(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】スナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤
(51)【国際特許分類】
A23L 19/18 20160101AFI20220901BHJP
A23L 29/30 20160101ALI20220901BHJP
【FI】
A23L19/18
A23L29/30
(21)【出願番号】P 2017108503
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:平成28年12月1日 ウェブサイトのアドレス:http://www.morinaga.co.jp/public/newsrelease/web/fix/file5850ae4442265.pdf 販売日:平成28年12月7日~13日 販売した場所:日本百貨店しょくひんかん
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 隆
(72)【発明者】
【氏名】柴田 克亮
【審査官】楠 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-146762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0064079(US,A1)
【文献】特開平07-327628(JP,A)
【文献】特表2011-510636(JP,A)
【文献】特開2004-159647(JP,A)
【文献】特開2010-100583(JP,A)
【文献】月刊フードケミカル,2016年,Vol. 32, No. 5 ,pp. 43-47
【文献】月刊フードケミカル,2016年,Vol. 32, No. 5 ,pp. 43-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00-19/20
A23G 1/00-9/52
A23L 21/00-21/25
A23L 29/20-29/206
A23L 29/231-29/30
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソマルトデキストリンを有効成分とする、スナック菓子の水抜け向上剤であって、
前記スナック菓子が、ノンフライ成型ポテトチップスまたはノンフライ成型ポテトスナックである、スナック菓子の水抜け向上剤。
【請求項2】
前記スナック菓子の原料が裏ごし芋を含む、請求項1に記載の水抜け向上剤。
【請求項3】
イソマルトデキストリンを有効成分とする、スナック菓子用生地のべたつき抑制剤であって、
前記スナック菓子が、ノンフライ成型ポテトチップスまたはノンフライ成型ポテトスナックである、スナック菓子のべたつき抑制剤。
【請求項4】
前記スナック菓子の原料が裏ごし芋を含む、請求項3に記載のべたつき抑制剤。
【請求項5】
脂肪分が5重量%未満のスナック菓子の製造方法であって、
芋成分とイソマルトデキストリンとを含有する混合物を調製する工程と、
前記混合物を成型する工程と、
前記成型した混合物を焼成する工程と、
を含み、
混合物中の、前記イソマルトデキストリンの割合は3~12重量%であり、
前記スナック菓子がノンフライ成型ポテトチップスまたはノンフライ成型ポテトスナックである、スナック菓子の製造方法。
【請求項6】
前記スナック菓子が、脂肪分が3重量%未満のスナック菓子である、請求項5に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項7】
前記芋成分が裏ごし芋を含む、
請求項5または6に記載のスナック菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポテトチップスには、ジャガイモを薄切りにして油で揚げた、いわゆるリアルポテトチップスと、ジャガイモをフレーク状や粉末状にしたものを成型して製造された、いわゆる成型ポテトチップスの2種類がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
成型ポテトチップスは、製造工程において、油で揚げる方法や、熱風で焼成する方法があり、最近では、過熱蒸気を用いた方法も報告されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、多くの場合、生地の水分を効率的に飛ばす、すなわち水抜けを良くするために、基本的に油を使用する必要があり、高カロリーとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-313816号公報
【文献】特開2013-202026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規なスナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、イソマルトデキストリンを成型ポテトチップスの生地に加えて焼成することにより、水抜けが向上すること、これによりポテト本来の風味を維持しながら、かつパリパリとした食感をもつスナック菓子を得ることができることを見出した。本発明は、これらの発見に基づき、完成されたものである。
【0007】
本発明の一実施形態は、イソマルトデキストリンを有効成分とする、スナック菓子の水抜け向上剤またはべたつき抑制剤である。
【0008】
