(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】自動運転装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
G01M17/007 D
(21)【出願番号】P 2019091716
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(72)【発明者】
【氏名】八軒 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】松原 由明
(72)【発明者】
【氏名】古川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】戸川 進
(72)【発明者】
【氏名】栗秋 和典
(72)【発明者】
【氏名】河北 康孝
(72)【発明者】
【氏名】大井 浩輔
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-149088(JP,A)
【文献】実開平05-092803(JP,U)
【文献】特開2010-175297(JP,A)
【文献】特開2005-003591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00- 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のアクチュエータを用いて車両又はその一部である供試体を自動運転する自動運転装置であって、
前記供試体に備え付けられた
スタータスイッチ、シフトスイッチ又はエアコンスイッチの操作を行うための複数種類
のアクチュエータが接続される複数
のアクチュエータ用コネクタと、
当
該アクチュエータ用コネクタに接続された前
記アクチュエータの動きを制御する制御装置とを備え、
前記複数のアクチュエータ用コネクタが互いに同一形状であり、かつ前記複数種類のアクチュエータが前記複数のアクチュエータ用コネクタのいずれにも接続できる互いに同一形状の接続端子を有するものであり、
前記複数種類のアクチュエータの各々は種類に対応した識別子を有しており、
前記制御装置は、
前記識別子と前記アクチュエータの種類とを紐付ける識別情報を記憶している記憶部と、
前記アクチュエータ用コネクタに接続されたアクチュエータの識別子を読み出し、当該識別子と前記識別情報とを参照することにより、前記接続されたアクチュエータの種類を識別する識別部とを備え、
前
記アクチュエータが前
記アクチュエータ用コネクタのいずれかに接続されると、当該接続され
たアクチュエータの種類を識別する自動運転装置。
【請求項2】
前記記憶部は、スタータの操作用、ボタン式シフトの操作用、パドル式シフトの操作用及びエアコンの操作用の少なくとも1つの識別情報を記憶している、請求項
1に記載の自動運転装置。
【請求項3】
前記自動運転装置が前記供試体の運転席上に設置された際に、前記複数
のアクチュエータ用コネクタが前記制御装置の前面に位置する、請求項
1又は2に記載の自動運転装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の自動運転装置と、
前記自動運転装置が自動運転する前記供試体に負荷を与えるダイナモメータと、
前記供試体から排出される排ガスを分析する排ガス分析装置と
を備える車両試験システム。
【請求項5】
複数種類のアクチュエータが接続される複数のコネクタを備え、当該コネクタに接続されたアクチュエータを用いて車両又はその一部である供試体を自動運転する自動運転装置において、前記コネクタに接続された前記アクチュエータの種類を識別する方法であって、
前記複数のコネクタが、前記供試体に備え付けられた
スタータスイッチ、シフトスイッチ又はエアコンスイッチの操作を行うための複数種類
のアクチュエータが接続され
るものであり、
前記複数のコネクタが互いに同一形状であり、かつ前記複数種類のアクチュエータが前記複数のコネクタのいずれにも接続できる互いに同一形状の接続端子を有するものであり、
前記複数種類のアクチュエータの各々は種類に対応した識別子を有するものであり、
前記識別子と前記アクチュエータの種類とを紐付ける識別情報を記憶し、
前
記アクチュエータを前記複数
のコネクタのいずれかに接続することにより、
当該接続されたアクチュエータの識別子を読み出し、当該識別子と前記識別情報とを参照することにより、前記接続され
