(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】めっき装置、およびめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/10 20060101AFI20220901BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20220901BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220901BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
C25D17/10 A
C25D17/00 K
C25D17/06 C
C25D7/12
(21)【出願番号】P 2021191263
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/045051
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】関 正也
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
(72)【発明者】
【氏名】張 紹華
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6901646(JP,B1)
【文献】米国特許第06027631(US,A)
【文献】特開2014-051697(JP,A)
【文献】特開2016-211010(JP,A)
【文献】特開平05-295589(JP,A)
【文献】特開2005-089812(JP,A)
【文献】特表2020-533792(JP,A)
【文献】特開2018-119219(JP,A)
【文献】特表2019-525000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 9/00- 21/22
C25D 5/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液を収容するためのめっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、
前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、
を含み、
前記遮蔽機構は、
カム部材と、前記カム部材を回転させるように構成された回転駆動機構と、前記カム部材の回転に伴って前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材と、
を含む、
めっき装置。
【請求項2】
前記カム部材は、前記回転駆動機構によって回転するように構成されたカム本体と、前記カム本体に取り付けられたロータと、を有し、
前記従動部材は、前記ロータが嵌め込まれるカム溝を有する従動スライダであって、前記カム本体の回転に伴う前記ロータからの押圧によって、前記遮蔽部材を、前記遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された、従動スライダを含む、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記遮蔽機構は、第1のプーリおよび第2のプーリに巻き付けられたベルトをさらに含み、
前記カム部材は、前記第2のプーリに連結された偏心カム部材を含み、
前記回転駆動機構は、前記第1のプーリを回転させることによって前記偏心カム部材を
回転させるように構成され、
前記従動部材は、前記偏心カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に押し出すように構成された従動カム部材を含む、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項4】
めっき液を収容するためのめっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、
前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、
を含み、
前記遮蔽機構は、
前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された直動駆動機構を含む、
めっき装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、円板形状の基板の周縁部の一部に対応する円弧形状を有するマスク部材を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項6】
めっき液を収容するためのめっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、
前記基板のめっき膜厚をめっき処理中に測定するように構成された膜厚センサと、
前記膜厚センサによって測定された前記基板のめっき膜厚に基づいて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に移動させるように構成された遮蔽機構と、
を含む、めっき装置。
【請求項7】
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に降下させる降下ステップと、
前記基板ホルダを回転させる回転ステップと、
前記基板のめっき膜厚をめっき処理中に測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる前記基板のめっき膜厚に基づいて遮蔽部材を
、前記めっき槽内に配置されたアノードと前記基板との間に移動させる遮蔽ステップと、
前記アノードと前記基板ホルダに保持された基板との間に電圧を印加することによって前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、
を含む、めっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、およびめっき方法に関する。本願は、2020年12月3日出願の国際出願PCT/JP2020/045051号に基づく優先権を主張する。国際出願PCT/JP2020/045051号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含む全ての開示内容は、参照により全体として本願に援用される。
【背景技術】
【0002】
めっき装置の一例としてカップ式の電解めっき装置が知られている。カップ式の電解めっき装置は、被めっき面を下方に向けて基板ホルダに保持された基板(例えば半導体ウェハ)をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の表面に導電膜を析出させる。
【0003】
カップ式の電解めっき装置では、遮蔽部材を用いてアノードと基板との間に形成される電界を遮蔽することが知られている。例えば特許文献1には、アノードマスクリングをアノードと基板との間に配置することによって、基板の外縁部近傍における電流密度を低下させ、これにより基板の外縁部周辺に厚いめっき膜が形成されるのを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の電解めっき装置は、アノードマスクリングをめっき槽の内壁の任意の高さに固定するものであるので、アノードと基板の外縁部との間は常にアノードマスクリングで遮蔽される。このように基板の特定の部位を常に遮蔽すると、その部位は極端にめっき膜の形成がされ難くなる場合もあるので、基板の種類によっては常にアノードと基板の間を遮蔽するのではなく、所望のタイミングでのみ基板の特定の部位を遮蔽したいというニーズがあり得る。
【0006】
そこで、本願は、基板の特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができるめっき装置およびめっき方法を実現することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、を含み、前記遮蔽機構は、カム部材と、前記カム部材を回転させるように構成された回転駆動機構と、前記カム部材の回転に伴って前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材と、を含む、めっき装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【
