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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】流体容器のマルチピース装着装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20220830BHJP
   B65D 85/82 20060101ALI20220830BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B65D77/06 H
B65D85/82
B65D77/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021547644
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019057211
(87)【国際公開番号】W WO2020092041
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】16/179,353
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リクター、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コランド、エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ウェア、ドナルド ディ.
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-099000(JP,B2)
【文献】特公平07-098555(JP,B2)
【文献】米国特許第05882119(US,A)
【文献】特許第5759081(JP,B2)
【文献】特表2012-501930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 85/82
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体封じ込めシステムのための装着装置であって、前記装着装置は、
対ライナー接合面を備えている対ライナー装着部であって、前記対ライナー接合面はライナーに接合されるように構成されており、前記対ライナー装着部は対ライナー装着部開口を区画している、前記対ライナー装着部と、
対容器接合面を備えているリテーナであって、前記対容器接合面は容器に接合されるように構成されており、前記リテーナは前記対ライナー装着部の端部において、前記対ライナー装着部の外径よりも大きい内径を有するリテーナ開口を区画している、前記リテーナと
を備え、前記対ライナー装着部と前記リテーナとは互いに接合されており、
前記対ライナー装着部は、前記対ライナー装着部の外面に位置する1つ以上の第1接続特徴部を備えており、
前記リテーナは1つ以上の第2接続特徴部を備えており、
前記第1接続特徴部と前記第2接続特徴部とのうちの一方は突起であり、
前記第1接続特徴部と前記第2接続特徴部とのうちの他方は、前記対ライナー装着部と前記リテーナとを互いに固定するべく前記突起を受け入れるように構成された幅、高さ、および深さを有する穴であり、
前記対ライナー装着部と前記リテーナとは、1つ以上の前記第1接続特徴部と1つ以上の前記第2接続特徴部とのインタフェースを介して接合されており、
前記突起と前記穴との組合せは、前記リテーナへの前記対ライナー装着部のスナップフィット接合を提供するように構成されている、
装着装置。
【請求項2】
前記対ライナー接合面は、環状のフランジ上に配置されている、
請求項1に記載の装着装置。
【請求項3】
前記対ライナー接合面は、第1端点から第2端点まで延びる1つ以上の曲面上に配置されている、
請求項1に記載の装着装置。
【請求項4】
前記リテーナは、前記リテーナの第1側と前記リテーナの第2側との間の流体連通を可能にする1つ以上のベントホールを備えており、
前記リテーナの第2側は、前記リテーナの第1側とは反対側である、
請求項1に記載の装着装置。
【請求項5】
前記リテーナにおいて、前記リテーナ開口の端部にネジが切られている、
請求項1に記載の装着装置。
【請求項6】
Oリングは前記対ライナー装着部と前記リテーナとの間に配置されている、
請求項に記載の装着装置。
【請求項7】
前記装着装置はさらに、前記対ライナー装着部の外面に環状溝を備えており、
前記Oリングは前記環状溝内に配置されている、
請求項に記載の装着装置。
【請求項8】
ライナーと、容器と、請求項1~のいずれか一項に記載の装着装置とを備えている封じ込めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体を封じ込めるための封じ込めシステムに関する。より具体的には、本開示は、容器内にライナーを取り付けるための、そしてライナーから封じ込めシステムの外部への流体経路を提供するための装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの製造プロセスは、流体化学物質を利用する。流体化学物質は、例えば、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品などを含むことができる。このような化学物質を使用する際には、保管、輸送、さらには製造プロセス自体において化学物質を適切に封じ込めるために、ガラス瓶が使用されることがある。ガラス瓶は、流体の化学物質の保管や輸送のために、紫外線(UV)保護や耐薬品性のある接液面を提供することができるため、一般的に容器として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国特許第10-1017750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体を封じ込めるための封じ込めシステムを改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一般に、流体を収容するための封じ込めシステム(containment system)に関する。より具体的には、本開示は、容器(container)内にライナーを取り付けるための、そしてライナーから封じ込めシステムの外部への流体経路を提供するための装着装置(fitment)に関する。
【0006】
現在、多くの化学物質の製造にガラス瓶が使用されている。プラスチックボトルは、ガラスボトルよりも低コストである。プラスチックボトルは、飛散に対する優れた耐性を有し、落下やその他の取り扱い事故の後の清掃がより安全であり困難ではない。プラスチックボトルは、フッ素ポリマーなどの材料を使用することで、ガラスと比較して一部の敏感な化学物質の汚染を低減することができる。
【0007】
