(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】撮像素子、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20220906BHJP
【FI】
H04N5/369
(21)【出願番号】P 2021131589
(22)【出願日】2021-08-12
(62)【分割の表示】P 2020069823の分割
【原出願日】2016-09-27
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2015195284
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】船水 航
(72)【発明者】
【氏名】壽圓 正博
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/088644(WO,A1)
【文献】特開2010-268440(JP,A)
【文献】特開2002-033962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電流源回路からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶された電圧により生成される電流を供給する供給部とを有する複数の電流源回路と、
光を電荷に変換する光電変換部と前記光電変換部で変換された電荷に基づく信号を読み出すための読出回路とを含む画素と、前記供給部からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶された電圧により生成される電流を前記画素に供給する電流源と、を有する複数の画素回路と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記供給部は、前記第1記憶部に接続されるゲート端子を有するトランジスタを有する撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1記憶部は、前記ゲート端子に接続される電極と、接地電圧に接続される電極とにより構成されるコンデンサを有する撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記複数の電流源回路は、前記基準電流源回路から前記第1記憶部に供給される電流を調節する調節部を有する撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記調節部は、前記基準電流源回路と前記第1記憶部との間を接続するための複数のスイッチを有する撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記複数のスイッチは、前記基準電流源回路と前記第1記憶部との間において直列に接続されるように配置される撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記供給部が有するトランジスタのドレイン端子は、前記調節部が有するスイッチにより前記ゲート端子に接続される撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記複数の画素回路は、少なくとも行方向において並んで配置され、
前記複数の電流源回路は、前記画素回路ごとに配置される撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記複数の画素回路は、列方向において並んで配置される撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画素から読み出された信号を、単位画素セルまたは複数の画素をまとめたセル毎に並列処理することができる撮像装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様によると、撮像素子は、基準電流源回路からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶された電圧により生成される電流を供給する供給部とを有する複数の電流源回路と、光を電荷に変換する光電変換部と前記光電変換部で変換された電荷に基づく信号を読み出すための読出回路とを含む画素と、前記供給部からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶された電圧により生成される電流を前記画素に供給する電流源と、を有する複数の画素回路と、を備える。
【0005】
発明の第2の態様によると、撮像装置は、上記の撮像素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子3の構成を示すブロック図。
【
図3】第1の実施の形態に係る画素10の構成を示すブロック図。
【
図4】第1の実施の形態に係る電流源回路部120の構成を示す回路図。
【
図5】第1の実施の形態に係る電流源回路部120の動作例を示すタイミングチャート。
【
図6】(a)は、第1の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50の一部と、基準電流源回路31とを示す図。(b)は、第1の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50の一部と、基準電流源回路31との接続関係を示す図。
【
図7】第1の実施の形態に係る撮像装置1の長時間撮影時の動作例を示すタイミングチャート。
【
図8】第1の実施の形態に係る撮像装置1の長時間撮影時の他の動作例を示すタイミングチャート。
【
図9】第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の動作例を示すタイミングチャート。
【
図10】第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の他の動作例を示すタイミングチャート。
【
図11】第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の他の動作例を示すタイミングチャート。
【
図12】第3の実施の形態に係る撮像装置1の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、光学系2、撮像素子3、操作部4、制御部5、および長秒時露光設定部6を備える。光学系2は、撮像素子3に被写体からの光を射出する。撮像素子3は、光学系2から射出された光を撮像して、例えば、画像データを生成する。制御部5は、撮像素子3から出力された画像データに対して各種の画像処理を行う。また、制御部5は、撮像素子3の動作を制御するための制御信号を撮像素子3に出力する。なお、光学系2は、撮像装置1から着脱可能にしてもよい。
