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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220831BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20220831BHJP
【FI】
H01L21/78 B
B23K26/53
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018145058
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020021844
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】布垣 俊武
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045965(JP,A)
【文献】特開2010-029906(JP,A)
【文献】特開2008-119718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを保持する保持手段と、
該保持手段をX軸方向に移動させる加工送り手段と、
該ウェーハに対して測定用レーザービームを照射し、ウェーハから反射した反射光を用いてウェーハの高さを測定する高さ測定手段と、
該保持手段に保持されたウェーハに対して透過性を有する加工用レーザービームをウェーハの内部に集光点を位置付けて照射するレーザー加工手段と、を備え、
該レーザー加工手段と該高さ測定手段とは、該ウェーハを加工する際に該保持手段に対する該レーザー加工手段の相対的な移動方向の前方側が該高さ測定手段、後方側が該レーザー加工手段となるように配置されており、
該高さ測定手段によって該ウェーハの高さを測定しながら、該高さ測定手段で測定されたウェーハの高さデータに基づいて該レーザー加工手段の集光点の位置を調整して加工用レーザービームを照射し加工を行う加工装置において、
所定の方向に沿って形成された複数の第一分割予定ラインと該複数の第一分割予定ラインに交差して形成された複数の第二分割予定ラインとによって区画された領域に電極を有する複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を備え、
該デバイス領域には電極に接続して突出するバンプが配設されているウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、
該ウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、
該保護部材配設ステップの後、該保護部材側を保持手段に対面させて該ウェーハを保持する保持ステップと、
該保持ステップの後、該第一分割予定ラインに対して、該測定用レーザービームを照射し、該ウェーハの裏面側で反射した反射光を用いて該ウェーハの裏面の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハに対して透過性を有する波長の加工用レーザービームをウェーハ内部の所定の深さに集光点を位置づけてウェーハの裏面側から照射し、第一の改質層を形成する第一改質層形成ステップと、
該第一改質層形成ステップの後、該第二分割予定ラインに対して、該測定用レーザービームを照射し、該ウェーハの裏面側で反射した反射光を用いて該ウェーハの裏面の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハに対して透過性を有する波長の加工用レーザービームをウェーハ内部の所定の深さに集光点を位置づけてウェーハの裏面側から照射し、第二の改質層を形成する第二改質層形成ステップと、を含み、
該第一改質層形成ステップでは、
該ウェーハの該第一分割予定ラインの一端から他端に向かって加工用レーザービームを照射して第一の改質層を形成し、
該第二改質層形成ステップは、
該ウェーハのデバイス領域から外周余剰領域の一端へ向かって加工用レーザービームを照射して第二の改質層を形成する第一の外側向き加工ステップと、
該ウェーハのデバイス領域から外周余剰領域の他端へ向かって加工用レーザービームを照射して第二の改質層を形成する第二の外側向き加工ステップと、
によって一本の第二分割予定ラインを加工することを特徴とするウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンプ付きウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを含むパッケージデバイスのサイズを小さくするために、WL-CSP(wafer level-Chip scale package)と呼ばれる半導体パッケージ技術が注目されている。WL-CSP技術は、ウェーハが分割される前に、デバイスの電極形成およびデバイスの樹脂封止が実施され、ウェーハが分割された後のデバイスチップの大きさがそのままパッケージデバイスの大きさとなるため、パッケージデバイスの小型化及び軽量化に寄与する。
【0003】
WL-CSP技術において、樹脂で封止されたデバイスの電極は、金属ポストを介してバンプと接続される。バンプは、ウェーハの表面から突出するように設けられる。ウェーハの表面は、第一の方向に伸びる複数の第一分割予定ラインと第一分割予定ラインと交差している複数の第二分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成されたデバイス領域と、デバイスが形成されない外周余剰領域とを含んでいる。バンプは、ウェーハのデバイス領域に設けられ、ウェーハの外周余剰領域には設けられない。
【0004】
