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特許7134078光ケーブルの布設方法及び光ケーブル布設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】光ケーブルの布設方法及び光ケーブル布設構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/48 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
G02B6/48
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018227151
(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2020091347
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】磯部 竜也
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075199(JP,A)
【文献】特開2008-216787(JP,A)
【文献】特開2011-059607(JP,A)
【文献】特開2008-224998(JP,A)
【文献】米国特許第04467138(US,A)
【文献】特開2012-234079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46-6/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロージャと、
前記クロージャから引き出されて、引き落とし部まで布設される光ケーブルと、
前記光ケーブルを支持する電柱間において、前記光ケーブルを支持するスパイラルハンガと、
前記電柱間に張られたメッセンジャワイヤと、
を具備する光ケーブル布設構造において、
前記引き落とし部と、前記クロージャまでの間の、前記スパイラルハンガに、新たな光ケーブルを配置する工程と、
前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルを切断して、前記新たな光ケーブルを接続する工程と、
前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間の既設の前記光ケーブルを切断して、前記新たな光ケーブルを接続する工程と、
を具備し、
前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間に、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部を配置し、
既設の前記光ケーブルおよび前記新たな光ケーブルは、支持線付きの光ケーブルであり、
前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルの前記支持線の一端は前記メッセンジャワイヤに設置される引留具にそれぞれ固定され、
既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部は、前記支持線を含まないことを特徴とする光ケーブルの布設方法。
【請求項2】
前記新たな光ケーブルの支持線の他端が前記クロージャに接続されることを特徴とする請求項1記載の光ケーブルの布設方法。
【請求項3】
前記新たな光ケーブルは、前記クロージャから前記引き落とし部までの既設の前記光ケーブルよりも長さが長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ケーブルの布設方法。
【請求項4】
前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部は、保護チューブによって被覆され、前記保護チューブは、目印を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ケーブルの布設方法。
【請求項5】
前記電柱の少なくとも一部の移設又は交換に伴い、移設又は交換後の光ケーブル布設長が既設の光ケーブル布設長よりも長くなる際に、既設の前記光ケーブルを、既設の前記光ケーブルよりも長い前記新たな光ケーブルに交換することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の光ケーブルの布設方法。
【請求項6】
クロージャと、
前記クロージャから引き出されて、引き落とし部まで布設される光ケーブルと、
前記光ケーブルを支持する電柱間において、前記光ケーブルを支持するスパイラルハンガと、
前記電柱間に張られたメッセンジャワイヤと、
を具備し、
前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間に前記光ケーブルの接続部が位置し、
前記光ケーブルは支持線付きの光ケーブルであり、
前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、前記接続部で接続されるそれぞれの前記光ケーブルの前記支持線の一端は前記メッセンジャワイヤに設置される引留具にそれぞれ固定され、
