(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A61B8/14 ZDM
(21)【出願番号】P 2021536867
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2020026383
(87)【国際公開番号】W WO2021020038
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019137794
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】野口 雅史
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0085043(US,A1)
【文献】特開2016-158922(JP,A)
【文献】国際公開第2010/026823(WO,A1)
【文献】特開2020-005785(JP,A)
【文献】特表2009-504351(JP,A)
【文献】特開2002-330968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00- 8/15
G01N29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子アレイを含む超音波プローブとモニタを含む診断装置本体とが無線接続され且つ現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う超音波診断装置であって、
前記超音波プローブは、
前記振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームを送信し且つ前記被検体からの超音波エコーを受信した前記振動子アレイから出力される受信信号に受信フォーカス処理を施して音線信号を生成する送受信回路と、
前記送受信回路により生成された前記音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記超音波画像にフレーム毎のタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与部と、
前記タイムスタンプ付与部により前記タイムスタンプが付与された前記超音波画像を前記診断装置本体へ無線送信する無線通信回路と、
を含み、
前記診断装置本体は、
前記超音波プローブの前記無線通信回路から無線送信された前記超音波画像を受信する無線通信回路と、
前記診断装置本体の前記無線通信回路により受信された前記超音波画像に付与されている前記タイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定する連続性判定部と、
前記連続性判定部により判定された前記フレームの連続性に基づいて、前記診断装置本体の前記無線通信回路により受信された過去のフレームの超音波画像に重み付けを付与し且つ現在のフレームの超音波画像と前記重み付けが付与された前記過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、前記モニタに表示するための表示画像を生成するフレーム相関部と、
前記フレーム相関部により生成された前記表示画像を前記モニタに表示させる表示制御部と、
を含む超音波診断装置。
【請求項2】
前記フレーム相関部は、前記現在のフレームの超音波画像と複数の前記過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記フレーム相関部は、前記連続性判定部により前記フレームの連続性があると判定された場合、前記過去のフレームの超音波画像に、定められた重み付けを付与する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記タイムスタンプ付与部は、前記画像生成部による前記超音波画像の生成時刻を前記超音波画像に前記タイムスタンプとして付与する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記連続性判定部は、前記診断装置本体の前記無線通信回路により受信された各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化しているか否かに基づいて、前記フレームの連続性があるか否かを判定する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記連続性判定部は、前記各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化していない場合、定められた猶予期間が経過した後に、前記フレームの連続性がないと判定する請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記フレーム相関部は、前記連続性判定部により前記フレームの連続性がないと判定された場合に、前記現在のフレームの超音波画像の生成時刻と前記過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が大きくなるほど、前記過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくする請求項4ないし6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記フレーム相関部は、前記現在のフレームの超音波画像の生成時刻と前記過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、定められた時間しきい値を超えた場合に、前記過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記時間しきい値は、1フレームの超音波画像の取得に要する時間に、定められた倍率を掛けたものである請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記タイムスタンプ付与部は、前記画像生成部により生成された前記超音波画像にフレームの通し番号を前記タイムスタンプとして付与する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記連続性判定部は、前記診断装置本体の前記無線通信回路により受信された各々のフレームの通し番号が連続しているか否かに基づいて、前記フレームの連続性があるか否かを判定する請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記連続性判定部は、前記各々のフレームの通し番号が連続していない場合、欠落した前記フレームの通し番号の数が、定められた猶予欠落数に到達した後に、前記フレームの連続性がないと判定する請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記フレーム相関部は、前記連続性判定部により前記フレームの連続性がないと判定された場合に、前記現在のフレームの通し番号と前記過去のフレームの通し番号との差分が大きくなるほど、前記過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくする請求項10ないし12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記フレーム相関部は、前記現在のフレームの通し番号と前記過去のフレームの通し番号との差分が、定められたフレーム番号しきい値を超えた場合に、前記過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする請求項13に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記フレーム相関部は、前記連続性判定部により前記フレームの連続性がないと判定された場合に、前記過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする請求項4または10に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
振動子アレイを含む超音波プローブとモニタを含む診断装置本体とが無線接続され且つ現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う超音波診断装置の制御方法であって、
前記超音波プローブにおいて、
前記振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームを送信し且つ前記被検体からの超音波エコーを受信した前記振動子アレイから出力される受信信号に受信フォーカス処理を施して音線信号を生成し、
生成された前記音線信号に基づいて超音波画像を生成し、
生成された前記超音波画像にフレーム毎のタイムスタンプを付与し、
前記タイムスタンプが付与された前記超音波画像を前記診断装置本体へ無線送信し、
前記診断装置本体において、
前記超音波プローブから無線送信された前記超音波画像を受信し、
受信された前記超音波画像に付与されている前記タイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定し、
判定された前記フレームの連続性に基づいて、受信された過去のフレームの超音波画像に重み付けを付与し且つ現在のフレームの超音波画像と前記重み付けが付与された前記過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、前記モニタに表示するための表示画像を生成し、
生成された前記表示画像を前記モニタに表示させる、
超音波診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に係り、特に、超音波プローブと診断装置本体とが無線接続される超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵した超音波プローブと、この超音波プローブに接続された診断装置本体と、を備えており、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信し、例えばその受信信号を診断装置本体において電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
