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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】吸収性物品の包装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220902BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20220902BHJP
   A61F 13/476 20060101ALI20220902BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/475 112
A61F13/476
A61F13/532 200
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018108172
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019208924
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 菜緒子
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 俊幸
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-45608(JP,A)
【文献】特開2008-246093(JP,A)
【文献】特開2012-125366(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076239(WO,A1)
【文献】特開2011-120650(JP,A)
【文献】特開2014-230571(JP,A)
【文献】特開2013-81718(JP,A)
【文献】特開2013-121462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品は、
本体部と、
前記本体部よりも幅方向の外側に延出する一対のフラップ部と、
前記フラップ部の非肌対向面側にそれぞれ配置され、前記フラップ部を下着に止める粘着剤を有する一対のフラップ粘着部と、
前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態で、前記フラップ粘着部を覆うフラップ剥離シートと、を備え、
前記包装体は、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態で、前記包装体の前後方向の外端縁である第1端縁が幅方向に延びる第1折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれるとともに、前記第1折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態で、前記幅方向に延びかつ前記第1端縁と反対側の第2端縁側に位置する第2折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれ、
前記フラップ粘着部及び前記フラップ剥離シートの少なくとも一部は、前記第2折り目よりも前記吸収性物品の前記第2端縁側に配置され、
前記第2折り目を基点に折り畳まれた第3折り状態で、前記包装シートと前記フラップ剥離シートが向き合う領域において前記包装シートと前記フラップ剥離シートを接合するフラップ固定部を有し、
前記本体部は、吸収コアと、前記吸収コアの肌対向面側に位置する表面シートと、前記表面シートの肌対向面側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有し、
前記防漏ギャザーは、防漏弾性部材の収縮によって起立する収縮部と、前記収縮部の立ち上がりの基点となる基点部と、有し、
前記基点部は、前記収縮部よりも幅方向の外側に位置する第1基点部を有し、
前記収縮部は、前記第1基点部から前記幅方向の内側に延びる延出部と、前記延出部の内側縁を基点にして前記幅方向の外側に折り返された折り返し部と、を有し、
前記折り返し部は、前記防漏弾性部材を有し、かつ前記フラップ部から幅方向に延びるフラップ域において前記延出部に対して起立可能に構成されており、
前記折り返し部の外側縁は、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されており、
前記防漏弾性部材は、前記第1折り状態において、前記フラップ剥離シートよりも幅方向の外側に配置されている、吸収性物品の包装体。
【請求項2】
包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品は、
本体部と、
前記本体部よりも幅方向の外側に延出する一対のフラップ部と、
前記フラップ部の非肌対向面側にそれぞれ配置され、前記フラップ部を下着に止める粘着剤を有する一対のフラップ粘着部と、
前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態で、前記フラップ粘着部を覆うフラップ剥離シートと、を備え、
前記包装体は、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態で、前記包装体の前後方向の外端縁である第1端縁が幅方向に延びる第1折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれるとともに、前記第1折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態で、前記幅方向に延びかつ前記第1端縁と反対側の第2端縁側に位置する第2折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれ、
前記フラップ粘着部及び前記フラップ剥離シートの少なくとも一部は、前記第2折り目よりも前記吸収性物品の前記第2端縁側に配置され、
前記第2折り目を基点に折り畳まれた第3折り状態で、前記包装シートと前記フラップ剥離シートが向き合う領域において前記包装シートと前記フラップ剥離シートを接合するフラップ固定部を有し、
前記本体部は、吸収コアと、前記吸収コアの肌対向面側に位置する表面シートと、前記表面シートの肌対向面側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有し、
前記防漏ギャザーは、防漏弾性部材の収縮によって起立する収縮部と、前記収縮部の立ち上がりの基点となる基点部と、有し、
前記基点部は、前記収縮部よりも幅方向の外側に位置する第1基点部と、前記収縮部よりも前記前後方向の外側に位置する第2基点部と、を有し、
前記収縮部は、前記第1基点部から前記幅方向の内側に延びる延出部と、前記延出部の内側縁を基点にして前記幅方向の外側に折り返された折り返し部と、を有し、
前記折り返し部は、前記防漏弾性部材を有し、かつ前記フラップ部から幅方向に延びるフラップ域において前記延出部に対して起立可能に構成されており、
前記折り返し部の外側縁は、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されており、
前記防漏ギャザーの前記第2基点部と重なる領域には、前記折り返し部と前記延出部を接合する防漏接合部と、前記防漏接合部よりも前記幅方向の外側に位置し、かつ前記折り返し部と前記延出部が接合されずに重なる防漏非接合部と、が設けられており、
前記防漏非接合部は、前記折り返し部の外側縁に到達しており、
前記防漏非接合部には、前記防漏弾性部材が配置されている、吸収性物品の包装体。
【請求項3】
前記防漏接合部の外側縁は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されている、請求項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項4】
前記第1基点部の内側縁は、前記フラップ域において、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項5】
前記基点部は、前記収縮部よりも前記前後方向の外側に位置する第2基点部を有し、
前記第2基点部の内側縁は、前記吸収コアに重なる領域に配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項6】
前記フラップ粘着部は、前記フラップ部を本体部の肌対向面側に折り畳むフラップ折り目と前記幅方向において離間している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項7】
前記フラップ固定部は、厚さ方向において、前記一対のフラップ粘着部の間の領域に重なっており、前記フラップ粘着部と離間している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項8】
前記包装体の展開状態において、前記フラップ部の前記幅方向の中心よりも内側の領域
における前記フラップ粘着部の面積は、前記フラップ部の前記幅方向の中心よりも外側の領域における前記フラップ粘着部の面積よりも大きい、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項9】
前記吸収コアには、前記フラップ域において、周囲よりも吸収材料の目付が低い低目付
部が設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項10】
前記低目付部は、厚さ方向において、前記一対のフラップ粘着部の間の領域に重なっている、請求項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項11】
前記本体部の非肌対向面側に配置され、前記本体部を下着に止める粘着剤を有する本体粘着部を有し、
前記低目付部は、前記包装体の展開状態において、前記本体粘着部及び前記フラップ粘着部に重ならない領域に設けられている、請求項9又は請求項10に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項12】
前記フラップ域において、前記延出部の内側縁は、前記吸収コアに重なっている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体が開示されている。特許文献1の吸収性物品は、本体部と、本体部よりも幅方向の外側に延出したフラップ部と、を有する。吸収性物品の包装体は、フラップ部が本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態でフラップ粘着部を覆うフラップ剥離シートと、吸収性物品の非肌対向面側に位置し、吸収性物品を内包する包装シートと、を有する。
【0003】
特許文献1の吸収性物品の包装体は、フラップ部が本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態で、幅方向に延びる第1折り目を基点によって折り畳まれるとともに、第1折り目を基点に折り畳まれた状態で、幅方向に延び、かつ第1折り目よりも前側に位置する第2折り目を基点に折り畳まれる。第2折り目を基点に折り畳まれた状態で、包装シートとフラップ剥離シートが向き合う領域において、包装シートとフラップ剥離シートが接合されている。
【0004】
吸収性物品の包装体は、第2折り目を基点に折り畳まれた状態で、幅方向に延び、かつ第2折り目よりも前側に位置する第3折り目を基点に折り畳まれる。第3折り目を基点に折り畳まれた状態で、包装シートの前端縁は、包装シートの第1折り目と第2折り目の間の領域の非肌対向面側に、タグテープによって止着されている。
【0005】
特許文献1の吸収性物品の包装体を展開する際は、タグテープの摘み部を摘んで吸収性物品の前側部分を展開し、次いで吸収性物品の前端部分を摘んで展開方向に引っ張ることにより、本体剥離シートを本体粘着部から剥離すると同時に、フラップ剥離シートをフラップ粘着部から剥離させる(特許文献1の段落0046)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-45608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
吸収性物品の包装体を展開する際は、タグテープ等の包装体の前端部付近を掴んで、包装シートを展開方向に引っ張り、吸収性物品を展開させつつ包装シートとともにフラップ剥離シートを引っ張る。しかし、フラップ剥離シートがフラップ粘着部に接しているため、フラップ部は、フラップ粘着部を介してフラップ剥離シートに追従するように変形し易い。フラップ部がフラップ剥離シートに追従すると、フラップ部がよれ、フラップ粘着部が意図せずに接着し、吸収性物品の使用時に適切にフラップ粘着部を使用できないことがあった。
【0008】
そこで、フラップ剥離シートを包装シートとともに引っ張って、フラップ剥離シートをフラップ粘着部から剥離する吸収性物品の包装体において、フラップ粘着部が意図せずに接着する不具合を抑制できる吸収性物品の包装体が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
