(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220908BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20220908BHJP
A61F 13/474 20060101ALI20220908BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/47 300
A61F13/474
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2019097189
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 英之
(72)【発明者】
【氏名】西谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】西村 規世子
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150233(JP,A)
【文献】特開2017-080104(JP,A)
【文献】特開2017-000329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/47
A61F 13/56
A61F 13/474
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートに個別に包装される吸収性物品であって、
前後方向と、幅方向と、
吸収体と、
前記吸収体よりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収体よりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記非肌側シートの非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する粘着部と、を有し、
前記吸収性物品は、前記包装シートが展開された展開状態において、前記幅方向に延びる境界折り部を基点として折られており、
前記吸収性物品は、前記境界折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられており、
前記本体部は、前記粘着部を介して着用物品に固定可能であり、
前記延出可能部は、前記境界折り部を基点として折り返された非延出状態から前記本体部よりも前記前後方向の外側に延出可能であり、
前記展開状態かつ前記非延出状態において、前記延出可能部は、前記包装シートと前記包装シートの外端縁よりも前記前後方向の外側に位置する延長領域とのいずれかに対向する対向面を有し、
前記粘着部は、前記対向面以外の領域に設けられて
おり、
前記展開状態において、前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られており、
前記延出可能部は、
前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、
前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有し、
前記非延出状態において、
前記第1部分は、前記本体部よりも肌面側に配置されており、
前記第2部分は、前記第1部分よりも肌面側に配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品の肌面側から視て、前記非延出状態において、前記第1部分は、前記第2部分に覆われている請求項
1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記境界折り部と前記補助折り部との少なくとも一方には、前記幅方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部が設けられている請求項
1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記粘着部は、前記非延出状態において前記第1部分と前記第2部分とが厚さ方向に重なる領域に設けられており、
前記非延出状態において前記延出可能部に設けられた前記粘着部を覆う剥離部が設けられている請求項
1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記本体部は、使用者の排泄口に当接する領域を含む排泄口当接領域を有し、
前記幅方向の中央において前記前後方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部を有し、
前記曲げ誘導部は、前記本体部において、前記排泄口当接領域の前記前後方向の中心よりも後側に配置されている請求項1から
4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であり、
前記延出可能部には、前記吸収体が配置されており、
前記幅方向の中央において前記前後方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部を有し、
前記曲げ誘導部は、前記延出可能部に配置されている請求項1から
5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1部分には、前記吸収体が配置されており、
前記曲げ誘導部は、前記第1部分に配置されている請求項
6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第2部分には、前記吸収体が配置されており、
前記曲げ誘導部は、前記第2部分に配置されており、
前記曲げ誘導部の厚さは、前記曲げ誘導部の周囲の厚さと異なっている請求項
6又は7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記本体部と前記延出可能部とを仮止めする仮止め部を有する請求項1から
8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であり、
前記本体部の非肌側シートの触感と前記延出可能部の非肌側シートの触感とが異なる請求項1から
9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であり、
着用物品の非肌面側に折り返されるウイングを有し、
前記非延出状態において、前記ウイングの前記前後方向の中心から前記延出可能部の最も後側の後端縁までの長さは、前記ウイングの前記前後方向の前記中心から前記吸収性物品の最も前側の前端縁までの長さよりも長い請求項1から
10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
包装シートに個別に包装される吸収性物品であって、
前後方向と、幅方向と、
吸収体と、
前記吸収体よりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収体よりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記非肌側シートの非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する粘着部と、を有し、
前記吸収性物品は、前記包装シートが展開された展開状態において、前記幅方向に延びる境界折り部を基点として折られており、
前記吸収性物品は、前記境界折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられており、
前記本体部は、前記粘着部を介して着用物品に固定可能であり、
前記延出可能部は、前記境界折り部を基点として折り返された非延出状態から前記本体部よりも前記前後方向の外側に延出可能であり、
前記展開状態かつ前記非延出状態において、前記延出可能部は、前記包装シートと前記包装シートの外端縁よりも前記前後方向の外側に位置する延長領域とのいずれかに対向する対向面を有し、
前記粘着部は、前記対向面以外の領域に設けられており、
前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られており、
前記延出可能部は、
前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、
前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有し、
前記非延出状態において、
前記第1部分は、前記本体部よりも非肌面側に配置されており、
前記第2部分は、前記第1部分よりも非肌面側に配置されている、吸収性物品。
【請求項13】
包装シートに個別に包装される吸収性物品であって、
前後方向と、幅方向と、
吸収体と、
前記吸収体よりも肌面側に配置されている肌側シートと、
前記吸収体よりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、
前記非肌側シートの非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する粘着部と、を有し、
前記吸収性物品は、前記包装シートが展開された展開状態において、前記幅方向に延びる境界折り部を基点として折られており、
前記吸収性物品は、前記境界折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられており、
前記本体部は、前記粘着部を介して着用物品に固定可能であり、
前記延出可能部は、前記境界折り部を基点として折り返された非延出状態から前記本体部よりも前記前後方向の外側に延出可能であり、
前記展開状態かつ前記非延出状態において、前記延出可能部は、前記包装シートと前記包装シートの外端縁よりも前記前後方向の外側に位置する延長領域とのいずれかに対向する対向面を有し、
前記粘着部は、前記対向面以外の領域に設けられており、
前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であり、
前記延出可能部には、前記吸収体が配置されており、
前記幅方向の中央において前記前後方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部を有し、
前記曲げ誘導部は、前記延出可能部に配置されており、
前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られており、
前記延出可能部は、
前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、
前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有し、
前記第1部分には、前記吸収体が配置されており、
前記曲げ誘導部は、前記第1部分に配置されている、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッド又は尿取りパッドのような吸収性物品は、使用時に、使用者に着用される着用物品の内側に取り付けられる。一般に、着用物品の内側に取り付けられる吸収性物品は、着用物品に対する吸収性物品のずれを防止するための粘着部を有する。この粘着部は、吸収性物品の肌面側(使用者の肌に面する側)とは反対側の面(非肌面)上に設けられる。
【0003】
特許文献1では、吸収性物品が幅方向に延びる折り部を基点として折られている吸収性物品が開示されている。吸収性物品は、折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられている。延出可能部は、本体部よりも前後方向の外側に延出可能である。
【0004】
特許文献1の吸収性物品では、本体部及び延出可能部のそれぞれの非肌面上には、粘着部が設けられている。これにより、吸収性物品は、延出可能部が延出されていない非延出状態、すなわち前後方向に短い状態と、延出可能部が延出された延出状態、すなわち前後方向に長い状態の両方で、着用物品に取り付け可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