この種のウェーハの分割方法として、バンプが設けられているウェーハの表面側をチャックテーブルに対面させて保持し、ウェーハの裏面側からウェーハに対して透過性を有するレーザービームを照射して内部に改質層を形成してウェーハを分割する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記のような内部に改質層を形成する加工方法において、集光点の位置がずれると、所望の加工結果が得られない。例えば、前述した加工方法は、ウェーハの屈折率によって、集光点の位置が厚み方向に機械的に1μmずれると、実際に形成される集光点の位置が厚み方向に4μm以上ずれてしまい、破断出来なくなったりする場合がある。
【0006】
そこで、ウェーハの高さを予め測定した後、測定された高さに応じて集光点の位置を補正しつつレーザー加工を実施する加工方法も考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-045965号公報
【文献】特開2009-063446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2等に記載された加工方法は、前述したバンプがデバイス領域に設けられかつ外周余剰領域に設けられていないウェーハを加工すると、第一分割予定ラインに改質層を形成した後で、バンプが存在しない外周余剰領域が割れて落ちてしまう場合がある。特に、ウェーハが反っていて、外周余剰領域がテープにうまく貼着されていない場合などは特にこのような問題が起こりやすい。
【0009】
特許文献2等に記載されている加工方法は、外周余剰領域が割れて落ちた状態で第二分割予定ラインの加工を行う場合、加工前に割れて落ちてしまった部分の高さを測定することになるため、正確なウェーハのデバイス領域の高さを測定できない。この結果として、特許文献2等に記載されている加工方法は、集光点の位置が実際に加工したい位置よりもウェーハ表面側に近い位置に設定されてしまい、アクティブエリアであるデバイスにダメージが入ってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デバイスにダメージを与えることなく表面にバンプを備えたデバイス領域を有するウェーハを加工することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、ウェーハを保持する保持手段と、該保持手段をX軸方向に移動させる加工送り手段と、該ウェーハに対して測定用レーザービームを照射し、ウェーハから反射した反射光を用いてウェーハの高さを測定する高さ測定手段と、該保持手段に保持されたウェーハに対して透過性を有する加工用レーザービームをウェーハの内部に集光点を位置付けて照射するレーザー加工手段と、を備え、該レーザー加工手段と該高さ測定手段とは、該ウェーハを加工する際に該保持手段に対する該レーザー加工手段の相対的な移動方向の前方側が該高さ測定手段、後方側が該レーザー加工手段となるように配置されており、該高さ測定手段によって該ウェーハの高さを測定しながら、該高さ測定手段で測定されたウェーハの高さデータに基づいて該レーザー加工手段の集光点の位置を調整して加工用レーザービームを照射し加工を行う加工装置において、所定の方向に沿って形成された複数の第一分割予定ラインと該複数の第一分割予定ラインに交差して形成された複数の第二分割予定ラインとによって区画された領域に電極を有する複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域と、を備え、該デバイス領域には電極に接続して突出するバンプが配設されているウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、該ウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、該保護部材配設ステップの後、該保護部材側を保持手段に対面させて該ウェーハを保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該第一分割予定ラインに対して、該測定用レーザービームを照射し、該ウェーハの裏面側で反射した反射光を用いて該ウェーハの裏面の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハに対して透過性を有する波長の加工用レーザービームをウェーハ内部の所定の深さに集光点を位置づけてウェーハの裏面側から照射し、第一の改質層を形成する第一改質層形成ステップと、該第一改質層形成ステップの後、該第二分割予定ラインに対して、該測定用レーザービームを照射し、該ウェーハの裏面側で反射した反射光を用いて該ウェーハの裏面の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハに対して透過性を有する波長の加工用レーザービームをウェーハ内部の所定の深さに集光点を位置づけてウェーハの裏面側から照射し、第二の改質層を形成する第二改質層形成ステップと、を含み、該第一改質層形成ステップでは、該ウェーハの該第一分割予定ラインの一端から他端に向かって加工用レーザービームを照射して第一の改質層を形成し、該第二改質層形成ステップは、該ウェーハのデバイス領域から外周余剰領域の一端へ向かって加工用レーザービームを照射して第二の改質層を形成する第一の外側向き加工ステップと、該ウェーハのデバイス領域から外周余剰領域の他端へ向かって加工用レーザービームを照射して第二の改質層を形成する第二の外側向き加工ステップと、によって一本の第二分割予定ラインを加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明のウェーハの加工方法は、デバイスにダメージを与えることなく表面にバンプを備えたデバイス領域を有するウェーハを加工することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法において用いられるレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハを示す斜視図である。