前記接続部は、前記支持線を含まないことを特徴とする光ケーブル布設構造。
【請求項7】
前記それぞれの前記光ケーブルのうち、前記スパイラルハンガ側の前記光ケーブルの前記支持線の他端が、前記クロージャに接続されることを特徴とする請求項6記載の光ケーブル布設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の光ケーブルの一部を交換する光ケーブルの布設方法及び光ケーブル布設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建屋に対して光ケーブル等を布設するためには、屋外に設けられる電柱近傍に形成されるクロージャで光ケーブルを分岐し、各建屋に対して光ケーブルが引き落とされる。
【0003】
図6は、光ケーブル布設構造100を示す概念図である。電柱11に布設された幹線ケーブルは、電柱11近傍に形成されたクロージャ3に導入される。クロージャ3では、必要な光ファイバが分岐され、支持線付光ケーブル1に接続されて、引き落とし部5において、建屋5aに引き落とされる。なお、支持線付光ケーブル1は、例えば、支持線と光ファイバ心線とを有する自己支持型のドロップケーブルである。
【0004】
クロージャ3から分岐、接続された支持線付光ケーブル1は、電柱11の近傍において支持線が分離され、引留具等によって電柱11に引き留められる。しかし、電柱11の使用形態の制約によっては引留具等を使用することができず、図6に示すように、クロージャ3から建屋5aまで1本の支持線付光ケーブル1が布設されることがある。この場合、電柱11間においては、支持線付光ケーブル1は、スパイラルハンガ9によってメッセンジャワイヤ(吊線)7に支持され、電柱11近傍では縛りヒモ等でメッセンジャワイヤ7に固定された後、電柱11を橋渡すように布設される。
【0005】
図7(a)は、図6のX部における平面概念図である。前述したように、支持線付光ケーブル1を布設した当初においては、クロージャ3から引き落とし部5までの間に支持線付光ケーブル1の接続部を形成する必要はない。しかし、例えば、電柱11の更新を行う場合などには、図7(b)に示すように、対象となる電柱11の近傍に仮設の電柱11aを設置し、支持線付光ケーブル1を載せ替える(図中矢印Y)必要がある。
【0006】
このような場合において、支持線付光ケーブル1の布設ライン長が長くなる場合には、光ケーブルの長さが足りなくなる恐れがある。したがって、図7(c)に示すように、支持線付光ケーブル1の一部を切断し、光ケーブル追加範囲13において、新たに追加の光ケーブルを接続する必要がある。
【0007】
この場合には、光ケーブル同士の接続部14は、他の部位と比較して張力や曲げに対して弱点となり得るため、各種の補強等が施される(例えば特許文献1、2)。また、接続部14は、支持線同士の接続部と光ケーブル(光ファイバ)同士の接続を含む。このため、接続部14は、通常、他の部位と比較して外径が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-159932号公報
【文献】特開2006-65170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、支持線付光ケーブル1の一部に新たな光ケーブルを継ぎ足すと、接続部14がスパイラルハンガ9の内部に位置することとなる。しかし、スパイラルハンガ9内部に接続部14が位置すると、接続部14がスパイラルハンガ9に引っ掛かるなどして、接続部14が損傷するおそれがある。また、他の光ケーブルをスパイラルハンガ9に挿通する際に、この接続部14との接触によって、当該光ケーブルが損傷するおそれがある。さらに、接続部14が太いため、複数の接続部14がスパイラルハンガ9内に配置されると、新たな光ケーブルを挿通すること自体が困難となるおそれがある。
【0010】
一方、接続部15を形成しない方法としては、クロージャ3から建屋5aまでの既設の支持線付光ケーブル1を全て交換する方法がある。しかし、この方法では、作業者が建屋5a内に入る必要があるため、建屋5aの管理者・住人等との時間調整が必要となり、作業が非効率的である。また、クロージャ3内に引き込まれている幹線ケーブルの端末に新たに光ケーブルを接続しようとすると、クロージャ内において、接続に必要な光ファイバの余長が必要となるが、必ずしもクロージャ3内部に、十分な余長がある訳ではなく、光ファイバの接続長さが確保できない場合がある。