着用物品は、股下からウエストに掛けて湾曲した形状であるため、前後方向に長い状態の吸収性物品を着用物品に一度に取り付けることは難しい。そこで、本願の発明者は、非延出状態の吸収性物品(本体部)を着用物品に固定した状態で、延出可能部を引き出すことで、吸収性物品を着用物品に段階的に取り付けることを考えた。
【0007】
しかしながら、特許文献1の吸収性物品では、非延出状態において、本体部を着用物品に固定した際に、延出可能部に設けられた粘着部が着用物品に貼り付いて、意図しない部分に延出可能部が固定されることがある。これにより延出可能部が延出し難くなり、吸収性物品の取り付けに時間がかかることがわかった。
【0008】
従って、非延出状態の吸収性物品が着用物品に固定された状態で延出可能部を引き出し易い吸収性物品が望まれる。
【0009】
一態様に係る吸収性物品は、包装シートに個別に包装される吸収性物品である。前記吸収性物品は、前後方向と、幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収体よりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、前記非肌側シートの非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する粘着部と、を有する。前記吸収性物品は、前記包装シートが展開された展開状態において、前記幅方向に延びる境界折り部を基点として折られている。前記吸収性物品は、前記境界折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられている。前記本体部は、前記粘着部を介して着用物品に固定可能である。前記延出可能部は、前記境界折り部を基点として折り返された非延出状態から前記本体部よりも前記前後方向の外側に延出可能である。前記展開状態かつ前記非延出状態において、前記延出可能部は、前記包装シートと前記包装シートの外端縁よりも前記前後方向の外側に位置する延長領域とのいずれかに対向する対向面を有する。前記粘着部は、前記対向面以外の領域に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、非延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図2】
図2は、非延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図3】
図3は、延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図4】
図4は、延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図5】
図5は、延出状態において実施形態に係る吸収性物品の模式断面図である。
【
図6】
図6は、
図3の6A-6A線に沿った模式断面図である。
【
図7】
図7は、
図1の7A-7A線に沿った模式断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る吸収性物品の取り付け方の一例を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る吸収性物品の取り付け方の一例を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る吸収性物品の取り付け方の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る延出可能部を延出する際に掛かる力を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、非延出状態において肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図13】
図13は、非延出状態において非肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図14】
図14は、延出状態において肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図15】
図15は、延出状態において非肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図16】
図16は、変更例1に係る吸収性物品において非延出状態から延出状態へ移行する様子を示す模式図である。
【
図17】
図17は、変更例2から変更例4に係る吸収性物品10の模式断面図である。
【
図18】
図18は、変更例5に係る吸収性物品10の模式平面図である。
【
図19】
図19は、非延出状態において肌面側から見た変更例6から変更例9に係る吸収性物品の模式平面図である。
【
図20】
図20は、変更例10に係る吸収性物品10を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
一態様に係る吸収性物品は、包装シートに個別に包装される吸収性物品である。前記吸収性物品は、前後方向と、幅方向と、吸収体と、前記吸収体よりも肌面側に配置されている肌側シートと、前記吸収体よりも非肌面側に配置されている非肌側シートと、前記非肌側シートの非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する粘着部と、を有する。前記吸収性物品は、前記包装シートが展開された展開状態において、前記幅方向に延びる境界折り部を基点として折られている。前記吸収性物品は、前記境界折り部を境界として、本体部と延出可能部とに分けられている。前記本体部は、前記粘着部を介して着用物品に固定可能である。前記延出可能部は、前記境界折り部を基点として折り返された非延出状態から前記本体部よりも前記前後方向の外側に延出可能である。前記展開状態かつ前記非延出状態において、前記延出可能部は、前記包装シートと前記包装シートの外端縁よりも前記前後方向の外側に位置する延長領域とのいずれかに対向する対向面を有する。前記粘着部は、前記対向面以外の領域に設けられている。
【0013】
本態様によれば、非延出状態において本体部を着用物品に固定した場合、延出可能部の対向面は、着用物品に対向する。ここで、粘着部は、延出可能部の対向面以外の領域に設けられているため、対向面自体には、粘着部が設けられない。従って、非延出状態において、粘着部を介して延出可能部が着用物品に固定されることがない。これにより、使用者は、本体部が着用物品に固定された状態で容易に延出可能部を引き出すことができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記展開状態において、前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られてよい。前記延出可能部は、前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有してよい。前記非延出状態において、前記第1部分は、前記本体部よりも肌面側に配置されてよい。前記第2部分は、前記第1部分よりも肌面側に配置されてよい。
【0015】
延出可能部は、本体部よりも肌面側に配置されているため、使用者が延出可能部を把持し易くなる。また、延出可能部を引き出す際に、本体部よりも非肌面側に配置されている着用物品と延出可能部との擦れを低減できる。従って、使用者は、非延出状態において本体部が着用物品に固定された状態で容易に延出可能部を引き出すことができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品の肌面側から視て、前記非延出状態において、前記第1部分は、前記第2部分に覆われてよい。
【0017】
使用者が、非延出状態において本体部が固定された着用物品を装着した際に、第1部分が使用者の肌に直接接触しない。このため、着用物品を装着した後に、延出可能部を引き出した場合に、第1部分に肌との摩擦が働き難く、延出可能部を引き出し易くなる。また、吸収性物品を交換する際に、臀部が排泄物により汚れていることがある。非延出状態において本体部が固定された着用物品を装着した際に、第1部分が第2部分に覆われているため、第1部分の非肌側シートに排泄物が付着することを抑制できる。これにより、延出可能部の延出によって、第1部分の非肌側シートが着用物品に接触しても、着用物品を排泄物によって汚すことがなくなる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られてよい。前記延出可能部は、前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有してよい。前記非延出状態において、前記第1部分は、前記本体部よりも非肌面側に配置されてよい。前記第2部分は、前記第1部分よりも非肌面側に配置されてよい。
【0019】
使用者の肌と延出可能部との間に本体部が存在するため、延出可能部が、使用者の肌に当たる面積を低減できる。延出可能部を引き出す際に、使用者の肌と延出可能部との擦れを低減できる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記境界折り部と前記補助折り部との少なくとも一方には、前記幅方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部が設けられてよい。
【0021】
曲げ誘導部では、吸収体の曲げが誘導されるため、吸収性物品が境界折り部及び補助折り部を基点として折られている非延出状態を維持し易くなり、本体部を固定し易くなる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有してよい。前記延出可能部における前記非肌側シートの非肌面上には、前記粘着部が設けられてよい。前記粘着部は、前記非延出状態において前記第1部分と前記第2部分とが厚さ方向に重なる領域に設けられてよい。前記非延出状態において前記延出可能部に設けられた前記粘着部を覆う剥離部が設けられてよい。
【0023】
非延出状態では、剥離部が粘着部を覆っているため、使用者は、容易に延出可能部を引き出すことができる。一方で、延出状態では、延出可能部に設けられた粘着部によって延出可能部を着用物品に固定することができる。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記本体部は、使用者の排泄口に当接する領域を含む排泄口当接領域を有してよい。前記吸収性物品は、前記幅方向の中央において前記前後方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部を有してよい。前記曲げ誘導部は、前記本体部において、前記排泄口当接領域の前記前後方向の中心よりも後側に配置されてよい。
【0025】
排泄口当接領域の前後方向の中心よりも後側は、使用者の臀部及び/又は会陰部に対向し易い。曲げ誘導部が臀部に対向する場合、幅方向の中央において前後方向に延びる曲げ誘導部によって、剛性が高い吸収体が、臀裂に沿って曲がり易くなる。その結果、本体部が臀部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。また、曲げ誘導部が会陰部に対向する場合、同様に、曲げ誘導部によって吸収体が会陰部において曲がり易くなる。その結果、本体部が会陰部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。
【0026】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であってよい。前記延出可能部には、前記吸収体が配置されてよい。前記吸収性物品は、前記幅方向の中央において前記前後方向に延びており、かつ前記吸収体の曲げを誘導する曲げ誘導部を有してよい。前記曲げ誘導部は、前記延出可能部に配置されてよい。