図3図3は、図2に示されたレーザー加工装置のレーザービーム照射ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、図4に示されたウェーハの加工方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。
図6図6は、図4に示されたウェーハの加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。
図7図7は、図4に示されたウェーハの加工方法の第一改質層形成ステップを模式的に示す断面図である。
図8図8は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップを模式的に示す断面図である。
図9図9は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第二の外側向き加工ステップを模式的に示す断面図である。
図10図10は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップ及び第二の外側向き加工ステップにおいて第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。
図11図11は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップ及び第二の外側向き加工ステップにおいて第二の改質層を形成した後の状態を模式的に示す断面図である。
図12図12は、比較例のウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおいて第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。
図13図13は、比較例の図12に示された状態よりもデバイス領域の中央側に第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法において用いられるレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハを示す斜視図である。図3は、図2に示されたレーザー加工装置のレーザービーム照射ユニットの構成を示す図である。図4は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0016】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、加工装置である図1に示すレーザー加工装置1において、図2に示すウェーハ200をレーザー加工する方法である。
【0017】
実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象であるウェーハ200は、実施形態1ではシリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハである。ウェーハ200は、図2に示すように、デバイス領域201と、外周余剰領域202とを表面203に備える。
【0018】
デバイス領域201は、所定の方向に沿って直線状に形成された複数の第一分割予定ライン204と、複数の第一分割予定ライン204に交差(実施形態1では、直交)して形成された複数の第二分割予定ライン205とによって区画された表面203の各領域にそれぞれ図示しない電極を有する複数のデバイス206が形成されている。デバイス領域201には、各デバイス206の電極に接続して、表面203よりも突出したバンプ207が配設されている。外周余剰領域202は、デバイス領域201を全周に亘って囲繞し、デバイス206等が形成されていない領域である。
【0019】
実施形態1において、ウェーハ200は、分割予定ライン204,205に沿ってレーザー加工等が施されて、個々のデバイス206に分割される。また、実施形態1では、ウェーハ200が基板の表面側がバンプ207を除いて図示しない樹脂で封止されており、ウェーハ200から個々に分割されたデバイス206は、WL-CSP(wafer level-Chip scale package)技術により構成されたパッケージデバイスとなる。
【0020】
ウェーハ200は、図1に示すように、デバイス206が複数形成されている表面203に保護部材である保護テープ210が貼着され、保護テープ210の外縁が環状フレーム211に貼着されることで、環状フレーム211の開口に保護テープ210で支持される。実施形態1において、ウェーハ200は、環状フレーム211の開口に保護テープ210で支持された状態で、分割予定ライン204,205に沿ってレーザー加工等が施されて、個々のデバイス206に分割される。
【0021】
図1に示すレーザー加工装置1は、図3に示すように、ウェーハ200に対して透過性を有する波長の加工用レーザービーム220をウェーハ200の裏面208側から各分割予定ライン204,205に沿って照射し、ウェーハ200の内部に破断起点となる改質層300を形成する装置である。なお、改質層300とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。実施形態1において、改質層300は、ウェーハ200の裏面208から所定の深さ310となる位置に形成される。なお、所定の深さ310は、分割予定ライン204,205に全長に亘って一定である。また、改質層300は、ウェーハ200の他の部分よりも機械的な強度等が低い。
