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特許7135315リチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】リチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20220906BHJP
   C30B 15/20 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C30B29/06 502A
C30B15/20
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017244437
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019112238
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲広
(72)【発明者】
【氏名】溝上 信明
(72)【発明者】
【氏名】岩本 孝
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0145657(KR,A)
【文献】特開2004-035357(JP,A)
【文献】特開2008-285351(JP,A)
【文献】特開2017-122017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置における円筒状のリチャージ管であって、
前記固形原料を充填する際に軸方向に分割される複数の分割管と、
前記固形原料を前記ルツボに投入する際に前記分割管を上下に連結する連結部と、
を有し、
前記分割管に分割して、前記分割管の内面を加熱再生して再使用可能であることを特徴とするリチャージ管。
【請求項2】
前記分割管において、連結時に下側位置となる分割管上端の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1記載のリチャージ管。
【請求項3】
前記分割管の上端内径が、下端内径に対して等しいか、または、下端内径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1記載のリチャージ管。
【請求項4】
前記連結部には、径方向外側に延在するフランジ部が設けられ、このフランジ部を締結する締結部が設けられることを特徴とする請求項1記載のリチャージ管。
【請求項5】
前記連結部において、連結時に下側位置となる分割管上端に上側位置となる分割管下端が嵌合されることを特徴とする請求項1記載のリチャージ管。
【請求項6】
前記連結部が、前記分割管の上端面と下端面とを突き合わせて連結されることを特徴とする請求項1記載のリチャージ管。
【請求項7】
前記連結部には、上側の前記分割管と下側の前記分割管とが接触する面に緩衝部材が設けられることを特徴とする請求項5記載のリチャージ管。
【請求項8】
前記緩衝部材の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項記載のリチャージ管。
【請求項9】
前記分割管が石英からなり、前記緩衝部材が可撓性を有してカーボンを含む材料からなることを特徴とする請求項記載のリチャージ管。
【請求項10】
チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置であって、
請求項1から9のいずれか記載のリチャージ管と、
前記リチャージ管の下方開口端に脱着可能に装着される円錐状の底蓋と、
前記リチャージ管および前記底蓋を吊り下げて昇降可能にするとともに前記リチャージ管の下方開口端を開放して前記ルツボ内の原料融液に前記固形原料を投入可能とする引き上げ手段と、
を具備することを特徴とする原料供給装置。
【請求項11】
チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶引き上げ装置であって、
請求項10記載の原料供給装置と、
内部に前記ルツボを備えた炉体と、
この炉体内で前記ルツボの上方位置に下端内周が縮径した筒状として周設され前記原料融液から育成されている前記単結晶への輻射熱を遮るための熱遮蔽体と、を有し、
追加チャージ又はリチャージの際、前記リチャージ管を前記熱遮蔽体の内側に上方から挿入するとともに、前記リチャージ管の下端を前記熱遮蔽体の下端よりも上方に位置させ、この状態で前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下することを特徴とする単結晶引き上げ装置。
【請求項12】
前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下する際に、前記熱遮蔽体下端位置よりも前記連結部が高い位置に設定されることを特徴とする請求項11記載の単結晶引き上げ装置。
【請求項13】
前記炉体外側において、前記リチャージ管に前記固形原料を充填する際に、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結可能として支持する傾斜支持台を有することを特徴とする請求項11記載の単結晶引き上げ装置。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか記載のリチャージ管の使用方法であって、
前記固形原料の充填によって所定の状態まで内表面が傷ついた前記分割管のみを交換することを特徴とするリチャージ管の使用方法。
【請求項15】
前記分割管を、傷のない状態に比べて前記固形原料の充填によって内面の傷により透過率が70%を下回った部分が生じた場合に交換することを特徴とする請求項14記載のリチャージ管の使用方法。
【請求項16】
傷ついて交換された前記分割管の内面を加熱して再生することを特徴とする請求項14記載のリチャージ管の使用方法。
【請求項17】
加熱により再生された前記分割管の変形が所定量を超えた場合に再使用しないことを特徴とする請求項16記載のリチャージ管の使用方法。
【請求項18】
請求項11記載の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することを特徴とするリチャージ方法。
【請求項19】
請求項13記載の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記傾斜支持台によって、下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することを特徴とするリチャージ方法。
【請求項20】
請求項13記載の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記傾斜支持台によって、連結された複数の前記分割管を支持し、傾斜させて前記分割管を前記連結部により分離することを特徴とするリチャージ方法。
【請求項21】
請求項18記載のリチャージ方法によって、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記原料融液から単結晶を育成することを特徴とする単結晶引き上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法に関し、特にCZ方による単結晶引き上げにおける固形原料の追加またはリチャージに用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、CZ(チョクラルスキー)法によるシリコン単結晶の育成において、ルツボ内に初期チャージとして投入された固形の多結晶シリコンは、ルツボを囲繞するヒータによって加熱されて溶融する。そして、ルツボ内に原料融液が形成されると、ルツボを一定方向に回転させながら、ルツボ上に保持された種結晶を下降させ、ルツボ内の原料融液に浸漬する。その後、前記の種結晶を所定の方向に回転させながら種結晶を上昇させることにより、種結晶の下方に円柱状のシリコン単結晶を引き上げて育成する。
【0003】
初期チャージとしてルツボ内に投入される固形原料は、ロッド状、塊状、または粒状等の各種形状の多結晶シリコンが用いられ、それぞれが単独、または複合して供給され、シリコン単結晶を育成する融液の原料となる。
【0004】
このようなCZ法によるシリコン単結晶の育成では、ルツボ内に初期チャージされた固体原料が溶融すると、溶融後の見かけ上の体積が減少するため、ルツボの容積に比して得られる原料融液量が不足する。このような状態で単結晶を育成すれば、原料融液量の不足に起因して、生産性の低下を余儀なくされる。
【0005】
上記起因による生産性の低下を回避するには、原料融液の不足分を補充して所望の融液量を確保することが必要になり、ルツボへの初期チャージ後に、固形原料を追加供給する技術として「追加チャージ」が行われている。
【0006】
すなわち、「追加チャージ」では、ルツボ内に初期チャージされた固体原料を溶融した後、形成された原料融液に固形原料をさらに追加投入することによって、ルツボ内の原料融液量を増加させる技術である。この「追加チャージ」を適用することによって、使用するルツボの容積を有効に活用することができ、シリコン単結晶育成における生産性を向上させることができる。
【0007】
さらに、CZ法によるシリコン単結晶の育成では、「リチャージ」と呼ばれる固形原料を供給する技術も行われている。具体的には、最初の単結晶を育成して引き上げた後、原料融液の引き上げによる減少分に見合う量の固形原料をルツボ内の残留融液に追加投入する技術である。
【0008】
言い換えると、「リチャージ」することにより、ルツボ内に所定量の原料融液を再形成して、単結晶の引き上げを繰り返し、ルツボ1 個当たりの結晶引き上げ本数を多くする技術である。したがって、「リチャージ」を採用することによって、ルツボの効率使用でコストの低減を図るとともに、前述した「追加チャージ」と同様に、生産性を向上させ、シリコン単結晶の育成コストを低減できる。
【0009】
「追加チャージ」や「リチャージ」による原料供給は、ルツボの上方となるプルチャンバから引き上げ炉内に挿入されたリチャージ管を有する原料供給装置を用いて、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加投入する方法が知られている。
【0010】
この際、固形原料の追加投入にともなって、ルツボに損傷を与えたり、原料融液の液跳ねにより原料融液の飛沫がチャンバ内の部品に付着し、部品の寿命を短くするとか、単結晶の育成に悪影響を及ぼすといった問題を解消するために、特許文献に記載されるように、「追加チャージ」や「リチャージ」に関して、種々の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2003-020295号公報
【文献】特開2005-001977号公報
【文献】特開2007-217224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、近年、引き上げる単結晶の大口径化、あるいは、引き上げ長の増大、または、操業の効率化等の要因により、リチャージ量を増大したいという要求があった。
この要求を満たそうとした場合、リチャージ管は、プルチャンバ側から挿入されるため、その太さを大きくするには限界がある。したがって、リチャージ管の長さを増大させることになるが、単純に、リチャージ管の長さを増大させた場合、次のような問題が生じていた。
【0013】