【0027】
延出可能部が後方へ延出可能であるため、延出可能部は、延出時において、使用者の臀部に対向している。従って、幅方向の中央において前後方向に延びる曲げ誘導部によって、剛性が高い吸収体が、臀裂に沿って曲がり易くなる。その結果、延出可能部が臀部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。また、延出可能部が会陰部に対向する場合には、曲げ誘導部によって、吸収体が会陰部において曲がり易くなる。その結果、延出可能部が会陰部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。
【0028】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られてよい。前記延出可能部は、前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有してよい。前記第1部分には、前記吸収体が配置されてよい。前記曲げ誘導部は、前記第1部分に配置されてよい。
【0029】
第1部分が曲げ誘導部に沿って曲げられている場合、第1部分の吸収体が曲げ誘導部を超えて移動するためには、曲がり具合に応じて移動方向を変える必要がある。従って、吸収体が、幅方向の中央で延びている曲げ誘導部を超えて移動し難くなる。これにより、第1部分の吸収体が幅方向の一方の側へよれることを抑制できる。
【0030】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記幅方向に延びる補助折り部を基点として折られてよい。前記延出可能部は、前記境界折り部から前記補助折り部までの部分である第1部分と、前記補助折り部から前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁までの部分である第2部分と、を有してよい。前記第2部分には、前記吸収体が配置されてよい。前記曲げ誘導部は、前記第2部分に配置されてよい。前記曲げ誘導部の厚さは、前記曲げ誘導部の周囲の厚さと異なってよい。
【0031】
第2部分が曲げ誘導部に沿って曲げられている場合、第2部分の吸収体が曲げ誘導部を超えて移動するためには、曲がり具合に応じて移動方向を変える必要がある。従って、吸収体が、幅方向の中央で延びている曲げ誘導部を超えて移動し難くなる。これにより、第2部分の吸収体が幅方向の一方の側へよれることを抑制できる。また、延出可能部が本体部よりも後側に配置されているため、使用者は、本体部が固定された着用物品を脚に通している状態では、延出可能部を視認し難い。曲げ誘導部の厚さが、周囲の厚さと異なるため、使用者が、延出可能部を視認できなくても、幅方向の中央を触感によって認識することができる。使用者は、引き出すべき部分を認識し易くなるため、吸収性物品の取り付け時間を短縮し易くなる。
【0032】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記本体部と前記延出可能部とを仮止めする仮止め部を有してよい。
【0033】
仮止め部によって、吸収性物品が非延出状態を維持し易くなるため、本体部を着用物品に固定し易くなる。
【0034】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であってよい。前記本体部の非肌側シートの触感と前記延出可能部の非肌側シートの触感とが異なってよい。
【0035】
延出可能部は、本体部よりも後側に配置されているため、使用者は、吸収性物品が取り付けられた着用物品を脚に通している状態では、延出可能部を視認し難い。使用者が、延出可能部を視認できなくても、本体部と延出可能部との違いを非肌側シートの触感によって認識することができる。使用者は、引き出すべき部分を認識し易くなるため、吸収性物品の取り付け時間を短縮し易くなる。
【0036】
好ましい一態様によれば、前記延出可能部は、前記本体部よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能であってよい。着用物品の非肌面側に折り返されるウイングを有してよい。前記非延出状態において、前記ウイングの前記前後方向の中心から前記延出可能部の最も後側の後端縁までの長さは、前記ウイングの前記前後方向の前記中心から前記吸収性物品の最も前側の前端縁までの長さよりも長くてよい。
【0037】
ウイングは、一般的に、膣口付近で着用物品の非肌面側に折り返される。このため、非延出状態において、膣口付近から延出可能部の後端縁までの長さを長くすることによって、延出可能部を把持し易くすることができる。
【0038】
(2)吸収性物品10の概略構成
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッド又は尿取りパッドのような吸収性物品であってよい。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として使い捨ての生理用ナプキンについて説明する。
【0039】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0040】
図1は、非延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図2は、非延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図3は、延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図4は、延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図5は、延出状態において実施形態に係る吸収性物品の模式断面図である。具体的には、
図5Aは、
図3の5A-5A線に沿った模式断面図である。
図5Bは、
図3の5B-5B線に沿った模式断面図である。
図5Cは、
図3の5C-5C線に沿った模式断面図である。
図6は、
図3の6A-6A線に沿った模式断面図である。
図7は、
図1の7A-7A線に沿った模式断面図である。なお、模式断面図では、説明の便宜上、各部材が厚さ方向Tにおいて離間していることがあるが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。
【0041】
本明細書において、「非延出状態」とは、後述する延出可能部70が後述する境界折り部BFLを基点として折り返されている状態である。非延出状態では、延出可能部70が延出していない。
図1及び
図2における吸収性物品10は、非延出状態である。一方、「延出状態」とは、延出可能部70が境界折り部BFLを基点として折り返されていない状態である。延出状態では、延出可能部70が延出している。
図3及び
図4における吸収性物品10は、延出状態である。
【0042】
吸収性物品10は、前後方向Lと幅方向Wと厚さ方向Tとを有する。前後方向Lは、使用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は使用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚さ方向Tは、使用者の肌面側から非肌面側へ延びる方向(T2)、又は使用者の非肌面側から肌面側へ延びる方向(T1)である。また、厚さ方向Tは、前後方向L及び幅方向Wに直交する方向である。肌面側は、使用時に、使用者の肌に面する側に相当する。非肌面側は、使用時に、肌面側とは反対側、すなわち使用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0043】
吸収性物品10は、延出状態において吸収性物品10を前後方向Lに3等分した場合に、前側の領域である前側域S1と、後側の領域である後側域S2と、前側域S1と後側域S2との間に位置する中央域S3と、を有してよい。
【0044】
吸収性物品10は、包装シート100によって個別に包装されるように構成されている。吸収性物品10が包装シート100に包装されることによって包装体1が形成される(
図8A参照)。包装体1は、吸収性物品10と包装シート100とを有する。
図8Aに示すように、吸収性物品10が包装された状態(包装状態)では、吸収性物品10及び包装シート100は、幅方向Wに延びる第1折り部FL1及び第2折り部FL2を基点として折られている。第1折り部FL1は、前後方向Lにおいて最も前側の折り目であり、第2折り部FL2は、前後方向Lにおいて第1折り部FL1の次に前側の折り目である。
【0045】
吸収性物品10は、肌側シート20と、非肌側シート25と、吸収体30と、粘着部50と、を有する。肌側シート20は、吸収体30よりも肌面側に配置されている。肌側シート20は、使用者の肌に向けられ、使用者の肌に対向するシートである。肌側シート20は、例えば、液透過性の不織布によって構成されていてよい。
【0046】
非肌側シート25は、吸収体30よりも非肌面側に配置されている。非肌側シート25は、着用物品に向けられ、着用物品に対向するシートである。非肌側シート25は、例えば、液不透過性の合成樹脂フィルムによって構成されていてよい。
【0047】
吸収体30は、液体を吸収する吸収材料を含む吸収コア30Aと、吸収コアを包むコアラップ30Bと、を有してよい。実施形態では、コアラップ30Bは、厚さ方向Tにおいて吸収コア30Aを挟むように配置されている。吸収材料は、例えば、パルプや高吸収性ポリマー、又はこれらの混合からなる吸収材料であってよい。コアラップ30Bは、例えばティッシュや不織布によって構成されていてよい。なお、吸収体30は、コアラップ30Bを有さずに、吸収コア30Aのみによって構成されてもよい。
【0048】
吸収体30は、前側域S1から後側域S2まで連続的に前後方向Lに延びてよい。本実施形態では、コアラップ30Bが前側域S1から後側域S2まで連続的に延びている。吸収コア30Aが、前側域S1から後側域S2まで連続的に延びてよい。なお、非延出状態では、吸収体30どうしは、厚さ方向Tに重なっており、延出状態では、吸収体30どうしは、厚さ方向Tに重なっていない。延出状態では、吸収体30同士が厚さ方向Tに重ならないことで、局所的に剛性が高い部分がなくなり、吸収性物品10の着け心地の悪化を抑制できる。
【0049】
吸収体30は、第1吸収体31と、第2吸収体32とを有してよい。第1吸収体31は、幅方向Wの中央側に配置されている。第2吸収体32は、幅方向Wの端部側に配置されている。第2吸収体32は、幅方向Wにおいて、第1吸収体31を挟むように配置されている。第1吸収体31及び第2吸収体32は、前後方向Lに延びてよい。第2吸収体32は、第1吸収体31から離れて設けられてよい。
【0050】
なお、本実施形態では、第1吸収体31は、吸収コア30Aとコアラップ30Bにより構成されている。第2吸収体32は、吸収コア30Aにより構成されている。
【0051】
粘着部50は、非肌側シート25の非肌面上に設けられ、かつ粘着性を有する。実施形態において、粘着部50は、非延出状態において、後述する対向面75以外の領域に設けられている。
【0052】
粘着部50は、後述する本体部11(の非肌側シート25)の非肌面上に設けられる本体粘着部51と、後述する延出可能部70(の非肌側シート25)の非肌面上に設けられる延出粘着部52と、を有してよい。本体粘着部51は、第1吸収体31と厚さ方向Tに重なる位置に設けられる粘着部511を有してよい。本体粘着部51は、第2吸収体32と厚さ方向Tに重なる位置に設けられる粘着部512を有してよい。
【0053】
延出粘着部52は、非延出状態において後述する第1部分71と後述する第2部分72とが厚さ方向Tに重なる領域(重複領域と適宜称する)に設けられてよい。実施形態では、
図4に示すように、延出粘着部52は、第2部分72に設けられている。また、延出粘着部52は、対向面75以外の領域に設けられている。従って、