本発明の他の一実施形態は、脂肪分が5重量%未満または3重量%未満のスナック菓子であって、イソマルトデキストリンを含有する、スナック菓子である。イソマルトデキストリンを2-22重量%含有してもよい。
【0009】
上記いずれのスナック菓子についても、その原料が芋であってもよく、成型品であってもよく、ポテトチップスまたはポテトスナックであってもよく、あるいはノンフライであってもよい。
【0010】
本発明の別の一実施形態は、スナック菓子の製造方法であって、芋成分とイソマルトデキストリンとを含有する混合物を調製する工程と、混合物を成型する工程と、成型した混合物を焼成する工程と、を含む製造方法である。混合物は、80~95重量%の芋成分と、1~12重量%のイソマルトデキストリンとを含有してもよい。芋成分が裏ごし芋と粉末芋からなり、裏ごし芋と粉末芋の重量の割合が10:1~1:1であってもよい。スナック菓子がポテトチップスまたはポテトスナックであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、新規なスナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をこれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0013】
==イソマルトデキストリンを有効成分とする、スナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤==
【0014】
本発明にかかるスナック菓子の水抜け向上剤およびべたつき抑制剤は、イソマルトデキストリンを有効成分とする。
【0015】
本明細書において、イソマルトデキストリンは、分岐α-グルカンメチル化分析において、
(1)2,3,6‐トリメチル‐1,4,5‐トリアセチルグルシトールと2,3,4‐トリメチル‐1,5,6‐トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(2)2,3,6‐トリメチル‐1,4,5‐トリアセチルグルシトールと2,3,4‐トリメチル‐1,5,6‐トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占め、
(3)2,4,6‐トリメチル‐1,3,5‐トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満であり、
(4)2,4‐ジメチル‐1,3,5,6‐テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である
ことを特徴とする分岐α-グルカンである。
なお、イソマルトデキストリンは、メチル化分析において(1)~(4)のすべての条件を充足する限り、グルコース残基の結合順序は特に限定されない。
このようなイソマルトデキストリンの構造式の一例を、以下に示す。
【0016】
【0017】
ここで用いることのできるメチル化分析は、多糖又はオリゴ糖においてこれを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に知られている方法であれば特に限定されない。例えば、WO2008/136331号国際公報に記載の方法では、メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に用いる場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、さらに、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(以下、本明細書では、「部分メチル化グルシトールアセテート」におけるアセチル化された部位と「グルシトールアセテート」の表記を省略して、「部分メチル化物」と略称する場合がある。)を得る。得られた部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。
【0018】
イソマルトデキストリンの製造方法は特に限定されないが、例えばWO2008/136331号国際公報、特開平5-84090、またはTsusakiらの文献(K. Tsusaki et al., Carbohydrate Research, vol. 344, p. 2151-2156, 2009)に記載されているように、マルトースおよび/またはグルコース重合度3以上のα-1,4グリコシド結合を有するα-グルカンを基質とし、α-グルコシル転移酵素を作用させて製造することができる。これら3つの文献全体を引用することにより、本明細書に含めるものとする。
【0019】
本発明の水抜け向上剤またはべたつき抑制剤を用いる対象であるスナック菓子は特に限定されないが、原料に澱粉を含むものが好ましい。
【0020】
澱粉は、グルコースがα-1,4グリコシド結合により直鎖状に重合したアミロースと、グルコースがα-1,4グリコシド結合、またはα-1,6グリコシド結合により重合し、枝分かれを有する構造を持つアミロペクチンとから構成される。澱粉に水を加えて加熱すると、澱粉を構成する結晶構造の中に水が入り込み、澱粉の結晶構造が崩れる糊化(α化)が起こる。α化により、体内で消化しやすい構造となった澱粉は食用に適したものとなる。
【0021】
