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特許7132370冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/26 20060101AFI20220830BHJP
   B24C 1/00 20060101ALI20220830BHJP
   B24C 3/30 20060101ALI20220830BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B24C3/26
B24C1/00 B
B24C3/30
B24C9/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021004870
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109511
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2021-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 明典
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-029668(JP,U)
【文献】特開平07-100767(JP,A)
【文献】実公平03-009977(JP,Y2)
【文献】特許第6742602(JP,B2)
【文献】特開2003-136409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/26
B24C 3/30
B24C 9/00
B24C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍バリ取り装置における処理室の内部空間に配置され、内部に被処理物を収容しながら軸方向で回転する筒状部材からなり、前記被処理物を冷凍しながら、ショット材の投射によって前記被処理物からバリを除去するための冷凍バリ取り装置用バケットであって、
一端側が底部とされ、他端側に被処理物が投入される投入口が開口した有底筒状に構成されるとともに、前記底部及び筒部に、前記ショット材が透過し、且つ、前記被処理物が透過しない、複数の透孔が設けられている収容部と、
前記収容部における前記投入口の縁部に接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部、及び、平面視で前記フレーム部に囲まれ、前記ショット材が透過し、且つ、前記被処理物が透過しない、複数の透孔が設けられるとともに、前記処理室の内部空間において前記ショット材の投射口と相対するように配置される窓部を有し、前記投入口を覆うように開閉自在とされることで、前記被処理物が前記収容部から飛び出すのを防止するとともに、前記被処理物を入れ換えることが可能に配置される蓋と、
前記蓋を、前記収容部に対して開閉自在に締結する締結部と、を備えることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケット。
【請求項2】
前記収容部における前記投入口の前記縁部、及び、前記蓋における前記フレーム部の内の何れか一方が、互いに接する相手側に向かうに従って前記収容部の中心軸側に傾斜するテーパ面を有し、該テーパ面の先端が、互いに接する相手側の少なくとも一部に対して挿入自在に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
【請求項3】
前記収容部における前記投入口の前記縁部が内縁及び外縁からなり、
前記蓋の前記フレーム部が、該フレーム部の周縁から前記収容部側に向かうに従って前記収容部の中心軸側に傾斜するテーパ面を有し、
前記フレーム部の前記テーパ面が、前記収容部側の前記内縁と接することにより、前記テーパ面の先端が、前記投入口から前記収容部の内部に入り込むように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
【請求項4】
前記蓋が、前記締結部によって前記収容部の前記投入口に対して押圧されることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
【請求項5】
前記収容部が円筒形状であり、前記蓋における前記フレーム部が円環状であることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
【請求項6】
冷媒によって冷却される処理室と、
前記処理室の内部空間に配置されるとともに、被処理物が投入される投入口が開口して設けられ、内部に被処理物を収容するバケットと、
前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、
を備える冷凍バリ取り装置であって、
前記バケットが、請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであることを特徴とする冷凍バリ取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製品や金属製品等(以下、被処理物と称する場合がある。)のバリを除去する装置として、例えば、冷凍した処理室内に配置されたバケット中に被処理物を投入し、ばバケットを回転させながら被処理物に向けてショット材を投射することにより、バリ取りを行う冷凍バリ取り装置が提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2を参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、冷凍バリ取り装置は、冷凍設備によって処理室内を冷却し、回転するバケットに収容された被処理物を冷却しながら、被処理物に向けてショット材を投射して、加工過程で被処理物に残存したバリを除去する。
【0004】
ここで、特許文献1の冷凍バリ取り装置においては、バケットの開口部に向けてショット材を投射する構成が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の冷凍バリ取り装置の構成では、バケットの開口部から被処理物が飛び出てしまい、効率的なバリ取りを行うことができないという問題がある。
【0005】
これに対し、特許文献2の冷凍バリ取り装置においては、被処理物がバケットの開口部から飛び出すのを防止するため、バケットの開口部に半円リング状のキャップが備えられた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-100767号公報
