(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20220909BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20220909BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
(21)【出願番号】P 2018158656
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2017173486
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】加集 功士
(72)【発明者】
【氏名】屋鋪 大三郎
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-240217(JP,A)
【文献】特開2006-018400(JP,A)
【文献】特開2013-178242(JP,A)
【文献】特開2015-170424(JP,A)
【文献】特開平7-200793(JP,A)
【文献】米国特許第10551329(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
G06T 1/00-5/50,7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査装置であって
、
上記対象物に対して上記円形外形面を通過する電磁波を照射する少なくとも1個の電磁波発生源と、
上記対象物を透過した上記電磁波を受け
、少なくとも第1電磁波受信領域と第2電磁波受信領域とを含む電磁波受信領域とを備えており、
上記第1電磁波受信領域および上記第2電磁波受信領域のそれぞれは、上記円形外形面の平面視において、上記円形外形面の中心側に照射された上記電磁波が到達する位置から上記外形に照射された上記電磁波が到達する位置まで並べられた複数の第1小領域および複数の第2小領域を含み、
上記第1小領域の一部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の径方向のうち第1方向に沿って配置され、上記第1小領域の他の一部のうち少なくとも一つが、上記第1方向から上記線を軸に上記円形の周方向に角度θだけシフトした位置にある第1シフト領域であり、
上記第2小領域の一部は、上記円形外形面の平面視において、上記円形の径方向のうち上記第1方向と異なる第2方向に沿って配置され、上記第2小領域の他の一部のうち少なくとも一つが、上記第2方向から上記線を軸に上記円形の上記周方向に上記角度θだけシフトした位置にある第2シフト領域であり、
上記第1シフト領域と上記第2シフト領域とは、上記中心からの離間距離が互いに同じである検査装置
。
【請求項2】
上記
第1小領域
または上記第2小領域は、上記円形外形面の平面視において上記円形の中心から遠
いほど、上記円形の円周に沿った方向のサイズが大きい請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
上記
第1小領域
または上記第2小領域は、上記円形外形面の平面視において上記円形の中心から遠
いほど、移動の速い被写体の撮影に適している請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
上記検査装置は、
上記第1小領域のそれぞれおよび上記第2小領域のそれぞれに対応する複数の電磁波発生源を備えており、
複数の上
記電磁波発生源は、それぞれ、上記
第1小領域
のそれぞれおよび上記第2小領域のそれぞれに対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
上記検査装置は、1個の電磁波発生源を備えており、
上記1個の電磁波発生源は、上記円形の中心に対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
上記
第1電磁波受信領域および
上記第2電磁波受信領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分から上記電磁波を受け、
上記検査装置は、上記
第1電磁波受信領域および
上記第2電磁波受信領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた
、上記同一部分の画像を積算して得られた解析用画像を解析することにより、当該同一部分に付着した異物を検出する請求項1から5のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等に用いる電池として広く使用されている。とりわけ、リチウムイオン二次電池は、従前の二次電池と比較して、CO2の排出量を削減し、省エネに寄与する電池として、注目されている。
【0003】
従来、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体の開発が進んでいる。併せて、このセパレータ捲回体に付着した異物を検出する検査が検討されている。
【0004】
対象物に付着した異物を検出する検査の一例として、特許文献1に開示されている技術が挙げられる。特許文献1に開示されている技術においては、X線源から出射されたX線をキャピラリレンズによって平行X線に変換し、この平行X線を対象物である試料に対して照射し、この試料を透過した平行X線をTDI(Time Delay Integration)センサによって受ける。TDIセンサにおいては、例えば、特許文献2に開示されているような技術が利用されている。
