(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】レーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01S 3/08 20060101AFI20220906BHJP
H01S 3/106 20060101ALI20220906BHJP
G02B 27/09 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01S3/08
H01S3/106
G02B27/09
(21)【出願番号】P 2020569769
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2019063857
(87)【国際公開番号】W WO2019238417
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102018209602.3
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】グレークル オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】デューベル マルクス
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0031161(US,A1)
【文献】特開2007-096359(JP,A)
【文献】特表2010-524256(JP,A)
【文献】特開平10-209548(JP,A)
【文献】特開2017-208557(JP,A)
【文献】特表2014-522582(JP,A)
【文献】特開2001-077449(JP,A)
【文献】特開平08-043534(JP,A)
【文献】特開平04-211108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/30
G02B 27/09
G02B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ(1)の出力ビーム(3)のスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリ(5、14、17)であって、
少なくとも1つの共振器内部拡大レーザビーム区間(9)が生じるように、ビーム断面(Q
1)を拡大し、少なくとも1つの拡大断面寸法において共振器内部レーザビーム(7)の発散を減少させるために、レーザ共振器内に配置されるビーム拡大光学ユニット(6)を備え、
前記共振器内部レーザビーム(7)のための再帰反射構成における光学格子(8)を備え、
前記拡大レーザビーム区間(9)の
ビーム経路内に前記拡大断面寸法において作用するビーム制限絞り(10)を備え、
前記格子(8)から離れた方を向く前記ビーム拡大光学ユニット(6)の側の前記共振器内部レーザビーム(7)の前記ビーム経路内に追加入力ビーム制限絞り(12)を備え、
前記拡大レーザビーム区間(9)に配置される前記ビーム制限絞り(10)が前記共振器内部レーザビーム(7)によって露出過度にされ、前記格子上の使用ビーム断面の幅が前記拡大レーザビーム区間(9)に配置される前記ビーム制限絞り(10)によって定義されるように、前記追加入力ビーム制限絞り(12)の幅が選択され、
前記ビーム制限絞り(10)が最小拡大の場合に完全に照明され、前記ビーム制限絞り(10)が拡大の増加と共に露出過度にされるように、前記ビーム拡大光学ユニット(6)の調整範囲および前記追加入力ビーム制限絞り(12)の入力開口の幅が、互いに合致される、光学アセンブリ(5、14、17)。
【請求項2】
前記ビーム制限絞り(10)が、その上に入射する前記共振器内部レーザビーム(7)のエネルギーの5%未満を吸収するように具現化されることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも区間において、前記共振器内部レーザビーム(7)のための透過型実施形態を有
し、前記ビーム制限絞り(10)の前記透過型実施形態は、前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも区間において前記共振器内部レーザビーム(7)によって通過され、前記ビーム制限絞り(10)が前記共振器内部レーザビーム(7)の通過成分に対して、これらの通過成分が前記レーザ(1)のレーザ媒質(4)においてもはや増幅されないように作用するように具現化されることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも1つのくさび形プレートとして具現化されることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記共振器内部レーザビーム(7)が前記ビーム制限絞り(10)を通過した後に