【文献】実開平5-029668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された冷凍バリ取り装置によれば、被処理物が開口部から飛び出すのを、一定程度、防止することが可能である。しかしながら、特許文献2においても、バケットに開口部が設けられていることから、冷凍バリ取り装置の運転条件、又は、被処理物の形状や大きさ、あるいは重さ等によっては、被処理物がバケットから飛び出してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、バケットから被処理物が飛び出すのを防止でき、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことが可能で、生産性に優れた冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、バケットの投入口を覆う蓋の構造を最適化することで、バケットから被処理物が飛び出すのを効果的に防止でき、効率良く被処理物のバリ取りを行うことが可能となり、歩留まりが向上するとともに生産性も向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、請求項1に係る発明は、冷凍バリ取り装置における処理室の内部空間に配置され、内部に被処理物を収容しながら軸方向で回転する筒状部材からなり、前記被処理物を冷凍しながら、ショット材の投射によって前記被処理物からバリを除去するための冷凍バリ取り装置用バケットであって、一端側が底部とされ、他端側に被処理物が投入される投入口が開口した有底筒状に構成されるとともに、前記底部及び筒部に、前記ショット材が透過し、且つ、前記被処理物が透過しない、複数の透孔が設けられている収容部と、前記収容部における前記投入口の縁部に接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部、及び、平面視で前記フレーム部に囲まれ、前記ショット材が透過し、且つ、前記被処理物が透過しない、複数の透孔が設けられるとともに、前記処理室の内部空間において前記ショット材の投射口と相対するように配置される窓部を有し、前記投入口を覆うように開閉自在とされることで、前記被処理物が前記収容部から飛び出すのを防止するとともに、前記被処理物を入れ換えることが可能に配置される蓋と、前記蓋を、前記収容部に対して開閉自在に締結する締結部と、を備えることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記収容部における前記投入口の前記縁部、及び、前記蓋における前記フレーム部の内の何れか一方が、互いに接する相手側に向かうに従って前記収容部の中心軸側に傾斜するテーパ面を有し、該テーパ面の先端が、互いに接する相手側の少なくとも一部に対して挿入自在に配置されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記収容部における前記投入口の前記縁部が内縁及び外縁からなり、前記蓋の前記フレーム部が、該フレーム部の周縁から前記収容部側に向かうに従って前記収容部の中心軸側に傾斜するテーパ面を有し、前記フレーム部の前記テーパ面が、前記収容部側の前記内縁と接することにより、前記テーパ面の先端が、前記投入口から前記収容部の内部に入り込むように配置されていることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記蓋が、前記締結部によって前記収容部の前記投入口に対して押圧されることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記収容部が円筒形状であり、前記蓋における前記フレーム部が円環状であることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
【0015】
請求項6に係る発明は、冷媒によって冷却される処理室と、前記処理室の内部空間に配置されるとともに、被処理物が投入される投入口が開口して設けられ、内部に被処理物を収容するバケットと、前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、を備える冷凍バリ取り装置であって、前記バケットが、請求項1~請求項5の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
【0016】
なお、本発明における「平面視囲繞形状」とは、平面視で中心方向を囲むように長尺で配置、形成された形状を含み、例えば、平面視で矩形状や環状の他、これらの中間的な形状も含むものであり、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケットによれば、有底筒状とされ、投入口を有する収容部と、投入口の縁部に接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部、及び、フレーム部に囲まれた窓部を有し、投入口を覆うように開閉自在に配置される蓋と、蓋を、収容部に対して開閉自在に締結する締結部とを備えた構成を採用している。
本発明によれば、上記構成を採用することで、収容部が閉空間となるので、被処理物が飛び出すのを確実に防止できる。また、蓋に、ショット材が透過可能な窓部が設けられているので、収容部が閉空間であるのにも関わらず、バリ取りを行うことが可能となる。さらに、蓋を、収容部の投入口に対して締結する締結部が備えられているので、バリ取り処理中に蓋が脱落したりするのを確実に防止できる。
従って、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性に優れた冷凍バリ取り装置用バケットを提供できる。
【0018】
また、本発明に係る冷凍バリ取り装置によれば、上述した本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケットを備えたものなので、上記同様、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性に優れた冷凍バリ取り装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置全体の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置の内部構成を示す破断図で、扉を閉めて処理室の開口部を覆った状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置の内部構成を示す破断図で、扉を空けて処理室の開口部を開放した状態を示す図である。
図4A】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それが備えられる冷凍バリ取り装置について模式的に説明する図であり、バケットの取り付け構造を示す概略図である。
図4B】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それが備えられる冷凍バリ取り装置について模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置用バケットが取り付けられるバケット保持部の構造を示す概略図である。
図5A】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置用バケットを側面側及び底面側から見た概略図である。
図5B】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図5A中に示したA-A断面及びB-B断面を示す断面図である。
図6A】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、収容部の投入口と蓋とが接した状態の一例を拡大して示す断面図である。
