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特許7138398層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム及びプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220909BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20220909BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20220909BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220909BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20220909BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220909BHJP
   C09J 161/06 20060101ALI20220909BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
H05K3/46 T
B32B27/20 Z
C08G59/40
C08J5/18 CEZ
C08J5/18 CFC
C09J7/30
C09J11/04
C09J161/06
C09J163/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018534215
(86)(22)【出願日】2016-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2016073843
(87)【国際公開番号】W WO2018033950
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2019-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 彩
(72)【発明者】
【氏名】水野 康之
(72)【発明者】
【氏名】村井 曜
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】須原 宏光
【審判官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-045887(JP,A)
【文献】特開2013-091781(JP,A)
【文献】特開2002-179774(JP,A)
【文献】特開2010-090237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、及びジシアンジアミド(C)を含有する層間絶縁用樹脂フィルムであって、
前記エポキシ樹脂(A)の含有量が、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して5~30質量部であり、
前記シアネート樹脂(B)の含有量が、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して2~50質量部であり、
前記ジシアンジアミド(C)の含有量がエポキシ樹脂(A)及びシアネート樹脂(B)の固形分換算合計100質量部に対して0.005~5.0質量部である、層間絶縁用樹脂フィルム
【請求項2】
さらに、無機充填材(D)を含有する、請求項1に記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
【請求項3】
無機充填材(D)がシリカである、請求項2に記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
【請求項4】
前記シアネート樹脂(B)がシアネート樹脂のプレポリマーである、請求項1~のいずれか1項に記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の層間絶縁用樹脂フィルムの一方の面に接着補助層が設けられた接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムであって、該接着補助層が、エポキシ樹脂(a)、シアネート樹脂(b)、及び無機充填材(c)を含有する、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム。
【請求項6】
さらに、前記接着補助層の層間絶縁用樹脂フィルムが設けられた面とは反対側の面に支持体が設けられた、請求項に記載の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の層間絶縁用樹脂フィルム、又は請求項若しくはに記載の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板用の接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、通信機器等に用いられる多層プリント配線板には、小型化、軽量化及び配線の高密度化だけでなく、演算処理速度の高速化の要求が強まっている。それに伴い、多層プリント配線板の製造方法として、回路基板の配線層上に層間絶縁層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術が注目されている。
【0003】
ビルドアップ方式の製造技術において、層間絶縁層と配線層の製造方法としては、層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(以下、「層間絶縁層用樹脂組成物」ともいう)と、配線層を形成するための銅箔とを、プレス装置を用いて高温で長時間加圧することによって、層間絶縁層用樹脂組成物を熱硬化し、銅箔を有する層間絶縁層を得た後、必要に応じてドリル法、レーザー法等を用いて層間接続用のビアホールを形成し、次いで、銅箔を必要な部分を残してエッチングによって除去する、所謂「サブトラクティブ法」を用いて配線を形成する方法が、従来一般的であった。
【0004】
しかし、上記のような多層プリント配線板の小型化、軽量化、配線の高密度化等の要求に伴って、層間絶縁層用樹脂組成物と銅箔とを真空ラミネーターを用いて高温で短時間加圧した後、乾燥機等を用いて高温下で層間絶縁層用樹脂組成物を熱硬化し、必要に応じてドリル法、レーザー法等を用いて層間接続用のビアホールを形成し、めっき法によって必要な部分に配線層を形成する所謂「アディティブ法」が注目されるようになっている。
【0005】
ビルドアップ方式で使用されている層間絶縁層用樹脂組成物としては、芳香族系エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂に対する活性水素を有する硬化剤(例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤等)とを組み合わせたものが主に用いられてきた。これらの硬化剤を用いて硬化させて得られる硬化物は、物性面のバランスに優れるものの、エポキシ基と活性水素との反応によって、極性の高いヒドロキシ基が発生することにより、吸水率の上昇、比誘電率、誘電正接等の電気特性の低下を招くという問題があった。また、これらの硬化剤を使用した場合、樹脂組成物の保存安定性が損なわれるという問題が生じていた。
【0006】
一方、熱硬化性のシアナト基を有するシアネート化合物が電気特性に優れた硬化物を与えることが知られている。しかしながら、シアナト基が熱硬化によってS-トリアジン環を形成する反応は、例えば、230℃で120分以上という高温で比較的長時間の硬化を必要とするため、前述のビルドアップ方式で作製する多層プリント配線板用の層間絶縁層用樹脂組成物としては不適であった。
シアネート化合物の硬化温度を下げる方法としては、シアネート化合物とエポキシ樹脂とを併用し、硬化触媒を使用して硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0007】
また、ビルドアップ層には、加工寸法安定性、半導体実装後の反り量低減の需要から、低熱膨張係数化(低CTE化)が求められており、低CTE化に向けた取り組みが行われている(例えば、特許文献3~5参照)。最も主流な方法として、シリカフィラーを高充填化(例えば、ビルドアップ層中の40質量%以上をシリカフィラーとする)することによって、ビルドアップ層の低CTE化を図っているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-40298号公報
【文献】特開2010-90237号公報
【文献】特表2006-527920号公報
【文献】特開2007-87982号公報
【文献】特開2009-280758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[a]ビルドアップ層の低CTE化を図るためにシリカフィラーを高充填化させると、ビルドアップ材料によって、内層回路の配線パターンの凹凸を埋め込むことが難しくなる傾向にある。また、スルーホールのような内層回路を、ビルドアップ材料によって凹凸が小さくなるように埋め込むことが要求されている。ビルドアップ材料の低CTE化を図るためにシリカフィラーを高充填化すると、これらの要求を満たすことが難しくなる傾向にある。
【0010】
第1の発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、シリカフィラーを高充填化しても凹凸の埋め込み性に優れる多層プリント配線板用の接着フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
[b]また、第2の発明は、加速環境試験後も回路基板との接着性に優れ、且つ低熱膨張性、耐熱性、及び誘電特性に優れる層間絶縁層を得ることができる層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム、並びに該層間絶縁用樹脂フィルム、又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[a]本発明者らは、前記第1の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のノボラック型フェノール樹脂と、特定のエポキシ樹脂と、特定の無機充填材とを含む樹脂組成物を用いることにより、前記第1の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、第1の発明は次の接着フィルムを提供する。
【0013】
(1)(A)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が、1.05~1.8であるノボラック型フェノール樹脂と、(B)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、を含む樹脂組成物を、支持体フィルム上に層形成してなる樹脂組成物層を有し、該樹脂組成物層中の(C)無機充填材の平均粒径が0.1μm以上であり、(C)無機充填材の含有量が、樹脂固形分のうち20~95質量%である、多層プリント配線板用の接着フィルム。
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、pは、1~5の整数を示す。)
【0016】
[b]また、本発明者らは上記の課題を解決すべく検討を進めた結果、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[7]を提供する。
[1]エポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、及びジシアンジアミド(C)を含有する層間絶縁用樹脂フィルム。
[2]さらに、無機充填材(D)を含有する、上記[1]に記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
[3]無機充填材(D)がシリカである、上記[2]に記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
[4]ジシアンジアミド(C)の含有量が、エポキシ樹脂(A)及びシアネート樹脂(B)の固形分換算合計100質量部に対して、0.005~5.0質量部である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の層間絶縁用樹脂フィルム。
[5]上記[1]~[4]のいずれかに記載の層間絶縁用樹脂フィルムの一方の面に接着補助層が設けられた接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムであって、該接着補助層が、エポキシ樹脂(a)、シアネート樹脂(b)、及び無機充填材(c)を含有する、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム。
[6]さらに、前記接着補助層の層間絶縁用樹脂フィルムが設けられた面とは反対側の面に支持体が設けられた、上記[5]に記載の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム。
[7]上記[1]~[4]のいずれかに記載の層間絶縁用樹脂フィルム、又は上記[5]若しくは[6]に記載の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板。
【発明の効果】
【0017】
[a]第1の発明によれば、シリカフィラーを高充填化しても凹凸の埋め込み性に優れた多層プリント配線板用の接着フィルムを提供することができる。
【0018】
[b]第2の発明によれば、加速環境試験後も回路基板との接着性に優れ、且つ低熱膨張性、耐熱性、及び誘電特性に優れる層間絶縁層を得ることができる層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム、並びに該層間絶縁用樹脂フィルム、又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[a]第1の発明
本発明の多層プリント配線板用の接着フィルムは、(A)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が、1.05~1.8であるノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「(A)ノボラック型フェノール樹脂」ともいう)と、(B)前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(以下、単に「(B)エポキシ樹脂」ともいう)と、(C)無機充填材と、を含む樹脂組成物(以下、「接着フィルム用樹脂組成物」ともいう)を、支持体フィルム上に層形成してなる樹脂組成物層を有し、該樹脂組成物層中の(C)無機充填材の平均粒径が0.1μm以上であり、(C)無機充填材の含有量が、樹脂固形分のうち20~95質量%である、多層プリント配線板用の接着フィルムである。
【0020】
[接着フィルム用樹脂組成物]
接着フィルム用樹脂組成物は、(A)ノボラック型フェノール樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材とを含むものである。以下、これらの各成分について説明する。