【0005】
ところで、外形が円形の面(セパレータ捲回体の場合、側面)を有する対象物に付着した異物を検出する検査としては、下記の検査方法が考えられる。なお、以下、対象物における外形が円形の面を、円形外形面とも言う。
【0006】
すなわち、円形外形面の外形を構成する円形の中心を通り円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として、対象物を回転させる。そして、円形外形面に対して電磁波を照射する。そして、対象物を透過したこの電磁波をTDIセンサによって受ける。そして、TDIセンサがこの電磁波を受けることによって得られた画像を解析して、対象物に付着している異物を検出する。これにより、特許文献1に開示されている技術に対して、異物の検出を高効率化することが可能であるため、検査の高速化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-38350号公報(2016年3月22日公開)
【文献】特開昭61-22841号公報(1986年1月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に、TDIセンサを構成する複数の画素はマトリクス状に配置されており、かつ各画素における画像の取得は一律に実施される。以下、この一般的な場合を例に、上述した対象物100を円形外形面200b(および円形外形面200a)の外形を構成する円形の中心300を通り円形外形面200bと略垂直な方向に伸びる軸400上に電磁波発生源2000を置き、対象物100を同軸を中心に回転させて行う検査において発生する問題について、
図8の(a)~(c)を参照して説明する。円形外形面200bの平面視における中心300からの距離がWAで近似可能(以下、単に距離WAと称する)である点を含む画素列Aを構成する各画素を画素A1~画素Apとし、円形外形面200bのうち、画素A1~画素Apにおける、電磁波発生源2000からの電磁波2100の取得対象領域を領域EA1~領域EApとする。中心300からの距離が距離WAと異なるWBで近似可能である点を含む画素列Bを構成する各画素を画素B1~画素Brとし、円形外形面200bのうち、画素B1~画素Brにおける電磁波2100の取得対象領域を領域EB1~領域EBrとする。なお便宜上、画素A1~画素Apおよび画素B1~画素Brについては、任意の1つを意味する場合、それぞれ、画素Amおよび画素Bnと称する。同様に便宜上、領域EA1~領域EApおよび領域EB1~領域EBrについては、任意の1つを意味する場合、それぞれ、領域EAmおよび領域EBnと称する。また、中心300から電磁波2100を受ける画素の部分を、点300´としている。
【0009】
移動する対象物100に電磁波2100が照射されると、対象物100のある特定領域を異なる時間に通過した電磁波2100が異なる画素で受信される。TDIセンサにおいては、同一領域を異なる時間に通過した電磁波2100の情報を積算して解析用画像を得る。
【0010】
上記検査においては、軸400を軸として回転する対象物100上のある領域EAmを通過した電磁波2100を画素A1~画素Apで受信し、それらの情報を積算して解析用画像片APAmを得る。この操作を領域EA1~領域EApの全てで実施し、解析用画像片APA1~解析用画像片APApを結合して解析用画像APAを得る。
【0011】
同様に、軸400を軸として回転する対象物100上のある領域EBnを通過した電磁波2100を画素B1~画素Brで受信し、それらの情報を積算して解析用画像片APBnを得る。ここで、円形外形面200bの平面視において、領域EAmと領域EBnとの、中心300からの距離が異なるため、領域EBnを通過した電磁波2100を受信する画素B1~画素Brの個数は、領域EAmを通過した電磁波2100を受信する画素A1~画素Apの個数と異なる。この結果、画素A1~画素Apの画素の間隔に応じて画素B1~画素Brの受信情報を積算しようとすると、領域EBnとは異なる領域EBoを通過した電磁波2100の情報が積算されてしまうため、得られる解析用画像片APBnの像が不鮮明となってしまう。逆もまた然りである。
【0012】
つまり、上述した対象物を回転させて行う検査においては、検査領域全面において同時に鮮明な画像を得ることができないため、検査の精度が低くなるという問題が発生するということを、本願発明者らは見出した。
【0013】
本発明の一態様は、対象物の検査を高精度かつ高速に行うことを可能とする検査装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査装置は、外形が円形の面である円形外形面を有している対象物を、当該円形の中心を通り当該円形外形面と略垂直な方向に伸びる線を軸として回転させながら検査する検査装置であって、検査に供されている状態の上記対象物に関し、mおよびnをそれぞれ2以上の自然数とすると、上記対象物に対して上記円形外形面を通過する電磁波を照射する少なくとも1個の電磁波発生源と、上記対象物を透過した上記電磁波を受ける、それぞれm個の小領域を有しているn個の電磁波受信領域とを備えており、上記m×n個の小領域の各々は、下記(1)および(2)のいずれかを満たすように配置されている。
【0015】
(1)上記n個の電磁波受信領域毎に、上記円形外形面の平面視において上記円形の直径上に並べられている。
【0016】
