(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】装飾部材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20220906BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20220906BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220906BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B9/00 A
G02B5/18
A44C27/00
(21)【出願番号】P 2020543761
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2019004234
(87)【国際公開番号】W WO2019199036
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0041562
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0103927
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ピルソン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン スク
(72)【発明者】
【氏名】ハン、サンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ナンスラ
(72)【発明者】
【氏名】ション、ジョン ウー
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-201104(JP,A)
【文献】特開2011-186414(JP,A)
【文献】特開2010-188713(JP,A)
【文献】特表2001-503879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一面に備えられ、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層と、
前記パターン層上に備えられた無機物層と、を含み、
前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されており、
前記凸状構造体または前記凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1、及び、第2平面で切断した断面Z2、のそれぞれが非対称構造であり、
前記第1平面は、前記第1軸方向に平行な直線を含み、前記第2平面は、前記第2軸方向に平行な直線を含み、
前記第1平面および前記第2平面は、前記基材の一面の法線のうち、前記凸状構造体の最高点または前記凹状構造体の最低点を通る直線を含
み、
下記式1で表される第1方向の色差(△E
1
)および下記式2で表される第2方向の色差(△E
2
)がそれぞれ1を超える、装飾部材。
【数12】
(前記式1および式2中、
前記第1方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に平行な直線上の2つの点で測定した
【数13】
の関係式であり、
前記第2方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に垂直な直線上の2つの点で測定した
【数14】
の関係式である。)
【請求項2】
前記二次元的に配列された構造体は、前記第1軸方向、および前記第1軸と時計回り方向に30度以上150度以下の角度を成す前記第2軸方向に配列されている、請求項1に記載の装飾部材。
【請求項3】
前記凸状構造体または前記凹状構造体の個数は、前記パターン層の表面の単位面積当たりに1個/mm
2~1,000,000個/mm
2である、請求項1または2に記載の装飾部材。
【請求項4】
前記非対称構造の断面は、少なくとも1つの断面が、傾斜角が異なるか、屈曲度が異なるか、辺の形態が異なる2以上の辺を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項5】
前記非対称構造の断面は、傾斜角が互いに異なる第1傾斜辺および第2傾斜辺を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項6】
前記非対称構造の断面の縁は、直線、曲線、またはこれらの組み合わせである、請求項1から5のいずれか1項の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項7】
前記第1傾斜辺と前記第2傾斜辺が成す角度が80度~100度の範囲内である、請求項5に記載の装飾部材。
【請求項8】
前記第1傾斜辺と前記第2傾斜辺の傾斜角の差が30度~70度の範囲内である、請求項5に記載の装飾部材。
【請求項9】
前記二次元的に配列された凸状構造体または前記凹状構造体の間に平坦部をさらに含む、請求項1から8の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項10】
前記凸状構造体または前記凹状構造体の前記第1軸および前記第2軸を含む平面で切断した断面が、正方形、長方形、または多角形の形態である、請求項1から9の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項11】
前記パターン層は、前記凸状構造体または前記凹状構造体が形成された面の反対面に平坦部を有する、請求項1から10の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項12】
前記パターン層は、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項13】
前記パターン層の内部または少なくとも一面に有色染料をさらに含む、請求項1から12の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項14】
前記無機物層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)、および銀(Ag)から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物;その窒化物;その酸窒化物;炭素および炭素複合体のうち1種または2種以上の材料を含む単一層または多層である、請求項1から13の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項15】
前記無機物層は、前記パターン層上に順に備えられた光吸収層および光反射層を含むか、前記パターン層上に順に備えられた光反射層および光吸収層を含む、請求項1から14の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項16】
前記パターン層と前記無機物層との間、前記パターン層の前記無機物層に対向する面の反対面、または前記無機物層の前記パターン層に対向する面の反対面に備えられたカラーフィルムをさらに含む、請求項1から15の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項17】
前記パターン層と前記無機物層との間、前記光吸収層と前記光反射層との間、前記パターン層の前記無機物層に対向する面の反対面、または前記無機物層の前記パターン層に対向する面の反対面に備えられたカラーフィルムをさらに含む、請求項15に記載の装飾部材。
【請求項18】
前記装飾部材のシート抵抗が20オーム/スクウェア以上である、請求項1から1
7の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項19】
前記装飾部材のシート抵抗が1ギガオーム/スクウェア以上である、請求項1から1
8の何れか一項に記載の装飾部材。
【請求項20】
基材を準備するステップと、
前記基材の一面に、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を形成するステップと、
前記パターン層上に無機物層を形成するステップと、を含み、
前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されている、請求項1から
19の何れか一項に記載の装飾部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月10日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10‐2018‐0041562号および2018年8月31日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10‐2018‐0103927号の出願日の利益を主張し、そのすべての内容は本明細書に組み込まれる。
本出願は、装飾部材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品容器、種々のモバイル機器、家電製品は、製品の機能以外にも、製品のデザイン、例えば、色相、形態、パターンなどが、顧客の製品の価値付与において大きい役割をしている。デザインによって、製品の選好度および価格も左右されている。
【0003】
一例として、化粧品コンパクト容器の場合、様々な色相と色感を様々な方法により実現して製品に適用している。ケース素材自体に色を付与する方式や、色と模様を実現した装飾フィルムをケース素材に付着してデザインを付与する方式が用いられている。
【0004】
従来の装飾フィルムにおいて、色相の発現は、印刷、蒸着などの方法により実現しようとしていた。異種の色相を単一面に表現する場合には、2回以上印刷しなければならず、立体パターンに多様な色を加えようとする場合は、現実的に実現が困難であった。また、従来の装飾フィルムは、見る角度によって色相が固定されており、やや変化があるとしても、色感差の程度に限定されていた。
[先行文献]
[特許文献1]韓国特許出願公開第10-2010-0135837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、装飾部材およびその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、基材と、前記基材の一面に備えられ、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層と、前記パターン層上に備えられた無機物層と、を含み、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されている、装飾部材を提供する。
【0007】
本明細書は、基材を準備するステップと、前記基材の一面に、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を形成するステップと、前記パターン層上に無機物層を形成するステップと、を含み、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されている、上述の装飾部材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書の一実施態様に係る装飾部材は、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を含むことで、2以上の方向で異色性を示すことができる。
【0009】
本出願は、見る方向によって異なる色を呈する異色性を有し、前記異色性が発現される方向の数および発現される程度が調節可能な装飾部材、および装飾部材の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。
【
図3】本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。
【
図4】本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。
【
図5】第1軸方向および第2軸方向を決定する方法を示した図である。
【