スナック菓子の原料は特に限定されないが、上述のように澱粉を含むものが好ましく、芋であることがより好ましい。澱粉を含む原料としては、例えばジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、その他の芋、大豆、エンドウ豆、その他の豆、トウモロコシ、米、モチ米、小麦、ライ麦、アワ、ヒエ、キビ、ハトムギ、その他の穀物、カボチャ、クズの根、キヌア、ソバなどが挙げられる。
【0022】
スナック菓子も特に限定されないが、例えば、チップス、シリアル、などが挙げられ、より具体的には、ポテトチップス、ポテトスナック、サツマイモチップス、サツマイモスナック、コーンスナックなどであってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態であるスナック菓子の水抜け向上剤は、スナック菓子の材料に添加することによって、スナック菓子の製造過程で、スナック菓子からの水抜けを効率化することができる。従来、水抜けを効率よく行うため、材料を油で揚げたり、油脂を追加したうえで焼成したりしていたが、そのため、スナック菓子に高濃度の油分や脂肪分が残存した。本発明の水抜け向上剤を用いることによって、余分な油脂を使用する必要が無くなるため、製造されたスナック菓子の脂肪分を低下させることができるようになる。
【0024】
また、スナック菓子製造において、生地のべたつきが大きいと、ロールで成形する際に生地がロールに付着しやすくなり、成形が難しくなる。本発明の一実施形態であるスナック菓子のべたつき抑制剤を用いると、生地のべたつきを抑制することができ、生地の成形が容易になる。
【0025】
==イソマルトデキストリンを含有するスナック菓子==
本発明のスナック菓子は、イソマルトデキストリンを含有する。イソマルトデキストリンの構造は上述した通りであって、スナック菓子製造時の水抜け促進効果を有する。イソマルトデキストリンの含有量は、2~22重量%であることが好ましく、6~22重量%であることがさらに好ましく、6~17重量%であることがさらに好ましい。
【0026】
スナック菓子の脂肪分は、10重量%未満であることが好ましく、8重量%未満であることがより好ましく、5重量%未満であることがさらに好ましく、3重量%未満であることがさらに好ましい。
【0027】
スナック菓子は、トレハロースを含んでもよい。トレハロースの含有量は2~12重量%であることが好ましく、5~12重量%であることがさらに好ましく、5~10重量%であることがさらに好ましい。
【0028】
スナック菓子の種類は、水抜け向上剤およびべたつき抑制剤を用いる対象であるスナック菓子として、上述した通りである。
==スナック菓子の製造方法==
【0029】
本発明に係るスナック菓子の製造方法は、芋成分とイソマルトデキストリンとを含有する混合物を調製する工程と、混合物を成型する工程と、成型した混合物を焼成する工程とを有する。以下、詳細に各工程を説明する。
【0030】
芋成分は芋の成分が含まれている芋加工品であって、裏ごし芋、粉末芋、カット芋、ポテトフレークであってもよい。裏ごし芋は、例えば、芋を蒸煮、水煮等の加熱処理後に裏ごしすることで製造できる。粉末芋は、例えば、芋を蒸煮、水煮等の加熱処理後に乾燥し粉砕することで製造できる。ポテトフレークは、芋をフレーク状にして、乾燥させたものである。風味の点から、特に裏ごし芋が含まれているのが好ましい。スナック菓子の材料として、芋成分とイソマルトデキストリンとを含有する混合物、すなわち生地には、2種以上の芋成分が含まれていてもよいが、特に、裏ごし芋とポテトフレークが含まれていることが好ましい。裏ごし芋とポテトフレークの重量%換算での配合比は、生地を成型でき、焼成後の菓子の食感と風味がよい比であれば、任意に選択することができるが、10:1~1:1であることが好ましく、10:1~3:1であることがさらに好ましく、5:1~3:1であることがさらに好ましい。
【0031】
生地に芋成分を添加する割合は、ポテト本来の風味が得られる割合であれば、任意に設定することができるが、生地全体中の80~95重量%が好ましく、85~90重量%がさらに好ましく、87重量%がさらに好ましい。
【0032】
生地にイソマルトデキストリンを添加する割合は、生地全体中の1~12重量%が好ましく、3~12重量%がさらに好ましく、3~9重量%がさらに好ましい。
【0033】
チェッキングを防止するため、生地にトレハロースを添加してもよい。トレハロースの添加量は0.5~20重量%であることが好ましく、1~10重量%であることがさらに好ましく、3~5重量%であることがさらに好ましい。
【0034】
スナック菓子に含まれる脂質含有量を抑制できるので、生地中に油脂などの脂肪分を追加しないほうが良いが、生地を成型する際の離型性を向上させるため、少量の油脂を添加してもよい。油脂はオイルであることが好ましく、オリーブオイルであることがより好ましい。オイルは、生地全体中の0.5~6重量%加えることが好ましく、0.5~2重量%加えることがさらに好ましく、0.5~1.5重量%加えることがさらに好ましい
【0035】
成型は、ロール等でシート状とした後、裁断又は型抜きするシート成型であってもよい。成型に使用する型は円形、短冊型、棒状型など任意の型とすることができる。スナック菓子の表面は平滑であっても、波型であってもよい。他の成型方法として、コレットマシンなどのエクストルーダを使用した押出し成型であってもよい。生地の厚さは、食感、風味の点から0.5~2.0mmであることが好ましく、1.0~1.5mmであることがさらに好ましい。また、水抜けを向上させるために、生地にピンホールを施してもよい。
【0036】
