(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20220901BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20220901BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2018153212
(22)【出願日】2018-08-16
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000103840
【氏名又は名称】オリエンタル酵母工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515285969
【氏名又は名称】ソントンホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391013472
【氏名又は名称】株式会社田中食品興業所
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】相澤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 理志
(72)【発明者】
【氏名】岡野 詳憲
(72)【発明者】
【氏名】堀内 裕之
(72)【発明者】
【氏名】土田 保
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193953(JP,A)
【文献】実開昭59-99949(JP,U)
【文献】特開平6-220220(JP,A)
【文献】特開平5-124679(JP,A)
【文献】特開2014-234219(JP,A)
【文献】特開平5-57855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/00
B65D 85/50
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層とシーラント層とが接合された積層フィルムから
なり、前記シーラント層が内側を向くように筒形状に形成され且つ内部に被充填物が充填される袋本体と、
前記筒形状の中心軸の方向における前記袋本体の両端部をそれぞれ密閉し且つ前記中心軸に交差する交差方向に延びる一対の横シール部と、
前記一対の横シール部のうち一方の横シール部の前記交差方向に沿った縁部に形成され且つ前記袋本体を引き裂くための少なくとも1つのノッチと
を備え、
前記シーラント層は、前記シーラント層の表面に沿って互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいて引き裂き強度に異方性を有し、前記第1の方向および前記第2の方向のうち相対的に小さな引き裂き強度を有する前記第1の方向が前記中心軸と平行に延びるように配置され、
前記基材層と前記シーラント層のうち、前記シーラント層のみが引き裂き強度に異方性を有し、
前記積層フィルムは、前記袋本体の内部に前記被充填物が充填された後において加熱処理が施されることにより収縮する熱収縮フィルムであり、
前記一方の横シール部が前記中心軸と平行な方向に引っ張られることにより、前記ノッチから前記袋本体が前記中心軸と平行に引き裂かれて前記被充填物が取り出されることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記一方の横シール部の前記交差方向における幅の半分の長さに対する、前記一方の横シール部の前記交差方向における前記端部から前記ノッチまでの距離の割合は、30%~80%である請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記一方の横シール部は、前記ノッチの最深部から前記中心軸と平行な方向に10mm以上の長さを有する請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ノッチは、前記中心軸と平行な方向に延びる請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記一方の横シール部の前記交差方向に沿った縁部で且つ前記一方の横シール部の前記交差方向における中央部の両側にそれぞれ形成された一対の前記ノッチを備える請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記積層フィルムにおいて、前記シーラント層は直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記基材層は熱収縮性ポリアミドからなる請求項
1に記載の包装袋。
【請求項7】
前記基材層と前記シーラント層は、ポリエチレンからなる接着層を介して接合されている請求項
1または
6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記一対の横シール部は、それぞれ、前記袋本体の内側を向いた前記シーラント層同士が接着されることにより形成される請求項1~
7のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記袋本体は、前記袋本体の内側を向いた前記シーラント層同士が接着されることにより形成され且つ前記中心軸と平行な方向に延びる縦シール部を有する請求項
8に記載の包装袋。
【請求項10】
前記袋本体の内部に、温度60℃~100℃で流動性を有し且つ温度20℃~25℃で粘度5Pa・s~3000Pa・sを有する食品からなる前記被充填物が充填される請求項1~
9のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項11】
前記被充填物は、フラワーペースト、ジャム、ピューレ、半固形状調味料、ソース類、惣菜類のうちいずれか1つからなる請求項
9に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装袋に係り、特に、流動性を有する被充填物が充填される包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工業用や業務用の液状物、粉状物または粘体物等は、流動性を有するため、袋状の容器である包装袋に充填されて密封された状態で流通されることが多く、包装袋に充填される被充填物の重量は数kg~20kgにも達することがある。このような重量物が充填される包装袋は、流通過程における振動等により、大きな外力を受けるおそれがあるため、破損を防止するために、高い耐衝撃性を有することが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、線状低密度ポリエチレンフィルム等を積層した積層フィルムから形成される包装袋が開示されている。
特許文献1の包装袋は、流通過程における破損を防止することができるように耐衝撃性を向上させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装袋は、耐衝撃性の向上により包装袋を形成する積層フィルムが強い引張強度を有するために、包装袋の開封にはナイフ等の刃物の使用が必要となるが、刃物を用いて包装袋を開封すると、包装袋から取り出された被充填物に包装袋を形成する積層フィルムの切れ端が混入するおそれがあるという問題がある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、流通過程における破損を防止しながらも刃物を使用することなく容易に開封して被充填物を取り出すことができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る包装袋は、基材層とシーラント層とが接合された積層フィルムからなり、シーラント層が内側を向くように筒形状に形成され且つ内部に被充填物が充填される袋本体と、筒形状の中心軸の方向における袋本体の両端部をそれぞれ密閉し且つ中心軸に交差する交差方向に延びる一対の横シール部と、一対の横シール部のうち一方の横シール部の交差方向に沿った縁部に形成され且つ袋本体を引き裂くための少なくとも1つのノッチとを備え、シーラント層は、シーラント層の表面に沿って互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいて引き裂き強度に異方性を有し、第1の方向および第2の方向のうち相対的に小さな引き裂き強度を有する第1の方向が中心軸と平行に延びるように配置され、基材層とシーラント層のうち、シーラント層のみが引き裂き強度に異方性を有し、積層フィルムは、袋本体の内部に被充填物が充填された後において加熱処理が施されることにより収縮する熱収縮フィルムであり、一方の横シール部が中心軸と平行な方向に引っ張られることにより、ノッチから袋本体が中心軸と平行に引き裂かれて被充填物が取り出されるものである。
【0008】
一方の横シール部の交差方向における幅の半分の長さに対する、一方の横シール部の交差方向における端部からノッチまでの距離の割合は、30%~80%であることが好ましい。
また、一方の横シール部は、ノッチの最深部から中心軸と平行な方向に10mm以上の長さを有することが好ましい。
【0009】
また、ノッチは、中心軸と平行な方向に延びることができる。
また、一方の横シール部の交差方向に沿った縁部で且つ一方の横シール部の交差方向における中央部の両側にそれぞれ形成された一対のノッチを備えることができる。
【0010】
この際に、積層フィルムにおいて、シーラント層は直鎖状低密度ポリエチレンからなり、基材層は熱収縮性ポリアミドからなることが好ましい。
また、基材層とシーラント層は、ポリエチレンからなる接着層を介して接合されていることが好ましい。
【0011】
また、一対の横シール部は、それぞれ、袋本体の内側を向いたシーラント層同士が接着されることにより形成されることができる。
この際に、袋本体は、袋本体の内側を向いたシーラント層同士が接着されることにより形成され且つ中心軸と平行な方向に延びる縦シール部を有することが好ましい。
また、袋本体の内部に、温度60℃~100℃で流動性し且つ温度20℃~25℃で粘度5Pa・s~3000Pa・sを有する食品からなる被充填物が充填されることができる。
