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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】フォトポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/02 20060101AFI20220905BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20220905BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20220905BHJP
   C08G 18/71 20060101ALI20220905BHJP
   C08G 18/78 20060101ALI20220905BHJP
   C08G 18/69 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
G03H1/02
C08G18/32 003
C08G18/62 016
C08G18/71 040
C08G18/78
C08G18/69 040
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020520628
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2018015470
(87)【国際公開番号】W WO2019117542
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-04-10
(31)【優先権主張番号】10-2017-0169488
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ホン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ソクフン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヒョン・クォン
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-209319(JP,A)
【文献】特表2013-510333(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0095641(KR,A)
【文献】特表2014-503606(JP,A)
【文献】特表2013-510204(JP,A)
【文献】特表2012-504665(JP,A)
【文献】特表2012-517514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00-5/00
G02B 5/32
C08G 18/32
C08G 18/62
C08G 18/71
C08G 18/78
C08G 18/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を含む高分子マトリックスまたはその前駆体;
光反応性単量体;および
光開始剤;を含み、
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物は、
多重水素結合が可能な水素結合性官能基を含有するヘテロ環化合物;と、1以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物;が結合された構造を有する、ホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項2】
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基は、-OH、-OR、-NH、-NHR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-NR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-COOH基、-COOR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-CONH、-CONR、-NHOH、および-NROR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)からなる群より選択される1価官能基であるか、
-NHCO-、-NRCO-、-O-、-NH-、-NR-、-COO-、-CONHCO-、-CONRCO-、-NH-NH-、-NR-NH-、および-NR-NR-からなる群より選択される2価官能基であり、
前記Rは炭素数1乃至20の脂肪族基、炭素数4乃至20の脂環式基、または炭素数6乃至20の芳香族である、
請求項1に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項3】
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基を含有するヘテロ環化合物は、2-ウレイド-4-ピリミジノン(2-ureido-4-pyrimidinone)、2-ウレイド-4-ピリミジノール(4-ureido-4-pyrimidinol)、2-ウレイド-4-ピリミドン(2-uriedo-4-pyrimidone)、ジアシルピリミジン(diacylpyrimidine)、2,6-ジ(アセチルアミノ)-4-ピリジル(2,6-di(acetylamino)-4-pyridyl)、2,7-ジアミノ-1,8-ナフチリジン(2,7-diamino-1,8-naphthyridine)、アデニン(adenine)、チミン(thymine)、ウラシル(uracil)、グアニン(guanine)シトシン(cytosine)、アデニン-チミン二量体(adenine-thymine dimer)、アデニン-ウラシル二量体(adenine-uracil dimer)、およびグアニン-シトシン二量体(guanine-cytosine dimer)からなる群より選択されるいずれか一つである、
請求項1または2に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項4】
前記1以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物は、1以上のイソシアネート基を含む炭素数1乃至20の脂肪族化合物、1以上のイソシアネート基を含み、炭素数1乃至10の脂肪族基が1以上置換された炭素数4乃至20の脂環式化合物、または1以上のイソシアネート基を含み、炭素数1乃至10の脂肪族基が1以上置換された炭素数6乃至20の芳香族化合物である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項5】
前記2以上のヒドロキシ基を有するポリオールは、1,000g/mol乃至3,000g/molの水酸基当量を有し、
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物に対比して2以上のヒドロキシ基を有するポリオールのモル比が2乃至8である、請求項1から4のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項6】
前記光反応性単量体は、多官能(メタ)アクリレート単量体、または単官能(メタ)アクリレート単量体を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項7】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体1重量%乃至80重量%;前記光反応性単量体1重量%乃至80重量%;および光開始剤0.1重量%乃至20重量%;を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項8】
