(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】研削方法及び研削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/10 20060101AFI20220907BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20220907BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20220907BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B24B49/10
B24B49/04 Z
B24B7/04 A
H01L21/304 622S
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2018186703
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱砂 正博
(72)【発明者】
【氏名】長澤 唯人
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049913(JP,A)
【文献】特開2007-335458(JP,A)
【文献】特開2010-040821(JP,A)
【文献】特開2017-189831(JP,A)
【文献】特開2005-109350(JP,A)
【文献】特開平11-207610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B41/00-51/00
B24B5/00-7/30
B24B37/00-37/34
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの裏面を研削して所望の厚みへと薄化する研削方法であって、
ウェーハの表面に所定の保護部材を配設する保護部材配設ステップと、
該保護部材を介してウェーハを保持テーブルで保持してウェーハの裏面を露出させる保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該保持テーブルの上面とウェーハの裏面とにそれぞれ検出端子を接触させて、該保護部材とウェーハとの合計厚みを計測しつつウェーハの該裏面を研削して所定厚みへと薄化する研削ステップと、
該研削ステップを実施した後、該保護部材が配設されたウェーハの重量を測定する重量測定ステップと、
該重量測定ステップで測定した重量をもとに、ウェーハが該所望の厚みに薄化されているかを確認する確認ステップと、
を備えた研削方法。
【請求項2】
表面に保護部材が配設されたウェーハの裏面を研削する研削装置であって、
該保護部材を介してウェーハを保持する保持面を含む保持テーブルと、
該保持テーブルで保持されたウェーハを研削する研削ホイールを有した研削手段と、
該保持面に接触して該保持面の高さ位置を検出する第1検出端子と、該保持テーブルで保持されたウェーハの裏面に接触して該裏面の高さ位置を検出する第2検出端子とを有し
、該第1検出端子により測定された高さと該第2検出端子により測定された高さとの差を用いて該保護部材と該ウェーハとの合計の厚みを測定する厚み測定手段と、
ウェーハの研削により該保護部材と該ウェーハとの合計の厚みが所定の厚みになった後の該保護部材が配設されたウェーハの重量を測定する重量測定手段と、
を備えた研削装置。
【請求項3】
少なくとも該研削手段を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、所定の該保護部材を配設したウェーハが所定厚みへと薄化された場合の重量を既定重量として記憶する重量記憶部と、
該重量測定手段で測定した研削後の該保護部材が配設されたウェーハの重量と、該既定重量とを比較する比較部と、を有し、
該研削装置は、該比較部で比較した重量が許容値外の場合に警告を発信する警告発信手段を更に備えた、