上記被充填物の食品の例としては、フラワーペースト、ジャム、ピューレ、半固形状調味料、ソース類、惣菜類等が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、包装袋が、筒形状の中心軸の方向における袋本体の両端部をそれぞれ密閉し且つ中心軸に交差する交差方向に延びる一対の横シール部と、一対の横シール部のうち一方の横シール部の交差方向に沿った縁部に形成され且つ袋本体を引き裂くための少なくとも1つのノッチとを備え、シーラント層は、シーラント層の表面に沿って互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいて引き裂き強度に異方性を有し、第1の方向および第2の方向のうち相対的に小さな引き裂き強度を有する第1の方向が中心軸と平行に延びるように配置され、一方の横シール部が中心軸と平行な方向に引っ張られることにより、ノッチから袋本体が中心軸と平行に引き裂かれて被充填物が取り出されるため、流通過程における破損を防止しながらも刃物を使用することなく容易に開封して被充填物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る包装袋を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1に係る包装袋の部分拡大平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る包装袋の部分断面図である。
【
図4】実施の形態1において、被充填物が充填された包装袋の平面図である。
【
図5】実施の形態1において、被充填物が充填された包装袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下、この発明の実施の形態1を添付図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係る包装袋11を示す平面図である。この包装袋11は、60℃~100℃で流動性を有する食品からなる被充填物が充填され、輸送される。このような被充填物としては、例えば、多数の菓子パン、調理パン等のフィリングに使用されるフラワーペースト、ジャム、ピューレ、ミートソース、ホワイトソース、トマトソース等のソース類、マヨネーズ等の半固形調味料、カレー、シチュー、その他の惣菜類等が挙げられる。そこで、包装袋11が流通過程において受ける衝撃により包装袋11が破損することを防止するために、包装袋11には高い強度と耐衝撃性が求められる。同時に、被充填物に周辺環境の影響が及ぶことを防止するために、包装袋11には高い密閉性、防気性等が求められる。
【0015】
図1に示すように、包装袋11は、中心軸Cと平行な中心軸方向D1に延びる筒形状の袋本体12を有している。袋本体12には、中心軸方向D1に延びる縦シール部13が形成され、中心軸方向D1における両端部に、中心軸方向D1に交差する交差方向D2に延びる一対の横シール部14Aおよび14Bが形成されている。ここで、交差方向D2とは、中心軸方向D1と任意の角度で交差する方向のことを示すが、以下では説明のために、中心軸方向D1と直交する方向とする。
【0016】
包装袋11は、1枚のフィルムから形成されており、1枚のフィルムが縦シール部13によりシールされることで、筒形状の袋本体12が形成され、袋本体12の中心軸方向D1の両端部が一対の横シール部14Aおよび14Bによりシールされることで、袋本体12が密封される。ここで、袋本体12の中心軸方向D1における長さは、交差方向D2における長さよりも長く設定されている。また、一対の横シール部14Aおよび14Bのうち、一方の横シール部14Aの交差方向D2に沿った縁部Eに、切れ込みからなるノッチ15が形成されている。また、
図1に示す例では、縦シール部13は、中心軸Cの近傍に配置されている。
【0017】
本発明の実施の形態1に係る包装袋11は、横シール部14Aが中心軸方向D1に引っ張られることにより、ノッチ15を起点とした包装袋11の裂け目が横シール部14Bに至るまで、ノッチ15から中心軸Cと平行に引き裂かれて開封される。また、ノッチ15が形成されている横シール部14Aは、ノッチ15が形成されていない横シール部14Bよりも中心軸方向D1において長くなるように設計されている。これにより、包装袋11を開封する作業者は、一対の横シール部14A、14Bのうち、中心軸方向D1に長い横シール部14Aが、ノッチ15が形成されている横シール部14Aであると容易に判断することができる。
【0018】
図2に、包装袋11の部分拡大平面図を示す。
図2に示すように、ノッチ15は、中心軸方向D1に沿って形成されている。また、ノッチ15が形成されている横シール部14Aは、中心軸方向D1に横シール長さLLを有しており、交差方向D2において横シール幅WLを有している。また、横シール部14には、交差方向D2の両端部に第1交差方向端部T1および第2交差方向端部T2が形成されており、ノッチ15は、第1交差方向端部T1から交差方向D2に距離PNだけ離れた位置に形成されている。また、ノッチ15は、縁部Eから中心軸方向D1にノッチ長さLNだけ延びるように形成されている。さらに、縦シール部13は、交差方向D2において縦シール幅WCを有している。
【0019】
