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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/60 20060101AFI20220906BHJP
   B41J 29/12 20060101ALI20220906BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220906BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B65H29/60 C
B41J29/12
G03G21/16 104
B65H29/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018233380
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020093901
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和也
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-126348(JP,U)
【文献】特開2012-153521(JP,A)
【文献】特開平07-232840(JP,A)
【文献】特開2001-348135(JP,A)
【文献】特開2008-189393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/60
B41J 29/12
G03G 21/16
B65H 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送する搬送方向に直交する方向に一端部および前記一端部側とは反対側である他端部を有するガイド部材と、
前記ガイド部材の前記一端部側に設けられる設置部材と、
前記ガイド部材の前記一端部側に設けられ、前記設置部材に対する前記被搬送物の当接を防ぐ保護部材と、を備え、
前記保護部材の前記他端部側に切欠き部を有する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記保護部材の遮蔽部は、前記遮蔽部の面と前記ガイド部材のガイド面とが交差する方向に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記保護部材の遮蔽部は、前記被搬送物の搬送方向の上流側と下流側とに配置され、前記搬送方向において、前記上流側の前記遮蔽部と前記設置部材とは間隙があり、前記下流側の前記遮蔽部と前記設置部材とも間隙がある、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記切欠き部の一部は、前記被搬送物に接触可能な突起面を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記設置部材により可動する可動ガイド部材である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記設置部材により可動する可動ガイド部材であり、
前記遮蔽部は、前記可動ガイド部材の可動域には干渉しない形状である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記突起面は、前記被搬送物の下面をガイドする前記ガイド部材のガイド面から離間した位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の搬送装置を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の被搬送物の搬送装置において、搬送経路の近傍に設置した設置部材(スプリング)で付勢された可動ガイド板(分岐爪)の位置を切り替えることにより、被搬送物の搬送経路を切り替える技術が既に知られている。このような搬送装置において、搬送経路の途中で停止してしまった被搬送物を引き抜いてしまうような際などに、搬送経路における搬送方向に交差する方向のガイド部材の端部に設けられる設置部材に搬送経路を外れた被搬送物が当接することを防ぐ技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、開閉カバーの開閉に連動して、保護部材が設置部材(リニアエンコーダスケール)を覆うように移動する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている保護部材での設置部材の保護によれば、駆動機構や開閉カバーに連動して動作するギヤなどの複雑な機構が必要となっている。