【0008】
操作部4は、撮影動作を開始させるレリーズ操作部材、光学系2のズーミング動作を開始させるズーム操作部材、各種の撮影モードを選択するモード選択操作部材などの各種操作部材を備える。操作部4は、各操作部材の操作に基づく操作信号を出力する。制御部5は、操作部4により出力される操作信号などに基づいて制御信号を生成し、撮像素子3などの撮像装置1の各部を制御する。
【0009】
長秒時露光設定部6は、長時間撮影(露光)、例えば1秒以上の露光時間を設定する。長秒時露光設定部6は、例えば、レリーズ操作部材の押し下げで露光を開始し、再度のレリーズ操作部材の押し下げで露光を終了するタイム撮影の設定部や、レリーズ操作部材の押し下げで露光開始し、押し下げ中は露光継続し、レリーズ操作部材の押し下げ終了で露光を終了するバルブ撮影の設定部や、被写体輝度に基づき自動的に長秒時の露光時間を設定する自動露出演算部や、手動操作によって長秒時の露光時間を設定する手動長秒時露光設定部などを含むものである。
【0010】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の構成を示すブロック図である。撮像素子3は、行列状に配置される複数の画素10と、画素10を制御する画素制御部11と、電流源回路部120とを備える。画素制御部11は、電荷蓄積時間制御部111と、バイアス電圧プリセット部112と、バイアス電圧リフレッシュ部113とを有する。
【0011】
電荷蓄積時間制御部111は、画素10の電荷蓄積時間を制御する。バイアス電圧プリセット部112は、レリーズ操作部材の操作に応じた操作信号に基づいて、バイアス電圧をプリセットさせる(詳細は後述する)。バイアス電圧リフレッシュ部113は、バイアス電圧をリフレッシュさせるためのリフレッシュタイミング信号を生成する(詳細は後述する)。
【0012】
画素10は、説明の便宜上、8行×10列に配置されている。即ち、画素10は、列方向(
図2において縦方向)に8個配置され、行方向(
図2において横方向)に10個配置されている。電流源回路部120は、1行に配置された画素10の個数10と同数の電流源回路50a-50jと、複数の電流源回路50に基準電流を供給する基準電流源I1を含む基準電流源回路31とを有する。
【0013】
図3は、第1の実施の形態に係る画素10の構成を示す回路図である。撮像素子3は、複数の画素10を有する。画素10は、光電変換部12および読出回路100を有する。光電変換部12は、撮像素子3の撮像領域において、例えば、行列状に配置される。光電変換部12は、入射した光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部12は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部12は、例えば、フォトダイオードにより構成される。読出回路100は、光電変換部12で光電変換された電荷により生成される画素信号を信号線17に読み出す。画素信号は、例えば、画像データを構成する。読出回路100は、転送部13と、排出部14と、フローティングディフュージョン15と、出力部16と、を有する。
【0014】
転送部13は、転送信号TXにより駆動され、光電変換部12で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン15に転送する。すなわち、転送部13は、光電変換部12およびフローティングディフュージョン15の間に電荷転送路を形成する。出力部16は、転送部13により光電変換部12からフローティングディフュージョン15に転送された電荷により生成された画素信号を信号線17に出力する。出力部16は、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、電源VDD、フローティングディフュージョン15および信号線17に接続されるトランジスタである。排出部14は、リセット信号RSTにより駆動され、フローティングディフュージョン15の電荷を排出する。フローティングディフュージョン15は、排出部14により電荷が排出されることで基準電位にリセットされる。
【0015】
電流源30は、信号線17により読出回路100に接続される。電流源30は、読出回路100により光電変換部12で光電変換された電荷により生成された画素信号を読み出すための電流を供給する。電流源30は、具体的には、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、信号線17、電流源回路50およびグランド(GND)に接続されるトランジスタである。電流源30は、読出回路100の出力部16に電流を供給する。すなわち、出力部16は、電流源30を負荷電流源としてソースフォロワ回路を構成する。電流源30は、電流源回路50からの電流に基づいて信号線17に供給する電流を生成する。また、電流源30は、ドレイン端子とゲート端子とが接続されている。
【0016】
次に、画素10の撮影動作、即ち、露光動作を説明する。レリーズ操作部材による撮影開始信号、即ち、レリーズ信号に応じて、電荷蓄積時間制御部111は、転送信号TX及びリセット信号RSTをハイレベルとする。転送トランジスタM1及びリセットトランジスタM2がオンすることで、光電変換部12の電荷とフローティングディフュージョン15の電荷とをそれぞれ排出してリセットさせる。電荷蓄積時間制御部111が転送信号TX及びリセット信号RSTをローレベル(例えばグランドレベル)にしてリセットを終了させると、光電変換部12は入射光に応じた電荷の蓄積を開始する、即ち、露光動作が開始される。
【0017】
所定の露光時間後に、電荷蓄積時間制御部111が転送信号TXをハイレベル(例えば電源VDDレベル)とする。転送トランジスタM1がオンすると、露光時間中に光電変換部12に蓄積された電荷がフローティングディフュージョン15に転送される。フローティングディフュージョン15に転送された電荷により生成される画素信号は、出力部16により信号線17に出力された後に、アナログ/デジタル変換回路(不図示)によってデジタル信号に変換される。このようにして、電荷蓄積時間制御部111は、転送信号TX及びリセット信号RSTによって画素10の電荷蓄積時間を制御する。
【0018】
アナログ/デジタル変換回路の一部を構成するコンパレータ回路は、画素信号と基準信号とを比較して生成される出力信号を、ラッチ回路に出力する。ラッチ回路は、コンパレータ回路の出力信号に基づいて、比較開始時からの経過時間に応じたカウント値を保持する。
【0019】
図4は、第1の実施の形態に係る電流源回路部120の構成を示す回路図である。
図4に示す例では、説明を簡略化するために、供給部130は3個(供給部130A-供給部130C)のみ図示している。
