(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】白色液体組成物、印刷方法、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
C09D 11/322 20140101AFI20220906BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220906BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20220906BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20220906BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20220906BHJP
【FI】
C09D11/322
B41J2/01 123
B41J2/01 501
B41J2/18
B41M5/00 100
B41M5/00 120
C09D11/037
(21)【出願番号】P 2018126791
(22)【出願日】2018-07-03
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】葛城 弘二
(72)【発明者】
【氏名】玉井 崇詞
(72)【発明者】
【氏名】花澤 宏文
(72)【発明者】
【氏名】張 東植
(72)【発明者】
【氏名】前川 勉
(72)【発明者】
【氏名】横濱 佑樹
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122310(JP,A)
【文献】特開2017-171874(JP,A)
【文献】特開2009-191118(JP,A)
【文献】国際公開第2005/047399(WO,A1)
【文献】特開平07-224239(JP,A)
【文献】特開2005-068285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/322
B41M 5/00
B41J 2/01
B41J 2/18
C09D 11/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子を含有する白色液体組成物であって、
前記樹脂粒子が、
下記構造式(1)で表される構造単位と、下記構造式(2)で表される構造単位と、下記構造式(4)で表される構造単位と、1,3-ジエチルベンゼン
が脱水素化された1,3-ジビニルベンゼン由来の構造単位と、を含み、
前記樹脂粒子が中空樹脂粒子であり、前記中空樹脂粒子の体積平均粒子径が0.4μm以上0.5μm以下であることを特徴とする白色液体組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【請求項2】
前記中空樹脂粒子のガラス転移温度が120℃以上である請求項1に記載の白色液体組成物。
【請求項3】
前記中空樹脂粒子の乾燥膜のIRスペクトルにおける1600cm
-1
±10cm
-1
の最大値Xと、1730cm
-1
±10cm
-1
の最大値Yとの比率(Y/X)が、3.0以上6.0以下である請求項1から2のいずれかに記載の白色液体組成物。
【請求項4】
更に蛍光増白剤を含有し、前記蛍光増白剤がベンゾオキサゾール及びベンゾオキサゾール誘導体の少なくともいずれかを含む請求項1から3のいずれかに記載の白色液体組成物。
【請求項5】
更に蛍光増白増強剤を含有し、前記蛍光増白増強剤がポリエーテルポリオール化合物を含む請求項1から4のいずれかに記載の白色液体組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷工程と、
印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷工程と、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の白色液体組成物と、
前記白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷手段と、
印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
前記白色液体組成物を吐出するノズル、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記白色液体組成物を個別液室に流入させる流入流路、及び前記白色液体組成物を前記個別液室から流出させる流出流路を備えた吐出ヘッドと、
前記流出流路から流出する白色液体組成物を、前記流入流路に流入させて循環させる循環経路と、
前記白色液体組成物を前記個別液室から流出する負圧を発生する負圧手段発生手段と、
を有する請求項7に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色液体組成物、印刷方法、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット用白色インクの色材としては二酸化チタンを用いる方式が一般的である。また、白色色材として内層が中空である中空樹脂粒子を用いる白色インクも知られている。中空樹脂粒子は、内層(空気層)と外殻樹脂との屈折率の差を利用して白色性を発現している。このような中空樹脂粒子は、二酸化チタンと比べて白色度や沈降性などの点で優位であるため使用が進められている。
【0003】
例えば、中空樹脂粒子と、該中空樹脂粒子の透明化防止剤とを含むインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた白色度及び耐熱性を両立できる白色液体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の白色液体組成物は、樹脂粒子を含有する白色液体組成物であって、前記樹脂粒子が、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、優れた白色度及び耐熱性を両立できる白色液体組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明における印刷装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明における別の印刷装置の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の印刷装置における吐出ヘッドの一例を示す外観斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図5】
図5は、
図3の吐出ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。
【
図6】
図6は、
図3の吐出ヘッドのノズル板の平面説明図である。
【
図7A】
図7Aは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図7B】
図7Bは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図7C】
図7Cは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図7D】
図7Dは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図7E】
図7Eは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図7F】
図7Fは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図8A】
図8Aは、
図3の吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図8B】
図8Bは、
図3の吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
【
図9】
図9は、本発明に関する白色液体組成物循環システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(白色液体組成物)
本発明の白色液体組成物は、樹脂粒子を含有する白色液体組成物であって、樹脂粒子が、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0009】
本発明の白色液体組成物は、従来技術では、白色色材としての中空樹脂粒子は樹脂を主成分として含有しているため、熱に弱く乾燥工程などで熱をかけると樹脂自体が溶解してしまい十分な白色度が得られなくなるという知見に基づくものである。