【0022】
また、実施形態1において、レーザー加工装置1は、パルス状の加工用レーザービーム220を照射して、分割予定ライン204,205の長手方向に沿って改質層300を形成する。なお、図3は、ウェーハ200のバンプ207を省略している。
【0023】
レーザー加工装置1は、図1に示すように、ウェーハ200を保持面11で保持する保持手段であるチャックテーブル10と、レーザー加工手段であるレーザービーム照射ユニット20と、チャックテーブル10を保持面11と平行な方向であるX軸方向に移動させる加工送り手段であるX軸移動ユニット30と、チャックテーブル10を保持面11と平行でかつX軸方向と直交する方向であるY軸方向に移動させる割り出し送り手段であるY軸移動ユニット40と、高さ測定手段である高さ測定ユニット50と、図示しない撮像ユニットと、制御ユニット100とを備える。
【0024】
チャックテーブル10は、保護テープ210を介してウェーハ200の表面203側を保持面11で保持する。保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。チャックテーブル10は、保持面11上に載置されたウェーハ200を吸引保持する。実施形態1では、保持面11は、水平方向と平行な平面である。チャックテーブル10の周囲には、ウェーハ200の周囲の環状フレーム211を挟持するクランプ部12が複数配置されている。また、チャックテーブル10は、回転ユニット13によりZ軸方向と平行な中心軸線回りに回転される。回転ユニット13及びチャックテーブル10は、X軸移動ユニット30によりX軸方向に移動される。
【0025】
X軸移動ユニット30、及びY軸移動ユニット40は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ31,41、ボールねじ31,41を軸心回りに回転させる周知のパルスモータ32,42及びチャックテーブル10をX軸方向、又はY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール33,43を備える。
【0026】
また、レーザー加工装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、チャックテーブル10のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行に設置されたリニアスケールと、X軸方向、又はY軸方向にチャックテーブル10を移動する移動基台に設置されたリニアスケールを読み取る読み取りヘッドとにより構成することができる。X軸方向位置検出ユニット、及びY軸方向位置検出ユニットは、チャックテーブル10のX軸方向又はY軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。
【0027】
レーザービーム照射ユニット20は、図3に示すように、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200に対して集光レンズ21で集光した加工用レーザービーム220を照射するユニットである。また、レーザービーム照射ユニット20は、ウェーハ200に対して透過性を有する波長のパルス状の加工用レーザービーム220を、ウェーハ200の内部の裏面208から所定の深さ310となる位置に集光点221を位置付けて照射し、ウェーハ200の内部に分割予定ライン204,205に沿った改質層300を形成するユニットでもある。
【0028】
レーザービーム照射ユニット20は、図3に示すように、加工ヘッド22と、発振器23と、集光点位置調整ユニット24とを備える。加工ヘッド22は、レーザー加工装置1の装置本体2から立設した壁部3に連なった支持部材4の先端に取り付けられている。加工ヘッド22は、支持部材4の先端に取り付けられ、集光レンズ21を収容している。集光レンズ21は、チャックテーブル10の保持面11に対向して配置され、加工用レーザービーム220をウェーハ200の内部に集光する。
【0029】
発振器23は、加工用レーザービーム220を発振し、発振した加工用レーザービーム220を、ミラー26を介して、集光レンズ21を通して加工ヘッド22の先端からチャックテーブル10に保持されたウェーハ200に照射する。ミラー26は、発振器23と集光レンズ21との間における加工用レーザービーム220の光路上に配置されている。ミラー26は、加工用レーザービーム220を集光レンズ21に向けて反射する。発振器23が発振する加工用レーザービーム220は、例えば、YAGレーザービームまたはYVOレーザービームである。実施形態1において、加工用レーザービーム220の波長は、例えば、1064nmであるが、これに限定されない。
【0030】
集光点位置調整ユニット24は、加工用レーザービーム220の集光点221の位置を鉛直方向と平行なZ軸方向に変位させるものである。集光点位置調整ユニット24は、集光レンズ21を保持するレンズホルダ27と、レンズホルダ27をZ軸方向に移動させる駆動ユニット28とを備える。駆動ユニット28は、周知のボールねじやパルスモータ、ピエゾモータにより構成される。なお、実施形態1において、駆動ユニット28は、例えば、Z軸方向に±20μm即ち40μmの範囲内で集光点221の高さを変更することができるが、本発明では、駆動ユニット28の集光点221の高さを変更する範囲は、これに限定されない。
【0031】
撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を撮像するものである。撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラや赤外線カメラにより構成される。撮像ユニットは、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0032】