請求項2に記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削方法及び研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のウェーハの裏面の研削中は、ウェーハを所望の厚みへと薄化するために、特許文献1に示すように、保持テーブルの保持面とウェーハの裏面とに検出端子を接触させて、ウェーハの厚みを計測する(例えば、特許文献1参照)。実際には、表面のデバイスを保護するために、ウェーハの表面には保護テープ等の保護部材が貼着され、研削装置においては、保護部材側を保持テーブルで保持し、研削中は、保護部材とウェーハとの合計の厚みを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、誤って使用すべき保護部材とは異なる厚みの保護部材をウェーハに貼着してウェーハを研削した場合、保護部材とウェーハとの合計の厚みが所定の厚みとなっても、ウェーハは所望の厚みとは異なる厚みに薄化されてしまう。研削後の薄化されたウェーハから保護部材を除去してウェーハ単体の厚みを測定するのはウェーハを破損させるおそれもあるので許容し難い。研削後のウェーハは、一般にダイシングされ、ピックアップされて基板に実装されていくが、研削後のウェーハが所望の厚みと異なっていても判別されることがないため、最終製品に組み込まれてから厚みに起因する不具合が生じる可能性もある。本発明が解決しようとする課題は、研削後にウェーハが所望の厚みに研削されたかどうかを容易に把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ウェーハの裏面を研削して所望の厚みへと薄化する研削方法であって、ウェーハの表面に所定の保護部材を配設する保護部材配設ステップと、該保護部材を介してウェーハを保持テーブルで保持してウェーハの裏面を露出させる保持ステップと、該保持ステップを実施した後、該保持テーブルの上面とウェーハの裏面とにそれぞれ検出端子を接触させて、該保護部材とウェーハの合計厚みを計測しつつウェーハの該裏面を研削して所定厚みへと薄化する研削ステップと、該研削ステップを実施した後、該保護部材が配設されたウェーハの重量を測定する重量測定ステップと、該重量測定ステップで測定した重量をもとに、ウェーハが該所望の厚みに薄化されているかを確認する確認ステップと、を備えた研削方法である。
【0006】
また、本発明は、表面に保護部材が配設されたウェーハの裏面を研削する研削装置であって、該保護部材を介してウェーハを保持する保持面を含む保持テーブルと、該保持テーブルで保持されたウェーハを研削する研削ホイールを有した研削手段と、該保持面に接触して該保持面の高さ位置を検出する第1検出端子と、該保持テーブルで保持されたウェーハの裏面に接触して該裏面の高さ位置を検出する第2検出端子とを有し、該第1検出端子により測定された高さと該第2検出端子により測定された高さとの差を用いて該保護部材と該ウェーハとの合計の厚みを測定する厚み測定手段と、ウェーハの研削により該保護部材と該ウェーハとの合計の厚みが所定の厚みになった後の該保護部材が配設されたウェーハの重量を測定する重量測定手段と、を備えた研削装置である。
【0007】
上記制御装置は、少なくとも該研削手段を制御する制御手段を備え、該制御手段は、所定の該保護部材が配設されたウェーハを所望の厚みへと薄化したときの重量を既定重量として記憶する重量記憶部と、該重量測定手段で測定した研削後の該保護部材が配設されたウェーハの重量と、該既定重量とを比較する比較部と、を有し、該研削装置は、該比較部で比較した重量が許容値外の場合に警告を発信する警告発信手段を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、研削後に測定した保護部材が配設されたウェーハの重量を測定することにより、ウェーハが所望の厚みに薄化されているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】研削時の保持テーブルと研削手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1 保護部材配設ステップ
図1に示すように、研削されるウェーハWは、例えば、表面Waに複数のデバイスDを備える半導体ウェーハ等であり、研削後に分割予定ラインLに沿って分割される。
図2に示すように、研削前に、ウェーハWの表面Waには、表面保護を目的として保護部材Tが配設される。保護部材Tは、例えば、テープ等である。
【0011】