レーザ媒質によって増幅されないように、前記ビーム制限絞り(10)が、通過する前記共振器内部レーザビーム(7)の偏光状態を変更するように、複屈折材料でできていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも区間において、前記共振器内部レーザビーム(7)のための反射型実施形態を有
し、前記ビーム制限絞り(10)の前記反射型実施形態は、前記共振器内部レーザビーム(7)のビーム断面のエッジ領域に対して反射性であるように具現化されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ビーム制限絞り(10)が、
第1のビーム制限区間(10a)と、第2のビーム制限区間(10b)とを含む、複数部分の実施形態を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ビーム制限絞り(10)の
前記第1のビーム制限区間(10a)が、第1の側の前記共振器内部レーザビーム(7)の範囲を定め、前記拡大レーザビーム区間(9)の前記ビーム経路に沿って前記第1のビーム制限区間(10a)からオフセットして配置される、前記ビーム制限絞り(10)の
前記第2のビーム制限区間(10b)が、前記第1の側の反対側の前記共振器内部レーザビーム(7)の範囲を定めることを特徴とする、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ビーム制限絞り(10)が、前記ビーム拡大光学ユニット(6)と前記格子(8)との間に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記ビーム拡大光学ユニット(6)の拡大係数が、前記出力ビーム(3)の帯域幅を規定するための目的で波長可変実施形態を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ビーム制限絞り(10)によって範囲を定められる、前記共振器内部レーザビーム(7)の幅が、前記ビーム制限絞り(10)を通過中、前記ビーム拡大光学ユニット(6)の波長調整位置とは関係ないように、前記
追加入力
ビーム制限絞り(12)の幅と前記ビーム拡大光学ユニット(6)の前記拡大係数の調整範囲とが、互いに合致されることを特徴とする、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
帯域幅制限レーザ(1)であって、
レーザ媒質(4)を含み、
出力ビーム(3)のための共振器出力結合ミラー(2)を含み、
前記共振器出力結合ミラー(2)の反対側の、前記レーザ媒質(4)の側に請求項1~11のいずれか1項に記載のアセンブリを含む、帯域幅制限レーザ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願DE102018209602.3の優先権を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、レーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリに関する。さらに、本発明は、そのようなアセンブリを有する帯域幅制限レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に記載されている種類の光学アセンブリを有する帯域幅制限レーザは、米国特許第6,496,528(B2)号、米国特許第7,899,095(B2)号、および米国特許第8,379,687(B2)号から既知である。DE102009020501A1には、レーザビームのスペクトル帯域幅を設定するための帯域幅狭窄モジュールが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、共振器内部レーザビームの局所電力密度に起因したレーザ動作中の光学アセンブリの光学コンポーネントの不均一な加熱を理由とする不要な熱の影響が低下または回避されるように、レーザビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリを開発することである。
【0005】
米国特許第6,785,319(B1)号は、2つのプリズムを含むビーム拡大光学ユニットを有するUVレーザを開示している。米国特許第6,285,701(B1)号は、エキシマレーザの狭帯域放射を改善するためのレーザ共振器を開示している。米国特許出願公開第2008/0253413号は、帯域幅制御が改善されたレーザベースリソグラフィシステムを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、当初請求項1において指定される特徴を含む光学アセンブリによって達成される。
【0007】