図6】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図7】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図8】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図9】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図10】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図11】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図12】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図13】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図14】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図15】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図16】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図17】光吸収層と光反射層を区分する方法を示した図である。
【
図18】光吸収層と光反射層により色が発現される原理を説明した図である。
【
図19】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図20】本明細書の一実施態様に係る装飾部材を示した図である。
【
図21】比較例1の一次元非対称パターンを示した図である。
【
図22】実施例1の二次元非対称パターンを示した図である。
【
図23】実施例1の二次元非対称パターンを示した図である。
【
図24】実施例1の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図25】実施例2の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図26】実施例3の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図27】実施例4の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図28】実施例5の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図29】実施例6の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図30】実施例7の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図31】実施例8の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図32】実施例9の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図33】実施例10の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図34】実施例11の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図35】実施例12の二次元非対称パターンを示した図である。
【
図36】実施例12の二次元非対称パターンを示した図である。
【
図37】実施例12の装飾部材の、見る方向による明るさの変化を観察した図である。
【
図38】実施例の第1方向および第2方向を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で、本明細書について詳細に説明する。
本明細書において、「または」とは、他に定義しない限り、挙げられたものなどを選択的にまたは全て含む場合、すなわち、「および/または」の意味を表す。
【0012】
本明細書において、「層」とは、該当層が存在する面積を70%以上覆っているものを意味する。好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上覆っているものを意味する。
【0013】
本明細書において、「断面」とは、前記凸状構造体または前記凹状構造体を、何れか一方向に切断した時の面を意味する。例えば、断面とは、前記装飾部材を地面上においたときに、前記地面に平行な方向または地面に垂直な方向に、前記凸状構造体または凹状構造体を切断した時の面を意味し得る。
【0014】
本明細書において、前記「二次元的に配列された構造体」は、「二次元的に配列された凸状構造体」または「二次元的に配列された凹状構造体」を意味し得る。
【0015】
本明細書において、「凸状構造体」とは、周辺の他の部分に比べて凸となっている形態を有する構造体を意味し、その形態は、特に限定しない限り制限されない。
【0016】
本明細書において、「凹状構造体」とは、周辺の他の部分に比べて凹となっている形態を有する構造体を意味し、その形態は、特に限定しない限り制限されない。
【0017】
本明細書において、「凸部」は、凸状構造体の何れか一方向への断面を意味し、「凹部」は、「凹状構造体」の何れか一方向への断面を意味する。
【0018】
本明細書において、「非対称構造の断面」とは、断面の縁で構成された図形が、線対称性または点対称性を有しない構造であることを意味する。線対称性とは、ある図形を、一直線を中心に対称させたときに重なり合う特性を有することを意味する。点対称性とは、ある図形を、一点を基準として180度回転したときに、本来の図形に完全に重なり合う対称性を有することを意味する。ここで、前記非対称構造の断面の縁は、直線、曲線、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
上記のように、パターン層に含まれる凸状構造体または凹状構造体により、前記装飾部材が異色性を発現することができる。異色性とは、見る角度によって異なる色相が観測されることを意味する。色の表現は、CIE L*a*b*で表現可能であり、色差は、L*a*b*空間での距離(△E
*ab)を利用して定義されることができる。具体的に、色差は
【数1】
であり、0<△E
*ab<1の範囲内では、観察者が色差を認識することができない[参考文献:Machine Graphics and Vision 20(4):383-411]。したがって、本明細書では、異色性を△E
*ab>1と定義することができる。
【0020】
本明細書において、ある層の「厚さ」とは、該当層の下面から上面までの最短距離を意味する。
本明細書において、前記「第1方向」と「第2方向」の「方向」は、前記構造体の断面が有する第1傾斜辺および第2傾斜面のうち傾斜角が小さい傾斜辺から傾斜角が大きい傾斜角への方向を意味し得る。
【0021】
図1~
図4は、本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。
図1には、基材100、パターン層200、および無機物層300が順に備えられた装飾部材の積層構造を示した。
【0022】
図4は、本明細書の一実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示した図である。無機物層300が光吸収層301および光反射層302を含む場合の装飾部材の積層構造を例示した。
前記
図1~
図4において、図面符号400は、保護層を意味し得る。
【0023】
本明細書は、基材と、前記基材の一面に備えられ、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層と、前記パターン層上に備えられた無機物層と、を含み、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されている、装飾部材を提供する。前記装飾部材は、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を備えることで、装飾部材の異色性が多様な方向で発現されることができる効果を奏する。一方、各構造体が配列される方向を特定の角度範囲に調節することで、異色性が発現される方向を所望の範囲に調節することができる効果を奏する。
【0024】
本明細書の一実施態様において、前記装飾部材は、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を含む。構造体が二次元的に配列されているということは、構造体が並べられる方向が、互いに異なる2つの方向であることを意味する。例えば、
図5のように、任意の凸状構造体の最高点または凹状構造体の最低点(C0)と、前記任意の凸状構造体または凹状構造体に隣接した他の凸状構造体の最高点または凹状構造体の最低点(C1)とを結ぶ線分を第1軸とし、前記任意の凸状構造体または凹状構造体に隣接し、前記第1軸上に存在しない他の凸状構造体の最高点または凹状構造体の最低点(C2)とを結ぶ線分を第2軸としたときに、前記第1軸方向および第2軸方向の2つの方向に配列されていることを意味する。
【0025】
本明細書の一実施態様において、前記装飾部材は、前記構造体上に備えられた無機物層を含む。前記無機物層は、単層、または2以上の材料が異なる多層構造であることができる。また、前記無機物層はパターン層の凸状構造体上に備えられるため、凸部構造体の種々の形態によって無機物層の形状が決定されることができる。前記無機物層については後述する。
【0026】
本明細書の一実施態様において、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列される。
【0027】
本明細書において、前記「第1軸方向」は、前記第1軸が成す直線の方向を意味し、前記「第2軸方向」は、前記第2軸が成す直線の方向を意味する。
【0028】
本明細書において、前記「第1軸方向」および「第2軸方向」は、前記構造体の断面のうち、2以上の同一の断面が現れる何れか一方向を意味し得る。例えば、
図5の凸状構造体または凹状構造体の最高点(C一)を結ぶ線分である第1軸に平行な方向を第1軸方向とし、第2軸に平行な方向を第2軸方向とすることができる。
【0029】
例えば、
図5を参照して説明すると、
図5の装飾部材のパターン層の凸状構造体のうち、任意の凸状構造体の最高点(C0)と最も隣接した凸状構造体の最高点(C1)とを結ぶ直線を第1軸という。また、前記任意の凸状構造体の最高点(C0)のさらに他の隣接した凸状構造体の最高点(C2)を結ぶ線分を第2軸という。
【0030】
本明細書の一実施態様において、凸状構造体の「最高点」とは、凸状構造体の最も凸となっている部分を意味するものであって、前記無機物層と最も近い凸状構造体のある点を意味し得る。凸状構造体の最も凸となっている部分が尖っている場合、この点を最高点といえる。また、前記凸状構造体の最高点が2つ以上である場合、具体的に、前記凸状構造体の最も高い部分が平面である場合、平面の中心点を最高点といえる。例えば、凸状構造体が、円錐が切り取られた形状である場合、凸状構造体の最高点は平面状の円を成すが、前記円の中心点を、前記凸状構造体の最高点といえる。
【0031】
本明細書の一実施態様において、前記第1軸方向と第2軸方向が時計回り方向に成す角度は、前記第1軸と第2軸が成す仮想の平面において、前記第1軸と第2軸が時計回り方向に成す角度を測定して計算することができる。
【0032】
本明細書の一実施態様において、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸と時計回り方向に30度以上150度以下の角度を成す第2軸方向に配列されていることができる。
【0033】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体の個数は、パターン層の表面の単位面積当たりに1個/mm2~1,000,000個/mm2、好ましくは1個/μm2~500,000個/μm2、より好ましくは1個/μm2~250,000個/μm2であることができる。前記数値範囲を満たす場合、パターン層に含まれる凸状および凹状構造体の個数が調節され、異色性がさらに大きく発現される効果がある。この際、分母のmm2は、前記パターン層の表面の単位面積である1mm2を意味する。
【0034】
前記パターン層の表面の面積は、前記構造体を含むパターン層の全体面積であり、前記構造体の個数は、該当面積内における構造体の個数を意味する。構造体の個数は、凸状構造体の最高点または凹状構造体の最低点の個数を数えて算出することができる。
【0035】