吸収性物品の包装体は、包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体である。前記吸収性物品は、本体部と、前記本体部よりも幅方向の外側に延出する一対のフラップ部と、前記フラップ部の非肌対向面側にそれぞれ配置され、前記フラップ部を下着に止める粘着剤を有する一対のフラップ粘着部と、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態で、前記フラップ粘着部を覆うフラップ剥離シートと、を備える。前記包装体は、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態で、前記包装体の前後方向の外端縁である第1端縁が幅方向に延びる第1折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれるとともに、前記第1折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態で、前記幅方向に延びかつ前記第1端縁と反対側の第2端縁側に位置する第2折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれる。前記フラップ粘着部及び前記フラップ剥離シートの少なくとも一部は、前記第2折り目よりも前記吸収性物品の前端縁側に配置される。前記第2折り目を基点に折り畳まれた第3折り状態で、前記包装シートとフラップ剥離シートが向き合う領域において前記包装シートと前記フラップ剥離シートを接合するフラップ固定部を有する。前記本体部は、吸収コアと、前記吸収コアの肌対向面側に位置する表面シートと、前記表面シートの肌対向面側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有する。前記防漏ギャザーは、防漏弾性部材の収縮によって起立する収縮部と、前記収縮部の立ち上がりの基点となる基点部と、有する。前記基点部は、前記収縮部よりも幅方向の外側に位置する第1基点部を有する。前記収縮部は、前記第1基点部から前記幅方向の内側に延びる延出部と、前記延出部の内側縁を基点にして前記幅方向の外側に折り返された折り返し部と、を有する。前記折り返し部は、前記防漏弾性部材を有し、かつ前記フラップ部から幅方向に延びるフラップ域において前記延出部に対して起立可能に構成されている。前記折り返し部の外側縁は、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、展開状態における包装体を肌対向面側から見た平面図である。
図2図2は、展開状態における包装体を非肌対向面側から見た平面図である。
図3図3は、フラップ部が本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態における肌対向面側から見た包装体の平面図である。
図4図4は、第1折り状態における非肌対向面側から見た包装体の平面図である。
図5図5は、図1に示す1A-1A線に沿った断面図である。
図6図6は、吸収コアの平面図である。
図7図7は、展開状態における図1に示す1B-1B線に沿った吸収性物品の断面図である。
図8図8は、起立状態における図1に示す1B-1B線に沿った吸収性物品の断面図である。
図9図9は、展開状態における図1に示す1C-1C線に沿った吸収性物品の断面図である。
図10図10は、起立状態における図1に示す1C-1C線に沿った吸収性物品の断面図である。
図11図11は、包装状態における包装体の斜視図である。
図12図12は、図11に示す11A-11A線に沿った断面図である。
図13図13は、展開工程2及び3の包装体を示している。
図14図14は、展開工程4の包装体を示している。
図15図15は、展開工程5の包装体を示している。
図16図16は、展開工程6及び7の包装体を示している。
図17図17は、展開工程7の包装体を示している。
図18図18は、展開工程4における包装体110を模式的に示した斜視図である。
図19図19は、図13の13A-13A線の断面図である。
図20図20は、図13に示す13A-13A線を基準とした断面における展開工程4の包装体を示した図である。
図21図21は、図13に示す13A-13A線を基準とした断面における展開工程4の包装体を示した図である。
図22図22は、図13に示す13A-13A線を基準とした断面における展開工程4の包装体を示した図である。
図23図23は、吸収コアの変形態様を説明するための図である。
図24図24は、展開工程4における包装体110を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品の包装体は、包装シートによって吸収性物品が個別に包装される吸収性物品の包装体である。前記吸収性物品は、本体部と、前記本体部よりも幅方向の外側に延出する一対のフラップ部と、前記フラップ部の非肌対向面側にそれぞれ配置され、前記フラップ部を下着に止める粘着剤を有する一対のフラップ粘着部と、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた状態で、前記フラップ粘着部を覆うフラップ剥離シートと、を備える。前記包装体は、前記フラップ部が前記本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態で、前記包装体の前後方向の外端縁である第1端縁が幅方向に延びる第1折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれるとともに、前記第1折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態で、前記幅方向に延びかつ前記第1端縁と反対側の第2端縁側に位置する第2折り目を基点に前記包装体の内側に折り畳まれる。前記フラップ粘着部及び前記フラップ剥離シートの少なくとも一部は、前記第2折り目よりも前記吸収性物品の前端縁側に配置される。前記第2折り目を基点に折り畳まれた第3折り状態で、前記包装シートとフラップ剥離シートが向き合う領域において前記包装シートと前記フラップ剥離シートを接合するフラップ固定部を有する。前記本体部は、吸収コアと、前記吸収コアの肌対向面側に位置する表面シートと、前記表面シートの肌対向面側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有する。前記防漏ギャザーは、防漏弾性部材の収縮によって起立する収縮部と、前記収縮部の立ち上がりの基点となる基点部と、有する。前記基点部は、前記収縮部よりも幅方向の外側に位置する第1基点部を有する。前記収縮部は、前記第1基点部から前記幅方向の内側に延びる延出部と、前記延出部の内側縁を基点にして前記幅方向の外側に折り返された折り返し部と、を有する。前記折り返し部は、前記防漏弾性部材を有し、かつ前記フラップ部から幅方向に延びるフラップ域において前記延出部に対して起立可能に構成されている。前記折り返し部の外側縁は、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されている。
【0012】
本態様によれば、折り返し部の起立頂点となる外側縁が吸収コアよりも幅方向の外側に位置するため、第3折り状態からの展開時にフラップ部が幅方向の内側に移動しようとした際に、フラップ部が折り畳まれた状態のフラップ部の内面に、折り返し部の起立頂点が当たり易い。当該折り返し部の起立頂点によって幅方向の外側かつ着用者側に向けて押圧できる。よって、フラップ剥離シートと共にフラップ部が引っ張られても、フラップ部の幅方向の内側への移動を規制できる。フラップ部のよれを抑制し、フラップ粘着部同士がくっついたり、フラップ粘着部が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記第1基点部の内側縁は、前記フラップ域において、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置されてよい。
【0014】
本態様によれば、収縮部全体の起立支点となる第1基点部の内側縁が吸収コアよりも幅方向の外側に位置するため、フラップ部が幅方向の内側に移動しようとした際に、第1折り状態におけるフラップ部の内面に収縮部が当たり易く、フラップ部を幅方向の外側に向けて押圧できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記基点部は、前記収縮部よりも前記前後方向の外側に位置する第2基点部を有し、前記第2基点部の内側縁は、前記吸収コアに重なる領域に配置されてよい。
【0016】
本態様によれば、第2基点部が比較的剛性が高い吸収コアに重なっていることにより、収縮部がより立ち上がり易くなる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記フラップ粘着部は、前記フラップ部を本体部の肌対向面側に折り畳むフラップ折り目と前記幅方向において離間してよい。
【0018】
フラップ折り目の近傍は、フラップ部の折りによる皺やれよれが発生し易い。本態様によれば、当該フラップ部の折りによる皺などによってフラップ粘着部が意図せずに接着することを抑制できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記フラップ固定部は、前記厚さ方向において、前記一対のフラップ粘着部の間の領域に重なっており、前記フラップ粘着部と離間してよい。
【0020】
本態様によれば、第3折り状態において、使用者が包装シートを引っ張ると、厚さ方向においてフラップ剥離シートがフラップ粘着部から離れる展開方向に移動する。このとき、フラップ粘着部は、幅方向においてフラップ固定部と離間しているため、フラップ固定部とともに展開方向に移動し難く、平面状態を維持し易い。よって、フラップ剥離シートがフラップ粘着部から剥離し易く、フラップ粘着部同士がくっついたり、フラップ粘着部が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記基点部は、前記収縮部よりも前記前後方向の外側に位置する第2基点部を有し、前記防漏ギャザーの前記第2基点部と重なる領域には、前記折り返し部と前記延出部を接合する防漏接合部と、前記防漏接合部よりも前記幅方向の外側に位置し、かつ前記折り返し部と前記延出部が接合されずに重なる防漏非接合部と、が設けられており、前記防漏非接合部は、前記折り返し部の外側縁に到達してよい。
【0022】
本態様によれば、折り返し部の外側縁は、延出部に接合されずに、延出部に対して起立する。折り返し部が幅方向の外側かつ着用者側により起立し易くなり、フラップ部を幅方向の外側に向けて押圧し、フラップ部の幅方向の内側への移動を規制できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記防漏接合部の外側縁は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側に配置されてよい。
【0024】
第2基点部と厚さ方向において重なる領域の折り返し部の起立支点は、防漏接合部の外側縁となる。折り返し部の起立支点が吸収コアよりも幅方向の外側に位置するため、フラップ部が幅方向の内側に移動しようとした際に、当該フラップ部の幅方向の内側の面に収縮部が当たり易く、フラップ部を幅方向の外側に向けて押圧できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記防漏弾性部材は、前記第1折り状態において、前記フラップ剥離シートよりも幅方向の外側に配置されてよい。
【0026】
フラップ剥離シートよりも幅方向の外側の領域は、フラップ剥離シートによって覆われてなく、その剛性が低く、変形し易い。当該領域に、折り返し部の防漏弾性部材を設けることにより、比較的剛性が低い領域におけるフラップ部の幅方向の内側への移動を抑制できる。
【0027】
好ましい一態様によれば、前記包装体の展開状態において、前記フラップ部の前記幅方向の中心よりも内側の領域における前記フラップ粘着部の面積は、前記フラップ部の前記幅方向の中心よりも外側の領域における前記フラップ粘着部の面積よりも大きくてよい。
【0028】
フラップ部の前記幅方向の中心よりも内側の領域は、フラップ折り目に近く、フラップ部の折りによる皺やれよれが発生し易い。当該フラップ部の前記幅方向の中心よりも内側の領域におけるフラップ粘着部の面積を大きくすることにより、フラップ折り目の近傍における皺やよれを抑制し、フラップ粘着部に皺等が生じることを抑制できる。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアには、前記フラップ域において、周囲よりも吸収材料の目付が低い低目付部が設けられてよい。
【0030】
本態様によれば、フラップ域の吸収コアは、低目付部を基点に曲がり易くなる。よって、フラップ剥離シートがフラップ粘着部から離れるように引っ張られた際に、フラップ部の根元部が幅方向の内側に移動しつつフラップ剥離シートが展開方向に移動する。このとき、フラップ部を収縮部によって幅方向の外側に押圧し、フラップ粘着部を平面状態で維持しやすい。フラップ粘着部に皺等が生じることを抑制できる。
【0031】
好ましい一態様によれば、前記低目付部は、前記厚さ方向において、前記一対のフラップ粘着部の間の領域に重なってよい。
【0032】
フラップ域の吸収コアは、一対のフラップ粘着部の間において低目付部を基点に曲がり易くなる。よって、フラップ剥離シートを介してフラップ粘着部が引っ張られた際に、フラップ部がより立ち上がり易くなる。このとき、収縮部によってフラップ部を幅方向の外側に押圧し、フラップ粘着部を平面状態で維持しやすい。よって、フラップ粘着部に皺等が生じることを抑制しつつ、フラップ剥離シートを展開方向に移動させ、フラップ粘着部からフラップ剥離シートを剥離できる。