このような複雑な機構の追加は、搬送装置の大型化、搬送装置のコストアップにつながってしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複雑な機構を必要とせず、ガイド部材の端部側に設けられる設置部材を保護し、設置部材や被搬送物の破損や障害を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の搬送装置は、被搬送物を搬送する搬送方向に直交する方向に一端部および他端部を有するガイド部材と、前記ガイド部材の前記一端部側に設けられる設置部材と、前記ガイド部材の前記一端部側に設けられ、前記設置部材に対する前記被搬送物の当接を防ぐ保護部材と、を備え、前記保護部材の前記一端部側とは反対側である前記他端部側に切欠き部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な機構を必要とせず、ガイド部材の端部側に設けられる設置部材を保護し、設置部材や被搬送物の破損や障害を防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかるプリンタの全体構成を示す図である。
図2図2は、片面プリントモード時の分岐爪の状態を示す図である。
図3-1】図3-1は、両面プリントモード時の分岐爪の状態を示す図である。
図3-2】図3-2は、両面プリントモード時の分岐爪の状態を示す図である。
図3-3】図3-3は、両面プリントモード時の分岐爪の状態を示す図である。
図4-1】図4-1は、片面プリントモード時の分岐爪周辺の状態を示す断面図である。
図4-2】図4-2は、両面プリントモード時の分岐爪周辺の状態を示す断面図である。
図5図5は、片面プリントモード時の分岐爪周辺の状態を示す斜視図である。
図6図6は、スプリング保護部材を示す外観斜視図である。
図7図7は、スプリング保護部材付近の断面図である。
図8図8は、ジャム処理の際のスプリング保護部材を示す斜視図である。
図9図9は、スプリング保護部材の変形例を示す外観斜視図である。
図10図10は、図9に示すスプリング保護部材が取り付けられた分岐爪周辺の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、搬送装置および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかるプリンタ1の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる画像形成装置であるプリンタ1は、タンデム型カラープリンタである。
【0011】
プリンタ1は、本体1a内に画像形成部100および搬送装置200を備える。プリンタ1の画像形成部100は、本体1aの上方に、ボトル収容部101を備える。ボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
【0012】
プリンタ1の画像形成部100は、ボトル収容部101の下方に、中間転写ユニット85を備える。
【0013】
中間転写ユニット85は、像担持体である中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等を備える。中間転写ベルト78は、3つのローラ82~84によって張架および支持されるとともに、駆動モータに連結された1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向Aに無端移動される。
【0014】
中間転写ユニット85の中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。また、プリンタ1の画像形成部100は、作像部4Y、4M、4C、4Kに対してレーザ光を照射する露光部3を、作像部4Y、4M、4C、4Kの近傍に備える。
【0015】
各作像部4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kを備える。4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0016】
各作像部4Y、4M、4C、4Kは、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲に、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部等を備える。プリンタ1の画像形成部100は、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)を行い、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像を形成する。
【0017】
また、プリンタ1の画像形成部100は、2次転写バックアップローラ82に対向する位置に、2次転写ローラ89を備える。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。
【0018】
プリンタ1の搬送装置200は、本体1aの下方に、給紙部12を備える。給紙部12は、転写紙等のシート状の被搬送物である記録媒体Pが複数枚重ねて収納される給紙カセット12aと、給紙カセット12aの近傍に設けられて図1中の反時計回り方向に回転駆動される給紙ローラ31と、給紙カセット12aの一番上の記録媒体Pを給紙ローラ31とともに挟むフリクションパッド32と、第1搬送路K1を形成するガイド板と、レジストローラ対33、34と、を備える。レジストローラ対33、34は、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて回転駆動される。