図4】
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【
図5】
図5は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
【
図6】
図6は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
【
図7A】
図7Aは、基板のパターン領域と非パターン領域とを示す上面図である。
【
図7B】
図7Bは、遮蔽部材が覆う基板の領域を示す上面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の円板カムの構造を示す上面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【
図10】
図10は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。
【
図11】
図11は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【
図12】
図12は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
【
図13】
図13は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図17】
図17は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図18】
図18は、一実施形態の遮蔽機構の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図19】
図19は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図20】
図20は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図21】
図21は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図22】
図22は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【
図23】
図23は、
図13~
図15の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。
【
図24】
図24は、
図16~
図19の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。
【
図25】
図25は、
図20および
図21の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。
【
図26】
図26は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図27】
図27は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を
備える。
【0011】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、および搬送装置700の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0012】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0013】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0014】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0015】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板を搬送装置700へ受け渡す。
【0016】
搬送装置700は、搬送ロボット110から受け取った基板をプリウェットモジュール
200へ搬送する。プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0017】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送装置700は、乾燥処理が施された基板を搬送ロボット110へ受け渡す。搬送ロボット110は、搬送装置700から受け取った基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0018】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
図3に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっきモジュール400は、めっき槽410の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。めっき槽410の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。
【0019】
カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。めっきモジュール400は、カソード領域422に向けて開口したノズル426と、ノズル426を介してカソード領域422にめっき液を供給するための供給源428と、を備える。めっきモジュール400は、アノード領域424についても同様に、アノード領域424にめっき液を供給するための機構を備えるが図示を省略する。アノード領域424のめっき槽410の底面にはアノード430が設けられる。カソード領域422にはメンブレン420に対向して抵抗体450が配置される。抵抗体450は、基板Wfの被めっき面Wf-aにおけるめっき処理の均一化を図るための部材であり、多数の孔が形成された板状部材によって構成される。
【0020】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点を備える。基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの外縁部を支持するためのシールリングホルダ442と、シールリングホルダ442を図示していない基板ホルダ本体に保持するためのフレーム446と、を備える。また、基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの裏面を押圧するためのバックプレート444と、バックプレート444の基板押圧面の裏面に取り付けられたシャフト448と、を備える。
【0021】
めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構443と、シャフト448の仮想軸(被めっき面Wf-aの中央を垂直に伸びる仮想的な回転軸)の周りに基板Wfが回転するように基板ホルダ440を回転させるための回転機構447と、を備える。昇降機構443および回転機構447は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、昇降機構443を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬し、アノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すように構成される。
【0022】
めっきモジュール400は、アノード430と基板Wfとの間に配置されたときにアノード430と基板Wfとの間に形成される電界を遮蔽するための遮蔽部材482を備える。遮蔽部材482は例えば板状に形成された遮蔽板であってもよい。遮蔽部材482は、めっき槽410の側壁を貫通してカソード領域422内に挿入されており、めっき槽410に挿入されていない側の端部にはフランジ484が取り付けられている。本実施形態では、遮蔽部材482は常にアノード430と基板Wfとの間に配置されるわけではなく、基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽するように構成されている。以下、この点について説明する。