【0021】
<(A)ノボラック型フェノール樹脂>
(A)ノボラック型フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものであり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が、1.05~1.8の範囲のものである。
【0022】
このような(A)ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、特許第4283773号公報に記載の製造方法により製造することができる。
すなわち、原料としてフェノール化合物及びアルデヒド化合物、酸触媒としてリン酸化合物、反応補助溶媒として非反応性の含酸素有機溶媒を用い、これらから形成される二層分離状態を、例えば、機械的攪拌、超音波等によりかき混ぜ混合して、二層(有機相と水相)が交じり合った白濁状の不均一反応系(相分離反応)として、フェノール化合物とアルデヒド化合物との反応を進め、縮合物(樹脂)を合成することができる。
次に、例えば、非水溶性有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)を添加混合して前記の縮合物を溶解し、かき混ぜ混合を止めて静置し、有機相(有機溶剤相)と水相(リン酸水溶液相)とに分離させ、水相を除去して回収を図る一方、有機相については湯水洗及び/又は中和した後、有機溶剤を蒸留回収することによって(A)ノボラック型フェノール樹脂を製造することができる。
上記のノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、相分離反応を利用しているため、攪拌効率は極めて重要であり、反応系中の両相を微細化して界面の表面積をできる限り増加させることが反応効率の面から望ましく、これによりフェノール化合物の樹脂への転化が促進される。
【0023】
原料として用いられるフェノール化合物としては、例えば、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、ビスフェノール化合物、オルト位に炭素数3以上、好ましくは炭素数3~10の炭化水素基を有するオルト置換フェノール化合物、パラ位に炭素数3以上、好ましくは炭素数3~18の炭化水素基を有するパラ置換フェノール化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
ここで、ビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(2-メチルフェノール)A、ビス(2-メチルフェノール)F、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZ等が挙げられる。
オルト置換フェノール化合物としては、例えば、2-プロピルフェノール、2-イソプロピルフェノール、2-sec-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-フェニルフェノール、2-シクロヘキシルフェノール、2-ノニルフェノール、2-ナフチルフェノール等が挙げられる。
パラ置換フェノール化合物としては、例えば、4-プロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、4-フェニルフェノール、4-シクロヘキシルフェノール、4-ノニルフェノール、4-ナフチルフェノール、4-ドデシルフェノール、4-オクタデシルフェノール等が挙げられる。
【0024】
原料として用いられるアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらの中でも、反応速度の観点から、パラホルムアルデヒドが好ましい。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0025】
アルデヒド化合物(F)とフェノール化合物(P)との配合モル比(F/P)は、好ましくは0.33以上、より好ましくは0.40~1.0、さらに好ましくは0.50~0.90である。配合モル比(F/P)を前記範囲内とすることにより、優れた収率を得ることができる。
【0026】
酸触媒として用いるリン酸化合物は、水の存在下、フェノール化合物との間で相分離反応の場を形成する重要な役割を果たすものである。リン酸化合物としては、例えば、89質量%リン酸、75質量%リン酸等の水溶液タイプを用いることができる。また、必要に応じて、例えば、ポリリン酸、無水リン酸等を用いてもよい。
リン酸化合物の含有量は、相分離効果を制御する観点から、例えば、フェノール化合物100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは25質量部以上、より好ましくは50~100質量部である。なお、70質量部以上のリン酸化合物を使用する場合には、反応系への分割投入により、反応初期の発熱を抑えて安全性を確保することが好ましい。
【0027】
反応補助溶媒としての非反応性含酸素有機溶媒は、相分離反応の促進に極めて重要な役割を果たすものである。反応補助溶媒としては、アルコール化合物、多価アルコール系エーテル、環状エーテル化合物、多価アルコール系エステル、ケトン化合物、スルホキシド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の一価アルコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の三価アルコールなどが挙げられる。
多価アルコール系エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールグリコールエーテル等が挙げられる。
環状エーテル化合物としては、例えば、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等が挙げられ、多価アルコール系エステルとしては、例えば、エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル化合物などが挙げられる。ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」ともいう)、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、スルホキシド化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド等が挙げられる。
これらの中でも、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、1,4-ジオキサンが好ましい。
反応補助溶媒は、上記の例示に限定されず、上記の特質を有し、かつ反応時に液状を呈するものであれば、固体であってもよく、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
反応補助溶媒の配合量としては、特に限定されないが、例えば、フェノール化合物100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10~200質量部である。
【0028】
前記不均一反応工程中に、さらに、界面活性剤を用いることによって、相分離反応を促進し、反応時間を短縮することが可能となり、収率向上にも寄与できる。
界面活性剤としては、例えば、石鹸、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリエチレングリコール脂肪族エステル、脂肪族モノグリセライド、ソルビタン脂肪族エステル、ペンタエリストール脂肪族エステル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール、脂肪族アルキロールアマイド等のノニオン系界面活性剤;モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、アミン酸塩化合物等のカチオン系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、フェノール化合物100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1~10質量部である。
【0029】
反応系中の水の量は相分離効果、生産効率に影響を与えるが、一般的には質量基準で、40質量%以下である。水の量を40質量%以下とすることにより、生産効率を良好に保つことができる。
【0030】
フェノール化合物とアルデヒド化合物との反応温度は、フェノール化合物の種類、反応条件等によって異なり、特に限定されないが、一般的には40℃以上、好ましくは80℃~還流温度、より好ましくは還流温度である。反応温度が40℃以上であると、十分な反応速度が得られる。反応時間は、反応温度、リン酸の配合量、反応系中の含水量等によって異なるが、一般的には1~10時間程度である。
【0031】
また、反応環境としては、通常は常圧であるが、本発明の特長である不均一反応を維持する観点からは、加圧下又は減圧下で反応を行ってもよい。例えば、0.03~1.50MPaの加圧下においては、反応速度を上げることができ、さらに、反応補助溶媒としてメタノール等の低沸点溶媒の使用が可能となる。
【0032】
前記(A)ノボラック型フェノール樹脂の製造方法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が、1.05~1.8であるノボラック型フェノール樹脂を製造することができる。
フェノール化合物の種類によって異なるものの、アルデヒド化合物(F)とフェノール化合物(P)の配合モル比(F/P)の範囲によって、例えば、以下のような(A)ノボラック型フェノール樹脂が得られる。
配合モル比(F/P)が0.33以上0.80未満の範囲では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の面積法による測定法で、フェノール化合物のモノマー成分の含有量が、例えば、3質量%以下、好ましくは1質量%以下であり、フェノール化合物のダイマー成分の含有量が、例えば、5~95質量%、好ましくは10~95質量%であり、さらにGPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が、1.05~1.8、好ましくは1.1~1.7であるノボラック型フェノール樹脂を高収率で製造することができる。
【0033】
(A)ノボラック型フェノール樹脂としては、市販品を使用することができ、例えば、「PAPS-PN2」(旭有機材工業株式会社製、商品名)、「PAPS-PN3」(旭有機材工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0034】
接着フィルム用樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、(A)ノボラック型フェノール樹脂以外のエポキシ樹脂硬化剤(以下、単に「エポキシ樹脂硬化剤」ともいう)を併用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、(A)ノボラック型フェノール樹脂以外の各種フェノール樹脂化合物、酸無水物化合物、アミン化合物、ヒドラジット化合物等が挙げられる。フェノール樹脂化合物としては、例えば、(A)ノボラック型フェノール樹脂以外のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が挙げられる。また、アミン化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が挙げられる。
【0035】
これらのエポキシ樹脂硬化剤の中でも、信頼性を向上させる観点から、(A)ノボラック型フェノール樹脂以外のノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
また、金属箔の引き剥がし強さ及び化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上する観点からは、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂及びジシアンジアミドが好ましい。
(A)ノボラック型フェノール樹脂以外のノボラック型フェノール樹脂は、市販品を用いてよく、例えば、「TD2090」(DIC株式会社製、商品名)等のフェノールノボラック樹脂、「KA-1165」(DIC株式会社製、商品名)等のクレゾールノボラック樹脂などが挙げられる。また、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂の市販品としては、例えば、「フェノライトLA-1356」(DIC株式会社製、商品名)、「フェノライトLA7050シリーズ」(DIC株式会社製、商品名)等が挙げられ、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂の市販品としては、例えば、「フェノライトLA-3018」(商品名、DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0036】
<(B)エポキシ樹脂>
(B)エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。
【0037】
【化2】
【0038】
(式中、pは、1~5の整数を示す。)
【0039】
(B)エポキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品の(B)エポキシ樹脂としては、例えば、「NC-3000」(式(1)におけるpが1.7であるエポキシ樹脂)、「NC-3000-H」(式(1)におけるpが2.8であるエポキシ樹脂)(いずれも日本化薬株式会社製、商品名)等が挙げられる。
接着フィルム用樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、(B)エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等の高分子タイプのエポキシ樹脂などを含んでいてもよい。
【0040】
<硬化促進剤>
接着フィルム用樹脂組成物は、(A)ノボラック型フェノール樹脂と(B)エポキシ樹脂との反応を速める観点から、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物;ホスホニウムボレート等のオニウム塩;1,8-ジアザビシクロウンデセン等のアミン類;3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレアなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
<(C)無機充填材>
接着フィルム用樹脂組成物は、平均粒径が0.1μm以上の(C)無機充填材を含む。
(C)無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、接着フィルムを硬化して形成される層間絶縁層の熱膨張係数を下げる観点から、シリカであることが好ましい。
(C)無機充填材の形状は、特に限定されないが、内層回路に形成されたスルーホール及び回路パターンの凹凸を埋め込み易くする観点から、球形であることが好ましい。