【0033】
好ましい一態様によれば、前記低目付部は、前記包装体の展開状態において、前記本体粘着部及び前記フラップ粘着部に重ならない領域に設けられてよい。
【0034】
本態様によれば、本体粘着部及びフラップ粘着部に重ならない領域は、装着時に下着に対して接合されず、変形し易い領域である。当該領域に低目付部を設けることにより、吸収コアが低目付部を基点により変形し易く、フラップ部がより立ち上がり易くなる。フラップ剥離シートとフラップ部が展開方向に分離しやすくなり、フラップ部のよれを抑制しつつ、フラップ粘着部からフラップ剥離シートを剥離できる。
【0035】
(2)吸収性物品の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。本実施の形態の吸収性物品1は、夜用の生理用ナプキンであり、吸収性物品1の前後方向の長さは、285mm以上である。
【0036】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0037】
図1は、図1は、展開状態における包装体を肌対向面側から見た平面図である。図2は、図2は、展開状態における包装体を非肌対向面側から見た平面図である。図1及び図2に示す平面図は、展開状態の平面図である。展開状態は、吸収性物品及び包装シートが折り畳まれていない状態であって、防漏ギャザー等による皺が形成されないまで吸収性物品を伸ばした状態である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0038】
吸収性物品の包装体110(以下、包装体とする)は、吸収性物品1と、吸収性物品を個別に包装する包装シート100と、を有する。包装体110は、包装体110の前後方向の外端縁である第1端縁と第2端縁を有する。第1端縁は、図11等に示すように個別に包装された包装状態において、包装体の内側に位置する端縁であり、第2端縁は、包装状態において包装体の外側に位置する端縁である。包装体の内側とは、包装状態の包装体110における厚さ方向の内側である。本実施の形態の第1端縁は、後端縁110Rであり、第2端縁は、前端縁110Fである。なお、他の形態において、第1端縁は、後端縁110Rであり、第2端縁は、前端縁110Fであってもよい。また、包装体110の前端縁110Fは、包装シート100の前端縁100Fによって構成されていてもよいし、吸収性物品1の前端縁1Fによって構成されていてもよい。同様に、包装体110の後端縁110Rは、包装シート100の後端縁100Rによって構成されていてもよいし、吸収性物品1の後端縁1Rによって構成されていてもよい。本実施の形態の包装体110の前端縁110Fは、包装シート100の前端縁100Fによって構成されており、包装体110の後端縁110Rは、吸収性物品1の後端縁1Rによって構成されている。
【0039】
吸収性物品1は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。吸収性物品は、肌対向面側T1と非肌対向面側T2に延びる厚さ方向Tを有する。
【0040】
吸収性物品1は、中央域S3、前側域S1及び後側域S2を有する。中央域S3は、着用者の排泄口(例えば膣口)に当接する排泄口当接部を有する領域である。吸収性物品が下着に装着されたときに、中央域S3は、下着の股下部に位置する。つまり、中央域は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域である。中央域S3は、吸収性物品において前側に偏倚してよい。より詳細には、中央域S3の前後方向Lの中心は、吸収性物品1の前後方向Lの中心よりも前側に位置してよい。
【0041】
前側域S1は、中央域S3よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S2は、中央域S3よりも後側に位置する。後側域S2の後端縁は吸収性物品1の後端縁を規定する。後側域S2の前後方向Lの長さは、中央域S3の前後方向Lの長さよりも長くなっていてよい。
【0042】
吸収性物品1は、本体部2と、フラップ部5と、を有する。本体部2は、吸収コア31、表面シート10及び裏面シート20を少なくとも有し、縦長の形状である。フラップ部5は、本体部2よりも幅方向の外側に延出する。フラップ部5は、中央域S3における吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの外側に延出してよい。なお、本実施の形態における外側縁は、幅方向における外側の端縁であり、内側縁は、幅方向における内側の端縁である。フラップ部5は、ウイング3及びヒップフラップ4によって構成されてよい。本実施の形態では、ウイング3は、中央域S3に設けられ、ヒップフラップ4は、後側域S2に設けられてよい。本発明のフラップ部5は、後述する第2折り目FL2よりも前側に位置し、第2折り目FL2を基点に包装体110を展開する際に、展開可能に構成されている。本実施の形態のフラップ部5は、ウイング3によって構成されている。他の形態において、ヒップフラップ4が第2折り目FL2よりも前側に位置する形態にあっては、ヒップフラップ4が本発明のフラップ部を構成してもよい。
【0043】
ウイング3は、本体部2の幅方向の両側に一対で設けられ、ヒップフラップ4も、本体部2の幅方向の両側に一対で設けられている。ウイング3及びヒップフラップ4は、後述するサイドシート15と裏面シート20との積層によって構成されていてよい。ウイング3は、裏面シート20側に折り返し可能に構成されている。ウイング3は、使用時に下着のクロッチ部の非肌対向面側に折り返される。
【0044】
ヒップフラップ4は、ウイング3よりも後側に位置し、後側域S2に設けられている。ヒップフラップ4は、使用時に折り返されず、下着と着用者の臀部との間に配置される。本実施形態では、ヒップフラップ4には吸収材料が設けられていない。この代わりに、ヒップフラップ4には、吸収材料が設けられていてもよい。
【0045】
ウイング3の前端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分に相当する。ウイング3の前端縁は、中央域S3と前側域S1との境界を規定していてもよい。ウイング3の後端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、後側に位置する部分に相当する。ウイング3の後端縁は、中央域S3と後側域S2との間に位置していてよい。ここで、前後方向Lにおけるウイング3の前端縁とウイング3の後端縁との間の領域を「フラップ域」と称する。本実施の形態のフラップ域は、中央域と一致するため、以下、中央域S3として説明する。
【0046】
吸収性物品1は、包装シート100によって個別に包装されるように構成されている。包装体110は、吸収性物品1を包装シート100の上に載せた展開状態で、フラップ折り目FL5を基点として、フラップ部5が本体部2の肌対向面側T1に折り畳まれる。図3は、フラップ部5が本体部の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態における肌対向面側から見た包装体110の平面図である。図4は、第1折り状態における非肌対向面側から見た包装体110の平面図である。本体部2とフラップ部5の境界は、フラップ折り目FL5であってもよいし、フラップ部5の付け根(ウイングの根元部)であってもよい。フラップ折り目FL5は、前後方向Lに延びており、前後方向Lに平行であってもよい。
【0047】
包装体110は、ウイング3が本体部2の肌対向面側T1に折り畳まれた第1折り状態で、幅方向Wに延びる第1折り目FL1を基点に包装体110の内側に折り畳まれる。包装体110は、第1折り目FL1によって折り畳まれた第2折り状態で、第2折り目FL2を基点に包装体の内側に折り畳まれる。第2折り目FL2は、第1折り目FL1よりも第2端縁である前端縁110F側に位置している。
【0048】
なお、本実施の形態の包装体110は、第2折り目FL2によって折り畳まれた第3折り状態で、幅方向Wに延びる第3折り目FL3を基点に包装体の内側に折り畳まれている。第3折り目FL3は、第2折り目FL2よりも第2端縁である前端縁110F側に位置している。第3折り目FL3によって折り畳まれた第4折り状態で、包装シート100の前端縁100Fは、タグテープ102によって包装シート100の外面に固定されている。このようにして、包装シート100によって吸収性物品1が個別に包装された包装状態となる(図11参照)。なお、包装シート100の内面100Tは、展開状態において吸収性物品1側に位置する面であり、包装シート100の外面100Bは、展開状態おいて吸収性物品1と反対側に位置する面である。本実施の形態の吸収性物品1は、図1に示すように、展開状態において、第1折り目FL1と吸収性物品1の後端縁1Rとの間の第1領域R11と、第1折り目FL1と第2折り目FL2の間の第2領域R12と、第2折り目FL2と第3折り目FL3の間の第3領域と、第3折り目FL3と吸収性物品1の前端縁1Fとの間の第4領域R14と、を有する。なお、他の形態において、包装体110は、第3折り目FL3を基点に折り畳まれてなくてもよい。
【0049】
図5は、図1に示す1A-1A線に沿った断面図である。吸収性物品1は、着用者の肌に向けられる表面シート10と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート20と、表面シート10と裏面シート20の間に配置された吸収コア31と、を含む。表面シート10は、使用中に着用者の肌の方に向く。裏面シート20は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収コア31は、体液を吸収する吸収材料を含み、吸収性物品の前後方向Lに沿って延びている。
【0050】
表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成される。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0051】
裏面シート20は、液不透過性のシートである。裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。
【0052】
図6は、吸収コアの平面図である。吸収コア31は、少なくとも中央域S3及び後側域S2に配置される。また、吸収体コアは、中央域S3から前側域S1まで延びていてもよい。吸収コア31は、液体を吸収する吸収材料によって構成されてよい。吸収コア31は、コアラップ(図示せず)によって包まれていてよい。コアラップは、少なくとも吸収コア31よりも肌対向面側で吸収コア31を覆っていればよい。具体的一例として、コアラップは、吸収コア31よりも肌対向面側に配置されるシートと、吸収コア31よりも非肌対向面側に配置されるシートと、を有していてよい。
【0053】
吸収コア31を構成する吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及び高吸水性高分子(SAP)から形成できる。コアラップは、例えば不織布やティッシュシートから構成することができる。コアラップを構成する肌対向面側のシートと非肌対向面側のシートは、同一のシートから構成されていてもよい。変形例として、吸収コア31は、コアラップによって覆われていなくてもよい。この場合、吸収コア31は、表面シート10と裏面シート20とによって覆われていればよい。
【0054】
吸収コア31は、目付の異なる領域を複数有してよい。図6は、吸収コア31の肌対向面側T1から見た平面図である。吸収コア31は、高目付部33と、低目付部34と、中目付部35と、を少なくとも有してよい。高目付部33の吸収材料(パルプ)の目付は、中目付部35の吸収材料の目付よりも高く、中目付部35の吸収材料(パルプ)の目付は、低目付部34の吸収材料(パルプ)の目付よりも高い。高目付部33は、周囲の吸収コア31よりも厚く、中高部36を構成する。高目付部33は、前後方向に間隔を空けて配置された第1高目付部331及び第2高目付部332を有する。第2高目付部332は、第1高目付部331よりも後側に位置する。第1高目付部331と第2高目付部332の前後方向Lの間には、第1低目付部341が配置されてよい。
【0055】
高目付部33は、幅方向Wにおいて吸収コア31の中央に配置されてよい。高目付部33の外側縁は、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの内側に位置してよい。高目付部(第1高目付部331及び第2高目付部332)33の少なくとも一部は、中央域S3に配置されてよい。高目付部33は、中央域S3を超えて前後方向Lに延びていてもよい。高目付部33の前後方向Lの中心は、吸収性物品1の前後方向Lの中心よりも前側に位置してよいし、中央域S3の前後方向の中心よりも前側に位置してよい。なお、高目付部33の前後方向Lの中心は、第1高目付部331の前端縁と第2高目付部332の後端縁との前後方向の中心となる。
【0056】
図5に示すように、高目付部33には、吸収性物品1の肌対向面から吸収コア31の非肌対向目面まで厚さ方向Tに貫通する貫通孔38が複数形成されてよい。貫通孔38は、平面視にて間隔を空けて複数形成されてよい。貫通孔38が高目付部33に形成されていることにより、一度に多くの経血や尿等の体液が排泄されたときにも、吸収コア31内部に体液を引き込み、オーバーフローし難くなる。吸収性物品の肌対向面のドライ性を保ち、フィット感及び装着感の良さを効果的に保つことが可能となる。