【0010】
したがって、本発明の白色液体組成物は、スチレン由来の構造単位と(メタ)アクリル化合物由来の構造単位とを有する共重合体を1,3-ジエチルベンゼンで架橋して得られる樹脂粒子を含有することにより、優れた白色度及び耐熱性を両立することができる。
なお、樹脂粒子を架橋することによって樹脂の屈折率が低下し、白色度がやや低下する傾向がある。このため、本発明においては、更に蛍光増白剤及び蛍光増白増強剤を添加することが好ましい。
【0011】
<樹脂粒子>
樹脂粒子は、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンとを含む。より具体的には、樹脂粒子は、下記構造式(1)で表される構造単位と、下記構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含むことが、明度及び樹脂粒子の耐熱性の点から好ましく、下記構造式(1)で表される構造単位と、下記構造式(2)で表される構造単位と、下記構造式(4)で表される構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含むことがより好ましい。
構造式(1)で表される構造単位と、構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位とを重合反応させることにより共重合体が形成され、得られた共重合体は架橋剤である1,3-ジエチルベンゼンによって架橋される。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
上記構造式(1)で表される構造単位は主に明度を向上させる目的で使用している。上記構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位は主に耐熱性を向上させる目的で使用している。
樹脂粒子中の構造式(1)で表される構造単位と、構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位との比率は、白色液体組成物とした場合に、白色液体組成物に含まれる構造式(1)で表される構造単位と、構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位との比率にほぼ一致する。
比率の算出には、樹脂粒子の乾燥膜のIRスペクトルを使用し、構造式(1)で表される構造単位の芳香族のC=C伸縮振動による1600cm-1±10cm-1の吸収帯の最大値Xと、構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位のカルボニル伸縮振動に由来する1730cm-1±10cm-1の吸収帯の最大値Yとの比率(Y/X)を取ることで算出することができ、この比率(Y/X)は3.0以上6.0以下であり、3.0以上5.5以下が好ましい。
比率(Y/X)が3.0以上であることによって、樹脂粒子の耐熱性が向上し、結果として熱などのエネルギーにより樹脂粒子の樹脂が溶解することで生じる明度の低下を抑制することができる。一方、比率(Y/X)が6.0以下であることによって、樹脂粒子の明度が向上するとともに、樹脂粒子の沈降性も改善することができる。
なお、白色液体組成物における構造式(1)で表される構造単位と、構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位との比率(Y/X)も3.0以上6.0以下であることが好ましい。
【0017】
1,3-ジエチルベンゼンの樹脂粒子に対する添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%以上0.1質量%以下が好ましい。
【0018】
樹脂粒子の構造解析としては、例えば、顕微FT-IR測定装置(装置名:iN10MX/iZ10、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて構造解析することにより、構造式(1)から構造式(4)で表される構造単位を有していることを確認することができる。
【0019】
樹脂粒子としては、中空樹脂粒子が好ましい。中空樹脂粒子とは、外殻を樹脂で形成した中空樹脂粒子である。
【0020】
<<中空樹脂粒子>>
中空樹脂粒子は、内層が中空、外層を樹脂で形成したものであり、その外径は0.1μm以上1μm以下が好ましく、内径は0.04μm以上0.8μm以下が好ましい。
中空樹脂粒子は、内層が中空であるため、白色液体組成物としての比重は1前後であり、比重が大きい金属酸化物のように経時で沈降することはない。経時での沈降を回避する点から、中空樹脂粒子の樹脂の厚さは中空樹脂粒子全体の大きさに対して10%以上20%以下が好ましい。
【0021】
中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.4μm以上0.6μm以下であることが好ましい。体積平均粒子径が0.4μm以上であることによって、上質紙などのような記録媒体に対しても明度を確保することが可能である。一方、体積平均粒子径が0.6μm以下であることによって、沈降性の改善、及び吐出安定性の改善が可能となる。
中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を用いて求めることができる。前記動的光散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラック Wave-UT151(マイクロトラック・ベル株式会社製)、ナノトラック Wave-EX150(日機装株式会社製)、ELSZ-2、DLS-8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB-550(株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
【0022】
前記中空樹脂粒子の調製方法は、特に制限されるものではなく公知の方法を適用することができ、例えば、スチレン、(メタ)アクリル化合物、1,3-ジエチルベンゼン、界面活性剤、重合開始剤、及び水系分散媒を窒素雰囲気下にて加熱しながら撹拌することにより中空樹脂エマルジョンを形成する、いわゆる乳化重合法を適用することができる。
【0023】
中空樹脂粒子の樹脂層の厚さは、30nm以上100nm以下が好ましく、40nm以上60nm以下がより好ましい。中空樹脂粒子の樹脂層の厚さを30nm以上とすることによって、熱などのエネルギーにより中空樹脂粒子の樹脂が溶解することで生じる明度の低下を抑制することができる。一方、中空樹脂粒子の樹脂層の厚さを100nm以下とすることによって、沈降性の改善、吐出安定性の改善が可能となる。
【0024】
中空樹脂粒子の中空率は、30%以上60%以下が好ましく、30%以上50%以下がより好ましい。中空樹脂粒子の中空率を30%以上とすることによって、沈降性の改善、及び吐出安定性の改善が可能となる。一方、中空樹脂粒子の中空率を60%以下とすることによって、記録媒体の下地色に影響されずに狙いとする明度を発現することができる。なお、中空樹脂粒子の中空率は以下の数式1により算出することができる。
【0025】
【0026】
中空樹脂粒子のガラス転移温度は、120℃以上が好ましく、120℃以上140℃以下がより好ましく、120℃以上130℃以下が更に好ましい。中空樹脂粒子のガラス転移温度を120℃以上とすることによって、熱などのエネルギーにより中空樹脂粒子の樹脂が溶解することで生じる明度の低下を抑制することができる。一方、中空樹脂粒子のガラス転移温度を140℃以下とすることによって、記録媒体の下地色に影響されずに狙いとする明度を発現することができる。
【0027】
樹脂粒子の含有量は、白色液体組成物の全量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましく、8質量%以上15質量%以下がより好ましい。樹脂粒子の含有量を5質量%以上とすることによって、上質紙等の記録媒体に対しても白色液体組成物の膜厚を確保することが可能となる。一方、中空樹脂粒子の含有量を20質量%以下とすることによって、沈降性の改善、及び吐出安定性の改善が可能となる。
【0028】
<蛍光増白剤>
蛍光増白剤とは、目に見えない短波長側の紫外線を吸収し、目に見える紫色~青色の光に変えるものであり、蛍光染料とも呼ばれる。本発明では明度を向上させる目的でこの蛍光増白剤を使用している。
蛍光増白剤としては、下記構造式(5)又は構造式(6)で表される化合物を使用している。
【0029】
【0030】
【0031】
上記構造式(5)で表される構造単位を有するものはベンゾオキサゾール又はその誘導体であり、上記構造式(6)で表される構造単位を有するものはクマリン又はその誘導体であり、親水性及び疎水性のいずれのものであってもよい。
