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特許7136231積層板、プリント配線板、半導体パッケージ及び積層板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】積層板、プリント配線板、半導体パッケージ及び積層板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/28 20060101AFI20220906BHJP
   B32B 17/04 20060101ALI20220906BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20220906BHJP
   B29C 70/02 20060101ALI20220906BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220906BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20220906BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20220906BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
B32B5/28 A
B32B17/04 A
B32B27/04 Z
B29C70/02
H05K1/03 630F
B29K101:10
B29K105:08
B29L9:00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020561477
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049508
(87)【国際公開番号】W WO2020130007
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2018236629
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 徳昭
(72)【発明者】
【氏名】内村 亮一
(72)【発明者】
【氏名】尾瀬 昌久
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健一
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-261861(JP,A)
【文献】特開2013-140907(JP,A)
【文献】特開2015-076589(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079820(WO,A1)
【文献】南条尚志,日本複合材料学会誌,2007年,Vol.33, No.4,p.141-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
B29C 70/00- 70/88
B29K101/10,105/08
B29L 9/00
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する、複合層(X)及び複合層(Y)を含有する積層板であり、
複合層(X)の層数が、複合層(Y)の層数よりも多く、
前記積層板の両面の最表層が複合層(Y)であり、
前記両面の最表層である複合層(Y)中における前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量が60質量%以下であり、
前記両面の最表層である複合層(Y)が含有する前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物中における無機充填材の含有量が、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物100質量部中、50質量部以上であり、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維が、前記第1のガラス繊維よりも、25℃における引張弾性率が高いものである、積層板。
【請求項2】
前記第1のガラス繊維の25℃における引張弾性率が、80GPa未満であり、
前記第2のガラス繊維の25℃における引張弾性率が、80GPa以上である、請求項1に記載の積層板。
【請求項3】
繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する、複合層(X)及び複合層(Y)を含有する積層板であり、
複合層(X)の層数が、複合層(Y)の層数よりも多く、
前記積層板の両面の最表層が複合層(Y)であり、
前記両面の最表層である複合層(Y)中における前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量が60質量%以下であり、
前記両面の最表層である複合層(Y)が含有する前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物中における無機充填材の含有量が、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物100質量部中、50質量部以上であり、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いものである、積層板。
【請求項4】
前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、80質量%未満であり、
前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、80質量%以上である、請求項3に記載の積層板。
【請求項5】
前記第1のガラス繊維が、Eガラスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項6】
前記第2のガラス繊維が、Sガラスである、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項7】
複合層(X)の層数と、複合層(Y)の層数との差〔複合層(X)-複合層(Y)〕が、2層以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項8】
複合層(X)の層数と、複合層(Y)の層数との差〔複合層(X)-複合層(Y)〕が、6層以上である、請求項7に記載の積層板。
【請求項9】
複合層(Y)の層数が、2層である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項10】
前記両面の最表層である複合層(Y)中における前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量が20~60質量%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項11】
前記両面の最表層である複合層(Y)が含有する前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物中における無機充填材の含有量が、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物100質量部中、50~70質量部である、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層板。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の積層板を含有してなるプリント配線板。
【請求項13】
請求項12に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載の積層板を製造する方法であって、
前記第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(a)と、