図2に示すように、吸収性物品10の非肌面側から視て、非延出状態では、延出粘着部52は、直接視認できない。非延出状態において、延出粘着部52は、第1部分71と第2部分72との間に配置されている。
【0054】
吸収性物品10には、剥離部58が設けられてよい。剥離部58は、粘着部50の粘着性を保護するものであり、粘着部50が容易に剥離できる部分である。剥離部58は、例えば、剥離可能にする離型処理が施された紙、フィルム、不織布によって構成することができる。例えば、剥離部58は、ポリエチレンフィルムにシリコーン樹脂塗工したシートによって構成されてよい。
【0055】
延出粘着部52は、重複領域において第1部分71と第2部分72との一方に設けられている場合、剥離部58は、重複領域において第1部分71と第2部分72との他方に設けられてよい。剥離部58は、非延出状態において、延出可能部70に設けられた延出粘着部52を覆ってよい。これにより、第1部分71の非肌側シート25と接触しない。
【0056】
また、剥離部58の面積は、延出粘着部52の面積よりも大きくてよい。非延出状態において、剥離部58の後端部は、延出粘着部52の後端部よりも前後方向Lの後側に配置されてよい(
図6B参照)。
【0057】
吸収性物品10には、本体部11と延出可能部70とを仮止めする仮止め部60が設けられている。仮止め部60は、非延出状態において、本体部11と後述する第1部分71とを仮止めする。
【0058】
仮止め部60は、吸収性物品10の幅方向Wの中心Wcから幅方向Wに離れて一対設けられてよい。
図1に示すように、一対の仮止め部60は、中心Wcを挟むように配置されてよい。一対の仮止め部60のそれぞれから中心Wcまでの距離は、実質的に同じであってよい。一対の仮止め部60は、幅方向Wに延びる直線上に配置されてよい。ここで、使用者が、延出可能部70を前後方向Lの外側へ引き出した場合、一対の仮止め部60に実質的に均等に力が働くように、幅方向に延びる直線上に配置されていればよい。従って、吸収性物品10の平面視において、一対の仮止め部60の前後方向Lの位置は、互いに同一であってもよく、少しズレていてもよい。例えば、一方の仮止め部60から他方の仮止め部60までの前後方向Lの長さは、吸収性物品10の厚さ(例えば、10mm)以内であればよい。
【0059】
図7に示すように、仮止め部60は、本体部11と第1部分71との仮止めに加えて、第1部分71と第2部分72とを仮止めしている。従って、仮止め部60は、本体部11と第1部分71と第2部分72とを一緒に仮止めしてよい。
【0060】
仮止め部60は、厚さ方向Tにおいて、低目付領域に配置されてよい。ここで、「低目付領域」は、吸収体30が配置されていない領域、又は、吸収体30が配置されている領域のうち周囲よりも目付が低い領域である。
【0061】
本明細書において、「仮止め」は、特開2012-235809等にも例示があるように、製造搬送時等には剥離せず、使用時に人の手で剥離可能な程度に接合されていることを意味している。仮止めによる接合は、吸収性物品の破断強度よりも低い強度での接合あって、吸収性物品10が梱包されている状態から開封する際に剥離せずに、接合されているものを示す。仮止めの接合強度は、着用物品に対する粘着部50の接合強度よりも弱いことが好ましい。
【0062】
仮止め部60は、エンボス処理またはソニック処理による、加圧もしくは/かつ加熱によって形成することができる。例えば、エンボス処理の場合には、ピンで仮止め部60を形成すべき部分を厚み方向に向かって加圧もしくは/かつ加熱することによって、仮止め部60を形成することができる。ソニック処理の場合には、発信子とアンビルとの間に製品を挟み、超音波にて樹脂を溶着することによって、仮止め部60が形成される。
【0063】
また、粘着材で仮止めする場合には、肌と粘着材が擦れると、肌トラブル等になる恐れがあることから、非肌面側同士が接合されていることが好ましい。なお、粘着材で仮止めする際には、仮止め用の粘着材は、粘着部50用の粘着材とは別の部材であることが好ましい。例えば、再粘着が難しいような物性のもの又は/及びタック性の低いものを、仮止め部60用の粘着材として選定することが好ましい。仮止め部60は、例えばホットメルト接着剤のような接着剤であってもよい。
【0064】
図1及び
図2に示すように、吸収性物品10は、展開状態において、幅方向Wに延びる境界折り部BFLを基点として折られている。「展開状態」とは、包装シート100が展開された状態である。従って、展開状態は、包装シート100は、幅方向Wに延びる第1折り部FL1及び第2折り部FL2を基点として折られていない状態である。
【0065】
包装シート100は、1枚のシートのみによって構成されてよい。この場合、包装シート100は、粘着部50から剥離可能なシートであってよい。或いは、包装シート100は、第1シートと、第1シートと吸収性物品10との間に配置される第2シートによって構成されてよい。第1シートは、例えば、不織布により構成されてよい。第2シートは、粘着部50から剥離可能なシートであってよい。第1シートと第2シートとは、接合されてよい。これにより、第1シートを吸収性物品10から剥がすことにより、第1シートに加えて、第2シートも吸収性物品10から剥がれてよい。
【0066】
吸収性物品10は、境界折り部BFLを境界として、本体部11と延出可能部70とに分けられている。
【0067】
本体部11は、粘着部50(本体粘着部51)を介して着用物品に固定可能である。具体的には、非延出状態において、本体粘着部51が着用物品(例えば、下着)に貼り付けられることによって、本体部11を着用物品に固定できる。本体部11は、肌側シート20、非肌側シート25、及び吸収体30を含んでよい。
【0068】
本体部11は、延出状態において吸収性物品10の前後方向Lの中心Lcを含む領域であってよい。また、本体部11は、非延出状態における吸収性物品10の前後方向Lの中心Lfcを含む領域であってよい。本体部11は、非延出状態における前後方向Lの中心Lfcよりも前側に配置される前本体部11Fと、中心Lfcよりも後側に配置される後本体部11Rを有してよい。前本体部11Fには、吸収体30が配置されてよい。後本体部11Rには、吸収体30が配置されてよい。
【0069】
本体部11は、使用者の排泄口に当接する領域を含む排泄口当接領域ERを有してよい。吸収性物品10が着用物品Uの非肌面側に折り返されるウイング15を有さずに、かつ吸収性物品10が2つの折り部(第1折り部FL1及び第2折り部FL2)を基点に包装シート100と共に折られて収容されている場合、排泄口当接領域ERは、前後方向Lにおいて、第1折り部FL1から第2折り部FL2までの領域である(
図1及び
図3参照)。
【0070】
なお、吸収性物品10は、3つの折り部を基点に包装シート100と共に折られて収容されている場合、排泄口当接領域ERは、最も前側の折り部から次に前側の折り部までの領域である。また、ウイング15を有する場合には、排泄口当接領域ERは、ウイング15の前端縁(ウイングの前側の付け根)からウイング15の後端縁(ウイング15の後側の付け根)までの領域である(
図18A参照)。
【0071】
延出可能部70は、非延出状態において、境界折り部BFLを基点として折り返されている部分である。延出可能部70は、非延出状態から本体部11よりも前後方向Lの外側に延出可能である。本実施形態では、延出可能部70は、後方へ延出可能である。
【0072】
延出可能部70は、少なくとも肌側シート20及び非肌側シート25を含んでいてよい。延出可能部70は、吸収体30を含んでよい。
【0073】
本体部11の非肌側シート25の触感と、延出可能部70の非肌側シート25の触感とが異なってよい。例えば、本体部11の非肌側シート25は、合成樹脂フィルムにより構成されてよく、延出可能部70の非肌側シート25は、不織布により構成されてよい。また、延出可能部70の非肌側シート25のうち、対向面75の触感が、本体部11の非肌側シート25の触感と異なってよい。延出可能部70の非肌側シート25のうち、対向面75以外の触感は、本体部11の非肌側シート25の触感と同じであってよく、異なっていてもよい。
【0074】
展開状態において、延出可能部70は、幅方向Wに延びる補助折り部SFLを基点として折られてよい。従って、吸収性物品10は、2回折られていてよい。延出可能部70は、第1部分71と第2部分72とを有してよい。第1部分71は、境界折り部BFLから前後方向Lの内側へ延びる部分である。第1部分71は、境界折り部BFLから補助折り部SFLまでの部分であってよい。第2部分72は、補助折り部SFLから前後方向Lの外側へ延びる部分である。第2部分72は、補助折り部SFLから吸収性物品10の前後方向Lの外端縁までの部分であってよい。
【0075】
図1、
図2、
図6Bに示すように、非延出状態において、第1部分71は、本体部11よりも肌面側に配置されてよく、第2部分72は、第1部分71よりも肌面側に配置されてよい。従って、延出可能部70は、本体部11の肌面側に折られている部分である。吸収性物品10は、境界折り部BFLを基点として、本体部11の肌側シート20と第1部分71の肌側シート20とが向かい合うように折られている。境界折り部BFLは、肌面側から視て谷折りに折られる折り部に相当する。また、吸収性物品10は、補助折り部SFLを基点として、第1部分71の非肌側シート25と第2部分72の非肌側シート25とが向かい合うように折られている。補助折り部SFLは、肌面側から視て山折りに折られる折り部に相当する。
【0076】
図1に示すように、非延出状態において、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間において、延出可能部70の幅方向Wの側端縁は、本体部11の幅方向Wの側端縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。具体的には、非延出状態において、第1部分71の幅方向Wの側端縁は、本体部11の幅方向Wの側端縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。非延出状態において、第2部分72の幅方向Wの側端縁は、第1部分71の側端縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。従って、非延出状態における吸収性物品10の平面視において、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間において、延出可能部70の面積は、本体部11の面積よりも小さくてよい。
【0077】
図1に示すように、吸収性物品10の肌面側から視て、非延出状態において、第1部分71は、第2部分72に覆われていない部分を有してよい。第1部分71の非肌側シート25が、第2部分72から露出していてよい。従って、第1部分71は、厚さ方向Tにおいて第2部分72と重ならない領域を有してよい。非延出状態において、吸収性物品10の肌面側から視て、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間の第1部分71の面積は、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間の第2部分72の面積よりも大きくてよい。
【0078】
本実施形態において、展開状態かつ非延出状態において、延出可能部70は、包装シート100に対向する対向面75を有する。対向面75は、非延出状態において本体部11を着用物品Uに固定した場合、着用物品Uに対向する。
図4では、第2部分72は、包装シート100に対向する対向面75(斜線部参照)を有する。対向面75は、第2部分72における非肌側シート25の面である。
【0079】
吸収性物品10は、吸収体30の曲げを誘導する曲げ誘導部80を有してよい。曲げ誘導部80によって、剛性の高い吸収体30が曲がり易くなる。従って、曲げ誘導部80は、吸収体30が配置される領域に設けられる。吸収体30は、延出可能部70に配置されてよい。具体的には、吸収体30は、第1部分71に配置されてよく、第2部分72に配置されてよい。
