(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 47/36 20060101AFI20220905BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20220905BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20220905BHJP
A01M 21/04 20060101ALN20220905BHJP
【FI】
A01N47/36 101
A01N25/04 102
A01P13/00
A01M21/04 C
(21)【出願番号】P 2020526885
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2018014102
(87)【国際公開番号】W WO2019098755
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0153278
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヒョン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】サム・チェ・チョン
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-511478(JP,A)
【文献】特開平8-239381(JP,A)
【文献】特開2007-254453(JP,A)
【文献】特開2012-51871(JP,A)
【文献】特開2007-153870(JP,A)
【文献】Journal of Agricultural and Food Chemistry,2014年,Vol.62,pp. 3057-3063
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 47/36
A01N 25/04
A01P 13/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物を活性成分として含み、
かつ
リン酸水素二カリウム(K2HPO4)及びリン酸二水素カリウム(KH2PO4)を0.1Mで含むリン酸塩緩衝液、界面活性剤及び凍結防止剤をさらに含む液状水和剤(Suspension concentrate、SC)の剤形に形成された除草剤組成物であって、
前記ピリジンスルホニルウレア化合物は、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物で含まれ、
前記エリスロ型(Erythro-form)が前記異性体混合物の95重量%から99重量%で含まれる除草剤組成物
【化1】
前記化学式1において、nは1から3の整数を示し、
Rは、水素または炭素数1から4のアルキル基であり、
R’は、水素、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のハロアルキル基、ハロゲン基または炭素数1から2のアルコキシ基であり、
X及びYは、それぞれ独立して炭素数1から2のアルキル基、炭素数1から2のアルコキシ基、炭素数1から2のハロアルコキシ基またはハロゲン基である。
【請求項2】
前記化学式1において、nは、1または2の整数であり、
Rは、水素またはメチル基であり、
R’は、水素、ハロゲン基またはメチル基であり、
X及びYは、それぞれメトキシ基である、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
前記化学式1において、nは、1または2の整数であり、
Rは、メチルであり、
R’は、水素、Cl、Brまたはメチル基であり、
X及びYは、それぞれメトキシ基である、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物は、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-ヒドロキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-(3-ヒドロキシプロピオン)オキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-(3-メトキシプロピオン)オキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-メチル-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-クロロ-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、及びN-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-ブロモ-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミドからなる群から選択された少なくとも一つ以上である、請求項1に記載の除草剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年11月16日付韓国特許出願第10-2017-0153278号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、優れた除草活性を示す除草活性成分を含む除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