【0020】
基準電流源回路31は、基準電流源I1を有する。基準電流源I1は、電源VDDに接続され、基準電流i1を出力する。供給部130は、基準電流源I1から出力された基準電流i1に応じた電流を出力する。
【0021】
記憶回路110は、記憶部32と調節部33を有する。記憶回路110(記憶回路110A-記憶回路110C)は、基準電流源I1から出力される基準電流i1に基づく電圧を記憶部32により記憶する。記憶部32は、供給部130のゲート端子に接続され、記憶された電圧を供給部130に供給する。
【0022】
供給部130は、記憶部32に記憶された電圧に基づく電流を生成する。記憶部32は、例えば、一方の電極が供給部130のゲート端子に接続され、他方の電極がグランドに接続されたコンデンサなどの容量素子により構成される。記憶部32(記憶部32A-記憶部32C)は、
図4に示す例ではそれぞれコンデンサC1-コンデンサC3により構成される。
【0023】
調節部33は、基準電流源回路31から記憶部32に供給される電流を調節する。例えば、基準電流源I1から出力された電流に基づく電圧を記憶部32Aに記憶させる場合、基準電流源I1から記憶部32Bおよび記憶部32Cに供給される電流を、基準電流源I1から記憶部32Aに供給される電流よりも小さくなるように調節する。
【0024】
調節部33は、例えば、基準電流源回路31と記憶部32を接続するスイッチにより構成される。調節部33(調節部33A-調節部33C)は、それぞれスイッチSWS(SWS1-SWS3)と、スイッチSWD(SWD1-SWD3)と、スイッチSWO(SWO1-SWO3)とを含んで構成される。
【0025】
スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、例えば、トランジスタによりそれぞれ構成される。スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、画素制御部11により出力される制御信号により制御される。
【0026】
図5は、第1の実施の形態に係る調節部33の動作例を示すタイミングチャートである。
図5において、SWS1-SWS3、SWD1-SWD3、SWO1-SWO3は、画素制御部11からスイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)に入力される制御信号を示す。また、縦軸は、画素制御部11から出力される制御信号の電圧レベルを示し、横軸は、時刻を示す。スイッチSWS(SWS1-SWS3)、スイッチSWD(SWD1-SWD3)およびスイッチSWO(SWO1-SWO3)は、入力される制御信号がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフとなる。
【0027】
時刻t1において、SWS1およびSWD1がハイレベルになる。スイッチSWD1がオンされることで、供給部130Aのゲート端子とドレイン端子が接続される。これにより、供給部130Aは、ダイオード接続となる。さらに、スイッチSWS1がオンされることで、基準電流源I1と、供給部130Aおよび記憶部32Aと、の間が接続される。これにより、供給部130Aおよび記憶部32Aに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。
【0028】
供給部130Aのゲートソース間電圧Vgsは、基準電流i1および供給部130Aの閾値電圧Vth1に基づく値となる。供給部130Aのゲート端子に印加される電圧Vg1は、供給部130Aのゲートソース間電圧Vgsに応じた値となり、基準電流i1と供給部130Aの閾値電圧Vth1とに基づく電圧となる。記憶部32Aは、基準電流i1により電圧Vg1が記憶される。
【0029】
時刻t2において、SWD1がローレベルになる。スイッチSWD1がオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Aとの間の接続が解除される。記憶部32Aには、供給部130Aのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。スイッチSWD1をスイッチSWS1よりも先にオフされることで、供給部130Aを介して記憶部32Aに記憶された電圧Vg1が降下することを防ぐことができる。
【0030】
時刻t3において、SWS1がローレベルになる。スイッチSWS1がオフされることで、基準電流源I1と供給部130Aとの間の接続が解除される。以下、同様にして、スイッチSWS2およびスイッチSWD2がオンされることで、基準電流源I1と、供給部130Bおよび記憶部32Bと、の間が接続される。これにより、供給部130Bおよび記憶部32Bに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。時刻t4-時刻t5において、スイッチSWD2及びスイッチSWS2がそれぞれローレベルになる。スイッチSWD2及びスイッチSWS2がそれぞれオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Bとの間の接続が解除される。記憶部32Bには、供給部130Bのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。
【0031】
時刻t5において、SWS3及びSWD3がハイレベルになる。スイッチSWS3およびスイッチSWD3がオンされることで、基準電流源I1と、供給部130Cおよび記憶部32Cと、の間が接続される。これにより、供給部130Cおよび記憶部32Cに基準電流源I1からの基準電流i1が供給される。時刻t6-時刻t7において、スイッチSWD3及びスイッチSWS3がそれぞれローレベルになる。スイッチSWD3及びスイッチSWS3がそれぞれオフされることで、基準電流源I1と記憶部32Cとの間の接続が解除される。記憶部32Cには、供給部130Cのゲートソース間電圧Vgsが記憶される。
【0032】
時刻t8において、SWO1-SWO3がハイレベルになる。スイッチSWO1-スイッチSWO3がオンされることで、供給部130A-供給部130Cは、それぞれのゲート端子に印加される電圧Vg1-電圧Vg3に基づく電流を生成して出力する。
【0033】
図6(a)は、第1の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31とを示す回路図である。
図6(b)は、第1の実施の形態に係る画素回路150の一部と、電流源回路50と、基準電流源回路31との接続関係を示す図である。
【0034】