【0080】
本実施形態では、吸収体30の目付を周囲よりも低くすることにより、曲げ誘導部80が設けられている。具体的には、吸収性物品10の平面視において、曲げ誘導部80は、第1吸収体31が配置されている領域のうち、吸収コア30Aが配置されていない領域である。曲げ誘導部80は、例えば、吸収コア30Aを貫通するスリットが設けられることにより形成されてよい。
【0081】
また、曲げ誘導部80の厚さは、曲げ誘導部80の周囲の厚さと異なってよい。実施形態では、曲げ誘導部80では、吸収コア30Aが配置されていないため、吸収コア30Aの厚さの分だけ、曲げ誘導部80の厚さが、曲げ誘導部80の周囲よりも薄くなっている。
【0082】
曲げ誘導部80は、幅方向Wの中央において前後方向Lに延びている前後誘導部80Lと、幅方向Wに延びている幅誘導部80Wと、を有してよい。前後誘導部80Lは、前後方向Lに沿った吸収体30(第1吸収体31)の曲げを誘導する。前後誘導部80Lは、幅方向Wの中心(中心線)Wc上を延びてよい。幅誘導部80Wは、幅方向Wに沿った吸収体30(第1吸収体31)の曲げを誘導する。幅誘導部80Wは、第1吸収体31の幅方向Wの一方の側端縁から他方の側端縁まで延びてよい。
【0083】
なお、前後誘導部80Lが延びている「幅方向Wの中央」は、吸収性物品10を幅方向Wに3等分した場合の中央の領域である。ただし、吸収性物品10がウイングを有する場合、ウイングを除いた領域を幅方向Wに3等分した領域である。従って、「幅方向Wの中央」は、着用物品に固定された状態で着用物品よりも肌面側に位置する吸収性本体を幅方向Wに3等分したうちの中央(中央部)である。以下、幅方向Wの中央を幅方向Wの中央部と称することがある。
【0084】
前後誘導部80Lは、本体部11に設けられる本体前後誘導部81Lと、延出可能部70に設けられる延出前後誘導部87Lと、を有してよい。
【0085】
曲げ誘導部80は、本体部11において、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcよりも後側に配置されてよい。すなわち、本体前後誘導部81Lは、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcよりも後側に配置されてよい。本体前後誘導部81Lは、第1折り部FL1を跨ぐように延びていてもよい。本体前後誘導部81Lは、第1折り部FL1を跨いで、境界曲げ誘導部85Wまで連続的に延びていてもよい。
【0086】
なお、本体前後誘導部81Lは、中央域S3に配置されてよい。本体前後誘導部81Lは、後本体部11Rに配置されてよい。本体前後誘導部81Lは、延出状態における前後方向Lの中心Lcまで延びてよいし、中心Lcを跨がるように延びてよい。また、本体前後誘導部81Lは、後述する境界曲げ誘導部85Wまで延びていてよい。これにより、境界曲げ誘導部85Wが使用者の臀部及び/又は会陰部に対向し易くなる。
【0087】
また、本体前後誘導部81Lは、非延出状態における前後方向Lの中心Lfcまでは延びてなくてよい。これにより、本体前後誘導部81Lが、排泄口(具体的には、膣口)に対向し難くなり、例えば、本体前後誘導部81Lがスリットであったとしても、本体前後誘導部81Lを通じて非肌側シート25に排泄物(経血)が到達することを抑制できる。本体前後誘導部81Lは、延出状態における前後方向Lの中心Lcまで延びていなくてよい。
【0088】
本体前後誘導部81Lの幅は、幅方向Wの中央を幅方向Wに3等分した幅よりも短くてよい。本体前後誘導部81Lの幅は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。これにより、本体前後誘導部81Lがスリットであったとしても、本体前後誘導部81Lを通じて非肌側シート25に排泄物(経血)が到達することを抑制できる。
【0089】
吸収性物品10の平面視において、延出前後誘導部87Lは、一対の仮止め部60の間に配置されてよい。また、吸収性物品10の平面視において、延出前後誘導部87Lは、本体前後誘導部81Lと連なっていてよい。これにより、曲げ誘導部80が、会陰部に対向する位置から臀部に対向する位置まで連続的に延び易くなる。従って、第1吸収体31が、会陰部及び臀部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。
【0090】
延出前後誘導部87Lは、第1部分71に設けられている第1前後誘導部871Lと、第2部分72に設けられている第2前後誘導部872Lと、を有してよい。
【0091】
第1前後誘導部871Lは、境界曲げ誘導部85Wから後述する延出曲げ誘導部87Wまで延びてよい。第2前後誘導部872Lは、延出曲げ誘導部87Wから後側へ延びてよい。第2前後誘導部872Lは、第1吸収体31の後端縁まで延びていなくてよい。吸収性物品10の平面視において、第1前後誘導部871Lと第2前後誘導部872Lとは、連なっていてよい。
【0092】
幅誘導部80Wは、境界折り部BFLに設けられる境界曲げ誘導部85Wと、延出可能部70に設けられる延出曲げ誘導部87Wと、を有してよい。
【0093】
境界曲げ誘導部85Wは、境界折り部BFLに沿って幅方向Wに延びてよい。延出曲げ誘導部87Wは、補助折り部SFLに沿って幅方向Wに延びてよい。
【0094】
非延出状態において、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcから延出可能部70の後端縁までの長さは、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcから吸収性物品10の前端縁までの長さよりも長くてよい。
【0095】
吸収体30は、肌側シート20と接合されていてよい。具体的には、少なくとも幅方向Wの中央部において、本体部11における吸収体30は、少なくとも本体前後誘導部81Lの前端から本体部11における吸収体30の後端まで連続的に肌側シート20に接合されてよい。また、少なくとも幅方向Wの中央部において、第1部分71における吸収体30の前端から延出前後誘導部87L(第2前後誘導部872L)の後端まで連続的に接合されていてよい。また、少なくとも幅方向Wの中央部において、第2部分72における吸収体30の前端から少なくとも前後誘導部80Lの後端まで連続的に肌側シート20に接合されてよい。吸収体30は、肌側シート20の中央部以外の領域で接合されていてもよい。また、吸収体30は、本体前後誘導部81Lの前端よりも前側で肌側シート20に接合されてよく、前後誘導部80Lの後端よりも後側で接合されていてもよい。
【0096】
(3)吸収性物品10の取り付け例
次に、吸収性物品10の取り付け例を
図1から
図11を用いて説明する。
【0097】
図8から
図10は、実施形態に係る吸収性物品の取り付け方の一例を説明するための模式図である。
図8Aは、実施形態に係る包装体の模式斜視図である。
図8Bは、実施形態に係る包装体の展開状態を示す模式図である。
図8Cは、実施形態に係る吸収性物品(本体部)を着用物品に固定した状態を示す模式図である。
図9Aから
図9Cは、実施形態に係る吸収性物品において非延出状態から延出状態へ移行する様子を示す模式図である。なお、
図9は、使用者が、着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を延出するケースの一例を示す。
図10Aは、使用者が、着用物品Uを装着した状態で、かつ非延出状態の吸収性物品を示す模式断面図である。
図10Bは、使用者が、着用物品Uを装着した状態で、かつ延出状態の吸収性物品を示す模式断面図である。
図10Cは、
図10Bの10C-10Cに沿った模式断面図である。なお、
図10において、BLは、使用者の身体のラインを示し、CBLは、使用者の身体の中心のラインを示す。
図11は、実施形態に係る延出可能部を延出する際に掛かる力を説明するための模式図である。
図11Aは、非延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図11Bは、非延出状態において肌面側から見た延出可能部の模式斜視図である。
【0098】
着用物品Uは、股下からウエストに掛けて湾曲した形状であるため、ウエスト側に向かうにつれ着用物品Uの角度が急激に変化する。従って、使用者は、前後方向Lに長い吸収性物品10を一度に取り付けようとしても、吸収性物品10を着用物品Uに沿って適切に取り付け難い。吸収性物品10が着用物品Uに適切に取り付けられない場合、排泄物が漏れ易くなる虞がある。また、吸収性物品10を着用物品Uから剥がして、取り付け直すと、取り付けに時間が掛かる。加えて、粘着部50を着用物品から剥がされるため、粘着部50の接着強度が低下して、着用中に吸収性物品10がズレる虞がある。一方で、延出可能部70を有さずに前後方向Lに短い吸収性物品10は、着用物品Uに取り付け易いものの、吸収性能が低くなり易いという問題があった。
【0099】
そこで、本発明者は、以下に示すように、吸収性物品10を着用物品Uに段階的に取り付けるという新たな装着方法を見出した。
【0100】
第1に、使用者は、包装体1の包装シート100を展開する。これにより、
図8Bの展開状態の吸収性物品10が得られる。
図8Bの吸収性物品10は、展開状態において、境界折り部BFLを基点として折られている一方で、包装シート100は、幅方向Wに延びる折り部を基点として折られていない。従って、包装シート100が前後方向Lに完全に展開された状態で、吸収性物品10は、少なくとも境界折り部BFLを基点として折られている。従って、吸収性物品10は、非延出状態である。加えて、吸収性物品10は、補助折り部SFLを基点として折られていてよい。
【0101】
第2に、使用者は、吸収性物品10から包装シート100を剥がして、吸収性物品10を着用物品Uに固定する(第1段階)。吸収性物品10は、非延出状態であり、前後方向Lに短い状態である。従って、使用者は、包装シート100を剥がし易く、かつ吸収性物品10を着用物品Uに固定し易い。具体的には、
図8Cに示すように、使用者は、着用物品Uの角度の変化が緩い領域で、本体部11を固定することができる。従って、使用者は、本体部11を着用物品Uに沿って適切に固定することができる。
【0102】
また、延出可能部70は、仮止め部60によって本体部11に仮止めされているため、吸収性物品10が非延出状態を維持し易くなる。これにより、本体部11を着用物品Uに固定し易くなる。
【0103】
また、境界折り部BFLには、境界曲げ誘導部85W(曲げ誘導部80)が設けられているため、吸収性物品10が境界折り部BFLを基点として折られている状態を維持し易くなる。同様に、補助折り部SFLには、延出曲げ誘導部87W(曲げ誘導部80)が設けられているため、吸収性物品10が補助折り部SFLを基点として折られている状態を維持し易くなる。従って、吸収性物品10が非延出状態を維持し易くなり、本体部11を着用物品Uに固定し易くなる。
【0104】
第3に、使用者は、延出可能部70を延出する(第2段階)。使用者は、延出可能部70を延出する前に、非延出状態の吸収性物品10が固定された着用物品Uを装着することができる(
図10A参照)。
図9に示すように、使用者は、着用物品Uを装着した後、延出可能部70を把持して、延出可能部70を前後方向Lの外側(後方)へ引き出すことができる。
【0105】
粘着部50は、対向面75以外の領域に設けられているため、対向面75自体には、粘着部50が設けられてない。従って、非延出状態において、粘着部50を介して延出可能部70が着用物品Uに固定されることがない。これにより、使用者は、本体部11が着用物品Uに固定された状態で容易に延出可能部70を引き出すことができる。
【0106】
ここで、