前記第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(b)と、
を積層成形する、積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層板、プリント配線板、半導体パッケージ及び積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化及び高性能化により、プリント配線板の配線密度の高度化及び高集積化が進展し、これに伴って、プリント配線板に対する信頼性向上の要求が強まっている。特に、半導体パッケージでは、小型化及び薄型化に伴い、部品実装時及びパッケージ組み立て時における反りの発生が大きな課題となっている。
【0003】
半導体パッケージが反る要因の1つとして、半導体素子と該半導体素子を搭載するプリント配線板との熱膨張率の差が挙げられる。一般的にプリント配線板の熱膨張率は、半導体素子の熱膨張率よりも大きいため、半導体素子を実装する際の加熱等の熱履歴を受けたパッケージには、上記熱膨張率差に起因する反り応力が発生する。そのため、半導体パッケージの反りを抑制する方法としては、プリント配線板の熱膨張率を小さくして半導体素子の熱膨張率との差を小さくする方法、プリント配線板を高弾性率化して剛性を高める方法等が有効である。
【0004】
プリント配線板の積層板としては、熱硬化性樹脂組成物をガラスクロス等の繊維基材に含浸又は塗工して得られるプリプレグを、積層して加熱硬化したものが一般的に用いられている。プリプレグに含有される樹脂成分は、プリプレグを構成する材料の中でも熱膨張率が高く弾性率が低いため、シリカ等の無機充填材を高充填化することによって、高弾性率化及び低熱膨張化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、無機充填材の高充填化は、絶縁信頼性、銅箔との接着性、プレス加工性等を低下させる虞れがあるため、これらの性能を担保する観点から、無機充填材の高充填化のみによる積層板の高弾性率化及び低熱膨張化には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-148343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
積層板を高弾性率化及び低熱膨張化する別の方法として、繊維基材の材質を、より熱膨張率が低く弾性率が高いものとする方法が考えられる。
しかしながら、本発明者等の検討によると、繊維基材の熱膨張率を低くし、弾性率を高くすると、得られる積層板は、ドリル加工性が悪くなる傾向にあることが判明している。ドリル加工性の悪化は、穴開け加工時に樹脂とガラスクロスの界面にクラックが発生する要因となり、その影響によって絶縁信頼性の低下を招くことになる。
したがって、単純に繊維基材の熱膨張率及び弾性率を調整するのみでは、ドリル加工性を良好に保ったまま、積層板を高弾性率化及び低熱膨張化することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、高弾性率及び低熱膨張性を有しながらもドリル加工性に優れる積層板、及び該積層板を用いたプリント配線板、半導体パッケージ及び積層板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[14]に関する。
[1]繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する複合層を2層以上含有する積層板であり、
前記2層以上の複合層が、1層以上の複合層(X)と、1層以上の複合層(Y)と、を含有し、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維が、前記第1のガラス繊維よりも、25℃における引張弾性率が高いものである、積層板。
[2]前記第1のガラス繊維の25℃における引張弾性率が、80GPa未満であり、
前記第2のガラス繊維の25℃における引張弾性率が、80GPa以上である、上記[1]に記載の積層板。
[3]繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する複合層を2層以上含有する積層板であり、
前記2層以上の複合層が、1層以上の複合層(X)と、1層以上の複合層(Y)と、を含有し、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いものである、積層板。
[4]前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、80質量%未満であり、
前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、80質量%以上である、上記[3]に記載の積層板。
[5]前記第1のガラス繊維が、Eガラスである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層板。
[6]前記第2のガラス繊維が、Sガラスである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の積層板。
[7]前記複合層(X)の層数が、前記複合層(Y)の層数よりも多い、上記[1]~[6]のいずれかに記載の積層板。
[8]前記複合層(X)を1層以上、前記複合層(Y)を2層以上含有する積層板であり、
少なくとも1層の複合層(X)が、2層の複合層(Y)の間に配されてなる、上記[1]~[7]のいずれかに記載の積層板。
[9]前記複合層(X)を1層以上、前記複合層(Y)を2層以上含有する積層板であり、
該積層板の両面の最表層が前記複合層(Y)である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の積層板。
[10]前記複合層(X)を1層以上、前記複合層(Y)を2層含有する積層板であり、
該積層板の両面の最表層が前記複合層(Y)である、上記[9]に記載の積層板。
[11]前記複合層(X)を2層以上含有する、上記[9]又は[10]に記載の積層板。
[12]上記[1]~[11]のいずれかに記載の積層板を含有してなるプリント配線板。
[13]上記[12]に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
[14]上記[1]~[12]のいずれかに記載の積層板を製造する方法であって、
前記第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(a)と、
前記第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(b)と、
を積層成形する、積層板の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、高弾性率及び低熱膨張性を有しながらもドリル加工性に優れる積層板、及び該積層板を用いたプリント配線板、半導体パッケージ及び積層板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複合層の断面を示す模式図である。
図2】サンドイッチ積層部の例を示す模式図である。
図3】サンドイッチ積層部の別の例を示す模式図である。
図4】本実施形態の積層板の一例を示す模式図である。
図5】本実施形態の積層板の別の例を示す模式図である。
図6】本実施形態の積層板の別の例を示す模式図である。
図7】本実施形態の積層板の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
【0012】
[積層板]
本発明は、下記〔1〕に示す第1実施形態の積層板(以下、「積層板(1)」ともいう)、及び下記〔2〕に示す第2実施形態に係る積層板(以下、「積層板(2)」ともいう)を提供する。
【0013】
〔1〕繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する複合層を2層以上含有する積層板であり、