ボトルに使用するのに適した製造特性を持つプラスチック、例えばストレッチブロー成形可能なプラスチックは、製造プロセスで使用される多くの化学物質と反応する傾向がある。これらの化学物質を封じ込めるのに適したプラスチック、例えば、フッ素ポリマー(ただし、これに限定されない)は、ボトルへと製造するのが困難または高価であり、また、紫外線(UV)放射を遮断するなど(ただし、これに限定されない)の他の重要な特性を欠く場合がある。
【0008】
本開示の実施形態は、プラスチックボトル内にバッグを取り付けること(例えば、バッグインボトル)を可能にする装着装置を備えており、よって容器の接液面が非反応性材料で作られることを可能にする一方で、外面が望ましい製造特性、およびUV保護などの他の特性を有する材料を使用することを可能にする。
【0009】
一実施形態では、流体封じ込めシステムのための装着装置は、ライナーに接合されるように構成された対ライナー接合面(liner joining surface)を有する対ライナー装着部(liner fitment)を備えており、対ライナー装着部は対ライナー装着部開口(liner fitment aperture)を区画している。対ライナー装着部は、容器に接合される対容器接合面(container joining surface)を有するリテーナに接合されるように構成されており、リテーナは、対ライナー装着部の端部で対ライナー装着部の外径よりも大きい内径を有するリテーナ開口(retainer aperture)を区画している。
【0010】
一実施形態では、対ライナー接合面は、環状フランジ上に配置される。実施形態では、対ライナー接合面は、第1端点から第2端点まで延びる1つ以上の曲面上に配置されている。
【0011】
一実施形態では、リテーナは、1つ以上のベントホールを備えており、リテーナの第1側からリテーナの第2側への流体連通を可能にし、リテーナの第2側はリテーナの第1側とは反対側にある。
【0012】
実施形態では、対ライナー装着部は、フッ素ポリマー製である。実施形態では、リテーナは、紫外線遮断材料製である。
一実施形態では、リテーナは、ストレッチブロー成形可能ポリマーに対して超音波溶接可能なポリマーを含む。
【0013】
一実施形態において、対ライナー装着部は、対ライナー装着部の外面からの1つ以上の突起を備えており、リテーナは、1つ以上の突起を受け入れるように構成された1つ以上の凹部または穴(openings)を備えており、対ライナー装着部とリテーナは、1つ以上の突起および1つ以上の凹部のインタフェースを介して接合されている。
【0014】
一実施形態では、Oリングは、対ライナー装着部とリテーナとの間に配置されている。実施形態では、対ライナー装着部の外周面に環状溝が配置されており、Oリングは環状溝内に配置されている。
【0015】
一実施形態では、流体封じ込めシステムは、ライナーと、ライナーを取り囲む容器と、装着装置とを備えている。装着装置は、ライナーに接合される対ライナー接合面を有する対ライナー装着部であって、対ライナー装着部開口を区画している対ライナー装着部と、容器に接合される対容器接合面を有するリテーナであって、対ライナー装着部の端部において対ライナー装着部の外径よりも大きい内径を有するリテーナ開口を区画しているリテーナとを備えている。
【0016】
一実施形態では、ライナーは、溶接によって装着措置の対ライナー接合面に接合されている。実施形態において、容器は、溶接によってリテーナに接合されている。
実施形態では、容器は、紫外線遮断材料を含む。実施形態では、容器は、ストレッチブロー成形可能ポリマーを含む。実施形態では、ライナーはフッ素ポリマーからなる。
【0017】
一実施形態では、封じ込めシステムを製造する方法は、対ライナー接合面でライナーを装着装置に溶接する工程と、ライナーおよび装着装置を容器内に配置する工程と、ライナーを加圧する工程と、対容器接合面で装着装置を容器に接合する工程とを備えている。一実施形態では、装着装置を容器に接合する工程は、容器と装着装置の超音波溶接である。実施形態では、装着装置を容器に接合する際に、ライナーを加圧する。
【0018】
本開示の一部を構成し、本明細書に記載されたシステムおよび方法を実施することができる実施形態を示す添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】実施形態による、流体封じ込めシステムの端部の断面図。
図1B】実施形態による、図1Aの断面図の一部の拡大図。
図1C】実施形態による、封じ込めシステムの側面図。
図2】実施形態による、流体封じ込めシステムの断面図。
図3A】実施形態による、対ライナー装着部の斜視図。
図3B図3Aに示す実施形態による対ライナー装着部の断面図。
図4A】実施形態による対ライナー装着部の斜視図。
図4B図4Aに示す実施形態による対ライナー装着部の断面図。
図4C図4Aに示す実施形態による対ライナー装着部の底面図。
図5A】実施形態によるリテーナの斜視図。
図5B図5Aに示す実施形態によるリテーナの断面図。
図6A】実施形態による、ライナーおよびライナー装着部を示す。
図6B】実施形態による、ライナーを示す。
図7】実施形態による、容器を製造する方法のフローチャート。
図8】実施形態による、装着装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同様の参照番号は、全体的に同様の部品を表す。
本開示は、一般に、流体を収容するための封じ込めシステムに関する。より具体的には、本開示は、容器内にライナーを取り付けるための、そしてライナーから封じ込めシステムの外部への流体経路を提供するための装着装置に関する。
【0021】
いくつかの製造プロセスは、流体化学物質を利用する。流体化学物質は、例えば、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品などを含むことができる。このような化学物質を使用する際には、保管、輸送、そして最終的には製造プロセス自体の間、化学物質を適切に封じ込めるために流体封じ込めシステムを利用することができる。
【0022】
流体には、せん断応力が加えられると流動または変形する物質が含まれるが、これに限定されるものではない。流体は、例えば、液体を含むことができる。
図1Aは、一実施形態による流体封じ込めシステム100の端部の断面図である。流体封じ込めシステム100は、容器102、リテーナ104、および対ライナー装着部106を備えている。
【0023】
流体封じ込めシステム100は、例えば、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品などの化学物質を封じ込めるためのシステムである。
容器102は、以下に説明されて図6に示されるライナーのようなライナー(図示せず)内に位置する流体を保持することができる中空容器である。容器102は、1つ以上のポリマー製であってもよい。容器102は、例えば、ストレッチブロー成形可能ポリマー製であってもよい。容器102に使用され得る材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)、ポリシクロヘキシルエンジメチレンテレフタル酸(PCTA)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポルタミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーなど、およびそれらの材料を含むコポリマーなどが挙げられる。