低屈折率フッ素系化合物をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項9】
前記低屈折率フッ素系化合物は、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群より選択された1種以上の官能基および2以上のジフルオロメチレン基を含む、請求項8に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体。
【請求項11】
請求項10に記載のホログラム記録媒体を含む光学素子。
【請求項12】
可干渉性光源により請求項1から9のいずれか一項に記載のホログラム記録用フォトポリマー組成物に含まれている光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2017年12月11日付韓国特許出願第10-2017-0169488号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、フォトポリマー組成物、ホログラム記録媒体、光学素子およびホログラフィック記録方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホログラム(hologram)記録メディアは、露光過程を通じて前記メディア内のホログラフィック記録層内の屈折率を変化させることによって情報を記録し、このように記録されたメディア内の屈折率の変化を読み取って情報を再生する。
【0004】
フォトポリマー(感光性樹脂、photopolymer)を利用する場合、低分子単量体の光重合により光干渉パターンをホログラムで容易に保存できるため、光学レンズ、鏡、偏向鏡、フィルター、拡散スクリーン、回折部材、導光体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクの機能を有するホログラフィック光学素子、光メモリシステムの媒質と光拡散板、光波長分割器、反射型、透過型カラーフィルターなど多様な分野に用いることができる。
【0005】
通常、ホログラム製造用フォトポリマー組成物は、高分子バインダー、単量体および光開始剤を含み、このような組成物から製造された感光性フィルムに対してレーザ干渉光を照射して局部的な単量体の光重合を誘導する。
【0006】
このような光重合過程で単量体が相対的に多く存在する部分では屈折率が高くなり、高分子バインダーが相対的に多く存在する部分では屈折率が相対的に低くなって屈折率変調ができるようになり、このような屈折率変調により回折格子が生成される。屈折率変調値nは、フォトポリマー層の厚さと回折効率(DE)に影響を受け、角度選択性は厚さが薄いほど広くなる。
【0007】
最近は高い回折効率と安定的にホログラムを維持できる材料の開発に対する要求と共に、薄い厚さを有しながらも屈折率変調値が大きいフォトポリマー層の製造のための多様な試みが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、薄い厚さ範囲でも高い屈折率変調値および高い回折効率を実現できるフォトポリマー層をより容易に提供できるフォトポリマー組成物を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、薄い厚さ範囲でも高い屈折率変調値および高い回折効率を実現できるフォトポリマー層を含むホログラム記録媒体を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、ホログラム記録媒体を含む光学素子を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、電磁気放射線により前記フォトポリマー組成物に含まれている光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書では、多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を含む高分子マトリックスまたはその前駆体;光反応性単量体;および光開始剤;を含む、フォトポリマー組成物が提供される。
【0013】
また、本明細書では、前記フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体が提供される。
【0014】
また、本明細書では、前記ホログラム記録媒体を含む光学素子が提供される。
【0015】
また、本明細書では、可干渉性光源により前記フォトポリマー組成物に含まれている光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法が提供される。
【0016】
以下、発明の具体的な実施形態に係るフォトポリマー組成物、ホログラム記録媒体、光学素子、およびホログラフィック記録方法についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書で、(メタ)アクリレートは、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0018】
本明細書で、(共)重合体は、単独重合体または共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)を意味する。
【0019】
また、本明細書で、ホログラム(hologram)は、露光過程を通じて全体可視範囲および近紫外線範囲(300~800nm)で光学的情報が記録された記録メディアを意味し、例えばインライン(ガボール(Gabor))ホログラム、オフアクシス(off-axis)ホログラム、完全穿孔(full-aperture)移転ホログラム、白色光透過ホログラム(“レインボーホログラム”)、デニシューク(Denisyuk)ホログラム、オフアクシス反射ホログラム、エッジリタラチャー(edge-literature)ホログラムまたはホログラフィックステレオグラム(stereogram)などの視覚的ホログラム(visual hologram)のすべてを含む。
【0020】
本明細書において、アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1乃至40であることが好ましい。一実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1乃至20である。また一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1乃至10である。また一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1乃至6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来する2価の官能基であり、例えば、直鎖型、分枝型または環状として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基などになることができる。
【0022】
また、本明細書において、「*」は他の置換基に連結される結合を意味する。
【0023】
発明の一実施形態によれば、多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を含む高分子マトリックスまたはその前駆体;光反応性単量体;および光開始剤;を含む、フォトポリマー組成物が提供され得る。
【0024】
本発明者らは、多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を含む高分子マトリックスまたはその前駆体を含むフォトポリマー組成物から形成されるホログラムが薄い厚さ範囲でも高い屈折率変調値および高い回折効率を実現できるという点を実験を通じて確認して発明を完成した。
