(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】シリコーンゴム組成物およびそれを用いてなる複合体
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20220830BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20220830BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20220830BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20220830BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20220830BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K9/04
C08K5/54
C08K5/101
C08K5/10
(21)【出願番号】P 2019562932
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2018045255
(87)【国際公開番号】W WO2019131081
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2017248503
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 智子
(72)【発明者】
【氏名】大伴 孝嘉
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-031436(JP,A)
【文献】特開2012-001673(JP,A)
【文献】特開2016-145301(JP,A)
【文献】特開2012-184350(JP,A)
【文献】特開2016-180123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)シリカ充填材 1~100質量部、
(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5~5モルとなる量)、
(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量、および
(F)接着付与剤 0.01~20質量部
から少なくともなり、前記(B)成分が、前記(A)成分の一部または全部の存在下、BET法による比表面積が少なくとも50m
2/gであるシリカ充填材100質量部に対して、少なくとも30質量部の(E)表面処理剤で表面処理してなるシリカ充填材
であって、前記(E)成分が少なくとも1種のシラザン化合物である、シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(E)成分がヘキサメチルジシラザンおよび/またはテトラメチルジビニルジシラザンである、請求項
1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
(F)成分が、アクリル化合物、メタクリル化合物、エポキシ化合物、一分子中に少なくとも1個のフェニレン骨格を有する有機ケイ素化合物、および一分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合加水分解性基を有する有機ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1
または2に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
(F)成分が、分子中にエステル結合を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物である、請求項
3記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
(F)成分が、下記一般式で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のアクリル化合物またはメタクリル化合物である、請求項
3記載のシリコーンゴム組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
(式中、R
1はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、R
2は炭素数7~20のアラルキル基、フェノキシアルキル基、またはフェノキシヒドロキシアルキル基であり、aは1~4の整数であり、bはそれぞれ独立して、1~3の整数であり、pは4~12の整数である。)
【請求項6】
さらに、(G)(G-1)一分子中に少なくとも1個のアリール基および少なくとも1個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノシロキサン、または前記(G-1)成分と(G-2)一分子中に少なくとも1個のアリール基および少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノシロキサンの混合物を、(A)成分100質量部に対して0.1~5質量部含有する、請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
(G-1)成分が、下記一般式:
【化5】
(式中、R
3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、または炭素数6~12のアリール基、但し、R
3の少なくとも1個は水素原子であり、R
3の少なくとも1個はアリール基であり、mは1~20の整数である。)
で表されるオルガノシロキサンである、請求項
6記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項8】
(G-2)成分が、下記一般式:
【化6】
(式中、R
4はそれぞれ独立して、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~12のアルキル基、または炭素数6~12のアリール基、但し、R
4の少なくとも1個はアルケニル基であり、R
4の少なくとも1個はアリール基であり、nは0~20の整数である。)
で表されるオルガノシロキサンである、請求項
6記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項9】
(G)成分が、(G-1)成分と(G-2)成分の質量比が1:10~10:1である(G-1)成分と(G-2)成分の混合物である、請求項
6記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴムと有機樹脂からなり、前記シリコーンゴムが前記有機樹脂に接着している複合材。
【請求項11】
有機樹脂が、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリフェニレン/スチレン混合物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、フルオロポリマー、液晶樹脂、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、およびこれらの有機樹脂の誘導体から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂である、請求項
