(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】フランジ分解用押しボルト
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20220906BHJP
B25B 27/16 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F16B35/00 R
F16B35/00 Y
F16B35/00 T
B25B27/16
(21)【出願番号】P 2018057591
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】山中 隆司
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-005163(JP,A)
【文献】実開昭50-094520(JP,U)
【文献】特開平10-092901(JP,A)
【文献】特開2002-310122(JP,A)
【文献】特開2010-043678(JP,A)
【文献】特開2016-151335(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102410295(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103089788(CN,A)
【文献】特開昭64-016380(JP,A)
【文献】特開平08-093737(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104653576(CN,A)
【文献】実開昭54-162930(JP,U)
【文献】実公昭50-038877(JP,Y1)
【文献】実開平04-105297(JP,U)
【文献】実開昭50-109978(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 35/00
B25B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、
外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸に接続されたボルト頭部と、
前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、
前記延長部材は、外周面にねじ山が形成された延長軸部を有しており、
前記穴の表面には、前記延長軸部の前記ねじ山が螺合されるねじ溝が形成されており、
前記ねじ軸の前記ねじ山は、右ねじ山および左ねじ山のうちの一方であり、前記延長軸部の前記ねじ山は、右ねじ山および左ねじ山のうちの他方であることを特徴とする押しボルト。
【請求項2】
2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、
外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸に接続された第1ボルト頭部と、
前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、
前記延長部材は、外周面にねじ山が形成された延長軸部を有しており、
前記穴の表面には、前記延長軸部の前記ねじ山が螺合されるねじ溝が形成されており、
前記延長部材は、前記延長軸部に接続された第2ボルト頭部と、前記第2ボルト頭部の端面に設けられた突起をさらに備え、前記突起は球面の先端を有し、
前記ねじ軸の前記ねじ山および前記延長軸部の前記ねじ山の両方は、右ねじ山または左ねじ山であり、
前記第2ボルト頭部の幅は、前記ねじ軸の直径よりも小さいことを特徴とする押しボルト。
【請求項3】
2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、
外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸に接続されたボルト頭部と、
前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、
前記延長部材は、前記穴に挿入された延長軸部と、前記延長軸部から径方向外側に張り出す大径部とを備え、
前記穴にはねじ溝は形成されていなく、かつ前記延長軸部にはねじ山は形成されていなく、
前記大径部の幅は、前記穴の直径よりも大きく、かつ前記2つのフランジのうちの一方に形成されたねじ穴の直径よりも小さく、
前記延長軸部の全体は、前記穴の内部に配置されおり、かつ前記穴から取り出し可能であることを特徴とする押しボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジを互いに離間させるために使用される押しボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
図22は、ボルトおよびナットで締結されたフランジを示す図である。フランジ500は、ケーシング、ハウジング、または配管の端面を構成し、ボルト501およびナット502によって2つのフランジ500が締結される。2つのフランジ500の一方には、これらフランジ500を切り離すときに使用される押しボルト505が装着されている。この押しボルト505は、一方のフランジ500に形成されたねじ穴508に予めねじ込まれている。
【0003】
メンテナンスまたは修理などのために2つのフランジ500を切り離す場合は、