【0024】
容器102は、ボトルであってもよい。一実施形態では、容器102は、約1リットル以上約20リットル以下の内容積を有するボトルである。図1Aには、容器102の端部のみが示されている。容器102の全体は、図1Cに示され、以下で説明される。
【0025】
容器102は、例えば、容器102に使用される材料に添加物、顔料などを含めることによって、紫外線遮断材料製であってもよい。容器102は、例えば、流体封じ込めシステム100が取り扱い中に落とされることに起因する飛散に対する耐性のために選択された材料製であってもよい。一実施形態では、容器102は封じ込めシステム100の外層であり、ライナーは容器102の内部に配置される。実施形態では、容器102は、容器102の端部に穴(opening)144(図1C)を有し、穴144には装着装置が配置されている。図1に示す実施形態では、穴144に位置する装着装置は、リテーナ104と対ライナー装着部106とを備えている装着装置である。実施形態では、対ライナー装着部106は、穴144でボトルに接合されている。実施形態では、対ライナー装着部106は、穴144を通って延びている。
【0026】
図1Aに示す実施形態では、リテーナ104および対ライナー装着部106は、互いに接合されている。図1Aに示すように、リテーナ104は、対ライナー装着部106の外面110(図1B)からの突起108と、リテーナ104の内面114上の凹部または穴(openings)112とのインタフェースによって、対ライナー装着部106に接合される。実施形態では、リテーナ104および対ライナー装着部106は、互いに圧入されるサイズであることなどの摩擦によって、または対ライナー装着部106の外面110に配置されたOリング溝118などのOリング溝内に配置されたOリング116(図1Bで見えている)での摩擦によって、接合されてもよい。実施形態では、リテーナ104を対ライナー装着部106に接合するために接着剤を使用してもよい。実施形態では、リテーナ104を対ライナー装着部106に接合するために、超音波溶接などの溶接を使用してもよい。Oリング116は、リテーナ104または対ライナー装着部106よりも軟らかい材料製であってもよい。Oリング116は、清浄性(cleanliness)と、Oリング116とリテーナ104および/または対ライナー装着部106との間の摩擦による粒子発生の低減とに基づいて選択された材料製であってもよい。
【0027】
リテーナ104は、例えば、超音波溶接、加熱などによって容器102に接合することができる材料製であっていてもよい。接合できるかどうかは、接合方法、材料の互換性、および容器102およびリテーナ104に使用される材料の融点同士の類似性に依存する場合がある。リテーナ104は、安定剤、着色剤、またはUV遮断または吸収材料などの添加剤またはコーティングを含んでもよい。
【0028】
リテーナ104に使用される材料の例は、例えば、PE、PET、PEN、および/またはPEEKを含んでもよい。
リテーナ104は、対応接合面120aで容器102に接合されるように構成された対容器接合面120を備えている。リテーナ104は、対ライナー装着部106とリテーナ104とを一緒に固定するために、対ライナー装着部106からの突起108を受け入れることができる幅、高さ、および深さを有する穴(openings)112を備えてもよい。リテーナ104は、対ライナー装着部106が通過することができる開口(aperture)を区画している。この開口の例は、図5に示され、以下で説明される。実施形態では、リテーナ104には、リテーナ開口に面する内周面にOリング溝が配置されている。実施形態では、リテーナ104は、ネジ山122を有する。実施形態では、ネジ山122は、流体封じ込めシステム100が組み立てられたときに容器102の外側にあるリテーナ104の端部に配置される。実施形態では、リテーナ104は、スナップフィットを介して容器102に接合されるように構成されている。
【0029】
対ライナー装着部106は、封じ込めシステム100と一緒に使用されるライナーに接合することができる1つ以上の材料製である。ライナーと対ライナー装着部106は、例えば、超音波溶接、ヒートシールなどによって接合されてもよい。ライナーと対ライナー装着部106の接合は、ライナー内の流体が対ライナー装着部106の対ライナー装着部開口146を介してのみ逃げることができるように、ライナーと対ライナー装着部106との間に流体不透過性のシールを形成してもよい。
【0030】
対ライナー装着部106のために選択された材料は、流体封じ込めシステム100内に貯蔵される化学物質との材料の反応性に基づいて部分的に選択されてもよい。一実施形態では、封じ込めシステム100で使用されるライナーはポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)であり、対ライナー装着部106はパーフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)である。
【0031】
対ライナー装着部106は、直径124を有して対ライナー装着部106全体を通過する対ライナー装着部開口146を区画している。対ライナー装着部開口146は、封じ込めシステム100が組み立てられたときに容器102の外側に配置される対ライナー装着部106の第1端部126と、容器102の内側に配置される対ライナー装着部106の第2端部128との間の流体連通を可能にする。対ライナー装着部106は、対ライナー接合面130を備えている。図1Aに示す実施形態では、対ライナー接合面130は、対ライナー装着部106から延びるフランジ132上に配置されている。実施形態では、対ライナー接合面130は、超音波溶接を介してライナーに接合される。実施形態では、対ライナー接合面130は、ヒートシールまたは熱溶接を介してライナーに接合される。
【0032】
ライナー(図示せず)は、容器102内の流体がライナー内に保持されるように、対ライナー接合面130で対ライナー装着部106に接合されてもよい。ライナーおよび対ライナー装着部106は、流体封じ込めシステム100内に貯蔵される流体に対する耐性または相溶性(compatibility)などの適切および/または所望の特性を有する湿潤面を提供する。ライナーの材料選択のための他の要因には、貯蔵される化学物質との化学的相溶性、材料の清浄性(すなわち、貯蔵または取り扱い中の材料損失の低減)、ライナーの洗浄の容易さ、材料の純度、またはライナーと貯蔵される化学物質との間の潜在的な相互作用に関する他のそのような懸念が含まれ得る。
【0033】
