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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】搬送装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20220831BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B65H9/00 A
B65H7/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018050383
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019163099
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕道
(72)【発明者】
【氏名】山根 淳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 英之
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-131190(JP,A)
【文献】特開2016-034860(JP,A)
【文献】特開2011-098790(JP,A)
【文献】特開2013-231854(JP,A)
【文献】特開2012-236672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
B65H 7/00
B65H 43/00
G03G 15/00
B41J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持して搬送するローラ対であり、前記シートの幅方向に複数並設され、それぞれの回転速度を相対的に変化させることにより前記シートの斜行を補正する斜行補正ローラと、
前記斜行補正ローラのシート搬送方向下流側に設けられた、シートを搬送するためのローラ対である挟持ローラと、
シート位置を検知する検知部と、
前記斜行補正ローラを制御する制御部とを備えた搬送装置であって、
前記検知部が、前記シートの先端が前記挟持ローラのニップ部に突き当てられる突き当て位置よりもシート搬送方向上流側の第一の位置において、前記シート位置を検知したとき、前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部は、前記シートの斜行量を算出して前記斜行補正ローラに前記シートの斜行を補正させ、
前記第一の位置よりもシート搬送方向下流側の位置である、前記突き当て位置を第二の位置とすると、
前記検知部が、前記第二の位置において前記シート位置を検知したとき、前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部は、前記シートの斜行量を算出して前記斜行補正ローラに前記シートの斜行を再度補正させ
複数の前記斜行補正ローラは、前記シートの幅方向の一方側に配置される斜行補正ローラと他方側に配置される斜行補正ローラが対になっており、これらの斜行補正ローラのシート搬送方向への回転を正回転として、前記正回転の回転量を正の数、シート搬送方向と反対方向への回転を逆回転として、前記逆回転の回転量を負の数とすると、
前記シートの斜行を再度補正する際の、対になった前記斜行補正ローラの回転量の総和は、所定の上限値以下に設定されることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
複数の前記斜行補正ローラの相対的な回転速度の変更は、複数の前記斜行補正ローラの平均速度を一定として行われる請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記検知部は、フォトセンサが前記シートの搬送方向に複数並設されてなるコンタクトイメージセンサを、前記シートの幅方向に複数有し、
前記コンタクトイメージセンサは、前記挟持ローラのシート搬送方向上流側から下流側にわたって設けられる請求項1または2いずれか記載の搬送装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記シートが前記突き当て位置に到達するまでに、前記シートの位置を複数回検知し、前記制御部は、当該複数回検知による検知結果に基づいて、フィードバック制御により、前記斜行補正ローラに前記シートの斜行を補正させる請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記シートの斜行を再度補正した後の前記シート位置を検知し、前記制御部は、当該シート位置の検知による検知結果に基づいて、前記挟持ローラの搬送速度を変更する請求項1からいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記挟持ローラよりもシート搬送方向下流側に、前記シートの幅方向端縁の位置を検知可能な第二の検知部をさらに有し、
前記挟持ローラは、前記シートの幅方向に移動可能に設けられ、
前記制御部は、前記第二の検知部の前記シートの検知結果に基づいて、前記シートの幅方向の位置ズレ量を算出し、当該位置ズレ量に基づいて、前記挟持ローラに、前記シートの幅方向の位置ズレ量を補正させる請求項1からいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記検知部の検知結果に基づいた、前記斜行補正ローラによる前記シートの斜行の再補正動作は、前記シートの斜行量が目標値以下になるまで繰り返し行われる請求項1からいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1からいずれか1項に記載の搬送装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送する搬送装置では、搬送時におけるシートの斜行や幅方向のズレ等の位置ズレが問題となる。例えば、シートに画像を形成する画像形成装置では、シートの搬送時の斜行により、シートに形成される画像位置が理想の位置からずれてしまうことが問題になる。
【0003】
そこで、シートを搬送しながらその斜行を補正する搬送装置の発明が従来からなされている。例えば特許文献1(特開2000-95384号公報)の斜行補正装置では、斜行検知センサと、シートの幅方向に二つのレジストローラ対とが設けられる。そして、斜行検知センサの検知結果により算出されたシートの斜行量に基づいて、二つのレジストローラ対同士のシート搬送速度を相対的に変更することにより、シートの幅方向一方側と他方側の搬送速度を異ならせ、シートの斜行を補正することができる。
【0004】