10記載の複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム組成物、および該シリコーンゴム組成物から作製される複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化途上で接触している有機樹脂に対して接着性を有し、同時にそれらの成型に使用される金型に対しては型離れ性を示すシリコーンゴム組成物は良く知られている。例えば、米国特許出願公開第2002/0032270号明細書には、加熱硬化型のオルガノポリシロキサン組成物、補強性シリカ微粉末、接着性付与剤、および前記オルガノポリシロキサン組成物と反応性の官能基を有し、前記オルガノポリシロキサン組成物と非相溶なシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物から少なくともなるシリコーンゴム組成物が開示されており、また、米国特許出願公開第2007/0100072号明細書には、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、アルキレングリコールジアクリル酸エステルまたはアルキレングリコールジメタクリル酸エステル、およびヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなるシリコーンゴム組成物が開示されている。
【0003】
しかし、前者のシリコーンゴム組成物は外観不良のシリコーンゴムを形成するため、その用途が限定される。そして、前者のシリコーンゴム組成物は、硬化途上で接触している各種有機樹脂に対する接着性が十分ではない。また、後者のシリコーンゴム組成物は、硬化途上で接触している各種有機樹脂に対する接着性が十分ではなく、一方、同時にその成型のために使用されている金型に対する型離れ性が十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2002/0032270号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0100072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、硬化途上で接触している各種有機樹脂に対する接着性が優れ、同時に、その成型のために使用している金型に対して型離れ性が優れるシリコーンゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、シリコーンゴムが少なくとも1種の有機樹脂に十分に接着している複合材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシリコーンゴム組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)シリカ充填材 1~100質量部、
(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5~5モルとなる量)
(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量、および
(F)接着付与剤 0.01~20質量部
から少なくともなり、前記(B)成分が、前記(A)成分の一部または全部の存在下、BET法による比表面積が少なくとも50m2/gであるシリカ充填材100質量部に対して、少なくとも30質量部の(E)表面処理剤で表面処理してなるシリカ充填材であることを特徴とする。
【0007】
本組成物の複合材は、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴムと有機樹脂からなり、前記シリコーンゴムが前記有機樹脂に接着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリコーンゴム組成物は、硬化途上で接触している各種有機樹脂に対して優れた接着性を有し、同時にその成型のために使用している金型に対して型離れ性が優れるという特徴がある。また、本発明の複合材は、シリコーンゴムが少なくとも1種の有機樹脂に十分に接着しているという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[シリコーンゴム組成物]
(A)成分は、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数2~12のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6~12のアリール基;これらのアルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分中のケイ素原子は、少量の水酸基を結合していてもよい。
【0010】
(A)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、または三次元網状が挙げられる。(A)成分はこれらの分子構造を有する一種のオルガノポリシロキサン、あるいはこれらの分子構造を有する二種以上のオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなる共重合体、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなる共重合体、およびこれらの2種以上の混合物が例示される。
【0011】
(A)成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、100~100,000mPa・sの範囲内である。これは、粘度が上記範囲の下限以上であると、本組成物が機械的特性が良好なシリコーンゴムを形成するからであり、一方、粘度が上記範囲の上限以下であると、本組成物の取扱い作業性が良好であるからである。この粘度は、JIS K 7117-1:1999に準拠したB型粘度計を使用して測定することができる。
【0012】
(B)成分は、本組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの機械的強度を向上させると共に、本組成物が硬化途上で接触している各種有機樹脂に対して優れた接着性を有し、同時にその成型のために使用している金型に対して型離れ性が優れるという効果を発揮するためのシリカ充填材である。(B)成分は、前記(A)成分の一部または全部の存在下、BET法による比表面積が少なくとも50m2/gであるシリカ充填材100質量部に対して、少なくとも30質量部の(E)表面処理剤で表面処理してなるシリカ充填材である。
【0013】
(B)成分の、(E)成分で表面処理する前のシリカ充填材は、そのBET法による比表面積が少なくとも50m2/g、好ましくは、少なくとも100m2/g、あるいは少なくとも200m2/gである。このようなシリカ充填材は表面が未処理のものであっても、また、予め表面処理されたものであってもよく、好ましくは、未処理のシリカ充填材である。未処理のシリカ充填材としては、ワッカー社製のHDK(登録商標) T30P、日本アエロジル社製のAEROSIL(登録商標) 380等が入手可能である。
【0014】