特許文献1に開示されているように、近年、超音波プローブと診断装置本体との間を無線通信により無線接続することにより、超音波プローブの操作性および機動性を向上させようとする超音波診断装置が開発されている。
【0004】
このような無線接続型の超音波診断装置においては、例えば超音波プローブの振動子アレイから出力されたアナログの受信信号を無線通信により診断装置本体へ伝送する、あるいは、超音波プローブ内に信号処理のための回路を内蔵して、振動子アレイから出力された受信信号を超音波プローブ内においてデジタル処理した後に無線通信により診断装置本体に伝送することにより、診断装置本体において超音波画像の生成が行われる。
【0005】
また、超音波診断装置においては、例えば特許文献2に開示されているように、超音波画像におけるノイズを低減するために、現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像とを重み付け加算することにより、フレームの相関処理が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-211726号公報
【文献】特開2014-195512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、無線接続型の超音波診断装置においては、超音波プローブと診断装置本体との間の無線通信の接続状態に応じて、連続する複数のフレームの受信信号を、超音波プローブと診断装置本体との間で正しく送受信することができず、一部のフレームの受信信号が欠落してフレームの連続性が途切れる場合がある。例えば、連続する1~3フレーム目の受信信号を無線通信する場合に、2フレーム目の受信信号が欠落して、1フレーム目および3フレーム目の受信信号のみが送受信される場合がある。
【0008】
フレームの連続性が途切れると、時間的に連続していない、つまり、時間的に離れた複数のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行うことになり、画像のブレなどの画質の劣化が生じる場合があるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、フレームの連続性が途切れた場合に、相関処理によって生じる画質の劣化を低減することができる超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、振動子アレイを含む超音波プローブとモニタを含む診断装置本体とが無線接続され且つ現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う超音波診断装置であって、
超音波プローブは、
振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームを送信し且つ被検体からの超音波エコーを受信した振動子アレイから出力される受信信号に受信フォーカス処理を施して音線信号を生成する送受信回路と、
送受信回路により生成された音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部と、
画像生成部により生成された超音波画像にフレーム毎のタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与部と、
タイムスタンプ付与部によりタイムスタンプが付与された超音波画像を診断装置本体へ無線送信する無線通信回路と、
を含み、
診断装置本体は、
超音波プローブの無線通信回路から無線送信された超音波画像を受信する無線通信回路と、
診断装置本体の無線通信回路により受信された超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定する連続性判定部と、
連続性判定部により判定されたフレームの連続性に基づいて、診断装置本体の無線通信回路により受信された過去のフレームの超音波画像に重み付けを付与し且つ現在のフレームの超音波画像と重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、モニタに表示するための表示画像を生成するフレーム相関部と、
フレーム相関部により生成された表示画像をモニタに表示させる表示制御部と、
を含む超音波診断装置を提供する。
【0011】
ここで、フレーム相関部は、現在のフレームの超音波画像と複数の過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行うことが好ましい。
【0012】
また、フレーム相関部は、連続性判定部によりフレームの連続性があると判定された場合、過去のフレームの超音波画像に、定められた重み付けを付与することが好ましい。
【0013】
また、タイムスタンプ付与部は、画像生成部による超音波画像の生成時刻を超音波画像にタイムスタンプとして付与することが好ましい。
【0014】
また、連続性判定部は、診断装置本体の無線通信回路により受信された各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化しているか否かに基づいて、フレームの連続性があるか否かを判定することが好ましい。
【0015】
また、連続性判定部は、各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化していない場合、定められた猶予期間が経過した後に、フレームの連続性がないと判定することが好ましい。
【0016】
また、フレーム相関部は、連続性判定部によりフレームの連続性がないと判定された場合に、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が大きくなるほど、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくすることが好ましい。
【0017】
また、フレーム相関部は、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、定められた時間しきい値を超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とすることが好ましい。
【0018】
また、時間しきい値は、1フレームの超音波画像の取得に要する時間に、定められた倍率を掛けたものであることが好ましい。
【0019】
また、タイムスタンプ付与部は、画像生成部により生成された超音波画像にフレームの通し番号をタイムスタンプとして付与することが好ましい。
【0020】
また、連続性判定部は、診断装置本体の無線通信回路により受信された各々のフレームの通し番号が連続しているか否かに基づいて、フレームの連続性があるか否かを判定することが好ましい。
【0021】
また、連続性判定部は、各々のフレームの通し番号が連続していない場合、欠落したフレームの通し番号の数が、定められた猶予欠落数に到達した後に、フレームの連続性がないと判定することが好ましい。
【0022】
また、フレーム相関部は、連続性判定部によりフレームの連続性がないと判定された場合に、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分が大きくなるほど、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくすることが好ましい。
【0023】
また、フレーム相関部は、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分が、定められたフレーム番号しきい値を超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とすることが好ましい。
【0024】
また、フレーム相関部は、連続性判定部によりフレームの連続性がないと判定された場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とすることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、振動子アレイを含む超音波プローブとモニタを含む診断装置本体とが無線接続され且つ現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う超音波診断装置の制御方法であって、
超音波プローブにおいて、
振動子アレイから被検体に向けて超音波ビームを送信し且つ被検体からの超音波エコーを受信した振動子アレイから出力される受信信号に受信フォーカス処理を施して音線信号を生成し、
生成された音線信号に基づいて超音波画像を生成し、
生成された超音波画像にフレーム毎のタイムスタンプを付与し、
タイムスタンプが付与された超音波画像を診断装置本体へ無線送信し、
診断装置本体において、
超音波プローブから無線送信された超音波画像を受信し、
受信された超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定し、
判定されたフレームの連続性に基づいて、受信された過去のフレームの超音波画像に重み付けを付与し且つ現在のフレームの超音波画像と重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、モニタに表示するための表示画像を生成し、
生成された表示画像をモニタに表示させる、
超音波診断装置の制御方法を提供する。
【0026】
さらに、画像生成部、タイムスタンプ付与部、連続性判定部、フレーム相関部および表示制御部は、プログラムを実行するプロセッサ、または、電気回路によって構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法においては、超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性が判定され、フレームの連続性があるか否かに基づいて、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けが変更され、現在のフレームの超音波画像と、重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間で相関処理が行われて表示画像が生成される。