図6(b)に示す例では、8行×10列の画素回路150を示している。各画素回路150は、画素10と、画素10毎に配置される電流源30と、電流源回路50からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶部132と、スイッチSWS2と、スイッチSWD2と、スイッチSWO2とを含んで構成される。複数の画素回路150の個数は、撮像素子3の画素10の個数と同数である。複数の電流源回路50の個数は、撮像素子3の画素回路150の列数と同数である。
図6(b)では、画素回路150の列数が10であるので、電流源回路50の個数は10(電流源回路50a-50j)として示している。なお、調節部33は、スイッチSWS1と、スイッチSWD1と、スイッチSWO1と、スイッチSWS2と、スイッチSWD2と、スイッチSWO2とから構成してもよい。また、記憶回路110は、第1記憶部(第1保持回路とも称する)32と、第2記憶部(第2保持回路とも称する)132と、調節部33と、供給部130とから構成してもよい。
【0035】
次に、電流源回路50と画素回路150との接続関係を説明する。
図6(b)において、左端に位置する電流源回路50aは、左端に位置する複数の画素回路150a1、150a2、150a3、150a4、150a5、150a6、150a7、150a8に接続される。即ち、左端の電流源回路50aは、左端列の複数の画素回路150のそれぞれに接続される。同様に、左端列の電流源回路50aの隣の電流源回路50bは、左端列の画素回路150a1-150a8の隣の列の複数の画素回路150b1-150b8のそれぞれに接続される。以下同様にして、右端に位置する電流源回路50jは、右端列の複数の画素回路150j1、150j2、150j3、150j4、150j5、150j6、150j7、150j8に接続される。
【0036】
電流源回路50と画素回路150との接続は、
図6(a)に示したように、画素回路150のスイッチSWS2と電流源回路50のスイッチSWO1とを接続することによって行われる。この接続によって、画素回路150の第2記憶部132のコンデンサC1は、スイッチSWD2、SWS2及びスイッチSWO1を介して、電流源回路50の供給部130に接続される。
【0037】
図6(b)に示した複数の電流源回路50は、例えば左端の電流源回路50aから右端の電流源回路50jに向かって、順次、基準電流源I1からの基準電流i1によって第1記憶部32のコンデンサC1が充電される。このコンデンサC1の充電は、スイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御によって行われる。なお、これらのスイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御は、
図5に示したスイッチSWS1及びSWD1のオンオフ制御とスイッチSWS2及びSWD2のオンオフ制御とスイッチSWS3及びSWD3のオンオフ制御と同様に行われる。
【0038】
上述のコンデンサC1の充電によって、第1記憶部32に基準電流i1に基づく電圧が記憶(保持)される。こうして、全ての電流源回路50a-50jにおいて、基準電流i1に基づく電圧の記憶が終了すると、全ての電流源回路50a-50jのスイッチSWO1が、
図5に示したスイッチSWO1-SWO3と同様に、同時にオンされる。このスイッチSWO1によって、全ての電流源回路50a-50jの供給部130は、基準電流i1に基づく電流を画素回路150a-150jに供給可能状態になる。供給部130は、第1記憶部32に記憶された電圧により生成された電流を供給する。この電流源回路50からの電流は、基準電流源I1からの基準電流i1と同一の電流、又は略同一の電流である。このようにして、各電流源回路50a-50jは、基準電流源I1の基準電流i1に基づく電流を生成して、画素回路150a-150jに供給することができる。
【0039】
次いで、最下行の複数の画素回路150a1-150j1の全てのスイッチSWS2、SWD2が、同時にオンされる。このオンにより、最下行の複数の画素回路150a1-150j1において、第2記憶部132のコンデンサC1が各電流源回路50a-50jの供給部130からの電流によって同時に充電され、第2記憶部132に電圧が記憶(保持)される。このようにして、最下行の複数の画素回路150a-150jの第2記憶部132は、それぞれ複数の電流源回路50a-50jからの電流に基づく電圧が同時に記憶される。
【0040】
その後に、下から2行目の複数の画素回路150a2-150j2の全ては、スイッチSWS2、SWD2が同時にオンされて、各電流源回路50a-50jの電流によって、第2記憶部132の電圧が同時に記憶される。以下同様にして、最上行の複数の画素回路150a8-150j8の第2記憶部132に、それぞれ電流源回路50a-50jからの電流に基づく電圧が同時に記憶される。第2記憶部132は、記憶された電圧(以下、バイアス電圧と記す)を電流源30に供給する。第2記憶部132に電圧が記憶された後に、スイッチSWO2がオンされることによって、電流源30は、第2記憶部132に記憶されたバイアス電圧に基づく電流を信号線17に供給する。
【0041】
以上のように、電流源回路50a-50jは、最上行まで各行毎に、画素回路150の第2記憶部132に電流源30のバイアス電圧を同時に記憶させて、全ての画素回路150にバイアス電圧をプリセットする。
【0042】
バイアス電圧プリセット部112は、レリーズ操作部材によるレリーズ操作の開始に応じて、露光動作の開始前に、上述のように電流源回路部120を駆動させて、全ての画素回路150の電流源30のバイアス電圧を初期設定、即ちプリセットする(以下、全画素バイアス電圧プリセットと記す)。
【0043】
バイアス電圧リフレッシュ部113は、バイアス電圧プリセット部112によってプリセットされたバイアス電圧を、露光動作中に再設定、即ちリフレッシュする(以下、バイアス電圧リフレッシュと記す)。なお、このリフレッシュ動作は、プリセットされたバイアス電圧が、第2記憶部132のコンデンサC1のリーク電流などにより変動した分を補償するものである。リフレッシュ動作は、バイアス電圧の変動分を補償するものであるため、プリセット時に必要な時間よりも短い時間で行うことができる。
【0044】
次に、本実施の形態の撮像装置1による長時間撮影動作を説明する。長秒時露光設定部6は、自動露出演算部または手動長秒時露光設定部により、例えば5秒程度の長時間撮影を設定する。
図7は、第1の実施の形態に係る撮像装置1の長時間撮影時の動作例を示すタイミングチャートである。レリーズ操作部材によるレリーズ操作に応じて、電流源回路50a-50jは、基準電流源I1からの基準電流i1が順次供給されて、基準電流i1に基づく電圧が記憶される。電流源回路50a-50jは、基準電流i1に基づく電流を供給可能状態になる。
【0045】