【0023】
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
図3および
図4に示すように、めっきモジュール400は、回転機構447による基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に移動させる遮蔽機構460を備える。遮蔽機構460は、基板ホルダ440に取り付けられたカム部材461を備える。カム部材461は、シールリングホルダ442の上面に取り付けられた円板カム462を含む。遮蔽機構460は、カム部材461(円板カム462)の突起462aに押圧されることに応じて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に押し出す従動節470を備える。
【0024】
従動節470は、円板カム462の突起462aに押圧されて基板ホルダ440から遠ざかる方向に移動するフォロワ473を備える。めっき槽410の上部の外壁面には基台472が取り付けられており、フォロワ473は、シャフト448を中心とした放射方向に往復移動可能に基台472に支持されている。フォロワ473は、シャフト448を中心とした放射方向に伸びる棒状の部材である。フォロワ473の一方の端部には、シャフト448の回転軸と平行な軸の周りに回転する第1のローラ471が取り付けられている。フォロワ473の他方の端部には、シャフト448の回転軸の方向およびシャフト448を中心とした放射方向の両方と垂直な軸の周りに回転可能な第2のローラ475が取り付けられている。
【0025】
従動節470は、フォロワ473からの押圧に応じて回転して遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に押し出すリンク474を備える。リンク474は棒状の部材であり、基台472に設けられた回転軸476周りに回転可能に基台472に支持されている。回転軸476は、第2のローラ475の回転軸と平行な回転軸である。リンク474は、リンク474の回転軸476を挟んだ一方の側が第2のローラ475と接触できるように基台472に支持されている。リンク474の回転軸476を挟んだ他方の側の端部には、第2のローラ475の回転軸と平行な軸の周りに回転可能な第3のローラ478が取り付けられている。リンク474は、第3のローラ478が遮蔽部材482のフランジ484と接触できるように基台472に支持されている。
【0026】
従動節470は、遮蔽部材482がリンク474によって押し出されていないときに遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間から遠ざかる方向に押し戻す押圧部材479を備える。押圧部材479は、例えば一方の端部がめっき槽410の外壁に取り付けられ、他方の端部が遮蔽部材482のフランジ484に取り付けられた圧縮コイルばねであるが、これに限定されない。
【0027】
次に、遮蔽機構460による遮蔽部材482の動作について説明する。
図3および
図4に示すように円板カム462の突起462aが第1のローラ471を押圧していないときには、押圧部材479の付勢力によってフランジ484がめっき槽410から遠ざかる方向に押圧される。これにより、遮蔽部材482はアノード430と基板Wfとの間から退避した位置に移動する。また、フランジ484がめっき槽410から遠ざかる方向に押圧
されると、フランジ484が第3のローラ478を押圧することによってリンク474は反時計回りに回転する。すると、リンク474の回転軸476を挟んだ一方の側が第2のローラ475をシャフト448の中心に向かって押圧する。これによりフォロワ473はシャフト448の中心に向かって移動する。
【0028】
図5は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
図6は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
図5および
図6に示すように、基板ホルダ440が回転して所定の回転角度の範囲内にあるときに、円板カム462の突起462aが第1のローラ471を押圧し、これにより第1のローラ471はシャフト448の中心から遠ざかる方向に移動する。これにともない、フォロワ473はシャフト448の中心から遠ざかる方向に移動し、第2のローラ475がリンク474の回転軸476を挟んだ一方の側を押圧する。これによりリンク474は時計回りに回転し、第3のローラ478が押圧部材479の付勢力に抗してフランジ484をめっき槽410に近づく方向に押圧する。その結果、遮蔽部材482はアノード430と基板Wfとの間に押し出される。基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲を超えて回転すると、
図3および
図4を用いて説明したように、遮蔽部材482はアノード430と基板Wfとの間から退避した位置に移動する。
【0029】
次に、基板の非パターン領域と遮蔽部材との関係について説明する。
図7は、基板の非パターン領域と遮蔽部材との関係を示す上面図である。
図7Aは、基板のパターン領域と非パターン領域とを示す上面図である。
図7Bは、遮蔽部材が覆う基板の領域を示す上面図である。
図7Aは、
図5および
図6に示したように基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲内にある状態を基板Wfの被めっき面Wf-a側から見た図であり、遮蔽部材482は図示を省略している。
図7Bは、
図5および
図6に示したように遮蔽部材482がアノード430と基板Wfとの間に押し出された状態を基板Wfの被めっき面Wf-a側から見た図である。
【0030】
図7Aに示すように、基板WfはノッチWf-n(切り欠き)を有する。基板Wfは、ノッチWf-nと円板カム462の突起462aとが、同じ回転角度になるように基板ホルダ440に設置される。また、基板Wfの被めっき面Wf-aは、回路などのパターンが形成されたパターン領域Wf-bと、ノッチWf-nの周囲の回路などのパターンが形成されない非パターン領域Wf-cと、を有する。
図7Bに示すように、遮蔽機構460は、基板WfのノッチWf-nが所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材482をアノード430と基板WfのノッチWf-nとの間に押し出すように構成される。遮蔽部材482は、遮蔽機構460によってアノード430と基板WfのノッチWf-nとの間に押し出されたときにノッチWf-nおよびノッチWf-nの周囲の非パターン領域Wf-cを覆うように構成される。なお、本実施形態では、基板Wfの特定の部位として、ノッチWf-nまたは非パターン領域Wf-cを例に挙げて説明したが、基板Wfの特定の部位はこれらに限定されない。また、本実施形態では、ノッチWf-nの周囲の特定の領域として、非パターン領域Wf-cを例に挙げて説明したが、ノッチWf-nの周囲の特定の領域はこれに限定されない。
【0031】
本実施形態によれば、遮蔽部材482が常にアノード430と基板Wfとの間に配置されているのではなく、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に移動させる遮蔽機構460を備えている。したがって、遮蔽部材482によって覆うべき基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができる。例えば、基板Wfの特定の部位がノッチWf-nの周囲の非パターン領域Wf-cである場合には、ノッチWf-nおよびノッチWf-nの周囲の非パターン領域Wf-cを所望のタイミングで遮蔽することができる。非パターン領域Wf-cは、パターン領域W