本明細書の一実施態様において、前記装飾部材は、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2と、の何れか1つ以上が非対称構造である装飾部材であって、前記第1平面は、前記第1軸方向に平行な直線を含み、前記第2平面は、前記第2軸方向に平行な直線を含み、前記第1平面および前記第2平面は、前記基材の一面の法線のうち、前記凸状構造体の最高点または前記凹状構造体の最低点を通る直線を含む。
【0036】
この場合、構造体の何れか1つ以上の方向で現れる断面が非対称構造の断面であるため、装飾部材が特定の方向で異色性を示すことができる。例えば、前記第1平面で切断した断面Z1が非対称構造の断面である場合、第1軸方向で装飾部材が異色性を示すことができ、前記第2平面で切断した断面Z2が非対称構造の断面である場合、第2軸方向で装飾部材が異色性を示すことができる。
【0037】
また、上述のように、第1軸方向と第2軸方向が成す角度を調節することで、装飾部材が示す異色性の方向を調節することができる利点がある。
【0038】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2は、非対称構造の断面である。この場合、第1軸方向および第2軸方向の両方向で装飾部材が異色性を示すことができる効果がある。
【0039】
本明細書の一実施態様において、前記第1平面および前記第2平面は、それぞれについての上述の説明を満たす仮想の平面であることができる。
【0040】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2は、互いに同一でも異なってもよく、それぞれ非対称構造の断面を有する凸部形状または凹部形状である。
【0041】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2は、互いに同一でも異なってもよく、それぞれ不等辺三角形であることができる。不等辺三角形とは、3つの辺の長さがそれぞれ異なる三角形を意味する。
【0042】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2は、互いに異なってもよい。例えば、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1が、両傾斜角がそれぞれ20度および70度の三角形であり、第2平面で切断した断面Z2が、両傾斜角が10度および80度の三角形であることができる。
【0043】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体の間に、平坦部をさらに含むことができる。前記平坦部は、凸状構造体または凹状構造体が備えられていない領域を意味し、前記凹状構造体は、上述の凸状構造体が反転された形状であることを除き、前記凸状構造体についての説明が適用可能である。
【0044】
本明細書の一実施態様において、前記非対称構造の断面を有する凸部または凹部形状は、少なくとも1つの断面が、傾斜角が異なるか、屈曲度が異なるか、辺の形態が異なる2以上の辺を含む。例えば、少なくとも1つの断面を構成する辺のうち2つの辺が、互いに傾斜角が異なるか、屈曲度が異なるか、辺の形態が異なる場合に、前記凸部または凹部が非対称構造を有することになる。
【0045】
本明細書において、他に言及しない限り、「辺」は直線であってもよいが、これに限定されず、全部または一部が曲線であってもよい。例えば、辺は、円や楕円の弧の一部、波構造、ジグザグなどの構造を含み得る。
【0046】
本明細書において、前記辺が円や楕円の弧の一部を含む場合、その円や楕円は、曲率半径を有することができる。前記曲率半径は、曲線の極めて短い区間を円弧に換算したときに、円弧の半径と定義されることができる。
【0047】
本明細書において、他に言及しない限り、「傾斜辺」は、前記装飾部材を地面においたときに、地面に対して辺が成す角度が0度超過90度以下である辺を意味する。この際、辺が直線である場合は、直線と地面が成す角度を測定することができる。辺に曲線が含まれている場合は、前記装飾部材を地面においたときに、前記辺のうち地面と最も近い点と、前記面のうち地面から最も遠い点とを最短距離で連結した直線が地面と成す角度を測定することができる。
【0048】
本明細書において、他に言及しない限り、「傾斜面」は、前記装飾部材を地面においたときに、地面に対して面が成す角度が0度超過90度以下である面を意味する。この際、面が平面である場合は、平面と地面が成す角度を測定することができる。面に曲面が含まれている場合は、前記装飾部材を地面においたときに、前記面のうち地面と最も近い点と、前記面のうち地面から最も遠い点とを最短距離で連結した直線が地面と成す角度を測定することができる。
【0049】
本明細書において、他に言及しない限り、「傾斜角」とは、前記装飾部材を地面においたときに、前記パターン層を構成する面または辺が地面と成す角度であって、0度超過90度以下である。または、パターン層を構成する面または辺が地面に接する点(a´)と、パターン層を構成する面または辺が地面から最も遠く離れた点(b´)とを互いに連結したときに生じる線分(a´-b´)と地面が成す角度を意味し得る。
【0050】
本明細書において、他に言及しない限り、「屈曲度」とは、辺または面の連続した点での接線の勾配の変化程度を意味する。辺または面の連続した点での接線の勾配の変化が大きいほど、屈曲度が大きい。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記非対称構造の断面は、傾斜角が互いに異なる第1傾斜辺および第2傾斜辺を含む。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記非対称構造の断面の縁は、直線、曲線、またはこれらの組み合わせである。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記第1傾斜辺および前記第2傾斜辺は、直線、曲線、またはこれらの組み合わせである。
【0054】
図6は、第1傾斜辺および第2傾斜辺の形態が直線状であるものを示した図である。各凸部形状は、第1傾斜辺を含む第1領域D1と、第2傾斜辺を含む第2領域D2と、を含む。前記第1傾斜辺および第2傾斜辺は直線状である。第1傾斜辺と第2傾斜辺が成す角度c3は、75度~105度であることができる。第1傾斜辺と地面(基材)が成す角度c1と、第2傾斜辺と地面が成す角度c2は異なる。例えば、c1およびc2の組み合わせは、20度/80度、10度/70度、または30度/70度であることができる。
【0055】
図7は、第1傾斜辺または第2傾斜辺の形態が曲線状であるものを示した図である。各凸部形状は、第1傾斜辺を含む第1領域E1と、第2傾斜辺を含む第2領域E2と、を含む。例えば、第1傾斜辺と第2傾斜辺の両方が曲線状であってもよく、第1傾斜辺は直線状であり、第2傾斜辺は曲線状であってもよい。第1傾斜辺は直線状であり、第2傾斜辺は曲線状である場合、角度c1が角度c2より大きいことができる。
図7は、第1傾斜辺が直線状であり、第2傾斜辺が曲線状であるものを示した図である。曲線状を有する傾斜辺が地面と成す角度は、傾斜辺と地面が当接する点から、第1傾斜辺と第2傾斜辺が接する点まで任意の直線を引いたときに、その直線と地面が成す角度から計算されることができる。曲線状の第2傾斜辺は、パターン層の高さによって屈曲度が異なり、曲線が曲率半径を有することができる。前記曲率半径は、凸部形状のピッチ(E1+E2)の10倍以下であることができる。
図7の(a)は、曲線の曲率半径が凸部形状のピッチの2倍であることを示したものであり、
図7の(b)は、曲線の曲率半径が凸部形状のピッチの1倍であることを示したものである。凸部のピッチ(E1+E2)に対する、曲率のある部分(E2)の割合は、90%以下であることができる。
図7の(a)および(b)は、前記凸部のピッチ(E1+E2)に対する、曲率のある部分(E2)の割合が60%であることを示した図である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記非対称構造の断面は、三角形または四角形の多角形の形態であることができる。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記凸部形状P1は、三角形であるか、または三角形の先端部(尖っている部分または頂点部分)に小さい凹部P3をさらに含む形状を有することができる。
図8は、前記凹部P3を含む凸部形状P1が配列されていることを例示的に示した図である。前記凸部形状の先端部(尖っている部分)に、前記凸部に比べて小さい高さの凹部P3をさらに含む形状を有することができる。このような装飾部材は、画像の色が、見る角度によって繊細に変わる効果を奏することができる。
【0058】
図9は、前記凸部形状が四角形の形態であるものを示した図である。前記四角形の形態は、一般的な四角形の形態であることができ、各傾斜辺の傾斜角が互いに異なるものであれば、特に制限されない。前記四角形の形態は、三角形の一部を切断して残った形態であることができる。例えば、一対の対辺が平行な四角形である台形、または互いに平行な対辺の対が存在しない四角形の形態であることができる。凸部形状は、第1傾斜辺を含む第1領域F1と、第2傾斜辺を含む第2領域F2と、第3傾斜辺を含む第3領域F3と、を含む。第3傾斜辺は、地面に平行であってもよく、平行ではなくてもよい。例えば、四角形の形態が台形である場合、第3傾斜辺は地面に平行である。第1傾斜辺~第3傾斜辺の何れか1つ以上は曲線状であることができ、曲線状についての内容は第5実施例で説明したとおりである。F1+F2+F3を全て合わせた長さが、凸部形状のピッチと定義されることができ、ピッチについての内容は上述のとおりである。
【0059】
図10は、凸部形状を決定する方法を示した図である。凸部形状は、ABO1三角形状の特定領域を除去した形態であることができる。前記除去される特定領域を決定する方法は、下記のとおりである。傾斜角c1およびc2についての内容は上述のとおりである。
【0060】
1)AO1線分をL1:L2の割合で分ける、AO1線分上の任意の点P1を設定する。
2)BO1線分をm1:m2の割合で分ける、BO1線分上の任意の点P2を設定する。
3)AB線分をn1:n2の割合で分ける、AB線分上の任意の点O2を設定する。
4)O2O1線分をo1:o2の割合で分ける、O1O2線分上の任意の点P3を設定する。
【0061】
この際、L1:L2、m1:m2、n1:n2、およびo1:o2の割合は、互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、1:1000~1000:1であることができる。
5)P1O1P2P3多角形が成す領域を除去する。
6)ABP2P3P1多角形が成す形状を凸部の断面とする。
【0062】
前記凸部形状は、L1:L2、m1:m2、n1:n2、およびo1:o2の割合を調節することで、種々の形態に変形可能である。例えば、前記L1およびm1が大きくなる場合、パターンの高さが高くなり、前記o1が大きくなる場合は、凸部上に形成される凹部の高さが小さくなり、n1の割合を調節することで、凸部に形成される凹部の最低点の位置を、凸部の傾斜辺の何れか一方に近いように調節することができる。
【0063】
前記L1:L2、m1:m2、およびo1:o2の割合が全て同一である場合、断面の形状が台形である形態となることができる(
図11)。台形の高さha、hbは、前記L1:L2の割合を調節することで変わり得る。例えば、
図11の(a)は、前記L1:L2の割合が1:1であり、
図11の(b)は、前記L1:L2の割合が2:1である際に製造される凸部形状を示した図である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記第1傾斜辺と第2傾斜辺が成す角度は、80度~100度の範囲内であることができる。具体的に、80度以上、83度以上、86度以上、または89度以上であり、100度以下、97度以下、94度以下、または91度以下であることができる。前記角度は、第1傾斜辺と第2傾斜辺からなる頂点の角度を意味し得る。前記第1傾斜辺と第2傾斜辺が互いに頂点を成さない場合、前記第1傾斜辺と第2傾斜辺を仮想で延ばして頂点を成すようにした状態の頂点の角度を意味し得る。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記第1傾斜辺と第2傾斜辺の傾斜角の差は、30度~70度の範囲内であることができる。前記第1傾斜辺の傾斜角a2と第2傾斜辺の傾斜角a3の差は、例えば、30度以上、35度以上、40度以上、または45度以上であり、70度以下、65度以下、60度以下、または55度以下であることができる。第1傾斜辺と第2傾斜辺の傾斜角の差が前記範囲内である場合、方向による色表現の実現の点から有利である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体の前記第1軸および前記第2軸を含む平面で切断した断面Z3が、正方形、長方形、または多角形の形態であることができる。例えば、前記第1軸と第2軸が成す角度が90度であり、前記第1軸方向に配列された凸状構造体の最高点の間の間隔d1と、前記第2軸方向に配列された凸状構造体の最高点の間の間隔d2が同一である場合、前記凸状構造体の前記第1軸および第2軸が成す平面での断面は、正方形であることができる。