各画素回路150には、行毎に電流源回路50a-50jから電流が供給されて、行毎にバイアス電圧を順次記憶させる初期設定が行われる。全ての画素回路150へのバイアス電圧の記憶、即ち全画素バイアス電圧プリセットが完了すると、
図7に示す時刻t1において、画素制御部11は、リセット信号RST及び転送信号TXによりリセットトランジスタM2及び転送トランジスタM1をオンさせて、各画素10のフォトダイオード及びフローティングディフュージョン15の電荷をリセットさせる。時刻t2において、画素制御部11は、リセットを終了させて、露光動作、即ちフォトダイオードによる電荷蓄積を開始させる。
【0046】
バイアス電圧リフレッシュ部113は、露光時間及び露光開始時刻により、露光終了時刻、即ち画素信号の読み出し開始時刻を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、画素回路150の行毎のリフレッシュ時間と画素回路150の全行数とに基づいて、全画素回路150のリフレッシュ所要時間を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、さらに、画素信号の読み出し開始時刻とリフレッシュ所要時間とに基づいて、リフレッシュ開始時刻を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、リフレッシュ開始時刻に基づいて、画素信号の読み出し開始直前に、全ての画素回路150のバイアス電圧リフレッシュを完了させるリフレッシュタイミング信号を生成する。
【0047】
時刻t3において、露光動作中に、画素制御部11は、リフレッシュタイミング信号に基づいて、各電流源回路50及び画素回路150のスイッチSWS、SWD、SWOを駆動させる制御信号を出力する。各電流源回路50は、画素回路150の行毎に順次バイアス電圧リフレッシュを行う。画素制御部11は、画素信号の読み出し開始直前に、電流源回路部120に全ての画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュを完了させる。時刻t4において、画素制御部11は、転送信号TXにより各画素10のフォトダイオードに蓄積された電荷を読み出す。
【0048】
被写体輝度に基づき自動的に露光時間が設定される場合や、手動操作によって露光時間が設定される場合などのように露光終了時刻が予め決定される場合には、画素信号の読み出し直前に全画素回路150のリフレッシュが終了するように、リフレッシュ動作を行う。画素信号の読み出しは、その直前にリフレッシュされたバイアス電圧に基づく電流に基づいて行われるので、画素信号の読み出しの精度を向上させることができる。
【0049】
図8は、第1の実施の形態に係る撮像装置1の長時間撮影時の他の動作例を示すタイミングチャートである。長秒時露光設定部6は、タイム撮影の設定部やバルブ撮影の設定部により長時間撮影を設定する。
図8に示す例では、露光終了時刻が撮影者によって露光動作中に決定される場合の撮像装置1の動作例について説明する。
図8に示す例では、画素10による電荷蓄積の開始に応じて行毎にリフレッシュ動作を行い、全行についてリフレッシュ動作が終了すると、再度、行毎のリフレッシュ動作を行う。
【0050】
図8において、全画素バイアス電圧プリセットの後、時刻t1において、画素制御部11は、各画素10のフォトダイオードの電荷をリセットさせる。時刻t2において、画素制御部11は、リセットを解除させることで、各画素10において入射光に応じた電荷の蓄積が開始される。
【0051】
図8に示す例では、バイアス電圧リフレッシュ部113は、露光開始時刻に基づいて、画素回路150の行毎に順番に選択して、最上行の行を選択した後、最初の行に戻ってリフレッシュ動作を繰り返すリフレッシュタイミング信号を生成する。時刻t2において、画素制御部11は、リフレッシュタイミング信号に基づいて制御信号を出力し、画素回路150の行毎に順次バイアス電圧リフレッシュを行わせる。
【0052】
時刻t3において、全行の画素回路150についてリフレッシュ動作が終了すると、画素制御部11は、最初の行から再度リフレッシュ動作を開始させる。撮影者によって露光終了時刻が決定されることに応じて、時刻t4において、画素制御部11は、リフレッシュ動作を終了させた後、各画素10のフォトダイオードに蓄積された電荷を読み出す。
【0053】
上記の実施の形態では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路の電流源や、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0054】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線17に読み出す第1読出回路100と、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する第1記憶回路110と、第1記憶回路110に記憶された電圧により生成される電流を第1信号線17に供給する第1電流源30と、を備え、第1記憶回路110は、第1読出回路100により第1信号が第1信号線17に読み出されていないときに、基準電流源I1からの電流i1に基づく電圧を記憶する。このようにしたので、画素信号の読み出しタイミングに応じて第1記憶回路110に電圧を記憶させることができる。また、画素信号の読み出しは、その直前に記憶された電圧により生成される電流に基づいて行われるので、画素信号の読み出しの精度を向上させることができる。
【0055】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、撮像装置1で連続撮影(連写)を行う場合のバイアス電圧のリフレッシュ動作例について説明する。第2の実施の形態の撮像装置1は、
図1において、第1の実施の形態の撮像装置1に連続撮影モードを設定する連続撮影設定部7を追加した構成である。
図9は、第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の動作例を示すタイミングチャートである。
図9に示す例では、操作部材の操作信号などに基づいて連続撮影設定部7により連続撮影モードに設定されると、1フレーム撮影毎に1行ずつ各画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュを行う。
【0056】
図9に示す第2の実施の形態の撮像装置1の動作例を以下に説明する。連続撮影設定部7が連続撮影モードを設定した後に、レリーズ操作部材が操作されてレリーズ信号が出力されると、このレリーズ信号に応じてバイアス電圧プリセット部112は、