図1Bは、図1Aの断面図の一部を拡大して示している。図1Bは、一実施形態による、リテーナ104と容器102との間の接合部を示す。図1Bに示す実施形態では、リテーナ104は対容器接合面120を備えており、容器102は対応接合面120aを有している。図1Bに示す実施形態では、容器102は、対応接合面120aの内周部分に位置するエネルギーディレクタ134を有する。図1Bに示す実施形態では、エネルギーディレクタ134および対容器接合面120は、一緒に超音波溶接されるように構成されている。実施形態は、ステップ接合または舌と溝の超音波溶接などの他の超音波溶接接合構造を介して接合されるように構成された対容器接合面120および対応接合面120aを備えてもよい。実施形態は、熱溶接、スナップやネジ山を介したような機械的接続、接着剤などの他の接合方法を介して接合されるように構成された対容器接合面120および対応接合面120aを備えてもよい。
【0034】
図1Bでは、リテーナ104の穴112と、対ライナー装着部106からの突起108との間のインタフェースを介して、リテーナ104と対ライナー装着部106とが互いに接合されている。対ライナー装着部106からの突起108は、リテーナ104が摺動可能な傾斜面136と、係合面138とを有している。図1Bに示す実施形態では、係合面138は、リテーナ104の穴112の側面と平行である。突起108の係合面138は、リテーナ104の穴112の側面に係合して、対ライナー装着部106をリテーナ104に固定する。
【0035】
また、図1Bにおいて、Oリング116は、Oリング溝118内に見ることができる。Oリング116は、例えばゴムなどの弾性ポリマーのようなポリマー製であってもよい。Oリング116は、リテーナ104と対ライナー装着部106との間のシールを提供してもよい。一実施形態では、Oリング116は、互いに接合されたリテーナ104と対ライナー装着部106との間に摩擦を与えるために使用される。
【0036】
図1Cは、容器102の全体を備えている、流体封じ込めシステム100の全体を示している。図1Cに示すように、容器102は、例えば、ボトルであってもよく、図1Aに示す部分は、そのボトルの首部142であってもよい。容器102は、リテーナ104および対ライナー装着部106が接続される端部に穴(opening)144を有していてもよい。容器102は、図1Cに示す窪み部分140、隆起部分、テキスト部分、取手などの特徴部を備えていてもよい。窪み部分140などの表面特徴部は、例えば、美観、取扱い性、ボトル強度、またはそれらの好適な組み合わせを改善するために追加されてもよい。
【0037】
図2は、一実施形態による流体封じ込めシステム200の端部の断面図である。図2に示す実施形態では、流体封じ込めシステム200は、図1A図1Cに示して上述したようなそれらの要素の特徴のすべてとともに、容器102およびリテーナ104を備えており、さらに対ライナー装着部202を備えている。
【0038】
対ライナー装着部202は、上述の対ライナー装着部106のように、Oリング溝118を備えている。対ライナー装着部202は、対ライナー装着部202の第1端部から対ライナー装着部202の第2端部まで延びる開口(aperture)210を区画している。対ライナー装着部202は、上述の対ライナー装着部106と同じ材料製であってもよい。対ライナー装着部202において、対ライナー接合面204は、第1端点206、第2端点208、および第1端点206から第2端点208まで延びる1つ以上の曲面(図示せず)に配置されている。対ライナー接合面204が配置され得るような曲面は、図4Aおよび図4Cに見えており、以下に説明する。
【0039】
対ライナー装着部202は、図1Aおよび図1Bの対ライナー装着部106に示されている突起108などの突起を備えてもよいが、これらは図2の断面図では見えない。そのような突起は、対ライナー装着部202をリテーナ104に固定するためにリテーナ104に係合してもよい。このような突起は、図4Aおよび図4Cに示す例示的な対ライナー装着部400においても見えている。
【0040】
図3Aは、一実施形態による対ライナー装着部300の斜視図である。対ライナー装着部300は、対ライナー装着部300の長さ方向304(図3Bで見える)を通って延びる対ライナー装着部開口302を区画している。対ライナー装着部300は、フランジ306を備えている。対ライナー接合面308は、フランジ306の表面に配置されている。図3Aに示す実施形態では、突起310は、対ライナー装着部300の外面312上に配置されている。図3Aに示す実施形態では、Oリング溝314も、対ライナー装着部300の外面312上に配置されている。
【0041】
対ライナー装着部開口302は、対ライナー装着部300の長さ方向304に延びる穴である。ライナー(図示せず)が対ライナー接合面308で対ライナー装着部開口302に取り付けられると、対ライナー装着部開口302は、ライナーへの流体連通およびライナーからの流体連通を可能にするとともに、ライナーの内側と、対ライナー装着部300を備えている流体封じ込めシステムの外側との間に湿潤面を提供する。実施形態では、対ライナー装着部300によって提供される湿潤面は、フッ素ポリマーのホモポリマーおよびコポリマーを含むフッ素ポリマーなど、対ライナー装着部300を備えている流体封じ込めシステムに貯蔵される化学物質に対して非反応性の1つ以上のポリマーである。実施形態では、対ライナー装着部300は、フッ素ポリマーのホモポリマーおよびコポリマーを含むフッ素ポリマーのような、対ライナー装着部300を備えている流体封じ込めシステムに貯蔵される化学物質に対して非反応性の1つ以上のポリマーで完全に作られている。
【0042】
フランジ306は、対ライナー装着部300から延びている。図3Aに示す実施形態では、フランジ306は、対ライナー装着部300の端部からの環状の突起である。実施形態では、フランジ306は連続している。フランジが不連続である実施形態では、フランジの幅の一部または全部が不連続部分を備えていてもよい。フランジが不連続である実施形態では、フランジは、フランジを通る1つ以上の穴を備えている。図3Aに示す実施形態では、対ライナー接合面308は、フランジ306の上面に配置されている。対ライナー接合面308は、ライナーに接合されるように構成された面である。ライナーと対ライナー接合面308との間の接続は、流体不透過性であってもよく、例えば、超音波溶接や熱溶接などの溶接を介していてもよい。実施形態では、対ライナー接合面308の材料は、対ライナー装着部300と一緒に使用されるライナーで使用される材料と同じ材料である。
【0043】
図3Bは、図3Aに示す実施形態による対ライナー装着部300の断面図である。図3Bの断面図では、対ライナー装着部の長さ方向304が見えている。対ライナー装着部開口302は、この長さ方向304において対ライナー装着部300の全長に渡って延びている。対ライナー装着部300は、第1端部内径316および第1端部外径318を有する。実施形態では、第1端部内径316は、対ライナー装着部300に取り付けられたライナーにチューブを挿入することを許容して、チューブを介してライナーから流体を抽出できるように選択される。実施形態では、対ライナー装着部300と一緒に使用されるリテーナの内径は、対ライナー装着部300の第1端部外径318よりも大きくなるように選択される。