図23に示すように、ボルト501およびナット502をフランジ500から取り外し、次いで、押しボルト505をねじ穴508にさらにねじ込むことで、2つのフランジ500を切り離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭54-162930号公報
【文献】特開平1-16380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、押しボルト505がねじ穴508にねじ込まれた状態で長い時間が経過すると、ねじ穴508から錆が発生し、見栄えが悪くなることがある。また、長い時間の経過により、押しボルト505のねじ山が腐食し、押しボルト505がその機能を果たせなくなることもある。押しボルト505およびねじ穴508を保護するために、錆防止用の塗装を押しボルト505に施す場合もある。しかしながら、押しボルト505のねじ山が塗装で埋もれ、押しボルト505をねじ穴508にねじ込むことができなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、ねじ山およびねじ穴の錆を防止することができ、かつフランジを確実に切り離すことができる押しボルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、前記ねじ軸に接続されたボルト頭部と、前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、前記延長部材は、外周面にねじ山が形成された延長軸部を有しており、前記穴の表面には、前記延長軸部の前記ねじ山が螺合されるねじ溝が形成されており、前記ねじ軸の前記ねじ山は、右ねじ山および左ねじ山のうちの一方であり、前記延長軸部の前記ねじ山は、右ねじ山および左ねじ山のうちの他方であることを特徴とする。
【0008】
一態様では、2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、前記ねじ軸に接続された第1ボルト頭部と、前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、前記延長部材は、外周面にねじ山が形成された延長軸部を有しており、前記穴の表面には、前記延長軸部の前記ねじ山が螺合されるねじ溝が形成されており、前記延長部材は、前記延長軸部に接続された第2ボルト頭部と、前記第2ボルト頭部の端面に設けられた突起をさらに備え、前記突起は球面の先端を有し、前記ねじ軸の前記ねじ山および前記延長軸部の前記ねじ山の両方は、右ねじ山または左ねじ山であり、前記第2ボルト頭部の幅は、前記ねじ軸の直径よりも小さいことを特徴とする。
一態様では、2つのフランジを切り離すときに使用される押しボルトであって、外周面にねじ山が形成されたねじ軸と、前記ねじ軸に接続されたボルト頭部と、前記ねじ軸の端面に形成された穴に、少なくとも一部が挿入された延長部材とを備え、前記延長部材は、前記穴に挿入された延長軸部と、前記延長軸部から径方向外側に張り出す大径部とを備え、前記穴にはねじ溝は形成されていなく、かつ前記延長軸部にはねじ山は形成されていなく、前記大径部の幅は、前記穴の直径よりも大きく、かつ前記2つのフランジのうちの一方に形成されたねじ穴の直径よりも小さく、前記延長軸部の全体は、前記穴の内部に配置されおり、かつ前記穴から取り出し可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボルト頭部がフランジに接触するまで押しボルトをフランジのねじ穴に挿入することができる。したがって、押しボルトのねじ山およびフランジのねじ穴の両方は、外部に露出されず、ねじ山およびねじ穴の錆や腐食を防止することができる。押しボルトのねじ山に塗装は施されないので、押しボルトはその機能を果たすことができる。押しボルトを使用するときは、押しボルトを一旦フランジのねじ穴から取り外し、延長部材をねじ軸から軸方向に突出させた状態で、押しボルトを再びフランジのねじ穴にねじ込む。ねじ軸が一方のフランジのねじ穴に螺合されながら、延長部材の先端が他方のフランジを押すことで、押しボルトはこれら2つのフランジを引き離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】押しボルトの一実施形態を示す断面図である。
【
図4】フランジに装着された押しボルトを示す図である。
【
図5】
図4に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図6】
図4に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図7】
図4に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図8】押しボルトの他の実施形態を示す断面図である。
【
図11】フランジに装着された押しボルトを示す図である。
【
図12】
図11に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図13】
図11に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図14】
図11に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図15】押しボルトのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図18】フランジに装着された押しボルトを示す図である。
【
図19】
図15に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図20】