また、特許文献2(特開2003-72982号公報)のシート斜行矯正装置では、レジストタイミングローラによってシートを下流側へ搬送し、下流側のレジストローラ対の接触点に到達させる。この状態で、レジストタイミングローラがさらに正転することにより、下流側のレジストローラ対のニップ部にシートを押し当てて湾曲させる。そして、シートが下流側のレジストローラ対のニップ部に突き当てられた状態で、下流側のレジストローラ対を任意の回転角度だけ逆転させることにより、シートの先端に振動を与えることができる。以上の突き当て動作、及び、その後の逆転動作によるシートの振動によって、シートの先端が接触点にならうことで、シートの斜行が補正される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明のように、シートの搬送速度差によりシートの斜行を補正する構成では、速度の変化に対するシートの斜行補正量にバラつきが大きく、シートの斜行を高精度に補正することが困難である。特に、シートの種類や厚みによっても、与えた速度差に対する斜行の補正量にバラつきがあるため、精度良くシートの斜行を補正することが一層困難であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の発明では、シートの先端を下流側のレジストローラ対のニップ部線上に均一に当接させることで、シートをニップ部に押し当ててシートの斜行を補正することができるが、シートが大きく斜行してニップ部に押し当てられた場合には、均一な押し当てがなされず、シートの斜行が十分に補正されないという課題があった。特に、厚紙など、剛度の高いシートを搬送する場合には、均一に押し当てることが難しかった。
【0007】
このような事情から、本発明では、シートの斜行を高精度に補正することのできる搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、シートを挟持して搬送するローラ対であり、前記シートの幅方向に複数並設され、それぞれの回転速度を相対的に変化させることにより前記シートの斜行を補正する斜行補正ローラと、前記斜行補正ローラのシート搬送方向下流側に設けられた、シートを搬送するためのローラ対である挟持ローラと、シート位置を検知する検知部と、前記斜行補正ローラを制御する制御部とを備えた搬送装置であって、前記検知部が、前記シートの先端が前記挟持ローラのニップ部に突き当てられる突き当て位置よりもシート搬送方向上流側の第一の位置において、前記シート位置を検知したとき、前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部は、前記シートの斜行量を算出して前記斜行補正ローラに前記シートの斜行を補正させ、前記第一の位置よりもシート搬送方向下流側の位置である、前記突き当て位置を第二の位置とすると、前記検知部が、前記第二の位置において前記シート位置を検知したとき、前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部は、前記シートの斜行量を算出して前記斜行補正ローラに前記シートの斜行を再度補正させ、複数の前記斜行補正ローラは、前記シートの幅方向の一方側に配置される斜行補正ローラと他方側に配置される斜行補正ローラが対になっており、これらの斜行補正ローラのシート搬送方向への回転を正回転として、前記正回転の回転量を正の数、シート搬送方向と反対方向への回転を逆回転として、前記逆回転の回転量を負の数とそれぞれすると、
前記シートの斜行を再度補正する際の、前記の対になった斜行補正ローラの回転量の総和は、所定の上限値以下に設定される搬送装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、シートの突き当て位置への到達前に、斜行補正ローラによってシートの斜行を補正することで、より斜行量が小さい状態で、シートを挟持ローラのニップ部に突き当てることができる。また、突き当て位置あるいはその近傍の位置においてシートを検知し、再度、斜行補正ローラによりシートの斜行補正することにより、シートの斜行を高精度に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る搬送装置の図で、(a)図が平面図、(b)図が側面図である。
図3】本実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図4】本実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図5】本実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図6】本実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図7】用紙の斜行量の算出方法を示す図である。
図8】用紙がレジストローラに突き当たった状態を示す側面図である。
図9】本実施形態に係る搬送装置の用紙搬送動作および斜行補正動作の過程を示すフロー図である。
図10】本実施形態に係る搬送装置の用紙搬送動作および幅方向の位置ズレ補正動作の過程を示すフロー図である。
図11】本発明の実施形態に係る制御部の構成を示す図である。
図12】斜行補正ローラの構成を示す断面図である。
図13】レジストローラの移動機構を示す断面図である。
図14図13のb-b断面図である。
図15】異なる実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。
図16】後処理装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
図1に示すカラー画像形成装置1には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkが着脱可能に設けられた作像部3が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0013】
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11や、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像装置12、クリーニング装置等を備えている。
【0014】
プロセスユニット9の上方には、露光部が配置されている。露光部は、画像データに基づいて、レーザ光を発するように構成されている。
【0015】
作像部3の直下には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ13、二次転写対向ローラ15、複数のテンションローラ、これらのローラによって周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ17等で構成されている。各一次転写ローラ17はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
【0016】
また、中間転写ベルト16の駆動ローラ13と、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ13に対向した位置には二次転写ローラ18が配設されている。二次転写ローラ18は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