(2)上記(1)に対して、上記円形の中心からの離間距離が互いに同じであるn個の上記小領域の組のうち少なくとも1組が、上記線を軸として回転された配置である。
【0017】
上記の構成によれば、円形外形面の中心から離れた位置ほど円形外形面の(ひいては対象物の)回転速度が速いことを相殺するように、n個の電磁波受信領域のm個の小領域の各々が配置されている。これにより、上述した領域EBnを通過した電磁波を受信する画素の個数と、上述した領域EAmを通過した電磁波を受信する画素の個数とが異なることを防ぐことができる。結果、検査領域全面において同時に鮮明な画像を得ることが可能となる。従って、上述した対象物を回転させて行う検査(高速)において、高精度の検査を行うことができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る検査装置は、上記n個の電磁波受信領域の少なくとも1個に関し、上記m個の小領域は、上記円形外形面の平面視において上記円形の中心から遠い小領域ほど、上記円形の円周に沿った方向のサイズが大きいことが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、円形外形面の平面視において円形の中心から遠い小領域において、電磁波を受ける量を増やすことができるため、受けた電磁波から得られた画像が暗くなる虞を低減することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る検査装置は、上記n個の電磁波受信領域の少なくとも1個に関し、上記m個の小領域は、上記円形外形面の平面視において上記円形の中心から遠い小領域ほど、移動の速い被写体の撮影に適していることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、円形外形面の平面視において円形の中心から遠い小領域において、回転速度が速いことに起因して、受けた電磁波から得られた画像がボケる虞を低減することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る検査装置は、m×n個の電磁波発生源を備えており、上記m×n個の電磁波発生源は、それぞれ、上記n個の電磁波受信領域の上記m個の小領域に対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されていることが好ましい。
【0023】
ある小領域に対する電磁波の入射方向が、円形外形面と略垂直な方向から傾いている場合、円形外形面と略垂直な方向における対象物の寸法(以下、対象物の厚みとも言う)に依存して、当該小領域と当該電磁波との間にズレが生じる虞がある。そして当該小領域と当該電磁波との間でのズレが、領域EB1~領域EBrの間でのズレの要因となり得る。上記の構成によれば、当該小領域と当該電磁波との間でのズレを抑制することができるので、領域EB1~領域EBrの間でのズレが生じる虞を低減することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る検査装置は、1個の電磁波発生源を備えており、上記1個の電磁波発生源は、上記円形の中心に対して、上記円形外形面と略垂直な方向に配置されていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、各小領域に対してムラ無く電磁波を照射することができるため、特定の小領域が受けた電磁波から得られた画像が暗くなる虞を低減することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る検査装置において、上記n個の電磁波受信領域の各々は、互いに異なるタイミングで上記円形外形面における同一部分から上記電磁波を受け、上記検査装置は、上記n個の電磁波受信領域の各々が上記電磁波を受けることによって得られた、n個の上記同一部分の画像を積算して得られた解析用画像を解析することにより、当該同一部分に付着した異物を検出することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、TDIセンサの要領で、複数の同一部分の画像を積算することにより、検査の精度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、対象物の検査を高精度かつ高速に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態1および実施の形態2に係る検査装置を示す概略図である。
【
図2】対象物を回転させている状態を示す図であり、(a)は円形外形面の平面視を示しており、(b)は対象物を横から見た状態を示している。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るn個の電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
【
図4】本発明の実施の形態2に係るn個の電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
【
図5】本発明の実施の形態1に係るn個の電磁波受信領域を用いた検査の具体例を示しており、(a)は円形外形面における各画像取得対象領域を示しており、(b)は各画像取得対象領域と各電磁波受信領域との経過時間毎の対応関係を示している。
【
図6】本発明の第1変形例に係るn個の電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