【0019】
給紙ローラ31とフリクションパッド32との間に挟まれた一番上の記録媒体Pは、第1搬送路K1を形成するガイド板に案内されながら、レジストローラ対33、34のローラ間に向けて給送される。
【0020】
また、プリンタ1の画像形成部100は、図1中において本体1aの右上方に、定着部20を備える。定着部20は、定着ベルト21及び加圧ローラ22を備える。定着部20は、定着ベルト21及び加圧ローラ22による熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写された未定着トナー像を定着する。
【0021】
また、プリンタ1の搬送装置200は、図1中において本体1aの右上方に、定着部20によって画像が定着された記録媒体Pをスタック部90に向けて搬送(排紙)したり、記録媒体Pを反転(スイッチバック)させて両面搬送路K5に向けて搬送したりするための搬送部30を備える。
【0022】
より詳細には、搬送部30は、搬送ローラとしての排紙ローラ41と、排紙従動ローラ42と、第2排紙従動ローラ43と、搬送経路の一部であって、記録媒体Pを案内するものであって可動するガイド部材としての分岐爪45とを備える。なお、可動ガイド部材である分岐爪45は、櫛歯形状である(図5参照)。
【0023】
図1に示す位置に分岐爪45が位置する場合、すなわち片面プリントモードが選択されている場合、定着工程後の記録媒体Pは、分岐爪45によって排紙搬送路K2に案内されて、排紙ローラ41と排紙従動ローラ42とのニップ部に導かれて、双方のローラ41、42の回転に沿って、スタック部90へと排出される。片面プリントモードは、記録媒体Pの第1面のみに画像を形成するモードである。排紙搬送路K2は、第2搬送路であって、ガイド板によって搬送路が形成されている。
【0024】
一方、両面プリントモードが選択されている場合、定着工程後の記録媒体Pは、分岐爪45によって中継搬送路K3を経由してスイッチバック搬送路K4に案内される。両面プリントモードは、記録媒体Pの第1面と第2面とにそれぞれ画像を形成するモードである。中継搬送路K3は、第3搬送路であって、ガイド板によって搬送路が形成されている。スイッチバック搬送路K4は、第4搬送路であって、ガイド板によって搬送路が形成されている。なお、両面プリントモードの際の分岐爪45の位置は、後述する図3-1などで詳述する。記録媒体Pは、スイッチバック搬送路K4において、記録媒体Pの後端が排紙ローラ41と第2排紙従動ローラ43とのニップ部の近傍に達すると、すなわち記録媒体Pの後端が中継搬送路K3を通過すると、搬送方向を逆転され、両面搬送路K5に向けて搬送される。
【0025】
ここで、プリンタ1の画像形成動作について簡単に説明する。
【0026】
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、駆動モータによって図1中の時計回り方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程)。
【0027】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
【0028】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像部76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。
【0029】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0030】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程)。
【0031】
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
【0032】
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる、一連の作像プロセスが終了する。
【0033】
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、像担持体としての中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
【0034】
そして、中間転写ベルト78は、図1中の矢印方向Aに走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される(1次転写工程)。
【0035】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される(2次転写工程)。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0036】
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