【0067】
本明細書の一実施態様において、前記第1方向および第2方向の何れか一方向に高さが互いに異なる2以上の凸状構造体を含むことができる。
図12は、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1、または第2平面で切断した断面Z2をそれぞれ並べた形態を示した図である。
【0068】
図12において、前記凸状構造体または凹状構造体を第1平面で切断した断面Z1と、第2平面で切断した断面Z2には、凸部形状P1の間に、前記凸部形状に比べて高さが小さい第2凸部形状が配列されていることが示されている。これは、前記凸状構造体の間に、前記凸状構造体に比べて高さが小さい第2凸状構造体が配列されたものであることができる。
【0069】
以下、第2凸状構造体の前に説明された凸状構造体を第1凸状構造体と称し、第2凸部形状の前に説明された凸部を第1凸部形状と称することができる。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記第2凸部形状P2の高さH2は、前記第1凸部形状P1の高さH1の1/5~1/4の範囲を有することができる。例えば、前記第1凸部形状と第2凸部形状の高さの差(H1-H2)は、10μm~30μmであることができる。第2凸部形状の幅W2は、1μm~10μmであることができる。前記第2凸部形状の幅W2は、具体的に、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、または4.5μm以上であり、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、または5.5μm以下であることができる。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記第2凸部形状は、傾斜角が互いに異なる2つの傾斜面S3、S4を有することができる。前記第2凸部形状の前記2つの傾斜面が成す角度a4は、20度~100度であることができる。前記角度a4は、具体的に、20度以上、30度以上、40度以上、50度以上、60度以上、70度以上、80度以上、または85度以上であり、100度以下または95度以下であることができる。前記第2凸部の両傾斜面の傾斜角の差(a6-a5)は、0度~60度であることができる。前記傾斜角の差(a6-a5)は、0度以上、10度以上、20度以上、30度以上、40度以上、または45度以上であり、60度以下または55度以下であることができる。前記第2凸部形状の寸法が前記範囲内である場合、傾斜面の角度が大きい点から、光の流入を増加させ、明るい色相を形成することができるという点から有利である。
【0072】
本明細書において、凸部形状P1の傾斜角a2、a3は、凸部形状P1の傾斜面S1、S2とパターン層の水平面が成す角度を意味し得る。本明細書において特に言及しない限り、図面上において、第1傾斜面は、凸部形状の左側傾斜面と定義することができ、第2傾斜面は、凸部形状の右側傾斜面を意味し得る。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記凸部形状P1は、断面が多角形であり、一方向に延びる柱状を有することができる。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記凹部P3の高さH3は、3μm~15μmであることができる。前記凹部P3の高さH3は、具体的に、3μm以上であり、15μm以下、10μm以下、5μm以下であることができる。前記凹部は、傾斜角が互いに異なる2つの傾斜面S5、S6を有することができる。前記凹部の前記2つの傾斜面が成す角度a7は、20度~100度であることができる。前記角度a7は、具体的に、20度以上、30度以上、40度以上、50度以上、60度以上、70度以上、80度以上、または85度以上であり、100度以下または95度以下であることができる。前記凹部の両傾斜面の傾斜角の差(a9-a8)は、0度~60度であることができる。前記傾斜角の差(a9-a8)は、0度以上、10度以上、20度以上、30度以上、40度以上、または45度以上であり、60度以下または55度以下であることができる。前記凹部の寸法が前記範囲内である場合、鏡面で色感の追加が可能であるという点から有利である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体が、前記第1方向および第2方向の何れか一方向に逆像の構造で配列されることができる。
図13は、このような配列構造を例示的に示した図である。
図13の(a)に示したように、前記構造体は、第1方向および第2方向の何れか一方向に、180度の逆像の構造で配列される。具体的に、前記逆像の構造で配列されたものは、第1傾斜面に比べて第2傾斜面の傾斜角が大きい第1領域C1、および第2傾斜面に比べて第1傾斜面の傾斜角が大きい第2領域C2を含むことができる。また、前記第1領域に含まれる凸部は第1凸部P1と称し、前記第2領域に含まれる凸部は第4凸部P4と称することができる。前記第1凸部P1および第4凸部P4の高さ、幅、傾斜角、および第1および第2傾斜面が成す角度は、前記凸部P1の項目で述べた内容が同様に適用可能である。また、
図13の(b)に示したように、前記第1領域および第2領域の何れか1つの領域は画像またはロゴに対応し、他の1つの領域は背景部分に対応するように構成することができる。かかる装飾部材は、画像またはロゴの色が、見る角度によって繊細に変わる効果を奏することができる。また、画像またはロゴ部分と背景部分が、見る方向によって色が互いに変わって見える装飾効果を奏することができる。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記凸部形状P1の高さH1は、5μm~30μmであることができる。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体の高さH1は5μm~30μmであることができる。凸状構造体の高さが前記範囲内である場合、生産工程の点から有利である。本明細書において、凸状構造体の高さは、前記パターン層の水平面を基準として凸部の最も高い部分と最も低い部分との最短距離を意味し得る。この凸部の高さについての説明は、上述の凹部の深さにも同様の数値範囲が適用可能である。
【0078】
本明細書の一実施態様において、前記凸部形状P1の幅W1は、10μm~90μmであることができる。凸部形状の幅が前記範囲内である場合、パターンを加工および形成するにおいて、工程の点から有利である。前記凸部形状P1の幅W1は、例えば、10μm以上、15μm以上、20μm以上、または25μm以上であり、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、または35μm以下であることができる。この幅についての説明は、凸部だけでなく、上述の凹部にも適用可能である。
【0079】
本明細書の一実施態様において、前記二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体の間に、平坦部をさらに含む。
本明細書の一実施態様において、前記凸部形状または凹部形状の間に、平坦部をさらに含む。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記平坦部の幅は0μm~20μmであることができる。前記平坦部は、何れか1つの凸状構造体または凹状構造体と隣接した凸状構造体または凹状構造体の間の間隔であることができる。これは、何れか1つの凸状構造体または凹状構造体が終わる点と、他の1つの凸状構造体または凹状構造体が始まる点との最短距離を意味し得る。
【0081】
前記平坦部の幅が適切に保持される場合、装飾部材を凸部の傾斜角がより大きい傾斜面の方から見た時に、相対的に明るい色を示さなければならないのに、反射領域がシェーディングにより暗く見える現象を改善することができる。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記凸状構造体または凹状構造体は、前記パターン層の表面外側に突出したコーン(cone)状の凸状構造体、または前記パターン層の表面内側に凹陥したコーン(cone)状の凹状構造体であることができる。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記コーン状は、円錐、楕円錐、または多角錐の形態を含む。ここで、多角錐の底面の形態としては、三角形、四角形、突出点が5個以上の星状などが挙げられる。一例によると、装飾部材を地面においたときに、前記パターン層の表面がコーン状の凸部形状を有する場合、前記凸部形状の前記地面に対する垂直断面のうち少なくとも1つは、三角形状であることができる。他の一例によると、装飾部材を地面においたときに、前記パターン層の表面がコーン状の凹部形状を有する場合、前記凹部形状の前記地面に対する垂直断面のうち少なくとも1つは、逆三角形状であることができる。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記コーン状の凸部またはコーン状の凹状構造体が、非対称構造の断面を少なくとも1つ有することができる。例えば、前記コーン状の凸部または凹部を、前記凸部または凹部形状の表面側から観察した時に、コーンの頂点を基準として360度回転した時に、同一の形態が2つ以下存在する場合、異色性が発現されるにおいて有利である。
図14は、コーン状の凸部形状を、前記凸部形状の表面側から観察したことを示した図であって、(a)は、何れも対称構造のコーン状を示した図であり、(b)は、非対称構造のコーン状を例示した図である。
【0085】
前記装飾部材を地面においたときに、対称構造のコーン状は、地面に水平な方向への断面(以下、水平断面という)が円であるか、各辺の長さが等しい正多角形であり、コーンの頂点が、地面に対する水平断面の重心点の、前記断面に垂直な線上に存在する構造である。しかし、非対称構造の断面を有するコーン状は、コーン状の凸状構造体または凹状構造体の形状の表面側から観察した時に、コーンの頂点の位置が、コーンの水平断面の重心点ではない点の垂直線上に存在する構造であるか、コーンの水平断面が非対称構造の多角形または楕円である構造である。コーンの水平断面が非対称構造の多角形である場合は、多角形の辺または角の少なくとも1つを、それ以外と異なるように設計することができる。
【0086】
例えば、
図15のように、コーンの頂点の位置を変更することができる。具体的に、
図15の第1の図のように、コーン状の凸状構造体の表面側から観察した時に、コーンの頂点を、コーンの地面に対する水平断面の重心点01の垂直線上に位置するように設計する場合、コーンの頂点を基準として360度回転時に、4つの同一の構造を得ることができる(4 fold symmetry)。しかし、コーンの頂点を、地面に対する水平断面の重心点01ではない位置02に設計することで、対称構造が破れる。地面に対する水平断面の一辺の長さをx、コーンの頂点の移動距離をaおよびb、コーンの頂点(01または02)から地面に対する水平断面まで垂直に連結した線の長さであるコーン状の高さをh、水平断面とコーンの側面が成す角度をθnとしたときに、
図15の面1、面2、面3、および面4について、下記のようにコサイン値が得られる。
【0087】
【0088】
この際、θ1とθ2は同一であるため異色性がない。しかし、θ3とθ4は異なり、│θ3-θ4│は二つの色間の色差(E*ab)を意味するため、異色性を示すことができる。ここで、│θ3-θ4│>0である。このように、コーンの底面に対する水平断面と側面が成す角度を利用して、対称構造がどれくらい破れているか、すなわち、非対称の程度を定量的に示すことができる。このような非対称の程度を示す数値は、異色性の色差に比例する。