リチャージ管は、汚染防止のため、石英等、追加原料となる多結晶シリコンよりも柔らかい材質からできている。このため、リチャージ管の長さが長くなると、リチャージ管への原料充填の際に、落下した塊状の原料シリコンが当たって、リチャージ管内面が傷ついて摩耗し、このとき発生した石英等の微小片が溶融原料内に混入し、有転位化の原因となってしまう。
リチャージ管の長さが長くなると、リチャージ管に充填する原料が原料充填時に落下する落下距離が長くなるため、摩耗による石英等の微小片に起因した有転位化がさらに増大するという問題があった。
【0014】
また、リチャージ管の内面が原料充填の際に塊状の原料シリコンが当たって傷ついてしまうと、リチャージ時のチャンバ内と充填時との温度差などによりリチャージ管が破損する可能性がある。このため、通常この強度低下を見越して所定回数でリチャージ管の使用を制限していた。
しかし、リチャージ管の長さが長くなると、リチャージ管に充填する原料が原料充填時に落下する落下距離が長くなるため、発生する傷が加速度的に大きく・深く形成されるため、リチャージ管の使用可能時間・使用可能回数が極端に減ってしまうという問題があった。
【0015】
さらに、このようなリチャージ管の傷発生に起因した強度低下に対する対策として、リチャージ管の内面などを加熱・溶融して発生した傷を無くすためのリペア(再生)工程がおこなう必要があるが、リチャージ管の長さが大きくなると、このリペア回数が必然的に多くなる。
リペア工程における加熱は、リチャージ管全体に歪みを生じる可能性があるため、その変形が許容範囲内であれば、リペア処理後に使用可能であるが、リチャージ管が長尺化して原料充填時の落下距離が大きくなって発生する傷が加速度的に大きく・深く形成されると、リペアに必要な加熱量も増大するため、結果的に、変形量が増えて、最終的なリチャージ管のライフ(排棄するまでの使用可能時間・使用可能回数)が減少してしまう。
同時に、リチャージ管の長尺化にともない、リペア工程における加熱量が増大して、さらに、変形量が増えて、最終的なリチャージ管のライフ(排棄するまでの使用可能時間・使用可能回数)が減少してしまう。
【0016】
また、リチャージ管はリチャージ終了後に毎回内面を清掃するが、リチャージ管の長さが大きくなると、この作業性が著しく低下してしまう。または、清掃が不十分となり、有転位化あるいは結晶特性の低下を生じる可能性があった。
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.リチャージ管における充填量の増大と、リチャージ管のライフ減少防止とを同時に実現すること。
2.同時に、有転位化の発生低減を図ること。
3.同時に、リチャージにかかる作業性の低下を防止すること。
4.また、結晶品質の低下を防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のリチャージ管は、チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置における円筒状のリチャージ管であって、
前記固形原料を充填する際に軸方向に分割される複数の分割管と、
前記固形原料を前記ルツボに投入する際に前記分割管を上下に連結する連結部と、
を有し、
前記分割管に分割して、前記分割管の内面を加熱再生して再使用可能であることにより上記課題を解決した。
本発明のリチャージ管は、前記分割管において、連結時に下側位置となる分割管上端の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることができる。
本発明のリチャージ管は、前記分割管の上端内径が、下端内径に対して等しいか、または、下端内径よりも大きく設定されることができる。
本発明のリチャージ管は、前記連結部には、径方向外側に延在するフランジ部が設けられ、このフランジ部を締結する締結部が設けられることができる。
本発明のリチャージ管は、前記連結部において、連結時に下側位置となる分割管上端に上側位置となる分割管下端が嵌合されることができる。
本発明のリチャージ管は、前記連結部が、前記分割管の上端面と下端面とを突き合わせて連結されることができる。
本発明のリチャージ管は、前記連結部には、上側の前記分割管と下側の前記分割管とが接触する面に緩衝部材が設けられることができる。
本発明のリチャージ管は、前記緩衝部材の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることができる。
本発明のリチャージ管は、前記分割管が石英からなり、前記緩衝部材が可撓性を有してカーボンを含む材料からなることができる。
本発明の原料供給装置は、チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置であって、
上記のいずれか記載のリチャージ管と、
前記リチャージ管の下方開口端に脱着可能に装着される円錐状の底蓋と、
前記リチャージ管および前記底蓋を吊り下げて昇降可能にするとともに前記リチャージ管の下方開口端を開放して前記ルツボ内の原料融液に前記固形原料を投入可能とする引き上げ手段と、
を具備することができる。
本発明の単結晶引き上げ装置は、チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶引き上げ装置であって、
上記の原料供給装置と、
内部に前記ルツボを備えた炉体と、
この炉体内で前記ルツボの上方位置に下端内周が縮径した筒状として周設され前記原料融液から育成されている前記単結晶への輻射熱を遮るための熱遮蔽体と、を有し、
追加チャージ又はリチャージの際、前記リチャージ管を前記熱遮蔽体の内側に上方から挿入するとともに、前記リチャージ管の下端を前記熱遮蔽体の下端よりも上方に位置させ、この状態で前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下することができる。
本発明の単結晶引き上げ装置は、前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下する際に、前記熱遮蔽体下端位置よりも前記連結部が高い位置に設定されることができる。 本発明の単結晶引き上げ装置は、前記炉体外側において、前記リチャージ管に前記固形原料を充填する際に、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結可能として支持する傾斜支持台を有することができる。
本発明のリチャージ管の使用方法は、
上記のいずれか記載のリチャージ管の使用方法であって、
前記固形原料の充填によって所定の状態まで内表面が傷ついた前記分割管のみを交換することができる。
本発明のリチャージ管の使用方法は、前記分割管を、傷のない状態に比べて前記固形原料の充填によって内面の傷により透過率が70%を下回った部分が生じた場合に交換することができる。
本発明のリチャージ管の使用方法は、傷ついて交換された前記分割管の内面を加熱して再生することができる。
本発明のリチャージ管の使用方法は、加熱により再生された前記分割管の変形が所定量を超えた場合に再使用しないことができる。
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することができる。
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記傾斜支持台によって、下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することができる。
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記傾斜支持台によって、連結された複数の前記分割管を支持し、傾斜させて前記分割管を前記連結部により分離することができる。
本発明の単結晶引き上げ方法は、上記のリチャージ方法によって、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記原料融液から単結晶を育成することができる。
【0019】
本発明のリチャージ管は、チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置における円筒状のリチャージ管であって、
前記固形原料を充填する際に軸方向に分割される複数の分割管と、
前記固形原料を前記ルツボに投入する際に前記分割管を上下に連結する連結部と、
を有することにより、固形原料を充填する際に、リチャージ管を軸方向に分割して軸方向寸法の短い分割管に充填をおこなうことができる。これにより、固形原料の充填量が同じであっても、分割されていないリチャージ管に比べて、充填する固形原料が落下する距離が短くなる。したがって、充填時におけるリチャージ管内面への衝撃を減少させ、リチャージ管内面での傷発生を低減することが可能となる。
【0020】
これにより、石英等とされるリチャージ管から微粉末が発生することを防止して、有転位化の発生を抑制することが可能となる。同時に、固形原料を軸方向上端付近まで充填した後に、次の分割管を連結部によって連結して、さらに固形原料を充填することで、固形原料落下距離を増大させずに、リチャージする固形原料の全充填量を大幅に増大することが可能となる。
【0021】
また、上記の構成により、固形形原料落下に起因する内面状態劣化の大きな分割管のみを選択的に交換することが可能となる。これにより、内面劣化状態の進行度にしたがって、各分割管の交換時期を異ならせることが可能となる。
【0022】
例えば、2分割されているリチャージ管において、下側位置の分割管の交換時期に対して上側位置の交換時期が長くなるようにすることができる。あるいは、3分割されているリチャージ管において、下側位置のみを短いサイクルで交換するとともに、上側および中側位置の分割管は、連結位置を入れ替えて使用することで、交換時期をほぼ同じ程度に設定することなどが可能となる。
【0023】
さらに、リチャージ終了後に管の内面を洗浄する際にも、管長が短いため高いハンドリング性有しており、作業員の負担を低減して、作業時間を短縮することが可能となる。
同時に、形原料落下に起因する内面状態の劣化速度を低減することが可能となるため、リチャージ管の再生処理までのライフそのものを増大して使用可能なリチャージ回数を増大させることができ、再生処理の回数を削減して再生処理での変形によるライフを増大させることが可能となる。
【0024】
ここで、本発明においてリチャージとは、ルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージすることを意味するものとされる。
【0025】
本発明のリチャージ管は、前記分割管において、連結時に下側位置となる分割管上端の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることにより、連結時に下側位置となる分割管が、平面視して上側位置となる分割管よりも内側(中心側)に突出することがないため、充填される固形原料が下側位置となる分割管上端に直接ぶつかることがない。これにより、下側位置となる分割管上端付近で傷ができる、あるいは、この下側位置となる分割管上端付近に割れ・欠けが発生して、これに起因する不純物の発生を防止できるため、有転位化の防止と、結晶特性悪化の防止を実現することができる。
【0026】
本発明のリチャージ管は、前記分割管の上端内径が、下端内径に対して等しいか、または、下端内径よりも大きく設定されることにより、例えば、分割管の内径が、上端から下端に向けて縮径する構成とすることや、円柱状の分割管において、その内径が、下端付近のみ下端に向けて縮径する構成とすることができる。
【0027】