図9に示したように、第1の実施の形態と同様に全ての画素回路150のバイアス電圧を初期設定、即ちプリセットする。この全画素回路150のバイアス電圧のプリセットの終了後、画素制御部11は、時刻t1において、各画素10の光電変換部12の電荷とフローティングディフュージョン15の電荷とをそれぞれリセットして、時刻t2-t3で第1フレーム目の撮影動作、即ち、露光(電荷蓄積)動作及び画素信号の読み出し動作を行う。
【0057】
第1フレーム目の撮影が終了すると、第1フレームの撮影終了時刻t3と第2フレームの撮影開始時刻t4との間に、1行目の画素回路150a1-150j1のバイアス電圧のリフレッシュ動作が行われる。以下同様に、第2フレーム目の撮影と第3フレーム目の撮影との間t5-t6に2行目の画素回路150a2-150j2のバイアス電圧のリフレッシュ動作が行われ、第3フレーム目の撮影と第4フレーム目の撮影との間t7-t8に3行目の画素回路150a3-150j3のバイアス電圧のリフレッシュ動作が行われる。このように連続撮影の隣り合うフレームの撮影動作の間において、行毎の画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュ動作が連続撮影の終了まで行われる。
【0058】
図10は、第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の他の動作例を示すタイミングチャートである。
図10に示す例では、連続撮影設定部7により連続撮影モードに設定されると、1フレーム撮影毎に3行ずつ画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュを行う。
【0059】
図10に示す撮像装置1の動作例を以下に説明する。バイアス電圧プリセット部112は、レリーズ信号に応じて、第1の実施の形態と同様に全ての画素回路150のバイアス電圧をプリセットする。全ての画素回路150のバイアス電圧のプリセットの終了後、画素制御部11は、時刻t1において、各画素10の光電変換部12の電荷とフローティングディフュージョン15の電荷とをそれぞれリセットして、時刻t2-t3で第1フレーム目の撮影動作を行う。
【0060】
第1フレーム目の撮影が終了すると、第1フレームの撮影終了時刻t3と第2フレームの撮影開始時刻t4との間に、1行目の画素回路150a1-150j1、2行目の画素回路150a2-150j2、3行目の画素回路150a3-150j3のバイアス電圧のリフレッシュ動作が行われる。以下同様に、第2フレーム目の撮影と第3フレーム目の撮影との間t5-t6に、4行目の画素回路150a4-150j4、5行目の画素回路150a5-150j5、6行目の画素回路150a6-150j6のバイアス電圧のリフレッシュ動作が行われる。このように連続撮影の隣り合うフレームの撮影動作の間において、複数行毎の画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュ動作が連続撮影の終了まで行われる。
【0061】
図11は、第2の実施の形態に係る撮像装置1の連続撮影時の他の動作例を示すタイミングチャートである。
図11に示す例では、1フレーム撮影毎に同時に2行の画素回路150のバイアス電圧のリフレッシュを行う。第1の実施の形態では、画素回路150の列数と同数の電流源回路50を設ける例を説明したが、
図11に示す例では、画素回路150の複数行に対応する電流源回路50を設けるようにする。画素回路150の複数行(例えば2行)に対応する個数の電流源回路50を設けることで、同時に複数行の画素回路150のバイアス電圧を設定する。
【0062】
図11に示す第2の実施の形態の撮像装置1の他の動作例を以下に説明する。バイアス電圧プリセット部112は、レリーズ信号に応じて、第1の実施の形態と同様に全ての画素回路150のバイアス電圧をプリセットする。全ての画素回路150のバイアス電圧のプリセットの終了後、画素制御部11は、時刻t1において、各画素10の光電変換部12の電荷とフローティングディフュージョン15の電荷とをそれぞれリセットして、時刻t2-t3で第1フレーム目の撮影動作を行う。
【0063】
第1フレーム目の撮影が終了すると、第1フレームの撮影終了時刻t3と第2フレームの撮影開始時刻t4との間に、1行目の画素回路150a1-150j1、2行目の画素回路150a2-150j2のバイアス電圧のリフレッシュ動作が同時に行われる。以下同様に、第2フレーム目の撮影と第3フレーム目の撮影との間t5-t6に、3行目の画素回路150a3-150j3、4行目の画素回路150a4-150j4のバイアス電圧のリフレッシュ動作が同時に行われる。このように連続撮影の隣り合うフレームの撮影動作の間において、複数行の画素回路150のバイアス電圧を同時にリフレッシュする動作が連続撮影の終了まで行われる。
【0064】
上記の実施の形態では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路の電流源や、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0065】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(2)撮像装置1は、連続撮影モードを設定する連続撮影設定部7を備える。このようにしたので、連続撮影設定部7が連続撮影モードを設定した場合に、連続する撮影の間隔において、複数の記憶回路110に電圧を記憶させることができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
上述の第1及び第2の実施の形態の撮像装置1の撮像素子3は、一つの撮影動作において露光時間、即ち電荷蓄積時間が全ての画素10において、同一であった。第3の実施の形態の撮像装置1は、一つの撮影動作において露光時間、即ち電荷蓄積時間を画素10毎に変更することができる撮像素子3を備えるものである。第3の実施の形態の撮像装置1のその他の構成は、第1及び第2の実施の形態と同一である。
【0067】
第3の実施の形態の撮像装置1は、
図1及び
図2に示す撮像素子3を有し、この撮像素子3は複数の画素10を備え、各画素10は、それぞれの電荷蓄積時間が画素10毎に変更可能である。このような画素10毎の電荷蓄積時間の変更は、電荷蓄積時間制御部111によって行われる。なお、画素10毎に電荷蓄積時間を変更することができる撮像素子は、国際公開されたWO13/164915で公知であるので、その画素及び電荷蓄積時間制御部の具体的な構成の例示及びその説明を省略する。
【0068】
撮像素子3は、上述のように一つの撮影動作において、画素10毎に電荷蓄積時間を変更可能であるが、説明の単純化のために、以下の説明では、撮像素子3の全画素を3つの画素グループに分ける。第1の画素グループはその電荷蓄積時間が第1時間に制御され、第2の画素グループはその電荷蓄積時間が第2時間に制御され、第3の画素グループは、その電荷蓄積時間が第3時間に制御されるとする。