図15に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図21】
図15に示す押しボルトの使用方法を説明する図である。
【
図22】ボルトおよびナットで締結されたフランジを示す図である。
【
図23】従来の押しボルトで2つのフランジを切り離す様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、押しボルトの一実施形態を示す断面図であり、
図2は
図1に示す押しボルトの底面図であり、
図3は
図1に示す押しボルトの分解図である。押しボルト1は、2つのフランジを切り離すときに使用される装置である。押しボルト1は、外周面にねじ山2が形成されたねじ軸3と、ねじ軸3に接続されたボルト頭部5と、ねじ軸3内に配置された延長部材15を備えている。
【0012】
ねじ軸3の端面には穴6が形成されており、延長部材15はこの穴6内に挿入されている。より具体的には、延長部材15は、外周面にねじ山17が形成された延長軸部19を有している。ねじ軸3の穴6の表面には、延長軸部19のねじ山17が螺合されるねじ溝22が形成されている。延長軸部19のねじ山17がねじ溝22に螺合された状態で、延長軸部19はねじ軸3の穴6内に挿入されている。本実施形態では、延長部材15はねじ頭部を持たないねじであり、ねじ山17は、延長部材15の全長に亘って形成されている。延長部材15の全体はねじ軸3の穴6内に収容されている。
【0013】
延長部材15の端面には、締結具の一例である六角棒スパナ(図示せず)が嵌合される六角形の窪み24が形成されている。六角棒スパナを窪み24に嵌合させ、六角棒スパナにより延長部材15を一方向に回転させることで、延長部材15をねじ軸3の穴6内に挿入することができる。同様に、六角棒スパナにより延長部材15を逆方向に回転させることで、
図3に示すように、延長部材15をねじ軸3の穴6から取り出すことができる。一実施形態では、窪み24は、プラスドライバまたはマイナスドライバが嵌合される形状であってもよい。
【0014】
ねじ軸3のねじ山2は、右ねじ山であり、延長軸部19のねじ山17は、左ねじ山(逆ねじ山)である。一実施形態では、ねじ軸3のねじ山2は、左ねじ山(逆ねじ山)であり、延長軸部19のねじ山17は、右ねじ山であってもよい。
【0015】
図4は、フランジに装着された押しボルト1を示す図である。押しボルト1は、延長部材15がねじ軸3の穴6に挿入された状態で、2つのフランジ100のうちの一方に取り付けられる。一方のフランジ100にはねじ穴101が形成されている。押しボルト1はこのねじ穴101に螺合される。押しボルト1のねじ軸3の軸方向長さは、フランジ100のねじ穴101の軸方向長さよりも短い。したがって、押しボルト1のボルト頭部5がフランジ100に接触するまで、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込むことができる。したがって、押しボルト1のねじ山2およびフランジ100のねじ穴101の両方は、外部に露出されず、ねじ山2およびねじ穴101の錆や腐食を防止することができる。押しボルト1のねじ山2に塗装は施されないので、押しボルト1はその機能を果たすことができる。
【0016】
図5乃至
図7は、
図4に示す押しボルト1の使用方法を説明する図である。まず、
図5に示すように、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101から取り外す。次に、六角棒スパナ(図示せず)を窪み24に嵌合させ、
図6に示すように、延長部材15がねじ軸3から突出する方向に延長部材15を回転させる。そして、
図7に示すように、延長部材15がねじ軸3から突出した状態で、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込む。
【0017】
ねじ軸3が一方のフランジ100のねじ穴101に螺合されながら、延長部材15の先端が他方のフランジ100を押すことで、押しボルト1はこれら2つのフランジ100を引き離すことができる。特に、本実施形態では、延長部材15のねじ山は左ねじ(逆ねじ)であるので、押しボルト1をねじ穴101にねじ込んでいるときに、延長部材15はねじ軸3内に戻らない。したがって、押しボルト1は、2つのフランジ100を確実に切り離すことができる。
【0018】
本実施形態によれば、押しボルト1には延長部材15が予め付属しているので、押しボルト1とは別に他の部材を用意する必要はない。さらに、延長部材15は、押しボルト1のボルト頭部5とフランジ100のねじ穴101とによって形成された密閉空間内に配置されているので、錆や腐食が起こりにくい。したがって、押しボルト1をフランジ100に装着してから長時間が経過した後でも、延長部材15を押しボルト1のねじ軸3から引き出すことができる。
【0019】
図8乃至
図10は、押しボルト1の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3に示す構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、ねじ軸3の穴6にはねじ溝は形成されていない。延長部材15は、ねじ軸3の穴6に挿入された延長軸部19と、延長軸部19から径方向外側に張り出す大径部26とを有している。延長軸部19にはねじ山は形成されていなく、延長軸部19は、ねじ軸3の穴6に単に挿入されているだけである。大径部26の幅は、ねじ軸3の穴6の直径よりも大きく、大径部26は穴6には挿入されていない。
【0020】