図6B】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図6A中に示した収容部の投入口と蓋とを離間させた状態を拡大して示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、収容部の投入口と蓋とが接した状態の他の例を拡大して示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、収容部の投入口と蓋とが接した状態の他の例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置について、図1図8を適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大あるいは簡略化して示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0021】
本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット(以下、単にバケットと略称する場合がある。)、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置によってバリ取り処理が施される被処理物としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック成型品やゴム成型品等のような樹脂製品、又は、ダイカスト成型品等の金属製品が挙げられる。
本実施形態のバケット及び冷凍バリ取り装置は、上記のような各種の被処理物のうち、特に、プラスチック材料やゴム材料等からなる樹脂成型品のような、硬度が低く傷つきやすい被処理物のバリ取りを行う場合に好適なものである。
【0022】
<冷凍バリ取り装置の全体構成>
以下、本実施形態の冷凍バリ取り装置の全体構成について詳述する。
図1は、本実施形態の冷凍バリ取り装置1の全体の外観を示す斜視図である。図2及び図3は、冷凍バリ取り装置1の側方から見た内部構成を示す破断図で、図2は、扉5を閉めて処理室2の開口部21を覆った状態を示す図であり、図3は、扉5を空けて処理室2の開口部21を開放した状態を示す図である。図4Aは、バケット(冷凍バリ取り装置用バケット)3の取り付け構造を示す図であり、図4Bは、バケット3が取り付けられるバケット保持部31の構造を示す図である。
【0023】
本実施形態の冷凍バリ取り装置1は、冷媒によって冷却される処理室2と、処理室2の内部空間Dに配置されるとともに、被処理物M(図5Bを参照(以下同様))が投入される投入口3aが開口して設けられ、内部に被処理物Mを収容するバケット3と、被処理物Mに向けてショット材S(図2を参照(以下同様))を投射するショット機4と、処理室2の開口部21を開閉する扉5と、バケット3に接続されて該バケット3を回転させる回転軸81を有し、扉5に取り付けられたモータ8と、を備え、概略構成される。
【0024】
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置1には、上記の各構成に加え、さらに、移動機構9と、排気部11と、制御パネル12とが備えられている。
上記の各構成要素は、冷凍バリ取り装置1全体の枠組体となる筐体10に組み付けられるか、あるいは、筐体10に収容されるように備えられる。
【0025】
処理室2は、内部に備えられるバケット3に収容された被処理物Mを冷凍しながら、内部空間Dで被処理物Mのバリ取り処理を実施するものである。
処理室2は、例えば、ステンレス材料からなる内壁板と外壁板との間に発泡スチレンやフォーミング材等の断熱材が介装され、断熱構造を有した複合板2Aによって、図2等に示すような内部空間Dが確保された構成を採用できる。
【0026】
処理室2には、冷凍バリ取り装置1の前面側に開口した開口部21が設けられ、この開口部21からバケット3が外部に露出することで、バケット3に収容するバリ取り処理前の被処理物Mの搬入、並びに、バリ取り処理が完了した被処理物Mの搬出が可能な構成とされている。即ち、図示例においては、開口部21が、扉5によって開閉可能に覆われており、バケット3への被処理物Mの搬入又は搬出を行う際に、扉5を開閉できるように構成されている。
【0027】
また、処理室2における開口部21の平面視で外側には、平面視囲繞形状で図視略のプレートが配置されており、このプレートの表面には、後述のシール固定板及びボルトによって図視略のシール材が固定されている。
【0028】
処理室2の底部側は、排出孔24を有したホッパ25とされており、排出孔24から、被処理物Mから除去された図視略のバリ等の廃棄物、及び、使用したショット材Sの両方を、後述の選別器7に向けて送り込むことが可能な構造とされている。
【0029】
処理室2には、冷媒供給部28が接続されており、この、冷媒供給部28から処理室2の内部に向けて冷媒を供給することで、処理室2(内部空間D)が冷却される構成とされている。冷媒供給部28としては、例えば、冷媒を貯留するタンクに加え、バルブ28bが介装された冷媒供給管28aと、処理室2内の温度を測定する図視略の温度センサと、該温度センサからの指令によってバルブ28bを開閉操作させ、冷媒の供給量を調整する制御部と、処理室2の内部空間Dに向けて冷媒を噴出するノズル28cとからなるものを採用できる。
【0030】
上記の冷媒供給部28は、温度センサで測定された処理室2の温度に応じてバルブ28bが自動的に開閉されることで、処理室2の温度を自動調整できる。このような処理室2の温度の調整は、例えば、制御パネル12を操作することで冷却温度を設定することで、図視略の制御手段によって行われる。
処理室2の冷却、ひいては被処理物Mの冷却に用いる冷媒としては、被処理物Mを脆化温度以下に冷却でき、且つ、不活性な物質を使用することができ、例えば、液化窒素、液化炭酸ガス等の液化不活性ガスからなる冷媒が挙げられる。
【0031】
さらに、本実施形態では、処理室2内で発生した冷媒を含む気化ガスを大気中に放出するための配管からなる排気部11を備えた構成を採用できる。排気部11としては、排気管に加え、さらに、大気の処理室2内への流入を制限する図視略のダンパと、処理室2内で発生した塵埃を集塵する図視略の集塵機とを備えた構成を採用できる。
【0032】
バケット3は、上述したように、処理室2内に設置され、内部に被処理物Mを収容しながら軸方向で回転する筒状部材である。
本実施形態のバケット3のより詳細な構成については後述する。
【0033】
扉5は、処理室2の開口部21を開閉するものであり、例えば、図視略の蝶番部材によって開閉自在に構成される。即ち、扉5は、被処理物Mをバケット3内に搬入あるいは搬出する際に、作業者あるいは図視略の自動開閉機構によって開閉動作が行われる。扉5は、処理室2内で被処理物Mにバリ取り処理を施す際、処理室2の開口部21を覆うことで内部空間D並びに被処理物Mの冷却効率を向上させることにより、効果的なバリ取り処理が可能になるという効果を奏する。
【0034】
また、本実施形態で説明する扉5は、処理室の前記開口部に対して、所謂プルダウン方式で開閉する構造を有している。即ち、扉5は、下端5bが蝶番51によって筐体10に固定され、また、左右の両端5c、5dがスライドレール52及びダンパ53を介して筐体10に固定されていることで、上端5aが揺動して扉5の開閉を行うことが可能な構成とされている。
【0035】
モータ8は、バケット3を回転させる駆動源であり、回転軸81にバケット3が取り付けられていることで、バケット3を軸方向で正逆転方向に回転させる。図2中に示す例では、モータ8は、扉5の処理室2側と外部(大気)側を跨ぐように、且つ、回転軸81が処理室2側を向くように配置されている。
【0036】
図2及び図3等に示す例では、モータ8の回転軸81の先端81aに筒状のバケット保持部31が取り付けられている。バケット保持部31のバケット挿入口31aにバケット3が挿入されることで、バケット3がバケット保持部31に対して着脱自在に取り付けられている。これにより、本実施形態では、扉5を閉めた状態において、モータ8、バケット保持部31及びバケット3が、処理室2の内部空間D内に浮かぶように設置されている。