たアクチュエータの種類を識別する識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両又はその一部である供試体を自動運転する自動運転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャシダイナモメータを用いて車両の性能テストを行う場合、自動運転ロボット等の自動運転装置が運転席に搭載され、これにより車両の運転操作が行われることがある(特許文献1)。このような自動運転装置では、運転席に載せられた制御装置にペダル操作を行うペダル操作用のアクチュエータやシフト操作を行うシフト操作用のアクチュエータが接続され、制御装置がこれを動作させることで車両の自動運転操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、上記した自動運転装置を用いた車両の自動運転では、ペダル操作やシフト操作のみならず、スタータスイッチやエアコンスイッチ等の各種スイッチの操作等を各種のアクチュエータを用いて行うことがある。従来の自動運転装置では、各種の操作を行うアクチュエータと、これが接続される制御装置に設けられたコネクタとが一対一に対応しており、例えばスタータスイッチの操作を行うためのアクチュエータは、制御装置に設けられたスタータスイッチ操作用のコネクタに正しく接続される必要があった。このため、作業者が狭所作業を行い、アクチュエータを手探りで接続した場合には、誤接続してしまうことがある。また、誤接続をしないよう慎重に作業することによりアクチュエータの接続に時間が掛かってしまい、作業性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、複数種類のアクチュエータが接続されるものにおいて、アクチュエータの誤接続を防止でき、作業性を向上できる自動運転装置を提供することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る自動運転装置は、複数種類のアクチュエータを用いて車両又はその一部である供試体を自動運転するものであって、前記アクチュエータが接続される複数のコネクタと、当該コネクタに接続された前記アクチュエータの動きを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記アクチュエータが前記コネクタのいずれかに接続されると、当該接続されたアクチュエータの種類を識別することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、複数あるコネクタのいずれかにアクチュエータが接続されると、接続されたアクチュエータの種類が識別されるので、アクチュエータをいずれのコネクタに接続しても機能させることができる。すなわち、アクチュエータとコネクタとが一対一に対応するのではなく、複数のコネクタと複数種類のアクチュエータとが対応するようにしているので、対応していないコネクタにアクチュエータを接続してしまうことによる誤接続を防止することができる。さらに作業者は、アクチュエータを複数あるコネクタのいずれに接続してもよいので、接続作業が容易になり、作業性を向上できる。
【0008】
前記自動運転装置の具体的な態様として、前記複数種類のアクチュエータの各々は種類に対応した識別子を有しており、前記制御装置が、前記識別子と前記アクチュエータの種類とを紐付ける識別情報を記憶している記憶部と、前記コネクタに接続されたアクチュエータの識別子を読み出し、当該識別子と前記識別情報とを参照することにより、前記接続されたアクチュエータの種類を識別する識別部と、を備えるものを挙げることができる。
【0009】
上記した本発明の効果を顕著に奏する態様として、前記複数のコネクタがいずれも同一形状であるものを挙げることができる。
【0010】
前記記憶部は、スタータの操作用、ボタン式シフトの操作用、パドル式シフトの操作用及びエアコンの操作用の少なくとも1つの識別情報を記憶していることが好ましく、2つ以上の識別情報を記憶していることが好ましい。
【0011】
前記自動運転装置が前記供試体の運転席上に設置された際に、前記複数のコネクタが前記制御装置の前面に位置することが好ましい。
このようなものであれば、座席に設置された制御装置の前面に複数のコネクタが配置されているので、コネクタが制御装置の背面に設けられているものに比べて、作業者はアクチュエータを容易に接続でき、作業性がより一層向上する。
【0012】
また、本発明の車両試験システムは、前記した自動運転装置と、前記自動運転装置が自動運転する前記供試体に負荷を与えるダイナモメータと、前記供試体から排出される排ガスを分析する排ガス分析装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のアクチュエータの識別方法は、複数種類のアクチュエータが接続される複数のコネクタを備え、当該コネクタに接続されたアクチュエータを用いて車両又はその一部である供試体を自動運転する自動運転装置において、前記コネクタに接続された前記アクチュエータの種類を識別する方法であって、前記アクチュエータを前記複数のコネクタのいずれかに接続することにより、当該接続されたアクチュエータの種類を識別することを特徴とする。
【0014】
このような本発明の車両試験システム及びアクチュエータの識別方法によれば、上記した本発明の自動運転装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば複数種類のアクチュエータが接続されるものにおいて、アクチュエータの誤接続を防止でき、作業性を向上できる自動運転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における車両試験システムの全体構成を模式的に示す平面図。