蛍光増白剤の含有量は、白色液体組成物の全量に対して、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.2質量%以下がより好ましい。蛍光増白剤の含有量を0.001質量%以上とすることによって、記録媒体の下地色に影響されずに狙いとする明度を発現することができる。一方、蛍光増白剤の含有量を1質量%以下とすることによって、入射光がすぐに吸収されたり、分子同士の衝突により蛍光強度が減少したりする濃度消光現象を抑制することができる。
蛍光増白剤としては適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、BASF社製のTINOPAL OB、株式会社日本化学工業所製のNikkafluor OBやNikkabright PAW-L、株式会社日本化学工業所製のNikkafluor MCTなどが挙げられる。
【0032】
<蛍光増白増強剤>
本発明においては、蛍光増白剤の効果を向上させるものとして蛍光増白増強剤を使用してもよい。
蛍光増白増強剤は蛍光増白剤の分散性を向上させ、かつ表面移行させることにより蛍光増白剤の効果を向上させるものであり、具体的には、ポリエーテルポリオール化合物などが挙げられる。
蛍光増白増強剤の含有量は、白色色材の含有量に対して、0.2質量%以上2質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましい。蛍光増白増強剤の含有量を白色色材の含有量に対して0.2質量%以上とすることによって、記録媒体の下地色に影響されずに狙いとする明度を発現することができる。一方、蛍光増白増強剤の含有量を白色色材の含有量に対して2質量%以下とすることによって、吐出安定性の改善が可能となる。
蛍光増白増強剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、サンノプコ社製のオプティアクト I-10などが挙げられる。
【0033】
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては、白色液体組成物中の水を除く有機溶剤の溶解度パラメータ(以下、SP値と称する)から計算される混合SP値が12.0[cal/cm3]0.5以上15.0[cal/cm3]0.5以下であることが好ましい。水を除く有機溶剤の混合SP値を12.0[cal/cm3]0.5以上とすることによって、有機溶剤による中空樹脂粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。一方、水を除く有機溶剤の混合SP値を15.0[cal/cm3]0.5以下とすることによって、乾燥不良による定着性悪化を抑制することができる。
なお、白色液体組成物中に含有する有機溶剤の混合SP値は下記式により算出した。
白色液体組成物中の有機溶剤の混合SP値[cal/cm3]0.5
=[有機溶剤AのSP値×有機溶剤Aの体積分率]+・・・+[有機溶剤ZのSP値×有機溶剤Zの体積分率]
また、本発明における有機溶剤は、機能上、浸透剤や消泡剤などとして分類されるものも含まれるが、本発明では白色液体組成物全体に対して3質量%以上含有しているもののみ上記混合SP値の計算で使用する。
【0034】
本発明に使用する有機溶剤としては、特に制限はなく、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0035】
更に水素結合項が3.0[cal/cm3]0.5以上6.8[cal/cm3]0.5以下であり、かつ沸点が150℃以上300℃以下である有機溶剤を使用すると定着性が良好となりより好ましい。
なお、水素結合項はKrevelenの提案した有機分子を原子団として取り扱った原子団総和法を利用して求めることができる(Krevelen,Properties of Polymer 3rd Edition,New York,p200~p204参照)。
上記条件を満たす有機溶剤としては、グリセリン、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、オキセタン化合物が特に好ましい。
【0036】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0037】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。
炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0038】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、白色液体組成物の浸透性を向上させることができる。
【0039】
有機溶剤の白色液体組成物中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、白色液体組成物の乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0040】
<水>
白色液体組成物における水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、白色液体組成物の乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0041】
<樹脂粒子>
白色液体組成物中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合して白色液体組成物を得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
また、衝撃などから中空樹脂粒子のつぶれを抑制する目的で、樹脂粒子のロックウェル硬度(JIS Z2245、JIS B7726)は80以上130以下が好ましく、80以上110以下がより好ましい。
樹脂粒子のSP値から計算される混合SP値が、8.0[cal/cm3]0.5以上12.0[cal/cm3]0.5以下であることが好ましい。樹脂粒子の混合SP値を8.0[cal/cm3]0.5以上とすることによって、樹脂粒子による中空樹脂粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。一方、樹脂粒子の混合SP値を12.0[cal/cm3]0.5以下とすることによって、定着性の悪化を抑制することができる。
なお、白色液体組成物中に含有する樹脂粒子の混合SP値は下記式により算出することができる。
白色液体組成物中の樹脂粒子の混合SP値[cal/cm3]0.5
=[樹脂粒子AのSP値×樹脂粒子Aの体積分率]+・・・+[樹脂粒子ZのSP値×樹脂粒子Zの体積分率]
【0042】
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、100nm以上150nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0043】
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、白色液体組成物の保存安定性の点から、白色液体組成物の全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0044】
白色液体組成物中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上1000nm以下が好ましく、400nm以上600nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0045】
<滑剤>
本発明の白色液体組成物には画像部に滑り性を付与する目的で滑剤としてワックス又はシロキサン化合物を含有することが好ましい。
前記ワックスの中でも、特に白色液体組成物を画像部に付与した際の成膜性、滑り性などの観点から、ポリエチレンワックス、カルナバワックスが好ましい。
前記ワックスの融点は80℃以上140℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましい。融点を80℃以上とすることによって、室温(25℃)環境下でもワックスが過剰に溶融又は凝固することが少なくなり、白色液体組成物の保存安定性を維持することが可能となる。一方、融点を140℃以下とすることで、室温(25℃)環境下でもワックスが十分に溶融し、白色液体組成物に滑り性を付与することが可能となる。
前記ワックスの体積平均粒子径は0.01μm以上が好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。体積平均粒子径を0.01μm以上とすることによって、白色液体組成物表面にワックス粒子が配向しやすくなり、白色液体組成物に滑り性を付与することが可能となる。