撮像素子3は、バイアス電圧プリセット動作の開始から画素信号の読み出し動作の開始までの時間が全ての画素10で同一である。
【0069】
次に、第3の実施の形態の撮像装置1の撮影動作を説明する。撮像素子3は、例えば、第1の画素グループが被写体像の低輝度部分を撮像し、第2の画素グループが被写体の中輝度部分を撮像し、第3の画素グループが被写体像の高輝度部分を撮像する場合に、例えば、第1の画素グループは、比較的大きい第1の電荷蓄積時間に設定され、第2の画素グループは、第1の電荷蓄積時間よりも小さい第2の電荷蓄積時間に設定され、第3の画素グループは、第2電荷蓄積時間よりも小さい第3の電荷蓄積時間に設定される。
【0070】
レリーズ操作部材が操作されてレリーズ信号が出力されると、レリーズ信号に応じて、
図12(a)-(c)に示したように、バイアス電圧プリセット部112は、第1の実施の形態と同様に、全ての画素回路150、即ち第1-第3の画素グループのバイアス電圧をプリセットさせる。なお、
図12(a)は、第1の画素グループのバイアス電圧プリセット動作から読み出し動作を示すタイミングチャートであり、
図12(b)は、第2の画素グループのバイアス電圧プリセット動作から読み出し動作を示すタイミングチャートであり、
図12(c)は、第3の画素グループのバイアス電圧プリセット動作から読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【0071】
第1-第3の画素グループでは、バイアス電圧のプリセットの終了後、画素制御部11は、時刻t1において、各画素10の光電変換部12の電荷とフローティングディフュージョン15の電荷とをそれぞれリセットさせる。
【0072】
第1の画素グループでは、
図12(a)に示すように、時刻t2において、リセットを終了させて、露光動作、即ちフォトダイオードによる電荷蓄積を開始させる。第1の画素グループのバイアス電圧リフレッシュ部113は、第1の実施の形態と同様に、画素信号の読み出し開始時刻とリフレッシュ所要時間とを算出すると共に、画素信号の読み出し開始時刻とリフレッシュ所要時間とに基づきリフレッシュ開始時刻を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、リフレッシュ開始時刻に基づいて、画素信号の読み出し開始直前までに、全ての画素回路150のバイアス電圧リフレッシュを行わせる。時刻t6において、画素信号の読み出し動作を行う。
【0073】
第2の画素グループでは、
図12(b)に示すように、時刻t4において、リセットを終了させて、露光動作、即ちフォトダイオードによる電荷蓄積を開始させる。第2の画素グループのバイアス電圧リフレッシュ部113は、第1の画素グループと同様に、画素信号の読み出し開始時刻とリフレッシュ所要時間とに基づきリフレッシュ開始時刻を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、さらに、リフレッシュ開始時刻に基づいて、画素信号の読み出し開始直前までに、全ての画素回路150のバイアス電圧リフレッシュを行わせる。時刻t6において、画素信号の読み出し動作を行う。
【0074】
第3の画素グループでは、
図12(c)に示すように、時刻t5において、リセットを終了させて、露光動作、即ちフォトダイオードによる電荷蓄積を開始させる。第3の画素グループのバイアス電圧リフレッシュ部113は、第1及び第2の画素グループと同様に、画素信号の読み出し開始時刻とリフレッシュ所要時間とに基づきリフレッシュ開始時刻を算出する。バイアス電圧リフレッシュ部113は、さらに、リフレッシュ開始時刻に基づいて、画素信号の読み出し開始直前までに、全ての画素回路150のバイアス電圧リフレッシュを行わせる。第1-第3の画素グループにおいて、時刻t6に画素信号の読み出し動作が行われる。
【0075】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(3)複数の光電変換部12は、電荷蓄積時間が異なる。このようにしたので、各光電変換部12の電荷蓄積時間を個別に設定すると共に、画素信号の読み出しタイミングに応じて各記憶回路110に電圧を記憶させることができる。
【0076】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0077】
(変形例1)
撮像素子3は、1つの半導体基板により構成してもよいし、複数の半導体基板を積層した構成としてもよい。撮像素子3は、たとえば、読出回路100が設けられた第1半導体基板と、ラッチ回路が設けられた第2半導体基板とを備えるようにする。
【0078】
上記の実施の形態および変形例では、撮像素子3に含まれる画素信号の読出回路100の電流源として示したが、これに限られない。電流源30は、画素信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路の電流源や、撮像素子3に含まれる電子回路以外にも他のソースフォロワ回路の電流源としても適用可能である。さらに、電流源30は、ソースフォロワ回路以外の電子回路にも適用可能である。
【0079】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0080】
上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子および撮像装置も含む。
(1)光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線に読み出す第1読出回路と、電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第1保持回路と、上記第1保持回路に保持された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給する第1電流源と、を備え、上記第1保持回路は、上記第1読出回路により上記第1信号が上記第1信号線に読み出されていないときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する撮像素子。