【0042】
(C)無機充填材の平均粒径は0.1μm以上であり、優れた埋め込み性を得る観点から、0.2μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましい。
平均粒径が0.1μm未満の無機充填材の含有量は、埋め込み性の観点から、固形分で、3vol%以下であることが好ましく、1vol%以下であることがより好ましく、平均粒径が0.1μm未満の無機充填材を含有しないことがさらに好ましい。なお、(C)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、異なる平均粒径のものを混合して使用してもよい。
【0043】
(C)無機充填材としては、市販品を用いてもよい。市販品の(C)無機充填材としては、例えば、球形のシリカである「SO-C1」(平均粒径:0.25μm)、「SO-C2」(平均粒径:0.5μm)、「SO-C3」(平均粒径:0.9μm)、「SO-C5」(平均粒径:1.6μm)、「SO-C6」(平均粒径:2.2μm)(すべて株式会社アドマテックス製)等が挙げられる。
【0044】
(C)無機充填材は表面処理を施したものであってもよい。例えば、(C)無機充填材としてシリカを使用する場合、表面処理として、シランカップリング剤処理を施していてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、アミノシランカップリング剤で表面処理を施したシリカが好ましい。
【0045】
接着フィルム用樹脂組成物中における(C)無機充填材の量は次のように定義する。まず、支持体フィルム上に層形成する樹脂組成物を、200℃で30分間乾燥し、樹脂組成物に含まれる溶剤を除去して、溶剤を除去した後の重さ(固形分)を測定する。この固形分中に含まれる(C)無機充填材の量を、樹脂固形分のうちの(C)無機充填材の量と定義する。
また、(C)無機充填材の測定方法として、予め配合する(C)無機充填材の固形分の量を計算しておくと、固形分中の割合を容易に求めることができる。溶剤に分散した(C)無機充填材(以下、「(C)無機充填材分散液」ともいう)を使用する場合における計算例を以下に示す。
(C)無機充填材分散液中における(C)無機充填材の固形分は、200℃で30分間乾燥して計算した結果、70質量%であった。この(C)無機充填材分散液40gを用いて樹脂組成物を配合した結果、得られた樹脂組成物の総量は100gであった。100gの樹脂組成物を200℃で30分乾燥し、乾燥後の固形分の重量を測定した結果60gであった。固形分中に含まれる(C)無機充填材の量は、40g×70質量%=28gであるため、樹脂固形分のうちの(C)無機充填材の量は、28/60=47質量%(46.6質量%)と求められる。
【0046】
接着フィルム用樹脂組成物中における(C)無機充填材の量は、熱硬化後の層間絶縁層の熱膨張係数を低くする観点からは、多いほど好ましいが、形成する内層回路基板の配線パターンの凹凸及びスルーホールを埋め込む観点から、適切な無機充填材の量がある。このような観点から、(C)無機充填材の含有量は、樹脂固形分のうち20~95質量%であり、30~90質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましい。(C)無機充填材の含有量が20質量%以上であると、熱膨張係数を低くすることができ、95質量%以下であると、埋め込み性を良好に保つことができる。
【0047】
<難燃剤>
接着フィルム用樹脂組成物は、さらに、難燃剤を含んでいてもよい。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、無機難燃剤、樹脂難燃剤等が挙げられる。
無機難燃剤としては、例えば、(C)無機充填材として例示される水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
樹脂難燃剤としては、ハロゲン系樹脂であっても、非ハロゲン系樹脂であってもよいが、環境負荷への配慮から、非ハロゲン系樹脂を用いることが好ましい。樹脂難燃剤は、充填材として配合するものであってもよく、熱硬化性樹脂と反応する官能基を有するものであってもよい。
樹脂難燃剤は、市販品を使用することができる。充填材として配合する樹脂難燃剤の市販品としては、例えば、芳香族リン酸エステル系難燃剤である「PX-200」(大八化学工業株式会社製、商品名)、ポリリン酸塩化合物である「Exolit OP 930」(クラリアントジャパン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂と反応する官能基を有する樹脂難燃剤の市販品としては、エポキシ系リン含有難燃剤、フェノール系リン含有難燃剤等が挙げられる。エポキシ系リン含有難燃剤としては、例えば、「FX-305」(新日鐵住金化学株式会社製、商品名)等が挙げられ、フェノール系リン含有難燃剤としては、例えば、「HCA-HQ」(三光株式会社製、商品名)、「XZ92741」(ダウ・ケミカル社製、商品名)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
<溶剤>
接着フィルム用樹脂組成物は、層形成を効率的に行う観点から、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル化合物;セロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0049】
<残留溶剤量>
本発明の接着フィルム中における残留溶剤量は、取り扱う材料によって異なるが、1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%であることがより好ましく、2~10質量%であることがさらに好ましい。残留溶剤量が1質量%以上であると、接着フィルムの取り扱い性が向上し、例えば、カッターで切断をする際の粉落ちの発生、割れの発生等を抑制することができる。一方、20質量%以下であると、ベトつきを抑制し、フィルムの巻き取り及び巻きだしが容易になる。また、巻きだしを可能にするため、乾燥後に接着フィルムのワニス塗工面に保護フィルムを設けることが多いが、残留溶剤量が20質量%以下であると、保護フィルムと本発明の接着フィルムとの間の剥離が容易になる。
また、残留溶剤は、多層プリント配線板を作製する工程で、乾燥及び熱硬化によって除去されるものであるため、環境負荷の観点から少ないほうが好ましく、乾燥及び熱硬化の前後の膜厚変化を小さくするためにも少ないほうが好ましい。
なお、本発明の接着フィルムの製造にあたっては、目標とする残留溶剤量になるように、乾燥条件を決定することが好ましい。乾燥条件は、前述の樹脂組成物中に含まれる溶剤の種類、溶剤の量等によって異なるため、それぞれの塗工装置によって、予め条件出しを行った後、決定することが好ましい。
【0050】
ここで、本発明における残留溶剤量とは、支持体フィルムの樹脂組成物層中に含まれる、溶剤の割合(質量%)であり、次のように定義できる。
まず、支持体フィルムの重量(W)を測定し、その上に樹脂組成物層を形成した後の重量(W)を測定する。その後、支持体フィルムとその上に形成した樹脂組成物層を200℃の乾燥機の中に10分間放置し、乾燥後の重量(W)を測定する。得られた重量(W)~(W)を用いて下記式により計算することができる。
溶剤の割合(質量%)=(1-((W)-(W))/((W)-(W)))×100
【0051】
<その他の成分>
本発明の接着フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、オルベン、ベントン等の増粘剤;チアゾール系、トリアゾール系等の紫外線吸収剤;シランカップリング剤等の密着付与剤;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤;上記以外の任意の樹脂成分などが挙げられる。
【0052】
[支持体フィルム]
本発明における支持体フィルムとは、本発明の接着フィルムを製造する際の支持体となるものであり、多層プリント配線板を製造する際に、通常、最終的に剥離又は除去されるものである。
【0053】
支持体フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、有機樹脂フィルム、金属箔、離型紙等が挙げられる。
有機樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、価格及び取り扱い性の観点から、PETが好ましい。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。支持体に銅箔を用いる場合には、銅箔をそのまま導体層とし、回路を形成することもできる。この場合、銅箔としては、圧延銅、電解銅箔等を用いることができる。また、銅箔の厚さは、特に限定されないが、例えば、2~36μmの厚さを有するものを使用することができる。厚さの薄い銅箔を用いる場合には、作業性を向上させる観点から、キャリア付き銅箔を使用してもよい。
これらの支持体フィルム及び後述する保護フィルムには、離型処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。離型処理としては、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理などが挙げられる。
支持体フィルムの厚さは、特に限定されないが、取扱い性の観点から、10~120μmであることが好ましく、15~80μmであることがより好ましく、15~70μmであることがさらに好ましい。
支持体フィルムは、上述のように単一の成分である必要はなく、複数層(2層以上)の別材料で形成されていてもよい。
【0054】
支持体フィルムが2層構造である例を示すと、例えば、1層目の支持体フィルムとして、上記で挙げられた支持体フィルムを用い、2層目として、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、充填材等から形成される層を有するものが挙げられる。2層目に用いられる材料は、本発明の接着フィルムに使用する材料において挙げられた材料も使用できる。
1層目の支持体フィルムの上に形成される層(2層目以降、2層以上の複数層あってもよい)は、機能を付与することを意図して作製される層であり、例えば、メッキ銅との接着性の向上等を目的として用いることができる。
2層目の形成方法としては、特に制限されないが、例えば、各材料を溶媒中に溶解及び分散したワニスを、1層目の支持体フィルム上に塗工及び乾燥させる方法が挙げられる。
【0055】
支持体フィルムが複数層から形成される場合、1層目の支持体フィルムの厚さは、10~100μmであることが好ましく、10~60μmであることがより好ましく、13~50μmであることがさらに好ましい。
1層目の支持体フィルムの上に形成される層(2層目以降、2層以上の複数層あってもよい)の厚さは、1~20μmであることが好ましい。1μm以上であると、意図する機能を果たすことができ、また、20μm以下であると、支持体フィルムとしての経済性に優れる。
【0056】
支持体フィルムが複数層で形成されている場合、支持体フィルムを剥離する際には、本発明の接着フィルムと共に多層プリント配線板側に形成して残す層(2層以上でもよい)と、剥離又は除去される層(2層以上でもよい)とに分離されてもよい。
【0057】
[保護フィルム]
本発明の接着フィルムは、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムは、接着フィルムの支持体が設けられている面とは反対側の面に設けられるものであり、接着フィルムへの異物等の付着及びキズ付きを防止する目的で使用される。保護フィルムは、本発明の接着フィルムをラミネート、熱プレス等で回路基板等に積層する前に剥離される。
保護フィルムとしては、特に限定されないが、支持体フィルムと同様の材料を用いることができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、1~40μmの厚さを有するものを使用することができる。
【0058】
[接着フィルムの製造方法]
本発明の接着フィルムは、支持体フィルム上に接着フィルム用樹脂組成物を塗工及び乾燥することにより製造することができる。得られた接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存及び貯蔵することができる。より具体的には、例えば、前記有機溶剤に前記各樹脂成分を溶解した後、(C)無機充填材等を混合して接着フィルム用樹脂組成物を調製し、該ワニスを支持体フィルム上に塗工し、加熱、熱風吹きつけ等によって、有機溶剤を乾燥させて、支持体フィルム上に樹脂組成物層を形成することにより製造することができる。
なお、本発明の接着フィルムにおいて、支持体フィルム上に形成した樹脂組成物層は、乾燥させて得られる未硬化の状態であってもよく、半硬化(Bステージ化)した状態であってもよい。
【0059】
支持体フィルムにワニスを塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工装置を用いて塗工する方法を適用することができる。塗工装置は、目標とする膜厚に応じて、適宜選択すればよい。
【0060】
[b]第2の発明
次に、第2の発明に係る層間絶縁用樹脂フィルム、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム、及びプリント配線板について説明する。
[層間絶縁用樹脂フィルム]
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、エポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、及びジシアンジアミド(C)を含有するものである。
【0061】
<エポキシ樹脂(A)>
エポキシ樹脂(A)は、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂(A)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂(A)としては、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂であってもよく、ナフタレン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂であってもよく、ナフタレン型エポキシ樹脂とアラルキル型エポキシ樹脂とを併用してもよい。アラルキル型エポキシ樹脂としては、下記一般式(1)で表されるアラルキル型エポキシ樹脂であってもよい。
【0062】
【化3】

(nは1~10の数を示す。)
【0063】
ナフタレン型エポキシ樹脂とアラルキル型エポキシ樹脂とを組み合わせて含有させる場合、その含有割合(ナフタレン型エポキシ樹脂/アラルキル型エポキシ樹脂)は、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、15/85~50/50が好ましく、15/85~45/55がより好ましく、30/70~45/55がさらに好ましい。
【0064】