【0037】
バケット保持部31に対するバケット3の保持方法としては、特に限定されないが、例えば、バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入する方法の他、バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入して嵌合する方法、複数の金具等によってバケット3をバケット保持部31に固定する方法を採用できる。バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入する方法を採用する場合、バケット保持部31に挿入される部分のバケット3の外径は、バケット保持部31の内径よりも小さい径とする。これにより、作業者がバケット3を容易に脱着することが可能となる。
【0038】
なお、バケット3の固定方法は、図示例のような、バケット保持部31に着脱可能に固定する方法には限定されず、例えば、モータ8の回転軸81の先端81aに、バケット3を直接取り付けることも可能である。
【0039】
図4A及び図4Bに示すように、バケット保持部31は、金属製の棒材からなる保持フレーム31bと、該保持フレーム31bとモータ8の回転軸81とを連結する連結体31cとから構成される。バケット保持部31の内径、即ち、投入口3aの内径は、バケット3の外径よりも大きく構成され、また、保持フレーム31bの高さは、筒状とされたバケット3の軸方向高さに対して概略半分程度とされている。また、バケット保持部31に開口領域31dが設けられ、ショット材Sやバリがバケット3を通過しやすい構成とされている。
【0040】
上記のように、バケット3が着脱可能に構成されることで、被処理物Mの種類に適した形状、材質のバケット3を用いてバリ取りを行うことができるので、効率的な処理が可能になる。また、被処理物Mをバケット3に収容した状態で、バケット保持部31にバケット3を挿入、脱着できるので、被処理物Mの紛失や、落下等による汚損を防止することが可能になる。さらに、被処理物Mを、バケット3に収容した状態で管理できるため、工程において、誤って別製品が混入するのを防止することが可能になる。
【0041】
図2及び図3に示す例では、バケット3は、詳細を後述する移動機構9により、モータ8とともに扉5に支持されている。また、バケット3は、移動機構9によって扉5の開閉動作に連動して作動することで、扉5が開口部21を覆って閉じているときは、バケット3の投入口3aが処理室2の開口部21と反対側に位置するように、モータ8とともに配置される。一方、扉5が開口部21を開放しているときは、バケット3の投入口3aが開口部21側に位置するように、モータ8とともに配置される。なお、本明細書で説明する開口部21の反対側とは、開口部21に対して、冷凍バリ取り装置1の内部側を意味する。また、開口部21側とは、開口部21に対して、冷凍バリ取り装置1の外部側を意味する。
【0042】
図3に示す例においては、バケット3及びモータ8は、扉5が開口部21を開放しているとき、移動機構9によって処理室2の外部に位置するように配置されている。即ち、図示例では、バケット3は、扉5を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いて配置される。
【0043】
図1及び図3に示すように、移動機構9は、レバー91と、スライドレール92と、ダンパ93とを有する。
【0044】
レバー91は、扉5の下側に設けられた蝶番51と反対側、即ち、扉5の上側における両側の2箇所に設けられ、扉5と筐体10との間を着脱可能に固定できる構造を備える。
冷凍バリ取り装置1において、例えば、扉5を開放状態とする場合には、レバー91を操作して扉5と筐体10との間の固定状態を解消させることで、扉5が蝶番51を支点に回動して開放方向に移動可能となる。一方、扉5を閉じる場合には、蝶番51を支点に扉5を回動させ、開口部21を覆う方向に移動させることで、レバー91の固定構造によって扉5と筐体10とを固定する。
【0045】
スライドレール92は、扉5における鉛直方向で概略中間の位置で、扉5の両側に設けられ、扉5が所定の角度以上で開放されないように筐体10に対して固定しながら、且つ、扉5を開放自在に支持する構造を備える。
スライドレール92は、詳細な図示を省略するが、例えば、長尺板状の金具と、その両端を扉5又は筐体10に支持するボルトとからなり、上記の金具に長尺方向に沿って形成された長孔に、ボルトが隙間を有して緩く介挿されることで、ボルトが長孔に沿って移動可能に構成される。これにより、スライドレール92は、扉5の開放角度を制限しながら、扉5を筐体10に対して固定するとともに、扉5を開放自在に支持する。
【0046】
ダンパ93は、扉5の下側における両側、即ち、蝶番51の側方の2箇所に設けられ、スライドレール92と同様、扉5を、その開放角度を制限しながら筐体10に対して固定し、且つ、扉5を開放自在に支持するとともに、扉5を所望の位置で一時的に停止させることが可能なダンパ機能を有する。
ダンパ93は、例えば、介挿状態でスライド可能な大径部と小径部とからなり、作動油等を用いることで、ダンパ機能を有するとともに、伸縮自在とされたものを使用できる。
【0047】
そして、図2に示すように、扉5に対して、モータ8、バケット保持部31並びにバケット3が所定の角度αで取り付けられていることで、バケット3及びモータ8の位置及び向きの両方が、扉5の開閉動作に連動して作動する。
【0048】
即ち、図2に示すように、扉5が開口部21を覆って閉じているときは、バケット3の投入口3a及び蓋33が開口部21と反対側に位置するようにバケット3及びモータ8を配置する。このように、扉5が閉じているときは、バケット3の投入口3a及び蓋33が、ショット機4の投射口4aと相対するように配置されることで、ショット材Sによる被処理物Mのバリ取りを効率よく行うことが可能となる。
【0049】
一方、図3に示すように、扉5が開口部21を開放しているときは、バケット3の投入口3aが、蓋33を取り外した状態で開口部21側に位置するようにバケット3及びモータ8を配置する。即ち、扉5が開放しているときは、バケット3及びモータ8が処理室2の外部に移動し、バケット3の投入口3a及び蓋33が鉛直上方を向くように配置されることで、バケット3のバケット保持部31への着脱や、蓋33の取り外し、あるいは被処理物Mの搬入及び搬出等を容易に行うことが可能となる。
【0050】
図2に示した断面図のように、扉5を閉めた状態における、扉5の垂直方向に沿った線L1とバケット保持部31の中心軸線L2とがなす角度αは、扉5を閉めたときに、バケット3がバケット保持部31から脱落しない程度の角度に設定することが好ましい。上記の角度αの好ましい反意は、バケット3の保持性並びにバリ取り効率を考慮した場合、下限は40°であり、上限は90°(水平)である。ここで、被処理物Mの撹拌効率が高められ、効率的にバリの除去が可能になる観点からは、上記の角度αは水平(90°)に近づくほど好ましいが、バケット3の保持性及びバリ取り効率を両立させる観点からは、上記の角度αを50~60°程度とすることがより好ましい。
【0051】
図3に示した断面図のように、移動機構9を構成するレバー91のロックを解除することで、スライドレール92が伸びるとともに、ダンパ93が縮み、扉5を開放することができる。
