(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】プリンタ付きカメラ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/52 20210101AFI20220831BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20220831BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220831BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
G03B17/52 A
G03B17/52 B
G03B17/18 Z
G02B5/00 B
H04N5/225 400
H04N5/225 100
(21)【出願番号】P 2020546045
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2019035615
(87)【国際公開番号】W WO2020054747
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2018171715
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】倉瀬 弘之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 憲志
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-092016(JP,A)
【文献】特開2001-277591(JP,A)
【文献】特開2007-206432(JP,A)
【文献】特開2004-109615(JP,A)
【文献】特開2001-232909(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/52
G03B 17/18
G02B 5/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光用開口を備えたインスタントフィルムパックが装填されるインスタントフィルムパック装填部と、
前記インスタントフィルムパック装填部に装填された前記インスタントフィルムパックに対して、前記露光用開口を介して、表示面が前記インスタントフィルムパック内のインスタントフィルムの露光面と対向して配置され、画像の表示により前記インスタントフィルムを露光させる第1表示部と、
前記第1表示部の表示面に備えられ、前記第1表示部の各画素からの光の出光方向を一定範囲に制限する出光方向制限部材であって、前記インスタントフィルムの露光面と離間して配置される出光方向制限部材と、
被写体像を撮像する撮像部と、
画像を外部に表示する第2表示部と、
を備えるプリンタ付きカメラ
であって、
前記インスタントフィルムパックが前記インスタントフィルムパック装填部に装填された際、前記出光方向制限部材が前記インスタントフィルムパックの露光用開口に収まる、プリンタ付きカメラ。
【請求項2】
前記インスタントフィルムパック装填部にフィルム蓋カバーを設け、前記フィルム蓋カバーで前記インスタントフィルムパックを固定し、前記フィルム蓋カバーにバネ機構を設け、前記フィルム蓋カバーを閉じた状態で前記インスタントフィルムの露光面と前記出光方向制限部材との離間した配置位置を固定する、
請求項
1に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項3】
前記出光方向制限部材は、前記インスタントフィルムを前記インスタントフィルムパックから排出するクローの移動軌跡を回避した位置に配置される、
請求項
2に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項4】
前記出光方向制限部材、及び前記第1表示部の表示面は、前記インスタントフィルムの観察領域より大きい、請求項
3に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項5】
前記出光方向制限部材と前記インスタントフィルムの露光面との間に、保護部材を備える、請求項1から
4の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項6】
前記出光方向制限部材は、前記第1表示部の表示面の上に備えられた第1のルーバー部材と第2のルーバー部材との積層体で構成される、請求項1から
5の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項7】
前記第1のルーバー部材と第2のルーバー部材とは接して配置され、第2のルーバー部材と前記インスタントフィルムの露光面とは離間して配置される、請求項
6に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項8】
前記第1のルーバー部材の延びる方向と前記第2のルーバー部材の延びる方向とが交差する角度が、70度以上90度以下である、請求項
6又は
7に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項9】
前記第1表示部の前記各画素がx方向とy方向に二次元配列され、前記x方向と前記第
1のルーバー部材の延びる方向との成す角度が0度より大きく、かつ90度未満である請求項
8に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項10】
前記第1のルーバー部材、及び前記第2のルーバー部材は遮光部と透光部とで構成される、請求項
6から
9の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項11】
前記第1のルーバー部材、及び前記第2のルーバー部材は2.0mm以上4.0mm以下の合計厚みを有し、前記第1のルーバー部材、及び前記第2のルーバー部材のルーバーのピッチは、80μm以下である、請求項7から
10の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項12】
前記撮像部と前記インスタントフィルムパック装填部とは、正面視において異なる位置にある、請求項1から
11の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項13】
前記撮像部の光軸に垂直方向に交わる軸を垂直軸とし、前記撮像部の光軸に水平方向に交わる軸を水平軸とした場合、前記垂直軸に沿う長さが、前記水平軸に沿う長さより大きい縦型筐体を備え、
前記縦型筐体を設置した状態において、前記撮像部、及び前記インスタントフィルムのフィルム排出口が前記縦型筐体の上部側に配置され、前記フィルム排出口から前記インスタントフィルムを前記垂直軸に沿って排出する、請求項
12に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項14】
前記撮像部の光軸に垂直方向に交わる軸を垂直軸とし、前記撮像部の光軸に水平方向に交わる軸を水平軸とした場合、前記水平軸に沿う長さが、前記垂直軸に沿う長さより大きい横型筐体を備え、
前記横型筐体を設置した状態において、前記撮像部が前記横型筐体の上部側に配置され
、前記インスタントフィルムのフィルム排出口が前記撮像部と同じ側の側部に配置され、
前記フィルム排出口から前記インスタントフィルムを前記水平軸に沿って排出する、請求項
12に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項15】
前記フィルム排出口と前記インスタントフィルムパック装填部と間に、前記インスタントフィルムの厚み方向から、前記インスタントフィルムを挟持する一対のローラを備える、請求項
13又は
14に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項16】
前記第1表示部の画素数が前記第2表示部の画素数より多い、請求項1から
15の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項17】
前記第1表示部の輝度が前記第2表示部の輝度より高い、請求項1から
16の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【請求項18】
前記第2表示部の表示面へのタッチ操作を検出するタッチ操作検出部を更に備えた、請求項1から
17の何れか一項に記載のプリンタ付きカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ付きカメラに係り、特に、インスタントフィルムを使用して画像をプリントするプリンタ付きカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラボディにプリンタを内蔵し、撮像した画像をその場でメディアにプリントできるプリンタ付きカメラが知られている。
【0003】