ここで、ノッチ15が、第1交差方向端部T1の近傍に形成されているほど、ノッチ15の最深部DPを起点とした包装袋11の裂け目の方向が中心軸方向D1から傾いてしまい、この裂け目が、中心軸方向D1において横シール部14Aとは反対側に位置する横シール部14Bにまで至る前に、積層フィルム16が途中で千切れるおそれがある。そのため、包装袋11の開封のし易さ、および、開封後の包装袋11からの被充填物の取り出し易さを考慮すると、ノッチ15は、第1交差方向端部T1から遠い位置に形成されていることが好ましい。
【0020】
より具体的には、横シール幅WLの半分の長さに対する第1交差方向端部T1からノッチ15までの距離PNの割合、すなわちPN/(WL/2)×100が、30%~80%であることが好ましく、40%~80%であることがより好ましい。例えば、横シール幅WLが180mmすなわち横シール幅WLの半分の長さが90mmである場合に、第1交差方向端部T1からノッチ15までの距離PNが30mm~70mmであることが好ましい。
【0021】
また、横シール部14Aにおいてノッチ15が形成されている箇所は、ノッチ15のノッチ長さLNが長いほど、すなわち、横シール部14Aの横シール長さLLからノッチ長さLNを差し引いた残りの長さが短いほど強度が低下するため、特に、袋本体12にフラワーペースト等の被充填物が充填された状態においては、被充填物により袋本体12が引っ張られることにより、輸送中にノッチ15の最深部DPを起点として包装袋11が破損するおそれがある。輸送中におけるノッチ15の最深部DPを起点とした包装袋11の破損を防ぐため、包装袋11においてノッチ15が形成されている箇所の強度を考慮すると、例えば、横シール部14は、ノッチ15の最深部から中心軸方向D1に10mm以上の長さを有することが好ましい。
なお、横シール部14Bも、強度を考慮すると、中心軸方向D1に10mm以上の長さを有することが好ましい。
【0022】
図3は、袋本体12を中心軸Cに沿って切断した部分断面図である。袋本体12は、1枚の積層フィルム16から形成され、積層フィルム16には、袋本体12の外部に向いた外表面Aと、袋本体12の内側に向いた内表面Bが形成されており、袋本体12に被充填物が充填されている状態においては、袋本体12の内表面Bと被充填物とが互いに密着する。積層フィルム16は、加熱により収縮する熱収縮性フィルムであり、基材層17、接着層18、シーラント層19から形成されている。基材層17は、袋本体12の外表面Aに露出するように配置され、接着層18は、基材層17とシーラント層19との間に配置され、シーラント層19は、袋本体12の内表面Bに露出するように配置されている。
【0023】
積層フィルム16の基材層17は、包装袋11の流通過程における袋本体12の破損を防止するために、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層17としては、例えば、熱収縮性のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン等が用いられる。
また、接着層18は、基材層17とシーラント層19を互いに積層するように接着するための層であり、接着層18としては、例えば、ポリエチレン等が用いられる。
【0024】
シーラント層19は、袋本体12に充填される被充填物を密封するために加熱接着すなわちヒートシールが可能であり、且つ、引き裂き強度に異方性を有する素材により形成されている。ここで、シーラント層19において引き裂き強度に異方性を有するとは、シーラント層19の表面に沿って直交する第1の方向と第2の方向において、それぞれ引き裂き強度が異なることである。シーラント層19は、第1の方向および第2の方向のうち相対的に小さな引き裂き強度を有する第1の方向が、中心軸方向D1に延びるように配置される。そのため、横シール部14Aが中心軸方向D1に引っ張られることにより、包装袋11が中心軸方向D1に、容易に引き裂かれることができる。
【0025】
ここで、シーラント層19としては、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン等が用いられる。より具体的には、例えば、シーラント層19として、スカイフィルム株式会社製のHR543等が用いられる。HR543の第1の方向における引き裂き強度は1.7Nで、第2の方向における引き裂き強度は5.5Nであり、第2の方向における引き裂き強度に対する第1の方向における引き裂き強度の割合は、31%である。
【0026】
なお、積層フィルム16は、厚み10μm~20μm、例えば15μmの基材層17と、厚み10μm~30μm、例えば20μmの接着層18と、厚み30μm~50μm、例えば40μmのシーラント層19を積層して形成することができ、積層フィルム16として、通常は50μm~100μmの厚みを有する。
また、基材層17とシーラント層19とは、接着層18により互いに積層するように接着されているが、例えば、接着層18としてポリエチレンを使用し、押し出しラミネート法を用いて基材層17とシーラント層19とを互いに接着することができる。また、接着層18としてポリエチレン以外の材料を使用し、ドライラミネート法を用いて基材層17とシーラント層19とを互いに接着することもできる。あるいは、接着層18を用いない融着を利用することもできる。このようにして、基材層17、接着層18、シーラント層19から形成される積層フィルム16は、高い強度、耐衝撃性、密封性、防気性等を有している。