前記2層以上の複合層が、1層以上の複合層(X)と、1層以上の複合層(Y)と、を含有し、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維が、前記第1のガラス繊維よりも、25℃における引張弾性率が高いものである、積層板。
【0014】
〔2〕繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する複合層を2層以上含有する積層板であり、
前記2層以上の複合層が、1層以上の複合層(X)と、1層以上の複合層(Y)と、を含有し、
複合層(X)が、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する層であり、
複合層(Y)が、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する層であり、
前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いものである、積層板。
【0015】
なお、以下の説明は、特に断らない限り、本実施形態の積層板(1)及び積層板(2)に共通する説明であり、単に「積層板」と称する場合、本実施形態の積層板(1)及び積層板(2)の両者を指すものとする。
【0016】
本実施形態の積層板が、高弾性率及び低熱膨張性を有しながらもドリル加工性に優れる積層板である理由は定かではないが、次のように推測される。なお、以下の作用機序は推測であって、本実施形態に係る積層板が本発明の効果を奏する機序を限定するものではない。
ガラス繊維の弾性率又はSiO及びAlの合計含有量は、該ガラス繊維が構成する繊維基材の弾性率及び熱膨張率を決定する因子の1つであり、弾性率が高い又はSiO及びAlの合計含有量が高い第2のガラス繊維から構成される繊維基材は、高弾性率及び低熱膨張性を有する複合層(Y)を与える。積層板全体の弾性率及び熱膨張率に対しては、高弾性率及び低熱膨張性を有する複合層(Y)の影響が大きく、複合層(Y)の適用によって、複合層(X)のみの場合から、積層板は効果的に高弾性率化及び低熱膨張化する。
一方、ドリル加工性は、低弾性率及び/又はSiO及びAlの合計含有量が低い複合層(X)の層数に応じて良好になり、複合層(X)及び複合層(Y)を含有する積層板は、弾性率及び熱膨張率が複合層(Y)に近く、且つドリル加工性は複合層(X)の層数に応じて良好なものとなると考えられる。
以下、本実施形態の積層板が有する各部材について説明する。
【0017】
<複合層>
本実施形態の積層板は、繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とを含有する複合層を2層以上含有する。
なお、本実施形態における複合層の数は整数値である。したがって、例えば、2層以上16層以下の複合層とは、2~16の数値範囲に含まれる整数値であり、この場合、複合層の数の下限値及び上限値は、数値範囲に含まれる整数値を用いて任意に組み合わせられる。
また、本実施形態における1層の複合層とは、1層の繊維基材と該繊維基材中に含有される熱硬化性樹脂組成物の硬化物とからなる複合層を意味する。
また、1層の繊維基材とは、熱硬化性樹脂組成物と複合化する前に1枚のシートとして取り扱えるものであり、繊維同士の絡み合い、繊維用の結合剤等によって、繊維が一体となった、間隙を有するシート状の基材である。
本実施形態の積層板(1)は、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する複合層(X)と、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する複合層(Y)を含有し、前記第2のガラス繊維が、前記第1のガラス繊維よりも、25℃における引張弾性率が高いものである。
本実施形態の積層板(2)は、第1のガラス繊維から構成される第1の繊維基材を含有する複合層(X)と、第2のガラス繊維から構成される第2の繊維基材を含有する複合層(Y)を含有し、前記第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いものである。
図1には、本実施形態の積層板が含有する複合層の一例の断面模式図が示されている。
図1に示す通り、複合層1は、繊維基材2と、熱硬化性樹脂組成物の硬化物3と、を含有するものである。
複合層1において、繊維基材2は、ガラス繊維(単繊維)を集束してなるストランドに撚りをかけたヤーンを、経糸2aと緯糸2bとして交織してなるガラスクロスである。
繊維基材と熱硬化性樹脂組成物の好適な態様は後述する通りである。
【0018】
<積層板の構成>
本実施形態の積層板が含有する複合層の合計層数は、積層板の用途に応じて適宜調整すればよいが、積層板の機械強度を良好にする観点からは、3層以上が好ましく、4層以上がより好ましい。また、複合層の合計層数は、プリント配線板の小型化及び積層板の加工性等の観点からは、20層以下が好ましく、18層以下がより好ましく、16層以下がさらに好ましい。
【0019】
本実施形態の積層板が含有する複合層(X)の層数は、特に限定されないが、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、2層以上が好ましい。また、複合層(X)の層数は、プリント配線板の小型化及び積層板の加工性等の観点からは、16層以下が好ましく、14層以下がより好ましい。
本実施形態の積層板中に占める複合層(X)の体積比率は、特に限定されないが、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、50体積%以上が好ましい。また、複合層(X)の体積比率は、プリント配線板の小型化及び積層板の加工性等の観点からは、95体積%以下が好ましく、90体積%以下がより好ましく、88体積%以下がさらに好ましい。
【0020】
本実施形態の積層板が含有する複合層(Y)の層数は、特に限定されないが、積層板の高弾性率化及び低熱膨張化の観点からは、1層以上が好ましく、2層以上がより好ましい。また、複合層(Y)の層数は、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、6層以下が好ましく、5層以下がより好ましく、4層以下がさらに好ましい。
本実施形態の積層板中に占める複合層(Y)の体積比率は、特に限定されないが、積層板の高弾性率化及び低熱膨張化の観点からは、5体積%以上が好ましく、10体積%以上がより好ましく、12体積%以上がさらに好ましい。また、複合層(Y)の体積比率は、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、50体積%以下が好ましい。
【0021】
本実施形態の積層板が含有する複合層(X)の層数は、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、複合層(Y)の層数よりも多いことが好ましい。
複合層(X)の層数と、複合層(Y)の層数との差〔複合層(X)-複合層(Y)〕は、特に限定されないが、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、1層以上が好ましく、2層以上がより好ましい。また、上記層数の差は、プリント配線板の小型化及び積層板の加工性等の観点からは、15層以下が好ましく、14層以下がより好ましい。
【0022】
本実施形態の積層板が含有する複合層の一層当たりの厚さは、特に限定されないが、絶縁信頼性、加工性等の観点からは、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましく、0.025mm以上がさらに好ましい。また、複合層の一層当たりの厚さは、プリント配線板の薄型化の観点からは、0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。
【0023】