特許文献1には、インスタントフィルムを使用して画像をプリントするプリンタ付きカメラが、カメラボディに露光用のディスプレイを内蔵し、その露光用のディスプレイを用いて、インスタントフィルムを面で露光することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタ付きカメラのように、ディスプレイを用いてインスタントフィルムを面で露光すると、ディスプレイの各画素からの光が拡散して、プリントされる画像がぼけるという欠点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高品質な画像をプリントできるプリンタ付きカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様のプリンタ付きカメラは、露光用開口を備えたインスタントフィルムパックが装填されるインスタントフィルムパック装填部と、インスタントフィルムパック装填部に装填されたインスタントフィルムパックに対して、露光用開口を介して、表示面がインスタントフィルムパック内のインスタントフィルムの露光面と対向して配置され、画像の表示によりインスタントフィルムを露光させる第1表示部と、第1表示部の表示面に備えられ、第1表示部の各画素からの光の出光方向を一定範囲に制限する出光方向制限部材であって、インスタントフィルムの露光面と離間して配置される出光方向制限部材と、被写体像を電子的に撮像する撮像部と、画像を外部に表示する第2表示部と、を備える。
【0008】
第1の態様によれば、インスタントフィルムの露光面から離間されて出光方向制限部材を介してインスタントフィルムが一括露光される。これにより、記録される画像のぼけ、及び未露光領域の発生を防止でき、高品質な画像をプリントできる。
【0009】
第2の態様のプリンタ付きカメラでは、出光方向制限部材は、インスタントフィルムパックの露光用開口に収まる位置に配置される。第2の態様によれば、インスタントフィルムの露光面と出光方向制限部材とを配置できる。
【0010】
第3の態様のプリンタ付きカメラでは、インスタントフィルムパック装填部にフィルム蓋カバーを設け、フィルム蓋カバーでインスタントフィルムパックを固定し、フィルム蓋カバーにバネ機構を設け、フィルム蓋カバーを閉じた状態でインスタントフィルムの露光面と出光方向制限部材との離間した配置位置を固定する。第3の態様によれば、インスタントフィルムの露光面と出光方向制限部材との位置関係を決定できる。
【0011】
第4の態様のプリンタ付きカメラでは、出光方向制限部材は、インスタントフィルムをインスタントフィルムパックから排出するクローの移動軌跡を回避した位置に配置される。第4の態様によれば、インスタントフィルムをインスタントフィルムパックから確実に排出できる。
【0012】
第5の態様のプリンタ付きカメラでは、出光方向制限部材、及び第1表示部の表示面は、インスタントフィルムの観察領域より大きい。第5の態様によれば、インスタントフィルムへの一括露光を確実にする。
【0013】
第6の態様のプリンタ付きカメラでは、出光方向制限部材とインスタントフィルムの露光面との間に、保護部材を備える。第6の態様によれば、出光方向制限部材を保護することができ、また出光方向制限部材とインスタントフィルムの露光面との離間を確実にする。
【0014】
第7の態様のプリンタ付きカメラでは、出光方向制限部材は、第1表示部の表示面上に備えられた第1のルーバー部材と第2のルーバー部材との積層体で構成される。第7の態様によれば、第1のルーバー部材と第2のルーバー部材との積層体により出光方向制限部材を構成することができる。
【0015】
第8の態様のプリンタ付きカメラでは、第1のルーバー部材と第2のルーバー部材とは接して配置され、第2ルーバー部材とインスタントフィルムの露光面とは離間して配置される。第8の態様によれば、第1のルーバー部材と、第2のルーバー部材と、インスタントフィルムの露光面との好ましい位置関係を規定する。
【0016】
第9の態様のプリンタ付きカメラでは、第1のルーバー部材の延びる方向と第2のルーバー部材の延びる方向とが交差する角度が、70度以上90度以下である。第9の態様によれば、モアレが発生することを抑制することができる。
【0017】
第10の態様のプリンタ付きカメラでは、第1表示部の各画素がx方向とy方向に二次元配列され、x方向と第1のルーバー部材の延びる方向との成す角度が0度より大きく、かつ90度未満である。第10の態様によれば、モアレが発生することをより効果的に抑制することができる。
【0018】
第11の態様のプリンタ付きカメラでは、第1のルーバー部材、及び第2のルーバー部材は遮光部と透光部で構成される。第11の態様によれば、遮光部で光を遮光し、透光部で光を透過することにより、光の出光方向を制限できる。
【0019】
第12の態様のプリンタ付きカメラでは、第1のルーバー部材、及び第2のルーバー部材は2.0mm以上4.0mm以下の合計厚みを有し、第1のルーバー部材、及び第2のルーバー部材のルーバーのピッチは、80μm以下である。第12の態様によれば、より効果的に出光方向を制限でき、かつ各画素からの斜め方向の光を適切に遮光できるので、高品質な画像をインスタントフィルムに記録できる。
【0020】
第13の態様のプリンタ付きカメラでは、撮像部とインスタントフィルムパック装填部とは、正面視において異なる位置にある。第13の態様によれば、プリンタ付きカメラを薄型化することが可能になる。
【0021】
第14の態様のプリンタ付きカメラでは、撮像部の光軸に垂直方向に交わる軸を垂直軸とし、撮像部の光軸に水平方向に交わる軸を水平軸とした場合、垂直軸に沿う長さが、水平軸に沿う長さより大きい縦型筐体を備え、縦型筐体を設置した状態において、撮像部、及びインスタントフィルムのフィルム排出口が縦型筐体の上部側に配置され、フィルム排出口からインスタントフィルムを垂直軸に沿って排出する。第14の態様によれば、プリンタ付きカメラに縦型筐体を適用できる。
【0022】
第15の態様のプリンタ付きカメラでは、撮像部の光軸に垂直方向に交わる軸を垂直軸とし、撮像部の光軸に水平方向に交わる軸を水平軸とした場合、水平軸に沿う長さが、垂直軸に沿う長さより大きい横型筐体を備え、横型筐体を設置した状態において、撮像部が横型筐体の上部側に配置され、インスタントフィルムのフィルム排出口が撮像部と同じ側の側部に配置され、フィルム排出口からインスタントフィルムを水平軸に沿って排出する。第15の態様によれば、プリンタ付きカメラに横型筐体を適用できる。
【0023】
第16の態様のプリンタ付きカメラでは、フィルム排出口とインスタントフィルムパック装填部と間に、インスタントフィルムの厚み方向から、インスタントフィルムを挟持する一対のローラを備える。第16の態様によれば、インスタントフィルムに現像処理液を展開できる。
【0024】
第17の態様のプリンタ付きカメラでは、第1表示部の画素数が第2表示部の画素数より多い。第17の態様によれば、インスタントフィルムに対し高品質な画像のプリントを可能にする。
【0025】
第18の態様のプリンタ付きカメラでは、第1表示部の輝度が第2表示部の輝度より高い。第18の態様によれば、インスタントフィルムに対する露光不足を回避できる。
【0026】
第19の態様のプリンタ付きカメラでは、第2表示部の表示面へのタッチ操作を検出するタッチ操作検出部を更に備える。第19の態様によれば、第2表示部の表示面にタッチ操作検出部が備えられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、高品質な画像をプリントできるプリンタ付きカメラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、プリンタ付きカメラの一実施形態の外観構成を示す正面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すプリンタ付きカメラの正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すプリンタ付きカメラの背面斜視図である
【
図4】
図4は、プリンタ付きカメラの他の実施形態の外観構成を示す正面である。
【
図5】
図5は、
図1に示すプリンタ付きカメラのフィルム蓋カバーが開けられた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、プリンタ付きカメラの内部の概略構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、インスタントフィルムパックの斜視図である。
【
図8】
図8は、インスタントフィルムの正面図である。
【
図9】
図9は、インスタントフィルムの背面図である。
【
図10】
図10は、露光用ディスプレイ及びディスプレイの概略構成を示す図である。
【
図11】
図11は、ルーバー部材とインスタントフィルムパックとの大きさの関係を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、ルーバー部材の一部を拡大した断面図である。
【
図13】
図13は、ルーバー部材の一部を拡大した正面図である。
【
図14】
図14は、ルーバー部材の積層体を説明するための説明図である。
【
図16】
図16は、ルーバー部材の別の積層体の一部を拡大した正面図である。
【
図17】
図17は、プリンタ付きデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、表示コントローラが有する機能のブロック図である。
【
図20】
図20は、撮像モードでの画像表示用ディスプレイの表示の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、再生モードでの画像表示用ディスプレイの表示の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、再生モードでプリントする場合の画像表示用ディスプレイの画面表示の遷移状態を示す図である。