高さ測定ユニット50は、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200に対して測定用レーザービーム400を照射し、ウェーハ200から反射した反射光を用いてウェーハ200の裏面208のZ軸方向の高さを測定するものである。実施形態1において、高さ測定ユニット50は、一対設けられている。
【0033】
一対の高さ測定ユニット50は、レーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22を互いの間に位置付け、X軸方向に沿って配置され、支持部材4の先端に取り付けられている。即ち、一対の高さ測定ユニット50は、X軸方向に間隔をあけて配置され、互いの間にレーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22を位置付けている。高さ測定ユニット50は、チャックテーブル10の保持面11に対向して配置され、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200の裏面208に測定用レーザービーム400を連続して照射して、ウェーハ200の裏面208の高さの測定結果を0.5mm間隔でフィードバックする。なお、実施形態1では、高さ測定ユニット50は、ウェーハ200の裏面208の高さを0.5mm間隔で補正する。
【0034】
高さ測定ユニット50は、チャックテーブル10の保持面11に保持されたウェーハ200の裏面208で反射された反射光を受光して、保持面11又はウェーハ200の裏面208の高さを測定する。実施形態1において、高さ測定ユニット50は、ウェーハ200の裏面208のZ軸方向の位置を検出するレーザー変位計である。各高さ測定ユニット50は、測定結果を制御ユニット100に出力する。
【0035】
また、一対の高さ測定ユニット50は、レーザー加工装置1がウェーハ200を加工する際に、チャックテーブル10に対するレーザービーム照射ユニット20の相対的な移動方向X1(図3に示す)の前方側の一方の高さ測定ユニット50が測定用レーザービーム400を照射してウェーハ200の裏面208の高さを測定する。このように、レーザービーム照射ユニット20と高さ測定ユニット50とは、ウェーハ200を加工する際にチャックテーブル10に対するレーザービーム照射ユニット20の相対的な移動方向X1(図3に示す)の前方側が裏面208の高さを測定する高さ測定ユニット50、後方側がレーザービーム照射ユニット20となるように配置されている。
【0036】
なお、実施形態1において、レーザー加工装置1は、ウェーハ200を加工する際に、X軸移動ユニット30にチャックテーブル10を移動方向X1の逆向きのX2方向に移動させながらレーザービーム照射ユニット20から加工用レーザービーム220をウェーハ200に照射する。また、実施形態1において、レーザー加工装置1は、一方の高さ測定ユニット50の測定用レーザービーム400の光軸とレーザービーム照射ユニット20の加工用レーザービーム220の光軸との間隔が例えば25mmに設定され、レーザービーム照射ユニット20の加工用レーザービーム220の光軸と他方の高さ測定ユニット50の測定用レーザービーム400の光軸との間隔が例えば25mmに設定されている。
【0037】
制御ユニット100は、レーザー加工装置1の上述した構成要素をそれぞれ制御して、ウェーハ200に対する加工動作をレーザー加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、レーザー加工装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介してレーザー加工装置1の上述した構成要素に出力して、制御ユニット100の機能を実現する。
【0038】
また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない入力ユニットと、図示しない報知ユニットとが接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0039】
レーザー加工装置1は、高さ測定ユニット50によってウェーハ200の裏面208の高さを測定しながら、高さ測定ユニット50で測定されたウェーハ200の裏面208の高さデータに基づいてレーザービーム照射ユニット20の集光点221の位置を調整して加工用レーザービーム220を照射して、レーザー加工を行う。なお、制御ユニット100は、各高さ測定ユニット50がウェーハ200の裏面208の高さを測定している間において、各高さ測定ユニット50が測定したウェーハ200の裏面208の高さのうち少なくとも最新の高さ(高さデータに相当)を記憶する。制御ユニット100は、各高さ測定ユニット50が測定して記憶したウェーハ200の裏面208の最新の高さに基づいて裏面208から所定の深さ310となる位置に集光点221を位置付けて、レーザービーム照射ユニット20に加工用レーザービーム220を照射させる。
【0040】
次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法について説明する。実施形態1に係るウェーハの加工方法は、図4に示すように、保護部材配設ステップST1と、保持ステップST2と、第一改質層形成ステップST3と、第二改質層形成ステップST4とを含む。
【0041】
(保護部材配設ステップ)
