(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、積層体
(51)【国際特許分類】
C08G 18/30 20060101AFI20220913BHJP
C08G 18/12 20060101ALI20220913BHJP
C08G 18/67 20060101ALI20220913BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20220913BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20220913BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220913BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20220913BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C08G18/30 070
C08G18/12
C08G18/67 050
C08G18/65 011
C08G18/08 038
C08L75/04
C08K5/07
B32B27/40
(21)【出願番号】P 2018232587
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 豊邦
(72)【発明者】
【氏名】二宮 淳
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/096111(WO,A1)
【文献】特開2015-86291(JP,A)
【文献】特開2008-274131(JP,A)
【文献】特開2016-74904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式ポリオール(a1)を含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、重合性不飽和基を1個以上有し、かつ、水酸基を2個以上有する化合物(C)とを必須原料とする、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、光重合開始剤(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項2】
前記化合物(C)が、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(2)で示される化合物、下記一般式(3)で示される化合物、下記一般式(4)で示される化合物、下記一般式(5)で示される化合物、及び、下記一般式(6)で示される化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物。
【化1】
(一般式(1)中、R
1は、炭素原子数1~9の直鎖アルキレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を1個以上有する構造を示す。)
【化2】
(一般式(2)中、R
2及びR
4は、それぞれ独立してエチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造を示し、R
3は、炭素原子数1~5のアルキレン基を示す。)
【化3】
(一般式(3)中、R
5及びR
6は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【化4】
(一般式(4)中、R
7は、水素原子又はメチル基を示し、nは2~3の整数を示す。)
【化5】
(一般式(5)中、R
8、R
9、及び、R
10は、それぞれ水素原子又はメチル基を示す。)
【化6】
(一般式(6)中、R
11、R
12、R
13、及び、R
14は、それぞれ水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項3】
前記ウレタンプレポリマー(i)の重合性不飽和基濃度が、0.0004~2mol/kgの範囲である請求項1又は2記載の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項4】
前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率が、1~10質量%の範囲である請求項1~3のいずれか1項記載の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂環式ポリオール(a1)が、脂環式ポリエステルポリオールである請求項1~4のいずれか1項記載湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物。
【請求項6】
基材、及び、請求項1~5のいずれか1項記載の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物層を有することを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンプレポリマーを主成分とする湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、金属材料、木質材料、プラスチック、ゴム、繊維製品、合成皮革、紙製品等の接着に広く利用されており、建材パネル、化粧板、自動車内装材、衣料など様々な分野で活用されている。
【0003】
湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物の特徴は、他のホットメルト接着剤と同様に無溶剤であり、冷却固化により初期の接着強度が得られることに加え、更に、接着後24~72時間程度の時間内で空気中や被着体の湿気と反応することで、他のホットメルト接着剤では発現し得ない最終接着強度および耐熱性が得られる点にある。しかしながら、他のホットメルト接着剤同様に、冷却固化だけで初期の接着強度を更に高めることは容易ではない。
【0004】
前記初期接着強度に優れる湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物としては、例えば、種類の異なる複数のポリエステルポリオールを用いたウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
前記接着剤は、優れた初期接着強度を有するものの、使用可能時間(オープンタイム)が短く、生産性が悪いとの指摘があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、初期接着強度、及び、オープンタイムに優れる湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、脂環式ポリオール(a1)を含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、重合性不飽和基を1個以上有し、かつ、水酸基を2個以上有する化合物(C)とを必須原料とする、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、光重合開始剤(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、その硬化物層を有する積層体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、初期接着強度、及び、オープンタイムに優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、脂環式ポリオール(a1)を含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、重合性不飽和基を1個以上有し、かつ、水酸基を2個以上有する化合物(C)とを必須原料とする、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、光重合開始剤(ii)を含有するものである。
【0011】
前記ウレタンプレポリマー(i)は、脂環式ポリオール(a1)を含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、重合性不飽和基を1個以上有し、かつ、水酸基を2個以上有する化合物(C)とを必須原料として得られるものであり、イソシアネート基を有するものである。