本発明のリチャージ管は、前記連結部には、径方向外側に延在するフランジ部が設けられ、このフランジ部を締結する締結部が設けられることにより、連結部において、上下の分割管を軸線方向が一致するように並べた状態で、下側位置の分割管上端付近に位置するフランジ部と、上側位置の分割管下端付近に位置するフランジ部とを対向させ、これら平行状態のフランジ部を上下方向から、あるいは、径方向外側から締結部によって締結することで、容易に連結することが可能となる。
【0028】
本発明のリチャージ管は、前記連結部において、連結時に下側位置となる分割管上端に上側位置となる分割管下端が嵌合されることにより、連結時に下側位置となる分割管上端に、上側位置となる分割管下端を差し込んで、これらを嵌合させるだけで、容易に連結することが可能となる。
【0029】
本発明のリチャージ管は、前記連結部が、前記分割管の上端面と下端面とを突き合わせて連結されることにより、分割管の上端面と下端面とが互いに接触し、連結した分割管の連結部付近を密閉することが可能となる。これにより、リチャージ時に単結晶引き上げ装置内で、リチャージ管の内部と外部とを分離した状態を維持して、所定のリチャージ位置まで、リチャージ管を移動させることが可能となる。
さらに、連結部において、分割管の上端面と下端面とが接触していない場合には、上端外周面と下端内周面とが接触するようにして、分割管の連結部付近を密閉することも可能である。
【0030】
本発明のリチャージ管は、前記連結部には、上側の前記分割管と下側の前記分割管とが接触する面に緩衝部材が設けられることにより、剛性を有する石英等からなる連結する分割管どうしが直接接触せずに、可撓性を有する緩衝部材を介して連結し連結部付近を容易に密閉することができる。同時に、石英等からなる連結する分割管どうしが直接接触して破損などの不具合が生じることを防止できる。
【0031】
本発明のリチャージ管は、前記緩衝部材の内径が、上側位置となる分割管下端の内径に対して等しいか、または、上側位置となる分割管下端の内径よりも大きく設定されることにより、緩衝部材が上側位置となる分割管に隠れて、充填される固形原料が緩衝部材に直接ぶつかることがない。これにより、緩衝部材に起因する不純物の発生を防止できるため、例えばカーボンを含有するとされる緩衝部材が混入してしまうことによる炭素濃度が高くなるなどの結晶特性悪化を防止することが可能となる。
【0032】
本発明のリチャージ管は、前記分割管が石英からなり、前記緩衝部材が可撓性を有してカーボンを含む材料からなることにより、分割管どうしが変形した場合でも、この変形を吸収して連結部付近を容易に密閉することができる。同時に、石英等からなる連結する分割管どうしが直接接触して破損などの不具合が生じることを防止できる。
【0033】
本発明の原料供給装置は、チョクラルスキー法による単結晶の育成に用いられ、粒塊状の固形原料をルツボ内の原料融液に追加チャージまたはリチャージする原料供給装置であって、
上記のいずれか記載のリチャージ管と、
前記リチャージ管の下方開口端に脱着可能に装着される円錐状の底蓋と、
前記リチャージ管および前記底蓋を吊り下げて昇降可能にするとともに前記リチャージ管の下方開口端を開放して前記ルツボ内の原料融液に前記固形原料を投入可能とする引き上げ手段と、
を具備することにより、リチャージ量を増大可能なリチャージ管において固形原料当接による傷発生を低減し、有転位化発生を低減し、リチャージ管の使用可能回数を増大し、各分割管の交換時期を制御して、作業効率を向上させることが可能となる。
【0034】
同時に、分割管の軸方向長さを短縮すると同時に、リチャージ管内部に位置する底蓋や引き上げ手段に対しても、充填する固形原料が落下する距離を短縮し、充填時における底蓋や引き上げ手段への衝撃を減少させ、底蓋や引き上げ手段に起因する不純物の発生を低減することが可能となる。
【0035】
本発明の単結晶引き上げ装置は、チョクラルスキー法により原料融液から単結晶を育成する単結晶引き上げ装置であって、
上記の原料供給装置と、
内部に前記ルツボを備えた炉体と、
この炉体内で前記ルツボの上方位置に下端内周が縮径した筒状として周設され前記原料融液から育成されている前記単結晶への輻射熱を遮るための熱遮蔽体と、を有し、
追加チャージ又はリチャージの際、前記リチャージ管を前記熱遮蔽体の内側に上方から挿入するとともに、前記リチャージ管の下端を前記熱遮蔽体の下端よりも上方に位置させ、この状態で前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下することにより、リチャージ量を増大可能なリチャージ管において固形原料当接による傷発生を低減し、底蓋や引き上げ手段に起因する不純物発生を低減し、有転位化発生を低減し、引き上げる単結晶の結晶特性悪化を防止して、リチャージ管の使用可能回数を増大し、各分割管の交換時期を制御して、作業効率を向上させることが可能となる。
【0036】
本発明の単結晶引き上げ装置は、前記ルツボ内の前記原料融液に前記固形原料を投下する際に、前記熱遮蔽体下端位置よりも前記連結部が高い位置に設定されることにより、連結部における締結部や緩衝部材に対する原料融液やヒータの熱からの高温に起因する悪影響を低減することができる。同時に、最下側位置となる分割管以外に対して、原料融液やヒータの熱からの高温に起因する変形発生などの悪影響を低減することができる。
【0037】
本発明の単結晶引き上げ装置は、前記炉体外側において、前記リチャージ管に前記固形原料を充填する際に、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結可能として支持する傾斜支持台を有することにより、傾斜支持台に傾斜状態として、底蓋を装着した最下側位置となる分割管を支持(載置)し、次いで、この分割管に固形原料を充填し、この最下側位置となる分割管の上端付近まで充填されたら連結部によって次の分割管を連結して、固形原料を充填することができる。しかも、この充填作業中に、分割管の連結状態にかかわらず、分割管を傾斜状態と屹立状態との間で傾斜角度を変えられるので、充填作業の作業性を向上できるとともに、充填する固形原料がリチャージ管等へ当接する衝撃を低減するように角度調節することが可能となる。また、充填が狩猟した際には、リチャージをおこなうために、鉛直方向に吊り上げ可能なように、リチャージ管の軸線方向が鉛直になるように屹立させることも容易になる。
【0038】
本発明のリチャージ管の使用方法は、
上記のいずれか記載のリチャージ管の使用方法であって、
前記固形原料の充填によって所定の状態まで内表面が傷ついた前記分割管のみを交換することにより、固形原料落下に起因する内面状態劣化の大きな分割管のみを選択的に交換することが可能となる。これにより、内面劣化状態の進行度にしたがって、各分割管の交換時期を異ならせて、リチャージ管としてのライフを延長し、リチャージ量の増大と有転位化発生の低減と結晶品質低下の防止とコスト削減とを同時に図ることが可能となる。
【0039】
例えば、2分割されているリチャージ管において、上側位置の分割管の充填時にも固形原料がより多く当接する可能性のある下側位置の分割管の交換時期を、上側位置の分割管の交換時期よりも短くして、下側位置の分割管を早く交換することができる。あるいは、3分割されるとともに同じ形状にされているリチャージ管において、連結状態における初期のリチャージ量に必要な個数よりも多い分割管を用意し、先に痛みがひどくなり交換状態となる下側位置の分割管のみを短いサイクルで交換することや、下側位置の分割管に比べて中側位置の分割管の交換頻度を低くすること、中側位置の分割管に比べて上側位置の分割管の交換頻度を低くすることができる。さらに、上中下の位置の分割管における連結位置を順に入れ替えて使用することで交換時期をほぼ同じ程度に設定することなど、これ以外にも、リチャージ管としてのライフ延長を図ることが可能となる。
【0040】
本発明のリチャージ管の使用方法は、前記分割管を、傷のない状態に比べて前記固形原料の充填によって生じた内面の傷により透過率が70%を下回った部分が生じた場合に交換することにより、内面状態劣化の大きな分割管のみを選択的に交換することが可能となる。透過率が70%よりも低下した場合には、分割管の強度が低下するため好ましくない。また、この透過率が70%を下回った部分は、最も大きな面積を有する部分が、10cm四方程度の大きさの領域であることができる。あるいは、透過率が70%を下回った部分が5cm四方程度の領域が3~4箇所形成された状態とすることもできる。
これにより、リチャージ管の強度を保証して、有転位化発生を防止し、結晶品質の低下を防止することができる。
【0041】
本発明のリチャージ管の使用方法は、傷ついて交換された前記分割管の内面を加熱して再生することにより、交換した分割管を再使用可能とすることができる。これにより、傷のない状態で、強度を維持しかつ有転位化を防止した状態で分割管を再使用し、ライフを延長してコスト削減を図ることが可能となる。
【0042】
本発明のリチャージ管の使用方法は、加熱により再生された前記分割管の変形が所定量を超えた場合に再使用しないことにより、連結部における密閉を維持可能な分割管のみを使用して、リチャージにおける安全性を確保することができる。
【0043】
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することにより、有転位化の発生を抑制し、引き上げる結晶において、炭素濃度の変動などの品質劣化を抑制した状態で、リチャージ管により増量した原料を追加あるいはリチャージして単結晶引き上げをおこなうことが可能となる。
【0044】
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記傾斜支持台によって、下端に前記底蓋を装着した前記分割管を傾斜して支持するとともに、前記固形原料の充填にともなって傾斜した前記分割管を鉛直側に屹立させて、前記連結部により前記分割管を上側に連結してさらに前記固形原料を充填することにより、傾斜状態と鉛直方向への屹立状態との間で傾斜角度を制御して、固形原料のリチャージ管への充填を可能とし、原料充填工程における作業効率の向上と、安全性の向上と、結晶品質の向上とを図ることを可能とすることができる。
【0045】
本発明のリチャージ方法は、上記の単結晶引き上げ装置において、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージするリチャージ方法であって、
前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記傾斜支持台によって、連結された複数の前記分割管を支持し、傾斜させて前記分割管を前記連結部により分離することにより、リチャージ工程後における次のリチャージ工程への作業効率を向上し、単結晶の製造コストを低減することが可能となる。
【0046】
本発明の単結晶引き上げ方法は、上記のリチャージ方法によって、前記ルツボ内の前記原料融液に追加チャージまたはリチャージした後に、
前記原料融液から単結晶を育成することにより、リチャージ量を増大し、結晶品質低減を防止し、有転位化発生を抑制し、作業効率を向上するとともに製造コストを低減して単結晶引き上げをおこなうことができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、リチャージ管における充填量の増大と、リチャージ管のライフ減少防止とを同時に実現し、同時に、有転位化の発生低減と、リチャージにかかる作業性の低下防止と、結晶品質の低下を防止することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態を示す正断面図である。
図2】本発明に係るリチャージ管の第1実施形態を示す分解斜視図である。