【0089】
上記で例示した構造の他にも、
図16のような様々な凸部形状または凹部形状の断面を有する凸状構造体または凹状構造体を実現することができる。
【0090】
本明細書において、他に言及しない限り、「面」は平面であってもよいが、これに限定されず、全部または一部が曲面であってもよい。例えば、面に垂直な方向への断面の形態は、円や楕円の弧の一部、波構造、ジグザグなどの構造を含み得る。
【0091】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層は、対称構造のパターンをさらに含む。対称構造としては、プリズム構造、レンチキュラレンズ構造などが挙げられる。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層は、凸状構造体または凹状構造体が形成された面の反対面に平坦部を有する。また、前記パターン層は基材層上に形成されていることができる。前記基材層としてはプラスチック基材が使用できる。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose);ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer);PMMA(poly(methyl methacrylate);PC(polycarbonate);PE(polyethylene);PP(polypropylene);PVA(polyvinyl alcohol);DAC(diacetyl cellulose);Pac(Polyacrylate);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate);PI(polyimide);PSF(polysulfone);PAR(polyarylate)、または非晶質フッ素樹脂などが使用できるが、これらに制限されるものではない。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層は、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を含むことができる。前記硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。前記光硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコン樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、またはメラミン樹脂などを用いることができるが、これらに制限されるものではない。紫外線硬化性樹脂としては、代表的に、アクリル重合体、例えば、ポリエステルアクリレート重合体、ポリスチレンアクリレート重合体、エポキシアクリレート重合体、ポリウレタンアクリレート重合体、またはポリブタジエンアクリレート重合体、シリコンアクリレート重合体、またはアルキルアクリレート重合体などを用いることができるが、これらに制限されるものではない。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層の内部または少なくとも一面に、有色染料(color dye)をさらに含むことができる。前記パターン層の少なくとも一面に有色染料を含むということは、例えば、前記パターン層の平坦部側に備えられた上述の基材層に有色染料が含まれている場合を意味し得る。
【0095】
本明細書の一実施態様において、前記有色染料としては、アントラキノン(anthraquinone)系染料、フタロシアニン(phthalocyanine)系染料、チオインジゴ(thioindigo)系染料、ペリノン(perinone)系染料、イソシンジゴ(isoxindigo)系染料、メタン(methane)系染料、モノアゾ(monoazo)系染料、および1:2金属錯体(1:2 metal complex)系染料などを用いることができる。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層が内部に有色染料を含む場合、前記硬化性樹脂に染料を添加して適用されることができる。前記パターン層の下部に有色染料をさらに含む場合、染料が含まれた層を基材層の上部または下部にコーティングする方式により適用されることができる。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記有色染料の含量は、例えば、0~50wt%であることができる。前記有色染料の含量は、パターン層乃至装飾部材の透過度およびヘイズ範囲を決定することができ、透過度は、例えば、20%~90%であり、ヘイズは、例えば、1%~40%であることができる。
【0098】
本明細書において、前記無機物層は、上述のパターン層の凸状構造体または凹状構造体の表面と同一の凸部または凹部を有することができる。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層は、上述のパターン層の表面と同一の傾斜度を有することができる。
【0100】
前記無機物層は、上述のパターン層の表面と同一の凸状構造体または凹状構造体を有することができる。前記無機物層は、上述のパターン層の表面と同一の傾斜度を有することができる。
【0101】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)、および銀(Ag)から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物;その窒化物;その酸窒化物;炭素および炭素複合体のうち1種または2種以上の材料を含む単一層または多層である。
【0102】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層は、400nm波長の光に対する屈折率が0~8であることができる。前記無機物層の屈折率が前記範囲を外れる場合、反射される光が減少して暗くなるため、好適ではない。前記無機物層の屈折率は、具体的に、0以上、1以上、2以上、3以上、4以上、または4.5以上であり、8以下、7以下、6以下、または6.5以下であることができる。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層の厚さは、例えば、10nm~1μmであることができる。無機物層の厚さが前記範囲内である場合、見る方向によって異なる色を呈する異色性を有し、前記異色性の視認性が改善された装飾部材を提供するにおいて有利である。前記無機物層の厚さは、例えば、10nm以上、50nm以上、または100nm以上であり、1μm以下、800nm以下、600nm以下、400nm以下、または300nm以下であることができる。前記装飾部材は、見る方向によって異なる色を呈する異色性を示すことができる。前記装飾部材は、パターン層の表面形状を変形することで、前記異色性の視認性を改善することができる。
【0104】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層は、装飾部材を見る時における色の金属質感と奥行き感を付与することができる。前記無機物層は、前記装飾部材の画像が見る角度によって種々の色相に見えるようにする。これは、前記パターン層を通過して無機物層の表面で反射される光の波長が、入射する光の波長によって変化するためである。
【0105】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層は、前記パターン層上に順に備えられた光吸収層および光反射層を含むか、前記パターン層上に順に備えられた光反射層および光吸収層を含む。
【0106】
本明細書において、光吸収層と光反射層は、その機能によって命名されたものである。特定の波長を有する光に対して、光を相対的に多く反射する層を光反射層と表現し、光を相対的に少なく反射する層を光吸収層と表現することができる。
【0107】
図17を参照して、光吸収層と光反射層について説明する。
図17の装飾部材には、光が入って来る方向を基準として、各層(layer)がL
i-1層、L
i層、およびL
i+1層の順に積層されており、L
i-1層とL
i層との間に界面(interface)I
iが位置し、L
i層とL
i+1層との間に界面I
i+1が位置する。
【0108】
薄膜干渉が起こらないように、各層に垂直な方向に特定波長を有する光を照射した時に、界面Iiでの反射率を、下記数学式1で表することができる。
【0109】
【0110】
前記数学式1中、ni(λ)は、i番目の層の波長(λ)による屈折率を意味し、ki(λ)は、i番目の層の波長(λ)による消衰係数(extinction coefficient)を意味する。消衰係数は、特定波長で対象物質が光をどれくらい強く吸収するかを定義する尺度であって、定義は上述のとおりである。
【0111】
前記数学式1を適用し、各波長で計算された界面Iiでの波長毎の反射率の和をRiとしたときに、Riは下記の数学式2のとおりである。
【0112】
【0113】
この際、積層体の界面のうちI
iのR
iが最も大きいとしたときに、界面I
iと接し、且つ界面I
iと光が入って来る方向に対向して位置している層を光反射層、それ以外の層を光吸収層と定義することができる。例えば、
図17に示した積層体において、界面I
i+1の波長毎の反射率の和が最も大きい場合、I
i+1と接し、且つ界面I
i+1と光が入って来る方向に対向して位置している層であるL
i+1層を光反射層、それ以外の層であるL
i-1層およびL
i層を光吸収層と定義することができる。
【0114】
前記光吸収層では、光の入射経路および反射経路で光吸収がなされ、また、光は光吸収層の表面、および光吸収層と光反射層との界面でそれぞれ反射し、2つの反射光が強め合う干渉または弱め合う干渉をすることになる。本明細書において、光吸収層の表面で反射される光は表面反射光、光吸収層と光反射層との界面で反射される光は界面反射光と表現されることができる。
図18に、このような作用原理の模式図を示した。
図18には、基材101、光反射層201、および光吸収層301が順に積層された構造を示しており、光反射層の下部に基材が位置しているが、必須のものではない。
【0115】
前記光吸収層の表面で反射される光は表面反射光、光吸収層と光反射層との界面で反射される光は界面反射光と表現されることができる。
【0116】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、400nmの波長で屈折率(n)が0~8であることが好ましく、0~7であってもよく、0.01~3であってもよく、2~2.5であってもよい。屈折率(n)は、sin θa/sin θb(θaは、光吸収層の表面から入射される光の角であり、θbは、光吸収層の内部での光の屈折角である)により計算されることができる。
【0117】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、400nmの波長で消衰係数(k)が0超過4以下であり、0.01~4であることが好ましく、0.01~3.5であってもよく、0.01~3であってもよく、0.1~1であってもよい。消衰係数(k)は、-λ/4πI(dI/dx)(ここで、光吸収層内で経路単位長さ(dx)、例えば、1m当たりの光の強度の減少分率dI/Iにλ/4πを乗じた値であり、この際、λは光の波長である。
【0118】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、380~780nmの波長で消衰係数(k)が0超過4以下であり、0.01~4であることが好ましく、0.01~3.5であってもよく、0.01~3であってもよく、0.1~1であってもよい。380~780nm、好ましくは400nmの可視光線の全波長領域で消衰係数(k)が前記範囲であるため、可視光線範囲内で光吸収層の役割を果たすことができる。
【0119】
同一の屈折率(n)値を有するとしても、380~780nmで消滅係数(k)値が0である場合と、消滅係数(k)値が0.01である場合では、>1の差が生じ得る。例えば、ガラス/アルミニウム/アルミニウム酸化物/空気層の積層構造に、光源としてD65(太陽光スペクトル)を照射した場合をシミュレーションした際に、前記アルミニウム酸化物のk値が0である時と、0.01である時の△E*abは、下記表1のように得られた。この際、アルミニウム層の厚さ(h1)は120nmであり、アルミニウム酸化物層の厚さ(h2)は下記表1に記載した。k値は、シミュレーションのために任意に0と0.01に設定し、n値は、アルミニウムの値を利用した。