f-bとは異なり基板Wfがむき出しになっているため、非パターン領域Wf-cに電界が集中し、その結果、パターン領域Wf-bのめっき膜厚が不均一になる場合がある。これに対して、本実施形態では、所望のタイミングで非パターン領域Wf-cを遮蔽部材482で覆うことができるので、非パターン領域Wf-cにおける電界集中を適切に抑制し、その結果、パターン領域Wf-bのめっき膜厚を均一化することができる。なお、本実施形態ではノッチWf-nおよびノッチWf-nの周囲の非パターン領域を遮蔽部材482によって覆う例を示したが、これに限定されず、基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで覆うことができる。
【0032】
また、本実施形態では円板カム462の突起462aが1つ設けられる例を示したが、これに限定されず、例えば基板Wfの特定の部位が基板Wfの周方向に沿って複数存在する場合には、基板Wfの特定の部位の配置に応じて円板カム462の突起462aを複数設けてもよい。また、本実施形態では、1つの遮蔽機構460が設けられる例を示したが、これに限定されず、めっき槽410の周方向に沿って複数の遮蔽機構460を設けてもよい。これにより、基板Wfの特定の部位が異なる複数の所定の回転角度の範囲内にあるときに基板Wfの特定の部位を遮蔽部材482によって覆うことができる。例えばパターン領域Wf-bのめっき膜厚が均一になるように遮蔽機構460の数量および配置角度を調整してもよい。
【0033】
図8は、一実施形態の円板カムの構造を示す上面図である。上記の実施形態では、円板カム462が一体構成で作成される例を示したが、これに限定されない。
図8に示すように、円板カム462は、基板ホルダ440(シールリングホルダ442)に取り付けられる本体部材463と、本体部材463に着脱可能に取り付けられる突起部材464と、を含んで構成されてもよい。
図8に示すように、突起部材464は、第1の突起部材464-1と、第1の突起部材464-1とは形状が異なる第2の突起部材464-2と、を含む。
図8の実施形態によれば、異なる種類の基板に対して突起部材464を交換することができる。第1の突起部材464-1と第2の突起部材464-2は突起サイズが異なるので、遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に移動させる量を異ならせることができる。したがって、例えば基板Wfの特定の部位のサイズが異なる場合に、遮蔽機構460を交換したり円板カム462全体を交換したりするのではなく、突起部材464のみを交換すればよいので、複数種類の基板に対して迅速に対応することができる。
【0034】
次に、本実施形態のめっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図9は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。なお、以下のめっき方法は、円板カム462の本体部材463に対して突起部材464が取り付けられていない状態で開始されるものとする。
【0035】
本実施形態のめっき方法においては、まず、異なる突起サイズを有する円板カム462の複数の突起部材(例えば第1の突起部材464-1と第2の突起部材464-2)のうち基板ホルダ440に保持される基板Wfの種類に対応する突起部材を選択して円板カム462の本体部材463に取り付ける(ステップ101)。ここでは第1の突起部材464-1が本体部材463に取り付けられたものとする。続いて、めっき方法は、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ102)。ステップ102は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0036】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ103)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させる(回転ステップ104)。
【0037】
めっき方法は、回転ステップ104による基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に移動させる(遮蔽ステップ105)。遮蔽ステップ105は、遮蔽機構460によって実行することができる。遮蔽ステップ105の詳細は後述する。続いて、めっき方法は、回転ステップ104および遮蔽ステップ105を継続しながら、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ106)。
【0038】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ107)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ107,No)、回転ステップ106に戻って処理を継続する。
【0039】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ107,Yes)、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ108)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させて(ステップ109)、めっき処理を終了する。
【0040】
次に、遮蔽ステップ105の詳細を説明する。
図10は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。遮蔽ステップ105は、基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲内にあるとき、具体的には基板WfのノッチWf-nが所定角度範囲内に回転したときに、基板ホルダ440に取り付けられた円板カム462の第1の突起部材464-1によってフォロワ473を基板ホルダ440から遠ざかる方向に移動させる(ステップ105-1)。
【0041】
続いて、遮蔽ステップ105は、フォロワ473からの押圧に応じてリンク474を回転させて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間、具体的にはアノード430と基板WfのノッチWf-nとの間に押し出す(ステップ105-2)。これにより、ノッチWf-nおよびノッチWf-nの周囲の非パターン領域Wf-cは遮蔽部材482によって覆われる。続いて、遮蔽ステップ105は、遮蔽部材482がアノード430と基板Wfとの間に押し出されていないとき、すなわち基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲外に回転したときに、押圧部材479によって遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間から遠ざかる方向に押し戻す(ステップ105-3)。遮蔽ステップ105は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させている間は、ステップ105-1からステップ105-3を繰り返す。
【0042】
本実施形態のめっき方法によれば、遮蔽部材482が常にアノード430と基板Wfとの間に配置されているのではなく、遮蔽ステップ105によって、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材482をアノード430と基板Wfとの間に移動させる。したがって、遮蔽部材482によって覆うべき基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができる。
【0043】
次に、めっきモジュール400の他の実施形態を説明する。
図11は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
図12は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
図3~
図10で示した実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0044】
図11および