【0017】
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、シートとしての用紙Pを収容したシート積載部としての給紙カセット19や、各給紙カセットから用紙Pを搬出する給紙ローラ20等からなっている。
【0018】
搬送路6は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路である。搬送路6上には、複数の搬送ローラ対が、後述する排紙部に至るまで、適宜配置されている。
【0019】
搬送路6上で、給紙部5よりも用紙搬送方向下流側で二次転写ニップ位置よりも上流側には、搬送路6上における用紙Pの位置ズレを補正し、用紙Pを下流側へ搬送する搬送装置30が設けられる。
【0020】
定着装置7は、加熱源によって加熱される定着ローラ22、その定着ローラ22を加圧可能な加圧ローラ23等を有している。
【0021】
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路6の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ24と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ25とが配設されている。
【0022】
搬送路6は、排紙部8に至る経路とは別に、定着装置7の下流で分流する反転搬送路6aが設けられる。反転搬送路6aは、その末端で給紙部5から続く搬送路6に合流する。
【0023】
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
【0024】
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラによって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0025】
転写部4では、駆動ローラ13の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ17には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。このように、例えば、作像部3、露光部、転写部4等は、用紙Pに画像を形成する画像形成部として機能する。
【0026】
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ20が回転駆動することによって、給紙カセット19に収容された用紙Pが搬送路6に送り出される。
【0027】
搬送路6に送り出された用紙Pは、搬送路6上の搬送装置30やローラ対によって下流側へ搬送されると共に、搬送装置30によってその位置ズレを補正され、二次転写ローラ18と二次転写対向ローラ15との間に形成される二次転写ニップへ送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
【0028】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置7へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23とによって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ローラ22から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出される。
【0029】
用紙Pに両面印刷がされる場合には、用紙Pが排紙ローラ24へ搬送され、用紙Pの後端が排紙ローラ24を抜けるまでのタイミングで、排紙ローラ24が逆回転し、用紙Pが逆方向へ搬送されて反転搬送路6aへ送り出される。その後、用紙Pは、反転搬送ローラによって反転搬送路6a上を搬送されて、表裏反転した状態で、再び搬送路6の搬送装置30よりも上流側へ送られる。そして、用紙Pは、搬送装置30によってその位置ズレを補正された後、裏面への画像の転写、定着が行われ、排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出される。
【0030】
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0031】
次に、搬送装置30の構成について、図2(a)および図2(b)を用いてより詳細に説明する。なお、以下の説明では、用紙の幅方向(図2aの上下方向)を、単に幅方向とも呼ぶ。
図2(a)および図2(b)に示すように、搬送装置30は、斜行補正ローラ31A,31Bと、レジスト対向ローラ32A,32B,32Cと、レジストローラ33と、斜行検知用CIS34A,34Bを有する検知部39と、第二の検知部としての幅方向検知用CIS35と、上ガイド板36と、下ガイド板37とを主に備える。
【0032】
斜行補正ローラ31A,31Bは、一対のローラによって構成される搬送部材であり、ローラ同士のニップ部に用紙Pを挟持した状態で各ローラが回転駆動することにより、用紙Pを下流側へ搬送することができる。斜行補正ローラ31Aと斜行補正ローラ31Bは、用紙の幅方向に並設されており、斜行補正ローラ31Aは幅方向の一方側に斜行補正ローラ31Bは幅方向の他方側に配置されている。なお、幅方向の一方側、他方側とは、例えば、図2(a)のレジストローラ33の幅方向中央位置(基準位置に配置されたレジストローラ33の中央位置)よりも上側が一方側、下側が他方側とすることができる。
【0033】
レジスト対向ローラ32A,32B,32Cは、用紙の幅方向に並設され、共通のレジストローラ33に対向する。レジストローラ33は、各レジスト対向ローラ32A,32B,32Cとの間にニップ部を形成し、このニップ部に用紙Pを挟持して回転駆動することにより、用紙Pを下流側へ搬送することができる。言い換えると、レジストローラ33と各レジスト対向ローラ32は、用紙Pを挟持して搬送するローラ対である挟持ローラを構成している。また、レジストローラ33、および、レジスト対向ローラ32A,32B,32Cは、用紙Pの幅方向に一体的に移動可能に設けられる。レジストローラ33、および、レジスト対向ローラ32A,32B,32Cが、用紙Pを挟持した状態で一体的に幅方向へ移動することにより、用紙Pの幅方向の位置ズレを補正することができる。
【0034】
レジストローラ33は、レジスト対向ローラ32と同様に、幅方向に分割された複数のローラとすることもできる。ただし、レジストローラ33を長軸のローラとすることで、レジストローラ33の直角度をより小さくすることができるため、好ましい。
【0035】
斜行検知用CIS34A,34B、および、幅方向検知用CIS35は、LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなるフォトセンサが、複数並設されたコンタクトイメージセンサである。斜行検知用CIS34A、34Bには、用紙Pの搬送方向に複数のフォトセンサが並設され、幅方向検知用CIS35には、用紙Pの幅方向に複数のフォトセンサが並設されている。