2 保持ステップ
次に、
図3に示す研削装置1の保持テーブル5において、保護部材Tが貼着されたウェーハWを保持する。
図3に示す研削装置1は、粗研削手段30及び仕上げ研削手段31を備え、いずれかの保持テーブル5の上に保持されたウェーハWを粗研削手段30及び仕上げ研削手段31により研削する装置である。
【0012】
研削装置1は、例えば、第1の装置ベース10の後方(+Y方向側)に第2の装置ベース11が連結されている。第1の装置ベース10の上は、ウェーハWの搬出入等が行われる搬出入領域Aとなっている。第2の装置ベース11の上は、保持テーブル5で保持されたウェーハWが粗研削手段30と仕上げ研削手段31とによって研削される研削領域Bとなっている。
【0013】
第1の装置ベース10の正面側(-Y方向側)には、第1のカセット載置部150及び第2のカセット載置部151が設けられており、第1のカセット載置部150には加工前のウェーハWが収容される第1のカセット150aが載置され、第2のカセット載置部151には加工後のウェーハWが収容される第2のカセット151aが載置される。
【0014】
第1のカセット150aの開口の後方には、第1のカセット150aから加工前のウェーハWを搬出するとともに加工後のウェーハWを第2のカセット151aに搬入するロボット155が設けられ、ロボット155に隣接する位置には、ウェーハWを仮置きするための仮置き領域152が設けられている。仮置き領域152には、位置合わせ手段153が配設され、位置合わせ手段153は、第1のカセット150aから搬出され仮置き領域152に載置されたウェーハWを、複数の位置合わせピンで所定の位置に位置合わせ(センタリング)する。
【0015】
位置合わせ手段153に隣接する位置には、ウェーハWを保持した状態で旋回するローディングアーム154aが配置されている。ローディングアーム154aは、位置合わせ手段153により位置合わせされたウェーハWを保持し、研削領域B内に配設されているいずれかの保持テーブル5へ搬送する。ローディングアーム154aの隣には、加工後のウェーハWを保持した状態で旋回するアンローディングアーム154bが設けられている。アンローディングアーム154bと近接する位置には、アンローディングアーム154bにより搬送された加工後のウェーハWを洗浄する枚葉式の洗浄手段156が配設されている。洗浄手段156により洗浄されたウェーハWは、ロボット155により第2のカセット151aに搬入される。
【0016】
第2の装置ベース11の後方(+Y方向側)には第1のコラム12が立設されており、第1のコラム12の前面には粗研削送り手段20が配設されている。粗研削送り手段20は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ200と、ボールネジ200と平行に配設された一対のガイドレール201と、ボールネジ200に連結しボールネジ200を回動させるモータ202と、内部のナット構造がボールネジに螺合し側部がガイドレール201に摺接する昇降板203と、昇降板203に連結され粗研削手段30を保持するホルダ204とから構成され、モータ202がボールネジ200を回動させると、昇降板203がガイドレール201に案内されてZ軸方向に往復移動し、ホルダ204に支持された粗研削手段30もZ軸方向に往復移動する。
【0017】
粗研削手段30は、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)であるスピンドル300と、スピンドル300を回転可能に支持するハウジング301と、スピンドル300を回転駆動するモータ302と、スピンドル300の下端に接続された円形状のマウント303と、マウント303の下面に着脱可能に接続された研削ホイール304とを備える。モータ302により、Z軸方向の軸心周りにスピンドル300が回転し、それに伴い、研削ホイール304が同じくZ軸方向の軸心周りに回転する構成となっている。研削ホイール304は、ホイール基台304aと、ホイール基台304aの底面に環状に固着された略直方体形状の複数の粗研削砥石304bとを備える。
【0018】