【0012】
前記脂環式ポリオール(a1)は、優れたオープンタイムを得る上で必須の成分である。前記脂環式ポリオール(a1)としては、例えば、脂環式ポリエステルポリオール、脂環式ポリカーボネートポリオール、脂環式ポリアクリルポリオール、脂環式ポリエーテルポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、脂環式ポリエステルポリオール、及び/又は、脂環式ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましく、脂環式ポリエステルポリオールがより好ましい。
【0013】
前記脂環式ポリエステルポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する脂環式化合物と脂肪族多塩基酸との反応物、水酸基を2個以上有する脂肪族化合物と脂環式多塩基酸との反応物等が挙げられる。なお、かかる反応物は公知のエステル化反応により得ることができる。
【0014】
前記水酸基を2個以上有する脂環式化合物としては、例えば、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA;これらのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、シクロヘキサンジメタノールを用いることが好ましい。
【0015】
前記脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、エイコサ二酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記水酸基を2個以上有する脂肪族化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチルプロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルプロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の化合物を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐候性、及び接着強度が得られる点から、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、及び、3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましく、分岐構造を有することより、一層優れたオープンタイムが得られる点から、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、及び、3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
【0017】
前記脂環式多塩基酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジアジペート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0018】
前記脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、分子量が50~400の範囲の脂環式ポリオールを含むポリオール化合物とを反応させて得られるものを用いることができる。なお、前記脂環式ポリオールの分子量は、化学構造式から計算される値を示す。
【0019】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ-ト等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記脂環式ポリオールとしては、例えば、1,2-シクロブタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカン-ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェノ-ルA、1,3-アダマンタンジオール等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、1,4-シクロヘキサンジメタノールを用いることが好ましい。
【0021】
前記脂環式ポリオールの使用量としては、より一層優れた低粘度性、及び、オープンタイムが得られる点から、ポリオール化合物中20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
【0022】
前記脂環式ポリオール以外に用いることができるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用いることができる。これらの中でも、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、1,6-ヘキサンジオールを用いることが好ましい。
【0023】
前記脂環式ポリオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた低粘度性、及び、オープンタイムが得られる点から、450~10,000の範囲であることが好ましく、500~5,000の範囲がより好ましく、600~3,000の範囲が更に好ましい。なお、前記脂環式ポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0024】
前記ポリオール(A)は、前記脂環式ポリオール(a1)以外にも、必要に応じてその他のポリオールを併用することができる。
【0025】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記脂環構造を有しないポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記ポリオール(A)中における前記脂環式ポリオール(a1)の使用量としては、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、10質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。
【0027】
また、前記脂環式ポリオール(a1)の使用量としては、より一層優れたオープンタイムが得られる点から、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と前記化合物(C)との合計100質量部に対し、10~80質量の範囲であることが好ましく、35~75質量部の範囲がより好ましく、40~70質量部の範囲が更に好ましい。
【0028】
前記ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、キシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート体などを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた反応性及び最終接着強度が得られる点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び、これらのイソシアヌレート体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0029】
前記ポリイソシアネート(B)の使用量としては、より一層優れた最終接着強度、及び、皮膜の機械的強度が得られる点から、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と前記化合物(C)と合計100質量部に対し、1~50質量部の範囲であることが好ましく、10~40質量部の範囲がより好ましい。
【0030】
前記化合物(C)は、重合性不飽和基を1個以上有し、かつ、水酸基を2個以上有するものである。この化合物(C)をウレタンプレポリマー(i)の原料として用いることにより、ウレタンプレポリマー(i)の分子内部に重合性不飽和基を導入することができ、紫外線等の照射により、優れた初期接着強度を得ることができる。更に、ウレタンプレポリマー(i)の分子末端にはイソシアネート基を有するため、湿気硬化により優れた最終接着強度を得ることができる。