このように、フレームの連続性に基づいて、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを変更することにより、たとえ無線通信によって一部のフレームの超音波画像が欠落してフレームの連続性が途切れ、時間的に連続していない複数のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行う場合であっても、相関処理において、過去のフレームの超音波画像の影響を低減することができ、画像のブレなどの画質の劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る超音波診断装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図2】
図1に示す超音波プローブが備える受信回路の内部構成を表す一実施形態のブロック図である。
【
図3】超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第1の実施形態のグラフである。
【
図4】超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第2の実施形態のグラフである。
【
図5】超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第3の実施形態のグラフである。
【
図6A】2フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図6B】
図6Aに続く、フレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図7】
図6Bに続く、フレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図8A】3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図8B】
図8Aに続く、場合のフレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図8C】
図8Bに続く、3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図9A】
図8Bに続く、3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す別の実施形態のブロック概念図である。
【
図9B】
図9Aに続く、3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す一実施形態のブロック概念図である。
【
図10】本発明に係る超音波診断装置の動作を表す一実施形態のフローチャートである。
【
図11】本発明に係る超音波診断装置の構成を表す別の実施形態のブロック図である。
【
図12】2フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合のフレーム相関部の動作を表す別の実施形態のブロック概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の超音波診断装置および超音波診断装置の制御方法を詳細に説明する。
【0030】
図1に、本発明に係る超音波診断装置の構成を表す一実施形態のブロック図を示す。
図1に示す超音波診断装置は、振動子アレイ11を含む超音波プローブ1と、モニタ34を含む診断装置本体3と、を備えており、超音波プローブ1と診断装置本体3とは、無線通信により無線接続されている。
超音波診断装置は、現在のフレームの超音波画像と1以上の過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、モニタ34に表示するための表示画像を生成する。
【0031】
超音波プローブ1は、上記の振動子アレイ11を備えており、振動子アレイ11に、送信回路12および受信回路13がそれぞれ接続されている。送信回路12および受信回路13は、送受信回路14を形成しており、送信回路12および受信回路13に超音波送受信制御部15が接続されている。受信回路13には、画像生成部16、タイムスタンプ付与部17および無線通信回路18が順次接続されている。
【0032】
無線通信回路18に、通信制御部20が接続され、超音波送受信制御部15、画像生成部16、タイムスタンプ付与部17および通信制御部20に、プローブ制御部21が接続されている。また、超音波プローブ1は、バッテリ24を内蔵している。
超音波送受信制御部15、画像生成部16、タイムスタンプ付与部17、通信制御部20およびプローブ制御部21により、プローブ側プロセッサ25が構成されている。
【0033】
振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、かつ被検体からの反射波を受信してアナログの受信信号を出力する。各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した素子を用いて構成される。
【0034】
超音波送受信制御部15は、送受信回路14の送信回路12および受信回路13を制御することにより、プローブ制御部21から指示された検査モードおよび走査方式に基づいて、超音波ビームの送信および超音波エコーの受信を行う。ここで、検査モードとは、B(輝度)モード、CF(カラードプラ)モード、PD(パワードプラ)モード、M(モーション)モード、PW(パルスドプラ)モード、CW(連続波ドプラ)モード等、超音波診断装置において使用可能な検査モードのうちのいずれかを示し、走査方式は、電子セクタ走査方式、電子リニア走査方式、電子コンベックス走査方式等の走査方式のうちのいずれかを示すものとする。
【0035】
送受信回路14は、振動子アレイ11から被検体に向けて超音波ビームを送信し且つ被検体からの超音波エコーを受信した振動子アレイ11から出力される受信信号に受信フォーカス処理を施して音線信号を生成する。
【0036】
送受信回路14の送信回路12は、例えば複数のパルス発生器を含んでおり、超音波送受信制御部15からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0037】
送信された超音波ビームは、例えば被検体の部位等の対象において反射され、振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して受信信号(電気信号)を発生させ、これらの受信信号を受信回路13に出力する。
【0038】
送受信回路14の受信回路13は、超音波送受信制御部15からの制御信号に従って、振動子アレイ11から出力される受信信号の処理を行う。
図2に示すように、受信回路13は、増幅部26、AD(Analog Digital)変換部27およびビームフォーマ28が直列接続された構成を有している。
【0039】
増幅部26は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子から入力されたアナログ信号である受信信号を増幅し、増幅した受信信号をAD変換部27に送信する。
【0040】
AD変換部27は、増幅部26から送信されたアナログの受信信号をデジタル信号に変換して受信データを取得し、この受信データをビームフォーマ28に送出する。
【0041】
ビームフォーマ28は、超音波送受信制御部15からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づき、設定された音速に従う各受信データにそれぞれの遅延を与えて加算(整相加算)を施す、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理を施すことにより、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。
なお、ビームフォーマ28は、受信回路13の内部ではなく、受信回路13と後述する画像生成部16との間に設けられていてもよい。この場合、プローブ側プロセッサ25によってビームフォーマ28を構成することもできる。
【0042】
画像生成部16は、送受信回路14により生成された音線信号に基づいて超音波画像を生成する。
より具体的には、画像生成部16は、受信回路13のビームフォーマ28により生成された音線信号に対して、超音波が反射した位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施して、被検体内の組織に関する断層画像情報の信号を生成する。また、画像生成部16は、生成された断層画像情報の信号を、通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換し、このようにして生成された画像信号に対して、明るさ補正、諧調補正、シャープネス補正および色補正等の各種の必要な画像処理を施すことにより超音波画像(超音波画像信号)を生成した後、超音波画像を画像情報データとしてタイムスタンプ付与部17に送出する。
【0043】
タイムスタンプ付与部17は、画像生成部16により生成された超音波画像にフレーム毎のタイムスタンプを付与する。言い換えると、タイムスタンプ付与部17は、画像生成部16により生成される各々のフレームの超音波画像にタイムスタンプを付与する。
本実施形態の場合、タイムスタンプ付与部17は、画像生成部16による超音波画像の生成時刻を超音波画像にタイムスタンプとして付与するか、または、画像生成部16により生成された超音波画像にフレームの通し番号をタイムスタンプとして付与する。
各々のフレームの超音波画像の生成時刻または各々のフレームの通し番号の情報は、画像生成部16により各々のフレームの超音波画像が生成される毎に、画像生成部16からタイムスタンプ付与部17に出力され、タイムスタンプ付与部17において、各々対応するフレームの超音波画像に付与される。
【0044】