【0036】
各レジスト対向ローラ32A,32B,32Cは、それぞれ幅方向に間隔をあけて配置されており、レジスト対向ローラ32A,32Bの間に斜行検知用CIS34Aが、レジスト対向ローラ32B,32Cの間に斜行検知用34Bが、それぞれ配置されている。斜行検知用CIS34A,34Bは用紙搬送方向に延在し、斜行補正ローラ31の下流側すぐの位置からレジスト対向ローラ32の下流側にわたって設けられている。ただし、レジスト対向ローラ32が4個以上設けられた構成であってもよい。
【0037】
上ガイド板36と下ガイド板37は、それぞれ搬送される用紙Pの上方と下方に、用紙Pの搬送方向に延在して設けられる。搬送装置30によって搬送される用紙Pは、上ガイド板36と下ガイド板37とによってガイドされ、搬送方向の下流側へ案内される。
【0038】
上ガイド板36は、レジスト対向ローラ32A,32B,32C、および、斜行検知用CIS34A,34Bを保持している。ただし、下ガイド板37にこれらが保持される構成であってもよい。また、下ガイド板37は、斜行補正ローラ31とレジストローラ33との間に、下方へ屈曲した凹部37aを有する。
【0039】
図12は、斜行補正ローラ31A,31Bの構成について、より詳細に説明した図である。
図12に示すように、斜行補正ローラ31Aは、駆動ローラ311Aと、従動ローラ312Aによって構成されるローラ対である。駆動ローラ311Aは、ギアなどの駆動力伝達手段を介して、モータ622から駆動力を伝達されて回転駆動する。また、従動ローラ312Aは、駆動ローラ311Aの回転動作に従動して回転する。駆動ローラ311Aおよび従動ローラ312Aの回転により、斜行補正ローラ31Aは、そのニップ部に挟持した用紙Pを下流側へ搬送することができる。
【0040】
斜行補正ローラ31Bは、その構成は斜行補正ローラ31Aと同様である。具体的には、斜行補正ローラ31Bは、駆動ローラ311Bと、従動ローラ312Bによって構成されるローラ対であり、駆動ローラ311Bがモータ632の駆動力により回転して、従動ローラ312Bが従動回転する。このように、斜行補正ローラ31A、31Bは、それぞれ独立したモータ622,632を駆動源として回転駆動をしており、それぞれの回転量、つまり、用紙搬送速度を独立して変更可能に構成されている。
【0041】
次に、搬送装置30が用紙Pを搬送しながらその位置ズレを補正する過程について、図2(a)、図3図8、そして、図9のフロー図を用いて説明する。
【0042】
まず、用紙Pは、斜行補正ローラ31A,31Bに到達し、斜行補正ローラ31A,31Bによって下流側へ搬送される(図9のステップS1)。この際、斜行補正ローラ31A,31Bの搬送速度は等しく設定されている。
【0043】
そして、図2(a)に示すように、用紙Pの先端P1が斜行検知用CIS34A,34Bに到達すると(ステップS2)、斜行検知用CIS34A,34Bによって用紙Pの先端位置が検知され、用紙Pの斜行量が算出される(ステップS3)。
【0044】
具体的には、図7に示すように、斜行検知用CIS34A,34Bは、検知動作を行うことにより、搬送方向(図の左右方向)に複数配置されたフォトセンサのうち、用紙Pに対向するセンサが検知状態となり、用紙Pに対向しないセンサが非検知状態となる。つまり、用紙Pの先端P1よりも上流側のフォトセンサが検知状態となり、それよりも下流側が非検知状態となる。従って、斜行検知用CIS34A,34Bの検知結果により、検知状態と非検知状態の境目である点P1a、P1bの位置をそれぞれ算出することができる。そして、点P1a、P1bの搬送方向の位置情報から、両者の搬送方向の離間距離M1(mm)を算出することができる。この距離M1と、斜行検知用CIS34A,34Bの両者の幅方向の離間距離L1(mm)とにより、用紙Pの斜行量(傾斜角度)θ1は、
TANθ1=M1/L1・・・式(1)
と表すことができる。距離Lは予め測定された値のため、算出された距離M1を用いて、式(1)により用紙Pの斜行量を算出することができる。
【0045】
そして、算出された斜行量θ1に基づいて、斜行補正ローラ31A,31Bの用紙搬送速度VA,VBを変更することにより、用紙Pを搬送しながら用紙Pの斜行を補正する(ステップS4)。例えば図2(a)の場合、用紙Pは、図の下側が先行して上側よりも下流側の位置にあるため、図の上側の斜行補正ローラ31Aの用紙搬送速度VAを、図の下側の斜行補正ローラ31Bの用紙搬送速度VBよりも相対的に大きくすることで、用紙Pの斜行を補正することができる。
【0046】
具体的な搬送速度VA,VBの求め方について図7を用いて説明する。
まず、図7に示すように、斜行補正完了の目標位置を搬送方向に対して垂直な垂直線Nとし、位置P1aから垂直線Nまでの搬送方向の距離MA(mm)を算出する。すると、用紙Pの先端位置P1aが垂直線Nに到達するまでの時間は、斜行補正ローラ31Aの搬送速度VA(mm/s)を用いて、
MA/VA・・・式(2)
と表すことができる。
【0047】
また、位置P2aから垂直線Nまでの搬送方向の距離MB(mm)を算出する。すると、用紙Pの先端位置P2aが垂直線Nに到達するまでの時間は、斜行補正ローラ31Bの搬送速度VB(mm/s)を用いて、
MB/VB・・・式(3)
と表すことができる。
【0048】
この式(2)と式(3)が等式となるような、搬送速度VA,VBを設定することにより、位置P1aと位置P2aを同時に垂直線Nの位置に到達させることができる。言い換えると、用紙Pの先端P1が垂直線Nに到達した時点で、用紙Pの斜行を補正できることになる。本実施形態では、用紙Pがレジスト対向ローラ32に到達する(突き当たる)までの間に、用紙Pの斜行を補正することを目標とするため、垂直線Nの位置は、レジスト対向ローラ32よりも上流側の所定の位置に設けられる。
【0049】
なお、垂直線Nの位置は、用紙Pのレジスト対向ローラ32への突き当て位置により近い方が好ましい。これにより、斜行補正のための搬送距離(距離MA,MB)をより大きく設けることができ、搬送速度VA,VBの速度差をより小さくすることができるので、用紙Pのねじれやしわ等の変形を抑制することができる。また、斜行補正ローラ31Aと斜行補正ローラ31Bの搬送速度VA,VBを変更する際には、両者の平均速度を一定として変更することが好ましい。これにより、用紙Pがレジスト対向ローラ32に到達するまでの時間を略一定とすることができる。
【0050】
以上のようにして算出された用紙Pの搬送速度VA,VBにより、斜行補正ローラ31が用紙Pを下流側へ搬送する。従って、図3に示すように、用紙Pは下流側へ搬送されるほど、その斜行が補正される。
【0051】
本実施形態では、用紙Pの搬送方向にわたって設けられた斜行検知用CIS34A,35Bにより、用紙PがこれらのCISに到達してからレジスト対向ローラ32に到達するまでの任意の位置で、用紙Pを検知することができる。従って、この任意の位置で、用紙Pの斜行量を算出することができる。
【0052】