図5は、図4に示されたウェーハの加工方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。保護部材配設ステップST1は、ウェーハ200の表面203に保護テープ210を配設するステップである。なお、実施形態1において、保護テープ210は、ウェーハ200よりも大径な円板状に形成され、かつ、図5に示すように、合成樹脂から構成された基材層212と、基材層212上に積層されかつウェーハ200の表面203に貼着する粘着層213とを備える。
【0042】
実施形態1において、保護部材配設ステップST1では、図5に示すように、周知のマウンタが保護テープ210をウェーハ200の表面203と、環状フレーム211とに対向させる。保護部材配設ステップST1では、マウンタが、保護テープ210の中央部をウェーハ200の表面203に貼着するとともに、保護テープ210の外縁部を環状フレーム211に貼着する。保護部材配設ステップST1では、ウェーハ200を環状フレーム211の開口内に支持する。ウェーハの加工方法は、保護部材配設ステップST1後、保持ステップST2に進む。
【0043】
(保持ステップ)
図6は、図4に示されたウェーハの加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。保持ステップST2は、保護部材配設ステップST1の後、保護テープ210側をチャックテーブル10に対面させてウェーハ200を保持するステップである。
【0044】
保持ステップST2では、オペレータが加工内容情報を制御ユニット100に登録し、環状フレーム211の開口に支持されたウェーハ200の表面203に貼着した保護テープ210をチャックテーブル10の保持面11に載置する。保持ステップST2では、レーザー加工装置1の制御ユニット100が、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると、チャックテーブル10の保持面11にウェーハ200を吸引保持するとともに、クランプ部12に環状フレーム211をクランプさせる。ウェーハの加工方法は、保持ステップST2後、第一改質層形成ステップST3に進む。
【0045】
(第一改質層形成ステップ)
図7は、図4に示されたウェーハの加工方法の第一改質層形成ステップを模式的に示す断面図である。第一改質層形成ステップST3は、保持ステップST2の後、第一分割予定ライン204に対して、測定用レーザービーム400を照射し、ウェーハ200の裏面208側で反射した反射光を用いてウェーハ200の裏面208の高さを測定するステップである。また、第一改質層形成ステップST3は、ウェーハ200の裏面208の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハ200に対して透過性を有する波長の加工用レーザービーム220をウェーハ200の内部の所定の深さ310に集光点221を位置づけてウェーハ200の裏面208側から照射し、改質層300(以下、第一の改質層301と記す)を形成するステップである。
【0046】
第一改質層形成ステップST3では、レーザー加工装置1の制御ユニット100は、X軸移動ユニット30によりチャックテーブル10をレーザービーム照射ユニット20の下方に向かって移動させて、撮像ユニットの下方にチャックテーブル10に保持されたウェーハ200を位置付け、撮像ユニットにウェーハ200を撮像させる。第一改質層形成ステップST3では、レーザー加工装置1の制御ユニット100は、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200の第一分割予定ライン204と、レーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22との位置合わせを行なうためのパターンマッチング等の画像処理を実行する。第一改質層形成ステップST3では、レーザー加工装置1の制御ユニット100は、回転ユニット13に第一分割予定ライン204がX軸方向と平行になるようにチャックテーブル10の軸心回りの位置を調整させ、移動ユニット30,40に複数の第一分割予定ライン204のうちの一つの一端の上方に加工ヘッド22を位置させる。
【0047】
第一改質層形成ステップST3では、制御ユニット100は、加工内容情報に基づいて、X軸移動ユニット30とY軸移動ユニット40と回転ユニット13に、加工ヘッド22とウェーハ200とを第一分割予定ライン204に沿って相対的に移動させて、ウェーハ200に第一分割予定ライン204に沿った改質層300を形成する。第一改質層形成ステップST3では、制御ユニット100は、図7に示すように、チャックテーブル10をX軸移動ユニット30にX2方向に移動させて、加工ヘッド22を第一分割予定ライン204の一端から他端に向かって移動させる。第一改質層形成ステップST3では、制御ユニット100は、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1の前方側の高さ測定ユニット50から測定用レーザービーム400を照射させながらレーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22から加工用レーザービーム220を照射させる。
【0048】
第一改質層形成ステップST3では、制御ユニット100は、加工ヘッド22のチャックテーブル10に対する移動方向X1の前方側の高さ測定ユニット50の測定結果に基づいて、駆動ユニット28を制御して、集光点221を裏面208から所定の深さ310になる位置に位置付ける。第一改質層形成ステップST3では、制御ユニット100は、一つの第一分割予定ライン204の全長に亘ってウェーハ200の内部に第一の改質層301を形成すると、同様に、他の第一分割予定ライン204の全長に亘ってウェーハ200の内部に第一の改質層301を形成する。ウェーハの加工方法は、全ての第一分割予定ライン204に沿ってウェーハ200の内部に第一の改質層301を形成すると、第二改質層形成ステップST4に進む。