エポキシ樹脂(A)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、N-740(エポキシ当量180)、N-770(エポキシ当量188)、N-673(エポキシ当量211)、N-830S(エポキシ当量168)(以上、DIC株式会社製、商品名)、NC-7000L(エポキシ当量231)、NC-3000H(エポキシ当量289)、NC-3000L、NC-3000、NC-3100、NC-2000L(エポキシ当量237)(以上、日本化薬株式会社製、商品名)等が挙げられる。
なお、(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、150~500g/eqであることが好ましく、150~400g/eqであることがより好ましく、170~350g/eqであることがさらに好ましく、200~320g/eqであることが特に好ましく、また、200~245g/eqであってもよいし、250~320g/eqであってもよい。
ここで、エポキシ当量は、エポキシ基あたりの樹脂の質量(g/eq)であり、JIS K 7236(2001年)に規定された方法に従って測定することができる。具体的には、株式会社三菱化学アナリテック製の自動滴定装置「GT-200型」を用いて、200mlビーカーにエポキシ樹脂2gを秤量し、メチルエチルケトン90mlを滴下し、超音波洗浄器溶解後、氷酢酸10ml及び臭化セチルトリメチルアンモニウム1.5gを添加し、0.1mol/Lの過塩素酸/酢酸溶液で滴定することにより求められる。
【0065】
層間絶縁用樹脂フィルム中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して、5~30質量部であってもよく、10~25質量部であってもよい。
エポキシ樹脂(A)の含有量が、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して、5質量部以上であると、導体層との接着性が向上する傾向にあり、30質量部以下であると、シアネート樹脂(B)の含有量を充分に保つことができ、誘電正接を低減できる傾向にある。
なお、本明細書において、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分とは、層間絶縁用樹脂フィルムを構成する成分から揮発性の成分を除外した残分を意味する。
【0066】
<シアネート樹脂(B)>
シアネート樹脂(B)は、特に限定されるものではなく、例えば、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン[ビスフェノールA型シアネート樹脂]、ビス(4-シアナトフェニル)エタン[ビスフェノールE型シアネート樹脂]、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂]、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン[ヘキサフルオロビスフェノールA型シアネート樹脂]等のビスフェノール型シアネート樹脂;フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物等のジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;フェノールノボラック型シアネートエステル化合物、クレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等のノボラック型シアネート樹脂;α,α’-ビス(4-シアナトフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン;これらのシアネート樹脂のプレポリマー(以下、「シアネートプレポリマー」ともいう)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、シアネート樹脂(B)は、ビスフェノールA型シアネート樹脂であってもよく、ビスフェノールA型シアネート樹脂のプレポリマーであってもよい。
これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、下記一般式(I)で表されるシアネート樹脂、下記一般式(IV)で表されるシアネート樹脂及びこれらのプレポリマーが好ましく、下記一般式(I)で表されるシアネート樹脂及びこれのプレポリマーがより好ましい。
【0067】
【化4】
【0068】
一般式(I)中、Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、硫黄原子、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される2価の基を示す。R及びRは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。複数のR同士又はR同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0069】
【化5】
【0070】
一般式(II)中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を示す。複数のR同士は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0071】
【化6】
【0072】
【化7】
【0073】
一般式(IV)中、Rは、水素原子又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。複数のR同士は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0074】
前記一般式(I)中、Rで表される炭素数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、2,2-プロピレン基(-C(CH-)等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、メチレン基又は2,2-プロピレン基(-C(CH-)が好ましく、2,2-プロピレン基(-C(CH-)がより好ましい。
前記炭素数1~3のアルキレン基を置換するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記一般式(II)中、Rで表される炭素数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、2,2-プロピレン基(-C(CH-)等が挙げられる。
これらのRで表される基の中でも、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、メチレン基又は2,2-プロピレン基(-C(CH-)が好ましく、2,2-プロピレン基(-C(CH-)がより好ましい。
前記一般式(I)中、R又はRで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0075】
前記一般式(IV)中、Rで表される炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
前記炭素数1~3のアルキル基を置換するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(IV)中、nは1以上の整数を示し、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、1~7であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
【0076】
前記シアネートプレポリマーとは、シアネート樹脂同士が環化反応によりトリアジン環を形成したポリマーをいい、主にシアネートエステル化合物の3、5、7、9、11量体等が挙げられる。このシアネートプレポリマーにおいて、シアナト基の転化率は、特に限定されないが、有機溶剤に対する良好な溶解性を得る観点から、20~70質量%であることが好ましく、30~65質量%であることがより好ましい。
シアネートプレポリマーとしては、前記一般式(I)で表されるシアネート樹脂のプレポリマー、前記一般式(IV)で表されるシアネート樹脂のプレポリマー等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性、及び回路基板との接着性の観点からは、1分子中に2個のシアナト基を有するジシアネート化合物のプレポリマーであることが好ましく、前記一般式(I)で表されるシアネート樹脂のプレポリマーであることがより好ましく、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンの少なくとも一部がトリアジン化されて3量体となったプレポリマー(下記式(V)参照)であることがさらに好ましい。
【0077】
【化8】
【0078】
シアネート樹脂(B)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、200~4,500であってもよく、300~3,000であってもよく、500~2,000であってもよく、500~1,500であってもよい。重量平均分子量が200以上であれば、シアネート樹脂(B)の結晶化が抑制され、有機溶媒に対する溶解性が良好になる傾向にある。また、重量平均分子量が4,500以下であれば、粘度の増大が抑制され、作業性に優れる傾向にある。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものであり、詳細には、実施例に記載の方法に従って測定したものである。
【0079】
層間絶縁用樹脂フィルム中のシアネート樹脂(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して、2~50質量部であってもよく、4~40質量部であってもよく、5~30質量部であってもよく、5~20質量部であってもよく、5~13質量部であってもよい。シアネート樹脂(B)の含有量が、層間絶縁用樹脂フィルムに含まれる固形分100質量部に対して、2質量部以上であれば、良好な誘電特性、耐熱性、及び低熱膨張性が得られる傾向にあり、50質量部以下であれば、加速環境試験後の回路基板との接着性に優れる傾向にある。
【0080】
<ジシアンジアミド(C)>
ジシアンジアミド(C)は、HN-C(=NH)-NH-CNで表され、融点は通常、205~215℃、より純度の高いものでは207~212℃である。
ジシアンジアミド(C)は、結晶性物質であり、斜方状晶であってもよいし、板状晶であってもよい。ジシアンジアミド(C)は、純度98%以上のものが好ましく、純度99%以上のものがより好ましく、純度99.4%以上のものがさらに好ましい。
ジシアンジアミド(C)としては、市販品を使用することができ、例えば、日本カーバイド工業株式会社、東京化成工業株式会社、キシダ化学株式会社、ナカライテスク株式会社等の市販品を使用することができる。
【0081】
層間絶縁用樹脂フィルム中のジシアンジアミド(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、加速環境試験後に回路基板との接着性が低下することを防止する観点からは、エポキシ樹脂(A)及びシアネート樹脂(B)の固形分換算合計100質量部に対して、0.005質量部以上であってもよく、0.01質量部以上であってもよく、0.03質量部以上であってもよく、0.25質量部以上であってもよく、0.5質量部以上であってもよい。また、ジシアンジアミド(C)の含有量の上限値は、ジシアンジアミド(C)の凝集物がフィルム塗工時に析出すること、及び誘電特性が悪化することを防止する観点からは、エポキシ樹脂(A)及びシアネート樹脂(B)の固形分換算合計100質量部に対して、5.0質量部以下であってもよく、3.0質量部以下であってもよく、1.5質量部以下であってもよい。
【0082】
また、層間絶縁用樹脂フィルム中のジシアンジアミド(C)の含有量は、エポキシ樹脂(A)に対するジシアンジアミド(C)の当量[(ジシアンジアミド(C)の配合量/ジシアンジアミド(C)の活性水素当量)/(エポキシ樹脂(A)の配合量/エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量)]が、0.005~0.5であってもよく、0.04~0.3であってもよく、0.04~0.13であってもよく、0.08~0.13であってもよい。前記当量が0.005以上であると、加速環境試験後の回路基板との接着性に優れる傾向にあり、0.5以下であると、誘電特性に優れる傾向にある。
【0083】
<無機充填材(D)>
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、さらに、無機充填材(D)を含んでもよい。これにより、層間絶縁層の低熱膨張化が図られる。
無機充填材(D)を添加する場合の添加量は、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムに求める特性及び機能によっても異なるが、例えば、層間絶縁用樹脂フィルム中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して、50~500質量部であってもよく、100~400質量部であってもよく、150~300質量部であってもよい。
なお、ここでいう「樹脂成分」とはエポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)、及び後述するその他の成分として添加してもよい他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を意味する。
【0084】
無機充填材(D)としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカとしてもよい。これらの無機充填材は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、無機充填材(D)の平均粒径は、5μm以下であってもよい。平均粒径が5μm以下であれば、層間絶縁層上に回路パターンを形成する際にファインパターンの形成を安定的に行うことができる傾向にある。平均粒径とは、粒子の全体積を100%として、粒子径による累積度数分布曲線を求めたときの体積50%に相当する点の粒径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
【0085】
また、無機充填材(D)は、耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理してあるものでもよい。
前記表面処理剤は、特に限定されるものではないが、配線間の埋め込み性、並びにラミネート及び熱硬化後の平坦性の観点から、アミノシランカップリング剤、シリコンオリゴマーカップリング剤であってもよい。すなわち、無機充填材(D)としては、アミノシランカップリング剤を用いて表面処理した無機充填材、シリコンオリゴマーカップリング剤を用いて表面処理した無機充填材であってもよい。また、無機充填材(D)としては、アミノシランカップリング剤を用いて表面処理した無機充填材と、シリコンオリゴマーカップリング剤を用いて表面処理した無機充填材とを併用してもよく、その配合比率は、無機充填材(D)100質量部に対して、アミノシランカップリング剤を用いて表面処理した無機充填材の含有量が、60~90質量部となる比率であってもよく、70~80質量部となる比率であってもよい。