このため、本実施形態では、用紙Pがレジスト対向ローラ32に到達するまでの間、用紙Pの先端P1の検知動作、および、この検知結果に基づいて、用紙Pの斜行量、および目標位置である垂直線Nまでの距離MA,MB(図7参照)の算出が繰り返し行われる。そして、このようにして算出された斜行量および距離が、その都度、用紙Pを搬送しながら補正する斜行補正ローラ31A,31Bにフィードバックされ、用紙搬送速度VA,VBが、その都度調整される(ステップS5)。このように、繰り返しの検知結果に基づいて用紙搬送速度VA,VBを細かく調整することにより、用紙Pの斜行を高精度に補正することができる。
【0053】
このように用紙Pの斜行量の算出およびその補正をするために、用紙P先端の位置検知を行う位置を第一の位置とすると、次のステップS6で用紙Pの先端が第二の位置に到達したか否かの判断を行う。具体的には、上記の繰り返しの検知動作によって用紙Pの先端P1a、P1bの位置を検知すると、その都度、先端P1a、P1bが、第二の位置に到達したか否かの判定を行う(ステップS6)。用紙先端が第二の位置に到達していない場合には、検知動作および用紙搬送動作の調整を再び行う。用紙先端が第二の位置に到達している場合には、斜行補正ローラ31A,31Bによる用紙搬送動作を停止する(ステップS7)。
【0054】
上記の第二の位置は、第一の位置よりも用紙搬送方向下流側の位置で、図4および図8(a)に示すように、用紙Pの先端P1がレジスト対向ローラ32とレジストローラ33とによって形成されるニップ部に突き当たる突き当て位置、あるいはその近傍の位置に設定される。レジスト対向ローラ32とレジストローラ33とはその回転を停止しており、レジスト対向ローラ32およびレジストローラ33に到達した用紙Pは、斜行補正ローラ31A,31Bからさらに搬送する力を受けることにより、先端P1をニップ部に突き当てられることになる。このため、用紙Pの先端P1が上記ニップ部に到達する位置を突き当て位置としている。なお、第二の位置を厳密に突き当て位置とせずにその近傍としても、用紙P先端の突き当てのタイミングの検知およびその際の斜行量の算出が可能である。
【0055】
図4に示すように、斜行した状態の用紙Pがレジスト対向ローラ32とレジストローラ33とのニップ部に突き当たった瞬間には、先端P1の先行側である位置P1bの側がニップ部に突き当たり、位置P1aがニップ部に到達していない状態である。この状態で、図8(a)に示すように、斜行補正ローラ31がさらに回転することにより、用紙Pが図の矢印方向への力を受けてニップ部に押し込まれる。これにより、図5に示すように、先端P1の位置P1aの側もニップ部に押し込まれることになり、用紙Pの斜行が補正される。また、図8(b)に示すように、用紙Pが下ガイド板37に形成された凹部37aの側へ屈曲する。
【0056】
本実施形態では、ステップS6のように、用紙先端P1が第二の位置に到達したことが検知されると、ステップS7で斜行補正ローラ31の用紙搬送動作(回転動作)を停止するようにしている。ステップS6の検知動作から斜行補正ローラ31の回転が停止するまでの間に時間差があるため、上記の用紙Pの押し込み動作は、この時間差の間に斜行補正ローラ31が回転することによって行われる。ただし、ステップS6で用紙先端P1が第二の位置に到達したことを検知してから、所定量だけ斜行補正ローラ31を回転させた後、斜行補正ローラ31の回転を停止する制御を行ってもよい。これにより、用紙Pの押し込み動作を確実に行うことができる。
【0057】
このように、本実施形態の構成では、まず、斜行検知用CIS34A,34Bによる検知結果に基づいて、斜行補正ローラ31A,31Bの相対速度を変更することにより、用紙Pの斜行を補正する。そしてその後、用紙Pのニップ部への突き当てにより、再度、用紙Pの斜行を補正している。斜行補正ローラ31A,31Bの相対速度の変更による斜行補正では、用紙Pと斜行補正ローラ31A,31Bとの摩擦力が、紙種や紙厚、装置周辺の温湿度環境等によって変動するため、補正の精度が十分に得られない。しかし、斜行補正ローラ31A,31Bによる斜行補正後に、用紙Pのニップ部への突き当てによる斜行補正を行うことで、高精度に用紙Pの斜行を補正することができる。また、用紙Pのニップ部への突き当て前に一度斜行補正を行うことで、突き当てによる補正量が大きくならないため、ニップ部への突き当てによる補正の精度を向上させることができる。
【0058】
しかし、上記の補正でも、十分に用紙Pの斜行を補正できない場合がある。例えば、レジスト対向ローラ32およびレジストローラ33の表層をゴムで形成している場合、用紙Pが厚紙であると、用紙先端がニップ部に接触した際に、途中で止まってしまい、用紙Pがニップ部に十分に押し込まれず、用紙Pの斜行が十分に補正されなくなってしまう。そこで本実施形態では、突き当て後の再度の補正動作により、用紙Pの斜行を高精度に補正している。
【0059】
具体的には、斜行補正ローラ31A,31Bの回転停止後、再び、斜行検知用CIS34A,34Bによって用紙Pを検知し、用紙Pの斜行量を算出する(ステップS8)。そして、算出した斜行量が設定した目標値以下であるか否かを判定する(ステップS9)。
【0060】
斜行量が目標値以下の場合には、用紙Pの斜行が十分に補正されたものとして、斜行補正ローラ31A,31Bによる用紙の斜行補正動作を終了する。そして、斜行補正ローラ31A,31Bは、用紙Pをレジスト対向ローラ32およびレジストローラ33に受け渡し、用紙Pから離間する。
【0061】
一方、斜行量が目標値を上回る場合には、算出された斜行量に応じて、斜行補正ローラ31A、あるいは、斜行補正ローラ31Bを微小量回転させる(ステップS10)。例えば、図4に示すように、用紙P1の図の下側が先行している場合には、図の下側の斜行補正ローラ31Bを微小量だけ逆回転させ、図の上側の斜行補正ローラ31Aを正回転させる。これにより、図5に示すように、用紙Pの斜行を再度補正することができる。なお、ステップS10では、幅方向の一方側(図の上側)に配置された斜行補正ローラ31Aの回転量と、幅方向の他方側(図の下側)に配置された斜行補正ローラ31Bの回転量を同じにする。これにより、用紙Pの搬送方向の位置を大きく変化させることなく(つまり、用紙Pのニップ部への押し込み状態を大きく変化させることなく)、用紙Pの斜行を補正することができる。
【0062】
そして、用紙Pの斜行を補正後、再度、斜行検知用CIS34A,34Bによって用紙Pを検知し、用紙Pの斜行量を算出する(ステップS8)。そして、算出した斜行量が目標値以下であるか否かを判定する(ステップS9)。以上の動作を、斜行量が目標値以下になるまで繰り返す。そして、斜行量が目標値以下になった場合には、斜行補正ローラ31A,31Bは、用紙Pをレジスト対向ローラ32およびレジストローラ33に受け渡し、用紙Pから離間する。
【0063】