超音波画像の生成時刻をタイムスタンプとして使用する場合、画像生成部16は、超音波画像を生成する毎に、例えば超音波診断装置に内蔵されている時計から、超音波画像を生成したときの時刻を取得し、この時刻を超音波画像の生成時刻としてタイムスタンプ付与部17に出力する。
【0045】
フレームの通し番号をタイムスタンプとして使用する場合、画像生成部16は、超音波画像を生成する毎に、例えば超音波診断装置に内蔵されているカウンタからカウント値を取得し、このカウント値をフレームの通し番号としてタイムスタンプ付与部17に出力する。画像生成部16は、例えば超音波画像の表示がフリーズされたときに、カウンタから出力されるカウント値を0に初期化し、その後、カウンタから、超音波画像を生成する毎にカウントアップされるカウント値(フリーズが解除された後の累積のカウント値)を取得する。
【0046】
タイムスタンプは、後述する診断装置本体3の連続性判定部35において、フレームの連続性を判定することができる情報であれば特に限定されず、超音波画像の生成時刻またはフレームの通し番号以外の情報を使用することもできる。
【0047】
無線通信回路18は、タイムスタンプ付与部17によりタイムスタンプが付与された超音波画像を診断装置本体3へ無線送信する。
より具体的には、無線通信回路18は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、タイムスタンプが付与された超音波画像に基づいてキャリアを変調して伝送信号を生成し、伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、タイムスタンプが付与された超音波画像を診断装置本体3へ無線送信する。キャリアの変調方式としては、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
【0048】
通信制御部20は、プローブ制御部21により設定された送信電波強度で超音波画像の送信が行われるように無線通信回路18を制御する。
【0049】
プローブ制御部21は、予め記憶しているプログラム等に基づいて、超音波プローブ1の各部の制御を行う。
【0050】
バッテリ24は、超音波プローブ1に内蔵されており、超音波プローブ1の各回路に電力を供給する。
【0051】
一方、診断装置本体3は、無線通信回路31を備えており、無線通信回路31に、フレーム相関部32、表示制御部33およびモニタ34が順次接続されている。また、無線通信回路31とフレーム相関部32との間に、連続性判定部35およびフレームメモリ36が並列に接続されている。また、無線通信回路31に通信制御部38が接続され、フレーム相関部32、表示制御部33、連続性判定部35および通信制御部38に本体制御部39が接続されている。また、本体制御部39には、入力装置40および格納部41が接続されている。本体制御部39と格納部41とは、双方向に情報の受け渡しが可能に接続されている。
【0052】
さらに、フレーム相関部32、表示制御部33、連続性判定部35、通信制御部38および本体制御部39により、診断装置本体側プロセッサ42が構成されている。
また、超音波プローブ1の無線通信回路18と診断装置本体3の無線通信回路31とは、双方向に情報の受け渡しが可能に接続されており、これにより、超音波プローブ1と診断装置本体3とが無線通信により無線接続される。
【0053】
診断装置本体3の無線通信回路31は、超音波プローブ1の無線通信回路18から無線送信された超音波画像を受信する。
より具体的には、診断装置本体3の無線通信回路31は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、超音波プローブ1の無線通信回路18により送信された伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を復調することにより、タイムスタンプが付与された超音波画像(超音波画像信号)を出力する。
【0054】
通信制御部38は、超音波プローブ1の無線通信回路18から伝送信号の受信が行われるように診断装置本体3の無線通信回路31を制御する。
【0055】
連続性判定部35は、診断装置本体3の無線通信回路31により受信された超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定する。
より具体的には、連続性判定部35は、診断装置本体3の無線通信回路31により受信された各々のフレームの超音波画像に付与されているタイムスタンプを順次読み取り、各々のフレームの超音波画像から読み取られたタイムスタンプに基づいてフレームの連続性を判定する。
【0056】
フレームの連続性とは、診断装置本体3の無線通信回路31により順次受信される複数のフレームの超音波画像が、時系列に連続しているフレームの超音波画像なのか否かを表す。ここでは、複数のフレームの超音波画像が時系列に連続している場合に、フレームの連続性があると表現し、複数のフレームの超音波画像が時系列に連続していない場合に、フレームの連続性がないと表現する。
【0057】
超音波画像の生成時刻がタイムスタンプとして使用されている場合、診断装置本体3の無線通信回路31により順次受信される各々のフレームの超音波画像の生成時刻は、フレームレートによる1フレームの超音波画像の取得に要する時間(1フレーム時間)に相当する一定の時間間隔で変化する。従って、連続性判定部35は、各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化している否か、つまり、連続する2つのフレーム間の時間間隔が一定であるか否かに基づいて、フレームの連続性があるか否かを判定することができる。つまり、連続性判定部35は、各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化している場合に、フレームの連続性があると判定し、一定の時間間隔で変化していない場合に、フレームの連続性がないと判定する。
【0058】
なお、連続性判定部35は、各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化していない場合、直ちにフレームの連続性がないと判定するのではなく、定められた猶予期間が経過するまでは、フレームの連続性があると判定し、定められた猶予期間が経過した後に、フレームの連続性がないと判定してもよい。また、無線通信の際、各々のフレームの超音波画像の送受信のタイミングが遅延する場合が考えられるため、この送受信のタイミングの遅延に相当する時間を、フレームの連続性を判定する際の猶予期間として考慮してもよい。
猶予期間を設けることにより、余裕を持ってフレームの連続性を判定することができるようになり、フレームの連続性を誤って判定することを防止することができる。
猶予期間は、特に限定されないが、例えば1フレーム時間、2フレーム時間のように、1以上のフレーム時間を設定することができる。
【0059】
フレームの通し番号がタイムスタンプとして使用されている場合、各々のフレームの通し番号は、例えば1つずつ増加するように変化する。従って、連続性判定部35は、診断装置本体3の無線通信回路31により受信された各々のフレームの通し番号が連続しているか否かに基づいて、フレームの連続性があるか否かを判定することができる。つまり、連続性判定部35は、各々のフレームの通し番号が連続している場合に、フレームの連続性があると判定し、各々のフレームの通し番号が連続していない、つまり、非連続の場合に、フレームの連続性がないと判定する。
【0060】
また、連続性判定部35は、各々のフレームの通し番号が連続していない場合、連続していないフレームの通し番号の数、言い換えると、欠落したフレームの通し番号の数が、定められた猶予欠落数に到達するまでは、フレームの連続性があると判定し、定められた猶予欠落数に到達した後に、フレームの連続性がないと判定してもよい。
例えば、定められた猶予欠落数が2であるとする。フレームの通し番号として、1の次に、2が欠落して3が続いている場合、欠落したフレームの通し番号の数は1であり、2に到達していないため、連続性判定部35は、フレームの連続性があると判定する。一方、1の次に、2および3が欠落して4が続いている場合、欠落したフレームの通し番号の数は2であり、2に到達しているため、連続性判定部35は、フレームの連続性がないと判定する。
猶予欠落数は、例えば2,3,…のように、2以上の数を設定することができる。
【0061】
フレームメモリ36は、診断装置本体3の無線通信回路31により受信された超音波画像を一時的に記憶する。
フレームメモリ36は、相関処理を行う際に用いられる過去のフレームの超音波画像のフレーム数に応じて、1以上のフレームの超音波画像を記憶する1以上の記憶領域を有する。相関処理においてn個の過去のフレームの超音波画像が用いられる場合、それぞれ、1フレーム分の超音波画像を記憶するn個の記憶領域を有するフレームメモリ36が使用される。
フレームメモリ36からは、記憶領域に記憶されている超音波画像が、1フレーム時間を単位として、1以上のフレーム時間の経過後に、過去のフレームの超音波画像としてフレーム相関部32へ出力される。
【0062】
フレーム相関部32は、連続性判定部35により判定されたフレームの連続性に基づいて、診断装置本体3の無線通信回路31により受信された過去のフレームの超音波画像に重み付け(重み係数)を付与する。本実施形態の場合、診断装置本体3の無線通信回路31により受信されたフレームの超音波画像は、前述のように、フレームメモリ36に一時的に記憶され、1フレーム時間を単位として、1以上のフレーム時間の経過後に、過去のフレームの超音波画像として、フレームメモリ36からフレーム相関部32へ出力される。また、フレーム相関部32は、現在のフレームの超音波画像と重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、モニタ34に表示するための表示画像を生成する。
【0063】
