2-2における透過流束の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のバイオファウリング抑制剤は、シンナムアルデヒドと、溶媒とを含む。
【0017】
本発明に用いられるシンナムアルデヒドは、式(I)で表される疎水性の化合物である。シンナムアルデヒドは水に溶解し難い。シンナムアルデヒドの原体は、淡黄色の粘性液体として提供される。シンナムアルデヒドの原体は、その合成法によって、特に制限されない。シンナムアルデヒドは、例えば、シンナミルアルコールなどの類縁体を出発物質として公知の化学反応を行うことによって; ベンズアルデヒドとアセトアルデヒドとのアルドール縮合反応を経ることによって; 桂皮油を水蒸気蒸留することによって、若しくはフェニルアラニンなどを出発物質として生合成することによって、得ることができる。
【0018】

【0019】
本発明に用いられる溶媒は、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびt-ブチルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つである。これらの溶媒は、シンナムアルデヒドに対する良溶媒であるとともに、本発明のバイオファウリング抑制剤を被処理水に添加したときにシンナムアルデヒドを被処理水中に分散させることができ、且つ逆浸透膜処理において透過水に混入し難い。
【0020】
本発明のバイオファウリング抑制剤は、前記の溶媒に、シンナムアルデヒドの一部若しくは全部を溶解させることによって得ることができる。本発明のバイオファウリング抑制剤に含まれるシンナムアルデヒドは、質量分率として、通常、15~70質量%、好ましくは20~60質量%、より好ましくは30~60質量%である。溶媒に溶解したシンナムアルデヒドは、本発明のバイオファウリング抑制剤を被処理水に添加したときに、被処理水に分散される。
【0021】
本発明のバイオファウリング抑制剤は、本発明の効果を損なうことがない限り、シンナムアルデヒドおよび前記溶媒以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、過塩素酸、過塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、塩素などの酸化剤;2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン化合物、アンモニアクロラミン、クロロスルファミン酸、安定化次亜臭素酸系スライムコントロール剤(オルガノ(株)製 商品名「オルパージョン E266シリーズ」、Nalco社製 商品名「スタブレックス」)などのスライムコントロール剤;亜硝酸、亜硝酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸、チオ硫酸塩などの還元剤;などを挙げることができる。
【0022】
本発明のバイオファウリング抑制剤を、逆浸透膜処理を行う前の被処理水に添加することによって、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成を防止できる。本発明のバイオファウリング抑制剤の添加は、被処理水に、連続的に行ってもよいが、バイオフィルムの形成の防止効果をより向上させる観点から間欠的に行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理方法は、本発明のバイオファウリング抑制剤を被処理水に間欠的に添加すること、および被処理水の逆浸透膜処理を行うことを含む。
【0023】
本発明の水処理方法においては、本発明のバイオファウリング抑制剤を被処理水に添加を行っている時間と、本発明のバイオファウリング抑制剤を被処理水に添加を行っていない時間とを有する。前記バイオファウリング抑制剤を被処理水に添加を行っている時間の合計は、1日当たり、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。このような短時間の添加は、本発明のバイオファウリング抑制剤による、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成の防止効果をより向上させる。
【0024】
前記バイオファウリング抑制剤の被処理水への添加を行っている各時間における、逆浸透膜処理を行う直前の被処理水のバイオファウリング抑制剤の濃度は、好ましくは20~200mg/L、より好ましくは50~170mg/Lである。前記バイオファウリング抑制剤の被処理水への添加を行っている各時間における、逆浸透膜処理を行う直前の被処理水のシンナムアルデヒドの濃度は、好ましくは4~120mg/L、より好ましくは10~100mg/Lである。バイオフィルムの形成の防止効果が飽和するので過剰に添加するのは経済的でない。
【0025】
本発明のバイオファウリング抑制剤が添加される被処理水は、逆浸透膜処理において適宜に使用されることがある、前述の、酸化剤、還元剤、スライムコントロール剤などをすでに含むものであってもよいし、含まないものであってもよい。また、本発明の水処理方法においては、本発明のバイオファウリング抑制剤の添加された被処理水に、逆浸透膜処理を行う前に、前述の、酸化剤、還元剤、スライムコントロール剤などを添加してもよい。
【0026】
なお、本発明に用いられる逆浸透膜は、逆浸透を利用して、低分子物質またはイオンと、水とを分離するために使用される半透膜である。逆浸透膜処理は、半透膜を挟んで濃縮液と透過液を配置し、濃縮液側に浸透圧を超える圧力を加えて水を透過液側に透過させることである。該半透膜に使用される材料は、特に制限されず、例えば、セルロース、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミドなどが挙げられる。
逆浸透膜は、通常、他の部材と一体化して膜モジュールの形態にして使用される。膜モジュールとしては、ケーシング収納方式膜モジュール、槽浸漬方式膜モジュールなどが挙げられる。ケーシング収納方式膜モジュールは、逆浸透膜、それの支持体、流路材などの部材をケーシングに収納し一体化したものである。ケーシング収納方式膜モジュールとしては、例えば、スパイラル型モジュールなどの平膜を用いたモジュール、キャピラリー型モジュール、中空糸型モジュールなどの管状膜を用いたモジュールを挙げることができる。
【0027】
次に、実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。但し、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものでない。
【0028】
実施例1-1
シンナムアルデヒド(キシダ化学株式会社製)50質量部とテトラエチレングリコール(東京化成工業株式会社製)50質量部とを混合し、シンナムアルデヒドを溶解させて、バイオファウリング抑制剤(1)を得た。
【0029】
純水にバイオファウリング抑制剤(1)を100mg/Lとなるように添加して、被処理水を得た。25℃の被処理水を、逆浸透膜モジュール(日東電工株式会社製、ES20、膜面積8cm2)に、0.75MPaおよび1ml/分にて、通水した。透過水および濃縮水のTOCをそれぞれ測定した。溶媒阻止率を式(A)にて算出した。バイオファウリング抑制剤(1)の溶媒阻止率は92%であった。