前記ポリエチレンワックスとしては、例えば、市販品として東邦化学工業株式会社製のハイテックシリーズ、BYK社製のAQUACERシリーズなどが挙げられる。
前記カルナバワックスとしては、例えば、市販品として中京油脂社製のセロゾール 524、トラソル CNなどが挙げられる。
前記ワックスの含有量は、白色液体組成物の全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
前記シロキサン化合物としては、例えば、市販品としてBYK社製のBYK307、BYK333、BYK378などが挙げられる。
前記シロキサン化合物の含有量は、白色液体組成物の全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
【0046】
<添加剤>
白色液体組成物には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
【0047】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学株式会社などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
【0049】
[一般式(S-1)]
【化7】
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
【0050】
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社製)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社製)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社製)などが挙げられる。
【0051】
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないために好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
【0052】
[一般式(F-1)]
【化8】
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
【0053】
一般式(F-2)
CnF2n+1-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2CH2O)a-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCH2CH(OH)CH2-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
【0054】
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
【0055】
白色液体組成物中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0056】
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0057】
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0058】
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0059】
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0060】
白色液体組成物の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
白色液体組成物の25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
白色液体組成物の表面張力としては、記録媒体上で好適に白色液体組成物がレベリングされ、白色液体組成物の乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましい。
白色液体組成物のpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0061】
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
【0062】
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
【0063】
<印刷物>
白色液体組成物を使用した印刷物は、記録媒体上に、本発明の白色液体組成物を用いて形成された画像を有してなる。
本発明の印刷装置及び印刷方法により印刷して印刷物とすることができる。
【0064】
本発明の白色液体組成物を用いて印刷物を作成する場合、印刷層を形成するインク膜の膜厚は4μm以上20μm以下が好ましく、10μm以上17μm以下がより好ましい。インク膜の膜厚が4μm以上であることによって、記録媒体の下地色に影響されずに狙いとする明度を発現することができる。一方、インク膜の膜厚が20μm以下であることによって、定着性や生産性を維持することが可能となる。
【0065】
(印刷方法及び印刷装置)
本発明の印刷方法は、本発明の白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷工程と、印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0066】
本発明の印刷装置は、本発明の白色液体組成物と、前記白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷手段と、印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0067】
前記カラーインクは、色材、及び溶媒を含有し、更に必要に応じて、樹脂粒子、その他の成分を含む。
前記カラーインクとは、ブラックインク、白色インク等の無彩色インクや、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等の有彩色インクを意味する。
【0068】
本発明の印刷装置は、前記白色液体組成物を吐出するノズル、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記白色液体組成物を個別液室に流入させる流入流路、及び前記白色液体組成物を前記個別液室から流出させる流出流路を備えた吐出ヘッドと、前記流出流路から流出する白色液体組成物を、前記流入流路に流入させて循環させる循環経路と、前記白色液体組成物を前記個別液室から流出する負圧を発生する負圧手段発生手段と、を有することが好ましい。
【0069】
-吐出ヘッド-
前記吐出ヘッドは、白色液体組成物を吐出する複数のノズルと、前記ノズルに通じる個別液室と、前記個別液室に白色液体組成物を供給する共通液室と、前記個別液室に通じる循環流路と、前記循環流路に通じる循環共通液室と、前記個別液室の白色液体組成物に圧力を付与する圧力発生手段と、を備え、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0070】
前記吐出ヘッドは、前記流入流路から白色液体組成物を前記個別液室に流入させ、前記個別液室から前記流出流路に流出させ、白色液体組成物を流動させる。少なくとも白色液体組成物を吐出する前に、前記吐出ヘッド内の白色液体組成物を流動させることにより、白色液体組成物中の中空樹脂粒子が沈降するような分離状態を抑制することができる。
また、前記吐出ヘッドには、前記個別液室に前記流入流路を介して白色液体組成物を供給する白色液体組成物供給部が接続されていることが好ましい。前記印刷装置が循環手段を有する場合には、前記流出流路を前記白色液体組成物供給部と接続することにより、前記吐出ヘッドと前記白色液体組成物供給部との間で白色液体組成物を循環させることが好ましい。このようにすると、前記流出流路からの流出による廃白色液体組成物の量を低減できる点で有利である。
【0071】
以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を用いた場合について説明するが、これらに代えて、あるいはこれらに加えて白色液体組成物や色材を含有しない透明液体組成物を使用してもよい。
【0072】