また、第2の装置ベース11上の後方には、第2のコラム13が第1のコラム12にX軸方向に並んで立設しており、第2のコラム13の前面には仕上げ研削送り手段21が配設されている。仕上げ研削送り手段21は、粗研削送り手段20と同様に構成されており、仕上げ研削手段31をZ軸方向に研削送りすることができる。仕上げ研削手段31は、仕上げ研削砥石314bを備え、仕上げ研削砥石314bの中に含まれる砥粒は、前述した粗研削砥石304bの砥粒よりも小さい。仕上げ研削手段31のその他の構成は粗研削手段30と同様となっている。
図3における仕上げ研削送り手段21及び仕上げ研削手段31に関し、粗研削送り手段20及び粗研削手段30と同様に構成される部位については共通の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0019】
第2の装置ベース11の上には、ターンテーブル4が配設され、ターンテーブル4の上面には、例えば、保持テーブル5が周方向に等しい間隔を空けて3つ配設されている。ターンテーブル4の下方には、ターンテーブル4を自転させるための図示しない回転手段が配設されており、ターンテーブル4は、ターンテーブル4の中心を回転中心としたZ軸に平行な軸心の周りに自転可能となっている。ターンテーブル4の自転により、3つの保持テーブル5が公転することで、仮置き領域152の近くに位置する保持テーブル5の上に載置されたウェーハWが、粗研削手段30の下方、仕上げ研削手段31の下方へと順次位置づけられる。
【0020】
保持テーブル5は、例えば、その外形が円形板状でありウェーハWを吸引保持する保持面50aを有する吸引部50と、保持面50aを囲繞し、吸引部50を下方から支持する枠体51とから構成される。尚、枠体51の上面である基準面51aと、保持面50aとは同じ高さとなっている。3つの保持テーブル5は保持テーブル5の下方に吸引手段52を備え、吸引手段52の発揮する吸引力により、保持面50aの上にウェーハWを吸引保持できる。また、3つの保持テーブル5は、保持テーブル5の下方の図示しない回転手段により保持テーブル5の中心を回転中心としてZ軸に平行な軸心の周りで回転することができる。
【0021】
第2の装置ベース11上には研削時にウェーハWと保護部材Tとの合計の厚みを測定するための厚み測定手段6が配設されている。厚み測定手段6は、枠体51の上面である基準面51aに接触させて基準面51aの高さ位置を検出する第1検出端子60と、ウェーハWの裏面Wbに接触させ裏面Wbの高さ位置を検出する第2検出端子61とを備え、両端子により測定された高さの差を用いてウェーハWの厚みを測定できる。
【0022】
第1の装置ベース10上には、研削後のウェーハの重量を測定する重量測定手段7が配設される。重量測定手段7は、測定台70とモニタ71とを備える。重量測定手段7には制御手段8が接続され、制御手段8は、ウェーハが研削され所望の厚みへと薄化された場合の重量を既定重量として記憶する重量記憶部80と、重量測定手段7によって測定した実際の重量と重量記憶部80に記憶された既定重量とを比較する比較部81とを備える。比較部81では、両重量の比較前に、許容される重量差の設定が予め行われ、比較後、比較結果がその許容される重量差の範囲内に含まれているか否かの判定をすることとなる。
【0023】
さらに、制御手段8には、警告発信手段9が接続されている。警告発信手段9は、制御手段8の比較部81による既定重量と研削後の重量との比較の結果をうけて、研削後の重量が許容値外の値である場合に警告をする役割を担う。警告発信手段9としては、例えば、図示しない装置上部に取り付けられたLED等の警告表示灯が、研削後の重量が許容値外のときに点灯し、点灯表示をオペレータ等が視認できるような仕組みが考えられ、或いは、警告発信手段9は、例えば、警告表示灯の代わりに警告音を発するスピーカー部を備えてもよい。警告表示灯の点灯と、警告音の発信とを同時に行うことができるような構成でもよい。
【0024】
本ステップでは、保護部材Tが配設されたウェーハWを、
図3に示した第1のカセット150aからロボット155によって搬出し、仮置き領域152で位置合わせ手段153により一定の位置に位置合わせした後、ローディングアーム154aを用いて、保持テーブル5の上に移動する。
図4に示すように、裏面Wbを上側に露出させて、保持テーブル5の上に載置されたウェーハWは、吸引部50の下方に配設された吸引手段52の吸引力によって、保護部材Tを介して保持テーブル5に吸引保持される。