本実施形態の積層板の厚さは、特に限定されないが、積層板の機械強度、加工性等の観点からは、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。また、積層板の厚さは、プリント配線板の薄型化の観点からは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましく、1.6mm以下が特に好ましい。
なお、上記積層板の厚さには、後述する任意で設けてもよい外層の金属箔等の厚さは含めないものとする。
【0024】
本実施形態の積層板は、複合層(X)を1層以上、複合層(Y)を2層以上含有し、少なくとも1層の複合層(X)が、2層の複合層(Y)の間に配されてなる積層部(以下、「サンドイッチ積層部」ともいう)を少なくとも一部に有することが好ましい。
【0025】
図2及び図3に、サンドイッチ積層部の一例を示す。
図2に示すサンドイッチ積層部4Aは、2層の複合層(Y)の間に1層の複合層(X)が配された構成を有する。
図3に示すサンドイッチ積層部4Bは、2層の複合層(Y)の間に10層の複合層(X)が配された構成を有する。
【0026】
サンドイッチ積層部において、両側2層の複合層(Y)の間に配される複合層(X)の層数は、特に限定されないが、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、2層以上が好ましく、また、プリント配線板の小型化及び積層板の加工性等の観点からは、16層以下が好ましく、14層以下がより好ましい。
【0027】
本実施形態の積層板は、サンドイッチ積層部を、積層板の少なくとも一部に有することが好ましく、サンドイッチ積層部のみから構成されるものであってもよい。
サンドイッチ積層部を、積層板の少なくとも一部に有するものの例としては、例えば、サンドイッチ積層部を構成する両側又は片側の複合層(Y)よりも、外側に複合層(X)及び複合層(Y)からなる群から選択される1層以上を有するものが挙げられる。
図4及び図5に、サンドイッチ積層部を積層板の一部に有するものの一例を示す。
図4には、サンドイッチ積層部4Bを構成する両側の複合層(Y)よりも外側に1層ずつの複合層(Y)を有する積層板10が示されている。
図5には、サンドイッチ積層部4Bを構成する両側の複合層(Y)よりも外側に1層ずつの複合層(X)を有する積層板11が示されている。
サンドイッチ積層部のみから構成されるものの例としては、例えば、図2及び図3に示されるサンドイッチ積層部4A又は4Bのみから構成される積層板等が挙げられる。
【0028】
本実施形態の積層板は、複合層(Y)を2層以上含有する積層板であり、該積層板の両面の最表層が複合層(Y)であることが好ましい。
このとき、両側の最表層の複合層(Y)の間に配される複合層は、少なくとも1層の複合層(X)を含有するものであればよく、1層以上の複合層(X)と1層以上の複合層(Y)との組み合わせであってもよいが、1層以上の複合層(X)のみであることが好ましい。
すなわち、本実施形態の積層板は、複合層(X)を1層以上、複合層(Y)を2層のみ含有する積層板であり、該積層板の両側の最表層が複合層(Y)であることが好ましい(以下、当該態様を「サンドイッチ積層板」とも称する。サンドイッチ積層板は、上記したサンドイッチ積層部のみから構成される積層板に相当するものである)。
【0029】
サンドイッチ積層板において、両側2層の複合層(Y)の間に配される複合層(X)の層数は、上記したサンドイッチ積層部における好ましい範囲と同じである。
また、最表層の複合層(Y)1層が、本実施形態の積層板中に占める体積比率は、特に限定されないが、積層板の高弾性率化及び低熱膨張化の観点からは、3体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましく、6体積%以上がさらに好ましく、また、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好にする観点からは、25体積%以下が好ましい。
【0030】
図6に、サンドイッチ積層板の一例を示す。
図6に示すサンドイッチ積層板12は、両側2層の複合層(Y)の間に12層の複合層(X)が配された構成を有する。
【0031】
本実施形態の積層板において、複合層(X)を2層以上含有する場合、2層以上の複合層(X)同士は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
また、本実施形態の積層板において、複合層(Y)を2層以上含有する場合、2層以上の複合層(Y)同士は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
例えば、図3に示したサンドイッチ積層部4A、及び図6に示したサンドイッチ積層板12の場合、両側2層の複合層(Y)同士は、厚さ等の構造、弾性率等の物性、組成などが互いに同一であっても異なっていてもよい。同様に、両側2層の複合層(Y)の間に配された2層以上の複合層(X)同士は、厚さ等の構造、弾性率等の物性、組成などが互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
以上の積層板の構成は本実施形態の積層板の一例であり、本発明はこれらの構成を有する積層板に限定されるものではない。
次に、本実施形態の複合層を構成する材料の好適な態様について説明する。
【0033】
<繊維基材>
繊維基材の形状としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用でき、例えば、経糸と緯糸が交織されてなる織布(すなわち、ガラスクロス)、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状が挙げられる。これらの中でも、繊維基材はガラスクロスであることが好ましい。
繊維基材は、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性、加工性等の面から好適である。
【0034】
繊維基材の厚さは、特に限定されないが、絶縁信頼性、加工性等の観点からは、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましく、0.025mm以上がさらに好ましい。また、繊維基材の厚さは、プリント配線板の薄型化の観点からは、0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。
【0035】
<ガラス繊維>
次に、繊維基材を構成するガラス繊維について説明する。
なお、以下の説明は、特に断らない限り、第1のガラス繊維及び第2のガラス繊維に共通する説明であり、単に「ガラス繊維」と称する場合、第1のガラス繊維及び第2のガラス繊維の両者を指すものとする。
【0036】
ガラス繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、数10~数100本が集束されストランド又はストランドに撚りをかけたヤーンとして用いられることが好ましく、本実施形態に用いる繊維基材は、上記ヤーンを経糸と緯糸として交織してなるガラスクロスであることが好ましい。
ガラス繊維の単繊維径は、特に限定されないが、2~12μmが好ましく、4~10μmがより好ましい。
ガラス繊維の集束本数は、特に限定されないが、40~1000本が好ましく、50~400本がより好ましい。
【0037】
(ガラス繊維の引張弾性率)
本実施形態の積層板(1)においては、第2のガラス繊維は、第1のガラス繊維よりも25℃における引張弾性率(以下、単に「引張弾性率」と記載する場合は、25℃における引張弾性率を示す。)が高いものであり、本実施形態の積層板(2)においても、第2のガラス繊維は、第1のガラス繊維よりも引張弾性率が高いことが好ましい。
【0038】
ガラス繊維の引張弾性率は、特に限定されないが、第1のガラス繊維の引張弾性率は、80GPa未満が好ましく、第2のガラス繊維の引張弾性率は、80GPa以上が好ましい。第1及び第2のガラス繊維の引張弾性率が上記範囲であると、得られる積層板は、より一層、低熱膨張性及び高弾性率を有しながらも、ドリル加工性及び絶縁信頼性に優れるものとなる。