【
図23】
図23は、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御のタイミングチャートである。
【
図24】
図24は、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイを同じ画像出力インターフェイスに接続する場合の概念図である。
【
図25】
図25は、スイッチにより点灯させるバックライトを切り替えて、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示のオン及びオフを制御する場合の概念図である。
【
図26】
図26は、インスタントフィルムパックを挟んで画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイを配置する場合のプリンタ付きデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0030】
[外観構成]
図1は、プリンタ付きカメラの一実施形態の外観構成を示す正面斜視図である
図2は、
図1に示すプリンタ付きカメラの正面図である。
図3は、
図1に示すプリンタ付きカメラの背面斜視図である。なお、
図1から
図3において、矢印xで示す方向は、プリンタ付きカメラ1の左右方向である。矢印yで示す方向は、プリンタ付きカメラ1の上下方向である。矢印zで示す方向は、プリンタ付きカメラ1の前後方向である。左右方向は、水平方向、横方向又は幅方向と同義である。上下方向は、垂直方向、高さ方向又は縦方向と同義である。前後方向は、光軸方向、奥行き方向と同義である。
【0031】
本実施の形態のプリンタ付きカメラ1は、インスタントフィルムを使用して画像をプリントするプリンタ付きカメラである。インスタントフィルムは、インスタントフィルムパックの形態でプリンタ付きカメラ1に装填される。
【0032】
図1から
図3に示されるように、プリンタ付きカメラ1は、携帯可能なカメラボディ10を有する。
【0033】
カメラボディ10の正面側には、撮像レンズ12、フィルム蓋カバー14等が備えられる。フィルム蓋カバー14は、フィルム装填室を開閉するカバーである。フィルム蓋カバー14は、カメラボディ10の底面に備えられたヒンジ14a(
図6参照)を介して開閉可能に設けられる。後述するように、撮像レンズ12及びイメージセンサ42が、被写体像を電子的に撮像する撮影部を構成する。撮影部の光軸は、撮像レンズ12の光軸になる。
【0034】
カメラボディ10の背面側には、画像表示用ディスプレイ16が備えられる。画像表示用ディスプレイ16は、第2表示部の一例である。画像表示用ディスプレイ16は、撮像の際にライブビュー用モニタとして使用される他、撮像済み画像を観賞する際に再生用モニタ等として使用される。ライブビューとは、イメージセンサがとらえた画像をリアルタイムに表示する機能のことである。画像表示用ディスプレイ16は、タッチパネルディスプレイで構成される。したがって、画像表示用ディスプレイ16は、操作部としても機能する。
【0035】
カメラボディ10の片側の側面には、電源ボタン18が備えられる。プリンタ付きカメラ1は、この電源ボタン18を長押しすることにより、電源がオン及びオフされる。
【0036】
カメラボディ10の上面には、フィルム排出口20が備えられる。フィルム排出口20は、インスタントフィルム110が通過可能なスリットで構成される。プリントされたインスタントフィルム110は、このフィルム排出口20から排出される。
【0037】
カメラボディ10は、
図2に示されるように、撮像レンズ12の光軸(z方向)に垂直方向に交わる軸を垂直軸V(y方向)とし、撮像レンズ12の光軸と垂直軸Vのそれぞれに垂直に交わる軸を水平軸H(x方向)とした場合、垂直軸Vに沿う長さが、水平軸Hに沿う長さより大きい縦型筐体である。カメラボディ10を通常に使用する向きで設置した状態において、撮像レンズ12及びフィルム排出口20(不図示)は、カメラボディ10の上部側に配置される。インスタントフィルム110は、フィルム排出口20から垂直軸Vに沿って矢印で示す送り方向Fの方向に排出される。上部側とは、カメラボディ10を通常に使用する向きで設置した状態(水平軸Hを設置面に対し平行に設置した状態)において、水平軸Hに平行でカメラボディ10の中心を通る水平中央線HCLを挟んで、設置面と反対側を意味する。送り方向Fで示す方向は、インスタントフィルム110の送り方向である。
【0038】
図4は、プリンタ付きカメラの他の実施形態の外観構成を示す正面である。カメラボディ10は、撮像レンズ12の光軸(z方向)に垂直方向に交わる軸を垂直軸V(y方向)とし、撮像レンズ12の光軸と垂直軸Vのそれぞれに垂直に交わる軸を水平軸H(x方向)とした場合、水平軸Hに沿う長さが、垂直軸Vに沿う長さより大きい横型筐体である。カメラボディ10を通常に使用する向きで設置した状態において、撮像レンズ12は上部側に配置される。フィルム排出口20(不図示)は、撮像レンズ12と同じ側の側部(側面)に配置される。インスタントフィルム110は、フィルム排出口20から水平軸Hに沿って送り方向Fの方向に排出される。上部側とは、カメラボディ10を通常に使用する向きで設置した状態(水平軸Hを設置面に対し平行に設置した状態)において、水平軸Hに平行でカメラボディ10の中心を通る水平中央線HCLを挟んで、設置面と反対側を意味する。
【0039】
撮像レンズ12と同じ側の側部とは、カメラボディ10を通常に使用する向きで設置した状態において、垂直軸Vに平行でカメラボディ10の中心を通る垂直中央線VCLを境に、一方側を意味する。
【0040】
図2、及び
図4に示されるように、プリンタ付きカメラ1は、インスタントフィルムパック100(
図7参照)の装填部(インスタントフィルムパック装填部)であるフィルム装填室50を備える。撮像レンズ12を含む撮像部と、フィルム装填室50とは、正面視において異なる位置にある。異なる位置とは、正面視で撮像部とフィルム装填室50とが重ならない位置関係にあることを意味する。このような配置は、プリンタ付きカメラ1の奥行き方向の長さを短くすることを可能にし、プリンタ付きカメラ1を薄型化できる。
【0041】
[内部構造]
図5は、プリンタ付きカメラのフィルム蓋カバーが開けられた状態を示す斜視図である。
図6は、プリンタ付きデジタルカメラの内部の概略構成を示す断面図である。
図5は、インスタントフィルムパック100を装填する前の状態を示す。プリンタ付きカメラ1は、カメラに係わる構成要素として、撮像レンズ12、イメージセンサ42等を備える。また、プリンタに係わる構成要素として、フィルム装填室50、フィルム送出機構52、フィルム搬送機構54、露光用ディスプレイ56、フィルム蓋カバー14に設けられたバネ機構57等を備える。また、カメラ、及びプリンタに共通する構成要素として、画像表示用ディスプレイ16を備える。
【0042】
〈撮像レンズ〉
撮像レンズ12は、被写体の光学像をイメージセンサ42の受光面上に結像させる。撮像レンズ12は、焦点調節機能を有し、図示しない絞り及びシャッタを含んで構成される。
【0043】
〈イメージセンサ〉
イメージセンサ42は、たとえば、CCDイメージセンサ(CCD:Charge Coupled Device)、CMOSイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元の固体撮像素子で構成される。イメージセンサ42は、使用するインスタントフィルムのプリント可能領域に対応したアスペクト比の撮像領域を有する。
【0044】
本実施の形態のプリンタ付きカメラ1では、撮像レンズ12及びイメージセンサ42が、被写体像を電子的に撮像する撮像部を構成する。
【0045】
〈フィルム装填室〉
フィルム装填室50は、インスタントフィルムパック100の装填部(インスタントフィルムパック装填部)である。フィルム装填室50は、凹部で構成され、フィルム蓋カバー14によって開閉される。凹部は、インスタントフィルムパック100が嵌まる形状を有し、フィルム蓋カバー14を閉じることにより、暗室状態で密閉される。フィルム蓋カバー14はフィルム装填室50においてインスタントフィルムパック100を固定する。フィルム蓋カバー14に設けられたバネ機構57は、フィルム蓋カバー14を閉じた状態でインスタントフィルム110の露光面と後述する出光方向制限部材との離間した配置位置を固定する。バネ機構57は、インスタントフィルム110を出光方向制限部材に向けて付勢できればよく、その構造は特に限定されない。例えば、押圧部を互いに逆向きにした一対のレバー部材とレバー部材を付勢するバネとを含むバネ機構でもよく、またピンとピンを付勢するコイルバネとを含むバネ機構でもよい。
【0046】
〈インスタントフィルムパック〉
インスタントフィルムパック100は、複数枚のインスタントフィルム110がケース120に収容された構造を有する。
【0047】
図7は、インスタントフィルムパックの分解斜視図である。
図8は、インスタントフィルムの正面図である。
図9は、インスタントフィルムの背面図である。なお、
図7から
図9において、送り方向Fで示す方向は、インスタントフィルム110の送り方向である。インスタントフィルム110は、送り方向Fで示す方向に送られてケース120から排出される。
【0048】