【0025】
3 研削ステップ
研削ステップでは、ウェーハWの裏面Wbを仕上げ厚みの直前の厚みまで粗研削手段30を用いて粗研削を行った後に、粗研削の際に用いた粗研削砥石304bよりも砥粒の小さな仕上げ研削砥石314bを備える仕上げ研削手段31を用いて、仕上げ厚みまで、仕上げ研削を行う。以下に粗研削と仕上げ研削との工程にわけて記す。
【0026】
(1)粗研削
保持ステップにて仮置き領域152の近くの保持テーブル5の上に保持したウェーハWは、ターンテーブル4が+Z方向から見て反時計回りに回転することによって、粗研削手段30の下方に移動する。
図5に示すように、ウェーハWと粗研削手段30の粗研削砥石304bとの位置関係は、粗研削砥石304bがウェーハWの回転中心を通る関係とする。ウェーハWのうち粗研削砥石304bが通らない領域においては、厚み測定手段6の第2検出端子61をウェーハWの裏面Wbに接触させることができる。
【0027】
図1に示したモータ302によりスピンドル300を回転させることで粗研削砥石304bを回転させるとともに、保持テーブル5を図示しない保持テーブル5の下方の回転手段により回転させることでウェーハWを回転させる。これにより、粗研削砥石304bをウェーハWの裏面Wbの全面に接触させる。粗研削手段30が、粗研削送り手段20により-Z方向に送られ、回転する粗研削砥石304bが保持テーブル5に保持されたウェーハWの裏面Wbに当接することで研削加工が行われる。粗研削の最中、厚み測定手段6の第1検出端子60を基準面51aに接触させつつ、第2検出端子61をウェーハWの裏面Wbに接触させることにより、保護部材TとウェーハWとの合計の厚みを計測し、当該合計の厚みが所定の厚みとなる直前まで研削する。
【0028】
(2)仕上げ研削
所定の厚みの直前までウェーハWを研削した後、粗研削送り手段20により粗研削手段30を上昇させ、ウェーハWから離間させる。その後、
図3に示すターンテーブル4を+Z方向から見て反時計回り方向に回転させ、ウェーハWを吸引保持する保持テーブル5を仕上げ研削手段31の下方まで移動させる。粗研削時と同様に、ウェーハWと仕上げ研削手段31の仕上げ研削砥石314bとの位置関係は、仕上げ研削砥石314bが、ウェーハWの回転中心を通る関係とする。
【0029】
粗研削時と同様に、仕上げ研削手段31を仕上げ研削送り手段21により下方へと送り、回転する仕上げ研削砥石314bをウェーハWの裏面Wbに当接させるとともに、保持テーブル5の回転によりウェーハWを回転させ、ウェーハWの裏面Wbの全面を仕上げ研削する。その間、粗研削時と同様に、厚み測定手段6の第1検出端子60を保持テーブル5の枠体51の上面である基準面51aに接触させつつ、第2検出端子61をウェーハWの裏面Wbに接触させることで保護部材TとウェーハWとの合計の厚みを計測し、当該合計の厚みが所定の厚みに達するまで研削する。
【0030】
4 重量測定ステップ
仕上げ研削後、ターンテーブル4を+Z方向から見て反時計周り方向に回転し、仕上げ研削手段31の下方に位置していた保持テーブル5を-Y方向側に移動させる。その後、アンローディングアーム154bによってウェーハWを洗浄手段156に移送する。そして、洗浄手段156においてウェーハWを洗浄し、洗浄されたウェーハWは、次いで、ロボット155によって搬送されて重量測定手段7の上に位置付けられる。そして、
図6に示すように、重量測定手段7の測定台70にウェーハWを載置し、モニタ71に表示された測定値を読み取ることで、研削後の保護部材TとウェーハWとの合計の重量を測定する。
【0031】
5 確認ステップ
上記の重量測定ステップで測定した保護部材TとウェーハWとの合計の重量をもとに、ウェーハWが所望の厚みに薄化されているかを確認する。ウェーハWに配設された保護部材Tの厚みが正しければ、該保護部材Tの重量と、所望の厚み分のウェーハWの重量との合計の重量(既定重量)は一定の値をとるはずである。従って、もし、研削前に配設した保護部材Tの厚みが、予め定められた厚みと異なっていれば、研削後の重量測定で測定した合計の重量の測定値と既定重量との間に差が生まれる。この重量の差が予め定めた範囲内かどうかを基準として、ウェーハWが所望の厚みに薄化されているかを確認する。
【0032】
確認ステップの実施時に、