相関処理とは、フレーム間の相関に基づいて、例えばIIRフィルタ(Infinite Impulse Response Filter)またはFIRフィルタ(Finite Impulse Response Filter)等を用いて、現在のフレームの超音波画像と、1以上の過去のフレームの超音波画像との間で加重平均(重み付け加算)等の平均化処理(平滑化処理)を行うことにより、超音波画像におけるノイズを低減するための処理である。例えば、2フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合、現在のフレームの超音波画像の各々の画素位置の画素データと、1フレーム前の超音波画像の各々対応する画素位置の画素データとの間で平均化処理が順次行われる。3フレーム分以上の超音波画像を用いて相関処理を行う場合も同様である。
【0064】
フレーム相関部32は、2以上のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行う。つまり、フレーム相関部32は、現在のフレームの超音波画像と、1の過去のフレームの超音波画像または複数の過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行う。
複数の過去のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行う場合、フレーム相関部32は、時間的に現在のフレームの超音波画像に近い過去のフレームの超音波画像であるほど、付与する重み付けを大きくするのが望ましい。
【0065】
本実施形態の場合、フレーム相関部32は、過去のフレームの超音波画像の重み付けに応じて、現在のフレームの超音波画像に付与される重み付けと、1以上の過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けと、の合計値が1になるように、現在のフレームの重み付けを変更する。
重み付けの合計値が1になるように、現在のフレームの超音波画像に付与される重み付けを変更することは必須ではなく、例えば過去のフレームの超音波画像の重み付けのみを変更して、現在のフレームの超音波画像と、重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間で平均化処理を行ってもよい。
【0066】
フレーム相関部32は、連続性判定部35によりフレームの連続性があると判定された場合、現在のフレームの超音波画像との間に連続性があると判定された過去のフレームの超音波画像に、定められた重み付けを付与する。この定められた重み付けは、例えば過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けの最大値(上限値)であり、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けは、定められた重み付けを超えて大きくなるように変更されることはない。現在のフレームの超音波画像に付与される重み付けは、本実施形態の場合、相関処理で用いられる1以上の過去のフレームの超音波画像に付与された重み付けの合計値に応じて付与される。つまり、現在のフレームの超音波画像の重み付けは、1-(1以上の過去のフレームの超音波画像に付与された重み付けの合計値)となる。
【0067】
超音波画像の生成時刻を超音波画像にタイムスタンプとして付与する場合、フレーム相関部32は、連続性判定部35によりフレームの連続性がないと判定された場合に、例えば現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が大きくなるほど、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくしてもよい。本実施形態の場合、これに応じて、現在のフレームの超音波画像に付与される重み付けは大きくなる。
これにより、フレームの連続性がないと判定された場合に、相関処理で用いられる過去のフレームの超音波画像の影響を低減することができる。
【0068】
また、上記のように、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくする場合、フレーム相関部32は、最終的に、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、定められた時間しきい値を超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0としてもよい。
重み付けが0とされた過去のフレームの超音波画像は、相関処理に使用されない。従って、相関処理において、過去のフレームの超音波画像の影響をなくすことができる。
時間しきい値は、特に限定されないが、例えばフレームレートによる1フレームの超音波画像の取得に要する時間(1フレーム時間)に、定められた倍率を掛けたものとすることができる。定められた倍率も特に限定されない。例えば、フレームレートが20Hzの場合、1フレームの超音波画像を取得する時間間隔は50msである。定められた倍率を3とすると、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、150ms以上離れた場合は、重み付けを0とする。
【0069】
また、超音波画像にフレームの通し番号をタイムスタンプとして付与する場合、フレーム相関部32は、連続性判定部35によりフレームの連続性がないと判定された場合に、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分が大きくなるほど、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくしてもよい。本実施形態の場合、これに応じて、現在のフレームの超音波画像に付与される重み付けは大きくなる。
【0070】
また、上記のように、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを小さくする場合、フレーム相関部32は、最終的に、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分が、定められたフレーム番号しきい値を超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0としてもよい。
フレーム番号しきい値は、特に限定されないが、例えば現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分が、一定のフレーム数以上離れた場合は、重み付けを0とすることができる。
【0071】
あるいは、フレーム相関部32は、連続性判定部35によりフレームの連続性がないと判定された場合に、上記のように、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを次第に小さくすることなく、直ちに過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0としてもよい。
これにより、フレームの連続性がないと判定された場合に、相関処理で用いられる過去のフレームの超音波画像の影響を直ちになくすことができる。
【0072】
表示制御部33は、フレーム相関部32により生成された表示画像をモニタ34に表示させる。表示制御部33は、フレーム相関部32により生成された表示画像に任意の画像処理を施して、画像処理が施された表示画像をモニタ34に表示させてもよい。
【0073】
例えば、フレーム相関部32と表示制御部33との間にシネメモリを設けて、複数フレーム分の過去の超音波画像を記憶しておき、このシネメモリから読み出された複数フレーム分の過去の超音波画像を表示画像としてモニタ34に表示させてもよい。
これにより、前述のように、超音波画像の表示をフリーズさせて、シネメモリに記憶されている1フレーム分の超音波画像をモニタ34に表示させることができる。
シネメモリは、フレーム相関部32と表示制御部33との間に限らず、診断装置本体3の無線通信回路31から表示制御部33までの任意の位置に配置することができる。
【0074】
本体制御部39は、格納部41等に予め記憶されているプログラムおよび入力装置40を介したユーザの操作に基づいて、診断装置本体3の各部の制御を行う。
【0075】
モニタ34は、表示制御部33の制御により、フレーム相関部32により生成された表示画像を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等のディスプレイ装置を含む。
【0076】
入力装置40は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等を備えて構成することができる。
なお、モニタ34にタッチセンサを組み合わせて、タッチセンサを入力装置40として使用する構成とすることもできる。このような構成の超音波診断装置であれば、緊急治療等の際に、屋外における診断にも極めて有効なものとなる。
【0077】
格納部41は、診断装置本体3の動作プログラム等を格納するものであり、格納部41として、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
【0078】
なお、超音波プローブ1の超音波送受信制御部15、画像生成部16、タイムスタンプ付与部17、通信制御部20およびプローブ制御部21を有するプローブ側プロセッサ25と、診断装置本体3のフレーム相関部32、表示制御部33、連続性判定部35、通信制御部38および本体制御部39を有する診断装置本体側プロセッサ42とは、それぞれ、各種のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等のプロセッサまたはコンピュータから構成されるが、デジタル回路等の電気回路を用いて構成されてもよい。
【0079】
また、プローブ側プロセッサ25の超音波送受信制御部15、画像生成部16、タイムスタンプ付与部17、通信制御部20およびプローブ制御部21を部分的にあるいは全体的に1つのプロセッサまたは1つのコンピュータに統合させて構成することもできる。また、複数のプロセッサまたは複数のコンピュータによって構成することもできる。同様に、診断装置本体側プロセッサ42のフレーム相関部32、表示制御部33、連続性判定部35、通信制御部38および本体制御部39も、部分的にあるいは全体的に1つのプロセッサまたは1つのコンピュータに統合させて構成することができる。また、複数のプロセッサまたは複数のコンピュータによって構成することもできる。
【0080】
次に、
図3~