【0025】
より具体的に、前述した高分子マトリックスまたはその前駆体は、構造的安定性によりホログラム形成時に収縮(shrinkage)が大きく発生しないため、ホログラムの歪曲を防止することができ、水素結合のような非共有結合からなるネットワーク構造であるため、外部の衝撃が加えられた時、分子間相互作用によりネットワーク構造が再形成される特性を有し、外部衝撃に対する耐久性が向上することができる。
【0026】
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を含む高分子マトリックスまたはその前駆体は、内部にイソシアネート基とポリオールのヒドロキシが反応して形成されたウレタン結合が存在して形成されたマトリックスの柔軟性(flexibility)が優れて最終製造されるホログラム記録媒体で光反応性単量体(monomer)の流動性(mobility)を改善することができ、その他成分との相溶性が高いため、形成されたホログラムの耐久性が優れるという特徴を有している。
【0027】
これと共に、前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基により前記高分子マトリックス内部に水素結合が形成されて架橋度が調節可能であり、これによって、前述のように水素結合のような非共有結合による架橋構造が形成されて外部衝撃が加えられた時、分子間相互作用により架橋構造の再形成が反復的かつ可逆的な形態で可能となり、最終的に形成されたホログラムの耐久性およびホログラムが形成されたフィルムの機械的物性などが優れた特徴を有することができる。
【0028】
前記高分子マトリックス内部に水素結合は、結合の強さがGibb’s自由エネルギー(△G)=-12~-24Kcal/mol程度に比較的に弱い結合であるが、水素結合の供与体(Donor)と受容体(Acceptor)を多数個配列することによって強い結合力を得ることができ、これによって、共有結合による化学的架橋結合を利用した高分子マトリックスのような特性を有することができる。
【0029】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体は、前記ホログラム記録媒体およびこれから製造された最終製品の支持体の役割を果たすことができ、前記光反応性単量体は、記録単量体としての役割を果たすことができ、これらの使用によりホログラフィック記録時に前記高分子マトリックス上で前記光反応性単量体が選択的に重合されて、屈折率が異なる部分による屈折率変調が現れることがある。また、前記高分子マトリックスの屈折率が大きく限定されるのではないが、例えば1.45乃至1.70、または1.455乃至1.60、または1.46乃至1.53であってもよい。
【0030】
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基の具体的な例としては、-OH、-OR、-NH、-NHR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-NR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-COOH基、-COOR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)、-CONH、-CONR、-NHOH、および-NROR(Rは炭素数1乃至20の脂肪族基)からなる群より選択される1価官能基であるか、-NHCO-、-NRCO-、-O-、-NH-、-NR-、-COO-、-CONHCO-、-CONRCO-、-NH-NH-、-NR-NH-、および-NR-NR-からなる群より選択される2価官能基が挙げられる。前記Rは炭素数1乃至20の脂肪族基、炭素数4乃至20の脂環式基、または炭素数6乃至20の芳香族であってもよい。
【0031】
前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物の具体的な構造が特に限定されるのではないが、例えば前記反応性イソシアネート化合物は、多重水素結合が可能な水素結合性官能基を含有するヘテロ環化合物;と1以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物;が結合された構造を有することができる。
【0032】
前記反応性イソシアネート化合物は、多重水素結合が可能な水素結合性官能基を含有するヘテロ環化合物;と1以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物;が反応して形成されることもでき、または前述した構造を形成することができる前駆体化合物が反応して形成されることもできる。例えば、所定のヘテロ環化合物と2以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物が反応することによって前述した構造の反応性イソシアネート化合物が合成されることもできる。
【0033】
具体的に、前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基を含有するヘテロ環化合物は、2-ウレイド-4-ピリミジノン(2-ureido-4-pyrimidinone)、2-ウレイド-4-ピリミジノール(4-ureido-4-pyrimidinol)、2-ウレイド-4-ピリミドン(2-uriedo-4-pyrimidone)、ジアシルピリミジン(diacylpyrimidine)、2,6-ジ(アセチルアミノ)-4-ピリジル(2,6-di(acetylamino)-4-pyridyl)、2,7-ジアミノ-1,8-ナフチリジン(2,7-diamino-1,8-naphthyridine)、アデニン(adenine)、チミン(thymine)、ウラシル(uracil)、グアニン(guanine)シトシン(cytosine)、アデニン-チミン二量体(adenine-thymine dimer)、アデニン-ウラシル二量体(adenine-uracil dimer)、およびグアニン-シトシン二量体(guanine-cytosine dimer)からなる群より選択されるいずれか一つであってもよい。
【0034】
また、前記1以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族化合物は、1以上のイソシアネート基を含む炭素数1乃至20の脂肪族化合物、1以上のイソシアネート基を含み、炭素数1乃至10の脂肪族基が1以上置換された炭素数4乃至20の脂環式化合物、または1以上のイソシアネート基を含み、炭素数1乃至10の脂肪族基が1以上置換された炭素数6乃至20の芳香族化合物であってもよい。
【0035】
より具体的に、前記1以上のイソシアネート基を含む化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のモノ-、ジ-、トリ-またはポリ-イソシアネートである。また、前記1以上のイソシアネート基を含む化合物は、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビューレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有する単量体型ジ-および/またはトリイソシアネートの比較的に分子量が大きい2次産物(オリゴ-およびポリイソシアネート)であってもよい。
【0036】