図3に示したような制御手段8を用いることで、所望の厚みに薄化されたかどうかを確認することができる。その際は、重量測定手段7により測定された研削後の合計の重量と、制御手段8が備える重量記憶部80であらかじめ記憶された既定重量とを、制御手段8の比較部81で比較する。例えば、比較結果が既定の許容範囲外であったならば、ウェーハWを所望の厚みに仕上げられなかったとみなし、制御手段8に接続された警告発信手段9により警告を発信する。具体的には、例えば、比較部81の比較結果をうけて、図示しない装置上部に取り付けられた警告表示灯が特定の色を光らせ、その様子を外観からオペレータが視認し、厚みの異常を認識する。あるいは、警告発信手段9は、図示しない音源を備え、比較結果が既定の許容範囲を逸脱した場合に、警告音を発することで、オペレータが厚みの異常を認識する。
【0033】
以下に、確認ステップ実施時の具体的な例を挙げる。例えば、元厚725±20μmであるφ8インチウェーハを厚み150μmに仕上げたい場合において、このときに用いる保護部材Tの厚みを100μmと定め、その重量が3.8gであるとする。そして、ウェーハWが厚み150μmに形成された時の保護部材TとウェーハWとの合計の重量が14.77gであるとする。この合計の重量の値は、制御手段8の重量記憶部80に既定重量として予め記憶される。
【0034】
例えば、±0.3g等、保護部材Tの厚みのばらつきに応じて許容する保護部材Tの重量のばらつきを設定しておく。すなわち、保護部材TとウェーハWとの合計の重量が正しい重量から±0.3gを超えた値であれば所望の厚みに薄化されなかったと判断する。今、研削後、重量測定手段7によって測定されたウェーハWと保護部材Tとの合計の重量が11.32gであったとする。このとき、比較部81により、研削後の合計の重量と記憶された既定重量とが比較される結果、その重量差が、許容される範囲を超えるため、測定値と所望の厚みに薄化されなかったと判断される。
【0035】
比較部81により両者の重量が比較された結果、重量差が許容される範囲外の値であった場合、その比較結果をうけて警告発信手段9が警告をする。前述している通り、警告の発信は、警告表示灯の表示や警告音の発信その他の方法によってなされる。これにより、オペレータは厚みの異常を認識する。ウェーハWが所望の厚みよりも厚く形成されていた場合は、ウェーハの表面に配設されている保護部材を除去し、適切な保護部材を配設し直した後、研削ステップ、重量測定ステップ及び確認ステップを再度実施してもよい。一方、ウェーハWが所望の厚みよりも薄く形成されていた場合は、そのウェーハWは廃棄される。
【0036】
なお、本実施形態では、研削装置1に備えた重量測定手段7を用いて研削後の保護部材TとウェーハWとの合計の重量を測定することとしたが、重量測定手段を備えない研削装置を用いて保持ステップ及び研削ステップを実施し、その後、単体の重量計を用いて研削後の保護部材TとウェーハWとの合計の重量を測定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
W:ウェーハ Wa:表面 Wb:裏面 L:分割予定ライン D:デバイス
T:保護部材
1:研削装置 10:第1の装置ベース 11:第2の装置ベース
12:第1のコラム 13:第2のコラム
150:第1のカセット載置部 150a:第1のウェーハカセット
151:第2のカセット載置部 151a:第2のウェーハカセット
152:仮置き領域 153:位置合わせ手段 154a:ローディングアーム
154b:アンローディングアーム 155:ロボット 156:洗浄手段
20:粗研削送り手段 200:ボールネジ 201:ガイドレール
202:モータ 203:昇降板 204:ホルダ
21:仕上げ研削送り手段
30:粗研削手段 300:スピンドル 301:ハウジング 302:モータ
303:マウント 304:研削ホイール 304a:ホイール基台
304b:粗研削砥石
31:仕上げ研削手段 314b:仕上げ研削砥石
4:ターンテーブル
5:保持テーブル 50:吸引部 50a:保持面 51:枠体 51a:基準面
52:吸引手段
6:厚み測定手段 60:第1検出端子 61:第2検出端子
7:重量測定手段 70:測定台 71:モニタ
8:制御手段 80:重量記憶部 81:比較部
9:警告発信手段
A:搬出入領域 B:研削領域