【0120】
【0121】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、単一層であってもよく、2層以上の多層であってもよい。前記光吸収層は、380~780nmで消衰係数(k)を有する材料、すなわち、消衰係数が0超過4以下、好ましくは0.01~4の材料からなることができる。例えば、前記光吸収層は、金属、メタロイド、および金属やメタロイドの酸化物、窒化物、酸窒化物、および炭化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含むことができる。前記金属またはメタロイドの酸化物、窒化物、酸窒化物、または炭化物は、当業者が設定した蒸着条件などによって形成することができる。光吸収層は、光反射層と同一の金属、メタロイド、2種以上の合金または酸窒化物を含んでもよい。本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)、および銀(Ag)から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物;その窒化物;その酸窒化物;炭素および炭素複合体のうち1種または2種以上の材料を含む単一層または多層である。本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)を含む。シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)からなる光吸収層は、400nmで屈折率(n)が0~8であり、0~7であってもよく、消衰係数(k)が0超過4以下、好ましくは0.01~4であり、0.01~3または0.01~1であってもよい。
【0122】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、400nm、好ましくは380nm~780nmで消滅係数(k)を有する材料からなることができ、例えば、光吸収層/光反射層は、CuO/Cu、CuON/Cu、CuON/Al、AlON/Al、AlN/Al/AlON/Cu、AlN/Cuなどの材料から形成されることができる。
【0123】
前記光反射層としては、光を反射することができる材料であれば特に限定されないが、光反射率は材料によって決定され、例えば、50%以上で色相実現が容易である。光反射率はエリプソメータ(ellipsometer)を用いて測定することができる。
【0124】
本明細書の一実施態様において、前記光反射層は、金属層、金属酸窒化物層、または無機物層であることができる。前記光反射層は、単一層で構成されてもよく、2層以上の多層で構成されてもよい。
【0125】
一例として、前記光反射層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)、および銀(Ag)から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物、窒化物、または酸窒化物、炭素および炭素複合体のうち1種または2種以上の材料を含む単一層または多層であることができる。
【0126】
例えば、前記光反射層は、前記材料から選択される2つ以上の合金、その酸化物、窒化物、または酸窒化物を含むことができる。例えば、前記光反射層は、前記金属から選択される2つ以上の合金を含むことができる。より具体的には、前記光反射層は、モリブデン、アルミニウム、または銅を含むことができる。他の一例によると、前記光反射層は、炭素または炭素複合体を含むインクを利用して製造されることで、高抵抗の反射層を実現することができる。炭素または炭素複合体としては、カーボンブラック、CNTなどが挙げられる。前記炭素または炭素複合体を含むインクは、上述の材料またはその酸化物、窒化物、または酸窒化物を含むことができ、例えば、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)、および銀(Ag)から選択される1種または2種以上の酸化物を含むことができる。前記炭素または炭素複合体を含むインクを印刷した後、硬化工程をさらに行うことができる。
【0127】
前記光反射層は、2種以上の材料を含む場合、2種以上の材料を1つの工程、例えば、蒸着または印刷の方法により形成してもよいが、1種以上の材料で先に層を形成した後、さらに1種以上の材料で、その上に層を形成する方法が利用されることができる。例えば、インジウムやスズを蒸着して層を形成した後、炭素を含むインクを印刷してから硬化させることで、光反射層を形成することができる。前記インクには、チタン酸化物、シリコン酸化物のような酸化物がさらに含まれることができる。
【0128】
一実施態様によると、前記光吸収層の厚さは5~500nm、例えば、30~500nmであることができる。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記光反射層の厚さは、最終構造で所望の色相によって決定可能であり、例えば、1nm以上、好ましくは25nm以上、例えば、50nm以上、好ましくは70nm以上である。
【0130】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、光吸収層の形成時に蒸着条件などを調節することで、種々の形状を示すことができる。
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の点を含む。
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の領域を含む。
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は傾斜面を含むことができる。
【0131】
前記実施態様に係る光吸収層の構造の例示を
図39および
図40に示した。
図39および
図40は、光反射層201および光吸収層301が積層された構造を例示した図である(パターン層および基材省略)。
図39および
図40によると、前記光吸収層301は、互いに異なる厚さを有する2以上の点を有する。
図39によると、A点とB点での光吸収層301の厚さが異なる。
図40によると、C領域とD領域での光吸収層301の厚さが異なる。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、上面が、傾斜角が0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、前記光吸収層は、何れか1つの傾斜面を有する領域での厚さと異なる厚さを有する領域を1つ以上含む。前記傾斜面とは、光吸収層の上面に含まれる何れか1つの直線と、光反射層に平行な直線とが成す角度を、前記傾斜面と定義することができる。例えば、
図39の光吸収層の上面の傾斜角は、約20度であることができる。
【0133】
前記光反射層の上面の傾斜度のような表面特性は、前記光吸収層の上面と同一であることができる。例えば、光吸収層の形成時に蒸着方法を利用することで、光吸収層の上面が、光反射層の上面と同一の傾斜度を有することができる。しかし、
図39の光吸収層の上面の傾斜度は、光反射層の上面の傾斜度とは異なる。
【0134】
図41に、上面が傾斜面を有する光吸収層を有する装飾部材の構造を例示した。基材101、光反射層201、および光吸収層301が積層された構造であって、光吸収層301のE領域での厚さt1と、F領域での厚さt2とは異なる。
【0135】
図41は、互いに向かい合う傾斜面、すなわち、断面が三角形である構造を有する光吸収層についての図である。
図41のように、互いに向かい合う傾斜面を有するパターンの構造では、同一の条件で蒸着を行っても、三角形構造の2つの面で光吸収層の厚さが異なる。したがって、1回の工程だけで、厚さが異なる2以上の領域を有する光吸収層を形成することができる。これにより、光吸収層の厚さによって発現色相が異なることになる。この際、光反射層の厚さが一定以上であると、色相の変化に影響を与えない。
【0136】
図41には、基材101が光反射層201側に備えられた構造が例示されているが、このような構造に限定されず、基材101の位置は、上述の説明のように他の位置に配置されてもよい。
【0137】
また、
図42の基材101は、光反射層201と接する面が平坦面であるが、基材101の光反射層201と接する面は、光反射層201の上面と同一の勾配を有するパターンを有してもよい。これを
図42に示した。この場合、基材のパターンの勾配差によって、光吸収層の厚さにも差が生じ得る。しかし、これに限定されず、他の蒸着方法を利用して基材と光吸収層が異なる勾配を有するようにしても、パターンの両側で光吸収層の厚さが異なるようにして、異色性を示すことができる。
【0138】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、厚さが次第に変わる領域を1つ以上含む。
図43に、光吸収層301の厚さが次第に変わる構造を例示した。
【0139】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、上面が、傾斜角が0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、前記傾斜面を有する領域の少なくとも1つ以上は、光吸収層の厚さが次第に変わる構造を有する。
図43に、上面が傾斜面を有する領域を含む光吸収層の構造を例示した。
図43のG領域とH領域は、両方とも光吸収層の上面が傾斜面を有し、光吸収層の厚さが次第に変わる構造を有する。
【0140】
本明細書において、前記光吸収層の厚さが変わる構造とは、前記光吸収層の厚さ方向への断面が、光吸収層の厚さが最も小さい点および光吸収層の厚さが最も大きい点を含み、前記光吸収層の厚さが、光吸収層の厚さが最も小さい点から光吸収層の厚さが最も大きい点の方向に増加することを意味する。この際、前記光吸収層の厚さが最も小さい点および光吸収層の厚さが最も大きい点は、光吸収層の光反射層との界面上のある点を意味し得る。
【0141】
本明細書の一実施態様において、前記光吸収層は、傾斜角が1度~90度の範囲内である第1傾斜面を有する第1領域を含み、上面が、前記第1傾斜面と傾斜方向が異なるか傾斜角が異なる傾斜面を有するか、上面が水平である2つ以上の領域をさらに含むことができる。この際、前記第1領域および前記2つ以上の領域での光吸収層の厚さは、何れも互いに異なることができる。
【0142】
本出願の他の一実施態様に係る装飾部材は、前記パターン層と前記無機物層との間、前記パターン層の前記無機物層に対向する面の反対面、または前記無機物層の前記パターン層に対向する面の反対面に備えられたカラーフィルムをさらに含む。
【0143】
本出願の他の一実施態様に係る装飾部材は、前記パターン層と前記無機物層との間、前記光吸収層と前記光反射層との間、前記パターン層の前記無機物層に対向する面の反対面、または前記無機物層の前記パターン層に対向する面の反対面に備えられたカラーフィルムをさらに含む。
【0144】
前記カラーフィルムは、前記カラーフィルムが備えられていない場合に比べて、前記カラーフィルムが存在する場合に、前記色発現層の色座標CIE L*a*b*におけるL*a*b*の空間での距離である色差△E*abが1を超えるようにするものであれば特に限定されない。
【0145】
色の表現は、CIE L*a*b*で表現可能であり、色差は、L*a*b*空間での距離(△E
*ab)を利用して定義されることができる。具体的に、
【数5】
であり、0<△E
*ab<1の範囲内では、観察者が色差を認知することができない[参考文献:Machine Graphics and Vision 20(4):383-411]。したがって、本明細書では、カラーフィルムの追加による色差を△E
*ab>1と定義することができる。
【0146】
かかるカラーフィルムをさらに備えることで、前記光反射層と光吸収層のような無機物層の材料および厚さが決定されている場合にも、実現可能な色相の幅をさらに大きく増加させることができる。カラーフィルムの追加による色相変化の幅は、カラーフィルムの適用前後のL*a*b*の差である色差(△E*ab)で定義することができる。
【0147】
図19に、カラーフィルムの配置位置を例示した(但し、パターン層101の表面上の凸状構造体および凹状構造体、保護層および基材は図示していない)。
【0148】