また、施工時にクロージャ3に接続されている他の光ファイバ等へ悪影響を及ぼしてしまうおそれもある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、既設の光ケーブルを交換する際に、接続部がスパイラルハンガ内に位置することを防止することが可能であり、他の光ケーブルへの影響を小さく留めつつ、容易に光ケーブルを交換可能な光ケーブルの布設方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために第1の発明は、クロージャと、前記クロージャから引き出されて、引き落とし部まで布設される光ケーブルと、前記光ケーブルを支持する電柱間において、前記光ケーブルを支持するスパイラルハンガと、前記電柱間に張られたメッセンジャワイヤと、を具備する光ケーブル布設構造において、前記引き落とし部と、前記クロージャまでの間の、前記スパイラルハンガに、新たな光ケーブルを配置する工程と、前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルを切断して、前記新たな光ケーブルを接続する工程と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間の既設の前記光ケーブルを切断して、前記新たな光ケーブルを接続する工程と、を具備し、前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間に、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部を配置し、既設の前記光ケーブルおよび前記新たな光ケーブルは、支持線付きの光ケーブルであり、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルの前記支持線の一端は前記メッセンジャワイヤに設置される引留具にそれぞれ固定され、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部は、前記支持線を含まないことを特徴とする光ケーブルの布設方法である。
【0013】
前記新たな光ケーブルは、前記クロージャから前記引き落とし部までの既設の前記光ケーブルよりも長さが長くてもよい。
【0014】
前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、既設の前記光ケーブルと前記新たな光ケーブルとの接続部は、保護チューブによって被覆され、前記保護チューブは、目印を有していてもよい。
【0015】
前記電柱の少なくとも一部の移設又は交換に伴い、移設又は交換後の光ケーブル布設長が既設の光ケーブル布設長よりも長くなる際に、既設の前記光ケーブルを、既設の前記光ケーブルよりも長い前記新たな光ケーブルに交換してもよい。
【0016】
第1の発明によれば、接続部がスパイラルハンガの内部に位置しないため、スパイラルハンガに他の光ケーブルを挿通する際に、当該接続部によって、他の光ケーブルの挿通の妨げとなったり、他の光ケーブル等が損傷したりすることを防止することができる。
【0017】
特に、新たに追加する光ケーブルが、既設の光ケーブルよりも長ければ、光ケーブルの布設長を延長することができる。
【0018】
また、接続部及び接続部近傍の光ケーブルを保護する保護チューブに目印を設けることで、接続部が配置されていない他の部位における保護チューブと区別することができる。このため、接続部が収容されている保護チューブを取り扱う際に、作業者に注意を促すことができる。
【0019】
このような、光ケーブルの交換方法は、電柱の移設・交換時において、光ケーブルの布設長が長くなるような場合に、特に有効である。
【0020】
第2の発明は、クロージャと、前記クロージャから引き出されて、引き落とし部まで布設される光ケーブルと、前記光ケーブルを支持する電柱間において、前記光ケーブルを支持するスパイラルハンガと、前記電柱間に張られたメッセンジャワイヤと、を具備し、前記クロージャから前記スパイラルハンガへの導入部までの間と、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間に前記光ケーブルの接続部が位置し、前記光ケーブルは支持線付きの光ケーブルであり、前記引き落とし部から前記スパイラルハンガへの導入部までの間において、前記接続部で接続されるそれぞれの前記光ケーブルの前記支持線の一端は前記メッセンジャワイヤに設置される引留具にそれぞれ固定され、前記接続部は、前記支持線を含まないことを特徴とする光ケーブル布設構造である。
【0021】
第2の発明によれば、スパイラルハンガに他の光ケーブルを挿通する際に、接続部によって、他の光ケーブルの挿通の妨げとなったり、他の光ケーブル等が損傷したりすることがない、光ケーブル布設構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、既設の光ケーブルを交換する際に、接続部がスパイラルハンガ内に位置することを防止することが可能であり、容易に光ケーブルを交換可能な光ケーブルの布設方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】支持線付光ケーブル1の布設方法(交換方法)を示すフローチャート。
図2】(a)、(b)は、支持線付光ケーブル1の交換工程を示す図。
図3】(a)、(b)は、支持線付光ケーブル1の交換工程を示す図。
図4】(a)、(b)は、支持線付光ケーブル1の交換工程を示す図。
図5】光ケーブル布設構造30を示す図。
図6】従来の光ケーブル布設構造100を示す図。