【0086】
<その他の成分>
さらに本発明の層間絶縁用樹脂フィルムには上記各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、並びに難燃剤、酸化防止剤、流動調整剤、及び硬化促進剤等の添加剤などを用いることができる。
【0087】
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、そのいずれか一方の面に支持体が設けられたものであってもよい。
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。また、離型紙、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを使用してもよい。支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型処理が施してあってもよい。支持体の厚さも特に限定されるものではなく、10~150μmであってもよく、25~50μmであってもよい。
【0088】
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの用途は、特に限定されないが、接着フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、回路基板、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、層間絶縁層が必要とされる用途に使用してもよい。なかでも、多層プリント配線板の製造において層間絶縁層を形成するために好適に使用することができる。
次に、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの製造方法について説明する。
【0089】
<層間絶縁用樹脂フィルムの製造方法>
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
層間絶縁用樹脂フィルムを製造する際には、まず、エポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)及び必要に応じて使用されるその他の成分を有機溶媒に溶解又は分散した樹脂ワニス(以下、「層間絶縁用樹脂フィルム用ワニス」ともいう)の状態にしてもよい。
層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスは、エポキシ樹脂(A)、シアネート樹脂(B)、ジシアンジアミド(C)及びその他の成分を、有機溶媒と配合し、公知の撹拌機等を用いて混合する方法により、製造することができる。
【0090】
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒などを挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機溶媒の配合量は、層間絶縁用樹脂フィルム用ワニス100質量部に対して、10~50質量部であってもよく、10~35質量部であってもよい。
【0091】
このようにして製造した層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスを、支持体に塗工した後、加熱乾燥させることにより、層間絶縁用樹脂フィルムを得ることができる。
支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば、前述の本発明の層間絶縁用樹脂フィルムに設けられる支持体と同様のものが挙げられる。
支持体に層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスを塗工する方法としては、例えば、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の当業者に公知の塗工装置を用いることができる。これらの塗工装置は、膜厚によって、適宜選択すればよい。
乾燥温度、及び乾燥時間は、有機溶媒の使用量、及び使用する有機溶媒の沸点等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、30~60質量%の有機溶媒を含む層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスの場合、50~150℃で3~10分程度乾燥させることにより、層間絶縁用樹脂フィルムを好適に形成することができる。
本発明の層間絶縁用樹脂フィルム中の揮発成分(主に有機溶媒)の含有量は、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよい。
【0092】
本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの厚さは、求める性能に応じて適宜決定すればよいが、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムを積層する回路基板の導体層の厚さ以上としてもよい。具体的には、回路基板が有する導体層の厚さが、通常5~70μmの範囲であるので、層間絶縁用樹脂フィルムの厚さは、10~100μmであってもよい。
【0093】
支持体上に形成された層間絶縁用樹脂フィルムの、支持体とは反対側の面には、保護フィルムを積層してもよい。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1~40μmである。保護フィルムを積層することにより、層間絶縁用樹脂フィルムの表面へのゴミ等の付着及びキズ付きを防止することができる。層間絶縁用樹脂フィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
【0094】
[接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム]
本発明の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムは、上記本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの一方の面に接着補助層が設けられたものである。
【0095】
接着補助層は、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムが形成する層間絶縁層と、めっきにより形成される導体層との間に位置し、導体層との接着性を向上させることを目的として設けられるものである。接着補助層を設けることにより、平滑な表面が得られ、且つ、めっきにより形成される導体層と良好な接着強度が得られるため、微細配線を形成する観点からは好適である。
接着補助層としては、めっきにより形成される導体層と良好な接着性を付与できるものであればよく、その一例としては、エポキシ樹脂(a)、シアネート樹脂(b)、及び無機充填材(c)を含有するものが挙げられる。
【0096】
<エポキシ樹脂(a)>
エポキシ樹脂(a)は、特に限定されるものではなく、前記エポキシ樹脂(A)と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、導体層との接着性の観点から、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂であってもよく、得られる層間絶縁層の熱膨張率を低くする観点からは、ナフタレンクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。
接着補助層中のエポキシ樹脂(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、接着補助層に含まれる固形分100質量部に対して、40~90質量部であってもよく、45~70質量部であってもよく、50~60質量部であってもよい。エポキシ樹脂(a)の含有量が、40質量部以上であれば、得られるプリント配線板の耐湿性、及び導体層と層間絶縁層との接着性に優れる傾向にある。
なお、本明細書において、接着補助層に含まれる固形分とは、接着補助層を構成する成分から揮発性の成分を除外した残分を意味する。
【0097】
<シアネート樹脂(b)>
シアネート樹脂(b)は、特に限定されるものではなく、前記シアネート樹脂(B)と同様のものが挙げられ、重量平均分子量も同様である。
接着補助層中のシアネート樹脂(b)の含有量は、特に限定されるものではないが、接着補助層に含まれる固形分100質量部に対して、20~60質量部であってもよく、30~50質量部であってもよく、35~45質量部であってもよい。シアネート樹脂(b)の含有量が、接着補助層に含まれる固形分100質量部に対して、20質量部以上であれば、良好な誘電特性、耐熱性、及び低熱膨張性が得られる傾向にあり、60質量部以下であれば、加速環境試験後の導体層との接着性に優れる傾向にある。
【0098】
<無機充填材(c)>
接着補助層に無機充填材(c)を配合することにより、レーザー加工の際に、樹脂の飛散を防止し、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムにより形成される層間絶縁層のレーザー加工形状を整えることができる。また、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムにより形成される層間絶縁層の表面を粗化する際に、適度な粗化面を形成し、めっきにより形成される導体層との良好な接着強度を発現することができる。
【0099】
無機充填材(c)としては、前記無機充填材(D)として挙げられた無機充填材と同様のものが挙げられ、これらの中でも、シリカとしてもよい。また、シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
無機充填材(c)の比表面積は、接着補助層により形成される層間絶縁層上に微細配線を形成する観点から、20m/g以上であってもよく、50m/g以上であってもよい。無機充填材(c)の比表面積の上限に特に制限はないが、入手容易性の観点からは、500m/g以下であってもよく、200m/g以下であってもよい。
比表面積は、不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法で求めることができる。具体的には、粉体粒子表面に、吸着占有面積が既知の分子を液体窒素温度で吸着させ、その吸着量から粉体粒子の比表面積を求めることができる。
比表面積が20m/g以上の無機充填材(c)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ヒュームドシリカであるAEROSIL R972(日本アエロジル株式会社製、商品名、比表面積110m/g)、及びAEROSIL R202(日本アエロジル株式会社製、商品名、比表面積100m/g)、コロイダルシリカであるPL-1(扶桑化学工業株式会社製、商品名、比表面積181m/g)、PL-7(扶桑化学工業株式会社製、商品名、比表面積36m/g)等が挙げられる。また、耐湿性を向上させる観点からは、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理された無機充填材であってもよい。
【0100】
接着補助層中の無機充填材(c)の含有量は、接着補助層中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して、3~30質量部であってもよく、3~25質量部であってもよく、5~20質量部であってもよい。無機充填材(c)の含有量が、接着補助層中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して、3質量部以上であれば、良好なレーザー加工性が得られる傾向にあり、30質量部以下であれば、層間絶縁層を粗化した後、めっきによって導体層を形成する際に、接着補助層と導体層との十分な接着力が得られる傾向にある。
【0101】
<その他の成分>
接着補助層には、上記各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、並びに難燃剤、酸化防止剤、流動調整剤、硬化促進剤等の添加剤などを用いることができる。
【0102】
接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムは、さらに、前記接着補助層の層間絶縁用樹脂フィルムが設けられた面とは反対側の面に、支持体が設けられたものであってもよい。
支持体としては、前記本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの製造方法で用いられる支持体と同様のものが挙げられる。
【0103】
<接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムの製造方法>
本発明の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムは、例えば、前記支持体の上に接着補助層を形成し、その上に層間絶縁用樹脂フィルムを形成する方法により製造することができる。
接着補助層を形成する際には、エポキシ樹脂(a)、シアネート樹脂(b)、無機充填材(c)、及びその他の成分が有機溶媒に溶解又は分散した樹脂ワニス(以下、「接着補助層用ワニス」ともいう)の状態にしてもよい。
接着補助層用ワニスの製造方法、接着補助層用ワニスの製造に用いる有機溶媒は、前記層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスと同様である。
有機溶媒の配合量は、接着補助層用ワニス100質量部に対して、60~95質量部であってもよく、70~90質量部であってもよい。
【0104】
このようにして製造した接着補助層用ワニスを、支持体に塗工した後、加熱乾燥させ、さらにその上に前記層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスを塗工した後、加熱乾燥させることにより、接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを形成することができる。
接着補助層用ワニス、又は層間絶縁用樹脂フィルム用ワニスの塗工方法、及びこれらを塗工した後の乾燥条件は、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムの製造方法における塗工方法、及び乾燥条件と同様である。
【0105】
本発明の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムにおいて形成される層間絶縁用樹脂フィルムの厚さは、求める性能に応じて適宜決定すればよいが、層間絶縁用樹脂フィルムを積層する回路基板の導体層の厚さ以上としてもよい。具体的には、回路基板が有する導体層の厚さが通常5~70μmの範囲であるので、層間絶縁用樹脂フィルムの厚さは、10~100μmであってもよい。また、接着補助層の厚さも、特に限定されるものでなく、例えば、1~15μmであってもよい。
【0106】
接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムの接着補助層が設けられていない面には、保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1~40μmである。保護フィルムを積層することにより、層間絶縁用樹脂フィルムの表面へのゴミ等の付着及びキズ付きを防止することができる。層間絶縁用樹脂フィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