図12に示すように、めっきモジュール400は、遮蔽部材481を移動させるための遮蔽機構485を備える。遮蔽機構485は、制御モジュール800から入力される基板ホルダ440の回転角度に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される。具体的には、遮蔽機構485は、基板Wfの非パターン領域などの特定の部位が所定角度範囲外にあるときは、遮蔽部材481を、
図11に示すようにアノード430と基板Wfとの間から離れた位置(以下、適宜「退避位置」という。)に移動させるように構成される。また、遮蔽機構485は、基板Wfの特定の部位が所定角度範囲内にあるときは、遮蔽部材481を、
図12に示すようにアノード430と基板Wfとの間の位置(以下、適宜「遮蔽位置」という。)に移動させるように構成される。すなわち、遮蔽機構485は、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を退避位置と遮蔽位置との間で直動させるように構成される。以下、遮蔽機構485の具体例を説明する。
【0045】
図13は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図14は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図15は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図15(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図15(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0046】
図13~
図15に示すように、遮蔽機構485は、カム部材487と、カム部材487を回転させるように構成された回転駆動機構486と、カム部材487の回転に伴って遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成された従動部材488と、を備える。回転駆動機構486は、例えば回転モータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0047】
カム部材487は、回転駆動機構486によって回転するように構成されたカム本体487bと、カム本体487bに取り付けられたロータ487aと、を有する。ロータ487aは、回転駆動機構486の回転軸に対して偏心した位置でカム本体487bに取り付けられている。
【0048】
従動部材488は、台座490-1上に配置された従動スライダ489と、従動スライダ489を案内するように構成された直動ガイド490-2を備える。台座490-1の上面には、遮蔽部材481の遮蔽位置と退避位置との間の直動方向と同じ方向に沿って溝490-1aが形成されている。従動スライダ489は、溝490-1aに配置された直動ガイド490-2を介して台座490-1上に配置されている。直動ガイド490-2は、従動スライダ489を溝490-1aに沿って案内するように構成されている。これにより、従動スライダ489は、溝490-1aの方向に往復移動可能になっている。従動スライダ489は、カム部材487を挟んで回転駆動機構486と対向して配置されている。従動スライダ489の回転駆動機構486との対向面には、鉛直方向に沿ってカム溝489aが形成されている。カム溝489aにはカム部材487のロータ487aが嵌め込まれている。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介して従動スライダ489に取り付けられている。
【0049】
回転駆動機構486がカム部材487(カム本体487b)を回転させると、ロータ487aは回転駆動機構486の回転軸のまわりに回転する。このときロータ487aはカム溝489aの側面を押圧する。これにより、従動スライダ489は、溝490-1aに沿って移動する。
図13および
図14に示す状態(退避位置)からカム部材487を半回転(180°回転)させると、従動スライダ489は遮蔽部材481を遮蔽位置へ移動させる。この状態からカム部材487をさらに半回転(180°回転)させると、従動スライダ489は遮蔽部材481を退避位置へ移動させる。すなわち、従動スライダ489は
、カム部材487の回転に伴って溝490-1aに沿って往復運動することによって、遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させることができる。
【0050】
回転駆動機構486は、基板ホルダ440の回転角度に応じてカム部材487を回転させるように構成されている。すなわち、上述の実施形態と同様に、回転駆動機構486は、例えば基板Wfの非パターン領域などの特定の部位が所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すようにカム部材487を回転させることができる。これにより、基板Wfの非パターン領域などの特定の部位を遮蔽部材481で覆うことができる。また、回転駆動機構486は、非パターン領域が所定角度範囲外に回転したときに遮蔽部材481を退避位置に戻すようにカム部材487を回転させることができる。本実施形態によれば、常に非パターン領域を遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで非パターン領域を遮蔽部材481で覆うことができるので、非パターン領域における電界集中を適切に抑制し、その結果、パターン領域のめっき膜厚を均一化することができる。
【0051】
また、
図15等に示すように、遮蔽部材481は、円板形状の基板Wfの周縁部の一部に対応する円弧形状を有するマスク部材481aを有する。非パターン領域は基板Wfの周縁部に円弧状に形成される場合があるので、円弧形状のマスク部材481aを用いて基板Wfの非パターン領域を覆うことによって、非パターン領域のみを適切に覆うことができる。この点は以下の実施形態でも同様である。
【0052】
図16は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図17は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図18は、一実施形態の遮蔽機構の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
図19は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図19(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図19(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0053】
図16~
図19に示すように、遮蔽機構485は、第1のプーリ492-1および第2のプーリ492-2に巻き付けられたベルト492と、第1のプーリ492-1を回転させることによってベルト492を回転させるように構成された回転駆動機構491と、を備える。回転駆動機構491は、例えば回転モータなどの公知の機構によって実現することができる。また、遮蔽機構485は、第2のプーリ492-2に連結されたカム部材の一形態である偏心カム部材493を備える。偏心カム部材493は、第2のプーリ492-2の回転に伴って回転軸493aのまわりに回転するように構成されている。遮蔽機構485は、偏心カム部材493の突起493bに押圧されることに応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材の一形態である従動カム部材494を備える。具体的には、従動カム部材494にはブラケット495-1が取り付けられており、ブラケット495-1には水平方向に伸びるシャフト495-2が取り付けられている。シャフト495には直動ガイド496が取り付けられている。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介してシャフト495に取り付けられている。
【0054】
これにより、
図19(b)に示すように、偏心カム部材493が回転して従動カム部材494が偏心カム部材493の突起493bによって第1の方向に押圧されると、シャフト495およびブラケット483を介して遮蔽部材481が遮蔽位置に押し出される。一方、従動カム部材494は、偏心カム部材493の突起493bによって押圧されていないときには、第1の方向とは反対の第2の方向に押し戻されるように構成されている。これにより、