以上のように、本実施形態の構成では、用紙Pがレジスト対向ローラ32とレジストローラ33のニップ部に突き当てられた状態で、斜行検知用CIS34A,34Bの検知結果に基づいて、斜行補正ローラ31の微小な回転動作を行うことにより、突き当て動作によって補正されなかった用紙Pの斜行を補正することができる。また、斜行補正ローラ31の微小な回転動作では、上記ニップ部に用紙Pが突き当たった状態で用紙Pの斜行を補正するため、用紙Pにねじれ方向の力が加わることになり、用紙Pの変形が生じやすい。しかし本実施形態では、斜行補正ローラ31A,31Bの相対速度の変更による斜行補正動作、および、その後の突き当て動作により、用紙Pの斜行の大部分を補正した状態で、上記の微小な回転動作による斜行補正を実施することができるため、用紙Pの変形を抑制することができる。
【0064】
ステップS10の微小な回転動作は、斜行補正ローラ31の正方向への回転量(用紙搬送方向への回転量)に上限値を設けることが好ましい。つまり、ステップS8で検知された用紙Pの斜行量が大きい場合には、ステップS10の回転量を大きくして、その斜行を大きく補正する動作が必要になる。一方で、正方向への回転量が大きくなりすぎると、用紙Pのニップ部への押し込み量が過大になり、用紙Pの変形を生じてしまうおそれがある。そこで本実施形態では、斜行補正ローラ31の正方向への回転量に上限値を設ける。そして、用紙Pの斜行が大きく、この上限値以上に補正が必要な場合には、もう一方の斜行補正ローラ31を、上限値超過分だけ逆方向へ回転させる。例えば、斜行補正ローラ31の正方向への回転量の上限値がπ〔rad〕で、斜行補正のために、斜行補正ローラ31Aの側を1.5π〔rad〕の回転量だけ正方向へ回転させたい場合、斜行補正ローラ31Aをπ〔rad〕だけ正転させ、斜行補正ローラ31Aを-0.5π〔rad〕だけ逆転させる、といった具合である。
【0065】
次に、上記の用紙Pの斜行補正動作完了後の、レジストローラおよびレジスト対向ローラによる用紙の搬送動作および幅方向の位置ズレ補正動作について、図5図6、そして、図10のフロー図を用いて説明する。
【0066】
図5に示すように、用紙Pの斜行補正動作が完了すると、斜行補正ローラ31が用紙Pから離間すると共に、レジストローラ33およびレジスト対向ローラ32が回転して用紙Pを下流側へ搬送する(図10のステップS21)。この際、レジストローラ33およびレジスト対向ローラ32のニップ部に突き当てられて屈曲していた用紙P(図8b参照)が、下流側へ搬送する力を受けることで元の平坦な形状に復帰する。
【0067】
そして、図5に示すように、斜行検知用CIS34A,34Bによって、用紙Pの先端が検知され、用紙Pの斜行量および二次転写位置(図では、二次転写対向ローラ15の位置)との搬送方向の距離M2が算出される(ステップS22)。距離M2は、例えば、位置P1a,P1bから二次転写位置までの平均距離とすることができる。
【0068】
このようにして算出された斜行量により、用紙Pの斜行が補正されたか否かの確認が行われる。また、算出された距離M2により、レジストローラ33の回転量、つまり、用紙Pの搬送速度が調整され(ステップS23)、用紙Pがタイミングを計られて二次転写位置に送られる。
【0069】
そして、図6に示すように、用紙Pが幅方向検知用CIS35に到達すると(ステップS24)、幅方向検知用CIS35により、用紙Pの側端P2のうち、幅方向検知用CIS35に対向する位置P2aが検知され、用紙Pの幅方向の位置ズレ量が算出される(ステップS25)。例えば、位置Pa2と幅方向の理想位置Kとの距L2として、幅方向の位置ズレ量が算出される。算出された幅方向の位置ズレ量に基づいて、レジストローラ33およびレジスト対向ローラ32が一体的に幅方向へ移動し、用紙Pの幅方向の位置ズレ量が補正される(ステップS26)。幅方向の位置ズレ補正動作は、レジストローラ33およびレジスト対向ローラ32が用紙Pを挟持している間に行われる。
【0070】
最後に、用紙Pが2次転写位置に到達すると、搬送装置30による用紙Pの搬送動作が終了する。レジストローラ33およびレジスト対向ローラ32は用紙Pから離間して幅方向へ一体的に移動し、基準位置へ復帰する。基準位置とは、レジストローラ33が用紙搬送路の幅方向中央に配置された位置で、例えば図5の位置である。
【0071】
以上のように、本実施形態では、用紙Pの斜行補正と幅方向の位置ズレ補正をそれぞれ独立して行うことができる。従って、一度にこれらの補正を行う場合と比較して、複雑な移動量の計算などを必要とせず、より簡単に用紙Pの位置ズレを補正することができる。
【0072】
以上の搬送動作および用紙の位置ズレ補正動作のための制御を行う制御部について、図11を用いて説明する。
図11に示すように、画像形成装置に設けられた制御部60は、位置認識部61と、第一モータ制御部62と、第二モータ制御部63と、第三モータ制御部64と、第四モータ制御部65と、形成画像制御部66とを主に備える。
【0073】
位置認識部61は、斜行検知用CIS34A,34Bの検知情報に基づいて、用紙Pの斜行量および用紙Pの先端から目標位置である垂直線Nまでの距離M1,M2(図7参照)を算出し、斜行補正ローラ31A,31Bの搬送速度VA,VBを算出する。
【0074】
第一モータ制御部62は、斜行補正ローラ31Aの搬送動作を制御する部分である。第一モータ制御部62からの信号により、第一モータドライバ621が第一モータ622を駆動させて斜行補正ローラ31Aを回転駆動させる。そして、第一モータエンコーダ623により、斜行補正ローラ31Aの実際の回転量、つまり、斜行補正ローラ31Aの実際の搬送速度を検出する。第一モータ制御部62は、位置認識部61からの指令に基づいて斜行補正ローラ31Aの回転量を制御し、斜行補正ローラ31Aの搬送速度を速度VAに調整する。
【0075】
第二モータ制御部63は、斜行補正ローラ31Bの用紙搬送動作を制御する部分である。第二モータ制御部63からの信号により、第二モータドライバ631が第二モータ632を駆動させて斜行補正ローラ31Bを回転駆動させる。そして、第二モータエンコーダ633により、斜行補正ローラ31Bの実際の回転量、つまり、斜行補正ローラ31Bの実際の搬送速度を検出する。第二モータ制御部63は、位置認識部61からの指令に基づいて斜行補正ローラ31Bの回転量を制御し、斜行補正ローラ31Bの搬送速度を速度VBに調整する。
【0076】
また位置認識部61は、斜行検知用CIS34A,34Bの検知情報に基づいて、用紙Pの先端と二次転写位置との距離M2(図5参照)を算出する。そして、形成画像制御部66は、二次転写位置において、画像が転写されるタイミングを位置認識部61に伝達する。位置認識部61は、算出した距離M2と、二次転写のタイミングに基づいて、レジストローラ33の搬送速度を決定する。
【0077】
第三モータ制御部64は、レジストローラ33の用紙搬送動作を制御する部分である。第三モータ制御部64からの信号により、第三モータドライバ641が第三モータ642を駆動させてレジストローラ33を回転駆動させる。そして、第三モータエンコーダ643により、レジストローラ33の実際の回転量、つまり、レジストローラ33の実際の搬送速度を検出する。第三モータ制御部64は、位置認識部61からの指令に基づいてレジストローラ33の回転量を制御し、レジストローラ33の用紙搬送速度を位置認識部61から入力された速度に調整する。