一方、図2中においては移動機構の図示を省略しているが、扉5を閉めた状態とした場合には、スライドレールが縮むとともに、ダンパが伸びた状態となる。
【0052】
なお、上記のようなプルダウン方式で開閉する構造を有する扉5の開閉角度は、特に限定されないが、バケット3の蓋33が、筐体10や処理室2の内壁等に対向しない状態、即ち、バケット3が起き上がり、投入口3a及び蓋33が上方に配置されるような角度が好ましい。また、バケット3のバケット保持部31に対する着脱のし易さを考慮し、バケット3の中心軸が鉛直上方を向くような角度であることがより好ましい。
【0053】
本実施形態においては、扉5が開口部21を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが、処理室2の開口部21と対向しない方向を向いて配置されることが好ましい。
さらに、本実施形態では、図3に示す例のように、扉5が開口部21を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いて配置されることがより好ましい。
【0054】
上記のように、扉5が開いているときの、バケット保持部31のバケット挿入口31aの開口方向や位置を最適化することにより、バケット3が、処理室2の内壁や筐体10等に接触・衝突し難くなるので、処理室2の内部空間Dへのバケット3の搬入や搬出が容易になる。
また、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いていることで、バケット3をバケット保持部31に着脱するときの作業性が向上する。
【0055】
また、扉5を開放したとき、作業者が、扉5、モータ8、バケット保持部31及びバケット3の両側(左右側)に立って作業することができるので、作業者が作業環境に応じて作業位置を選択することができることから、作業性がより向上する効果が得られる。さらに、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いていることで、場所を有効活用しながら工程上の作業ラインを構築することが可能になる。
【0056】
選別器7は、処理室2に備えられたホッパ25(排出孔24)から下方に落下するバリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、このショット材Sよりもサイズが大きなバリ、ショット材S、及びショット材Sよりもサイズが小さなバリに選別する。
具体的には、図2等に示す選別器7は、詳細な図示を省略するが、大バリ収納タンクを備える大バリ選別用振動篩と、ショット材貯槽73及び小バリ収納タンクを有するショット材選別用振動篩を備えた選別部とを備える。
選別器7は、上記構成により、処理室2からホッパ25を介して落下排出される、バリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、外気に触れることなく選別する。
【0057】
ショット機4は、上述したように、被処理物Mに向けてショット材Sを投射する。
具体的には、ショット機4は、上述した選別器7に備えられるショット材貯槽73内に収容されたショット材Sを、インペラ42の回転によって吸引ホース41で吸引し、バケット3内に向けて投射する。バリを有する被処理物Mは、ショット材Sの投射に伴う衝撃により、バリが除去される。
ショット機4のケース体には、断熱構造のものを使用することができる。
また、ショット機4によって投射されるショット材Sとしては、一般的なプラスチック材料からなるものが用いられる。
【0058】
なお、本実施形態では、上述した扉5が開口部21を覆って閉じているときは、ショット機4における投射口4aと、バケット3の投入口3aとが対向するように配置されることがより好ましい。このように、ショット機4の投射口4aと、バケット3の投入口3aとが対向して配置されることで、被処理物Mに対してショット材Sを効率的に投射できるので、効率的なバリ取り処理が可能となる。
【0059】
なお、本実施形態の冷凍バリ取り装置1においては、扉5によって開口部21が覆われた処理室2(内部空間D)の密閉性を高めるため、図視略のシール材を設けることができる。シール材は、例えば、処理室2の開口部21を取り囲むように配置される図視略のフレームに沿って設置され、全体として平面視で囲繞形状となるように配置される長尺の部材からなる。シール材は、例えば、図視略のフレームに接着されるか、あるいは、フレームとシール固定板との間に狭持されることで、フレームに固定することができる。
シール材は、処理室2の開口部21を扉5で覆ったとき、扉5と図視略のフレームとの間で圧縮されることで、扉5と開口部21との間をシールする作用が得られるものである。
【0060】
シール材は、長尺状、例えば、平面視で紐状に構成され、耐寒性(耐低温性)に優れる弾性体材料からなる。このようなシール材を構成する弾性体材料としては、特に限定されないが、ニトリルゴムやシリコーンゴム等のゴム材料が挙げられる。
【0061】
また、シール材は、例えば、長手方向に沿った中空構造とされているとともに、その表面に、シール材の長手方向で連続するように長尺に形成された複数の突起を設けた構成とすることで、扉5を閉めた際にシール材が圧縮され、処理室2(内部空間D)の密閉性をより高めることが可能となる。
【0062】
本実施形態の冷凍バリ取り装置1の各部材に用いられる材料としては、特に限定されず、適宜選択することが可能である。例えば、本実施形態の冷凍バリ取り装置1が、処理室2及びバケット3、並びにバケット3に収容された被処理物M等を冷却し、さらに、その周辺部材も冷却されるであろうことを考慮すると、各部材の材料には、強度、防錆性及び耐低温特性等の観点から、ステンレス材料を用いることが好ましい。
【0063】
[冷凍バリ取り装置用バケット(バケット)の構成]
以下に、本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット(バケット)3について、主に図5A図5B図6A図6B図7を参照しながらより詳細に説明するする。
図5Aは、バケット3を側面側及び底面側から示す図で、図5Bは、図5A中のA-A及びB-B断面図である。図6Aは、収容部の投入口と蓋とが接した状態の一例を拡大して示す断面図であり、図6Bは、図6A中に示した収容部の投入口と蓋とを離間させた状態を拡大して示す断面図である。また、図7は、収容部の投入口と蓋とが接した状態の他の例を拡大して示す断面図である。
【0064】
図5A及び図5Bに示すように、本実施形態のバケット3は、一端側が底部3bとされ、他端側に被処理物Mが投入される投入口3aが開口し、これらの間が筒部3dとされた有底筒状の収容部30を有する。収容部30は、底部3b及び筒部3dに複数の透孔3fが設けられている。また、図示例においては、収容部30における筒部3dの内面3eに、被処理物Mを攪拌するために設けられる、詳細を後述する攪拌翼35が配置されている。
【0065】
そして、本実施形態のバケット3は、収容部30における投入口3aの縁部3iに接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部33a、及び、平面視でフレーム部33aに囲まれた窓部33bを有し、投入口3aを覆うように開閉自在に配置される蓋33と、蓋33を、収容部30に対して開閉自在に締結する締結部34とを備え、概略構成されている。
【0066】