【0037】
こうして、中間転写ベルト78上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
【0038】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、プリンタ1の本体1aの下方に配設された給紙部12から、第1搬送路K1を経由して搬送されたものである。
【0039】
詳しくは、給紙ローラ31が図1中の反時計回り方向に回転駆動されると、給紙ローラ31とフリクションパッド32との間に挟まれた一番上の記録媒体Pが、第1搬送路K1を形成するガイド板に案内されながら、レジストローラ対33、34のローラ間に向けて給送される。
【0040】
レジストローラ対33、34に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対33、34のローラニップ(ニップ部)に突き当てられて一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対33、34が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体Pは、位置が整合された後、2次転写ニップに向けてトナー像と用紙位置とが合致するタイミングで送り出される。
【0041】
こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が未定着トナー像として転写される。
【0042】
その後、2次転写ニップの位置で未定着トナー像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト21及び加圧ローラ22による熱と圧力とにより、表面に転写された未定着トナー像が記録媒体P上に定着される。
【0043】
そして、定着工程後の記録媒体Pは、分岐爪45によって排紙搬送路K2に案内されて、搬送ローラとしての排紙ローラ41と排紙従動ローラ42とのニップ部に導かれて、双方のローラ41、42の回転に沿って、スタック部90へと排出される。排紙ローラ41、排紙従動ローラ42によってスタック部90に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部90上に順次スタックされる。
【0044】
こうして、プリンタ1における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0045】
ここで、上述した給紙部12からスタック部90に至る記録媒体P(又は、プリンタ1)の動作は、片面プリントモードが選択されている場合のものである。
【0046】
ここで、図2は片面プリントモード時の分岐爪45の状態を示す図である。片面プリントモード時、又は、両面プリントモード時において両面へのプリントが終了した後の記録媒体Pをスタック部90に排出する時には、図2に示すように、排紙搬送路K2を開放して中継搬送路K3を閉鎖するように分岐爪45が支軸45aを中心にして反時計回り方向に回動した回動位置で停止することになる。また、このとき、排紙ローラ41は図2の時計回り方向に回転駆動されて、第1排紙従動ローラ42は排紙ローラ41との摩擦抵抗によって図2の反時計回り方向に従動回転することになる。排紙従動ローラ42は、付勢部材によって排紙ローラ41に圧接している。
【0047】
これに対して、両面プリントモードが選択されている場合には、以下のように記録媒体P(又は、プリンタ1)が動作することになる。
【0048】
ここで、図3-1~図3-3は両面プリントモード時の分岐爪45の状態を示す図である。
【0049】
給紙部12から給送された記録媒体Pが、第1搬送路K1、2次転写ニップを経由して定着部20に達するまでの工程は、片面プリントモード時のものと同様である。そして、定着工程後の第1面に画像が形成された状態の記録媒体Pは、図3-1に示すように、分岐爪45によって中継搬送路K3を経由してスイッチバック搬送路K4に案内される。このとき、図3-1に示すように、排紙搬送路K2を閉鎖して中継搬送路K3を開放するように分岐爪45が支軸45aを中心にして時計回り方向に回動した回動位置で停止することになる。また、このとき、排紙ローラ41は図3-1の反時計回り方向に回転駆動されて、第2排紙従動ローラ43は排紙ローラ41との摩擦抵抗によって図3-1の時計回り方向に従動回転することになる。第2排紙従動ローラ43は、付勢部材によって排紙ローラ41に圧接している。
【0050】
そして、図3-2に示すように、スイッチバック搬送路K4において、記録媒体Pの後端PEが排紙ローラ41と第2排紙従動ローラ43とのニップ部の近傍に達すると、すなわち記録媒体Pの後端PEが中継搬送路K3を通過すると、排紙ローラ41は回転駆動を停止させられる。
【0051】