【0039】
上記と同様の観点から、第1のガラス繊維の引張弾性率は、78GPa未満が好ましく、76GPa未満がより好ましく、74GPa未満がさらに好ましく、また、積層板を高弾性率化する観点からは、50GPa以上が好ましく、60GPa以上がより好ましく、70GPa以上がさらに好ましい。
また、上記と同様の観点から、第2のガラス繊維の引張弾性率は、82GPa以上が好ましく、84GPa以上がより好ましく、85GPa以上がさらに好ましく、また、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好に保つ観点からは、110GPa以下が好ましく、100GPa以下がより好ましく、90GPa以下がさらに好ましい。
なお、ガラス繊維の25℃における引張弾性率は、例えば、モノフィラメントを測定対象としてテンシロンを用いて公知の引張弾性率の測定方法によって測定することができる。
【0040】
(ガラス繊維の組成)
本実施形態の積層板(2)においては、第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いものであり、本実施形態の積層板(1)においても、第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が、前記第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量よりも高いことが好ましい。
【0041】
第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量は、特に限定されないが、80質量%未満が好ましく、第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量は、80質量%以上が好ましい。第1及び第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量が上記範囲であると、得られる積層板は、より一層、低熱膨張性及び高弾性率を有しながらも、ドリル加工性及び絶縁信頼性に優れるものとなる。
【0042】
上記と同様の観点から、第1のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量は、78質量%未満が好ましく、76質量%未満がより好ましく、74質量%未満がさらに好ましく、また、積層板を高弾性率化及び低熱膨張化する観点からは、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
また、上記と同様の観点から、第2のガラス繊維中におけるSiO及びAlの合計含有量は、82質量%以上が好ましく、また、ドリル加工性及び絶縁信頼性を良好に保つ観点からは、96質量%以下が好ましく、94質量%以下がより好ましく、92質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましい。
【0043】
第1のガラス繊維は、上記SiO及びAlの合計含有量を充足し、且つ、Alの含有量は、20質量%未満が好ましく、5~18質量%がより好ましく、10~17質量%がさらに好ましい。
第2のガラス繊維は、上記SiO及びAlの合計含有量を充足し、且つ、Alの含有量は、20質量%以上が好ましく、20~30質量%がより好ましく、20~25質量%がさらに好ましい。
【0044】
ガラス繊維は、SiO及びAl以外にも、Fe、B、CaO、MgO、NaO、KO、LiO、TiO、ZnO、ZrO、F等のその他の成分を含有していてもよい。ガラス繊維が含有するSiO及びAl以外の成分は、上記その他の成分のうちの1種以上であることが好ましい。
これらの中でも、第1のガラス繊維は、上記SiO及びAlの合計含有量を充足し、且つ、MgOの含有量は、8質量%未満が好ましく、7質量%未満がより好ましい。また、第2のガラス繊維は、上記SiO及びAlの合計含有量を充足し、且つ、MgOの含有量は、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0045】
(ガラス繊維の熱膨張率)
ガラス繊維の熱膨張率は、特に限定されないが、第2のガラス繊維の熱膨張率は、4.0ppm/℃未満であることが好ましい。第2のガラス繊維の熱膨張率が上記範囲であると、得られる積層板は、より一層、低熱膨張性及び高弾性率を有しながらも、ドリル加工性及び絶縁信頼性に優れるものとなる。同様の観点から、第2のガラス繊維の熱膨張率は、3.8ppm/℃未満が好ましく、3.5ppm/℃未満がより好ましく、3.0ppm/℃未満がさらに好ましく、また、他の物性とのバランスを考慮して、2.0ppm/℃以上であってもよく、2.5ppm/℃以上であってもよい。
【0046】
第1のガラス繊維の熱膨張率も、積層板の熱膨張率を低くする観点から小さい程好ましく、6.5ppm/℃未満が好ましく、6.0ppm/℃未満がより好ましく、5.7ppm/℃未満がさらに好ましい。一方、第1のガラス繊維の熱膨張率はその組成、他の物性とのバランスを考慮すると、第2のガラス繊維の熱膨張率よりも大きくなる傾向にある。そのような観点からは、第1のガラス繊維の熱膨張率は、4.0ppm/℃以上であってもよく、4.5ppm/℃以上であってもよく、5.0ppm/℃以上であってもよく、5.3ppm/℃以上であってもよい。
【0047】
(ガラス繊維の種類)
繊維基材を構成するガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、Aガラス、Hガラス、石英ガラス等が挙げられ、これらの中から、上記した第1のガラス繊維、第2のガラス繊維として好ましい物性、組成等を考慮して、適宜選択すればよい。
【0048】
なお、Eガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラスの代表的な組成は次の通りである。
Eガラス:SiO(52~56質量%)、Al(12~16質量%)、Fe(0~0.8質量%)、B(5~10質量%)、CaO(16~25質量%)、MgO(0~6質量%)、NaO+KO(0~2質量%)、TiO(0~1.5質量%)、F(0~1質量%)
Sガラス:SiO(62~65質量%)、Al(20~25質量%)、CaO(0~0.01質量%)、MgO(10~15質量%)、B(0~0.01質量%)、NaO及びKO(0~1質量%)
Cガラス:SiO(65質量%)、Al(4質量%)、B(5質量%)、CaO(7質量%)、MgO(3質量%)、NaO(11質量%)、KO(1質量%)、LiO(0.5質量%)、ZnO(3.5質量%)
Dガラス:SiO(74質量%)、Al(0.5質量%)、B(22質量%)、CaO(0.5質量%)、NaO(1質量%)、KO(1.5質量%)、LiO(0.5質量%)、
Tガラス:SiO(64~66質量%)、Al(24~26質量%)、MgO(9~11質量%)
NEガラス:SiO(52~56質量%)、CaO(0~10質量%)、Al(10~15質量%)、B(15~20質量%)、MgO(0~5質量%)、NaO+KO(0~1質量%)、TiO(0.5~5質量%)
【0049】
これらの材質を有するガラス繊維の中でも、第1のガラス繊維は、Eガラスであることが好ましく、第2のガラス繊維は、Sガラスであることが好ましい。
すなわち、本実施形態の積層板に用いる第1の繊維基材は、Eガラス繊維から構成される繊維基材であることが好ましく、第2の繊維基材は、Sガラス繊維から構成される繊維基材であることが好ましい。
また、第1の繊維基材は、Eガラス繊維から構成されるガラスクロス(以下、「Eガラスクロス」ともいう)であることがより好ましく、第2の繊維基材は、Sガラス繊維から構成されるガラスクロス(以下、「Sガラスクロス」ともいう)であることがより好ましい。