収容部30は、上述したように、投入口3a、底部3b及び筒部3dを有してなる。即ち、投入口3a及び底部3bは平面視で円形状であり、筒部3dも、軸方向から見た内外周が円形状とされている。また、収容部30としては、上記のような円形筒状のものには限定されず、中空(筒状)の部材であれば如何なる部材を使用することができ、例えば、多角形の筒状部材を用いることも可能である。また、底部3bは、筒部3dの一端側を覆うように、この筒部3dに固定されている。また、投入口3aは、円形状の内縁3j及び外縁3kからなる縁部3iを有し、詳細については後述するが、蓋33を構成するフレーム部33aと接触する。
【0067】
底部3b及び筒部3dに設けられた複数の透孔3fは、例えば、上述したショット機4から投射されるショット材Sが透過でき、且つ、被処理物Mが漏れない程度の大きさとされている。このような複数の透孔3fを有する底部3b及び筒部3dには、例えば、金属製の多孔板を用いることができ、具体的には、金属板に孔を打ち抜いたパンチングメタルや金網等を採用することができる。このように、底部3b及び筒部3dにパンチングメタルや金網を用いることで、バケット3の回転時、被処理物Mに損傷が生じるのを抑制できる効果が得られる。
なお、筒部3dにおける投入口3aの近傍には、作業性の確保やバケット3の密封性等を考慮し、複数の透孔3fを設けないことが好ましい。
【0068】
なお、収容部30を構成する各部材の材料としては、機械的強度や防錆性等の観点から、例えば、ステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0069】
蓋33は、投入口3aを覆うものであり、図5A及び図5Bに示すように、投入口3aの内縁及び外縁と接するフレーム部33aと、平面視でフレーム部33aに囲まれるように配置される窓部33bとから構成される。
【0070】
フレーム部33aは、平面視で円環状に構成され、上下面及び内外周面を有した断面多角形状とされており、下面側が収容部30の投入口3aの縁部3iに接触している。
なお、フレーム部33aは、図示例のような平面視円環状の部材には限定されず、バケット3の蓋33としての機能を維持できる範囲で、他の形状の部材を採用することも可能である。
一方、本実施形態においては、上述した収容部30を円筒形状とし、蓋33におけるフレーム部33aを円環状に構成することが、バケット3を回転させた際に被処理物Mが効果的に攪拌される点や、収容部30内の密封性を保持でき、さらに、取扱性も高められる観点から好ましい。
【0071】
窓部33bは、円環状のフレーム部33aによって囲まれた領域であり、フレーム部33aの内周面によって開口された円形状の領域を覆うように、フレーム部33aに固定される。また、窓部33bは、収容部30における底部3bや筒部3dと同様、複数の透孔が、平面視で全体にわたって設けられている。
窓部33bの材料としても、上述した収容部30の底部3bや筒部3dと同様、例えば、パンチングメタルや金網等を何ら制限無く用いることができる。
【0072】
なお、窓部33bは、図示例のような平面視円形状には限定されず、フレーム部33aの内周面の形状を変更することにより、平面視多角形状とすることも可能である。
【0073】
本実施形態のバケット3は、上述したように、蓋33が、収容部30における投入口3aの縁部3iに接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部33a、及び、平面視でフレーム部33aに囲まれた窓部33bを有し、投入口3aを覆うように開閉自在に配置される。即ち、図6A及び図6Bに示す例のように、蓋33の備えられるフレーム部33aの下面側が、収容部30の筒部3dの上端となり、投入口3aを確保する縁部3iに接するように配置される。
【0074】
本実施形態によれば、上記構成を備えることで、蓋33が収容部30に対して締結されたとき、フレーム33aの下面と収容部30の縁部3iとが接することにより、蓋33と収容部30との隙間がほぼ無い状態となる。これにより、バケット3の内部は閉空間となるので、バケット3から被処理物Mが飛び出すのを防止できる。一方、ショット材Sは窓部33bと収容部30に設けられた複数の透孔3fから収容部30内に入り込むので、バケット3の内部が閉空間になっているのにも関わらず、ショット材Sが被処理物Mに対して効果的に衝突する。従って、被処理物Mがバケット3から飛び出すのを防止しながら、効率的にバリ取りを行うことが可能になる。
【0075】
本実施形態では、収容部30における投入口3aの縁部、及び、蓋33におけるフレーム部33aの内の何れか一方が、互いに接する相手側に向かうに従って収容部30の中心軸側に傾斜するテーパ面を有し、このテーパ面の先端が、互いに接する相手側の少なくとも一部に対して挿入自在に配置されていることがより好ましい。具体的には、図7に例示するような、蓋33の収容部30の内部への挿入構造を採用することが好ましい。
【0076】
図7に示す例では、収容部30における投入口3aの縁部3iが内縁3j及び外縁3kからなり、内縁3jから外縁3kに向かうに従って突出するように傾斜する傾斜面3mを有している。一方、蓋33のフレーム部33aは、このフレーム部33aの周縁33cから収容部30側に向かうに従って、収容部30の中心軸側に傾斜するテーパ面33dを有している。そして、図示例では、フレーム部33aにおけるテーパ面33dの先端が、投入口3aの縁部3iから収容部30の内部に入り込むように配置されており、傾斜面3mとテーパ面33dとが面接触している。また、収容部30は、傾斜面3mを有していない構成、即ち、内縁3jと外縁3kの底部3bからの高さが同じ構成であってもよい。
【0077】
本実施形態では、図7に示すような挿入構造を採用することにより、フレーム部33aのテーパ面33dが、収容部30側の内縁3jに沿って収容部30の内部に入り込む。このとき、例えば、蓋33の中心軸と収容部30の中心軸との間にずれが生じている場合でも、テーパ面33dと縁部3iとの接触作用により、収容部30の中心軸方向に向かう力が蓋33に作用する。このような作用により、蓋33で投入口3aを覆う際、蓋33と収容部30とがほぼ同軸になるように位置決めすることが可能になるので、作業者による蓋33の開閉作業や被処理物Mの入れ換え作業等が容易になる効果が得られる。また、傾斜面3mとテーパ面33dが面接触しているため、蓋33と収容部30との間に隙間が生じ難くなるので、収容部30の密封性がより高められ、被処理物Mが飛び出すのを確実に防止できる。
【0078】
締結部34は、蓋33を、収容部30の投入口3aに対して開閉可能に締結する。
締結部34としては、蓋33を投入口3aに対して押圧できる構造のものが好ましく、例えば、パッチン錠等を採用できるが、ボルトを用いて固定する方法を採用しても構わない。
【0079】
本実施形態においては、蓋33が、締結部34によって収容部30の投入口3aに対して、例えば、パッチン錠等による作用で押圧されるように構成されることが好ましい。これにより、蓋33と収容部30との間に隙間が生じ難くなるので、収容部30の密封性がより高められ、被処理物Mが飛び出すのを確実に防止できる。
【0080】
ここで、収容部30を構成する材料(金属板)の厚さは、一般に、1mm程度と比較的薄肉である。このため、バケット3の製造上の出来栄えや、使用中の外力の印加等により、収容部30に歪みが生じることがあるが、この歪みにより、蓋33と収容部30との間に隙間が生じる場合がある。
【0081】