【
図7】本発明の第2変形例に係るn個の電磁波受信領域の構成を示す図であり、円形外形面の平面視を示している。
【
図8】(a)~(c)は、従来技術の問題について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態1および実施の形態2に係る検査装置10を示す概略図である。検査装置10は、対象物1を検査する、具体的には、対象物1に付着している異物を検出するものである。検査装置10は、電磁波発生源20、およびセンサ30を備えている。
【0032】
対象物1は、外形が円形の面である円形外形面2aおよび円形外形面2bを有している。
図1においては、円形外形面2aが電磁波発生源20側に位置しており、円形外形面2bがセンサ30側に位置している。対象物1の形状としては、ドーナツ状、円盤状、円筒状(
図2の(a)参照)、および円柱状等が挙げられる。対象物1の具体例として、非水電解液二次電池用セパレータがコアに対して捲回されてなるセパレータ捲回体、および非水電解液二次電池用セパレータが捲回されるコア等が挙げられる。
【0033】
図2は、対象物1を回転させている状態を示す図である。
図2の(a)は、円形外形面2bの平面視を示している。また、
図2の(b)は、対象物1を横から見た状態を示している。具体的に、
図2の(b)においては、電磁波発生源20側を左側とし、センサ30側を右側として見た状態を示している。
【0034】
なお、
図1~
図7においては、互いに垂直な3方向である、X方向、Y方向、およびZ方向を規定している。X方向は対象物1の幅方向、Y方向は対象物1の高さ方向、Z方向はX方向およびY方向の両方と垂直であり円形外形面2aおよび円形外形面2bを垂直に貫く方向を示している。
【0035】
対象物1が検査装置10による検査に供されている状態において、対象物1は、円形外形面2bの外形を構成する円形の中心3を通り円形外形面2bと略垂直な方向(Z方向と平行な方向)に伸びる線を軸4として回転される。対象物1と円形外形面2aとの間においても、同様の関係が成立する。回転の方向は、円形外形面2bの平面視において時計回りとしているが、円形外形面2bの平面視において反時計回りであっても構わない。
【0036】
電磁波発生源20は、対象物1に対して、円形外形面2aおよび円形外形面2bを通過する電磁波21を照射するものである。電磁波発生源20は、中心3に対して円形外形面2bと略垂直な方向に配置されている。電磁波21の一例としては、X線が挙げられる。電磁波21は、円形外形面2aに対して照射され、対象物1を透過し、円形外形面2bから出る。
【0037】
センサ30は、電磁波受信部31を有している。センサ30は、対象物1を透過した電磁波21を電磁波受信部31にて受けることによって、円形外形面2aおよび円形外形面2bにおける電磁波21が通過した部分の画像を取得することができるものである。電磁波受信部31の具体的な構成については後述するが、電磁波受信部31を覆う少なくとも1つのレンズが設けられていてもよい。
【0038】
以下の実施の形態1および実施の形態2では、それぞれ、電磁波受信部31の具体的な構成例としての、電磁波受信部31aおよび電磁波受信部31bについて説明を行う。
【0039】
〔実施の形態1〕
図3は、本発明の実施の形態1に係る電磁波受信部31a(n個の電磁波受信領域)の構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。電磁波受信部31aは、3個の電磁波受信領域321~電磁波受信領域323を有している。
【0040】
電磁波受信領域321は、小領域3211、小領域3212、・・・、小領域321(m-1)、および小領域321mからなる、m個の小領域を有している。そして、小領域3211、小領域3212、・・・、小領域321(m-1)、および小領域321mは、円形外形面2bの平面視において、円形外形面2bの外形を構成する円形の直径331上に、中心3側から当該円形の縁側に向けてこの順に並んで配置されている。
【0041】
電磁波受信領域322は、小領域3221、小領域3222、・・・、小領域322(m-1)、および小領域322mからなる、m個の小領域を有している。そして、小領域3221、小領域3222、・・・、小領域322(m-1)、および小領域322mは、円形外形面2bの平面視において、円形外形面2bの外形を構成する円形の直径332上に、中心3側から当該円形の縁側に向けてこの順に並んで配置されている。
【0042】
電磁波受信領域323は、小領域3231、小領域3232、・・・、小領域323(m-1)、および小領域323mからなる、m個の小領域を有している。そして、小領域3231、小領域3232、・・・、小領域323(m-1)、および小領域323mは、円形外形面2bの平面視において、円形外形面2bの外形を構成する円形の直径333上に、中心3側から当該円形の縁側に向けてこの順に並んで配置されている。
【0043】
つまり、3個の電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の各々は、円形外形面2bの平面視において、円形外形面2bの外形を構成する円形の直径(それぞれ、直径331~直径333)上に並べられたm個の小領域を有している。これらの小領域の各々は、電磁波受信部31aを、機能的に、3×m(n×m)個に分割したものの1単位に該当し、少なくとも1画素を含む。
【0044】