図19の(a)には、カラーフィルム401が光吸収層301の光反射層201側の反対面に備えられている構造、
図19の(b)には、カラーフィルム401が光吸収層301と光反射層201との間に備えられている構造、
図19の(c)には、カラーフィルム401が光反射層201とパターン層101との間に備えられている構造、
図19の(d)には、カラーフィルム401がパターン層101の光反射層201側の反対面に備えられている構造を示している。
図19の(e)には、カラーフィルム401a、401b、401c、401dがそれぞれ、光吸収層301の光反射層201側の反対面、光吸収層301と光反射層201との間、光反射層201とパターン層101との間、およびパターン層101の光反射層201側の反対面に備えられている構造を例示しており、これにのみ限定されるものではなく、カラーフィルム401a、401b、401c、401dのうち1~3個は省略されてもよい。
【0149】
本明細書の他の一実施態様によると、パターン層101上に光反射層301および光吸収層201が順に備えられている構造において、カラーフィルムの配置位置を
図20に例示した(パターン層101の表面上の凸状構造体を省略)。
【0150】
図20の(a)には、カラーフィルム401がパターン層101の光吸収層301側の反対面に備えられている構造、
図20の(b)には、カラーフィルム401がパターン層101と光吸収層301との間に備えられている構造、
図20の(c)には、カラーフィルム401が光吸収層301と光反射層201との間に備えられている構造、
図20の(d)には、カラーフィルム401が光反射層201の光吸収層301側の反対面に備えられている構造を示している。
図20の(e)には、カラーフィルム401a、401b、401c、401dがそれぞれ、パターン層101の光吸収層301側の反対面、パターン層101と光吸収層301との間、光吸収層301と光反射層201との間、および光反射層201の光吸収層301側の反対面に備えられている構造を例示しており、これにのみ限定されるものではなく、カラーフィルム401a、401b、401c、401dのうち1~3個は省略されてもよい。
【0151】
図19の(b)および
図20の(c)のような構造は、カラーフィルムの可視光透過率が0%を超えると、光反射層でカラーフィルムを通過して入射した光を反射することができるため、光吸収層と光反射層の積層による色相実現が可能である。
【0152】
図19の(c)、
図19の(d)、および
図20の(d)のような構造では、カラーフィルムの追加による色差変化を認識できるように、光反射層201のカラーフィルムから発現される色相の光透過率が1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であることが好ましい。このような可視光線透過率の範囲で、透過された光がカラーフィルムによる色相と混合されることができるためである。
【0153】
前記カラーフィルムは、1枚、または同種または異種が2枚以上積層された状態で備えられることができる。
【0154】
前記カラーフィルムとしては、上述の光反射層および光吸収層の積層構造から発現される色相とともに組み合わされ、所望の色相を発現することができるものが使用可能である。例えば、顔料および染料のうち1種または2種以上がマトリックス樹脂中に分散されて色相を呈するカラーフィルムが使用できる。上記のようなカラーフィルムは、カラーフィルムが備えられ得る位置にカラーフィルム形成用組成物を直接コーティングして形成してもよく、別の基材にカラーフィルム形成用組成物をコーティングするか、キャスティング、押出などの公知の成形方法によりカラーフィルムを製造した後、カラーフィルムが備えられ得る位置にカラーフィルムを配置または付着する方法を用いてもよい。コーティング方法としては、湿式コーティングまたは乾式コーティングが用いられることができる。
【0155】
前記カラーフィルムに含まれ得る顔料および染料としては、最終的な装飾部材から所望の色相を達成することができるものとして、当技術分野において公知のものなどから選択されることができ、赤色系、黄色系、紫色系、青色系、ピンク色系などの顔料および染料のうち1種または2種以上が使用できる。具体的に、ペリノン(perinone)系赤色染料、アントラキノン系赤色染料、メチン系黄色染料、アントラキノン系黄色染料、アントラキノン系紫色染料、フタロシアニン系青色染料、チオインジゴ(thioindigo)系ピンク色染料、イソシンジゴ(isoxindigo)系ピンク色染料などの染料が単独でまたは組み合わされて用いられることができる。カーボンブラック、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)、C.I.ピグメントレッド112、ピグメントブルー、イソインドリンイエローなどの顔料が単独でまたは組み合わされて用いられてもよい。上記のような染料または顔料としては、市販のものが使用でき、例えば、Ciba ORACET社、チョグァンペイント(株)などの材料が使用可能である。前記染料または顔料の種類およびこれらの色相は例示にすぎず、公知の染料または顔料が多様に使用可能であり、これにより、さらに様々な色相を実現することができる。
【0156】
前記カラーフィルムに含まれるマトリックス樹脂としては、透明フィルム、プライマー層、接着層、コーティング層などの材料として公知されている材料が使用でき、特にその材料に限定されない。例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ウレタン系樹脂、線状オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂などの種々の材料が選択されることができ、前記例示された材料の共重合体または混合物も使用可能である。
【0157】
前記カラーフィルムが、前記光反射層または前記光吸収層よりも装飾部材の観察位置に近く配置された場合、例えば、
図19の(a)、(b)、
図20の(a)、(b)、(c)のような構造では、前記カラーフィルムは、光反射層、光吸収層、または光反射層と光吸収層の積層構造から発現される色相の光透過率が1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であることが好ましい。これにより、カラーフィルムから発現される色相と、光反射層、光吸収層、またはこれらの積層構造から発現される色相がともに組み合わされて所望の色相を達成することができる。
【0158】
前記カラーフィルムの厚さは特に限定されず、所望の色相を呈することができれば、当技術分野において通常の知識を有する者が厚さを選択して設定することができる。例えば、カラーフィルムの厚さは、500nm~1mmであることができる。
【0159】
例示的な装飾部材および装飾部材の製造方法は、装飾部材の適用が必要な公知の対象に適用可能である。例えば、携帯用電子機器、電子製品、化粧品容器、家具、建築材などに制限されずに適用可能である。
【0160】
前記装飾部材を携帯用電子機器、電子製品、化粧品容器、家具、建築材などに適用する方式は特に制限されず、当業界で装飾フィルムを適用する方式として公知されている方式が適用可能である。前記装飾部材は、必要に応じて、粘着層をさらに含むことができる。他の一例示において、前記装飾部材は、携帯用電子機器または電子製品に直接コーティングすることで適用されることができる。この場合、前記装飾部材を携帯用電子機器または電子製品に付着するための別の粘着層が不要である。他の一例示において、前記装飾部材は、粘着層を介して携帯用電子機器または電子製品に付着されることができる。前記粘着層としては、光学用透明接着テープ(OCA tape;optically clear adhesive tape)または接着樹脂を用いることができる。前記OCAテープまたは接着樹脂としては、当業界で公知のOCAテープまたは接着樹脂が制限されずに適用可能である。必要に応じて、前記粘着層の保護のための剥離層(release liner)がさらに備えられることができる。
【0161】
本明細書の一実施態様において、前記基材は、化粧品容器用プラスチック射出物またはガラス基材を含むことができる。
【0162】
本明細書の一実施態様において、前記プラスチック射出物は、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-ビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(polyamide)、およびスチレン-アクリロニトリル共重合体(Styrene-Acrylonitrile copolymer)のうち1種以上を含むことができる。
【0163】
本明細書の一実施態様において、下記式1で表される第1方向の色差(△E1)および下記式2で表される第2方向の色差(△E2)が、それぞれ1を超える。
【0164】
【0165】
前記式1および式2中、
前記第1方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に平行な直線上の2つの点で測定した
【数7】
の関係式であり、
前記第2方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に垂直な直線上の2つの点で測定した
【数8】
の関係式である。
【0166】
前記式1で表される第1方向の色差(△E1)および前記式2で表される第2方向の色差(△E2)がそれぞれ1を超える場合、前記第1方向および前記第2方向の両方で異色性が発現されることができる。すなわち、2以上の見る方向で異色性が発現されることで、見る者に、多様な色を感じさせることができる。
【0167】
本明細書の一実施態様において、前記化粧品容器は、化粧品コンパクトの銘板であることができるが、これにのみ限定されるものではない。
本明細書の一実施態様において、前記装飾部材のシート抵抗が20オーム/スクウェア以上である。
【0168】
本明細書の一実施態様において、前記装飾部材のシート抵抗は、1ギガオーム/スクウェア以上、より好ましくは4ギガオーム/スクウェア以上である。前記範囲で、電磁波遮蔽の効果が極大化されることを確認することができる。
【0169】
本明細書において、シート抵抗は、4探針法(4-point probe)により、公知のシート抵抗器を利用して測定されることができる。シート抵抗は、4つの探針で電流(I)と電圧(V)を測定して抵抗値(V/I)を測定した後、これに、サンプルの面積(断面積、W)と抵抗を測定するための電極間の距離(L)を利用してシート抵抗を求め(V/I x W/L)、シート抵抗の単位であるオーム/スクウェアに計算するために、抵抗補正係数(RCF)を乗じる。抵抗補正係数は、サンプルのサイズ、サンプルの厚さ、および測定時の温度を利用して算出されることができ、これは、ポアソン方程式により算出されることができる。
【0170】
本明細書は、基材を準備するステップと、前記基材の一面に、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を形成するステップと、前記パターン層上に無機物層を形成するステップと、を含み、前記二次元的に配列された構造体は、第1軸方向、および前記第1軸方向と時計回り方向(clockwise)に1度以上175度以下の角度を成す第2軸方向に配列されている、装飾部材の製造方法を提供する。
【0171】
本明細書の一実施態様に係る装飾部材の製造方法は、前記基材の一面に、二次元的に配列された凸状構造体または凹状構造体を含むパターン層を形成するステップを含む。
【0172】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層を形成するステップは、前記基材上に硬化性樹脂組成物を塗布し、目的のパターンを有するモールドを圧着した後、硬化させることにより行われることができる。前記モールドは、例えば、平板状またはロール状の形態を有することができる。前記モールドとしては、例えば、ソフトモールドまたはハードモールドが使用できる。
【0173】
本明細書の一実施態様において、前記パターン層上に無機物層を形成するステップは、凸状構造体または凹状構造体の表面上に無機物層を蒸着するステップを含むことができる。
【0174】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層を形成するステップは、スパッタリング法により行われることができる。スパッタリングとは、エネルギーを有するイオン(例えば、Ar+)がターゲット物質に衝撃を与え、この時にたたき出されたターゲット物質が、パターン層の凸状構造体の表面上に蒸着される方式である。この際、ベース圧力(Base Pressure)は、1.0X10-5Torr以下、6.0X10-6Torr以下、好ましくは3.0X10-6Torr以下であることができる。
