(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】油脂中のジアルキルケトンの定量方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/88 20060101AFI20220905BHJP
C11C 3/10 20060101ALI20220905BHJP
G01N 33/28 20060101ALI20220905BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20220905BHJP
A23D 9/02 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
G01N30/88 C
C11C3/10
G01N33/28
G01N30/06 Z
A23D9/02
(21)【出願番号】P 2018034480
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2017169463
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 功典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 峰子
(72)【発明者】
【氏名】佐谷 妙
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 明子
(72)【発明者】
【氏名】村野 賢博
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-224563(JP,A)
【文献】特開2016-003923(JP,A)
【文献】特開2013-153742(JP,A)
【文献】特開2012-224797(JP,A)
【文献】特開2003-322594(JP,A)
【文献】特開平06-160379(JP,A)
【文献】Ontataon, J. Sanz et al.,A modified commercial gas chromatograph for the continuous monitoring of the thermal degradation of sunflower oil and off-line solid phase extraction gas-chromatography-mass spectrometry characterization of released volatiles,Journal of Chromatography A,2015年,1388,P52-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
C11C 3/10
G01N 33/28
A23D 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)油脂をけん化分解し、更に液相抽出する工程、
(B)液相抽出物を固相抽出する工程、及び、
(C)固相抽出物をガスクロマトグラフあるいは液体クロマトグラフで定量する工程、
を含み、
工程(A)の油脂が、アルカリ触媒を用いた油脂のエステル交換反応生成物であ
り、
工程(B)において植物ステロール類が除去される、
ことを特徴とする、油脂中のジアルキルケトンの定量方法。
【請求項2】
アルカリ触媒を用いたエステル交換反応により油脂を製造する方法であって、
前記エステル交換反応後の油脂中のジアルキルケトンを、請求項
1に記載の方法に従い定量する工程を含み、
定量する工程後の精製条件及び/又はブレンド条件を、定量されたジアルキルケトン量に基づいて決定する、ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂中のジアルキルケトンの定量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油脂(特に食用油)の改質方法としてエステル交換方法がある。触媒としてアルカリを用いるケミカルエステル交換方法では、改質された油脂の他、ジアルキルケトン(以下、「DAKs」ともいう)が副産物として生成する。DAKs量が多い場合、分子蒸留等により除去される。
また、DAKsが低減された油脂の製造方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エステル交換反応条件の決定、エステル交換反応後のDAKs除去の要否の判断や、DAKsの新たな除去方法の開発にあたっては、油脂中のDAKsを正確に定量する必要がある。
しかし、エステル交換反応生成物をガスクロマトグラフ(GC)へそのまま適用して定量分析を試みると、前記反応生成物中に含まれる植物ステロール類が、GCにおいてDAKsと同様の挙動を示し、DAKsの正確な定量を妨げることを本発明者らは初めて見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、油脂の固相抽出物をGCに付するとDAKsを正確に同定し、かつ、定量できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は下記に関するものである。