図3】本発明に係るリチャージ管の第1実施形態における分割管の連結部を示す拡大断面図である。
図4】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態における下端側を示す拡大正断面図である。
図5】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態を示す平断面図である。
図6】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態におけるリチャージ管の上昇が停止した状態の上端側を示す拡大正面図である。
図7】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態における上端側のさらに金属製シャフトを降下して底蓋を開放した状態の上端側を示す拡大正面図である。
図8】本発明に係る原料供給装置に使用されるリチャージ管の第1実施形態における上端側に用いられる金属製上部部材を示す平面図である。
図9】本発明に係るリチャージ方法の第1実施形態における分割管への充填工程を示す模式図である。
図10】本発明に係るリチャージ方法の第1実施形態における分割管への充填工程を示す模式図である。
図11】従来のリチャージ管への充填工程を示す模式図である。
図12】本発明に係るリチャージ方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
図13】本発明に係る原料供給装置を配置した単結晶引き上げ装置の第1実施形態を示す模式図である。
図14】本発明に係る原料供給装置を配置した単結晶引き上げ装置の第1実施形態を示す模式図である。
図15】本発明に係る単結晶引き上げ装置の第2実施形態における傾斜支持台を示す模式図である。
図16】本発明に係る単結晶引き上げ装置の第2実施形態における傾斜支持台を示す模式図である。
図17】本発明に係る単結晶引き上げ装置の第2実施形態における傾斜支持台を示す模式図である。
図18】本発明に係る単結晶引き上げ装置の第2実施形態における傾斜支持台を示す模式図である。
図19】本発明に係るリチャージ管の第3実施形態を示す模式断面図である。
図20】本発明に係るリチャージ管の第3実施形態における分割管連結部を示す拡大断面図である。
図21】本発明に係るリチャージ管の第3実施形態を示す分解斜視図である。
図22】本発明に係る単結晶引き上げ装置の第3実施形態における原料供給装置を示す模式図である。
図23】本発明に係るリチャージ管の第4実施形態における分割管連結部を示す模式断面図である。
図24】本発明に係るリチャージ管の第5実施形態における模式図である。
図25】本発明に係るリチャージ管の第6実施形態における模式図である。
図26】本発明に係るリチャージ管の第7実施形態における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるリチャージ管を示す正断面図であり、図2は、本実施形態におけるリチャージ管を示す分解斜視図であり、図3は、本実施形態におけるリチャージ管における連結部を示す拡大断面図であり、図において、符号10は、リチャージ管である。
【0050】
本実施形態に係るリチャージ管10は、後述するように、CZ法による単結晶引き上げ装置に対してリチャージをおこなう原料供給装置を構成している。
本実施形態に係るリチャージ管10は、図1図3に示すように、石英からなる円筒状とされ、固形原料をその内部に充填する。
【0051】
リチャージ管10は、図1図2に示すように、本実施形態では軸方向である上下方向に二分割されており、下側分割管(分割管)10Aと上側分割管(分割管)10Bとからなる。
下側分割管10Aと上側分割管10Bとは、略同一の内径を有するように設定され、下側分割管10A上端と上側分割管10B下端とが連結部11によって連結可能とされている。
【0052】
連結部11としては、図2図3に示すように、下側分割管10A上端のフランジ部11aと、上側分割管10B下端のフランジ部11bと、フランジ部11aとフランジ部11bとに周方向に複数設けられた連結孔11c,11cと、これらを締結する締結部としてボルト・ナット11d、11dと、フランジ部11aとフランジ部11bとに挟持される緩衝部材11eと、が設けられる。
【0053】
連結孔11cは、図2図3に示すように、フランジ部11aとフランジ部11bとにおいてその周方向に略均等な間隔を有して複数配置されている。本実施形態においては、連結孔11cが六箇所設けられているがこの数に限定されるものではない。
【0054】
ボルト・ナット11d、11dは、図3に示すように、単結晶引き上げ装置内における高温にも耐性を有する金属製とされ、さらに、有転位化等の原因となる微小物等を放出しないように例えば表面処理等を施したボルト・ナットの組とされる。具体的には、耐熱性能がそれほど求められない場合にはSUS(ステンレス)等、あるいは、より高温耐性が要求される場合には、モリブデン等からなるものとすることができる。また、ナット11dはダブルナットとされる。
【0055】
また、ボルト・ナット11dと連結孔11cとの間には、フランジ部11aの下面とフランジ部11bの上面とに、金属製の部材11fが設けられて、フランジ部11aとフランジ部11bとボルト・ナット11dとが直接接触しないようになっている。
【0056】
緩衝部材11eは、図1図3に示すように、フランジ部11aの上面とフランジ部11bの下面とに接触するとともに、ボルト・ナット11dによって締結されたフランジ部11aの上面とフランジ部11bの下面とが直接接触せずに、また、これらの間の変形などを吸収するように可撓性を有する薄厚のリング状とされている。具体的には、緩衝部材11eが、単結晶引き上げ装置内における高温にも耐性を有する耐熱性樹脂、あるいは、可撓性を有するカーボンからなるものとされ、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂、炭素繊維不織布などが適応される。
【0057】
緩衝部材11eは、その外径は特に規定されないが、その内径寸法は上側分割管10B下端の内径よりも大きい。言いかえると、上側から見たときに、上側分割管10B下端よりもリチャージ管10内側にはみ出さないように設定されている。また、緩衝部材11eの厚さ寸法は、締結部による締結時に下側分割管10Aおよび上側分割管10Bの変形に追従可能で、これら連結部11の密閉を維持可能な程度であれば特に限定されない。
【0058】
さらに、下側分割管10Aの上端面および上側分割管10Bの下端面が突き合わせて密閉可能な程度に平面精度が高い場合には、緩衝部材11eを設けないこともできる。
【0059】
上側分割管10B上端には、図1図2に示すように、上フランジ部9この上フランジ部9は、フランジ部11aおよびフランジ部11bの外径よりもその外形寸法が大きくなるように設定されている。
【0060】
図4は、本実施形態におけるリチャージ管の下端側を示す拡大正断面図であり、図5は、本実施形態におけるリチャージ管の下端側を示す平断面図であり、
リチャージ管は、図4に示すように、下側分割管10Aの下方開口端に円錐状の底蓋14を着脱可能に装着されている。
底蓋14は、上部からリチャージ管10の内部を貫通する金属製シャフト(引き上げ手段)15に連結している。
【0061】
金属製シャフト15は、図4に示すように、リチャージ管10を貫通し、その内部で固形原料との直接接触を防止するため、保護管(引き上げ手段)16によって保護されている。保護管16は、金属製シャフト15を直接覆う被覆保護管16bと、この被覆保護管16bを摺動可能に挿入させた摺動保護管16aとで構成されている。保護管16は、金属製シャフト15が固形原料と直接接触するのを防止するとともに、金属製シャフト15にずれが生じることなく安定した作動状態を確保するものとされる。
【0062】
摺動保護管16aは、図4図5に示すように、リチャージ管10の内面からその軸中心まで径方向に延在するとともに摺動保護管16aの軸方向である鉛直方向に延在する板状態である固定板部16cによって、リチャージ管10の軸中心位置であって垂直方向に配置するように固定されている。
【0063】
固定板部16cは、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bとで連接され、連結部11付近で離間した被覆保護管16bと摺動保護管16aとに対して、金属製シャフト15が軸方向に連続した状態で貫通するようになっている。
【0064】
したがって、リチャージ管10を貫通する金属製シャフト15は、これを直接覆う被覆保護管16bにより固形原料への汚染が防止されるだけでなく、さらに、摺動保護管16aの作用によりリチャージ管10の中心位置からずれることがない。
【0065】
なお、固定板部16cはリチャージ管10の径方向に位置しているので、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bを連結部11によって連結する際に、ほぼ面一となるように配置すればよい。
これにより、金属製シャフト15は、リチャージ管10をルツボの中心位置に垂直に吊り下げることが可能になり、ルツボ内の融液内へ均等に固形原料を供給できる。
【0066】
図6は、本実施形態におけるリチャージ管の下降が停止した状態の上端側を示す拡大正面図であり、図7は、本実施形態におけるリチャージ管の上端側のさらに金属製シャフトを降下して底蓋を開放した状態の上端側を示す拡大正面図であり、図8は、本実施形態におけるリチャージ管における上端側に用いられる金属製上部部材を示す平面図である。
【0067】
原料供給装置では、金属製シャフト15の昇降に同期するように、リチャージ管10にも昇降手段を設けており、円錐状の底蓋14を下方開口端に挿入してリチャージ管10を吊り上げるタイミングと、リチャージ管10に設けた昇降手段(引き上げ手段)による吊り上げタイミングが同期するように構成している。昇降タイミングを同期させることによって、金属製シャフト15の昇降のみならず、リチャージ管10の昇降も安定させることができる。
【0068】
原料供給装置では、図6図7に示すように、リチャージ管10の昇降手段(引き上げ手段)として、金属製(ステンレス等)ワッシャー19が金属製シャフト15に設けられている。リチャージ管10の中心位置に保護管16aを配置し、その内部で金属製シャフトを昇降させる構造であり、金属製シャフト15の所定の高さ位置に金属製ワッシャー19が取り付けられる。さらに、金属製ワッシャー19による昇降手段には、リチャージ管10を均一に吊り下げるために装備した専用のハンガー18が用いられる。
【0069】
円錐状の底蓋14を下方開口端に挿入してリチャージ管10を吊り上げるタイミングと、リチャージ管10を吊り上げるタイミングとが合致するように、金属製ワッシャー19の固定位置を調整することにより、昇降タイミングを同期させることができる。これにより、金属製シャフト15の昇降に合わせ、リチャージ管10の昇降も一層安定させることができる。
【0070】
金属製上部部材20は、ボルト・ナット11dと同じ材質で構成され、リチャージ管10の上部に取り付けられる。
掛止部材として金属製フランジ9aを設けることもできる。
【0071】
金属製フランジ9aは、上記の金属製上部部材20の円周方向で所定位置に通し孔20aを設けて、長ネジ21を通しナット類で締め付けてリチャージ管10の金属製上部部材20に固定される構造である。この場合に、金属製フランジ9aの高さ調整は、長ネジ21の締め付け長さによって行われ、リチャージ管10の下降停止高さを調整するようにしている。
【0072】