図11Aに示すように、使用者が延出可能部70(具体的には、第2部分72)を把持して、力Fで延出可能部70を引き出す場合、第1部分71は、境界折り部BFLから前後方向Lの内側へ延びているため、第1部分71は、前後方向Lの外側へ延びるように境界折り部BFLを支点としてひっくり返される(
図9参照)。このため、第1部分71には、前後方向Lの外側に向かう力だけでなく、厚さ方向Tの外側に向かう力が働き易い。この厚さ方向Tの外側へ向かう力は、本体部11と第1部分71との間の仮止め部60において、本体部11と第1部分71とが厚さ方向Tに離れる方向(ピール方向)への力として働くため、仮止め部60を剥離力によって外すことができる。その結果、仮止め部60をせん断力のみによって外す場合と比べて、弱い力で外すことができる。従って、使用者は、非延出状態の吸収性物品10が着用物品Uに固定された状態で容易に延出可能部70を引き出すことができる。
【0107】
また、延出可能部70の中心Wc付近を把持して、力Fで延出可能部70を引き出す場合、仮止め部60には、使用者が把持している部分に向かう力f6が働くと仮定する(
図11A参照)。使用者が延出可能部70を把持する幅方向Wの位置と、仮止め部60の幅方向Wの位置とが異なるため、力f6は、前後方向Lの外側(後方)へ向かう力成分に加えて、幅方向Wの内側に向かう力成分f6Wを有する。力成分f6Wによって、仮止め部60が幅方向Wの内側へ寄せられることで、仮止め部60によって仮止めされていない部分である延出可能部70の中心Wc付近が本体部11から離れるように撓み、延出可能部70(特に、補助折り部SFL付近)がアーチ状に変形する(
図11B参照)。これにより、仮止め部60の幅方向Wの内側から、本体部11と第1部分71とが厚さ方向Tに離れる方向(ピール方向)に剥離力が働くため、仮止め部60をせん断力のみによって外す場合と比べて、弱い力で外すことができる。
【0108】
また、一対の仮止め部60は、幅方向Wに延びる直線上に配置されている場合、使用者が、延出可能部70の中心Wc付近を把持して、延出可能部70を前後方向Lの外側へ引き出した場合、一対の仮止め部に均等に力が働き易い。従って、延出可能部70が斜めに延出し難くなり、前後方向Lの外側へ延出可能部70を引き出し易い。加えて、仮止め部60が一対設けられているため、一対の仮止め部60の両方が使用者の意図せずに外され難く、延出可能部70が意図せずに延出することを抑制できる。
【0109】
吸収性物品10の平面視において、延出前後誘導部87Lは、一対の仮止め部60の間に配置されている。具体的には、第1部分71には、曲げ誘導部80として、前後方向Lに延びる第1前後誘導部871Lが設けられているため、第1部分71自体が曲がり易くなり、凸形状へ変形し易くなる(
図11B参照)。また、第2部分72には、前後方向Lに延びる第2前後誘導部872Lが設けられているため、第1部分71よりも肌面側に配置されている第2部分72が、凸形状に変形し易くなる(
図11B参照)。第2部分72が凸形状に変形することで、第1部分71の凸形状への変形を阻害し難くなる。従って、仮止め部60の幅方向Wの内側には、本体部11と第1部分71とが厚さ方向Tに離れる方向への力がより働き易くなり、仮止め部60を剥離力によって外すことができる。従って、仮止め部60をせん断力のみによって外す場合と比べて、弱い力で外すことができる。
【0110】
また、本体部11と第1部分71とだけでなく、第1部分71と第2部分72とが仮止めされているため、延出可能部70が、使用者の意に反して延出することを抑制できる。
【0111】
また、低目付領域では、高目付領域と比べて、繊維が溶融しやすいため、低目付領域に仮止め部60を設けてよい。仮止め部60をより確実に設けることができるため、本体部11と延出可能部70とを安定的に固定することができる。
【0112】
また、使用者が、本体部11を固定した着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を後方へ延出するケースでは、延出可能部70を視認し難くなる。延出可能部70は、本体部11よりも肌面側に配置されているため、延出可能部70を視認し難くても、使用者が延出可能部70を把持し易くなる。これにより、使用者が、延出可能部70を容易に引き出すことができる。また、延出可能部70を引き出す際に、本体部11よりも非肌面側に配置されている着用物品Uと延出可能部70との擦れを低減できる。従って、使用者は、非延出状態の吸収性物品(本体部11)が着用物品Uに固定された状態で容易に延出可能部を引き出すことができる。
【0113】
特に、使用者が、本体部11を固定した着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を延出するケースでは、臀裂によって、使用者の身体CBLと着用物品Uとの間に空間が形成されている(
図10A参照)。加えて、使用者が、延出可能部70を把持するために、着用物品Uの中に手を挿入する。従って、手の挿入に起因して、使用者の身体CBLと着用物品Uとの間の空間が増大する。また、特にショーツのような着用物品Uは、使用者の肌にフィットするように収縮性を有することが多いため、挿入した手を使用者の身体(背中)から離すようにすることで、使用者の身体CBLと着用物品Uとの間の空間を確保することもできる。従って、着用物品Uを装着した後であっても、第1部分71がひっくり返される空間を確保でき、使用者が延出可能部70を容易に引き出すことができる。
【0114】
また、
図9Aから
図9Cに示すように、延出可能部70を延出させる際、補助折り部SFLの位置は、使用者の手が背側に持ち上がるとともに、背側に移動する。すなわち、着用物品Uから使用者の肌に向かって突出する補助折り部SFLの位置は、使用者の手の位置付近に存在し続ける。そのため、補助折り部SFLの位置は、手の挿入に起因する空間の位置に存在し易いため、着用物品Uと肌とに挟まれ難い。従って、使用者は、特に延出可能部70を延出させ易い。
【0115】
また、本体前後誘導部81Lは、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcよりも後側に配置されてよい。すなわち、曲げ誘導部80は、本体部11において、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcよりも後側に配置されてよい。排泄口当接領域ERよりも後側の部分が、使用者の臀部及び/又は会陰部に対向し易い部分である。従って、本体前後誘導部81Lが臀部に対向する場合、本体前後誘導部81Lによって、剛性が高い第1吸収体31が、臀裂に沿って曲がり易くなる。具体的には、第1吸収体31がV字状に曲がり、臀裂に入り込み易くなる。従って、使用者が延出可能部70を引き上げることによって、本体部11の幅方向Wの中央が使用者の身体CBLに近づく(
図11B参照)。その結果、本体部11が臀部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。また、本体前後誘導部81Lが会陰部に対向する場合、同様に、本体前後誘導部81Lによって、第1吸収体31が会陰部においてV字状に曲がる。その結果、本体部11が会陰部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。
【0116】
なお、第2折り部FL2付近の第1吸収体31は、幅方向Wに折れていた部分であるため、第1吸収体31が身体にフィットし難い。従って、本体前後誘導部81Lは、第2折り部FL2を跨ぐように延びることで、臀部及び/又は会陰部に第1吸収体31がフィットし易くなる。
【0117】
また、延出可能部70は、延出時において、使用者の臀部に対向している。従って、幅方向Wの中央において前後方向に延びる延出前後誘導部87Lによって、剛性が高い第1吸収体31が、臀裂に沿って曲がり易くなる。具体的には、
図11Cに示すように、第1吸収体31がV字状に曲がり、臀裂に入り込み易くなる。従って、使用者が延出可能部70を引き上げることによって、延出可能部70の幅方向Wの中央が使用者の身体CBLに近づく(
図11B参照)。その結果、延出可能部70が臀部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。また、延出可能部70が、延出時において使用者の会陰部に対向する場合には、延出可能部70が会陰部にフィットし易くなり、排泄物の漏れを抑制できる。
【0118】
また、第1部分71が第1前後誘導部871Lによって曲げられている場合、第1部分71の第1吸収体31が第1前後誘導部871Lを超えて移動するためには、曲がり具合に応じて移動方向を変える必要がある。具体的には、第1吸収体31がV字状に移動する必要がある。従って、第1吸収体31が、第1前後誘導部871Lを超えて移動し難くなる。これにより、第1部分71の第1吸収体31が、幅方向Wの一方側へよれることを抑制できる。幅方向Wにおいて、吸収性能を均一に保つことができる。
【0119】
同様に、第2部分72が第2前後誘導部872Lによって曲げられている場合、第1吸収体31が、第2前後誘導部872Lを超えて移動し難くなる。これにより、第2部分72の第1吸収体31が、幅方向Wの一方側へよれることを抑制できる。幅方向Wにおいて、吸収性能を均一に保つことができる。
【0120】
また、延出可能部70が、本体部11よりも後側に配置されているため、使用者は、本体部11が固定された着用物品Uを脚に通している状態では、延出可能部70を視認し難い。特に、使用者が、着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を延出するケースでは、使用者は、延出可能部70を視認することが困難である。幅方向Wの中央で延びている曲げ誘導部80の厚さが、周囲の厚さと異なる場合、使用者が、延出可能部70を視認できなくても、幅方向Wの中央を触感によって認識することができる。使用者は、引き出すべき部分を認識し易くなるため、吸収性物品10の取り付け時間を短縮し易くなる。
【0121】
また、本体部11の非肌側シート25の触感と、延出可能部70の非肌側シート25の触感とが異なる場合、使用者が、延出可能部を視認できなくても、本体部と延出可能部との違いを非肌側シートの触感によって認識することができる。使用者は、引き出すべき部分を認識し易くなるため、吸収性物品10の取り付け時間を短縮し易くなる。
【0122】
また、非延出状態では、剥離部58が延出粘着部52(粘着部50)を覆っているため、延出粘着部52が第1部分71の非肌側シート25と接触しない。延出粘着部52は、第1部分71に貼り付かない。従って、使用者は、延出可能部70を容易に引き出すことができる。加えて、延出粘着部52によって第1部分71と第2部分72とが固定される。従って、非延出状態において本体部11を着用物品Uに固定する際に、延出可能部70が意図せずに延出することを抑制できる。一方で、延出粘着部52は、非肌側シート25の非肌面上に設けられているため、延出状態では、延出粘着部52が着用物品Uに対向する。従って、延出可能部70を延出した後には、延出粘着部52を介して、延出可能部70を着用物品Uに固定することができる。これにより、着用物品Uを装着した使用者の日常的な動きによって、延出可能部70がズレることを抑制できる。
【0123】
また、剥離部58の面積が、延出粘着部52の面積よりも大きい場合、延出粘着部52が前後方向Lの後方に少し移動した場合であっても、延出粘着部52が剥離部58に対向し易い。従って、延出可能部70を引き出す際に、剥離部58から離れた延出粘着部52が誤って非肌側シート25に貼り付くことを抑制できる。
【0124】
また、着用物品Uの背側のウエスト開口から排泄口である膣口までの距離は、着用物品Uの腹側のウエスト開口から膣口までの距離よりも長いため、使用者が、本体部11を固定した着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を延出する場合、背側から延出可能部70を把持し難いことがある。非延出状態において、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcから延出可能部70の後端縁までの長さは、排泄口当接領域の前後方向Lの中心ERcから吸収性物品10の前端縁までの長さよりも長い場合、使用者は、延出可能部70を把持し易くなる。