本発明の白色液体組成物は、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対して白色液体組成物や各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、白色液体組成物や各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、白色液体組成物を吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。乾燥温度は100℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、白色液体組成物によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について
図1乃至
図2を参照して説明する。
図1は同装置の斜視説明図である。
図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各白色液体組成物収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。白色液体組成物収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各白色液体組成物排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へ白色液体組成物を吐出可能となる。
【0073】
次に、本発明の印刷装置における吐出ヘッドの一例について、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7A~
図7F、
図8A、及び
図8Bを参照して説明する。
図3は、本発明の印刷装置における吐出ヘッドの一例を示す外観斜視図である。
図4は、
図3の吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
図5は、
図3の吐出ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。
図6は、
図3の吐出ヘッドのノズル板の平面説明図である。
図7A~
図7Fは、
図3の吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。
図8A及び
図8Bは、
図3の吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
【0074】
前記吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とが積層接合されており、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20と、カバー29とを備えている。
【0075】
ノズル板1は、白色液体組成物を吐出する複数のノズル4を有している。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6と、前記流入流路としての個別液室6に通じる流体抵抗部7、及び流体抵抗部7に通じる液導入部8が形成されている。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41~45を積層接合して形成され、これらの板状部材41~45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルター部9を有している。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0076】
ここで、ノズル板1には、
図6に示すように、複数のノズル4が千鳥状に配置されている。
流路板2を構成する板状部材41には、
図7Aに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、流体抵抗部51、前記流出流路としての循環流路52を構成する貫通溝部51a、52aが形成されている。
同じく板状部材42には、
図7Bに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6bと、循環流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。
同じく板状部材43には、
図7Cに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6cと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53aが形成されている。
同じく板状部材44には、
図7Dに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6dと、流体抵抗部7なる貫通溝部7aと、液導入部8を構成する貫通溝部8aと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53bが形成されている。
同じく板状部材45には、
図7Eに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6eと、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部8b(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53cが形成されている。
振動板部材3には、
図7Fに示すように、振動領域30と、フィルター部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53dが形成されている。
このように、流路部材を複数の板状部材を積層接合して構成することにより、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
【0077】
以上の構成により、流路板2及び振動板部材3からなる流路部材40には、各個別液室6に通じる流路板2の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材40の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室50に通じている。
【0078】
一方、共通液室部材20には、前記メインタンクや白色液体組成物カートリッジから白色液体組成物が供給される共通液室10と循環共通液室50が形成されている。
第1共通液室部材21には、
図8Aに示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25aと、下流側共通液室10Aとなる貫通溝部10aと、循環共通液室50となる底の有る溝部50aが形成されている。
第2共通液室部材22には、
図8Bに示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25bと、上流側共通液室10Bとなる溝部10bが形成されている。また、第2共通液室部材22には、
図3に示すように、共通液室10のノズル配列方向の一端部と供給ポート71を通じる供給口部となる貫通穴71aが形成されている。
第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、
図8A及び
図8Bにおいて、底の有る溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
このように、共通液室部材20は、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22によって構成され、第1共通液室部材21を流路部材40の振動板部材3側に接合し、第1共通液室部材21に第2共通液室部材22を積層して接合している。
【0079】
ここで、第1共通液室部材21は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室50とを形成している。また、第2共通液室部材22は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室50とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室50の寸法(大きさ)が流路部材40で形成される個別液室6、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることにより、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクや白色液体組成物カートリッジから白色液体組成物が供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
【0080】
一方、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
この圧電アクチュエータ11は、