【0057】
貫通孔38は、高目付部33よりも後側に設けられていてもよく、後側域S2の第2低目付部342に設けられていてもよい。寝姿勢において重力方向によって肌を伝い流れる体液を、吸収体側により引き込み易い。
【0058】
高目付部33の外側縁33Eと吸収コア31の外側縁31Eの間及び高目付部33の前端縁と吸収コア31の前端縁の間には、高目付部33よりも目付が低く、かつ低目付部34よりも目付が高い中目付部35が配置されている。中目付部35は、目付が異なる領域のうち、吸収コア31の外側縁及び前端縁に配置された領域である。なお、吸収コア31の外側縁31Eにおいて目付が異なる領域が設けられている構成にあっては、外側縁31Eにおいて占める割外が最も高い領域であり、吸収コア31の前側縁において目付が異なる領域が設けられている構成にあっては、前端縁において占める割外が最も高い領域である。本実施の形態の中目付部35の目付は、300g/m2であり、低目付部34及び高目付部33以外の部分であり、吸収コア31の外側縁31Eの前後方向Lの全域及び吸収コア31の前端縁の幅方向の全域に配置されている。
【0059】
低目付部34は、第1低目付部341と、第1低目付部341よりも後側に位置する一対の第2低目付部342と、第2低目付部よりも後側に位置する一対の第3低目付部343と、前後低目付部345と、を少なくとも有してよい。低目付部34は、中目付部35よりも目付が低く、剛性が低い。よって、吸収コア31に力が加わった際に、低目付部が最も変形し易い。よって、低目付部34が変形して力を吸収したり、低目付部34が吸収コア31の変形基点となったりする。
【0060】
低目付部34の目付は、150g/m2以下であってよく、本実施の形態の低目付部の目付は、100g/m2である。低目付部34は、低目付部34に隣接する吸収コア31の目付の50%未満、より好ましくは35%未満であってよい。低目付部34とその周辺との目付差を大きくすることにより、吸収コア31に力が加わった際に、当該力を低目付部34に局所的に集中させることができる。これにより、後述するように、低目付部が変形し、吸収コア31をより身体にフィットさせることができる。
【0061】
低目付部34、中目付部35、及び高目付部33は、次のように規定してよい。吸収コア31の外側縁31Eにおいて最も占める割合が高い領域を中目付部35とする。断面視にて、中目付部35の厚さに対して20%以上厚さが厚く、平面方向に伸びる部分を高目付部33とする。高目付部33と中目付部35の境界は、中目付部35の平面方向に延びる部分と、高目付部33の平面方向に延びる部分と、の厚さ方向Tの中心を規定し、当該厚さ方向Tの中心よりも厚い部分を高目付部33とし、当該厚さ方向Tの中心よりも薄い部分を中目付部35とする。同様に、断面視にて、中目付部35の厚さに対して20%以上厚さが薄く、平面方向に伸びる部分を低目付部34とする。低目付部34と中目付部35の境界は、中目付部35の平面方向に延びる部分と、低目付部34の平面方向に延びる部分と、の厚さ方向の中心を規定し、当該厚さ方向Tの中心よりも厚い部分を中目付部35とし、当該厚さ方向Tの中心よりも薄い部分を低目付部34とする。
【0062】
第2低目付部342は、第1低目付部341と前後方向Lにおいて離間しており、第1低目付部341よりも後側に設けられている。第2低目付部342は、中央域S3よりも後側に位置してよく、ウイング3の後端縁よりも後側に位置してよい。第2低目付部342は、吸収コア31の外側縁31Eから幅方向Wの内側に向かい、かつ幅方向Wに対して傾斜して延びてよい。
【0063】
第3低目付部343は、第2低目付部342と前後方向Lにおいて離間しており、第2低目付部342よりも後側に設けられている。第3低目付部343は、後側域S2に配置されてよい。第2低目付部342は、吸収コア31の外側縁31Eから幅方向Wの内側に向かい、かつ幅方向Wに対して傾斜して延びてよい。
【0064】
前後低目付部345は、後側域S2に設けられている。前後低目付部345は、吸収コア31の幅方向Wの中心を跨いでよい。前後低目付部345は、吸収コア31の幅方向Wの中央において、前後方向に沿って設けられている。前後低目付部345は、第2高目付部332よりも後側かつ中央域S3よりも後側に設けられている。前後低目付部345は、第2高目付部332の後端縁から後方に向かって延びてよい。
【0065】
低目付部34は、複数の低目付領域を有する。低目付部34は、第2折り目FL2よりも前端縁側において前後方向に延びる第2側低目付領域R41を有する。第2側低目付領域R41は、第3領域R13及び第4領域R14の少なくともいずれかに配置されていればよく、第1低目付部341と、第2低目付部342の一部と、前後低目付部345の一部と、によって構成されている。第2低目付部342は、第2折り目FL2を跨っており、第2折り目FL2と重なる領域及び第2折り目FL2よりも後端縁側の領域は、第2側低目付領域R41を構成しない。同様に、前後低目付部345は、第2折り目FL2を跨っており、第2折り目FL2と重なる領域及び第2折り目FL2よりも後端縁側の領域は、第2側低目付領域R41を構成しない。図6において、第2低目付部342における第2側低目付領域R41、及び前後低目付部345による第2側低目付領域R41に斜線を付して示す。なお、第2側低目付領域R41は、少しでも前後方向Lに延びていればよく、幅方向Wに平行でなければよい。よって、第1低目付部341の全体は、第2側低目付領域R41を構成する。
【0066】
第2側低目付領域R41の少なくとも一部は、第3折り状態においてフラップ固定部92に重なっている。本実施の形態では、第1低目付部341における第2側低目付領域R41が、第3折り状態においてフラップ固定部92に重なっている。図12に示すように、第2側低目付領域R41は、第3折り状態において、第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向の中心CL12よりも第1折り目FL1側に配置されている。第2側低目付領域R41は、展開状態におけるフラップ固定部92よりも前端縁側の領域において、幅方向Wに延びている。具体的には、第1低目付部341の一部は、フラップ固定部92よりも前端縁側であって、包装状態におけるフラップ固定部92と第1折り目FL1の間の領域に配置されている。なお、第2側低目付領域R41は、少しでも幅方向に延びていればよく、前後方向に平行でなければよい。第2側低目付領域R41は、吸収コア31の外側縁に到達してよい。具体的には、第1低目付部341は、吸収コア31の外側縁に到達している。
【0067】
低目付部34は、前後方向Lに平行な前後低目付領域R42を有する。前後低目付領域R42は、前後低目付部345によって構成されている。前後低目付領域R42は、第2折り目FL2を跨って配置されている。前後低目付領域R42は、第2領域R12と第3領域R13に配置され、第1領域(第1折り目よりも第1端縁側の領域)R11と第4領域R14に配置されていない。
【0068】
低目付部34は、展開状態において第1折り目FL1よりも後端縁側に配置された第1側低目付領域R43を有する。第1側低目付領域R43は、第1領域R11に位置していればよく、第3低目付部343の一部によって構成されている。図6において、第3低目付部343における第1側低目付領域R43に斜線を付して示す。第1側低目付領域R43は、図6に示す展開状態の第1折り目FL1とフラップ固定部92の間の領域において、第1折り目FL1側に向かって幅方向Wの外側に延びる。なお、本実施の形態において、展開状態のフラップ固定部92及び本体固定部91の位置は、包装状態のフラップ固定部92及び本体固定部91の位置を展開したときに対応する位置である。展開したときのフラップ固定部92及び本体固定部91の位置を、図1及び図2に示す。
【0069】
低目付部34は、展開状態における第1折り目FL1と第2折り目FL2の間の領域に配置された中間低目付領域R44を有する。中間低目付領域R44は、第2領域R12に位置していればよく、第3低目付部343の一部、及び第2低目付部342の一部、及び前後低目付部345の一部によって構成されている。図6において、中間低目付領域R44に斜線を付して示す。
【0070】
次いで、図1に基づいて、圧搾部について説明する。第1圧搾部81は、第1低目付部341の少なくとも一部に重なり、かつ第1低目付部341に沿って延びている。第1圧搾部81が第1低目付部341に沿って延びる態様とは、第1低目付部341が延びる方向と、第1圧搾部81が延びる方向と、が一致している構成のみならず、両方向の為す角度が5度未満の構成を含む。また、第1低目付部341が延びる方向及び第1圧搾部81が延びる方向は、各部分が一定の幅を有する構成にあっては当該部分の幅中心を繋ぐ線となる。第1圧搾部81は、第1低目付部341の少なくとも一部に重なり、第1低目付部341に沿って設けられてよい。第1圧搾部81の外側縁は、吸収コア31の外側縁31Eよりも内側に位置してよく、第1圧搾部81の内側縁81は、第1低目付部341内で終端してよい。第1圧搾部81は、高目付部33の外側縁33E(図6参照)よりも幅方向Wの内側に位置してよい。複数の高目付部を有する構成にあっては、最も幅方向の外側に位置する高目付部の外側縁となる。
【0071】
また、第2圧搾部82は、第2低目付部342の少なくとも一部に重なり、かつ第2低目付部342に沿って延びている。第2圧搾部82の外側縁は、吸収コア31の外側縁よりも内側に位置してよく、第2圧搾部82の内側縁は、第2低目付部342の内側縁よりも幅方向Wの外側に位置してよい。第3圧搾部83は、第3低目付部343の少なくとも一部に重なり、かつ第3低目付部343に沿って延びている。第3圧搾部83の外側縁83Eは、吸収コア31の外側縁31Eよりも内側に位置してよく、第3圧搾部83の内側縁は、第3低目付部343の内側縁よりも幅方向Wの外側に位置してよい。
【0072】
第1圧搾部81、第2圧搾部82及び第3圧搾部83は、幅方向Wに間隔を空けて一対で設けられている。第1圧搾部81、第2圧搾部82及び第3圧搾部83は、吸収性物品の幅方向Wの中心を通り、かつ前後方向Lに延びる中心線に対して線対称である。
【0073】
吸収性物品1は、表面シート10と吸収コア31との間に配置されたセカンドシート(図示せず)を有してよい。セカンドシートは、体液等の液体を透過する液透過性のシートであってよい。好ましくは、セカンドシートの親水度は表面シート10の親水度よりも高い。セカンドシートは、表面シート10と同様の材料から構成することができる。
【0074】
吸収性物品1は、表面シート10の外側縁を覆うサイドシート15を有してよい。サイドシート15は、幅方向Wにおける表面シート10の外側縁を覆い、表面シート10よりも幅方向Wの外側へ延びている。なお、本実施形態では、吸収性物品1はサイドシート15を有しているが、吸収性物品1はサイドシート15を有していなくてもよい。この場合、表面シート10は吸収コア全体を覆っていてよい。なお、本発明における外側縁は、幅方向における外側端であり、内側縁は、幅方向における内側端である。
【0075】
サイドシート15は、表面シート10と同様の材料から構成することができる。ただし、表面シート10に付着した体液が、サイドシート15を乗り越えて、幅方向Wにおいて吸収性物品1の外側へ漏れ出すことを防止するためには、サイドシート15は、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート15は、幅方向Wにおける吸収コアの外側縁、ウイング3及びヒップフラップ4に配置されていてよい。
【0076】
吸収性物品1は、起立性の防漏ギャザー60を有してよい。防漏ギャザー60は、表面シート10の肌対向面側T1に位置し、着用時に表面シート10よりも肌対向面側T1に起立可能に構成されている。図7は、展開状態における図1に示す1B-1B線に沿った吸収性物品1の断面図である。図8は、防漏ギャザー60が起立した起立状態における図1に示す1B-1B線に沿った断面図である。図9は、展開状態における図1に示す1C-1C線に沿った断面図である。図10は、起立状態における図1に示す1C-1C線に沿った断面図である。
【0077】
防漏ギャザー60は、サイドシート15と、防漏弾性部材61と、によって構成されている。防漏ギャザー60は、防漏弾性部材61の収縮によって起立する収縮部62と、収縮部62よりも幅方向Wの外側に位置し、かつ収縮部の立ち上がりの基点となる第1基点部63と、収縮部62よりも前後方向Lの外側に位置し、かつ収縮部の立ち上がりの基点となる第2基点部64と、を有する。図1に示すように、第2基点部64の内側縁64Iは、第1基点部63の内側縁63Iよりも幅方向Wの内側に位置している。第1基点部63の内側縁63Iは、第2基点部64よりも前後方向Lの内側の領域において、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に配置されている。なお、第2基点部64よりも前後方向Lの内側の領域には、中央域S3が含まれている。第2基点部64の内側縁64Iは、吸収コア31に重なる領域に配置されている。第1基点部63の外側縁63Eは、第2基点部64の外側縁64Eに一致している。また、他の形態において、第1基点部63の外側縁63Eは、第2基点部64の外側縁64Eよりも幅方向Wの外側に位置してもよい。なお、第2基点部64では、サイドシート15と表面シート10が幅方向に間隔を空けて配置された2列の接着領域によって構成されている。このように複数列の接着領域によって構成された基点部の内側縁は、最も幅方向の内側に位置する列の接着領域の内側縁である。また、複数列の接着領域によって構成された基点部の外側縁は、最も幅方向の外側に位置する列の接着領域の外側縁である。