【0125】
また、非延出状態において、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間において、延出可能部70の幅方向Wの側端縁は、本体部11の幅方向Wの側端縁よりも幅方向Wの内側に位置する場合、延出可能部70を延出する際に肌に触れる面積を低減できるため、使用者は、容易に延出可能部70を引き出すことができる。
【0126】
また、少なくとも幅方向Wの中央部において、本体部11における吸収体30は、少なくとも本体前後誘導部81Lの前端から本体部11における吸収体30の後端まで連続的に肌側シート20に接合されてよい。これにより、本体前後誘導部81Lによって使用者の身体に近づいている吸収体30が、着用中によれ難くすることができると共に着用中に肌側シート20から吸収体30が離れ難いため、吸収体30の身体への密着性を維持し続けることができ、肌側シート20と皮膚との間を液が伝ってしまう伝い漏れを防止することができる。
【0127】
また、少なくとも幅方向Wの中央部において、第1部分71における吸収体30の前端から第1部分71における吸収体30の後端まで連続的に接合されていてよい。これにより、延出可能部70を延出する際に、吸収体30が肌側シート20から離れないため、吸収体30を最後までしっかりと延出させることができる。加えて、第1部分71における吸収体30が、着用中によれ難くすることができると共に着用中に肌側シート20から吸収体30が離れ難いため、吸収体30の身体への密着性を維持し続けることができる。また、伝い漏れを防止することができる。
【0128】
また、少なくとも幅方向Wの中央部において、第2部分72における吸収体30の前端から少なくとも延出前後誘導部87L(第2前後誘導部872L)の後端まで連続的に肌側シート20に接合されてよい。第2部分72における吸収体30が、着用中によれ難くすることができると共に着用中に肌側シート20から吸収体30が離れ難いため、吸収体30の身体への密着性を維持し続けることができる。また、伝い漏れを防止することができる。
【0129】
(4)変更例
以下、変更例について、説明する。なお、既に説明した内容と同様の内容については、説明を適宜省略する。
【0130】
変更例1に係る吸収性物品10について、
図12から
図16を用いて説明する。
図12は、非延出状態において肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
図13は、非延出状態において非肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
図14は、延出状態において肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
図15は、延出状態において非肌面側から見た変更例1に係る吸収性物品の模式平面図である。
図16は、変更例1に係る吸収性物品において非延出状態から延出状態へ移行する様子を示す模式図である。
【0131】
変更例1に係る吸収性物品10では、非延出状態において、延出可能部70は、本体部11よりも非肌面側に配置されている。従って、延出可能部70は、本体部11の非肌面側に折られている部分である。
【0132】
吸収性物品10は、境界折り部BFLを基点として、本体部11の非肌側シート25と第1部分71の非肌側シート25とが向かい合うように折られている。境界折り部BFLは、肌面側から視て山折りに折られる折り部に相当する。また、吸収性物品10は、補助折り部SFLを基点として、第1部分71の肌側シート20と第2部分72の肌側シート20とが向かい合うように折られている。補助折り部SFLは、肌面側から視て谷折りに折られる折り部に相当する。従って、第1部分71は、本体部11よりも非肌面側に配置されてよく、第2部分72は、第1部分71よりも非肌面側に配置されてよい。
【0133】
図16に示すように、本変更例に係る吸収性物品10では、延出可能部70を延出する際に、使用者の肌と延出可能部70との間に本体部11が存在するため、延出可能部70が、使用者の肌に当たる面積を低減できる。従って、延出可能部70を引き出す際に、使用者の肌と延出可能部70との擦れを低減できる。
【0134】
加えて、延出可能部70を延出させる際に、境界折り部BFLが使用者の肌の方に突出するように変形する(
図16参照)。しかしながら、境界折り部BFLの位置は、使用者の手が背側に持ち上がったとしても、背側に移動しない。従って、使用者の肌と本体部11とが擦れ難いため、使用者は、延出可能部70を容易に引き出すことができる。
【0135】
なお、上述の実施形態と同様に、第1部分71は、前後方向Lの外側へ延びるように境界折り部BFLを支点としてひっくり返される(
図16B参照)。従って、変更例1に係る吸収性物品10においても、仮止め部60をせん断力のみによって外す場合と比べて、弱い力で外すことができる。
【0136】
図12に示すように、本変更例において、包装シート100は、上述の実施形態の包装シート100よりも短い。このため、展開状態かつ非延出状態において、延出可能部70は、包装シート100の外端縁100Rよりも前後方向Lの外側に延びている。従って、延出可能部70は、包装シート100と包装シート100の外端縁100Rよりも前後方向Lの外側に位置する延長領域EXRとのいずれかに対向する対向面75を有する。
【0137】
延出可能部70は、第1部分71に設けられる第1対向面751と、第2部分72に設けられる第2対向面752と、を有する。第1対向面751は、包装シート100に対向する面である。第1対向面751は、第1部分71における肌側シート20の面である(
図14参照)。第2対向面752は、包装シート100に対向する面と、延長領域EXRに対向する面とがある。第2対向面752は、第2部分72における非肌側シート25の面である。
【0138】
図13に示すように、非延出状態において、対向面75には、粘着部50が設けられていない。従って、非延出状態において、粘着部50を介して延出可能部70が着用物品Uに固定されることがない。これにより、使用者は、本体部11が着用物品Uに固定された状態で容易に延出可能部70を引き出すことができる。
【0139】
図15に示すように、延出可能部70には、剥離部58が設けられてよい。剥離部58は、非延出状態において、本体粘着部51に対向する位置に設けられている。従って、剥離部58は、本体粘着部51のうち、第1部分71と厚さ方向Tにおいて重なる部分を覆っている。このように、本体部11と、本体部11よりも非肌面側に配置されている延出可能部70とが重なる領域においても、本体粘着部51を設けることができる。
【0140】
次に、変更例2から変更例4に係る吸収性物品10について、
図17を用いて説明する。
図17は、変更例2から変更例4に係る吸収性物品10の模式断面図である。
図17Aは、変更例2に係る吸収性物品の模式断面図であり、
図17Bは、変更例3に係る吸収性物品の模式断面図であり、
図17Cは、変更例4に係る吸収性物品の模式断面図である。具体的には、
図17Aから
図17Cは、
図3の5B-5B線に沿った模式断面図と同様の模式断面図である。
【0141】
上述の実施形態では、曲げ誘導部80は、吸収コア30Aの目付が0である例を示していたが、これに限られない。曲げ誘導部80は、以下に示す第2吸収コア30A2により構成されてよい。
【0142】
図17Aに示すように、吸収コア30Aは、第1吸収コア30A1と、第2吸収コア30A2とにより構成されてよい。第2吸収コア30A2の目付は、第2吸収コア30A2の周囲の吸収コアである第1吸収コア30A1の目付よりも低く、かつ0よりも大きくてよい。
【0143】
図17Bに示すように、第2吸収コア30A2は、第1吸収コア30A1よりも剛性が低い領域であってよい。例えば、第1吸収コア30A1は、圧搾された圧搾部により構成され、第2吸収コア30A2は、圧搾されていない未圧搾部により構成されてよい。従って、第2吸収コア30A2の密度は、第1吸収コア30A1の密度よりも低くてよい。
【0144】
図17Cに示すように、第2吸収コア30A2は、吸収コア30Aが厚さ方向Tに圧搾された圧搾部であってよい。吸収コア30Aは、圧搾によって形成された凹部30rを有してよい。凹部30rは、非肌面側から肌面側に向かって凹んでよい。これにより、曲げ誘導部80が、前後誘導部80Lである場合、臀裂に沿うように第1吸収体31が変形し易くなる。
【0145】
なお、吸収コア30Aのみが圧搾されるだけでなく、吸収コア30Aとコアラップ30Bとが一緒に圧搾されてもよい。
【0146】
次に、変更例5に係る吸収性物品10について、
図18を用いて説明する。
図18は、変更例5に係る吸収性物品10の模式平面図である。
図18Aは、非延出状態において肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図18Bは、非延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
図18Cは、延出状態において非肌面側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。
【0147】
変更例5に係る吸収性物品10では、延出可能部70は、本体部11よりも後側に配置され、かつ後方へ延出可能である。
【0148】
図18Aに示すように、吸収性物品10の肌面側から視て、非延出状態において、第1部分71は、第2部分72に覆われていてよい。第1部分71の非肌側シート25が、第2部分72から露出しなくてよい。従って、第2部分72は、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間において、厚さ方向Tにおいて第1部分71と重ならない領域を有してよい(
図18B参照)。非延出状態において、吸収性物品10の肌面側から視て、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間の第1部分71の面積は、境界折り部BFLと補助折り部SFLとの間の第2部分72の面積よりも小さくてよい。
【0149】
また、非延出状態において、第1部分71は、第2部分72に覆われているため、使用者が、非延出状態において本体部11が固定された着用物品Uを装着した際に、第1部分71が使用者の肌に直接接触しない。このため、着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を引き出した場合に、第1部分71に肌との摩擦が働き難く、第1部分71がひっくり返り易い。従って、延出可能部70を引き出し易くなる。また、吸収性物品10を交換する際に、臀部が排泄物により汚れていることがある。非延出状態において本体部11が固定された着用物品Uを装着した際に、第1部分71が第2部分72に覆われているため、第1部分71の非肌側シート25に排泄物が付着することを抑制できる。これにより、延出可能部70の延出によって、第1部分71の非肌側シート25が着用物品Uに接触しても、着用物品Uを排泄物によって汚すことがなくなる。
【0150】
吸収性物品10は、着用物品Uの非肌面側に折り返されるウイング15を有してよい。吸収性物品10が包装シート100に包装されている状態では、ウイング15は、前後方向Lに延びる折り部によって幅方向Wの内側に折り返されてよい。ウイング15は、当該折り部よりも幅方向Wの外側の部分であってよい。
【0151】
粘着部50は、ウイング15に設けられるウイング粘着部55を有してよい。ウイング15は、着用物品Uの非肌面側に折り返された後に、ウイング粘着部55を介して着用物品Uに固定されてよい。
【0152】