その後、図3-3に示すように、記録媒体Pは、搬送方向を逆転させられ、両面搬送路K5に向けて記録媒体Pを搬送される。このとき、図3-3に示すように、中継搬送路K3を閉鎖して両面搬送路K5を開放するように分岐爪45が支軸45aを中心にして引張スプリング46(図4-1参照)に抗して反時計回り方向に回動した位置(図2の回動位置と同じ位置)に位置決めされて停止することになる。また、このとき、排紙ローラ41は図3-3の時計回り方向に回転駆動されて、第2排紙従動ローラ43は排紙ローラ41との摩擦抵抗によって図3-3の反時計回り方向に従動回転することになる。
【0052】
その後、図1に示すように、両面搬送路K5に導かれた記録媒体Pは、両面搬送路K5に設置された複数の搬送ローラ対によって搬送されて、2次転写ニップの位置に導かれる。そして、記録媒体Pは、この位置で、第1面への2次転写工程時と同じように、第2面への2次転写工程が行われて、その後に定着部20に向けて搬送されて、第2面への定着工程が行われる。
【0053】
そして、両面へのプリントが終了した定着工程後の記録媒体Pは、先に図2を用いて説明したように、排紙搬送路K2を経て排紙ローラ41と第1排紙従動ローラ42とのニップ部に導かれて、双方のローラ41、42の回転に沿ってスタック部90へと排出されて、スタック部90上に順次スタックされる。
【0054】
次に、分岐爪45の構造について詳述する。
【0055】
ここで、図4-1は片面プリントモード時の分岐爪45周辺の状態を示す断面図、図4-2は両面プリントモード時の分岐爪45周辺の状態を示す断面図、図5は片面プリントモード時の分岐爪45周辺の状態を示す斜視図である。
【0056】
分岐爪45は、ソレノイドやモータなどの駆動機構に接続される。分岐爪45は、駆動機構によって、図4-1に示す位置と図4-2に示す位置とに切り替えることが可能である。また、分岐爪45は、搬送方向に直交する方向の分岐爪45の一端部側に、設置部材として弾性部材である引張スプリング46を備えている。なお、分岐爪45は、分岐爪45の一端部側とは反対側の他端部側に、引張スプリング46を備えていてもよい。引張スプリング46は、搬送経路における搬送方向に交差する方向におけるガイド部材である分岐爪45の端部側と排紙搬送経路K2の下面をガイドする搬送ガイド板70の端部側に取り付けられる。分岐爪45は、引張スプリング46によって引っ張られることにより位置決め部に付勢され位置決めされる。なお、押しスプリングや押しバネで分岐爪45を付勢し、分岐爪45を位置決め部に付勢してもよい。
【0057】
両面プリントモード下において、第1面、及び第2面に画像が形成された記録媒体Pをスタック部90に排出する場合、分岐爪45は、図4-1に示す位置に位置させた状態で記録媒体Pを搬送し、排紙ローラ41および排紙従動ローラ42によって、スタック部90上に記録媒体Pを排出する。
【0058】
一方、第1面に画像が形成された記録媒体Pの第2面に画像を形成するため、記録媒体Pをスイッチバック搬送路K4に搬送する場合、分岐爪45は、図4-2に示す位置に位置させた状態で記録媒体Pを排紙ローラ41と第2排紙従動ローラ43とのニップ部に搬送する。その後、記録媒体Pの後端側が分岐爪45を超えたところで、排紙ローラ41と第2排紙従動ローラ43との回転方向を逆にし、また分岐爪45の位置を図4-1に示す位置に切替えることで記録媒体Pを両面搬送路K5へと搬送する。
【0059】
ところで、従来のプリンタにおいては、マシンの小型化などに伴う周辺部品のレイアウトの都合によって記録媒体の搬送経路の近傍に引張スプリングが位置することがある。従来のプリンタでは、搬送経路の途中で停止してしまった記録媒体を引き抜いてしまうような際に、搬送経路の近傍に設置した引張スプリングに記録媒体が当たってしまうことがあった。このような場合、記録媒体の当たり方によっては、引張スプリングや記録媒体が破損したり、または引張スプリングが外れたりするなどの障害を生じる場合があった。このように引張スプリングの記録媒体と当たってしまう部分の形状がのこぎり歯状または鰐口状のため、記録媒体が引張スプリングに食い込むことにより破損や障害が発生する。
【0060】
そこで、本実施の形態のプリンタ1においては、図5に示すように、分岐爪45の一端部側であって分岐爪45の動きを妨げない位置に、搬送経路を外れた記録媒体Pの当接からの保護が必要な被保護部材である引張スプリング46を保護するスプリング保護部材60を備える。スプリング保護部材60は、記録媒体Pの搬送を案内するガイド部材である搬送ガイド板70にネジ66によって取り付けられている。以下において、スプリング保護部材60について詳述する。
【0061】
スプリング保護部材60は、例えば、スタック部90付近の排紙搬送路K2やスイッチバック搬送路K4などの途中で停止してしまった記録媒体Pを引き抜いてしまうような際に、記録媒体Pが引張スプリング46に当接しないように、引張スプリング46を保護する。なお、スプリング保護部材60は、記録媒体Pの搬送経路に干渉しない位置に設けられている。
【0062】
ここで、図6はスプリング保護部材60を示す外観斜視図、図7はスプリング保護部材60付近の断面図、図8はジャム処理の際のスプリング保護部材60を示す斜視図である。
【0063】
図6に示すように、スプリング保護部材60は、遮蔽部64と、突起部61と、下流側遮蔽部62と、切欠き部63と、ネジ挿入部65と、を備える。