図5のグラフを参照しながら、フレーム相関部32における重み付けについてさらに説明する。
【0081】
図3は、超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第1の実施形態のグラフである。
図3に示すグラフは、超音波画像の生成時刻の時間間隔が大きくなるほど、重み付けを小さくする場合を表す。
図3において、横軸は、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔を表し、縦軸は、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを表す。また、符号aは、定められた重み付けを表し、符号Tは、フレームレートによる1フレームの超音波画像の取得に要する時間(1フレーム時間)を表し、符号mTは、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする際の、前述の定められた時間しきい値を表す。
【0082】
前述のように、各々のフレームの超音波画像の生成時刻は、1フレーム時間に相当する一定の時間間隔で変化するため、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔がTまでの期間は、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを、定められた重み付けaとする。
その後、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、1フレーム時間Tを超えて大きくなるに応じて、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを、aから次第に小さくしていき、最終的に、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、定められた時間しきい値mTを超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする。
【0083】
図4は、超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第2の実施形態のグラフである。
図4に示すグラフは、
図3に示すグラフにおいて、前述の定められた猶予期間として、1フレーム時間Tが与えられている場合を表している。
【0084】
この場合、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が1フレーム時間Tを超えても、さらに猶予期間である1フレーム時間Tが経過する2フレーム時間2Tまでの期間は、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを、定められた重み付けaとする。
その後、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、2フレーム時間2Tを超えて大きくなるに応じて、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを、aから次第に小さくしていき、最終的に、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が、定められた時間しきい値mTを超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする。
【0085】
図5は、超音波画像の生成時刻の時間間隔と重み付けとの関係を表す第3の実施形態のグラフである。
図5に示すグラフは、
図3に示すグラフにおいて、各々のフレームの超音波画像の生成時刻が一定の時間間隔で変化していない場合に、直ちに過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0にする場合を表している。
この場合、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔がTまでの期間は、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けを、定められた重み付けaとする。
その後、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔が1フレーム時間Tを超えた場合に、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを0とする。
【0086】
フレームの連続性があると判定された場合に付与される定められた重み付け(最大値)は任意に設定することができる。フレームの連続性がないと判定された場合に、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔、または、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分の大きさに応じて、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けをどのように小さくするかも任意に設定することができる。また、2以上の過去のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行う場合も、各々の過去のフレームの超音波画像について、同様に設定することができる。
【0087】
現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分と、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けとの関係も、
図3~
図5に示す、現在のフレームの超音波画像の生成時刻と過去のフレームの超音波画像の生成時刻との時間間隔と、過去のフレームの超音波画像に付与される重み付けとの関係と同様に考えることができる。
【0088】
次に、フレーム相関部32の動作を説明する。
【0089】
まず、2フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合、つまり、現在のフレームの超音波画像と、1フレーム分の過去の超音波画像との間で相関処理を行う場合について説明する。
ここで、診断装置本体3の無線通信回路31から、5フレーム前~1フレーム前の超音波画像が順次出力されるものとする。また、フレームの通し番号をタイムスタンプとして使用し、5フレーム前~1フレーム前のフレームの通し番号を1~5とする。さらに、フレームメモリ36は、1フレーム分の超音波画像を記憶する1の記憶領域を有するものとする。
【0090】
まず、
図6Aに示すように、無線通信回路31から、例えば5フレーム前の超音波画像F5が出力されると、5フレーム前の超音波画像F5は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0091】
5フレーム前の超音波画像F5が最初のフレームの超音波画像であるとすると、フレーム相関部32は、フレームメモリ36の記憶領域から出力される過去のフレームの超音波画像の重み付けとして0を付与し、これに応じて、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けとして、1-0=1を付与する。また、フレーム相関部32は、フレームメモリ36の記憶領域から出力される過去のフレームの超音波画像に、重み付けの0を乗算したものと、5フレーム前の超音波画像F5に、重み付けの1を乗算したものとを加算したもの(加重平均したもの)を、5フレーム前の超音波画像F5の表示画像として出力する。
【0092】
その後、5フレーム前の超音波画像F5は、フレームメモリ36の記憶領域に記憶される。
【0093】
続いて、
図6Bに示すように、無線通信回路31から、例えば4フレーム前の超音波画像F4が出力されると、4フレーム前の超音波画像F4は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の記憶領域から5フレーム前の超音波画像F5が出力され、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0094】
この場合、連続性判定部35は、5フレーム前の超音波画像F5のフレームの通し番号が1であり、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であることから、5フレーム前の超音波画像F5と4フレーム前の超音波画像F4との間に、フレームの連続性があると判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5に、定められた重み付けを付与する。
例えば、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けとして0.7を付与し、これに応じて、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けとして、1-0.7=0.3を付与し、両者を加重平均したものを、4フレーム前の超音波画像F4の表示画像として出力する。
【0095】
その後、4フレーム前の超音波画像F4は、フレームメモリ36の記憶領域に記憶される。
【0096】
これ以後、無線通信回路31から、例えば3フレーム前~1フレーム前の超音波画像F3~F1が順次出力された場合も、フレーム相関部32は、フレームの連続性があると判定し、上記と同様に動作する。
【0097】
一方、
図7に示すように、無線通信回路31から、例えば4フレーム前の超音波画像F4が出力された後、3フレーム前の超音波画像F3が欠落して、2フレーム前の超音波画像F2が出力されると、2フレーム前の超音波画像F2は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の記憶領域から4フレーム前の超音波画像F4が出力され、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0098】