前記1以上のイソシアネート基を含む化合物の具体的な例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアネート-4-(イソシアネートメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアネートシクロヘキシル)メタンおよび任意の要望される異性体含有量を有するその混合物、イソシアネートメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロへキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
一方、前記反応性イソシアネート化合物と反応して高分子マトリックスを形成する2以上のヒドロキシ基を有するポリオールは、2乃至20炭素数を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオール、トリオールおよび/または高級ポリオールであってもよい。
【0038】
前記ポリオールは、300g/mol乃至10,000g/molの水酸基当量と100,000乃至1,500,0000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0039】
前記ジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネートがある。
【0040】
また、前記トリオールの例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールがある。適した高度-官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはソルビトールである。
【0041】
また、前記ポリオールとしては、比較的大きい分子量の脂肪族および脂環式ポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ-官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ-官能性ポリウレタン、ヒドロキシ-官能性エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0042】
前記ポリエステルポリオールは、例えばエタンジオール、ジ-、トリ-またはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ-、トリ-またはテトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールまたはこれらの混合物のような多価アルコールを用い、任意にトリメチロールプロパンまたはグリセロールのように、より高い官能性のポリオールを同時に用い、例えばコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えばo-フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物、またはこれらの混合物のような脂肪族、脂環式または芳香族のジ-またはポリカルボン酸またはその無水物から公知の方式で製造され得るような、線状ポリエステルジオールである。もちろん、脂環式および/または芳香族のジ-およびポリヒドロキシ化合物もまたポリエステルポリオールの製造のための多価アルコールとして適する。遊離ポリカルボン酸の代わりに、低級アルコールの相応するポリカルボン酸無水物または相応するポリカルボキシレート、またはこれらの混合物をポリエステルの製造に用いることも可能である。
【0043】
また、前記高分子マトリックスの合成に用いることができるポリエステルポリオールとしては、ラクトンの単一-または共重合体があり、これは好ましくはブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンのようなラクトンまたはラクトン混合物の、例えばポリエステルポリオール用合成成分として前記で言及された小さい分子量の多価アルコールのような適した2官能性および/またはより高い官能性の開始剤分子との添加反応により得られる。
【0044】
また、ヒドロキシル基を有するポリカーボネートもまた予備重合体合成のためのポリヒドロキシ成分として適しているが、例えばジオール、例えば1,4-ブタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールの、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンとの反応により製造され得るものである。
【0045】
また、前記高分子マトリックスの合成に用いることができるポリエーテルポリオールは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの多重添加生成物とこれらの混合添加生成物およびグラフト生成物、そして多価アルコールまたはこれらの混合物の縮合により得られるポリエーテルポリオールおよび多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシ化により得られるものである。前記ポリエーテルポリオールの具体的な例としては、1.5乃至6のOH官能度および200乃至18000g/モル間の数平均分子量、好ましくは1.8乃至4.0のOH官能度および600乃至8000g/モルの数平均分子量、特に好ましくは1.9乃至3.1のOH官能度および650乃至4500g/モルの数平均分子量を有する、ランダムまたはブロック共重合体形態のポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびこれらの組み合わせ、またはポリ(テトラヒドロフラン)およびこれらの混合物である。
【0046】
一方、前記実施形態のフォトポリマー組成物からより高い屈折率変調値(△n)および回折効率を実現するためには、前記2以上のヒドロキシ基を有するポリオールとして1,000g/mol乃至3,000g/mol、または1,200g/mol乃至2,500g/molの水酸基当量を有するポリオールを用いることができる。前述した範囲の水酸基当量を有するポリオールを用いる場合、ウレタン結合を形成する高分子マトリックス(matrix)の架橋反応で架橋度の調節および架橋反応性の調節がより容易である。
【0047】
また、前述した範囲の水酸基当量を有するポリオールを用いる場合、前記多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物に対比して2以上のヒドロキシ基を有するポリオールのモル比が2乃至8、または3乃至6であってもよい。前記反応性イソシアネート化合物に対比して2以上のヒドロキシ基を有するポリオールの重量比が前述の範囲になることによって水素結合による架橋結合のサイト(site)比率が調節されて最終高分子マトリックス(matrix)の架橋密度が調節され、このような架橋密度により高分子マトリックス(matrix)のガラス転移温度(Tg)および記録単量体の流動性が変わり、これによって、最終製造されるホログラム記録媒体の屈折率変調値(△n)および回折効率が大きく向上することができる。
【0048】
一方、前記光反応性単量体は、多官能(メタ)アクリレート単量体または単官能(メタ)アクリレート単量体を含むことができる。
【0049】
前述のように、前記フォトポリマー組成物の光重合過程で単量体が重合されてポリマーが相対的に多く存在する部分では屈折率が高くなり、高分子バインダーが相対的に多く存在する部分では屈折率が相対的に低くなって屈折率変調ができるようになり、このような屈折率変調により回折格子が生成される。
【0050】
具体的に、前記光反応性単量体の一例としては、(メタ)アクリレート系α、β-不飽和カルボン酸誘導体、例えば(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルまたは(メタ)アクリル酸などや、またはビニル基(vinyl)またはチオール基(thiol)を含む化合物が挙げられる。