(E)成分の表面処理剤としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のオルガノハロシラン;ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシラザン、ヘキサメチルシクトリシラザン等のオルガノシラザン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のオルガノアルコキシシランが例示され、好ましくは、オルガノシラザンであり、さらには、ヘキサメチルジシラザンと1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシラザンの併用である。
【0015】
前記(A)成分の一部または全部の存在下、シリカ充填材100質量部に対して、(E)成分を少なくとも30質量部、好ましくは、少なくとも35質量部で処理する。これは、(E)成分の処理量が上記範囲であると、各種有機樹脂に対して優れた接着性を有し、さらに、本組成物の粘度が低下し、成形性が向上するからである。
【0016】
前記(B)成分の調製方法は限定されず、常圧で密閉された混練装置中に、(A)成分の一部または全部の存在下、シリカ充填材、および(E)成分を投入し、必要に応じて不活性ガスの存在下、室温または加熱しながら混練し、次いで、減圧下に加熱混練することが好ましい。なお、表面処理剤によるシリカ充填材の処理を促進するため、必要に応じて、水や反応触媒を添加してもよい。
【0017】
(C)成分は、本組成物の架橋剤であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノポリシロキサンである。(C)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6~12のアリール基;これらのアルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。本発明の目的を損なわない範囲で、(C)成分中のケイ素原子は、少量の水酸基を結合してもよい。
【0018】
(C)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、および三次元網状が挙げられ、好ましくは、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、または三次元網状である。
【0019】
(C)成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、10,000mPa・s以下、あるいは1~5,000mPa・sの範囲内、あるいは1~1,000mPa・sの範囲内である。これは、粘度が上記範囲の下限以上であると、本組成物が機械的特性が良好なシリコーンゴムを形成するからであり、一方、粘度が上記範囲の上限以下であると、本組成物の取扱い作業性が良好であるからである。この粘度は、JIS K 7117-1:1999に準拠したB型粘度計を使用して測定することができる。
【0020】
このような(C)成分としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位からなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)SiO3/2単位からなる共重合体、およびこれらの2種以上の混合物が例示される。
【0021】
(C)成分は、本組成物中の脂肪族不飽和結合、例えば、(A)成分中のアルケニル基、(G-2)成分中のアルケニル基、(F)成分中の脂肪族炭素-炭素二重結合の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5~5モルの範囲内、あるいは0.8~2.5モルの範囲内となる量で配合される。これは、(C)成分の配合量が上記範囲の下限以上であれば、本組成物が各種有機樹脂に対する接着性が良好なシリコーンゴムを形成できるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物は、機械的遠く性が良好なシリコーンゴムを形成できるからである。なお、(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の含有量は、フーリエ変換赤外線分光分析(FT-IR)、核磁気共鳴分析(NMR)、あるいはゲルパーミエーションクロマトグラフ分析(GPC)等の分析方法により求めることができる。
【0022】
(D)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示される。特に、本組成物の硬化を著しく促進できることから、(D)成分は白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のオレフィン錯体、白金のカルボニル錯体が例示され、好ましくは、白金のアルケニルシロキサン錯体である。
【0023】
本組成物において、(D)成分の配合量は触媒量であり、本組成物の硬化を促進するために効果的な量であれば特に限定されないが、その配合量は、(D)成分中の触媒金属が、本組成物に対する質量単位で、1~1000ppmの範囲内、あるいは1~500ppmの範囲内、あるいは1~300ppmの範囲内である。これは、(D)成分の配合量が上記範囲内であれば、得られる組成物の硬化反応が促進されるからである。
【0024】
(F)成分は、得られるシリコーンゴムの接着性を向上するための接着付与剤である。このような(F)成分としては、アクリル化合物、メタクリル化合物、エポキシ化合物、一分子中に少なくとも1個のフェニレン骨格を有する有機ケイ素化合物、あるいは一分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が例示され、好ましくは、分子中にエステル結合を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物である。
【0025】
(F)成分のアクリル化合物やメタクリル化合物は限定されないが、好ましくは、下記一般式(1):
【化1】
で表される化合物、下記一般式(2):
【化2】
で表される化合物、下記一般式(3):
【化3】
で表される化合物、および下記一般式(4):
【化4】
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のアクリル化合物またはメタクリル化合物である。
【0026】
上記一般式(1)~(4)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、好ましくは、水素原子である。
【0027】
上記一般式(4)中、R2は炭素数7~20のアラルキル基、フェノキシアルキル基、またはフェノキシヒドロキシアルキル基である。このアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基が例示される。このフェノキシアルキル基としては、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基が例示される。このフェノキシヒドロキシアルキル基としては、フェノキシヒドロキシプロピル基が例示される。
【0028】
上記一般式(2)中、aは1~4の整数、あるいは2~4の整数、あるいは3~4の整数である。
【0029】