この場合、連続性判定部35は、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であり、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号が4であることから、4フレーム前の超音波画像F4と2フレーム前の超音波画像F2との間に、フレームの連続性がないと判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを下げる。
例えば、フレーム相関部32は、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号の2と、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号の4との差分に応じて、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを0.7から0.6に下げ、これに応じて、2フレーム前の超音波画像F2の重み付けとして、1-0.6=0.4を付与し、両者を加重平均したものを、2フレーム前の超音波画像F2の表示画像として出力する。
【0099】
その後、2フレーム前の超音波画像F2は、フレームメモリ36の記憶領域に記憶される。
【0100】
その他の過去のフレームの超音波画像が欠落した場合も、フレーム相関部32は、フレームの連続性がないと判定し、現在のフレームの通し番号と過去のフレームの通し番号との差分に応じて、上記と同様に動作する。
【0101】
続いて、3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合、つまり、現在のフレームの超音波画像と、2フレーム分の過去の超音波画像との間で相関処理を行う場合について説明する。
同様に、診断装置本体3の無線通信回路31から、5フレーム前~1フレーム前の超音波画像F5~F1が順次出力されるものとする。また、フレームの通し番号をタイムスタンプとして使用し、5フレーム前~1フレーム前のフレームの通し番号を1~5とする。さらに、フレームメモリ36は、2フレーム分の超音波画像を記憶するものであり、それぞれ、1フレーム分の超音波画像を記憶する第1の記憶領域および第2の記憶領域を有するものとする。
【0102】
まず、
図8Aに示すように、無線通信回路31から、例えば5フレーム前の超音波画像F5が出力されると、5フレーム前の超音波画像F5は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0103】
5フレーム前の超音波画像F5が最初のフレームの超音波画像であるとすると、フレーム相関部32は、フレームメモリ36の第1の記憶領域(
図8Aにおいて、左側の記憶領域)および第2の記憶領域(
図8Aにおいて、右側の記憶領域)から出力される過去のフレームの超音波画像の重み付けとしてそれぞれ0を付与し、これに応じて、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けとして、1-(0+0)=1を付与する。また、フレーム相関部32は、フレームメモリ36の第1の記憶領域および第2の記憶領域からそれぞれ出力される過去のフレームの超音波画像に、重み付けの0を乗算したものと、5フレーム前の超音波画像F5に、重み付けの1を乗算したものとを加算したもの(加重平均したもの)を、5フレーム前の超音波画像F5の表示画像として出力する。
【0104】
その後、5フレーム前の超音波画像F5は、フレームメモリ36の第1の記憶領域に記憶される。
【0105】
続いて、
図8Bに示すように、無線通信回路31から、例えば4フレーム前の超音波画像F4が出力されると、4フレーム前の超音波画像F4は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の第1の記憶領域から5フレーム前の超音波画像F5が出力され、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0106】
この場合、連続性判定部35は、5フレーム前の超音波画像F5のフレームの通し番号が1であり、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であることから、5フレーム前の超音波画像F5と4フレーム前の超音波画像F4との間に、フレームの連続性があると判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5に、定められた重み付けを付与する。
例えば、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けとして0.4を付与し、これに応じて、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けとして、1-0.4=0.6を付与し、両者を加重平均したものを、4フレーム前の超音波画像F4の表示画像として出力する。
【0107】
その後、5フレーム前の超音波画像F5は、フレームメモリ36の第1の記憶領域からシフトされて第2の記憶領域に記憶され、かつ、4フレーム前の超音波画像F4は、第1の記憶領域に記憶される。
【0108】
続いて、
図8Cに示すように、無線通信回路31から、例えば3フレーム前の超音波画像F3が出力されると、3フレーム前の超音波画像F3は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の第1の記憶領域から4フレーム前の超音波画像F4が出力され、かつ第2の記憶領域から5フレーム前の超音波画像F5が出力され、5フレーム前の超音波画像F5および4フレーム前の超音波画像F4は、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0109】
この場合、連続性判定部35は、5フレーム前の超音波画像F5のフレームの通し番号が1であり、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であり、3フレーム前の超音波画像F3のフレームの通し番号が3であることから、5フレーム前の超音波画像F5と3フレーム前の超音波画像F3との間、および、4フレーム前の超音波画像F4と3フレーム前の超音波画像F3との間に、それぞれ、フレームの連続性があると判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5および4フレーム前の超音波画像F4に、それぞれ、定められた重み付けを付与する。
例えば、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けとして0.3を付与し、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けとして0.4を付与し、これに応じて、3フレーム前の超音波画像F3の重み付けとして、1-(0.3+0.4)=0.3を付与し、3者を加重平均したものを、3フレーム前の超音波画像F3の表示画像として出力する。
【0110】
その後、5フレーム前の超音波画像F5は、フレームメモリ36の第2の記憶領域からシフトされてフレームメモリ36から削除され、4フレーム前の超音波画像F4は、第1の記憶領域からシフトされて第2の記憶領域に記憶され、3フレーム前の超音波画像F3は、第1の記憶領域に記憶される。
【0111】
これ以後、無線通信回路31から、例えば2フレーム前~1フレーム前の超音波画像F2~F1が順次出力される場合も、フレーム相関部32は、フレームの連続性があると判定し、上記と同様に動作する。
【0112】
一方、
図9Aに示すように、無線通信回路31から、例えば4フレーム前の超音波画像F4が出力された後、3フレーム前の超音波画像F3が欠落して、2フレーム前の超音波画像F2が出力されると、2フレーム前の超音波画像F2は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の第1の記憶領域から4フレーム前の超音波画像F4が出力され、かつ第2の記憶領域から5フレーム前の超音波画像F5が出力され、5フレーム前の超音波画像F5および4フレーム前の超音波画像F4は、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0113】
この場合、連続性判定部35は、5フレーム前の超音波画像F5のフレームの通し番号が1であり、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号が4であることから、5フレーム前の超音波画像F5と2フレーム前の超音波画像F2との間に、フレームの連続性がないと判定し、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であり、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号が4であることから、4フレーム前の超音波画像F4と2フレーム前の超音波画像F2との間に、フレームの連続性がないと判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5および4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを下げる。
例えば、フレーム相関部32は、5フレーム前の超音波画像F5のフレームの通し番号の1と、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号の4との差分に応じて、5フレーム前の超音波画像F5の重み付けを0.3から0.2に下げ、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号の2と、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号の4との差分に応じて、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを0.4から0.3に下げ、これに応じて、2フレーム前の超音波画像F2の重み付けとして、1-(0.2+0.3)=0.5を付与し、3者を加重平均したものを、2フレーム前の超音波画像F2の表示画像として出力する。
【0114】