インスタントフィルム110は、いわゆる「モノシートタイプ」(シートフィルム方式、integral filmなどとも称される)のインスタントフィルムであり、露光面の裏に像が現れる方式のインスタントフィルムである。インスタントフィルム110は、矩形のカード形状を有する。インスタントフィルム110は、一方側の面が露光面110a、他方側の面が観察面110bとして構成される。露光面110aが、露光により像を記録する面であり、観察面110bが、記録された像を観察する面である。
【0049】
図9に示されるように、インスタントフィルム110の露光面110aには、露光領域112、ポッド部114、及び、トラップ部116が備えられる。
【0050】
露光領域112は、露光により画像を記録する領域である。露光領域112が、インスタントフィルム110のプリント可能領域となる。露光領域112を挟んで、ポッド部114とトラップ部116とが送り方向Fの前後に配置される。
【0051】
ポッド部114は、露光領域112に対して送り方向Fの前側に配置される。ポッド部114には、現像処理液を内包した現像処理液ポッド114aが内蔵される。
【0052】
トラップ部116は、露光領域112に対して送り方向Fの後側に配置される。トラップ部116には、吸収材116aが内蔵される。
【0053】
図8に示されるように、インスタントフィルム110の観察面110bには、観察領域118が備えられる。観察領域118は、画像が表示される領域である。露光領域112を現像処理することにより、観察領域118に画像が表示される。観察領域118は、露光領域112に対応して配置される。観察領域118の周囲には、枠118aが備えられる。したがって、画像は枠内に表示される。
【0054】
なお、インスタントフィルム110は、トラップ部116が上、ポッド部114が下となる向きで観賞する。したがって、画像は、トラップ部116が上、ポッド部114が下となる向きでプリントされる。
【0055】
インスタントフィルム110は、露光後、ポッド部114の現像処理液を露光領域112に展開させることにより現像処理される。ポッド部114の現像処理液は、インスタントフィルム110を一対のローラである展開ローラ対54aの間に通すことで、ポッド部114から絞り出され、露光領域112に展開される。展開処理時に余った現像処理液が、トラップ部116で捕捉される。
【0056】
ケース120は、矩形の箱形状を有する。ケース120は、正面部分に矩形状の露光用開口120a(インスタントフィルムパック100の露出用開口)を有する。また、ケース120は、天面部分にスリット状の排出口120bを有する。インスタントフィルム110は、露光面110aをケース120の正面側(露光用開口120a側)に向け、かつ、ポッド部114をケース120の天面側(排出口120b側)に向けて、ケース内に重ねて収容される。また、ケース120は、底面部分にスリット状のクロー開口部120cを有する。ケース120に収容されたインスタントフィルム110は、このクロー開口部120cからクロー52aを進入させることにより、1枚ずつ排出口120bに向けて送られ、排出口120bから排出される。
【0057】
1つのインスタントフィルムパック100には、複数枚(たとえば10枚)のインスタントフィルム110が収容される。
【0058】
〈フィルム送出機構〉
フィルム送出機構52は、フィルム装填室50に装填されたインスタントフィルムパック100からインスタントフィルム110を積層方向の上から順に1枚ずつ送り出す。フィルム送出機構52は、インスタントフィルム110の送り方向Fに沿って前後移動するクロー52aを備え、そのクロー52aでケース内のインスタントフィルム110を積層方向の上から1枚ずつ掻き出して、インスタントフィルム110をインスタントフィルムパック100から送り出す。
【0059】
〈フィルム搬送機構〉
フィルム搬送機構54は、フィルム送出機構52によってインスタントフィルムパック100から送り出されたインスタントフィルム110を搬送する。フィルム搬送機構54は、展開ローラ対54aを備える。展開ローラ対54aは、図示しないモーターに駆動されて回転し、インスタントフィルム110を挟持して搬送する。インスタントフィルム110は、展開ローラ対54aに搬送される過程で現像処理される。すなわち、ポッド部114が展開ローラ対54aに押し潰されて、ポッド部内の現像処理液が展開処理される。
【0060】
〈露光用ディスプレイ〉
露光用ディスプレイ56は、インスタントフィルム110に画像を記録するためのディスプレイである。露光用ディスプレイ56は、画像の表示によりインスタントフィルム110を露光させて、インスタントフィルム110に画像を記録する。露光用ディスプレイ56は、第1表示部の一例である。露光用ディスプレイ56は、フィルム装填室50の底面部に備えられる。インスタントフィルムパック100がフィルム装填室50に装填されると、そのケース120の内部に収容されたインスタントフィルム110の露光面110aが、露光用開口120aを介して、露光用ディスプレイ56の表示面56aと対向して配置される。露光用ディスプレイ56は、インスタントフィルム110を1回で露光可能なサイズを有する。したがって、少なくともインスタントフィルム110の観察領域118よりも大きなサイズの表示面56aを有する。
【0061】
露光用ディスプレイ56は、バックライトを備えた透過型のカラー液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成される。
【0062】
図10は、露光用ディスプレイ及びディスプレイの概略構成を示す図である。
【0063】
同図に示されるように、露光用ディスプレイ56は、露光用液晶ディスプレイ58及び露光用バックライト60を備える。露光用液晶ディスプレイ58は、透過型のカラー液晶ディスプレイで構成される。露光用バックライト60は、露光用液晶ディスプレイ58の背後から露光用液晶ディスプレイ58の表示領域の全面に均一に光を照射する。露光用バックライト60は、光源である棒状ランプ60aと、棒状ランプ60aから出射された光を露光用液晶ディスプレイ58の表示領域の全面に均一に導く導光板60bと、を備える。
【0064】
露光用ディスプレイ56の表示面56aには、ルーバー部材62が備えられる。ルーバー部材62は、露光用ディスプレイ56の各画素からの光の出光方向を一定範囲に制限する。ルーバー部材62は、出光方向制限部材の一例である。ルーバー部材62は、インスタントフィルムパック100の露光用開口120aに対応した外形の薄板形状を有する。ルーバー部材62は、インスタントフィルムパック100がフィルム装填室50に装填されると、露光用開口120aに収まる位置に配置される。ルーバー部材62は、ケース120内に収容されたインスタントフィルム110の露光面110aと離間して対向配置される。
【0065】
露光用ディスプレイ56の複数の画素は、x方向及びy方向に二次元配列される。なお、露光用ディスプレイ56については、インスタントフィルムへの記録を考慮すると、画素ピッチ(隣接する画素間の距離)が200μm以下であることが好ましい。なお、より良好な画像を得るには150μm以下、より好ましくは125μm以下、更に好ましくは、85μm以下の画素ピッチであることが好ましい。
【0066】
ルーバー部材62は、露光用ディスプレイ56と同様に、インスタントフィルム110を1回で露光可能なサイズを有する。したがって、ルーバー部材62は、少なくともインスタントフィルム110の観察領域118よりも大きなサイズを有する。ルーバー部材62は観察領域118よりも大きなサイズを有する限り、露光領域112より小さくても、また、露光領域112より大きくてもよい。
【0067】
図11は、ルーバー部材62とインスタントフィルムパック100との大きさの関係を示す斜視図である。
図11に示されるように、ルーバー部材62は、インスタントフィルムパック100のケース120の露光用開口120aの収まる大きさである。一方、ルーバー部材62は、インスタントフィルム110をインスタントフィルムパック100から排出するクロー52aの矢印で示す移動軌跡Mを回避した位置に配置される。クロー52aは、ルーバー部材62に阻害されることなく、インスタントフィルム110をインスタントフィルムパック100から排出できる。
【0068】
図12は、ルーバー部材の一部を拡大した断面図である。
図13は、ルーバー部材の一部を拡大した正面図である。
図12、及び
図13に示される出光方向制限部材は、一層構造のルーバー部材62で構成される。
【0069】
図12に示されるように、ルーバー部材62は、対向する2つの主面を有し、一方の主面は入射面62aを構成し、他方の主面は出射面62bを構成する。入射面62aは、露光用ディスプレイ56の表示面56aと対向して配置される面であり、出射面62bは、インスタントフィルム110の露光面110aと対向して配置される面である。
【0070】
ルーバー部材62は、露光用ディスプレイ56の各画素からの光の出光方向を一定範囲に制限する機能を有する。この機能を有する限り、ルーバー部材62の形状は限定されない。例えば、ルーバー部材62は可撓性を有するフィルム状であっても、剛性を有するプレート状であってもよい。
【0071】
ルーバー部材62の出射面62bの側には保護部材として保護フィルム66を備える。保護フィルム66は、ルーバー部材62とインスタントフィルム110の露光面110aと間を一定の距離Sだけ離間させる。距離Sは保護フィルム66の厚みと同じになる。
【0072】