上記一般式(3)中、bはそれぞれ独立して、1~3の整数、あるいは2~3の整数である。
【0030】
上記一般式(1)中、pは4~12の整数、あるいは1~10の整数、あるいは6~12の整数、あるいは6~10の整数である。
【0031】
(F)成分のエポキシ化合物は限定されないが、好ましくは、グリシドキシメタクリレート、下記式:
【化5】
で表され鎖状シロキサン化合物、下記式:
【化6】
で表される環状シロキサン化合物、下記式:
【化7】
で表される鎖状シロキサン化合物が例示される。
【0032】
(F)成分の、一分子中に少なくとも1個のフェニレン骨格を有する有機ケイ素化合物は限定されないが、好ましくは、下記式:
【化8】
で表される化合物、下記式:
【化9】
で表される化合物、下記式:
【化10】
で表される化合物、下記式:
【化11】
で表される化合物が例示される。
【0033】
(F)成分の一分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合加水分解性基を有する有機ケイ素化合物は限定されないが、好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルジエトキシメチルシラン、アリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-(エトキシカルボニル)エチルトリメトキシシラン、下記式:
【化12】
で表される環状シロキサン化合物、下記式:
【化13】
で表される鎖状シロキサン化合物、下記式:
【化14】
で表される鎖状シロキサン化合物、下記式:
【化15】
で表される鎖状シロキサン化合物、下記式:
【化16】
で表される鎖状シロキサン化合物が例示される。
【0034】
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.01~20質量部の範囲内であり、好ましくは、0.05~10質量部の範囲内、あるいは0.1~5質量部の範囲内である。これは、(F)成分の配合量が上記範囲の下限以上であると、本組成物が各種有機樹脂に対して良好な接着性を有するシリコーンゴムを形成し、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物は、良好な機械的特性を有するシリコーンゴムを形成するからである。
【0035】
本発明のシリコーンゴム組成物には、得られるシリコーンゴムの接着性をさらに向上するため、(G)(G-1)一分子中に少なくとも1個のアリール基および少なくとも1個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノシロキサン、または前記(G-1)成分と(G-2)一分子中に少なくとも1個のアリール基および少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノシロキサンの混合物を配合してもよい。
【0036】
(G-1)成分は、一分子中に少なくとも1個のアリール基と少なくとも1個のケイ素原子結合水素原子を有し、アルケニル基を有さないオルガノシロキサンである。(G-1)成分中のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6~12のアリール基が例示され、好ましくは、フェニル基である。(G-1)成分中のアリール基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基;これらのアルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。本発明の目的を損なわない範囲で、(G-1)成分中のケイ素原子は、少量の水酸基を結合してもよい。
【0037】
(G-1)成分の分子構造は限定されないが、(G-1)成分は、好ましくは、下記一般式(4):
【化17】
で表されるオルガノシロキサンである。
【0038】
上記一般式(4)中、R3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、または炭素数6~12のアリール基である。このアルキル基としては、前記と同様のアルキル基が例示される。このアリール基としては、前記と同様のアリール基が例示される。但し、上記一般式(4)中、少なくとも1個のR3は水素原子であり、好ましくは、少なくとも2個のR3は水素原子である。さらに、上記一般式(4)中、少なくとも1個のR3はアリール基である。
【0039】
上記一般式(4)中、mは1~20の整数、あるいは1~10の整数、あるいは1~5の整数である。これは、mが上記範囲内であれば、本組成物が、有機樹脂に対する良好な接着性を有するシリコーンゴムを形成するからである。
【0040】
(G-2)成分は、一分子中に少なくとも1個のアリール基と少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノシロキサンである。(G-2)成分中のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6~12のアリール基が例示され、好ましくは、フェニル基である。(G-2)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数2~12のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。(G-2)成分中のアリール基およびアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基;これらのアルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。本発明の目的を損なわない範囲で、(G-2)成分中のケイ素原子は、少量の水酸基を結合してもよい。
【0041】
(G-2)成分の分子構造は限定されないが、(G-2)成分は、好ましくは、下記一般式(5):
【化18】
で表されるオルガノシロキサンである。
【0042】
上記一般式(5)中、R4はそれぞれ独立して、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~12のアルキル基、または炭素数6~12のアリール基である。このアルケニル基としては、前記と同様のアルケニル基が例示される。このアルキル基としては、前記と同様のアルキル基が例示される。このアリール基としては、前記と同様のアリール基が例示される。但し、上記一般式(5)中、少なくとも1個のR4はアルケニル基であり、あるいは、少なくとも2個のR4はアルケニル基である。さらに、上記一般式(5)中、少なくとも1個のR4はアリール基である。
【0043】
上記一般式(5)中、nは0~20の整数、あるいは0~10の整数、あるいは0~5の整数である。これは、nが上記範囲の上限以下であれば、本組成物が、有機樹脂に対する良好な接着性を有するシリコーンゴムを形成するからである。
【0044】
(G)成分は、好ましくは(G-1)成分と(G-2)成分との混合物である。この場合、(G-1)成分と(G-2)成分との質量比は限定されないが、好ましくは、1:10~10:1の範囲内、あるいは、1:5~5:1の範囲内である。これは、質量比が上記範囲内であれば、本組成物が、各種有機樹脂に対して良好な接着性を有するシリコーンゴムを形成できるからである。
【0045】