〔1〕油脂を固相抽出する工程、及び、
固相抽出物をガスクロマトグラフあるいは液体クロマトグラフで定量する工程、
を含むことを特徴とする、油脂中のジアルキルケトンの定量方法。
〔2〕固相抽出工程の前に、油脂をけん化し、固相抽出以外の抽出操作に供する工程を行う、前記〔1〕に記載の定量方法。
〔3〕前記固相抽出工程に供される油脂が、アルカリ触媒を用いた油脂のエステル交換反応生成物である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の定量方法。
〔4〕アルカリ触媒を用いたエステル交換反応により油脂を製造する方法であって、
前記エステル交換反応後の油脂中のジアルキルケトンを、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法に従い定量する工程を含み、
定量する工程後の精製条件及び/又はブレンド条件を、定量されたジアルキルケトン量に基づいて決定する、ことを特徴とする製造方法。
【発明の効果】
【0006】
後述の実施例で示されるように、本発明の方法によると、油脂(特に、油脂のエステル交換反応生成物)中のDAKsを正確に定量することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「油脂」は特に限定されないが、例えば植物性油脂や動物性油脂が挙げられるが、植物性油脂が好ましい。
植物性油脂としては、キャノーラ油や、パーム油等やこれらのエステル交換油が挙げられ、エステル交換油が好ましい。
また、油脂としては食用油脂が好ましい。
【0008】
本発明は「アルカリ触媒を用いた油脂のエステル交換反応生成物」である油脂に対して好適に用いることができる。
「アルカリ触媒を用いた油脂のエステル交換反応」は、油脂製造分野で用いられているものを特に制限なく用いることができる。
アルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等が挙げられる。
エステル交換反応の条件は、油脂のエステル交換反応で一般的に用いられているものを特に制限なく採用することができる。
【0009】
<油脂中のジアルキルケトンの定量方法>
本発明の油脂中のジアルキルケトンの定量方法は、油脂を固相抽出する工程と、固相抽出物をガスクロマトグラフあるいは液体クロマトグラフで定量する工程とを含む。
「固相抽出」としては、油脂へ適用されているものを特に制限なく用いることができる。「固相抽出」の目的は、後続のガスクロマトグラフあるいは液体クロマトグラフでの定量において、正確な定量を妨害する不純物(植物ステロール類等)を分離除去することである。そのため、植物ステロール類等を効率的に分離除去できる固相抽出法が本発明で用いられる。
ここで「固相抽出」はSPEとも呼ばれ、試料中に含まれる目的物(溶質)と、担体(固定相)との親和性等を利用して溶質を担体に吸着させたり、そのまま溶出させたりして、溶質を分離する抽出方法をいう。本発明では、油脂中に含まれるDAKsを担体に吸着させ、その後吸着したDAKsを溶媒で抽出することで、不純物(植物ステロール類等)からの分離を達成している。
固相抽出で用いる「担体」としては、アミノプロピル基、及び、シリカゲル又はグラファイトカーボンが固定相として挙げられる。
固相抽出で用いる「溶媒」としては、ヘキサンやクロロホルム等が挙げられ、ヘキサンとクロロホルムが好ましい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
固相抽出条件は、油脂の抽出に用いられているものを特に制限なく採用することができる。
【0010】
固相抽出に先立ち、油脂をけん化し、更にけん化物を固相抽出以外の抽出工程(例えば、液相抽出)に付すると、DAKsの定量性をより高めることができるので好ましい。
けん化条件は、油脂のけん化に用いられているものを特に制限なく採用することができる。けん化には、例えば、アルカリ性の水溶液、あるいはアルカリ性のアルコール溶液を用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルコール溶液を用いることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールや、ブタノール等を用いることができる。アルコール溶液は水を含んでいてもよい。けん化温度は、30~120℃が好ましく、70~100℃がより好ましい。
【0011】
油脂のけん化で生成した水溶性成分を除くために、固相抽出以外の抽出工程(例えば、液相抽出)を行うことが好ましい。例えば、けん化物を水に溶解しにくい有機溶媒で抽出することができる。有機溶媒としては、エーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンや、ジクロロメタン等を用いることができる。当該抽出後に実施する濃縮操作(溶媒除去)の効率に鑑みると、沸点が100℃以下の有機溶媒が好ましい。抽出操作後、有機相のアルカリを除去するために、洗浄操作(例えば水洗)を行うことが好ましい。