(2)(1)の撮像素子において、上記第1読出回路は、光電変換された電荷を蓄積する第1光電変換部を有し、上記第1保持回路は、上記第1光電変換部により電荷の蓄積を行っているときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(3)(2)の撮像素子において、光電変換された電荷により生成された第2信号を第2信号線に読み出す第2読出回路と、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する第2保持回路と、上記第2保持回路に保持された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する第2電流源と、を備え、上記第2保持回路は、上記第2読出回路により上記第2信号が上記第2信号線に読み出されていないときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(4)(3)の撮像素子において、上記第1保持回路および上記第2保持回路は、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持するタイミングが異なる。
(5)(3)または(4)の撮像素子において、上記第2読出回路は、光電変換された電荷を蓄積する第2光電変換部を有し、上記第2保持回路は、上記第2光電変換部により電荷の蓄積を行っているときに、上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(6)(5)の撮像素子において、上記第1保持回路および上記第2保持回路は、上記第1光電変換部および上記第2光電変換部の電荷蓄積が終了するまでに上記電源回路からの電流に基づく電圧を保持する。
(7)(6)の撮像素子において、上記第1光電変換部および記第2光電変換部は、電荷蓄積時間が異なる。
(8)(3)から(7)の撮像素子において、上記第1読出回路により上記第1信号線に読み出された上記第1信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路であって、上記第1信号線に接続され、上記第1信号を入力する入力部を有する第1コンパレータ回路と、上記第1コンパレータ回路の出力結果によりデジタル信号に変換された上記第1信号を記憶する第1ラッチ回路と、上記第2読出回路により上記第2信号線に読み出された上記第2信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路であって、上記第2信号線に接続され、上記第2信号を入力する入力部を有する第2コンパレータ回路と、上記第2コンパレータ回路の出力結果によりデジタル信号に変換された上記第2信号を記憶する第2ラッチ回路と、を備え、上記第1ラッチ回路および第2ラッチ回路は、上記第1読出回路及び上記第2読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。
(9)(8)の撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(10)(1)から(9)の撮像素子を備えた撮像装置。
【0081】
また、上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子および撮像装置も含む。
(1)光電変換された電荷により生成された第1信号を第1信号線に読み出す第1読出回路と、基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第1記憶回路と、上記第1記憶回路に記憶された電圧により生成される電流を上記第1信号線に供給する第1電流源と、を備え、上記第1記憶回路は、上記第1読出回路により上記第1信号が上記第1信号線に読み出されていないときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、光電変換された電荷を蓄積する第1光電変換部を備え、上記第1記憶回路は、上記第1光電変換部により電荷の蓄積を行っているときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(3)(2)のような撮像素子において、光電変換された電荷により生成された第2信号を第2信号線に読み出す第2読出回路と、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する第2記憶回路と、上記第2記憶回路に記憶された電圧により生成される電流を上記第2信号線に供給する第2電流源と、を備え、上記第2記憶回路は、上記第2読出回路により上記第2信号が上記第2信号線に読み出されていないときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(4)(3)のような撮像素子において、上記第1記憶回路および上記第2記憶回路は、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶するタイミングが異なる。
(5)(3)または(4)のような撮像素子において、光電変換された電荷を蓄積する第2光電変換部を備え、上記第2記憶回路は、上記第2光電変換部により電荷の蓄積を行っているときに、上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(6)(5)のような撮像素子において、上記第1記憶回路および上記第2記憶回路は、上記第1光電変換部および上記第2光電変換部の電荷蓄積が終了するまでに上記基準電流源からの電流に基づく電圧を記憶する。
(7)(6)のような撮像素子において、上記第1光電変換部および上記第2光電変換部は、電荷蓄積時間が異なる。
(8)(3)から(7)のような撮像素子において、上記第1読出回路により上記第1信号線に読み出された上記第1信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路であって、上記第1信号線に接続され、上記第1信号を入力する入力部を有する第1コンパレータ回路と、上記第1コンパレータ回路の出力結果によりデジタル信号に変換された上記第1信号を記憶する第1ラッチ回路と、上記第2読出回路により上記第2信号線に読み出された上記第2信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路のコンパレータ回路であって、上記第2信号線に接続され、上記第2信号を入力する入力部を有する第2コンパレータ回路と、上記第2コンパレータ回路の出力結果によりデジタル信号に変換された上記第2信号を記憶する第2ラッチ回路と、を備え、上記第1ラッチ回路および第2ラッチ回路は、上記第1読出回路及び上記第2読出回路が設けられた第1半導体基板とは異なる第2半導体基板に設けられている。
(9)(8)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記第2半導体基板により積層されている。
(10)(1)から(9)のような撮像素子を備えた撮像装置。
【0082】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2015年第195284号(2015年9月30日出願)
【符号の説明】
【0083】
1 撮像装置、6 長秒時露光設定部、12 光電変換部、30 電流源、32 記憶部、31 基準電流源回路、100 読出回路