図9は、本実施形態におけるリチャージ管への充填方法を示す工程図であり、図10は、本実施形態におけるリチャージ管への充填方法を示す工程図であり、図11は、従来のリチャージ管における充填方法を示す工程図であり、図12は、本実施形態におけるリチャージ方法を示すフローチャートである。
【0073】
本実施形態におけるリチャージ方法は、図12に示すように、リチャージ量設定工程S01と、連結長さ設定工程S02、洗浄工程S03、最下部分割管セット工程S04、傾斜工程S05、原料充填工程S06、リチャージ量判定工程S07、分割管セット工程S08、連結工程S09、屹立工程S10、リチャージ工程S11、分割工程S12、リチャージ回数カウント工程S13、リチャージ回数判定工程S14、管透過目視確認工程S15、交換工程S16、洗浄工程S17、再生処理工程S20、変形量判定工程S21、排棄工程S22を有することができる。
【0074】
本実施形態におけるリチャージ方法は、図12に示すリチャージ量設定工程S01として、ルツボに追加チャージあるいはリチャージする固形原料S1の量を設定する。図12に示す連結長さ設定工程S02として、リチャージ量設定工程S01で設定した量の固形原料S1を充填可能な容積を有するように、リチャージ管10における分割管の連結数を決定する。
【0075】
このとき、後述する固形原料S1の落下距離とリチャージ管10内面へのダメージを考慮して、分割管の長さ(接続個数)を設定する。なお、本実施形態においてはリチャージ管10が下側分割管10Aと上側分割管10Bとの二分割としているので、上側分割管10Bを接続するか否かを設定することになる。
【0076】
次いで、図12に示す洗浄工程S03として、使用する分割管の内面を洗浄した後、図12に示す最下部分割管セット工程S04として、下側分割管10Aを上側分割管10Bと接続せずに分離した状態で準備する。次いで、下側分割管10Aの下方開口端に底蓋14を挿入して閉塞状態とし、さらに、保護管16に貫通させた金属製シャフト15下端を底蓋14に取り付けた充填準備状態とする。
【0077】
次いで、図12に示す傾斜工程S05として、この下側分割管10Aを所定角度傾けた状態で支持した状態で、図12に示す原料充填工程S06として、図9に示すように、固形原料S1を下側分割管10Aに充填する。
このとき、固形原料S1は下側分割管10A内壁面に当たるが、図11に示す従来の分割されていないリチャージ管100に比べて、固形原料S1の落下距離が短いため、下側分割管10A内壁面へのダメージは少なくて済む。
【0078】
次いで、図12に示すリチャージ量判定工程S07として、リチャージ量設定工程S01で設定された量の固形原料S1が充填されたかを判定し、足りない場合には、図12に示す分割管セット工程S08として、上側分割管10Bを下側分割管10Aの上側位置にセットして、図12に示す連結工程S09として、連結部11によって下側分割管10Aと上側分割管10Bとを接続する。このとき、上側分割管10Bにおいても、金属製シャフト15を保護管16に貫通させる。
【0079】
次いで、図12に示す原料充填工程S06として、図10に示すように、固形原料S1を下側分割管10Aに続いて上側分割管10Bに充填する。
このとき、下側分割管10Aには固形原料S1が充填された状態であるため、投入された固形原料S1は、落下して上側分割管10Bの内壁面に当たるが、下側分割管10A内壁面には落下衝撃を与えることがない。したがって、図11に示す従来の分割されていないリチャージ管100に比べて、固形原料S1の落下距離が短いため、上側分割管10B内壁面へのダメージは少なくて済む。
【0080】
次いで、図12に示すリチャージ量判定工程S07として、リチャージ量設定工程S01で設定された量の固形原料S1が充填されたかを判定し、設定量に達した場合には、図12に示す屹立工程S10として、リチャージ管10の軸線が鉛直方向となるように屹立させる。
【0081】
図13は、本実施形態の原料供給装置を配置した単結晶引き上げ装置の全体構成を示す断面図であり、図14は、固形原料をルツボ内の原料溶液へ投入している状態を示している。
【0082】
本実施形態における単結晶引き上げ装置は、CZ法によって単結晶を引き上げる炉とされ、図13図14に示すように、炉本体としてメインチャンバ1およびプルチャンバ2から構成され、さらにゲートバルブ13を備えている。プルチャンバ2はメインチャンバ1より小径の円筒形状からなり、メインチャンバ1と同一の中心軸上で、ゲートバルブ13を介して上部に配置される。
【0083】
ゲートバルブ13は、メインチャンバ1の内部とプルチャンバ2の内部を連通、または遮断可能に操作するために設けられるものであり、ゲートバルブ13に設けられた連通径はプルチャンバ2より小径である。
【0084】
メインチャンバ1の中心部には、ルツボ3が配置されている。このルツボ3は、内側の石英ルツボ3aと外側の黒鉛ルツボ3bを組み合わせた二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸4上にサセプタ4Aを介して支持される。支持軸4は、ルツボ3を軸方向に昇降可能、かつ、周方向に回転可能として駆動する。
【0085】
ヒータ5は、ルツボ3を囲繞するように配置されている。ヒータ5のさらに外側には、断熱材6が、メインチャンバ1の内面に沿って配置されている。ルツボ3の上側には、引き上げる単結晶をヒータ5およびルツボ3内の溶融した原料融液S2の熱から遮蔽する熱遮蔽体12が周設される。熱遮蔽体12は円筒状あるいは逆円錐台形状等とされ、その下端が原料融液S2上側付近に位置している。
【0086】
ルツボ3内に初期チャージとして投入された固形原料は、ヒータ5の加熱によって溶融され原料融液S2を形成する。初期チャージした固形原料の溶融後には、ルツボ3内の原料融液S2の不足分を補充し所望の融液量を確保するために、追加チャージが行われる。
【0087】
このため、プルチャンバ2内には引上軸7が垂下され、本実施形態の原料供給装置に使用されるリチャージ管10が吊り下げられる。このとき、固形原料S1を充填したリチャージ管10は、引上軸7の下端に連結された吊り下げ治具8を介して、原料融液S2を形成したルツボ3の上方に位置される。引上軸7は、プルチャンバ2の最上部に設けられた、駆動機構2aにより、回転駆動および昇降駆動される。
引上軸7、吊り下げ治具8、駆動機構2a、金属製フランジ9a等は引き上げ手段を構成する。
【0088】
本実施形態における単結晶引き上げ装置においては、図12に示すリチャージ工程S11として、リチャージ管10を備えた原料供給装置を用いて固形原料S1のリチャージをおこなう。
【0089】
追加チャージをおこなう場合には、図13に示すように、ルツボ3内に初期チャージされた固形原料の溶融が終わった後、固形原料S1が充填されたリチャージ管10を、引上軸7の下端に連結された吊り下げ治具8を介して、原料融液S2を形成したルツボ3の上方に位置させる。
ルツボ3内の原料融液S2は、ルツボ3内に初期チャージされる固体原料がルツボの容積に比して制限されることから、ルツボ容積に対し不足状態である。
【0090】
ルツボ3内の初期チャージした固形原料の溶融がほぼ終わり、固形原料の溶け残りが浮島状態になった程度で、リチャージ管10を下降させる。
このとき、図13に示すように、金属製フランジ9aが所定の高さ位置、例えば、ゲートバルブ13に設けられた小径部に当接し、リチャージ管10のみの下降が停止する。
【0091】
ここで、図13図14に示すように、連結部11は、熱遮蔽体12の下端位置よりも上方位置となるように下側分割管10Aの長さが設定され、原料融液S2あるいは、ヒータ5からの熱から遮蔽された状態とされているため、原料融液S2ほどには温度上昇しない。
【0092】
一方、金属製シャフト15に連結された円錐状の底蓋14の下降には支障がなく、さらにその位置から引上軸7を下げると、図14に示すように、底蓋14が開放し、リチャージ管10内の粒塊状の固形原料S1が自重により落下して、原料融液S2に供給される。
【0093】
このとき、図14に示すように、リチャージ管10を貫通する金属製シャフト15は、リチャージ管10の内面に固設された摺動保護管16aと、金属製シャフトを直接覆い、この摺動保護管16a内に挿入され被覆保護管16bとで保護されているため、固形原料S1の汚染を防止し、同時に金属製シャフト15の中心軸からのずれをなくし、ルツボ3内へ円周方向で均等に固形原料S1を供給できる。
【0094】
固形原料S1の投入が終わると、リチャージ管10を上方に引き上げ、プルチャンバ2外へ取り出す。
ここで、ルツボ3内の原料融液量が目標値に達しない場合は、再度、リチャージ管10を使用して固形原料S1の投入を繰り返すこともできるが、本実施形態においては、リチャージ量設定工程S01において、リチャージ量を設定しているため、充分な量の固形原料S1を投入できるため、固形原料S1の投入を繰り返す必要がない。
【0095】
追加チャージが完了し、ルツボ3内の原料融液12が目標量に達すると、引上軸7の下端に連結された吊り下げ治具8を種結晶に付け替え、単結晶の育成過程に移行する。
【0096】
以上では、追加チャージの作業手順について説明したが、リチャージにおいても、同様の作業手順によって、最初の単結晶を育成した後、原料融液の減少分に見合う量の固形原料S1が、ルツボ3内に残存する原料融液S2に追加投入される。
なお、リチャージは、上記のように、初期原料をルツボ3に投入して溶融後におこなう追加チャージ、および、単結晶引き上げ後に連続して処理をおこなう際のリチャージを意味する。追加チャージおよびリチャージのどちらも、ルツボ3内に原料融液S2がある状態で、固形原料S1を追加投入する。
【0097】
リチャージ工程S11が終了したら、図12に示す分割工程S12として、リチャージ管10を下側分割管10Aと上側分割管10Bとに分割する。
次いで、図12に示すリチャージ回数カウント工程S13として、分割管ごとに、いままで、使用したリチャージ回数をカウントする。
【0098】
次いで、図12に示すリチャージ回数判定工程S14として、リチャージ回数カウント工程S13でカウントしたリチャージ回数が、所定回数を越えていないと判断した場合には、再使用するために、分割管ごとに、上側分割管10Bは、図12に示す洗浄工程S17へ、下側分割管10Aは、図12に示す洗浄工程S03へ、送られる。
【0099】
ここで、再使用可能なリチャージ回数は、40~50回程度とされ、あらかじめ、分割管ごとに、下側分割管10Aの所定回数、および、上側分割管10Bの所定回数がそれぞれ設定される。これは、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bで、その長さ寸法が異なる場合、固形原料S1の落下距離が異なるため、固形原料S1の落下衝撃によるダメージが違ってくることによる処理である。
【0100】
次いで、図12に示す管透過目視確認工程S15として、それぞれの分割管ごとに、固形原料S1の落下衝撃によるダメージを目視で判定する。
このとき、固形原料S1の充填によって所定の状態まで内表面が傷ついた分割管のみを交換することにより、固形原料S1落下に起因する内面状態劣化の大きな分割管のみを選択的に交換することが可能となる。
【0101】
管透過目視確認工程S15における交換の基準としては、下側分割管10Aおよび/または上側分割管10Bにおいて、未使用で傷のない状態に比べて固形原料S1の充填によって生じた内面の傷により透過率が70%を下回って白濁して視認可能な部分が生じた場合に交換することができる。
【0102】