図19(a)に示すように、偏心カム部材493がさらに回転して偏心カム部材493の突起493bによる従動カム部材494の押圧が解除されれば、遮蔽部材481が退避位置に押し戻される。
【0055】
回転駆動機構491は、基板ホルダ440の回転角度に応じて第1のプーリ492-1を回転させるように構成されている。すなわち、上述の実施形態と同様に、回転駆動機構491は、例えば基板Wfの非パターン領域などの特定の部位が所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように第1のプーリ492-1を回転させることができる。これにより、基板Wfの非パターン領域などの特定の部位を遮蔽部材481で覆うことができる。また、回転駆動機構491は、非パターン領域が所定角度範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に戻るように第1のプーリ492-1を回転させることができる。本実施形態によれば、常に非パターン領域を遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで非パターン領域を遮蔽部材481で覆うことができるので、非パターン領域における電界集中を適切に抑制し、その結果、パターン領域のめっき膜厚を均一化することができる。
【0056】
図20は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図21は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図21(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図21(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0057】
図20および
図21に示すように、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成された直動駆動機構497を備える。具体的には、直動駆動機構497は、直動駆動機構497の駆動に応じて水平方向に往復運動するように構成されたスライダ497aを備える。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介してスライダ497aに取り付けられている。直動駆動機構497を駆動することによって遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させることができる。直動駆動機構497は、例えば直動モータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0058】
直動駆動機構497は、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成される。すなわち、上述の実施形態と同様に、直動駆動機構497は、例えば基板Wfの非パターン領域などの特定の部位が所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように構成される。これにより、基板Wfの非パターン領域などの特定の部位を遮蔽部材481で覆うことができる。また、直動駆動機構497は、非パターン領域が所定角度範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に戻すように構成される。本実施形態によれば、常に非パターン領域を遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで非パターン領域を遮蔽部材481で覆うことができるので、非パターン領域における電界集中を適切に抑制し、その結果、パターン領域のめっき膜厚を均一化することができる。
【0059】
次に、
図11~
図21に示しためっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図22は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【0060】
本実施形態のめっき方法においては、まず、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ201)。ステップ201は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0061】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ202)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させる(回転ステップ203)。
【0062】
めっき方法は、回転ステップ203による基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に移動させる(遮蔽ステップ204)。遮蔽ステップ204は、遮蔽機構485によって実行することができる。遮蔽ステップ204の詳細は後述する。続いて、めっき方法は、回転ステップ203および遮蔽ステップ204を継続しながら、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ205)。なお、本実施例でのめっき処理(めっきステップ205)は、めっき槽410内のめっき液に基板が浸漬された後にめっき処理を行っているが、めっき処理(めっきステップ205)はめっき槽410内のめっき液に基板の少なくとも一部が浸漬された時点から行っても良い。
【0063】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ206)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ206,No)、めっきステップ205に戻って処理を継続する。
【0064】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ206,Yes)、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ207)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させて(ステップ208)、めっき処理を終了する。
【0065】
次に、遮蔽ステップ204の詳細を説明する。
図23は、
図13~
図15の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。基板Wfの非パターン領域が所定の回転角度の範囲外にあるときには、回転駆動機構486は停止しており、
図15(a)に示すように遮蔽部材481は退避位置にあるものとする。遮蔽ステップ204は、基板Wfの非パターン領域が所定角度範囲内に回転したら、回転駆動機構486を用いてカム部材487を回転させる(ステップ204-1)。
【0066】
これにより、遮蔽ステップ204は、カム部材487の回転に伴ってロータ487aがカム溝489aの側面を押圧することにより、
図15(b)に示すように、従動スライダ489を第1の方向に移動させて遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す(ステップ204-2)。これにより、基板Wfの非パターン領域は遮蔽部材481によって覆われる。続いて、遮蔽ステップ204は、カム部材487を
図15(b)に示す状態からさらに回転させることにより、
図15(a)に示すように従動スライダ489を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させて遮蔽部材481を退避位置に押し戻す(ステップ204-3)。遮蔽ステップ204は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させている間は、ステップ204-1からステップ204-3を繰り返す。なお、説明の便宜上、ステップ204-2とステップ204-3を別ステップとしたが、これらの2つのステップはカム部材487を一回転(360°回転)させることによって実現される。また、回転駆動機構486の回転速度は、基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に押し戻されるように調整されている。