溶媒阻止率[%] = (1-透過水のTOC[mg/L]/濃縮水のTOC[mg/L])×100 (A)
【0030】
実施例1-2
テトラエチレングリコールを、ペンタエチレングリコール(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(2)を得た。バイオファウリング抑制剤(2)の溶媒阻止率は93%であった。
【0031】
実施例1-3
テトラエチレングリコールを、ヘキサエチレングリコール(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(3)を得た。バイオファウリング抑制剤(3)の溶媒阻止率は94%であった。
【0032】
実施例1-4
テトラエチレングリコールを、ジプロピレングリコール(キシダ化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(4)を得た。バイオファウリング抑制剤(4)の溶媒阻止率は94%であった。
【0033】
実施例1-5
テトラエチレングリコールを、トリプロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(5)を得た。バイオファウリング抑制剤(5)の溶媒阻止率は97%であった。
【0034】
実施例1-6
テトラエチレングリコールを、t-ブチルアルコール(キシダ化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(6)を得た。バイオファウリング抑制剤(6)の溶媒阻止率は94%であった。
【0035】
比較例1-1
テトラエチレングリコールを、トリエチレングリコール(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(7)を得た。バイオファウリング抑制剤(7)の溶媒阻止率は85%であった。
【0036】
比較例1-2
テトラエチレングリコールを、n-ブチルアルコール(キシダ化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(8)を得た。バイオファウリング抑制剤(8)の溶媒阻止率は58%であった。
【0037】
比較例1-3
テトラエチレングリコールを、n-ペンチルアルコール(キシダ化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(9)を得た。バイオファウリング抑制剤(9)の溶媒阻止率は70%であった。
【0038】
比較例1-4
テトラエチレングリコールを、n-ヘキシルアルコール(キシダ化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1-1と同じ方法で、バイオファウリング抑制剤(10)を得た。バイオファウリング抑制剤(10)の溶媒阻止率は70%であった。
【0039】
実施例2-1
生物処理廃水を限外濾過処理して得た水に、エタノールをTOCとして0.7mg/Lおよびリン酸水素二ナトリウムをリンとして0.01mg/Lとなるようにそれぞれ添加して、被処理水を得た。
25℃の被処理水を、逆浸透膜モジュール(日東電工株式会社製、ES20、膜面積8cm2)に、0.75MPaおよび1ml/分にて、8日間に亘って連続的に通水した。
その間、逆浸透膜モジュールに供給される直前の被処理水に、毎日1時間だけ、バイオファウリング抑制剤(1)の濃度が100mg/Lになるように、バイオファウリング抑制剤(1)を添加した。そして、透過流束を所定時刻に測定した。規格化透過流束を式(B)にて算出した。結果を図1に示す。

規格化透過流束[-] = 所定時刻における透過流束[m/d]
/通水2時間経過時の透過流束[m/d] (B)
【0040】
比較例2-1
バイオファウリング抑制剤(1)を添加しなかった以外は、実施例2-1と同じ方法で、透過流束を所定時刻に測定した。規格化透過流束を式(B)にて算出した。結果を図1に示す。
【0041】
実施例2-2
バイオファウリング抑制剤(1)をバイオファウリング抑制剤(6)に変えた以外は、実施例2-1と同じ方法で、透過流束を所定時刻に測定した。規格化透過流束を式(B)にて算出した。結果を図2に示す。
【0042】
比較例2-2
バイオファウリング抑制剤(6)を添加しなかった以外は、実施例2-2と同じ方法で、透過流束を所定時刻に測定した。規格化透過流束を式(B)にて算出した。結果を図2に示す。
【0043】
以上のことが示すとおり、本発明のバイオファウリング抑制剤は、抑制剤に含まれている溶媒が逆浸透膜によって阻止され、透過水に混入し難い、すなわち透過水は低TOCであり、健康への影響が低い。本発明の水処理方法によれば、逆浸透膜上でのバイオフィルムの形成が効果的に防止され、逆浸透膜の透過流束の低下を抑制できる。間欠的な添加を行うことによって本発明のバイオファウリング抑制剤の使用量を節約できるので、経済的である。
図1
図2