【0078】
サイドシート15は、収縮部62の先端において幅方向Wの外側に折り返され、2層に積層されており、この2層のサイドシート15間に防漏弾性部材61が配置されている。収縮部62は、第1基点部63から幅方向Wの内側に延びる延出部621と、延出部621の内側縁を基点にして幅方向の外側に折り返された折り返し部622と、を有する。折り返し部622は、防漏弾性部材61を有し、延出部621は、防漏弾性部材61有していない。折り返し部622は、フラップ部5から幅方向Wに延びるフラップ域としての中央域S3において延出部621に対して起立可能に構成されている。折り返し部622は、少なくとも中央域S3において起立可能に構成されていればよく、本実施の形態においては第2基点部64よりも前後方向の内側の領域において起立可能に構成されている。折り返し部622は、延出部621の肌対向面側T1に配置されている。延出部621及び折り返し部622は、それぞれ2層のサイドシート15を有する。防漏ギャザー60の起立頂点は、折り返し部622の外側縁(先端)となる。折り返し部622の内側縁は、延出部621の内側縁と一致する。折り返し部622の外側縁は、延出部621の外側縁と一致していてもよい。折り返し部622の外側縁は、図7に示す展開状態において、吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されている。
【0079】
図7及び図8に示すように、第2基点部64よりも前後方向Lの内側の領域では、折り返し部622は、延出部621に対して接合されてない。よって、第2基点部64よりも前後方向Lの内側の領域では、収縮部62は、第1基点部63の内端縁を基点に着用者側に起立する。防漏ギャザー60の起立頂点は、折り返し部の外側縁(先端)となる。
【0080】
図9及び図10に示すように、第2基点部64と重なる領域には、折り返し部622と延出部621を接合する防漏接合部65と、防漏接合部65よりも幅方向Wの外側に位置し、かつ折り返し部622と延出部621が接合されずに重なる防漏非接合部66と、を有する。防漏接合部65及び防漏非接合部66は、折り返し部622と延出部621が対向する面に設けられている。防漏接合部65は、折り返し部622と延出部621が対向する面の内側縁から幅方向Wの外側に延びる。防漏接合部65の外側縁65Eは、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側に配置されている。防漏非接合部66は、防漏接合部65の外側縁と折り返し部622の外側縁622Eとの間に設けられている。すなわち、防漏非接合部66は、折り返し部622の外側縁622Eに到達している。よって、第2基点部64と重なる領域では、収縮部62の折り返し部622は、防漏接合部65の外側縁を基点に着用者側に起立する。
【0081】
図2等に示すように、吸収性物品1は、裏面シート20の非肌対向面側T2に設けられた粘着部70を有する。粘着部70は、吸収性物品1を下着等の着用物品に止めるための粘着剤が設けられた領域である。
【0082】
粘着部70は、本体粘着部71と、ウイング粘着部72と、ヒップフラップ粘着部73と、を有してよい。ウイング粘着部72は、本発明のフラップ粘着部を構成する。本体粘着部71は、本体部2の非肌対向面側T2に配置され、本体部2を下着に止める粘着剤を有する。本体粘着部71は、吸収性物品1の厚さ方向Tにおいて、吸収コア31と重なる領域に設けられている。本体粘着部71は、少なくとも中央域S3から吸収性物品1の後方へ連続的又は断続的に延びていることが好ましい。本体粘着部71は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて複数設けられている。本実施の形態の本体粘着部71は、本体部2の幅方向の中心を挟んで4本ずつ配置されている。
【0083】
本体粘着部71は、本体剥離シート75によって覆われている。本体剥離シート75は、包装シート100と吸収性物品1の間に配置されている。本体剥離シート75は、本体固定部91を介して包装シート100の内面に接合されている。本体粘着部71及び本体剥離シート75は、第1折り目FL1、第2折り目FL2及び第3折り目FL3を跨って配置されている。図2に示すように、本体固定部91は、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されている。本体固定部91は、第1領域R11に設けられた第1本体固定部911と、第2領域R12に配置された第2本体固定部912と、第3領域に配置された第3本体固定部913と、第4領域R14に配置された第4本体固定部914と、を有する。なお、本体固定部91は、少なくとも第1本体固定部911を有していればよい。
【0084】
ウイング粘着部72は、ウイング3の非肌対向面側T2に配置され、ウイング3を下着に止める粘着剤を有する。図2に示すように、ウイング粘着部72は、第1ウイング粘着部721と、第2ウイング粘着部722と、を有する。第1ウイング粘着部721は、第1フラップ粘着部を構成し、第2ウイング粘着部722は、第2フラップ粘着部を構成する。第2ウイング粘着部722は、吸収性物品1の展開状態において、第1ウイング粘着部721よりも幅方向の内側(ウイングの根元側)に位置する。ヒップフラップ粘着部73は、ヒップフラップ4の非肌対向面側T2に配置され、ヒップフラップ4を下着に止める粘着剤を有する。第1ウイング粘着部721の前端縁は、第2ウイング粘着部722の前端縁よりも後側に配置されてよい。第1ウイング粘着部721の後端縁は、第2ウイング粘着部722後端縁と前後方向において一致してよい。
【0085】
第1ウイング粘着部721の前後方向の長さは、第2ウイング粘着部722の前後方向の長さよりも長くてよい。また、第1ウイング粘着部721の面積は、第2ウイング粘着部722の面積よりも大きい。包装体の展開状態において、ウイング3の幅方向Wの中心よりも内側の領域におけるウイング粘着部72の面積は、ウイングの幅方向の中心よりも外側の領域におけるウイング粘着部72の面積よりも大きくてよい。ウイング3の幅方向Wの中心よりも内側の領域は、フラップ折り目FL5に近く、ウイング3の折りによる皺やれよれが発生し易い。ウイング3の幅方向Wの中心よりも内側の領域におけるウイング粘着部72の面積を大きくすることにより、フラップ折り目FL5の近傍における皺やよれを抑制し、ウイング粘着部72に皺等が生じることを抑制できる。また、ウイング3のよれを抑制し、ウイング粘着部72同士がくっついたり、ウイング粘着部72が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0086】
ウイング粘着部72及びヒップフラップ粘着部73は、フラップ折り目FL5と幅方向Wにおいて離間してよい。フラップ折り目FL5の近傍は、ウイング3及びヒップフラップ4の折りによる皺やれよれが発生し易い。ウイング粘着部72及びヒップフラップ粘着部73は、フラップ折り目FL5と幅方向Wにおいて離間していることにより、当該皺等によってウイング粘着部72やヒップフラップ粘着部73が意図せずに接着することを抑制できる。また、ウイング3等のよれを抑制し、ウイング粘着部72同士やヒップフラップ粘着部73同士がくっついたり、ウイング粘着部72等が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0087】
ウイング3においてウイング粘着部72が設けられていない領域の剛性は、ウイング粘着部72が設けられた領域の剛性よりも低い。同様に、ヒップフラップ4においてヒップフラップ粘着部73が設けられていない領域の剛性は、ヒップフラップ粘着部73が設けられた領域の剛性よりも低い。ウイング粘着部72とフラップ折り目FL5との間及びヒップフラップ粘着部73とフラップ折り目FL5との間に、比較的剛性が低い領域を設けることにより、当該領域においてウイング3等の折りによる変形を吸収し、ウイング粘着部72やヒップフラップ粘着部73に皺等が生じることを抑制できる。また、ウイング3等のよれを抑制し、ウイング粘着部72同士やヒップフラップ粘着部73同士がくっついたり、ウイング粘着部72等が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0088】
図3に示すように、ウイング3及びヒップフラップ4が本体部2の肌対向面側T1に折り返された状態において、ウイング粘着部72及びヒップフラップ粘着部73は、吸収性物品1の表側(包装シート100に向かう面と反対側)に配置され、フラップ剥離シート76によって覆われている。ウイング3が本体部2の肌対向面側T1に折り返された状態において、一対のウイング粘着部72は、互いに離間している。同様に、ヒップフラップ4が本体部2の肌対向面側T1に折り返された状態において、一対のヒップフラップ粘着部73は、互いに離間している。
【0089】
フラップ剥離シート76は、一対のウイング粘着部72を覆っている。また、フラップ剥離シート76は、第2折り目FL2を跨って配置されており、ウイング粘着部72及びヒップフラップ粘着部73の両方を覆う。なお、他の形態において、フラップ剥離シート76は、ウイング粘着部72のみを覆うように配置されていてもよい。ウイング粘着部72及びフラップ剥離シート76の少なくとも一部は、第2折り目FL2よりも包装体の前端縁110F側に配置されていればよい。
【0090】
包装シート100は、第1折り目FL1よりも後端縁側に延出しており、第3折り状態で、フラップ剥離シート76と包装シート100の外面100Bは、対向している。フラップ剥離シート76は、第3折り状態において、フラップ固定部92を介して包装シート100の外面100Bに接合されている。フラップ固定部92は、第2折り目FL2よりも包装体110の前端縁110F側に配置されており、第3折り状態で、包装シート100とフラップ剥離シート76が向き合う領域に配置されている。
【0091】
図12に示すように、包装状態において、包装シート100の外面100Bは、フラップ固定部92を介してフラップ剥離シート76に接合され、包装シート100の内面100Tは、本体固定部91を介して本体剥離シート75に接合されている。本体固定部91とフラップ固定部92は、厚さ方向Tにおいて重なっている。本体固定部91の少なくとも一部と、フラップ固定部92の少なくとも一部と、が重なっていればよい。
【0092】
なお、本実施の形態のフラップ剥離シート76は、一対のウイング粘着部72を跨いで配置されているが、他の形態において、フラップ剥離シート76は、幅方向に分離しており、各ウイング粘着部72を覆うように配置されていてもよい。フラップ剥離シート76が各ウイング粘着部72を覆う構成にあっては、フラップ固定部92は、各フラップ剥離シート76に設けられていてもよい。
【0093】
本体固定部91による包装シート100と本体剥離シート75の接合強度は、本体粘着部71による本体剥離シート75と吸収性物品の接合強度よりも高い。そのため、使用時に、包装シートを介して本体剥離シート75を引っ張った際に、包装シート100と本体剥離シート75が剥離せずに、本体剥離シート75が吸収性物品1及び本体粘着部71から分離する。
【0094】
同様に、フラップ固定部92よる包装シート100とフラップ剥離シート76の接合強度は、ウイング粘着部72によるフラップ剥離シート76と吸収性物品1の接合強度よりも高い。そのため、使用時に、包装シートを介してフラップ剥離シート76を引っ張った際に、包装シート100とフラップ剥離シート76が剥離せずに、フラップ剥離シート76が吸収性物品及び本体粘着部71から分離する。
【0095】
また、タグテープ102と包装シート100の接合強度は、包装シート100と本体剥離シート75を接合する本体固定部91の強度よりも高くてよい。そのため、包装シート100と本体剥離シート75を接合する本体固定部91の破損なく、タグテープ102をもったまま、包装体110を展開できる。
【0096】
タグテープ102と包装シート100の接合強度は、本体剥離シート75と本体粘着部71の接合強度よりも高くてよい。また、タグテープ102と包装シート100の接合強度は、フラップ剥離シート76とウイング粘着部72の接合強度よりも高くてよい。後述のように、本実施の形態の包装体によれば、使用者は、タグテープ102付近の包装体110と吸収性物品1の前端縁近傍を持って展開し始め、展開が完了するまで手を持ち直さずに、包装シート100と吸収性物品を分離できる。このとき、タグテープ102と包装シート100の接合強度が本体剥離シート75と本体粘着部71の接合強度よりも高いことにより、タグテープ102と包装シート100の接合を維持しつつ、包装シート100を介して本体粘着部71と本体剥離シート75を剥離させることができる。同様に、タグテープ102と包装シート100の接合強度がフラップ剥離シート76とウイング粘着部72の接合強度よりも高いことにより、タグテープ102と包装シート100の接合を維持しつつ、包装シート100を介してウイング粘着部72とフラップ剥離シート76を剥離させることができる。
【0097】