【0027】
ここで、
図1に示す包装袋11の製造方法について簡単に説明する。以下の説明では、包装袋11の製造過程において、包装袋11の袋本体12に被充填物が充填されるものとする。まず、1枚の積層フィルム16が、シーラント層19が内側に配置されるように筒状に丸められる。次に、積層フィルム16の端部におけるシーラント層19同士が加熱されながら接着されることにより、縦シール部13が形成され、図示しないが、両端部にそれぞれ開口部を有し且つ中心軸方向D1に延びる筒状体が形成される。
【0028】
そして、この筒状体における両端部の開口部のうち一方が加熱されながら接着されて横シール部14Bが形成される。これにより、図示しないが、開口部が1つだけ形成された筒状体が形状される。この状態において、筒状体の開口部からフラワーペースト等の被充填物が筒状体の内部に充填される。筒状体に被充填物が充填されると、筒状体の開口部が加熱されながら接着されることにより横シール部14Aが形成される。最後に、横シール部14Aが交差方向D2に沿ってカットされて横シール部14Aの縁部Eが形成されると同時に、横シール部14Aの縁部Eが中心軸方向D1に所定の長さだけ切り込まれて、ノッチ15が形成される。このような工程は、例えば、縁部Eを形成するための交差方向D2に延びる刃に、ノッチ15を形成するための中心軸方向D1に延びる刃が連結したカットバーを用いることによりなされる。このようにして、袋本体12に被充填物が充填された本発明の包装袋11が形成される。なお、被充填物は、流動性を有する状態で袋本体12に充填される。
【0029】
このようにして形成された包装袋11は、袋本体12に被充填物が充填された状態において加熱処理がなされる。加熱処理の温度は、例えば、60℃~100℃の範囲であり、加熱処理の手段としては、例えば、温熱水等への浸漬、水蒸気処理、熱風処理等が挙げられる。包装袋11に前述の加熱処理を施すことにより、
図4および
図5に示すように、積層フィルム16から形成されている袋本体12が収縮して、被充填物と共に柱形状を発現する。
図5は、
図4に示す包装袋11を中心軸方向D1から見た包装袋11の正面図であり、包装袋11は、高さ方向Hにおいて、被充填物に起因する膨らみを有している。
【0030】
なお、この加熱処理の影響で、既に接着されたシーラント層19同士の接着部分の強度が損なわれることを防止するために、シーラント層19として、基材層17および接着層18よりも高い温度で接着性を発現する材料が用いられることが好ましい。また、袋本体12の外表面Aから内表面Bに向かって、基材層17、接着層18、シーラント層19の順に融点が低くなるように、基材層17、接着層18、シーラント層19の材料が選定されることが望ましい。
【0031】
ところで、包装袋11は、
図4および
図5に示すように、袋本体12に被充填物が充填された状態で運搬され、流通される。実施の形態1の包装袋11は、高い強度、耐衝撃性、密封性、防気性等を有する積層フィルム16により形成されており、横シール部14Aは、ノッチ15の最深部から中心軸方向D1に十分な長さ、例えば、10mm以上の長さを有しているため、流通中における振動等による包装袋11の破損が防止される。
【0032】
また、被充填物が充填された包装袋11が開封される場合には、
図4に示すように、例えば、まず、縦シール部13が上向きになるように包装袋11が作業台等の上に設置され、横シール部14Aにおいて、第1交差方向端部T1からノッチ15までの領域Rが、中心軸方向D1に所定の力Fで引っ張られることにより、ノッチ15の最深部DPを起点として、中心軸方向D1にノッチ15から延びる仮想的な引き裂き線LTに沿って包装袋11が引き裂かれる。ここで、横シール部14Aの中心軸方向D1における横シール長さLLは、横シール部14Bの中心軸方向D1における長さよりも長いため、作業者は、ノッチ15が形成されている横シール部14Aを容易に見つけることができる。
【0033】
また、このようにして開封された包装袋11から被充填物が取り出される際に、作業者は、例えば、ノッチ15の最深部DPを起点とする積層フィルム16の裂け目が横シール部14Bに至った状態で、縦シール部13に両手の人差し指を掛けて包装袋11を持ち上げ、包装袋11の中心軸方向D1の両端部を両手の親指で押すことにより、被充填物を取り出すことができる。
【0034】
あるいは、被充填物が充填された包装袋11が開封される際には、第1交差方向端部T1が上向きになるように包装袋11が作業台等の上に設置され、横シール部14Aにおける領域Rが、中心軸方向D1に所定の力Fで引っ張られることにより、ノッチ15の最深部DPを起点として、引き裂き線LTに沿って包装袋11が引き裂かれる。
【0035】