ルーバー部材62は、格子状の遮光部64と、その遮光部64によって区切られた透光部65と、で構成される。格子状の遮光部64は、x方向(第1の方向)に延び、y方向(第2の方向)に離間して配置された複数の第1の遮光部64aと、y方向(第2の方向)に延び、x方向(第1の方向)に離間した配置された複数の第2の遮光部64bとにより構成される。遮光部64は、光を吸収する光吸収部材としてもよく、光を反射する光反射部材とすることもできる。遮光部64を構成する素材は、着色された樹脂材料を用いることができ、例えば、黒色シリコーンゴム等を用いることができる。
【0073】
また、光を吸収する材料として、ニュートラルデンシティーフィルタ(ND(Neutral Density)フィルタ)を用いることができる。NDフィルタは、中立な光学濃度のフィルタを意味し、露光に用いられる波長域において、波長に影響を与えることなく、均等に光を吸収(吸収率で50%以上99.999%以下;光透過率で0.001%以上、50%以下)できるフィルタである。
【0074】
遮光部64は、入射面62a及び出射面62bに対して垂直な壁面を有する。透光部65は、透光性を有する素材(たとえば、ガラス、透明なシリコーンゴム等)で構成され、ルーバー部材62の入射面62a及び出射面62bに対して垂直な光路を構成する。
【0075】
保護フィルム66は、ルーバー部材62を保護する部材(保護部材)である。保護部材は、透光性を有する素材(たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂等)で構成される。
【0076】
また、一般に液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、その表示面に保護部材としてのガラスが備えられるが、露光用ディスプレイ56に使用する表示デバイスは、各画素からインスタントフィルム110の露光面110aまでの距離を短くするため、保護部材の厚みの薄いものを用いることが好ましい。
【0077】
保護部材については、必ずしも必要ではないが、出光方向制限部材であるルーバー部材62を保護するために備えることが好ましい。
【0078】
保護部材の厚みは、0.1μm以上、500μm以下とすることが好ましい。保護部材の厚みを0.1μm以上とすることで、出光方向制限部材を保護する効果の他に、モアレを目立たなくする効果がある。また、出光方向制限部材の欠陥又は構造に基づいて生じた画像の欠陥を目立たなくする効果もある。また、保護部材の厚みを500μm以下とすることで、記録画像のぼけを防止できる。
【0079】
上記の構成のルーバー部材62は、入射面62aに対して略垂直に入射する光のみを選択的に透過させる。露光用ディスプレイ56は、表示面56aにルーバー部材62が備えられることにより、各画素Pixからの光の出光方向が表示面56aに対して略垂直な方向に制限される。これにより、インスタントフィルム110の露光面110aに対して、各画素Pixの光を略垂直に照射でき、記録される画像のにじみを抑制できる。すなわち、記録される画像がぼけるのを防止できる。
【0080】
ルーバー部材62とインスタントフィルム110の露光面110aとが離間されている。この離間は、出射面62bから出射される光が拡散することを許容する。この光の拡散は、遮光部64に起因して(遮光部64が影となり)、インスタントフィルム110の露光面110aに未露光領域が形成されることを抑制する。
図12では、保護フィルム66により、ルーバー部材62とインスタントフィルム110の露光面110aとを離間する。但し、保護フィルム66の有無に関わらず、ルーバー部材62とインスタントフィルム110の露光面110aとを離間する位置で固定めできればよい。
【0081】
ルーバー部材62の厚みは、1.5mm以上、4.0mm以下とすることが好ましい。より好ましくは、2.0mm以上、4.0mm以下であり、更に好ましくは、2.5mm以上、4.0mm以下である。ルーバー部材62の厚みを厚くすることにより、より効果的に出光方向を制限できる。その一方でルーバー部材62の厚みが厚くなると、記録画像がぼけやすくなる。したがって、上記範囲の厚みでルーバー部材62を構成することが好ましい。
【0082】
また、遮光部64のピッチ(ルーバーピッチ)は80μm以下が好ましく、65μm以下がより好ましい。ピッチ(ルーバーピッチ)は、
図13の拡大図に示されるように、隣接する遮光部64間の距離である。上記の範囲で設定することにより、露光用ディスプレイ56の各画素Pixからの斜め方向の光を適切に遮光でき、高品質な画像をインスタントフィルムに記録できる。
【0083】
図14は、出光方向制限部材の他の構成を示す。出光方向制限部材は第1のルーバー部材150と第2のルーバー部材170とが積層された構造である。符号14Aは、第1のルーバー部材150の平面である。符号14Bは第2のルーバー部材170の平面である。
【0084】
平面14Aに示されるように、第1のルーバー部材150は、x方向(第1の方向)に延びる複数の第1の遮光部152と複数の第1の透光部154とが、y方向(第2の方向)に交互に配列される。第1のルーバー部材150のピッチ(ルーバーピッチ)は80μm以下が好ましい。ここで、x方向(第1の方向)が、第1のルーバー部材150の延びる方向と定義される。
【0085】
平面14Bに示されるように、第2のルーバー部材170は、y方向(第2の方向)に延びる複数の第2の遮光部172と複数の第2の透光部174とが、x方向(第1の方向)に交互に配列される。第2のルーバー部材170のピッチ(ルーバーピッチ)は80μm以下が好ましい。ここで、y方向(第2の方向)が、第2のルーバー部材170の延びる方向と定義される。
【0086】
符号14Cで示されるように、第1のルーバー部材150と第2のルーバー部材170との積層体140が、出光方向制限部材を構成する。積層体140の厚みtは、1.5mm以上、4.0mm以下とすることが好ましい。より好ましくは、2.0mm以上、4.0mm以下であり、更に好ましくは、2.5mm以上、4.0mm以下である。ここで、積層体が複数のルーバー部材で構成される場合、厚みはルーバー部材の合計厚み、すなわち積層体の厚みになる。
【0087】
第1のルーバー部材150と第2のルーバー部材170とは接して配置され、第2のルーバー部材170とインスタントフィルム110の露光面110a(不図示)とは離間して配置される。
【0088】
図14において、第1のルーバー部材150の延びる方向をx方向(第1の方向)とし、第2のルーバー部材170の延びる方向をy方向(第2の方向)とした。これに限定されず、第1のルーバー部材150の延びる方向をy方向(第2の方向)とし、第2のルーバー部材170の延びる方向をx方向(第1の方向)とすることもできる。
【0089】
図15は、積層体140を第1のルーバー部材から見た正面図である。第1のルーバー部材150と第2のルーバー部材170とを積層することにより、複数の第1の遮光部152と複数の第2の遮光部172により積層体140の遮光部142が構成される。遮光部142で囲まれた領域が積層体140の透光部144となる。
【0090】
拡大図に示されるように、第1のルーバー部材150の延びる方向と第2のルーバー部材170の延びる方向とが交差する角度θは90度である。
【0091】
図16は、積層体の別の形態を示す部分拡大図である。
図16に示されるように、積層体140は、第1のルーバー部材150(不図示)の複数の第1の遮光部152と、第2のルーバー部材170(不図示)の複数の第2の遮光部172により積層体140の遮光部142が構成される。遮光部142で囲まれた領域が積層体140の透光部144となる。
【0092】
図16において、第1のルーバー部材150の延びる方向(x方向(第1の方向))と第2のルーバー部材170の延びる方向(y方向(第2の方向))とが交差する角度θは90°より小さい。交差する角度θは70度以上90度以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、モアレを抑制することが可能となる。
【0093】
露光用ディスプレイ56の画素を二次元配列する際の配列基準となるx方向及びy方向と、ルーバー部材62、又は積層体140の延びる方向との間に角度差を付けることもできる。角度差により、モアレの発生を効果的に抑制できる。例えば、積層体140の場合、第1のルーバー部材150の延びる方向と、画素の配列基準のx方向との成す角度が、0度より大きく90度未満が好ましく、1度以上89度以下がより好ましく、10度以上80度以下がより好ましく、20度以上70度以下がさらに好ましい。
【0094】
〈画像表示用ディスプレイ〉
画像表示用ディスプレイ16は、画像を外部に表示するディスプレイであり、タッチパネルディスプレイで構成される。
図10に示されるように、画像表示用ディスプレイ16は、画像表示用液晶ディスプレイ68、画像表示用バックライト70及びタッチセンサ72を備える。画像表示用液晶ディスプレイ68は、透過型のカラー液晶ディスプレイで構成される。画像表示用バックライト70は、画像表示用液晶ディスプレイ68の背後から画像表示用液晶ディスプレイ68の表示領域の全面に均一に光を照射する。画像表示用バックライト70は、白色の光源である棒状ランプ70aと、棒状ランプ70aから出射された光を画像表示用液晶ディスプレイ68の表示領域の全面に均一に導く導光板70bと、を備える。タッチセンサ72は、画像表示用ディスプレイ16の表示面16aに備えられる。タッチセンサ72は、タッチ操作検出部の一例である。タッチセンサ72は、画像表示用ディスプレイ16の表示面16aへのタッチ操作を検出する。
【0095】
図6及び