光学アセンブリ上に入射するレーザ光は、光学格子によってレーザの共振器内に増幅した形で案内されるだけであり、光学格子は、共振器内部レーザビームの波長が回折格子方程式を満たす場合に、リトロー型構成で配置され得る。どの波長が共振器内部レーザビームのビーム経路内に増幅した形で案内されるかは、レーザビームが光学格子上に入射する角度に依存する。格子上に入射するレーザビームの角度分布が大きいほど、出力ビームのスペクトル帯域幅が大きくなる。したがって、小さな帯域幅を有する出力ビームの生成には、光学格子上に入射する共振器内部レーザビームにおいて小さな角度分布、即ち狭角度スペクトルを必要とする。光学アセンブリにおいて、入射角度分布の減少は、光学格子上への入射前のビーム拡幅光学ユニットを用いて、共振器内部レーザビームの伝播方向を横断する方向、即ち横方向に共振器内部レーザビームが拡大されることによって、達成される。この拡大は、共振器内部レーザビームの発散を減少させ、よって共振器内部レーザビームの角度分布を減少させる。
【0008】
本発明によれば、ビーム拡大光学ユニットの拡大レーザビーム区間のビーム経路内、即ち格子とビーム拡大光学ユニットとの間またはビーム拡大光学ユニット内のビーム経路内のビーム制限絞りの形態の、ビーム幅の範囲を定める要素が、光学アセンブリの光学コンポーネント内または上の共振器内部レーザビームの衝突断面にリンクされる温度プロファイルが使用ビーム断面内で温度勾配を有しないか、または良くても小さな温度勾配を有するように、レーザ共振器内の使用ビーム断面を指定するオプションにつながると認識された。拡大レーザビーム区間は、共振器内部レーザビームが横方法に拡大されている共振器内部ビーム区間である。光学コンポーネントの局所熱膨張、または光学材料もしくは周囲のパージガスにおける熱誘導屈折率勾配は、その際、共振器内部レーザビームの使用ビーム断面内の波面の重大な乱れにつながらず、あるいは、光学コンポーネントの残留吸収に起因するそのような温度勾配を理由とする不要な波面の乱れが、したがって最小化され、または完全に回避される。光学アセンブリは、そのとき、共振器内部電力とは関係なく、その帯域幅減少効果を大きく発生させる。レーザパワー間の変更(高デューティサイクル/低デューティサイクル)および/または異なるスペクトル帯域幅間の変更は、それぞれの達成可能なスペクトル帯域幅においてヒステリシスなしに可能である。
【0009】
ビーム拡大光学ユニットは、少なくとも1つのプリズムを含み得る。ビーム拡大光学ユニットは、2つのプリズム、3つのプリズム、4つのプリズム、またはより大きな数のプリズムでも含み得る。ビーム拡大光学ユニットは、少なくとも1つのミラーを含み得る。ビーム拡大光学ユニットは、少なくとも1つの円筒レンズを含み得る。光学アセンブリおよび/または光学アセンブリが1つのコンポーネントであり得るレーザは、光学アセンブリおよび/またはレーザの光学コンポーネントをパージガス、例えば窒素またはヘリウムでパージするためのパージ装置を含み得る。パージガスは、残留吸収によって光学コンポーネント上または内に蓄積された熱の放熱に寄与し得る。しかしながら、パージガスにおける熱誘導屈折率勾配は、波面変形自体の一因にもなり得る。
【0010】
ビーム幅制限要素は、光学アセンブリ内の光学コンポーネントのエッジ領域に望ましくない衝突をする放射成分、または原理の問題として中央領域のように波面維持の高い要求を十分に満たさず、さらに最大温度勾配を有する、対応するエッジ領域を通って伝播する放射成分が、使用ビームに寄与することを防止し得る。
【0011】
ビーム制限絞りは、光学アセンブリの他の光学コンポーネントから分離した絞りコンポーネントであってもよい。代替として、またはそれに加えて、ビーム制限絞りは、光学アセンブリの別のコンポーネント、例えばビーム拡大光学ユニットのコンポーネントの、少なくとも区間において反射するコーティングによって形成され得る。
【0012】
光学アセンブリは、格子から離れた方を向くビーム拡大光学ユニットの側の共振器内部レーザビームのビーム経路内に追加入力ビーム制限絞りを含む。このような追加入力ビーム制限絞りは、共振器内部レーザビームのビーム経路の非拡大部分に配置され、特に波長可変ビーム拡大光学ユニットと併せて、拡大レーザビーム区間のビーム経路において作用するビーム制限絞りの位置における使用領域の拡大の最適化を可能にする。入力ビーム制限絞りは、ビーム拡大光学ユニットを経由した共振器内部レーザビームの最小拡大の場合に、ビーム制限絞りの少なくとも大部分に完全照明が存在するような構成であり、ビーム拡大光学ユニットはそのような場合において波長可変である。拡大レーザビーム区間に配置されるビーム制限絞りが共振器内部レーザビームによって露出過度(overexposed)にされ、格子上の使用(される)ビーム断面の幅が拡大レーザビーム区間に配置されるビーム制限絞りによって定義されるように、追加入力ビーム制限絞りの幅が選択される。
【0013】
追加入力ビーム制限絞りは、拡大レーザビーム区間内に配置されるビーム制限絞りが、光学格子に強度が均一に衝突されるように、ビーム拡大光学ユニットによる最小拡大を用いたものを除いて、実際には全ての調整位置において露出過度にされることを保証する。
【0014】