Eガラスクロス及びSガラスクロスは、各々、Eガラス繊維及びSガラス繊維以外のガラス繊維を含有していてもよいが、その含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、含有していないことが特に好ましい。
【0050】
<熱硬化性樹脂組成物>
複合層の形成に用いられる熱硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂を含有するものであれば特に制限されず、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材等を含有していてもよい。以下、熱硬化性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0051】
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
〔変性シリコーン樹脂〕
変性シリコーン樹脂は、第1級アミノ基を有するシロキサン化合物(A)(以下、「シロキサン化合物(A)」ともいう)と、1分子中に少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(B)(以下、「マレイミド化合物(B)」ともいう)とを反応させてなるものが好ましく、さらに、酸性置換基を有するアミン化合物(C)及び1分子中に少なくとも2個の第1級アミノ基を有するアミン化合物(D)(以下、「アミン化合物(D)」ともいう)からなる群から選択される1種以上を反応させてなるものがより好ましい。
【0053】
-シロキサン化合物(A)-
シロキサン化合物(A)は、第1級アミノ基を有するシロキサン化合物であり、下記一般式(A-1)で表される化合物が好ましい。
【0054】
【化1】

(式中、R~Rは、各々独立に、炭素数1~5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、X及びXは、各々独立に、2価の有機基を示す。nは、2~100の整数を示す。)
【0055】
上記一般式(A-1)中、R~Rが示す炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
~Rが示す置換フェニル基の置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、水酸基、アミノ基、ビニル基、カルボキシ基等が挙げられる。
及びXが示す2価の有機基としては、炭素数1~5のアルキレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、1,3-トリメチレン基が好ましい。
シロキサン化合物(A)のアミン当量は、500~3,000g/molが好ましく、600~2,000g/molがより好ましく、700~1,500g/molがさらに好ましい。
【0056】
-マレイミド化合物(B)-
マレイミド化合物(B)は、1分子中に少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物であり、下記一般式(B-1)~(B-4)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0057】
【化2】

(式中、R11~R13は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を示す。X11は、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、-O-又はスルホニル基を示す。p、q及びrは、各々独立に、0~4の整数である。mは、0~10の整数である。)
【0058】
上記一般式(B-1)~(B-4)中、R11~R13が示す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(A-1)中のRと同じものが挙げられる。
11が示す炭素数1~5のアルキレン基としては、上記一般式(A-1)中のXと同じものが挙げられる。
11が示す炭素数2~5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
【0059】
マレイミド化合物(B)としては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。これらの中でも、ビス(4-マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
【0060】
-酸性置換基を有するアミン化合物(C)-
酸性置換基を有するアミン化合物(C)としては、下記一般式(C-1)で表されるアミン化合物が好ましい。
【0061】
【化3】

(式中、R21は、各々独立に、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示す。R22は、各々独立に、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。xは1~5の整数、yは0~4の整数であり、且つ、1≦x+y≦5を満たす。)
【0062】
上記一般式(C-1)中、R21が示す炭素数1~5のアルキル基としては、上記一般式(A-1)中のRと同じものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0063】
酸性置換基を有するアミン化合物(C)としては、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、3,5-ジヒドロキシアニリン、3,5-ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び反応性の観点から、m-アミノフェノール、p-アミノフェノールが好ましい。
【0064】
-アミン化合物(D)-
アミン化合物(D)は、1分子中に少なくとも2個の第1級アミノ基を有するアミン化合物(D)であり、下記一般式(D-1)~(D-3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0065】
【化4】

(式中、X13は、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、-O-、スルホニル基、ケト基、フルオレンジイル基又はフェニレンジオキシ基を示す。R14及びR15は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基又は水酸基を示す。s及びtは、各々独立に、0~4の整数である。X14~X16は、各々独立に、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、-O-又はスルホニル基を示す。)
【0066】
13~X16が示す炭素数1~5のアルキレン基及び炭素数2~5のアルキリデン基としては、上記一般式(B-2)のX11と同じものが挙げられる。
14及びR15が示す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(A-1)中のRと同じものが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
【0067】
アミン化合物(D)としては、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノ-3,3’-ビフェニルジオール、ベンゾグアナミン等が挙げられる。これらの中でも、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが好ましい。
【0068】
変性シリコーン樹脂は、上記(A)~(D)成分を、例えば、70~150℃で反応させることにより調製することができる、上記反応時には、必要に応じて、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等の有機溶媒;反応触媒などを用いてもよい。
【0069】
(各成分の使用量)