次いで、図11から図20を参照して、包装体の使用時における展開態様について説明する。図11は、包装シート100によって吸収性物品1が個別に包装された包装状態の斜視図である。図12は、図11に示す11A-11A線に沿った断面図である。図13から図17は、図11に示す11A-11A線を基準とした断面における展開工程を説明する図である。図13は、展開工程2及び3の包装体110を示している。図14は、展開工程4の包装体110を示している。図15は、展開工程5の包装体110を示している。図16は、展開工程6及び7の包装体110を示している。図17は、展開工程7の包装体110を示している。図18は、展開工程4における包装体110を示した図である。図19は、図13の13A-13A線の断面図である。図20から22は、図13に示す13A-13A線を基準とした断面における展開工程4の包装体を示した図である。なお、説明の便宜上、図19及び図20においては、防漏ギャザーを省略しており、図21及び図22においては、防漏ギャザー60を示している。なお、以下に示す展開態様は、一例であり、使用者によって異なる態様で展開されてもよい。
【0098】
使用者は、まず、図11及び図12に示す包装状態から包装体110を展開するために、タグテープ102を把持し、第3折り目FL3を基点に吸収性物品1及び包装シート100を展開する(展開工程1)。図13は、第1折り目FL1及び第2折り目FL2を基点に折り畳まれ、かつ第3折り目FL3によって折り畳まれていない第3折り状態の包装体110を示している。
【0099】
使用者は、次いで、包装シート100を本体粘着部71から剥がす(展開工程2)。より詳細には、図13に示すように、第2折り目FL2を中心として包装シート100の前端縁100Fを回転方向X131に移動し、包装シート100を本体粘着部71から離れるように移動させる。このとき、本体剥離シート75は、本体固定部91によって包装シート100に接合されているため、包装シート100と共に移動する。図13において、展開工程2における包装シート100及び本体剥離シート75を一点鎖線で示す。
【0100】
使用者は、第2折り目FL2の近傍まで包装シート100を本体粘着部71から剥がした後に、第1折り目FL1を中心として包装シート100を回転方向X132に移動し、包装シート100を本体粘着部71から離れるように移動させる(展開工程3)。図13において、展開工程3における包装シート100及び本体剥離シート75を実線で示す。
【0101】
図14に示すように、使用者は、次いで、包装シート100及び吸収性物品1を、第2折り目FL2を基点に展開する(展開工程4)。展開工程4では、第3折り状態から第2折り状態に包装体110を展開する。第2折り目FL2を基点に折り畳まれた第3折り状態において、包装シート100とフラップ剥離シート76は、フラップ固定部92を介して接合されている。よって、第3折り状態から第2折り状態に包装体110を展開すると、包装シート100を介してフラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れる方向に引っ張られる。より詳細には、使用者は、第2折り目FL2を中心として包装シート100を回転方向X14に移動する。これにより、図14に示すように、包装シート100、本体部2、及びフラップ剥離シート76が回転方向X14に移動し、フラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れるように移動する。図14は、包装シートと共にフラップ剥離シートが回転方向に移動し、フラップ剥離シートがウイング粘着部72から離れた状態である。
【0102】
使用者は、更に包装シート100を更に引っ張り、包装シート100及び吸収性物品1が第2折り目FL2を基点に折り畳まれてなく、展開した状態にする(展開工程5)。図15に示す状態では、フラップ剥離シート76のみが第2折り目FL2において折られており、その他の部材は、第2折り目FL2において折られていない第1折り状態である。この状態で、フラップ剥離シート76は第2領域R12に位置するヒップフラップ粘着部73に接している。図15に示す断面では、ヒップフラップ粘着部73は現れないが、ヒップフラップ粘着部73に対応する位置を仮想的に示している。
【0103】
使用者は、次いで、図16に示すように、第1折り目FL1を基点に包装シート100を回転方向X161に移動する(展開工程6)。このとき、包装シート100を挟んで配置された本体剥離シート75及びフラップ剥離シート76は、第1折り目FL1を基点に、回転方向X161に移動する。第1領域R11において、本体剥離シート75は、本体粘着部71から剥離する。このとき、第2折り目FL2よりも後端縁側に位置するフラップ剥離シート76は、第2領域R12のヒップフラップ粘着部73に接している。そのため、使用者が、更に包装シート100を引っ張ると、包装体110は、第1折り目FL1を基点に回転方向X162(図16)及び回転方向X17(図17)に移動する(展開工程7)。図17は、包装シート100及び吸収性物品1の第1折り目FL1よりも後端縁側の領域が、第1折り目FL1を基点に回転方向X17に移動している状態を示している。使用者は、包装シート100とともに本体剥離シート75及びフラップ剥離シート76を剥がし、本体粘着部71、ウイング粘着部72及びヒップフラップ粘着部73を露出させることができる。このような展開方法によれば、使用者が、タグテープ102付近の包装体110と吸収性物品1の前端縁近傍を持って展開し始め、展開が完了するまで手を持ち直さずに、包装シート100と吸収性物品を分離できる。
【0104】
上述の展開工程4は、使用者によっては、第1折り目FL1近傍において包装シート100及び吸収性物品1を把持し、第2折り目FL2を基点として第1折り目FL1近傍の包装体を回転方向に移動することができる。このように展開すると、包装シート100を展開する力がフラップ固定部92に伝わりやすく、ウイング粘着部72からフラップ剥離シート76を容易に引き剥がすことができる。
【0105】
しかし、使用者によっては、上述の展開工程4のように、その前の展開工程3に継続して、包装シート100の前端縁100F側を把持して、包装シート100を引っ張って展開する。具体的には、例えば、一方の手で吸収性物品1の前端縁1Fを把持し、他方の手で、包装シート100の前端縁100Fを把持し、第1折り目FL1と吸収性物品1の前端縁1Fの間の領域において、包装シート100を本体粘着部71から剥がし(展開工程3)、そのまま包装シート100及び吸収性物品1を把持して、包装シート100を介して第1折り目FL1に対して力をかけ、包装体110を展開する(展開工程4)。本実施の形態に係る吸収性物品の包装体110は、このように、展開工程4において包装シート100を把持して、包装体110を展開する際に、本体剥離シート75を本体粘着部71から容易に剥がすとともに、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥がすことができるように構成されている。
【0106】
上述にて説明したように、展開工程4において、包装シート100を介して第1折り目FL1に対して力をかけると、包装体110は、第2折り目FL2を中心として第1折り目FL1側が回転方向X14(図14)に移動し、当該移動に伴って包装シート100と共にフラップ剥離シート76が回転方向X14に移動し、第3領域R13においてフラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れる。
【0107】
この第2折り目FL2側を中心として第1折り目FL1側を回転方向X14に移動させる際は、包装シート100のみならず、吸収性物品1全体を回転方向に移動させる必要がある。包装シート100のみに力をかけても、吸収性物品1が回転方向X14に移動しないと、包装シート100のみが前後方向Lに移動する力がかかり、フラップ固定部92を介してフラップ剥離シート76をウイング粘着部72から離れる方向に引っ張ることができない。その結果、フラップ剥離シート76に接するウイング粘着部72によってせん断応力が発生し、第3領域R13においてフラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れ難くなるおそれがある。
【0108】
本実施の形態に係る包装体110では、包装シート100に掛かった力は、本体固定部91を介して本体剥離シート75に伝わる。本体剥離シート75は、本体粘着部71と接しており、吸収性物品1に力を伝え易いためである。使用者が、包装シート100を介して第1折り目FL1側を回転方向X14に向けて力をかけると、本体固定部91を介して本体剥離シート75に力が伝わり、吸収性物品1の第1折り目FL1側が回転方向X14に移動し易い。
【0109】
本体固定部91は、フラップ固定部92と厚さ方向Tに重なっている。そのため、本体固定部91を介して包装シート100から本体剥離シート75及び吸収性物品1に力を伝えるとともに、包装シート100及び本体剥離シート75が回転方向X14に移動する際に、フラップ剥離シート76も回転方向X14に移動し易く、フラップ剥離シート76を容易にウイング粘着部72から剥がすことができる。よって、本体剥離シート75を本体粘着部71から容易に剥がすとともに、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥がすことができる。
【0110】
本体固定部91及びフラップ固定部92は、包装体110が第1折り目FL1及び第2折り目FL2を基点に折り畳まれた第3折り状態において、第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向Lの中心よりも第1折り目FL1側に配置されてよい。第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向Lの中心は、第3領域R13の前後方向の中心となる。本体固定部91及びフラップ固定部92が展開工程4における回転軸となる第2折り目FL2から離れていることにより、当該展開工程4において、第2折り目FL2を中心として第1折り目FL1側が回転方向に移動し易くなる。なお、本体固定部91の少なくとも一部及びフラップ固定部92の少なくとも一部が、第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向Lの中心よりも第1折り目FL1側に配置されていればよい。より好適には、本体固定部91及びフラップ固定部92は、第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向Lの中心よりも第1折り目FL1側に偏倚していることが好ましい。
【0111】
フラップ固定部92は、包装体110が第1折り目FL1及び第2折り目FL2を基点に折り畳まれた第3折り状態において、厚さ方向Tにおいて、一対のウイング粘着部72の間の領域に重なってよい。展開工程4においてフラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れるように移動する際に、フラップ剥離シート76におけるフラップ固定部92に接する領域が先に移動し、フラップ剥離シート76におけるウイング粘着部72に接する領域が追従して移動する。ウイング粘着部72とフラップ固定部92が重なっていないためである。図18及び図20に示すように、各ウイング3の先端が各ウイングの根元を基点として回転方向X18に移動し、吸収性物品1の肌対向面側T1から立ち上がる。一対のウイング3及び本体部2によって略三角形の空間を囲むように配置される。
【0112】
ウイング3及び本体部2が三角形を構成するように配置された状態では、フラップ剥離シート76の幅方向Wの中央(フラップ固定部92と重なる部分)が包装シート100側に引っ張られ、フラップ剥離シート76は、湾曲している。しかし、フラップ剥離シート76は、包装シート100とともに引っ張られることにより、平面状態を維持しようとする。そのため、展開工程4において、ウイング3の先端がウイングの根元から立ち上がるように変形した状態でフラップ剥離シート76が移動することにより、第1折り状態におけるウイング粘着部72の外側縁がフラップ剥離シート76から剥離し始める。フラップ剥離シート76が徐々にウイング粘着部72から離れ、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離することができる。
【0113】
フラップ固定部92の幅方向Wの長さは、本体固定部91の幅方向Wの長さよりも短くてよい。展開工程4において各ウイング3の先端がウイング3の根元に対して立ち上がるように変形した際に、各ウイングの先端を本体部2の幅方向Wの中心側により引っ張り、ウイング3の立ち上がり角度を大きくすることができる。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72からより容易に剥離することができる。
【0114】
他の形態において、フラップ固定部92の幅方向Wの長さは、本体固定部91の幅方向Wの長さよりも長くてよい。展開工程4において、フラップ固定部92を介してフラップ剥離シート76を幅方向に広い範囲で展開方向に引っ張ることができる。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離することができる。
【0115】
フラップ固定部92は、一対のウイング粘着部72の間の領域において、ウイング粘着部72と幅方向において離間して配置されてよい。展開工程4において各ウイング3の先端がウイング3の根元に対して立ち上がるように変形した際に、ウイング3の立ち上がり角度をより大きくすることができる。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72からより容易に剥離することができる。