【0107】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の層間絶縁用樹脂フィルム、又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いてなるものである。
以下では、本発明の層間絶縁用樹脂フィルム、又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを回路基板にラミネートし、プリント配線板を製造する方法について説明する。
【0108】
プリント配線板は、次の工程(1)~(5)の工程を含む製造方法により製造することができ、工程(1)、工程(2)又は工程(3)の後で、支持体を剥離又は除去してもよい。
工程(1):本発明の層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程。
工程(2):ラミネートされた層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを熱硬化し、層間絶縁層を形成する工程。
工程(3):層間絶縁層を形成した回路基板に穴あけする工程。
工程(4):層間絶縁層の表面を粗化処理する工程。
工程(5):粗化された層間絶縁層の表面にめっきによって導体層を形成する工程。
【0109】
<工程(1)>
工程(1)は、本発明の層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程である。層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムをラミネートする装置としては、真空ラミネーターが好適である。真空ラミネーターとしては市販品を用いることができ、市販品の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン株式会社製のバキュームアップリケーター、株式会社名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、日立インダストリーズ株式会社製のロール式ドライコーター、日立エーアイシー株式会社製の真空ラミネーター等が挙げられる。
【0110】
ラミネートにおいて、層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムが保護フィルムを有している場合には、保護フィルムを除去した後、層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。
接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いる場合は、層間絶縁用樹脂フィルムの接着補助層が設けられていない面が、回路基板の回路が形成されている面に対向するように配置する。
ラミネートの条件は、特に限定されるものではなく、層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルム及び回路基板を必要に応じてプレヒートし、圧着温度(ラミネート温度)を60~140℃、圧着圧力を0.1~1.1MPa(9.8×10~107.9×10N/m)、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートしてもよい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。
【0111】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)でラミネートされた層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを熱硬化し、層間絶縁層を形成する工程である。本工程では、まず、工程(1)で層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムをラミネートした回路基板を室温付近に冷却する。
次いで、支持体を剥離する場合は、剥離した後、回路基板にラミネートされた層間絶縁用樹脂フィルム又は接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを加熱硬化させ、層間絶縁層を形成する。加熱硬化の条件は、特に限定されるものではなく、例えば、170~220℃で20~150分の範囲で選択してもよい。離型処理の施された支持体を使用した場合には、熱硬化させた後に、支持体を剥離してもよい。
接着補助層付き層間絶縁樹脂フィルムを用いてプリント配線板を製造する場合は、接着補助層及び層間絶縁樹脂フィルムの硬化物が層間絶縁層に相当する。
【0112】
<工程(3)>
工程(3)は、層間絶縁層を形成した回路基板に穴あけする工程である。本工程では、工程(2)で形成した層間絶縁層及び回路基板にドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらの組み合わせ等の方法により、穴あけを行い、ビアホール、スルーホール等を形成する。レーザーとしては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー等が一般的に用いられる。
【0113】
<工程(4)>
工程(4)は、層間絶縁層の表面を粗化処理する工程である。本工程では、工程(2)で形成した層間絶縁層の表面を酸化剤により粗化処理を行うと同時に、ビアホール、スルーホール等が形成されている場合には、これらを形成する際に発生する「スミア」の除去を行うこともできる。
酸化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらの中でも、ビルドアップ工法によるプリント配線板の製造における層間絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤であるアルカリ性過マンガン酸溶液(例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム溶液)を用いて粗化、及びスミアの除去を行ってもよい。
【0114】
<工程(5)>
工程(5)は、粗化された層間絶縁層の表面にめっきによって導体層を形成する工程である。本工程では、層間絶縁層の表面に無電解めっきにて給電層を形成し、次いで導体層とは逆パターンのめっきレジストを形成し、電解めっきにより導体層(回路)を形成する、セミアディティブ法を用いることができる。なお、導体層形成後、例えば、150~200℃で20~90分間アニール処理を施すことにより、層間絶縁層と導体層との接着強度をさらに向上及び安定化させることができる。
【0115】
さらに、このようにして作製された導体層の表面を粗化する工程を有していてもよい。導体層の表面の粗化は、導体層に接する樹脂との接着性を高める効果を有する。導体層を粗化するには、有機酸系マイクロエッチング剤である、メックエッチボンドCZ-8100、メックエッチボンドCZ-8101、メックエッチボンドCZ-5480(以上、メック株式会社製、商品名)等を用いてもよい。
【実施例
【0116】
[a]次に、第1の発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、第1の発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0117】
実施例1
エポキシ樹脂として、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂である「NC-3000-H」(日本化薬株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)を25.8質量部、
ノボラック型フェノール樹脂として、「PAPS-PN2」(旭有機材工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%、Mw/Mn=1.17)を6.3質量部、
エポキシ樹脂硬化剤として、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂である「LA-1356-60M」(DIC株式会社製、商品名、溶剤:MEK、固形分濃度60質量%)を4.9質量部、
無機充填材として、「SO-C2」(株式会社アドマテックス製、商品名、平均粒径;0.5μm)の表面をアミノシランカップリング剤で処理し、さらに、MEK中に分散させたシリカ(固形分濃度70質量%)を92.9質量部、
硬化促進剤として、2-エチル-4-メチルイミダゾールである「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)を0.026質量部、
追加溶剤としてMEKを13.1質量部配合し、混合及びビーズミル分散処理を施して接着フィルム用樹脂組成物ワニス1を作製した。
上記で得られた接着フィルム用樹脂組成物ワニス1を、支持体フィルムであるPET(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:G2、フィルム厚:50μm)上に塗工した後、乾燥して、樹脂組成物層を形成した。なお、塗工厚さは40μmとして、乾燥は、樹脂組成物層中の残留溶剤が8.0質量%になるように行った。乾燥後、樹脂組成物層面側に保護フィルムとして、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名:NF-13、厚さ:25μm)を積層した。その後、得られたフィルムをロール状に巻き取り、接着フィルム1を得た。
【0118】
実施例2~6、8、比較例1~4
実施例1において、原料組成、製造条件を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、接着フィルム2~6、8~12を得た。
【0119】
実施例7
支持体フィルムであるPET(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:G2、フィルム厚:50μm)の上に、10μmの膜厚になるように、以下の手順で作製した樹脂ワニスAを塗工及び乾燥して得られた60μm厚さの支持体フィルム2を準備した。
【0120】
上記で使用した樹脂ワニスAは、以下の手順で作製した。
エポキシ樹脂として、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂である「NC-3000-H」(日本化薬株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)を63.9質量部、
エポキシ樹脂硬化剤として、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂である「LA-1356-60M」(DIC株式会社製、商品名、溶剤;MEK、固形分濃度60質量%)を18.0質量部、
コアシェルゴム粒子である「EXL-2655」(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製、商品名)を15.2質量部、
無機充填材として、ヒュームドシリカである「アエロジルR972」(日本アエロジル株式会社製、商品名、平均粒径;0.02μm、固形分濃度100質量%)を8.8質量部、
硬化促進剤として、2-エチル-4-メチルイミダゾールである「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)を1.28質量部、
追加溶剤として、シクロヘキサノンを226.1質量部配合し、混合及びビーズミル分散処理を施して樹脂ワニスAを作製した。
上記で得られた樹脂ワニスAを、支持体フィルムであるPET(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:G2、フィルム厚:50μm)上に、10μmの膜厚になるように塗工した後、乾燥して、フィルム厚が60μmの支持体フィルム2を得た。
【0121】
次に、上記で得た支持体フィルム2上に塗工する接着フィルム用樹脂組成物ワニスを、表1に記載の原料組成、製造条件で、実施例1と同様にして作製した。
支持体フィルム2と、接着フィルム用樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして接着フィルム7を得た。
【0122】
[評価方法]
得られた接着フィルム1~12は以下の方法により評価した。
【0123】
(接着フィルムの取扱い性試験用試料の作製及び試験方法)
得られた接着フィルム1~12を500mm×500mmのサイズに切断し、接着フィルムの取扱い性試験用試料1~12を作製した。
作製した接着フィルムの取扱い性試験用試料1~12を用いて、次の(1)~(3)の方法により取扱い性を評価し、いずれかの試験において不良とされたものを「取扱い性不良」、いずれの試験でも不良でなかったものを「取扱い性良好」とした。
(1)接着フィルムの取扱い性試験用試料1~12について、まず、保護フィルムを剥離した。保護フィルムを剥離する際に、塗工及び乾燥した樹脂が一部、保護フィルム側に付着したもの、又は粉落ちが発生したものを、取扱い性不良とした。
(2)フィルムの中央端2点(500mm×250mmになるように、端部の2点)を持ち、塗工及び乾燥した樹脂に割れが発生したものを、取扱い性不良とした。
(3)表面の銅箔に黒化及び還元処理を施した銅張積層板である「MCL-E-679FG(R)」(日立化成株式会社製、銅箔厚12μm、板厚0.41mm)に、バッチ式の真空加圧式ラミネーター「MVL-500」(株式会社名機製作所製、商品名)を用いてラミネートによって積層した。この際の真空度は30mmHg以下であり、温度は90℃、圧力は0.5MPaの設定とした。室温に冷却後、支持体フィルムを剥がした(接着フィルム7については、支持体フィルム2のうち、PETとその上に形成した樹脂層の間で剥がれた)。この際に、粉落ちが発生したり、PETが途中で破れた材料を取り扱い性不良とした。
【0124】
(熱膨張係数測定用試料の作製及び試験方法)
得られた接着フィルム1~12をそれぞれ200mm×200mmのサイズに切断し、保護フィルムを剥がし、18μm厚さの銅箔に、バッチ式の真空加圧式ラミネーター「MVL-500」(株式会社名機製作所製、商品名)を用いてラミネートによって積層した。この際の真空度は30mmHg以下であり、温度は90℃、圧力は0.5MPaの設定とした。
室温に冷却後、支持体フィルムを剥がし(接着フィルム7については、支持体フィルム2のうち、PETとその上に形成した樹脂層の間で剥がれた)、180℃の乾燥機中で120分間硬化した。その後、塩化第二鉄液で銅箔を除去し、幅3mm、長さ8mmに切り出したものを、熱膨張係数測定用試料1~12とした。
【0125】
作製した熱膨張係数測定用試料1~12を用いて、次の方法により熱膨張係数を測定した。
得られた熱膨張係数測定用試料1~12をセイコーインスツル株式会社製の熱機械分析装置を用い、昇温速度10℃/分で240℃まで昇温させ、-10℃まで冷却後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温させた際の膨張量の変化曲線を得て、該膨張量の変化曲線の0~150℃の平均熱膨張係数を求めた。