(A)~(D)成分の反応における各成分の使用量は、(A)成分、(C)成分及び(D)成分が有する第1級アミノ基の総和と、(B)成分のマレイミド基中の炭素-炭素二重結合基の総和との当量比〔C=C基/NH基〕は、0.1~10が好ましく、1~9がより好ましく、2~5がさらに好ましい。当量比が0.1以上であると、ゲル化及び耐熱性の低下を抑制でき、10以下であると、有機溶媒への溶解性及び耐熱性の低下を抑制できる。
(D)成分の使用量は、上記関係式を満たしつつ、(A)成分100質量部に対して、20~500質量部が好ましく、30~200質量部がより好ましく、40~100質量部がさらに好ましい。
(C)成分の使用量は、上記関係式を満たしつつ、(A)成分100質量部に対して、1~500質量部が好ましく、4~200質量部がより好ましく、7~100質量部がさらに好ましく、10~50質量部が特に好ましい。
【0070】
熱硬化性樹脂組成物中における変性シリコーン樹脂の含有量は、耐熱性、低吸水性及び熱膨張率の観点から、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部中、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、20~40質量部がさらに好ましい。
なお、本明細書において、「固形分」とは、溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。ここで、本明細書において室温とは25℃を示す。
【0071】
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物及びこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、難燃性の観点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0072】
熱硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、その含有量は、耐熱性、低吸水性及び熱膨張率の観点から、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部中、2~60質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましく、8~20質量部がさらに好ましい。
【0073】
(無機充填材)
無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び難燃性の観点から、シリカが好ましく、溶融シリカ(溶融球状シリカ)がより好ましい。
無機充填材の平均粒子径は、0.1~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましく、0.2~1μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、流動性を良好に保つことができ、また、10μm以下であると、粗大粒子に起因する不良の発生を抑制できる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
熱硬化性樹脂組成物が無機充填材を含有する場合、その含有量は、熱膨張率を低減し、弾性率を高める観点から、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部中、10~80質量部が好ましく、30~75質量部がより好ましく、50~70質量部がさらに好ましい。
【0075】
(硬化促進剤)
硬化促進剤としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;イミダゾール化合物及びその誘導体;有機リン系化合物;第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び難燃性の観点から、イミダゾール化合物及びその誘導体が好ましい。
硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、その含有量は、耐熱性及び難燃性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部中、0.1質量部以上が好ましく、また、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。
【0076】
熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、機能性樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、密着性向上剤及び有機溶媒からなる群から選択される1種以上を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
【0077】
熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグ等の製造に用い易いように、各成分が有機溶媒中に溶解又は分散されたワニスの状態であってもよい。
該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワニスの固形分濃度は、40~90質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましい。ワニスの固形分濃度が前記範囲内であると、塗工性を良好に保ち、熱硬化性樹脂組成物の含有量が適切なプリプレグを得ることができる。
【0078】
[積層板の製造方法]
本実施形態の積層板の製造方法は、
第1のガラス繊維から構成される繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(a)と、
第2のガラス繊維から構成される繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるプリプレグ(b)と、
を積層成形する、積層板の製造方法である。
本実施形態の積層板の製造方法に使用するガラス繊維、繊維基材、熱硬化性樹脂組成物等の態様は、上記した通りである。
【0079】
本実施形態の製造方法に用いるプリプレグ(a)及び(b)は、熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものであり、例えば、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸した後、100~200℃の温度で1~30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、製造することができる。
プリプレグ(a)及び(b)中における熱硬化性樹脂組成物由来の固形分含有量は、20~90質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0080】
次に、得られたプリプレグ(a)とプリプレグ(b)を所望する積層板の構成となるように適宜重ね、必要に応じて片面又は両面に、銅、アルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより、本実施形態の積層板を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。なお、本実施形態の積層板の片面又は両面に金属箔を配したものを金属張積層板と称し、その中でも、銅箔を配したものを銅張積層板と称する。
積層板を製造する際の成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、例えば、温度100~250℃、圧力0.2~10MPa、加熱時間0.1~5時間の条件とすることができる。
【0081】
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の積層板を含有してなるプリント配線板である。