【0051】
前記光反応性単量体の一例として、屈折率が1.5以上、または1.53以上、または1.5乃至1.7である多官能(メタ)アクリレート単量体が挙げられ、このような屈折率が1.5以上、または1.53以上、または1.5乃至1.7である多官能(メタ)アクリレート単量体は、ハロゲン(Halogen)原子(臭素(bromine)、ヨウ素(iodine)など)、硫黄(S)、リン(P)、または芳香族環(aromatic ring)を含むことができる。
【0052】
前記屈折率が1.5以上である多官能(メタ)アクリレート単量体のより具体的な例としては、ビスフェノールA変性ジアクリレート系(bisphenol A modified diacrylate系)、フルオレンアクリレート系(fluorene acrylate系)(HR6022など-Miwon社)、ビスフェノールフルオレンエポキシアクリレート系(bisphenol fluorene epoxy acrylate系)(HR6100、HR6060、HR6042など-Miwon社)、ハロゲン化エポキシアクリレート系(Halogenated epoxy acrylate系)(HR1139、HR3362など-Miwon社)などが挙げられる。
【0053】
前記光反応性単量体の他の一例として、単官能(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。前記単官能(メタ)アクリレート単量体は、分子内部にエーテル結合およびフルオレン官能基を含むことができ、このような単官能(メタ)アクリレート単量体の具体的な例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールエチレンオキシド(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、またはビフェニルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0054】
一方、前記光反応性単量体としては、50g/mol乃至1000g/mol、または200g/mol乃至600g/molの重量平均分子量を有することができる。前記重量平均分子量は、GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(単位:g/mol)を意味する。前記GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用いることができ、通常適用される温度条件、溶媒、流速(flow rate)を適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minの流速(flow rate)が挙げられる。
【0055】
一方、前記実施形態のフォトポリマー組成物は、光開始剤を含む。前記光開始剤は、光または化学放射線により活性化される化合物であり、前記光反応性単量体など光反応性官能基を含有する化合物の重合を開始する。
【0056】
前記光開始剤としては、通常知られた光開始剤を大きい制限なしに用いることができるが、その具体的な例としては光ラジカル重合開始剤、光陽イオン重合開始剤、または光陰イオン重合開始剤が挙げられる。
【0057】
前記光ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N-アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン、アルミネート錯体、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体、アミン誘導体などが挙げられる。より具体的に、前記光ラジカル重合開始剤としては、1,3-ジ(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン(1,3-di(t-butyldioxycarbonyl)benzophenone)、3,3’,4,4’’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン(3,3’,4,4’’-tetrakis(t-butyldioxycarbonyl)benzophenone)、3-フェニル-5-イソオキサゾロン(3-phenyl-5-isoxazolone)、2-メルカプトベンズイミダゾール(2-mercapto benzimidazole)、ビス(2,4,5-トリフェニル)イミダゾール(bis(2,4,5-triphenyl)imidazole)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(2,2-dimethoxy-1,2-diphenylethane-1-one)(製品名:Irgacure 651/製造会社:BASF)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(1-hydroxy-cyclohexyl-phenyl-ketone)(製品名:Irgacure 184/製造会社:BASF)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(2-benzyl-2-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-butanone-1)(製品名:Irgacure 369/製造会社:BASF)、およびビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタン(bis(η5-2,4-cyclopentadiene-1-yl)-bis(2,6-difluoro-3-(1H-pyrrole-1-yl)-phenyl)titanium)(製品名:Irgacure 784/製造会社:BASF)、Ebecryl P-115(製造会社:SK entis)、H-Nu 254(製造会社:Spectra Group Limited)などが挙げられる。
【0058】
前記光陽イオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩(diazonium salt)、スルホニウム塩(sulfonium salt)、またはヨードニウム塩(iodonium salt)が挙げられ、例えばスルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル-4-ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸-p-ニトロベンジルエステル、シラノール-アルミニウム着物、(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)などが挙げられる。また、ベンゾイントシレート、2,5-ジニトロベンジルトシレート、N-トシルフタル酸イミドなども挙げられる。前記光陽イオン重合開始剤のより具体的な例としては、Cyracure UVI-6970、Cyracure UVI-6974およびCyracure UVI-6990(製造会社:Dow Chemical Co.in USA)やIrgacure 264およびIrgacure 250(製造会社:BASF)またはCIT-1682(製造会社:Nippon Soda)などの市販製品が挙げられる。
【0059】
前記光陰イオン重合開始剤としては、ボレート塩(Borate salt)が挙げられ、例えばブチリルクロリンブチルトリフェニルボレート(BUTYRYL CHOLINE BUTYLTRIPHENYLBORATE)などが挙げられる。前記光陰イオン重合開始剤のより具体的な例としては、Borate V(製造会社:Spectra group)などの市販製品が挙げられる。