また、このようにして開封された包装袋11から被充填物が取り出される際に、作業者は、例えば、ノッチ15の最深部DPを起点とする積層フィルム16の裂け目が横シール部14Bに至った状態で、被充填物に付着している積層フィルム16の端部を捲りながら、縦シール部13に両手の人差し指を掛けて包装袋11を持ち上げ、包装袋11の中心軸方向D1の両端部を両手の親指で押すことにより、被充填物を取り出すことができる。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態1の包装袋11によれば、積層フィルム16により形成され、包装袋11を形成する積層フィルム16のシーラント層19が包装袋11の中心軸方向D1において相対的に小さな引き裂き強度を有し、横シール部14Aの縁部Eにノッチ15が形成されており、横シール部14Aが中心軸方向D1に引っ張られることにより、ノッチ15から袋本体12が中心軸方向D1に引き裂かれるため、流通過程において破損を防止しながらも、容易に開封して被充填物を取り出すことができる。
また、包装袋11の製造過程において、横シール部14Aの縁部Eの形成とノッチ15の形成とを同時に行うことができるため、包装袋11は、複雑な製造条件等を設定することなく容易に製造されることができる。
【0037】
なお、実施の形態1では、ノッチ15は、横シール部14Aにおいて、中心軸方向D1に沿って形成されているが、ノッチ15の傾きは、特に限定されない。しかしながら、包装袋11の開封のし易さおよび被充填物の取り出し易さを考慮すると、中心軸方向D1に沿って形成される、あるいは、ノッチ15の開口部から最深部DPに至るほど中心軸Cに近づくようにノッチ15が形成されていることが好ましい。
【0038】
また、袋本体12の内部には、温度60℃~100℃で流動性を有する食品からなる被充填物が充填されるが、被充填物は、60℃~100℃で流動性を有していれば、例えば20℃~25℃の室温で、流動性を有していても、流動性を有していなくてもよく、液状、半固形状、ゲル状、固形状であってもよい。また、被充填物は、20℃~25℃の室温において、5Pa・s~3000Pa・sの範囲の粘度を有する低粘性食品または高粘性食品であってもよい。ここで、粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド型粘度計)を用いて測定されたものとする。
【0039】
実施の形態2
実施の形態1では、
図1に示すように、横シール部14Aの縁に1つのノッチ15が形成されているが、複数のノッチが形成されることもできる。
例えば、
図6に、実施の形態2の包装袋11Aを示す。包装袋11Aの横シール部24Aの縁部Eには、交差方向D2において縦シール部13の両側に、それぞれノッチ15Aとノッチ15Bが形成されている。ノッチ15Aは、縦シール部13から見て第1交差方向端部T1側に形成されており、ノッチ15Bは、縦シール部13から見て第2交差方向端部T2側に形成されている。
【0040】
ここで、実施の形態1の態様と同様に、ノッチ15Aが第1交差方向端部T1の近傍に形成されているほど、ノッチ15Aの最深部を起点とした包装袋11Aの裂け目の方向が横シール部14Bに至る前に、積層フィルム16が途中で千切れるおそれがある。そのため、包装袋11Aの開封のし易さ、開封後の包装袋11Aからの被充填物の取出し易さを考慮すると、ノッチ15Aは、第1交差方向端部T1から遠い位置に形成されていることが好ましい。横シール部24Aの横シール幅の半分の長さに対する、第1交差方向端部T1からノッチ15Aまでの距離の割合は、30%~80%であることが好ましく、40%~80%であることがより好ましい。具体的には、例えば、横シール部24Aの横シール幅が180mmすなわち横シール幅の半分の長さが90mmである場合に、第1交差方向端部T1からノッチ15Aまでの距離が、30mm~70mmであることが好ましい。
【0041】
また、第2交差方向端部T2側に形成されているノッチ15Bについても、ノッチ15Aと同様に、第2交差方向端部T2に遠い位置に形成されていることが好ましい。より具体的には、横シール部24Aの横シール幅の半分の長さに対する、第2交差方向端部T2からノッチ15Bまでの距離の割合は、30%~80%であることが好ましく、40%~80%であることがより好ましい。
【0042】
このように、横シール部24Aの縁部Eに複数のノッチが形成されている場合でも、実施の形態1の態様と同様に、積層フィルム16により形成され、包装袋11Aを形成する積層フィルム16のシーラント層19が包装袋11Aの中心軸方向D1において相対的に小さな引き裂き強度を有し、横シール部24Aが中心軸方向D1に引っ張られることにより、複数のノッチ、例えば、ノッチ15Aまたはノッチ15Bから袋本体12が中心軸方向D1に引き裂かれるため、流通過程における破損を防止しながらも刃物を使用することなく容易に開封して被充填物を取り出すことができる。
【0043】
また、
図6に示すように、包装袋11Aの横シール部24Aの縁部Eに、交差方向D2において縦シール部13の両側に、それぞれノッチが形成されることにより、作業者の利き手に依らず、容易に包装袋11Aが開封されることができる。
【0044】
実施の形態3
実施の形態1および2では、積層フィルム16として、加熱により収縮する熱収縮性フィルムを使用し、積層フィルム16により形成される袋本体12内に被充填物を充填した後に袋本体12を収縮させたが、必ずしも袋本体12を収縮させる必要はない。すなわち、熱収縮しない積層フィルムから袋本体12を形成することもできる。この場合にも、積層フィルムのシーラント層19が引き裂き強度の異方性を有し、横シール部14Aおよび24Aにノッチ15、15A、15Bを形成することにより、流通過程における破損を防止しながらも、刃物を使用することなく包装袋11および11Aを容易に開封して被充填物を取り出すことができる。