【
図2】同実施形態における自動運転装置の構成を模式的に示す斜視図。
【
図3】同実施形態における制御装置の機能ブロック図。
【
図4】同実施形態の記憶部が記憶する識別情報に含まれる識別子と汎用アクチュエータの種類との対応関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る自動運転装置1を具備する自動運転ユニット100について、図面を参照して説明する。なお以下においては、供試体の具体的な態様を完成車両として説明する。
【0018】
本実施形態の自動運転ユニット100は、例えばシャシダイナモメータを用いた車両性能試験に供されるものであり、車両内に設置されて当該車両を自動運転するものである。この自動運転ユニット100は、具体的には
図1及び
図2に示すように、座席FS(具体的には運転席)上で車両を自動運転する自動運転装置1と、自動運転装置1を運転席FS上で保持する保持装置2とを備えている。なお以下の説明では、自動運転ユニット100が運転席FSにおける正規位置(性能試験を行うのに適した位置)に置かれた状態において、供試体の前後方向を基準にして前後左右上下の方向を規定している。
【0019】
自動運転装置1は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びクラッチペダルの踏み込み操作、シフトレバーの位置切替操作、車両に備え付けられた各種スイッチの切り替え操作等を運転席FS上で行うことで、車両を自動運転するものである。具体的には、自動運転装置1は、各種の操作を行う複数種類のアクチュエータ12と、アクチュエータ12の動きを制御する制御装置11とを備えている。
【0020】
アクチュエータ12は、制御装置11から制御信号を受け付けて各種の操作を行う。具体的にこのアクチュエータ12は、ケーブルを介して制御装置11に電気的に接続されており、制御装置11から制御信号を受け取り、これに基づき動作する。
【0021】
本実施形態の自動運転装置1は、アクチュエータ12として、ペダル操作(アクセル、ブレーキ及びクラッチ)を行うための複数(ここでは3つ)のペダルアクチュエータ121と、シフトレバー(フロアシフト又はコラムシフト)の位置切替え操作を行うためのシフトアクチュエータ122とを備えている。ここでシフトアクチュエータ122は、シフトレバーに接触する手先部122Aが、前後方向(X軸)、左右方向(Y軸)、上下方向(Z軸)に移動できるように構成されている。
【0022】
制御装置11は、バッファ及び増幅器等を有したアナログ電気回路と、CPU、メモリ及びDSP等を有したデジタル電気回路と、それらの間に介在するA/Dコンバータ等を有した所謂コンピュータである。そしてメモリに格納した所定プログラムにしたがってCPUやその周辺機器が協働することにより、
図3に示すように、少なくとも各アクチュエータ12の動きを制御する制御部113としての機能を発揮する。
【0023】
制御部113は、接続されたアクチュエータ12の種類に応じて、これに対応する制御信号を各アクチュエータ12に個別に送信するものである。
【0024】
制御装置11は構造的には外観視して箱状をなすものである。制御装置11は、保持装置2上の所定位置にその底面及び背面がはまり込むように載置され、これにより保持装置2上に保持されるようになっている。
【0025】
自動運転装置1はまた、保持装置2に保持された状態で車両の前方側を向く制御装置11の前面111に、アクチュエータ12のケーブルが電気的に接続される複数のコネクタ112を備えている。自動運転装置1は、コネクタ13として、ペダルアクチュエータ121が接続されるペダルアクチュエータ用コネクタ131と、シフトアクチュエータ122が接続されるシフトアクチュエータ用コネクタ132とを備えている。本実施形態では、これら複数種類のコネクタ13のいずれもが、制御装置11の前面111に設けられている。
【0026】
ペダルアクチュエータ用コネクタ131は、3種類のペダルアクチュエータ121のそれぞれに個別に対応するように、3つ設けられている。またシフトアクチュエータ用コネクタ132は、シフトアクチュエータ122のX軸、Y軸及びZ軸の3軸それぞれに個別に対応するよう、3つ設けられている。
【0027】
保持装置2は、車両の運転席FSに固定されて設置されるとともに、その上に自動運転装置1が搭載され、これを保持するものである。
【0028】
図1及び
図2に示すように、保持装置2は、運転席FSの着座部SDに載せられるとともに、その上に自動運転装置1が搭載される搭載部21と、運転席FSの背もたれBRに接触する背中部22と、搭載部21と背中部22とを連結する連結部23とを備えている。搭載部21、背中部22及び連結部23はいずれも概略板状のものであり、搭載部21と背中部22が、運転席FSの着座部SDと背もたれBRにそれぞれが接触するように、略L字形状を成すように連結部23を介して連結されている。