電磁波受信部31aによれば、中心3から離れた位置ほど円形外形面2bの(ひいては対象物1の)回転速度が速いことを相殺するように、3個の電磁波受信領域321~電磁波受信領域323のm個の小領域の各々が配置されている。これにより、上述した領域EBnを通過した電磁波21を受信する小領域(具体例:画素)の個数と、上述した領域EAmを通過した電磁波21を受信する小領域の個数とが異なることを防ぐことができる。結果、検査領域全面において同時に鮮明な画像を得ることが可能となる。従って、上述した対象物1を回転させて行う検査(高速)において、高精度の検査を行うことができる。
【0045】
また、電磁波受信領域321において、円形外形面2bの平面視において中心3から遠い小領域ほど、すなわち、小領域3211から小領域321mに向かうほど、移動の速い被写体の撮影に適している構成であることが好ましい。当該構成を実現する方法の一例として、小領域3211から小領域321mに向かうほど、対応する少なくとも1画素が適切に電磁波21を受けるためのシャッター速度を速める方法が挙げられる。これにより、円形外形面2bの平面視において中心3から遠い小領域において、回転速度が速いことに起因して、受けた電磁波21から得られた画像がボケる虞を低減することができる。電磁波受信領域322および電磁波受信領域323においても同様であり、このような構成は、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の少なくとも1つにおいて実現されていてもよい。
【0046】
〔実施の形態2〕
図4は、本発明の実施の形態2に係る電磁波受信部31b(n個の電磁波受信領域)の構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。
【0047】
電磁波受信部31bは、以下に説明する点を除けば、電磁波受信部31aと同様の構成である。なお、以下「円周方向」とは、円形外形面2b(および円形外形面2a)の外形を構成する円形の円周に沿った方向を意味する。
【0048】
電磁波受信領域321において、小領域3212の円周方向のサイズは小領域3211の円周方向のサイズより大きくなっており、・・・、小領域321mの円周方向のサイズは小領域321(m-1)の円周方向のサイズより大きくなっている。
【0049】
電磁波受信領域322において、小領域3222の円周方向のサイズは小領域3221の円周方向のサイズより大きくなっており、・・・、小領域322mの円周方向のサイズは小領域322(m-1)の円周方向のサイズより大きくなっている。
【0050】
電磁波受信領域323において、小領域3232の円周方向のサイズは小領域3231の円周方向のサイズより大きくなっており、・・・、小領域323mの円周方向のサイズは小領域323(m-1)の円周方向のサイズより大きくなっている。
【0051】
つまり、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323のそれぞれに関し、m個の小領域は、円形外形面2bの平面視において中心3から遠い小領域ほど、円周方向のサイズが大きい。これにより、円形外形面2bの平面視において中心3から遠い小領域において、電磁波21を受ける量を増やすことができるため、受けた電磁波21から得られた画像が暗くなる虞を低減することができる。以上の構成は、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の少なくとも1つにおいて実現されていてもよい。
【0052】
また、以上の構成に伴い、電磁波受信部31bは、概略的に、円形外形面2bの外側(円形の縁側)端部を円弧とする扇形から、円形外形面2bの内側(中心3側)端部を円弧とする扇形を減じた形状となっている。
【0053】
(付記事項)
以上の実施の形態1および実施の形態2においては、電磁波受信領域の個数が3個(すなわち、n=3)である場合の例を示した。但し、電磁波受信領域の個数は2以上であればいくつであってもよい。換言すれば、電磁波受信領域の個数を示すnは、2以上の自然数であればよい。
【0054】
以上の実施の形態1および実施の形態2においては、各電磁波受信領域における小領域の個数が少なくとも4個(すなわち、4≦m)である場合の例を示した。但し、各電磁波受信領域における小領域の個数は2以上であればいくつであってもよい。換言すれば、各電磁波受信領域における小領域の個数を示すmは、2以上の自然数であればよい。
【0055】
また、検査装置10は、以下の構成であることが好ましい。すなわち、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の各々は、互いに異なるタイミングで円形外形面2bにおける同一部分から電磁波21を受ける。そして、当該検査装置10は、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の各々が電磁波21を受けることによって得られた、3個(n個)の上記同一部分の画像を積算して得られた解析用画像を解析することにより、当該同一部分に付着した異物を検出する。当該検査装置10のセンサ30の一例として、TDIセンサが挙げられる。
【0056】
図5は、電磁波受信部31aを用いた検査の具体例を示している。
図5の(a)は、円形外形面2bにおける各画像取得対象領域である領域E1~領域E5を示している。
図5の(b)は、領域E1~領域E5の各々と電磁波受信領域321~電磁波受信領域323の各々との経過時間毎の対応関係を示している。
【0057】