【0031】
前記化合物(C)としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(2)で示される化合物、下記一般式(3)で示される化合物、下記一般式(4)で示される化合物、下記一般式(5)で示される化合物、下記一般式(6)で示される化合物等を用いることができる。
【0032】
【化1】
(一般式(1)中、R
1は、炭素原子数1~9の直鎖アルキレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を1個以上有する構造を示す。)
【0033】
【化2】
(一般式(2)中、R
2及びR
4は、それぞれ独立してエチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造を示し、R
3は、炭素原子数1~5のアルキレン基を示す。)
【0034】
【化3】
(一般式(3)中、R
5及びR
6は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【0035】
【化4】
(一般式(4)中、R
7は、水素原子又はメチル基を示し、nは2~3の整数を示す。)
【0036】
【化5】
(一般式(5)中、R
8、R
9、及び、R
10は、それぞれ水素原子又はメチル基を示す。)
【0037】
【化6】
(一般式(6)中、R
11、R
12、R
13、及び、R
14は、それぞれ水素原子又はメチル基を示す。)
【0038】
前記一般式(1)中のR1は、炭素原子数1~9の直鎖アルキレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を2つ以上有する構造を示す。例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートは、一般式(1)中のR1は、炭素原子数3のプロピレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を2つ有する構造である。
【0039】
前記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート〔ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート〕、ジメチロールメタンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR1は、炭素原子数3のもので、重合性不飽和基を有する原子団を2つ有するものである。)、ジエチロールメタンジ(メタ)アクリレート、ジエチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR1は、炭素原子数5のもので、重合性不飽和基を有する原子団を2つ有するものである。)、ジプロパノールメタンジ(メタ)アクリレート、ジプロパノールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR1は、炭素原子数7のもので、重合性不飽和基を有する原子団を2つ有するものである。)、ジブタノールメタンジ(メタ)アクリレート、ジブタノールプロパンジ(メタ)アクリレート(一般式(1)中のR1は、炭素原子数9のもので、重合性不飽和基を有する原子団を2つ有するものである。)等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、より一層優れた初期接着強度が得られる点から、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、及び/又は、ジメチロールメタンジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0040】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートのいずれか一方または両方をいう。
【0041】
前記一般式(2)中のR2及びR4は、エチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造である。前記一般式(2)中に、前記エチレン基の側鎖に重合性不飽和基を含む原子団を有する構造を合計2つ以上有し、好ましくは2つ以上5つ以下の範囲で有し、より好ましくは2つ以上3つ以下の範囲で有する。
【0042】
また、前記一般式(2)中のR3は、炭素原子数1~5のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、例えば、ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)メタン(一般式(2)中のR2及びR4は炭素原子数2のもので、重合性不飽和基を有する原子団を1つ有するものであり、R3は炭素原子数1のものである。)、1,2-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エタン(一般式(2)中のR2及びR4は炭素原子数2のもので、重合性不飽和基を有する原子団を1つ有するものであり、R3は炭素原子数2のものである。)、1,3-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロパン(一般式(2)中のR2及びR4は炭素原子数2のもので、重合性不飽和基を有する原子団を1つ有するものであり、R3は炭素原子数3のものである。)、1,4-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ブタン(一般式(2)中のR2及びR4は炭素原子数2のもので、重合性不飽和基を有する原子団を1つ有するものであり、R3は炭素原子数4のものである。)、1,5-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ペンタン(一般式(2)中のR2及びR4は炭素原子数2のもので、重合性不飽和基を有する原子団を1つ有するものであり、R3は炭素原子数5のものである。)等を用いることができる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた初期接着強度が得られる点から、1,4-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ブタンを用いることが好ましい。
【0044】
前記化合物(C)の使用量としては、より一層優れた初期接着強度が得られる点から、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と前記化合物(C)との合計100質量部に対し、0.01~50質量部の範囲であることが好ましく、0.5~30質量部の範囲がより好ましく、1~20質量部の範囲が更に好ましく、3~15質量部の範囲が特に好ましい。
【0045】
前記ウレタンプレポリマー(i)は、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と前記化合物(C)とを反応させて得られるものであり、前記化合物(C)の水酸基がポリイソシアネート(B)と反応することで、分子内部に重合性不飽和基が導入されたものであり、かつ、空気中やウレタンプレポリマーが塗布される基体中に存在する水分と反応して架橋構造を形成しうるイソシアネート基を分子末端に有するものである。
【0046】
前記ウレタンプレポリマー(i)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(A)及び化合物(C)の入った反応容器に、ポリイソシアネート(B)を入れ、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)及び化合物(C)の有する水酸基に対して過剰となる条件で、反応させることによって製造することができる。
【0047】