作物の栽培技術において、作物の成長を阻害する雑草を防除して作物を保護することは重要である。作物の栽培地で発生した雑草による作物の生育不振又は収量減少のような被害を減らすために、これらを効果的に防除でき、作物には安全な除草活性物質が開発されてきた。現在まで開発された多数の除草活性物質は、特定の作物用として登録され雑草防除用として用いられている。このような特定の作物の栽培地で発生する雑草の防除用として用いるための除草活性物質は、除草活性が高く、幅広い除草スペクトル(spectrum)を有し、且つ、環境及び作物には安全なものが好ましい。
【0004】
一方、前記のように除草活性物質を含む除草剤組成物は、水和剤(wettable powder)、乳剤(emulsifiable concentrate)、粒状水和剤(Water-dispersible granule)、粒剤(granule)、液状水和剤(Suspension concentrate)等の剤形として開発され、除草剤として用いられる。しかし、水和剤、乳剤、粒状水和剤の場合には、一般に水で所定の濃度で希釈されて散布液として製造されるが、散布液の量が多いので、対象の水田又は畑の全体表面に均一に散布するためには、過度な費用及び時間がかかるという問題点がある。粒剤の場合、そのまま直接用いることができるので、水和剤、乳剤及び粒状水和剤の問題点は解決できたが、全体除草剤を基準に除草活性物質の含量が比較的小さく、除草剤を形成するための補助剤が必須に含まれなければならず、粉砕、混合、捏和、造粒、乾燥、分級等、製造工程が複雑であり、散布のむら等が発生するという問題点がある。前記剤形等の問題点を克服するために、製造工程が比較的簡単であり、環境に優しく、且つ、散布時に簡素化、効率化が可能な液状水和剤(Suspension concentrate)の製剤が開発された。一方、このように多様な剤形の除草剤として活用されるとき、長期保管時にも除草剤組成物の安定性を確保することは重要な課題である。
【0005】
下記化学式aの化合物[ISO提案名:フルセトスルフロン(flucetosulfuron)]はスルホニルウレア系に属する除草活性物質であって、韓国特許第10-0399366号(出願番号第10-2000-0059990号)に除草活性物質として既に記述されている。
【0006】
【0007】
前記フルセトスルフロンは、稲、小麦、大麦(適正使用薬量:10~40g a.i./ha)及び芝生(適正使用薬量:50~200g a.i./ha)に対し土壌または茎葉処理時にこれらの作物に安全であり、広葉雑草、イネ科雑草、カヤツリグサ科雑草、一年生及び多年生雑草など広範囲な草種に対して殺草の効果に優れるものとして知られた物質である。
【0008】
しかし、前記のようなスルホニルウレア系に属する除草活性物質を含む除草剤組成物の安定性の確保が依然として問題となっている。特に、液状水和剤(Suspension concentrate,SC)の剤形の場合、高温保管の条件時に加水分解によって安定性がさらに落ちるので、長期保管が困難であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、スルホニルウレア系に属する除草活性物質を含む除草剤組成物であって、優れた除草活性を有し、且つ安定性に優れるので、長期保管が可能な除草剤組成物の提供を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物を活性成分として含み、前記ピリジンスルホニルウレア化合物は、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物で含まれ、前記エリスロ型(Erythro-form)が前記異性体混合物の92重量%以上で含まれる除草剤組成物を提供する。
【0012】
【0013】
nは、1から3の整数を示し、
Rは、水素または炭素数1から4のアルキル基であり、
R’は、水素、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のハロアルキル基、ハロゲン基または炭素数1から2のアルコキシ基であり、
X及びYは、それぞれ独立して炭素数1から2のアルキル基、炭素数1から2のアルコキシ基、炭素数1から2のハロアルコキシ基またはハロゲン基である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、優れた除草活性を有し、且つ長期の高温保管時にも分解率が低く、特に、液状水和剤(Suspension concentrate,SC)の剤形でも優れた安定性の確保が可能な除草剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳しく説明する。このとき、本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0016】
本発明の除草剤組成物は、下記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物を活性成分として含み、前記ピリジンスルホニルウレア化合物は、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物で含まれ、前記エリスロ型(Erythro-form)が前記異性体混合物の92重量%以上で含まれる。
【0017】
【0018】