【0067】
本実施形態のめっき方法によれば、遮蔽部材481が常に遮蔽位置に配置されているのではなく、遮蔽ステップ204によって、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる。したがって、遮蔽部材481によって覆うべき基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができる。
【0068】
図24は、
図16~
図19の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における
遮蔽ステップのフローチャートである。基板Wfの非パターン領域が所定の回転角度の範囲外にあるときには、回転駆動機構491は停止しており、
図19(a)に示すように遮蔽部材481は退避位置にあるものとする。遮蔽ステップ204は、基板Wfの非パターン領域が所定角度範囲内に回転したら、回転駆動機構491を用いて第1のプーリ492-1を回転させることにより偏心カム部材493を回転させる(ステップ204-4)。
【0069】
これにより、遮蔽ステップ204は、偏心カム部材493の突起493bが従動カム部材494を第1の方向に押圧して移動させることにより、
図19(b)に示すように、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す(ステップ204-5)。これにより、基板Wfの非パターン領域は遮蔽部材481によって覆われる。続いて、遮蔽ステップ204は、偏心カム部材493を
図19(b)に示す状態からさらに回転させることにより、突起493bによる従動カム部材494の押圧を解除して従動スライダ489を第1の方向とは反対の第2の方向へ移動させて、遮蔽部材481を
図19(a)に示す退避位置に押し戻す(ステップ204-6)。遮蔽ステップ204は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させている間は、ステップ204-4からステップ204-6を繰り返す。なお、説明の便宜上、ステップ204-5とステップ204-6を別ステップとしたが、これらの2つのステップは偏心カム部材493の一回転(360°回転)によって実現される。また、回転駆動機構491の回転速度は、基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に押し戻されるように調整されている。
【0070】
本実施形態のめっき方法によれば、遮蔽部材481が常に遮蔽位置に配置されているのではなく、遮蔽ステップ204によって、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる。したがって、遮蔽部材481によって覆うべき基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができる。
【0071】
図25は、
図20および
図21の実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法における遮蔽ステップのフローチャートである。基板Wfの非パターン領域が所定の回転角度の範囲外にあるときには、直動駆動機構497は停止しており、
図21(a)に示すように遮蔽部材481は退避位置にあるものとする。遮蔽ステップ204は、基板Wfの非パターン領域が所定角度範囲内に回転したら、直動駆動機構497を駆動する(ステップ204-7)。
【0072】
これにより、遮蔽ステップ204は、スライダ497aを第1の方向に移動させることにより、
図21(b)に示すように、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す(ステップ204-8)。これにより、基板Wfの非パターン領域は遮蔽部材481によって覆われる。続いて、遮蔽ステップ204は、直動駆動機構497をさらに駆動してスライダ497aを第1の方向とは反対の第2の方向に移動させることにより、遮蔽部材481を
図21(a)に示す退避位置に押し戻す(ステップ204-9)。遮蔽ステップ204は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させている間は、ステップ204-7からステップ204-9を繰り返す。また、直動駆動機構497の駆動速度は、基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に押し戻されるように調整されている。
【0073】
本実施形態のめっき方法によれば、遮蔽部材481が常に遮蔽位置に配置されているのではなく、遮蔽ステップ204によって、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる。したがって、遮蔽部材481によって覆うべき基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができる。
【0074】
次に、めっきモジュール400の他の実施形態を説明する。
図26は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図3~
図25で示した実施形態と
同様の構成については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0075】
図26に示すように、めっきモジュール400は、基板Wfのめっき膜厚を測定するように構成された膜厚センサ498と、膜厚センサ498によって測定された基板Wfのめっき膜厚に基づいて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させるように構成された遮蔽機構499と、を備える。遮蔽機構499は、制御モジュール800から入力される基板Wfのめっき膜厚に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される。遮蔽機構499は、
図13~
図21で示した遮蔽機構485のいずれかと同様の構造を有し得る。
【0076】
膜厚センサ498は、基板Wfの被めっき面の周縁部のめっき膜厚を測定するように構成されている。膜厚センサ498は、基板Wfの周縁部に対向配置されるように抵抗体450に取り付けられている。膜厚センサ498は、基板Wfが一回転する間に周縁部を走査してめっき膜厚を測定することができる。ただし、膜厚センサ498は、基板Wfの被めっき面の全体のめっき膜厚を測定するように構成されていてもよい。膜厚センサ498は、一例として、膜厚センサ498と基板Wf(めっき膜)との距離を計測する距離センサ、または基板Wfの被めっき面の変位を計測する変位センサを採用することができる。また、膜厚センサ498としては、めっき膜厚の形成速度を推定するためのセンサが採用されてもよい。膜厚センサ498としては、例えば、白色共焦点式などの光学センサ、電位センサ、磁場センサ、または渦電流式センサを用いることができる。
【0077】
遮蔽機構499は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚が均一になるように遮蔽部材481を退避位置と遮蔽位置との間で直動させるように構成される。具体的には、遮蔽機構499は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布において他の領域と比べてめっき膜厚が厚い領域がある場合には、めっき膜厚が厚い領域が所定角度範囲外にあるときに遮蔽部材481を退避位置に移動させるように構成される。また、遮蔽機構499は、めっき膜厚が厚い領域が所定角度範囲内にあるときに遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfのめっき膜厚が厚い領域を遮蔽部材481で覆うことができるので、基板Wfの周縁部のめっき膜厚を均一化することができる。