その後、5フレーム前の超音波画像F5は、フレームメモリ36の第2の記憶領域からシフトされてフレームメモリ36から削除され、4フレーム前の超音波画像F4は、第1の記憶領域からシフトされて第2の記憶領域に記憶され、2フレーム前の超音波画像F2は、第1の記憶領域に記憶される。
【0115】
続いて、
図9Bに示すように、無線通信回路31から、例えば1フレーム前の超音波画像F1が出力されると、1フレーム前の超音波画像F1は、現在のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。また、フレームメモリ36の第1の記憶領域から2フレーム前の超音波画像F2が出力され、かつ第2の記憶領域から4フレーム前の超音波画像F4が出力され、4フレーム前の超音波画像F4および2フレーム前の超音波画像F2は、過去のフレームの超音波画像として、フレーム相関部32に入力される。
【0116】
この場合、連続性判定部35は、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号が2であり、1フレーム前の超音波画像F1のフレームの通し番号が5であることから、4フレーム前の超音波画像F4と1フレーム前の超音波画像F1との間に、フレームの連続性がないと判定し、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号が4であり、1フレーム前の超音波画像F1のフレームの通し番号が5であることから、2フレーム前の超音波画像F2と1フレーム前の超音波画像F1との間に、フレームの連続性があると判定し、これに応じて、フレーム相関部32は、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを下げた状態に維持し、2フレーム前の超音波画像F2の重み付けを上げて元の定められた重み付けに戻す。
例えば、フレーム相関部32は、4フレーム前の超音波画像F4のフレームの通し番号の2と、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号の4との差分に応じて、4フレーム前の超音波画像F4の重み付けを0.2に維持し、2フレーム前の超音波画像F2のフレームの通し番号の4と、1フレーム前の超音波画像F1のフレームの通し番号の5との差分に応じて、2フレーム前の超音波画像F2の重み付けを0.3から上げて元の0.4に戻し、これに応じて、1フレーム前の超音波画像F1の重み付けとして、1-(0.2+0.4)=0.4を付与して、3者を加重平均したものを、1フレーム前の超音波画像F1の表示画像として出力する。
【0117】
その後、4フレーム前の超音波画像F4は、フレームメモリ36の第2の記憶領域からシフトされてフレームメモリ36から削除され、2フレーム前の超音波画像F2は、第1の記憶領域からシフトされて第2の記憶領域に記憶され、1フレーム前の超音波画像F1は、第1の記憶領域に記憶される。
【0118】
次に、
図10に示すフローチャートを参照しながら、超音波プローブ1と診断装置本体3からなる超音波診断装置の動作を説明する。
【0119】
まず、超音波プローブ1において、超音波送受信制御部15の制御の下、送受信回路14の送信回路12からの駆動信号に従って振動子アレイ11の複数の振動子から超音波ビームが送信される(ステップS1)。
【0120】
続いて、被検体からの超音波エコーを受信した振動子アレイ11の各振動子からアナログ信号である受信信号が受信回路13に出力され、増幅部26で増幅され、AD変換部27でAD変換されて受信データが取得される。この受信データに対して、ビームフォーマ28により受信フォーカス処理を施すことにより、超音波画像のそれぞれのフレームに対応する音線信号が生成される(ステップS2)。
【0121】
受信回路13のビームフォーマ28により生成された音線信号は、画像生成部16において、反射位置の深度に応じた減衰の補正および包絡線検波処理が施されることにより被検体内の組織に関する断層画像情報である信号となり、さらに、ラスター変換され、各種の必要な画像処理が施されることにより、画像情報データとして超音波画像(超音波画像信号)が生成される(ステップS3)。
【0122】
続いて、画像生成部16により生成された超音波画像は、タイムスタンプ付与部17において、フレーム毎のタイムスタンプが付与される(ステップS4)。
【0123】
続いて、タイムスタンプ付与部17によりタイムスタンプが付与された超音波画像は、通信制御部20の制御により、超音波プローブ1の無線通信回路18から診断装置本体3に向けて無線送信される(ステップS5)。
【0124】
続いて、診断装置本体3において、画像情報データとして超音波プローブ1の無線通信回路18から無線送信された超音波画像は、通信制御部38の制御により、診断装置本体3の無線通信回路31により受信され、無線通信回路31から、タイムスタンプが付与された超音波画像が出力される(ステップS6)。
【0125】
続いて、連続性判定部35において、無線通信回路31から出力される超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性が判定される(ステップS7)。
【0126】
また、無線通信回路31から出力される超音波画像は、フレームメモリ36に記憶される。フレームメモリ36に記憶されている超音波画像は、過去のフレームの超音波画像としてフレーム相関部32へ出力される(ステップS8)。
【0127】
続いて、フレーム相関部32において、連続性判定部35により判定されたフレームの連続性に基づいて、現在のフレームの超音波画像および過去のフレームの超音波画像に重み付けを付与し、且つ、重み付けが付与された現在のフレームの超音波画像と過去のフレームの超音波画像との間の相関処理を行って、モニタ34に表示するための表示画像が生成される(ステップS9)。
【0128】
続いて、フレーム相関部32により生成された表示画像は表示制御部33に送られ、この表示画像(超音波画像)がモニタ34に表示される(ステップS10)。
【0129】
超音波診断装置においては、上記のように、超音波画像に付与されているタイムスタンプに基づいてフレームの連続性が判定され、フレームの連続性があるか否かに基づいて、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けが変更され、現在のフレームの超音波画像と、重み付けが付与された過去のフレームの超音波画像との間で相関処理が行われて表示画像が生成される。
このように、フレームの連続性に基づいて、過去のフレームの超音波画像に付与する重み付けを変更することにより、たとえ無線通信によって一部のフレームの超音波画像が欠落してフレームの連続性が途切れ、時間的に連続していない複数のフレームの超音波画像を用いて相関処理を行う場合であっても、相関処理において、過去のフレームの超音波画像の影響を低減することができ、画像のブレなどの画質の劣化を低減することができる。
【0130】
なお、上記実施形態では、無線通信回路31とフレーム相関部32との間にフレームメモリ36を接続し、無線通信回路31により受信された超音波画像をフレームメモリ36に記憶しているが、本発明は、これに限定されない。
【0131】
図11に、本発明に係る超音波診断装置の構成を表す別の実施形態のブロック図を示す。
図11に示す超音波診断装置は、
図1に示す超音波診断装置において、フレームメモリ36をフレームメモリ37に変更して、その接続位置を変更したものであり、その他の構成は同じであるから、その詳細な説明は省略する。
図11に示す超音波診断装置において、フレームメモリ37は、フレーム相関部32の出力と入力との間に接続されている。
【0132】
フレームメモリ37は、フレームメモリ36と同じ構成および作用のものであるが、フレームメモリ36が、無線通信回路31により受信された超音波画像を一時的に記憶するのに対し、フレームメモリ37は、フレーム相関部32により生成された表示画像(相関処理後の超音波画像)を一時的に記憶する。
フレームメモリ37からは、記憶領域に記憶されている表示画像が、1フレーム時間を単位として、1以上のフレーム時間の経過後に、過去のフレームの超音波画像としてフレーム相関部32へ出力される。
【0133】
図11に示す超音波診断装置において、2フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合、
図12に示すように、無線通信回路31から、例えば5フレーム前の超音波画像F5が出力されると、フレーム相関部32は、フレームメモリ37の記憶領域から出力される過去のフレームの超音波画像と、5フレーム前の超音波画像F5とを加重平均したものを、5フレーム前の超音波画像F5の表示画像として出力する。
その後、5フレーム前の超音波画像F5の表示画像が、フレームメモリ37の記憶領域に記憶される。
【0134】
これ以後、無線通信回路31から、例えば4フレーム前~1フレーム前の超音波画像F4~F1が順次出力された場合も、上記と同様に動作し、4フレーム前~1フレーム前の超音波画像F4~F1の表示画像が、フレームメモリ37の記憶領域に順次記憶される。また、3フレーム分の超音波画像を用いて相関処理を行う場合も同様に、表示画像がフレームメモリ37の第1の記憶領域に順次記憶される。
【0135】
このように、表示画像、つまり、過去のフレームの相関処理後の超音波画像を用いて現在のフレームの相関処理を行うことにより、超音波画像におけるノイズをより効果的に低減することができる。
【0136】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0137】
1 超音波プローブ、3 診断装置本体、11 振動子アレイ、12 送信回路、13 受信回路、14 送受信回路、15 超音波送受信制御部、16 画像生成部、17 タイムスタンプ付与部、18 無線通信回路、20 通信制御部、21 プローブ制御部、24 バッテリ、25 プローブ側プロセッサ、26 増幅部、27 AD変換部、28 ビームフォーマ、31 無線通信回路、32 フレーム相関部、33 表示制御部、34 モニタ、35 連続性判定部、36,37 フレームメモリ、38 通信制御部、39 本体制御部、40 入力装置、41 格納部、42 診断装置本体側プロセッサ。