ケン化、液相抽出及び洗浄を行った後に、DAKsの濃度を高めるために濃縮操作を実施することが好ましい。濃縮方法としては、特に限定するものではないが、無水硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、モレキュラーシーブ等の乾燥剤で乾燥させた後、有機溶媒を蒸留することが挙げられる。
【0012】
「ガスクロマトグラフ(GC)」は油脂へ適用できるものであればよく、FID検出器または質量分析装置を有するキャピラリーGCを特に制限なく用いることができる。測定用キャピラリーカラムの充填剤の種類は特に制限されないが、ジメチルポリシロキサンやジフェニルジメチルポリシロキサンなどが好ましい。
GC条件は、油脂の分析に用いられているものを特に制限なく採用することができる。
「液体クロマトグラフ(LC)」は油脂へ適用できるものであればよく、蒸発光散乱検出器または示差屈折検出器あるいは質量分析装置等を有するものを特に制限なく用いることができる。測定用カラムの固定相の種類は特に制限されないが、シリカゲルなどの順相カラムやC18などの逆相カラムが好ましい。
LC条件は、油脂の分析に用いられているものを特に制限なく採用することができる。
【0013】
本発明では、油脂中に含まれる多種のジアルキルケトン(Dialkylketones: DAKs)を定量することができる。
DAKsとしては、一般式(1):R1C(O)R2(式中、R1及びR2は独立してC1~C24のアルキル基である)で表される化合物が挙げられる。具体例としては、9-ヘプタデカノン(一般式(1)中、R1及びR2がC8のアルキル基である化合物)、10-ノナデカノン、11-ヘンエイコサノン、14-ヘプタコサノン、16-ヘントリアコンタノン、18-ペンタトリアコンタノンや、12-トリコサノン等が挙げられるが、他のDAKs(例えば、9,26-ペンタトリアコンタジエン-18-オン)も定量可能である。
【0014】
<エステル交換反応により油脂を製造する方法>
エステル交換反応生成物中のDAKsを前記<油脂中のジアルキルケトンの定量方法>に従い定量し、定量結果に基づいて、前記生成物からのDAKs除去の要否を決定することができる。
したがって、本発明には、エステル交換反応により油脂を製造する方法であって、エステル交換反応後の油脂中のジアルキルケトンを、前記<油脂中のジアルキルケトンの定量方法>に記載の方法に従い定量する工程を含み、定量する工程後の精製条件及び/又はブレンド条件を、定量されたジアルキルケトン量に基づいて決定することを特徴とする方法も含まれる。
本発明において、定量する工程は、エステル交換後であればよく、精製工程及び/ブレンド工程の前、あるいは精製工程及び/ブレンド工程の途中でもよい。
【0015】
エステル交換油の精製工程は、アルカリ触媒の酸性物質との中和あるいは水洗、脱酸、脱色、脱臭、分別等の一つ以上が行われるが、いずれの前後、あるいは工程中でもよい。
例えば、エステル交換油中のDAKs量が多いことが定量工程で判明した場合、酸性の液(例えば、クエン酸)で洗浄する工程を追加で行うことで、DAKs量を低減することができる。酸性の液で洗浄する場合、その後、水洗、脱臭することが好ましい。また、短工程蒸留等の高真空化での蒸留工程を追加で行うことでも、DAKsを除去することができる。
エステル交換油中のDAKs量が少ない(あるいは存在しない)ことが定量工程で判明した場合、これらの精製工程を行わないことを選択することができる。
【0016】
複数のエステル交換油をブレンドする場合、DAKs量が多いロットとDAKs量が少ないロットを組わせて、DAKs量が一定の規格内に抑えられたブレンド油を製造することができる。したがって、ブレンド油製造におけるブレンド条件の決定にも本発明のDAKsの定量方法を利用できる。特に、複数の製品タンクのそれぞれにDAKs量が異なるエステル交換油が貯蔵されている場合、新たに製造したエステル交換油のDAKs量を精製前あるいは精製途中で定量し、精製後のエステル交換油を適切な製品タンクに導入すると、各製品タンク中のエステル交換油のDAKs量を調節(例えば、低量に抑える)できるので好ましい。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
[実施例1]:油脂中のDAKsの定量分析(1)
(サンプル調製)
所定量のDAKsを含むように予め調製した油脂サンプルを用いて、本発明の定量方法を評価した。具体的には、DAKsを含まないキャノーラ油(日清オイリオグループ株式会社製)へ各種DAKs標準試薬を表1の配合量となるように添加して調製したサンプル1~5を使用した。
【0019】
【0020】
固相抽出に供する前に、各サンプルを、下記のけん化操作及び抽出操作(洗浄操作及び脱水・乾固操作)に付して抽出物を作成した。
(けん化操作)
サンプル1gと2N 水酸化カリウム/エタノール 10mLとをナス型フラスコに加え、90℃で30分還流させて、けん化分解を行った。その後、室温(20℃)まで降温し、20mLの水を加えて混合し、分液ロートへ移した。次いで、石油エーテル30mLを加え、振とうして、上層(石油エーテル層)を回収(1回目)した。残りの下層に石油エーテル30mLを加え、振とうし、上層(石油エーテル層)を回収(2回目)して、1回目に回収した上層と合わせた。さらに、残りの下層に石油エーテル30mLを加え、振とうし、上層(石油エーテル層)を回収(3回目)し、これを1回目及び2回目に回収した上層(石油エーテル層)と合わせた。