当初請求項2に記載のビーム制限絞りは、吸収によってビーム制限絞り自体の加熱を理由として生じ得る問題を回避する。ビーム制限絞りは、その上に入射する共振器内部レーザビームの3%未満を、または1%未満でも吸収するように構成され得る。
【0015】
当初請求項3に記載のビーム制限絞りの透過性実施形態は、レーザ共振器におけるさらなる増幅に寄与しない共振器内部レーザビームの通過成分が、光学アセンブリおよび/またはレーザの光学コンポーネントのエッジ領域において所望の熱流入をもたらすことを可能にし、それは、使用ビーム断面における温度勾配の減少に有利に寄与し得る。全体的に、ビーム制限絞りは、共振器内部レーザビームについての透過型実施形態を有し得る。
【0016】
当初請求項4に記載のビーム制限絞りのくさび形プレート実施形態は、少なくとも1つのくさび形プレートを通過する共振器内部放射成分が、指定された角度オフセットで結合されて出力されることを可能にする。これは、特に、光学アセンブリおよび/またはビーム制限絞りに隣接する残りのレーザの光学コンポーネントにおける残留吸収によって熱が蓄積するための、目標とされる様式で出力結合コンポーネントを案内するために特に使用され得る。特に、ビーム制限絞りのビーム制限区間は、それぞれの場合においてくさび形プレートとして具現化され得る。
【0017】
当初請求項5に記載のビーム制限絞りは、代替的または追加的に、共振器内部レーザビームの偏光状態を変化させ、よって、ビーム制限絞りを通過する照射がその後もはやレーザ媒質において増幅されないことに寄与し得る。この点で、レーザ媒質は、偏光感応利得を発生させてもよく、またはさらなる偏光光学コンポーネントが、共振器内部ビーム経路に配置されてもよく、上記偏光光学コンポーネントは、分析器として機能し、増幅されるレーザ照射のみを通過させる。ビーム制限絞りまたはその区間は、例えば、特に1/4波長板として機能する複屈折板として具現化され得る。
【0018】
当初請求項6に記載のビーム制限絞りの反射型実施形態は、特に、不要な吸収がそこで回避されるように、シャドーイングによってレーザ照射の作用から下流の光学ユニットの重要領域(光学ユニットマウント、接着点)を保護し得る。全体的に、ビーム制限絞りは、共振器内部レーザビームについての反射型実施形態を有し得る。ビーム制限絞りは、少なくとも区間において、反射板および/または反射するコーティングによって実現され得る。ビーム制限絞りは、回折および反射コンポーネントの組合せとして具現化され得る。反射型ビーム制限絞りは、また、アセンブリの光学コンポーネント、例えばビーム拡大光学ユニットのプリズムに、直接適用され得る。このようなコーティングは、反射性のものに対する別の機能も有し得る。即ち、それは、概して、共振器内部レーザビームがビーム制限絞りの作用後にレーザ媒質によってもはや増幅されないように共振器内部レーザビームに影響することの結果として絞り効果を有し得る。
【0019】
当初請求項7に記載のビーム制限絞りの複数部分の実施形態は、ビーム制限絞りを配置するときの柔軟性を向上させる。ビーム制限絞りは、2つの部分の実施形態、またはより多くの部分を有する実施形態を有し得る。
【0020】
オフセットビーム制限区間を有する当初請求項8に記載のビーム制限絞りの実施形態は、柔軟性におけるさらなる向上につながる。ビーム制限絞りを使用することによって生じる、特に共振器内部レーザビームのビーム経路内のそれに隣接するコンポーネントに対する熱の影響は、このようにして正確に指定され得る。
【0021】
当初請求項9に記載のビーム制限絞りの配置は、特に、格子上の熱負荷を正確に指定するために特に適当であることが分かった。
【0022】
当初請求項10に記載のビーム拡大光学ユニットの波長可変実施形態は、目標とされる方式で帯域幅を指定することについてのその価値を示している。例として、このような波長可変ビーム拡大光学ユニットは、米国特許第7,899,095(B2)号から既知である。
【0023】
ビーム拡大光学ユニットは、当初請求項11に記載されているように、ビーム制限絞りのビーム経路下流において拡大係数(拡大因子)を変更するときに、共振器内部レーザビームの発散のみに作用し、その断面には作用しないように具現化され得る。
【0024】
当初請求項12に記載の帯域幅制限レーザの利点は、本発明による光学アセンブリを参照して上記で既に説明されているものに対応する。レーザは、エキシマレーザであってもよい。レーザは、構造化された半導体コンポーネント、例えば半導体チップがそれによって製造され得る、マイクロリソグラフィ投影露光装置のための照明レーザであってもよい。
[当初請求項1]
レーザ(1)の出力ビーム(3)のスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリ(5、14、17)であって、
少なくとも1つの共振器内部拡大レーザビーム区間(9)が生じるように、ビーム断面(Q
1
)を拡大し、少なくとも1つの拡大断面寸法において共振器内部レーザビーム(7)の発散を減少させるために、レーザ共振器内に配置されるビーム拡大光学ユニット(6)を備え、