図18Aに示すように、非延出状態において、ウイング15の前後方向Lの中心Wicから延出可能部70の最も後側の後端縁70Rまでの長さL70は、ウイング15の前後方向Lの中心Wicから吸収性物品10の最も前側の前端縁10Fまでの長さL10よりも長くてよい。ウイング15は、一般的に、膣口付近で着用物品Uの非肌面側に折り返される。このため、非延出状態において、膣口付近から延出可能部70の後端縁70Rまでの長さL70を長くすることによって、延出可能部70を把持し易くすることができる。
【0153】
図18Cに示すように、延出粘着部52は、第1部分71に設けられる第1延出粘着部521と、第2部分72に設けられる第2延出粘着部522と、を有してよい。延出状態において、第1延出粘着部521及び第2延出粘着部522を介して、延出可能部70を着用物品Uに固定することができる。
【0154】
なお、第1延出粘着部521及び第2延出粘着部522は、対向面75に設けられていない。従って、非延出状態において、延出可能部70が着用物品Uに固定されずに、使用者は、延出可能部70を容易に延出できる。
【0155】
剥離部58は、第1部分71に設けられる第1剥離部581と、第2部分72に設けられる第2剥離部582と、を有してよい。非延出状態において、第1剥離部581は、第2延出粘着部522と対向し、第2延出粘着部522を覆っている。従って、非延出状態において、第2延出粘着部522は、第1部分71に貼り付かない。同様に、非延出状態において、第2剥離部582は、第1延出粘着部521と対向し、第1延出粘着部521を覆っている。従って、非延出状態において、第1延出粘着部521は、第2部分72に貼り付かない。従って、使用者は、延出可能部70を容易に延出できる。
【0156】
次に、変更例6から変更例9に係る吸収性物品10について、
図19を用いて説明する。
図19は、非延出状態において肌面側から見た変更例6から変更例9に係る吸収性物品の模式平面図である。
【0157】
図19Aに示すように、仮止め部60は、本体部11と第1部分71とのみを仮止めする(一対の)第1仮止め部61を有してよい。使用者は、第1仮止め部61を、比較的弱い力で外すことができるため、容易に延出可能部70を引き出すことができる。
【0158】
仮止め部60は、複数の第1仮止め部61(例えば、第1仮止め部61A、第1仮止め部61B)を有してよい。第1仮止め部61Aは、第1仮止め部61Bよりも前側に配置されてよい。これにより、1つの第1仮止め部61が、使用者の意図せずに外されたとしても、他の第1仮止め部61によって、本体部11と第1部分71との仮固定を維持することができる。
【0159】
吸収性物品10は、後述する第2仮止め部62を有さない場合(すなわち、仮止め部60として第1仮止め部61のみを有する場合)、上述の実施形態と同様に、重複領域において、第1部分71と第2部分72との一方に延出粘着部52が設けられ、かつ他方に剥離部58が設けられてよい。延出粘着部52と剥離部58との間に、着用物品に対する粘着部50の接合強度よりも弱い接合が働くため、第2部分72が意図せずに動く(例えば、第2部分72が、補助折り部SFLを基点に前側に倒れる)ことを抑制できる。従って、使用者は、延出可能部70を延出する際に、第2部分72を把持し易くなり、延出可能部70を延出させ易くすることができる。
【0160】
図19Bに示すように、第1仮止め部61Aは、第1仮止め部61Bよりも幅方向Wの内側に配置されてよい。従って、一対の第1仮止め部61A間の距離を一対の第1仮止め部61B間の距離よりも短くてよい。第1部分71の中心Wc付近が本体部11から離れる距離を低減できるため、本体部11と第1部分71との間の隙間に使用者の指が入り難くなる。従って、本体部11を着用物品Uに固定する際に、使用者が隙間に指を引っかけて延出可能部70を誤って延出することを抑制できる。
【0161】
図19Cに示すように、第1仮止め部61Aは、第1仮止め部61Aよりも幅方向Wの外側に配置されてよい。従って、一対の第1仮止め部61A間の距離を一対の第1仮止め部61B間の距離よりも長くてよい。これにより、延出可能部70を引き出した際に第1部分71の中心Wc付近が本体部11から離れる距離を大きくできるため、第1仮止め部61Aにおいて、本体部11と第1部分71とが厚さ方向Tに離れる方向(ピール方向)への剥離力を高めることができる。従って、仮止め部60を比較的弱い力で外すことができる。
【0162】
図19Dに示すように、仮止め部60は、第1仮止め部61と、第2仮止め部62とを有してよい。第2仮止め部62は、本体部11と第1部分71との仮止めに加えて、第1部分71と第2部分72とを仮止めする。これにより、第2部分72を第1部分71を介して本体部11に間接的に仮止めすることができる。従って、延出可能部70の延出前に第2部分72が意図せずに動くことを抑制できる。従って、使用者は、延出可能部70を延出する際に、第2部分72を把持し易くなり、延出可能部70を延出させ易くすることができる。
【0163】
次に、変更例10に係る吸収性物品10について、
図20を用いて説明する。
図20は、変更例10に係る吸収性物品10を説明するための図である。
図20Aは、非延出状態において非肌面側から見た変更例10に係る吸収性物品の模式平面図である。
図20Bは、
図20Aの20B-20B線に沿った模式断面図である。
【0164】
図20に示すように、展開状態において、吸収性物品10は、1回折られていてよい。従って、延出可能部70は、境界折り部BFLから吸収性物品10の前後方向Lの外端縁までの部分である第1部分71を有してよい。延出可能部70は、境界折り部BFLから前後方向Lの内側へ延びる第1部分71のみによって構成されてよい。すなわち、展開状態において、延出可能部70自体は、折られていなくてよい。
【0165】
延出可能部70は、本体部11よりも非肌面側に位置している。従って、吸収性物品10は、境界折り部BFLを基点として、本体部11の非肌側シート25と延出可能部70(第1部分71)の非肌側シート25とが向かい合うように折られている。展開状態において、延出可能部70は、厚さ方向Tにおいて、本体部11と包装シート100との間に位置している。
【0166】
非延出状態において、延出可能部70は、本体部の前後方向Lの外端縁よりも前後方向Lの外側に延出していないので、非延出状態の吸収性物品10の前後方向の長さを短くすることができる。従って、使用者は、本体部11を着用物品Uに固定し易くなる。
【0167】
図20Bに示すように、延出可能部70には、延出粘着部52が設けられてよい。これにより、着用物品Uを装着した使用者の日常的な動きによって、延出可能部70がズレることを抑制できる。
【0168】
本体部11には、非延出状態において、延出粘着部52に対向する剥離部58が設けられてよい。剥離部58は、延出粘着部52を覆ってよい。これにより、延出粘着部52が第1部分71の非肌側シート25と接触しない。延出粘着部52は、第1部分71に貼り付かない。従って、使用者は、延出可能部70を容易に引き出すことができる。
【0169】
なお、本体前後誘導部81Lは、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcから第2折り部FL2を超えて連続的に後方へ延びていてよい。本体前後誘導部81Lは、延出前後誘導部87Lと連なっていてよい。
【0170】
(5)その他実施形態
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0171】
例えば、上述において、仮止め部60は、幅方向Wの中心Wcを挟んで両側に設けられていたが、これに限られない。仮止め部60は、幅方向Wの中心Wc上に設けられていてもよい。仮止め部60は、厚さ方向Tにおいて吸収体30に重なる領域に設けられていてもよい。この場合、例えば、仮止め部60は、本体部11と第1部分71とを接合するように設けられてもよく(上述の第1仮止め部61)、本体部11と第1部分71と第2部分72とを接合するように設けられてよい(上述の第2仮止め部62)。
【0172】
上述の変更例1では、粘着部50が本体部11のみに設けられ、剥離部58が延出可能部70に設けられていたが、これに限られない。粘着部50は、延出可能部70に設けられてよい。例えば、
図15における剥離部58の位置(すなわち、第1部分71)に、粘着部50(延出粘着部)が設けられ、当該粘着部50に対向する位置(すなわち、本体部11)に剥離部58が設けられてよい。なお、非延出状態において、剥離部58は、延出粘着部52を完全に覆う大きさであってよい。
【0173】
また、上述では、延出可能部70は、後方へ延出可能であったが、これに限られない。延出可能部70は、本体部11よりも前側に配置され、かつ前方へ延出可能であってよい。また、吸収性物品10は、前方へ延出可能である延出可能部70と、後方へ延出可能部70である延出可能部70とを有してよい。この場合、非延出状態において、吸収性物品10の前後方向Lの長さを短くすることができる。従って、使用者は、本体部11を着用物品Uに固定し易くなる。
【0174】
また、上述において、曲げ誘導部80が設けられなくてもよい。代わりに、第1吸収体31は、複数に分割された吸収体30によって構成されてよい。吸収体30どうしの隙間が曲げ誘導部80と同様の機能を有してもよい。
【0175】
また、上述の変更例3では、凹部30rは、非肌面側から肌面側に向かって凹んでいたが、これに限られない。凹部30rは、肌面側から非肌面側に向かって凹んでよい。
【0176】
上述では、使用者が、本体部11を固定した着用物品Uを装着した後に、延出可能部70を延出するケースを例に挙げてしていたが、これに限られない。使用者は、延出可能部70を延出した後に、着用物品Uを装着してもよい。着用物品Uを装着した後に延出可能部70を延出し難い場合には、着用物品Uを装着する前に、延出可能部70を延出してもよい。使用者は、着用物品Uを装着した後に延出可能部70を引き上げることによって、延出可能部70を臀部にフィットさせてもよい。
【0177】
上述において、仮止め部60は、第1部分71と第2部分72とのみを仮止めする仮止め部を有してもよい。
【0178】
上述において、吸収性物品10には、仮止め部60が設けられていたが、これに限られない。吸収性物品10には、仮止め部60が設けられなくてもよい。これにより、使用者は、延出可能部70を容易に延出することができる。
【0179】
上述において、肌側シート20どうしが仮止めされて、非肌側シート25どうしが仮止めされてなくてもよい。すなわち、肌側シート20どうしが対向している部分であり、且つ非肌側シート25どうしが対向していない領域分に、仮止め部60が設けられてよい。仮止め部60を剥がす際に、仮止め(接合)されている部分が破れたとしても、非肌側シート25が破れることがないため、排泄物が非肌面側へ漏れることを抑制できる。
【0180】
上述の実施形態では、本体前後誘導部81Lは、排泄口当接領域ERの前後方向Lの中心ERcよりも後側に配置されていたが、排泄口当接領域ERの中心ERcよりも前側に配置されていてもよい。また、曲げ誘導部80は、前後方向Lに断続的に配置されていてもよい。
【0181】
上述の実施形態、各変更例及びその他実施形態に係る吸収性物品10に係る構成は、適宜組み合わせることが可能であることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0182】
1 :包装体
10 :吸収性物品
11 :本体部
15 :ウイング
20 :肌側シート
25 :非肌側シート
30 :吸収体
30A :吸収コア
30B :コアラップ
31 :第1吸収体
32 :第2吸収体
50 :粘着部
51 :本体粘着部
52 :延出粘着部
55 :ウイング粘着部
58 :剥離部
60 :仮止め部
70 :延出可能部
71 :第1部分
72 :第2部分
75 :対向面
80 :曲げ誘導部
100 :包装シート
BFL :境界折り部
ER :排泄口当接領域
EXR :延長領域
SFL :補助折り部
U :着用物品