(G)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部の範囲内、あるいは0.5~5質量部の範囲内、あるいは1~5質量部の範囲内で配合される。これは、(G)成分の配合量が上記範囲の下限以上であると、本組成物が各種有機樹脂に対して良好な接着性を有するシリコーンゴムを形成し、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物は、良好な機械的特性を有するシリコーンゴムを形成するからである。
【0046】
さらに、本組成物には反応抑制剤を含有しても良い。この反応抑制剤としては、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、および2-フェニル-3-ブチン-2-オール等のアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、および3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のエン-イン化合物;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサンオリゴマー;その他、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、シリル化アセチレンアルコール、マレイン酸、フマル酸、エチレン性あるいは芳香属性不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シラン、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステルおよびジエステル、ハイドロパーオキサイド、ニトリル、ジアジリジンが例示される。この反応抑制剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、(A)成分100質量部に対して0.0001~5質量部の範囲内である。
【0047】
本発明のシリコーンゴム組成物は有機樹脂との一体成型物(integral mold)を得るために好適である。
【0048】
有機樹脂上にシリコーンゴム組成物を一体成型(integral molding)する方法としては、(i)有機樹脂上に所望の形状にしたシリコーンゴム組成物を置き、次いで、前記有機樹脂の融点未満の温度に加熱する方法;(ii)有機樹脂上にシリコーンゴム組成物を置き、次いで、前記有機樹脂の融点未満の温度で圧縮成型する方法;および(iii)射出成型機を用いて金型中に有機樹脂を予め射出成型し、この金型中にシリコーンゴム組成物を加熱射出する方法が例示される。このシリコーンゴム組成物は、液状、パテ状、あるいはペースト状であってもよいが、成型が容易であることから、液状またはペースト状であることが好ましい。シリコーンゴム組成物の硬化条件は、有機樹脂に対する強い接着性を得るため、形状や品質の変化しない温度と時間である。条件は有機樹脂の種類に依存するが、一体成型物(integral mold)は、80~180℃の温度、0.2~30分の成型時間の条件で得ることができる。
【0049】
上記シリコーンゴム組成物から得られるシリコーンゴムは、80以下、あるいは60以下のショーアA硬さ(デューロメータ)を有することが好ましい。
【0050】
[複合体]
本発明の複合体は、上記のシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムと有機樹脂からなり、前記シリコーンゴムが前記有機樹脂に接着している。
【0051】
有機樹脂としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリフェニレン/スチレン混合物、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、フルオロポリマー、液晶樹脂、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、これらの有機樹脂の誘導体、およびこれらの二種以上の混合物が例示される。
【0052】
このような複合材は、シリコーンゴムと有機樹脂が一体となった部品として使用される構造を有する。このような複合材としては、携帯電話、携帯電気通信装置、ゲーム機、時計、受像機、DVD装置、MD装置、CD装置、精密電子機器、電気絶縁体、単線被覆、電子レンジ、冷蔵庫、電子炊飯器、陰極性TV、液晶TVやプラズマTVのような薄膜ディスプレイ、種々の家庭用機器、コピー機、プリンター、ファクシミリ、OA装置、コネクターシール、スパークプラグキャップ、種々のセンサーの部品、自動車用部品、スポーツ製品、ダイビングマスク、ダイビング用具、呼吸マスク、人工呼吸器の蛇腹、バルーンカテーテル、ゴム製乳首、薄膜、スイッチカバー、医療用製品や装置、管や弁、おしゃぶり、哺乳瓶の乳首が例示される。
【実施例】
【0053】
本発明のシリコーンゴム組成物および複合体を実施例および比較例により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例の記載によって限定されるものではない。粘度は25℃において測定された。
【0054】
[シリコーンゴムの硬さ]
シリコーンゴム組成物を50トンのホットプレスを用いて、120℃、10分間加熱することにより、厚さ2mmのシリコーンゴムシートを作製した。このシリコーンゴムシートの25℃における硬さを、ショアA硬度計により測定した。
【0055】
[接着性の評価]
シリコーンゴム組成物を試験片に塗布し、次いで、予備加熱したステンレス製金型中に置いた。ポリエステル樹脂以外は、試験片を50トンのホットプレスを用いて、120℃、4分間で成型された。試験片は、剥離試験前に一晩、エージング室(25℃、50%RH)に保管した。25℃における90°はく離試験の速度は50mm/分である。また、はく離試験後、シリコーンゴムの接着面積に対する凝集破壊したシリコーンゴムの面積の割合を測定し、CF(%)として示した。
【0056】
[参考例1]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100.0質量部、BET比表面積が300m2/gのヒュームドシリカ(ワッカー社製のHDK T30P) 48質量部、ヘキサメチルジシラザン 18.0質量部、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシラザン 0.5質量部、および水 6.0質量部を、ロスミキサーを用いて、室温で混練した。次いで、減圧下、150℃、1時間加熱混合することにより、粘度520Pa・sのシリコーンゴムベース(1)を調製した。
【0057】
[参考例2]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100.0質量部、BET比表面積が300m2/gのヒュームドシリカ(ワッカー社製のHDK T30P) 48質量部、ヘキサメチルジシラザン 22.5質量部、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシラザン 0.5質量部、および水 7.5質量部を、ロスミキサーを用いて、室温で混練した。次いで、減圧下、150℃、1時間加熱混合することにより、粘度567Pa・sのシリコーンゴムベース(2)を調製した。
【0058】