【0116】
第1ウイング粘着部721の前端縁は、第2ウイング粘着部722の前端縁よりも後側に配置されてよい。ウイング粘着部72の第2端縁側の縁である前端縁は、展開工程4における展開基点となる第2折り目FL2から離れる側となる。ウイング3の根元側に位置する第2ウイング粘着部722が、ウイング3の先端側に位置する第1ウイング粘着部721よりも第2折り目FL2から離れる側まで延びている。ウイング3が本体部2の肌対向面側に折り畳まれた第1折り状態において幅方向の内側に位置するウイング粘着部の前後方向の長さが短い。そのため、各ウイング3の先端が各ウイング3の根元に対して立ち上がるように変形する際に、ウイング3の根元側よりもウイング3の先端側が先に立ち上がり易い。ウイング3の立ち上がり角度を大きくし、ウイング粘着部72の外側縁とフラップ剥離シート76を徐々に剥離させ、より容易にフラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離することができる。
【0117】
また、低目付部34の第2側低目付領域R41は、第2折り目FL2よりも前端縁側において前後方向Lに延びてよい。第2折り目FL2よりも前端縁側の領域の吸収コア31は、第2側低目付領域R41によって前後方向Lに延びる変形基点が形成され、幅方向Wに曲がり易くなる。よって、展開工程4において、フラップ剥離シート76及びウイング粘着部72を介してウイング3が引っ張られた際に、第2折り目FL2よりも前端縁側の領域の幅方向Wの中心がフラップ剥離シート76から離れるように変形する。第2折り目FL2よりも前端縁側の領域の吸収コア31が湾曲形状に変形する。これにより、図18に示すように、第2折り目FL2よりも前端縁側の領域に位置するウイング3の根元が幅方向Wの内側に移動し、ウイング3の立ち上がり角度が大きくなる。よって、各ウイングの先端が各ウイングの根元を基点として立ち上がり、一対のウイング3及び本体部2によって略三角形の空間を囲むように配置される。上述のように、第1折り状態におけるウイング粘着部72の外側縁がフラップ剥離シート76から剥離し始める。フラップ剥離シート76が徐々にウイング粘着部72から離れ、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離することができる。
【0118】
また、低目付部34の前後低目付領域R42は、展開状態における第1折り目FL1よりも後端縁側の第1領域R11に設けられていなくてよい。展開工程4において、第2折り目FL2を基点に展開する際は、第2折り目FL2よりも前端縁側の領域に対して、第2折り目FL2よりも第1折り目FL1側の領域を回転方向に移動させる。このとき、第1折り目FL1とフラップ固定部92の間の領域が幅方向の内側に変形し難いことにより、相対的に第2折り目FL2よりも前端縁側の領域が幅方向の内側に変形し易くなる。よって、フラップ剥離シート76及びウイング粘着部72を介してウイング3が引っ張られた際に、ウイングの根元が幅方向Wの内側に移動し、ウイング3の立ち上がり角度が大きくなり易い。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離することができる。
【0119】
他の形態において、前後低目付領域R42は、第2領域R12にも設けられていなくてよい。第1領域R11及び第2領域R12の両方に前後低目付領域R42が設けられていないことにより、展開工程4において、第2折り目FL2よりも第1端縁側の領域がより変形し難くなり、相対的に第2折り目FL2よりも前端縁側の領域が幅方向Wの内側に変形し易くなる。よって、ウイング3の立ち上がり角度がより大きくなり、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離することができる。
【0120】
第2側低目付領域R41及びフラップ固定部92は、包装体110が第1折り目FL1及び第2折り目FL2を基点に折り畳まれた第3折り状態において、第2折り目FL2と第1折り目FL1の前後方向Lの中心よりも第1折り目FL1側に配置されてよい。第2折り目FL2を基点に展開する際の回転軸となる第2折り目FL2からフラップ固定部92が離れていることにより、当該展開時において、包装シート100を引っ張ることによって、フラップ剥離シート76を展開方向に移動させ易くなる。このとき、第2側低目付領域R41による変形基点が第1折り目FL1側に設けられているため、当該第1折り目FL1側においてウイング3の立ち上がり角度をより大きくできる。
【0121】
低目付部34の第1側低目付領域R43は、展開状態の第1折り目FL1とフラップ固定部92の間の領域において、第1折り目FL1側に向かって幅方向Wの外側に延びてよい。第1折り目FL1とフラップ固定部92の間の領域に、第1折り目FL1側に向かって幅方向Wの外側に延びる変形基点が形成される。厚さ方向の断面視にて、フラップ固定部92よりもフラップ剥離シート側の吸収コア31は、第1側低目付領域R43による変形基点によってフラップ固定部92から第1折り目FL1に向かって幅方向Wの外側に延びる変形基点が形成される。よって、展開工程4において包装シート100を介してフラップ剥離シート76を引っ張った際に、フラップ剥離シート76にも、フラップ固定部92から第1折り目FL1に向かって幅方向Wの外側に延びる変形基点が形成される。フラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離間するように変形し、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離させることができる。
【0122】
本実施の形態の包装体は、第4展開状態において、フラップ粘着部としてのウイング粘着部72が意図せずに接着する不具合を抑制できるように構成されている。具体的には、折り返し部622の外側縁622Eは、吸収コア31よりも幅方向の外側に配置されてよい。収縮部62の折り返し部622は、防漏弾性部材61を有しており、中央域S3において延出部621の内側縁を基点に幅方向の外側かつ着用者側に起立する。
【0123】
図21に示すように、ウイング3がフラップ折り目FL5を基点に折り返された状態では、フラップ折り目FL5を挟んで配置されたウイング3と本体部2との間に、防漏ギャザー60が配置されている。そのため、当該折り返された状態におけるウイング3の内面(展開状態の肌対向面側)は、折り返し部622の外側縁622Eと対向して配置されている。図22に示すように、展開工程4において、ウイング3がフラップ剥離シート76と共に引っ張られて幅方向Wの内側(X221)に移動した際に、ウイング3の内面に折り返し部622の外側縁622Eが当たり、ウイング3の幅方向の内側への移動を規制できる。図22は、ウイング3の内面に折り返し部622の外側縁622Eが当たった状態を示している。折り返し部622の外側縁622Eは、吸収コア31よりも幅方向の外側に位置しており、吸収コア31の外側縁31E近傍においてウイング3を幅方向の外側かつ着用者側に向けて押圧する(X222)。よって、展開工程4におけるウイング3のよれを抑制し、ウイング粘着部72同士がくっついたり、ウイング粘着部72が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0124】
第1基点部63の内側縁63Iは、中央域S3において、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。中央域S3における収縮部62全体の起立支点は、第1基点部63となる。当該第1基点部63の内側縁が吸収コア31よりも幅方向Wの外側に位置するため、ウイング3が幅方向の内側に移動しようとした際に、第1折り状態におけるウイング3の内面に収縮部62が当たり易くなる。よって、フラップ部を幅方向の外側に向けて押圧でき、展開工程4におけるウイングのよれを抑制できる。
【0125】
また、第2基点部64の内側縁64Iは、吸収コア31に重なる領域に配置されてよい。第2基点部64は、前後方向に間隔を空けて一対で設けられており、前後方向Lにおける第2基点部64間の領域は、第2基点部64を基点に起立する。比較的剛性が高い吸収コア31に第2基点部64が重なっていることにより、第2基点部64による起立支点が安定し、前後方向Lにおける第2基点部64の間の領域において収縮部62がより立ち上がり易くなる。
【0126】
フラップ固定部92は、厚さ方向Tにおいて、一対のウイング粘着部72の間の領域に重なっており、ウイング粘着部72と離間してよい。展開工程4において、使用者が包装シート100を引っ張ると、厚さ方向Tにおいてフラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離れる展開方向に移動する(図16のX162、図17のX17)。このとき、ウイング粘着部72は、幅方向Wにおいてフラップ固定部92と離間しているため、フラップ固定部92とともに展開方向に移動し難く、平面状態を維持し易い。よって、展開工程4において、フラップ剥離シート76がウイング粘着部72から剥離し易く、ウイング粘着部同士がくっついたり、ウイング粘着部72が意図しない領域にくっついたりする不具合を抑制できる。
【0127】
防漏ギャザー60の防漏非接合部66は、展開状態において、折り返し部922の外側縁622Eに到達してよい。折り返し部622の外側縁は、延出部621に接合されずに、延出部621に対して起立する。折り返し部622が幅方向Wの外側かつ着用者側により起立し易くなり、ウイング3を幅方向の外側に向けて押圧し、ウイング3の幅方向Wの内側への移動を規制できる。
【0128】
防漏接合部65の外側縁65Eは、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの外側に配置されてよい。第2基点部64と重なる領域における折り返し部622の起立支点は、防漏接合部65の外側縁65Eとなる。折り返し部622の起立支点が吸収コア31よりも幅方向Wの外側に位置するため、折り返し状態のウイング3が幅方向Wの内側に移動しようとした際に、ウイングの内面に収縮部62が当たり易い。ウイング3を幅方向の外側に向けて押圧し、ウイング3の幅方向の内側への移動を規制できる。
【0129】
防漏弾性部材61は、第1折り状態において、フラップ剥離シート76よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。第1折り状態におけるフラップ剥離シート76よりも幅方向Wの外側の領域は、フラップ剥離シート76によって覆われてなく、その剛性が低く、変形し易い。当該領域に、折り返し部622の防漏弾性部材61を設けることにより、比較的剛性が低い領域におけるウイング3の幅方向の内側への移動を抑制できる。
【0130】
中央域S3には、低目付部34が設けられてよい。具体的には、中央域S3には、少なくとも前後方向に延びる第1低目付部341が設けられている。当該低目付部34は、幅方向の中央が前側に向かって突出した湾曲形状であり、前後方向Lに延びている。中央域S3の吸収コア31は、第1低目付部341を基点に曲がり易くなる。より詳細には、図22に示すように、フラップ剥離シート76及びウイング粘着部72を介してウイング3が引っ張られた際に、吸収コア31の幅方向Wの中心がフラップ剥離シート76から離れるように湾曲形状に変形する。これにより、図18及び図22に示すように、第2折り目FL2よりも前端縁側の領域に位置するウイング3の根元が幅方向Wの内側に移動する。
【0131】
よって、展開工程4において、ウイング3の根元が幅方向Wの内側に移動しつつフラップ剥離シート76が展開方向に移動する(図16のX162、図17のX17)。このとき、ウイング3を収縮部62によって幅方向の外側に押圧し、ウイング粘着部72を平面状態で維持しやすい。ウイング粘着部72に皺等が生じることを抑制できる。
【0132】
低目付部34は、厚さ方向Tにおいて、一対のウイング粘着部72の間の領域に重なってよい。中央域S3の吸収コア31は、一対のウイング粘着部72の間において低目付部34を基点に曲がり易くなる。よって、フラップ剥離シート76を介してウイング粘着部72が引っ張られた際に、ウイング3がより立ち上がり易くなる。このとき、収縮部62によってウイング3を幅方向Wの外側に押圧し、ウイング粘着部72を平面状態で維持しやすい。よって、ウイング粘着部72に皺等が生じることを抑制しつつ、フラップ剥離シート76を展開方向に移動させ、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離できる。
【0133】
低目付部34は、包装体110の展開状態において、本体粘着部71及びウイング粘着部72に重ならない領域に設けられてよい。本体粘着部71及びウイング粘着部72に重ならない領域は、装着時に下着等に対して接合されず、変形し易い領域である。当該領域に低目付部34を設けることにより、吸収コア31が低目付部34を基点により変形し易く、ウイング3がより立ち上がり易くなる。フラップ剥離シート76とウイング3が展開方向に離れ易くなり、ウイング3のよれを抑制しつつ、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離できる。
【0134】