特に、この透過率が70%を下回った部分は、最も大きな面積を有する部分が、10cm四方程度の大きさの領域であることができる。あるいは、透過率が70%を下回った部分が5cm四方程度の領域が3~4箇所形成された状態とすることが好ましい。
【0103】
管透過目視確認工程S15において、白濁領域が基準に達しないと判断した場合には、再使用するために、分割管ごとに、上側分割管10Bは、図12に示す洗浄工程S17へ、下側分割管10Aは、図12に示す洗浄工程S03へ、送られる。
【0104】
なお、リチャージ回数判定工程S14と管透過目視確認工程S15とは、どちらか一方のみ実施することも可能である。あるいは、リチャージ回数判定工程S14を管透過目視確認工程S15の後に実施することもできる。
【0105】
管透過目視確認工程S15において、白濁領域が基準に達したと判断した場合には、図12に示す交換工程S16として、当該分割管を交換して、図12に示す再生処理工程S20をおこなう。
再生処理工程S20においては、傷ついて交換された分割管の内面を加熱・溶融処理をおこなって、傷をなくして透明化し再生することにより、交換した分割管を再使用可能とする。
ここで、再生処理工程S20において、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bの軸方向長さが、図11に示す従来の分割されていないリチャージ管100に比べて短く設定できるため、総加熱量が少なくて済み、再生処理によって生じる変形が少なくて済む。
【0106】
再生処理工程S20の終了後、図12に示す変形量判定工程S21として、再生処理によって生じる変形が所定量を超えていたと判断した場合には、図12に示す排棄工程S22として、その分割管を排棄する。また、変形量判定工程S21として、再生処理によって生じる変形が所定量を超えていなかったと判断した場合には、再使用するために、分割管ごとに、上側分割管10Bは、図12に示す洗浄工程S17へ、下側分割管10Aは、図12に示す洗浄工程S03へ、送られる。
【0107】
以上により、本実施形態におけるリチャージ方法を終了する。
【0108】
本実施形態におけるリチャージ管10を有する原料供給装置、単結晶引き上げ装置を用いたリチャージ方法によれば、固形原料S1の充填量が同じであっても、分割されていないリチャージ管100に比べて、充填する固形原料S1が落下する距離を少なくして、充填時におけるリチャージ管10内面への衝撃を減少させ、リチャージ管10内面での傷発生を低減することが可能となる。
【0109】
これにより、リチャージする固形原料S1の充填量を大幅に増大しても、リチャージ管10の使用可能なライフを延長することができる。しかも、内面劣化状態の進行度にしたがって、各分割管10A,10Bの交換時期を異ならせて、安全性向上および有転位化発生防止を図ることが可能となる。
【0110】
さらに、緩衝部材11eを設け、また、分割管10A,10Bを再生処理するとの判断をおこなって、リチャージ管10の密閉状態が悪化することを防止できる。また、原料供給作業の効率化を達成することができる。
【0111】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図15は、本実施形態の最下部分割管セット工程S04における傾斜支持台を示す模式図であり、図16は、本実施形態の傾斜工程S05および原料充填工程S06における傾斜支持台を示す模式図であり、図17は、本実施形態の分割管セット工程S08および原料充填工程S06における傾斜支持台を示す模式図であり、図18は、本実施形態の屹立工程S10およびリチャージ工程S11における傾斜支持台を示す模式図である。
【0112】
本実施形態において上述した第1実施形態と異なるのは傾斜支持台30に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0113】
本実施形態においては、最下部分割管セット工程S04、傾斜工程S05、原料充填工程S06、分割管セット工程S08、連結工程S09、屹立工程S10等の各工程において、リチャージ管10を支持する傾斜支持台30を用いることができる。
【0114】
傾斜支持台30は、図15図18に示すように、リチャージ管10を支持する支持部31を有する支持台車部32と、支持台車部32を傾斜させる傾斜支持部35を有する傾斜台34と、傾斜台34を傾斜させる傾斜駆動部39と、を有している。
【0115】
支持部31は、図15図18に示すように、略平板状とされる支持台車部32の片側に立設されて、傾斜時に、分割管10A,10Bを支持可能とされるとともに、支持台車部32にはその下側に車輪33,33が設けられて、移動可能とされている。
【0116】
略平板状とされる傾斜台34は、床面等に配置された基部36に対して水平軸35aの周りを回動可能として接続されている。
傾斜台34には、傾斜される水平軸35aの上側に立設された傾斜支持部35が接続されている。
【0117】
傾斜支持部35の背面側には、傾斜台34よりも外側位置となる基部36に対して、水平軸35aを平行な軸線37,38によってその両端が回動可能に接続された傾斜駆動部39が設けられている。
【0118】
傾斜駆動部39は、例えば、エアシリンダ、オイルシリンダ、ボールネジなどからなり、その延長を変化可能な駆動部とされ、傾斜駆動部39の延長変化により、傾斜台34を水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、傾斜支持部35を鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ駆動可能なものとされている。
【0119】
この傾斜駆動部39の駆動により、傾斜台34に載置された支持台車部32を追従して水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、支持部31を追従して鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、駆動可能なものとされている。
【0120】
同時に、傾斜駆動部39は、傾斜位置までの回動動作と傾斜位置とされた状態で、支持台車部32および支持部31に載置・支持されたリチャージ管10と、このリチャージ管10に充填された固形原料S1との重量を支持可能とされている。
【0121】
基部36には、傾斜台34の水平軸35aと反対側の端部に傾斜部36aが設けられ、傾斜台34の上面から床面まで支持台車部32が走行可能なように段差のない状態として配置されている。
【0122】
本実施形態における傾斜支持台30は、図15に示すように、傾斜駆動部39の伸張した状態で、傾斜台34および支持台車部32を水平位置とし、傾斜支持部35および支持部31を鉛直位置とした状態とする。
【0123】
そして、最下部分割管セット工程S04として、下側分割管10Aの下方開口端に底蓋14を挿入して閉塞状態とし、さらに、保護管16に貫通させた金属製シャフト15下端を底蓋14に取り付けた充填準備状態とされた下側分割管10Aを、その軸線が鉛直方向となるように支持台車部32に載置する。
【0124】
次いで、傾斜工程S05として、傾斜駆動部39を縮小するように駆動して、図16に示すように、傾斜台34を水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、傾斜支持部35を鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ駆動する。
【0125】
これにより、支持台車部32を追従させて水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、支持部31を追従させて鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、それぞれ駆動することで、下側分割管10Aを所定角度傾けた状態で支持した状態とする。
【0126】
次いで、原料充填工程S06として、固形原料S1を下側分割管10Aに充填する。
【0127】
また、分割管セット工程S08として、図17に示すように、上側分割管10Bを下側分割管10Aの上側位置にセットして、連結工程S09として、連結部11によって下側分割管10Aと上側分割管10Bとを接続する。このとき、傾斜駆動部39を伸張するように駆動して、支持台車部32を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して水平位置へ、また、支持部31を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して鉛直位置へ、それぞれ駆動することで、図15に示すように、下側分割管10Aをその軸線が鉛直方向となるように支持して、連結部11において締結部としてのボルト・ナット11dを締結する。
さらに、上側分割管10Bにおいても、金属製シャフト15を保護管16に貫通させる。
【0128】
次いで、原料充填工程S06として、固形原料S1を下側分割管10Aに連結された上側分割管10Bに充填する。このとき、傾斜駆動部39を縮小するように駆動して、支持台車部32を水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、支持部31を鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、それぞれ駆動することで、図17に示すように、接続されたリチャージ管10をその軸線が傾斜方向となるように支持した後、固形原料S1を上側分割管10Bに充填する。
【0129】
原料充填工程S06が終了したら、傾斜駆動部39を伸張するように駆動して、傾斜台34を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して水平位置へ、また、傾斜支持部35を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して鉛直位置へ駆動する。
【0130】
これにより、支持台車部32を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して水平位置へ、また、支持部31を傾斜位置から水平軸35a周りに回動して鉛直位置へ、それぞれ駆動することで、リチャージ管10をその軸線が鉛直方向となる充填状態として支持する。
【0131】
この状態で、図18に示すように、支持台車部32を傾斜台34から傾斜部36aを介してなめらかに搬送して、支持台車部32に載置した固形原料S1の充填されたリチャージ管10を単結晶引き上げ炉近傍まで搬送し、金属製シャフト15を吊り下げ治具8によって引上軸7下端に接続し、駆動機構2aによって吊り上げる。
【0132】
次いで、リチャージ管10を、原料融液S2を形成したルツボ3の上方に位置させて、リチャージ工程S11として、リチャージ管10を備えた原料供給装置を用いて固形原料S1のリチャージをおこなう。
【0133】
リチャージ管10が終了したら、リチャージ管10を支持台車部32に載置して、支持台車部32を傾斜台34まで搬送し、傾斜駆動部39を縮小するように駆動して、支持台車部32を水平位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、また、支持部31を鉛直位置から水平軸35a周りに回動して傾斜位置へ、それぞれ駆動することで、接続されたリチャージ管10をその軸線が傾斜方向となるように支持した後、連結部11を分離して、下側分割管10Aと上側分割管10Bとを分離する。
【0134】
本実施形態によれば、傾斜支持台30を用いることにより、分割管10A,10Bを分割・連結するリチャージ管10への充填工程を効率的にかつ安全におこなうことが可能となる。