【0126】
(埋め込み性評価基板の作製及び試験方法)
埋め込み性評価基板に使用した内層回路は次のとおりである。銅箔厚が12μm、板厚が0.15mm(銅箔厚を含む)の銅張積層板である「MCL-E-679FG(R)」(日立化成株式会社製、商品名)に直径が0.15mmのスルーホールを5mm間隔で25個×25個の群になるようにドリル穴あけ法によって作製した。次いで、デスミア及び無電解めっきを施し、電解めっきを用いてスルーホール中に電解めっきを施した。
その結果、銅厚を含む板厚が0.2mm、直径が0.1mm、5mm間隔で25個×25個のスルーホールを有する回路基板を得た。
次に、保護フィルムを剥がした接着フィルム1~12を、樹脂組成物層が回路基板の回路面側と対向するように配置した後、バッチ式の真空ラミネーター「MVL-500」(株式会社名機製作所製、商品名)を用いてラミネートによって積層した。この際の真空度は30mmHgであり、温度は90℃、圧力は0.5MPaの設定とした。
室温に冷却後、両面に接着フィルムが付いたスルーホールを有する回路基板を1mmの厚さのアルミ板2枚で挟み、前記真空ラミネーターを用いてラミネートを行った。この際の真空度は30mmHgであり、温度は90℃、圧力は0.7MPaの設定とした。
室温に冷却後、支持体フィルムを剥がし(接着フィルム7については、支持体フィルム2のうち、PETとその上に形成した樹脂層の間で剥がれた)、180℃の乾燥機中で120分間硬化した。こうして、埋め込み性評価基板1~12を得た。
【0127】
作製した埋め込み性評価基板1~12を用いて、次の方法により埋め込み性を評価した。
株式会社ミツトヨ製の接触式の表面粗さ計「SV2100」(商品名)を用い、埋め込み性評価基板1~12のスルーホール部分表面の段差を測定した。段差は、スルーホールの表面の中心部分が10個入るように測定し、10個の凹みの平均値を計算した。
【0128】
【表1】
【0129】
表1の成分について以下に示す。
[エポキシ樹脂]
・NC-3000-H:ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)
・N-673-80M:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名、溶剤;MEK、固形分濃度80質量%)
[ノボラック型フェノール樹脂]
・PAPS-PN2:ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%、Mw/Mn=1.17)
・PAPS-PN3:ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%、Mw/Mn=1.50)
・HP-850:リン酸ではなく塩酸を使用して製造したノボラック型フェノール樹脂(日立化成株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)
[トリアジン変性フェノールノボラック樹脂]
・LA-1356-60M:トリアジン変性フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名、溶剤;MEK、固形分濃度60質量%)
[無機充填材]
・SO-C2:株式会社アドマテックス製のシリカ「SO-C2」(商品名、平均粒径;0.5μm)の表面をアミノシランカップリング剤で処理し、さらに、MEK溶剤中に分散させたシリカ(固形分濃度70質量%)
・SO-C6:株式会社アドマテックス製のシリカ「SO-C6」(商品名、平均粒径;2.2μm)の表面をアミノシランカップリング剤で処理し、さらに、MEK溶剤中に分散させたシリカ(固形分濃度70質量%)
・アエロジルR972:ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%、比表面積:100m/g)
[硬化促進剤]
・2E4MZ:2-エチル-4-メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名、固形分濃度100質量%)
【0130】
表1から、本発明の接着フィルムは、取扱い性が良好であり、本発明の接着フィルムから、熱膨張係数が低く、埋め込み性に優れた層間絶縁層が得られることが分かる。
一方、本発明の接着フィルムを用いなかった場合、取扱い性、熱膨張係数、埋め込み性のいずれかが劣っていた。
すなわち、第1の発明によれば、熱膨張係数が低く、埋め込み性に優れ、取扱い性に優れる接着フィルムを提供でき、硬化後の熱膨張係数が低い層間絶縁層を提供できることが分かる。
【0131】
[b]次に、第2の発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0132】
シアネートプレポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算して求めた。検量線は、標準ポリスチレン:TSKgel(SuperHZ2000、SuperHZ3000[東ソー株式会社製])を用いて3次式で近似した。GPCの条件を、以下に示す。
・装置:ポンプ:880-PU[日本分光株式会社製]
RI検出器:830-RI[日本分光株式会社製]
恒温槽:860-CO[日本分光株式会社製]
オートサンプラー:AS-8020[東ソー株式会社製]
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:30mg/5mL
・注入量:20μL
・流量:1.00mL/分
・測定温度:40℃
【0133】
[ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(シアネートプレポリマー)の合成]
製造例1
容積1Lのセパラブルフラスコに、トルエン269.6g、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(ロンザジャパン株式会社製、商品名:Primaset BADCY)620.4g、p-(α-クミル)フェノール(東京化成工業株式会社製)9.5gを投入した。2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンとp-(α-クミル)フェノールとがトルエンに溶解したことを目視にて確認した後、液温を100℃に保ち、反応促進剤としてあらかじめトルエンに対して10質量%に希釈したナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)0.46gを配合し、100℃で3時間反応させて、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー溶液(重量平均分子量:1,000、固形分濃度約70質量%)を得た。
【0134】
[層間絶縁用樹脂フィルムの作製]
実施例1
無機充填材(D)としてアミノシランカップリング剤処理を施したシリカフィラー(株式会社アドマテックス製、商品名:SC-2050-KNK、固形分濃度70質量%のメチルイソブチルケトン分散液)51.2質量部(固形分)と、シリコンオリゴマーカップリング剤(日立化成株式会社製、商品名:SC6000)処理を施したシリカフィラー(株式会社アドマテックス製、商品名:SC-2050-KC、固形分濃度70質量%のメチルイソブチルケトン分散液)17.1質量部(固形分)とを混合した。
そこにフェノキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:YL7213B、固形分濃度35質量%のメチルエチルケトン溶液)1.6質量部(固形分)、ジシアンジアミド(関東化学株式会社製、固形分濃度0.8質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.015質量部(固形分)、製造例1で得られたビスフェノールAジシアネートのプレポリマー溶液8.4質量部(固形分)、p-(α-クミル)フェノール(パラクミルフェノール)(東京化成工業株式会社製、分子量212)1.0質量部、ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC-7000L、エポキシ当量231)8.4質量部、アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC-3000H、エポキシ当量289)10.5質量部をこの順で混合し、高速回転ミキサーにより室温で溶解させた。
溶解後、難燃剤として1,3-フェニレンビス(ジ2,6-キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX-200)を1.7質量部、酸化防止剤として4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)(三菱化学株式会社製、商品名:ヨシノックスBB)を0.08質量部、流動調整剤として「BYK310」(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名、固形分濃度25質量%のキシレン溶液)0.08質量部(固形分)、有機系硬化促進剤として1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2PZ-CN)を0.02質量部、金属系硬化促進剤として、ナフテン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)を0.002質量部配合し、これらが溶解するまで室温で撹拌した。その後、ナノマイザー処理によって分散し、層間絶縁用樹脂フィルムを作製するためのワニス1を得た。
次に、このワニス1を、支持体であるPETフィルム(厚さ38μm)上に、乾燥後の層間絶縁用樹脂フィルムの厚さが37μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布した後、105℃で2分間乾燥した。なお、乾燥後の層間絶縁用樹脂フィルム中の揮発成分の量は6質量%であった。次いで、層間絶縁用樹脂フィルムの表面に保護フィルムとして厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムを得た。
【0135】
実施例2~5、比較例1
実施例1において、ジシアンジアミド(関東化学株式会社製、固形分濃度0.8質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)の配合量を表2に示す配合量に変更した以外は実施例1と同様にして、層間絶縁用樹脂フィルムを作製するためのワニス2~6を得た。次に、このワニス2~6を使用して、実施例1と同様にして、支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムを得た。
【0136】
[接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムの作製]
実施例6
製造例1で得られたビスフェノールAジシアネートのプレポリマー溶液32.2質量部(固形分)、ナフタレンクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC-7000L、エポキシ当量231)42.8質量部、無機充填材としてシリカフィラー(日本アエロジル株式会社製、商品名:アエロジルR972、比表面積110m/g)8.8質量部、有機溶媒として、ジメチルアセトアミドを得られるワニスの全質量100質量部に対して86.5質量部配合し、樹脂成分が溶解するまで室温で撹拌した。その後、ナノマイザー処理によって分散し、接着補助層を作製するためのワニス7を得た。
次に、このワニス7を支持体であるPETフィルム(厚さ38μm)上に、乾燥後の接着補助層の厚さが3μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布し、140℃で3分間乾燥してPETフィルム上に接着補助層を形成した。次いで、上記で得られた接着補助層の上に実施例1で作製したワニス1を、乾燥後の層間絶縁用樹脂フィルムの厚さが40μmとなるようにコンマコーターを用いて塗布し、140℃で2分間乾燥した。次いで、層間絶縁用樹脂フィルムの支持体とは反対側の面に、保護フィルムとして厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取り、支持体及び保護フィルムを有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを得た。
【0137】
実施例7~10、比較例2
実施例6において、接着補助層の上に塗布するワニス1を、表2に示すワニスに変更した以外は、実施例6と同様にして、支持体及び保護フィルムを有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを得た。
【0138】
[樹脂板の作製]
ガラス転移温度、熱膨張係数、及び誘電正接の測定に用いた樹脂板は、以下の手順により作製した。
(I)実施例1~5、及び比較例1で得られた支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムから保護フィルムを剥離した後、110℃で10分間乾燥した。
次に、乾燥後の支持体を有する層間絶縁用樹脂フィルムを、真空加圧式ラミネーター(株式会社名機製作所製、商品名:MVLP-500/600-II)を用いて、銅箔(電界銅箔、厚さ12μm)の光沢面上に、層間絶縁用樹脂フィルムと銅箔とが当接するようにラミネートして、銅箔、層間絶縁用樹脂フィルム、支持体がこの順に積層された積層体(1)を得た。前記ラミネートは、30秒間減圧した後、140℃、30秒間、圧着圧力0.5MPaでプレスする方法により行った。その後、積層体(1)から支持体を剥離した。
(II)次に、上記(I)で使用した支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムと同一の支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムを準備し、保護フィルムを剥離した後、上記(I)と同様の乾燥を行った。
(III)次に、上記(I)で得られた支持体を剥離した積層体(1)と、上記(II)で得られた乾燥後の支持体を有する層間絶縁用樹脂フィルムとを、層間絶縁用樹脂フィルム同士が当接するように、前記(I)と同様の条件でラミネートして、銅箔、層間絶縁用樹脂フィルム2層からなる層、支持体がこの順に積層された積層体(2)を得た。その後、積層体(2)から支持体を剥離した。
(IV)次に、上記(III)で得られた支持体を剥離した積層体(2)と、上記(II)と同様の方法により得られた乾燥後の支持体を有する層間絶縁用樹脂フィルムとを、層間絶縁用樹脂フィルム同士が当接するように、前記(I)と同様の条件でラミネートして、銅箔、層間絶縁用樹脂フィルム3層からなる層、支持体がこの順に積層された積層体(3)を得た。
(V)前記(I)~(III)と同様の方法により、積層体(2)を作製した。
(VI)上記(V)で得られた積層体(2)と、上記(I)~(IV)で得られた積層体(3)の支持体をそれぞれ剥離し、積層体(2)と積層体(3)の層間絶縁用樹脂フィルム同士を貼り合わせ、圧着圧力1.0MPaで175℃、60分間、真空プレスを用いてプレス成型を行った。得られた両面銅箔付き樹脂板を、190℃で2時間硬化させた後、塩化第二鉄で銅箔をエッチングすることで、厚さ約0.2mmの樹脂板を得た。