【0060】
また、前記実施形態のフォトポリマー組成物は、一分子(類型I)または二分子(類型II)開始剤を用いることもできる。前記自由ラジカル光重合のための(類型I)システムは、例えば第三級アミンと組み合わせられた芳香族ケトン化合物、例えばベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーの(Michler’s)ケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記類型の混合物である。前記二分子(類型II)開始剤としては、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスファインオキシド、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスファインオキシド、ビスアシルホスファインオキシド、フェニルグリオキシルエステル、カンファーキノン、アルファ-アミノアルキルフェノン、アルファ-、アルファ-ジアルコキシアセトフェノン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)およびアルファ-ヒドロキシアルキルフェノンなどが挙げられる。
【0061】
前記フォトポリマー組成物は、前記高分子マトリックスまたはその前駆体1重量%乃至80重量%;前記反応性官能基を含む架橋剤5乃至80重量%;前記光反応性単量体5重量%乃至80重量%;および前記光開始剤0.1重量%乃至15重量%;を含むことができ、後述するように、前記フォトポリマー組成物が有機溶媒をさらに含む場合、前述した成分の含有量は、これら成分の総合(有機溶媒を除いた成分の総合)を基準にする。
【0062】
前記フォトポリマー組成物は、低屈折率フッ素系化合物をさらに含むことができる。前記フッ素系化合物は、反応性が殆どない安定性を有し、低屈折特性を有するため、前記フォトポリマー組成物内に添加時、高分子マトリックスの屈折率をより低めることができるため、モノマーとの屈折率変調を極大化させることができる。
【0063】
前記低屈折率フッ素系化合物は、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群より選択された1種以上の官能基および2以上のジフルオロメチレン基を含むことができる。より具体的に、前記フッ素系化合物は、2個のジフルオロメチレン基間の直接結合またはエーテル結合を含む中心官能基の両末端にエーテル基を含む官能基が結合した下記化学式4構造を有することができる。
【0064】
【化1】
【0065】
前記化学式4で、R11およびR12は、それぞれ独立して、ジフルオロメチレン基であり、R13およびR16は、それぞれ独立して、メチレン基であり、R14およびR15は、それぞれ独立して、ジフルオロメチレン基であり、R17およびR18は、それぞれ独立して、ポリアルキレンオキシド基であり、mは1以上、または1乃至10、または1乃至3の整数である。
【0066】
好ましくは前記化学式4で、R11およびR12は、それぞれ独立して、ジフルオロメチレン基であり、R13およびR16は、それぞれ独立して、メチレン基であり、R14およびR15は、それぞれ独立して、ジフルオロメチレン基であり、R17およびR18は、それぞれ独立して、2-メトキシエトキシメトキシ基であり、mは2の整数である。
【0067】
前記低屈折率フッ素系化合物は、屈折率が1.45未満、または1.4以上1.45未満であってもよい。前述のように光反応性単量体が1.5以上の屈折率を有するため、前記低屈折率フッ素系化合物は、光反応性単量体より低い屈折率を通じて、高分子マトリックスの屈折率をより低めることができ、モノマーとの屈折率変調を極大化させることができる。
【0068】
具体的に、前記低屈折率フッ素系化合物の含有量は、光反応性単量体100重量部に対して、30重量部乃至150重量部、または50重量部乃至110重量部であってもよい。
【0069】
前記低屈折率フッ素系化合物の含有量が光反応性単量体100重量部に対して過度に減少するようになると、低屈折成分の不足により記録後の屈折率変調値が低くなり、前記低屈折率フッ素系化合物の含有量が光反応性単量体100重量部に対して過度に増加するようになると、架橋度が低くてフィルムが形成されないか、または相溶性が劣って欠陥率が高くなることがあり、その他成分との相溶性の問題でヘイズが発生したり一部のフッ素系化合物がコーティング層の表面に溶出するという問題が発生することがある。
【0070】
前記低屈折率フッ素系化合物は、重量平均分子量(GPC測定)が300以上、または300乃至1000であってもよい。重量平均分子量測定の具体的な方法は前述したとおりである。
【0071】
一方、前記フォトポリマー組成物は、光感応染料をさらに含むことができる。前記光感応染料は、前記光開始剤を増減させる増減色素の役割を果たすが、より具体的に前記光感応染料は、光重合体組成物に照射された光により刺激されてモノマーおよび架橋モノマーの重合を開始する開始剤の役割も共に果たすことができる。前記フォトポリマー組成物は、光感応染料0.01乃至30重量%、または0.05乃至20重量%含むことができる。
【0072】
前記光感応染料の例が大きく限定されるのではなく、通常知られた多様な化合物を用いることができる。前記光感応染料の具体的な例としては、セラミドニンのスルホニウム誘導体(sulfonium derivative)、ニューメチレンブルー(new methylene blue)、チオエリスロシントリエチルアンモニウム(thioerythrosine triethylammonium)、6-アセチルアミノ-2-メチルセラミドニン(6-acetylamino-2-methylceramidonin)、エオシン(eosin)、エリスロシン(erythrosine)、ローズベンガル(rose bengal)、チオニン(thionine)、ベーシックイエロー(baseic yellow)、ピナシアノールクロリド(Pinacyanol chloride)、ローダミン6G(rhodamine 6G)、ガロシアニン(gallocyanine)、エチルバイオレット(ethyl violet)、ビクトリアブルーR(Victoria blue R)、セレスチンブルー(Celestine blue)、キナルジンレッド(Quinaldine Red)、クリスタルバイオレット(crystal violet)、ブリリアントグリーン(Brilliant Green)、アストラゾンオレンジ G(Astrazon orange G)、ダルレッド(darrow red)、ピロニンY(pyronin Y)、ベーシックレッド29(basic red 29)、ピリリウムI(pyrylium iodide)、サフラニンO(Safranin O)、シアニン、メチレンブルー、アズールA(Azure A)、またはこれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0073】
一方、フォトポリマー組成物は、有機溶媒をさらに含むことができる。前記有機溶媒の非制限的な例を挙げると、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0074】
このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、またはt-ブタノールなどのアルコール類;エチルアセテート、i-プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0075】