しかしながら、上記のように、蓋33が、締結部34によって収容部30の投入口3aに対して押圧されることにより、上記のような収容部30の歪みが、蓋33のフレーム部33aとの接触面に沿って矯正される。これにより、万が一、蓋33と収容部30との間に、上記の歪みに伴う隙間が生じている場合であっても、この隙間を押圧によって小さく抑えることができる。従って、バケット3から被処理物Mが飛び出すのを確実に防止することが可能になる。
【0082】
特に、冷凍バリ取り装置を操作する作業者にとっては、バケット3を筒部3dの外周面側から挟むように把持して持ち上げることが多いため、収容部30の投入口3aの位置が楕円形等の形状に歪む場合がある。
これに対し、本実施形態のバケット3においては、蓋33のフレーム部33aがテーパ面33dを有しており、このテーパ面33dにより、蓋33が収容部30に押圧される押圧力の一部が、収容部30の内縁3jを外側方向に向けて押し広げる力に変換される。これにより、収容部30における投入口3aの歪みが矯正されるので、例え、収容部30の投入口3a付近に歪みが生じている場合であっても、蓋33と収容部30との間の隙間を小さく抑制することができる。従って、上述したような、バケット3から被処理物Mが飛び出すのを防止する効果が確実に得られる。
【0083】
また、締結部34は、蓋33の外周方向で2箇所以上に設けられていることが好ましい。
さらに、締結部34を複数で設けた場合、これらが同一構造である必要は無い。例えば、一の締結部34がパッチン錠からなり、他の締結部34が蝶番からなる構成を採用することも可能である。
【0084】
<冷凍バリ取り装置の運転方法>
次に、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3を備える冷凍バリ取り装置1を用いて、被処理物Mのバリ取り処理を行う手順について、上記と同じ図面を参照しながら説明する。
【0085】
まず、制御パネル12を操作し、処理室2に向けて、冷媒供給部28から液体窒素等の冷媒を供給して内部空間Dの冷却を開始し、所望の温度に冷却する。この際の冷却温度は、被処理物Mが脆化する温度以下とする。被処理物Mが樹脂やゴムからなる場合には、ガラス転移温度以下に冷却することが好ましいが、脆化温度以上の冷却温度であってもよい。
【0086】
次に、バケット3の収容部30に被処理物Mを投入する。この際、蓋33の下面側が収容部30における投入口3aに接触した状態で締結部34を操作することにより、蓋33をバケット3に締結した状態とする。これにより、バケット3の内部が閉空間となる。
【0087】
次に、処理室2が十分に冷却されたことを確認し、レバー91のロックを解除して扉5を開放することで処理室2の開口部21を開放した状態とする。この際、バケット保持部31は、バケット挿入口31aが鉛直上方を向いた状態で、処理室2の外部に搬出された状態となる。
そして、被処理物Mが収容されたバケット3をバケット保持部31にセットし、扉5を閉めて開口部21を覆う。このとき、バケット3の投入口3a側、即ち、蓋33側は、ショット機4の投射口4aと相対するように配置される。
【0088】
次いで、被処理物Mの温度が脆化温度以下になった後、所定の回転速度でショット機4に備えられるインペラ42を回転させる。これにより、ショット材Sがショット材貯槽73から吸引ホース41を介して吸い上げられ、投射口4aからバケット3に向けて投射される。このとき、ショット材Sは、収容部30の底部3b及び筒部3dに形成された複数の透孔3f、及び、蓋33の窓部33bに形成された複数の透孔を透過して被処理物Mに衝突し、この被処理物Mのバリが除去される。
【0089】
この際、バケット3がモータ8の回転によって所定の速度で回転するのに伴い、内部に収容された被処理物Mが、詳細を後述する攪拌翼35によって攪拌される。
【0090】
ショット機4で投射されたショット材Sと、被処理物Mから除去されたバリは、ホッパ25から選別器7に向けて落下し、選別器7に備えられる図視略の大バリ選別用振動篩において、大きなバリを大バリ収納タンクへ回収する。一方、大バリ選別用振動篩を通過したショット材Sや小さなバリは、図視略のショット材選別用振動篩においてショット材Sと小さなバリに選別し、ショット材Sをショット材貯槽73へ、小さなバリを図視略の小バリ収納タンクへ収納する。
上記のような、篩を備える各選別手段としては、公知のものを何ら制限無く用いることができる。
【0091】
上記の手順により、ショット材Sは、ショット材貯槽73、吸引ホース41、ショット機4、処理室2、ホッパ25及び選別器7の間で循環して使用され、ショット機4及び選別器7が連動して作動するので、ショット材Sが経路中に滞留することなく、高効率で処理できる。
【0092】
ショット材Sの投射により、バケット3内の被処理物Mからバリが除去された後、ショット機4,選別器7(ショット材貯槽73を含む)の駆動を停止させる。
次いで、レバー91のロックを解除して扉5を開放することで、再び、処理室2の開口部21が開放した状態とする。この際、バケット保持部31は、バケット3を取り付けるときと同様、バケット挿入口31aが鉛直上方を向いた状態で、モータ8及びバケット3とともに処理室2の外部に搬出された状態となる。
次いで、バリ取り処理が終了した被処理物Mが収容された状態のバケット3を、そのままバケット保持部31から取り外す。
【0093】
次に、バケット保持部31から取り外したバケット3から、締結部34を解除することで蓋33を取り外し、バケット3内からバリが除去された被処理物Mを取り出した後、次にバリ取り処理を予定する被処理物Mをバケット3内に収容し、再び投入口3aを蓋33で覆う。
次いで、新たに被処理物Mが収容されたバケット3を、再びバケット保持部31にセットした後、扉5を閉めて開口部21を覆う。
次いで、上記同様、被処理物Mの温度が脆化温度以下になった後、所定の回転速度でショット機4に備えられるインペラ42を回転させることで、ショット材Sをバケット3に向けて投射することで、バケット3に収容された被処理物Mのバリ取り処理を行う。
これにより、上記同様のバリ取り処理作業を繰り返すことができる。
【0094】
<その他の形態>
以上、実施形態により、本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケット及びそれを用いた冷凍バリ取り装置の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0095】
上記の実施形態においては、扉5にモータ8、バケット保持部31及びバケット3が支持され、移動機構9によって扉5の開閉動作と、バケット3の位置及び向きの変化とが連動する冷凍バリ取り装置1を例示して説明したが、本発明に係るバケットを適用できる冷凍バリ取り装置は、これには限定されない。本発明に係るバケットは、例えば、特開平7-100767に開示されたような、バケットの位置及び向きが処理室内で固定された冷凍バリ取り装置にも適用可能である。
【0096】
また、本実施形態においては、扉5の下側に設けられた蝶番51を支点に扉5が開閉動作を行う、所謂プルダウン方式とされた例を挙げて説明しているが、これには限定されない。扉の開閉構造としては、例えば、扉の左右の何れかの側に蝶番が設けられた片開き方式の構造を採用してもよいし、あるいは、モータ8やバケット保持部31及びバケット3の取り付け形態を最適化することで、両開き方式、即ち、所謂観音開き構造を採用しても構わない。
【0097】
さらに、本実施形態においては、図7に示したような、蓋33にフレーム部33aが設けられ、このフレーム部33aのテーパ面33dが収容部30の内部に入り込むような挿入構造には限定されいない。