【0175】
本明細書の一実施態様において、前記スパッタリング法は、プラズマガスおよび/または反応性ガスを含むチャンバー内で行われることができる。前記プラズマガスは、アルゴン(Ar)ガスであることができる。また、前記反応性ガスは、酸素(O2)および窒素(N2)であり、酸素または窒素原子を提供するためのガスであって、プラズマガスとは区分されるものである。
【0176】
本明細書の一実施態様において、前記無機物層を形成するステップで、プラズマガスの流量は、10sccm以上300sccm以下、好ましくは20sccm以上200sccm以下であることができる。前記sccmは、Standard Cubic Centimeer Per minuteを意味する。
【0177】
本明細書の一実施態様において、前記チャンバー内のプロセス圧力(p1)は、1.0mTorr~10.0mTorr、好ましくは1.5mTorr~6mTorrであることができる。スパッタリング時におけるプロセス圧力が前記範囲より高くなると、チャンバーの内部に存在するAr粒子が多くなり、ターゲットから放出された酸化亜鉛の粒子がAr粒子とぶつかってエネルギーを失うことになるため、薄膜の成長速度が低下し得る。これに対し、低すぎるプロセス圧力が維持される場合には、高エネルギーを有する粒子によって基板が損傷されるか、無機物層の品質が低下し得るという欠点がある。
【0178】
本明細書の一実施態様において、前記プラズマガスに対する反応性ガスの分率が、30%以上70%以下、好ましくは40%以上70%以下、より好ましくは50%以上70%以下であることができる。前記反応性ガスの分率は、(Q反応性ガス/(Qプラズマプロセスガス+Q反応性ガス)*100%)により計算されることができる。前記Q反応性ガスは、チャンバー内における反応性ガスの流量を意味し、Qプラズマプロセスガスは、チャンバー内におけるプラズマプロセスガスの流量であることができる。
【0179】
本明細書の一実施態様において、前記スパッタリング法の駆動電力は100W以上500W以下、好ましくは150W以上300W以下であることができる。
【0180】
本明細書の一実施態様において、前記スパッタリング法で印加される電圧の範囲は、350V以上500Vであることができる。前記電圧の範囲は、ターゲットの状態、プロセス圧力、駆動電力(プロセスパワー)、または反応性ガスの分率に応じて調節可能である。
【0181】
本明細書の一実施態様において、前記スパッタリング法の蒸着温度は、20℃以上300℃以下であることができる。前記範囲より低い温度で蒸着する場合は、ターゲットからたたき出されて基材に到着した粒子の結晶成長に必要なエネルギーが足りないため、薄膜成長の結晶性が低下するという問題があり、前記範囲より高い温度では、ターゲットから出る粒子が蒸発または揮発(re-evaporation)され、薄膜成長速度が低下するという問題があり得る。
【0182】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本出願を具体的に説明するが、本明細書の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0183】
<実施例および比較例>
比較例1(一次元非対称パターン)
PET基材上に紫外線硬化型樹脂を塗布し、一次元に配列されたパターンを有するハードモールドを圧着した後、紫外線で硬化させることで、一次元に配列された凸状構造体パターンを形成した。パターンの形態は、
図21のプリズム構造が繰り返されている構造で形成し、パターンの一側面の傾斜角は20°とし、反対側の傾斜角を70°とした。この際、パターンのピッチは47.1マイクロメートルであり、パターンの高さは15.1マイクロメートルであった。
【0184】
その後、アルミニウム(Al)ターゲットが取り付けられたチャンバー内で、アルゴン(Ar)に窒素(N2)を添加して進行した反応性スパッタリング法(reactive sputtering)により、前記凸状構造体上にAlON光吸収層(Al:57.9at%、N:36.8at%、O:5.3at%)を約20nmまたは40nmの厚さで蒸着した。
【0185】
その後、アルゴン(Ar)のみを用いたスパッタリング法(sputtering)により、前記光吸収層上にAl光反射層を約100nmの厚さで蒸着した(at%は、atomic percentを意味する。)。
【0186】
実施例1(二次元非対称パターン:角度90度)
比較例1の一次元に配列された凸状構造体パターンの代りに、二次元に配列されたパターンを有するハードモールドを圧着し、二次元に配列された凸状構造体を形成したことを除き、前記比較例1と同様の方法により装飾部材を製造した。
【0187】
この際、二次元に配列された凸状構造体の第1軸方向と第2軸方向が時計回り方向に成す角度は90度であった。また、凸状構造体が配列された形態の模式図を
図22に示し、凸状構造体の立体的な形状を
図23に示した。また、見る方向による明るさの変化を観察し、
図24に示した。
【0188】
実施例2~11(二次元非対称パターン:角度90度)
パターンの一側面および反対側の傾斜角を下記表2のように変更し、見る方向による色座標値L*a*b*を示した。
【0189】
各図面には、視野角座標系において、装飾部材を見る時の色相を示した。座標は(θ,φ)で表示されることができる。装飾部材の面方向に垂直な方向をz軸、装飾部材の面方向の何れか一方向をx軸としたときに、z軸と視野方向が成す角度をθ、x軸と視野方向が成す角度をφという。φが0度である時(θ、0)に、θの変化によるL*、a*、およびb*値を測定した。視野角座標系についての内容は、文献IES type B Reference[IES-LM-75-01 Goniophotometer Types and Photometric Coordinates(title),IES(author),(Illuminating Engineering Society of North America,2001)]を参考することができる。
【0190】
【0191】
実施例12(二次元非対称パターン:角度135度)
二次元に配列されたパターンを有するハードモールドを圧着し、二次元に配列された凸状構造体を形成したことを除き、前記比較例1と同様の方法により装飾部材を製造した。
【0192】
この際、二次元に配列された凸状構造体の第1軸方向と第2軸方向が時計回り方向に成す角度は135度であった。また、凸状構造体が配列された形態の模式図を
図35に示し、凸状構造体の立体的な形状を
図36に示した。また、見る方向による明るさの変化を観察し、
図37に示した。
【0193】
<実験例>
比較例1、実施例1および2のCIE L*a*b*色座標を測定した。この際、コニカミノルタ社のCM2600d測色器を用いた。また、光源としては、標準光D65を使用した。
【0194】
下記式1で表される第1方向の色差(△E1)および下記式2で表される第2方向の色差(△E2)をそれぞれ測定した。
【0195】
【0196】
前記第1方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に平行な直線上の2つの点で測定した
【数10】
の関係式であり、
前記第2方向の色差は、前記装飾部材の第1軸方向に垂直な直線上の2つの点で測定した
【数11】
の関係式である。
【0197】
この際、
図38の1-2方向が前記第1方向に該当し、3-4方向が前記第2方向に該当する。
【0198】
1)比較例1の装飾部材の観察
比較例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約20nmである時に、各位置によるCIE L*a*b*色座標を測定して下記表3に示した。
【0199】
【0200】
比較例1で、光吸収層が20nmである場合、測定方向の1-2方向が装飾部材のパターン層の第1軸方向と一致するため、△E*abが24.70と大きく示されることを確認することができた。これに対し、第1軸方向に垂直な3-4方向では、△E*abが0.89であって、1未満の値を示すため、ヒトの目では異色性を確認しにくい。すなわち、測定方向の1と2でのみ異色性が発現される。
【0201】
また、比較例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約40nmである時に、各位置によるCIE L*a*b*色座標を測定して下記表4に示した。
【0202】
【0203】
比較例1は、測定方向の1-2方向が装飾部材のパターン層の第1軸方向と一致するため、△E*abが16.65と大きく示されることを確認することができた。これに対し、第1軸方向に垂直な3-4方向では、△E*abが0.79であって、1未満の値を示すため、ヒトの目では異色性を確認しにくい。すなわち、測定方向の1と2でのみ異色性が発現される。
【0204】
2)実施例1の装飾部材の観察
実施例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約20nmである時に、各位置でCIE L*a*b*色座標を測定して下記表5に示した。実施例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約20nmである場合、装飾部材のパターン層の第1軸方向および第2軸方向と一致する1-2方向および3-4方向で、△E*abが13.53および12.18と示されることを確認することができた。すなわち、異色性が発現される方向が1つの方向に限定されている比較例1と異なって、実施例1は、異色性が2つの方向で類似の程度に発現されることを確認することができる。
【0205】
【0206】
また、実施例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約40nmである時に、各位置でCIE L*a*b*色座標を測定して下記表6に示した。
【0207】
【0208】
実施例1の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約40nmである場合、装飾部材のパターン層の第1軸方向および第2軸方向と一致する1-2方向および3-4方向で、△E*abが12.43および9.64と示されることを確認することができた。すなわち、異色性が発現される方向が1つの方向に限定されている比較例1と異なって、実施例1は、異色性が2つの方向で類似の程度に発現されることを確認することができる。
【0209】
3)実施例2の装飾部材の観察
実施例2の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約20nmである時に、各位置でCIE L*a*b*色座標を測定して下記表7に示した。
【0210】
実施例2の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約20nmである場合、装飾部材のパターン層の第1軸方向および第2軸方向と一致する1-2方向および3-4方向で、△E*abが7.94および17.40と示されることを確認することができた。異色性が発現される方向が限定されている比較例1と異なって、実施例2は、異色性が2つの方向で発現されることを確認することができた。また、実施例1では、2つの方向で類似の程度の異色性が発現されていたことと異なって、実施例2では、2つの方向で発現される異色性の程度に差があることを確認することができる。
【0211】
【0212】
実施例2の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約40nmである時に、各位置でCIE L*a*b*色座標を測定して下記表8に示した。
【0213】
【0214】
実施例2の装飾部材のうち光吸収層の厚さが約40nmである場合、装飾部材のパターン層の第1軸方向および第2軸方向と一致する1-2方向および3-4方向で、△E*abが7.00および18.51と示されることを確認することができた。異色性が発現される方向が限定されている比較例1と異なって、実施例2は、異色性が2つの方向で発現されることを確認することができた。また、実施例1では、2つの方向で類似の程度の異色性が発現されていたことと異なって、実施例2では、2つの方向で発現される異色性の程度に差があることを確認することができる。