図7】(a)、(b)、(c)は、支持線付光ケーブル1の従来の交換工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、既設の支持線付光ケーブル1の敷設方法を示すフローチャートである。本実施形態では、図6に示した光ケーブル布設構造100に対して、例えば、図7に示した電柱の移設・交換の際における光ケーブル交換方法(布設方法)について説明する。
【0025】
前述したように、光ケーブル布設構造100は、クロージャ3と、クロージャ3から引き出されて、利用者等への引き落とし部5まで布設される既設の支持線付光ケーブル1と、支持線付光ケーブル1を支持する複数の電柱11間において、支持線付光ケーブル1を支持するスパイラルハンガ9とからなる。
【0026】
まず、図6に示した光ケーブル布設構造100に対して、クロージャ3と引き落とし部5の間のスパイラルハンガ9に、所定の長さの新たな支持線付光ケーブル20を配置する(ステップ101)。
【0027】
図2(a)は、支持線付光ケーブル20を、支持線付光ケーブル1に沿って、スパイラルハンガ9内へ挿通する(図中矢印A)工程を示す図である。なお、以下の図において、電柱11及び建屋5aの図示を省略する。また、支持線付光ケーブル1及び新たな支持線付光ケーブル20は、例えば通常の自己支持型のドロップケーブルであるが、テンションメンバや外被等の図示及び説明を省略し、内部の支持線及び光ファイバについてのみを図示して説明する。また、以下の説明及び図示において、光ファイバは1本のみの場合を示すが、2本以上の所望の本数を有する光ケーブルであってもよい。
【0028】
支持線付光ケーブル1は、光ファイバを含む光ケーブル1aと、支持線1bとを具備する。支持線1bの引き留め部近傍においては、支持線1bと光ケーブル1aとが分離される。なお、支持線1bが分離され、光ケーブル1aのみとなる部位には、保護チューブ17が配置される。保護チューブ17は、長手方向に沿って割り部を有するチューブであり、光ケーブル1aを被覆して、光ケーブル1aを保護するためのものである。
【0029】
図2(b)は、クロージャ3近傍から、引き落とし部5近傍まで、支持線付光ケーブル20を布設した状態を示す図である。なお、支持線付光ケーブル20は、同一範囲における支持線付光ケーブル1よりも長めに布設される。この状態において、まず、支持線付光ケーブル20のクロージャ3側の端部近傍において、支持線20bと、光ファイバを含む光ケーブル20aとを分離する。
【0030】
次に、クロージャ3からスパイラルハンガ9への導入部の間(図3(a)のB部)において、支持線付光ケーブル1を切断する(ステップ102)。次いで、図3(b)に示すように、クロージャ3から引き出されている既設の支持線付光ケーブル1の光ケーブル1aと、新たに布設した支持線付光ケーブル20の光ケーブル20aとを融着機等を用いて光接続する(ステップ103)。光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15は、例えば融着接続後に補強部材と補強スリーブとで補強される。
【0031】
その後、幹線ケーブル側から支持線付光ケーブル1に信号光を導入し、支持線付光ケーブル20の引き落とし部5側の端部において、信号光を受光する(図中矢印C)。すなわち、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの光接続の状態を確認する(ステップ104)。光接続に問題がある場合には、ステップ103から再度作業をやり直す。
【0032】
次に、図4(a)に示すように、クロージャ3から切断部まで引き出されている既設の支持線付光ケーブル1の支持線1bを撤去し、支持線付光ケーブル20の支持線20bとクロージャ3とを接続して固定する。すなわち、支持線付光ケーブル1と支持線付光ケーブル20の光ファイバ同士が接続される。また、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15近傍の外周には、保護チューブ17aが取り付けられる。保護チューブ17aは、接続部15を含み、光ケーブル1aの露出部の外周に取り付けられる(ステップ105)。
【0033】
なお、保護チューブ17aは、交換前に使用されていた保護チューブ17と同一のものでも良いが、何らかの目印を有するものであることが望ましい。このような目印としては、例えば、通常の保護チューブが黒色であるところ、着色して他の色としてもよく、また、通常とは外径の異なる保護チューブとしてもよい。このような目印を設けることで、内部に接続部15が収容されていることを作業者に対して知らせることができる。
【0034】
次に、引き落とし部5(建屋5a)からスパイラルハンガ9への導入部の間(図4(a)のD1部、D2部)において、支持線付光ケーブル1を切断する。(ステップ106)。次いで、図4(b)に示すように、支持線付光ケーブル20の引き落とし部5側の端部近傍において、支持線20bと光ケーブル20aとを分離し、建屋5aから引き出されている支持線付光ケーブル1の光ケーブル1aと、支持線付光ケーブル20の光ケーブル20aの光ファイバ同士を光接続する(ステップ107)。前述したように、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15は、例えば融着接続後に補強部材と補強スリーブとで補強される。