本実施形態のプリント配線板は、例えば、本実施形態の積層板の表面に回路を形成して製造することができる。また、本実施形態の積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、プリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化することもできる。その後、ドリル加工又はレーザー加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経てプリント配線板を製造することができる。
【0082】
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板に半導体を搭載してなるものである。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等を搭載して製造することができる。
【実施例
【0083】
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
各例で得られたプリプレグ及び銅張積層板は、以下の方法で性能を測定及び評価した。
【0084】
[評価方法]
(1)熱膨張率
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除くことで、縦(X方向)5mm×横(Y方向)5mmの評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、商品名:TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析を行った。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
【0085】
(2)曲げ弾性率
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた50mm×25mmの評価基板を作製し、オリエンテック株式会社製の5トンテンシロンを用い、クロスヘッド速度1mm/分、スパン間距離20mmで測定した。
【0086】
(3)ドリル加工性
各例で得た銅張積層板を用いて、ドリル径0.15mm、回転数270krpm、送り速度1m/min、重ね枚数2枚、エントリーボード150μmアルミ板の条件にて2000穴の穴開け加工を実施し、以下の方法でドリルの切刃磨耗量を測定することによりドリル加工性を評価した。
穴開け前と穴開け後のドリル切刃部分を、ドリル中心軸上から走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S-4500)を用いて観察し、切刃先端の長軸方向の磨耗後退量を測定してドリル切刃磨耗量とした。
【0087】
[銅張積層板の製造]
実施例1
(銅張積層板1:図6に示す積層板の両面に銅箔を配した銅張積層板)
(1)ワニスの作製
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器に、シロキサンジアミン(東レダウコーニング株式会社製、商品名:X-22-161A、アミノ基の官能基当量:800g/mol)を19.4g、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンを13.0g、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミドを122.9g、p-アミノフェノールを4.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを240.0g投入し、115℃で反応させた後、樹脂濃度が60質量%となるように常圧濃縮を行い、さらに、90℃でシクロヘキサノンを53.3g添加して30分間撹拌することで、中間体ワニスを得た。
この中間体ワニス303.5gと、シリカのメチルイソブチルケトン溶液(平均粒子径0.25μmの球状シリカ700gを、7gの3-アミノプロピルトリメトキシシランを加えた300gのメチルイソブチルケトン溶液に撹拌しながら加えて作製したもの)601.0gと、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:C17Z)1.2gと、ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC-3000-H)65.6gと、を混合し、希釈溶媒としてメチルエチルケトンを追加して、固形分濃度65質量%の均一なワニスを得た。
【0088】
(2)プリプレグの作製
次に、上記ワニスを、0.1mmのEガラスクロス(25℃における引張弾性率72~75GPa、SiO及びAlの合計含有量が64~72質量%、熱膨張率が5.5ppm/℃)と0.1mmのSガラスクロス(25℃における引張弾性率85.3GPa、SiO及びAlの合計含有量が82~90質量%、熱膨張率が2.9ppm/℃)とに、それぞれ含浸塗工し、130℃で3分間加熱乾燥して、熱硬化性樹脂組成物由来の固形分含有量が48質量%である、Eガラスクロスを含有するプリプレグと、Sガラスクロスを含有するプリプレグをそれぞれ得た。さらに、同様の手順で後述する積層板の作製に必要な枚数のプリプレグを作製した。
【0089】
(3)積層板の作製
次に上記でした作製したプリプレグを、両側の最表層1層ずつがSガラスクロスを含有するプリプレグ、内側12層がEガラスクロスを含有するプリプレグとなるように積層し、更に、その両側に、厚さ12μmの電解銅箔を配置して、圧力2.5MPa、温度240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板1を得た。
【0090】
実施例2
(銅張積層板2:図4に示す積層板の両面に銅箔を配した銅張積層板)
実施例1において、プリプレグの積層構成を、両側の最表層2層ずつがSガラスクロスを含有するプリプレグ、内側10層がEガラスクロスを含有するプリプレグとなるように積層したこと以外は、実施例1と同様にして銅張積層板2を得た。
【0091】
実施例3
(銅張積層板3:図7に示す積層板の両面に銅箔を配した銅張積層板)
実施例1において、プリプレグの積層構成を、Eガラスクロスを含有するプリプレグ6層、Sガラスクロスを含有するプリプレグ2層、Eガラスクロスを含有するプリプレグ6層との順になるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして銅張積層板3を得た。
【0092】
比較例1
(銅張積層板4:繊維基材としてEガラスクロスのみを含有する銅張積層板)
実施例1において、プリプレグの積層構成を、Eガラスクロスを含有するプリプレグ14層に変更したこと以外は、実施例1と同様にして銅張積層板4を得た。
【0093】
比較例2
(銅張積層板5:繊維基材としてSガラスクロスのみを含有する銅張積層板)
実施例1において、プリプレグの積層構成を、Sガラスクロスを含有するプリプレグ14層に変更したこと以外は、実施例1と同様にして銅張積層板5を得た。
【0094】
上記で作製した積層板の評価結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
表1より、本実施形態の実施例1~3の積層板は、Eガラスクロスのみを用いた比較例1の積層板と比べると、熱膨張率が効果的に低減し、熱膨張率、曲げ弾性率及びドリル加工性のバランスに優れていることが分かる。特に、実施例1及び2の積層板では、プリプレグの総数14層中、Sガラスクロスを2~4層のみしか使用していないにも関わらず、熱膨張率、及び曲げ弾性率が、Sガラスクロスのみの場合(比較例2)と同等か、Eガラスクロスのみ(比較例1)と、Sガラスクロスのみ(比較例2)のほぼ中央値を示しており、ドリル加工性も良好であることが分かる。
【符号の説明】
【0097】
(X) 複合層(X)
(Y) 複合層(Y)
1 複合層
2 繊維基材
2a 経糸
2b 緯糸
3 熱硬化性樹脂組成物の硬化物
4A、4B サンドイッチ積層部
10~13 積層板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7