【0049】
(第二改質層形成ステップ)
図8は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップを模式的に示す断面図である。図9は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第二の外側向き加工ステップを模式的に示す断面図である。図10は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップ及び第二の外側向き加工ステップにおいて第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。図11は、図3に示されたウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおける第一の外側向き加工ステップ及び第二の外側向き加工ステップにおいて第二の改質層を形成した後の状態を模式的に示す断面図である。
【0050】
第二改質層形成ステップST4は、第一改質層形成ステップST3の後、第二分割予定ライン205に対して、測定用レーザービーム400を照射し、ウェーハ200の裏面208側で反射した反射光を用いてウェーハ200の裏面208の高さを測定するステップである。また、第二改質層形成ステップST4は、ウェーハ200の裏面208の高さを測定しながら、測定結果に基づいてウェーハ200に対して加工用レーザービーム220をウェーハ200の内部の所定の深さ310に集光点221を位置づけてウェーハ200の裏面208側から照射し、改質層300(以下、第二の改質層302と記す)を形成するステップである。また、第二改質層形成ステップST4は、第一の外側向き加工ステップST41と、第二の外側向き加工ステップST42とによって一本即ち各第二分割予定ライン205を加工する。
【0051】
第一の外側向き加工ステップST41は、ウェーハ200のデバイス領域201から外周余剰領域202の一端へ向かって加工用レーザービーム220を照射して第二の改質層302を形成するステップである。第一の外側向き加工ステップST41では、制御ユニット100は、回転ユニット13に第二分割予定ライン205がX軸方向と平行になるようにチャックテーブル10の軸心回りの位置を調整させ、移動ユニット30,40に複数の第二分割予定ライン205のうちの一つの中央の上方に加工ヘッド22を位置させる。
【0052】
第一の外側向き加工ステップST41では、制御ユニット100は、加工内容情報に基づいて、図8に示すように、チャックテーブル10をX軸移動ユニット30にX2-1方向に移動させて、加工ヘッド22を第二分割予定ライン205の中央から一端に向かって移動させる。第一の外側向き加工ステップST41では、制御ユニット100は、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1-1の前方側の高さ測定ユニット50から測定用レーザービーム400を照射させながらレーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22から加工用レーザービーム220を照射させる。
【0053】
第一の外側向き加工ステップST41では、制御ユニット100は、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1-1の前方側の高さ測定ユニット50の測定結果に基づいて、駆動ユニット28を制御して、集光点221を裏面208から所定の深さ310になる位置に位置付ける。第一の外側向き加工ステップST41では、制御ユニット100は、第二分割予定ライン205の中央から一端に亘って第二の改質層302を形成すると、レーザービーム220,400の照射を停止させて、第二の外側向き加工ステップST42に進む。
【0054】
第二の外側向き加工ステップST42は、ウェーハ200のデバイス領域201から外周余剰領域202の他端へ向かって加工用レーザービーム220を照射して第二の改質層302を形成するステップである。第二の外側向き加工ステップST42では、制御ユニット100は、X軸移動ユニット30に中央から一端に亘って第二の改質層302が形成された一つの第二分割予定ライン205の中央の上方に加工ヘッド22を位置させる。
【0055】
第二の外側向き加工ステップST42では、制御ユニット100は、加工内容情報に基づいて、図9に示すように、チャックテーブル10をX軸移動ユニット30にX2-1方向と逆向きのX2-2方向に移動させて、加工ヘッド22を第二分割予定ライン205の中央から他端に向かって移動させる。第二の外側向き加工ステップST42では、制御ユニット100は、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1-2の前方側の高さ測定ユニット50から測定用レーザービーム400を照射させながらレーザービーム照射ユニット20の加工ヘッド22から加工用レーザービーム220を照射させる。
【0056】
第二の外側向き加工ステップST42では、制御ユニット100は、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1-2の前方側の高さ測定ユニット50の測定結果に基づいて、駆動ユニット28を制御して、集光点221を裏面208から所定の深さ310になる位置に位置付ける。第二の外側向き加工ステップST42において、制御ユニット100は、第二分割予定ライン205の中央から他端に亘って第二の改質層302を形成すると、レーザービーム220,400の照射を停止させる。なお、実施形態1では、第一の外側向き加工ステップST41及び第二の外側向き加工ステップST42において、第二分割予定ライン205の中央から一端又は他端に向かって第二の改質層302を形成するが、本発明は、第一の外側向き加工ステップST41及び第二の外側向き加工ステップST42において、デバイス領域201の任意の位置から第二の改質層302を形成しても良く、要するに、デバイス領域201の任意の位置から外周余剰領域202に向かって第二の改質層302を形成すれば良い。