【0029】
搭載部21は、自動運転装置1が搭載される搭載面211と、搭載面211の裏側に形成されて着座部SDの着座面SSに接触する底面212と、を有している。ここで底面212は平面状を成しており、着座面SSと面接触できるように構成されている。搭載面211は、搭載される自動運転装置1の底面がはまり込むように形成されている。搭載部21の前方端付近には、ペダルアクチュエータ121が取り付けられてこれを固定するペダルアクチュエータ固定部25が複数設けられている。
【0030】
背中部22は、座席FSに搭載された状態で車両の前方側を向く前面221と、前面221の裏側に形成されて背もたれBRの背もたれ面BSに接触する背面222と、を有している。ここで背面222は平面状を成しており、背もたれ面BSと面接触できるように構成されている。前面221は、搭載される自動運転装置1の背面がはまり込むように形成されている。
【0031】
連結部23には、保持装置2を運転席FSに固定するための固定機構24(具体的にはベルト)が接続される接続部231が設けられている。接続部231に接続した固定機構24たるベルトを、運転席FSの後方斜め下方向に引っ張ってテンションをかけることにより、保持装置2は運転席FSに固定される。
【0032】
しかして本実施形態の自動運転装置1は、車両の各種スイッチ類の操作を行うための所定の機能を持った複数種類の汎用アクチュエータ123と、これら複数種類の汎用アクチュエータ123が接続される複数の汎用アクチュエータ用コネクタ133を備えている。そして制御装置11は、これら複数の汎用アクチュエータ用コネクタ133のいずれかに汎用アクチュエータ123が接続されると、当該接続された汎用アクチュエータ123の種類を自動的に識別するようにされている。
【0033】
本実施形態では、接続された汎用アクチュエータ123の種類を自動的に識別できるように、複数種類の汎用アクチュエータ123の各々に、各種類に対応した個別の識別子(ここではNo.1~9)が備えられており、さらに
図3に示すように、制御装置11に記憶部114及び識別部115としての機能が付与されている。
【0034】
記憶部114は、メモリの所定領域に設定されたものであり、識別子と汎用アクチュエータ123の種類とを紐付ける識別情報を記憶している。記憶部114は、スタータの操作用、ボタン式シフトの操作用、パドル式シフトの操作用及びエアコンの操作用の少なくとも1つの汎用アクチュエータ123の種類を識別する識別情報を記憶している。本実施形態では
図4に示すように、記憶部114は、例えば、プッシュ式スタータの操作用、ターン式スタータの操作用、ボタン式シフト(Pスイッチ)の操作用、ボタン式シフト(Nスイッチ)の操作用、ボタン式シフト(Dスイッチ)の操作用、ボタン式シフト(Rスイッチ)の操作用、ボタン式シフト(シフトアップ)の操作用、ボタン式シフト(シフトダウン)の操作用、エアコン(ターンオン)の操作用及びエアコン(ターンオフ)の操作用等の汎用アクチュエータ123の種類を識別する識別情報を記憶している。なおこれに限らず、記憶部114が記憶している識別情報は、1つの汎用アクチュエータ123の種類を識別するものでもよく、複数のアクチュエータ123の種類を識別するものでもよい。
【0035】
識別部115は、汎用アクチュエータ用コネクタ133に接続された汎用アクチュエータ123の種類を識別するものである。具体的には、識別部115は、汎用アクチュエータ用コネクタ133に接続された汎用アクチュエータ123の識別子を読み出し、読出した識別子と記憶部114に記憶された識別情報とを参照することにより、接続された汎用アクチュエータ123の種類を識別する。そして、識別した汎用アクチュエータ123の種類を示す識別結果を、制御部113に送信する。
【0036】
ここで制御装置11は、各種の汎用アクチュエータ123を動作させるための個別のドライバを備えている。そして識別部115が識別した汎用アクチュエータ123の種類に応じて、これに対応するドライバにより、接続された汎用アクチュエータ123を動作させる。
【0037】
本実施形態の自動運転装置1が備える複数(具体的には、3列×2段の6つ)の汎用アクチュエータ用コネクタ133は、いずれも同一の接続構造を有している(すなわち同一形状である)。また複数種類の汎用アクチュエータ123は、複数の汎用アクチュエータ用コネクタ133のいずれにも接続できるよう、同一の接続構造の接続端子を有している。
【0038】
ここで複数の汎用アクチュエータ123は、制御装置11の前面111に集中して設けてもよい。すなわち、ここではペダルアクチュエータ用コネクタ131、シフトアクチュエータ用コネクタ132及び汎用アクチュエータ123を含む各種アクチュエータが接続されるコネクタ13の全てが、制御装置11の前面111に設けられている。そして本実施形態の制御装置11の前面111は、制御装置11が保持装置2に保持されて運転席FS上に設置された状態で、前方斜め上方向を向くように傾斜して形成されている。