【0078】
第四モータ制御部65は、レジストローラ33の幅方向への移動動作を制御する部分である。第四モータ制御部65からの信号により、第四モータドライバ651が第四モータ652を駆動させてレジストローラ33を幅方向へ移動させる。そして、第四モータエンコーダ653により、レジストローラ33の実際の移動量を検出する。
【0079】
位置認識部61は、幅方向検知用CIS35の検知結果に基づいて、用紙Pの幅方向の位置ズレ量を算出する。そして、位置認識部61は、算出した位置ズレ量を幅方向の移動量として第四モータ制御部65に入力する。第四モータ制御部65は、第四モータ652を駆動させ、入力された移動量の分だけレジストローラ33を幅方向へ移動させる。
【0080】
次に、前述した各動作を行うレジスト対向ローラ32およびレジストローラ33について、図13図14を用いて、より詳細にその構成を説明する。レジスト対向ローラ32およびレジストローラ33が行う具体的な動作としては、用紙を搬送するための回転動作、および、幅方向への移動動作等がある。
【0081】
レジスト対向ローラ32およびレジストローラ33は、ローラ移動機構により、幅方向への移動動作を行うことができる。このローラ移動機構は、図13に示すように、本体フレーム151の上に固定されたベースフレーム152を有する。このベースフレーム152は上下2枚の水平板153、154を有し、上側水平板154の上に、レジスト対向ローラ32を支持するローラ保持部材110が水平方向に可動に配設されている。
【0082】
ローラ保持部材110は、用紙Pの搬送方向と直交する方向に延びた板状フレームで構成されている。板状フレームの両端は上方に向けて直角に折曲され、この折曲部分に115が固定されている。
【0083】
レジスト対向ローラ32として、三つのレジストローラ33A,33B,33Cが設けられる。これらのレジスト対向ローラ32は、レジストローラ33の上部に設けられ、上ガイド板36(図2a参照)に保持されている。図13に示すように、レジストローラ33の回転軸は、軸受115に支持されている。
【0084】
軸受115から外側に突出したレジストローラ33の回転軸に第三モータエンコーダ643が装着されている。そして第三モータエンコーダ643で検知されるレジストローラ33の回転数に基づいて、後述する第三モータ642が駆動され、レジスト対向ローラ32がレジストローラ33の回転に従動して回転するようになっている。
【0085】
ローラ保持部材110の片側下面には、下方に向けて短く突出した被ガイド部としての支軸110aが固定されている。この支軸110aの下端部にガイドコロ136が回転可能に装着され、また支軸110aの中間部にはカムフォロワ135が回転可能に装着されている。
【0086】
下側水平板153に、第四モータ652及び第四モータエンコーダ653が左右方向に並んで配設されている。第四モータ652は幅方向の位置ズレ補正用であって、その回転軸に駆動プーリ131が固定されている。
【0087】
なお、第四モータエンコーダ653に代えて、後述のシフトカム134やローラ保持部材110の動きと位置を検知する任意のエンコーダ(例えばリニアエンコーダ)や任意のセンサ(例えばレーザ変位計)を設けてもよい。
【0088】
上下の水平板153、154の間に、従動プーリ132が回転可能に支持されている。従動プーリ132の回転軸132aの上下両端部は、上下の水平板153、154にそれぞれ回転可能に軸支されている。そして、駆動プーリ131と従動プーリ132との間に、タイミングベルト133が架け渡されている。
【0089】
下側水平板153から下方に突出した従動プーリ132の回転軸132aに、第四モータエンコーダ653の回転側部品である回転板653aが固定されている。この回転板653aの周縁部には複数のスリットが連続的に形成され、周縁部を上下に挟むようにして第四モータエンコーダ653の固定側部品である投受光器が配設されている。
【0090】
上側水平板154から上方に突出した従動プーリ132の回転軸132aの上端部に、シフトカム134が固定されている。シフトカム134のカム曲線は等速度カム曲線となるように形成されている。等速度カムを使用することで、シフトカム134の回転角と後述のカムフォロワ135の直動移動距離が比例関係になり、支軸110aのシフト位置制御が容易になる。
【0091】
片側のシフトカム134に隣接する位置の上側水平板154に、用紙搬送方向と直交する方向に延びたガイド部としての長穴154aが形成されている。この長穴154aに、支軸110aの下端部のガイドコロ136が挿入されている。図14(a)に示すように、支軸110aの中間部のカムフォロワ135は、シフトカム134の周縁部のカム面に、引張バネ113の力で当接している。長穴154aはガイドコロ136を直線上に移動案内するためのもので、長穴に代えて長溝とすることも可能である。なお、図14(a)の矢印は、用紙搬送方向を示している。
【0092】
図13に示すように、幅方向の位置ズレ補正用の第四モータ652、駆動プーリ131、タイミングベルト133、従動プーリ132及びシフトカム134によって、被ガイド部としての支軸110aにカムフォロワ135を介して当接した第2押圧部(カム外周面)を有し、支軸110aを用紙Pの搬送路と直交する方向で左右動するシフト駆動部が構成されている。
【0093】
本体フレーム151上であってレジスト対向ローラ32の軸方向一端側に、ブラケット155が垂直に配設されている。このブラケット155の外側面に、レジストローラ33を回転駆動するための回転数可変型ローラ駆動モータである、第三モータ642が固定されている。第三モータ642の回転軸はブラケット155の内側に向けて水平に突出し、この内側に突出した回転軸にピニオン141が固定されている。ピニオン141はブラケット155の内側に軸支された減速ギア142と噛み合わされている。
【0094】
減速ギア142の回転軸142aは、2段スプラインカップリング143を介して、レジスト対向ローラ32のレジストローラ33の回転軸32b1に連結されている。これにより、第三モータ642の回転駆動力がピニオン141、減速ギア142及び2段スプラインカップリング143を介してレジストローラ33に伝達され、レジスト対向ローラ32が回転駆動される。したがって、レジスト対向ローラ32が用紙Pを挟持した状態でレジストローラ33が第三モータ642で回転することで用紙Pを任意の搬送速度で搬送することができる。
【0095】
2段スプラインカップリング143は一種の等速自在継手であって、図13の部分拡大図に示すように、第1スプラインギア143a、第2スプラインギア143b、中間スプラインギア143c、ガイドリング143d等で構成されている。
【0096】
第1スプラインギア143aは外歯車であって、第1駆動部の減速ギア142と共に回転する回転軸142aに設置されている。回転軸142aは、ブラケット155に軸受を介して回転可能に保持されている。
【0097】