【0044】
図4Aは、一実施形態による対ライナー装着部400の斜視図である。対ライナー装着部400は、対ライナー装着部開口402を区画している。対ライナー装着部開口402は、対ライナー装着部400の長さ方向404(図4Bに示す)に延びる、対ライナー装着部400の穴である。
【0045】
対ライナー装着部400は、対ライナー接合面410を備えている。対ライナー接合面410は、対ライナー装着部400をライナーに接合することができるように構成されている。ライナーは、例えば、超音波溶接またはヒートシールによる流体不透過性のシールを介して対ライナー接合面410に接合されてもよい。対ライナー接合面410は、例えば、超音波溶接によってライナーに接合されるように構成されてもよい。実施形態では、対ライナー接合面410の材料、または対ライナー装着部400全体の材料は、ライナー内に貯蔵される化学物質との相溶性に基づいて選択される。例えば、実施形態では、対ライナー装着部400がPTFE製のライナーと一緒に使用される場合、対ライナー装着部400はPFA製である。
【0046】
対ライナー装着部400は、外面412を有する。外面412には、Oリング溝414が配置されてもよい。Oリング溝414は外面412における環状溝であり、Oリングを受け入れる深さおよび幅を有する。いくつかの実施形態では、Oリングの一部が、例えば、対ライナー装着部400と、対ライナー装着部400と一緒に使用されるリテーナとの間にシールを形成するために、対ライナー装着部400と一緒に使用されるリテーナに接触するように外面412を越えて突出することを可能にする。Oリングを介して形成されるシールは、流体不透過性のシールであってもよい。Oリングは、例えば、ゴムなどの弾性ポリマー製のようなポリマー製であっていてもよい。Oリングは、図1Bに示されて上述したOリング116と同じまたは類似のものであってもよい。
【0047】
突起416は、対ライナー装着部400の外面412から延びていてもよい。突起416は、対ライナー装着部400と一緒に使用されるリテーナ上の凹部に係合するように構成されてもよい。
【0048】
図4Bは、図4Aに示す実施形態による対ライナー装着部400の断面図である。断面図では、対ライナー装着部開口402が沿って延びている、対ライナー装着部400の長さ方向404が見える。断面図では、対ライナー装着部400の内径418が見えており、対ライナー装着部400の端部における対ライナー装着部開口402の直径を規定している。対ライナー装着部400はまた、当該端部で外径420を有する。端部における対ライナー装着部400の厚さは、対ライナー装着部の内径418と外径420との差の半分である。対ライナー装着部400の厚さは、対ライナー装着部400の長さ方向404に沿って変化してもよい。対ライナー装着部400と一緒に使用されるリテーナは、対ライナー装着部400がリテーナの開口に挿入されることができるように、対ライナー装着部の外径420と少なくとも同程度の直径を有する開口を有する。一実施形態では、リテーナは、組み立てられたときにリテーナが対ライナー装着部400と圧着され得るように、対ライナー装着部の外径420に対してほぼ等しいかわずかに小さくなるように選択された直径を有する開口を有することになる。
【0049】
図4Cは、図4Aに示す実施形態による対ライナー装着部400の底面図である。図4Cでは、突起416が見えている。第1端点406から第2端点408まで延びる両方の表面422は、図4Cに示されている。対ライナー接合面410は、表面422のそれぞれと第1端点406および第2端点408とに配置されている。対ライナー装着部開口402は、対ライナー装着部400の全体を貫通して延びている。図4Cに示すように、対ライナー装着部400の底面図または上面図において、表面422および第1端点406および第2端点408は、第1端点406、第2端点408において両方の表面422の間に形成される角度が互いに等しく、両方の表面422が等しい長さおよび曲率を有する規則的な二角形(regular digon)を形成している。
【0050】
図5Aは、一実施形態によるリテーナ500の斜視図である。リテーナ500は、リテーナ500の長さ方向504(図5B)に沿って、リテーナ開口502を区画している。図5Aに示す実施形態では、リテーナ500は、図3Aに示す対ライナー装着部300の突起310または図4Aに示す対ライナー装着部400の突起416などの、対ライナー装着部からの突起を受け入れるように構成された複数の穴(図5Bに506として示す)を備えている。リテーナ500は、対容器接合面(図5Bに508として示す)を備えてもよい。図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、対容器接合面508は、リテーナフランジ510上に配置されている。
【0051】
リテーナ開口502は、リテーナ500によって区画される穴(opening)である。リテーナ開口502は、リテーナ500とともに使用される対ライナー装着部300の第1端部外径(外径)318または対ライナー装着部400の外径420などの対ライナー装着の外径に対して、ほぼ同じ大きさまたは一層大きい内径512を有する。これによって、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400をリテーナ開口502に挿入することができる。実施形態では、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400は、流体封じ込めシステム100、200が組み立てられたときに、例えば、流体封じ込めシステム100または流体封じ込めシステム200において、ライナーから流体封じ込めシステムの外側への湿潤面全体を対ライナー装着部300または対ライナー装着部400が提供するように、リテーナ500を通って突出してもよい。
【0052】
リテーナ500は、リテーナ500の外面にネジ山514を備えている。ネジ山514は、例えば、リテーナ500を備えている封じ込めシステムを封じるキャップを取り付けるために使用されてもよい。実施形態において、リテーナ500は、端部にネジ山514を備えなくてもよい。実施形態では、キャップに係合するためのリップなどの別のコネクタが、リテーナ500に存在してもよい。実施形態では、リテーナ500は、リテーナとキャップとの間にスナップフィットを形成するためにキャップに係合するように構成された特徴部を備えてもよい。
【0053】