図10に示されるように、画像表示用ディスプレイ16は、露光用ディスプレイ56に重ねて配置される。画像表示用ディスプレイ16と露光用ディスプレイ56との間には、遮光壁74が備えられる。遮光壁74は、遮光部材の一例であり、互いのバックライトの光が他方の表示領域に漏洩するのを防止する。これにより、画像表示用バックライト70の光が露光用ディスプレイ56側に漏洩して、インスタントフィルム110が感光するのを防止できる。
【0096】
露光用ディスプレイ56の画素数は、画像表示用ディスプレイ16の画素数と異ならせることができる。例えば、露光用ディスプレイ56の画素数が、画像表示用ディスプレイ16の画素数より多いことが好ましい。画素数の多い露光用ディスプレイ56は、インスタントフィルム110に、高品質な画像のプリントを可能にする。
【0097】
露光用ディスプレイ56の輝度は、画像表示用ディスプレイ16の輝度と異ならせることができる。例えば、露光用ディスプレイ56の輝度が、画像表示用ディスプレイ16の輝度より高いことが好ましい。露光用ディスプレイ56からの光が、ルーバー部材62により減衰される。露光用ディスプレイ56の輝度を高くすることは、インスタントフィルム110に対する露光不足を解消できる。
【0098】
[電気的構成]
図17は、プリンタ付きデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0099】
同図に示されるように示される、プリンタ付きカメラ1は、CPU(CPU:Central Processing Unit)、ROM(ROM:Read Only Memory)、RAM(RAM:Random Access Memory)を備えたマイコン(マイクロコンピュータ)80を備え、マイコン80によって、各部の駆動が制御される。すなわち、マイコン80が、撮像レンズ12、イメージセンサ42、フィルム送出機構52、フィルム搬送機構54等の駆動を制御する。マイコン80は、操作部92からの操作入力に基づいて、各部を制御する。操作部92は、電源ボタン18及びタッチセンサ72で構成される。マイコン80は、所定の制御プログラムを実行することにより、各種の制御機能を実現する。
【0100】
プリンタ付きカメラ1は、アナログ信号処理部82、デジタル信号処理部84、プリント用画像処理部86、メモリ88、メモリコントローラ88a及び表示コントローラ90を備える。
【0101】
アナログ信号処理部82は、イメージセンサ42から出力される画素ごとのアナログの画像信号を取り込み、所定の信号処理(たとえば、相関二重サンプリング処理、増幅処理等)を施す。アナログ信号処理部82は、ADC(Analog to Digital Converter/ADコンバータ)を含み、所定の信号処理後のアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換して出力する。
【0102】
デジタル信号処理部84は、アナログ信号処理部82から出力されるデジタルの画像信号を取り込み、所定の信号処理(たとえば、階調変換処理、ホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、同時化処理、YC変換処理等)を施して、画像データを生成する。生成された画像データは、マイコン80に出力される。
【0103】
プリント用画像処理部86は、マイコン80による制御の下、プリントする画像データに所定の画像処理を施して、プリント用の画像データを生成する。すなわち、露光用ディスプレイ56に表示させる画像データを生成する。この画像データは、インスタントフィルム110への露光に最適化した画像データである。その結果、表示コントローラ90は、画像表示用ディスプレイ16に表示した画像とは異なる画像を露光用ディスプレイ56に表示できる。
【0104】
なお、本実施の形態のプリンタ付きカメラ1では、モノシートタイプのインスタントフィルム110を使用することから、画像処理の一環として、画像の左右反転処理が行われる。また、インスタントフィルム110は、上下(天地)を逆にして、プリンタ付きカメラ1に装填されることから、上下の反転処理が行われる。
【0105】
【0106】
同図において、(A)は、プリント対象の画像データが表わす画像であり、(B)は、プリント用の画像データが表わす画像である。同図に示されるように、プリント用の画像は、元の画像に対して、上下及び左右が反転した画像となる。
【0107】
メモリ88は、画像データを含む各種データを記憶する。メモリ88は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリで構成される。メモリコントローラ88aは、マイコン80による制御の下、メモリ88にデータを読み書きする。
【0108】
表示コントローラ90は、マイコン80による制御の下、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56に画像を表示させる。表示コントローラ90は、たとえば、LSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)で構成される。
【0109】
図19は、表示コントローラが有する機能のブロック図である。
【0110】
表示コントローラ90は、画像表示用ディスプレイ16に画像を表示させる場合、画像表示用液晶ディスプレイ68に表示データを出力し、かつ、画像表示用バックライト70を点灯(ON)する。また、表示コントローラ90は、露光用ディスプレイ56に画像を表示させる場合、露光用液晶ディスプレイ58に表示データを出力し、かつ、露光用バックライト60を点灯(ON)する。
【0111】
マイコン80は、所定の表示制御プログラムを実行することにより、表示制御部80aとしての機能し、表示コントローラ90を介して、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56の表示を制御する。
【0112】
プリンタ付きカメラ1のモードが撮像モードに設定されると、表示制御部80aは、イメージセンサ42が捉えた画像をリアルタイムに画像表示用ディスプレイ16に表示させる。すなわち、ライブビュー画像を画像表示用ディスプレイ16に表示させる。また、撮像に必要な操作ボタン(シャッターボタン等)を画像表示用ディスプレイ16に表示する。更に、必要に応じて、撮像に関する情報(絞り値、シャッタ速度、撮像可能枚数等)を画像表示用ディスプレイ16に表示する。
【0113】
また、プリンタ付きカメラ1のモードが再生モードに設定されると、表示制御部80aは、画像記憶部として機能するメモリ88に記録された画像データを画像表示用ディスプレイ16に表示させる。
【0114】
更に、表示制御部80aは、設定画面の呼び出しに応じて、各種設定を行うための設定画面を画像表示用ディスプレイ16に表示させる。
【0115】
一方、画像をプリントする場合には、プリント用の画像を露光用ディスプレイ56に表示させる。この際、表示制御部80aは、画像表示用ディスプレイ16の表示をオフにする。
【0116】
[プリンタ付きデジタルカメラの作用]
〈撮像〉
プリンタ付きカメラ1は、電源をオンにすると、撮像モードで起動する。撮像モードでは、イメージセンサ42で捉えた画像が、画像表示用ディスプレイ16にリアルタイムに表示される。すなわち、ライブビュー画像が画像表示用ディスプレイ16に表示される。ユーザは、画像表示用ディスプレイ16をファインダとして使用し、構図の調整、主要被写体への合焦状態等を確認する。
【0117】
図20は、撮像モードでの画像表示用ディスプレイの表示の一例を示す図である。
【0118】
同図に示されるように、画像表示用ディスプレイ16には、ライブビュー画像LI及び各種操作ボタンが表示される。
図20に示す例では、操作ボタンとして、シャッターボタンSB、再生ボタンPB及びメニューボタンMBを表示した場合を示している。シャッターボタンSBは、画像の記録(撮像)を指示するボタンである。再生ボタンPBは、再生モードへの切り替えを指示するボタンであり、モード切換部を構成する。メニューボタンMBは、メニュー画面の表示を指示するボタンである。
【0119】
ユーザは、シャッターボタンSBにタッチして、画像の記録を指示する。画像の記録が指示されると、イメージセンサ42から記録用の画像データが取り込まれ、所要の信号処理を施されて、メモリ88に記録される。マイコン80は、インスタントフィルムパック100がフィルム装填室50の装填前、又は露光前のインスタントフィルム110がインスタントフィルムパック100に存在しない場合でも、ユーザに撮像を許可する。プリント可能なインスタントフィルム110がなくても、ユーザの指示により、イメージセンサ42から記録用の画像データが取り込まれ、所要の信号処理を施されて、メモリ88に記録される。
【0120】
〈再生〉
撮像モードの状態で画像表示用ディスプレイ16に表示された再生ボタンPBをタッチすると、プリンタ付きカメラ1のモードが再生モードに切り替わる。
【0121】
再生モードに切り替わると、最後に撮像された画像(最後にメモリ88に記録された画像)の画像データが、メモリ88から読み出され、画像表示用ディスプレイ16に表示される。
【0122】
図21は、再生モードでの画像表示用ディスプレイの表示の一例を示す図である。
【0123】
同図に示されるように、画像表示用ディスプレイ16には、再生画像PI及び各種操作ボタンが表示される。
図21に示す例では、操作ボタンとして、プリントボタンPrB、カメラボタンCB及びメニューボタンMBを表示した場合を示している。プリントボタンPrBは、表示中の画像のプリントを指示するボタンであり、プリント指示部を構成する。カメラボタンCBは、撮像モードへの切り替えを指示するボタンであり、モード切換部を構成する。メニューボタンMBは、メニュー画面の表示を指示するボタンである。