前記ウレタンプレポリマー(i)を製造する際の、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と、前記ポリオール(A)及び化合物(C)が有する水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)としては、より一層優れた初期接着強度及び最終接着強度が得られる点から、1.1~10の範囲であることが好ましく、1.15~8の範囲であることがより好ましい。
【0048】
前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、より一層優れた最終接着強度が得られる点から、1~10質量%の範囲であることが好ましく、1.5~8質量%の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(i)のNCO%は、JISK1603-1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
【0049】
前記ウレタンプレポリマー(i)の重合性不飽和基濃度としては、0.0004~2mol/kgの範囲であることが好ましく、0.001~1mol/kgの範囲がより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(i)の重合性不飽和基濃度は、用いた反応原料を基に算出した値を示す。
【0050】
前記光重合開始剤(ii)としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記光重合開始剤(ii)の使用量としては、より一層優れた紫外線硬化性が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)100質量部に対して、0.0001~10質量部の範囲であることが好ましく、0.005~5質量部の範囲がより好ましい。
【0052】
本発明の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(i)、及び、前記光重合開始剤(ii)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0053】
前記その他の添加剤としては、例えば、硬化触媒、粘着付与剤、可塑剤、光安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
次に、本発明の積層体について説明する。
【0055】
本発明の積層体は、基材、及び、前記湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物層を有するものである。
【0056】
前記基材としては、例えば、合板、MDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)、パーチクルボード等の木質基材;アルミ、鉄等の金属基材;ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を用いて得られたシート基材;ケイ酸カルシウム板;紙;金属箔;突板;不織布、織布等の繊維基材;合成皮革;紙;ゴム基材;ガラス基材などを用いることができる。前記基材の厚さとしては、使用される用途に応じて決定されるが、例えば、1~500mmの範囲である。
【0057】
前記基材上に、前記湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、70~140℃で溶融した湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を、ロールコーター、スプレーコーター、T-タイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等のコーター方式;ディスペンサー、スプレー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の精密方式などを使用して基材に塗布する方法が挙げられる。
【0058】
前記湿気硬化型ウレタンホットメルト組成物の硬化物層としては、使用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば、0.001~3cmの範囲である。
【0059】
前記塗布された湿気硬化型ウレタンホットメルト組成物は、活性エネルギー線を照射することにより優れた初期接着強度を得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、X線、赤外線、可視光線等が挙げられる。これらの中でも、簡便に初期接着強度が得られることから、紫外線が好ましい。
【0060】
前記紫外線を照射する際には、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、水素ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、蛍光灯等の光源を使用することができる。
【0061】
前記紫外線の照射量としては、より一層優れた初期接着強度が得られる点から、0.05~5J/cm2、より好ましくは0.1~3J/cm2、特に好ましくは0.3~1.5J/cm2の範囲であることがよい。なお、前記紫外線の照射量は、GSユアサ株式会社製UVチェッカー「UVR-N1」を使用して、300~390nmの波長域において測定した値を基準とする。
【0062】
前記紫外線照射後は、前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基のエージングを行うため、好ましくは10~40℃の温度下で、1~3日養生することが好ましい。
【0063】
以上、本発明の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、初期接着強度、及び、オープンタイムに優れるものである。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0065】
[実施例1]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、ジメチロールメタンジアクリレートを3.2質量部と、脂環式ポリエステルポリオール(ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の反応物、数平均分子量;1,000、以下「脂環式PEs」と略記する。)62.1質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)を34.7質量部加え、100℃迄昇温した後、光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、以下「HCPK」と略記する。)を0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-1)(重合性不飽和基濃度;0.3mol/kg、NCO%;4.9質量%)を得た。
【0066】
[実施例2]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、1,4-ビス(3-アクリロイロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ブタンを3.2質量部と、脂環式PEs63.9質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを32.9質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-2)(重合性不飽和基濃度;0.18mol/kg、NCO%;4.6質量%)を得た。
【0067】
[実施例3]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(3-1)(一般式(3)において、R5が水素原子を示し、R6がメチル基を示し、nが1の整数を示すもの。)を3.2質量部と、脂環式PEs65.2質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを33.0質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-3)(重合性不飽和基濃度;0.19mol/kg、NCO%;4.6質量%)を得た。
【0068】