前記化学式1において、nは、1から3の整数を示し、Rは、水素または炭素数1から4のアルキル基であり、R’は、水素、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のハロアルキル基、ハロゲン基または炭素数1から2のアルコキシ基であり、X及びYは、それぞれ独立して炭素数1から2のアルキル基、炭素数1から2のアルコキシ基、炭素数1から2のハロアルコキシ基またはハロゲン基である。
【0019】
より好ましくは、前記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物は、前記化学式1において、nは、1または2の整数であり、Rは、水素またはメチル基であり、R’は、水素、ハロゲン基またはメチル基であり、X及びYは、それぞれメトキシ基であってよい。
【0020】
また、さらに好ましくは、前記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物は、前記化学式1において、nは1または2の整数であり、Rはメチルであり、R’は水素、Cl、Brまたはメチル基であり、X及びYはそれぞれメトキシ基であってよい。
【0021】
前記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物は、例えば、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-ヒドロキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-(3-ヒドロキシプロピオン)オキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-2-(2-フルオロ-1-(3-メトキシプロピオン)オキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-メチル-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、N-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-クロロ-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミド、及びN-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノカルボニル]-4-ブロモ-2-(2-フルオロ-1-メトキシアセトキシ-n-プロピル)ピリジン-3-スルホンアミドからなる群から選択された少なくとも一つ以上であってよい。
【0022】
より好ましくは、前記化学式1で表されるピリジンスルホニルウレア化合物は、下記化学式2の化合物[ISO提案名:フルセトスルフロン(flucetosulfuron)]であってよい。
【0023】
【0024】
前記化学式1の化合物は、2つの非対称炭素を含んでいるので、エリスロ型(Erythro-form)またはスレオ型(threo-form)の異性体として存在し得る。
【0025】
本発明の除草剤組成物は、前記化学式1で表される化合物がエリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物で含まれ、このとき、前記エリスロ型(Erythro-form)が異性体混合物全体の92重量%以上で含まれる。より好ましくは、前記エリスロ型(Erythro-form)が異性体混合物の95重量%以上で含まれてよく、さらに好ましくは、前記エリスロ型(Erythro-form)が異性体混合物の95重量%から99重量%で含まれてよい。
【0026】
このように、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物のうちエリスロ型(Erythro-form)を92重量%以上で含むことにより、優れた除草活性を有するだけでなく、長期の高温保管時にも分解率が落ちるので安定性を確保することができる。
【0027】
前記化学式1で表される化合物をエリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物の形態で含まず、エリスロ型(Erythro-form)の単独形態で含む場合、生産効率性が非常に落ちる問題があり、スレオ型(threo-form)の単独形態で含む場合、除草活性が低下し、分解率が非常に増加するので安定性が低下する問題がある。また、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物で存在するが、異性体混合物のうちエリスロ型(Erythro-form)が92重量%未満で含まれる場合にも除草活性が低下し、分解率が増加する。特に、液状剤形の場合、加水分解により安定性がさらに落ちるので、長期の高温保管が困難な問題が発生する。
【0028】
本発明において、前記化学式1で表される化合物の異性体混合物を含む除草剤組成物は、通常の除草剤組成物の剤形で用いられてよい。前記異性体混合物を含む除草剤組成物は、必要な場合、担体、界面活性剤、または剤形の技術分野で一般に用いられる添加剤をさらに含むことで、多様な剤形の除草剤として活用され得る。前記担体及び添加剤は、固体または液体であってよく、剤形の技術分野で有用な成分、例えば天然または合成の無機物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、接着剤、増粘剤、結合剤などであってよい。
【0029】