【0078】
次に、
図26に示しためっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図27は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【0079】
本実施形態のめっき方法においては、まず、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ301)。ステップ301は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0080】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ302)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を回転させる(回転ステップ303)。
【0081】
続いて、めっき方法は、膜厚センサ498によって基板Wfの周縁部のめっき膜厚を測定する(測定ステップ304)。続いて、めっき方法は、測定ステップ304による基板Wfの周縁部のめっき膜厚に基づいて遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に移動させる(遮蔽ステップ305)。遮蔽ステップ305は、遮蔽機構499によって実行することができる。遮蔽ステップ305は、具体的には、めっき膜厚が厚い領域が所定角度範囲内にあるときに遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させ、めっき膜厚が厚い領域が所定角度範囲外にあるときに遮蔽部材481を退避位置に移動させる。
【0082】
続いて、めっき方法は、回転ステップ303~遮蔽ステップ305を継続しながら、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ306)。なお、本実施例でのめっき処理(めっきステップ306)は、めっき槽410内のめっき液に基板が浸漬された後にめっき処理を行っているが、めっき処理(めっきステップ306)はめっき槽410内のめっき液に基板の少なくとも一部が浸漬された時点から行っても良い。
【0083】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ307)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ307,No)、めっきステップ306に戻って処理を継続する。
【0084】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ307,Yes)、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ308)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させて(ステップ309)、めっき処理を終了する。
【0085】
本実施形態のめっき方法によれば、基板Wfのめっき膜厚が厚い領域を遮蔽部材481で覆うことができるので、基板Wfの周縁部のめっき膜厚を均一化することができる。
【0086】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0087】
本願は、一実施形態として、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、を含み、前記遮蔽機構は、カム部材と、前記カム部材を回転させるように構成された回転駆動機構と、前記カム部材の回転に伴って前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材と、を含む、めっき装置を開示する。
【0088】
さらに、本願は、一実施形態として、前記カム部材は、前記回転駆動機構によって回転するように構成されたカム本体と、前記カム本体に取り付けられたロータと、を有し、前記従動部材は、前記ロータが嵌め込まれるカム溝を有する従動スライダであって、前記カム本体の回転に伴う前記ロータからの押圧によって、前記遮蔽部材を、前記遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された、従動スライダを含む、めっき装置を開示する。
【0089】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、第1のプーリおよび第2のプーリに巻き付けられたベルトをさらに含み、前記カム部材は、前記第2のプーリに連結された偏心カム部材を含み、前記回転駆動機構は、前記第1のプーリを回転させることによって前記偏心カム部材を回転させるように構成され、前記従動部材は、前記偏心カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に押し出すように構成された従動カム部材を含む、めっき装置を開示する。
【0090】
さらに、本願は、一実施形態として、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、を含み、前記遮蔽機構は、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された直動駆動機構を含む、めっき装置を開示する。
【0091】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽部材は、円板形状の基板の周縁部の一部に対応する円弧形状を有するマスク部材を有する、めっき装置を開示する。
【0092】
さらに、本願は、一実施形態として、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを回転させるための回転機構と、前記基板のめっき膜厚を測定するように構成された膜厚センサと、前記膜厚センサによって測定された前記基板のめっき膜厚に基づいて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に移動させるように構成された遮蔽機構と、を含む、めっき装置を開示する。
【0093】
さらに、本願は、一実施形態として、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に降下させる降下ステップと、前記基板ホルダを回転させる回転ステップと、前記基板のめっき膜厚を測定する測定ステップと、前記測定ステップによる前記基板のめっき膜厚に基づいて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽ステップと、前記めっき槽内に配置されたアノードと前記基板ホルダに保持された基板との間に電圧を印加することによって前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、を含む、めっき方法を開示する。
【符号の説明】
【0094】
400 めっきモジュール
410 めっき槽
430 アノード
440 基板ホルダ
442 シールリングホルダ
443 昇降機構
444 バックプレート
446 フレーム
447 回転機構
448 シャフト
450 抵抗体
460 遮蔽機構
461 カム部材
462 円板カム
462a 突起
463 本体部材
464 突起部材
464-1 第1の突起部材
464-2 第2の突起部材
470 従動節
471 第1のローラ
472 基台
473 フォロワ
474 リンク
475 第2のローラ
476 回転軸
478 第3のローラ
479 押圧部材
481 遮蔽部材
481a マスク部材
482 遮蔽部材
484 フランジ
485 遮蔽機構
486 回転駆動機構
487 カム部材
487a ロータ
487b カム本体
488 従動部材
489 従動スライダ
489a カム溝
491 回転駆動機構
492 ベルト
492-1 第1のプーリ
492-2 第2のプーリ
493 偏心カム部材
493b 突起
494 従動カム部材
497 直動駆動機構
498 膜厚センサ
499 遮蔽機構
1000 めっき装置
Wf 基板
Wf-a 被めっき面
Wf-b パターン領域
Wf-c 非パターン領域
Wf-n ノッチ