前記共振器内部レーザビーム(7)のための再帰反射構成における光学格子(8)を備え、
前記拡大レーザビーム区間(9)の前記ビーム経路内に前記拡大断面寸法において作用するビーム制限絞り(10)を備え、
前記格子(8)から離れた方を向く前記ビーム拡大光学ユニット(6)の側の前記共振器内部レーザビーム(7)の前記ビーム経路内に追加入力ビーム制限絞り(12)を備え、
前記拡大レーザビーム区間(9)に配置される前記ビーム制限絞り(10)が前記共振器内部レーザビーム(7)によって露出過度にされ、前記格子上の使用ビーム断面の幅が前記拡大レーザビーム区間(9)に配置される前記ビーム制限絞り(10)によって定義されるように、前記追加入力ビーム制限絞り(12)の幅が選択され、
前記ビーム制限絞り(10)が最小拡大の場合に完全に照明され、前記ビーム制限絞り(10)が拡大の増加と共に露出過度にされるように、前記ビーム拡大光学ユニット(6)の調整範囲および前記入力ビーム制限絞り(12)の入力開口の幅が、互いに合致される、光学アセンブリ(5、14、17)。
[当初請求項2]
前記ビーム制限絞り(10)が、その上に入射する前記共振器内部レーザビーム(7)のエネルギーの5%未満を吸収するように具現化されることを特徴とする、当初請求項1に記載のアセンブリ。
[当初請求項3]
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも区間において、前記共振器内部レーザビーム(7)のための透過型実施形態を有することを特徴とする、当初請求項1または2に記載のアセンブリ。
[当初請求項4]
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも1つのくさび形プレートとして具現化されることを特徴とする、当初請求項3に記載のアセンブリ。
[当初請求項5]
前記共振器内部レーザビーム(7)が前記ビーム制限絞り(10)を通過した後に前記レーザ媒質によって増幅されないように、前記ビーム制限絞り(10)が、通過する前記共振器内部レーザビーム(7)の偏光状態を変更するように、複屈折材料でできていることを特徴とする、当初請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
[当初請求項6]
前記ビーム制限絞り(10)が、少なくとも区間において、前記共振器内部レーザビーム(7)のための反射型実施形態を有することを特徴とする、当初請求項1~5のいずれか1項に記載のアセンブリ。
[当初請求項7]
前記ビーム制限絞り(10)が、複数部分の実施形態を有することを特徴とする、当初請求項1~6のいずれか1項に記載のアセンブリ。
[当初請求項8]
前記ビーム制限絞り(10)の第1のビーム制限区間(10a)が、第1の側の前記共振器内部レーザビーム(7)の範囲を定め、前記拡大レーザビーム区間(9)の前記ビーム経路に沿って前記第1のビーム制限区間(10a)からオフセットして配置される、前記ビーム制限絞り(10)の第2のビーム制限区間(10b)が、前記第1の側の反対側の前記共振器内部レーザビーム(7)の範囲を定めることを特徴とする、当初請求項7に記載のアセンブリ。
[当初請求項9]
前記ビーム制限絞り(10)が、前記ビーム拡大光学ユニット(6)と前記格子(8)との間に配置されることを特徴とする、当初請求項1~8のいずれか1項に記載のアセンブリ。
[当初請求項10]
前記ビーム拡大光学ユニット(6)の拡大係数が、前記出力ビーム(3)の帯域幅を規定するための目的で波長可変実施形態を有することを特徴とする、当初請求項1~9のいずれか1項に記載のアセンブリ。
[当初請求項11]
前記ビーム制限絞り(10)によって範囲を定められる、前記共振器内部レーザビーム(7)の幅が、前記ビーム制限絞り(10)を通過中、前記ビーム拡大光学ユニット(6)の波長調整位置とは関係ないように、前記入力絞り(12)の幅と前記ビーム拡大光学ユニット(6)の前記拡大係数の調整範囲とが、互いに合致されることを特徴とする、当初請求項10に記載のアセンブリ。
[当初請求項12]
帯域幅制限レーザ(1)であって、
レーザ媒質(4)を含み、
出力ビーム(3)のための共振器出力結合ミラー(2)を含み、
前記共振器出力結合ミラー(2)の反対側の、前記レーザ媒質(4)の側に当初請求項1~11のいずれか1項に記載のアセンブリを含む、帯域幅制限レーザ(1)。
【0025】
帯域幅制限レーザが、DUV半導体リソグラフィにおける光源として使用され得る。例として、レーザのスペクトル帯域幅は、1000分の1に減少されてもよく、実施形態によっては、例えば0.15pm~0.6pmの範囲(E95幅)において可変帯域幅を設定するために波長調整されてもよい。帯域幅制限レーザは、DUV半導体リソグラフィのための露光ビームを生成するためにさらに増幅される、シードレーザとしての役割をし得る。対応するスペクトル帯域幅制限が所望される場合に、レーザの他の用途も可能である。
【0026】