さらに、傾斜支持台30によって、充填する固形原料S1がリチャージ管10等へ当接する衝撃を低減するように角度調節することが可能となる。
【0135】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において上述した第1または第2実施形態と異なるのは上追加分割管10Cに関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0136】
図19は、本実施形態の原料供給装置におけるリチャージ管を示す模式正断面図であり、図20は、本実施形態の連結部を示す拡大断面図であり、図21は、本実施形態のリチャージ管を示す分解斜視図であり、図22は、本実施形態の点結晶引き上げ装置を示す正断面図である。
【0137】
本実施形態のリチャージ管10は、図19図21に示すように、上側分割管10Bの上側にさらに上追加分割管(分割管)10Cを追加・延長して充填する固形原料S1の量を増加するものである。
【0138】
上追加分割管10Cは、図19図21に示すように、略円筒状とされ、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bのように連結部11としてフランジ部11a,11bを有さない代わりに、その下端が上側分割管10B上端に嵌合可能とされている。上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置した際に、これらの内面は上下方向に面一となるように設定されている。
なお、図において、本実施形態では、緩衝部材11eを用いない状態を示している。
【0139】
上追加分割管10Cの下端には、図19図21に示すように、連結部11として、その外周位置に嵌合溝11hが周設されるとともに、上側分割管10B上端内周位置に、連結部11として、対応する嵌合溝11gが周設される。これらにより、上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置した際に、嵌合溝11hが上側分割管10B上端に嵌まり込むとともに、嵌合溝11gが上追加分割管10Cの下端を支持することになる。このとき、嵌合溝11gの径方向外側に位置する内周面は、嵌合溝11hの径方向内側に位置する外周面と略接する状態となる。
嵌合溝11hおよび嵌合溝11gの高さ方向寸法は、それぞれ嵌合溝11hを上側分割管10B側壁肉厚以上とし、嵌合溝11gを嵌合溝11hよりも長い寸法とすることができる。
【0140】
また、上追加分割管10Cにおける保護管16は、下側分割管10Aおよび上側分割管10Bと同様に、上追加分割管10Cの軸中心に鉛直方向(軸方向)に延在する。しかし、上追加分割管10Cでは、リチャージ管10の内面からその軸中心まで径方向に延在する板状の固定板部16cに換えて、上追加分割管10C下端に直径方向にわたって設けられた固定傾斜板16fによって、保護管16の下端が支持されるようになっている。
【0141】
さらに、上側分割管10Bにおける保護管16上端は、上追加分割管10Cの保護管16下端と隙間なく連続した状態とされる。また、上側分割管10Bにおける保護管16下端は、下側分割管10Aの保護管16上端と隙間なく連続した状態とされる。これらにより、投入する固形原料S1が保護管16の接続部分に引っ掛かってしまい原料投入に支障をきたすことを防止できる。なお、それぞれの保護管16が連続した状態とは、互いに接触するか、または、離間していても、この接続部分に固形原料S1が引っ掛からない程度とされることができる。
【0142】
固定傾斜板16fは、上追加分割管10C軸中心に幅方向端部が位置するように、上追加分割管10C軸中心に対称として2枚設けられ、それぞれの固定傾斜板16fが、幅方向に傾斜を有するとともに、その幅方向角度が上追加分割管10C軸中心から径方向外側に向けて下降するように配置されている。また、固定傾斜板16fは、上追加分割管10C軸中心位置に上下方向に貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔の周囲が保護管16の下端に接続されている。
【0143】
それぞれの固定傾斜板16fにおいて下降した幅方向端部よりも径方向外側となる上追加分割管10C下端は下部開口とされており、上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置した際に、上追加分割管10Cと上側分割管10Bとの内側が連通可能とされている。
【0144】
それぞれの固定傾斜板16fにおいて上昇した幅方向端部によって形成される稜線は、上追加分割管10C直径と等しい長さを有し、また、固定傾斜板16fの長さ方向端部、つまり、上追加分割管10C下端と接続している部分は、山形に形成された固定傾斜板16fの下側が切り欠かれた状態とされている。
【0145】
山形に形成された二枚の固定傾斜板16fの下側で形成される部分は、上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置した際に、上側分割管10Bの保護管16上端が位置して、金属製シャフト15を連通支持可能となっている。
【0146】
これにより、リチャージ管10としての軸方向長さ寸法が大きくなるとともに、リチャージ管10の軸中心位置で、上追加分割管10C、上側分割管10B、下側分割管10Aにおいて、それぞれの保護管16に対して、金属製シャフト15が軸方向に連続した状態で貫通するようになっている。
【0147】
本実施形態においても、原料充填工程S06として固形原料S1を下側分割管10Aに充填し、分割管セット工程S08として、上側分割管10Bを下側分割管10Aの上側位置にセットして、連結工程S09として、連結部11によって下側分割管10Aと上側分割管10Bとを接続し、原料充填工程S06として固形原料S1を上側分割管10Bに充填し、リチャージ量判定工程S07として、リチャージ量設定工程S01で設定された量の固形原料S1が充填されたかを判定する。
【0148】
その後、分割管セット工程S08として、上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置する。
本実施形態においては、連結工程S09としては、金属製シャフト15を保護管16に貫通させるのみで、締結部であるボルト・ナット11dの締結は必要ない。
【0149】
さらに、原料充填工程S06として固形原料S1を上追加分割管10Cに充填し、屹立工程S10として、リチャージ管10の軸線が鉛直方向となるように屹立させる。
次いで、図22に示すように、吊り下げ治具8を介して、原料融液S2を形成したルツボ3の上方に位置させ、リチャージ管10内の粒塊状の固形原料S1が自重により落下して、原料融液S2に供給する。
【0150】
本実施形態においては、上追加分割管10Cによって、リチャージ量を増加することができる。
さらに、リチャージ回数の低減により、リチャージ工程の所要時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0151】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において上述した第3実施形態と異なるのは連結部に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
図23は、本実施形態のリチャージ管における連結部を示す拡大断面図である。
【0152】
本実施形態のリチャージ管10は、図23に示すように、上追加分割管10Cの下端に外周位置に嵌合溝11hが周設されていない。同時に、上側分割管10B上端内周位置に、上追加分割管10C下端の厚み寸法と略同一の径方向寸法を有する嵌合溝11gが段差として周設される。
【0153】
このため、上側分割管10B上端外周には、嵌合溝11gに対応した分だけ径方向外側に拡径された拡径部11jが設けられている。また、この拡径部11jの軸方向寸法、つまり、上追加分割管10C下端が嵌合溝11gに嵌まり込む長さは、嵌合溝11hを設けた第3実施形態よりも大きくすることができる。
【0154】
具体的には、拡径部11jおよび嵌合溝11gの高さ方向寸法は、それぞれ拡径部11jが上側分割管10B本体の外直径の1/6以上とし、嵌合溝11gは拡径部11jよりも長くすることができる。
【0155】
これにより、本実施形態のリチャージ管10は、安定度を増大した状態で、上追加分割管10Cを上側分割管10Bに載置することが可能となる。
さらに、上追加分割管10Cに変えて、下側分割管10Aなど、下端にフランジ部の形成されていない分割管を上側分割管10Bに載置することも可能となる。
【0156】
また、上側分割管10Bの上端面と、上追加分割管10Cの下端面とが直接接触しないように、薄リング状の緩衝部材11eを用いることや、拡径部11j内面位置に、筒状の緩衝部材11eを用いることが可能である。
【0157】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において上述した第1~第4実施形態と異なるのは分割管の内径に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
図24は、本実施形態のリチャージ管を示す正断面図である。
【0158】
本実施形態のリチャージ管10は、図23に示すように、下側分割管10Aにおける上端部10Aaに比べて、下側分割管10Aにおける下端部10Abの内径が小さくなるように設定されている。同様に、上側分割管10Bにおける上端部10Baに比べて、上側分割管10Bにおける下端部10Bbの内径が小さくなるように設定されている。
【0159】
したがって、上側分割管10Bと下側分割管10Aとのいずれも、その内面が逆円錐台状として上端側から下端側に向けて縮径している。また、上側分割管10Bと下側分割管10Aとのいずれも、その肉厚が上端側から下端側に向けて増大している。
【0160】
また、上側分割管10Bにおける下端部10Bbに比べて、下側分割管10Aにおける上端部10Aaの内径が小さくなるように設定されており、上側から見たときに、上側分割管10B下端よりもリチャージ管10内側にはみ出さないように設定されている。
【0161】
本実施形態のリチャージ管10においては、上から見たときに、緩衝部材11eが上側分割管10Bの下端部10Bbに隠れて、充填される固形原料S1が緩衝部材11eに直接ぶつかることがない。これにより、緩衝部材11eに起因する不純物の発生を防止できるため、例えばカーボン性とされる緩衝部材11eが混入してしまうことによる炭素濃度変動などの結晶特性悪化を防止することが可能となる。
【0162】
また、上から見たときに、下側分割管10Aの上端部10Aaが上側分割管10Bの下端部10Bbに隠れて、充填される固形原料S1が下側分割管10Aの上端部10Aaに直接ぶつかることがない。これにより、下側分割管10Aの上端部10Aaに割れ・欠けなどが発生することを防止できる。さらに、分割管10A,10Bの下端部10Ab,下端部10Bbが肉厚となるために、下端部10Ab,下端部10Bbにおける強度の向上と、再生処理における変形発生低減とを図ることができる。
【0163】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において上述した第1~第5実施形態と異なるのは分割管の軸方向長さの比に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