図5に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ここでは、圧電部材12の圧電素子12Aは駆動波形を与えて駆動させる圧電素子とし、圧電素子12Bは駆動波形を与えないで単なる支柱として使用しているが、すべての圧電素子12A、12Bを駆動させる圧電素子として使用することもできる。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
【0081】
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
このように構成した吐出ヘッドにおいては、例えば、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することにより、個別液室6内に白色液体組成物が流入する。
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の白色液体組成物が加圧され、ノズル4から白色液体組成物が吐出される。
そして、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から個別液室6内に白色液体組成物が充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。また、上述した実施形態では、個別液室6に圧力変動を与える手段として積層型圧電素子を用いて説明したが、これに限定されず、薄膜状の圧電素子を用いることも可能である。更に、個別液室6内に発熱抵抗体を配し、発熱抵抗体の発熱によって気泡を生成して圧力変動を与えるものや、静電気力を用いて圧力変動を生じさせるものを使用することができる。
【0082】
次に、本実施形態にかかる吐出ヘッドを用いた白色液体組成物循環システムの一例を、
図9を用いて説明する。
【0083】
図9は、白色液体組成物循環システムの一例を示すブロック図である。
図9に示すように、白色液体組成物循環システムは、メインタンク、吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されている。供給側圧力センサは、供給タンクと吐出ヘッドとの間であって、吐出ヘッドの供給ポート71(
図3参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、吐出ヘッドの循環ポート81(
図3参照)に繋がった循環流路側に接続されている。
循環タンクの一方は、第一送液ポンプを介して供給タンクと接続されており、循環タンクの他方は第二送液ポンプを介してメインタンクと接続されている。これにより、供給タンクから供給ポート71を通って吐出ヘッド内に白色液体組成物が流入し、循環ポートから排出されて循環タンクへ排出され、更に第1送液ポンプによって循環タンクから供給タンクへ白色液体組成物が送られることによって白色液体組成物が循環する。
また、供給タンクには、図示しないコンプレッサが接続され、供給側圧力センサで所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンクには、図示しない真空ポンプがつなげられていて、循環側圧力センサで所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、吐出ヘッド内を通って白色液体組成物を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
また、吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出すると、供給タンク及び循環タンク内の白色液体組成物量が減少していくため、適宜メインタンクから第二送液ポンプを用いて、メインタンクから循環タンクに白色液体組成物を補充することが望ましい。メインタンクから循環タンクへの白色液体組成物補充のタイミングは、循環タンク内の白色液体組成物の液面高さが所定高さよりも下がったら白色液体組成物補充を行うなど、循環タンク内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0084】
次に、吐出ヘッド内における白色液体組成物の循環について説明する。
図3に示すように、共通液室部材20の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室50に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介して白色液体組成物を貯蔵する供給タンク及び循環タンク(
図10及び
図11参照)につなげられている。そして、供給タンクに貯留されている白色液体組成物は、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室6へ供給される。
更に、個別液室6内の白色液体組成物が圧電部材12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室6内に留まった白色液体組成物の一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室50、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
なお、白色液体組成物の循環は、吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内の白色液体組成物は常にリフレッシュされると共に、白色液体組成物に含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。
【0085】
この記録装置には、白色液体組成物を吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などの白色液体組成物の場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0086】
なお、白色液体組成物の使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0087】
本発明の白色液体組成物の用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、白色液体組成物として用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、白色液体組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、白色液体組成物を重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上に白色液体組成物を付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【0088】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
【0089】
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例】
【0090】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0091】
(製造例1)
<中空樹脂粒子Bの作製>
-種粒子エマルションの合成-
撹拌機、温度計、冷却器、及び滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、脱イオン水726.0質量部、メチルメタクリレート5.0質量部、及びメタクリル酸0.1質量部を仕込み、撹拌しながら加温した。次に、セパラブルフラスコ内の内温が70℃になったところで、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.0質量部を添加し、20分間80℃で加温した。
一方、メチルメタクリレート141.0質量部、メタクリル酸94.9質量部、アニオン性乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンSF-20)5.0質量部、及び脱イオン水120.0質量部をホモディスパーで乳化させ、プレエマルションとした後、滴下ロートに投入した。
次に、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルションを3時間かけて均一に滴下し、これと同時に10質量%過硫酸アンモニウム水溶液10.0質量部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で3時間熟成し、冷却後120メッシュのろ布を用いて濾過し、種粒子エマルションを得た。
【0092】
<中空樹脂粒子の合成>
-1段目重合-