本実施の形態の包装体は、第4展開状態において、吸収性物品の捻じれを吸収できるように構成されている。具体的には、第2側低目付領域R41は、展開状態におけるフラップ固定部92よりも前端縁側の領域において、幅方向Wに延びてよい。第2折り目FL2を基点に展開する際に、使用者によっては、吸収性物品1の前端縁1Fに対して略垂直に包装シート100を引っ張り難いことがある。一方の手で吸収性物品1の前端縁1Fを把持し、他方の手で包装シート100を引っ張ると、包装シート100を介して力がかかるフラップ固定部92が斜めに引っ張られ、フラップ固定部92と吸収性物品1の前端縁1Fとの間の領域の本体部2に捻じれが生じる。フラップ固定部92と吸収性物品1の前端縁1Fとの間の領域の本体部2に捻じれが生じると、フラップ剥離シート76とウイング粘着部72が互いに剥離する方向に移動し難くなる。ウイング粘着部72による剪断応力が生じ、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から円滑に剥離できないおそれがある。
【0135】
第2側低目付領域R41がフラップ固定部92よりも前端縁1F側の領域において幅方向Wに延びていることにより、第2側低目付領域R41によって本体部2の捩れを吸収できる。具体的には、図23に示すように、第1低目付部341による第2側低目付領域R41が変形し、前後方向L及び幅方向Wにおける捻じれを吸収できる。図23は、吸収性物品の平面視における吸収コア31の変形状態を示す図である。図23(a)は、変形前の状態であり、図23(b)は、変形後の状態である。例えば、吸収性物品の前端縁1Fに対して、フラップ固定部92及び包装シート100を介してウイング3が、図21における左側かつ上側に引っ張れると、ウイング3によって挟まれた本体部2には、左側かつ上側に力がかかる。図23(b)に示すように、左側かつ上側に向けて本体部2に力がかかった際に、第1低目付部341が変形する。より詳細には、本体部2の左側の領域に符号X211の力がかかり、本体部の右側に符号X211の力がかかる。これにより、第1低目付部341が変形し、フラップ固定部92及び本体固定部91が左側かつ上側に向けて傾き、フラップ固定部92とウイング粘着部72との捻じれを吸収できる。図24は、展開工程4における包装体110の斜視図であり、第4展開工程においてフラップ固定部92よりも前端縁側の領域の捻じれを吸収した状態を模式的に示している。図24の符号22WCLは、本体部2の幅方向Wの中心を示している。吸収性物品の前端縁に対して包装シートを略垂直に引っ張ることができない場合であっても、第2側低目付領域R41が捻じれを吸収し、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72に対して略垂直に引っ張ることができる。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離させることができる。
【0136】
第2側低目付領域R41は、展開状態におけるフラップ固定部92と第1折り目FL1との間の領域において、幅方向Wに延びてよい。フラップ固定部92と第1折り目FL1との間の領域は、第4展開工程において、展開方向の力がよりかかり易い。フラップ固定部と第1折り目FL1との間の領域に第2側低目付領域R41が設けられていることにより、本体部2の捻じれを吸収する効果をより得やすい。
【0137】
第2側低目付領域R41は、吸収コア31の外側縁に到達してよい。吸収性物品1の前端縁1F側の領域と、フラップ固定部92と重なる領域と、を第2側低目付領域R41によって分断でき、本体部2の捻じれを吸収する効果をより得やすい。
【0138】
本体固定部91は、第1本体固定部911を有してよい。第1本体固定部911は、第1領域R11に設けられており、第1折り目FL1よりも第1端縁側に配置されている。第1折り目よりも後端縁側において包装シート100及び本体剥離シート75が第1本体固定部911において接合されているため、展開工程4において第2折り目FL2を基点に展開するように包装シート100を引っ張った際に、包装シート100及び本体剥離シート75を介して吸収性物品をより展開し易くなる。第1本体固定部911は、図14の回転方向X14に包装体110を移動させる際に、移動させる領域(第2折り目よりも後側の領域)に対して移動方向の外側に位置している。よって、移動させる領域全体に力を掛けやすくなり、より円滑に回転方向X14に包装体110を移動させ、第2折り目を基点に包装体110を展開できる。
【0139】
本体固定部91は、第1本体固定部911を有し、低目付部34は、第2領域R12に位置する中間低目付領域R44を有してよい。包装シート100にかかる力は、本体固定部91を介して本体剥離シート75に伝わる。本体剥離シート75は、本体粘着部71と接しており、吸収性物品1に力を伝え易い。そのため、第3折り状態において使用者が包装シート100を介して第1折り目FL1に対して力をかけた際に、本体固定部91を介して本体剥離シート75に力が伝わり、第2折り目FL2を中心として本体部2の第1折り目側が回転方向X162、X17(図16及び図17)に移動し易い。第3折り状態から本体部2の第1折り目側が第2折り目FL2を中心として回転方向に移動する際に、第2領域R12の吸収コア31が中間低目付領域R44を基点に変形する。第2領域R12の吸収コア31が変形することにより、フラップ剥離シート76が第2領域R12の吸収コア31に追従して変形し、フラップ剥離シート76がウイング粘着部72から離間するように変形する。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離させることができる。中間低目付領域R44は、第2領域R12の吸収コア31が変形し易く構成されていればよく、幅方向に延びていてもよいし、前後方向に延びていてもよい。より好ましくは、本実施の形態のように、中間低目付領域R44は、幅方向に対して延び、かつ前後方向に対しても延びてよい。すなわち、中間低目付領域R44は、幅方向に対して傾斜し、かつ前後方向に対しても傾斜してよい。このような構成によれば、第2領域R12の吸収コアが前後方向においても幅方向においても曲がり易く、ウイング粘着部72から離間するようにフラップ剥離シート76がより変形し易くなる。
【0140】
本体固定部91は、第1本体固定部911と、第2本体固定部912と、を有してよい。第2本体固定部912は、包装体の展開状態において第1折り目FL1と第2折り目FL2の間の第2領域R12に配置されている。第1領域R11と第2領域R12の両方において包装シート100及び本体剥離シート75が本体固定部91によって接合されている。第2折り目FL2を基点に展開するように包装シート100を引っ張った際に、第1折り目FL1を挟んだ両側に力をかけることができ、包装シート100及び本体剥離シート75を介して吸収性物品をより展開し易くなる。
【0141】
第1本体固定部911と第2本体固定部912は、第3折り状態で厚さ方向Tにおいて重なってよい。第1本体固定部911の少なくとも一部と第2本体固定部912の少なくとも一部が重なっていればよい。展開工程4において、第1本体固定部911及び第2本体固定部912によって第1折り目を挟んだ両側に力をかける際に、当該力が伝達し易くなり、包装シート及び本体剥離シートを介して吸収性物品をより展開し易くなる。
【0142】
第3折り目FL3よりも吸収性物品1の前端縁1F側には、高目付部33と中目付部35の境界が幅方向Wに延びてよい。高目付部33と中目付部35の境界は、高目付部33の幅方向の外側縁と高目付部33の前後方向Lの端縁とに設けられている。このうち、前側に位置する高目付部33と中目付部35の境界が、第3折り目FL3よりも前側において幅方向Wに延びてよい。高目付部33と中目付部35の境界は、吸収材料の目付差による剛性差が生じ、変形し易い。高目付部33と中目付部35の境界によって、展開工程4における本体部2の捩れを吸収できる。第3折り目FL3よりも前側の領域は、包装体のタグテープ102等の一方の手で包装体を把持する部分に近い。よって、包装体110を把持する部分に近い領域において本体部2の捩れを吸収することができる。吸収性物品の前端縁に対して包装シート100を略垂直に引っ張ることができない場合であっても、高目付部33と中目付部35の境界が捻じれを吸収し、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72に対して略垂直に引っ張ることができる。よって、フラップ剥離シート76をウイング粘着部72から容易に剥離させることができる。
【0143】
高目付部33と中目付部35の境界による捻れを吸収する効果をより得るために、高目付部33と中目付部35の境界よりも前側に、幅方向Wに延びる低目付部34を設けてもよい。高目付部33と中目付部35の境界による剛性差と、低目付部の変形と、によって本体部2の捩れを吸収することができる。
【0144】
また、高目付部33と中目付部35の境界による捻れを吸収する効果をより得るために、高目付部33と中目付部35の境界よりも前側に、粘着部70が設けられてない非粘着部を幅方向に延びるように設けてもよい。非粘着部は、装着時に下着等に対して接合されず、変形し易い領域である。幅方向Wに延びる非粘着部を設けることにより、本体部2の非粘着部と重なる領域が変形し、本体部2の捩れを吸収することができる。幅方向に延びる非粘着部は、幅方向に延びる粘着部が前後方向に間隔を空けて配置される形態にあっては、前後方向における粘着部間の領域であってよい。
【0145】
高目付部33と中目付部35の境界、幅方向に延びる低目付部34、及び非粘着部は、少なくともいずれか1つ設けられていてもよいし、これらが組み合わされて設けられていてもよい。また、高目付部33と中目付部35の境界、幅方向に延びる低目付部34、及び非粘着部は、吸収コア31の外側縁に到達していてもよいし、吸収コア31の外側縁に到達していなくてもよい。
【0146】
また、第1圧搾部81は、第2側低目付領域R41を構成する第1低目付部431に重なっている。第1圧搾部81によって、変形による第1低目付部431の型崩れを抑制でき、吸収コア31の変形を持続できる。また、第2側低目付領域R41と第1圧搾部81が重なる領域は、周囲の吸収コア31に対してより剛性差が生じ易く、より変形基点となり易い。よって、包装体の展開時に吸収コア31を変形させて、より円滑にフラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離させることができる。
【0147】
同様に、第2圧搾部82は、第2側低目付領域R41及び中間低目付領域R44を構成する第2低目付部432に重なっている。第2圧搾部82によって、変形による第2低目付部432の型崩れを抑制でき、吸収コア31の変形を持続できる。また、中間低目付領域R44と第2圧搾部82が重なる領域は、周囲の吸収コア31に対して剛性差が生じ易く、より変形基点となり易い。よって、包装体の展開時に吸収コア31を変形させて、より円滑にフラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離させることができる。
【0148】
同様に、第3圧搾部83は、中間低目付領域R44を構成する第3低目付部433に重なっている。第3圧搾部83によって、変形による第3低目付部433の型崩れを抑制でき、吸収コア31の変形を持続できる。また、中間低目付領域R44と第3圧搾部83が重なる領域は、周囲の吸収コア31に対して剛性差が生じ易く、より変形基点となり易い。よって、包装体の展開時に吸収コア31を変形させて、より円滑にフラップ剥離シート76をウイング粘着部72から剥離させることができる。
【0149】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明によれば、フラップ粘着部が意図せずに接着する不具合を抑制できる吸収性物品の包装体を提供できる。
【符号の説明】
【0151】
110 :包装体
1 :吸収性物品
2 :本体部
3 :ウイングフラップ部(フラップ部)
4 :ヒップフラップ部
10 :表面シート
15 :サイドシート
20 :裏面シート
31 :吸収コア
34 :低目付部
341 :第1低目付部
342 :第2低目付部
343 :第3低目付部
345 :前後低目付部
60 :防漏ギャザー
61 :防漏弾性部材
62 :収縮部
621 :延出部
622 :折り返し部
63 :第1基点部
64 :第2基点部
65 :防漏接合部
66 :防漏非接合部
70 :粘着部
71 :本体粘着部
72 :ウイング粘着部(フラップ粘着部)
721 :第1ウイング粘着部
722 :第2ウイング粘着部
73 :ヒップフラップ粘着部
75 :本体剥離シート
76 :フラップ剥離シート
91 :本体固定部
911 :第1本体固定部
912 :第2本体固定部
913 :第3本体固定部
914 :第4本体固定部
92 :フラップ固定部
100 :包装シート
102 :タグテープ
110 :包装体
FL1 :第1折り目
FL2 :第2折り目
FL3 :第3折り目
FL5 :フラップ折り目
L :前後方向
R11 :第1領域
R12 :第2領域
R13 :第3領域
R14 :第4領域
R41 :第2側低目付領域
R42 :前後低目付領域
R43 :第1側低目付領域
R44 :中間低目付領域
T :厚さ方向
T1 :肌対向面側
T2 :非肌対向面側
W :幅方向
図1
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