図11は、フランジ100に装着された押しボルト1を示す図である。押しボルト1は、延長部材15の延長軸部19がねじ軸3の穴6に挿入された状態で2つのフランジ100のうちの一方に形成されたねじ穴101に螺合される。大径部26の幅は、ねじ穴101の直径よりも小さい。したがって、大径部26を含む延長部材15の全体は、ねじ穴101内に位置している。ねじ軸3の軸方向長さと、大径部26の軸方向長さとの合計は、フランジ100のねじ穴101の軸方向長さよりも短い。したがって、押しボルト1のボルト頭部5がフランジ100に接触するまで、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込むことができる。
【0021】
図12乃至
図14は、
図11に示す押しボルト1の使用方法を説明する図である。まず、
図12に示すように、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101から取り外す。次に、
図13に示すように、延長部材15を逆向きにし、延長軸部19の先端がフランジ100の合わせ面に接触した状態で延長部材15をフランジ100のねじ穴101内に配置する。そして、
図14に示すように、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込み、ねじ軸3の端面を大径部26に押し付ける。
【0022】
このように、ねじ軸3が一方のフランジ100のねじ穴101に螺合されながら、延長部材15の先端が他方のフランジ100を押すことで、押しボルト1はこれら2つのフランジ100を引き離すことができる。
【0023】
図15乃至
図17は、押しボルト1のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3に示す構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、ねじ軸3のねじ山2および延長部材15のねじ山17の両方は、右ねじ山である。一実施形態では、ねじ軸3のねじ山2および延長部材15のねじ山17の両方は、左ねじ山であってもよい。
【0024】
延長部材15は、上記ねじ山17が形成された延長軸部19と、延長軸部19に接続された第2ボルト頭部28と、第2ボルト頭部28の端面に設けられた突起30を有している。本実施形態では、ねじ軸3に接続されたボルト頭部5を第1ボルト頭部5と称する。第2ボルト頭部28は第1ボルト頭部5よりも小さい。第2ボルト頭部28の幅は、ねじ軸3の穴6の直径よりも大きく、第2ボルト頭部28は穴6には挿入されていない。突起30は球面の先端を有している。延長軸部19、第2ボルト頭部28、および突起30は同心上に配置されている。
【0025】
図18は、フランジ100に装着された押しボルト1を示す図である。押しボルト1は、延長部材15の延長軸部19がねじ軸3の穴6に挿入された状態で、2つのフランジ100のうちの一方に形成されたねじ穴101に螺合される。第2ボルト頭部28の幅は、ねじ穴101の直径よりも小さい。したがって、第2ボルト頭部28を含む延長部材15の全体は、ねじ穴101内に位置している。ねじ軸3の軸方向長さと、第2ボルト頭部28の軸方向長さと、突起30の軸方向長さの合計は、フランジ100のねじ穴101の軸方向長さよりも短い。したがって、押しボルト1の第1ボルト頭部5がフランジ100に接触するまで、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込むことができる。
【0026】
図19乃至
図21は、
図18に示す押しボルト1の使用方法を説明する図である。まず、
図19に示すように、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101から取り外す。次に、スパナ(図示せず)を第2ボルト頭部28に嵌合させ、
図20に示すように、延長軸部19がねじ軸3から突出する方向に延長部材15を回転させる。そして、
図21に示すように、延長軸部19がねじ軸3から突出した状態で、押しボルト1をフランジ100のねじ穴101にねじ込む。
【0027】
ねじ軸3が一方のフランジ100のねじ穴101に螺合されながら、延長部材15の先端(すなわち球面を有する突起30)が他方のフランジ100を押すことで、押しボルト1はこれら2つのフランジ100を引き離すことができる。特に、本実施形態では、球面を有する突起30はフランジ100に実質的に点接触するので、ねじ軸3のねじ山2および延長軸部19のねじ山17の両方が右ねじ山(または左ねじ山)であっても、押しボルト1をねじ穴101にねじ込んでいるときに、延長軸部19はねじ軸3内に戻らない。
【0028】
押しボルト1をねじ穴101にねじ込んでいるときに、延長軸部19はねじ軸3内に戻らないのであれば、上述した突起30は省略してもよい。この場合は、延長部材15として一般のボルトを使用することができる。突起30を省略する場合において、ねじ軸3のねじ山2および延長軸部19のねじ山17のうちの一方が右ねじ山であり、他方が左ねじ山であってもよい。
【0029】
上述した各実施形態に係る押しボルト1は、ケーシング、ハウジング、または配管のフランジ100に適用することができる。例えば、ポンプのケーシングのフランジ100に適用可能である。
【0030】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 押しボルト
2 ねじ山
3 ねじ軸
5 ボルト頭部
6 穴
15 延長部材
17 ねじ山
19 延長軸部
22 ねじ溝
24 窪み
26 大径部
28 第2ボルト頭部
30 突起
100 フランジ
101 ねじ穴