【0021】
(洗浄操作)
前記けん化操作で得られた上層(石油エーテル層)に水/エタノール(1:1 v/v)40mLを加え、振とうして、上層(石油エーテル層)を回収した。前記上層に水/エタノール(1:1 v/v)40mLを加え、振とうして、上層(石油エーテル層)を回収した。さらに、前記上層に水/エタノール(1:1 v/v)40mLを加え、振とうして、上層(石油エーテル層)を回収した。
【0022】
(脱水・乾固操作)
前記洗浄操作で回収した上層(石油エーテル層)に無水硫酸ナトリウム10gを加えて振り混ぜ、脱水した。脱水した上層(石油エーテル層)を濾紙でろ過して無水硫酸ナトリウムを除去し、更にロータリーエバポレーターで溶媒を除去して抽出物を得た。
【0023】
(固相抽出操作)
前記操作で得られた抽出物を下記の固相抽出(SPE)に供して、不純物(植物ステロール類等)が除去された、ジアルキルケトン含有抽出物(画分)を得た。
市販の固相抽出チューブ(スペルクリンENVI-Carb/NH2(シグマアルドリッチ)(アミノプロピル基及びグラファイトカーボンの固定相)に、ヘキサン/クロロホルム(9:1 v/v)0.5mLを加えた後、前記抽出物を負荷した。次いで、ヘキサン/クロロホルム(9:1 v/v)15mLを固相抽出チューブに加え、溶出物を回収し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去して画分1を得た。
次にヘキサン/クロロホルム(7:3 v/v)20mLを固相抽出チューブに加え、溶出物を回収し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去して画分2を得た。
次にクロロホルム10mLを固相抽出チューブに加え、溶出物を回収し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去して画分3を得た。
次にクロロホルム50mLを固相抽出チューブに加え、溶出物を回収し、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去して画分4を得た。
【0024】
(ガスクロマトグラフ操作)
各画分について、クロロホルム0.5mLを加えて溶解したものを、下記条件下でのガスクロマトグラフへ供した。
なお、前記ジアルキルケトン標準物質のクロロホルム溶液(配合量:50ppm(質量基準))を標準サンプルとした。
【0025】
ガスクロマトグラフ条件
FID検出器を有するキャピラリーGC装置:Agilent GC 7890B
カラム:Agilent製DB1-HT 長さ15m×内径0.32mm×膜厚0.1μm(充填剤:100%ジメチルポリシロキサン)
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:330℃
検出器温度:340℃
オーブン温度:150℃~340℃(昇温温度 20℃/分)
注入量:1μL
スプリット比:50:1
流量:2mL/min
標準物質:ジアルキルケトン試薬
【0026】
各サンプルのピークと標準サンプルのピークとを比較することで、DAKs量を算出した。結果を表2に示す。表2の回収率は、定量方法に供する前のサンプル中のDAKs量(質量基準)を100%とした場合の値である。
【0027】
【0028】
前記の定量方法では、定量前のサンプル中のDAKs量に対して77~98%という高い回収率でDAKsが検出された。
この結果は、本発明の方法によって油脂中のDAKsを正確に定量できることを示すものである。
【0029】
[実施例2]:油脂中のDAKsの定量分析(2)
(サンプル調製)
所定量のDAKsを含むように予め調製した油脂サンプルを用いて、本発明の定量方法を評価した。具体的には、DAKsを含まないパーム油(日清オイリオグループ株式会社製)へ各種DAKs標準試薬を表3の配合量となるように添加して調製したサンプル6~10を使用した。
【0030】
【0031】
固相抽出に供する前に、各サンプルを、前述の実施例1と同様のけん化操作及び抽出操作(洗浄操作及び脱水・乾固操作)に付して抽出物を作成した。
固相抽出操作及びガスクロマトグラフ操作も前述の実施例1と同様であった。
各サンプルのピークと標準サンプルのピークとを比較することで、DAKs量を算出した。結果を表4に示す。表4の回収率は、定量方法に供する前のサンプル中のDAKs量(質量基準)を100%とした場合の値である。
【0032】
【0033】
前記の定量方法では、定量前のサンプル中のDAKs量に対して82~96%という高い回収率でDAKsが検出された。
この結果は本発明の方法によって油脂中のDAKsを正確に定量できることを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、油脂分野で利用することができる。