本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】共振器内部レーザビームの拡大断面寸法が図面の水平面にあり、ビーム制限絞りを有する帯域幅制限エキシマレーザの共振器がレーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるために光学アセンブリの一部として拡大断面寸法において作用する、概略図である。
【
図2】
図1による光学アセンブリの代わりに使用され得る、レーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリの特定の実施形態を示す図である。
【
図3】
図2による光学アセンブリのビーム制限絞りの熱の影響を明らかにするために、
図2による光学アセンブリのビーム拡大光学ユニットのプリズムを示す図である。
【
図4】
図3の平面IVにおいて見られる、即ちプリズムを通り抜ける共振器内部レーザビームに対して垂直に見られる、
図3によるプリズムの温度プロファイルの図である。
【
図5】
図1による光学アセンブリの代わりに使用され得る、レーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリのさらなる実施形態を、
図2に類似した例示において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に概略的に示されるエキシマレーザ1は、レーザ1の出力ビーム3について部分的透過型実施形態を有する、出力結合ミラー2を有する共振器と、出力結合ミラー2の反対側のレーザ媒質4の側に、出力ビーム3のスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリ5と、を含む。光学アセンブリ5は、追加的に、レーザ1の共振器の第2の共振器ミラーの機能を有する。
【0029】
光学アセンブリ5は、拡大断面寸法、具体的には
図1の図面の水平面と一致する共振器内部レーザビーム7の断面寸法において、共振器内部レーザビーム7のビーム断面を拡大するための、レーザ共振器内に配置されるビーム拡大光学ユニット6を含む。
【0030】
ビーム拡大光学ユニット6は、ビーム拡大のための一連の光学コンポーネント、例えばプリズムP1、P2、...を含む。これらのプリズムP1、P2、...は、レーザ媒質4と光学格子8との間に配置される。光学格子8は、共振器内部レーザビーム7のための再帰反射構成(retroreflective arrangement)である。
【0031】
共振器内部レーザビーム7は、レーザ媒質4とビーム拡大光学ユニット6の第1のプリズムP1との間の共振器ビーム経路において非拡大ビーム断面Q1を有し、それと比較して拡大したビーム断面Q2を光学格子8の再帰反射において有する。共振器内部レーザビーム7と比較して、拡大方向の発散は、ビーム拡大系6と格子8との間で減少される。ビーム拡大光学ユニット6の第1のプリズムP1と格子8との間に、共振器内部レーザビーム7の拡大レーザビーム区間9が存在し、そこでは、共振器内部レーザビーム7のビーム断面は、拡大断面寸法においてQ1よりも大きい。
【0032】
光学アセンブリ5は、拡大レーザビーム区間9のビーム経路内にビーム制限区間10a、10bを有するビーム制限絞り10を含む。ビーム制限絞り10は、ビーム制限絞り10によって通過される共振器内部レーザビーム7の使用ビーム断面が、ビーム制限絞り10なしで存在する拡大断面寸法におけるビーム断面よりも拡大断面寸法において小さくなるように、拡大断面寸法において作用する。したがって、ビーム制限絞り10は、拡大断面寸法において共振器内部レーザビーム7の収縮につながる。
【0033】
光学コンポーネントを有するレーザ1の共振器の全ての部分が、パージガス雰囲気それ自体による吸収および表面の汚染を減少させるため、ならびに例えば、そこでの残留吸収の結果としてコンポーネント上に蓄積される熱を放熱するために、
図1に非常に概略的に示されるパージ装置11を用いて、適当なパージガス、例えば窒素またはヘリウムでパージされる。
【0034】
ビーム制限絞り10は、
図1による複数部分の実施形態を有し、
図1において上から共振器内部レーザビーム7の範囲を定めるビーム制限区間10aと、
図1において下から共振器内部レーザビーム7の範囲を定める第2のビーム制限区間10bと、を含む。したがって、2つのビーム制限区間10a、10bは、拡大断面寸法において対向する側から共振器内部レーザビーム7の範囲を定める。
【0035】