【0039】
また本実施形態では、自動運転装置1が備えるシフトアクチュエータ122は、
図2に示すように、保持装置2の背中部22に設けてもよい。より具体的には、保持装置2の背中部22の上端部(制御装置11の上端部よりも上方)には、シフトアクチュエータ122が取付けられてこれを固定するためのシフトアクチュエータ固定部26が設けられている。シフトアクチュエータ122はこのシフトアクチュエータ固定部26に取付けられ、この状態で手先部122Aが、X軸、Y軸及びZ軸に沿って移動できるように構成されている。シフトアクチュエータ122は、ハンドル横のシフトレバーを操作するためある程度の高さに取り付けられる必要があるところ、これを制御装置11に取り付けるようにすると、シフトアクチュエータ122を支持するための支持部材を制御装置11に別途取り付ける必要があり、自動運転装置1全体の重量が増大する。しかしながら、シフトアクチュエータ122を、元々ある保持装置2の背中部22に取り付けられるようにすることで、支持部材を制御装置11に取り付ける必要がなくなり、装置全体の軽量化に貢献できる。
【0040】
このように構成した本実施形態の自動運転ユニット100によれば、制御装置11が、複数ある汎用アクチュエータ用コネクタ133のいずれかに汎用アクチュエータ123が接続されると、接続された汎用アクチュエータ123の種類を自動的に識別するので、汎用アクチュエータ123をいずれの汎用アクチュエータ用コネクタ133に接続しても機能させることができる。すなわち、汎用アクチュエータ123と汎用アクチュエータ用コネクタ133とが一対一に対応するのではなく、複数の汎用アクチュエータ用コネクタ133と複数種類の汎用アクチュエータ123とが対応するようにしているので、対応していない汎用アクチュエータ用コネクタ133に汎用アクチュエータ123を接続してしまうことによる誤接続を防止することができる。さらに作業者は、複数ある汎用アクチュエータ用コネクタ133のいずれに汎用アクチュエータ123を接続してもよいので、接続作業が容易になり作業性を向上できる。さらに、汎用アクチュエータ123が操作する各種スイッチ類の位置は車種によって異なるが、複数ある汎用アクチュエータ用コネクタ133のいずれに接続しても汎用アクチュエータ123が正しく機能するので、汎用アクチュエータ123を操作するスイッチに近い汎用アクチュエータ用コネクタ133に接続することができる。これにより配線の取り回しをすっきりさせ、作業性が向上する。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0042】
前記実施形態では、複数種類の汎用アクチュエータ123の各々に個別の識別子が備えられており、識別部115がこの識別子を読み出し、汎用アクチュエータ123の種類を読み出すものであったが、これに限定されない。他の実施形態では、複数種類の汎用アクチュエータ123の各々の接続端子の接点構造を異なるものにし、これにより汎用アクチュエータ用コネクタ133に接続された汎用アクチュエータ123の種類を識別できるようにしてもよい。
【0043】
前記実施形態では全てのコネクタ13が制御装置11の前面111に配置されていたが、これに限らず、一部又は全部が背面や上面等のその他の部位に設けられていてもよい。また、制御装置11ではなく、制御装置11に接続された別体の制御装置に設けられてもよい。
【0044】
前記実施形態では、制御装置11の前面111は前方斜め上方向を向くように傾斜していたがこれに限らない。他の実施形態では、制御装置11の前面111は前方にまっすぐ向くように形成されていてもよい。
【0045】
前記実施形態では、制御部113、記憶部114及び識別部115の一部又は全ての機能が、制御装置11に接続された別体の制御装置に割り当てられてもよい。
【0046】
前記実施形態では供試体の具体的態様として完成車両を挙げて説明したがこれに限らない。他の実施形態では、供試体は完成車両の一部であってもよい。
【0047】
前記実施形態では自動運転ユニット100は、シャシダイナモメータを用いた車両性能試験に供されるものであったがこれに限らない。例えばエンジンダイナモメータやブレーキダイナモメータ等、完成車両やその一部である供試体に負荷を与える各種の駆動系のダイナモメータを用いた車両性能試験に供されるものであってもよい。
【0048】
前記実施形態では自動運転装置1は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びクラッチペダルの踏込操作、並びにシフトレバーの位置切替操作を行うものであったがこれに限らない。供試体たる車両の種類(例えば、AT車、MT車)に応じて、これらの操作の一部を行うように構成されてもよい。
【0049】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1・・・自動運転装置
11・・・制御装置
111・・・前面
123・・・汎用アクチュエータ
133・・・汎用アクチュエータ用コネクタ