【0124】
表示中の画像をプリントする場合、ユーザは、プリントボタンPrBをタッチする。また、コマ送りする場合は、画像表示用ディスプレイ16の画面をフリック操作する。フリック操作とは、指先で画面をはらう操作である。また、表示中の画像を拡大する場合は、画像表示用ディスプレイ16の画面をピンチアウト操作する。ピンチアウト操作とは、2本の指で画面に触れたまま、指の間隔を広げる操作である。また、表示中の画像を縮小する場合は、画像表示用ディスプレイ16の画面をピンチイン操作する。ピンチイン操作とは、2本の指で画面に触れたまま、指の間隔を狭める操作である。
【0125】
〈プリント〉
上記のように、再生モードにおいて、画像再生中にプリントボタンPrBがタッチされると、表示中の画像がプリントされる。また、撮像モードにおいて、オートプリントモードが選択されると、撮像された画像が、プリントの指示を待たずに、そのままプリントされる。オートプリントモードのオン、オフの設定は、たとえば、メニュー画面からモードの設定画面を呼び出して行われる。
【0126】
プリントが指示されると、画像表示用ディスプレイ16に表示されたプリント対象の画像データがプリント用画像処理部86に加えられ、プリント用の画像データが生成される。マイコン80は、生成されたプリント用の画像データを表示コントローラ90に加えて、露光用ディスプレイ56に表示させる。これにより、プリント用の画像が露光用ディスプレイ56に表示される。
【0127】
露光用ディスプレイ56に画像が表示されることにより、インスタントフィルム110が露光される。この際、インスタントフィルム110は、露光用ディスプレイ56の各画素からの光が、ルーバー部材62を介して照射されて露光される。ルーバー部材62は、露光面110aに対して略垂直な光のみを透過させる作用を有する。これにより、画像のぼけを防止でき、高品質な画像をプリントできる。
【0128】
画像は、一定時間、一定の輝度で表示される。露光時間は、露光用ディスプレイ56の輝度に基づいて設定される。すなわち、インスタントフィルム110を適正に露光できる時間に設定される。
【0129】
表示開始から一定時間経過すると、露光用ディスプレイ56の表示がオフされ、露光が終了する。露光が終了すると、フィルム送出機構52及びフィルム搬送機構54が駆動される。フィルム送出機構52が駆動されることにより、露光済みのインスタントフィルム110がクロー52aによってケース120から排出される。ケース120から排出されたインスタントフィルム110は、展開ローラ対54aによって、フィルム排出口20から排出される。また、その排出過程で現像処理される。すなわち、ポッド部114が展開ローラ対54aに押し潰されて、ポッド部内の現像処理液が展開処理され、現像処理される。
【0130】
図22は、再生モードでプリントする場合の画像表示用ディスプレイの画面表示の遷移状態を示す図である。
【0131】
図22(A)は、画像の再生状態を示しており、この状態でプリントボタンをタッチして、再生中の画像のプリントを指示すると、
図22(B)に示されるように、プリントの確認画面が表示される。プリントの確認画面では、プリントのイメージが画像表示用ディスプレイ16に表示される。すなわち、インスタントフィルム110にプリントした場合のイメージの画像(インスタントフィルム110の観察面110bの観察領域118にプリント対象の画像を収めた形態の画像)が表示される。また、これと同時にプリントの実行を指示する「OK」ボタン、及び、プリントの中止を指示する「CANCEL」ボタンが表示される。ユーザは、プリントを実行する場合は、「OK」ボタンをタッチし、プリントを中止する場合は「CANCEL」ボタンをタッチする。「CANCEL」ボタンがタッチされると、
図22(A)に示す再生画面に復帰する。一方、「OK」ボタンがタッチされると、
図22(C)に示されるように、プリントの実行を報知する画面が表示される。この画面では、「プリントします」のメッセージが表示される。この後、プリントが実行される。すなわち、露光用ディスプレイ56に記録用の画像が表示され、インスタントフィルム110が露光される。露光中、
図22(D)に示されるように、画像表示用ディスプレイ16の表示がオフされる。露光が終了すると、
図22(A)に示されるように、プリントした画像の再生画面に復帰する。
【0132】
[画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御]
上記のように、本実施の形態のプリンタ付きカメラ1では、露光中、画像表示用ディスプレイ16の表示がオフされる。これにより、電力のピーク値を低減でき、電力負荷を低減できる。また、これにより、バッテリの小型化、延いては、カメラ全体の小型化を図れる。
【0133】
図23は、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御のタイミングチャートである。
【0134】
同図は、時刻t2で露光を開始し、時刻t3で露光を終了する場合の表示制御の形態を示している。同図に示されるように、露光用ディスプレイ56に画像を表示させてインスタントフィルム110を露光させている間、画像表示用ディスプレイ16の表示をオフにする。
【0135】
画像表示用ディスプレイ16は、露光を開始する一定時間前に表示がオフされる。換言すると、インスタントフィルムを露光させる場合、画像表示用ディスプレイ16の表示をオフした後、一定時間経過後(Δt経過後)に露光が開始される。
【0136】
露光中、画像表示用ディスプレイ16は、継続して表示がオフされ、露光が終了すると、一定時間経過後(Δt経過後)に表示がオンされる。すなわち、露光用ディスプレイ56の表示がオフされ、そのオフから一定時間経過後に表示がオンされる。
【0137】
このように、露光用ディスプレイ56の表示中は、必ず画像表示用ディスプレイ16の表示がオフされる。これにより、電力のピーク値を低減でき、電力負荷を低減できる。
【0138】
[変形例]
〈撮像モードでの処理〉
撮像モードでプリントする場合、露光中、撮像部の駆動をオフにすることが好ましい。より具体的には、露光用ディスプレイ56への画像の表示中、撮像レンズ12及びイメージセンサ42の駆動をオフにする。これにより、より効果的に電力ピーク値を低減できる。この場合、マイコン80が、撮像制御部として機能し、撮像レンズ12及びイメージセンサ42の駆動を制御する。
【0139】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御の変形例1〉
画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56は、バックライトのオン及びオフを制御して、表示のオン及びオフを制御してもよい。
【0140】
バックライトは、液晶ディスプレイの駆動に比して、電力消費が大きいので、バックライトのオン及びオフを制御して、表示のオン及びオフを制御することにより、十分に電力負荷を低減できる。また、制御を簡素化できる。
【0141】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御の変形例2〉
バックライトのオン及びオフを制御して、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56の表示のオン及びオフを制御する場合、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56には、同じ画像を表示させてもよい。すなわち、表示コントローラ90から同じ表示データを出力して、各液晶ディスプレイに同じ画像を表示させてもよい。これにより、表示制御を簡素化できる。
【0142】
本例の場合、露光中、画像表示用液晶ディスプレイ68には、露光中の画像(インスタントフィルム110に記録する画像)が表示される。ただし、画像表示用バックライト70がオフされているため、視認できない。同様に、撮像中、露光用液晶ディスプレイ58にはライブビュー画像が表示されるが、露光用バックライト60がオフされているため、インスタントフィルム110が露光することはない。
【0143】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御の変形例3〉
画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56に同じ画像を表示させる場合、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56は、同じ画像出力インターフェイスに接続する構成としてもよい。
【0144】
図24は、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイを同じ画像出力インターフェイスに接続する場合の概念図である。
【0145】
同図に示されるように、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56は、表示コントローラ90に対して、同じ画像出力インターフェイス90aに接続される。より具体的には、画像表示用ディスプレイ16の画像表示用液晶ディスプレイ68と、露光用ディスプレイ56の露光用液晶ディスプレイ58が、表示コントローラ90の同じ画像出力インターフェイス90aに接続される。これにより、表示コントローラ90から画像表示用液晶ディスプレイ68及び露光用液晶ディスプレイ58に同じ表示データが加えられ、同じ画像が表示される。