前記有機溶媒は、前記フォトポリマー組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されたり各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されて前記フォトポリマー組成物に含まれてもよい。前記フォトポリマー組成物中の有機溶媒の含有量が過度に小さい場合、前記フォトポリマー組成物の流れ性が低下して最終製造されるフィルムに縞柄ができるなど不良が発生することがある。また、前記有機溶媒の過量添加時に固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分になさらず、フィルムの物性や表面特性が低下することがあり、乾燥および硬化過程で不良が発生することがある。これによって、前記フォトポリマー組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%乃至70重量%、または2重量%乃至50重量%になるように有機溶媒を含むことができる。
【0076】
前記フォトポリマー組成物は、その他添加剤、触媒などをさらに含むことができる。例えば、前記フォトポリマー組成物は、前記高分子マトリックスや光反応性単量体の重合を促進するために通常知られた触媒を含むことができる。前記触媒の例としては、スズオクタノエート、亜鉛オクタノエート、ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1-ヨウ素ネオデシル)オキシ]スタナン、ジメチルスズジカルボキシレート、ジルコニウムビス(エチルヘキサノエート)、ジルコニウムアセチルアセトネート、p-トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)または第三級アミン、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-メチル-2H-ピリミド(1,2-a)ピリミジンなどが挙げられる。
【0077】
前記その他添加剤の例としては、消泡剤またはホスフェート系可塑剤が挙げられ、前記消泡剤としては、シリコン系反応性添加剤を用いることができ、その例としてTego Rad 2500が挙げられる。前記可塑剤の例としては、トリブチルホスフェートのようなホスフェート化合物が挙げられ、前記可塑剤は、前述したフッ素系化合物と共に1:5乃至5:1の重量比率に添加されてもよい。前記可塑剤は、屈折率が1.5未満であり、分子量が700以下であってもよい。
【0078】
一方、前述したフッ素系化合物またはホスフェート系化合物は、光反応性単量体に比べて低い屈折率を有しており、高分子マトリックスの屈折率を低めてフォトポリマー組成物の屈折率変調を極大化させることができる。しかも、前記ホスフェート系化合物は、可塑剤の役割を果たして、前記高分子マトリックスのガラス転移温度を低めてフォトポリマー組成物の成形性を高めたり単量体の移動を円滑にすることができる。
【0079】
前記フォトポリマー組成物は、ホログラム記録用途で用いられてもよい。
【0080】
一方、発明の他の実施形態によれば、フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体が提供され得る。
【0081】
前述のように、前記一実施形態のフォトポリマー組成物を用いると、より薄い厚さを有しながらも以前に知られたホログラムに比べて大きく向上した屈折率変調値および高い回折効率を実現できるホログラムが提供され得る。
【0082】
前記ホログラム記録媒体は、5μm乃至30μmの厚さでも0.009以上または0.010以上、または0.011以上、または0.012以上の屈折率変調値(n)を実現することができ、その上限が大きく限定されるのではなく、例えば0.020以下であってもよい。
【0083】
また、前記ホログラム記録媒体は、5μm乃至30μmの厚さで50%以上、または70%以上、または80%以上、または85%以上の回折効率を実現することができ、その上限が大きく限定されるのではなく、例えば99.9%以下であってもよい。
【0084】
前記一実施形態のフォトポリマー組成物は、これに含まれるそれぞれの成分を均一に混合して20℃以上の温度で乾燥および硬化をした後、所定の露光過程を経て全体可視範囲および近紫外線領域(300乃至800nm)での光学的適用のためのホログラムとして製造されてもよい。
【0085】
前記一実施形態のフォトポリマー組成物中の高分子マトリックスまたはその前駆体を形成する成分をまず均質に混合し、線状シラン架橋剤を後ほど触媒と共に混合してホログラムの形成過程を準備することができる。
【0086】
前記一実施形態のフォトポリマー組成物は、これに含まれるそれぞれの成分の混合には通常知られた混合器、攪拌機またはミキサーなどを特別な制限なしに用いることができ、前記混合過程での温度は0℃乃至100℃、好ましくは10℃乃至80℃、特に好ましくは20℃乃至60℃であってもよい。
【0087】
一方、前記一実施形態のフォトポリマー組成物中の高分子マトリックスまたはその前駆体を形成する成分をまず均質に混合した後、線状シラン架橋剤を添加する時点で前記フォトポリマー組成物は20℃以上の温度で硬化される液体配合物になることができる。
【0088】
前記硬化の温度は、前記フォトポリマーの組成により変わることがあり、例えば30℃乃至180℃の温度で加熱することによって促進される。
【0089】
前記硬化時には前記フォトポリマーが所定の基板やモールドに注入されたりコーティングされた状態であってもよい。
【0090】
一方、前記フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体に視覚的ホログラムの記録する方法は、通常知られた方法を大きい制限なしに用いることができ、後述する実施形態のホログラフィック記録方法で説明する方法を一つの例として採用することができる。
【0091】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、可干渉性光源により前記フォトポリマー組成物に含まれている光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法が提供され得る。
【0092】
前述のように、前記フォトポリマー組成物を混合および硬化する過程を通じて視覚的ホログラムが記録されていない状態の媒体を製造することができ、所定の露光過程を通じて前記媒体上に視覚的ホログラムを記録することができる。
【0093】
前記フォトポリマー組成物を混合および硬化する過程を通じて提供される媒体に、通常知られた条件下で公知の装置および方法を利用して視覚的ホログラムを記録することができる。
【0094】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、ホログラム記録媒体を含む光学素子が提供され得る。
【0095】
前記光学素子の具体的な例としては、光学レンズ、鏡、偏向鏡、フィルター、拡散スクリーン、回折部材、導光体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクの機能を有するホログラフィック光学素子、光メモリシステムの媒質と光拡散板、光波長分割器、反射型、透過型カラーフィルターなどが挙げられる。
【0096】
前記ホログラム記録媒体を含む光学素子の一例としてホログラムディスプレイ装置が挙げられる。
【0097】