[参考例3]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100.0質量部、BET比表面積が300m2/gのヒュームドシリカ(ワッカー社製のHDK T30P) 48質量部、ヘキサメチルジシラザン 9.0質量部、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシラザン 0.5質量部、および水 3.0質量部を、ロスミキサーを用いて、室温で混練した。次いで、減圧下、150℃、1時間加熱混合することにより、粘度745Pa・sのシリコーンゴムベース(3)を調製した。
【0059】
[実施例1]
参考例1で調製したシリコーンゴムベース(1) 176.8質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 6.5質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.5質量部、下記式:
【化19】
で表されるジアクリル酸エステル 2.0質量部、粘度43mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、粘度1mPa・sのメチルハイドロジェンシクロシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で170ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0060】
[比較例1]
参考例3で調製したシリコーンゴムベース(3) 176.8質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 6.5質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.5質量部、下記式:
【化20】
で表されるジアクリル酸エステル 2.0質量部、粘度43mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、粘度1mPa・sのメチルハイドロジェンシクロシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で170ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0061】
[実施例2]
参考例1で調製したシリコーンゴムベース(1) 160.0質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 15.6質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.5質量部、下記式:
【化21】
で表されるジアクリル酸エステル 2.0質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.2モルとなる量)、下記式:
【化22】
で表されるオルガノシロキサン 2.0質量部、下記式:
【化23】
で表されるオルガノシロキサン 1.6質量部、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で140ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0062】
[比較例2]
参考例3で調製したシリコーンゴムベース(3) 160.0質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 15.6質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.5質量部、下記式:
【化24】
で表されるジアクリル酸エステル 2.0質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.2となる量)、下記式:
【化25】
で表されるオルガノシロキサン 2.0質量部、下記式:
【化26】
で表されるオルガノシロキサン 1.6質量部、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で140ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0063】
[実施例3]
参考例2で調製したシリコーンゴムベース(2) 160.0質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 15.6質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.5質量部、下記式:
【化27】
で表されるジアクリル酸エステル 2.0質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.2モルとなる量)、下記式:
【化28】
で表されるオルガノシロキサン 2.0質量部、下記式:
【化29】
で表されるオルガノシロキサン 1.6質量部、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で170ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0064】
[実施例4]
参考例1で調製したシリコーンゴムベース(1) 168.0質量部に、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 5.9質量部、粘度370mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体 10.2質量部、下記式:
【化30】
で表されるジアクリル酸エステル 0.5質量部、下記式:
【化31】
で表されるテトラアクリル酸エステル 1.0質量部、粘度25mPa・sの(CH
3)
2HSiO
1/2で表されるシロキサン単位とSiO
4/2単位で表されるシロキサン単位とからなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(本組成物中の脂肪族不飽和結合1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が1.2モルとなる量)、下記式:
【化32】
で表されるオルガノシロキサン 2.0質量部、下記式:
【化33】
で表されるオルガノシロキサン 1.6質量部、1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 0.1質量部、および白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(本組成物に対して、本成分中の白金金属が質量単位で140ppmとなる量)を添加し、室温で均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴムの特性を表1に示した。
【0065】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のシリコーンゴム組成物は、硬化途上で接触している各種有機樹脂に対して優れた接着性を示し、同時にその成型で使用している金型に対して型離れ性が優れているので、このシリコーンゴム組成物は、有機樹脂との一体成型用シリコーンゴム組成物として好適である。