【0146】
このように、表示制御のためのインターフェイスを画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56で共用することにより、構成をより簡素化できる。
【0147】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御の変形例4〉
スイッチにより点灯させるバックライトを切り替えて、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56の表示のオン及びオフを制御してもよい。
【0148】
図25は、スイッチにより点灯させるバックライトを切り替えて、画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示のオン及びオフを制御する場合の概念図である。
【0149】
同図に示されるように、画像表示用バックライト70及び露光用バックライト60は、スイッチ90bによって、択一的に点灯される。これにより、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56のいずれか一方だけを選択的に表示させることができる。
【0150】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの表示制御の変形例4〉
上記のように、インスタントフィルム110を露光する場合、露光用ディスプレイ56に画像を一定時間、一定の輝度で表示させる。したがって、露光用ディスプレイ56の輝度は一定である。
【0151】
一方、画像表示用ディスプレイ16については、その輝度をユーザが自由に調節できることが好ましい。すなわち、別途、輝度調節部を設けて、ユーザが任意に調整できるようにすることが好ましい。これにより、使用環境によらずに、常に良好な視認性を確保できる。
【0152】
輝度調節は、たとえば、輝度の調節画面を用意し、画面操作で行う。輝度の調節画面は、たとえば、メニュー画面から呼び出す構成とする。この他、カメラボディ10に輝度調節ダイヤル等を設けて調節する構成とすることもできる。
【0153】
なお、露光用ディスプレイ56については、一定の輝度とするが、ルーバー部材62が備えられることから、その輝度は、画像表示用ディスプレイ16の輝度よりも高く設定される。
【0154】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイの変形例〉
上記実施の形態では、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56を共に液晶ディスプレイで構成しているが、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56として使用する表示デバイスは、これに限定されるものではない。この他、たとえば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display;OELD)、プラズマディスプレイ、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display;FED)、電子ペーパ等のフラットパネルディスプレイを使用できる。また、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56は、必ずしも同じ表示デバイスである必要はなく、たとえば、一方を液晶ディスプレイで構成し、他方を有機ELディスプレイで構成することもできる。また、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56は、異なる表示サイズのものを用いてもよい。
【0155】
画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56を液晶ディスプレイで構成する場合、バックライトは、面で発光する構成のものを用いてもよい。
【0156】
〈画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイのレイアウトの変形例〉
上記実施の形態では、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56を背中合わせに重ねて配置する構成としているが、画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56のレイアウトは、これに限定されるものではない。たとえば、フィルム装填室50を挟んで配置する構成とすることもできる。この場合、フィルム装填室50にインスタントフィルムパック100を装填すると、インスタントフィルム110を挟んで画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56が配置される。
【0157】
図26は、インスタントフィルムパックを挟んで画像表示用ディスプレイ及び露光用ディスプレイを配置する場合のプリンタ付きデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【0158】
同図は、フィルム蓋カバー14に画像表示用ディスプレイ16を配置する場合の例を示している。このように、フィルム蓋カバー14に画像表示用ディスプレイ16を配置することにより、インスタントフィルムパック100を挟んで画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56が配置される。
【0159】
インスタントフィルムパック100を挟んで画像表示用ディスプレイ16及び露光用ディスプレイ56が配置されることにより、遮光壁を省略できる。
【0160】
〈撮像部の変形例〉
撮像部は、複数備えてもよい。たとえば、カメラボディ10の正面及び背面にそれぞれ備えてもよい。また、撮像部をカメラボディに回転可能に保持し、撮像方向を任意に調整できるようにしてもよい。
【0161】
〈インスタントフィルムの変形例〉
使用するインスタントフィルムについては、モノシートタイプのもの限らず、ピールアパート方式のインスタントフィルム等を使用してもよい。
【0162】
〈出光方向制限部材の変形例〉
また、出光方向制限部材であるルーバー部材として、透光部は、少なくとも光を通過できればよい。したがって、透光部を空洞で構成し、遮光部のみで出航方向制限層を構成することもできる。出光方向制限部材は多孔板であってもよい。多孔板は、露光用ディスプレイの画素からの光の出光を制限するため、所定厚みの矩形板に所定の形状およびサイズの貫通孔を所定ピッチで多数設けたものである。多孔板2の材質としては、特に制限的ではないが、例えば所定の厚みを有するアルミニウム板等の金属板、樹脂板またはカーボン材料板等を用いることができる。
【0163】
〈プリント用画像処理の変形例〉
より高品質な画像をプリントするために、露光用の画像、すなわち、画像表示用ディスプレイに表示される画像に比べて、露光用ディスプレイに表示する画像に所定の画像処理を施してもよい。たとえば、記録画像の濃度差が、表示画像よりも減少してしまうことを考慮して、表示画像の高周波成分(エッジ部)を予め増加(強調)させる処理、いわゆるエッジ強調処理を行ってもよい。エッジ強調処理としては、たとえば、アンシャープマスク処理等の公知の手法を採用できる。
【符号の説明】
【0164】
1 プリンタ付きカメラ
10 カメラボディ
12 撮像レンズ
14 フィルム蓋カバー
14a ヒンジ
16 画像表示用ディスプレイ
16a 表示面
18 電源ボタン
20 フィルム排出口
42 イメージセンサ
50 フィルム装填室
52 フィルム送出機構
52a クロー
54 フィルム搬送機構
54a 展開ローラ対
56 露光用ディスプレイ
56a 表示面
57 バネ機構
58 露光用液晶ディスプレイ
60 露光用バックライト
60a 棒状ランプ
60b 導光板
62 ルーバー部材
62a 入射面
62b 出射面
64 遮光部
64a 第1の遮光部
64b 第2の遮光部
65 透光部
66 保護フィルム
68 画像表示用液晶ディスプレイ
70 画像表示用バックライト
70a 棒状ランプ
70b 導光板
72 タッチセンサ
74 遮光壁
80 マイコン
80a 表示制御部
82 アナログ信号処理部
84 デジタル信号処理部
86 プリント用画像処理部
88 メモリ
88a メモリコントローラ
90 表示コントローラ
90a 画像出力インターフェイス
90b スイッチ
92 操作部
100 インスタントフィルムパック
110 インスタントフィルム
110a 露光面
110b 観察面
112 露光領域
114 ポッド部
114a 現像処理液ポッド
116 トラップ部
116a 吸収材
118 観察領域
118a 枠
120 ケース
120a 露光用開口
120b 排出口
120c クロー開口部
140 積層体
142 遮光部
144 透光部
150 第1のルーバー部材
152 第1の遮光部
154 第1の透光部
170 第2のルーバー部材
172 第2の遮光部
174 第2の透光部
CB カメラボタン
F 送り方向
H 水平軸
HCL 水平中央線
LI ライブビュー画像
M 移動軌跡
MB メニューボタン
PB 再生ボタン
PI 再生画像
Pix 画素
PrB プリントボタン
S 距離
SB シャッターボタン
V 垂直軸
VCL 垂直中央線θ 角度