例えば、図8に示す例のように、収容部30Aの投入口にフレーム部30aが設けられ、このフレーム部30aに設けられたテーパ面30bの先端が、蓋33Aの側壁部33eで周囲を囲まれた領域に入り込む挿入構造を採用してもよい。
【0098】
上記構成を採用することにより、蓋33Aで収容部30Aの投入口を覆う際に、蓋33Aの中心軸と収容部30Aの中心軸との間にずれが生じている場合でも、収容部30A側に設けられたフレーム部30aのテーパ面30bと、蓋33Aに設けられた側壁部33eの先端との接触作用により、上記同様、収容部30Aの中心軸方向に向かう力が蓋33Aに作用する。これにより、蓋33Aで収容部30Aの投入口を覆う際に、蓋33Aと収容部30Aとがほぼ同軸になるように位置決めできるので、上記同様、作業者による蓋33Aの開閉作業や被処理物Mの入れ換え作業等が容易になる効果が得られる。
【0099】
さらに、本実施形態のバケットにおいては、図5Bに示す例のように、収容部30における筒部3dの内面3e、及び、底部3bの内面3cの内の少なくとも一方に、被処理物Mを攪拌する攪拌翼35が一以上で設けられた構成を採用してもよい。図示例においては、攪拌翼35は、収容部30内の計4箇所に設けられ、これら4箇所の攪拌翼35が、収容部30の軸方向から見たとき、内面3eの周方向に沿って均等な距離で配置されている。また、図5Bに示した、4箇所に設けられた攪拌翼35は、収容部30の中心軸を介して相対する攪拌翼35A,35B同士が、収容部30の軸方向、即ち、バケット3の高さ方向の位置がずれるように配置されている。即ち、図示例においては、攪拌翼35Aが、筒部3dの内面3eと底部3bの内面3cとの間に跨がるように固定されている一方、攪拌翼35Bが、筒部3dの内面3eにおける高さ方向の概略中央付近に固定されている。また、図5B中では詳細な図示を省略するが、収容部30の中心軸を介して相対する攪拌翼35Cと攪拌翼35Dとの間の配置関係も、上述した攪拌翼35Aと攪拌翼35Bとの配置関係と同様とされている。
【0100】
攪拌翼35は、図5Bに示す例では、平面視で矩形状とされた略L字状部材からなり、例えば、ボルト締めや溶接等の方法で、収容部30の筒部3dにおける内面3e、及び/又は、底部3bの内面3cに固定される。また、図示例の攪拌翼35は、その攪拌効率を考慮し、バケット3の正転方向に向かって、略L字状とされた攪拌翼35の開口方向が、バケット3の正転方向と同じ方向を向くように配置される。
【0101】
一方、攪拌翼35の開口方向は、上述したようなバケット3の正転方向と同方向に限定されるものではなく、例えば、バケット3の逆転方向に開口方向が向くように配置してもよい。
また、攪拌翼35は、図5B中に示す攪拌翼35Bのように、その長手側が、収容部30の底部3b側から投入口3a側に向かって延びるように配置してもよいし、あるいは、長手側が底部3bに沿って延びるように配置しても構わない。
さらに、攪拌翼35は、図5B中に示す攪拌翼35Bのように、短手側が収容部30の底部3b側に配置されていてもよいし、あるいは、攪拌翼35Aのように、端手側が投入口3a側に配置されていても構わない。
【0102】
なお、本明細書で説明する「バケット3の正転方向」とは、被処理物Mからバリを除去するときの、バケットの回転方向である。
【0103】
攪拌翼35の材質としては、特に限定されず、例えば、ステンレス等の金属材料や、超高分子ポリエチレン等の樹脂材料を何ら制限無く採用することができる。例えば、攪拌翼としての機械的強度を確保する観点からは金属材料を用いることが好ましく、一方、被処理物Mが損傷するのを可能な限り抑制する観点からは樹脂材料を用いることが好ましい。また、攪拌翼に、上記の機械的強度の確保、並びに、被処理物Mの損傷を抑制する効果の両方を持たせる場合には、これら金属材料及び樹脂材料を適宜組み合わせた構成を採用してもよい。なお、例えば、金型を用いた樹脂成形により、低コストの攪拌翼を生産性良く得る観点からは、攪拌翼35全体を樹脂材料から構成することが好ましい。
【0104】
また、攪拌翼35の端部の形状は、被処理物Mに損傷が生じるのを抑制する観点から、可能な限り丸みをおびた形状に加工されていることがより好ましい。
【0105】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3によれば、有底筒状とされ、投入口3aを有する収容部30と、投入口3aの縁部3iに接するように設けられる平面視囲繞形状のフレーム部33a、及び、フレーム部33aに囲まれた窓部33bを有し、投入口3aを覆うように開閉自在に配置される蓋33と、蓋33を、収容部30に対して開閉自在に締結する締結部34とを備えた構成を採用している。
上記構成を採用することで、収容部30が閉空間となるので、被処理物Mが飛び出すのを確実に防止できる。また、蓋33に、ショット材Sが透過可能な窓部33bが設けられているので、収容部30が閉空間であるのにも関わらず、バリ取りを行うことが可能となる。さらに、蓋33を、収容部30の投入口3aに対して締結する締結部34が備えられているので、バリ取り処理中に蓋33が脱落したりするのを確実に防止できる。
従って、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性に優れた冷凍バリ取り装置用バケット3を提供できる。
【0106】
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置1によれば、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3を備えたものなので、上記同様、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性に優れた冷凍バリ取り装置1を提供することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の冷凍バリ取り装置用バケットは、上記のように、バケットから被処理物が飛び出すのを防止でき、工程を停止させることなく高効率で被処理物のバリ取りを行うことが可能なものである。従って、本発明の冷凍バリ取り装置用バケットは、例えば、ショットブラスト方式により、樹脂製品や金属製品等の被処理物からバリを除去する冷凍バリ取り装置、並びに、その装置を用いた工程において極めて有用である。
【符号の説明】
【0108】
1…冷凍バリ取り装置
2…処理室
2A…複合板
21…開口部
24…排出孔
25…ホッパ
28…冷媒供給部
28a…冷媒供給管
28b…バルブ
28c…ノズル
D…内部空間
3…バケット(冷凍バリ取り装置用バケット)
30,30A…収容部
3a…投入口
3b…底部
3c…内面(底部)
3d…筒部
3e…内面(筒部)
3f…透孔(複数の透孔)
3i…縁部
3j…内縁
3k…外縁
3m…傾斜面
30a…フレーム部
30b…テーパ面
35,35A,35B,35C,35D…攪拌翼
31…バケット保持部
31a…バケット挿入口
31b…保持フレーム
31c…連結体
31d…開口領域
33,33A…蓋
33a…フレーム部
33b…窓部
33c…周縁
33d…テーパ面
33e…側壁部
34…締結部
4…ショット機
4a…投射口
41…吸引ホース
42…インペラ
5…扉
51…蝶番
7…選別器
73…ショット材貯槽
8…モータ
81…回転軸
9…移動機構
91…レバー
92…スライドレール
93…ダンパ
10…筐体
11…排気部
12…制御パネル
M…被処理物
S…ショット材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8