リテーナフランジ510は、リテーナ500から外側に延びる。リテーナフランジ510は、リテーナ500の全体を取り囲む、環状のフランジであってもよい。リテーナフランジ510は、1つ以上のベントホールを備えてもよい。ベントホールは、リテーナ500を備えている流体封じ込めシステムの外部と、対ライナー装着部に接合されたライナーと対容器接合面508に接合された容器との間の空間との間の流体連通を可能にしてもよい。一実施形態では、ベントホールは、流体封じ込めシステムのライナーに貯蔵された化学物質を提供(dispense)する際に、容器とライナーとの間の空間を加圧するために使用される。図5に示す実施形態では、リテーナフランジ510は連続している。実施形態では、リテーナフランジ510は、リテーナ500から離れて延びるときに、リテーナフランジ510の一部または全部に1つ以上の不連続部を備えている。実施形態では、不連続部は、リテーナフランジ510の縁部にベントホールを形成し、リテーナフランジ510の不連続部に対応して対容器接合面508に隙間を形成する。実施形態では、ベントホールは、ライナーの体積の変化に応じて、空気を容器から逃がしたり、容器に入れたりすることができる。
【0054】
図5Bは、図5Aに示す実施形態によるリテーナ500の断面図である。図5Bの図では、上述した穴506が、対容器接合面508と同様に見えている。図5Bは、リテーナ500の長さ方向504を示しており、長さ方向504に沿ってリテーナ開口502が延びている。
【0055】
対容器接合面508は、リテーナ500のフランジであるリテーナフランジ510上に位置してもよい。対容器接合面508は、図1A図1Cに示されて上述した容器102などの容器に接合されるように構成された表面であってもよい。一実施形態では、対容器接合面508は、容器に溶接されるように配置される。実施形態では、対容器接合面508は、超音波溶接時に容器の対応する接合面上のエネルギーダイレクタに接触するように構成された平坦な面である。
【0056】
実施形態では、対容器接合面508は、リテーナ500を容器に接合するために使用される接着剤のための位置である。実施形態では、対容器接合面508は、例えば、ネジ山、スナップ、干渉フィットなどを介して、容器に機械的に接合されるように構成されてもよい。対容器接合面508は、例えばリテーナフランジ510が環状フランジである場合には、リテーナフランジ510の全周にわたって延在するなど、連続していてもよい。実施形態では、対容器接合面508は、封じ込めシステムの外側の空間と、容器と封じ込めシステムのライナーとの間の空間との間の流体連通を可能にするベントホールを形成するために不連続である。
【0057】
穴506はリテーナ500の穴であり、高さ516、幅(図5Bの断面図では見えない)、向き、および深さ518を有しており、リテーナと一緒に使用される対ライナー装着部上の突起を、例えば対ライナー装着部300の突起310または上述の突起416の対ライナー装着部400を受け入れるように構成されている。リテーナ500の穴506と、上述の対ライナー装着部300の突起310または対ライナー装着部400の突起416とが組み合わさって、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400をリテーナ500に接合するスナップフィットを提供する。
【0058】
図6Aは、一実施形態によるライナー600を示す。図6に示す実施形態のライナー600は、上述して図3に示すような対ライナー装着部300と一緒に使用することができる。
【0059】
ライナー600は、流体封じ込めシステム100または流体封じ込めシステム200など、ライナー600を備えている流体封じ込めシステムに流体が貯蔵されているときに、流体を封じ込める。ライナー600は、トップシートとボトムシートとで形成される。トップシート、ボトムシート、および対ライナー装着部300は、流体不透過性のシールをもたらす接合方法、例えば超音波溶接やヒートシールなどの溶接を用いて接合される。
【0060】
対ライナー接合面308が配置されているフランジ306がボトムシートとトップシートとの間に位置するように、対ライナー装着部300は配置することができ、対ライナー装着部300は、トップシートの穴602を通って突出している。穴602は直径608を有しており、直径608は対ライナー装着部開口302の端部における対ライナー装着部300の直径よりも大きいが、対ライナー装着部300のフランジ306の最小直径よりも小さい。実施形態では、対ライナー装着部300は、ライナー600から突出している。実施形態では、対ライナー装着部300の対ライナー装着部開口302を介して以外にライナー600から流体が抜け出るのを防ぐシールを形成することができる。
【0061】
ライナー600は、トップシートとボトムシートの縁部604を接合して縁部604の周りにシールを形成し、トップシートとボトムシートの間、およびシールされた縁部604同士の間の空間606に流体を貯留できるようにすることによって閉じてもよい。
【0062】
一実施形態では、ライナー600は、フランジ上ではなく2つの端点間の曲面上に位置する接合面を有する対ライナー装着部400などの対ライナー装着部に接合される。ライナー600が対ライナー装着部400などの対ライナー装着部と一緒に使用される場合、対ライナー装着部400の対ライナー接合面410が配置されている曲面としての表面422にボトムシートおよびトップシートのそれぞれの縁部が接触するように、ボトムシート、トップシート、および対ライナー装着部400は配置される。トップシートおよびボトムシートの縁部604は、互いに、および対ライナー接合面410に接合されている。ライナー600が対ライナー装着部400のような対ライナー装着部と一緒に使用される場合、穴602は、ライナー600を形成するために使用されるシートから省略されてもよい。ライナー600が対ライナー装着部400などの対ライナー装着部と一緒に使用される場合、トップシートおよびボトムシートおよび対ライナー装着部400は、超音波溶接または熱溶接などの1つの接合プロセス中に互いに接合されてもよい。
【0063】
ライナー600は、ポリマー製であってもよい。ライナー600は、ライナー600を備えている封じ込めシステムによって封じ込められるべき流体に対して不透過性であるポリマー製であってもよい。ライナー600は、加圧されたときにライナーが拡張され得るような柔軟なポリマー製であってもよい。実施形態では、ライナー600は、耐薬品性またはライナー600を備えている封じ込めシステムによって封じ込められるべき流体との相溶性に基づいて選択されたポリマーで作られる。実施形態では、ライナー600は、フッ素ポリマーのホモポリマーまたはコポリマーであってもよい、フッ素ポリマーで作られる。実施形態では、ライナー600はPTFEである。実施形態では、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400などの対ライナー装着部は、ライナー600がPTFEである場合にはPFAなど、ライナー600に超音波溶接可能なように選択された材料製である。一実施形態では、ライナーは、例えばポリオレフィンであったり、または例えば化学的相溶性、純度、およびライナー材料の清浄性に基づいてライナーを備えている封じ込めシステムで使用する化学物質を含むのに適した他のポリマーであったりしてもよい。
【0064】