第2スプラインギア143bも外歯車であって、レジスト対向ローラ32のレジストローラ33の回転軸32b1に連結されている。中間スプラインギア143cは内歯車であって、レジストローラ33(ローラ保持部材110)が幅方向に移動しても2つのスプラインギア143a、143bに常に噛合するように幅方向に延設されている。
【0098】
このような2段スプラインカップリング143を用いることで、レジスト対向ローラ32が良好に回転駆動される。すなわち、レジスト対向ローラ32が幅方向にスライド移動しても、固定側の第三モータ642の駆動力が、レジストローラ33に精度よく確実に伝達される。
【0099】
なお、ガイドリング143dは中間スプラインギア143cの幅方向両端部にそれぞれ設置された略環状のストッパ部材であって、2つのスプラインギア143a、143bが幅方向に相対的に移動して2段スプラインカップリング143から脱落するのを防止する。
【0100】
図14(a)→(b)は用紙Pの幅方向の位置ズレ補正動作を示したものである。すなわち、第四モータ652が駆動されてシフトカム134が回転されると、シフトカム134によって引張バネ113のバネ力に抗するようにローラ保持部材110が右側にスライド移動する。この際、カムフォロワ135は回転しながらシフトカム134の外周を移動するので、幅方向の位置ズレ補正用の第四モータ652に作用するローラ保持部材110の移動負荷が小さくて済む。このように、ローラ保持部材110がスライド移動することにより、ローラ保持部材110に保持されるレジストローラ33およびレジスト対向ローラ32がスライド移動することになる。
【0101】
このように本実施形態では、用紙の搬送路の幅方向に移動可能なローラ保持部材110にレジスト対向ローラ32を保持し、固定側の第三モータ642の回転駆動力は2段スプラインカップリング143を介してレジスト対向ローラ32に伝達するようにしている。したがって、第三モータ642及び幅方向の位置ズレ補正用の第四モータ652を固定側配置とすることが可能となり、ローラ保持部材110から上の構造の軽量化を図れる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0103】
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0104】
また、以上で説明した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、インクジェット方式の画像形成装置に設置される搬送装置に対しても本発明を適用することができる。また、本発明の搬送装置は、画像形成されたシート(用紙)を後処理する後処理装置にも適用することができる。以下、図15を用いてインクジェット方式の画像形成装置について、図16を用いて後処理装置について説明する。
【0105】
図15に示すように、インクジェット方式の画像形成装置200は、給紙部210と、搬送装置220と、画像形成部230と、乾燥部240と、排紙部250とを備えている。
【0106】
給紙部210から送り出された用紙Pは、搬送装置220によって搬送されると共に、前述した実施形態と同様、用紙Pの幅方向の位置ズレおよび斜行が補正された状態で、画像形成部230へ送り出される。
【0107】
画像形成部230においては、用紙Pが円筒形状ドラム231に位置決めされ、円筒形状ドラム231の回転によって図中矢印方向へ搬送される。そして、各色の吐出ヘッド232の下部(用紙Pへの画像形成位置)に所定のタイミングで用紙Pが搬送され、各色のインクが用紙Pに吐き出され、用紙Pの表面上に画像が形成される。
【0108】
画像形成部230によって画像が形成された用紙Pは、乾燥部240に搬送されてインク中の水分を蒸発させた後、排紙部250にて、作業者が取り出し可能な位置に排出される。
【0109】
両面印刷が行われる場合には、乾燥工程の後、用紙Pが反転搬送路260へ送られて、用紙Pの表裏が反転した状態で、再び搬送装置220へ送り出される。これにより、裏面への画像形成時においても、用紙Pの位置ズレが補正された状態で、画像形成部230において用紙Pに画像が形成される。その後、乾燥部240にてインク中の水分を蒸発させた後、排紙部250にて、作業者が取り出し可能な位置に排出される。
【0110】
図16に、後処理装置に本発明を適用した実施形態を示す。図16に示す後処理装置300は、用紙Pにパンチ処理を行う穿孔装置310と、用紙Pに綴じ処理を行うステープル処理装置320と、用紙Pに中折り処理を行う折り処理装置330と、複数のトレイ(積載部)341,342,343とを備えている。後処理装置300は、画像形成装置1から搬送された用紙Pを3つの搬送経路Q1~Q3のうちいずれかの搬送経路に搬送して、異なる後処理を施す。
【0111】
第1搬送経路Q1は、穿孔装置310によってパンチ処理が施された用紙P、又はパンチ処理が施されない用紙Pを、第1トレイ341へ搬送するための経路である。第2搬送経路Q2は、用紙Pをステープル処理装置320へ搬送して、綴じ処理が施された用紙Pを第2トレイ342へ搬送するための経路である。第3搬送経路Q3は、用紙Pを折り処理装置330へ搬送して、中折り処理された用紙Pを第3トレイ343へ搬送するための経路である。
【0112】
ここで、図20に示すように、画像形成装置1から後処理装置300に搬送された用紙Pは、まず、穿孔装置310の上流側に設けられたレジスト対向ローラ32およびレジストローラ33によって、前述と同様に用紙Pの斜行補正と幅方向の位置ズレ補正が行われる。これにより、その後のパンチ処理、綴じ処理又は中折り処理の精度向上を図れるようになる。
【0113】
シートとしては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0114】
以上の実施形態では、用紙Pがレジストローラ33とレジスト対向ローラ32とのニップ部に突き当てられるまでの間、斜行検知用CIS34A,34Bが用紙Pを繰り返し検知し、その都度、斜行補正ローラ31A,31Bの搬送速度を調整するものとした(図9のステップS5,S6参照)が、ステップS4で一度、搬送速度VA、VBを調整してからは、突き当て位置に至るまで、搬送速度の調整を行わない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 画像形成装置
30 搬送装置
31 斜行補正ローラ
32 レジスト対向ローラ
33 レジストローラ
39 検知部
34 斜行検知用CIS
35 幅方向検知用CIS(第二の検知部)
36 上ガイド板
37 下ガイド板
60 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【文献】特開2000-95384号公報
【文献】特開2003-72982号公報
図1
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図3
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