[実施例4]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(3-2)(一般式(3)において、R5がメチル基を示し、R6が水素原子を示し、nが1の整数を示すもの。)を3.2質量部と、脂環式PEs63.9質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを32.9質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-4)(重合性不飽和基濃度;0.18mol/kg、NCO%;4.6質量%)を得た。
【0069】
[実施例5]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(4-1)(一般式(4)において、R7が水素原子を示し、nが3の整数を示すもの。)を3.2質量部と、脂環式PEs63.9質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを32.9質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-5)(重合性不飽和基濃度;0.18mol/kg、NCO%;4.6%)を得た。
【0070】
[実施例6]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(5-1)(一般式(5)において、R8が水素原子を示し、R9及びR10がメチル基を示すもの。)を6質量部と、脂環式PEs61質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを33質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-6)(重合性不飽和基濃度;0.25mol/kg、NCO%;4.6質量%)を得た。
【0071】
[実施例7]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(5-1)(一般式(5)において、R8が水素原子を示し、R9及びR10がメチル基を示すもの。)を6.7質量部と、脂環式PEs34.2質量部と、その他のポリエステルポリオール(1,6-ヘキサンジオール及びアジピン酸の反応物、数平均分子量;4,500、以下「他PEs」と略記する。)34.2質量部を仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを25質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-7)(重合性不飽和基濃度;0.27mol/kg、NCO%;3.4質量%)を得た。
【0072】
[実施例8]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(5-1)(一般式(5)において、R8が水素原子を示し、R9及びR10がメチル基を示すもの。)を7.2質量部と、脂環式PEs14.7質量部と、他PEs58.9質量部を仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを19.2質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.5質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-8)(重合性不飽和基濃度;0.3mol/kg、NCO%;2.6質量%)を得た。
【0073】
[実施例9]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(6-1)(一般式(6)において、R11、R12、R13及びR14が全てメチル基を示すもの。)を3.2質量部と、脂環式PEs65.2質量部とを仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを31.6質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.4質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(i-9)(重合性不飽和基濃度;0.1mol/kg、NCO%;4.4質量%)を得た。
【0074】
[比較例1]
攪拌機、温度計を備えた2リットル4ツ口フラスコに、化合物(5-1)(一般式(5)において、R8が水素原子を示し、R9及びR10がメチル基を示すもの。)を7.6質量部と、他PEs77.6質量部を仕込み、減圧加熱条件下、フラスコ内の全量に対する水分が0.05質量%となるまで脱水した。
次いで、70℃に冷却後、MDIを14.8質量部加え、100℃迄昇温した後、HCPKを0.5質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによってウレタンプレポリマー(iR-1)(重合性不飽和基濃度;0.31mol/kg、NCO%;2質量%)を得た。
【0075】
[数平均分子量の測定方法]
合成例及び比較合成例で用いたポリオール等の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0076】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0077】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0078】
[初期接着強度の評価方法]
(1)初期ピーリング性の試験方法
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を、それぞれ120℃で1時間溶融させた後、厚さ200μmのコロナ処理済ポリエチレンテレフタレート基材上にロールコーターを使用して100μmの厚さとなるように塗布した。その後、この塗布面に高圧水銀ランプを使用して0.65J/cm2の紫外線を照射し、この照射面に厚さ200μmのコロナ処理済ポリエチレンテレフタレート(PET)基材を更に貼り合わせ、貼り合わせから3分後に180°剥離強度(N/inch)をJISK7311-1995に準拠して測定し、以下のように評価した。
「T」;60N/inch以上
「F」;60N/inch未満
【0079】
(2)初期耐熱クリープ性の試験方法
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を、それぞれ120℃で1時間溶融させた後、ポリエチレンテレフタレート基材上にロールコーターを使用して50μmの厚さとなるように塗布した。その後、この塗布面に高圧水銀ランプを使用して0.65J/cm2の紫外線を照射し、この照射面にMDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)を載置し、貼り合わせた。貼り合わせ後5分後に35℃の雰囲気下で、25mm幅に対して75gの荷重を90°方向にかけて、15分経過後のポリエチレンテレフタレート基材の剥離長さを測定し、以下のように評価した。
「T」;5mm未満
「F」;5mm以上
【0080】
[オープンタイムの評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物を、それぞれ120℃で1時間溶融させた後、ポリプロピレンシート上に50μmの厚さとなるように塗布した。その後、この塗布面に高圧水銀ランプを使用して0.65J/cm2の紫外線を照射した。この紫外線照射が完了した時点を基点とし、クラフト紙が湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物の塗布面に付着しなくなるまでの時間を測定し、以下のように評価した。
「A」:300秒を超える。
「B」:60秒を超えて300秒以下である。
「C」:30秒を超えて60秒以下である。
「D」:30秒以下である。
【0081】
【0082】
【0083】
本発明の湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物は、優れた初期接着強度、及び、オープンタイムを有することが分かった。
【0084】
一方、比較例1は、脂環式ポリオール(A)を用いない態様であるが、オープンタイムが不良であった。