【0064】
台座であるネジ挿入部65は、搬送ガイド板70の所定位置に取り付けられる部位であって、平板形状である。ネジ挿入部65には、搬送ガイド板70に取り付けるためのネジ66を挿入するための孔が形成されている。ネジ挿入部65は、図5および図7に示すように、記録媒体Pを案内する搬送ガイド板70のガイド面70aよりも下方に位置する搬送ガイド板70の所定位置に対してネジ66により取り付けられる。
【0065】
遮蔽部64は、ネジ挿入部65から直角に立設する。遮蔽部64は、分岐爪45の可動域(可動空間)には干渉しない形状である。遮蔽部64は、立上り面64aと屈折面64bとからなり側面視で屈折部を有する略への字型に形成された板状部材である。遮蔽部64は、分岐爪45の端部に設けられ、搬送方向において引張スプリング46上流の少なくとも一部をカバーし覆う部材であって、記録媒体Pから引張スプリング46を遮蔽し、記録媒体Pの引張スプリング46に対する当接を防ぐ。
【0066】
図5および図7に示すように、遮蔽部64の立上り面64aと搬送ガイド板70のガイド面70aとは、ガイド面70aの端部において直交する方向に設けられ基端側のネジ挿入部65にネジ止めされている。なお、遮蔽部64は、搬送ガイド板70のガイド面70aに対して直交である必要はなく、下流側に立上り面64aを倒した交差する方向であってもよい。この遮蔽部64は、搬送ガイド板70のガイド面70aの搬送経路から外れた記録媒体Pが遮蔽部64の縁部の端面によって引張スプリング46に当接することを抑制し、引張スプリング46に破損、外れを生じさせることを抑制することができる。
【0067】
切欠き部63は、遮蔽部64の搬送経路側の一部を切り欠いた形状である。切欠き部63の一部は、被搬送物の記録媒体Pに接触可能な縁部の端面と、記録媒体Pの下面をガイドするガイド面70aから離間した突出形状の突起部61の突起面61aとからなっている。突起部61は、搬送経路側にある所謂庇形状の部材である。
【0068】
このように記録媒体Pが通過するためにスプリング保護部材60の遮蔽部64の一部を切り欠いた切欠き部63を設け、また突起部61を形成することで、スプリング保護部材60が記録媒体Pの搬送経路に干渉せず、耳折れやジャムなどを抑制することができる。
【0069】
突起部61は、スタック部90付近の排紙搬送路K2や中継搬送路K3、スイッチバック搬送路K4などの搬送途中で停止してしまった記録媒体Pを例えばスタック部90側に引き抜いてしまうような際に、記録媒体Pの端部と接触させて引っ掛ける部材である。すなわち、突起部61は、搬送経路を外れた記録媒体Pが遮蔽部64を乗り越えることを規制する。突起部61の突起面61aの突出角度は、切欠き部63において90°未満の鋭角を形成するものであることが望ましい。突起面61aの突出角度が鋭角であれば、搬送経路を外れた記録媒体Pを確実に引っ掛けることができる。なお、突起面61aの突出は、記録媒体Pが搬送経路から逸脱することを規制することが可能であれば、半球面状であってもよい。
【0070】
例えばジャム状態の記録媒体Pを引張スプリング46の方向に動かしながら引き抜いてしまうような際に、記録媒体Pが遮蔽部64を乗り越えてしまうような事態を、図8に示すように、突起部61は、記録媒体Pの端部を引っ掛けることで、記録媒体Pがスイッチバック搬送路K4などから逸脱することを規制することによって、回避している。
【0071】
また、突起部61は、分岐爪45により切り替えられる搬送経路(排紙搬送路K2、中継搬送路K3、スイッチバック搬送路K4)に対して離間した位置に設けられている。これにより、ジャム状態の記録媒体Pを引張スプリング46の方向に動かしながら引き抜いてしまうような際に、記録媒体Pが遮蔽部64に当接するより前に突起部61を乗り越えてしまうような事態を回避することができる。
【0072】
下流側遮蔽部62は、立上り面62aと屈折面62bとからなり側面視で屈折部を有する略への字型に形成された板状部材である。なお、下流側遮蔽部62は、遮蔽部64とは逆方向に屈折する。下流側遮蔽部62は、分岐爪45の可動域(可動空間)には干渉しない形状である。下流側遮蔽部62は、突起部61を有した遮蔽部64に対して、排紙搬送路K2のときの記録媒体Pの搬送方向下流側に設けられている。下流側遮蔽部62は、搬送方向において引張スプリング46の下流の少なくとも一部をカバーし覆う部材であって、記録媒体Pから引張スプリング46を遮蔽し、記録媒体Pの引張スプリング46に対する当接を防ぐ。すなわち、下流側遮蔽部62は、記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられている遮蔽部64とともに、引張スプリング46をその動作範囲を確保しつつ非接触でカバーする。遮蔽部64と下流側遮蔽部62とは、記録媒体Pの搬送方向の上流側と下流側とに配置され、搬送方向において、上流側の遮蔽部64と引張スプリング46とは間隙があり、下流側の下流側遮蔽部62と引張スプリング46とも間隙がある。
【0073】