図6Bは、一実施形態によるライナー610を示す。ライナー610は、図4A図4Cに示すような装着装置と一緒に使用されるように構成されている。ライナー610は、首部612を有する。ライナー610の層同士の縁部614同士が接合されて、ライナーを形成するとき、首部612の端部616の縁部は接合されず、ライナーの外側と、ライナーの接合された層同士の間の空間618との間の流体の流れを可能にする。ライナー610が対ライナー装着部400と一緒に使用される場合、首部612の内側表面620は、ヒートシールまたは超音波溶接によって対ライナー接合面410に接合される。
【0065】
図7は、実施形態による、封じ込めシステム700の製造方法のフローチャートである。ライナーは、装着装置の少なくとも一部分に接合702される。任意で、装着装置は完全に組み立て704がされる。ライナーおよび装着装置は、容器内に配置706される。ライナーは加圧708される。装着装置は容器に接合710される。
【0066】
ライナーは、装着装置の少なくとも一部に接合702される。実施形態では、ライナーは、図1Aおよび図2に示すような組み立てられた装着装置または図8に示すような装着装置800のように、装着装置全体に接合される。実施形態では、ライナーは、リテーナ500(図5A図5B)などのリテーナとの組み立ての前に、それぞれ図3A図3Bに示す対ライナー装着部300または図4A図4Cに示す対ライナー装着部400などの、装着装置の一部のみに接合される。ライナーは、上述したライナー600であってもよい。ライナーは、例えば、超音波溶接、ヒートシール、接着剤などによって、装着部または装着装置の一部に接合702されてもよい。一実施形態では、ライナーは、装着部の一部に接合される際に組み立てられる。
【0067】
任意に、ライナーが702において装着装置の一部分のみに接合される場合、装着装置は組み立て704がされてもよい。装着装置は、リテーナ(例えば、リテーナ500)と、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400などの対ライナー装着部とのような構成要素を接合することによって組み立てられる。構成要素は、対ライナー装着部300や対ライナー装着部400などの対ライナー装着部と、リテーナ500などのリテーナとを備えてもよい。対ライナー装着部とリテーナとは、例えば、スナップやネジ山などの機械的な干渉、圧入や対ライナー装着部とリテーナとの間に配置されたOリングなどの摩擦、または接着剤などによって接合されてもよい。
【0068】
ライナーと装着装置は、容器内に配置706される。ライナーは、上述して図1図3に示す封じ込めシステム100で使用される容器102のような容器内に、完全に配置される。装着装置は、容器の開口の周囲によって取り囲まれる。実施形態では、対容器接合面120のような対容器接合面は、対応接合面120aに接触して配置される。
【0069】
ライナーを加圧708する。ライナーの加圧は、例えば、対ライナー装着部開口302などの対ライナー装着部開口にガスを供給するガス管を介して達成されてもよい。ライナーの加圧は、例えば、ガス管などのガス源や、超音波溶接装置のベルに設けられた開口などを設けることによって、容器、ライナー、および装着装置が超音波溶接装置内にある状態で行ってもよい。ライナーを加圧708することで、容器内のライナーを膨張させる。装着装置が気密シールによって容器に接合される実施形態では、ライナーの加圧は、装着装置を容器に接合710する前に行ってもよい。
【0070】
装着装置は、容器に接合710される。装着装置と容器は、超音波溶接、ヒートシール、接着剤などによって接合されてもよい。実施形態では、装着装置と容器は、スナップやネジ山などの機械的な干渉、圧入や対ライナー装着部とリテーナとの間に配置されたOリングなどの摩擦、または接着剤によって接合されてもよい。装着装置部と容器との接合710は、ライナーを加圧した状態で行ってもよい。実施形態では、ライナーを加圧708し、その後、装着装置を容器に接合710する間、圧力を維持する。実施形態では、装着装置を容器に接合710するために使用される超音波溶接装置内に容器と装着装置とが位置する間、ライナーは加圧708される。実施形態では、ライナーを加圧708するために使用されるガス源は、装着装置を容器に接合する超音波溶接を形成するために超音波溶接装置が使用されている間、ライナー内の圧力を維持するために使用され続ける。
【0071】
図8は、一実施形態による装着装置800を示す。装着装置800は、装着装置800の長さ方向804に延びる開口802を区画している。装着装置800は、対容器接合面808と、対ライナー接合面810とを備えてもよい。一実施形態では、対容器接合面808は、装着装置800から外側に延びるフランジ806上に位置する。図8に示す実施形態では、対ライナー接合面810は、上述した図4に示す対ライナー接合面410と同様に、第1端点812および第2端点814、ならびに第1端点812から第2端点814まで延びる表面(図8の断面図では見えない)上に位置する。一実施形態では、対ライナー接合面810は、上述して図3に示した対ライナー接合面308およびフランジ306と同様に、フランジ上に配置されてもよい。図8に示す実施形態では、装着装置800は、別個のリテーナと対ライナー装着部との代わりに、対ライナー接合面810と対容器接合面808との両方を備えている一体構造(ワンピース構造)で形成された一体型(ユニット型)装着装置である。一体型装着装置は、容器とライナーとの両方に溶接可能な材料製であってもよい。一体型装着装置は、ライナーおよび装着装置の材料の清浄性または反応性に特段敏感ではない化学物質を封じ込めるために使用される封じ込めシステムに使用されてもよい。
【0072】
一実施形態では、1つ以上のベントホールが、例えばフランジ806に形成されるように、装着装置800に形成されてもよい。ベントホールは、装着装置800を備えている流体封じ込めシステムの外部と、対ライナー接合面810に接合されたライナーと装着装置800の対容器接合面808に接合された容器との間の空間との間の流体連通を可能にすることで、例えば流体封じ込めシステムのライナーに貯蔵された化学物質を提供する際に、当該空間を加圧してもよい。ベントホールは、例えば、ライナーの体積の変化に対応して、ライナーと、装着装置800によって接合された容器との間の空間に空気を入り込ませたり、出させたりすることができる。
【0073】
装着装置800は、容器およびライナーに対する適切な接合特性、耐薬品性または相溶性(compatibility)、および/またはUVブロッキングなどの流体封じ込めシステムの用途で必要とされる他の特性を有する1つ以上のポリマー製であってもよい。実施形態では、フッ素ポリマーのホモポリマーまたはPFAなどのコポリマーであってもよいフッ素ポリマーなどのコーティングが、装着装置800の開口802を区画している装着装置800の内面などの装着装置800の湿潤面に適用されてもよい。実施形態では、装着装置800全体は、例えばフッ素ポリマーのホモポリマーまたはPFAなどのコポリマーであってもよいフッ素ポリマー製である。実施形態では、装着装置800は、清浄性および/または化学的相溶性を改善するために、UV吸収コーティングなどの表面処理でコーティングされる。
【0074】