【0045】
なお、積層フィルムは、実施の形態1および2に記載したものと同様の材料から形成することができるが、熱収縮させる必要がないことから、例えば、積層フィルムの基材層17に、熱収縮性を有さないポリアミドを用いることができる。
【実施例】
【0046】
図1に示す実施の形態1の包装袋11と同一の構成を有する包装袋において、第1交差方向端部T1からのノッチ15の位置を変更した複数の包装袋を製造した。この際に、
図4に示すように、包装袋の製造過程において、袋本体12内に被充填物としてフラワーペーストを充填した。
【0047】
実施例1
熱収縮性ポリアミドからなる厚み15μmのフィルムを基材層17とし、ポリエチレンからなる厚み20μmのフィルムを接着層18とし、直鎖状低密度ポリエチレンからなる厚み40μmのフィルムをシーラント層19とする積層フィルム16を用いて包装袋を製造した。この際に、
図2に示すように、横シール部14Aの中心軸方向D1における横シール長さLLを14mm、ノッチ15のノッチ長さLNを4mm、横シール部14Aの交差方向D2における横シール幅WLを180mm、縦シール部13の交差方向D2における縦シール長さWCを15mm、第1交差方向端部T1からノッチ15までの交差方向D2における距離PN、すなわちノッチ位置を30mmとした。また、横シール部14Aおよび14B、縦シール部13を形成する際に、150℃~160℃の温度で積層フィルム16を接着した。また、横シール部14Aを形成して、被充填物として、温度が約70℃のフラワーペースト5kgを袋本体12の内部に密封した後、包装袋を90℃の湯水に浸して加熱処理を行い、包装袋を熱収縮させた。なお、フラワーペーストは、温度約70℃で流動性を有し、且つ、温度20℃~25℃で粘度70Pa・sを有していた。ここで、フラワーペーストの粘度は、B型粘度計を用いて測定した。
【0048】
実施例2
第1交差方向端部T1からノッチ15までの交差方向D2における距離PNを50mmとしたこと以外は、実施例1の包装袋と同一の包装袋を製造した。
実施例3
第1交差方向端部T1からノッチ15までの交差方向D2における距離PNを70mmとしたこと以外は、実施例1の包装袋と同一の包装袋を製造した。
比較例1
第1交差方向端部T1からノッチ15までの交差方向D2における距離PNを10mmとしたこと以外は、実施例1の包装袋と同一の包装袋を製造した。
比較例2
ノッチ15を形成していないこと以外は、実施例1の包装袋と同一の包装袋を製造した。
【0049】
実施例1~3および比較例1の包装袋に対して、包装袋の開封のし易さを官能評価する開封性評価を行い、実施例1~3および比較例2の包装袋に対して、開封された後の被充填物の取り出し易さを評価する取出性評価を行った。
【0050】
ここで、開封性評価については、まず、実施例1~3および比較例1の包装袋をそれぞれ3つずつ用意した。そして、各包装袋を縦シール部13が上向きになるように作業台の上に設置し、横シール部14Aにおける第1交差方向端部T1からノッチ15までの領域Rを中心軸方向D1に引っ張った際の包装袋の状態を観察する開封試験を行った。開封試験後の各包装袋の状態に応じて、以下のような基準から開封性評価を行った。
「A」:ノッチ15の最深部DPを起点とした包装袋の裂け目が、ほぼ中心軸方向D1に向かって進行し、横シール部14Bにまで至った。
「B」:ノッチ15の最深部DPを起点とした包装袋の裂け目が、中心軸方向D1から傾いた方向に向かって進行したが、横シール部14Bにまで至った。
「C」:ノッチ15の最深部DPを起点とした包装袋の裂け目が横シール部14Bに至る前に、積層フィルム16が千切れた。
【0051】
取出性評価については、まず、実施例1~3および比較例2の包装袋をそれぞれ3つずつ用意し、各包装袋を開封した後に、各包装袋から被充填物を取り出し、それぞれの包装袋の袋本体12に取り出されずに残っていた被充填物の平均重量すなわち残渣の平均重量を計測する取出試験を行った。取出試験の結果として得られた実施例1~3および比較例2における残渣の平均重量に応じて、以下のような基準から取出性評価を行った。なお、実施例1~3の包装袋を開封する際には、各包装袋を縦シール部13が上向きになるように作業台の上に設置し、横シール部14Aの領域Rを中心軸方向D1に引っ張って袋本体12を引き裂くことにより、それぞれの包装袋を開封した。また、比較例2の包装袋を開封する際には、包装袋を縦シール部13が上向きになるように作業台の上に設置し、カッターを用いて袋本体12を切断することにより、包装袋を開封した。
「A」:残渣の平均重量が20g未満。
「B」:残渣の平均重量が20g以上25g未満。
「C」:残渣の平均重量が25g以上。
このような基準に基づいて行った開封性評価の結果と取出性評価の結果を以下の表1に示す。
【0052】
【0053】