【0139】
[ガラス転移温度の測定方法]
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、商品名:DVE-V4)を用いて測定した。上記で作製された樹脂板を、幅5mm、長さ30mmに切り出し、検出器に取り付けた。昇温速度5℃/min、周波数10Hz、測定温度範囲40~350℃の測定条件にて測定し、損失弾性率が最大になる温度をガラス転移温度とした。結果を表2に示す。ガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れることを示す。
【0140】
[熱膨張係数の測定方法]
熱膨張係数は、熱機械分析装置(TA Instruments社製、商品名:TMA2940)を使用して、引張加重法で測定した。上記で作製された樹脂板を、幅3mm、長さ20mmに切り出し、検出器に取り付け、荷重0.05N、昇温速度10℃/min、測定温度-30~300℃の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均熱膨張係数(ppm)を算出した。結果を表2に示す。熱膨張係数が低いほど、低熱膨張性に優れることを示す。
【0141】
[誘電正接の測定方法]
上記で作製された樹脂板を幅2mm、長さ70mmの試験片に切り出し、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製、商品名:E8364B)と5GHz対応空洞共振器を用いて、誘電正接を測定した。測定温度は25℃とした。結果を表2に示す。誘電正接が低いほど、誘電特性に優れることを示す。
【0142】
[回路基板との接着強度の測定方法]
回路基板との接着強度を評価するにあたり、以下の手順により接着強度評価用基板を作製した。
(1)積層板の下地処理
両面銅張積層板(日立化成株式会社製、商品名:E-700GR、銅箔の厚さ12μm、基板の厚さ0.4mm)の両面を過硫酸アンモニウムによりエッチングし、銅を除去した基板を得た。
(2)銅箔の下地処理
電解銅箔(日本電解株式会社製、商品名:YGP-35、35μm厚)の光沢面をメック株式会社製の「メックエッチボンドCZ-8101」(商品名)に浸漬して、エッチング量が1μmとなるまで粗化処理を行った。なお本明細書において、メック株式会社製の「メックエッチボンドCZ-8101」(商品名)に浸漬して、粗化処理することを「CZ処理」と称することがある。
(3)層間絶縁用樹脂フィルムのラミネート
実施例1~5及び比較例1で作製した支持体及び保護フィルムを有する層間絶縁用樹脂フィルムから保護フィルムを剥離した。得られた支持体を有する層間絶縁用樹脂フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター(株式会社名機製作所製)を用いて、上記(2)でCZ処理をした銅箔のCZ処理面に、層間絶縁用樹脂フィルムとCZ処理面とが当接するように、ラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧した後、100℃、30秒間、圧着圧力0.5MPaでプレスする方法により行った。
(4)層間絶縁用樹脂フィルムの硬化
上記(3)でラミネートした層間絶縁用樹脂フィルムから支持体を剥離した後、190℃で2時間、防爆乾燥機を用いて層間絶縁用樹脂フィルムを硬化させ、層間絶縁用樹脂フィルムを硬化してなる層間絶縁層と、導体層として銅層とを有する積層板を得た。
(5)プレス成型
上記(1)で得た基板と、接着させる目的でプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:E-679FG)と、上記(4)で得た積層板とを、基板、プリプレグ、層間絶縁層、銅層の順になるように積層し、圧着圧力1.5MPaで180℃、60分間、真空プレスを用いてプレス成型を行い、ピール測定部作製前の測定基板を得た。
(6)ピール測定部の作製
上記(5)で得た測定基板の銅層に、10mm幅のレジストを形成し、塩化第二鉄で銅層をエッチングすることにより、ピール測定部として10mm幅の銅層を有する、接着強度評価用基板を得た。
【0143】
上記により得られた接着強度評価用基板を用いて、層間絶縁層と銅層との接着強度の測定を以下の方法により行った。
ピール測定部の銅層の一端を、銅層と層間絶縁層との界面で剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に引っ張り速度50mm/分、室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
さらに同一サンプルを高度加速寿命装置(エスペック株式会社製)にて、130℃、85%RHの条件で100時間の加速環境試験を行った後に、同様の方法で接着強度を測定し、加速環境試験後の接着強度を測定した。加速環境試験前後の接着強度から下記式により接着強度の維持率(%)を算出し、加速環境試験前後の接着強度の比較を行った。結果を表2に示す。
接着強度の維持率(%)=(加速環境試験後の接着強度/加速環境試験前の接着強度)×100
【0144】
[表面粗さの測定方法]
表面粗さを測定するにあたり、以下の手順により表面粗さ測定用基板を作製した。
実施例6~10、及び比較例2で得られた支持体及び保護フィルムを有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを、250mm×250mmのサイズに切断した後、保護フィルムを剥離した。
得られた支持体を有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを、真空加圧式ラミネーター(株式会社名機製作所製、商品名:MVLP-500/600-II)を用いて、CZ処理が施されたプリント配線板(日立化成株式会社製、商品名:E-700GR)上に、層間絶縁用樹脂フィルムとプリント配線板とが当接するようにラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧した後、100℃、30秒間、圧着圧力0.5MPaでプレスする方法により行った。
その後、室温に冷却し、支持体を剥離除去した。次に、該接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを配したプリント配線板を130℃で20分間乾燥した後、さらに175℃で40分間、防爆乾燥機中で硬化を行い、層間絶縁層が形成されたプリント配線板を得た。該プリント配線板を30mm×40mmに切り出したものを試験片とした。
上記で得られた試験片を、80℃に加温した膨潤液(ローム・アンド・ハース電子材料社製、商品名:CIRCUPOSIT MLB CONDITIONER211)に3分間浸漬処理した。次に、80℃に加温した粗化液(ローム・アンド・ハース電子材料社製、商品名:CIRCUPOSIT MLB PROMOTER213)に8分間浸漬処理した。次いで、45℃に加温した中和液(ローム・アンド・ハース電子材料社製、商品名:CIRCUPOSIT MLB NEUTRALIZER MLB216)に5分間浸漬処理して中和した。このようにして、前記試験片の層間絶縁層の表面を粗化処理したものを、表面粗さ測定用基板として用いた。
【0145】
上記で得られた表面粗さ測定用基板の表面粗さを、比接触式表面粗さ計(ブルカーエイエックスエス株式会社製、商品名:wykoNT9100)を用い、内部レンズ1倍、外部レンズ50倍を用いて測定し、算術平均粗さ(Ra)を得た。結果を表3に示す。Raは本発明の主旨から、小さいほうが好ましく、200nm未満であると微細配線形成性に好適である。
【0146】
[めっき銅との接着強度の測定方法]
めっき銅との接着強度を測定するにあたり、以下の手順によりめっき銅との接着強度測定用基板を作製した。
まず、前記表面粗さ測定用基板を40mm×60mmに切り出し、試験片とした。
該試験片を、60℃のアルカリクリーナー(アトテックジャパン株式会社製、商品名:クリーナーセキュリガント902)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、23℃のプリディップ液(アトテックジャパン株式会社製、商品名:プリディップネオガントB)で2分間処理した。その後、40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン株式会社製、商品名:アクチベーターネオガント834)で5分間処理を施し、パラジウム触媒を付着させた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン株式会社製、商品名:リデューサーネオガントWA)で5分間処理した。
上記の処理を行った試験片を、化学銅液(アトテックジャパン株式会社製、商品名:ベーシックプリントガントMSK-DK)に入れ、層間絶縁層上のめっき厚さが0.5μm程度になるまで、無電解めっきを行った。無電解めっき後に、めっき皮膜中に残存している応力を緩和し、残留している水素ガスを除去するために、120℃で15分間ベーク処理を施した。
次に、無電解めっき処理された試験片に対して、さらに、層間絶縁層上のめっき厚さが30μmになるまで、電解めっきを行い、導体層として銅層を形成した。電解めっき後、190℃で90分間加熱、硬化させてピール測定部作製前の測定基板を得た。
得られた測定基板の銅層に10mm幅のレジストを形成し、過硫酸アンモニウムで銅層をエッチングすることにより、ピール測定部として10mm幅の銅層を有する、めっき銅との接着強度測定用基板を得た。
めっき銅との接着強度の測定方法は、前記回路基板との接着強度の測定方法と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
【0147】
[リフロー耐熱性]
リフロー耐熱性を測定するにあたり、以下の手順によりリフロー耐熱性測定用基板を作製した。
実施例6~10、及び比較例2で得られた支持体及び保護フィルムを有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムから、保護フィルムを剥離した。得られた支持体を有する接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを、CZ処理を施した導体層を有するプリント配線板(日立化成株式会社製、商品名:MCL-E-679(R)、厚さ0.4mm、銅厚12μm、内層回路パターン付き)の両面に、層間絶縁用樹脂フィルムとプリント配線板の導体層とが当接するように、ラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧した後、100℃、30秒間、圧着圧力0.5MPaでプレスする方法により行った。
その後、室温に冷却し、両面の支持体を剥離除去して、両面に層間絶縁用樹脂フィルムが配されたプリント配線板を得た。次に該両面に層間絶縁用樹脂フィルムが配されたプリント配線板を、130℃で20分間乾燥した後、さらに175℃で40分間、防爆乾燥機中で硬化を行い、両面に層間絶縁層が形成されたプリント配線板を得た。得られたプリント配線板に対して、前記めっき銅との接着強度測定用基板と同様の条件で、粗化処理、無電解めっき、電解めっきを行った。その後190℃で2時間ポストキュアを行い、リフロー耐熱性測定用基板を得た。
このリフロー耐熱性測定用基板を、265℃のリフロー炉(株式会社タムラ製作所製、送り速度0.61m/min)を通過させ、ふくれ(ブリスター)が発生するまでの通過回数を4回測定し、その平均回数をリフロー耐熱性の指標とした。結果を表3に示す。該平均回数が多いほど、リフロー耐熱性に優れることを示す。
【0148】
【表2】
【0149】
表2中に記載の化合物の詳細は以下のとおりである。
・NC-7000L:ナフタレン型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:NC-7000L、エポキシ当量231
・NC-3000H:アラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:NC-3000H、エポキシ当量289
・ジシアンジアミド:関東化学株式会社製
・SC-2050-KNK:アミノシランカップリング剤処理を施したシリカフィラー、株式会社アドマテックス製、商品名:SC-2050-KNK
・SC-2050-KC:シリコンオリゴマーカップリング剤(日立化成株式会社製、商品名:SC6000)処理を施したシリカフィラー、株式会社アドマテックス製、商品名:SC-2050-KC
・パラクミルフェノール:p-(α-クミル)フェノール、東京化成工業株式会社製、分子量212
・YL-7213B:フェノキシ樹脂、三菱化学株式会社製、商品名:YL7213B
・PX-200:1,3-フェニレンビス(ジ2,6-キシレニルホスフェート)、大八化学工業株式会社製、商品名:PX-200
・ヨシノックスBB:4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、三菱化学株式会社製、商品名:ヨシノックスBB
・BYK310:ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:BYK310
・2PZ-CN:1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業株式会社製、商品名:2PZ-CN
・ナフテン酸亜鉛:和光純薬工業株式会社製
【0150】
表2より、実施例1~5は比較例1と比べ、ガラス転移温度、熱膨張係数、誘電正接を維持している。また、実施例1~5は、回路基板との接着強度の評価において、加速環境試験後も銅箔との接着性に優れることがわかる。このことから、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムを回路基板に積層し、層間絶縁層を形成した場合においても、回路基板の導体層(銅層)と層間絶縁層が、加速環境試験後も良好な接着強度を有することがわかる。すなわち、本発明の層間絶縁用樹脂フィルムにより、回路基板との接着性に優れ、且つ低熱膨張性、耐熱性、及び誘電特性に優れる層間絶縁層が得られていることがわかる。
【0151】
【表3】
【0152】
表3より、本発明の接着補助層付き層間絶縁用樹脂フィルムを用いた実施例6~10は比較例2と比べ、表面粗さ、めっき銅との接着強度を維持しつつ、リフロー耐熱性に優れる層間絶縁層が得られていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
第1の発明の接着フィルムは、シリカフィラーを高充填化しても凹凸の埋め込み性に優れているため、多層プリント配線板用の接着フィルム等に有用である。
【0154】
第2の発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、低熱膨張性、耐熱性、及び誘電特性に優れ、特に加速環境試験後も回路基板との接着性の低下が少ない層間絶縁層を提供することができる。したがって、第2の発明の層間絶縁用樹脂フィルムは、コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ等の電気製品、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機等の乗り物などに有用である。