【0057】
その後、第二改質層形成ステップST4において、制御ユニット100は、全ての第二分割予定ライン205に第二の改質層302を形成済であるか否かを判定する(ステップST43)。制御ユニット100は、全ての第二分割予定ライン205に第二の改質層302を形成済ではないと判定する(ステップST43:No)と、第一の外側向き加工ステップST41に戻り、第二の改質層302が未形成の他の第二分割予定ライン205に沿って第二の改質層302を形成する。制御ユニット100は、全ての第二分割予定ライン205に第二の改質層302を形成済であると判定する(ステップST43:Yes)と、チャックテーブル10を加工ヘッド22の下方から離れる方向に移動させてウェーハ200が載置された位置で停止させて、保持面11の吸引保持とクランプ部12のクランプを解除して、ウェーハの加工を終了する。ウェーハ200は、次工程において、改質層301,302を起点に個々のデバイス206に分割される。
【0058】
なお、実施形態1に係るウェーハの加工方法では、第一改質層形成ステップST3後のウェーハ200は、図10及び図11に示すように、最も外周余剰領域202寄りの第一分割予定ライン204に沿って形成された第一の改質層301を起点に割れることがある。図10及び図11に示された場合、第二の外側向き加工ステップST42では、チャックテーブル10に対する加工ヘッド22の相対的な移動方向X1-2の前方側の高さ測定ユニット50がウェーハ200の割れた箇所の上方に位置すると、反射光を受光できずに、ウェーハ200の裏面208の高さを測定することができない。この場合、レーザー加工装置1は、制御ユニット100に記憶されたウェーハ200の裏面208の最新の高さに基づいて、第二の改質層302を形成するので、第二の外側向き加工ステップST42では、図11に示すように、デバイス領域201の中央側の第二の改質層302と同じ高さで外周余剰領域202寄りの第二分割予定ライン205の端部に第二の改質層302を形成することとなる。
【0059】
一方、第二改質層形成ステップST4において、第二分割予定ライン205の一端から他端に向かって第二の改質層302を形成する比較例のウェーハの加工方法では、レーザー加工装置1-1は、図12に示すように、高さ測定ユニット50が、第一の改質層301を起点に割れた第一分割予定ライン204よりも外周側の裏面208の高さを測定してしまう。このために、比較例のウェーハの加工方法では、レーザー加工装置1-1は、図13に示すように、比較例の外周余剰領域202及びデバイス領域201の外周余剰領域202寄りの位置において、デバイス領域201の中央寄りの位置よりも改質層300をデバイス206側に形成してしまう。
【0060】
なお、図12及び図13に示す比較例のウェーハの加工方法は、第二改質層形成ステップST4において、第二分割予定ライン205のX1-3方向に沿って一端から他端に向かって第二の改質層302を形成すること以外、実施形態1と同じである。図12は、比較例のウェーハの加工方法の第二改質層形成ステップにおいて第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。図13は、比較例の図12に示された状態よりもデバイス領域の中央側に第二の改質層を形成中の状態を模式的に示す断面図である。なお、図12及び図13は、実施形態1と同じ部分に同一符号を付して説明を省略する。また、図10図11図12及び図13は、第一の改質層301を省略している。
【0061】
以上説明したように、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、第二改質層形成ステップST4において、ウェーハ200の中央から外周側に向かってウェーハ200の裏面208の高さを測定し、その測定結果に基づいて加工用レーザービーム220の集光点221をウェーハ200の内部に位置付ける。このために、ウェーハの加工方法は、裏面208の高さを測定でき、第二分割予定ライン205の全長に亘って、デバイス領域201の裏面208から所定の深さ310になる所望の位置に第二の改質層302を形成できる。従って、ウェーハの加工方法は、デバイス206にダメージを与えることなく表面203にバンプ207を備えたデバイス領域201を有するウェーハ200を加工することができるという効果を奏する。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 レーザー加工装置
10 チャックテーブル(保持手段)
20 レーザービーム照射ユニット(レーザー加工手段)
30 X軸移動ユニット(加工送り手段)
50 高さ測定ユニット(高さ測定手段)
200 ウェーハ
201 デバイス領域
202 外周余剰領域
204 第一分割予定ライン
205 第二分割予定ライン
206 デバイス
207 バンプ
210 保護テープ(保護部材)
220 加工用レーザービーム
221 集光点
300 改質層
301 第一の改質層
302 第二の改質層
310 所定の深さ
400 測定用レーザービーム
ST1 保護部材配設ステップ
ST2 保持ステップ
ST3 第一改質層形成ステップ
ST4 第二改質層形成ステップ
ST41 第一の外側向き加工ステップ
ST42 第二の外側向き加工ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13