装着装置800は、例えば、装着装置材料が、流体封じ込めシステムが使用されるべき用途に必要な特性の全てを提供する場合に、流体封じ込めシステムで使用されてもよい。例えば、流体封じ込めシステムが、UV保護が重要ではない化学物質の貯蔵に使用されることになっており、フッ素ポリマーのホモポリマーまたはコポリマーであってもよいフッ素ポリマーを容器102にうまく接合することができる場合、リテーナ500などの別個のリテーナと、対ライナー装着部300または対ライナー装着部400などの別個の対ライナー装着部とを有するシステムの代わりに、一体型装着装置800を使用してもよい。装着装置800は、キャップなどを受け入れるためのネジ山816を備えていることができる。
【0075】
[態様]
態様1~11のいずれか一項は、態様12~17のいずれか一項または態様18~20のいずれか一項と組み合わせることができることに留意されたい。態様12~17のいずれか一項は、態様18~20のいずれか一項と組み合わせることができる。
【0076】
態様1:流体封じ込めシステムのための装着装置であって、装着装置は、
ライナーに接合されるように構成されている対ライナー接合面を備えている対ライナー装着部であって、前記対ライナー装着部は対ライナー装着部開口を区画している、前記対ライナー装着部と、
容器に接合されるように構成されている対容器接合面を備えているリテーナであって、前記リテーナは、前記対ライナー装着部の端部において前記対ライナー装着部の外径よりも大きな内径を有するリテーナ開口を区画している、前記リテーナとを備えており、
前記対ライナー装着部と前記リテーナとは互いに接合されている、装着装置。
【0077】
態様2:対ライナー接合面は環状フランジ上に配置されている、態様1に記載の装着装置。
態様3:対ライナー接合面は、第1端点から第2端点まで延びる1つ以上の曲面上に配置されている、態様1に記載の装着装置。
【0078】
態様4:リテーナは、リテーナの第1側とリテーナの第2側との間の流体連通を可能にする1つ以上のベントホールを備えており、リテーナの第2側はリテーナの第1側の反対側にある、態様1~3のいずれか一項に記載の装着装置。
【0079】
態様5:対ライナー装着部はフッ素ポリマーからなる、態様1~4のいずれか一項に記載の装着装置。
態様6:リテーナは、リテーナ開口の端部にネジが切られている、態様1~5のいずれか一項に記載の装着装置。
【0080】
態様7:リテーナは、リテーナ開口の端部でネジが切られている、態様1~6のいずれか一項に記載の装着装置。
態様8:リテーナは、ストレッチブロー成形可能ポリマーに対して超音波溶接可能なポリマーからなる、態様1~7のいずれか一項に記載の装着装置。
【0081】
態様9:対ライナー装着部は対ライナー装着部の外面に位置する1つ以上の第1接続特徴部を備えており、リテーナは1つ以上の第2接続特徴部を備えており、対ライナー装着部とリテーナとは1つ以上の第1接続特徴部と1つ以上の第2接続特徴部とのインタフェースを介して接合されている、態様1~8のいずれか一項に記載の装着装置。
【0082】
態様10:Oリングは対ライナー装着部とリテーナとの間に配置されている、態様1~9のいずれか一項に記載の装着装置。
態様11:装着装置はさらに対ライナー装着部の外面に設けられた環状溝を備え、Oリングは環状溝内に配置されている、態様10に記載の装着装置。
【0083】
態様12:ライナーと、装着装置と、および容器とを備えている封じ込めシステムであって、装着装置は、
ライナーに接合された対ライナー接合面を有するライナー嵌合部であって、対ライナー装着部開口を区画している対ライナー装着部と、
容器に接合された対容器接合面を有するリテーナであって、対ライナー装着部の端部において対ライナー装着部の外径よりも大きな内径を有するリテーナ開口を区画しているリテーナとを備えており、容器はライナーを取り囲んでいる、封じ込めシステム。
【0084】
態様13:ライナーは、溶接によって装着装置の対ライナー接合面に接合されている、態様12に記載の封じ込めシステム。
態様14:容器はスナップフィットによってリテーナに接合されている、態様12~13のいずれか一項に記載の封じ込めシステム。
【0085】
態様15:容器は紫外線遮断材料からなる、態様12~14のいずれか一項に記載の封じ込めシステム。
態様16:容器はストレッチブロー成形可能ポリマーからなり、リテーナは同じストレッチブロー成形可能ポリマーからなる、態様12~15のいずれか一項に記載の封じ込めシステム。
【0086】
態様17:ライナーはフッ素ポリマーからなる、態様12~16のいずれか一項に記載の封じ込めシステム。
態様18:封じ込めシステムの製造方法であって、前記製造方法は、
ライナーを、対ライナー接合面で装着装置に溶接する工程と、
前記ライナーと前記装着装置とを容器内に配置する工程と、
前記ライナーを加圧する工程と、
対容器接合面で前記装着装置を前記容器に接合する工程とを備えている、封じ込めシステムの製造方法。
【0087】
態様19:前記装着装置を前記容器に接合する工程は、前記装着装置を前記容器に超音波溶接する工程を備えており、前記装着装置を前記容器に接合するとき、前記ライナーは加圧される、態様18に記載の製造。
【0088】
態様20:前記装着装置は、
対ライナー接合面を備えている対ライナー装着部であって、前記対ライナー接合面は前記ライナーに接合されるように構成されており、前記対ライナー装着部は対ライナー装着部開口を区画している、前記対ライナー装着部と、
前記容器に接合されるように構成された対容器接合面を備えているリテーナであって、前記リテーナは、前記対ライナー装着部の端部において前記対ライナー装着部の外径よりも大きな内径を有するリテーナ開口を区画している、前記リテーナとを備えており、前記対ライナー装着部と前記リテーナとは互いに接合されている、態様18に記載の製造方法。
【0089】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを意図しており、限定することを意図していない。「a」(1つ)、「an」(1つ)、および「the」(前記)という用語は、他に明確に示されていない限り、複数の形態も含んでいる。本明細書で使用される用語「comprises」(備えている)および「comprising」(備え)は、記載された特徴、整数、ステップ(工程)、操作、要素、または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ(工程)、操作、要素、または構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0090】
これまでの説明に関して、本開示の範囲を逸脱することなく、特に採用された構造材料や部品の形状、サイズ、および配置に関する事項について、詳細に変更を加えることができることを理解されたい。本明細書および記載された実施形態は例示的なものであり、本開示の真の範囲および趣旨は後続の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8