撹拌機、温度計、冷却器、及び滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、脱イオン水188.2質量部を仕込み、上記で得た種粒子エマルション66.0質量部を滴下し、撹拌しながら80℃に加温した。一方、ブチルアクリレート2.4質量部、ブチルメタクリレート1.1質量部、メチルメタクリレート19.5質量部、メタクリル酸0.7質量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンSF-20)5.0質量部、及び脱イオン水55.3質量部をホモディスパーで乳化させ、プレエマルション1とした後、滴下ロートに投入した。
次に、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルション1を30分間かけて均一に滴下し、これと同時に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液1.2質量部を30分間かけて均一に滴下した。
【0093】
-2段目重合-
スチレン75.0質量部、1,3-ジエチルベンゼン0.5質量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンSF-20)5.0質量部、及び脱イオン水51.8質量部をホモディスパーで乳化させ、プレエマルション2とした後、滴下ロートに投入した。
次に、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、プレエマルション1の滴下が終了してから1時間後に、上記で得たプレエマルション2を60分間かけて均一に滴下し、これと同時に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液3.5質量部を60分間かけて均一に滴下した。
プレエマルション2の滴下終了後、種粒子を膨潤、溶解させるために、28質量%のアンモニア水7.5質量部を滴下し、80℃で1時間熟成した。冷却後120メッシュのろ布を用いて濾過し、「中空樹脂粒子B」を得た。
【0094】
(製造例2)
-中空樹脂粒子B’の作製-
製造例1において、プレエマルション2に1,3-ジエチルベンゼンを添加しない以外は、製造例1と同様にして、「中空樹脂粒子B’」を得た。
【0095】
(製造例3)
-中空樹脂粒子Eの作製-
製造例1において、2段目重合におけるスチレンを22.3質量部とした以外は、製造例1と同様にして、「中空樹脂粒子E」を得た。
【0096】
(製造例4)
-中空樹脂粒子E’の作製-
製造例3において、プレエマルション2に1,3-ジエチルベンゼンを添加しない以外は、製造例3と同様にして、「中空樹脂粒子E’」を得た。
【0097】
(参考例1)
<白色液体組成物の作製>
まず、表1に示す有機溶剤、蛍光増白剤、蛍光増白増強剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、及び脱イオン水を1時間撹拌して均一に混合した。
次に、樹脂粒子を加えて更に1時間撹拌して均一に混合した。その後、白色色材を加えて更に1時間撹拌して均一に混合した。得られた混合物を平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧ろ過し、粗大粒子やゴミを除去して白色液体組成物を得た。
【0098】
<スペクトル比率(Y/X)>
得られた中空樹脂粒子の乾燥膜のIRスペクトルにおける1600cm-11の最大値Xと、1730cm-1の最大値Yとを、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製の顕微FT-IR測定装置(iN10MX/iZ10)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて測定を行った。
【0099】
<体積平均粒子径>
中空樹脂粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック・ベル社製、NanotrcWave EX-150により測定した。
【0100】
<ガラス転移温度>
中空樹脂粒子のガラス転移温度は、日立ハイテクサイエンス株式会社製の熱分析装置(TA7000シリーズ)を用いて測定した。なお、白色液体組成物のガラス転移温度の値は、ほぼ中空樹脂粒子のガラス転移温度の値と一致したので記載は省略した。
【0101】
<中空樹脂粒子の構造解析>
中空樹脂粒子の構造解析としては、顕微FT-IR測定装置(装置名:iN10MX/iZ10、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて構造解析することにより、下記構造式(1)から構造式(4)で表される構造単位を有していることを確認した。
【0102】
<白色色材>
-中空樹脂粒子A(ダウケミカル社製、ROPAQUE ULTRA E)-
・比率(Y/X)=1.5
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)
・体積平均粒子径:400nm
・樹脂層の厚さ:40nm
・中空率:51.0%
・ガラス転移温度(Tg)=110.4℃
・架橋剤:なし
【0103】
-中空樹脂粒子B(製造例1)-
・比率(Y/X)=3.0
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)
・体積平均粒子径:700nm
・樹脂層の厚さ:60nm
・中空率:45.0%
・ガラス転移温度(Tg)=111.7℃
・架橋剤:なし
【0104】
-中空樹脂粒子B’(製造例2)-
・比率(Y/X)=3.0
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)
・体積平均粒子径:700nm
・樹脂層の厚さ:60nm
・中空率:45.0%
・ガラス転移温度(Tg)=115.3℃
・架橋剤(1,3-ジエチルベンゼン):あり
【0105】
-中空樹脂粒子C(サイデン化学株式会社製、サイビノール X-213-913E-43)-
・比率(Y/X)=4.9
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)/構造式(3)/構造式(4)
・体積平均粒子径:700nm
・樹脂層の厚さ:100nm
・中空率:36.4%
・ガラス転移温度(Tg)=119.3℃
・架橋剤(エチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート):あり
【0106】
-中空樹脂粒子D(ダウケミカル社製、ROPAQUE HT1432)-
・比率(Y/X)=5.1
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)/構造式(4)
・体積平均粒子径:500nm
・樹脂層の厚さ:60nm
・中空率=32.0%
・ガラス転移温度(Tg)=128.7℃
・架橋剤(1,3-ジエチルベンゼン):あり
【0107】
-中空樹脂粒子E(製造例3)-
・比率(Y/X)=6.0
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)
・体積平均粒子径:700nm
・樹脂層の厚さ:60nm
・中空率:30.1%
・ガラス転移温度(Tg)=121.1℃
・架橋剤:なし
【0108】
-中空樹脂粒子E’(製造例4)-
・比率(Y/X)=6.0
・樹脂構造:構造式(1)/構造式(2)
・体積平均粒子径:700nm
・樹脂層の厚さ:60nm
・中空率:30.1%
・ガラス転移温度(Tg)=131.2℃
・架橋剤(1,3-ジエチルベンゼン):あり
【0109】
-中空樹脂粒子F(JSR株式会社製、SX868)-
・比率(Y/X)=9.3
・体積平均粒子径=600nm
・ガラス転移温度(Tg)=133.4℃
・架橋剤(エチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート):あり
【0110】
【0111】
-有機溶剤-
・有機溶剤A(東京化成工業株式会社製、1,2-プロパンジオール、SP値=14.3(cal/cm3)0.5)
・有機溶剤B(東京化成工業株式会社製、1,2-ブタンジオール、SP値=13.1(cal/cm3)0.5)
【0112】
-蛍光増白剤-
・蛍光増白剤A(株式会社日本化学工業所製、Nikkabright PAW-L、親水性ベンゾオキサゾール蛍光増白剤)
・蛍光増白剤B(株式会社日本化学工業所製、Nikkafluor OB、疎水性ベンゾオキサゾール蛍光増白剤)
・蛍光増白剤C(株式会社日本化学工業所製、Nikkafluor MCT、疎水性クマリン蛍光増白剤)
【0113】
-蛍光増白増強剤-
・蛍光増白増強剤(サンノプコ社製、オプティアクト I-10)
【0114】
-樹脂粒子-