時刻t1において、電磁波受信領域321は領域E2の画像を、電磁波受信領域322は領域E1の画像を、電磁波受信領域323は領域E3の画像を、それぞれ取得する。
【0058】
時刻t1より後の時刻t2においては、対象物1の回転に従って、電磁波受信領域321は領域E3の画像を、電磁波受信領域322は領域E2の画像を、電磁波受信領域323は領域E4の画像を、それぞれ取得する。
【0059】
時刻t2より後の時刻t3においては、対象物1の回転に従って、電磁波受信領域321は領域E4の画像を、電磁波受信領域322は領域E3の画像を、電磁波受信領域323は領域E5の画像を、それぞれ取得する。
【0060】
これにより、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323のそれぞれにおいて、領域E3の画像が得られる。そして、検査装置10は、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323のそれぞれにおいて得られた領域E3の画像を積算して、解析用の領域E3の画像を作成する。こうして、当該検査装置10は、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323のいずれか1つのみにおいて得られた領域E3の画像より鮮明な、解析用の領域E3の画像を得る。
【0061】
上記の構成によれば、複数の領域E3の画像を積算することにより、領域E3に対する検査の精度を向上させることが可能となる。領域E1、領域E2、領域E4、および領域E5についても同様である。
【0062】
なお、
図5においては、電磁波受信領域321~電磁波受信領域323が画像を取得する領域(換言すれば、検査対象領域)として、領域E1~領域E5を示した。但し、円形外形面2bの全部または任意の一部の画像を取得する(検査対象領域とする)ことができる。
【0063】
さらに、検査装置10は、電磁波発生源20に代えて、m×n個の電磁波発生源を備えており、これらのm×n個の電磁波発生源は、それぞれ、n個の電磁波受信領域のm個の小領域に対して円形外形面2bと略垂直な方向に配置されていてもよい。すなわち、m×n個の電磁波発生源と全小領域とが、1対1の対応関係で配置されていてもよい。また、検査装置10は、電磁波発生源20に代えて、m×n個未満の個数の電磁波発生源と、各電磁波発生源から発生する電磁波を反射または屈折により小領域3211~323mに略垂直な方向に導く機構(図示しない)を有していてもよい。
【0064】
ある小領域に対する電磁波21の入射方向が、円形外形面2bと略垂直な方向から傾いている場合、対象物1の厚みに依存して、当該小領域と電磁波21との間にズレが生じる虞がある。そして当該小領域と電磁波21との間でのズレが、領域EB1~領域EBrの間でのズレの要因となり得る。上記の構成によれば、当該小領域と電磁波21との間でのズレを抑制することができるので、領域EB1~領域EBrの間でのズレが生じる虞を低減することができる。
【0065】
〔変形例〕
図6は、電磁波受信部31aの第1変形例に係る電磁波受信部31aaの構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。
【0066】
電磁波受信部31aaは、電磁波受信部31aと、下記の点が異なる。すなわち、電磁波受信部31aaは、電磁波受信部31aに対して、小領域3212、小領域3222、および小領域3232が、中心3を中心とする円周C2に沿って、換言すれば軸4(
図1参照)を軸として、回転された配置となっている。当該回転の角度は特に限定されない。
【0067】
図7は、電磁波受信部31aの第2変形例に係る電磁波受信部31abの構成を示す図であり、円形外形面2bの平面視を示している。
【0068】
電磁波受信部31abは、電磁波受信部31aと、下記の点が異なる。すなわち、電磁波受信部31abは、電磁波受信部31aに対して、小領域3212、小領域3222、および小領域3232が、中心3を中心とする円周C2に沿って、換言すれば軸4を軸として、回転された配置となっている。さらに、電磁波受信部31abは、電磁波受信部31aに対して、小領域321(m-1)、小領域322(m-1)、および小領域323(m-1)が、中心3を中心とする円周C(m-1)に沿って、換言すれば軸4を軸として、回転された配置となっている。なお、電磁波受信部31abにおけるこれらの回転の角度は互いに異なっているが、これらの回転の角度は互いに同じであってもよい。
【0069】
電磁波受信部31aaおよび電磁波受信部31abはいずれも、電磁波受信部31aに対して、中心3からの離間距離が互いに同じである3個の小領域の組のうち少なくとも1組が、軸4を軸として回転された配置であると言える。電磁波受信部31aにおいて、ここで言う「3個の小領域の組」とは、小領域3211、小領域3221、および小領域3231の組、小領域3212、小領域3222、および小領域3232の組、・・・、小領域321(m-1)、小領域322(m-1)、および小領域323(m-1)の組、ならびに、小領域321m、小領域322m、および小領域323mの組の計m個の組である。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 対象物
2a、2b 円形外形面
3 中心
4 軸
10 検査装置
20 電磁波発生源
21 電磁波
30 センサ
31、31a、31aa、31ab、31b 電磁波受信部
321~323 電磁波受信領域
3211~323m 小領域
331~333 直径