ビーム制限絞り10は、その上に入射する共振器内部レーザビーム7のマスクされた断面のエネルギーの5%未満、特に1%未満を吸収するように具現化され得る。ビーム制限絞り10は、透過型実施形態を有し、即ち、少なくとも区間において共振器内部レーザビームを通過させ、これらの通過成分がレーザ媒質4においてもはや増幅されないように共振器内部レーザビーム7の通過成分に対して作用する。2つのビーム制限区間10a、10bは、くさび形プレートとして具現化されてもよく、それによって、それを通過する共振器内部レーザビーム7の成分の角度偏向につながる。この角度偏向は、非常に小さくてもよく、共振器内部レーザビーム7のこれらの偏向した成分が格子8における再帰反射後にレーザ媒質4でもはや増幅されないほど大きければよい。ビーム制限絞り10は、共振器内部レーザビーム7について、区間において反射型実施形態をさらに有してもよく、この目的のために、ビーム制限絞り10は、区間において対応する反射コーティングを有する。これらの反射区間は、影を作ることによって、例えば下流の光学ユニットの重要な領域に入射すべきでないビーム断面のエッジ領域を除去する。
【0036】
ビーム偏向または反射効果に対する代替としてまたは加えて、ビーム制限絞り10は、偏光光学効果も有してもよく、それによって、レーザ媒質4においてもはや増幅されないように共振器内部レーザビーム7の成分に影響を及ぼし得る。
【0037】
ビーム直径Q2が大きくなるほど、および/または発散DIV1が小さくなるほど、出力ビーム3のスペクトル帯域幅が小さくなる。ビーム拡大光学ユニットおよび光学格子でレーザの出力ビームのスペクトル帯域幅を減少させるための光学アセンブリの基本機能は、米国特許第6,496,528(B2)号、米国特許第7,899,095(B2)号、および米国特許第8,379,687(B2)号から既知である。
【0038】
共振器内部レーザビーム7のビーム断面Q1の幅は、第1にビーム拡大光学ユニット6の第1のプリズムP1とレーザ媒質4との間、および第2にレーザ媒質4と出力結合ミラー2との間の2つのさらなる開口絞り12、13によって、定義される。絞り12は、アセンブリに5に入るビームの幅によって定義される。
【0039】
図1において、これは、追加の破線ビーム経路7’によって示される。実線は、絞り10によって定義される共振器内部レーザビーム7の使用ビーム幅を示すために使用されている。破線は、絞り12によって定義されるビーム幅を示すために使用され、それは拡大後の内部絞り10の露出過多につながる。
【0040】
断面Q
2のサイズおよび/または発散を設定するために、したがって、出力ビーム3のスペクトル帯域幅を設定するために、ビーム拡大光学ユニット6における第1のプリズムP1は、変位可能であるように、特に
図1の図面の水平面に垂直なチルト軸を中心としてチルト可能であるように設計され得る。ビーム拡大光学ユニット6の調整範囲および入力開口12の幅は、ビーム制限絞り10が、最小拡大の場合にほぼ完全に照明され、拡大の増大と共に完全に露出過度にされるように互いに合致(matched)され得る。したがって、同一の使用ビーム幅が、ビーム拡大光学ユニットの帯域幅調整位置とは関係なく、光学格子において存在する。
【0041】
よって、ビーム制限絞り10の位置において、ビーム拡大光学ユニット6の波長調整位置の変更は、共振器内部レーザビーム7の発散の変更にのみつながり、拡大断面寸法における使用断面の断面の変化にはつながらない。
【0042】
光学アセンブリ14の特別な実施形態は、光学アセンブリ5の代わりにレーザ1において使用されてもよく、
図2に基づいて以下で説明される。
図1を参照して上記で既に説明されているものに対応するコンポーネントおよび機能は、同一参照符号を有し、再度詳細には議論されない。
【0043】
光学アセンブリ14において、ビーム拡大光学ユニット6は、合計4つのプリズムP1、P2、P3、およびP4を有し、それらは、それぞれ、拡大断面寸法においてプリズムP1と光学格子8との間に位置する拡大レーザビーム区間9内の共振器内部レーザビーム7のビーム断面を拡大する。拡大断面寸法においてそれぞれのプリズムP1~P4によって共振器内部レーザビーム7の拡大を再現する拡大係数は、プリズムごとに1.5~5の範囲に及び、例えば、3であってもよい。共振器内部レーザビーム7の発散は、共振器内部レーザビーム7の拡大に従って減少する。
【0044】
アセンブリ14は、プリズムP4と格子8との間の共振器内部レーザビーム7のビーム経路において偏向ミラーMを追加的に有する。光学アセンブリ14のビーム制限絞り10の2つのビーム制限区間10a、10bは、拡大レーザビーム区間内の共振器内部レーザビーム7のビーム経路に沿って互いにオフセットして配置される。このオフセットは、それぞれのビーム制限区間10aまたは10bから格子8までの共振器内部レーザビーム7の光路がほぼ同一の長さであるようになる。
【0045】
図3および
図4は、均熱に対するビーム制限絞り10の影響、特に共振器内部レーザビーム7の使用領域における光学特性の影響を明らかにする。これは、原則として、(
図2による実施形態におけるような)プリズムP2、P3、およびP4の数珠繋ぎについて影響が比較可能であり、ビーム拡大光学ユニット6のプリズムP1に基づいて簡略化された様式で示される。
【0046】
ビーム制限絞り10の影響のために、拡大断面寸法においてより広く始まるビーム断面Q
1(
図3における破線のビーム境界プロファイル15または