焼成工程は特に限定されないが、焼成温度は100~250℃であることが好ましく、120~220℃であることがさらに好ましく、190~210℃であることがさらに好ましい。焼成時間も特に限定されないが、2~10分であることが好ましく、3~8分であることがさらに好ましく、4~6分であることがさらに好ましい。焼成回数は特に限定されず、1段階で焼成しても、温度や時間を変えて2段階で焼成してもよい。
【0037】
焼成後の成型スナック菓子の形状は、平らであるいわゆるフラットタイプであってもよく、反っている、いわゆる積重ね包装タイプであってもよい。また、焼成後のスナック菓子の表面は平らであっても、波型である波型タイプであっても、表面に気泡のあるタイプであってもよい。焼成方法は、常法を用いることができるが、赤外線により焼成する方法、熱風で焼成する方法、過熱蒸気で焼成する方法であってもよい。また、焼成中加圧や減圧を行ってもよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の範囲を限定するために記載されるものではない。
【0039】
[実施例1]
本実施例では、イソマルトデキストリンの添加量がそれぞれ異なる試験例1~6の6種類のポテトスナックの生地を調製後、成型・焼成し、各試験例の工程適正の評価、及び焼成したポテトスナックの食感と風味についての官能評価を行った。また、焼成後のポテトスナック含まれる含水率を測定した。
【0040】
【0041】
まず、表1に記載した原料をそれぞれ混合後に撹拌し、6種類のポテトスナックの生地を調製した。本実施例では、芋成分として、67重量%の加熱後に裏ごししたジャガイモと20重量%のポテトフレーク(ジャガイモをフレーク状にして乾燥させたもの)を、イソマルトデキストリンとしてファイバリクサTM(株式会社林原製)を、トレハロースとしてトレハ(登録商標)(含水結晶トレハロース)(株式会社林原製)を、乳化剤としてレシチンを、調味料として酵母エキスを用いた。混合・撹拌した生地をロールで、厚さ1.5mmに圧延し、打ち抜き成型により円状に成型した。さらに、生地にピンホールを施した。生地を成型する際、専門のパネラーが、生地のべたつきと生地の成型のしやすさを指標に、表2の工程適正の評価基準に従って、4段階で評価した。
【0042】
【0043】
その後、成型したポテトスナック生地を、オーブンに入れ、200℃で5分間一次焼成し、120℃で5分間二次焼成し、スナック菓子を得た。試験例2~6のポテトスナックについて、専門のパネラーが表3の食感の評価基準、表4の風味の評価基準に従い、食感と風味をそれぞれ評価した。また、焼成後の試験例1~6のポテトスナックに含まれる含水率を測定した。含水率は、赤外線水分計(kett社製 FD-620)を用い、105℃、10分の条件下で測定した。なお、試験例1は、ポテトスナックを成型することができなかったため、焼成したポテトスナックの食感と風味、含水率を評価・測定することができなかった。
【0044】
【0045】
【0046】
以上の評価結果を表5にまとめた。
【0047】
【0048】
工程適正について、イソマルトデキストリンを添加していない試験例1では、生地がべたつき、成型することが困難であったが、1重量%以上のイソマルトデキストリンを添加した試験例2~6では生地のべたつきが抑えられ、成型が可能となった。
【0049】
焼成後のポテトスナックの食感について、イソマルトデキストリンの添加量の増加に伴い、食感も改善した。焼成後のポテトスナックの風味については、イソマルトデキストリンを添加しても、強い粉っぽさは感じられなかった。焼成後のポテトスナックの含水率については、イソマルトデキストリンの添加量の増加に伴い、含水率が減少した。
【0050】
このように、実施例1の条件では、イソマルトデキストリンが3重量%以上の場合に、全体に好結果が得られた。
【0051】
[実施例2]
本実施例では、イソマルトデキストリン(試験例1)に代えて、ポリデキストロースであるファイバーソル2(松谷化学工業株式会社製)(試験例2)、マルトデキストリンであるTK-16を(松谷化学工業株式会社製)(試験例3)をそれぞれ含むポテトスナックを評価した。
【0052】
表6に記載した原料を用い、実施例1と同様にして3種類のポテトスナックを製造して評価した。評価結果を表7に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
表7に示すように、ポリデキストロース(試験例2)、マルトデキストリン(試験例3)をそれぞれ含む生地はべたつくため、成型することが困難であった。そのため、ポテトスナックの食感と風味、含水率を評価・測定することができなかった。これに対し、イソマルトデキストリンを6重量%含む試験例1では、生地が全くべたつかず、成型が容易であった。また、焼成後のポテトスナックの含水率は2重量%と低く、食感も風味も問題がなかった。
【0056】
[実施例3]
本実施例では、裏ごし芋とポテトフレークの配合比が異なる6種類のポテトスナック(試験例1~6)を評価した。
【0057】
表8に記載した原料を用い、実施例1と同様にポテトスナックを製造し、評価した。評価結果を表9に示す。なお、試験例4、5、6においては、加水して生地の硬さを調整した。
【0058】
【0059】
【0060】
表9が示すように、ポテトフレークを用いず、裏ごし芋だけを用いた場合(試験例1)は、生地を成型することができなかったが、裏ごし芋とともにポテトフレークを用いることにより、工程適正のみならず、食感、風味、含水率ともに、問題のないレベルに改善された。