下流側遮蔽部62の立上り面62aと搬送ガイド板70のガイド面70aとは、ガイド面70aの端部において直交する方向に設けられ基端側のネジ挿入部65にネジ止めされている。なお、下流側遮蔽部62は、搬送ガイド板70のガイド面70aに対して直交である必要はなく、下流側に立上り面62aを倒した交差する方向であってもよい。このように引張スプリング46を間隙をもって搬送方向の上流の遮蔽部64と搬送方向の下流の下流側遮蔽部62とでカバーすることで、搬送経路の途中で停止してしまった記録媒体Pを引き抜いてしまうような際などにおいて、引張スプリング46に記録媒体Pが当たってしまうことによる引張スプリング46の破損や引張スプリング46の外れを生じさせてしまう動きを更に規制している。
【0074】
なお、切欠き部63の切欠きのクリアランスは、記録媒体Pの高速搬送/低速搬送に切り替えが可能な場合、高速搬送モードときの方が重要となる。給紙カセット12aに記録媒体Pをセットする際の位置ずれや、高速搬送中の記録媒体Pのスキューなどで、記録媒体Pが狙いの搬送位置から大きくずれてしまうことがある。このようにずれが生じた記録媒体Pが切欠き部63に当接してしまうと、記録媒体Pの端部の耳折れが生じやすくなる。また、記録媒体Pは、切欠き部63や突起部61の当接の仕方によっても用紙ジャムになってしまう。切欠き部63や突起部61を有するスプリング保護部材60は重要な部材となる。
【0075】
このように本実施の形態によれば、搬送される記録媒体Pから設置部材である引張スプリング46を遮蔽する遮蔽部64に搬送経路側に張り出す突起部61を設けることにより、駆動機構や開閉カバーに連動して動作するようなギヤなどの複雑な機構を必要とせず、搬送経路の途中で停止してしまった被搬送物(記録媒体P)を引き抜いてしまうような際などにおいて搬送経路を外れた被搬送物(記録媒体P)の動きを規制することで、搬送経路における搬送方向に交差する方向のガイド部材(分岐爪45)の端部に設けられる引張スプリング46を保護し、設置部材や被搬送物の破損や障害を防ぐことができる。
【0076】
ここで、図9はスプリング保護部材60の変形例を示す外観斜視図、図10図9に示すスプリング保護部材60が取り付けられた分岐爪45周辺の状態を示す斜視図である。排紙搬送路K2やスイッチバック搬送路K4などの搬送経路に対して、スプリング保護部材60の遮蔽部64の位置に十分に余裕がある場合には、図6に示す遮蔽部64の一部を台座であるネジ挿入部65よりも切り欠いた凹状の切欠き部63と突起部61を設けたものに替えて、図9および図10に示すように台座において搬送経路側(分岐爪45の他端部側)の台座と直角な面(台座に対して垂直な面)に突起部61を設けてもよい。このようにすることで突起部61を排紙搬送路K2の搬送方向上流側にずらすことができ、遮蔽部64と下流側遮蔽部62との間隔が広がる。そのため図7に示される引張スプリング46と分岐爪45との取り付け角や位置を変更でき分岐爪45の安定的な回転移動が行える。
【0077】
また、本実施の形態においては、排紙反転の分岐爪45に設けられた引張スプリング46を設置部材(被保護部材)として説明したが、これに限るものではない。例えば、ガイド部材である搬送ガイド板70の端部側に設けられて分岐爪45の位置を検知するセンサなどを設置部材(被保護部材)としてもよい。
【0078】
また、本実施の形態においては、シート状の被搬送物を転写紙等である記録媒体Pとしたが、これに限るものではない。例えば、シート状の被搬送物としては、紙、コート紙、厚紙、OHP、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等であってもよい。
【0079】
また、本実施の形態においては、スプリング保護部材60を記録媒体Pの搬送を案内する搬送ガイド板70とは別部材として説明をしたが、これに限るものではない。例えば、搬送ガイド板70に遮蔽部64や突起部61を一体に設けることでも、本実施の形態と同様の効果が発揮される。
【0080】
また、本実施の形態においては、排紙反転の分岐爪45に設けられた引張スプリング46を設置部材(被保護部材)として、保護部材であるスプリング保護部材60について説明したが、これに限るものではない。例えば、搬送装置における搬送ガイド板や搬送ローラ等のガイド部材の近傍における長手形状または長手方向に並ぶスプリングやセンサや除帯電部材の設置部材(被保護部材)に対する保護部材としても有効である。
【0081】
なお、本実施の形態では、本発明の画像形成装置を、タンデム型カラープリンタであるプリンタ1に適用した例を挙げて説明するが、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 画像形成装置
45 ガイド部材
46 設置部材
61 突起部
61a 突起面
63 切欠き部
64 遮蔽部
70 ガイド部材
100 画像形成部
200 搬送装置
P 被搬送物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【文献】特開2010-214864号公報
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10