例えば、前記除草剤組成物は、液状水和剤(Suspension concentrate)、水面展開剤(Spreading oil)、水和剤(wettable powder)、粒状水和剤(Water-dispersible granule)、粉剤(Dispersible powder)、散布剤、顆粒剤、粒剤(granule)及び錠剤(tablet)からなる群から選択された少なくとも一つ以上の剤形に形成されてよい。より好ましくは、液状水和剤(Suspension concentrate)であってよく、前記液状水和剤(Suspension concentrate)の場合、緩衝液、界面活性剤及び凍結防止剤をさらに含んで形成されてよい。液状水和剤(Suspension concentrate)の場合、一般に製造工程が比較的簡単であり、環境にやさしく、かつ散布時に簡素化、効率化が可能であるという長所があるが、加水分解による分解により安定性が落ちる問題があった。しかし、本発明の除草剤組成物は、エリスロ型(Erythro-form)及びスレオ型(threo-form)の異性体混合物のうちエリスロ型(Erythro-form)を92重量%以上で含むことにより、安定性を大きく向上させ、このような液状水和剤(Suspension concentrate)の剤形の場合にも加水分解による分解率を下げ、安定性を大きく向上させて、高温での長期保管ができるようにした。
【0030】
前記除草剤組成物の多様な剤形は、公知の方法により、例えば有効成分を溶媒、固体担体、界面活性剤またはその他の添加剤と緊密に混合及び/又は粉砕することで製造することができる。
【0031】
前記溶媒として使用可能なものは、芳香族炭化水素、例えばキシレン混合物または置換されたナフタレン;エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテルのようなアルコールとグリコール及びそのエーテルとエステル;シクロヘキサノンのようなケトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドのような強い極性溶媒及びエポキシ化されたヤシ油または大豆油のようなエポキシ化されているかエポキシ化されていない植物油;または水であってよい。このような溶媒は、液状剤形用溶媒または粒状製剤の補助溶媒として用いられてよい。
【0032】
前記散布剤及び粒状製剤に一般に用いられる固体担体は、通常、タルク、カオリン、モンモリロナイト、パイロフィライト、ベントナイト、または炭酸カルシウムのような粉砕された天然鉱物であるか、ゼオライトのような吸着性担体、または砂であってよい。それだけでなく、多数の予備粉砕された無機または有機物質を用いてよい。
【0033】
前記界面活性剤は、剤形化される化学式1の化合物の性質によって良好な分散、湿潤及び潤滑特性を示す非イオン性、陽イオン性及び/又は陰イオン性界面活性剤の中から選択されてよい。
【0034】
前記化学式1の化合物の異性体混合物を含む除草剤組成物を投与するより好ましい方法は、液状製剤で植物の生息地を濡らすか、活性成分を固体形態、例えば粒状製剤の形態で土壌に混入させることで(土壌処理)、根及び幹を介して土壌または水を経て植物体に到達させることである。または、植物の葉に直接投与することによっても除草活性を示すことができる(葉面投与)。投与回数及び投与率は、植物の生物学的特性及び気候、土壌環境によって変化し得る。
【0035】
本願は、今から特定の具体例に関して説明されるものであり、これは、本発明の範囲を制限しようとするものではない。逆に、本出願は、特許請求の範囲の範囲内に含まれる全ての代案及び変形をカバーする。よって、以下は、特定の具体例の例示の目的のために本出願の実行を例示するものであり、その過程及び概念的様態の有用で且つ容易に理解された説明であると考えられるものを提供するために提示される。
【0036】
以下の実施例は、当業者に本願で提供される化合物、組成物、及び方法がどのように作られて評価されるかの完全な開示及び説明を提供するために提示され、単に例示的なものとして意図される。よって、実施例は、決して発明者が彼らの発明と見做すものの範囲を制限するためのものではない。反応条件、例えば、構成要素の濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、及び他の反応パラメータ及び純度、収率等のような生成物特性を最適化するために用いられ得る条件の多くの変形及び組み合わせがある。このようなものは、また、本願の範囲内にあるものと見做される。全ての可能な変化において、前記説明された要素の如何なる組み合わせも、本願で異なって指示されていないか、文脈上異なって明らかに否認されていなければ、本発明によって含まれる。
【実施例】
【0037】
実施例1
K2HPO4及びKH2PO4に水を補充して総1Lの溶液を作り、0.1Mのホスファート(phosphate)緩衝液を製造した。その後、緩衝液65.8重量部にCR-DOS70P(Di(2-ethylhexyl)sulfosuccinate、sodium salt、Cas no.577-11-7)3.0重量部、NK-SU500(sucrose laurate、cas no.25339-99-5)1.0重量部、消泡剤SAG-622(モメンティブ社製)0.2量部を入れて十分に混合し、均一な状態で1-(3-{[(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)カルバモイル]スルファモイル }-2-ピリジニル)-2-フルオロプロピルメトキシアセテート(Flucetosulfuron、FTS)のエリスロ型(Erythro-form)を96重量%、スレオ型(threo-form)を4重量%で含む異性体混合物10.0重量部を入れ、撹拌機を用いて十分に混合した。ここにガラスビーズ(Glass bead)を入れて粉砕を行い、粒子サイズの平均値が1~2μmになるまで進めて湿式部を製造した。