樹脂粒子(水系ポリウレタン樹脂、第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス 420、SP値=11.6(cal/cm3)0.5、固形分濃度:38質量%)
【0115】
-界面活性剤-
信越シリコーン株式会社製 KF-640
【0116】
-消泡剤-
信越シリコーン株式会社製 KM-72F
【0117】
-pH調整剤-
東京化成工業株式会社製 2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール
【0118】
-防腐防黴剤-
アビシア社製 LV(S)
【0119】
<印刷方法>
得られた
実施例2~14、参考例1、参考例3、比較例1、3、5、及び比較参考例2、4の白色液体組成物を画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)を用い、記録媒体(王子エフテックス株式会社製、ルミナカラーブラック 128gsm)に対して、印字解像度が1200dpi×1200dpi、白色液体組成物の付着量が2.4mg/cm
2で印字した。その後、所定温度(120℃)に設定した恒温槽(ESPEC社製、PR-3J)にて乾燥させたものを印刷物とした。なお、印刷チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
なお、実施例15においては、
図3から
図11で示した循環機構を有する吐出ヘッドを有する画像形成装置を用いた以外は、
実施例2~14、参考例1、参考例3、比較例1、3、5、及び比較参考例2、4と同様にして、印字を行った。
【0120】
次に、得られた実施例2~15、参考例1、参考例3、比較例1、3、5、及び比較参考例2、4の白色液体組成物及び印刷物について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1~表4に示した。
【0121】
<画像の明度>
得られた各白色液体組成物が印刷された印刷物の明度(L*)を分光測色計(X-Rite社製、939)で測定した。なお、明度は50以上が使用可能なレベルである。
【0122】
<沈降性>
得られた各白色液体組成物中の中空樹脂粒子の沈降性は、沈降性測定装置(英弘精機株式会社製、タービスキャンクラシック MA2000)を用いて以下の通り測定した。
白色液体組成物を、超音波洗浄機(アズワン株式会社製、US-3)を使用して超音波処理(100W、40分間)し、均一状態にしてからピペットを使用して装置専用のガラス管(アズワン株式会社製、ねじ口試験管)に各白色液体組成物を5.5mL入れた。
ガラス管内の白色液体組成物の液面が安定した後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始時間とした。その後、25℃で静置し、168時間後まで測定を行った。沈降性評価開始時間を基準とした偏差表示にて中空樹脂粒子の沈降性を確認した。
沈降性の確認は、中空樹脂粒子の沈降に伴う後方散乱光強度ピークを積算(ガラス管下方20mmから液面まで)し、25℃で168時間静置後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)を算出し、下記評価基準にて、沈降性を評価した。なお、沈降性は-2%以上が使用可能なレベルである。
[評価基準]
○:-2%以上
△:-4%以上-2%未満
×:-4%超
【0123】
<吐出安定性>
得られた各白色液体組成物を画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)により、10cm四方のベタ画像を印字解像度:1200dpi×1200dpi、白色液体組成物の付着量:1mg/cm2の条件で100枚印字させた後のノズル抜け数を目視にて測定し、下記評価基準にて吐出安定性の評価を行った。なお、ノズル抜けが生じたノズル数が5個以下であれば実施可能なレベルである。
[評価基準]
◎:ノズル抜けが生じたノズル数:0個
○:ノズル抜けが生じたノズル数:2個以下
△:ノズル抜けが生じたノズル数:3個以上5個以下
×:ノズル抜けが生じたノズル数:6個以上
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 樹脂粒子を含有する白色液体組成物であって、
前記樹脂粒子が、スチレン由来の構造単位と、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含むことを特徴とする白色液体組成物である。
<2> 前記樹脂粒子が、下記構造式(1)で表される構造単位と、下記構造式(2)から構造式(4)で表される構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含む前記<1>に記載の白色液体組成物である。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
<3> 前記樹脂粒子が、前記構造式(1)で表される構造単位と、前記構造式(2)で表される構造単位と、前記構造式(4)で表される構造単位と、1,3-ジエチルベンゼンと、を含む前記<2>に記載の白色液体組成物である。
<4> 前記樹脂粒子が中空樹脂粒子である前記<1>から<3>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<5> 前記中空樹脂粒子のガラス転移温度が120℃以上である前記<4>に記載の白色液体組成物である。
<6> 前記中空樹脂粒子の体積平均粒子径が0.4μm以上0.6μm以下である前記<4>から<5>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<7> 前記中空樹脂粒子の乾燥膜のIRスペクトルにおける1600cm
-1±10cm
-1の最大値Xと、1730cm
-1±10cm
-1の最大値Yとの比率(Y/X)が、3.0以上6.0以下である前記<4>から<6>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<8> 前記中空樹脂粒子の中空率が、30%以上60%以下である前記<4>から<7>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<9> 更に蛍光増白剤を含有し、前記蛍光増白剤がベンゾオキサゾール及びベンゾオキサゾール誘導体の少なくともいずれかを含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<10> 蛍光増白剤の含有量が、0.001質量%以上1質量%以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<11> 更に蛍光増白増強剤を含有し、前記蛍光増白増強剤がポリエーテルポリオール化合物を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の白色液体組成物である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷工程と、
印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷工程と、
を含むことを特徴とする印刷方法である。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の白色液体組成物と、
前記白色液体組成物を記録媒体上に印刷する第1の印刷手段と、
印刷した白色液体組成物上にカラーインクを印刷する第2の印刷手段と、
を有することを特徴とする印刷装置である。
<14> 前記白色液体組成物を吐出するノズル、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記白色液体組成物を個別液室に流入させる流入流路、及び前記白色液体組成物を前記個別液室から流出させる流出流路を備えた吐出ヘッドと、
前記流出流路から流出する白色液体組成物を、前記流入流路に流入させて循環させる循環経路と、
前記白色液体組成物を前記個別液室から流出する負圧を発生する負圧手段発生手段と、
を有する前記<13>に記載の印刷装置である。
【0129】
前記<1>から<11>のいずれかに記載の白色液体組成物、前記<12>に記載の印刷方法、及び前記<13>から<14>のいずれかに記載の印刷装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0130】
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 白色液体組成物収容部
413 白色液体組成物排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】