表1に示すように、実施例1~3は、開封性評価の結果がいずれも「A」であり、非常に優れた開封性を得ることができた。実施例1~3の包装袋が開封される際に、ノッチ15から第1交差方向端部T1までの幅、すなわち、30mmの幅、50mmの幅、70mmの幅に対応する積層フィルム16が包装袋からそれぞれ、中心軸方向D1に、横シール部14Bまで引き裂かれた。このような幅に対応する積層フィルム16は、十分な強度を有しているため千切れ難く、中心軸方向D1に力が伝わり易いことにより、実施例1~3では、優れた開封性が得られたと考えられる。
【0054】
一方、比較例1は、開封性評価の結果が「C」となり、開封性に難があった。比較例1の包装袋が開封される際に、ノッチ15から第1交差方向端部T1までの幅、すなわち、10mmの幅に対応する積層フィルム16に中心軸方向D1の力が作用しても、ノッチ15の最深部DPを起点とする積層フィルム16の裂け目の方向が中心軸方向D1から傾いてしまい、裂け目が第1交差方向端部T1に至り、積層フィルム16が千切れた。10mmの幅を有する積層フィルム16では十分な強度を有することができず、千切れ易く、中心軸方向D1から傾いた方向に力が伝わり易いことにより、横シール部14Bに至る前に千切れてしまったと考えられる。そのため、結局、カッターで開封せざるを得ず、比較例1では開封性に難があった。
その結果、比較例1は、取出性評価の結果が「C」であり、取出性にも難があった。比較例1では、開封部が中心軸方向D1から大きく傾いた方向に沿って形成され、さらに、カッターでは袋本体12の表面の一辺しか開封されず、結果として、袋本体12に十分な大きさを有する開封部が形成されなかったため、残渣量が多くなったと考えられる。
【0055】
また、実例1~3は、取出性評価の結果がいずれも「B」以上であり、優れた取出性を得ることができた。特に、実施例2および3は、取出性評価の結果が「A」であり、非常に優れた取出性が得られた。実施例1における袋本体12内の残渣の平均重量は21.8g、実施例2における袋本体12内の残渣の平均重量は19.5g、実施例3における袋本体12内の残渣の平均重量は18.2gであった。この結果は、それぞれの包装袋を形成する積層フィルム16において引き裂き強度が比較的低い方向すなわち中心軸方向D1に沿って袋本体12が引き裂かれたために、袋本体12から十分な幅を有する積層フィルム16が引き剥がされ、それぞれの袋本体12に大きな開封部が形成されたことに起因すると考えられる。
【0056】
一方、比較例1および2は、取出性評価の結果が「C」であり、取出性に難があった。比較例2における袋本体12内の残渣の平均重量は25.7gであった。この結果は、比較例1および比較例2のいずれの包装袋をも、カッターで開封せざるを得ず、さらに、カッターでは袋本体12の表面の一辺しか開封されず、結果として、袋本体12に十分な大きさを有する開封部が形成されず、残渣量が多くなったと考えられる。
【0057】
以上の結果により、横シール幅WLを180mmとした場合に、ノッチ15の位置が第1交差方向端部T1から30mm~70mmの位置に形成することが好ましく、50mm~70mmの位置に形成することがより好ましいことが分かる。すなわち、横シール幅WLの半分の長さである90mmに対する、第1交差方向端部T1からノッチ15までの距離PNの割合に換算すると、30%~80%であることが好ましい。
【0058】
また、表には示していないが、例えば、横シール幅WLを150mm、200mmとした場合でも、横シール幅WLの半分の長さに対する、第1交差方向端部T1からノッチ15までの距離PNの割合が、実施例1~3と同様に、30%~80%である場合に、表1と同様の結果を得ることができた。
【0059】
また、実施例1の包装袋において、ノッチ長さLNを変更した包装袋を製造した。
比較例3
ノッチ長さLNを6mmとした以外は、実施例1の包装袋と同一の包装袋を製造した。
【0060】
実施例1の包装袋と比較例3の包装袋に対して、JIS Z 0200規格に準拠する輸送試験を行った。この輸送試験には、振動試験および落下試験が含まれている。
実施例1は、輸送試験がなされても包装袋が破損することはなく、優れた輸送強度を得ることができた。一方、比較例3は、輸送試験の結果、ノッチ長さLNが増大して袋本体12まで至り、袋本体12が破損した。
実施例1および比較例3における横シール部14Aの横シール長さLLは、14mmであるため、ノッチ15から袋本体12までの中心軸方向D1における長さが10mm以上である場合に、優れた輸送強度を得ることができることが分かる。
【0061】
以上の実施例により、本発明の実施の形態1および3の包装袋11、実施の形態2の包装袋11Aが、優れた開封性、優れた取出性、優れた輸送強度を有することは明らかである。
【符号の説明】
【0062】
11,11A 包装袋、12 袋本体、13 縦シール部、14A,14B,24A 横シール部、15,15A,15B ノッチ、16 積層フィルム、17 基材層、18 接着層、19 シーラント層、A 外表面、B 内表面、C 中心軸、D1 中心軸方向、D2 交差方向、DP 最深部、E 縁部、F 力、LL 横シール長さ、LN ノッチ長さ、LT 引き裂き線、H 高さ方向、PN 距離、R 領域、T1 第1交差方向端部、T2 第2交差方向端部、WC 縦シール幅、WL 横シール幅。