【0038】
次に、P.G(propylene glycol、cas no.57-55-6)3.0重量部にX.G(Xanthan Gum、cas no.11138-66-2)0.1重量部、M.V[5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(cas no.26172-55-4)と2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(cas no.2682-20-4)]0.2重量部を入れて十分に撹拌した。その後、0.1Mのホスファート(phosphate)緩衝液16.7重量部を入れて十分に撹拌し、増粘部を製造した。
【0039】
次に、前記湿式部70重量部に増粘部30重量部を入れて十分に撹拌し、液状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0040】
実施例2
FTSとしてエリスロ型(Erythro-form)を92重量%、スレオ型(threo-form)を8重量%で含む異性体混合物を混合したことを除き、実施例1と同様に行って液状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0041】
実施例3
CR-PE62(Polyethylene-Polypropylene glycol、Cas no.9003-11-6)15重量部をcelite 281(Calcined Diatomite、Cas no.91053-39-3)20重量部に吸着させた後、1-(3-{[(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)カルバモイル]スルファモイル }-2-ピリジニル)-2-フルオロプロピルメトキシアセテート(Flucetosulfuron、FTS)のエリスロ型(Erythro-form)を96重量%、スレオ型(threo-form)を4重量%で含む異性体混合物10重量部、NK-EFW(2-Naphthalenesulfonic acid、polymer with formaldehyde、Sodium salt、Cas no.36290-04-7)2重量部、NK-D425(2-Naphthalenesulfonic acid、polymer with formaldehyde、Sodium salt、Cas no.36290-04-7)3重量部、CR-SDS(sodium dodecyl sulfate、Cas no.151-21-3)1重量部、CR-UF100F(Urea-formaldehyde resin(CAS no.9011-05-6))10重量部を混合し、組成物の合計が100重量部になるように残部のタルク(Talc)を混合した後、エアジェットミル(Air-jet mill)を用いて粉砕した。粉砕された混合物に水10~12重量部を入れて練った後、造粒機(Granulator)を用いて粒子化し、80℃内外の温度で熱風乾燥して粒状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0042】
比較例1
FTSとしてエリスロ型(Erythro-form)を88重量%、スレオ型(threo-form)を12重量%で含む異性体混合物を混合したことを除き、実施例1と同様に行って液状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0043】
比較例2
FTSとしてエリスロ型(Erythro-form)を85重量%、スレオ型(threo-form)を15重量%で含む異性体混合物を混合したことを除き、実施例1と同様に行って液状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0044】
比較例3
FTSとしてエリスロ型(Erythro-form)を88重量%、スレオ型(threo-form)を12重量%で含む異性体混合物を混合したことを除き、実施例3と同様に行って粒状水和剤の剤形の除草剤組成物を製造した。
【0045】
[実験例:除草剤組成物の保存安定性の評価]
前記実施例1から3及び比較例1から3の除草剤組成物に対する保存安定性の評価のために、液状試料はポリエチレン(PE)材質のプラスチック瓶に、粒状試料は銀箔封筒にそれぞれ約100g満たし、密封してから54(±2)℃に維持されるオーブンにそれぞれ4週間保管した後、HPLC(製造社:Waters)で活性成分の面積値を測定して分解率を評価した。その結果を下記表1に示した。
【0046】
HPLC分析条件は、以下の通りである。
Column:100mm×4.6mm i.d.「Capcell Pak」C18 column,3μm particles
Mobile Phase:acetonitrile/water(0.02M ammonium acetate+0.1M acetic acid)=32/68
Flow:1.0mL/min.
Column Temperature:30℃
Injection Volume:10μl
Detector Wavelength:254nm
Run time:20min.
【0047】