図1における光学ユニットの数珠繋ぎの場合の破線プロファイル7’を参照)が、共振器内部レーザビーム7の実際の使用領域のビーム断面Q
bに制限される。
【0047】
共振器内部レーザビーム7がレーザ媒質4から入力絞り12およびプリズムP1を通って進むとき、ビーム境界プロファイル15に対応する入力断面全体が、残留吸収を理由とするプリズムP1の加熱の一因となる。プリズムP1を通るレーザ照射の通過チャネル16に沿ったこの加熱は、複数の熱流入ゾーンW1、W2、およびW3において
図3に示されている。
【0048】
通過チャネル16に沿った、即ち実際の使用ビーム断面Q
bの範囲内の中央熱流入ゾーンW1において、温度勾配なしの実質的に一定の温度増加がある。このほぼ一定の温度増加は、追加的に
図4において明らかにされ、それは、共振器内部レーザビーム7の断面(横断寸法q)におけるプリズムP1の温度プロファイルを示す。
【0049】
そのとき、両側の横方向に隣接する熱流入ゾーンW2において、および同様にこれに横方向に隣接する外側の熱流入ゾーンW3においてもたらされる熱が漸減する。したがって、熱流入ゾーンW2、W3には温度勾配がある。
【0050】
ビーム境界プロファイル15内の断面全体が、レーザ媒質4からプリズムP1を通る通過中の通過チャネル16における熱流入の一因となるため、中央熱流入ゾーンW1は、いかなる顕著な温度勾配もなしに生じる。したがって、この使用領域はいかなる顕著な温度勾配もない熱流入ゾーンW1を通過するだけであるため、プリズムP1は、プリズムP1の通過中の共振器内部レーザビーム7の使用領域におけるビーム伝播の波面の乱れにはつながらない。
【0051】
弱い角度偏向を有する透過型くさび形プレートとしてのビーム制限絞り10の実施形態の場合に、使用領域に属さない共振器内部照射の折り返し部分、即ち、格子8によって反射される共振器内部照射の部分もやはり、熱流入ゾーンW2、W3においてプリズムP1の加熱の一因となり、よって望ましくは、最低限中央熱流入ゾーンW1において温度勾配を維持し得る。
【0052】
図2において、共振器内部レーザ照射は、拡大断面寸法において共振器内部レーザビームの使用領域の程度よりも大きな断面領域で、プリズムP1~P4、ミラーM、およびさらに格子8上に突き当たる。これは特に格子8にも適用され、それは、ビーム制限区間10a、10bのくさび形プレート実施形態による角度偏向が、格子8上のビーム制限区間10a、10bによって角度オフセットされ透過される照射の入射位置に対して軽微な影響を有するだけであるように、共振器内部レーザビーム7のビーム経路内のビーム制限区間10a、10bは、格子8上の共振器内部レーザ照射入射の短いビーム経路の上流のみに配置されるためである。
【0053】
光学アセンブリ17のさらなる実施形態は、光学アセンブリ5または14の代わりにレーザ1において使用されてもよく、
図5に基づいて以下で説明される。
図1~3を参照して上記で既に説明されているものに対応するコンポーネントおよび機能は、同一参照符号を有し、再度詳細に議論されない。
【0054】
光学アセンブリ17において、ビーム拡大光学ユニット6は、ここでも4つのプリズムP1、P2、P3、およびP4を含む。第1のプリズムP1は、特に、レーザ1のスペクトル帯域幅を指定するために、チルト可能な実施形態を有する。さらに、プリズムP3およびP4は、出力ビーム3の中央波長を指定するために、チルト可能な実施形態を有する。アセンブリ17のビーム拡大光学ユニット6の対応する実施形態は、米国特許第7,899,095(B2)号に説明されている。
【0055】
アセンブリ17におけるビーム幅制限が、入力絞り12のみによって実施される場合、P1を回転させることによるビーム拡大の変化は、格子に対する照明の幅を変更可能にする。ビーム拡大を最小値から最大値まで変化させるとき、格子基板の不十分な熱伝導を理由として、与えられる不均一な温度分布の均等化は非常に遅いだけである。これは、特にレーザ1が高いレーザパワーで動作される場合に、結果として波面における著しい乱れを有し、それは、求められる大きな帯域幅から小さな帯域幅への高速変化に対する障害である。内部絞り10による使用ビーム幅の制限が著しい場合、ならびに入力絞り12および内部絞り10の幅の合致が適当である場合に、拡大係数とは関係なく、格子の照明の幅を大部分一定に保つことが可能である。P1を回転することによる拡大係数の変動は、その際、格子に対する照明の幅が著しく変化することなく、入射ビームの発散に対する影響のみを有する。
【0056】
内部絞り10によるビーム制限の場合に概して非常に低い温度勾配を有する、光学アセンブリ17の光学コンポーネントを通した共振器内部レーザビーム7のビーム案内、および拡大と共に変化する格子上の温度分布の回避によって、特に、レーザ1が高レーザパワーで動作される場合であっても高スペクトル帯域幅と低スペクトル帯域幅との間の変更を行うことが可能となる。特に、スペクトル帯域幅の最大値と最小値との間の変更が、実質的にヒステリシスなしに実施され得る。