前記ホログラムディスプレイ装置は、光源部、入力部、光学系および表示部を含む。前記光源部は、入力部および表示部で物体の3次元映像情報を提供、記録および再生することに使用されるレーザビームを照射する部分である。また、前記入力部は、表示部に記録する物体の3次元映像情報を予め入力する部分であり、例えば、電気駆動液晶SLM(electrically addressed liquid crystal SLM)に空間別光の強さと位相のような物体の3次元情報を入力することができ、この時、入力ビームを用いることができる。前記光学系は、ミラー、偏光器、ビームスプリッター、ビームシャッター、レンズなどから構成されてもよく、前記光学系は、光源部で放出されるレーザビームを入力部に送る入力ビーム、表示部に送る記録ビーム、基準ビーム、消去ビーム、読み出しビームなどに分配することができる。
【0098】
前記表示部は、入力部から物体の3次元映像情報が伝達されて光学駆動SLM(opticallya ddressed SLM)からなるホログラムプレートに記録し、物体の3次元映像を再生することができる。この時、入力ビームと基準ビームの干渉を通じて物体の3次元映像情報を記録することができる。前記ホログラムプレートに記録された物体の3次元映像情報は、読み出しビームが生成する回折パターンにより3次元映像として再生され、消去ビームは形成された回折パターンを迅速に除去するために用いることができる。一方、前記ホログラムプレートは3次元映像を入力する位置と再生する位置の間で移動され得る。
【発明の効果】
【0099】
本発明によれば、薄い厚さ範囲でも高い屈折率変調値および高い回折効率を実現できるフォトポリマー組成物、これを利用したホログラム記録媒体、光学素子、およびホログラフィック記録方法が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0100】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例により限定されるのではない。
【0101】
[製造例]
1.製造例1:反応性イソシアネート化合物の合成
500mlフラスコにイソホロンジイソシアネート(Isophorone diisocyanate、39g、3.5mol)に2-アミノ-6-メチルピリミジン-4-オール(2-amino-6-methylpyrimidin-4-ol)4.4g(0.7mol)を入れて溶かした後、90℃で40時間還流(refluxing)させた。以降、混合物が透明な状態に変わると過量のn-ヘキサンに混合物を徐々に沈殿する方法でワークアップ(work-up)し、濾過(filtering)と乾燥(drying)を経て生成物を30%収率に得た。
【0102】
【化2】
【0103】
製造例2:非反応性低屈折物質(P2)の製造
1000mlフラスコに2,2’-((オキシビス(1,1,2,2-テトラフルオロエタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(2,2-ジフルオロエタン-1-オール)(2,2’-((oxybis(1,1,2,2-tetrafluoroethane-2,1-diyl))bis(oxy))bis(2,2-difluoroethan-1-ol))20.51gを入れた後、テトラヒドロフラン500gに溶かして0℃で攪拌しながら水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液)4.40gを数回にかけて慎重に添加した。0℃で20分攪拌した後、2-メトキシエトキシメチルクロリド(2-methoxyethoxymethyl chloride)12.50mlを徐々に滴下した。H NMRで反応物が全て消耗したことが確認されると、減圧して反応溶媒を全て除去した。ジクロロメタン300gで3回抽出して有機層を集めた後、硫酸マグネシウムでフィルターした後、減圧してジクロロメタンを全て除去して純度95%以上の液状生成物29gを98%の収率に得た。
【0104】
[実施例:フォトポリマー組成物の製造]
実施例1
下記表1に記載されたとおり、前記製造例1から得た反応性イソシアネート化合物0.25g、Polyol-1(Acrylic polyol、OH equivalent weight=5767g/mol、固形分20%希釈)41.3g、光反応性単量体(高屈折アクリレート、屈折率1.600、HR6042[Miwon])8.5g、トリブチルホスフェート(Tributyl phosphate[TBP]、分子量266.31、屈折率1.424、シグマアールズリッチ社製品)3.7g、前記製造例2のP2(非反応性フッ素系化合物)3.7gをMIBK(溶媒)30gに混合して1時間攪拌して透明溶液を製造した。
【0105】
そして、safranin O(染料、シグマアールズリッチ社製品)4.9g、第三級アミン[CN-386(Sartomer)、固形分10%希釈]3.7g、Irgacure 250(固形分1%希釈)2.5gを添加してさらに30分混合して均一に攪拌した後、DBTDL(dibutyltin dilaurate、固形分1%希釈)1.6g添加して1分間攪拌して透明なフォトポリマーコーティング液を製造した。
【0106】
以降、TAC基材(80μm)にマイヤーバー(meyer bar)を利用して前記フォトポリマーコーティング液はコーティングした後、40℃で30分熱硬化を経て15μm厚さのコーティング層を有するフォトポリマーコーティングフィルムを製造した。
【0107】
実施例2乃至7
前記表2のようにPolyol-2(Acrylic polyol、OH equivalent weight=1,800g/mol、固形分20%希釈)を用い、他の成分の含有量を異にした点を除いては、実施例1と同様な方法でフォトポリマーコーティング液およびフォトポリマーコーティングフィルムを製造した。
【0108】
[実験例:ホログラフィック記録]
(1)前記実施例および比較例のそれぞれで製造されたフォトポリマーコーティング面をスライド(slide)ガラスにラミレートし、記録時にレーザがガラス面を先に通過するように固定した。
【0109】
(2)回折効率(η)の測定
二つの干渉光(参照光および物体光)の干渉を通じてホログラフィックを記録し、透過型記録は二つのビームをサンプルの同一面に入射した。二つのビームの入射角により回折効率は変わるようになり、二つのビームの入射角が同一な場合、non-slantedになる。non-slanted記録は、二つのビームの入射角が法線基準に同一であるため、回折格子はフィルムと垂直に生成される。
【0110】
532nm波長のレーザを用いて透過型non-slanted方式で記録(2θ=45°)し、下記一般式1で回折効率(η)を計算した。
【0111】
【数1】
【0112】
前記一般式1で、ηは回折効率であり、Pは記録後のサンプルの回折されたビームの出力量(mW/cm)であり、Pは記録したサンプルの透過したビームの出力量(mW/cm)である。
【0113】
3屈折率変調値(△n)の測定
透過型ホログラムのLossless Dielectric gratingは、下記一般式2から屈折率変調値(△n)を計算することができる。
【0114】
【数2】
【0115】
前記一般式2で、dはフォトポリマー層の厚さであり、△nは屈折率変調値であり、η(DE)は回折効率であり、λは記録波長である。
【0116】
【表1】
【表2】
【0117】
前記表1および表2に示されているように、製造例1の多重水素結合が可能な水素結合性官能基と1以上のイソシアネート基を有する反応性イソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するポリオール間の反応物を用いた得られた実施例のフォトポリマーコーティングフィルムは、0.008以上の屈折率変調値(△n)を有し、50%以上の回折効率を示すという点が確認された。
【0118】
特に、所定の水酸基当量を有するポリオールと反応性イソシアネート化合物を3乃至6の重量比範囲で用いて製造された高分子マトリックスを含む実施例5および6の場合、0.018以上の屈折率変調値(△n)を有し、90%以上の回折効率を実現することができるという点が確認された。