図25は、本実施形態のリチャージ管を示す正断面図である。
【0164】
本実施形態のリチャージ管10は、図25に示すように、下側分割管10Aの軸方向長さが、上側分割管10Bに比べて大きくなるように設定されている。
これにより、リチャージ量を増大することができるとともに、連結部11の高さ位置を上方に設定することで、ルツボ3内の原料融液S2およびヒータ5と、この連結部11との離間距離を大きくして、リチャージ工程S11における連結部11への高温の影響を低減することが可能となる。
【0165】
また、下側分割管10Aの軸方向長さを、図11に示す従来のリチャージ管100と同程度とすることも可能であるが、この場合、上側分割管10Bを接続して使用することで、一回のリチャージ量を増大することができ、結果的に、リチャージ管10の利用可能回数を大きくすることが可能となる。
【0166】
以下、本発明に係るリチャージ管、原料供給装置、単結晶引き上げ装置、リチャージ管の使用方法、リチャージ方法、単結晶引き上げ方法の第7実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において上述した第1~第5実施形態と異なるのはリチャージ管の分割数、つまり、分割管の接続数に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関して、同一の符号を付してその説明を省略する。
図26は、本実施形態のリチャージ管を示す正断面図である。
【0167】
本実施形態のリチャージ管10は、上下方向に三分割されており、図26に示すように、下側分割管10Aと上側分割管10Bとの間に、中側分割管(分割管)10Dが設けられる。
【0168】
中側分割管10Dは、下側分割管10Aと上側分割管10Bと略同一の内径を有するように設定され、下側分割管10A上端と中側分割管10D下端、および、中側分割管10D上端と上側分割管10B下端が、それぞれ、連結部11によって連結可能とされている。
【0169】
連結部11としては、下側分割管10Aと上側分割管10Bと同様に、中側分割管10D上端のフランジ部11nと、中側分割管(分割管)10D下端のフランジ部11mと、フランジ部11nとフランジ部11mとに周方向に複数設けられた連結孔11c,11cと、これらを締結する締結部としてボルト・ナット11d、11dと、が設けられる。なお、本実施形態では、緩衝部材11eを用いないが、これを設けることもできる。
【0170】
本実施形態においては、分割管セット工程S08として、中側分割管10Dを下側分割管10Aの上側位置にセットして、連結工程S09として、連結部11によって下側分割管10Aのフランジ部11aと中側分割管10Dのフランジ部11mとを締結部によって連結する。
また、分割管セット工程S08として、上側分割管10Bを中側分割管10Dの上側位置にセットして、連結工程S09として、中側分割管10Dのフランジ部11nと上側分割管10Bのフランジ部11bとを締結部によって連結する。
【0171】
本実施形態においては、リチャージ管10が上下方向に三分割されていることにより、原料充填工程S06における固形原料S1の落下距離をさらに短くすることができ、原料充填工程S06における各分割管10A,10B,10Dにおける内壁面へのダメージは少なくて済む。
また、下側分割管10Aと上側分割管10Bとの間に中側分割管10Dを複数接続することが可能であり、所望のリチャージ量まで増加することが容易になり、リチャージ量に対するリチャージの回数を削減することが可能となる。
【0172】
なお、本発明においては、上述した各実施形態における構成を適宜組み合わせて用いること、あるいは、特定の構成のみを採用しない状態とすることも可能である。
【実施例
【0173】
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
【0174】
φ300mmのシリコン単結晶引き上げ装置において、リチャージに用いられるリチャージ管として、φ300mm程度、軸方向長さが1.8mの石英管を用いてリチャージをおこなった。これを実験例1とする。
【0175】
同様に、リチャージ管として、軸方向長さが下側1.5m、上側0.3mに二分割された石英管を用いてリチャージをおこなった。これを実験例2とする。
【0176】
同様に、リチャージ管として、軸方向長さが下側0.9m、上側0.9mに二分割された石英管を用いてリチャージをおこなった。これを実験例3とする。
【0177】
同様に、リチャージ管として、軸方向長さが下側0.6m、中側0.6m、上側0.6mに三分割された石英管を用いてリチャージをおこなった。これを実験例4とする。
【0178】
実験例1のリチャージ管の内面が、固形原料の落下に起因する傷等によって白濁し、目視による再生処理が必要であると判断した際のリチャージ回数を基準回数とした。
【0179】
実験例2においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、1.21倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、2.29倍であった。
【0180】
実験例3においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、1.45倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、1.49倍であった。
【0181】
実験例4においては、そのリチャージ管のうち、下側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、1.90倍であった。
また、中側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、2.05倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に再生処理が必要となった回数は、基準回数に対して、2.15倍であった。
【0182】
各実験例において、再生処理後もそれぞれの分割管を再利用するとともに、複数回の再生処理をおこなった。
【0183】
実験例1のリチャージ管において、複数回の再生処理における加熱に起因したとみられる変形量が基準値を超えて、それ以上使用できない(排棄)と判断した際のそれまでのリチャージ回数の総計を基準ライフとした。
【0184】
実験例2においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.10倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.51倍であった。
【0185】
実験例3においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.15倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.37倍であった。
【0186】
実験例4においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.25倍であった。
また、中側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.40倍であった。
また、上側の分割管に対して同様に排棄と判断した回数計は、基準ライフに対して、1.49倍であった。
なお、上記の回数は、いずれも、それぞれ3本程度のリチャージ管において、最終ライフまで使用した際の平均値を採用したものである。
【0187】
さらに、各実験例におけるそれぞれの分割管の初期製造コストに対し、再生処理が必要となった回数の増大分、および、変形耐性ライフの増加から変化したコストの比を算出し、各分割管のコストの和を、その実験例のリチャージ管における総コストとして算出した。
【0188】
実験例1のリチャージ管において、初期の製造コストを10とし、再生処理コストを1、変形耐性コストを1とし、また、最終ライフまで使用した際の総コストを10とした。
【0189】
これに対し、実験例2においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが9であり、コストが6.76であった。
また、上側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが3であり、コストが0.87であった。
実験例2のリチャージ管においては、最終ライフまで使用した際の総コストが7.63となった。
【0190】
実験例3においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが6であり、コストが3.60であった。
また、上側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが6であり、コストが2.94であった。
実験例3のリチャージ管においては、最終ライフまで使用した際の総コストが6.54となった。
【0191】
実験例4においては、そのリチャージ管のうち下側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが5であり、コストが2.11であった。
また、中側の分割管に対して同様に初期の製造コストが5であり、コストが1.74であった。
また、上側の分割管に対して同様に、初期の製造コストが5であり、コストが1.56であった。
実験例3のリチャージ管においては、最終ライフまで使用した際の総コストが5.41となった。
【0192】
これらの結果から、軸方向に分割したリチャージ管を用いることで、使用可能回数が伸び、結果的に、リチャージのコストを低減することが可能であることがわかる。
【0193】
さらに、実験例1のリチャージ管において使用回数が多くなった場合に、リチャージ管内面からの石英微粉に起因して発生していたとみなせる有転位化が、実験例2~4では大幅に減少することも確認することができた。
【0194】
また、実験例2~4において、炭素濃度の異常も発生していないことから、緩衝部材の破片購入は発生していないことも確認することができた。
【符号の説明】
【0195】
S1…固形原料
S2…原料融液
1…メインチャンバ
2…プルチャンバ
2a…駆動機構(引き上げ手段)
3…ルツボ
4…支持軸
4A…サセプタ
5…ヒータ
6…断熱材
7…引上軸(引き上げ手段)
8…吊り下げ治具(引き上げ手段)
9…上フランジ部
9a…金属製フランジ
10…リチャージ管
10A…下側分割管(分割管)
10Aa…上端部
10Ab…下端部
10B…上側分割管(分割管)
10Ba…上端部
10Bb…下端部
10C…上追加分割管(分割管)
10D…中側分割管(分割管)
11…連結部
11a,11b,1m,11n…フランジ部
11c…連結孔
11d…ボルト・ナット(締結部)
11e…緩衝部材
11g…嵌合溝
11h…嵌合溝
12…熱遮蔽体
13…ゲートバルブ
14…底蓋
15…金属製シャフト(引き上げ手段)
16…保護管(引き上げ手段)
16a…摺動保護管
16b…被覆保護管
16c…固定板部
16f…固定傾斜板
18…ハンガー
19…金属製ワッシャー
20…金属製上部部材
21…長ネジ
30…傾斜支持台
31…支持部
32…支持台車部
33…車輪
34…傾斜台
35…傾斜支持部
35a…水平軸
36…基部
36a…傾斜部
37,38…軸線
39…傾斜駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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