【0035】
その後、幹線ケーブル側から支持線付光ケーブル1に信号光を導入し、建屋5a内の端末装置において、信号光を受光し、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの光接続の状態を確認する(ステップ108)。光接続に問題がある場合には、ステップ107から再度作業をやり直す。
【0036】
次に、図5に示すように、建屋5aから引き出されている支持線付光ケーブル1の支持線1bと、支持線付光ケーブル20の支持線20bをメッセンジャワイヤ7に設置される引留具で固定する。また、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15近傍の外周には、保護チューブ17bが取り付けられる。保護チューブ17bは、接続部15を含み、光ケーブル1aの露出部の外周に取り付けられる(ステップ109)。
【0037】
最後に、スパイラルハンガ9内の支持線付光ケーブル1を撤去することで、光ケーブル布設構造30を得ることができる。すなわち、スパイラルハンガ9内の支持線付光ケーブル1を支持線付光ケーブル20に交換することができる。なお、撤去される支持線付光ケーブル1に対して、支持線付光ケーブル20の長さを長くした場合には、例えば、引き落とし部5側の接続部15とスパイラルハンガ9への導入部の間において、余長部を丸めて固定する。
【0038】
このようにして得られる光ケーブル布設構造30は、クロージャ3と、クロージャ3から引き出されて、利用者への引き落とし部5まで布設される支持線付光ケーブル1及び支持線付光ケーブル20と、支持線付光ケーブル20を支持する複数の電柱11間において、支持線付光ケーブル20を支持するスパイラルハンガ9から構成される。
【0039】
この際、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15が、スパイラルハンガ9の外側に配置される。すなわち、クロージャ3からスパイラルハンガ9への導入部までの間と、引き落とし部5から前記スパイラルハンガ9への導入部までの間に光ケーブル1aと光ケーブル20aの接続部15が位置する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、スパイラルハンガ9の内部に、光ケーブル1aと光ケーブル20aとの接続部15が配置されることがない。このため、支持線付光ケーブル20がスパイラルハンガ9に対して移動することがなく、他の部位に対して太さが太くなる接続部15が、スパイラルハンガ9に引っかかることがない。例えば、前述したように、電柱11の移設等に伴い、布設ライン長が長くなる場合においても、接続部15がスパイラルハンガ9内を移動することがない。また、接続部15は、支持線1b、20bの接続部を含まず、従来の支持線同士の接続部を含む接続部14(図7(c)参照)と比較しても細径である。このため、接続部15が損傷することがなく、また、接続部15によって、他の光ケーブルの布設の妨げとなることもない。
【0041】
このように、本実施形態は、前述したように、電柱11の少なくとも一部の移設又は交換に伴い、移設又は交換後の光ケーブル布設長が既設の光ケーブル布設長よりも長くなる際において、支持線付光ケーブル1を、支持線付光ケーブル1よりも長い新たな支持線付光ケーブル20に交換するのに特に有効である。なお、布設長が変化しなくても、支持線付光ケーブル1の損傷に伴い、光ケーブルを交換するような場合にも本実施形態は適用可能である。
【0042】
また、接続部15よりもクロージャ3側(図5中E部)と、接続部15よりも建屋5a側(図5中F部)には、支持線付光ケーブル1が残るため、建屋5a内での作業がなく、また、クロージャ3内部の余長も必要ではない。
【0043】
また、接続部15が収容される保護チューブ17a、17bが、他の部位に用いられている保護チューブ17に対して目印を有すれば、作業者に対する注意喚起となる。
【0044】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。特に、本明細書では、電柱の移設に伴って既設の光ケーブル長に不足が生じる場合を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、既設の光ケーブルの交換において広く適用可能なものである。また、本発明の技術的範囲は、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0045】
1………支持線付光ケーブル
1a………光ケーブル
1b………支持線
3………クロージャ
5………引き落とし部
5a………建屋
7………メッセンジャワイヤ
9………スパイラルハンガ
11、11a………電柱
13………光ケーブル追加範囲
14、15………接続部
17、17a、17b………保護チューブ
20………支持線付光ケーブル
20a………光ケーブル
20b………支持線
30、100………光ケーブル布設構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7